説明

ガス滅菌装置

【課題】ロック手段の異常によるガス漏れの危険防止の性能を向上させること。
【解決手段】 被滅菌物を出し入れする開口部9および扉を有する滅菌室3と、扉2の閉止状態の保持または保持解除を行う扉開閉機構10と、滅菌室3内の被滅菌物を滅菌ガスにより滅菌することにより滅菌作業を行う制御手段8とを備えるガス滅菌装置において、制御手段8は、滅菌作業中に扉開閉機構10の電動ロック手段12をロック位置とするとともに、滅菌作業開始前および滅菌作業中に電動ロック手段12を一時的に非ロック位置としてロックセンサ13により電動ロック手段12の作動を確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、滅菌室内の被滅菌物を滅菌ガスにより滅菌するガス滅菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のガス滅菌装置においては、特許文献1に示すように、不用意に扉を開いて滅菌室から滅菌ガスが漏出することを防止するために、扉のロック手段を備えて、滅菌作業中に扉をロック状態とすることが行われている。
【0003】
このロック手段としては、特許文献2に示す構造のものを採用することが考えられる。この特許文献2のロック手段は、ロック手段の異常,すなわち正常に動作しているかどうか判定する手段を備えている。しかしながら、ロック手段によるロックを解除すると、扉が開くように構成されているので、滅菌作業中にロック手段の作動確認を行うと、扉が開いてしまう構成となっている。したがって、特許文献2のロック手段の作動確認手段をガス滅菌装置に適用すると、ガス漏れが生ずる危険がある。特許文献2においては、滅菌作業前にロック手段の作動確認を行うことができるが、安全性の確認という意味では十分とはいえない。
【0004】
【特許文献1】特開2004−180902号公報
【特許文献2】特開平11−71946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、ロック手段の異常によるガス漏れの危険防止の性能を向上させたガス滅菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被滅菌物を出し入れする開口部および前記開口部を密閉自在に開閉する扉を有する滅菌室と、前記扉の閉止状態の保持または保持解除を行う扉開閉機構と、前記滅菌室内の被滅菌物を滅菌ガスにより滅菌することにより滅菌作業を行う制御手段とを備えるガス滅菌装置において、前記扉開閉機構は、閉止位置にて前記開口部に係合して前記扉の閉止状態の保持を行うとともに開放位置にて前記係合を解除する開閉操作体と、ロック位置にて前記係合をロックするとともに非ロック位置にて前記ロックを解除する電動ロック手段と、前記電動ロック手段がロック位置にあるのか否かを検出するロックセンサとを含んで構成され、前記制御手段は、前記滅菌作業中に前記電動ロック手段をロック位置とするとともに、前記滅菌作業開始前および前記滅菌作業中に前記電動ロック手段を一時的に非ロック位置として前記ロックセンサにより前記ロック手段の作動を確認することを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、滅菌作業中に前記電動ロック手段によるロックを解除しても、前記開閉操作体による前記係合により、直ちに前記扉が開かず、滅菌作業前のみならず滅菌作業中にも前記ロック手段の異常を確認するので、前記電動ロック手段の異常によるガス漏れの危険防止の性能が向上する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記滅菌作業が、前記滅菌室内の加温および/または加湿を行う準備工程と、この準備工程後に行われ前記滅菌室内へ滅菌ガスを供給する滅菌工程とを含んで構成され、前記制御手段は、前記滅菌作業中であって、滅菌
工程前に前記電動ロック手段の作動の確認を行うことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、滅菌ガスが供給される滅菌工程前に前記電動ロック手段の異常が確認されるので、安全性を向上できるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、電動ロック手段の異常によるガス漏れの危険防止の性能を向上させたガス滅菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施例1の概略構成を説明する図である。
【図2】同実施例1の要部の拡大断面による平面の説明図である。
【図3】図2のIII−III線における要部の拡大断面の説明図である。
【図4】同実施例1の制御手順の要部を説明するフローチャート図である。
【図5】同実施例1の他の要部の拡大断面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、被滅菌物をガス滅菌するガス滅菌装置に適用される。
【0013】
この発明の実施の形態のガス滅菌装置は、被滅菌物を出し入れする開口部および前記開口部を密閉自在に開閉する扉を有する滅菌室と、前記扉の閉止状態の保持または保持解除を行う扉開閉機構と、前記滅菌室内を陰圧状態として被滅菌物を滅菌ガスにより滅菌することにより滅菌作業を行う制御手段とを備える。
【0014】
そして、前記扉開閉機構は、閉止位置にて前記開口部に係合して前記閉止状態の保持を行うとともに開放位置にて前記係合を解除する開閉操作体と、ロック位置にて前記係合をロックするとともに非ロック位置にて前記ロックを解除する電動ロック手段と、前記電動ロック手段がロック位置にあるのか否かを検出するロックセンサとを含んで構成されている。
【0015】
さらに、前記制御手段は、前記滅菌作業中に前記電動ロック手段をロック位置とするとともに、前記滅菌作業開始前および前記滅菌作業中に前記ロック手段を一時的に非ロック位置として前記ロックセンサにより前記ロック手段の作動を確認するように構成されている。
【0016】
この実施の形態においては、前記制御手段は、前記電動ロック手段の異常を確認すべく、滅菌作業中に前記ロック手段によるロックを一時的に解除する。この解除を行っても、前記開閉操作体による前記係合により、前記扉が開くことはない。よって、この実施の形態においては、滅菌作業前のみならず滅菌作業中にも前記電動ロック手段の異常を確認する。
【0017】
この実施の形態においては、好ましくは、前記滅菌作業が、前記滅菌室内の加温および/または加湿を行う準備工程と、この準備工程後に行われ前記滅菌室内へ滅菌ガスを供給する滅菌工程とを含んで構成され、前記制御手段は、前記滅菌作業中であって、滅菌工程前に前記ロック手段の作動の確認を行うように構成する。前記滅菌工程前は、好ましくは、滅菌ガスを供給する滅菌工程直前とする。
【0018】
この好ましい構成によれば、滅菌ガスが供給される滅菌工程前に前記ロック手段の異常
が確認するので、安全性を向上できるという効果を奏する。
【0019】
つぎに、この実施の形態の構成要素について説明する。前記滅菌室は、被滅菌物を出し入れする扉付きの開口部、前記滅菌室内へ滅菌ガスを供給して被滅菌物をガス滅菌するための給ガス手段(ガス供給手段と称することができる。),加湿手段,給気手段(復圧手段と称することができる。)および排気手段(減圧手段と称することができる。)を備えている。
【0020】
前記扉は、前記開口部に回動自在に支持されるか、スライド自在に支持される。前記扉は、前記開口部を密閉自在に開閉する。
【0021】
前記扉開閉機構は、前記開口部と前記扉とに跨って設けられ、前記開閉操作体と、前記電動ロック手段とから構成される。
【0022】
前記開閉操作体は、前記滅菌室の開口部に設けた第一係合部材と、前記扉に設けられ閉止位置と開放位置と選択可能で前記第一係合部材に係合および係合解除可能な第二係合部材を有する取手(ノブまたはハンドルを含む。)とを備えている。そして、前記取手を前記閉止位置とすると、前記第一係合部材に前記第二係合部材が係合して、前記扉が開かないように保持し(扉の閉止状態の保持)、前記取手を前記開放位置とすると、前記係合が解除されて、人力を加えることで前記扉が開くように構成されている。
【0023】
前記取手は、その回動により前記第二係合部材が回動して前記閉止位置と前記開放位置とを選択するように構成するが、前記第二係合部材を直線的に移動させることにより、前記閉止位置と前記開放位置とを選択するように構成することができる。
【0024】
また、前記開閉操作体は、好ましくは、手動により前記閉止位置と前記開放位置とを選択するように構成するが、前記第二係合部材を電動により移動させて前記閉止位置と前記開放位置とを選択するように構成するように構成することができる。
【0025】
前記電動ロック手段は、ロック位置にて前記第一係合部材と前記第二係合部材との係合をロックするとともに、非ロック位置にて前記ロックを解除する機能を有している。この電動ロック手段は、好ましくは、前記取手の回転軸に取り付けた第一ロック部材と、ロック位置において前記第一ロック部材と係合して前記第一ロック部材の非ロック位置方向への移動を阻止し、非ロック位置において前記第一ロック部材との係合を解除して前記第一ロック部材の非ロック位置方向への移動を許容する第二ロック部材と、この第二ロック部材をロック位置と非ロック位置とに選択的に移動させる電動式(電磁式を含む。)のロック部材駆動機構とを含んで構成されている。
【0026】
前記第二ロック部材は、前記取手または取手と一体に動く部材の移動を阻止する部材であれば、特別な構成のものに限定されない。また、前記電動ロック手段は、前記扉に設けているが、前記滅菌室の開口部側に設けることができる。
【0027】
前記電動ロック機構には、前記第二ロック部材がロック位置にあるのか、非ロック位置にあるのかを検出するロックセンサを備えている。このロックセンサとして、リミットスイッチや近接スイッチを採用することができる。
【0028】
また、前記制御手段は、予め記憶している制御手順(プログラム)により、前記給ガス手段および前記換気手段を制御し、滅菌作業の制御と、ロック確認の制御とを行う。前記ロック確認の制御手順は、前記滅菌作業中に前記電動ロック手段をロック位置とするとともに、前記滅菌作業開始前および前記滅菌作業中に前記ロック手段を一時的に非ロック位
置として前記ロック手段の作動を確認するプログラムが含まれている。
【実施例1】
【0029】
以下、この発明のガス滅菌装置の具体的実施例1を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の実施例1の概略構成を説明する図であり、図2は、同実施例1の要部の拡大横断面の説明図であり、図3は、図2のIII−III線における要部の拡大垂直断面の説明図であり、図4は、同実施例1の制御手順の要部を説明するフローチャート図であり、図5は、同実施例1の他の要部の拡大横断面の説明図である。
【0030】
(実施例1の構成)
図1を参照して、ガス滅菌装置1は、開閉可能な扉2を備え、ガス滅菌処理する被滅菌物およびガス滅菌処理された被滅菌物を収容する滅菌室3と、ボンベ式の滅菌ガス(この実施例1ではEOGを使用)供給源により滅菌室3へ滅菌ガスを供給する給ガス手段4と、飽和蒸気(以下、単に蒸気と称する。)を供給する加湿手段5と、滅菌室3内の気体を排気する排気手段6と、滅菌室3内へ給気(空気を導入)する給気手段7と、給ガス手段4と、加湿手段5,排気手段6および給気手段7を制御する制御手段としての制御器8とを主要部として備えている。
【0031】
扉2は、滅菌室3の開口部9に回動自在に支持され、開口部9を密閉自在に開閉する。そして、扉2と開口部9とに跨って扉開閉機構10を設けている。
【0032】
扉開閉機構10は、図2および図3に示すように、閉止位置Mにて開口部9に係合して扉2の閉止状態の保持を行うとともに、開放位置Nにて前記係合を解除する開閉操作体11と、図示のロック位置Xにて前記係合をロックするとともに二点鎖線で示す非ロック位置Yにて前記ロックを解除する電動ロック手段12と、電動ロック手段12がロック位置Xにあるか否かを検出するロックセンサ13とを含んで構成されている。前記係合をロックするとは、開閉操作体11による開放位置Nの操作を不能にすることを意味する。
【0033】
開閉操作体11は、滅菌室3の開口部9に設けた第一係合部材14と、扉2に設けられ閉止位置Mと開放位置Nとを選択可能で、第一係合部材14との係合および第一係合部材14との係合解除が可能な第二係合部材15を有する取手16とを備えている。
【0034】
第一係合部材14は、図2に示すように、L字状をなし、開口部9に固定され扉2側の面を開口した箱状の第一固定部材17に第一螺子18により固定されている。そして、閉止位置Mにて扉2を開こうとすると第二係合部材15により第一係合部材14に対して図2で下方向への力が加わるので、第二螺子19を第一係合部材14を支持するようにその先端を当接させている。そして、第二螺子19は、第一係合部材14方向への突出高さを調整可能に、第一固定部材17に取り付けている。この第一固定部材17は、滅菌室構成壁3Aにて構成される開口の周辺部である開口部9に取り付けた外装壁3Bに固定されている。
【0035】
取手16は、一点鎖線で示す扉2に固定され開口部9側の面を開口した箱状の第二固定部材20に回転軸21により回動自在に支持されている。第二係合部材15は、回転軸21にリベットや螺子により固定されている。そして、取手16を図3の開放位置Nから時計回り方向(図3の矢示R1方向)へ回動すると、第二係合部材15が回動して第一係合部材14と係合する状態に位置し、取手16を図3の閉止位置Mから反時計回り方向(図3の矢示R2方向)へ回動すると、第二係合部材15が回動して第一係合部材14との係合が解除される状態に位置するように構成されている。符号39は、回転軸21を第二固定部材20に対して回動自在に支持する支持部材である。また、図2の符号3Cは、開口部9側に設けた開口部9と扉2との間をシールするパッキンであり、模式的に示している

【0036】
こうして、取手16を閉止位置Mとすると、第一係合部材14に第二係合部材15が係合して、扉2が開かないように保持され、取手16を開放位置Nとすると、前記係合が解除されて、取手16を持って人力を加えることで扉2が開くように構成されている。
【0037】
つぎに、電動ロック手段12は、第二ロック部材23と、第二ロック部材23をロック位置Xと非ロック位置Yとに選択的に移動させるロック部材駆動機構24とを含んで構成されている。ロック位置Xは、第一係合部材14と第二係合部材15との係合をロックする,すなわちこの係合の解除を阻止するようにこの係合を保持する位置であり、第二ロック部材23が第一ロック部材22と係合して回転軸21が図3における反時計回り方向へ回動することを阻止する位置である。また、非ロック位置Yは、前記ロックを解除する位置であり、第一ロック部材22と第二ロック部材23との係合を解除して回転軸21が反時計回り方向への回動を許容する位置である。
【0038】
第一ロック部材22は、取手16の回転軸21に螺子により固定した板状の部材にて構成されている。第二ロック部材23は、桿状の部材にて構成されている。
【0039】
ロック部材駆動機構24は、電磁弁等で用いられるソレノイド機構(図示省略)により、第二ロック部材23を通電時に非ロック位置Yに移動させ、非通電時に弾性部材(図示省略)によりロック位置Xに移動させるように構成されている。
【0040】
このロック部材駆動機構24には、第二ロック部材23がロック位置Xに位置するのか、非ロック位置Yに位置するのかを検出するロックセンサ13を備えている。この実施例1では、第二ロック部材23に検出部(図示省略)を設け、ロックセンサ13として非ロック位置Yにおける前記検出部の有無を検出するリミットスイッチとしているが、これに限定されるものではない。
【0041】
つぎに、滅菌作業を行うための構成について説明する。図1を参照して、給ガス手段4は、一端が前記EOG供給源と接続され、他端が滅菌室3と接続される給ガスライン25と、この給ガスライン25の途中に設けた給ガス弁26とを含んで構成されている。
【0042】
加湿手段5は、一端が蒸気発生装置(図示省略)と接続され、他端が滅菌室3と接続される加湿ライン27とこの加湿ライン27途中に設ける加湿弁28とを含んで構成される。
【0043】
排気手段6は、滅菌室3と接続される排気ライン29と、この排気ライン13途中に設ける真空ポンプ30と、滅菌室3方向への逆流を防止する第一逆止弁31と、滅菌室3の密閉状態を保持すべく設けたモータ弁からなる真空弁32を含んで構成される。前記排気手段6には、排気ライン29と並列に、前記滅菌室3内の高圧ガスを大気との差圧を利用して排気する排気ライン(図示省略)を設けている。
【0044】
給気手段7は、一端が滅菌室3と接続される給気ライン33と、この給気ライン33途中に設ける空気浄化フィルター34と、給気弁35と、滅菌室3から大気方向への逆流を阻止する第二逆止弁36とを含んで構成されている。
【0045】
また、制御器8は、ロックセンサ13,滅菌室3内の圧力を検出する圧力センサ37,運転スイッチ等を有する操作パネル38等からの信号を入力して、予め記憶している制御手順(プログラム)により、給ガス手段4,加湿手段5,排気手段6およびロック手段駆動機構24を制御し、滅菌作業の制御と、ロック確認の制御とを行う。前記ロック確認の
制御手順は、図4に示すように、滅菌作業中に電動ロック手段12をロック位置Xとするとともに、滅菌作業開始前および滅菌作業中に電動ロック手段12を一時的に非ロック位置Yとして電動ロック手段12の作動を確認するプログラムが含まれている。
【0046】
ところで、この実施例1には、滅菌ガスの供給源としてのカートリッジ缶40を用いており、安全性を一層高めるべく、ガス漏れの危険を回避した上で、防爆型のセンサを用いることなく、カートリッジ缶40の有無(カートリッジ缶の離脱がある場合には、この離脱を含む。)を検出するように構成している。以下に、この構成を図5に基づき説明する。
【0047】
滅菌室3内に形成された缶保持部41に保持された金属製のカートリッジ缶40を破缶機構42の穿孔針43が一点鎖線矢示(図5)の方向へ移動することにより破缶して得られる滅菌ガスにより滅菌室3内の被滅菌物を滅菌するように構成している。穿孔針43に破缶して得られる滅菌ガスは、ガス通路59およびこれに接続され、滅菌室3外に配置されるガス配管(図示省略)を通して滅菌室3内へ導入される。
【0048】
カートリッジ缶40は、滅菌室3の側壁44に形成された缶保持用の凹所45において着脱自在に保持されている。具体的には、缶周壁46が凹所45の底壁45Aとが所定間隔を存するように、カートリッジ缶40の先端部47が破缶機構42の環状ゴムからなるパッキン48にて支持され、その他端部49が凹所45の底壁45Aに設けた係止部50と弾性的に係脱自在に係合して支持されている。
【0049】
そして、凹所45に保持されたカートリッジ缶40の缶周壁46に対向する位置の底壁45Aに形成された開口51に、滅菌室3側の底部52が挿入される合成樹脂等の非金属製の有底の筒状部材55を備えている。筒状部材55は、反滅菌室側において環状のシール部材54によって開口51周縁との間がガス漏れを生じないようにシールされる。また、筒状部材55は、第三螺子56,56,・・・により底壁45Aに固定された固定板53に固定されている。
【0050】
また、滅菌室3の外側において、筒状部材55の開口から挿入して配置され、カートリッジ缶40の有無を検出する非防爆型の近接スイッチ57を備えている。近接スイッチ57は、ナット58により、抜け止めされている。より、具体的には、近接スイッチ57に雄螺子,筒状部材55に雌螺子が形成され、それぞれをねじ込んだ後ナット58を近接スイッチ57にねじ込むことで、抜け止めしている。
【0051】
そして、前回の滅菌作業終了から次回滅菌作業開始までに、近接スイッチ57からの信号がON(缶有り)信号−OFF(缶無し)信号との信号変化が生じた場合、制御器8は、カートリッジ缶40の交換が行われたとを判定する。また、滅菌作業途中において、前記信号がOFFとなると、制御器8は、カートリッジ缶40が離脱したと判定(異常判定)し、滅菌作業を停止するとともに、電動ロック手段12をロック位置Xに保持(インターロック)し、滅菌装置の使用者が不用意に扉2を開くことができないように構成している。なお、インターロックの解除は、メンテナンス員等により可能に構成している。
【0052】
(実施例1の動作)
以下に、この実施例1の動作を図1〜図4に基づき説明する。まず、扉2を開いて、被滅菌物を滅菌室3内に収容し、取手16を閉止位置Mに回動操作する。この状態で、滅菌作業を開始すべく、運転スイッチをONする。
【0053】
すると、図4を参照して、処理ステップS1(以下、処理ステップSNは、単にSNと称する。)にて、YESが判定され、S2へ移行して、制御器8は、電動ロック手段12
のロック部材駆動機構24への通電を停止して、第二ロック部材23をロック位置Xへ移動させる。これにより、扉2は、取手6を回動操作しても開くことができないロック状態となる。
【0054】
ついで、S3にて、ロックセンサ13の信号がONからOFFに変化したかどうかを判定する。この判定がNOの場合は、S4へ移行して電動ロック手段12またはロックセンサ13の異常処理を行う。具体的には、ガス滅菌装置の運転を停止するとともに、操作パネル38に異常表示を行う。S2およびS3の処理がこの発明の滅菌作業前のロック確認制御を構成する。
【0055】
S3の判定が、YESの場合は、S5へ移行して準備工程を行う。この準備工程は、好ましくは、滅菌室3内の空気を真空引きする真空引工程と、この真空引工程後に行う滅菌室3内の真空洩れチェック工程と、この真空洩れチェック工程後に行う滅菌室3へ蒸気を供給して被滅菌物に加湿する加湿工程とを含んでいる。
【0056】
加湿工程が終了すると、S6へ移行して、ロック部材駆動機構24へ一時的に通電して、第一ロック部材22を非ロック位置Yへ移動させる。ついで、S7にて、ロックセンサ13の信号がOFFからONへ変化(通電停止後の状態を含めると、OFF→ON→OFFの変化)したかどうかを判定する。この判定がNOの場合は、S4へ移行して異常処理を行う。S6およびS7の処理がこの発明の滅菌作業中のロック確認制御を構成する。
【0057】
この滅菌作業中のロック確認動作において、電動ロック手段12によるロックが解除される。しかしながら、開閉操作体11の第一係合部材14と第二係合部材15との係合により、取手16の開放操作を行わない限り、扉2が開かないように構成されている。その結果、滅菌作業中にロック確認を行うことにより、扉2が開いて、ガスが滅菌室3から流出することが防止され、安全性が担保される。
【0058】
S7の判定が、YESの場合は、S8へ移行して滅菌工程および排気工程を行う。滅菌工程は、給ガス弁10を開いて滅菌室3内へ給ガスライン9からEOGを供給した後、所定の時間保持して、滅菌を行なうものである。排気工程は、真空弁16を開いて、記真空ポンプ14を作動させて滅菌室2内の気体を排出する排気などが含まれている。
【0059】
排気工程が終了するとS9において、運転スイッチがOFFされたかどうかを判定する。YESが判定されると、S10へ移行して、ロック部材駆動機構24へ通電して、第二ロック部材23を非ロック位置Yへ移動させ、ロックを解除する。このロック解除により、取手16を回動して、開放位置Nとすることにより、扉2を開き、滅菌処理した被滅菌物を滅菌室3内から取り出すことができる。
【符号の説明】
【0060】
1 ガス滅菌装置
2 扉
3 滅菌室
8 制御器(制御手段)
10 扉開閉機構
11 開閉操作体
12 電動ロック手段
13 ロックセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被滅菌物を出し入れする開口部および前記開口部を密閉自在に開閉する扉を有する滅菌室と、前記扉の閉止状態の保持または保持解除を行う扉開閉機構と、前記滅菌室内の被滅菌物を滅菌ガスにより滅菌することにより滅菌作業を行う制御手段とを備えるガス滅菌装置において、
前記扉開閉機構は、閉止位置にて前記開口部に係合して前記扉の閉止状態の保持を行うとともに開放位置にて前記係合を解除する開閉操作体と、ロック位置にて前記係合をロックするとともに非ロック位置にて前記ロックを解除する電動ロック手段と、前記電動ロック手段がロック位置にあるのか否かを検出するロックセンサとを含んで構成され、
前記制御手段は、前記滅菌作業中に前記電動ロック手段をロック位置とするとともに、前記滅菌作業開始前および前記滅菌作業中に前記電動ロック手段を一時的に非ロック位置として前記ロックセンサにより前記電動ロック手段の作動を確認することを特徴とするガス滅菌装置。
【請求項2】
前記滅菌作業が、前記滅菌室内の加温および/または加湿を行う準備工程と、この準備工程後に行われ前記滅菌室内へ滅菌ガスを供給する滅菌工程とを含んで構成され、
前記制御手段は、前記滅菌作業中であって、滅菌工程前に前記電動ロック手段の作動の確認を行うことを特徴とする請求項1に記載のガス滅菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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