説明

ガス濃度測定装置

【課題】酸化剤ガスのガス濃度を測定する際の測定時間の短縮化を図る。
【解決手段】燃料電池1の出力信号に測定周波数fmおよび高周波数fhを合成した交流信号を印加するDC−DCコンバータ3と、燃料電池1の出力電流および出力電圧を検出する電流測定装置51および電圧センサ52と、DC−DCコンバータ3にて交流信号を印加した際の出力電流および出力電圧に基づいて、測定周波数fmに対応する内部インピーダンスZおよび高周波数に対応する高周波インピーダンスZhを算出するインピーダンス算出手段53と、内部インピーダンスZから酸化剤ガスのガス濃度の変化に応じて変化する特定インピーダンスZ´を算出する特定インピーダンス算出手段54aと、特定インピーダンスZ´の位相角θを算出する位相角算出手段54bと、特定インピーダンスZ´の位相角θに基づいて酸素濃度を算出するガス濃度算出手段54cと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の内部を流れる酸化剤ガスのガス濃度を測定するガス濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気エネルギを出力する燃料電池に適用され、燃料電池の内部を流れる酸化剤ガスのガス濃度(酸素濃度)等を測定する測定装置が知られている。
【0003】
この種の測定装置では、燃料電池に高周波から低周波までの幅広いレンジの交流電流を印加して、各周波数における燃料電池の内部インピーダンスを交流インピーダンス法によって算出し、当該内部インピーダンスから燃料電池の等価回路の回路定数を推定することで、燃料電池の等価回路から酸化剤ガスのガス濃度を測定するものがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、燃料電池に印加する交流電流の周波数帯域を特定の帯域に限定することで、燃料電池の等価回路の回路定数を推定する推定時間の短縮を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−265894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、燃料電池に印加する交流電流の周波数帯域を特定の帯域に限定しているものの、等価回路の回路定数を推定する場合には、当該特定の帯域において多数の周波数毎に内部インピーダンスを測定する必要があるので、ガス濃度の測定に時間(例えば、数秒程度)がかかってしまう。この場合、例えば、数ミリ秒〜数十ミリ秒といった短時間で酸化剤ガスのガス濃度が変動する車両用の燃料電池システム等では、ガス濃度の測定を適切に行うことができないといった問題がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、燃料電池の内部を流れる酸化剤ガスのガス濃度を測定するガス濃度測定装置において、ガス濃度の測定時間の短縮化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、燃料電池の内部における酸化剤ガスのガス濃度と燃料電池の出力信号に所定の周波数を印加した際の燃料電池(1)の内部インピーダンスに含まれる特定のインピーダンス成分の位相角との間の相関関係を利用することで、長時間を要する燃料電池(1)の等価回路の回路定数を算出することなく、酸化剤ガスのガス濃度を算出する構成としている。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明では、酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する燃料電池(1)に適用され、燃料電池(1)の内部を流れる酸化剤ガスのガス濃度を測定するガス濃度測定装置であって、燃料電池(1)の出力信号に所定の測定周波数(fm)および測定周波数(fm)よりも高い周波数に設定された高周波数(fh)を合成した交流信号を印加する交流信号印加手段(3)と、燃料電池(1)の出力電流を検出する電流検出手段(51)と、燃料電池(1)の出力電圧を検出する電圧検出手段(52)と、交流信号印加手段(3)にて交流信号を印加した際の出力電流および出力電圧に基づいて、測定周波数(fm)に対応する内部インピーダンス(Z)および高周波数に対応する高周波インピーダンス(Zh)を算出するインピーダンス算出手段(53)と、内部インピーダンス(Z)から高周波インピーダンス(Zh)を減算することで、内部インピーダンス(Z)から酸化剤ガスのガス濃度の変化に応じて変化する特定インピーダンス(Z´)を算出する特定インピーダンス算出手段(54a)と、特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)を算出する位相角算出手段(54b)と、特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)に基づいて酸化剤ガスのガス濃度を算出するガス濃度算出手段(54c)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このように、酸化剤ガスのガス濃度および酸化剤ガスのガス濃度の変化に応じて変化する特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)との相関関係を利用して、酸化剤ガスのガス濃度の変化を測定する構成とすれば、燃料電池(1)の等価回路の回路定数を算出することなく、酸化剤ガスのガス濃度を短時間で算出可能となる。
【0010】
この結果、酸化剤ガスのガス濃度が短時間で変動する燃料電池システムに適用する場合であっても、酸化剤ガスのガス濃度を適切に測定することが可能となる。
【0011】
具体的には、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載のガス濃度測定装置において、測定周波数(fm)として、酸化剤ガスのガス濃度を予め基準ガス濃度とした条件において、交流信号印加手段(3)にて印加する周波数を高周波から低周波まで変化させた際に、内部インピーダンス(Z)の実数部および虚数部がなす半円状の軌跡の頂部(P)に達したときの周波数を設定することができる。
【0012】
ここで、燃料電池(1)の内部インピーダンスZ(特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ))は、酸化剤ガスのガス濃度の変化以外の要因によっても変化してしまうことがある。例えば、燃料電池(1)の負荷が大きい場合には、内部インピーダンス(Z)が増大して特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)が大きくなり、燃料電池(1)の負荷が小さい場合には、内部インピーダンス(Z)が減少して特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)が小さくなるといった傾向がある。すなわち、燃料電池(1)の負荷変動によって、特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)が変化してしまうことがある。
【0013】
そこで、請求項3に記載の発明では、燃料電池(1)の負荷を検出する負荷検出手段(53a)を備え、交流信号印加手段(3)は、燃料電池(1)の出力信号に、測定周波数(fm)、高周波数(fh)、および測定周波数(fm)と異なる複数の補正用周波数(fm1、fm2)を合成した交流信号を印加し、インピーダンス算出手段(53)は、負荷検出手段(53a)にて検出された負荷が所定の第1負荷基準値よりも大きい場合に、複数の補正用周波数(fm1、fm2)のうち測定周波数(fm)よりも低い補正用周波数におけるインピーダンスを内部インピーダンス(Z)として算出し、負荷検出手段(53a)にて検出された負荷が第1負荷基準値よりも低い値に設定された第2負荷基準値よりも小さい場合に、複数の補正用周波数(fm1、fm2)のうち測定周波数(fm)よりも高い補正用周波数におけるインピーダンスを内部インピーダンス(Z)として算出することを特徴とする。
【0014】
このように、燃料電池(1)の負荷変動に応じて、内部インピーダンス(Z)を算出する際の周波数を変更することで、燃料電池(1)の負荷変動による特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)の変化を補正することができる。この結果、酸化剤ガスのガス濃度をより適切に測定することが可能となる。
【0015】
上述の如く、燃料電池(1)の負荷変動によって特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)が変動することがあるが、本発明者らの検討によると、この特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)の変動は、燃料電池(1)の負荷変動に伴う内部インピーダンス(Z)に含まれる反応抵抗(R2)の変化が要因であることがわかっている。
【0016】
そこで、請求項4に記載の発明では、請求項1または2に記載のガス濃度測定装置において、電流検出手段(51)にて検出した出力電流から直流成分を抽出すると共に、予め直流成分と出力電圧との関係を関連付けた電流電圧特性に基づいて、内部インピーダンス(Z)に含まれる反応抵抗(R2)を算出する反応抵抗算出手段を備え、特定インピーダンス算出手段(54a)は、反応抵抗算出手段により算出された反応抵抗(R2)の影響を除去すると共に、内部インピーダンス(Z)から高周波インピーダンス(Zh)を減算することで、特定インピーダンス(Z´)を算出することを特徴とする。
【0017】
これによると、内部インピーダンス(Z)から燃料電池(1)の負荷変動によって変動する反応抵抗(R2)を除去するので、燃料電池(1)の負荷変動によって特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)が変動してしまうことを抑制することができる。この結果、酸化剤ガスのガス濃度をより適切に測定することが可能となる。
【0018】
具体的には、請求項5に記載の発明のように、請求項4に記載のガス濃度測定装置において、反応抵抗算出手段にて、直流成分が予め定められた閾値よりも大きい場合、直流成分の増加に伴って出力電圧が直線的に減少する電流電圧特性に基づいて反応抵抗(R2)を算出し、直流成分が閾値以下の場合、直流成分の増加に伴って出力電圧が指数関数的に減少する電流電圧特性に基づいて反応抵抗(R2)を算出する構成とすることができる。
【0019】
また、燃料電池(1)の温度(T)が低い場合には、内部インピーダンス(Z)が増大して特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)が大きくなるといった傾向がある。
【0020】
このため、請求項6に記載の発明では、請求項1または2に記載のガス濃度測定装置において、請求項1または2に記載のガス濃度測定装置において、燃料電池(1)の温度(T)を検出する温度検出手段(46)を備え、交流信号印加手段(3)は、燃料電池(1)の出力信号に、測定周波数(fm)、高周波数(fh)、および測定周波数(fm)よりも周波数が低い補正用周波数(fm3)を合成した交流信号を印加し、インピーダンス算出手段(53)は、温度検出手段(46)にて検出された温度(T)が所定の基準温度(To)よりも低い場合に、補正用周波数(fm3)におけるインピーダンスを内部インピーダンス(Z)として算出することを特徴とする。
【0021】
このように、燃料電池(1)の温度が低い場合には、内部インピーダンス(Z)を算出する際の周波数を低くすることで、燃料電池(1)の温度が低いことによる特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)の変化を補正することができる。この結果、酸化剤ガスのガス濃度をより適切に測定することが可能となる。
【0022】
具体的には、請求項7に記載の発明のように、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のガス濃度測定装置において、特定インピーダンス(Z´)の位相(θ)および酸化剤ガスのガス濃度を予め関連付けた制御特性を記憶する記憶手段(54d)を備え、ガス濃度算出手段(54c)では、記憶手段(54d)に記憶された制御特性を参照して、位相算出手段(54b)にて算出した特定インピーダンス(Z´)の位相(θ)に対応するガス濃度を算出するようにしてもよい。
【0023】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る燃料電池システムの全体構成図である。
【図2】第1実施形態に係る電池セルの模式図である。
【図3】第1実施形態に係るガス濃度測定装置の模式図である。
【図4】燃料電池のカソード側電極の等価回路を示す回路図である
【図5】図4の等価回路において、高周波から低周波までの交流信号を印加した場合の燃料電池の内部インピーダンスを複素平面上に示した特性図である。
【図6】セルに供給する空気のストイキ比を変化させた場合のCole−Coleプロット図である。
【図7】特定インピーダンスの位相角と酸素濃度との関係を示す特性図である。
【図8】第1実施形態の信号処理回路および演算装置にて行う制御処理を示すフローチャートである。
【図9】燃料電池の負荷が変動した場合のCole−Coleプロット図である。
【図10】燃料電池の温度が変動した場合のCole−Coleプロット図である。
【図11】燃料電池における出力電流と出力電圧との関係を示す電流電圧特性図である。
【図12】内部インピーダンスから反応抵抗の影響を除去する際の出力電流の変化を説明する説明図である。
【図13】燃料電池の負荷が変動した場合のCole−Coleプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図8に基づいて説明する。図1は、本実施形態のガス濃度測定装置50を適用した燃料電池システムの全体構成図であり、図2は、本実施形態の電池セルの模式図である。この燃料電池システムは、電気自動車の一種である、いわゆる燃料電池車両に適用されており、車両走行用電動モータ等の電気負荷に電力を供給するものである。
【0027】
まず、燃料電池システムは、図1に示すように、水素と酸素との電気化学反応を利用して電力を発生する燃料電池1を備えている。燃料電池1は、図示しない車両走行用電動モータや2次電池といった各種電気負荷2に供給される電気エネルギを出力するもので、本実施形態では、固体高分子電解質型燃料電池を採用している。
【0028】
より具体的には、燃料電池1は、基本単位となる電池セル10(以下、単にセル10と記載する。)が複数個、電気的に直列に接続されて構成されたものである。換言すれば、燃料電池1は、複数のセル10が積層配置されて構成されている。
【0029】
図2に示すように、各セル10は、固体高分子からなる電解質膜101aの両側面に一対の電極101b、101cが配置された膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)101と、この膜電極接合体101を狭持する一対のセパレータ102、103で構成されている。
【0030】
一対のセパレータ102、103は、カーボン材や導電性金属よりなる板状プレートからなり、アノード電極101bと対向する面に水素が流れる水素流路(図示略)が形成され、カソード電極101cと対向する面に空気が流れる空気流路(図示略)が形成されている。
【0031】
各セル10では、以下に示すように、水素と酸素とを電気化学反応させて、電気エネルギを出力する。
【0032】
(負極側:アノード電極)H→2H+2e
(正極側:カソード電極)2H+1/2O+2e→H
図1に戻り、燃料電池1と電気負荷2との間には、双方向に電力を伝達可能なDC−DCコンバータ3を介して電気的に接続されている。このDC−DCコンバータ3は、燃料電池1から電気負荷2、あるいは電気負荷2から燃料電池1への電力の流れを制御するものである。
【0033】
また、各セル10のうち、空気(酸化剤ガス)のガス濃度(以下、単に酸素濃度と記載する。)の測定対象となるセル10には、ガス濃度測定装置50が接続されている。このガス濃度測定装置50については後述する。
【0034】
燃料電池1のカソード電極101c側には、酸化剤ガスである空気(酸素)を燃料電池1に供給するための空気供給配管20、並びに、燃料電池1にて電気化学反応を終えた余剰空気および空気極で生成された生成水を燃料電池1から外気へ排出するための空気排出配管21が接続されている。
【0035】
空気供給配管20の最上流部には、大気中から吸入した空気を燃料電池1に圧送するための空気ポンプ22が設けられ、空気排出配管21には、燃料電池1内の空気の圧力を調整するための空気調圧弁23が設けられている。なお、本実施形態では、空気ポンプ22および空気調圧弁23によって、所定の流量および圧力の空気を燃料電池1に供給する酸化剤ガス側のガス供給手段が構成される。
【0036】
燃料電池1のアノード電極101b側には、燃料ガスである水素を燃料電池1に供給するための水素供給配管30、アノード側に溜まった生成水を微量な水素とともに燃料電池1から外気へ排出するための水素排出配管31が接続されている。
【0037】
水素供給配管30の最上流部には、高圧水素が充填された高圧水素タンク32が設けられ、水素供給配管30における高圧水素タンク32と燃料電池1との間には、燃料電池1に供給される水素の圧力を調整する水素調圧弁33が設けられている。なお、本実施形態では、この水素調圧弁33によって、所定の圧力の水素を燃料電池1に供給する燃料ガス側のガス供給手段が構成される。
【0038】
水素排出配管31には、生成水を微量な水素とともに外気へ排出するために所定の時間間隔で開閉する電磁弁34が設けられている。なお、上述の電気化学反応では、アノード電極101b側において生成水は発生しないものの、アノード電極101b側には、カソード電極101c側から各セル10の電解質膜101aを透過した生成水が溜まるおそれがある。このため、本実施形態では、水素排出配管31および電磁弁34を設けている。
【0039】
ところで、燃料電池1は発電効率確保のために運転中一定温度(例えば80℃程度)に維持する必要がある。このため、燃料電池1には、燃料電池1を冷却するための冷却水回路40が接続されている。この冷却水回路40には、燃料電池1に冷却水(熱媒体)を循環させるウォータポンプ41、電動ファン42を備えたラジエータ(放熱器)43が設けられている。
【0040】
さらに、冷却水回路40には、冷却水を、ラジエータ43を迂回するように流すバイパス流路44が設けられている。冷却水回路40とバイパス流路44との合流点には、バイパス流路44に流れる冷却水流量を調整するための流路切替弁45が設けられている。この流路切替弁45の弁開度が調整されることによって、冷却水回路40の冷却能力が調整される。
【0041】
また、冷却水回路40の燃料電池1の出口側付近には、燃料電池1から流出した冷却水の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ46が設けられている。この温度センサ46により冷却水温度を検出することで、燃料電池1の温度を間接的に検出することができる。なお、この温度センサ46の検出信号は、後述する制御装置60に入力される。
【0042】
燃料電池システムには、各種制御を行う発電制御手段としての制御装置(ECU)60が設けられている。この制御装置60は、入力信号に基づいて、燃料電池システムを構成する各種電気式アクチュエータの作動を制御するもので、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成されている。
【0043】
具体的には、制御装置60の入力側には、ガス濃度測定装置50、温度センサ46の検出信号等以外に、車室内に設けられた車両起動スイッチ60aの操作信号等が入力される。なお、車両起動スイッチ60aは、空気ポンプ22、空気調圧弁23、水素調圧弁33等の作動開始信号を出力する開始信号出力手段の機能を兼ねる。
【0044】
一方、出力側には、上述の空気ポンプ22、空気調圧弁23、水素調圧弁33、電磁弁34、ウォータポンプ41、流路切替弁45等の各種電気式アクチュエータ等が接続されている。
【0045】
次に、本実施形態のガス濃度測定装置50について図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態のガス濃度測定装置50の模式図である。本実施形態のガス濃度測定装置50は、測定対象となるセル10(測定対象セル)における空気出口部(図2参照)付近の酸素濃度を測定するもので、図3に示すように、電流測定装置51、電圧センサ52、上述のDC−DCコンバータ3、信号処理回路53、演算装置54を備えて構成されている。
【0046】
電流測定装置51は、セル面内の局所電流を検出する局所電流測定装置であって、酸素濃度を測定するセル10における空気出口部付近から出力される出力電流を検出する電流検出手段を構成している。
【0047】
本実施形態の電流測定装置51は、測定対象となるセル10に隣接して配置された板状部材を備え、当該セル10を流れる局所電流を検出可能に構成されている。電流測定装置51としては、例えば、板状部材におけるセル10における測定対象部位に対応する局所部位に溝部を形成し、当該溝部に電流センサを配置して構成することができる。なお、電流センサは、シャント抵抗、ホールIC等を利用した周知のセンサを用いることができる。
【0048】
電圧センサ52は、セル10から出力される出力電圧(空気出口部付近の一対の電極101b、101c間の電位差)を検出する電圧検出手段である。
【0049】
電流測定装置51および電圧センサ52それぞれは、信号処理回路53に接続されており、電流測定装置51および電圧センサ52の各検出信号が信号処理回路53に出力されるように構成されている。
【0050】
DC−DCコンバータ3は、上述のように、電気負荷2および燃料電池1の双方向に電力を伝達可能なものであり、本実施形態では、セル10の出力信号に任意の周波数で、正弦波等の交流信号(交流電流)を印加する交流信号印加手段を構成している。なお、本実施形態のDC−DCコンバータ3は、異なる複数の周波数を合成した交流信号を燃料電池1の出力信号に印加可能に構成されている。
【0051】
信号処理回路53は、DC−DCコンバータ3にて任意の周波数の交流信号(交流電流)が印加された際の電流測定装置51および電圧センサ52から出力される各検出信号に基づいて、セル10の内部インピーダンスZを算出するインピーダンス算出手段を構成している。
【0052】
信号処理回路53は、演算装置54に接続されており、信号処理回路53にて算出した内部インピーダンスZの算出結果が演算装置54に出力されるように構成されている。
【0053】
さらに、本実施形態の信号処理回路53は、異なる複数の周波数の交流信号(交流電流)が印加された場合に、高速フーリエ変換処理等によって、交流信号に含まれる直流成分(直流電流)および各周波数に対応する交流成分を抽出可能に構成されている。
【0054】
ここで、交流信号に含まれる直流成分(直流電流)は、燃料電池1の負荷変動に相関関係があるので、信号処理回路53にて交流信号に含まれる直流成分を抽出することで、間接的に燃料電池1の負荷変動を検出することができる。なお、信号処理回路53における交流信号に含まれる直流成分を抽出する構成(ハードウェア、ソフトウェア)を負荷検出手段53aとする。
【0055】
演算装置54は、各種入力信号に基づいて各種演算処理を実行するもので、CPU、およびROM、RAMといった記憶部(記憶手段)54d等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路により構成されている。例えば、本実施形態の演算装置54は、内部インピーダンスZのうち、セル10内の酸素濃度の変化に応じて変化する特定インピーダンスZ´を算出する算出処理、当該特定インピーダンスZ´の位相角θを算出する算出処理、および特定インピーダンスZ´の位相角θからセル10内の酸素濃度を算出する算出処理を行う。なお、演算装置54にて算出する特定インピーダンスZ´は、内部インピーダンスZから電解質膜101aの膜抵抗の影響を除去したインピーダンスである。
【0056】
本実施形態では、演算装置54における特定インピーダンスZ´を算出する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)を特定インピーダンス算出手段54a、特定インピーダンスZ´の位相角を算出する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)を位相角算出手段54b、セル10内の酸素濃度を算出する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)をガス濃度算出手段54cとする。
【0057】
ここで、セル10の交流インピーダンスZに含まれる特定インピーダンスZ´の位相角θに基づいてセル10内の酸素濃度を算出する算出方法について、図4〜図7に基づいて説明する。
【0058】
図4は、燃料電池1のカソード側電極101cの等価回路を示す回路図である。図4の等価回路におけるR1は、電解質膜101aの膜抵抗、R2は反応抵抗、R3はカソード側過電圧、Cdは電気二重層(コンデンサ成分)に相当している。
【0059】
図5は、図4に示す等価回路において、高周波から低周波までの交流信号(交流電流)を印加した場合の燃料電池の内部インピーダンスZを複素平面上に示した特性図(Cole−Coleプロット図)である。
【0060】
図5に示すように、セル10に印加する交流信号の周波数が無限に大きい場合(f=∞)の内部インピーダンスZ∞は、電解質膜101aの膜抵抗R1となる。一方、セル10に印加する交流信号の周波数が非常に小さい場合(f≒0)の内部インピーダンスZoは、膜抵抗R1、反応抵抗R2、カソード側過電圧R3の合算(R1+R2+R3)となる。なお、高周波から低周波まで周波数を変化させたときの内部インピーダンスZは、図5に示すように、反応抵抗R2、カソード側過電圧R3の合算値を直径とした半円状の軌跡となる。
【0061】
ところで、燃料電池1は、セル10内の酸素濃度が低下すると、反応抵抗R2およびカソード側過電圧R3が増大する。このため、セル10内の酸素濃度が低下すると、Cole−Coleプロット図における半円状の軌跡の直径(R2+R3)が大きくなる。なお、内部インピーダンスZの実数部から電解質膜101aの膜抵抗R1を減算したインピーダンスが、内部インピーダンスZにおける酸素濃度の変化に応じて変化する特定インピーダンスZ´となる。
【0062】
図6は、セル10に供給する空気のストイキ比Stを変化させた場合のCole−Coleプロット図を示している。ここで、空気の「ストイキ比St」とは、燃料電池1に所定値の電流を流す際に必要となる空気の理論供給量と実際の空気の供給量との比を意味する。ストイキ比Stが小さい場合には、セル10内の酸素濃度が低く、ストイキ比Stが大きい場合には、セル10内の酸素濃度が高くなるといった関係がある。なお、図6では、空気のストイキ比Stが1.0の場合の内部インピーダンスZを黒丸、空気のストイキ比Stが1.2の場合の内部インピーダンスZを黒四角、空気のストイキ比Stが1.4の場合の内部インピーダンスZを黒三角、空気のストイキ比Stが1.8の場合の内部インピーダンスZをバツ印で示している。
【0063】
図6に示すように、空気のストイキ比Stが小さい場合には、セル10内の酸素濃度が低下し、空気のストイキ比Stが大きい場合に比べて、反応抵抗R2およびカソード側過電圧R3が増大する。このため、セル10内の酸素濃度の低下に伴って、Cole−Coleプロット図における半円状の軌跡の直径(R2+R3)が相似的に大きくなる。
【0064】
そして、所定の測定周波数fmの交流信号を印加した場合の内部インピーダンスZは、空気のストイキ比Stが小さい場合に、ストイキ比Stが大きい場合に比べて、内部インピーダンスZの虚数部(リアクタンス成分)が増大する。
【0065】
例えば、ストイキ比Stが1.4の場合に、Cole−Coleプロット図における半円状の軌跡の頂部(虚数部のピーク値P)に達する周波数を測定周波数fm(20Hz)とすると、当該測定周波数fmにおける内部インピーダンスZは、図6の白丸および各白丸を結ぶ一点鎖線で示すように、ストイキ比Stが小さくなるほど内部インピーダンスZの虚数部が増大する。なお、このような関係は、ストイキ比Stが1.1の場合に、Cole−Coleプロット図における半円状の軌跡の頂部(虚数部のピークP)に達する周波数を測定周波数fm(5Hz)としても同様の関係となる(図6の白三角および各白三角を結ぶ一点鎖線参照)。
【0066】
ここで、特定インピーダンスZ´の位相角θは、図6に示すように、Cole−Coleプロット図において、セル10に印加する交流信号の周波数が無限に大きい場合(f=∞)の内部インピーダンスZ∞と、測定周波数の交流信号を印加した際の内部インピーダンスZmとを結ぶ仮想線Lと実軸とのなす角度(鋭角)に相当している。
【0067】
この特定インピーダンスZ´の位相角θは、図7の特定インピーダンスZ´の位相角θとストイキ比Stとの関係を示す特性図に示すように、ストイキ比Stが小さくなるほど大きくなる。つまり、特定インピーダンスZ´の位相角θとセル10内の酸素濃度との間には、セル10内の酸素濃度の低下に伴って、特定インピーダンスZ´の位相角θが増大する(位相が遅れる)といった相関関係がある。
【0068】
このような特定インピーダンスZ´の位相角θとセル10内の酸素濃度の相関関係を利用すれば、特定インピーダンスZ´の位相角θを算出することで、セル10内の酸素濃度を算出することが可能となる。
【0069】
上記構成に係る本実施形態のガス濃度測定装置50でのセル10内の酸素濃度を測定する際の作動を、図8のフローチャートにより説明する。図8に示す制御フローは、車両起動スイッチ60aが投入(ON)されて、燃料電池1の発電状態となるとスタートする。なお、図8では、信号処理回路53および演算装置54にて行う処理を1つのフローチャートで示している。
【0070】
車両が起動すると、フラグ、タイマ等の初期化処理がなされる(S10)。そして、DC−DCコンバータ3から燃料電池1に所定の交流信号を印加する(S20)。DC−DCコンバータ3では、予め設定された測定周波数fm、および当該測定周波数fmよりも高い周波数に設定された高周波数fhを合成した交流信号を印加する。
【0071】
具体的には、測定周波数fmとしては、セル10内の酸素濃度を予め設定された基準ガス濃度(例えば、ストイキ比=1.4としたときのセル内の酸素濃度)とした条件で、印加する周波数を高周波から低周波まで変化させた際に、Cole−Coleプロット図における半円状の軌跡の頂部(虚数部のピーク値P)に達したときの周波数を設定することができる。また、高周波数fhとしては、印加する周波数を低周波から高周波まで変化させた際に、内部インピーダンスZの虚数部が「0」付近に収束したときの周波数を設定することができる。
【0072】
次に、信号処理回路53および演算装置54に出力される各種信号を読み込む。具体的には、電流測定装置51および電圧センサ52にて検出したセル10の出力電流および出力電圧を読み込む(S30)。
【0073】
次に、S30にて検出した出力電流および出力電圧における測定周波数fmに対応する交流成分を抽出し、抽出した交流成分に基づいて、燃料電池1の内部インピーダンスZを算出する(S40)。
【0074】
また、S30にて検出した出力電流および出力電圧における高周波数fhに対応する交流成分を抽出し、抽出した交流成分に基づいて、燃料電池1の高周波インピーダンスZhを算出する(S50)。なお、本実施形態の高周波インピーダンスZhは、セル10に印加する交流信号の周波数が無限に大きい場合(f=∞)の内部インピーダンスZに相当する。
【0075】
次に、S40で算出した燃料電池1の内部インピーダンスZからS50で算出した高周波インピーダンスZhを減算することで、セル10内の酸素濃度の変化に応じて変化する特定インピーダンスZ´を算出する(S60)。具体的には、内部インピーダンスZの実数部から高周波インピーダンスZhの実数部を減算し、内部インピーダンスZから電解質膜101aの膜抵抗R1の影響を除去することで、特定インピーダンスZ´を算出する。
【0076】
次に、S60にて算出した特定インピーダンスZ´の位相角θを算出する(S70)。具体的には、この位相角θは、特定インピーダンスZ´の実数部をZre´、虚数部をZim´としたときに次に示す数式F1を用いて算出することができる。
【0077】
θ=arctan(Zim´/Zre´) ・・・ F1
次に、S70にて算出した特定インピーダンスZ´の位相角θに基づいて、セル10の空気出口部の酸素濃度を算出する(S80)。セル10の空気出口部における酸素濃度の算出処理では、特定インピーダンスZ´の位相角θとセル10の空気出口部における酸素濃度との相関関係を予め関連付けた制御特性(制御マップ)を記憶部54dに記憶し、当該制御特性を参照することで、算出することができる。
【0078】
以上説明した本実施形態では、所定の測定周波数fmにおける内部インピーダンスZのうち、セル10内の酸素濃度の変化に応じて変化する特定インピーダンスZ´の位相角θを利用して、セル10の空気出口部における酸素濃度の変化を測定する構成としている。このため、従来の如く、長時間を要する燃料電池1の等価回路における回路定数の算出処理を行うことなく、セル10の空気出口部における酸素濃度を短時間で算出可能となる。
【0079】
この結果、本実施形態のガス濃度測定装置をセル10の空気出口部における酸素濃度が短時間で変動する車両用の燃料電池システムに適用したとしても、セル10の空気出口部における酸素濃度を適切に測定することができる。
【0080】
さらに、本実施形態では、測定周波数fmおよび高周波数fhを合成した交流信号を印加する構成であるため、測定周波数fmおよび高周波数fhの交流信号を別個に印加する構成に比べて、セル10の空気出口部における酸素濃度を短時間で算出可能となる。
【0081】
なお、酸素濃度の測定では、酸素濃度8%程度までの低い濃度側にて測定精度が出るので、この測定精度を出すにはセル10の全体の空気出口部のトータル面積の10%程度の領域で酸素濃度を測定することが望ましい。
【0082】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図9に基づいて説明する。ここで、図9は、燃料電池1の負荷が変動した場合のCole−Coleプロット図である。なお、図9では、燃料電池1の負荷が変動した場合に、測定周波数fmに対応する内部インピーダンスZの変化を黒丸で示し、後述する第1の補正用周波数fm1に対応する内部インピーダンスZの変化を黒四角で示し、後述する第2の補正用周波数fm2に対応する内部インピーダンスZの変化を黒三角で示している。
【0083】
燃料電池システムでは、電気負荷2からの要求電力量に応じて、燃料電池1の負荷(発電量)が変動するが、この燃料電池1の負荷が変動によって、特定インピーダンスZ´の位相角θが変動してしまうことがある。このため、燃料電池1の負荷変動が、ガス濃度測定装置50の酸素濃度の測定精度に影響する可能性がある。
【0084】
例えば、測定周波数fmの交流信号を燃料電池1に印加したときに、図9に示すように、燃料電池1の負荷が通常よりも高くなると、燃料電池1の内部インピーダンスZが増大して、特定インピーダンスZ´の位相角がθ2からθ3へと大きくなる。一方、燃料電池1の負荷が通常よりも低くなると、燃料電池1の内部インピーダンスZが減少して、特定インピーダンスZ´の位相角がθ2からθ1へと小さくなる。
【0085】
そこで、本実施形態では、燃料電池1の負荷変動に応じて、燃料電池1の内部インピーダンスZを測定する際の周波数を変更することで、燃料電池1の負荷変動による酸素濃度の測定精度への影響を抑制する構成としている。
【0086】
具体的には、本実施形態では、まず、測定周波数fmおよび高周波数fhに加えて、測定周波数fmと異なる複数の補正用周波数fm1、fm2を合成した交流信号を燃料電池1に印加する。この補正用周波数fm1、fm2としては、例えば、測定周波数(例えば20Hz)よりも高い周波数(例えば30Hz)を第1の補正用周波数fm1とし、測定周波数(例えば20Hz)よりも低い周波数(例えば5Hz)を第2の補正用周波数fm2とすることができる(fm2<fm<fm1)。
【0087】
次に、燃料電池1の負荷変動を信号処理回路53における負荷検出手段53aにて検出する。なお、燃料電池1の負荷変動は、電流測定装置51にて検出する出力電流に含まれる直流成分に限らず、例えば、燃料電池1への要求電力量にも相関関係があるので、当該要求電力量から間接的に燃料電池1の負荷変動を検出してもよい。
【0088】
そして、燃料電池1の負荷が予め設定された第1負荷基準値よりも大きい場合には、燃料電池1の負荷の増大によって特定インピーダンスZ´の位相角θが大きくなっていると判断できるので、測定周波数fmよりも低い第2の補正用周波数fm2に対応するインピーダンスZを燃料電池1の内部インピーダンスZとして算出する。
【0089】
この場合、第2の補正用周波数fm2における内部インピーダンスZ(図9の負荷が大きい場合の軌跡における黒三角参照)から算出した特定インピーダンスZ´の位相角θは、測定周波数fmにおける内部インピーダンスZ(図9の負荷が大きい場合の軌跡における黒丸参照)から算出した特定インピーダンスZ´の位相角θよりも小さくなる。
【0090】
このため、測定周波数fmよりも低い第2の補正用周波数fm2で燃料電池1の内部インピーダンスZを算出することで、燃料電池1の負荷変動によって増加した特定インピーダンスZ´の位相角θを小さくする補正を行うことができる。
【0091】
一方、燃料電池1の負荷が予め第1負荷基準値よりも低く値に設定された第2負荷基準値よりも小さい場合には、燃料電池1の負荷の減少によって特定インピーダンスZ´の位相角θが小さくなっていると判断できるので、測定周波数fmよりも高い第1の補正用周波数fm1に対応するインピーダンスZを燃料電池1の内部インピーダンスZとして算出する。
【0092】
この場合、第1の補正用周波数fm1における内部インピーダンスZ(図9の負荷が小さい場合の軌跡における黒四角参照)から算出した特定インピーダンスZ´の位相角θは、測定周波数fmにおける内部インピーダンスZ(図9の負荷が小さい場合の軌跡における黒丸参照)から算出した特定インピーダンスZ´の位相角θよりも大きくなる。
【0093】
このため、測定周波数fmよりも高い第1の補正用周波数fm1で燃料電池1の内部インピーダンスZを算出することで、燃料電池1の負荷変動によって減少した特定インピーダンスZ´の位相角θを大きくする補正を行うことができる。
【0094】
このように本実施形態では、燃料電池1の負荷変動に応じて、内部インピーダンスZを算出する際の周波数を変更する構成としているので、燃料電池1の負荷変動の影響で増減する特定インピーダンスZ´の位相角θを補正することができる。この結果、酸素濃度をより適切に測定することが可能となる。
【0095】
なお、本実施形態では、測定周波数fm、高周波数fh、および2つの補正用周波数fm1、fm2を合成した交流信号を燃料電池1に印加しているが、測定周波数fm、高周波数fh、および3つ以上の補正用周波数を合成した交流信号を燃料電池1に印加するようにしてもよい。この場合、燃料電池1の負荷レベルを複数の段階に分けて、負荷が高いレベルになるほど、低い周波数の補正用周波数にて内部インピーダンスZを算出し、負荷が低いレベルになるほど、高い周波数の補正用周波数にて内部インピーダンスZを算出するようにすればよい。
【0096】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図10に基づいて説明する。ここで、図10は、燃料電池1の温度が低下した場合の特定インピーダンスZ´の位相θの変化を示す特性図である。なお、図10では、燃料電池1の温度が低温状態から適温状態へと変化した場合に、測定周波数fmに対応する内部インピーダンスZの変化を黒丸で示し、後述する第3の補正用周波数fm3に対応する内部インピーダンスZの変化を黒四角で示している。
【0097】
燃料電池システムでは、燃料電池1の発電開始の初期段階では、通常、燃料電池1の温度が低い低温状態となるが、この燃料電池1の温度が低温状態では、高温状態に比べて、特定インピーダンスZ´が増大してしまう。このため、燃料電池1の低温状態において、ガス濃度測定装置50にて酸素濃度を測定すると、燃料電池1の温度の影響によって、測定精度が低下する可能性がある。
【0098】
例えば、測定周波数fmの交流信号を燃料電池1に印加したときに、図10に示すように、燃料電池1の温度が適温よりも低い場合には、燃料電池1の内部インピーダンスZが増大して、特定インピーダンスZ´の位相角がθ3からθ4へと大きくなる。
【0099】
そこで、本実施形態では、燃料電池1の温度に応じて、燃料電池1の内部インピーダンスZを測定する際の周波数を変更することで、燃料電池1の温度変化による酸素濃度の測定精度への影響を抑制する構成としている。
【0100】
具体的には、本実施形態では、測定周波数fmおよび高周波数fhに加えて、測定周波数fmと異なる補正用周波数fm3を合成した交流信号を燃料電池1に印加する。この補正用周波数fm3としては、例えば、測定周波数(例えば20Hz)よりも低い周波数(例えば10Hz)を第3の補正用周波数fm3とすることができる(fm3<fm)。
【0101】
次に、燃料電池1の温度を温度センサ46にて検出し、検出した燃料電池1の温度が予め設定された基準温度Toより低い場合には、特定インピーダンスZ´の位相角θが大きくなっていると判断できるので、測定周波数fmよりも低い第3の補正用周波数fm3に対応するインピーダンスZを燃料電池1の内部インピーダンスZとして算出する。
【0102】
この場合、第3の補正用周波数fm3における内部インピーダンスZ(図10の温度が低い場合の軌跡における黒四角参照)から算出した特定インピーダンスZ´の位相角θは、測定周波数fmにおける内部インピーダンスZ(図10の温度が低い場合の軌跡における黒丸参照)から算出した特定インピーダンスZ´の位相角θよりも小さくなる。つまり、測定周波数fmよりも低い第3の補正用周波数fm3で燃料電池1の内部インピーダンスZを算出することで、燃料電池1の温度によって増加した特定インピーダンスZ´の位相角θを小さくする補正を行うことができる。
【0103】
このように本実施形態では、燃料電池1の温度に応じて、内部インピーダンスZを算出する際の周波数を変更する構成としているので、燃料電池1の温度によって増減する特定インピーダンスZ´の位相角θを補正することができる。この結果、酸素濃度をより適切に測定することが可能となる。
【0104】
なお、本実施形態では、測定周波数fm、高周波数fh、および1つの補正用周波数fm3を合成した交流信号を燃料電池1に印加しているが、測定周波数fm、高周波数fh、および2つ以上の補正用周波数を合成した交流信号を燃料電池1に印加するようにしてもよい。この場合、燃料電池1の低温域を複数の段階に分けて、温度が小さい低温域になるほど、低い周波数の補正用周波数にて内部インピーダンスZを算出するようにすればよい。
【0105】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図11〜図13に基づいて説明する。
【0106】
上述の第2実施形態では、燃料電池1の負荷変動によって特定インピーダンスZ´の位相角θが変動することを説明したが、本発明者らが検証したところ、この特定インピーダンスZ´の位相角θの変動は、燃料電池1の負荷変動に伴う内部インピーダンスZに含まれる反応抵抗R2の変化が要因であることがわかっている。
【0107】
本実施形態では、信号処理回路53および演算装置54にて、内部インピーダンスZに含まれる反応抵抗R2を算出し、内部インピーダンスZから反応抵抗R2の成分を除去する補正を行うことで、燃料電池1の負荷変動による酸素濃度の測定精度への影響を抑制する構成としている。
【0108】
信号処理回路53および演算装置54にて行う内部インピーダンスZに含まれる反応抵抗R2を算出手法について説明する。まず、DC−DCコンバータ3から燃料電池1に測定周波数fmおよび高周波数fhを合成した交流信号を印加した後、電流測定装置51にてセル10の出力電流を検出する。
【0109】
その後、信号処理回路53にて電流測定装置51で検出したセル10の出力電流から直流成分を抽出する。そして、信号処理回路53にて抽出した直流成分、および予め当該直流成分と出力電圧との関係を関連付けた電流電圧特性に基づいて、反応抵抗R2を算出する。
【0110】
ここで、図11は、燃料電池1における出力電流(電流密度)と出力電圧との関係を示す電流電圧特性図(IV特性図)である。図11に示すように、燃料電池1における出力電流(電流密度)と出力電圧との関係は、電流密度が基準電流密度以下となる領域(以降、ターフェル領域と称する。)において、電流密度の増加に伴って出力電圧が指数関数的に減少する傾向がある。また、電流密度が基準電流密度より大きくなる領域(以降、線形領域と称する。)において、電流密度の増加に伴って線形的に減少する傾向がある。
【0111】
このような傾向を示す電流電圧特性は、ターフェル領域を周知のバトラーボルマーの式を基礎とする数式(第1の数式)により定義することができ、線形領域を予め出力電流(電流密度)と出力電圧との比例関係を関連付けた数式(第2の数式)により定義することができる。なお、本実施形態では、上述の第1の数式および第2の数式により「電流電圧特性」が定義される。
【0112】
このように、燃料電池1の電流電圧特性は、基準電流密度を境に異なる傾向を示す。このため、反応抵抗R2を算出する際には、基準電流密度を閾値として設定して、信号処理回路53にて抽出した直流成分が当該閾値以下であるか否かを判定する。
【0113】
この結果、直流成分が閾値以下と判定された場合には、直流成分の増加に伴って出力電圧が指数関数的に減少する電流電圧特性に相当する第1の数式(バトラーボルマーを基礎とする数式)に基づいて、セル10の交換電流密度ioを算出し、この交換電流密度ioから反応抵抗R2を算出する。なお、交換電流密度ioは、反応抵抗R2と逆数の関係にあるため、交換電流密度ioを算出することで反応抵抗R2を算出することができる。
【0114】
一方、信号処理回路53にて抽出した直流成分が当該閾値より大きい場合には、直流成分の増加に伴って出力電圧が直線的に減少する電流電圧特性に相当する第2の数式(線形式)に基づいて、セル10の交換電流密度ioを算出し、この交換電流密度ioから反応抵抗R2を算出する。
【0115】
なお、信号処理回路53および演算装置54における内部インピーダンスZに含まれる反応抵抗R2を算出するためのソフトウェアおよびハードウェアが反応抵抗算出手段を構成する。
【0116】
次に、信号処理回路53および演算装置54にて行う内部インピーダンスZから反応抵抗R2の影響を除去する補正について図12、図13に基づいて説明する。図12は、内部インピーダンスZから反応抵抗R2の影響を除去する際の出力電流の変化を説明する説明図であり、図12の(a)が反応抵抗R2の影響を除去する前の出力電流を示し、反応抵抗R2の影響を除去した後の出力電流を示している。
【0117】
まず、信号処理回路53にて電流測定装置51で検出したセル10の出力電流から測定周波数fmに対応する交流成分を抽出する。そして、信号処理回路53にて抽出した交流成分、および内部インピーダンスZに含まれる反応抵抗R2により、反応抵抗R2の影響を交流電流に置き換えた関数H(t)を生成する。
【0118】
その後、信号処理回路53にて電流測定装置51で検出したセル10の出力電流のデータ(I=H(t)・F(t))に反応抵抗R2の影響を示す関数H(t)を畳み込み積分することで、図12に示す反応抵抗R2の影響を除去した出力電流(I=F(t))を得る。
【0119】
このようにして得られた出力電流(I=F(t))および燃料電池1の出力電圧を信号処理回路53にて高速フーリエ変換処理(FFT)を行うことで、測定周波数における内部インピーダンスZから反応抵抗R2の影響を除去したインピーダンスを得る。
【0120】
そして、内部インピーダンスZから反応抵抗R2の影響を除去したインピーダンスから高周波インピーダンスZhを減算することで、セル10内の酸素の濃度変化に応じて変化する特定インピーダンスZ´を算出する。
【0121】
ここで、図13は、燃料電池1の負荷が変動した場合のCole−Coleプロット図であり、図13の(a)が内部インピーダンスZから反応抵抗R2の影響を除去する前のCole−Coleプロット図を示し、図13の(b)が内部インピーダンスZから反応抵抗R2の影響を除去した後のCole−Coleプロット図を示している。
【0122】
図13(a)に示すように、内部インピーダンスZから反応抵抗R2の影響を除去する前は、燃料電池1の負荷に応じて、特定インピーダンスZ´の位相角θが変動する。これに対して、図13(b)に示すように、内部インピーダンスZから反応抵抗R2の影響を除去した後は、燃料電池1の負荷によらず、特定インピーダンスZ´の位相角θが略一定となる。
【0123】
以上説明した本実施形態によれば、内部インピーダンスZから燃料電池1の負荷変動によって変動する反応抵抗(R2)を除去するので、燃料電池(1)の負荷変動によって特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)が変動してしまうことを抑制することができる。この結果、酸化剤ガスのガス濃度をより適切に測定することが可能となる。
【0124】
ところで、燃料電池1は、発電を繰り返すことで電極101b、101c内の触媒が経時劣化することで、徐々に内部インピーダンスZが増大することがあるが、当該触媒の経時劣化は、反応抵抗R2に相関関係を有することがわかっている。
【0125】
そこで、本実施形態では、反応抵抗R2を算出する度に当該反応抵抗R2の抵抗値を記憶し、記憶した反応抵抗R2の変化(出力電圧の変化)によって燃料電池1の電極101b、101cにおける触媒の劣化度合いを判定する。これにより、当該触媒の劣化度合いの判定に応じて、内部インピーダンスZに当該触媒の劣化による酸素濃度の測定精度への影響を抑制することが可能となる。
【0126】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0127】
(1)上述の各実施形態では、特定インピーダンスZ´の位相角θから酸素濃度を算出する際に、制御特性(制御マップ)を参照しているが、これに限らず、特定インピーダンスZ´の位相角θとセル10の空気出口部における酸素濃度との相関関係を規定する数式を導出し、導出した数式を用いて酸素濃度を算出するようにしてもよい。
【0128】
(2)上述の各実施形態では、DC−DCコンバータ3にて燃料電池1の出力信号に交流信号を印加する交流信号印加手段を構成しているが、これに限らず、DC−DCコンバータ3とは別体の発振回路等にて交流信号印加手段を構成してもよい。
【0129】
(3)上述の各実施形態では、測定周波数fmとして、予め基準ガス濃度とした条件で、印加する周波数を高周波から低周波まで変化させた際に、Cole−Coleプロット図における半円状の軌跡の頂部に達したときの周波数を設定する構成としているが、これに限定されない。測定周波数fmとしては、印加した際に特定インピーダンスZ´の位相角θが酸素濃度の変化によって変動する周波数であれば任意の周波数に設定してもよい。
【0130】
(4)上述の各実施形態では、燃料電池システムの制御装置60とガス濃度測定装置50の演算装置54を別体で構成したが、制御装置60に演算装置54としての機能を追加することで、制御装置60と演算装置54とを一体化してもよい。
【0131】
(5)上述の第2実施形態で説明した燃料電池1の負荷変動に応じて特定インピーダンスZ´の位相角θの補正と、第3実施形態で説明した燃料電池1の温度に応じて特定インピーダンスZ´の位相角θの補正とを組み合わせてもよい。例えば、燃料電池1の負荷変動が大きい場合に、第2実施形態で説明した特定インピーダンスZ´の位相角θの補正を行い、燃料電池1の負荷変動が小さい場合に、第3実施形態で説明した特定インピーダンスZ´の位相角θの補正を行うといったように、優先順位をつけることで、組み合わせることができる。
【0132】
(6)上述の第2、第3実施形態では、燃料電池1の負荷変動および燃料電池1の温度に応じて特定インピーダンスZ´の位相角θを補正する構成としている。これらとは別に、燃料電池1は、発電を繰り返すことで電極101b、101c内の触媒が経時的に劣化して、徐々に特定インピーダンスZ´が増大してしまうことがある。このため、燃料電池1の電極101b、101c内の触媒が経時的に劣化の影響でガス濃度測定装置50の測定精度が低くなる可能性がある。
【0133】
そこで、セル10内の酸素濃度、燃料電池1の負荷、温度等を予め設定した基準値とした条件で、燃料電池1の電極101b、101c内の触媒の経時劣化による特定インピーダンスZ´の位相角θと、触媒が経時劣化する前の特定インピーダンスZ´の位相角θとの変化量Δθを算出し、当該変化量Δθに基づいて、燃料電池1の電極101b、101c内の触媒の経時劣化による酸素濃度の測定精度への影響を抑制する構成としてもよい。
【0134】
(7)上記各実施形態では、本発明の燃料電池システムを電気自動車に適用した例を説明したが、これに限定されず、船舶及びポータブル発電器等の移動体に適用してもよい。
【符号の説明】
【0135】
1 燃料電池
3 DC−DCコンバータ(交流信号印加手段)
10 セル(電池セル)
46 温度センサ(温度検出手段)
50 ガス濃度測定装置
51 電流測定装置(電流検出手段)
52 電圧センサ(電圧検出手段)
53 信号処理回路(インピーダンス算出手段)
53a 負荷検出手段
54 演算装置
54a 特定インピーダンス算出手段
54b 位相角算出手段
54c ガス濃度算出手段
54d 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する燃料電池(1)に適用され、前記燃料電池(1)の内部を流れる前記酸化剤ガスのガス濃度を測定するガス濃度測定装置であって、
前記燃料電池(1)の出力信号に所定の測定周波数(fm)および前記測定周波数(fm)よりも高い周波数に設定された高周波数(fh)を合成した交流信号を印加する交流信号印加手段(3)と、
前記燃料電池(1)の出力電流を検出する電流検出手段(51)と、
前記燃料電池(1)の出力電圧を検出する電圧検出手段(52)と、
前記交流信号印加手段(3)にて前記交流信号を印加した際の前記出力電流および前記出力電圧に基づいて、前記測定周波数(fm)に対応する内部インピーダンス(Z)および前記高周波数に対応する高周波インピーダンス(Zh)を算出するインピーダンス算出手段(53)と、
前記内部インピーダンス(Z)から前記高周波インピーダンス(Zh)を減算することで、前記内部インピーダンス(Z)から前記酸化剤ガスのガス濃度の変化に応じて変化する特定インピーダンス(Z´)を算出する特定インピーダンス算出手段(54a)と、
前記特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)を算出する位相角算出手段(54b)と、
前記特定インピーダンス(Z´)の位相角(θ)に基づいて前記酸化剤ガスのガス濃度を算出するガス濃度算出手段(54c)と、
を備えることを特徴とするガス濃度測定装置。
【請求項2】
前記測定周波数(fm)は、前記酸化剤ガスのガス濃度を予め基準ガス濃度とした条件において、前記交流信号印加手段(3)にて印加する周波数を高周波から低周波まで変化させた際に、前記内部インピーダンス(Z)の実数部および虚数部がなす半円状の軌跡の頂部(P)に達したときの周波数を設定することを特徴とする請求項1に記載のガス濃度測定装置。
【請求項3】
前記燃料電池(1)の負荷を検出する負荷検出手段(53a)を備え、
前記交流信号印加手段(3)は、前記燃料電池(1)の出力信号に、前記測定周波数(fm)、前記高周波数(fh)、および前記測定周波数(fm)と異なる複数の補正用周波数(fm1、fm2)を合成した交流信号を印加し、
前記インピーダンス算出手段(53)は、
前記負荷検出手段(53a)にて検出された負荷が所定の第1負荷基準値よりも大きい場合に、前記複数の補正用周波数(fm1、fm2)のうち前記測定周波数(fm)よりも低い補正用周波数におけるインピーダンスを前記内部インピーダンス(Z)として算出し、
前記負荷検出手段(53a)にて検出された負荷が前記第1負荷基準値よりも低い値に設定された第2負荷基準値よりも小さい場合に、前記複数の補正用周波数(fm1、fm2)のうち前記測定周波数(fm)よりも高い補正用周波数におけるインピーダンスを前記内部インピーダンス(Z)として算出することを特徴とする請求項1または2に記載のガス濃度測定装置。
【請求項4】
前記電流検出手段(51)にて検出した出力電流から直流成分を抽出すると共に、予め前記直流成分と前記出力電圧との関係を関連付けた電流電圧特性に基づいて、前記内部インピーダンス(Z)に含まれる反応抵抗(R2)を算出する反応抵抗算出手段を備え、
前記特定インピーダンス算出手段(54a)は、前記反応抵抗算出手段により算出された前記反応抵抗(R2)の影響を除去すると共に、前記内部インピーダンス(Z)から前記高周波インピーダンス(Zh)を減算することで前記特定インピーダンス(Z´)を算出することを特徴とする請求項1または2に記載のガス濃度測定装置。
【請求項5】
前記反応抵抗算出手段は、
前記直流成分が予め定められた閾値よりも大きい場合、前記直流成分の増加に伴って前記出力電圧が直線的に減少する前記電流電圧特性に基づいて前記反応抵抗(R2)を算出し、
前記直流成分が前記閾値以下の場合、前記直流成分の増加に伴って前記出力電圧が指数関数的に減少する前記電流電圧特性に基づいて前記反応抵抗(R2)を算出することを特徴とする請求項4に記載のガス濃度測定装置。
【請求項6】
前記燃料電池(1)の温度(T)を検出する温度検出手段(46)を備え、
前記交流信号印加手段(3)は、前記燃料電池(1)の出力信号に、前記測定周波数(fm)、前記高周波数(fh)、および前記測定周波数(fm)よりも周波数が低い補正用周波数(fm3)を合成した交流信号を印加し、
前記インピーダンス算出手段(53)は、
前記温度検出手段(46)にて検出された温度(T)が所定の基準温度(To)よりも低い場合に、前記補正用周波数(fm3)におけるインピーダンスを前記内部インピーダンス(Z)として算出することを特徴とする請求項1または2に記載のガス濃度測定装置。
【請求項7】
前記特定インピーダンス(Z´)の位相(θ)および前記酸化剤ガスのガス濃度を予め関連付けた制御特性を記憶する記憶手段(54d)を備え、
前記ガス濃度算出手段(54c)は、前記記憶手段(54d)に記憶された前記制御特性を参照して、前記位相角算出手段(54b)にて算出した前記特定インピーダンス(Z´)の位相(θ)に対応するガス濃度を算出することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のガス濃度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−78339(P2012−78339A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87055(P2011−87055)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】