説明

ガス燃焼装置

【課題】温風暖房機10のガス供給路26を開閉する元及び先の電磁弁30,31が共に異常となった時、ガス燃焼を能率的に停止しつつ、サブトランス82のみによりスピーカ50及び表示パネル51からエラー報知する。
【解決手段】電磁弁30,31の正常作動時は、リレー71,72は、メイントランス81からの通電電流により導通状態に維持され、電磁弁30,31を全波整流器83の電力により通電している。マイコン61は、リレー71,72のアンサーから電磁弁30,31の異常を検知すると、リレー70を遮断状態とし、メイントランス81及び全波整流器83の作動を停止して、電磁弁30,31を閉弁させる。マイコン61は、その後、サブトランス82の出力電力によりスピーカ50及び表示パネル51を交互に作動させるか、又は先にスピーカ50を作動させ、その停止後に、表示パネル51を作動させ、音声及び視覚の両方で異常報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンヒータ等のガス燃焼装置に係り、詳しくはガス供給路を開閉する開閉弁についての異常報知機能を装備するガス燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温風暖房機(ファンヒータ)では、元電磁弁及び先電磁弁がバーナのガス供給路に配設され、どちらか一方の電磁弁の作動に異常が起きても、他方の電磁弁によりガス供給路を閉じることができるようになっている。万一、元電磁弁と先電磁弁との双方又は一方が異常状態になった時は、ブザー等により異常を報知する必要がある。
【0003】
特許文献1は、燃焼装置のガス供給路の電磁弁に異常が生じた時は、リモコンにおける発光色の異なる2つのフォトカプラを同期点滅させて、異常状態を知らせることを開示する(特許文献1の段落0036及び0055)。
【0004】
特許文献2は、給湯機に不着火及び途中失火等の異常が発生じた場合、発生直後に、エラーコードの視覚表示と具体的な異常状態について説明する音声報知とを実施するとともに(特許文献2の段落0016及び図2〜図4のS1,S2)、その後、使用者が運転指示スイッチを操作した時に、音声報知のみを再度、実施することを開示する(特許文献2の段落0016及び図2〜図4のS6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−226639号公報
【特許文献2】特開2000−283555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、電磁弁の異常が検出されたときには、異常報知を行う必要があり、その際には複数の報知手段(音声と表示等)を組み合わせて行うことが有効である。しかしながら、複数の報知手段を同時に作動させると、作動電力が増大し、異常報知中の消費電力が大きくなるという不都合がある。
【0007】
本発明の目的は、ガス供給路を開閉する開閉弁に異常が生じた時に複数の報知手段による異常報知を、消費電力を抑えて行うことができるガス燃焼装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のガス燃焼装置は、最大出力電力がそれぞれ大及び小の関係になっている大電力源及び小電力源と、異常状態を検出する異常状態検出部と、前記大電力源で駆動する負荷と、該負荷を駆動する負荷駆動手段と、各々の作動電力が前記小電力源の最大出力電力以下である複数の異常報知手段と、前記異常状態検出部が前記異常状態を検出したときは、前記負荷駆動手段による前記負荷の駆動を停止するとともに前記大電力源の作動を停止させ、その後、前記複数の異常報知手段の内、少なくとも2つ以上を選択して、該選択した異常報知手段のいずれか1つずつを作動させて、該異常報知手段による報知を実施する異常報知制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
第1発明によれば、異常検出時には、複数の異常報知手段から2つ以上を選択し、該選択した異常報知手段について、同時に作動する異常報知手段は1つに制限しつつ、順次に作動させて、選択した2以上の異常報知手段からの異常報知を行うことにより、多様な報知で認知性を高めることができるとともに、異常報知期間の各時点の消費電力を抑えることができる。
【0010】
第2発明のガス燃焼装置は、第1発明のガス燃焼装置において、該ガス燃焼装置は、バーナを備え、前記負荷は、前記バーナのガス供給路を開閉する開閉弁であり、前記負荷駆動手段は、該開閉弁を駆動する駆動回路であり、該駆動回路は、前記開閉弁が閉止する時間の経過後に、前記大電力源の作動停止を行うようにしたことを特徴とする。
【0011】
第2発明によれば、大電力源の作動停止は、異常状態検出後、直ちにではなく、大電力源の電力を使って該大電力源の負荷としての開閉弁を閉止してからとするので、小電力源は、開閉弁を閉止するのに要する消費電力の負担を免れて、最大出力電力を低下させることができる。
【0012】
第3発明のガス燃焼装置は、前記大電力源は、前記ガス燃焼装置が停止状態にあるときに作動停止となるとともに、前記小電力源により停止状態から作動状態へ切り替えられるものであることを特徴とする。
【0013】
第3発明によれば、異常報知の電力源としての小電力源は、大電力源が作動停止してガス燃焼装置が停止状態となっている期間のわずかの作動電力を賄う電力源を利用するので、ガス燃焼装置の正常停止期間の作動電力源として用意しているものをそのまま使用して、すなわち、最大出力電圧を増大することなく使用して、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】温風暖房機の構成図。
【図2】図1の制御ユニットの主要部とその制御対象とのブロック図。
【図3】電源と元電磁弁、先電磁弁及びマイコンとの関係を示す回路図。
【図4】元電磁弁及び先電磁弁の第1異常処理のフローチャート。
【図5】元電磁弁及び先電磁弁の第2異常処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、温風暖房機10は、バーナ11と、燃焼ファン12と、燃焼ファン12の作動によりハウジング20の背面の吸気口13から室内空気が燃焼用空気として取り込まれる第1ダクト14と、同じく燃焼ファン12の作動によりハウジング20の背面の吸気口15から室内空気が取り込まれ、バーナ11の燃焼排気と混合されてハウジング20の正面下部の送風口16から温風として外部に送風される第2ダクト17と、ハウジング20の上面に配設されている操作パネル18と、バーナ11の燃焼等を制御する制御ユニット19とを備えている。
【0016】
バーナ11は、第2ダクト17内に配設された燃焼胴25内に配設される。点火電極27及び熱電対28は第2ダクト17内に配設され、点火電極27は、火花放電して、バーナ11のガスの着火を行い、熱電対28はバーナ11の燃焼炎の有無を検出する。ガス供給路26は、ハウジング20の外に存在する上流端においてガスホース(図示せず)に接続され、ハウジング20内を延び、途中で第1ダクト14に合流し、バーナ11へ達している。
【0017】
元電磁弁30、先電磁弁31及び比例弁32は、上流側からその順番にガス供給路26に配設される。元電磁弁30及び先電磁弁31は、制御ユニット19により通電を制御され、通電中は開弁し、非通電中は閉弁する。比例弁32は、制御ユニット19からの駆動電流に応じた開度でガス供給路26を開く。
【0018】
燃焼ファン12は回転羽根35及びモータ36を備える。回転羽根35は、第2ダクト17内において燃焼胴25より下流側に配設され、モータ36により回転され、送風口16からの温風の流量を制御する。回転速度センサ37は、ホールIC等により構成されて、モータ36の出力軸の回転速度を検出する。
【0019】
フィルタ40は、吸気口13,15を覆うように、ハウジング20の背面に着脱自在に装着され、吸気口13,15への塵芥等の異物の侵入を防止する。室温センサ41は、第2ダクト17内において吸気口15付近に配設され、吸気口15からの吸入空気の温度を検出する。可動式ルーバ44は、送風口16に配設され、送風口16からの温風の吹出しの向きを変更する。
【0020】
運転ボタン48、設定ボタン49、スピーカ50及び表示パネル51は操作パネル18に配備されている。運転ボタン48は、使用者が温風暖房機10の温風暖房運転のON/OFFを切り替える際に、使用者により押下される。設定ボタン49は、使用者が暖房温度の設定温度を上昇側及び下降側へ所定温度(例:1°C)ずつ変更する際に押下される。スピーカ50からは、音声案内や電子ブザー音が出力される。表示パネル51は液晶から構成され、表示パネル51には設定温度や現在時刻等の種々の情報が表示される。
【0021】
図2において、制御ユニット19は、主要要素として、マイコン61、メイントランス・電磁弁駆動部62、元電磁弁駆動部63、先電磁弁駆動部64、元電磁弁アンサー部65及び先電磁弁アンサー部66を備えている。マイコン61は、後述の図4又は図5の処理に関連して、メイントランス・電磁弁駆動部62、元電磁弁駆動部63及び先電磁弁駆動部64へ通電指示及び非通電指示を出力する。メイントランス・電磁弁駆動部62、元電磁弁駆動部63及び先電磁弁駆動部64は、マイコン61から通電指示を受けると、それぞれメイントランス・電磁弁用リレー70のソレノイド70a、元電磁弁用リレー71のソレノイド71a及び先電磁弁用リレー72のソレノイド72aへ所定の電流を供給して、それらを非通電状態から通電状態へ切り替え、また、マイコン61から非通電指示を受けると、それぞれメイントランス・電磁弁用リレー70のソレノイド70a、元電磁弁用リレー71のソレノイド71a及び先電磁弁用リレー72のソレノイド72aへの所定の電流の供給を中止して、それらを通電状態から非通電状態へ切り替える。
【0022】
元電磁弁アンサー部65及び先電磁弁アンサー部66は、リレーの開閉状態をマイコン61の入力レベルに変換する入力ポートから構成され、それぞれフォトカプラ77,78へ接続されている。フォトカプラ77,78は、図3で後述するように、それぞれ元電磁弁用リレー71及び先電磁弁用リレー72に対応付けられているものである。元電磁弁用リレー71は元電磁弁30を開閉し、先電磁弁用リレー72は先電磁弁31を開閉する。
【0023】
マイコン61は、元電磁弁アンサー部65及び先電磁弁アンサー部66の電圧レベルとしての“1”(高電圧レベル)又は“0”(低電圧レベル)を、元電磁弁30及び先電磁弁31の作動状態が正常であるか異常であるかについての元電磁弁用リレー71及び先電磁弁用リレー72からのアンサーとして検出する。
【0024】
元電磁弁用リレー71に対応付けられているフォトカプラ77は、元電磁弁用リレー71が通電状態にあるとき、すなわち元電磁弁30が開弁状態にあるとき、その受光トランジスタ(図示せず)が導通状態になり、また、元電磁弁用リレー71が非通電状態にあるとき、すなわち元電磁弁30が閉弁状態にあるとき、その受光トランジスタ(図示せず)が遮断状態になる。同様に、先電磁弁用リレー72に対応付けられているフォトカプラ78は、先電磁弁用リレー72が通電状態にあるとき、すなわち先電磁弁31が開弁状態にあるとき、その受光トランジスタ(図示せず)が導通状態になり、また、先電磁弁用リレー72が非通電状態にあるとき、すなわちそれぞれ先電磁弁31が閉弁状態にあるとき、その受光トランジスタ(図示せず)が遮断状態になる。フォトカプラ77,78の受光トランジスタ(図示せず)の導通状態及び遮断状態は、それぞれ“1”,“0”のアンサーに対応する。
【0025】
図3において、商用交流電源80以外の素子はすべて温風暖房機10に装備されているものである。図3は、温風暖房機10の電源コード(図示せず)の先端の電源プラグ(図示せず)が100Vの商用交流電源80の電源コンセントへ接続されているときの状態での接続関係を示している。温風暖房機10は、通常、電源プラグを電源コンセントへ付けっ放しの状態で、使用される。
【0026】
メイントランス81の一次側及びブリッジ型全波整流器83の入力側は、メイントランス・電磁弁用リレー70のスイッチ部70bを介して商用交流電源80へ接続されており、スイッチ部70bが導通状態(オン)にあるときのみ、商用交流電源80の電圧を印加される。これに対し、サブトランス82の一次側は、電源コンセントへの温風暖房機10の電源プラグの差込み中は、常時、商用交流電源80へ接続され、商用交流電源80の電圧を印加されて、二次側に出力電力を生成している。メイントランス81及びサブトランス82は、二次側の定格電圧は同一になっているが、定格出力電力は、メイントランス81が、最大負荷時の温風暖房機10の消費電力以上に設定されているのに対し、サブトランス82は、バーナ11におけるガス燃焼を停止している温風暖房機10の休止(スリープ)期間の省電力を達成する小さい値(例:1W)に設定されている。
【0027】
なお、温風暖房機10の作動期間は、バーナ11におけるガス燃焼を実施している期間だけでなく、使用者からの運転停止指示に伴い、バーナ11におけるガス燃焼を終了した後、ハウジング20内のこもり熱を燃焼ファン12の所定時間の延長運転により送風口16から排出している期間も含まれる。温風暖房機10の休止期間とは、こもり熱排出終了に伴う燃焼ファン12の運転の自動停止以降、使用者が操作パネル18の運転ボタン48又は設定ボタン49に対して次の操作を行うまでの指示を待つ期間となっている。
【0028】
温風暖房機10の作動期間では、メイントランス・電磁弁用リレー70のスイッチ部70bは、ソレノイド70aへの通電より導通状態になっており、メイントランス81、サブトランス82及びブリッジ型全波整流器83は、入力側に商用交流電源80の電圧を印加され、出力側に電力を生成している。これに対し、温風暖房機10の休止期間では、メイントランス・電磁弁用リレー70のスイッチ部70bは、ソレノイド70aへの非通電より遮断状態(オフ)になっており、サブトランス82のみ入力側に商用交流電源80の電圧を印加され、出力側に電力を生成している。
【0029】
マイコン61は、温風暖房機10の休止期間において、サブトランス82の出力電力のみより作動し、使用者が操作パネル18の運転ボタン48又は設定ボタン49を操作したことを検出すると、メイントランス・電磁弁用リレー70のスイッチ部70bを導通状態へ切り替えて、メイントランス81及びブリッジ型全波整流器83の作動を再開させ、これにより、温風暖房機10は休止期間から作動期間に切り替わる。
【0030】
この温風暖房機10は、休止期間では、サブトランス82の余りの出力電力を使って、表示パネル51の時刻表示を行っている。スピーカ50及び表示パネル51は、作動期間だけでなく、休止期間においてもマイコン61により作動を制御される。
【0031】
元電磁弁用リレー71のスイッチ部71bは、ブリッジ型全波整流器83の出力側と元電磁弁30との間に介在して、元電磁弁30の通電を制御する。先電磁弁用リレー72のスイッチ部72bは、ブリッジ型全波整流器83の出力側と先電磁弁31との間に介在して、先電磁弁31の通電を制御する。ブリッジ型全波整流器83は元電磁弁30及び先電磁弁31の通電電流を生成する。元電磁弁30及び先電磁弁31は、通電中は開弁し、非通電中は閉弁する。
【0032】
フォトカプラ77,78は、それぞれ元電磁弁30及び先電磁弁31に対して並列に接続され、元電磁弁30及び先電磁弁31の通電中は元電磁弁アンサー部65及び先電磁弁アンサー部66へ“1”を出力し、非通電中は元電磁弁アンサー部65及び先電磁弁アンサー部66へ“0”を出力する。
【0033】
図4の第1異常処理について説明する。第1異常処理及び後述の第2異常処理(図5)は、使用者が運転ボタン48を押下して温風暖房機10のガス燃焼運転が開始され、温風暖房機10の正常状態が確認された後、STEP91から開始される。
【0034】
なお、温風暖房機10は本発明のガス燃焼装置に相当し、元電磁弁30及び先電磁弁31は本発明の負荷又は開閉弁に相当し、スピーカ50及び表示パネル51は本発明の異常報知手段に相当し、元電磁弁用リレー71及び先電磁弁用リレー72は本発明の負荷駆動手段又は駆動回路に相当し、メイントランス81は本発明の大電力源に相当し、サブトランス82は本発明の小電力源に相当する。本発明の異常状態検出部は、マイコン61で実行するプログラムの機能として実現される。
【0035】
本発明において大電力源及び小電力源について最大出力電力を定義しているが、メイントランス81及びサブトランス82では、それらの最大出力電力とは故障防止のため、メイントランス81及びサブトランス82の定格出力電力とする。
【0036】
STEP91では、元電磁弁アンサー及び先電磁弁アンサーが共に異常を示しているか否かを調べる。元電磁弁アンサー及び先電磁弁アンサーはそれぞれ元電磁弁アンサー部65及び先電磁弁アンサー部66の電圧レベルから検出される。そして、元電磁弁アンサー及び先電磁弁アンサーが共に異常を示していれば、STEP92へ進み、示していなければ、STEP91を再実行する。
【0037】
なお、STEP91では、元電磁弁アンサー及び先電磁弁アンサーが共に異常を示しているときに代えて、元電磁弁アンサー及び先電磁弁アンサーの少なくとも一方が異常を示しているときとし、少なくとも一方が異常を示しているときにSTEP92へ進み、示していないとき、STEP91を再実行するようにすることもできる。
【0038】
元電磁弁アンサー又は先電磁弁アンサーが異常を示している時とは、例えば、(a)マイコン61が元電磁弁駆動部63又は先電磁弁駆動部64に元電磁弁30又は先電磁弁31の開弁指示を出しているにもかかわらず、マイコン61が元電磁弁アンサー部65又は先電磁弁アンサー部66から“0”のアンサーを受けている時、すなわち元電磁弁30又は先電磁弁31が閉弁となっている時、及び(b)マイコン61が元電磁弁駆動部63又は先電磁弁駆動部64に元電磁弁30又は先電磁弁31の閉弁指示を出しているにもかかわらず、マイコン61が元電磁弁アンサー部65又は先電磁弁アンサー部66から“1”のアンサーを受けている時、すなわち元電磁弁30又は先電磁弁31が閉弁となっている時である。
【0039】
STEP92では、マイコン61は、元電磁弁駆動部63及び先電磁弁駆動部64へOFF信号を出力する。
【0040】
STEP93では、STEP92の実行後、開閉弁閉止時間が経過するのを待ち、経過しだい、STEP94へ進む。STEP93における開閉弁閉止時間とは、マイコン61がSTEP92で元電磁弁駆動部63及び先電磁弁駆動部64へOFF信号を出力してから、元電磁弁30及び先電磁弁31が実際に閉止するまでに要する時間である。
【0041】
マイコン61がSTEP92で元電磁弁駆動部63及び先電磁弁駆動部64へOFF信号を出力しても、元電磁弁30及び先電磁弁31は直ちには閉止しない。マイコン61がSTEP92で元電磁弁駆動部63及び先電磁弁駆動部64へOFF信号を出力すると、元電磁弁駆動部63及び先電磁弁駆動部64は、それぞれ元電磁弁用リレー71のソレノイド71a及び先電磁弁用リレー72のソレノイド72aへの電流供給を停止し、次に、元電磁弁用リレー71及び先電磁弁用リレー72は、それらのソレノイド71a,72aへの通電停止に伴い、メカ部のスイッチ部71b,72bを変位させて、遮断状態に切り替え、これに伴い、元電磁弁30及び先電磁弁31は、それらのソレノイドへの駆動電流を断たれて、メカ部の弁体を変位させて、元電磁弁30及び先電磁弁31が最終的に閉止状態に至る。これに要する時間は例えば200msec〜300msであり、STEP93における開閉弁閉止時間はおおよそこの値を目安に設定されている。
【0042】
STEP93における開閉弁閉止時間の経過に伴い、元電磁弁30及び先電磁弁31は閉弁し、ガス供給路26は閉止され、バーナ11は、ガス供給路26からのガスの供給を断たれ、バーナ11におけるガスの燃焼は中止される。
【0043】
なお、元電磁弁アンサー及び先電磁弁アンサーの異常を検出したのに伴い、元電磁弁30及び先電磁弁31は閉弁されるが、元電磁弁30及び先電磁弁31を閉弁するために、元電磁弁駆動部63や先電磁弁駆動部64等の幾つかの素子を作動させる必要があり、それら素子の作動電力は、メイントランス81やブリッジ型全波整流器83の出力電力が使用されるので、サブトランス82はその作動電力の負担を免れる。また、元電磁弁アンサー及び先電磁弁アンサーの異常検出の際は、元電磁弁30及び先電磁弁31と共に比例弁32についても、メイントランス81やブリッジ型全波整流器83の出力電力により、閉弁させてから、STEP94を実行させるようにしてもよい。
【0044】
STEP94では、マイコン61は、メイントランス・電磁弁駆動部62へOFF信号を出力する。これに伴い、メイントランス・電磁弁駆動部62はメイントランス・電磁弁用リレー70のソレノイド70aへの電流供給を中止して、メイントランス・電磁弁用リレー70のスイッチ部70bは遮断状態になる。この結果、メイントランス81の作動は停止して、以降、温風暖房機10の作動電力はサブトランス82のみに賄われることになる。また、メイントランス・電磁弁用リレー70のスイッチ部70bの遮断状態への切替わりに伴い、ブリッジ型全波整流器83の出力電圧も0となる。
【0045】
STEP95では、マイコン61はスピーカ50に音声エラーを報知させる。音声エラーの報知の具体例としては、スピーカ50から「ピーピーピー」の電子ブザー音を所定時間、出力した後、スピーカ50から「緊急停止装置が働きました。」の発声を出力させる。なお、スピーカ50を装備せず、代わりにブザーを装備する温風暖房機では、又は、スピーカ50と共にブザーを装備する温風暖房機では、該ブザーから「ピー」を所定回数、出力することもできる。例えば、「ピー」の300msとその後続の無音の200msとを1サイクルとして、計20サイクル、繰り返すようにする。スピーカ50又はブザーからの音量が調整可能な温風暖房機10では、該音量は、異常事態の重要性及び緊急性に鑑み、使用者が聞き逃さないよう、サブトランス82の定格出力電力の範囲内で可能な最大音量とされる。STEP96では、音声エラーの報知を停止する。
【0046】
STEP97では、表示パネル51によりエラーを報知する。具体的には、元電磁弁30及び先電磁弁31の両方の異常を示すエラーコード(例えば「71」)を表示パネル51において点滅状態で表示する。点滅の具体的態様として、0.5秒の表示とその後続の0.5秒の表示停止とを1サイクルとして所定サイクル数、繰り返す。表示パネル51の表示面積が十分に大きいときには、エラーコードに代えて、具体的な異常内容(この場合は元電磁弁30及び先電磁弁31が共に異常状態になっていること)をテキストや画像で報知するようにしてもよい。さらに、サブトランス82の定格出力電力の範囲内で表示パネル51と共に作動可能な報知ランプが装備されている温風暖房機10では、該報知ランプを点灯してもよい。
【0047】
STEP98では、エラーが解除されたか否かを判断し、エラーが解除されていれば、STEP99へ進み、解除されていなければ、STEP97へ戻って、表示パネル51によるエラー報知を継続する。エラーの解除は、温風暖房機10からのエラー報知に気付いた使用者が、温風暖房機10の所へ来て、操作パネル18の運転ボタン48を押下することにより、行われる。この押下は、エラー報知の停止指示と共に、温風暖房機10の再運転指示も含まれる。
【0048】
STEP98における使用者による運転ボタン48の押下に対して、温風暖房機10の再運転指示も含めた理由は、今回の異常報知が誤作動であることがあり、これに対処するためである。今回の異常報知が誤作動である場合には、温風暖房機10の再運転では、温風暖房機10が燃焼停止したり、異常報知が行われたりすることなく、燃焼運転が支障なく継続することになるので、これにより、誤報知だったと分かる。これに対し、今回の異常報知が誤作動でない場合には、温風暖房機10の再運転で、再び、温風暖房機10が燃焼停止し、異常報知が行われることになる。
【0049】
STEP98における使用者による運転ボタン48の押下によるエラー報知の停止指示と温風暖房機10の再運転指示とに対し、STEP99では、表示パネル51によるエラー報知を停止し、STEP100では、マイコン61からメイントランス・電磁弁駆動部62、元電磁弁駆動部63及び先電磁弁駆動部64へ導通信号を出力する。
【0050】
これに伴い、メイントランス・電磁弁駆動部62、元電磁弁駆動部63及び先電磁弁駆動部64は、それぞれメイントランス・電磁弁用リレー70のソレノイド70a、元電磁弁用リレー71のソレノイド71a及び先電磁弁用リレー72のソレノイド72aを通電して、メイントランス・電磁弁用リレー70のスイッチ部70b、元電磁弁用リレー71のスイッチ部71b及び先電磁弁用リレー72のスイッチ部72bを導通状態にする。この結果、メイントランス81及びブリッジ型全波整流器83は作動を再開するとともに、元電磁弁30及び先電磁弁31は開弁して、ガス供給路26は開かれる。
【0051】
マイコン61は、STEP99の処理に並行して、点火電極27を作動させる。これにより、バーナ11におけるガス燃焼が再開される。STEP100の実行後、STEP91へ戻る。
【0052】
第1異常処理では、STEP95におけるスピーカ50からの音声エラーの報知をSTEP96において停止させてから、STEP97における表示パネル51によるエラー報知を実施するので、すなわち、スピーカ50からの音声エラーの報知と表示パネル51によるエラー報知とが同時に実施されることなく、1つずつ実施されるので、エラー報知期間の各時点の作動電力はサブトランス82の定格出力電力の範囲内に収めることができるとともに、スピーカ50からの音声エラーの報知と表示パネル51によるエラー報知との両方を支障なく実施することができる。
【0053】
また、両方でエラー報知を行って、使用者は聴覚でも視覚でもエラー報知を認識することができるようになっているので、周囲の騒音の大きいときでも、使用者が視覚でエラー報知を認識することができ、また、使用者が、温風暖房機10を直接、見ることができない所にいるときには、聴覚でエラーを認識することができる。
【0054】
さらに、第1異常処理では、先に、スピーカ50からの音声エラーの報知を実施して、温風暖房機10から目を離している使用者に異常発生を気付かせ、次に、異常発生に気付いた使用者に対し、顔を温風暖房機10の方へ向けたり、温風暖房機10の所まで来させて、使用者が表示パネル51におけるエラーコード等の表示を見させることになるので、報知順を逆にしたときよりも、使用者が異常状態に気付くまでの時間を短縮し、かつ具体的なエラー内容を見逃しを防止することができる。
【0055】
図5の第2異常処理について説明する。第2異常処理において、図4の第1異常処理のSTEPと同一内容となっているSTEPについては、第1異常処理の該STEPと同一のSTEP番号を付して、説明は省略し、第1異常処理との相違点についてのみ説明する。
【0056】
第2異常処理では、第1異常処理のSTEP98に代えて、STEP111が実施される。また、第1異常処理のSTEP99は、STEP111の実行の前に実行される。
【0057】
STEP111における判断は、第1異常処理のSTEP98の判断と同一であるが、判断結果に基づく進み先がSTEP98とは相違している。すなわち、STEP111では、エラーが解除されたか否かを判断し、エラーが解除されていれば、STEP112へ進み、解除されていなければ、STEP95へ戻る。この結果、STEP95におけるスピーカ50からの音声エラーの報知とSTEP97における表示パネル51によるエラー報知とは、使用者が運転ボタン48を押下するまで、所定時間間隔で交互に繰り返される。STEP112の処理は前述の図4のSTEP100の処理内容と同一である。
【0058】
図5の第2異常処理では、スピーカ50からの音声エラーの報知とSTEP97における表示パネル51によるエラー報知とが交互に繰り返されることにより、図4の第1異常処理の効果(ただし、音声報知と視覚報知とを前及び後の順番にする効果は除く)に加えて、表示パネル51によるエラー報知の見逃しを回避しつつ、音声エラーの報知期間を実質的に延長して、聞き逃しを防止することができる。
【0059】
本発明を温風暖房機10について説明したが、本発明は温風暖房機10以外に、ガスコンロ等、他のガス燃焼装置にも適用可能である。
【0060】
温風暖房機10における異常報知は、元電磁弁30及び/又は先電磁弁31の異常時に対するものとなっているが、本発明の異常報知は、ガス供給路を開閉する開閉弁以外の負荷の異常時に対する異常報知にも適用可能である。
【0061】
温風暖房機10における異常報知は、スピーカ50からのブザー音と表示パネル51におけるエラーコードの点滅とになっているが、本発明の異常報知は、振動(バイブレーション)、LED(発光ダイオード)及び音声(STEP95で説明した音声エラー以外で例えば人の声で異常を説明する音声報知等)を追加したり、代替したりすることができる。
【0062】
本発明における異常報知は、ガス燃焼装置が装備する全部の異常報知手段からの異常報知とすることなく、全部の異常報知手段から複数の異常報知手段を選択して、該選択した異常報知手段のみからの異常報知にすることもできる。異常報知手段の選択は、例えば、異常の生じた負荷に応じて、又は同一の負荷に対する異常の種類に応じて、行うことができる。なお、異常報知を行う異常報知手段を選択した場合にも、異常報知期間の各時点で作動する異常報知手段は1つのみに制限し、小電力源の電力のみで異常報知を行えるようにする。
【0063】
図4及び図5のフローチャートでは、異常状態が検出された要素としての元電磁弁30及び/又は先電磁弁31と、異常検出に伴い作動停止した負荷としての元電磁弁30及び/又は先電磁弁31とが同一の要素になっているが、異常状態が検出された要素と、異常検出に伴い作動停止した負荷とは同一としなくてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10:温風暖房機(ガス燃焼装置)、11:バーナ、26:ガス供給路、30:元電磁弁(負荷又は開閉弁)、31:先電磁弁(負荷又は開閉弁)、50:スピーカ(異常報知手段)、51:表示パネル(異常報知手段)、61:マイコン(異常状態検出部又は異常報知制御部)、71:元電磁弁用リレー(負荷駆動手段又は駆動回路)、72:先電磁弁用リレー(負荷駆動手段又は駆動回路)、81:メイントランス(大電力源)、82:サブトランス(小電力源)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大出力電力がそれぞれ大及び小の関係になっている大電力源及び小電力源と、
異常状態を検出する異常状態検出部と、
前記大電力源で駆動する負荷と、
該負荷を駆動する負荷駆動手段と、
各々の作動電力が前記小電力源の最大出力電力以下である複数の異常報知手段と、
前記異常状態検出部が前記異常状態を検出したときは、前記負荷駆動手段による前記負荷の駆動を停止するとともに前記大電力源の作動を停止させ、その後、前記複数の異常報知手段の内、少なくとも2つ以上を選択して、該選択した異常報知手段のいずれか1つずつを作動させて、該異常報知手段による報知を実施する異常報知制御部と、
を備えることを特徴とするガス燃焼装置。
【請求項2】
請求項1記載のガス燃焼装置において、
該ガス燃焼装置は、バーナを備え、
前記負荷は、前記バーナのガス供給路を開閉する開閉弁であり、
前記負荷駆動手段は、該開閉弁を駆動する駆動回路であり、
該駆動回路は、前記開閉弁が閉止する時間の経過後に、前記大電力源の作動停止を行うようにしたことを特徴とするガス燃焼装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のガス燃焼装置において、
前記大電力源は、前記ガス燃焼装置が停止状態にあるときに作動停止となるとともに、前記小電力源により停止状態から作動状態へ切り替えられるものであることを特徴とするガス燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−177509(P2012−177509A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40319(P2011−40319)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】