ガス状のフッ化物の安定な検出方法及びその検出装置
【課題】サンプリングガス中のガス状のフッ化物とそれらを検出する検出剤とを基材表面で反応させて、該検出剤の光反射率の変化により、ガス状のフッ化物を検出する方法及び装置において、安定に検出でき、さらに湿度や妨害ガスの干渉もうけず、敏速に高感度で正確に検出する手法及びそのための装置を提供する。
【解決手段】ガス状のフッ化物と検出剤とが反応する反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節することにより、又は該サンプリングガスの湿度を基材及び/又は検出剤の含水量に応じて調節することにより、簡便で迅速に、かつ変動のない、高感度な検出を可能とする。
【解決手段】ガス状のフッ化物と検出剤とが反応する反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節することにより、又は該サンプリングガスの湿度を基材及び/又は検出剤の含水量に応じて調節することにより、簡便で迅速に、かつ変動のない、高感度な検出を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス状のフッ化物の安定な検出方法及びそのたの検出装置に関し、特に、オクタフルオロシクロペンテン、ヘキサフルオロブタジエンなどの分子内に炭素の不飽和結合を有するガス状のフッ化炭化水素化合物と該化合物の検出剤との反応を用いた検出方法及び検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素化合物は、地球温暖化物質として京都議定書における協議以来、その削減が求められており、地球環境の保全、多くの生物種や人類の存続のため、その微量検出や除去、分解、使用量の削減、回収が重要な技術となっている。
特に、ドライエッチングガスとして用いられてきた四フッ化炭素、オクタフルオロシクロブタンなどの飽和フルオロカーボン類は地球温暖化への悪影響から使用が制限されており、これらの代替物として、オクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、ヘキサフルオロブタジエン(C4F6)、ヘキサフルオロシクロブテン(C4F6)などの分子内に炭素の不飽和結合を有するフッ化炭化水素化合物が開発されてきている。これらの炭素の不飽和結合を有するフッ化炭化水素化合物(以下、「不飽和炭化水素のフッ化物」という)は、選択比が高く微細加工のための高性能なマテリアルとして知られ、各半導体プロセスにおいて一部使用されている。これらは、地球温暖化係数は改善されているものの、元来その蒸気圧の高さや毒性の課題から管理基準濃度2ppmの規制が布かれている。さらには、現存する環境負荷の観点から、またプロセス現場において環境中のガスコンタミ源ともなり、高感度に検出する技術等が求められている。
【0003】
不飽和炭化水素のフッ化物の検出手法としては、現在までに、過マンガン酸塩を用いた手法と熱分解を用いた手法が開発されている。
前者の手法は、C5F8やC4F6と過マンガン酸塩との反応により、過マンガン酸塩の消色を利用した方法である(特許文献1)。しかしながら、以下のデメリットがある。
(1)反応が鈍く、測定できる濃度が50ppm以上の濃い条件でしか感知が難しい、(2)検出するまでの時間が50ppmで平均約19分以上と長くかかる、(3)無機物を使用しているため加工性に難点があり、検出のための形態が制限される、(4)強い酸化剤である過マンガン酸塩を使用するため、ボロン誘導体などの水素化物や錯化物などの試剤により消色が起こり誤報の原因となる。
【0004】
後者の手法は、C5F8やC4F6の熱分解を用いた方法であって、気体中に存在するC5F8やC4F6を熱分解炉において熱分解し、その際発生する酸性ガスを敏速に光学的に検出する方法である(特許文献2)。しかしながら、以下のデメリットがある。
(1)熱分解を行うため大きなエネルギーを消費する、(2)高温における熱分解を行うため、洗浄剤、絶縁体等で多用されるフッ素系液体などのガスからも同様の酸性ガスが発生し誤報の原因となる、(3)高温における熱分解を行うため、非常に危険な酸性ガスHFを発生させてしまう、(4)最終的にはその非常に危険な酸性ガスを検出しているので、他の類似の酸性ガスそのものが混入した場合、これも誤報の原因となる。
【0005】
このように、これまでの不飽和炭化水素のフッ化物の検出方法には、種々の問題があるため、これまでの手法とは原理の全く異なる、新たな方法を用いた、高性能で、より経済的な検出方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−324492号公報
【特許文献2】特開2001−324491号公報
【特許文献3】特願2010−147782
【特許文献4】特願2010−242895
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、C5F8やC4F6等の不飽和炭化水素のフッ化物の選択的な有機反応を利用することにより、上記の目的を達成しうることを見いだした。すなわち、C5F8やC4F6等の不飽和炭化水素のフッ化物との選択的な有機反応について、特定の窒素化合物群を用いた、選択的で高感度な反応を見出し、対象とする不飽和炭化水素のフッ化物を見分けて検出することが可能となった(上記特許文献3,4参照)。
しかしながら、さらに検討を重ねたところ、環境中の検出対象である不飽和炭化水素のフッ化物の正確な検出のためには、その検出条件及び検出に適した装置について検討を重ねる必要があることが判明した。
【0008】
すなわち、本発明者が提案した上記の反応を用いた検出方法は、従来の技術、高温熱分解や強い酸化剤を使用せずに、室温付近で簡便に検出でき、さらに飽和型のパーフルオロカーボンやパーフルオロエーテルの液体等からの妨害ガスの妨害もうけず、敏速に高感度な、C5F8やC4F6等の不飽和炭化水素のフッ化物の検出を提供するものである。しかしながら、C5F8やC4F6等の不飽和炭化水素のフッ化物を正確に検出するためには、安定したシグナルを得ることが重要である。すなわち、様々なサンプリングガスの状態にかかわらず、安定したシグナル変化が得られることが必須である。例えば、サンプリングガス中の水分量すなわち湿度、又はさらに温度、或いは塩酸、フッ素酸、カルボン酸系等の酸性ガス、アンモニアガス、フッ素系洗浄剤、冷却材、絶縁液体からのガス、アルコール、アセトン、トルエンなどの有機溶剤からの様々な妨害ガスの影響を受けずに、C5F8やC4F6等の不飽和炭化水素のフッ化物を正確に検出することが重要である。特に、検出対象である不飽和炭化水素のフッ化物の正確な濃度の検出には、工場内や検出を行う場所における環境気体中に含まれる酸、アルカリや二酸化炭素、水分、その他多種多様な妨害ガス等の影響を受ける場合があり、それを解決しなければならない。
さらにppmレベルの微量のC5F8やC4F6等の不飽和炭化水素のフッ化物に対してその検出剤から得られる微小信号を、光学的検出で行う場合に用いる光源強度の変動、基材の光学特性の変動など各種環境変動に影響され難い方法で検出することも重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節することにより、又は該サンプリングガスの湿度を前記基材及び/又は検出剤の含水量に応じて調節すること、すなわちサンプリングガス中の水分量(湿度)、検出剤の水分量、基材の水分量等を調節することにより、或いは更に上記光学的検出を行う場合の環境変動を補償する手法を導入することにより、前記の課題を解決し、C5F8やC4F6等のガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又はオクタフルオロシクロペンタン(以下、C5F8H2と表す)等の分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物の検出を、正確に安定して行えることをつきとめた。
【0010】
本発明は、発明者によって得られたこれらの知見に基づいて検出方法と装置について鋭意検討を重ねた結果、完成に至ったものであって、C5F8やC4F6等のガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又はC5F8H2等の分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物の検出方法及び検出装置について、以下の発明が提供される。
【0011】
[1]サンプリングガス中の、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、基材表面で反応させた検出剤の光反射率の変化により検出する、ガス状のフッ化物の検出方法であって、
ガス状のフッ化物と検出剤が反応する反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節すること、又は該サンプリングガスの湿度を前記基材及び/又は前記検出剤の含水量に応じて調節することを特徴とする検出方法。
[2]前記検出剤が、一般式(I)
【化1】
[式中、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、他のヘテロ原子で置換されてもよいメチレン基(CH2)を表し、或いは、置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)のヘテロ原子を表す。R1とR2との間、及びR3とR4の間には、炭化水素基やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在するか、或いは、挿入され、さらに、それらの置換基がさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]で表されるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を有効成分とすることを特徴とする前記[1]の検出方法。
[3]前記検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で、前記検出剤の反射率が変化する波長(λ1)及び該反射率の変化がより少ない波長(λ2)を含む光により照射し、該それぞれの波長の反射光量の差又は比により検出することを特徴とする前記[1]又は[2]の検出方法。
[4]前記サンプリングガスを室温以上の一定に設定された温度にすることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかの検出方法。
[5]前記基材及び/又は検出剤に一定量の水分を含有させると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかの検出方法。
[6]前記基材に0.5μg/cm3以上の一定量の水分を含有させ、前記検出剤に4mM以上の一定量の水分を含有させると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする前記[5]の検出方法。
[7]前記基材に0.5μg/cm3以上の一定量の水分を含有させ、前記検出剤は乾燥させた状態で用いると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする前記[5]の検出方法。
[8]前記検出剤に4mM以上の一定量の水分を含有させ、前記基材は乾燥させた状態で用いると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする前記[5]の検出方法。
[9]前記サンプリングガスの湿度が20%以下となるよう調節することを特徴とする前記[5]〜[8]のいずれかの検出方法。
[10]前記サンプリングガスと前記基材とを接触させる直前に、該基材に水分を含浸させることを特徴とする前記[5]〜[7]のいずれかの検出方法。
[11]前記反応場を、外気と接触しないように遮蔽することを特徴とする前記[1]〜[10]のいずれかの検出方法。
[12]前記サンプリングガスの湿度の調節を、除湿チューブを用いるか、ベルチェ素子の冷却する部分に接触させるか、あるいは、アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカ、塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム及び酸化カルシウムから選ばれる固体乾燥剤に接触させる、ことにより行うことを特徴とする前記[1]〜[11]のいずれかの検出方法。
[13]前記基材に、前記検出剤を含浸又は塗布あるいは噴霧させておくことを特徴とする前記[1]〜[12]のいずれかの検出方法。
[14]前記検出剤を含浸又は塗布あるいは噴霧された基材を、防水性の膜又はフィルムで覆い、反応直前又は反応時に該膜又はフィルムを剥離することを特徴とする前記[13]に記載の検出方法。
[15]前記基材が、前記検出剤を内包した防水性のカプセルから構成され、反応直前又は反応時に該カプセルを潰すことを特徴とする前記[1]〜[12]のいずれかの検出方法。
[16]前記サンプリングガスと前記検出剤とを接触させる直前に、該検出剤を基材に含浸又は塗布あるいは噴霧することを特徴とする前記[1]〜[12]のいずれかの検出方法。
[17]前記基材の形態が、膜又はフィルム状、テープ状、板状、網状、棒状、粉体状、あるいはカプセル状であることを特徴とする前記[1]〜[16]のいずれかの検出方法。
[18]前記基材材が、多孔質体からなることを特徴とする前記[1]〜[17]のいずれかの検出方法。
[19]前記基材が、紙、又はセルロース、又はポリスチレン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる有機高分子材料、又はシリカ、アルミナ、ガラスから選ばれる無機材料の1種類もしくは2種類以上の複合体からなることを特徴とする前記[1]〜[18]のいずれかの検出方法。
[21]前記サンプリングガスと前記検出剤とを接触させる前に、サンプリングガスを、炭酸水素塩、あるいは、アミンもしくはイミンを有する有機化合物または高分子から選ばれる材質からなるフィルターに接触させることにより、酸性ガス及び/又は妨害ガスを取り除くこと特徴とする前記[1]〜[19]のいずれかの検出方法。
【0012】
[21]サンプリングガス中の、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、基材表面で反応させた検出剤の光反射率の変化により検出する、ガス状のフッ化物の検出装置であって、
前記検出剤を表面及び/又は内部に有する基材を配置した反応室と、
該反応室に前記サンプリングガスを導入する手段と、
前記サンプリングガスを前記反応室から排気する手段と、
を有しており、
前記サンプリングガスが反応室に導入される前にその湿度を調節する手段を備え、
少なくとも前記反応室は、外気と接触しない機密構造体で構成され、反応室内の湿度が一定に保持されていることを特徴とする検出装置。
[22]前記検出剤が、一般式(I)
【化1】
[式中、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、他のヘテロ原子で置換されてもよいメチレン基(CH2)を表し、或いは、置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)のヘテロ原子を表す。R1とR2との間、及びR3とR4の間には、炭化水素基やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在するか、或いは、挿入され、さらに、それらの置換基がさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]で表されるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を有効成分とすることを特徴とする前記[21]の検出装置。
[23]前記サンプリングガスの湿度の調節手段が、除湿チューブであって、該チューブ内部にサンプリングガスを通すとともに、該除湿チューブの外部にサンプリングガスよりの湿度の低い気体を流す手段を有することを特徴とする前記[21]又は[22]の検出装置。
[24]前記サンプリングガスの湿度の調節手段がペルチェ素子であって、該ペルチェ素子の冷却する部分にサンプリングガスを接触させることを特徴とする前記[21]又は[22]の検出装置。
[25]前記サンプリングガスの湿度の調節手段が、アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカ、塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、及び酸化カルシウムから選ばれる固体乾燥剤であることを特徴とする前記[21]又は[22]の検出装置。
[26]前記サンプリングガスを導入する手段が、ポンプ及び/又はマスフローコントローラを有することを特徴とする前記[21]〜[25]のいずれかの検出装置。
[27]前記反応室が、湿度が一定の気体で充填されていることを特徴とする前記[21]〜[26]のいずれかの検出装置。
[28]前記反応室内の温度を室温以上の一定温度に制御する手段を有することを特徴とする前記[21]〜[27]のいずれかの検出装置。
[29]前記機密構造体で構成された反応室内に、前記基材を搬送する機構を設けたことを特徴とする前記[21]〜[28]のいずれかの検出装置。
[30]前記反応室内又は反応室の手前に、前記基材に前記検出剤を塗布又は滴下あるいは噴霧する手段を有することを特徴とする前記[21]〜[29]のいずれかの検出装置。
[31]前記反応室内又は反応室の手前に、前記基材に水分を供給する手段を有することを特徴とする前記[21]〜[30]のいずれかの検出装置。
[32]前記基材に水分を供給する手段が、前記基材に前記検出剤を塗布又は滴下あるいは噴霧する手段の前段に設けられていることを特徴とする前記[31]の検出装置。
[33]前記基材形態が、膜又はフィルム状、テープ状、板状、網状、棒状、粉体状、あるいはカプセル状であることを特徴とする前記[21]〜[32]のいずれかの検出装置。
[34]前記基材材が、多孔質体からなることを特徴とする前記[21]〜[33]のいずれかの検出装置。
[35]前記基材が、紙、又はセルロース、又はポリスチレン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる有機高分子材料、又はシリカ、アルミナ、ガラスから選ばれる無機材料、の1種類もしくは2種類以上の複合体からなることを特徴とする前記[21]〜[34]のいずれかの検出装置。
[36]前記基材が、防水性の膜又はフィルムで覆われており、反応直前又は反応時に、該膜又はフィルムを剥がす手段を有していることを特徴とする前記[21]〜[29]のの検出装置。
[37]前記基材が、前記検出剤を内包した防水性のカプセルから構成され、反応直前又は反応時に該カプセルを潰す手段を有していることを特徴とする前記[21]〜[29]の検出装置。
[38]前記基材表面での検出剤の反射率変化を、光学的手段で検出する手段を有することを特徴とする前記[21]〜[37]のいずれかのガス状のフッ化物の検出装置。
[39]前記検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で前記検出剤の反射率が変化する波長を含む光を発生する光源と、及び前記基材からの反射光を検出する検出器を有し、該光源は該光源からの光が前記基材に向けて入射するごとく設けられていることを特徴とする前記[38]の検出装置。
[40]前記検出剤の反射率が変化する波長が、550nmより短い波長である前記[38]又は[39]の検出装置。
[41]前記光源は、前記検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で前記検出剤の反射率が変化する波長(λ1)及び反射率の変化がより少ない波長(λ2)を含む光を両方発生する1つの光源又はそれぞれ該波長の一方を含む光を発生する2つの光源からなり、前記検出器はそれぞれの波長の反射光を検出する検出器であって、該それぞれの反射光量の差、または比により前記ガス状のフッ化物を検出することを特徴とする前記[39]又は[40]の検出装置。
[42]前記検出剤の反射率の変化がより少ない波長(λ2)が、550nm以上650nm以下の波長域から選ばれる波長以上の波長である前記[41]の検出装置。
[43]前記光源及び前記検出器を、前記反応室内に配置することを特徴とする前記[39]〜[42]のいずれかの検出装置。
[44]前記光源からの光を、前記反応室に設置された光導入窓から入射し、前記反射光を、前記反応室に設置された光導出窓から導出するようにしたことを特徴とする前記[39]〜[42]のいずれかの検出装置。
[45]前記光源からの光を反応室内に入射する導入用光ファイバー、及び前記反射光を反応室から導出する導出用光ファイバーを配設することを特徴とする前記[39]〜[4
2]のいずれかの検出装置。
[46]反応場の、前記導入用光ファイバー及び導出用光ファイバーの先端の付着物を拭き取る手段を有することを特徴とする前記[45]の検出装置。
[47]前記サンプリングガスを前記反応室に導入する前に、前記サンプリングガス中の酸性ガス及び/又は反応妨害ガスを除去する手段を有することを特徴とする前記[21]〜[46]のいずれか1項に記載の検出装置。
[48]前記反応室が、少なくとも一部が短波長可視光領域ないし紫外線領域の光を透過する筒状の管で構成され、該管内に、基材に吸着された検出剤を封入するとともに、サンプリングガスの乾燥部又は乾燥剤を該管内のサンプリングガスの導入口側に配置することを特徴とする前記[21]〜[26]のいずれか1項に記載の検出装置。
[49]前記検出剤と前記乾燥剤の間にセパレータを設けたことを特徴とする前記[48]の検出装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検出を行う際に、反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節することで、又は該サンプリングガスの湿度を前記基材及び/又は前記検出剤の含水量に応じて調節することで、簡便で迅速に、かつ変動少なく、C5F8やC4F6等のガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は前記ガス状の炭化水素のフッ化物を検出でき、さらに飽和型のパーフルオロカーボンやパーフルオロエーテルの液体からの妨害ガスの干渉もうけず、それらを安定に検出することができる。また、本発明は、安定した精度の高いセンサー、警報装置、測定機器、環境検査装置、キット等に適用でき、さらには選択的な除去分解技術に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の方法におけるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物のみを用いた検出剤の反応の前後における反射率変化を説明する図。
【図2】本発明の方法におけるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を有効成分とする検出剤の反応の前後における反射率変化を説明する図。
【図3】本発明の方法におけるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する図1とは別の窒素化合物を有効成分とする検出剤の反応の前後における反射率変化を説明する図。
【図4】実施例2の、サンプリングガスの湿度の検出感度への影響を示す図。
【図5】実施例3の、検出剤に水を含有させた場合の、サンプリングガスの湿度の検出感度への影響を示す図。
【図6】実施例3の、基材に水を含有させた場合の、サンプリングガスの湿度の検出感度への影響を示す図。
【図7】本発明のガス状のフッ化物の検出における温度の影響を示す図。
【図8】反応室に、光を発生する光源に繋がる光導入部分、及び反射光を検出する検出器に繋がる反射光導出部分を設けた、ガス状のフッ化物の検出装置の一例を模式的に示す図。
【図9】反応室内に、微少な光源及び微少なフォトセンサを設けた、ガス状のフッ化物の検出装置の一例を模式的に示す図。
【図10】反応室に、光導入部分として光導入窓及び反射光導出部分として反射光導出窓を設けた、ガス状のフッ化物の検出装置の一例を模式的に示す図。
【図11】反応室内に基材が搬送されるとともに、該基材に検出剤が塗布又は滴下又は噴霧されるようにされた、ガス状のフッ化物の検出装置の一例を模式的に示す図。
【図12】光導入ファイバー及び反射光導出ファイバーを設けた、ガス状のフッ化物の検出装置の一例を模式的に示す図。
【図13】光導入ファイバー及び反射光導出ファイバーを設けるとともに、反応室内に基材が搬送され、該基材に水分及び検出剤が塗布又は滴下又は噴霧されるようにされた、ガス状のフッ化物の検出装置の一例を模式的に示す図。
【図14】本発明の光を発生する光源に繋がる光導入部分、及び反射光を検出する検出器に繋がる反射光導出部分、吸気、排気、ポンプ、フィルター、ペルチェ素子、除湿チューブ、検出剤のタンク、テープ状の基材の搬送機構、解析器、警報器等の装置構成全体を模式的に示す図。
【図15】テープ状の基材内に検出剤を含ませ、それをラップした基材および検出するための動作の一例を模式的に示す図。
【図16】テープ内に検出剤を含んだ基板を格子状に配置内封した基材および検出するための動作の一例を模式的に示す図。
【図17】基材として検出剤を含んだカプセルもしくは袋を内包するテープおよび検出するための動作の一例を模式的に示す図。
【図18】検出剤を含んだ筒状の管を用いた作業場、仕事場、工場など大気の環境測定を行うための装置の一例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、サンプリングガス中の、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、検出する機能を有する化合物又はその混合物と検出剤との、基材表面での反応を用いて、ガス状のフッ化物を検出するものであり、反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節すること、又は該サンプリングガスの湿度を前記基材及び/又は検出剤の含水量に応じて調節することを特徴とするものである。
【0016】
本発明において、前記「サンプリングガス」とは、環境場にあるすべての気体、例えば、工場現場、プロセス現場、有機合成の実験室に存在する空気など、まわりにあるあらゆる条件の、分析したいガスを表わす。また、検出のため、除塵及び/又は湿度調節などの前処理を施したものもサンプリングガスに含まれる。
【0017】
本発明において、上記サンプリングガス中に含まれる被検出物は、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物である。
【0018】
前記「分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物」とは、少なくとも炭素とフッ素から成り、分子内に炭素−炭素二重及び/又は炭素−炭素三重結合化合物を少なくとも有し、気化したガス状の化合物、すなわち、ガス状の不飽和炭化水素のフッ化物である。炭素−炭素二重及び/又は炭素−炭素三重結合の構造からわかるように、これらの化学種は少なくとも炭素原子2個で成り立つので、本発明における検出対象である不飽和炭化水素のフッ化物は、必然的に炭素を2個以上含む化合物である。これらの中には、塩素、臭素、ヨウ素、酸素、硫黄、窒素など他の原子や、カルボキシル基、アルコキシ基、フォルミル基など、前述の一般的な炭化水素基、官能基が置換されているすべての化合物も含んでおり、京都議定書において、評価した一連のガス状化合物であるフッ化炭化水素が一部属する。
例えば一例として、C2F4、C3F6、C4F6、c−C4F8、c−C5F8、CF3OCF=CF2、C2F5OCF=CF2(c−はcyclic:環状を表し、c−C5F8は、前述のC5F8と同じである、C4F6には前述の2種類がある;それぞれオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、ヘキサフルオロブタジエン(C4F6)、ヘキサフルオロシクロブテン(C4F6と表す。以下、C4F6はヘキサフルオロブタジエン、又はヘキサフルオロシクロブテン、あるいはそれらの混合物を表す)等がある。またこれらの一部は、工業界において、冷媒、発泡剤、洗浄剤、エッチングガスとして使われることがある。これら一連の化合物は一部、環境問題にも取り上げられる不飽和結合を有するPFC(パーフルオロカーボン)と呼ばれる場合がある。これら一連の化合物の中には、酸素が結合したエーテル基を有する直鎖状のフッ素化合物もあり、環境負荷や人体への影響が懸念される。
【0019】
また、前記「分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつ、その水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物」とは、例えば、フッ素、塩素などのハロゲン、エーテル、スルフィド、カルボン酸、スルホン酸等のアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素化合物であって、アニオン性脱離基以外の部分にも塩素、臭素、ヨウ素、酸素、硫黄、窒素など他の原子や、カルボキシル基、アルコキシ基、フォルミル基など、前述の一般的な官能基が置換されている化合物も含む。これらの中には、京都議定書において、評価した一連のガス状化合物であるフッ化炭化水素が一部属する。水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素が存在するので、その構造からわかるように、これらの化学種は少なくとも炭素原子2個で成り立つので、本発明における検出対象である分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつ、その水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合している化合物は、必然的に炭素を2個以上含む化合物である。
この化合物の一例として、CF3CHF2、CHF2CHF2、CF3CHFCF3、CF3CF2CHF2、CHF2CF2CHF2、CF3OCHFCF3、C5F8H2(この化合物には異性体があり、1H,2H-オクタフルオロシクロペンタン、又は1H,1H-オクタフルオロシクロペンタン、又は1H,3H-オクタフルオロシクロペンタン、或いはこれらの混合物を意味する)などがある。
本発明における検出対象である分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつ、その水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合している化合物や一例として挙げた前記化合物の一部は、家庭、業務用、車等のあらゆる空調機器や、冷蔵庫、冷凍庫の冷媒として、建築現場における断熱材形成のための発泡剤、電子機器洗浄剤として使われることがある。またこれらの一部は、半導体プロセスでエッチングガスや洗浄剤、冷却剤として使われることがある。これら一連の化合物の中は、環境問題にも取り上げられるHFC(ハイドロフルオロカーボン)やHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)と呼ばれるものがある。
【0020】
本明細書において、単に「ガス状のフッ化物」と記載した場合は、前記の分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を意味するものとする。
【0021】
本発明において、前記「検出剤」とは、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を検出する機能を有する化合物またはその混合物と選択的に反応して、これらのガス状のフッ化物を検出する機能を有する化合物を有効成分とするものであり、窒素化合物で総称される化合物を含むものである。
【0022】
本発明において用いられる検出剤としては、特に、下記の一般式(I)で表される、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を有効成分とする検出剤を用いるのが好ましい。
【0023】
【化1】
【0024】
上記の一般式(I)において、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、アミジン骨格における窒素や炭素と化学結合をする始点を表わしており、基本的にメチレン基(CH2)であって、他のヘテロ原子で置換されてもよい。また、上記の一般式(I)において、R1〜R4のそれぞれは、置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)等のヘテロ原子であってもよい。
R1とR2との間、及びR3とR4の間には、一般的な炭化水素基やそれらを有するポリマー(オリゴマーも含まれる)から形成される置換基が存在するもしくは挿入される場合もあり、また、それらの置換基がさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合も含まれる。
ここで、一般的な炭化水素基とは、有機化学における一般的な官能基;ヘテロ原子、典型元素、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびそれらのイオンから選ばれるコンポーネントも含み、複素環の場合もある。例えば一例として、メチレン、アルキル、アルケン、アルキン、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルデヒド、ケトン、エーテル、クラウンエーエル、ポリエチレングリコール、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アセタール、エポキシ、アミノ、アミド、イミノ、ニトロ、シアノ、イソシアノ、チオイソシアノ、アゾ、アゾキシ、ポルフィリン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルフィン酸エステル、スルホン酸エステル、それら酸の塩、ピリジン、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、ピペラジン、キノリン、芳香族、フラン、遷移金属錯体などの置換基が結合もしくは途中に入り込む形で結合し、またそれらを介して有機ポリマーが結合した化合物群を意味する。
【0025】
以下に、上記の一般式(I)で表される、少なくとも2つの環を有する窒素化合物の例を幾つか例示するが、これらに限定されるものではない。なお、これらの化合物は、有機合成などで用いられる塩基性試薬として既に公知のもの、或いは、それらから誘導される化合物である。
(1)1,5-diazabicyclo[4,3,0]non-5-ene(DBN):該化合物は、R1−R2及びR3−R4が、それぞれ3つのメチレン鎖を形成して、2つの環を有する窒素化合物を成す。
(2)1,8-diazabicyclo[5,4,0]undec-7-ene(DBU):該化合物は、R1−R2が3つのメチレン鎖を形成し、R3−R4が5つのメチレン鎖を形成して、2つの環を有する窒素化合物を成す。
(3)1,8-diazabicyclo[7,4,0]tridec-9-ene誘導体:該化合物は、R1−R2が3つのメチレン鎖を形成し、R3−R4が7つのメチレン鎖を形成して、2つの環を有する窒素化合物を成す。また、この骨格における置換体も含まれる。
(4)4,4-dimethyl-DBN:該化合物は、前記DBNを基本骨格とした置換誘導体であり、置換基として4位に2つのメチル基が存在する、2つの環を有する窒素化合物である。
(5)4,7-dimethyl-DBN:該化合物は、前記DBNを基本骨格とした置換誘導体であり、置換基として4位と7位に1つずつメチル基が存在する、2つの環を有する窒素化合物である。
(6)4-phenyl-DBN:該化合物は、前記DBNを基本骨格とした置換誘導体であり、置換基として4位に1つのフェニル基が存在する、2つの環を有する窒素化合物である。
(7)3,4,6,7,8,9-hexahydro-2H-pyrido[1,2-a]pyrimidine:該化合物は、R1−R2が3つのメチレン鎖を形成し、R3−R4が4つのメチレン鎖を形成して、2つの環を有する窒素化合物を成す。
(8)1,3,4,6,7,8-hexahydro-2H-primido[1,2-a]pyrimidine((HPP):該化合物は、R3が窒素アミンN−Hの形であり、R4まで3つのメチレン鎖が存在し、R1−R2が3つのメチレン鎖を形成して、2つの環を有する窒素化合物を成す。
(9)1,3,4,6,7,8-hexahydro-1-methyl-2H-primido[1,2-a]pyrimidine(MeHPP):該化合物は、R3が窒素アミンN−Me(メチル基)の形であり、R4まで3つのメチレン鎖が存在し、R1−R2が3つのメチレン鎖を形成して、2つの環を有する窒素化合物を成す。
(10)tetramisole(別名Levamisole):該化合物は、R3が硫黄であり、R4まで2つのメチレン鎖が存在し、R1−R2が2つのメチレン鎖を形成し、R2に1つのフェニル基が置換した、2つの環を有する窒素化合物を成す。
(11)7-imino-3,4,6,7-tetrahydro-2H- pyrimido [2,1-a]isoquinoline:この化合物は、R1−R2が3つのメチレン鎖を形成し、R3−R4に4つの炭素が存在した状態で途中イミン置換基とR4にベンゼン環が挿入された、3環性の窒素化合物を成す。また、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物であるDBN、DBU、3,4,6,7,8,9-hexahydro-2H-pyrido[1,2-a]pyrimidine、HPP、tetramisoleの置換誘導体には、環状部分に置換基を有する形態と、一般式(I)のR1−R2上、R3−R4上にメチレン鎖やその他のヘテロ原子が挿入された形態も、上記の化合物群の中でお互い重ならない範囲で含まれる。
【0026】
上記の一般式(I)で表される、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物は、R1−R2又はR3−R4に、オリゴマー又はポリマーから形成される置換基が結合又は挿入された、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物でもよく、その一例として、ポリスチレン誘導体がR1に共有結合している高分子JANDAJEL(登録商標)-1,3,4,6,7,8-hexahydro-2H-primido[1,2-a]pyrimidineがある。検出剤である窒素化合物には、上記以外のアミン誘導体、ピリジン誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、フォスファゼン誘導体、グアニジン誘導体もある。また、一般式(I)で表される、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物には、前述の置換基、或いは挿入されたオリゴマー又はポリマーを介して、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物が、ダイマー、トリマー、テトラマーなど2個以上結合した形態も含まれる。
【0027】
本発明においては、前記の一般式(I)で表される、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物以外の、あらゆる有機物が共存する態様を用いて検出することができ、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物以外の有機物としては、例えば、一般的な有機溶媒(例えば、エタノールやエチレングリコールやグリセリンなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド(DMF)やN−メチル−ピロリドン(NMP)やヘキサフォスフォルアミド(HMPA)などのアミド類、テトラヒドロフラン(THF)やジオキサンなどのエーテル類)、ジイソプロピルアミン(LDA用)やトリイソブチルアミンやジシクロヘキシルメチルアミンやペンタメチルピペリドンなどの有機液体、ウレア類などの有機固体、セルロースやポリエチレンやポリブタジエンやポリエチレンアクリレートやポリイミドポリ安息香酸などの有機ポリマー、ピリジニウムイオンやイミダゾールイオン、窒素化合物、リン化合物などからなるすべてのイオン液体、などが挙げられる。特に、トリイソブチルアミンやジシクロヘキシルメチルアミンなどのアミン類は、その反応性から塩酸、フッ素酸、カルボン酸系等の酸性ガスの影響を軽減させるために有用であり、共存させることが好ましい。尚、トリイソブチルアミンやジシクロヘキシルメチルアミンなどのアミン類は、検出対象である分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物とは、本発明における光学的な変化は起こさず、検出対象のガスとは相互作用がほとんどない。
【0028】
検出剤である窒素化合物として、前記アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物以外に、ピリジン誘導体、及びイミダゾリン誘導体、及びフォスファゼン誘導体、及びグアニジン誘導体も使用可能である。
【0029】
ここで、上記ピリジン誘導体とは、下記の一般化学式(II)で表される化合物群であり、
【化2】
【0030】
(II)式中、R1〜R5のそれぞれは、水素、もしくはアルキル基、もしくは複素環を含む芳香族基、もしくはハロゲンを表し、或いはポリマーに結合する。或いは置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)等のヘテロ原子を表す。隣どうしのR間で環状の構造をとる場合があり、さらに、それらの構造中にさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。
【0031】
また、イミダゾリン誘導体とは、下記の一般化学式(III)で表される化合物群であり、
【化3】
【0032】
(III)式中、R2=R3=水素の場合と、R2もしくはR3のどちらか一方だけが水素の場合があり、R1はすくなくとも水素ではない。水素ではないRは、一般的な炭化水素基(すなわち、有機化学におけるすべての官能基;炭素をベースとしたヘテロ原子、典型元素、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびそれらのイオンから選ばれるコンポーネントも含み、複素環の場合もある)やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在する場合も含み、またそれらの置換基がR1とR3の間で環状部分を形成する場合も含み、かつ、R5とR6の間では少なくとも環状にならない。
【0033】
また、フォスファゼン誘導体とは、下記の一般化学式(IV)で表される化合物群であり、
【化4】
【0034】
(IV)式中において、Rは、一般的なアミン基、もしくは炭化水素基(すなわち、有機化学におけるすべての官能基;炭素をベースとしたアルキル、芳香族、ヘテロ原子、典型元素、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびそれらのイオンから選ばれるコンポーネントも含み、複素環の場合もある)やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在する場合も含む。またそれらの置換基が各Rの間で環状部分を形成する場合も含む。
【0035】
また、グアニジン誘導体とは、下記の一般化学式(V)で表される化合物群であり、
【化5】
【0036】
(V)式中において、R1〜R5は、一般的なアミン基、もしくは炭化水素基(すなわち、有機化学におけるすべての官能基;炭素をベースとしたアルキル、芳香族、ヘテロ原子、典型元素、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびそれらのイオンから選ばれるコンポーネントも含み、複素環の場合もある)やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在する場合も含む、またそれらの置換基が各Rの間で環状部分を形成する場合も含む。ただし、R2−R3間とR1−R5間とで同時に、もしくは、R2−R3間とR4−R5間とで同時に環状とはならない。
【0037】
さらに、上記の窒素化合物以外の化合物も、本明細書に記載の光学的な変化をなすものは、原理的にすべて検出剤に含むことができ、本検出方法及び装置に使用できる。
【0038】
本発明において、検出対象であるサンプリングガスは、基板表面に設けられた、ガス状のフッ化物を検出するための検出剤と反応する。この基材表面で分析したいサンプリングガス中に含有されるガス状のフッ化物と検出剤とが反応する空間を含む3次元的に広がった全体の場所を「反応場」と定義する。この反応場とは、検出剤がサンプリングガスと接触するナノオーダーの空間も含んでおり、検出剤を表面及び/又は内部に有する基材を配置した反応室内の場を意味する。
検出装置の構成においては、検出剤を設けた基材が配置される部分で、反射光を測定する部分が存在し、基材表面の検出剤の部分に、光を発する部分からの光が照射され、反射光が反射してくる部位が存在する。
【0039】
このような基材の形態としては、特に限定されるものでなく、例えば、膜又はフィルム状、フィルムを2層以上重ねたフィルム層、テープ状、基板状、網状、棒状、粉体、或いはカプセル状など、どのような態様でもよい。
また、基材は、検出剤が反応直前に塗布又は噴霧されるものであっても、あるいは、該基材表面に予め検出剤が存在していてもよく、具体的には、検出剤を浸みこませた、もしくは検出剤をカプセルやフィルム層内に内包したテープや基板などあらゆる基材表面、あらゆる態様の表面がそれにあたる。
【0040】
このような基材としては、多孔質材料からなるものが好ましい。この場合は、基材表面多孔内にも検出剤が収容される。すなわち、検出剤は基材表面の上に載っていても、或いは基材表面内に延在していても、基材内部に存在していてもよく、本発明では検出剤が存在する反応場の内、検出剤が存在する表面近傍すべてを基板表面という。
また、基材の材質は、特に限定されないが、例えば、紙、又はセルロース、又はポリスチレン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレート、それ以外のポリマーやオリゴマー、および前記ポリマー、オリゴマーの共重合体から選ばれる有機高分子材料、又はシリカ、アルミナ、ガラスから選ばれる無機材料、の1種類もしくは2種類以上の複合体、等が挙げられる。さらに、検出剤が化学的に結合した前記材質も含まれる。
【0041】
本発明において、基材表面での、前記ガス状のフッ化物と検出剤との反応を検出する手段としては、反応の前後における検出剤の光反射率の変化が用いられる。
【0042】
図1の光反射率の変化を示す図は、検出剤としてDBNのみを用い、基材としてアルミナの板を応用したもので、乾燥窒素で2ppmに希釈したC5F8ガスと、検出剤(1,5-diazabicyclo[4,3,0]non-5-ene(DBN))とを反応させた後の、検出剤の反射率の光波長依存性を示す図である。図1からも明らかなように、550nmより短波長側で、特に350〜400nmで、反射率の有意な変化が観測される(詳しくは、後述する実施例1参照)。
【0043】
図2は、CO2ガス4000ppmを含む乾燥空気で2ppmに希釈したC5F8ガスと、検出剤(1,5-diazabicyclo[4,3,0]non-5-ene(DBN)とトリイソブチルアミンの混合液)とを反応させた後の、検出剤の反射率の光波長依存性を示す図である(詳しくは、後述する実施例2参照)。
反応時間を1分から4分まで変化させたとき、反射率が時間に従って変化する波長域と変化の少ない波長域があることが認められる。参照データとして、C5F8ガスを含まない乾燥空気のみのときの反射率のデータとCO2ガス4000ppmを含む乾燥空気のときの反射率のデータも示されているが反射率の変化は見られない。CO2ガス4000ppmを含む空気は、人が大勢集まった閉鎖された部屋に対応しており、妨害ガスとして考慮すべき一つであるが、本発明の検出おいてはその影響をほとんど受けないことを明示している。CO2ガスの濃度を300ppmから3%に変化させても大きな影響は本実験で認められなかった。
【0044】
図3は、検出剤として1,8-diazabicyclo[5,4,0]undec-7-ene(DBU)とジシクロヘキシルメチルアミンの混合液を用い、基材としてセルロースを応用したものであり、ペルフルオロ(n−)ブチル]メチルエーテル(CF3(CF2)3OCH3 3M社製 商品名:Novec7100)で飽和させた室内空気で2ppmに希釈したC5F8ガスと、該検出剤とを反応させた後の、検出剤の反射率の光波長依存性を示す図である(詳しくは、後述する実施例3参照)。
図3からも明らかなように、妨害ガスとして多量のNovec7100が存在する環境下においても、500nm以下で、反射率の有意な変化が観測される。
【0045】
図1〜3の結果から明らかなように、様々なタイプの本発明の検出剤と様々な妨害ガスが存在する前記ガス状のフッ化物とが反応する前後で、検出剤の光反射率は、550nmより短い波長域から選ばれる短波長側と、550nm以上650nm以下の波長域の中から選ばれる長波長側とで変化の度合いが大きく異なり、550nmより短い波長域から選ばれる短波長側では、検出剤の反射率が大きく変化するのに対して、550nm以上650nm以下の波長域の中から選ばれる長波長側では、該反射率の変化は小さいという一般的な傾向が明らかである。
【0046】
したがって、サンプリングガス中の、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、基材表面で反応させた検出剤の光反射率の変化により検出する、ガス状のフッ化物の検出方法において、検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で550nmより短波長の波長域の中から選ばれる短波長、つまり検出剤の反射率が変化する波長(λ1)と、550nm以上650nm以下の波長域の中から選ばれる長波長、つまり反射率の変化がより少ない波長(λ2)とを含む光により照射し、該それぞれの波長の反射光量の差、または比により前記ガス状のフッ化物を検出することができる。また、固定された単色のλ1やλ2以外に、550nmより短波長でλ1の近傍の波長域、550nm以上650nm以下の波長域の中から選ばれる波長を超えないλ2の近傍の波長域を用いることができ、この場合、その波長域の積分値が用いられる。
【0047】
前記ガス状のフッ化物による検出剤の光反射率の変化は、前記ガス状のフッ化物の濃度が小さいと微小であるので、基材の表面の水分量、凹凸の経時変化による光の反射率の変化または光源強度の微小変化に隠されて検出できなくなる。それを補償するために、本来前記ガス状のフッ化物による反射率変化の少ない波長域の一部である波長λ2の光の反射光を参照光として、波長λ1の光の反射光量から波長λ2の光の反射光量を引いた量(差)、又は波長λ1の光の反射光量を波長λ2の光の反射光量で割った値(比)で、前記ガス状のフッ化物を検出することが好ましい。特に、後者の比で検出する方法は、光源の強度が経時変化するときには有効である。
【0048】
検出剤として、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を用いた場合は、上記の条件で検出を行うことができるが、該窒素化合物もしくはその他の検出剤の反射率が大きく変化する波長λ1、及び該反射率の変化がより少ない波長λ2は、検出剤や反応場、検出装置の状況に応じて自由に選択でき、具体的には、すべての検出剤の種類や混合状態、光源の各照射波長における光度分布、基材表面から反射光を受けるまでの距離、角度など、検出する装置の設定のもと、検出剤を照射する光波長域の中で、なんら波長に関して制限を受けることなく自由に適切な波長λ1及び波長λ2を選ぶことができる。すなわち、波長λ1が550nmを超える場合もあり、また波長λ2が、550nmより短波長になる、もしくは650nmを超える場合もある。また、検出剤によっては、波長λ1と波長λ2の大小が逆転する場合もあり得る。
【0049】
本発明では、前記ガス状のフッ化物と、前記検出剤との、基材表面での反応において、反応場の湿度および水分量が、検出剤の反射率変化に大きく影響するという知見に基づいて、基材及び/又は検出剤の水分含有量に応じて、反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節するものである。
以下、サンプリングガスの湿度が、検出剤の反射率変化に与える影響について説明する。
【0050】
後述する実施例4に示すように、乾燥させた検出剤及び基材を用い、室温25℃で乾燥空気をベースガスとし、湿度を変化させたサンプリングガスを用いて実験を行ったところ、濃度2ppmのC5F8ガスを、室温25度、約800mL/分の流量で反応させた場合の380nmにおける反射率の変化は、湿度40〜50%に極大を持つ大きな影響を受ける(図4参照)。これは、検出剤とC5F8ガスの反応において、水分子が関係していることを示しており、その制御が重要であることを明示している。
【0051】
これに対して、基材に一定の水分を含ませた状態で、乾燥させた検出剤を用い、検出の感度を調べると、サンプリングガスの湿度の影響が、劇的に抑制されることが判明した(図5参照)。しかしながら、湿度が65%を超えるとその影響が顕著となり、ガス状のフッ化物を検出する際、感度の低下をまねく。
一例として、後述する実施例5では、DBN検出剤を用い、室温25℃で乾燥空気をベースガスとし湿度を変化させたサンプリングガスを用いて実験を行ったところ、濃度2ppmのC5F8ガスを1分間反応させた場合の380nmにおける反射率の変化は、湿度0から65%の範囲では反射率変化3%前後の安定した変化を示したが、65%を超えると急激に感度の減少が観測された。以上より、サンプリングガスの湿度を0から65%の範囲で調節し、その範囲の中で湿度の最大値と最小値の差が20%以内に調節することで、反射率の変化を平均±0.2%未満にすることができ、安定な検出を行うことができる。
なお、湿度とは、一般的に用いられている湿度であり、単位体積当たりある温度における飽和水蒸気量に対する気体が実際に含む量の百分率である。温度とはここでは摂氏を意味する。
【0052】
サンプリングガスの湿度を20%以下にすると、検出剤において、高感度を保ちながら、サンプリングガスの湿度依存性が、反射率変化で平均ほぼ±0.3%にすることができ、安定な検出を行うことができる。従って、サンプリングガスの湿度を20%以下に調節することで、反射率変化の湿度依存性を平均±0.3%以下にすることが好ましい。以上の方法は、6ヶ月後も同様な反射率変化、すなわち感度が観測され、耐久性、ライフの観点から好ましい。
【0053】
同様に、検出剤に一定の水分を含ませることでも、検出におけるサンプリングガスの湿度の影響を抑制できる。
後述する実施例6に示すように、検出剤に水分を7mMの濃度で加え、サンプリングガスの湿度依存性を調べると、サンプリングガスの湿度0から75%の範囲で安定した検出を行うことができた(図6参照)。
【0054】
これらのことから、基材及び/又は検出剤自体が水分を含んでいると、検出剤直上の空間の気体は湿度の比較的大きい状態に保たれ、供給されるサンプルガス本体の湿度に依らず、ガス状のフッ化物と検出剤との反応は、図4のサンプルガス自体が高湿度の時の比較的小さな反射率変化の部分で安定化されているものと考えられる。
本発明においては、基材に含有させる水分の量を0.5μg/cm3以上の一定量とするか、及び/又は、検出剤に含有させる水分の量を4mM以上の一定量とするのが好ましい。
【0055】
以上のとおり、本発明において、サンプリングガスの湿度を一定の範囲に制御することで、検出剤において、高感度を保ちながら、安定な検出を行うことができる。
本発明において、サンプリングガスの湿度を一定の範囲に制御する方法としては、除湿チューブを用いるか、ベルチェ素子の冷却する部分に接触させるか、あるいは、アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカ、塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム及び酸化カルシウムから選ばれる固体乾燥剤に接触させる、また精密空調システムを用いる等の方法が挙げられる。
【0056】
除湿チューブの一例として、ナフィオンチューブ(商品名)が挙げられる。ナフィオンチューブとは、スルホン酸基等の極性基を有するもしくは混合したテフロン系のチューブの総称で、除湿や、逆の加湿などに用いられる。チューブの内側と外側の湿度勾配や物質濃度勾配により、湿度の調節、イオン交換などが可能となるチューブのことである。そのため、ナフィオンチューブの外側に乾燥させた気体を流しながら、湿度を有するサンプリングガスをチューブ内部に通過されるナフィオンチューブ内外で湿度勾配が生まれ、ナフィオンチューブの材質中にあるスルホン酸基をとおして、水分が内側から外側へ排出され水分を除去でき、湿度を低下させる。スルホン酸基の化学的な性質から、その他の極性ガス分子である酸性ガスやアルコール、アンモニアも除去が可能である。
【0057】
また、イオン透過膜とは、ナフィオンチューブも含まれ、水素イオンやその他のイオンを透過させることができる膜である。その際、膜の上下で電位差を生じることがあり、逆にこれを利用して電圧をかけながら、水分を積極的に透過、移動させることが可能となる。この原理を用い、電気的なエネルギーを除湿や加湿に用いることができる。
【0058】
また、前記ペルチェ素子とは、主に半導体や典型重元素からなる素子であり、温度の差により、電位差を生じる現象を有する。この原理の逆に用いることで、すなわち、両端に電位を印加させることにより、両端の温度差が生じ、片側を冷却したり、加熱したりすることが可能となる。
【0059】
また、本発明では、検出剤の化学反応を用いるため、その反応速度は温度の影響を受ける。例えば、25℃に比べ、サンプリングガスの温度を上昇させると、DBM検出剤を用い、乾燥空気をベースガスとしたサンプリングガスを用い、濃度2ppmのC5F8ガスを1分間反応させた場合の380nmにおける反射率の変化を観た同一の条件において、その感度の明らかな増加が観測された。従って、安定な検出を行うには、温度を一定にする制御も重要である。
温度は一定であればあらゆる値をとりうるが、現実的な視点からは、0℃以上100℃以下が好ましい。実用的な視点からは、20℃から80℃の間の温度が好ましい。温度制御や反応促進の容易さからは、30℃から80℃の間の温度が最も好ましい。安全性や省エネの観点から、30℃から50℃の間の温度が最も好ましい。
【0060】
本発明において、前述の湿度及び温度を調節するのに好ましいシステムとして、精密空調システムが挙げられる。該精密空調システムとは、環境空気の温度、湿度をある範囲に調節するものであり、例えば、AUGUS(アメフレック社製)、AP-650F-C/AP-600FK-F(ORION社製)などがある。原理的には小型化が可能である。
【0061】
さらに、空気中には二酸化炭素も存在し、その濃度は300ppm前後と言われている。また、人が多くいる部屋では、その濃度は増加し、3000ppmに達することがある。
そこで、二酸化炭素の濃度依存性も調べたところ、サンプリングガスの湿度を20%未満の乾燥状態にし、DBN検出剤を用い、約40℃で二酸化炭素の濃度変化させたサンプリングガスを用いて実験を行ったところ、濃度2ppmのC5F8ガスを1分間反応させた場合、380nmにおける反射率の変化は、二酸化炭素の濃度が0%から30000ppm(3%)へと増加しても、検出の感度に変化はなく、ほとんど影響を受けないことがわかった。
【0062】
さらに、本発明の方法は、妨害ガスの影響を受けずに検出対象であるガス状のフッ化物の安定した検出を行うことができる。妨害ガスとは、サンプリングガス中に含まれる塩酸、フッ素酸、カルボン酸系、二酸化炭素、スルホン酸系等の酸性ガス、あるいはアルカリ性のアンモニアガス、飽和型のパーフルオロカーボンの一種であるフロリナート、パーフルオロエーテルの一種であるノベックや炭素飽和型ガルデンなど、フッ素系洗浄剤、冷却材、絶縁液体からのガス、あるいはアルコール、アセトン、ヘキサン、シクロエキサン、トルエンなどの有機溶剤などの、不純物気体すべてを表す。
本発明では、サンプリングガス中に、数十ppmレベルの妨害ガスが存在していたとしても、サンプリングガスの湿度を20%未満の乾燥状態にすると、検出における前記と同様な反射率変化は、ほとんど影響を受けないことがわかった。
以上のことは、本発明の高性能を示すものである。
【0063】
また、本発明では、検出剤が存在する反応場において、サンプリングガスを吹き付け、反応させる前に、乾燥気体もしくは妨害ガスを予め吹き付けると、検出における反射率の変化が、安定化する場合がある。これは、基材材表面の検出剤において、活性な反応サイトが予め抑制され、平均的な反応が進行するようになるためである。乾燥空気もしくは妨害ガスを吹き付ける場合、1分以内の短時間で、温度も30℃〜80℃の中から選ばれる一定の値で、加熱しながら行うと効率的である。
【0064】
本発明では、除塵することや酸性ガスを除去することで、それらに検出を妨害される確率を軽減できる。
除塵するためには、市販の一般的なフィルターに通過させることで可能となる。また、アミン誘導体やピリジン誘導体を有するポリマーを用いることで、除人と酸性ガスの除去が同時にできる。特に、分子周りが嵩高いアミン誘導体や嵩高いピリジン誘導体を有するポリマーを用いる、または、ビスイミダゾールを有する有機化合物、すなわち連続するイミン構造、−N=C−C=N−を有するイミダゾールが二つ繋がった化合物や、アルキルアミジン芳香族誘導体、すなわちR1−N=C−N−(R2)2(R1、R2はアルキル基であり、R1とR2の間で環を形成しない)表わされるアルキルアミジン基が、Cの部分で直接、ベンゼンやチオフェンで代表される芳香族に結合した化合物を含むフィルターを利用することで、妨害ガスである酸性ガスを効率的に除去しながら、検出対象であるガス状のフッ化物は、そのまま通過させることができる。嵩高いアミン誘導体や嵩高いピリジン誘導体、ビスイミダゾールを有する有機化合物、アルキルアミジン芳香族誘導体は、検出対象であるガス状のフッ化物と反応せず、有用である。
【0065】
以下、本発明の方法を実施するのに適した検出装置について説明する。
本発明の、ガス状のフッ化物の検出装置は、前述のガス状のフッ化物を、基材表面で反応させた検出剤の反射率変化により検出するものであって、
前記検出剤を表面及び/又は内部に有する基材を配置した反応室と、
該反応室に前記サンプリングガスを導入する手段と、
前記サンプリングガスを前記反応室から排気する手段と、
を有しており、
前記サンプリングガスが反応室に導入される前にその湿度を調節する手段を備え、
少なくとも前記反応室は、外気と接触しない機密構造体で構成され、反応室内の湿度、或いは、要すればさらに温度を一定に保持できるようにされていることを特徴とするものである。
【0066】
サンプリンガスが導入される前に、反応室に予め存在する気体の湿度は、導入されるサンプリングガスの湿度と同じことは望ましいが、少なくとも許される範囲での一定湿度に予め設定されていることが短時間で再現性のある検出データを取得するためには必要である。反応室に存在していた気体の湿度がある値の範囲に制御されていないと、反応室に存在していた気体が、サンプルガスが導入されてから完全にサンプルガスで置き換えられるまでは検出剤上方の(反応場の)湿度の再現性は保証されない。サンプルガス流量が反応室の容積に比べて少ないときは再現性のある検出が可能になるまでは時間がかかってしまう。
【0067】
本発明において、反応室に導入されるサンプリングガスの容積は、反応室の容積に比べ十分大きいことが好ましく、具体的には、ポンプの作りだす単位時間あたりの流量の増大と、反応室のコンパクト化とにより上記の再現性が保証される。また、本発明において、サンプリンガスが反応室に導入される前に湿度を一定範囲、例えば、湿度20%以下にする機構が設けられ、その湿度を有するサンプリンガスが定常的に流れるため、上記の再現性が保証される。
【0068】
図8〜13は、本発明の、ガス状のフッ化物の検出装置の例を、模式的に示す図である。
本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、これらの図に示すように、反応室100と、該反応室へのサンプリングガスの導入口110と、該反応室からのサンプリングガスの排気口120とを有し、該反応室100外または内には、光を発する部分(光源300)と、反射光を測定する部分(検出器400)と、水分40及び/又は検出剤20が滴下、又は塗布、又は噴霧された基材10であるテープもしくは基板を配置する部分120とを有する。該水分40及び/又は検出剤20を滴下、塗布、噴霧された基材からの反射光を測定する部分は、該サンプリングガスと該検出剤とが反応する反応場121に設けられる。少なくとも該反応場121にある検出剤を含む基材の一部に該光を発する部分からの光が照射され、そこからの反射される反射光の反射率により該ガス状のフッ化物の濃度情報を得る。
該光源300が該反応室100内にない場合は該反応室100を貫通した光導入部分301を設けて該光源300から光を該検出剤を含む基材表面へ照射する。検出器400が該反応室100内にない場合は該反応室100を貫通した反射光導出部分401を設けて反射光を該検出器400へ導く。該光導入部分301、該反射光導出部分401の具体例としては、該反応室100に設けた光学窓、該反応室100を貫通する光ファイバー等が挙げられる。
そして、図8に模式的に示すように、該反応室100は、前記のサンプリングガスの導入口とサンプリングガスの排気口以外は、気密構造筐体で構成される。要すれば該サンプリングガスの導入口と該サンプリングガスの排気口以外の全体を覆う気密構造筐体200がさらに設けられている。
【0069】
本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図9に示すように、前記の反応室内に設けられた、光を発する部分が微小な光源310、例えばLED素子であり、反射光を測定する部分が微小なフォトセンサ410であってもよい。この場合、両者が一体となっている形態もある。この場合、配線302、402が気密構造筐体(反応室)100から導き出される。図9において、302は微小な光源310への電気配線、402は微小なフォトセンサ410への電気配線である。
【0070】
また、本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図10に示すように、光導入窓113から反応場に光を入射し、そこからの反射光を反射光導出窓114から取り出す構造もある。
【0071】
さらに、本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図12、13に示すように、光導入ファイバー303から反応場121に光を入射し、そこからの反射光を反射光導出ファイバー403から取り出す構造もある。この場合、両者が一体となっている形態もある。この場合、各ファイバーが、気密構造筐体100中の反応場近傍へ導入される。
図12、13では光ファイバー303が光導入部分301の役割を果たし、光ファイバー403が反射光導出部分の役割を果たす。
【0072】
図14は、本発明の、光を発生する光源に繋がる光導入部分及び反射光を検出する検出器に繋がる反射光導出部分341、ガス導入口110、ガス排出口130、ポンプ701、フィルター501、ペルチェ素子620、除湿チューブ502、水又は検出剤のタンク80、テープ状の基材11の搬送機構、解析器420、警報器430等を設けた検出装置の構成全体を模式的に示す図である。
図中、100は、反応室であって、内部に、図8〜13に示した検出装置が配置されている。図中、矢印Aは、基材の搬送方向、矢印Bは、ペルチェ素子620から排水口に向かう排水の流れ、矢印Cは、空気もしくは窒素の流れ、矢印Dは、排気もしくはリサイクルされる空気もしくは窒素の流れ、矢印Eは、ペルチェ素子を冷却して排水口に向かう冷却水の流れ、をそれぞれ示している。
【0073】
本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、温度を一定にする手段を更に設けて測定の再現性または精度を向上させることができる。
すなわち、主に基材であるテープの裏側の温度調節する手段や、反応場の気密構造筐体の壁面全体の温度を一定にする手段を設けることができる。具体的には、基材の下部、もしくは反応場全体を囲む壁の部分に、20℃、30℃、40℃等に温調できる手段を設ける等の方法を用いることができ、例えば、反応室100内の基材の下部に、温度調節器610を内蔵した土台を配置した場合には、該土台を、基材の搬送、検出等に合わせて該土台を上下動させる。
また、サンプリングガスの導入口から、反応場までの途中に、サンプリングガスの温度を一定にする手段を設置できる。この温度を一定にする手段としては、電熱線と熱電対を有する温調器630、ペルチェ素子等620の温調器を用いることができる。
【0074】
また、本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図14に示すように、サンプリングガスを導入口110から吸気し、排気口130へ排気して、サンプリングガスが流れてゆくための部分を有する。
すなわち、サンプリングガスを検出剤の存在する基材表面にふきつける際に、図14に示すように、その流量が一定になるよう、ポンプ701などのポンピングシステム、および流量制御を行うマスフローコントローラ等の流量計703が設けられる。更に、図14に示す装置においては、流量計703の前に、圧力計702及び温度調節器630を設けてある。
【0075】
本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図14に示すように、サンプリングガの導入口110から反応室100までの途中に、除湿するための除湿チューブ502、例えば、ナフィオンチューブ等を設け、除湿する部分が必要である。ナフィオンチューブを用いた場合には、ナフィオンチューブの外側に乾燥気体を流す必要もある。図14に示すように、該乾燥気体は、乾燥空気もしくは乾燥窒素を直接流す態様、乾燥用のペルチェ素子620に気体を通す態様や、乾燥剤を通した気体を流す部分を設ける態様等、で定常的に作られる。または、精密空調システムを用いる態様で除湿、温度の調節を行う。また、ペルチェ素子620は、サンプリングガスそのものの湿度を下げるためにも使用できる。
【0076】
本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図14に示すように、サンプリングガスの導入口に除塵や酸性ガスを濾しとるフィルター501を設けることにより安定した検出ができる。
【0077】
本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図11、13に示すように、水分及び/又は検出剤をタンク20、40に保存し、必要な時に基材10であるテープもしくは基板に、水分及び/又は検出剤を塗布、もしくは滴下、もしくは噴霧する機構(図示せず)が設置される。滴下は、液を押し出し、一定量の水分及び/又は検出剤が垂らされる。塗布は、刷毛やノズルから直接、検出剤が塗られる。噴霧は、プリンターカートリッジの原理で、検出剤が一定量ノズルから噴霧される。
【0078】
検出剤を保存したタンクから供給する場合は、図11、13に示すように、検出剤20を含ませた基材10であるテープもしくは基板は、一方向に搬送される。その際、反応場のある気密構造筐体100へは、機密性のあるローラーや、テープ部分が搬送される部分の開閉される機構が設けられる。しかし、図13に示すように、ローラー30は気密構造筐体100の外側に設け、保守、塵埃発生対策、基体の交換を容易とすることができる。その場合、外側の気密筐体200内に設けて外気からの湿度、汚染防止対策を採ることができる。
【0079】
さらに、例えば図13に示すように、光ファイバー303、304を設けた場合、反応場のファイバー先端を拭く機構、すなわち図13の基材を上下させ、該ファイバー先端に接触させることで、該ファイバー先端を拭き、クリーニングされる機構が更に設けられる。また、検出剤タンクの先端も同様な拭く機構が更に設けられる。拭き取りに使用する液は検出剤タンクの前に設けられる、水分を調節する、例えば水を一定量含んだエタノールもしくはイソプロバノールのタンク内の液を用いて、それを含ませたテープもしくは基板により該ファイバー先端の拭き取りを行う。これらの拭き取り機構は、毎回もしくは決められた間隔で、例えば、テープの下に設置される部分を上下に駆動することにより行う。
【0080】
さらに、検出剤タンクを用いない場合、例えば図15に示すように、テープ11内に検出剤20を含ませ、それをラップした基材を用いることができる。この場合、該テープは、図15の上段に示すように、反応場側のラップ13を検出前に剥がして、ローラー31で巻き取ってゆく機構が設けられる。もしくは、図15の下段に示すように、反応場側からラップに、先端の鋭利な細かい針19などで穴を開ける機構が設けられる。これによりサンプリングガスを検出剤と接触させ、安定な検出ができる。
【0081】
さらに、検出剤タンクを用いない場合、例えば図16に示すように、テープ内に検出剤20を含んだ基板を格子状に配置内封した基材を用いることができる。この場合、検出剤を含んだ基板は各部分で分離密閉した態様で用いられる。そのラップを、図16の上段に示すように、反応場側のラップ13を、半面分、検出前に剥がしてゆく機構が設けられる。もしくは、図16の下段に示すように、反応場側からラップに、先端の鋭利な細かい針19などで穴を開ける機構が設けられる。これによりサンプリングガスを検出剤と接触させ、安定な検出ができる。
【0082】
また、検出剤タンクを用いない場合、例えば図17に示すように、検出剤を含んだカプセルもしくは袋を接着したテープ14を用いることができる。図17に示すように、検出前にローラー18などで圧搾、もしくは先端の鋭利な細かい針14などで穴を開ける機構が設けられ、その際、内包された検出剤は基材表面へ沁み出てくる。ローラー、針を洗浄する、もしくは拭く機構を更に設けるのが好ましい。これによりサンプリングガスを検出剤と接触させ、安定な検出ができる。
以上、テープ内に検出剤を含ませ、内包した基材を用いる場合、前記の検出剤タンクは必要ないが、水分を調節する、例えば水を一定量含んだエタノールもしくはイソプロパノールのタンクは、検出前に使用される。基材の水分量を規定の値に保つため、該テープ全体をラップする態様がある。この場合、検出前にそのラップを前記図15,16に示したように剥がす機構が設けられる。このラップ構造を用いない場合は、検出前に、図14に示したペルチェ素子で乾燥した気体を基材に吹き付けることで基材の水分量を調節する。この場合は該テープ全体をラップする必要はない。
【0083】
図14に示すように、本発明において反射光を検出する検出器400からの信号を解析する部分(解析器420)が設置される。解析の方法は、例えば、割り算回路を用いて、前述のλ1およびλ2の電気信号の比をとり、その値をモニタリングするものである。さらに、モニタリングしている値が、ある閾値を超えると、それをランプもしくは音を出すブザーで知らせる警報の部分(警報器430)も設置される。これらの機構により、問題となる検出対象ガス、すなわち分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を検出する機能を有する化合物またはその混合物と選択的に反応して、該フッ化物を安定的に、安全の観点から管理ができる。
【0084】
以上の方法および装置は、室内や作業現場、工場内の環境測定のためのものにも応用される。すなわち、サンプリングガスを流すポンプと、検出剤が存在する筒状の管を配置する基材部分と、を有し、該サンプリングガスの導入口と該サンプリングガスの排気口以外は気密構造筐体から構成され、サンプリングガス乾燥部もしくは乾燥剤を、検出剤が存在する筒状の管から見て該サンプリングガスの導入口側に設けることを特徴とする、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、短波長可視光ないしUV照射による比色で検出もしくは検査するための装置にも応用される。
【0085】
例えば、図18(a)に示すように、筒状の管800に、検出剤20および、フィルター50と乾燥剤60を封入したユニットを用意する。検出剤20は、筒状の管にアルミナ、シリカ、もしくは粒状のポリマーなどに吸着させた状態で封入される。この場合、上記アルミナ、シリカ、もしくは粒状のポリマーなどは本発明の基材として機能する。粒径は、反応効率および流量の確保の面から、数百μmが好ましい。乾燥剤には無水硫酸ナトリウムなどの無水塩を用いるのが好ましい。乾燥器は、前述したペルチェ素子や無水塩、モレキュラーシーブ、ゼオライト、それらの組み合わせが用いられる。
該管状の管800には、図18(a)に示すようにサンプルガス導入口810とサンプルガス導出口830が設けられ、該フィルター50及び乾燥剤60は該サンプルガス導入口830側に、該検出剤20は該サンプルガス導入口830側に封入されている。必要ならば、該乾燥剤60と検出剤20の間にはセパレータ62が設けられる。このユニット保管時には該サンプルガス導入口810とサンプルガス導出口830は両端封じられている。環境測定をする直前に両端の封止部分70を取り去り(図18(b))、該筒状の管800のサンプルガス導出口にポンプ700を接続する(図18(c))。または、サンプルガス導入口810に乾燥器500を接続し、湿度を調節しながら測定を行う。
環境中に、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、又は/もしくは、分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物が存在している場合は、筒状の管に短波長可視光ないし紫外線を照射することにより、その反射の変化として観測できる。
【実施例】
【0086】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。本発明の技術思想の範囲内での変更及び他の態様又は実施例は、全て本発明に含まれる。
なお、以下に記載する各実施例では、特に記載する場合を除き、反応場の温度は25℃で一定にした。
【0087】
(実施例1)
乾燥した検出剤DBN約10mgを、室内空気中で保存した縦1cm×横3cm×厚み1mmのアルミニウム上に形成した厚み0.2mmの基材(アルミナ板、Al2O3)に浸みこませ、PET製の高さ1.2cm×横幅5cm×奥行き1.2cmから成る反応室に設置した。尚、検出剤の乾燥は、無水硫酸マグネシウムに上記の液体を接触させることで行った。以下、DBNなどの液体は、特段の記述がない限り、無水硫酸マグネシウムに液体を接触させ乾燥させてある。光源はキセノンランプ(LAX-100、朝日分光社製)を用いた。そこへ1気圧の乾燥窒素ベースのガス濃度2ppmのC5F8のガスを、25℃、約900mL/分の一定流量で、1分ごとに該アルミナ板上に吹き付けると、紫外可視領域の反射率変化が340〜500nmにおいて確認できた(図1)。反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。図1の(1)、(2)からわかるように、乾燥窒素のみでは有意な変化は観測されないが、2ppmのC5F8のガスが導入されると、1分ごとに反射率が有意に変化する。
【0088】
(実施例2)
次に、乾燥したDBN約60mgを乾燥したトリイソブチルアミン約60mgに混合した液体約2μLを、室内空気中で保存したメッシュ径約3μmを有するセルロース(いわゆる、濾紙、ADVANTEC社製、No.6、直径約7mm、厚み0.2mm、特に記載した場合を除き、以下、同じ)に浸みこませ、テフロン(登録商標)製の高さ2cm×横幅1cm×奥行き1cmからなる反応室に設置した。光源はハロゲンおよび重水素ランプ(DH-2000、オーシャンオプティクス社製)を用いた。そこへ1気圧の乾燥空気に二酸化炭素4000ppm混合したベースガスに、濃度2ppmのC5F8のガスを混入させ、約40℃、約800mL/分の一定流量で、1分ごとに該セルロースに吹き付けた。反応場の温度は、サンプリングガスの加熱機構(ヒーターおよび熱電対付き、手作り)および反応室を温度一定にするプレート(アズワン、HP-4530)により40℃に調節した。その結果、紫外可視領域の反射率変化が350〜500nmにおいて確認できた(図2)。反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。図2の(1)、(2)からわかるように、乾燥空気のみでは有意な変化は観測されないが、2ppmのC5F8のガスが1分ごとに導入されると反射率が有意に変化する。以上より、検出する条件、反応場や装置の設定の仕方に関わらず、550nmより短波長側で、検出対象ガスであるC5F8を2ppm、1分という効率で、有意な反射率の変化を捉えることができる。また、検出剤や基材の設定を本実施例のように固定すれば、定量的に検出することがわかる。
【0089】
(実施例3)
次に、前述のDBNとは違う乾燥したDBU約60mgを乾燥したジシクロヘキシルメチルアミン約80mgに混合した液体約3μLを、乾燥空気中で保存したメッシュ径約3μmを有するセルロースに浸みこませ、テフロン製の高さ2cm×横幅1cm×奥行き1cmからなる反応室に設置した。光源はハロゲンおよび重水素ランプ(DH-2000、オーシャンオプティクス社製)を用いた。
室内空気20Lに、妨害ガスの原因となるパーフルオロエーテルの一種であるペルフルオロ(n−)ブチル]メチルエーテル(3M社製 商品名:Novec7100)の液体を30mL入れ、自然蒸発させ、Novec7100が飽和したベースガスを準備した。そのベースガスを1気圧の状態で、濃度2ppmのC5F8のガスを混入させ、25℃、約500mL/分の一定流量で、1分ごとに該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の反射率変化が350〜500nmにおいて確認できた(図3)。反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。図3の(1)、(2)からわかるように、室内空気にNovec7100が飽和したベースガスのみでは有意な変化は全く観測されないが、2ppmのC5F8のガスが1分ごとに導入されると反射率が有意に変化する。
【0090】
以上の実施例1〜3より、検出する条件、本発明における検出剤の分子構造の違い、反応場や装置の設定の仕方に関わらず、550nmより短波長側で、検出対象ガスであるC5F8を2ppm、1分という効率で、有意な反射率の変化を捉えることができる。また、検出剤や基材の設定を本実施例のように固定すれば、定量的に検出することがわかる。
【0091】
(実施例4)
本実施例では、乾燥した基材及び乾燥した検出剤を用いて、サンプリングガスの湿度の検出感度への影響を調べた。尚、セルロースは、真空ポンプで約100℃、約5分間で乾燥し、無水硫酸マグネシウムを共存させた所で保存した。セルロースの乾燥度は、Moisture Tester HK-300で確認し、その値はほぼ0%であった。
乾燥したDBN約60mgを乾燥したジシクロヘキシルメチルアミン約100mgに混合し、その液体約2μLを、乾燥したメッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、テフロン製の高さ2cm×直径約8mmの円筒形からなる反応室に設置した。
なお、本実施例では、DBN約60mgとジシクロヘキシルメチルアミン約100mgとを混合したが、この混合の比率はあらゆる値をとることができ、本実施例に限定されるものではない。
そこへ1気圧の乾燥空気ベースの、様々に湿度を変えたガス状の濃度2ppmのC5F8のガスを、室温25℃、約800mL/分の一定流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の反射率変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。550nmの反射率に対する380nmの反射率の差分を、1分ごとに測定した。尚、反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。
本実施例においては、550nmに対する380nmの反射率の変化の絶対値を、様々に湿度に対してプロットした。なお、スペクトル変化を捉える際、本実施例の条件に限定されるものではなく、流量や測定する波長、ある波長域の積分値などあらゆる組み合わせが可能である。
図4は、その結果を示すグラフである。反射率変化の湿度依存性は、図4に示すように、湿度40〜50%に極大を持つ大きな影響を受けることがわかった。
【0092】
(実施例5)
本実施例では、水を浸みこませた基材を用いて、サンプリングガスの湿度の検出感度への影響をしらべた。
エタノールに水を加え、その濃度を110μMとした。その液体を直径約7mmの乾燥したセルロースにマイクロピペッタで2μL浸みこませ、自然乾燥させた。この場合、滴下した水の質量は約4ngとなり、エタノールが自然蒸発した後は、該セルロースに含まれる水分量は約0.5μg/cm3となる。
次いで、実施例4と同様にしてDBN約60mgをジシクロヘキシルメチルアミン約100mgに混合した液体約2μLを、前述のセルロースに浸みこませ、テフロン製の高さ2cm×直径約8mmの円筒形からなる反応室に設置した。
なお、本実施例ではDBN約60mgとジシクロヘキシルメチルアミン約100mgとを混合したが、この混合の比率はあらゆる値をとることができ、本実施例に限定されるものではない。
そこへ1気圧の乾燥空気ベースの、様々に湿度を変えたガス状の濃度2ppmのC5F8のガスを、室温25℃、約800mL/分の一定流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の反射率変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。550nmの反射率に対する380nmの反射率の差分を、1分ごとに測定した。尚、反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。
実施例4と同様に、550nmに対する380nmの反射率の変化の絶対値を、様々に湿度に対してプロットした。
図5は、その結果を示すグラフである。図に示されるように、湿度0から65%の範囲では反射率変化3%前後の安定した変化を示したが、65%を超えると急激に感度の減少が観測された。また、サンプリングガスの湿度が20%以下の場合、湿度依存性が、反射率変化で平均ほぼ0%にすることができ、安定な検出を行うことができることがわかる。また、サンプリングガスの湿度20から65%の範囲では、その湿度の調節範囲、すなわち最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することで、反射率の値のばらつきを±0.33%に抑えることができ、安定な検出を行うことができることがわかる。
以上のとおり、光学的変化を捉える手法の一つを用い、反応場、ここでは基材の水分量を調節することにより、ガス状の不飽和炭化水素のフッ化物の一種であるC5F8を安定して検出できる。尚、ジシクロヘキシルメチルアミンのみで同様の検出を行った場合は、該アミンはC5F8とは反応せず、本発明における前記の光学的な変化は起こさない。
【0093】
(実施例6)
本実施例では、検出剤に水を含有させ、サンプリングガスの湿度の検出感度への影響をしらべた。
DBN約60mgをジシクロヘキシルメチルアミン約100mgに混合した。この混合液に水を濃度約14mMになるように加え、その液体を、実施例4で用いた直径約7mmのメッシュ径約3μmのセルロースにマイクロピペッタで2μL浸みこませた。そして、テフロン製の高さ2cm×直径約8mmの円筒形からなる反応室に設置した。
なお、本実施例ではDBN約60mgとジシクロヘキシルメチルアミン約100mgとを混合したが、検出剤におけるDBNと該アミンの混合比率はあらゆる値をとることができ、本実施例に限定されるものではない。
そこへ1気圧の乾燥空気ベースの、様々に湿度を変えたガス状の濃度2ppmのC5F8のガスを、室温25℃、約800mL/分の一定流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の反射率変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。550nmの反射率に対する380nmの反射率の差分を、1分ごとに測定した。尚、反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。
実施例4と同様に、550nmに対する380nmの反射率の変化の絶対値を、様々に湿度に対してプロットした。
図6は、その結果を示すグラフである。図に示されるように、湿度0から75%の範囲では反射率変化が2%前後となり、安定な検出を行うことができることがわかる。75%を超えると急激に感度の減少が観測された。また、サンプリングガスの湿度0から75%の範囲では、その湿度の調節範囲、すなわち最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することで、反射率の値のばらつきを±0.13%に抑えることができ、安定な検出を行うことができることがわかる。
以上のとおり、光学的変化の手法の一つを用い、反応場、ここでは検出剤の水分量を調節することにより、ガス状の不飽和炭化水素のフッ化物の一種であるC5F8を安定して検出できた。
【0094】
(実施例7)
前後に示すほとんど実施例は、温度は室温25℃で一定としたが、反応場の温度を、サンプリングガスの加熱機構(ヒーターおよび熱電対付き、手作り)および反応室を温度一定にするプレート上(アズワン、HP-4530)に設置して、25℃から、40℃、60℃と昇温すると、図7に示すように550nmの反射率に対する380nmの反射率の差分が、大きく増加することがわかった。尚、本実施例では、1気圧の乾燥空気ベースに、濃度2ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の一定流量で該セルロースに吹き付け、550nmの反射率に対する380nmの反射率の差分を、1分ごとに測定した。尚、反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。
すなわち、シグナルの大きさは反応場の温度により影響を受け、昇温によりシグナルは増大するので、安定したシグナルを得るためには温度を一定にすることが重要である。また、昇温により反応が促進されることが明らかであり、検出のための高感度化を行える。
【0095】
(実施例8)
本実施例では、実施例5に用いたと同じ基材を用い、湿度の調節にナフィオンチューブを用いた。
実施例5と同様にして、エタノールに水を加え、その濃度を110μMとした。その液体を直径約7mmの乾燥したメッシュ径約3μmのセルロースにマイクロピペッタで2μL浸みこませ、自然乾燥させた。
次に、実施例5と同様にしてDBN約60mgをジシクロヘキシルメチルアミン約100mgに混合した液体約2μLを、前記セルロースに浸みこませ、図12に概略的に示すテフロン製の高さ2cm×直径約8mmの円筒形からなる反応室に設置した。尚、DBNとジシクロヘキシルメチルアミンの混合の比率はあらゆる値をとることができ、本実施例に限定されるものではない。
次いで、長さ約1mのナフィオンチューブ(バイタラインH)の外部に乾燥空気を約2L/分で流しながら、1気圧の室内空気ベースの様々な湿度の濃度2ppmのC5F8のサンプリングガスを室温25℃、約800mL/分の流量で該ナフィオンチューブ内部に通したあと、検出剤の存在する前記セルロースに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。
本実施例のように、外部に乾燥空気を流しながら、ナフィオンチューブを用いることで、湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて12%以下に減少させることができる。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化3±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、ナフィオンチューブを用いて反応場の湿度および水分量を調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0096】
(実施例9)
本実施例では、ある水分量を有する検出剤を用い、湿度の調節にナフィオンチューブを用いた。
DBN約60mgとジシクロヘキシルメチルアミン約100mgの混合液に濃度約4mMの水を含ませ、それを直径約7mmのメッシュ径約3μmセルロースにマイクロピペッタで2μL浸みこませた。そして、テフロン製の高さ2cm×直径約8mmの円筒形からなる反応室に設置した。なお、DBNとジシクロヘキシルメチルアミンの混合の比率はあらゆる値をとることができ、本実施例に限定されるものではない。
次いで、実施例8と同様にして、長さ約1mのナフィオンチューブを用いて、検出剤の存在する前記セルロースのテープに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。
本実施例においても、ナフィオンチューブを用いることで、湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて15%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化2.8±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、ナフィオンチューブを用いて反応場の湿度および水分量を調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0097】
(実施例10)
本実施例においては、基材として、乾燥したDBNを浸みこませた後、水を含んだジシクロヘキシルメチルアミンを浸みこませたセルロースを用い、湿度の調節にナフィオンチューブを用いた。
まず、乾燥したDBNを幅約1cmのメッシュ径約3μmセルローステープにマイクロピペッタで約1.5μL浸みこませ、次に濃度約2.8Mの水を含んだジシクロヘキシルメチルアミンをマイクロピペッタで約2.5μL浸みこませた。そして、テフロン製の高さ2cm×横幅1cm×奥行き1cmからなる反応室に設置した。なお、DBNとジシクロヘキシルメチルアミンの混合の比率はあらゆる値をとることができ、本実施例に限定されるものではない。
次いで、実施例8と同様にして、長さ約1mのナフィオンチューブを用いて、検出剤の存在する前記セルロースのテープに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。
本実施例においても、ナフィオンチューブを用いることで、湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて11%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化2.5±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、ナフィオンチューブを用いて反応場の湿度および水分量を調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0098】
(実施例11)
本実施例においては、基材として、高湿度下で湿らせた後、乾燥したDBMとジシクロヘキシルメチルアミンを浸みこませたセルローステープを用い、湿度の調節にナフィオンチューブを用いた。
ます、幅約1cmのメッシュ径約3μmセルローステープを、湿度約40−50%の空気中に2時間置いた。それを同じ空気の存在するデシケータ中に外気から遮断した状態で保存した。該セルローステープをデシケータから取り出し、該セルローステープに、乾燥したDBN約60gと乾燥したジシクロヘキシルメチルアミン約100gの混合液を約4μL、前記セルローステープに浸みこませ、テフロン製の高さ2cm×横幅1cm×奥行き1cmからなる反応室に設置した。
次いで、実施例8と同様にして、長さ約1mのナフィオンチューブを用いて、検出剤の存在する前記セルロースのテープに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。
本実施例においても、ナフィオンチューブを用いることで、湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて14%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化3±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、ナフィオンチューブを用いて反応場の湿度および水分量を調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0099】
(実施例12)
本実施例では、基材として、実施例7と同様の基材をフィルム(HDPE(製品名)、千代田化学株式会社)で包んだものを用い、湿度の調節にナフィオンチューブを用いた。
まず、幅約1cmのメッシュ径約3μmセルローステープを湿度約40−50%の空気中に2時間置いた。該セルローステープに、乾燥したDBNと乾燥したジシクロヘキシルメチルアミンの重量比約3:5の混合液を全体に浸みわたらせた。該セルローステープを図11に示すように、該フィルムで包んで外気から遮断した状態で保存した。
次に、該フィルムをC5F8ガスを検出する直前に図に示すように剥がし、テフロン製の高さ2cm×横幅1cm×奥行き1cmからなる反応室に設置した。
次いで、実施例8と同様にして、長さ約1mのナフィオンチューブを用いて、検出剤の存在する前記セルロースのテープに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。
本実施例においても、ナフィオンチューブを用いることで、湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて12%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化2.9±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、ナフィオンチューブおよびテープをラップする態様を用い反応場の湿度および水分量を調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0100】
(実施例13)
本実施例では、実施例8に用いたと同じ基材を用い、湿度の調節に無水硫酸ナトリウムを用いた。
ます、実施例8と同様にして、エタノールに水を加え、その濃度を110μMとした。その液体を直径約7mmの乾燥したメッシュ径約3μmのセルロースにマイクロピペッタで2μL浸みこませ、自然乾燥させた。
次に、実施例8と同様にしてDBN約60mgをジシクロヘキシルメチルアミン約100mgに混合した液体約2μLを、前記セルロースに浸みこませ、テフロン製の高さ2cm×直径8mmの円筒形からなる反応室に設置した。
次いで、長さ約30cm、直径約2cmのガラス管に無水硫酸ナトリウムを詰め、そこへ1気圧の室内空気ベースの様々に湿度の濃度2ppmのC5F8のガスを、室温25℃、約800mL/分の流量でサンプリングガスを通し、その後流出してくるサンプリングガスを該セルロースに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。尚、反応場は真空にしていない。
本実施例においては、無水硫酸ナトリウムの該ガラス管にサンプリングガスを通すことで、湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて20%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化3±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、無水硫酸ナトリウムを用いて反応場の湿度および水分量を調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0101】
(実施例14)
本実施例では、湿度の調節にペルチェ素子を用いた以外は、すべて、前記の実施例8と同様にした。
すなわち、1気圧の室内空気ベースの様々な湿度の濃度2ppmのC5F8のガスをテドラーバックから、ペルチェ素子を用いた除湿機ARD-520(アビックス)に通し、排気する部分から約800mL/分の流量で吸気し、その後流出してくるサンプリングガスを室温で、実施例8に記載のセルロースに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜90%であった。
本実施例においては、ペルチェ素子を用いた除湿機にサンプリングガスを通すことで、湿度範囲0〜90%のサンプリングガスの湿度は、40%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化2.8±0.3%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、反応場の湿度をペルチェ素子で調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0102】
(実施例15)
本実施例においては、実施例8に用いた同様なセルロース基材を用い、サンプリングガスとして、塩酸ガスを共存させたもの用いるとともに、Poly(4-pyridylvynily- co-butyl-methacrylate)の粉末を充填したガラス管を、実施例8で用いたナフィオンチューブの前段に設けた。
まず、実施例8と同様にして、エタノールに水を加え、その濃度を110μMとした。その液体を幅約1cmの乾燥したメッシュ径約3μmのセルロースのテープにマイクロピペッタで2μL浸みこませ、自然乾燥させた。
次に、実施例8と同様にしてDBN約60mgをジシクロヘキシルメチルアミン約100mgに混合した液体約4μLを、前記セルロースに浸みこませ、図12に概略的に示すテフロン製の高さ2cm×横幅1cm×奥行き1cmからなる反応室に設置した。
次いで、Poly(4-pyridylvynily-co-butyl-methacrylate)の粉末を長さ10cm、直径約5mmのガラス管に充填した。それを長さ約1mのナフィオンチューブ(バイタラインH)に連結した。ナフィオンチューブの外部には乾燥空気を約2L/分で流すようにした。そのように連結したチューブに、1気圧の室内空気ベースの様々な湿度の濃度2ppmのC5F8と濃度約20ppmの塩酸ガスを共存させたサンプリングガスを室温25℃、約800mL/分の流量で該Poly(4-pyridylvynily-co-butyl-methacrylate)ガラス管、続いてナフィオンチューブ内部に通したあと、該セルローステープに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。
本実施例においては、フィルターとしてPoly(4-pyridylvynily-co-butyl-methacrylate)ガラス管と、それに連結するナフィオンチューブを用いることで、塩酸ガスを含む湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて16%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化3±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、反応場の湿度を、ナフィオンチューブを用いて調節するととともに、Poly(4-pyridylvynily-co-butyl-methacrylate)をフィルターに用いることで、塩酸ガスを含有する場合であっても、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。また、該フィルターは除塵機能も有する。
【0103】
(実施例16)
DBN約3.5gを、シリカゲル(ワコーゲルC-300E、粒径45〜75μm、和光純薬製)約4gに水浴中冷やしながら慎重に浸みこませ、端に綿を詰めた内径0.5cm長さ10cmの管に詰め、図18(a)のようにDBNを含むシリカゲルに前記端に詰めた綿が直接接した状態で乾燥剤である無水硫酸ナトリウムを約2g詰め、最後に綿を詰め、乾燥窒素を1L流したのち、その両端をラップで蓋をした。使用する前に該両端のラップを取り外し、エアーポンプ(CM15-24、アズワン)にシリコンチューブで乾燥剤である無水硫酸ナトリウムの反対側から接続した。次に該エアーポンプを作動し約1L/分で2分間室内空気を吸気した。その間、該シリカゲル部分は色の変化がなかった。そこへ室内空気をベースとした高濃度約5%のC5F8混合気体をリリースすると、該シリカゲル部分の色は、黄色〜黄土色に変化した。
以上、本発明を用いることで、ガス状の不飽和炭化水素のフッ化物の一種であるC5F8の環境測定において、目視によりその存在を検出できた。
【0104】
(実施例17)
DBN約60mgをトリイソブチルアミン約90mgに混合し、実施例5と同様に、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度2ppmのC5F8H2のガスを、約600mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が、前述した変化と同様に400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、少なくともDBNを含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合している検出対象ガスの一種であるC5F8H2を検出できた。
【0105】
(実施例18)
DBN約90mgをトリイソブチルアミン約90mgに混合し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、そこへ湿度が20〜40%の室内空気ベースのガス状の濃度1ppmのC5F8と、濃度1ppmのC4F6と、濃度1ppmのC5F8H2を、約1:1:1で混合し、約600mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、少なくともDBNを含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるガス状のフッ化物の混合ガスを検出できた。
【0106】
(実施例19)
4,4-Dimethyl-DBN約50mgをNMP0.5mLに溶かし、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度2ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、少なくともDBNの置換誘導体を含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0107】
(実施例20)
4,7-Dimethyl-DBN約60mgをNMP0.5mLに溶かし、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。そこへ湿度がほぼ0%のドライ純空気ベースのガス状の濃度2ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、少なくともDBNの置換誘導体を含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0108】
(実施例21)
4-Phenyl-DBN約80mgをNMP0.5mLに溶かし、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度2ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、少なくともDBNの置換誘導体を含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0109】
(実施例22)
1,3,4,6,7,8-Hexahydro-2H-primido[1,2-a]pyrimidine(HPP)がポリマーの側鎖として共有結合している高分子JANDAJEL-1,3,4,6,7,8-hexahydro-2H-primido[1,2-a]pyrimidine50mgをポリブタジエンのTHF溶液(水分を0.6mg/cm3含有)1mLに分散させ、その液をガラス表面に塗布し窒素雰囲気下、THFを蒸発させた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度50ppmのC5F8のガスを、該表面に吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、少なくともHPPの置換誘導体を含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。なお、本実施例に限らず、加工性に富む有機ポリマーやセルロース、さらにはアルミナ、ガラスなどの態様も可能で、あらゆる形態に本発明は応用される。
【0110】
(実施例23)
3,4,6,7,8,9-Hexahydro-2H-pyrido[1,2-a]pyrimidine約60mgを、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度50ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物である3,4,6,7,8,9-hexahydro-2H-pyrido[1,2-a]pyrimidineを含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0111】
(実施例24)
7-Imino-3,4,6,7-tetrahydro-2H-pyrimido[2,1-a]isoquinoline 30mgとNMP1mLの混合液を、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。なお本実施例で用いた7-imino-3,4,6,7-tetrahydro-2H- pyrimido[2,1-a]isoquinolineは、一般式(I)におけるR3−R4が、一般的な炭化水素基、すなわち、有機化学におけるすべての官能基のうち、ヘテロ原子のひとつである窒素を有するイミノ基およびベンゼン環が置換されており、化合物として3環性の窒素化合物で、DBNの類縁体である。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度50ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、アミジン骨格を中心とした3環性の窒素化合物である7-imino-3,4,6,7-tetrahydro-2H-pyrimido[2,1-a]isoquinolineを含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0112】
(実施例25)
1,3,4,6,7,8-Hexahydro-2H-primido[1,2-a]pyrimidine(HPP)約70mgをNMP 1mLに溶かし、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度50ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物であるHPPを含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0113】
(実施例26)
Tetramisole約90mgをジメチルホルムアミドDMP1mLに溶かし、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、湿度が20〜40%の室内空気中ほぼ飽和したガス状のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物であるtetramisoleを含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0114】
(実施例27)
1,3,4,6,7,8-Hexahydro-1-methyl-2H-primido[1,2-a]pyrimidine(MeHPP)約90mgを、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置する。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度50ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物であるHPPの置換誘導体を含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0115】
(実施例28)
イミダゾリン誘導体の一種である、1-Propyl-2-methylimidazole(化学式(III)中、R1〜R4=水素、R5=メチル、R6=プロピル)約260mgを有機溶媒の1種であるアセトニトリル1mLに混合し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ濃度約1MのC5F8のacetone溶液を加えると紫外可視領域の変化が、400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0116】
(実施例29)
イミダゾリン誘導体の一種である、1,2-Dimethylbenzimidazole(化学式(III)中、R1〜R4=水素、R5=R6=メチル)約170mgを有機溶媒の1種であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)1mLに混合し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%の乾燥空気ベースの濃度約10%のC5F8のガスを吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0117】
(実施例30)
フォスファゼン誘導体の一種である、2-tert-Butylimino-2-diethylamino-1,3-dimethylperhydro-1,3,2-diazaphosphorine(化学式(IV)中、R1=tert−ブチル、R2=ジエチルアミノ、R3‐R4=N,N−ジメチルプロピレンジアミノ)を、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約3%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が550nm以下において確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0118】
(実施例31)
フォスファゼン誘導体の一種である、N-tert-Butyl-N, N,N’,N’N”,N”-hexamethylphoshorimidic triamide(化学式(IV)中、R1=tert−ブチル、R2=R3=R4=ジメチルアミノ)約50mgをヌジョール(流動パラフィン)約1mLに混合し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約1%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が550nm以下において確認できた。以上、光学的変化の各手法により、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0119】
(実施例32)
フォスファゼン誘導体の一種である、2-tert-Butylimino-2-diethylamino-1,3-dimethylperhydro-1,3,2-diazaphosphorine(化学式(IV)中、R1=tert−ブチル、R2=ジエチルアミノ、R3‐R4=N,N−ジメチルプロピレンジアミノ)約4μLを、0.5μg/cm3の水を含有するアルミナ板(中性アルミナ、TLC用)に浸み込ませ、そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約0.1%のC5F8H2を表面に吹き付けると、紫外可視領域の変化が550nm以下において確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合している検出対象の一種であるC5F8H2ガスを検出できた。
【0120】
(実施例33)
フォスファゼン誘導体の一種である、Phosphazene base P2-t-Bu on polystyrene(化学式(IV)中、R1=ポリスチレン−tert-ブチル、R2=R3=R4=ジメチルアミノ)約150mgを有機溶媒の1種であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1mLへ混合し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約0.1%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が550nm以下において確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8ガスを検出できた。
【0121】
(実施例34)
ピリジン(化学式(II)中、R1〜R5=水素)の液体を、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約0.1%のC5F8と濃度600ppmのC4F6を1:1で混合したガスを吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスである混合ガスを検出できた。
【0122】
(実施例35)
ピリジン誘導体の一種である、コポリマーPoly(4-vinylprydine-co-butyl methacrylate)(化学式(II)中、R3=コポリマーpoly(vinyl-co-butyl methacrylate)‐4−ピリジル、R1=R2=R4=R5=水素)約320mgを有機溶媒の1種であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)2mLへ溶解し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約10%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が450nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8ガスを検出できた。
【0123】
(実施例36)
ピリジン誘導体の一種である、3−ピリジンカルボアルデヒド(化学式(II)中、R2=フォルミル、R1=R3=R4=R5=水素)約230mgを有機溶媒の1種であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1mLへ溶解させ、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約10%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8ガスを検出できた。
【0124】
(実施例37)
ピリジン誘導体の一種である、4,4’−ビピリジル約100mg(化学式(II)中、R3=4−ピリジル、R1=R2=R4=R5=水素)を有機溶媒の1種であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1mLとピリジン40mgに混合し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約0.1%のC5F8H2を注射器でとり、該溶液にバブリングすると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合している検出対象ガスの一種であるC5F8H2ガスを検出できた。
【0125】
(実施例38)
グアニジン誘導体の一種である、1,3−ジ−o−トリルグアニジン(化学式(V)中、R1=R3=2−メチルフェニル、残り全て水素)91mgをN−メチルーピロリドン(NMP)1mLに溶解し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約10%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が450nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8ガスを検出できた。
【0126】
(実施例39)
グアニジン誘導体の一種である、1,3−ジフェニルグアニジン(化学式(V)中、R1=R3=フェニル、残り全て水素)92mgをN−メチルーピロリドン(NMP)1mLに溶解し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約10%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が450nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8ガスを検出できた。
【0127】
(実施例40)
グアニジン誘導体の一種である、1−(o−トリル)ビグアニジン(化学式(V)中、R1=2−メチルフェニル、残り全て水素)78mgをN−メチルーピロリドン(NMP)1mLに溶解し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約10%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が450nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8ガスを検出できた。
【符号の説明】
【0128】
10:基材
11:テープ
13:ラップ
14:カプセルを接着したテープ
18:ローラー
19:針
20:検出剤
30:ローラー
31:剥がす機構(巻き取りローラ)
40:水を含んだエタノール又はイソプロパノール
50:フィルター
60:乾燥剤
62:セパレータ
80:タンク
100:反応室
110:ガス導入口
113:光導入窓
114:反射光導出窓
120:基材を配置する部分
121:反応場
130:ガス排気口
200:気密構造体
300:光源
301:光導入部分
302:微少な光源への電気配線
303:光導入ファイバー
304:光ファイバー
310:微少な光源
341:光導入部及び反射光導出部
400:検出器
401:反射光導出部
402:微細なフォトセンサへの電気配線
403:反射光導出ファイバー
410:微細なフォトセンサ
420:解析器
430:警報器
500:乾燥器
501:フィルター
502:除湿チューブ
620:ペルチェ素子
610:温度調節器
630:温度調節器
640:冷却水
700:ポンプ
701:ポンプ
702:圧力計
703:流量計
800:筒状の管
810:ガス導入口
830:ガス排気口
A:基材の搬送方向
B:ペルチェ素子から排水口に向かう排水の流れ
C:空気もしくは窒素の流れ
D:排気もしくはリサイクルされる空気もしくは窒素の流れ
E:排水口に向かう冷却水の流れ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス状のフッ化物の安定な検出方法及びそのたの検出装置に関し、特に、オクタフルオロシクロペンテン、ヘキサフルオロブタジエンなどの分子内に炭素の不飽和結合を有するガス状のフッ化炭化水素化合物と該化合物の検出剤との反応を用いた検出方法及び検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素化合物は、地球温暖化物質として京都議定書における協議以来、その削減が求められており、地球環境の保全、多くの生物種や人類の存続のため、その微量検出や除去、分解、使用量の削減、回収が重要な技術となっている。
特に、ドライエッチングガスとして用いられてきた四フッ化炭素、オクタフルオロシクロブタンなどの飽和フルオロカーボン類は地球温暖化への悪影響から使用が制限されており、これらの代替物として、オクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、ヘキサフルオロブタジエン(C4F6)、ヘキサフルオロシクロブテン(C4F6)などの分子内に炭素の不飽和結合を有するフッ化炭化水素化合物が開発されてきている。これらの炭素の不飽和結合を有するフッ化炭化水素化合物(以下、「不飽和炭化水素のフッ化物」という)は、選択比が高く微細加工のための高性能なマテリアルとして知られ、各半導体プロセスにおいて一部使用されている。これらは、地球温暖化係数は改善されているものの、元来その蒸気圧の高さや毒性の課題から管理基準濃度2ppmの規制が布かれている。さらには、現存する環境負荷の観点から、またプロセス現場において環境中のガスコンタミ源ともなり、高感度に検出する技術等が求められている。
【0003】
不飽和炭化水素のフッ化物の検出手法としては、現在までに、過マンガン酸塩を用いた手法と熱分解を用いた手法が開発されている。
前者の手法は、C5F8やC4F6と過マンガン酸塩との反応により、過マンガン酸塩の消色を利用した方法である(特許文献1)。しかしながら、以下のデメリットがある。
(1)反応が鈍く、測定できる濃度が50ppm以上の濃い条件でしか感知が難しい、(2)検出するまでの時間が50ppmで平均約19分以上と長くかかる、(3)無機物を使用しているため加工性に難点があり、検出のための形態が制限される、(4)強い酸化剤である過マンガン酸塩を使用するため、ボロン誘導体などの水素化物や錯化物などの試剤により消色が起こり誤報の原因となる。
【0004】
後者の手法は、C5F8やC4F6の熱分解を用いた方法であって、気体中に存在するC5F8やC4F6を熱分解炉において熱分解し、その際発生する酸性ガスを敏速に光学的に検出する方法である(特許文献2)。しかしながら、以下のデメリットがある。
(1)熱分解を行うため大きなエネルギーを消費する、(2)高温における熱分解を行うため、洗浄剤、絶縁体等で多用されるフッ素系液体などのガスからも同様の酸性ガスが発生し誤報の原因となる、(3)高温における熱分解を行うため、非常に危険な酸性ガスHFを発生させてしまう、(4)最終的にはその非常に危険な酸性ガスを検出しているので、他の類似の酸性ガスそのものが混入した場合、これも誤報の原因となる。
【0005】
このように、これまでの不飽和炭化水素のフッ化物の検出方法には、種々の問題があるため、これまでの手法とは原理の全く異なる、新たな方法を用いた、高性能で、より経済的な検出方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−324492号公報
【特許文献2】特開2001−324491号公報
【特許文献3】特願2010−147782
【特許文献4】特願2010−242895
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、C5F8やC4F6等の不飽和炭化水素のフッ化物の選択的な有機反応を利用することにより、上記の目的を達成しうることを見いだした。すなわち、C5F8やC4F6等の不飽和炭化水素のフッ化物との選択的な有機反応について、特定の窒素化合物群を用いた、選択的で高感度な反応を見出し、対象とする不飽和炭化水素のフッ化物を見分けて検出することが可能となった(上記特許文献3,4参照)。
しかしながら、さらに検討を重ねたところ、環境中の検出対象である不飽和炭化水素のフッ化物の正確な検出のためには、その検出条件及び検出に適した装置について検討を重ねる必要があることが判明した。
【0008】
すなわち、本発明者が提案した上記の反応を用いた検出方法は、従来の技術、高温熱分解や強い酸化剤を使用せずに、室温付近で簡便に検出でき、さらに飽和型のパーフルオロカーボンやパーフルオロエーテルの液体等からの妨害ガスの妨害もうけず、敏速に高感度な、C5F8やC4F6等の不飽和炭化水素のフッ化物の検出を提供するものである。しかしながら、C5F8やC4F6等の不飽和炭化水素のフッ化物を正確に検出するためには、安定したシグナルを得ることが重要である。すなわち、様々なサンプリングガスの状態にかかわらず、安定したシグナル変化が得られることが必須である。例えば、サンプリングガス中の水分量すなわち湿度、又はさらに温度、或いは塩酸、フッ素酸、カルボン酸系等の酸性ガス、アンモニアガス、フッ素系洗浄剤、冷却材、絶縁液体からのガス、アルコール、アセトン、トルエンなどの有機溶剤からの様々な妨害ガスの影響を受けずに、C5F8やC4F6等の不飽和炭化水素のフッ化物を正確に検出することが重要である。特に、検出対象である不飽和炭化水素のフッ化物の正確な濃度の検出には、工場内や検出を行う場所における環境気体中に含まれる酸、アルカリや二酸化炭素、水分、その他多種多様な妨害ガス等の影響を受ける場合があり、それを解決しなければならない。
さらにppmレベルの微量のC5F8やC4F6等の不飽和炭化水素のフッ化物に対してその検出剤から得られる微小信号を、光学的検出で行う場合に用いる光源強度の変動、基材の光学特性の変動など各種環境変動に影響され難い方法で検出することも重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節することにより、又は該サンプリングガスの湿度を前記基材及び/又は検出剤の含水量に応じて調節すること、すなわちサンプリングガス中の水分量(湿度)、検出剤の水分量、基材の水分量等を調節することにより、或いは更に上記光学的検出を行う場合の環境変動を補償する手法を導入することにより、前記の課題を解決し、C5F8やC4F6等のガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又はオクタフルオロシクロペンタン(以下、C5F8H2と表す)等の分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物の検出を、正確に安定して行えることをつきとめた。
【0010】
本発明は、発明者によって得られたこれらの知見に基づいて検出方法と装置について鋭意検討を重ねた結果、完成に至ったものであって、C5F8やC4F6等のガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又はC5F8H2等の分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物の検出方法及び検出装置について、以下の発明が提供される。
【0011】
[1]サンプリングガス中の、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、基材表面で反応させた検出剤の光反射率の変化により検出する、ガス状のフッ化物の検出方法であって、
ガス状のフッ化物と検出剤が反応する反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節すること、又は該サンプリングガスの湿度を前記基材及び/又は前記検出剤の含水量に応じて調節することを特徴とする検出方法。
[2]前記検出剤が、一般式(I)
【化1】
[式中、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、他のヘテロ原子で置換されてもよいメチレン基(CH2)を表し、或いは、置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)のヘテロ原子を表す。R1とR2との間、及びR3とR4の間には、炭化水素基やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在するか、或いは、挿入され、さらに、それらの置換基がさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]で表されるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を有効成分とすることを特徴とする前記[1]の検出方法。
[3]前記検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で、前記検出剤の反射率が変化する波長(λ1)及び該反射率の変化がより少ない波長(λ2)を含む光により照射し、該それぞれの波長の反射光量の差又は比により検出することを特徴とする前記[1]又は[2]の検出方法。
[4]前記サンプリングガスを室温以上の一定に設定された温度にすることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかの検出方法。
[5]前記基材及び/又は検出剤に一定量の水分を含有させると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかの検出方法。
[6]前記基材に0.5μg/cm3以上の一定量の水分を含有させ、前記検出剤に4mM以上の一定量の水分を含有させると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする前記[5]の検出方法。
[7]前記基材に0.5μg/cm3以上の一定量の水分を含有させ、前記検出剤は乾燥させた状態で用いると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする前記[5]の検出方法。
[8]前記検出剤に4mM以上の一定量の水分を含有させ、前記基材は乾燥させた状態で用いると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする前記[5]の検出方法。
[9]前記サンプリングガスの湿度が20%以下となるよう調節することを特徴とする前記[5]〜[8]のいずれかの検出方法。
[10]前記サンプリングガスと前記基材とを接触させる直前に、該基材に水分を含浸させることを特徴とする前記[5]〜[7]のいずれかの検出方法。
[11]前記反応場を、外気と接触しないように遮蔽することを特徴とする前記[1]〜[10]のいずれかの検出方法。
[12]前記サンプリングガスの湿度の調節を、除湿チューブを用いるか、ベルチェ素子の冷却する部分に接触させるか、あるいは、アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカ、塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム及び酸化カルシウムから選ばれる固体乾燥剤に接触させる、ことにより行うことを特徴とする前記[1]〜[11]のいずれかの検出方法。
[13]前記基材に、前記検出剤を含浸又は塗布あるいは噴霧させておくことを特徴とする前記[1]〜[12]のいずれかの検出方法。
[14]前記検出剤を含浸又は塗布あるいは噴霧された基材を、防水性の膜又はフィルムで覆い、反応直前又は反応時に該膜又はフィルムを剥離することを特徴とする前記[13]に記載の検出方法。
[15]前記基材が、前記検出剤を内包した防水性のカプセルから構成され、反応直前又は反応時に該カプセルを潰すことを特徴とする前記[1]〜[12]のいずれかの検出方法。
[16]前記サンプリングガスと前記検出剤とを接触させる直前に、該検出剤を基材に含浸又は塗布あるいは噴霧することを特徴とする前記[1]〜[12]のいずれかの検出方法。
[17]前記基材の形態が、膜又はフィルム状、テープ状、板状、網状、棒状、粉体状、あるいはカプセル状であることを特徴とする前記[1]〜[16]のいずれかの検出方法。
[18]前記基材材が、多孔質体からなることを特徴とする前記[1]〜[17]のいずれかの検出方法。
[19]前記基材が、紙、又はセルロース、又はポリスチレン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる有機高分子材料、又はシリカ、アルミナ、ガラスから選ばれる無機材料の1種類もしくは2種類以上の複合体からなることを特徴とする前記[1]〜[18]のいずれかの検出方法。
[21]前記サンプリングガスと前記検出剤とを接触させる前に、サンプリングガスを、炭酸水素塩、あるいは、アミンもしくはイミンを有する有機化合物または高分子から選ばれる材質からなるフィルターに接触させることにより、酸性ガス及び/又は妨害ガスを取り除くこと特徴とする前記[1]〜[19]のいずれかの検出方法。
【0012】
[21]サンプリングガス中の、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、基材表面で反応させた検出剤の光反射率の変化により検出する、ガス状のフッ化物の検出装置であって、
前記検出剤を表面及び/又は内部に有する基材を配置した反応室と、
該反応室に前記サンプリングガスを導入する手段と、
前記サンプリングガスを前記反応室から排気する手段と、
を有しており、
前記サンプリングガスが反応室に導入される前にその湿度を調節する手段を備え、
少なくとも前記反応室は、外気と接触しない機密構造体で構成され、反応室内の湿度が一定に保持されていることを特徴とする検出装置。
[22]前記検出剤が、一般式(I)
【化1】
[式中、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、他のヘテロ原子で置換されてもよいメチレン基(CH2)を表し、或いは、置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)のヘテロ原子を表す。R1とR2との間、及びR3とR4の間には、炭化水素基やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在するか、或いは、挿入され、さらに、それらの置換基がさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]で表されるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を有効成分とすることを特徴とする前記[21]の検出装置。
[23]前記サンプリングガスの湿度の調節手段が、除湿チューブであって、該チューブ内部にサンプリングガスを通すとともに、該除湿チューブの外部にサンプリングガスよりの湿度の低い気体を流す手段を有することを特徴とする前記[21]又は[22]の検出装置。
[24]前記サンプリングガスの湿度の調節手段がペルチェ素子であって、該ペルチェ素子の冷却する部分にサンプリングガスを接触させることを特徴とする前記[21]又は[22]の検出装置。
[25]前記サンプリングガスの湿度の調節手段が、アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカ、塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、及び酸化カルシウムから選ばれる固体乾燥剤であることを特徴とする前記[21]又は[22]の検出装置。
[26]前記サンプリングガスを導入する手段が、ポンプ及び/又はマスフローコントローラを有することを特徴とする前記[21]〜[25]のいずれかの検出装置。
[27]前記反応室が、湿度が一定の気体で充填されていることを特徴とする前記[21]〜[26]のいずれかの検出装置。
[28]前記反応室内の温度を室温以上の一定温度に制御する手段を有することを特徴とする前記[21]〜[27]のいずれかの検出装置。
[29]前記機密構造体で構成された反応室内に、前記基材を搬送する機構を設けたことを特徴とする前記[21]〜[28]のいずれかの検出装置。
[30]前記反応室内又は反応室の手前に、前記基材に前記検出剤を塗布又は滴下あるいは噴霧する手段を有することを特徴とする前記[21]〜[29]のいずれかの検出装置。
[31]前記反応室内又は反応室の手前に、前記基材に水分を供給する手段を有することを特徴とする前記[21]〜[30]のいずれかの検出装置。
[32]前記基材に水分を供給する手段が、前記基材に前記検出剤を塗布又は滴下あるいは噴霧する手段の前段に設けられていることを特徴とする前記[31]の検出装置。
[33]前記基材形態が、膜又はフィルム状、テープ状、板状、網状、棒状、粉体状、あるいはカプセル状であることを特徴とする前記[21]〜[32]のいずれかの検出装置。
[34]前記基材材が、多孔質体からなることを特徴とする前記[21]〜[33]のいずれかの検出装置。
[35]前記基材が、紙、又はセルロース、又はポリスチレン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる有機高分子材料、又はシリカ、アルミナ、ガラスから選ばれる無機材料、の1種類もしくは2種類以上の複合体からなることを特徴とする前記[21]〜[34]のいずれかの検出装置。
[36]前記基材が、防水性の膜又はフィルムで覆われており、反応直前又は反応時に、該膜又はフィルムを剥がす手段を有していることを特徴とする前記[21]〜[29]のの検出装置。
[37]前記基材が、前記検出剤を内包した防水性のカプセルから構成され、反応直前又は反応時に該カプセルを潰す手段を有していることを特徴とする前記[21]〜[29]の検出装置。
[38]前記基材表面での検出剤の反射率変化を、光学的手段で検出する手段を有することを特徴とする前記[21]〜[37]のいずれかのガス状のフッ化物の検出装置。
[39]前記検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で前記検出剤の反射率が変化する波長を含む光を発生する光源と、及び前記基材からの反射光を検出する検出器を有し、該光源は該光源からの光が前記基材に向けて入射するごとく設けられていることを特徴とする前記[38]の検出装置。
[40]前記検出剤の反射率が変化する波長が、550nmより短い波長である前記[38]又は[39]の検出装置。
[41]前記光源は、前記検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で前記検出剤の反射率が変化する波長(λ1)及び反射率の変化がより少ない波長(λ2)を含む光を両方発生する1つの光源又はそれぞれ該波長の一方を含む光を発生する2つの光源からなり、前記検出器はそれぞれの波長の反射光を検出する検出器であって、該それぞれの反射光量の差、または比により前記ガス状のフッ化物を検出することを特徴とする前記[39]又は[40]の検出装置。
[42]前記検出剤の反射率の変化がより少ない波長(λ2)が、550nm以上650nm以下の波長域から選ばれる波長以上の波長である前記[41]の検出装置。
[43]前記光源及び前記検出器を、前記反応室内に配置することを特徴とする前記[39]〜[42]のいずれかの検出装置。
[44]前記光源からの光を、前記反応室に設置された光導入窓から入射し、前記反射光を、前記反応室に設置された光導出窓から導出するようにしたことを特徴とする前記[39]〜[42]のいずれかの検出装置。
[45]前記光源からの光を反応室内に入射する導入用光ファイバー、及び前記反射光を反応室から導出する導出用光ファイバーを配設することを特徴とする前記[39]〜[4
2]のいずれかの検出装置。
[46]反応場の、前記導入用光ファイバー及び導出用光ファイバーの先端の付着物を拭き取る手段を有することを特徴とする前記[45]の検出装置。
[47]前記サンプリングガスを前記反応室に導入する前に、前記サンプリングガス中の酸性ガス及び/又は反応妨害ガスを除去する手段を有することを特徴とする前記[21]〜[46]のいずれか1項に記載の検出装置。
[48]前記反応室が、少なくとも一部が短波長可視光領域ないし紫外線領域の光を透過する筒状の管で構成され、該管内に、基材に吸着された検出剤を封入するとともに、サンプリングガスの乾燥部又は乾燥剤を該管内のサンプリングガスの導入口側に配置することを特徴とする前記[21]〜[26]のいずれか1項に記載の検出装置。
[49]前記検出剤と前記乾燥剤の間にセパレータを設けたことを特徴とする前記[48]の検出装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検出を行う際に、反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節することで、又は該サンプリングガスの湿度を前記基材及び/又は前記検出剤の含水量に応じて調節することで、簡便で迅速に、かつ変動少なく、C5F8やC4F6等のガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は前記ガス状の炭化水素のフッ化物を検出でき、さらに飽和型のパーフルオロカーボンやパーフルオロエーテルの液体からの妨害ガスの干渉もうけず、それらを安定に検出することができる。また、本発明は、安定した精度の高いセンサー、警報装置、測定機器、環境検査装置、キット等に適用でき、さらには選択的な除去分解技術に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の方法におけるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物のみを用いた検出剤の反応の前後における反射率変化を説明する図。
【図2】本発明の方法におけるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を有効成分とする検出剤の反応の前後における反射率変化を説明する図。
【図3】本発明の方法におけるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する図1とは別の窒素化合物を有効成分とする検出剤の反応の前後における反射率変化を説明する図。
【図4】実施例2の、サンプリングガスの湿度の検出感度への影響を示す図。
【図5】実施例3の、検出剤に水を含有させた場合の、サンプリングガスの湿度の検出感度への影響を示す図。
【図6】実施例3の、基材に水を含有させた場合の、サンプリングガスの湿度の検出感度への影響を示す図。
【図7】本発明のガス状のフッ化物の検出における温度の影響を示す図。
【図8】反応室に、光を発生する光源に繋がる光導入部分、及び反射光を検出する検出器に繋がる反射光導出部分を設けた、ガス状のフッ化物の検出装置の一例を模式的に示す図。
【図9】反応室内に、微少な光源及び微少なフォトセンサを設けた、ガス状のフッ化物の検出装置の一例を模式的に示す図。
【図10】反応室に、光導入部分として光導入窓及び反射光導出部分として反射光導出窓を設けた、ガス状のフッ化物の検出装置の一例を模式的に示す図。
【図11】反応室内に基材が搬送されるとともに、該基材に検出剤が塗布又は滴下又は噴霧されるようにされた、ガス状のフッ化物の検出装置の一例を模式的に示す図。
【図12】光導入ファイバー及び反射光導出ファイバーを設けた、ガス状のフッ化物の検出装置の一例を模式的に示す図。
【図13】光導入ファイバー及び反射光導出ファイバーを設けるとともに、反応室内に基材が搬送され、該基材に水分及び検出剤が塗布又は滴下又は噴霧されるようにされた、ガス状のフッ化物の検出装置の一例を模式的に示す図。
【図14】本発明の光を発生する光源に繋がる光導入部分、及び反射光を検出する検出器に繋がる反射光導出部分、吸気、排気、ポンプ、フィルター、ペルチェ素子、除湿チューブ、検出剤のタンク、テープ状の基材の搬送機構、解析器、警報器等の装置構成全体を模式的に示す図。
【図15】テープ状の基材内に検出剤を含ませ、それをラップした基材および検出するための動作の一例を模式的に示す図。
【図16】テープ内に検出剤を含んだ基板を格子状に配置内封した基材および検出するための動作の一例を模式的に示す図。
【図17】基材として検出剤を含んだカプセルもしくは袋を内包するテープおよび検出するための動作の一例を模式的に示す図。
【図18】検出剤を含んだ筒状の管を用いた作業場、仕事場、工場など大気の環境測定を行うための装置の一例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、サンプリングガス中の、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、検出する機能を有する化合物又はその混合物と検出剤との、基材表面での反応を用いて、ガス状のフッ化物を検出するものであり、反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節すること、又は該サンプリングガスの湿度を前記基材及び/又は検出剤の含水量に応じて調節することを特徴とするものである。
【0016】
本発明において、前記「サンプリングガス」とは、環境場にあるすべての気体、例えば、工場現場、プロセス現場、有機合成の実験室に存在する空気など、まわりにあるあらゆる条件の、分析したいガスを表わす。また、検出のため、除塵及び/又は湿度調節などの前処理を施したものもサンプリングガスに含まれる。
【0017】
本発明において、上記サンプリングガス中に含まれる被検出物は、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物である。
【0018】
前記「分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物」とは、少なくとも炭素とフッ素から成り、分子内に炭素−炭素二重及び/又は炭素−炭素三重結合化合物を少なくとも有し、気化したガス状の化合物、すなわち、ガス状の不飽和炭化水素のフッ化物である。炭素−炭素二重及び/又は炭素−炭素三重結合の構造からわかるように、これらの化学種は少なくとも炭素原子2個で成り立つので、本発明における検出対象である不飽和炭化水素のフッ化物は、必然的に炭素を2個以上含む化合物である。これらの中には、塩素、臭素、ヨウ素、酸素、硫黄、窒素など他の原子や、カルボキシル基、アルコキシ基、フォルミル基など、前述の一般的な炭化水素基、官能基が置換されているすべての化合物も含んでおり、京都議定書において、評価した一連のガス状化合物であるフッ化炭化水素が一部属する。
例えば一例として、C2F4、C3F6、C4F6、c−C4F8、c−C5F8、CF3OCF=CF2、C2F5OCF=CF2(c−はcyclic:環状を表し、c−C5F8は、前述のC5F8と同じである、C4F6には前述の2種類がある;それぞれオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、ヘキサフルオロブタジエン(C4F6)、ヘキサフルオロシクロブテン(C4F6と表す。以下、C4F6はヘキサフルオロブタジエン、又はヘキサフルオロシクロブテン、あるいはそれらの混合物を表す)等がある。またこれらの一部は、工業界において、冷媒、発泡剤、洗浄剤、エッチングガスとして使われることがある。これら一連の化合物は一部、環境問題にも取り上げられる不飽和結合を有するPFC(パーフルオロカーボン)と呼ばれる場合がある。これら一連の化合物の中には、酸素が結合したエーテル基を有する直鎖状のフッ素化合物もあり、環境負荷や人体への影響が懸念される。
【0019】
また、前記「分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつ、その水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物」とは、例えば、フッ素、塩素などのハロゲン、エーテル、スルフィド、カルボン酸、スルホン酸等のアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素化合物であって、アニオン性脱離基以外の部分にも塩素、臭素、ヨウ素、酸素、硫黄、窒素など他の原子や、カルボキシル基、アルコキシ基、フォルミル基など、前述の一般的な官能基が置換されている化合物も含む。これらの中には、京都議定書において、評価した一連のガス状化合物であるフッ化炭化水素が一部属する。水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素が存在するので、その構造からわかるように、これらの化学種は少なくとも炭素原子2個で成り立つので、本発明における検出対象である分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつ、その水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合している化合物は、必然的に炭素を2個以上含む化合物である。
この化合物の一例として、CF3CHF2、CHF2CHF2、CF3CHFCF3、CF3CF2CHF2、CHF2CF2CHF2、CF3OCHFCF3、C5F8H2(この化合物には異性体があり、1H,2H-オクタフルオロシクロペンタン、又は1H,1H-オクタフルオロシクロペンタン、又は1H,3H-オクタフルオロシクロペンタン、或いはこれらの混合物を意味する)などがある。
本発明における検出対象である分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつ、その水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合している化合物や一例として挙げた前記化合物の一部は、家庭、業務用、車等のあらゆる空調機器や、冷蔵庫、冷凍庫の冷媒として、建築現場における断熱材形成のための発泡剤、電子機器洗浄剤として使われることがある。またこれらの一部は、半導体プロセスでエッチングガスや洗浄剤、冷却剤として使われることがある。これら一連の化合物の中は、環境問題にも取り上げられるHFC(ハイドロフルオロカーボン)やHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)と呼ばれるものがある。
【0020】
本明細書において、単に「ガス状のフッ化物」と記載した場合は、前記の分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を意味するものとする。
【0021】
本発明において、前記「検出剤」とは、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を検出する機能を有する化合物またはその混合物と選択的に反応して、これらのガス状のフッ化物を検出する機能を有する化合物を有効成分とするものであり、窒素化合物で総称される化合物を含むものである。
【0022】
本発明において用いられる検出剤としては、特に、下記の一般式(I)で表される、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を有効成分とする検出剤を用いるのが好ましい。
【0023】
【化1】
【0024】
上記の一般式(I)において、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、アミジン骨格における窒素や炭素と化学結合をする始点を表わしており、基本的にメチレン基(CH2)であって、他のヘテロ原子で置換されてもよい。また、上記の一般式(I)において、R1〜R4のそれぞれは、置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)等のヘテロ原子であってもよい。
R1とR2との間、及びR3とR4の間には、一般的な炭化水素基やそれらを有するポリマー(オリゴマーも含まれる)から形成される置換基が存在するもしくは挿入される場合もあり、また、それらの置換基がさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合も含まれる。
ここで、一般的な炭化水素基とは、有機化学における一般的な官能基;ヘテロ原子、典型元素、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびそれらのイオンから選ばれるコンポーネントも含み、複素環の場合もある。例えば一例として、メチレン、アルキル、アルケン、アルキン、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルデヒド、ケトン、エーテル、クラウンエーエル、ポリエチレングリコール、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アセタール、エポキシ、アミノ、アミド、イミノ、ニトロ、シアノ、イソシアノ、チオイソシアノ、アゾ、アゾキシ、ポルフィリン、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルフィン酸エステル、スルホン酸エステル、それら酸の塩、ピリジン、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、ピペラジン、キノリン、芳香族、フラン、遷移金属錯体などの置換基が結合もしくは途中に入り込む形で結合し、またそれらを介して有機ポリマーが結合した化合物群を意味する。
【0025】
以下に、上記の一般式(I)で表される、少なくとも2つの環を有する窒素化合物の例を幾つか例示するが、これらに限定されるものではない。なお、これらの化合物は、有機合成などで用いられる塩基性試薬として既に公知のもの、或いは、それらから誘導される化合物である。
(1)1,5-diazabicyclo[4,3,0]non-5-ene(DBN):該化合物は、R1−R2及びR3−R4が、それぞれ3つのメチレン鎖を形成して、2つの環を有する窒素化合物を成す。
(2)1,8-diazabicyclo[5,4,0]undec-7-ene(DBU):該化合物は、R1−R2が3つのメチレン鎖を形成し、R3−R4が5つのメチレン鎖を形成して、2つの環を有する窒素化合物を成す。
(3)1,8-diazabicyclo[7,4,0]tridec-9-ene誘導体:該化合物は、R1−R2が3つのメチレン鎖を形成し、R3−R4が7つのメチレン鎖を形成して、2つの環を有する窒素化合物を成す。また、この骨格における置換体も含まれる。
(4)4,4-dimethyl-DBN:該化合物は、前記DBNを基本骨格とした置換誘導体であり、置換基として4位に2つのメチル基が存在する、2つの環を有する窒素化合物である。
(5)4,7-dimethyl-DBN:該化合物は、前記DBNを基本骨格とした置換誘導体であり、置換基として4位と7位に1つずつメチル基が存在する、2つの環を有する窒素化合物である。
(6)4-phenyl-DBN:該化合物は、前記DBNを基本骨格とした置換誘導体であり、置換基として4位に1つのフェニル基が存在する、2つの環を有する窒素化合物である。
(7)3,4,6,7,8,9-hexahydro-2H-pyrido[1,2-a]pyrimidine:該化合物は、R1−R2が3つのメチレン鎖を形成し、R3−R4が4つのメチレン鎖を形成して、2つの環を有する窒素化合物を成す。
(8)1,3,4,6,7,8-hexahydro-2H-primido[1,2-a]pyrimidine((HPP):該化合物は、R3が窒素アミンN−Hの形であり、R4まで3つのメチレン鎖が存在し、R1−R2が3つのメチレン鎖を形成して、2つの環を有する窒素化合物を成す。
(9)1,3,4,6,7,8-hexahydro-1-methyl-2H-primido[1,2-a]pyrimidine(MeHPP):該化合物は、R3が窒素アミンN−Me(メチル基)の形であり、R4まで3つのメチレン鎖が存在し、R1−R2が3つのメチレン鎖を形成して、2つの環を有する窒素化合物を成す。
(10)tetramisole(別名Levamisole):該化合物は、R3が硫黄であり、R4まで2つのメチレン鎖が存在し、R1−R2が2つのメチレン鎖を形成し、R2に1つのフェニル基が置換した、2つの環を有する窒素化合物を成す。
(11)7-imino-3,4,6,7-tetrahydro-2H- pyrimido [2,1-a]isoquinoline:この化合物は、R1−R2が3つのメチレン鎖を形成し、R3−R4に4つの炭素が存在した状態で途中イミン置換基とR4にベンゼン環が挿入された、3環性の窒素化合物を成す。また、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物であるDBN、DBU、3,4,6,7,8,9-hexahydro-2H-pyrido[1,2-a]pyrimidine、HPP、tetramisoleの置換誘導体には、環状部分に置換基を有する形態と、一般式(I)のR1−R2上、R3−R4上にメチレン鎖やその他のヘテロ原子が挿入された形態も、上記の化合物群の中でお互い重ならない範囲で含まれる。
【0026】
上記の一般式(I)で表される、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物は、R1−R2又はR3−R4に、オリゴマー又はポリマーから形成される置換基が結合又は挿入された、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物でもよく、その一例として、ポリスチレン誘導体がR1に共有結合している高分子JANDAJEL(登録商標)-1,3,4,6,7,8-hexahydro-2H-primido[1,2-a]pyrimidineがある。検出剤である窒素化合物には、上記以外のアミン誘導体、ピリジン誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、フォスファゼン誘導体、グアニジン誘導体もある。また、一般式(I)で表される、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物には、前述の置換基、或いは挿入されたオリゴマー又はポリマーを介して、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物が、ダイマー、トリマー、テトラマーなど2個以上結合した形態も含まれる。
【0027】
本発明においては、前記の一般式(I)で表される、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物以外の、あらゆる有機物が共存する態様を用いて検出することができ、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物以外の有機物としては、例えば、一般的な有機溶媒(例えば、エタノールやエチレングリコールやグリセリンなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド(DMF)やN−メチル−ピロリドン(NMP)やヘキサフォスフォルアミド(HMPA)などのアミド類、テトラヒドロフラン(THF)やジオキサンなどのエーテル類)、ジイソプロピルアミン(LDA用)やトリイソブチルアミンやジシクロヘキシルメチルアミンやペンタメチルピペリドンなどの有機液体、ウレア類などの有機固体、セルロースやポリエチレンやポリブタジエンやポリエチレンアクリレートやポリイミドポリ安息香酸などの有機ポリマー、ピリジニウムイオンやイミダゾールイオン、窒素化合物、リン化合物などからなるすべてのイオン液体、などが挙げられる。特に、トリイソブチルアミンやジシクロヘキシルメチルアミンなどのアミン類は、その反応性から塩酸、フッ素酸、カルボン酸系等の酸性ガスの影響を軽減させるために有用であり、共存させることが好ましい。尚、トリイソブチルアミンやジシクロヘキシルメチルアミンなどのアミン類は、検出対象である分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物とは、本発明における光学的な変化は起こさず、検出対象のガスとは相互作用がほとんどない。
【0028】
検出剤である窒素化合物として、前記アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物以外に、ピリジン誘導体、及びイミダゾリン誘導体、及びフォスファゼン誘導体、及びグアニジン誘導体も使用可能である。
【0029】
ここで、上記ピリジン誘導体とは、下記の一般化学式(II)で表される化合物群であり、
【化2】
【0030】
(II)式中、R1〜R5のそれぞれは、水素、もしくはアルキル基、もしくは複素環を含む芳香族基、もしくはハロゲンを表し、或いはポリマーに結合する。或いは置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)等のヘテロ原子を表す。隣どうしのR間で環状の構造をとる場合があり、さらに、それらの構造中にさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。
【0031】
また、イミダゾリン誘導体とは、下記の一般化学式(III)で表される化合物群であり、
【化3】
【0032】
(III)式中、R2=R3=水素の場合と、R2もしくはR3のどちらか一方だけが水素の場合があり、R1はすくなくとも水素ではない。水素ではないRは、一般的な炭化水素基(すなわち、有機化学におけるすべての官能基;炭素をベースとしたヘテロ原子、典型元素、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびそれらのイオンから選ばれるコンポーネントも含み、複素環の場合もある)やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在する場合も含み、またそれらの置換基がR1とR3の間で環状部分を形成する場合も含み、かつ、R5とR6の間では少なくとも環状にならない。
【0033】
また、フォスファゼン誘導体とは、下記の一般化学式(IV)で表される化合物群であり、
【化4】
【0034】
(IV)式中において、Rは、一般的なアミン基、もしくは炭化水素基(すなわち、有機化学におけるすべての官能基;炭素をベースとしたアルキル、芳香族、ヘテロ原子、典型元素、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびそれらのイオンから選ばれるコンポーネントも含み、複素環の場合もある)やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在する場合も含む。またそれらの置換基が各Rの間で環状部分を形成する場合も含む。
【0035】
また、グアニジン誘導体とは、下記の一般化学式(V)で表される化合物群であり、
【化5】
【0036】
(V)式中において、R1〜R5は、一般的なアミン基、もしくは炭化水素基(すなわち、有機化学におけるすべての官能基;炭素をベースとしたアルキル、芳香族、ヘテロ原子、典型元素、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびそれらのイオンから選ばれるコンポーネントも含み、複素環の場合もある)やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在する場合も含む、またそれらの置換基が各Rの間で環状部分を形成する場合も含む。ただし、R2−R3間とR1−R5間とで同時に、もしくは、R2−R3間とR4−R5間とで同時に環状とはならない。
【0037】
さらに、上記の窒素化合物以外の化合物も、本明細書に記載の光学的な変化をなすものは、原理的にすべて検出剤に含むことができ、本検出方法及び装置に使用できる。
【0038】
本発明において、検出対象であるサンプリングガスは、基板表面に設けられた、ガス状のフッ化物を検出するための検出剤と反応する。この基材表面で分析したいサンプリングガス中に含有されるガス状のフッ化物と検出剤とが反応する空間を含む3次元的に広がった全体の場所を「反応場」と定義する。この反応場とは、検出剤がサンプリングガスと接触するナノオーダーの空間も含んでおり、検出剤を表面及び/又は内部に有する基材を配置した反応室内の場を意味する。
検出装置の構成においては、検出剤を設けた基材が配置される部分で、反射光を測定する部分が存在し、基材表面の検出剤の部分に、光を発する部分からの光が照射され、反射光が反射してくる部位が存在する。
【0039】
このような基材の形態としては、特に限定されるものでなく、例えば、膜又はフィルム状、フィルムを2層以上重ねたフィルム層、テープ状、基板状、網状、棒状、粉体、或いはカプセル状など、どのような態様でもよい。
また、基材は、検出剤が反応直前に塗布又は噴霧されるものであっても、あるいは、該基材表面に予め検出剤が存在していてもよく、具体的には、検出剤を浸みこませた、もしくは検出剤をカプセルやフィルム層内に内包したテープや基板などあらゆる基材表面、あらゆる態様の表面がそれにあたる。
【0040】
このような基材としては、多孔質材料からなるものが好ましい。この場合は、基材表面多孔内にも検出剤が収容される。すなわち、検出剤は基材表面の上に載っていても、或いは基材表面内に延在していても、基材内部に存在していてもよく、本発明では検出剤が存在する反応場の内、検出剤が存在する表面近傍すべてを基板表面という。
また、基材の材質は、特に限定されないが、例えば、紙、又はセルロース、又はポリスチレン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレート、それ以外のポリマーやオリゴマー、および前記ポリマー、オリゴマーの共重合体から選ばれる有機高分子材料、又はシリカ、アルミナ、ガラスから選ばれる無機材料、の1種類もしくは2種類以上の複合体、等が挙げられる。さらに、検出剤が化学的に結合した前記材質も含まれる。
【0041】
本発明において、基材表面での、前記ガス状のフッ化物と検出剤との反応を検出する手段としては、反応の前後における検出剤の光反射率の変化が用いられる。
【0042】
図1の光反射率の変化を示す図は、検出剤としてDBNのみを用い、基材としてアルミナの板を応用したもので、乾燥窒素で2ppmに希釈したC5F8ガスと、検出剤(1,5-diazabicyclo[4,3,0]non-5-ene(DBN))とを反応させた後の、検出剤の反射率の光波長依存性を示す図である。図1からも明らかなように、550nmより短波長側で、特に350〜400nmで、反射率の有意な変化が観測される(詳しくは、後述する実施例1参照)。
【0043】
図2は、CO2ガス4000ppmを含む乾燥空気で2ppmに希釈したC5F8ガスと、検出剤(1,5-diazabicyclo[4,3,0]non-5-ene(DBN)とトリイソブチルアミンの混合液)とを反応させた後の、検出剤の反射率の光波長依存性を示す図である(詳しくは、後述する実施例2参照)。
反応時間を1分から4分まで変化させたとき、反射率が時間に従って変化する波長域と変化の少ない波長域があることが認められる。参照データとして、C5F8ガスを含まない乾燥空気のみのときの反射率のデータとCO2ガス4000ppmを含む乾燥空気のときの反射率のデータも示されているが反射率の変化は見られない。CO2ガス4000ppmを含む空気は、人が大勢集まった閉鎖された部屋に対応しており、妨害ガスとして考慮すべき一つであるが、本発明の検出おいてはその影響をほとんど受けないことを明示している。CO2ガスの濃度を300ppmから3%に変化させても大きな影響は本実験で認められなかった。
【0044】
図3は、検出剤として1,8-diazabicyclo[5,4,0]undec-7-ene(DBU)とジシクロヘキシルメチルアミンの混合液を用い、基材としてセルロースを応用したものであり、ペルフルオロ(n−)ブチル]メチルエーテル(CF3(CF2)3OCH3 3M社製 商品名:Novec7100)で飽和させた室内空気で2ppmに希釈したC5F8ガスと、該検出剤とを反応させた後の、検出剤の反射率の光波長依存性を示す図である(詳しくは、後述する実施例3参照)。
図3からも明らかなように、妨害ガスとして多量のNovec7100が存在する環境下においても、500nm以下で、反射率の有意な変化が観測される。
【0045】
図1〜3の結果から明らかなように、様々なタイプの本発明の検出剤と様々な妨害ガスが存在する前記ガス状のフッ化物とが反応する前後で、検出剤の光反射率は、550nmより短い波長域から選ばれる短波長側と、550nm以上650nm以下の波長域の中から選ばれる長波長側とで変化の度合いが大きく異なり、550nmより短い波長域から選ばれる短波長側では、検出剤の反射率が大きく変化するのに対して、550nm以上650nm以下の波長域の中から選ばれる長波長側では、該反射率の変化は小さいという一般的な傾向が明らかである。
【0046】
したがって、サンプリングガス中の、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、基材表面で反応させた検出剤の光反射率の変化により検出する、ガス状のフッ化物の検出方法において、検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で550nmより短波長の波長域の中から選ばれる短波長、つまり検出剤の反射率が変化する波長(λ1)と、550nm以上650nm以下の波長域の中から選ばれる長波長、つまり反射率の変化がより少ない波長(λ2)とを含む光により照射し、該それぞれの波長の反射光量の差、または比により前記ガス状のフッ化物を検出することができる。また、固定された単色のλ1やλ2以外に、550nmより短波長でλ1の近傍の波長域、550nm以上650nm以下の波長域の中から選ばれる波長を超えないλ2の近傍の波長域を用いることができ、この場合、その波長域の積分値が用いられる。
【0047】
前記ガス状のフッ化物による検出剤の光反射率の変化は、前記ガス状のフッ化物の濃度が小さいと微小であるので、基材の表面の水分量、凹凸の経時変化による光の反射率の変化または光源強度の微小変化に隠されて検出できなくなる。それを補償するために、本来前記ガス状のフッ化物による反射率変化の少ない波長域の一部である波長λ2の光の反射光を参照光として、波長λ1の光の反射光量から波長λ2の光の反射光量を引いた量(差)、又は波長λ1の光の反射光量を波長λ2の光の反射光量で割った値(比)で、前記ガス状のフッ化物を検出することが好ましい。特に、後者の比で検出する方法は、光源の強度が経時変化するときには有効である。
【0048】
検出剤として、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を用いた場合は、上記の条件で検出を行うことができるが、該窒素化合物もしくはその他の検出剤の反射率が大きく変化する波長λ1、及び該反射率の変化がより少ない波長λ2は、検出剤や反応場、検出装置の状況に応じて自由に選択でき、具体的には、すべての検出剤の種類や混合状態、光源の各照射波長における光度分布、基材表面から反射光を受けるまでの距離、角度など、検出する装置の設定のもと、検出剤を照射する光波長域の中で、なんら波長に関して制限を受けることなく自由に適切な波長λ1及び波長λ2を選ぶことができる。すなわち、波長λ1が550nmを超える場合もあり、また波長λ2が、550nmより短波長になる、もしくは650nmを超える場合もある。また、検出剤によっては、波長λ1と波長λ2の大小が逆転する場合もあり得る。
【0049】
本発明では、前記ガス状のフッ化物と、前記検出剤との、基材表面での反応において、反応場の湿度および水分量が、検出剤の反射率変化に大きく影響するという知見に基づいて、基材及び/又は検出剤の水分含有量に応じて、反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節するものである。
以下、サンプリングガスの湿度が、検出剤の反射率変化に与える影響について説明する。
【0050】
後述する実施例4に示すように、乾燥させた検出剤及び基材を用い、室温25℃で乾燥空気をベースガスとし、湿度を変化させたサンプリングガスを用いて実験を行ったところ、濃度2ppmのC5F8ガスを、室温25度、約800mL/分の流量で反応させた場合の380nmにおける反射率の変化は、湿度40〜50%に極大を持つ大きな影響を受ける(図4参照)。これは、検出剤とC5F8ガスの反応において、水分子が関係していることを示しており、その制御が重要であることを明示している。
【0051】
これに対して、基材に一定の水分を含ませた状態で、乾燥させた検出剤を用い、検出の感度を調べると、サンプリングガスの湿度の影響が、劇的に抑制されることが判明した(図5参照)。しかしながら、湿度が65%を超えるとその影響が顕著となり、ガス状のフッ化物を検出する際、感度の低下をまねく。
一例として、後述する実施例5では、DBN検出剤を用い、室温25℃で乾燥空気をベースガスとし湿度を変化させたサンプリングガスを用いて実験を行ったところ、濃度2ppmのC5F8ガスを1分間反応させた場合の380nmにおける反射率の変化は、湿度0から65%の範囲では反射率変化3%前後の安定した変化を示したが、65%を超えると急激に感度の減少が観測された。以上より、サンプリングガスの湿度を0から65%の範囲で調節し、その範囲の中で湿度の最大値と最小値の差が20%以内に調節することで、反射率の変化を平均±0.2%未満にすることができ、安定な検出を行うことができる。
なお、湿度とは、一般的に用いられている湿度であり、単位体積当たりある温度における飽和水蒸気量に対する気体が実際に含む量の百分率である。温度とはここでは摂氏を意味する。
【0052】
サンプリングガスの湿度を20%以下にすると、検出剤において、高感度を保ちながら、サンプリングガスの湿度依存性が、反射率変化で平均ほぼ±0.3%にすることができ、安定な検出を行うことができる。従って、サンプリングガスの湿度を20%以下に調節することで、反射率変化の湿度依存性を平均±0.3%以下にすることが好ましい。以上の方法は、6ヶ月後も同様な反射率変化、すなわち感度が観測され、耐久性、ライフの観点から好ましい。
【0053】
同様に、検出剤に一定の水分を含ませることでも、検出におけるサンプリングガスの湿度の影響を抑制できる。
後述する実施例6に示すように、検出剤に水分を7mMの濃度で加え、サンプリングガスの湿度依存性を調べると、サンプリングガスの湿度0から75%の範囲で安定した検出を行うことができた(図6参照)。
【0054】
これらのことから、基材及び/又は検出剤自体が水分を含んでいると、検出剤直上の空間の気体は湿度の比較的大きい状態に保たれ、供給されるサンプルガス本体の湿度に依らず、ガス状のフッ化物と検出剤との反応は、図4のサンプルガス自体が高湿度の時の比較的小さな反射率変化の部分で安定化されているものと考えられる。
本発明においては、基材に含有させる水分の量を0.5μg/cm3以上の一定量とするか、及び/又は、検出剤に含有させる水分の量を4mM以上の一定量とするのが好ましい。
【0055】
以上のとおり、本発明において、サンプリングガスの湿度を一定の範囲に制御することで、検出剤において、高感度を保ちながら、安定な検出を行うことができる。
本発明において、サンプリングガスの湿度を一定の範囲に制御する方法としては、除湿チューブを用いるか、ベルチェ素子の冷却する部分に接触させるか、あるいは、アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカ、塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム及び酸化カルシウムから選ばれる固体乾燥剤に接触させる、また精密空調システムを用いる等の方法が挙げられる。
【0056】
除湿チューブの一例として、ナフィオンチューブ(商品名)が挙げられる。ナフィオンチューブとは、スルホン酸基等の極性基を有するもしくは混合したテフロン系のチューブの総称で、除湿や、逆の加湿などに用いられる。チューブの内側と外側の湿度勾配や物質濃度勾配により、湿度の調節、イオン交換などが可能となるチューブのことである。そのため、ナフィオンチューブの外側に乾燥させた気体を流しながら、湿度を有するサンプリングガスをチューブ内部に通過されるナフィオンチューブ内外で湿度勾配が生まれ、ナフィオンチューブの材質中にあるスルホン酸基をとおして、水分が内側から外側へ排出され水分を除去でき、湿度を低下させる。スルホン酸基の化学的な性質から、その他の極性ガス分子である酸性ガスやアルコール、アンモニアも除去が可能である。
【0057】
また、イオン透過膜とは、ナフィオンチューブも含まれ、水素イオンやその他のイオンを透過させることができる膜である。その際、膜の上下で電位差を生じることがあり、逆にこれを利用して電圧をかけながら、水分を積極的に透過、移動させることが可能となる。この原理を用い、電気的なエネルギーを除湿や加湿に用いることができる。
【0058】
また、前記ペルチェ素子とは、主に半導体や典型重元素からなる素子であり、温度の差により、電位差を生じる現象を有する。この原理の逆に用いることで、すなわち、両端に電位を印加させることにより、両端の温度差が生じ、片側を冷却したり、加熱したりすることが可能となる。
【0059】
また、本発明では、検出剤の化学反応を用いるため、その反応速度は温度の影響を受ける。例えば、25℃に比べ、サンプリングガスの温度を上昇させると、DBM検出剤を用い、乾燥空気をベースガスとしたサンプリングガスを用い、濃度2ppmのC5F8ガスを1分間反応させた場合の380nmにおける反射率の変化を観た同一の条件において、その感度の明らかな増加が観測された。従って、安定な検出を行うには、温度を一定にする制御も重要である。
温度は一定であればあらゆる値をとりうるが、現実的な視点からは、0℃以上100℃以下が好ましい。実用的な視点からは、20℃から80℃の間の温度が好ましい。温度制御や反応促進の容易さからは、30℃から80℃の間の温度が最も好ましい。安全性や省エネの観点から、30℃から50℃の間の温度が最も好ましい。
【0060】
本発明において、前述の湿度及び温度を調節するのに好ましいシステムとして、精密空調システムが挙げられる。該精密空調システムとは、環境空気の温度、湿度をある範囲に調節するものであり、例えば、AUGUS(アメフレック社製)、AP-650F-C/AP-600FK-F(ORION社製)などがある。原理的には小型化が可能である。
【0061】
さらに、空気中には二酸化炭素も存在し、その濃度は300ppm前後と言われている。また、人が多くいる部屋では、その濃度は増加し、3000ppmに達することがある。
そこで、二酸化炭素の濃度依存性も調べたところ、サンプリングガスの湿度を20%未満の乾燥状態にし、DBN検出剤を用い、約40℃で二酸化炭素の濃度変化させたサンプリングガスを用いて実験を行ったところ、濃度2ppmのC5F8ガスを1分間反応させた場合、380nmにおける反射率の変化は、二酸化炭素の濃度が0%から30000ppm(3%)へと増加しても、検出の感度に変化はなく、ほとんど影響を受けないことがわかった。
【0062】
さらに、本発明の方法は、妨害ガスの影響を受けずに検出対象であるガス状のフッ化物の安定した検出を行うことができる。妨害ガスとは、サンプリングガス中に含まれる塩酸、フッ素酸、カルボン酸系、二酸化炭素、スルホン酸系等の酸性ガス、あるいはアルカリ性のアンモニアガス、飽和型のパーフルオロカーボンの一種であるフロリナート、パーフルオロエーテルの一種であるノベックや炭素飽和型ガルデンなど、フッ素系洗浄剤、冷却材、絶縁液体からのガス、あるいはアルコール、アセトン、ヘキサン、シクロエキサン、トルエンなどの有機溶剤などの、不純物気体すべてを表す。
本発明では、サンプリングガス中に、数十ppmレベルの妨害ガスが存在していたとしても、サンプリングガスの湿度を20%未満の乾燥状態にすると、検出における前記と同様な反射率変化は、ほとんど影響を受けないことがわかった。
以上のことは、本発明の高性能を示すものである。
【0063】
また、本発明では、検出剤が存在する反応場において、サンプリングガスを吹き付け、反応させる前に、乾燥気体もしくは妨害ガスを予め吹き付けると、検出における反射率の変化が、安定化する場合がある。これは、基材材表面の検出剤において、活性な反応サイトが予め抑制され、平均的な反応が進行するようになるためである。乾燥空気もしくは妨害ガスを吹き付ける場合、1分以内の短時間で、温度も30℃〜80℃の中から選ばれる一定の値で、加熱しながら行うと効率的である。
【0064】
本発明では、除塵することや酸性ガスを除去することで、それらに検出を妨害される確率を軽減できる。
除塵するためには、市販の一般的なフィルターに通過させることで可能となる。また、アミン誘導体やピリジン誘導体を有するポリマーを用いることで、除人と酸性ガスの除去が同時にできる。特に、分子周りが嵩高いアミン誘導体や嵩高いピリジン誘導体を有するポリマーを用いる、または、ビスイミダゾールを有する有機化合物、すなわち連続するイミン構造、−N=C−C=N−を有するイミダゾールが二つ繋がった化合物や、アルキルアミジン芳香族誘導体、すなわちR1−N=C−N−(R2)2(R1、R2はアルキル基であり、R1とR2の間で環を形成しない)表わされるアルキルアミジン基が、Cの部分で直接、ベンゼンやチオフェンで代表される芳香族に結合した化合物を含むフィルターを利用することで、妨害ガスである酸性ガスを効率的に除去しながら、検出対象であるガス状のフッ化物は、そのまま通過させることができる。嵩高いアミン誘導体や嵩高いピリジン誘導体、ビスイミダゾールを有する有機化合物、アルキルアミジン芳香族誘導体は、検出対象であるガス状のフッ化物と反応せず、有用である。
【0065】
以下、本発明の方法を実施するのに適した検出装置について説明する。
本発明の、ガス状のフッ化物の検出装置は、前述のガス状のフッ化物を、基材表面で反応させた検出剤の反射率変化により検出するものであって、
前記検出剤を表面及び/又は内部に有する基材を配置した反応室と、
該反応室に前記サンプリングガスを導入する手段と、
前記サンプリングガスを前記反応室から排気する手段と、
を有しており、
前記サンプリングガスが反応室に導入される前にその湿度を調節する手段を備え、
少なくとも前記反応室は、外気と接触しない機密構造体で構成され、反応室内の湿度、或いは、要すればさらに温度を一定に保持できるようにされていることを特徴とするものである。
【0066】
サンプリンガスが導入される前に、反応室に予め存在する気体の湿度は、導入されるサンプリングガスの湿度と同じことは望ましいが、少なくとも許される範囲での一定湿度に予め設定されていることが短時間で再現性のある検出データを取得するためには必要である。反応室に存在していた気体の湿度がある値の範囲に制御されていないと、反応室に存在していた気体が、サンプルガスが導入されてから完全にサンプルガスで置き換えられるまでは検出剤上方の(反応場の)湿度の再現性は保証されない。サンプルガス流量が反応室の容積に比べて少ないときは再現性のある検出が可能になるまでは時間がかかってしまう。
【0067】
本発明において、反応室に導入されるサンプリングガスの容積は、反応室の容積に比べ十分大きいことが好ましく、具体的には、ポンプの作りだす単位時間あたりの流量の増大と、反応室のコンパクト化とにより上記の再現性が保証される。また、本発明において、サンプリンガスが反応室に導入される前に湿度を一定範囲、例えば、湿度20%以下にする機構が設けられ、その湿度を有するサンプリンガスが定常的に流れるため、上記の再現性が保証される。
【0068】
図8〜13は、本発明の、ガス状のフッ化物の検出装置の例を、模式的に示す図である。
本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、これらの図に示すように、反応室100と、該反応室へのサンプリングガスの導入口110と、該反応室からのサンプリングガスの排気口120とを有し、該反応室100外または内には、光を発する部分(光源300)と、反射光を測定する部分(検出器400)と、水分40及び/又は検出剤20が滴下、又は塗布、又は噴霧された基材10であるテープもしくは基板を配置する部分120とを有する。該水分40及び/又は検出剤20を滴下、塗布、噴霧された基材からの反射光を測定する部分は、該サンプリングガスと該検出剤とが反応する反応場121に設けられる。少なくとも該反応場121にある検出剤を含む基材の一部に該光を発する部分からの光が照射され、そこからの反射される反射光の反射率により該ガス状のフッ化物の濃度情報を得る。
該光源300が該反応室100内にない場合は該反応室100を貫通した光導入部分301を設けて該光源300から光を該検出剤を含む基材表面へ照射する。検出器400が該反応室100内にない場合は該反応室100を貫通した反射光導出部分401を設けて反射光を該検出器400へ導く。該光導入部分301、該反射光導出部分401の具体例としては、該反応室100に設けた光学窓、該反応室100を貫通する光ファイバー等が挙げられる。
そして、図8に模式的に示すように、該反応室100は、前記のサンプリングガスの導入口とサンプリングガスの排気口以外は、気密構造筐体で構成される。要すれば該サンプリングガスの導入口と該サンプリングガスの排気口以外の全体を覆う気密構造筐体200がさらに設けられている。
【0069】
本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図9に示すように、前記の反応室内に設けられた、光を発する部分が微小な光源310、例えばLED素子であり、反射光を測定する部分が微小なフォトセンサ410であってもよい。この場合、両者が一体となっている形態もある。この場合、配線302、402が気密構造筐体(反応室)100から導き出される。図9において、302は微小な光源310への電気配線、402は微小なフォトセンサ410への電気配線である。
【0070】
また、本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図10に示すように、光導入窓113から反応場に光を入射し、そこからの反射光を反射光導出窓114から取り出す構造もある。
【0071】
さらに、本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図12、13に示すように、光導入ファイバー303から反応場121に光を入射し、そこからの反射光を反射光導出ファイバー403から取り出す構造もある。この場合、両者が一体となっている形態もある。この場合、各ファイバーが、気密構造筐体100中の反応場近傍へ導入される。
図12、13では光ファイバー303が光導入部分301の役割を果たし、光ファイバー403が反射光導出部分の役割を果たす。
【0072】
図14は、本発明の、光を発生する光源に繋がる光導入部分及び反射光を検出する検出器に繋がる反射光導出部分341、ガス導入口110、ガス排出口130、ポンプ701、フィルター501、ペルチェ素子620、除湿チューブ502、水又は検出剤のタンク80、テープ状の基材11の搬送機構、解析器420、警報器430等を設けた検出装置の構成全体を模式的に示す図である。
図中、100は、反応室であって、内部に、図8〜13に示した検出装置が配置されている。図中、矢印Aは、基材の搬送方向、矢印Bは、ペルチェ素子620から排水口に向かう排水の流れ、矢印Cは、空気もしくは窒素の流れ、矢印Dは、排気もしくはリサイクルされる空気もしくは窒素の流れ、矢印Eは、ペルチェ素子を冷却して排水口に向かう冷却水の流れ、をそれぞれ示している。
【0073】
本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、温度を一定にする手段を更に設けて測定の再現性または精度を向上させることができる。
すなわち、主に基材であるテープの裏側の温度調節する手段や、反応場の気密構造筐体の壁面全体の温度を一定にする手段を設けることができる。具体的には、基材の下部、もしくは反応場全体を囲む壁の部分に、20℃、30℃、40℃等に温調できる手段を設ける等の方法を用いることができ、例えば、反応室100内の基材の下部に、温度調節器610を内蔵した土台を配置した場合には、該土台を、基材の搬送、検出等に合わせて該土台を上下動させる。
また、サンプリングガスの導入口から、反応場までの途中に、サンプリングガスの温度を一定にする手段を設置できる。この温度を一定にする手段としては、電熱線と熱電対を有する温調器630、ペルチェ素子等620の温調器を用いることができる。
【0074】
また、本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図14に示すように、サンプリングガスを導入口110から吸気し、排気口130へ排気して、サンプリングガスが流れてゆくための部分を有する。
すなわち、サンプリングガスを検出剤の存在する基材表面にふきつける際に、図14に示すように、その流量が一定になるよう、ポンプ701などのポンピングシステム、および流量制御を行うマスフローコントローラ等の流量計703が設けられる。更に、図14に示す装置においては、流量計703の前に、圧力計702及び温度調節器630を設けてある。
【0075】
本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図14に示すように、サンプリングガの導入口110から反応室100までの途中に、除湿するための除湿チューブ502、例えば、ナフィオンチューブ等を設け、除湿する部分が必要である。ナフィオンチューブを用いた場合には、ナフィオンチューブの外側に乾燥気体を流す必要もある。図14に示すように、該乾燥気体は、乾燥空気もしくは乾燥窒素を直接流す態様、乾燥用のペルチェ素子620に気体を通す態様や、乾燥剤を通した気体を流す部分を設ける態様等、で定常的に作られる。または、精密空調システムを用いる態様で除湿、温度の調節を行う。また、ペルチェ素子620は、サンプリングガスそのものの湿度を下げるためにも使用できる。
【0076】
本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図14に示すように、サンプリングガスの導入口に除塵や酸性ガスを濾しとるフィルター501を設けることにより安定した検出ができる。
【0077】
本発明のガス状のフッ化物を検出するための検出装置は、図11、13に示すように、水分及び/又は検出剤をタンク20、40に保存し、必要な時に基材10であるテープもしくは基板に、水分及び/又は検出剤を塗布、もしくは滴下、もしくは噴霧する機構(図示せず)が設置される。滴下は、液を押し出し、一定量の水分及び/又は検出剤が垂らされる。塗布は、刷毛やノズルから直接、検出剤が塗られる。噴霧は、プリンターカートリッジの原理で、検出剤が一定量ノズルから噴霧される。
【0078】
検出剤を保存したタンクから供給する場合は、図11、13に示すように、検出剤20を含ませた基材10であるテープもしくは基板は、一方向に搬送される。その際、反応場のある気密構造筐体100へは、機密性のあるローラーや、テープ部分が搬送される部分の開閉される機構が設けられる。しかし、図13に示すように、ローラー30は気密構造筐体100の外側に設け、保守、塵埃発生対策、基体の交換を容易とすることができる。その場合、外側の気密筐体200内に設けて外気からの湿度、汚染防止対策を採ることができる。
【0079】
さらに、例えば図13に示すように、光ファイバー303、304を設けた場合、反応場のファイバー先端を拭く機構、すなわち図13の基材を上下させ、該ファイバー先端に接触させることで、該ファイバー先端を拭き、クリーニングされる機構が更に設けられる。また、検出剤タンクの先端も同様な拭く機構が更に設けられる。拭き取りに使用する液は検出剤タンクの前に設けられる、水分を調節する、例えば水を一定量含んだエタノールもしくはイソプロバノールのタンク内の液を用いて、それを含ませたテープもしくは基板により該ファイバー先端の拭き取りを行う。これらの拭き取り機構は、毎回もしくは決められた間隔で、例えば、テープの下に設置される部分を上下に駆動することにより行う。
【0080】
さらに、検出剤タンクを用いない場合、例えば図15に示すように、テープ11内に検出剤20を含ませ、それをラップした基材を用いることができる。この場合、該テープは、図15の上段に示すように、反応場側のラップ13を検出前に剥がして、ローラー31で巻き取ってゆく機構が設けられる。もしくは、図15の下段に示すように、反応場側からラップに、先端の鋭利な細かい針19などで穴を開ける機構が設けられる。これによりサンプリングガスを検出剤と接触させ、安定な検出ができる。
【0081】
さらに、検出剤タンクを用いない場合、例えば図16に示すように、テープ内に検出剤20を含んだ基板を格子状に配置内封した基材を用いることができる。この場合、検出剤を含んだ基板は各部分で分離密閉した態様で用いられる。そのラップを、図16の上段に示すように、反応場側のラップ13を、半面分、検出前に剥がしてゆく機構が設けられる。もしくは、図16の下段に示すように、反応場側からラップに、先端の鋭利な細かい針19などで穴を開ける機構が設けられる。これによりサンプリングガスを検出剤と接触させ、安定な検出ができる。
【0082】
また、検出剤タンクを用いない場合、例えば図17に示すように、検出剤を含んだカプセルもしくは袋を接着したテープ14を用いることができる。図17に示すように、検出前にローラー18などで圧搾、もしくは先端の鋭利な細かい針14などで穴を開ける機構が設けられ、その際、内包された検出剤は基材表面へ沁み出てくる。ローラー、針を洗浄する、もしくは拭く機構を更に設けるのが好ましい。これによりサンプリングガスを検出剤と接触させ、安定な検出ができる。
以上、テープ内に検出剤を含ませ、内包した基材を用いる場合、前記の検出剤タンクは必要ないが、水分を調節する、例えば水を一定量含んだエタノールもしくはイソプロパノールのタンクは、検出前に使用される。基材の水分量を規定の値に保つため、該テープ全体をラップする態様がある。この場合、検出前にそのラップを前記図15,16に示したように剥がす機構が設けられる。このラップ構造を用いない場合は、検出前に、図14に示したペルチェ素子で乾燥した気体を基材に吹き付けることで基材の水分量を調節する。この場合は該テープ全体をラップする必要はない。
【0083】
図14に示すように、本発明において反射光を検出する検出器400からの信号を解析する部分(解析器420)が設置される。解析の方法は、例えば、割り算回路を用いて、前述のλ1およびλ2の電気信号の比をとり、その値をモニタリングするものである。さらに、モニタリングしている値が、ある閾値を超えると、それをランプもしくは音を出すブザーで知らせる警報の部分(警報器430)も設置される。これらの機構により、問題となる検出対象ガス、すなわち分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を検出する機能を有する化合物またはその混合物と選択的に反応して、該フッ化物を安定的に、安全の観点から管理ができる。
【0084】
以上の方法および装置は、室内や作業現場、工場内の環境測定のためのものにも応用される。すなわち、サンプリングガスを流すポンプと、検出剤が存在する筒状の管を配置する基材部分と、を有し、該サンプリングガスの導入口と該サンプリングガスの排気口以外は気密構造筐体から構成され、サンプリングガス乾燥部もしくは乾燥剤を、検出剤が存在する筒状の管から見て該サンプリングガスの導入口側に設けることを特徴とする、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、短波長可視光ないしUV照射による比色で検出もしくは検査するための装置にも応用される。
【0085】
例えば、図18(a)に示すように、筒状の管800に、検出剤20および、フィルター50と乾燥剤60を封入したユニットを用意する。検出剤20は、筒状の管にアルミナ、シリカ、もしくは粒状のポリマーなどに吸着させた状態で封入される。この場合、上記アルミナ、シリカ、もしくは粒状のポリマーなどは本発明の基材として機能する。粒径は、反応効率および流量の確保の面から、数百μmが好ましい。乾燥剤には無水硫酸ナトリウムなどの無水塩を用いるのが好ましい。乾燥器は、前述したペルチェ素子や無水塩、モレキュラーシーブ、ゼオライト、それらの組み合わせが用いられる。
該管状の管800には、図18(a)に示すようにサンプルガス導入口810とサンプルガス導出口830が設けられ、該フィルター50及び乾燥剤60は該サンプルガス導入口830側に、該検出剤20は該サンプルガス導入口830側に封入されている。必要ならば、該乾燥剤60と検出剤20の間にはセパレータ62が設けられる。このユニット保管時には該サンプルガス導入口810とサンプルガス導出口830は両端封じられている。環境測定をする直前に両端の封止部分70を取り去り(図18(b))、該筒状の管800のサンプルガス導出口にポンプ700を接続する(図18(c))。または、サンプルガス導入口810に乾燥器500を接続し、湿度を調節しながら測定を行う。
環境中に、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、又は/もしくは、分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物が存在している場合は、筒状の管に短波長可視光ないし紫外線を照射することにより、その反射の変化として観測できる。
【実施例】
【0086】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。本発明の技術思想の範囲内での変更及び他の態様又は実施例は、全て本発明に含まれる。
なお、以下に記載する各実施例では、特に記載する場合を除き、反応場の温度は25℃で一定にした。
【0087】
(実施例1)
乾燥した検出剤DBN約10mgを、室内空気中で保存した縦1cm×横3cm×厚み1mmのアルミニウム上に形成した厚み0.2mmの基材(アルミナ板、Al2O3)に浸みこませ、PET製の高さ1.2cm×横幅5cm×奥行き1.2cmから成る反応室に設置した。尚、検出剤の乾燥は、無水硫酸マグネシウムに上記の液体を接触させることで行った。以下、DBNなどの液体は、特段の記述がない限り、無水硫酸マグネシウムに液体を接触させ乾燥させてある。光源はキセノンランプ(LAX-100、朝日分光社製)を用いた。そこへ1気圧の乾燥窒素ベースのガス濃度2ppmのC5F8のガスを、25℃、約900mL/分の一定流量で、1分ごとに該アルミナ板上に吹き付けると、紫外可視領域の反射率変化が340〜500nmにおいて確認できた(図1)。反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。図1の(1)、(2)からわかるように、乾燥窒素のみでは有意な変化は観測されないが、2ppmのC5F8のガスが導入されると、1分ごとに反射率が有意に変化する。
【0088】
(実施例2)
次に、乾燥したDBN約60mgを乾燥したトリイソブチルアミン約60mgに混合した液体約2μLを、室内空気中で保存したメッシュ径約3μmを有するセルロース(いわゆる、濾紙、ADVANTEC社製、No.6、直径約7mm、厚み0.2mm、特に記載した場合を除き、以下、同じ)に浸みこませ、テフロン(登録商標)製の高さ2cm×横幅1cm×奥行き1cmからなる反応室に設置した。光源はハロゲンおよび重水素ランプ(DH-2000、オーシャンオプティクス社製)を用いた。そこへ1気圧の乾燥空気に二酸化炭素4000ppm混合したベースガスに、濃度2ppmのC5F8のガスを混入させ、約40℃、約800mL/分の一定流量で、1分ごとに該セルロースに吹き付けた。反応場の温度は、サンプリングガスの加熱機構(ヒーターおよび熱電対付き、手作り)および反応室を温度一定にするプレート(アズワン、HP-4530)により40℃に調節した。その結果、紫外可視領域の反射率変化が350〜500nmにおいて確認できた(図2)。反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。図2の(1)、(2)からわかるように、乾燥空気のみでは有意な変化は観測されないが、2ppmのC5F8のガスが1分ごとに導入されると反射率が有意に変化する。以上より、検出する条件、反応場や装置の設定の仕方に関わらず、550nmより短波長側で、検出対象ガスであるC5F8を2ppm、1分という効率で、有意な反射率の変化を捉えることができる。また、検出剤や基材の設定を本実施例のように固定すれば、定量的に検出することがわかる。
【0089】
(実施例3)
次に、前述のDBNとは違う乾燥したDBU約60mgを乾燥したジシクロヘキシルメチルアミン約80mgに混合した液体約3μLを、乾燥空気中で保存したメッシュ径約3μmを有するセルロースに浸みこませ、テフロン製の高さ2cm×横幅1cm×奥行き1cmからなる反応室に設置した。光源はハロゲンおよび重水素ランプ(DH-2000、オーシャンオプティクス社製)を用いた。
室内空気20Lに、妨害ガスの原因となるパーフルオロエーテルの一種であるペルフルオロ(n−)ブチル]メチルエーテル(3M社製 商品名:Novec7100)の液体を30mL入れ、自然蒸発させ、Novec7100が飽和したベースガスを準備した。そのベースガスを1気圧の状態で、濃度2ppmのC5F8のガスを混入させ、25℃、約500mL/分の一定流量で、1分ごとに該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の反射率変化が350〜500nmにおいて確認できた(図3)。反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。図3の(1)、(2)からわかるように、室内空気にNovec7100が飽和したベースガスのみでは有意な変化は全く観測されないが、2ppmのC5F8のガスが1分ごとに導入されると反射率が有意に変化する。
【0090】
以上の実施例1〜3より、検出する条件、本発明における検出剤の分子構造の違い、反応場や装置の設定の仕方に関わらず、550nmより短波長側で、検出対象ガスであるC5F8を2ppm、1分という効率で、有意な反射率の変化を捉えることができる。また、検出剤や基材の設定を本実施例のように固定すれば、定量的に検出することがわかる。
【0091】
(実施例4)
本実施例では、乾燥した基材及び乾燥した検出剤を用いて、サンプリングガスの湿度の検出感度への影響を調べた。尚、セルロースは、真空ポンプで約100℃、約5分間で乾燥し、無水硫酸マグネシウムを共存させた所で保存した。セルロースの乾燥度は、Moisture Tester HK-300で確認し、その値はほぼ0%であった。
乾燥したDBN約60mgを乾燥したジシクロヘキシルメチルアミン約100mgに混合し、その液体約2μLを、乾燥したメッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、テフロン製の高さ2cm×直径約8mmの円筒形からなる反応室に設置した。
なお、本実施例では、DBN約60mgとジシクロヘキシルメチルアミン約100mgとを混合したが、この混合の比率はあらゆる値をとることができ、本実施例に限定されるものではない。
そこへ1気圧の乾燥空気ベースの、様々に湿度を変えたガス状の濃度2ppmのC5F8のガスを、室温25℃、約800mL/分の一定流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の反射率変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。550nmの反射率に対する380nmの反射率の差分を、1分ごとに測定した。尚、反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。
本実施例においては、550nmに対する380nmの反射率の変化の絶対値を、様々に湿度に対してプロットした。なお、スペクトル変化を捉える際、本実施例の条件に限定されるものではなく、流量や測定する波長、ある波長域の積分値などあらゆる組み合わせが可能である。
図4は、その結果を示すグラフである。反射率変化の湿度依存性は、図4に示すように、湿度40〜50%に極大を持つ大きな影響を受けることがわかった。
【0092】
(実施例5)
本実施例では、水を浸みこませた基材を用いて、サンプリングガスの湿度の検出感度への影響をしらべた。
エタノールに水を加え、その濃度を110μMとした。その液体を直径約7mmの乾燥したセルロースにマイクロピペッタで2μL浸みこませ、自然乾燥させた。この場合、滴下した水の質量は約4ngとなり、エタノールが自然蒸発した後は、該セルロースに含まれる水分量は約0.5μg/cm3となる。
次いで、実施例4と同様にしてDBN約60mgをジシクロヘキシルメチルアミン約100mgに混合した液体約2μLを、前述のセルロースに浸みこませ、テフロン製の高さ2cm×直径約8mmの円筒形からなる反応室に設置した。
なお、本実施例ではDBN約60mgとジシクロヘキシルメチルアミン約100mgとを混合したが、この混合の比率はあらゆる値をとることができ、本実施例に限定されるものではない。
そこへ1気圧の乾燥空気ベースの、様々に湿度を変えたガス状の濃度2ppmのC5F8のガスを、室温25℃、約800mL/分の一定流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の反射率変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。550nmの反射率に対する380nmの反射率の差分を、1分ごとに測定した。尚、反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。
実施例4と同様に、550nmに対する380nmの反射率の変化の絶対値を、様々に湿度に対してプロットした。
図5は、その結果を示すグラフである。図に示されるように、湿度0から65%の範囲では反射率変化3%前後の安定した変化を示したが、65%を超えると急激に感度の減少が観測された。また、サンプリングガスの湿度が20%以下の場合、湿度依存性が、反射率変化で平均ほぼ0%にすることができ、安定な検出を行うことができることがわかる。また、サンプリングガスの湿度20から65%の範囲では、その湿度の調節範囲、すなわち最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することで、反射率の値のばらつきを±0.33%に抑えることができ、安定な検出を行うことができることがわかる。
以上のとおり、光学的変化を捉える手法の一つを用い、反応場、ここでは基材の水分量を調節することにより、ガス状の不飽和炭化水素のフッ化物の一種であるC5F8を安定して検出できる。尚、ジシクロヘキシルメチルアミンのみで同様の検出を行った場合は、該アミンはC5F8とは反応せず、本発明における前記の光学的な変化は起こさない。
【0093】
(実施例6)
本実施例では、検出剤に水を含有させ、サンプリングガスの湿度の検出感度への影響をしらべた。
DBN約60mgをジシクロヘキシルメチルアミン約100mgに混合した。この混合液に水を濃度約14mMになるように加え、その液体を、実施例4で用いた直径約7mmのメッシュ径約3μmのセルロースにマイクロピペッタで2μL浸みこませた。そして、テフロン製の高さ2cm×直径約8mmの円筒形からなる反応室に設置した。
なお、本実施例ではDBN約60mgとジシクロヘキシルメチルアミン約100mgとを混合したが、検出剤におけるDBNと該アミンの混合比率はあらゆる値をとることができ、本実施例に限定されるものではない。
そこへ1気圧の乾燥空気ベースの、様々に湿度を変えたガス状の濃度2ppmのC5F8のガスを、室温25℃、約800mL/分の一定流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の反射率変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。550nmの反射率に対する380nmの反射率の差分を、1分ごとに測定した。尚、反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。
実施例4と同様に、550nmに対する380nmの反射率の変化の絶対値を、様々に湿度に対してプロットした。
図6は、その結果を示すグラフである。図に示されるように、湿度0から75%の範囲では反射率変化が2%前後となり、安定な検出を行うことができることがわかる。75%を超えると急激に感度の減少が観測された。また、サンプリングガスの湿度0から75%の範囲では、その湿度の調節範囲、すなわち最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することで、反射率の値のばらつきを±0.13%に抑えることができ、安定な検出を行うことができることがわかる。
以上のとおり、光学的変化の手法の一つを用い、反応場、ここでは検出剤の水分量を調節することにより、ガス状の不飽和炭化水素のフッ化物の一種であるC5F8を安定して検出できた。
【0094】
(実施例7)
前後に示すほとんど実施例は、温度は室温25℃で一定としたが、反応場の温度を、サンプリングガスの加熱機構(ヒーターおよび熱電対付き、手作り)および反応室を温度一定にするプレート上(アズワン、HP-4530)に設置して、25℃から、40℃、60℃と昇温すると、図7に示すように550nmの反射率に対する380nmの反射率の差分が、大きく増加することがわかった。尚、本実施例では、1気圧の乾燥空気ベースに、濃度2ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の一定流量で該セルロースに吹き付け、550nmの反射率に対する380nmの反射率の差分を、1分ごとに測定した。尚、反応室はあくまで、通常の1気圧であり、真空になっていない。
すなわち、シグナルの大きさは反応場の温度により影響を受け、昇温によりシグナルは増大するので、安定したシグナルを得るためには温度を一定にすることが重要である。また、昇温により反応が促進されることが明らかであり、検出のための高感度化を行える。
【0095】
(実施例8)
本実施例では、実施例5に用いたと同じ基材を用い、湿度の調節にナフィオンチューブを用いた。
実施例5と同様にして、エタノールに水を加え、その濃度を110μMとした。その液体を直径約7mmの乾燥したメッシュ径約3μmのセルロースにマイクロピペッタで2μL浸みこませ、自然乾燥させた。
次に、実施例5と同様にしてDBN約60mgをジシクロヘキシルメチルアミン約100mgに混合した液体約2μLを、前記セルロースに浸みこませ、図12に概略的に示すテフロン製の高さ2cm×直径約8mmの円筒形からなる反応室に設置した。尚、DBNとジシクロヘキシルメチルアミンの混合の比率はあらゆる値をとることができ、本実施例に限定されるものではない。
次いで、長さ約1mのナフィオンチューブ(バイタラインH)の外部に乾燥空気を約2L/分で流しながら、1気圧の室内空気ベースの様々な湿度の濃度2ppmのC5F8のサンプリングガスを室温25℃、約800mL/分の流量で該ナフィオンチューブ内部に通したあと、検出剤の存在する前記セルロースに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。
本実施例のように、外部に乾燥空気を流しながら、ナフィオンチューブを用いることで、湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて12%以下に減少させることができる。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化3±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、ナフィオンチューブを用いて反応場の湿度および水分量を調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0096】
(実施例9)
本実施例では、ある水分量を有する検出剤を用い、湿度の調節にナフィオンチューブを用いた。
DBN約60mgとジシクロヘキシルメチルアミン約100mgの混合液に濃度約4mMの水を含ませ、それを直径約7mmのメッシュ径約3μmセルロースにマイクロピペッタで2μL浸みこませた。そして、テフロン製の高さ2cm×直径約8mmの円筒形からなる反応室に設置した。なお、DBNとジシクロヘキシルメチルアミンの混合の比率はあらゆる値をとることができ、本実施例に限定されるものではない。
次いで、実施例8と同様にして、長さ約1mのナフィオンチューブを用いて、検出剤の存在する前記セルロースのテープに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。
本実施例においても、ナフィオンチューブを用いることで、湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて15%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化2.8±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、ナフィオンチューブを用いて反応場の湿度および水分量を調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0097】
(実施例10)
本実施例においては、基材として、乾燥したDBNを浸みこませた後、水を含んだジシクロヘキシルメチルアミンを浸みこませたセルロースを用い、湿度の調節にナフィオンチューブを用いた。
まず、乾燥したDBNを幅約1cmのメッシュ径約3μmセルローステープにマイクロピペッタで約1.5μL浸みこませ、次に濃度約2.8Mの水を含んだジシクロヘキシルメチルアミンをマイクロピペッタで約2.5μL浸みこませた。そして、テフロン製の高さ2cm×横幅1cm×奥行き1cmからなる反応室に設置した。なお、DBNとジシクロヘキシルメチルアミンの混合の比率はあらゆる値をとることができ、本実施例に限定されるものではない。
次いで、実施例8と同様にして、長さ約1mのナフィオンチューブを用いて、検出剤の存在する前記セルロースのテープに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。
本実施例においても、ナフィオンチューブを用いることで、湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて11%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化2.5±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、ナフィオンチューブを用いて反応場の湿度および水分量を調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0098】
(実施例11)
本実施例においては、基材として、高湿度下で湿らせた後、乾燥したDBMとジシクロヘキシルメチルアミンを浸みこませたセルローステープを用い、湿度の調節にナフィオンチューブを用いた。
ます、幅約1cmのメッシュ径約3μmセルローステープを、湿度約40−50%の空気中に2時間置いた。それを同じ空気の存在するデシケータ中に外気から遮断した状態で保存した。該セルローステープをデシケータから取り出し、該セルローステープに、乾燥したDBN約60gと乾燥したジシクロヘキシルメチルアミン約100gの混合液を約4μL、前記セルローステープに浸みこませ、テフロン製の高さ2cm×横幅1cm×奥行き1cmからなる反応室に設置した。
次いで、実施例8と同様にして、長さ約1mのナフィオンチューブを用いて、検出剤の存在する前記セルロースのテープに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。
本実施例においても、ナフィオンチューブを用いることで、湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて14%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化3±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、ナフィオンチューブを用いて反応場の湿度および水分量を調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0099】
(実施例12)
本実施例では、基材として、実施例7と同様の基材をフィルム(HDPE(製品名)、千代田化学株式会社)で包んだものを用い、湿度の調節にナフィオンチューブを用いた。
まず、幅約1cmのメッシュ径約3μmセルローステープを湿度約40−50%の空気中に2時間置いた。該セルローステープに、乾燥したDBNと乾燥したジシクロヘキシルメチルアミンの重量比約3:5の混合液を全体に浸みわたらせた。該セルローステープを図11に示すように、該フィルムで包んで外気から遮断した状態で保存した。
次に、該フィルムをC5F8ガスを検出する直前に図に示すように剥がし、テフロン製の高さ2cm×横幅1cm×奥行き1cmからなる反応室に設置した。
次いで、実施例8と同様にして、長さ約1mのナフィオンチューブを用いて、検出剤の存在する前記セルロースのテープに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。
本実施例においても、ナフィオンチューブを用いることで、湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて12%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化2.9±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、ナフィオンチューブおよびテープをラップする態様を用い反応場の湿度および水分量を調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0100】
(実施例13)
本実施例では、実施例8に用いたと同じ基材を用い、湿度の調節に無水硫酸ナトリウムを用いた。
ます、実施例8と同様にして、エタノールに水を加え、その濃度を110μMとした。その液体を直径約7mmの乾燥したメッシュ径約3μmのセルロースにマイクロピペッタで2μL浸みこませ、自然乾燥させた。
次に、実施例8と同様にしてDBN約60mgをジシクロヘキシルメチルアミン約100mgに混合した液体約2μLを、前記セルロースに浸みこませ、テフロン製の高さ2cm×直径8mmの円筒形からなる反応室に設置した。
次いで、長さ約30cm、直径約2cmのガラス管に無水硫酸ナトリウムを詰め、そこへ1気圧の室内空気ベースの様々に湿度の濃度2ppmのC5F8のガスを、室温25℃、約800mL/分の流量でサンプリングガスを通し、その後流出してくるサンプリングガスを該セルロースに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。尚、反応場は真空にしていない。
本実施例においては、無水硫酸ナトリウムの該ガラス管にサンプリングガスを通すことで、湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて20%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化3±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、無水硫酸ナトリウムを用いて反応場の湿度および水分量を調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0101】
(実施例14)
本実施例では、湿度の調節にペルチェ素子を用いた以外は、すべて、前記の実施例8と同様にした。
すなわち、1気圧の室内空気ベースの様々な湿度の濃度2ppmのC5F8のガスをテドラーバックから、ペルチェ素子を用いた除湿機ARD-520(アビックス)に通し、排気する部分から約800mL/分の流量で吸気し、その後流出してくるサンプリングガスを室温で、実施例8に記載のセルロースに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜90%であった。
本実施例においては、ペルチェ素子を用いた除湿機にサンプリングガスを通すことで、湿度範囲0〜90%のサンプリングガスの湿度は、40%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化2.8±0.3%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、反応場の湿度をペルチェ素子で調節することで、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。
【0102】
(実施例15)
本実施例においては、実施例8に用いた同様なセルロース基材を用い、サンプリングガスとして、塩酸ガスを共存させたもの用いるとともに、Poly(4-pyridylvynily- co-butyl-methacrylate)の粉末を充填したガラス管を、実施例8で用いたナフィオンチューブの前段に設けた。
まず、実施例8と同様にして、エタノールに水を加え、その濃度を110μMとした。その液体を幅約1cmの乾燥したメッシュ径約3μmのセルロースのテープにマイクロピペッタで2μL浸みこませ、自然乾燥させた。
次に、実施例8と同様にしてDBN約60mgをジシクロヘキシルメチルアミン約100mgに混合した液体約4μLを、前記セルロースに浸みこませ、図12に概略的に示すテフロン製の高さ2cm×横幅1cm×奥行き1cmからなる反応室に設置した。
次いで、Poly(4-pyridylvynily-co-butyl-methacrylate)の粉末を長さ10cm、直径約5mmのガラス管に充填した。それを長さ約1mのナフィオンチューブ(バイタラインH)に連結した。ナフィオンチューブの外部には乾燥空気を約2L/分で流すようにした。そのように連結したチューブに、1気圧の室内空気ベースの様々な湿度の濃度2ppmのC5F8と濃度約20ppmの塩酸ガスを共存させたサンプリングガスを室温25℃、約800mL/分の流量で該Poly(4-pyridylvynily-co-butyl-methacrylate)ガラス管、続いてナフィオンチューブ内部に通したあと、該セルローステープに吹き付けた。変化させた湿度の範囲は0〜99%であった。
本実施例においては、フィルターとしてPoly(4-pyridylvynily-co-butyl-methacrylate)ガラス管と、それに連結するナフィオンチューブを用いることで、塩酸ガスを含む湿度範囲0〜99%のサンプリングガスの湿度は、すべて16%以下に減少した。その結果、様々な湿度のサンプリングガスに対し、反射率変化3±0.2%の安定した変化を示した。
以上、本実施例からわかるように、反応場の湿度を、ナフィオンチューブを用いて調節するととともに、Poly(4-pyridylvynily-co-butyl-methacrylate)をフィルターに用いることで、塩酸ガスを含有する場合であっても、C5F8のガスの検知を安定に行うことができる。また、該フィルターは除塵機能も有する。
【0103】
(実施例16)
DBN約3.5gを、シリカゲル(ワコーゲルC-300E、粒径45〜75μm、和光純薬製)約4gに水浴中冷やしながら慎重に浸みこませ、端に綿を詰めた内径0.5cm長さ10cmの管に詰め、図18(a)のようにDBNを含むシリカゲルに前記端に詰めた綿が直接接した状態で乾燥剤である無水硫酸ナトリウムを約2g詰め、最後に綿を詰め、乾燥窒素を1L流したのち、その両端をラップで蓋をした。使用する前に該両端のラップを取り外し、エアーポンプ(CM15-24、アズワン)にシリコンチューブで乾燥剤である無水硫酸ナトリウムの反対側から接続した。次に該エアーポンプを作動し約1L/分で2分間室内空気を吸気した。その間、該シリカゲル部分は色の変化がなかった。そこへ室内空気をベースとした高濃度約5%のC5F8混合気体をリリースすると、該シリカゲル部分の色は、黄色〜黄土色に変化した。
以上、本発明を用いることで、ガス状の不飽和炭化水素のフッ化物の一種であるC5F8の環境測定において、目視によりその存在を検出できた。
【0104】
(実施例17)
DBN約60mgをトリイソブチルアミン約90mgに混合し、実施例5と同様に、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度2ppmのC5F8H2のガスを、約600mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が、前述した変化と同様に400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、少なくともDBNを含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合している検出対象ガスの一種であるC5F8H2を検出できた。
【0105】
(実施例18)
DBN約90mgをトリイソブチルアミン約90mgに混合し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、そこへ湿度が20〜40%の室内空気ベースのガス状の濃度1ppmのC5F8と、濃度1ppmのC4F6と、濃度1ppmのC5F8H2を、約1:1:1で混合し、約600mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、少なくともDBNを含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるガス状のフッ化物の混合ガスを検出できた。
【0106】
(実施例19)
4,4-Dimethyl-DBN約50mgをNMP0.5mLに溶かし、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度2ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、少なくともDBNの置換誘導体を含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0107】
(実施例20)
4,7-Dimethyl-DBN約60mgをNMP0.5mLに溶かし、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。そこへ湿度がほぼ0%のドライ純空気ベースのガス状の濃度2ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、少なくともDBNの置換誘導体を含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0108】
(実施例21)
4-Phenyl-DBN約80mgをNMP0.5mLに溶かし、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度2ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、少なくともDBNの置換誘導体を含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0109】
(実施例22)
1,3,4,6,7,8-Hexahydro-2H-primido[1,2-a]pyrimidine(HPP)がポリマーの側鎖として共有結合している高分子JANDAJEL-1,3,4,6,7,8-hexahydro-2H-primido[1,2-a]pyrimidine50mgをポリブタジエンのTHF溶液(水分を0.6mg/cm3含有)1mLに分散させ、その液をガラス表面に塗布し窒素雰囲気下、THFを蒸発させた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度50ppmのC5F8のガスを、該表面に吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、少なくともHPPの置換誘導体を含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。なお、本実施例に限らず、加工性に富む有機ポリマーやセルロース、さらにはアルミナ、ガラスなどの態様も可能で、あらゆる形態に本発明は応用される。
【0110】
(実施例23)
3,4,6,7,8,9-Hexahydro-2H-pyrido[1,2-a]pyrimidine約60mgを、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度50ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物である3,4,6,7,8,9-hexahydro-2H-pyrido[1,2-a]pyrimidineを含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0111】
(実施例24)
7-Imino-3,4,6,7-tetrahydro-2H-pyrimido[2,1-a]isoquinoline 30mgとNMP1mLの混合液を、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。なお本実施例で用いた7-imino-3,4,6,7-tetrahydro-2H- pyrimido[2,1-a]isoquinolineは、一般式(I)におけるR3−R4が、一般的な炭化水素基、すなわち、有機化学におけるすべての官能基のうち、ヘテロ原子のひとつである窒素を有するイミノ基およびベンゼン環が置換されており、化合物として3環性の窒素化合物で、DBNの類縁体である。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度50ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、アミジン骨格を中心とした3環性の窒素化合物である7-imino-3,4,6,7-tetrahydro-2H-pyrimido[2,1-a]isoquinolineを含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0112】
(実施例25)
1,3,4,6,7,8-Hexahydro-2H-primido[1,2-a]pyrimidine(HPP)約70mgをNMP 1mLに溶かし、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置した。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度50ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物であるHPPを含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0113】
(実施例26)
Tetramisole約90mgをジメチルホルムアミドDMP1mLに溶かし、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、湿度が20〜40%の室内空気中ほぼ飽和したガス状のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物であるtetramisoleを含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0114】
(実施例27)
1,3,4,6,7,8-Hexahydro-1-methyl-2H-primido[1,2-a]pyrimidine(MeHPP)約90mgを、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませ、流量制御が可能なガスライン途中に設置する。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度50ppmのC5F8のガスを、約800mL/分の流量で該セルロースに吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを用い、アミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物であるHPPの置換誘導体を含み、かつそれ以外の有機物が共存する態様を使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0115】
(実施例28)
イミダゾリン誘導体の一種である、1-Propyl-2-methylimidazole(化学式(III)中、R1〜R4=水素、R5=メチル、R6=プロピル)約260mgを有機溶媒の1種であるアセトニトリル1mLに混合し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ濃度約1MのC5F8のacetone溶液を加えると紫外可視領域の変化が、400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0116】
(実施例29)
イミダゾリン誘導体の一種である、1,2-Dimethylbenzimidazole(化学式(III)中、R1〜R4=水素、R5=R6=メチル)約170mgを有機溶媒の1種であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)1mLに混合し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%の乾燥空気ベースの濃度約10%のC5F8のガスを吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0117】
(実施例30)
フォスファゼン誘導体の一種である、2-tert-Butylimino-2-diethylamino-1,3-dimethylperhydro-1,3,2-diazaphosphorine(化学式(IV)中、R1=tert−ブチル、R2=ジエチルアミノ、R3‐R4=N,N−ジメチルプロピレンジアミノ)を、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約3%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が550nm以下において確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0118】
(実施例31)
フォスファゼン誘導体の一種である、N-tert-Butyl-N, N,N’,N’N”,N”-hexamethylphoshorimidic triamide(化学式(IV)中、R1=tert−ブチル、R2=R3=R4=ジメチルアミノ)約50mgをヌジョール(流動パラフィン)約1mLに混合し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約1%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が550nm以下において確認できた。以上、光学的変化の各手法により、検出対象ガスであるC5F8を検出できた。
【0119】
(実施例32)
フォスファゼン誘導体の一種である、2-tert-Butylimino-2-diethylamino-1,3-dimethylperhydro-1,3,2-diazaphosphorine(化学式(IV)中、R1=tert−ブチル、R2=ジエチルアミノ、R3‐R4=N,N−ジメチルプロピレンジアミノ)約4μLを、0.5μg/cm3の水を含有するアルミナ板(中性アルミナ、TLC用)に浸み込ませ、そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約0.1%のC5F8H2を表面に吹き付けると、紫外可視領域の変化が550nm以下において確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合している検出対象の一種であるC5F8H2ガスを検出できた。
【0120】
(実施例33)
フォスファゼン誘導体の一種である、Phosphazene base P2-t-Bu on polystyrene(化学式(IV)中、R1=ポリスチレン−tert-ブチル、R2=R3=R4=ジメチルアミノ)約150mgを有機溶媒の1種であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1mLへ混合し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約0.1%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が550nm以下において確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8ガスを検出できた。
【0121】
(実施例34)
ピリジン(化学式(II)中、R1〜R5=水素)の液体を、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約0.1%のC5F8と濃度600ppmのC4F6を1:1で混合したガスを吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスである混合ガスを検出できた。
【0122】
(実施例35)
ピリジン誘導体の一種である、コポリマーPoly(4-vinylprydine-co-butyl methacrylate)(化学式(II)中、R3=コポリマーpoly(vinyl-co-butyl methacrylate)‐4−ピリジル、R1=R2=R4=R5=水素)約320mgを有機溶媒の1種であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)2mLへ溶解し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約10%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が450nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8ガスを検出できた。
【0123】
(実施例36)
ピリジン誘導体の一種である、3−ピリジンカルボアルデヒド(化学式(II)中、R2=フォルミル、R1=R3=R4=R5=水素)約230mgを有機溶媒の1種であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1mLへ溶解させ、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約10%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8ガスを検出できた。
【0124】
(実施例37)
ピリジン誘導体の一種である、4,4’−ビピリジル約100mg(化学式(II)中、R3=4−ピリジル、R1=R2=R4=R5=水素)を有機溶媒の1種であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1mLとピリジン40mgに混合し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約0.1%のC5F8H2を注射器でとり、該溶液にバブリングすると、紫外可視領域の変化が400nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合している検出対象ガスの一種であるC5F8H2ガスを検出できた。
【0125】
(実施例38)
グアニジン誘導体の一種である、1,3−ジ−o−トリルグアニジン(化学式(V)中、R1=R3=2−メチルフェニル、残り全て水素)91mgをN−メチルーピロリドン(NMP)1mLに溶解し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約10%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が450nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8ガスを検出できた。
【0126】
(実施例39)
グアニジン誘導体の一種である、1,3−ジフェニルグアニジン(化学式(V)中、R1=R3=フェニル、残り全て水素)92mgをN−メチルーピロリドン(NMP)1mLに溶解し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約10%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が450nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8ガスを検出できた。
【0127】
(実施例40)
グアニジン誘導体の一種である、1−(o−トリル)ビグアニジン(化学式(V)中、R1=2−メチルフェニル、残り全て水素)78mgをN−メチルーピロリドン(NMP)1mLに溶解し、約0.5μg/cm3の水を含有する、メッシュ径約3μmのセルロースに浸みこませた。そこへ湿度がほぼ0%のドライ窒素ベースのガス状の濃度約10%のC5F8を吹き付けると、紫外可視領域の変化が450nm前後±100nmにおいて確認できた。以上、光学的変化の手法の一つを使うことにより、検出対象ガスであるC5F8ガスを検出できた。
【符号の説明】
【0128】
10:基材
11:テープ
13:ラップ
14:カプセルを接着したテープ
18:ローラー
19:針
20:検出剤
30:ローラー
31:剥がす機構(巻き取りローラ)
40:水を含んだエタノール又はイソプロパノール
50:フィルター
60:乾燥剤
62:セパレータ
80:タンク
100:反応室
110:ガス導入口
113:光導入窓
114:反射光導出窓
120:基材を配置する部分
121:反応場
130:ガス排気口
200:気密構造体
300:光源
301:光導入部分
302:微少な光源への電気配線
303:光導入ファイバー
304:光ファイバー
310:微少な光源
341:光導入部及び反射光導出部
400:検出器
401:反射光導出部
402:微細なフォトセンサへの電気配線
403:反射光導出ファイバー
410:微細なフォトセンサ
420:解析器
430:警報器
500:乾燥器
501:フィルター
502:除湿チューブ
620:ペルチェ素子
610:温度調節器
630:温度調節器
640:冷却水
700:ポンプ
701:ポンプ
702:圧力計
703:流量計
800:筒状の管
810:ガス導入口
830:ガス排気口
A:基材の搬送方向
B:ペルチェ素子から排水口に向かう排水の流れ
C:空気もしくは窒素の流れ
D:排気もしくはリサイクルされる空気もしくは窒素の流れ
E:排水口に向かう冷却水の流れ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリングガス中の、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、基材表面で反応させた検出剤の光反射率の変化により検出する、ガス状のフッ化物の検出方法であって、
ガス状のフッ化物と検出剤が反応する反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節すること、又は該サンプリングガスの湿度を前記基材及び/又は前記検出剤の含水量に応じて調節することを特徴とする検出方法。
【請求項2】
前記検出剤が、一般式(I)
【化1】
[式中、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、他のヘテロ原子で置換されてもよいメチレン基(CH2)を表し、或いは、置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)のヘテロ原子を表す。R1とR2との間、及びR3とR4の間には、炭化水素基やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在するか、或いは、挿入され、さらに、それらの置換基がさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]
で表されるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を有効成分とすることを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で、前記検出剤の反射率が変化する波長(λ1)及び該反射率の変化がより少ない波長(λ2)を含む光により照射し、該それぞれの波長の反射光量の差又は比により検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の検出方法。
【請求項4】
前記サンプリングガスを室温以上の一定に設定された温度にすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項5】
前記基材及び/又は検出剤に一定量の水分を含有させると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項6】
前記基材に0.5μg/cm3以上の一定量の水分を含有させ、前記検出剤に4mM以上の一定量の水分を含有させると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする請求項5に記載の検出方法。
【請求項7】
前記基材に0.5μg/cm3以上の一定量の水分を含有させ、前記検出剤は乾燥させた状態で用いると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする請求項5に記載の検出方法。
【請求項8】
前記検出剤に4mM以上の一定量の水分を含有させ、前記基材は乾燥させた状態で用いると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする請求項5に記載の検出方法。
【請求項9】
前記サンプリングガスの湿度が20%以下となるよう調節することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項10】
前記サンプリングガスと前記基材とを接触させる直前に、該基材に水分を含浸させることを特徴とする請求項5〜7及び請求項9のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項11】
前記反応場を、外気と接触しないように遮蔽することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項12】
前記サンプリングガスの湿度の調節を、除湿チューブを用いるか、ベルチェ素子の冷却する部分に接触させるか、あるいは、アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカ、塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム及び酸化カルシウムから選ばれる固体乾燥剤に接触させる、ことにより行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項13】
前記基材に、前記検出剤を含浸又は塗布あるいは噴霧させておくことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項14】
前記検出剤を含浸又は塗布あるいは噴霧された基材を、防水性の膜又はフィルムで覆い、反応直前又は反応時に該膜又はフィルムを剥離することを特徴とする請求項13に記載の検出方法。
【請求項15】
前記基材が、前記検出剤を内包した防水性のカプセルから構成され、反応直前又は反応時に該カプセルを潰すことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項16】
前記サンプリングガスと前記検出剤とを接触させる直前に、該検出剤を基材に含浸又は塗布あるいは噴霧することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項17】
前記基材の形態が、膜又はフィルム状、テープ状、板状、網状、棒状、粉体状、あるいはカプセル状であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項18】
前記基材材が、多孔質体からなることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項19】
前記基材が、紙、又はセルロース、又はポリスチレン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる有機高分子材料、又はシリカ、アルミナ、ガラスから選ばれる無機材料の1種類もしくは2種類以上の複合体からなることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項20】
前記サンプリングガスと前記検出剤とを接触させる前に、サンプリングガスを、炭酸水素塩、あるいは、アミンもしくはイミンを有する有機化合物または高分子から選ばれる材質からなるフィルターに接触させることにより、酸性ガス及び/又は妨害ガスを取り除くこと特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項21】
サンプリングガス中の、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、基材表面で反応させた検出剤の光反射率の変化により検出する、ガス状のフッ化物の検出装置であって、
前記検出剤を表面及び/又は内部に有する基材を配置した反応室と、
該反応室に前記サンプリングガスを導入する手段と、
前記サンプリングガスを前記反応室から排気する手段と、
を有しており、
前記サンプリングガスが反応室に導入される前にその湿度を調節する手段を備え、
少なくとも前記反応室は、外気と接触しない機密構造体で構成され、反応室内の湿度が一定に保持されていることを特徴とする検出装置。
【請求項22】
前記検出剤が、一般式(I)
【化1】
[式中、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、他のヘテロ原子で置換されてもよいメチレン基(CH2)を表し、或いは、置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)のヘテロ原子を表す。R1とR2との間、及びR3とR4の間には、炭化水素基やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在するか、或いは、挿入され、さらに、それらの置換基がさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]
で表されるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を有効成分とすることを特徴とする請求項21に記載の検出装置。
【請求項23】
前記サンプリングガスの湿度の調節手段が、除湿チューブであって、該チューブ内部にサンプリングガスを通すとともに、該除湿チューブの外部にサンプリングガスよりの湿度の低い気体を流す手段を有することを特徴とする請求項21又は22に記載の検出装置。
【請求項24】
前記サンプリングガスの湿度の調節手段がペルチェ素子であって、該ペルチェ素子の冷却する部分にサンプリングガスを接触させることを特徴とする請求項21又は22に記載の検出装置。
【請求項25】
前記サンプリングガスの湿度の調節手段が、アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカ、塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、及び酸化カルシウムから選ばれる固体乾燥剤であることを特徴とする請求項21又は22に記載の検出装置。
【請求項26】
前記サンプリングガスを導入する手段が、ポンプ及び/又はマスフローコントローラを有することを特徴とする請求項21〜25のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項27】
前記反応室が、湿度が一定の気体で充填されていることを特徴とする請求項21〜26のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項28】
前記反応室内の温度を室温以上の一定温度に制御する手段を有することを特徴とする請求項21〜27のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項29】
前記機密構造体で構成された反応室内に、前記基材を搬送する機構を設けたことを特徴とする請求項21〜28のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項30】
前記反応室内又は反応室の手前に、前記基材に前記検出剤を塗布又は滴下あるいは噴霧する手段を有することを特徴とする請求項21〜29のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項31】
前記反応室内又は反応室の手前に、前記基材に水分を供給する手段を有することを特徴とする請求項21〜30のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項32】
前記基材に水分を供給する手段が、前記基材に前記検出剤を塗布又は滴下あるいは噴霧する手段の前段に設けられていることを特徴とする請求項31に記載の検出装置。
【請求項33】
前記基材形態が、膜又はフィルム状、テープ状、板状、網状、棒状、粉体状、あるいはカプセル状であることを特徴とする請求項21〜32のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項34】
前記基材材が、多孔質体からなることを特徴とする請求項21〜33のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項35】
前記基材が、紙、又はセルロース、又はポリスチレン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる有機高分子材料、又はシリカ、アルミナ、ガラスから選ばれる無機材料、の1種類もしくは2種類以上の複合体からなることを特徴とする請求項21〜34のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項36】
前記基材が、防水性の膜又はフィルムで覆われており、反応直前又は反応時に、該膜又はフィルムを剥がす手段を有していることを特徴とする請求項21〜29のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項37】
前記基材が、前記検出剤を内包した防水性のカプセルから構成され、反応直前又は反応時に該カプセルを潰す手段を有していることを特徴とする請求項21〜29のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項38】
前記基材表面での検出剤の反射率の変化を、光学的手段で検出する手段を有することを特徴とする請求項21〜37のいずれか1項に記載のガス状のフッ化物の検出装置。
【請求項39】
前記検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で前記検出剤の反射率が変化する波長を含む光を発生する光源と、及び前記基材からの反射光を検出する検出器を有し、該光源は該光源からの光が前記基材に向けて入射するごとく設けられていることを特徴とする請求項38に記載の検出装置。
【請求項40】
前記検出剤の反射率が変化する波長が、550nmより短い波長である請求項38又は39に記載の検出装置。
【請求項41】
前記光源は、前記検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で前記検出剤の反射率が変化する波長(λ1)及び反射率の変化がより少ない波長(λ2)を含む光を両方発生する1つの光源又はそれぞれ該波長の一方を含む光を発生する2つの光源からなり、前記検出器はそれぞれの波長の反射光を検出する検出器であって、該それぞれの反射光量の差、または比により前記ガス状のフッ化物を検出することを特徴とする請求項39又は40に記載の検出装置。
【請求項42】
前記検出剤の反射率の変化がより少ない波長(λ2)が、550nm以上650nm以下の波長域から選ばれる波長以上の波長である請求項41に記載の検出装置。
【請求項43】
前記光源及び前記検出器を、前記反応室内に配置することを特徴とする請求項39〜42のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項44】
前記光源からの光を、前記反応室に設置された光導入窓から入射し、前記反射光を、前記反応室に設置された光導出窓から導出するようにしたことを特徴とする請求項39〜42のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項45】
前記光源からの光を反応室内に入射する導入用光ファイバー、及び前記反射光を反応室から導出する導出用光ファイバーを配設することを特徴とする請求項39〜42のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項46】
反応場の、前記導入用光ファイバー及び導出用光ファイバーの先端の付着物を拭き取る手段を有することを特徴とする請求項45に記載の検出装置。
【請求項47】
前記サンプリングガスを前記反応室に導入する前に、前記サンプリングガス中の酸性ガス及び/又は反応妨害ガスを除去する手段を有することを特徴とする請求項21〜46のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項48】
前記反応室が、少なくとも一部が短波長可視光領域ないし紫外線領域の光を透過する筒状の管で構成され、該管内に、基材に吸着された検出剤を封入するとともに、サンプリングガスの乾燥部又は乾燥剤を該管内のサンプリングガスの導入口側に配置することを特徴とする請求項21〜26のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項49】
前記検出剤と前記乾燥剤の間にセパレータを設けたことを特徴とする請求項48に記載の検出装置。
【請求項1】
サンプリングガス中の、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、基材表面で反応させた検出剤の光反射率の変化により検出する、ガス状のフッ化物の検出方法であって、
ガス状のフッ化物と検出剤が反応する反応場に導入するサンプリングガスの湿度を調節すること、又は該サンプリングガスの湿度を前記基材及び/又は前記検出剤の含水量に応じて調節することを特徴とする検出方法。
【請求項2】
前記検出剤が、一般式(I)
【化1】
[式中、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、他のヘテロ原子で置換されてもよいメチレン基(CH2)を表し、或いは、置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)のヘテロ原子を表す。R1とR2との間、及びR3とR4の間には、炭化水素基やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在するか、或いは、挿入され、さらに、それらの置換基がさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]
で表されるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を有効成分とすることを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で、前記検出剤の反射率が変化する波長(λ1)及び該反射率の変化がより少ない波長(λ2)を含む光により照射し、該それぞれの波長の反射光量の差又は比により検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の検出方法。
【請求項4】
前記サンプリングガスを室温以上の一定に設定された温度にすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項5】
前記基材及び/又は検出剤に一定量の水分を含有させると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項6】
前記基材に0.5μg/cm3以上の一定量の水分を含有させ、前記検出剤に4mM以上の一定量の水分を含有させると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする請求項5に記載の検出方法。
【請求項7】
前記基材に0.5μg/cm3以上の一定量の水分を含有させ、前記検出剤は乾燥させた状態で用いると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする請求項5に記載の検出方法。
【請求項8】
前記検出剤に4mM以上の一定量の水分を含有させ、前記基材は乾燥させた状態で用いると同時に、前記サンプリングガスの湿度を、0〜65%の範囲にあり、且つ、最小値と最大値の差が20%以内となるように調節することを特徴とする請求項5に記載の検出方法。
【請求項9】
前記サンプリングガスの湿度が20%以下となるよう調節することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項10】
前記サンプリングガスと前記基材とを接触させる直前に、該基材に水分を含浸させることを特徴とする請求項5〜7及び請求項9のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項11】
前記反応場を、外気と接触しないように遮蔽することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項12】
前記サンプリングガスの湿度の調節を、除湿チューブを用いるか、ベルチェ素子の冷却する部分に接触させるか、あるいは、アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカ、塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム及び酸化カルシウムから選ばれる固体乾燥剤に接触させる、ことにより行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項13】
前記基材に、前記検出剤を含浸又は塗布あるいは噴霧させておくことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項14】
前記検出剤を含浸又は塗布あるいは噴霧された基材を、防水性の膜又はフィルムで覆い、反応直前又は反応時に該膜又はフィルムを剥離することを特徴とする請求項13に記載の検出方法。
【請求項15】
前記基材が、前記検出剤を内包した防水性のカプセルから構成され、反応直前又は反応時に該カプセルを潰すことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項16】
前記サンプリングガスと前記検出剤とを接触させる直前に、該検出剤を基材に含浸又は塗布あるいは噴霧することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項17】
前記基材の形態が、膜又はフィルム状、テープ状、板状、網状、棒状、粉体状、あるいはカプセル状であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項18】
前記基材材が、多孔質体からなることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項19】
前記基材が、紙、又はセルロース、又はポリスチレン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる有機高分子材料、又はシリカ、アルミナ、ガラスから選ばれる無機材料の1種類もしくは2種類以上の複合体からなることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項20】
前記サンプリングガスと前記検出剤とを接触させる前に、サンプリングガスを、炭酸水素塩、あるいは、アミンもしくはイミンを有する有機化合物または高分子から選ばれる材質からなるフィルターに接触させることにより、酸性ガス及び/又は妨害ガスを取り除くこと特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項21】
サンプリングガス中の、分子内に少なくとも不飽和結合を有するガス状の不飽和炭化水素のフッ化物、及び/又は分子内に少なくとも水素−炭素部分を有し、かつその水素−炭素部分の炭素に結合している隣の炭素にアニオン性脱離基が結合しているガス状の炭化水素のフッ化物を、基材表面で反応させた検出剤の光反射率の変化により検出する、ガス状のフッ化物の検出装置であって、
前記検出剤を表面及び/又は内部に有する基材を配置した反応室と、
該反応室に前記サンプリングガスを導入する手段と、
前記サンプリングガスを前記反応室から排気する手段と、
を有しており、
前記サンプリングガスが反応室に導入される前にその湿度を調節する手段を備え、
少なくとも前記反応室は、外気と接触しない機密構造体で構成され、反応室内の湿度が一定に保持されていることを特徴とする検出装置。
【請求項22】
前記検出剤が、一般式(I)
【化1】
[式中、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、他のヘテロ原子で置換されてもよいメチレン基(CH2)を表し、或いは、置換基を有していてもよい窒素原子(N)、酸素原子(O)又は硫黄原子(S)のヘテロ原子を表す。R1とR2との間、及びR3とR4の間には、炭化水素基やそれらを有するポリマーから形成される置換基が存在するか、或いは、挿入され、さらに、それらの置換基がさらなる環状部分を形成し、化合物として3環以上の場合を含む。]
で表されるアミジン骨格を中心とした少なくとも2つの環を有する窒素化合物を有効成分とすることを特徴とする請求項21に記載の検出装置。
【請求項23】
前記サンプリングガスの湿度の調節手段が、除湿チューブであって、該チューブ内部にサンプリングガスを通すとともに、該除湿チューブの外部にサンプリングガスよりの湿度の低い気体を流す手段を有することを特徴とする請求項21又は22に記載の検出装置。
【請求項24】
前記サンプリングガスの湿度の調節手段がペルチェ素子であって、該ペルチェ素子の冷却する部分にサンプリングガスを接触させることを特徴とする請求項21又は22に記載の検出装置。
【請求項25】
前記サンプリングガスの湿度の調節手段が、アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカ、塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、及び酸化カルシウムから選ばれる固体乾燥剤であることを特徴とする請求項21又は22に記載の検出装置。
【請求項26】
前記サンプリングガスを導入する手段が、ポンプ及び/又はマスフローコントローラを有することを特徴とする請求項21〜25のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項27】
前記反応室が、湿度が一定の気体で充填されていることを特徴とする請求項21〜26のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項28】
前記反応室内の温度を室温以上の一定温度に制御する手段を有することを特徴とする請求項21〜27のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項29】
前記機密構造体で構成された反応室内に、前記基材を搬送する機構を設けたことを特徴とする請求項21〜28のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項30】
前記反応室内又は反応室の手前に、前記基材に前記検出剤を塗布又は滴下あるいは噴霧する手段を有することを特徴とする請求項21〜29のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項31】
前記反応室内又は反応室の手前に、前記基材に水分を供給する手段を有することを特徴とする請求項21〜30のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項32】
前記基材に水分を供給する手段が、前記基材に前記検出剤を塗布又は滴下あるいは噴霧する手段の前段に設けられていることを特徴とする請求項31に記載の検出装置。
【請求項33】
前記基材形態が、膜又はフィルム状、テープ状、板状、網状、棒状、粉体状、あるいはカプセル状であることを特徴とする請求項21〜32のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項34】
前記基材材が、多孔質体からなることを特徴とする請求項21〜33のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項35】
前記基材が、紙、又はセルロース、又はポリスチレン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる有機高分子材料、又はシリカ、アルミナ、ガラスから選ばれる無機材料、の1種類もしくは2種類以上の複合体からなることを特徴とする請求項21〜34のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項36】
前記基材が、防水性の膜又はフィルムで覆われており、反応直前又は反応時に、該膜又はフィルムを剥がす手段を有していることを特徴とする請求項21〜29のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項37】
前記基材が、前記検出剤を内包した防水性のカプセルから構成され、反応直前又は反応時に該カプセルを潰す手段を有していることを特徴とする請求項21〜29のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項38】
前記基材表面での検出剤の反射率の変化を、光学的手段で検出する手段を有することを特徴とする請求項21〜37のいずれか1項に記載のガス状のフッ化物の検出装置。
【請求項39】
前記検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で前記検出剤の反射率が変化する波長を含む光を発生する光源と、及び前記基材からの反射光を検出する検出器を有し、該光源は該光源からの光が前記基材に向けて入射するごとく設けられていることを特徴とする請求項38に記載の検出装置。
【請求項40】
前記検出剤の反射率が変化する波長が、550nmより短い波長である請求項38又は39に記載の検出装置。
【請求項41】
前記光源は、前記検出剤が前記ガス状のフッ化物と反応する前後で前記検出剤の反射率が変化する波長(λ1)及び反射率の変化がより少ない波長(λ2)を含む光を両方発生する1つの光源又はそれぞれ該波長の一方を含む光を発生する2つの光源からなり、前記検出器はそれぞれの波長の反射光を検出する検出器であって、該それぞれの反射光量の差、または比により前記ガス状のフッ化物を検出することを特徴とする請求項39又は40に記載の検出装置。
【請求項42】
前記検出剤の反射率の変化がより少ない波長(λ2)が、550nm以上650nm以下の波長域から選ばれる波長以上の波長である請求項41に記載の検出装置。
【請求項43】
前記光源及び前記検出器を、前記反応室内に配置することを特徴とする請求項39〜42のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項44】
前記光源からの光を、前記反応室に設置された光導入窓から入射し、前記反射光を、前記反応室に設置された光導出窓から導出するようにしたことを特徴とする請求項39〜42のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項45】
前記光源からの光を反応室内に入射する導入用光ファイバー、及び前記反射光を反応室から導出する導出用光ファイバーを配設することを特徴とする請求項39〜42のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項46】
反応場の、前記導入用光ファイバー及び導出用光ファイバーの先端の付着物を拭き取る手段を有することを特徴とする請求項45に記載の検出装置。
【請求項47】
前記サンプリングガスを前記反応室に導入する前に、前記サンプリングガス中の酸性ガス及び/又は反応妨害ガスを除去する手段を有することを特徴とする請求項21〜46のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項48】
前記反応室が、少なくとも一部が短波長可視光領域ないし紫外線領域の光を透過する筒状の管で構成され、該管内に、基材に吸着された検出剤を封入するとともに、サンプリングガスの乾燥部又は乾燥剤を該管内のサンプリングガスの導入口側に配置することを特徴とする請求項21〜26のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項49】
前記検出剤と前記乾燥剤の間にセパレータを設けたことを特徴とする請求項48に記載の検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−96751(P2013−96751A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237732(P2011−237732)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
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