説明

ガス状流動体をクリーニングするための方法及び装置

【課題】ガス状流動体をクリーニングするための方法及び装置の提供。
【解決手段】粒子を含むガス状流動体から粒子を除去するための装置であって、前記ガス状流動体を包含する空間内で陽極又は陰極コロナのいずれかを発生するイオン化ユニット1及び静電集塵器ユニット2を含む前記装置において、静電集塵器ユニット2は電気的に不導性の微細な濾材を含み、この媒体の分子は所与の極性の電荷にさらされた場合に容易に分極し、結果として、各繊維が陰極側及び陽極側を有することとなり、そして、前記繊維の表面に電荷が誘導された後に前記濾材を通過した所与の極性の粒子が前記繊維に付着することを特徴とする装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス状流動体中に存在する粒子からガス状流動体をクリーニングするための方法であって、前記ガス状流動体をイオン化し、すなわち前記粒子を荷電し、そして前記イオン化されたガス状流動体を、濾材を含む静電集塵器ユニットに通過させる前記方法に関する。また、本発明は、ガス状流動体をクリーニングするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スウェーデン王国特許出願公開第9604817−8号明細書(SE−A−9604817−8)から、当該明細書で定義されるタイプの活性エレクトレットフィルターに関連した装置は以前から知られている。その結果、電気的に不導性の濾材から構成される静電集塵器ユニットに電界が向けられ、そしてこの濾材の分子はこの静電集塵器ユニットに向けられる電界によって容易に分極するか、又は配向する。このような装置構成により、好ましくは前記静電集塵器ユニットを構成する繊維材料の内部に、電界が形成される。この濾材を通過する粒子は、イオン化ユニットにより荷電され、これら繊維と粒子の電荷と極性にそれぞれ依存して、フィルター繊維によりそれぞれ引きつけられたり、反発されたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】スウェーデン王国特許出願公開第9604817−8号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上記定義したタイプの方法及び装置を画定することであり、本発明は、上記「背景技術」の見出しにおいて説明した装置と比較して本質的により簡易化されたものである。本発明の目的は、添付の特許請求の範囲に定義された特徴を与えられた方法及び装置により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、本発明の装置の概略図である。
【図2a】図2aは、分極の前及び後の分子の概略図であり、この分子は静電集塵器ユニットの繊維材料中に包含されている。
【図2b】図2bは、濾材の分子がどのように配向されるかを示す概略図である。
【図3a】図3aは、濾材中に包含される分極した繊維の間に電界がどのように形成されるのか示す概略図である。
【図3b】図3bは、フィルターを通過する荷電した粒子が、濾材中に包含される繊維によりそれぞれどのようにして引きつけられたり、反発されたりするのかを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1に示す装置は、イオン化ユニット1を含み、イオン化ユニットはこの態様ではコロナチップ3を含む。しかし、本発明の範囲内では、他のタイプのイオン供給源、例えば石炭繊維ブラシまたはコロナワイヤも使用可能である。また、この装置は、より詳細に以下に説明する静電集塵器ユニット2を含む。
【0007】
イオン化ユニット1は、公知の方法で高電圧源4を含み、これはコロナチップ3に接続する。イオン化ユニット1は静電集塵器ユニット2に隣接して位置する必要はないが、原則として、本発明の方法及び装置によりクリーニングするガス状流動体を包含する空間内のどこにでも位置できる。
【0008】
静電集塵器ユニット2は、電気的に不導性の濾材からなるフィルター、好ましくはポリプロピレンの繊維フィルターからなる。また、濾材はいわゆる微細な濾材である場合に有利であり、本発明において微細な濾材とは、1μm以上の繊維直径を有し、その繊維間の距離が繊維直径の10倍である濾材(繊維直径が1μmのときは繊維間の距離がその繊維直径の10倍の10μmである)として定義する、いわゆる微細な濾材である場合に有利である。このような微細な濾材を通る気流速度は通常2−10cm/sである。
【0009】
濾材に包含される繊維は、予め荷電されていないがイオン化ユニットにおいて荷電された粒子により荷電されること、すなわち、粒子が濾材に付着するときに粒子が濾材中の繊維7(図3a及び図3bを参照)に電荷を放出すること、が好ましい。これは、本発明が好ましくはエレクトレットフィルターを構成しないと表現することもできる。また、繊維7はその他の点において未処理であることが有利である。
【0010】
本発明の装置は、以下のようにして作用する。イオン化ユニット1が位置する空間において、ガス状流動体、通常、空気は、イオン化ユニット1が放出するイオンによって荷電される粒子を含有する。この点について、イオン化ユニット1は原則として、クリーニングすべきガス状流動体/空気を包含する空間内のどこにでも位置できることを繰り返して言わなければならない。
【0011】
イオン化ユニット1により荷電された粒子は、適切な方法、例えばファン(図示せず)により、矢印5で示すように、静電集塵器ユニット2に通される。これらの粒子が濾材の繊維を打ったとき、繊維の分子の分極が生じる。陽電荷を有する粒子が図2aの上方に示す分子6を打った場合、すなわち陽極コロナを用いた場合を想定すると、粒子は図2aの下方に示すように分極することになる。これに対応して、このように分極した多数の分子6を含む繊維7(図2bを参照)は、陰性側面及び陽性側面を有することになる。フィルターを通過する荷電した粒子は、電荷が繊維7の側面に誘導された後、繊維7に付着し、その結果、図2bに示すように陽電荷を有する粒子が繊維7の左側に付着することになる。
【0012】
図3aでは、分極した分子によって表面電荷が誘導された繊維7が、どのように隣接する繊維7の表面に電荷を誘導するのかが概略的に示される。
図3bでは、静電集塵器ユニット2を通過する荷電された粒子8が、繊維7及び粒子8の電荷と極性に依存して繊維7によってそれぞれどのように引きつけられ、そして反発されるのかが概略的に示される。
【0013】
本発明は、陽極コロナに限定されることはなく、例えば、陰極コロナは陽極コロナよりもオゾンの発生が少ないなどの一定の側面から、陰極コロナが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状流動体中に存在する粒子からガス状流動体をクリーニングするための方法であって、前記ガス状流動体はイオン化されており、すなわち、前記粒子は荷電されており、そして前記イオン化されたガス状流動体を、濾材を含む静電集塵器ユニット(2)に通過させる前記方法において、
前記濾材が、電気的に不導性の媒体からなり、かつ、通過する電気的に荷電された粒子により分極される分子(6)を含み、前記濾材中に包含された繊維(7)の表面に電荷が誘導され、前記荷電された粒子が前記繊維(7)に付着することを特徴とする前記方法。
【請求項2】
ガス状流動体中に存在する粒子からガス状流動体をクリーニングするための装置であって、イオン化ユニット(1)及び静電集塵器ユニット(2)を含む前記装置において、
静電集塵器ユニット(2)は電気的に不導性の濾材を含み、この媒体の分子(6)は荷電された場合に容易に分極することを特徴とする装置。
【請求項3】
前記電気的に不導性の濾材がポリプロピレンからなることを特徴とする、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記濾材が微細な濾材であることを特徴とする、請求項2又は3記載の装置。
【請求項5】
前記濾材の繊維(7)が予め荷電されていることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記濾材の繊維(7)が未処理であることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate


【公開番号】特開2013−63430(P2013−63430A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−241834(P2012−241834)
【出願日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【分割の表示】特願2009−192234(P2009−192234)の分割
【原出願日】平成10年5月5日(1998.5.5)
【出願人】(509237147)ブルー・エアー・アクチボラグ (2)
【Fターム(参考)】