説明

ガス発熱量計測装置及びガス発熱量計測方法

【課題】流通ガスの発熱量を高い応答性で、簡単、かつ、高精度に計測することにある。
【解決手段】流通ガスに含まれる測定対象の水素を計測するガス発熱量計測装置であって、流通ガスが流れる配管ユニットと、配管ユニットに配置され、水素をHOに変換する変換手段と、配管ユニットを流れる流通ガスのうち、変換手段を通過する配管経路を流れた第1流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度である第1計測値と、変換手段を通過しない配管経路を流れた第2流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度である第2計測値とを計測する計測手段と、配管ユニット、計測手段の動作を制御し、第1計測値と第2計測値との差分から、流通ガスに含まれる測定対象の水素の濃度を算出し、さらに、流通ガスの発熱量を算出する制御手段と、有し、測定対象の物質の濃度を近赤外域のレーザ光により計測を行うことで、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内を流れるガスの発熱量を計測するガス発熱量計測装置及びガス発熱量計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、内燃機関、焼却炉等の燃焼機関から排出されるガス、燃料を気化させた燃料ガスは、種々のガス状物質が混合した混合ガスとなっている。このような排ガスや燃料ガスは、管路内を流されて、所定の装置や、大気に供給(排出)される。ここで、ガスの発熱量を計測する方法としては、レーザラマン散乱分光を用いて計測する方法がある。例えば、本件出願人が出願した特許文献1には、石炭ガス化装置で生成された常圧よりも高圧な石炭ガス化ガスが流れる配管と、配管の途中における石炭ガス化ガスの流路を絞った絞り部材の出口の直後の箇所に設けられた測定部と、測定部を通過する前処理をしていない前記石炭ガス化ガスに波長が400nm以上のレーザ光を照射するレーザ部と、レーザ光の照射により石炭ガス化ガスから生じる散乱光の波長毎の強度の計測を行う分光部と、計測の結果から石炭ガス化ガスの発熱量を算出する計算部とを具備し、測定部は、レーザ光が通過する窓と、窓と測定部の石炭ガス化ガスが通過する領域との間に設けられ、窓を石炭ガス化ガスから保護し、レーザ光が石炭ガス化ガスへ照射されるとき開く弁と、を備えるガス発熱量測定装置が記載されている。
【0003】
また、管路内を流れる混合ガス(主に流通ガス)に含まれる特定物質の濃度計測方法としては、管路の所定経路に、レーザ光を通過させ、その入出力から測定対象の特定物質の濃度を計測する方法がある。例えば、本件出願人が出願した特許文献2には、測定対象とされるガス状物質に固有な吸収波長のレーザ光を発振する光源と、この光源から発振されるレーザ光の発振波長を少なくとも2つの異なる周波数で変調する手段と、この変調手段により変調されたレーザ光をガス状物質が存在する測定領域に導く手段と、この測定領域において透過または反射または散乱したレーザ光を受光する受光手段と、この受光手段で受光した信号の中から変調された信号を周波数毎に順次それぞれ復調する複数の位相敏感検波器と、を具備することを特徴とするガス濃度計測装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3842982号公報
【特許文献2】特許第3342446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載のレーザラマン散乱分光による計測は、大気圧での1vol%程度での計測精度を実現することが困難であるという問題がある。また、ラマン散乱断面積が小さいため、励起光による迷光、散乱光、蛍光灯のノイズの影響を受けやすいという問題もある。そのため、測定可能な環境が限られてしまう。
【0006】
また、特許文献2に記載の装置は、高い応答性で測定対象の物質を計測することができる。しかしながら、特許文献2に記載の装置のように、近赤外波長域のレーザ光を照射して、測定対象による吸収を計測する計測方法では、水素を計測することができない。このように水素を計測することができないため、流通ガスに含まれる水素の量を検出することができず、ガスの発熱量を高い精度で算出することが困難である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高い応答性で、簡単、かつ、高精度に流通ガスの発熱量を計測することが可能であるガス発熱量計測装置及びガス発熱量計測方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、流通ガスに含まれる測定対象の水素濃度を計測するガス発熱量計測装置であって、前記流通ガスが流れる配管ユニットと、前記配管ユニットに配置され、通過する前記流通ガスに含まれる水素をHOに変換する変換手段と、前記配管ユニットを流れる前記流通ガスのうち、前記変換手段を通過する配管経路を流れた第1流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度の計測値を含む第1計測値と、前記変換手段を通過しない配管経路を流れた第2流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度の計測値を含む第2計測値とを計測する計測手段と、前記配管ユニット、前記計測手段の動作を制御し、前記第1計測値と前記第2計測値との差分から、水素の濃度を算出し、算出した水素の濃度及び燃焼成分の濃度に基づいて、流通ガスの発熱量を算出する制御手段と、を有し、前記計測手段は、HOの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、CHの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光をそれぞれ出力する発光部と、前記流通ガスが流れるガス計測セル、前記ガス計測セルにレーザ光を入射させる光学系、前記発光部から入射され、前記ガス計測セルを通過したレーザ光を受光する受光部を含む少なくとも1つの計測ユニットと、前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記ガス計測セルを流れる前記流通ガスのHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度を算出する算出部とを有することを特徴とする。
【0009】
上記ガス発熱量計測装置によれば、高い応答性、かつ、高い精度で、流通ガスの発熱量を検出することができる。
【0010】
さらに、前記変換手段よりも上流側に配置され、前記変換手段に流入する前記流通ガスの流量を計測する第1流量計と、前記変換手段よりも下流側に配置され、前記変換手段から排出された前記流通ガスの流量を計測する第2流量計と、を備え、前記制御手段は、前記第1流量計の計測結果と、前記第2流量計の計測結果に基づいて、前記流通ガスのHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度の計測値を補正して算出することが好ましい。これにより、流通ガスの発熱量をより高い精度で計測することができる。
【0011】
また、前記変換手段は、水素をHOに変換する領域の雰囲気の温度を調整する温度調整部を有することが好ましい。これにより、流通ガスの水素、及び、メタン以外の炭化水素を好適に水素と二酸化炭素に変換することができる。
【0012】
また、前記温度調整部は、前記雰囲気の温度を100℃以上200℃以下とすることが好ましい。これにより、流通ガスの水素、及び、メタン以外の炭化水素をより好適に水素と二酸化炭素に変換することができる。
【0013】
また、前記計測手段は、前記発光部からOの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光をさらに出力させ、前記第1流通ガスに含まれるOの濃度及び前記第2流通ガスに含まれるOの濃度を計測し、前記制御手段は、第1流通ガスのHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度、Oの濃度と、第2流通ガスのHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度、Oの濃度との、マスバランスの変化に基づいて、炭化水素、及び、水素の構成比率を算出し、その算出結果から流通ガスの発熱量を算出することが好ましい。これにより、流通ガスの発熱量をより高い精度で計測することができる。
【0014】
また、前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された第1配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に前記第1配管と共に接続され、前記変換手段が配置されていない第2配管と、前記第1配管の下流側の端部と、前記第2配管の下流側の端部と、前記ガス計測セルの前記流通ガスの流れ方向の上流側の端部とを接続する三方弁と、を有し、前記制御手段は、前記三方弁により前記第1配管の下流側の端部と前記ガス計測セルの前記流通ガスの流れ方向の上流側の端部とを連結させ、前記計測手段に前記第1流通ガスを流入させて、前記第1計測値を計測し、前記三方弁により、前記第2配管の下流側の端部と前記ガス計測セルの前記流通ガスの流れ方向の上流側の端部とを連結させ、前記計測手段に前記第2流通ガスを流入させて、前記第2計測値を計測することが好ましい。これにより、1つの計測ユニットで計測を行うことができる。
【0015】
また、前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された第1配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に前記第1配管と共に接続され、前記変換手段が配置されていない第2配管とを備え、前記計測手段は、前記計測ユニットを2つ備え、一方の前記計測ユニットは、前記第1配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、他方の前記計測ユニットは、前記第1配管に配置されていることが好ましい。これにより、連続して、水素を計測することができる。
【0016】
また、前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された保持配管と、を備え、前記計測手段は、前記計測ユニットを2つ備え、一方の前記計測ユニットは、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、他方の前記計測ユニットは、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも上流側に配置されていることが好ましい。これにより、連続して、水素を計測することができる。
【0017】
また、前記変換手段は、水素を酸化反応させてHOにする酸化触媒であることが好ましい。これにより、簡単な構成で水素を測定可能な物質に変換することができる。
【0018】
また、前記流通ガスの流れ方向において、前記変換手段よりも上流側に配置され、前記配管ユニットに、前記水素を酸化する酸化剤を供給する酸化剤供給手段をさらに備えることが好ましい。これにより、水素をより確実にHOに変換することができる。
【0019】
また、前記流通ガスの流れ方向において、前記変換手段よりも上流側に配置され、前記配管ユニットに、前記水素を酸化する酸化剤を供給する酸化剤供給手段を備え、前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された保持配管と、を備え、前記計測手段は、前記計測ユニットが、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、前記変換手段は、水素を酸化反応させてHOにする酸化触媒であり、前記制御手段は、前記酸化剤供給手段から前記配管ユニットに前記酸化剤を供給している状態と、前記酸化剤供給手段から前記配管ユニットに前記酸化剤を供給していない状態とを切り替え、前記計測ユニットに、前記第1流通ガスが流入している状態と、前記第2流通ガスが流入している状態とを切り替えることが好ましい。これにより、1つの計測ユニットで計測を行うことができる。
【0020】
また、前記変換手段は、前記流通ガスに含まれる二酸化炭素と水素を一酸化炭素とHOにシフトさせる水性逆シフト触媒を有することが好ましい。これにより、酸素を用いることなく、水素をHOに変換することができる。
【0021】
また、前記流通ガスの流れ方向において、前記変換手段よりも上流側に配置され、前記配管ユニットに、前記二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段をさらに備えることが好ましい。これにより、より確実に、水素をHOに変換することができ、計測精度を高くすることができる。
【0022】
また、前記流通ガスの流れ方向において、前記変換手段よりも上流側に配置され、前記配管ユニットに、二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段を、さらに備え、前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された保持配管と、を備え、前記計測手段は、前記計測ユニットが、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、前記変換手段は、前記流通ガスに含まれる二酸化炭素と水素を一酸化炭素とHOにシフトさせる水性逆シフト触媒であり、前記制御手段は、前記二酸化炭素供給手段から前記配管ユニットに前記二酸化炭素を供給している状態と、前記二酸化炭素供給手段から前記配管ユニットに前記二酸化炭素を供給していない状態とを切り替え、前記計測ユニットに、前記第1流通ガスが流入している状態と、前記第2流通ガスが流入している状態とを切り替えることが好ましい。これにより1つの計測ユニットで計測を行うことができる。
【0023】
また、前記変換手段は前記配管ユニットに、オゾンを供給するオゾン供給手段と、前記
流通ガスの流れ方向において前記配管ユニットの前記オゾン供給手段よりも下流側に形成され、前記流通ガスに含まれる水素と前記オゾン供給手段により供給されるオゾンとが反応する反応領域と有することが好ましい。
【0024】
また、前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記流通ガスが流れる配管と、を備え、前記変換手段は、前記配管ユニットに、オゾンを供給するオゾン供給手段と、前記流通ガスの流れ方向において前記配管の前記オゾン供給手段よりも下流側に形成され、前記流通ガスに含まれる水素と前記オゾン供給手段により供給されるオゾンとが反応する反応領域と、を備え、前記計測手段は、前記計測ユニットが、前記流通ガスの流れ方向において前記反応領域よりも下流側に配置され、前記制御手段は、前記オゾン供給手段から前記配管ユニットに前記オゾンを供給している状態と、前記オゾン供給手段から前記配管ユニットに前記オゾンを供給していない状態とを切り替え、前記計測ユニットに、前記第1流通ガスが流入している状態と、前記第2流通ガスが流入している状態とを切り替えることが好ましい。これにより1つの計測ユニットで計測を行うことができる。
【0025】
また、前記変換手段は、前記反応領域に紫外線を照射する紫外線照射手段を、さらに備え、前記制御手段は、前記紫外線照射手段から前記反応領域に前記紫外線を照射している状態と、前記紫外線照射手段から前記反応領域に前記紫外線を照射していない状態とを切り替え、前記計測ユニットに、前記第1流通ガスが流入している状態と、前記第2流通ガスが流入している状態とを切り替えることが好ましい。これにより、より確実に水素をHOに変換することができる。
【0026】
また、前記変換手段は、前記反応領域に前記オゾンと前記水素の反応を促進さる反応促進部材をさらに有することが好ましい。これにより、より確実に水素をHOに変換することができる。
【0027】
また、前記計測ユニットは、レーザ光が、前記変換手段を保持する配管の内部を通過することが好ましい。これにより、計測セルの一部を配管とすることができ、流通ガスをより直接的に計測することができる。
【0028】
また、前記配管ユニットは、測定対象の装置から排出される前記流通ガスの全量が流れることが好ましい。これにより、流通ガスをより高い精度で計測することができる。
【0029】
また、前記配管ユニットは、測定対象の装置から排出される前記流通ガスの全量が流れる測定対象配管から、一部の前記流通ガスを捕集していることが好ましい。このように、サンプリングで計測を行うことで、計測ユニットを適正な大きさにすることができる。
【0030】
また、前記流通ガスの流れ方向において、前記変換手段よりも上流側に配置された、前記流通ガスに含まれるHOを回収する除湿装置及び前記流通ガスに含まれる粉塵を回収する除塵装置の少なくとも一方を有することが好ましい。これにより、計測誤差の発生を抑制することができる。
【0031】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、配管を流れる流通ガスの水素濃度を計測するガス発熱量計測方法であって、前記配管を流れる流通ガスのうち、水素をHOに変換する変換手段が配置されている領域を通過した第1流通ガスに対して、HOの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、CHの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光をそれぞれ出力させ、第1流通ガスが流れる管路内を通過した前記レーザ光を受光し、出力したレーザ光の強度と、受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記第1流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度を第1計測値として計測する第1計測ステップと、前記配管を流れる流通ガスのうち、水素をHOに変換する変換手段が配置されている領域を通過していない第2流通ガスに対して、HOの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、CHの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力させ、第2流通ガスが流れる管路内を通過した前記レーザ光を受光し、出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度を第2計測値として計測する第2計測ステップと、前記第1計測値と前記第2計測値との差分から、水素の濃度を算出し、算出した水素の濃度及び燃焼成分の濃度に基づいて、前記流通ガスの発熱量を算出する算出ステップとを有することを特徴とする。
【0032】
上記ガス発熱量計測装置によれば、高い応答性、かつ、高い精度で、流通ガスの発熱量を計測することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明にかかるガス発熱量計測装置及びガス発熱量計測方法は、高い精度かつ、高い応答性で流通ガスの発熱量を計測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、ガス発熱量計測装置の一実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示すガス発熱量計測装置の計測手段本体の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、ガス発熱量計測装置の動作を説明するフロー図である。
【図4−1】図4−1は、変換手段による物質の変換動作を説明するためのグラフである。
【図4−2】図4−2は、変換手段による物質の変換動作を説明するためのグラフである。
【図5】図5は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図6】図6は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図7】図7は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図8】図8は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図9】図9は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図10−1】図10−1は、ガス発熱量計測装置の動作を説明するための説明図である。
【図10−2】図10−2は、ガス発熱量計測装置の動作を説明するための説明図である。
【図11】図11は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図12】図12は、ガス発熱量計測装置の動作を説明するための説明図である。
【図13】図13は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図14】図14は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図15】図15は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図16】図16は、前処理手段の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明にかかるガス発熱量計測装置及びガス発熱量計測方法の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。ここで、ガス発熱量計測装置及びガス発熱量計測方法は、管路を流れる種々のガスについて対象のガスの発熱量を計測することができる。例えば、ガス発熱量計測装置及びガス発熱量計測方法を燃料ガスが流れる管路に取付、燃焼ガスの発熱量を計測してもよい。また、燃料ガスが流れる管路を有する装置としては、各種燃焼機関、例えば、車両、船舶、発電機、焼却炉等が例示される。また、気体の燃料ガスを生成する材料としては、ガソリン、軽油、重油や、天然ガス、バイオ燃料(バイオエタノール)等が例示される。また燃料電池に供給されるガスの発熱量を計測する装置としても用いることができる。また、ディーゼルエンジンに取付、ディーゼルエンジンから排出される排ガス(流通ガス)、ゴミ焼却炉から排出される流通ガスの発熱量を計測してもよい。これにより、排ガスに残留している燃焼成分を検出することができる。なお、本実施形態では、配管内を流れる流通ガス(混合ガス)中でガス状物質として存在する水素、炭化水素に起因する発熱量が測定対象となる。
【0036】
[実施形態1]
図1は、本発明のガス発熱量計測装置の一実施形態の概略構成を示す模式図である。ガス発熱量計測装置10は、計測対象配管8を流れる流通ガスの一部を採取(サンプリング)して、流通ガスの発熱量を計測する計測装置である。ガス発熱量計測装置10は、図1に示すように、配管ユニット12と、変換手段14と、計測手段16と、制御手段18とを有する。また、ガス発熱量計測装置10は、流量計36、38を有する。
【0037】
配管ユニット12は、計測対象配管8と接続されており流通ガスを案内する経路を構成する。配管ユニット12は、サンプリング配管(流入配管)20と、第1配管22と、第2配管24と、分岐管26、28と、三方弁30と、ポンプ31と、開閉弁32、34と、を有する。
【0038】
サンプリング配管(流入配管)20は、計測対象配管8と接続し、計測対象配管8を流れる流通ガスの一部を捕集する配管である。サンプリング配管20は、一方の端部(流通ガスの流れ方向において上流側の端部)が計測対象配管8の内部に配置されており、他方の端部(流通ガスの流れ方向において下流側の端部)が、計測対象配管8の外に配置されている。また、サンプリング配管20は、捕集した流通ガスに含まれる煤塵等を少なくすることができるため、一方の端部の開口面が流通ガスの流れ方向に対して、直交または、直交方向よりも下流側に向けた向きで配置されている。また、サンプリング配管20は、他方の端部が第1配管22、第2配管24の2つの配管と連結されている。なお、本実施形態では、計測対象配管8からサンプリング配管20に流入する位置が流通ガスの流れ方向において、最も上流となる。また、配管ユニット12に流入した流通ガスは、サンプリング配管20の一方の端部から他方の端部に向けて流れる。計測対象配管8から流入した流通ガスが流れる方向が流通ガスの流れ方向となる。
【0039】
第1配管22は、一方の端部がサンプリング配管20と接続され、他方の端部が三方弁30と接続されている。また、第1配管22には、管路内に後述する変換手段14が配置されている。また、第1配管22の変換手段14が配置されている領域は、他の領域よりも管路の径が大きくなっている。なお、本実施形態では、変換手段14が配置されている領域の管路の径を大きくしたが、管路の径は一定としてもよい。
【0040】
また、第1配管22は、流通ガスの流れ方向において変換手段14よりも下流に、分岐管26が設けられている。また、分岐管26には、開閉弁32が設けられている。なお、分岐管26の流通ガスの流れ方向の下流側は、外気に開放してもよいが、流通ガスに有毒な成分等が含まれている場合は、流通ガスを処理する処理装置に接続させたり、計測対象配管8の下流と接続させたりすることが好ましい。
【0041】
第2配管24は、基本的に第1配管22と並列に形成された配管であり、一方の端部がサンプリング配管20と接続され、他方の端部が三方弁30と接続されている。また、第2配管24には、管路内に後述する変換手段14が配置されていない。
【0042】
また、第2配管24も、分岐管28が設けられている。なお、分岐管28は、流通ガスの流れ方向において、分岐管26に対応する位置に設けることが好ましい。また、分岐管28には、開閉弁34が設けられている。なお、分岐管28の流通ガスの流れ方向の下流側も、外気に開放してもよいが、流通ガスに有毒な成分等が含まれている場合は、流通ガスを処理する処理装置に接続させたり、計測対象配管8の下流と接続させたりすることが好ましい。
【0043】
三方弁30は、第1配管22の下流側の端部と、第2配管24の下流側の端部と、計測手段16の上流側の端部とを連結させている。三方弁30は、第1配管22と計測手段16とを連結させた状態と、第2配管24と計測手段16とを連結させた状態とを切り替える。三方弁30は、第1配管22と計測手段16とを連結させた場合、サンプリング配管20から第1配管22を通過した流通ガスが計測手段16に流れる。また、三方弁30は、第2配管24と計測手段16とを連結させた場合、サンプリング配管20から第2配管24を通過した流通ガスが計測手段16に流れる。このように、三方弁30は、計測手段16を流れる流通ガスを切り替える。
【0044】
ポンプ31は、流通ガスの流れ方向において、計測手段16の下流側に配置されている。ポンプ31は、流通ガスがサンプリング配管20から計測手段16に向けて流れる向きに、空気を吸引する。
【0045】
変換手段14は、流通ガスに含まれる測定対象物質の1つである水素をHO(気体の水、水蒸気)に変換する機構であり、第1配管22の管路内に配置されている。変換手段14は、第1配管22の管路内に配置された酸化触媒39と、酸化触媒39が配置されている領域の温度を制御する温度調整部40とを有する。酸化触媒39は、通過する流通ガスに含まれる水素を酸化させ、つまり水素と酸素を反応させて、HOに変換する。酸化触媒39としては、水素を酸化する各種触媒を用いることができる。また、酸化触媒39は、温度に応じて、炭化水素を燃焼させ、水(HO)と二酸化炭素(CO)に変換する。ここで、酸化触媒39としては、白金を含む一般的な燃焼触媒などを用いることができる。温度調整部40は、酸化触媒39の温度を調整する機構であり、電気炉や、送風機等を有する。温度調整部40は、酸化触媒39の近傍の温度、つまり、反応領域の雰囲気が所定温度になるように、加熱、冷却を行う。なお、温度調整部40は、酸化触媒39が、自然に冷却される場合は、加熱機構のみを設ければよく、自然に加熱される場合は、冷却機構のみを設ければよい。
【0046】
計測手段16は、管路内を流れる(三方弁30から流入した)流通ガスに含まれるHOの濃度を計測する計測手段であり、流通ガスを所定の管路に流し、レーザ光を通過させる計測ユニット42と、計測ユニット42にレーザ光を供給し、受光したレーザ光の強度から計測値(濃度)を算出する計測手段本体44とを有する。
【0047】
計測ユニット42は、計測セル45と、光ファイバ46と、入光部48と、受光部50と、を有する。
【0048】
計測セル45は、基本的に主管52と、流入管54と、排出管56とを有する。主管52は、筒形状の部材であり、内部に流通ガスが流れる。主管52の筒形状の一方の端部(上面)には窓58が配置され、他方の端部(下面)には窓59が配置されている。つまり、主管52は、筒形状の上面と下面が、それぞれ窓58、窓59に塞がれた形状となっている。なお、窓58、59は、光を透過する部材、例えば、透明なガラス、樹脂等で構成されている。これにより、主管52は、窓58、59が設けられている両端部が、空気が流通しない状態で、かつ、光が透過できる状態となる。つまり、主管52の外部から内部に光を入射させ、主管52の内部から外部に光を射出させることができる。
【0049】
流入管54は、一方の端部が三方弁30に接続されており、他方の端部が、主管52の側面(周面)の窓58側に接続されている。排出管56は、一方の端部が、主管52の側面(周面)の窓59側に接続され、他方の端部が、より下流側の配管(ポンプ31が配置されている配管)と接続されている。計測セル45は、三方弁30を介して第1配管22または第2配管24から供給される流通ガスを流入管54から主管52に供給する。また、計測セル45は、主管52を流れた流通ガスを排出管56から外部に排出する。
【0050】
次に、光ファイバ46は、計測手段本体44から出力されるレーザ光を入光部48に案内する。つまり、計測手段本体44から出力されたレーザ光を入光部48に入射させる。入光部48は、窓58に配置された光学系(ミラー、レンズ等)であり、光ファイバ46により案内されたレーザ光を窓58から主管52の内部に入射させる。
【0051】
受光部50は、計測セル45の主管52の内部を通過し、窓59から出力されたレーザ光を受光する受光部である。なお、受光部50は、例えば、フォトダイオード(PD、Photodiode)等の光検出器を備え、光検出器によってレーザ光を受光し、その光の強度を検出する。受光部50は、受光したレーザ光の強度を受光信号として、計測手段本体44に送る。
【0052】
次に、図1及び図2を用いて計測手段本体44について説明する。ここで、図2は、図1に示すガス発熱量計測装置の計測手段本体の概略構成を示すブロック図である。計測手段本体44は、発光部62と、光源ドライバ64と、算出部66とを有する。
【0053】
発光部62は、HOが吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光素子と、HOが吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光素子と、COが吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光素子と、COが吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光素子と、CHが吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光素子とを有する。発光素子としては、例えばレーザータイオード(LD)を用いることができる。発光部62は、夫々の発光素子から発光させた光を光ファイバ46に入射させる。
【0054】
光源ドライバ64は、発光部62の駆動を制御する機能を有し、発光部62に供給する電流、電圧を調整することで、発光部62から出力されるレーザ光の波長、強度を調整する。
【0055】
算出部66は、受光部50で受光したそれぞれのレーザ光の強度の信号と、光源ドライバ64を駆動させている条件とに基づいて、測定対象の物質のそれぞれの濃度を算出する。具体的には、算出部66は、光源ドライバ64を駆動させている条件に基づいて、発光部62から出力され、主管52に入射するレーザ光の強度を算出し、受光部50で受光したレーザ光の強度と比較し、主管52を流れる流通ガスに含まれる測定対象の物質のそれぞれの濃度、つまり、HOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度を算出する。
【0056】
計測手段16は、以上のような構成であり、発光部62から出力された近赤外波長域のレーザ光は、光ファイバ46から計測セル45の所定経路、具体的には、窓58、主管52、窓59を通過した後、受光部50に到達する。このとき、計測セル45内の流通ガス中に測定対象の物質が含まれていると、計測セル45を通過するレーザ光が吸収される。そのため、レーザ光は、流通ガス中の測定対象の物質の濃度によって、受光部50に到達するレーザ光の出力が変化する。受光部50は、受光したレーザ光を受光信号に変換し、算出部66に出力する。また、光源ドライバ64は、発光部62から出力したレーザ光の強度を算出部66に出力する。算出部66は、発光部62から出力した光の強度と、受光信号から算出される強度とを比較し、その減少割合から計測セル45内を流れる流通ガスの測定対象の物質の濃度を算出する。このように計測手段16は、いわゆるTDLAS方式(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy:可変波長ダイオードレーザー分光法)を用い、出力したレーザ光の強度と、受光部50で検出した受光信号とに基づいて主管52内の所定位置、つまり、測定位置を通過する流通ガス中の測定対象の物質の濃度を、算出及び/または計測する。また、計測手段16は、連続的に測定対象の物質の濃度を、算出及び/または計測することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、光ファイバ46、入光部48、受光部50を1組設け、1つの受光部で4つのレーザ光を受光するようにしたが、本発明はこれに限定されない。計測手段16は、光ファイバ46、入光部48、受光部50を発光素子のそれぞれに対応して配置しても良い。つまり、本実施形態のように4つの物質の濃度を計測する場合は、発光部62(の発光素子)と、光ファイバ46と、入光部48と、受光部50とで構成される組を測定対象の物質に合わせて4組設けてもよい。
【0058】
ここで、流量計36は、第1配管22の変換手段14よりも上流側に配置され、第1配管22を流れる流通ガスの流量を計測する。流量計36は、第1配管22を流れる第1流通ガスのうち、変換手段14(酸化触媒39)を通過する前の流通ガス、つまり、水素が酸化される前の流通ガスの流量を計測する。また、流量計38は、第1配管22の変換手段14よりも下流側に配置され、第1配管22を流れる流通ガスの流量を計測する。流量計38は、第1配管22を流れる第1流通ガスのうち、変換手段14(酸化触媒39)を通過した流通ガス、つまり、水素が酸化された後の流通ガスの流量を計測する。流量計36、38は、計測した流量を制御手段18に送る。
【0059】
制御手段18は、配管ユニット12、変換手段14、計測手段16、流量計36、38の動作を制御する制御機能を有し、必要に応じて、各部の動作を制御する。具体的には、計測手段16による計測条件(光源ドライバ64の駆動条件、受光部50の受光動作)、配管ユニット12の三方弁30の経路選択動作、開閉弁32、34の開閉動作を制御する。また、制御手段18は、ガス発熱量算出部68を有する。ガス発熱量算出部68は、計測手段16で計測した計測結果、及び、各部で設定、検出した条件、また、流量計36、38で計測した流量に基づいて、流通ガスの発熱量を算出及び/または計測する。
【0060】
次に、ガス発熱量計測装置10の動作を説明する。ここで、図3は、ガス発熱量計測装置の動作を説明するフロー図である。ガス発熱量計測装置10の制御手段18は、計測対象配管8に流通ガスが流れている状態で、測定が開始の指示が入力されると、ポンプ31を駆動させ、計測対象配管8に流れている流通ガスをサンプリング配管20から吸引する。なお、この時、開閉弁32、34は、開状態としておくことが好ましい。また、三方弁30は、いずれの管路を連結させていてもよいが、計測ユニット42と連結している配管と、第1配管22とが接続している状態と、計測ユニット42と連結している配管と第2配管24が接続している状態とを、交互に切り替えることが好ましい。
【0061】
その後、配管ユニット12内に流通ガスが流れている状態となり、流通ガスが配管ユニット12内に充満したら、制御手段18は、ステップS12として、三方弁30により第1配管22と計測ユニット42とを連結させ、第1配管22を流れる流通ガス、つまり、変換手段14を通過した流通ガス(水素を変換した流通ガス、以下「第1流通ガス」ともいう。)が計測ユニット42に流れる状態とする。なおこのとき、開閉弁32は、閉状態とし、第1配管22を流れる流通ガスは、全量が計測ユニット42に供給される状態とする。また、開閉弁34は、開閉のいずれの状態でもよい。また、流量計36、38は、第1配管22の測定位置を流れる第1流通ガスの流量を計測する。
【0062】
制御手段18は、第1流通ガスが計測セル45を流れる状態としたら、ステップS14として、計測手段16により計測ユニット42の計測セル45の主管52内を流れる第1流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度(以下「第1計測値」ともいう。)を計測する。これにより、変換手段14により、第1流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度を計測することができる。なお、第1流通ガスには、測定対象の水素が変換手段14により変換(酸化)されたHOと、酸化前から含まれているHO(共存ガス)とが含まれている。このため、第1計測値のHOの濃度は、測定対象の水素を酸化触媒39で酸化したHO(流通ガスに含まれる測定対象の水素に由来するHO)と、酸化前から含まれているHO(共存ガス)とを合計した濃度が計測される。
【0063】
制御手段18は、第1流通ガスの濃度を計測したら、ステップS16として、三方弁30により第2配管24と計測ユニット42とを連結させ、第2配管24を流れる流通ガス(水素を変換していない流通ガス、以下「第2流通ガス」ともいう。)が計測ユニット42に流れる状態とする。なおこのとき、開閉弁34は、閉状態とし、第2配管24を流れる流通ガスは、全量が計測ユニット42に供給される状態とする。また、開閉弁32は、開閉のいずれの状態でもよい。
【0064】
制御手段18は、第2流通ガスが計測セル45を流れる状態としたら、ステップS18として、計測手段16により計測ユニット42の計測セル45の主管52内を流れる第2流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度(以下「第2計測値」ともいう。)を計測する。これにより、変換手段14により、第2流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度を計測することができる。なお、第2流通ガスには、酸化前から含まれているHO(共存ガス)が含まれている。このため、第2計測値は、酸化前から含まれているHO(共存ガス)の濃度が計測される。
【0065】
制御手段18は、第2流通ガスの各物質の濃度を計測したら、ステップS20として、ガス発熱量算出部68により、流通ガスの発熱量を算出する。具体的には、まず、ガス発熱量算出部68は、ステップS14で計測した第1計測値のHOの濃度と、ステップS18で計測した第2計測値HOの濃度との差分により、流通ガスに含まれる水素の濃度を算出する。つまり、流通ガスに含まれる測定対象の水素に由来するHOと、共存ガスとを合計した濃度から、共存ガスの濃度を引くことで、流通ガスに含まれる水素に由来するHOの濃度を算出することができる。ガス発熱量算出部68は、流通ガスに含まれる水素に由来するHOの濃度に基づいて、流通ガスに含まれる水素の濃度を計測する。さらに、制御手段18は、流量計36、38等から供給される情報に基づいて、流通ガスに含まれる水素に由来するHOと流通ガスの流量の関係、また、水素から酸化物への反応の過程による各成分の増減を加味(補正)することで、流通ガスに含まれる測定対象の水素の濃度を算出することができる。
【0066】
次に、ガス発熱量算出部68は、第1計測値と第2計測値に基づいて、流通ガスに含まれるCHの濃度を計測する。なお、CHは、変換手段14を通過しても変化しないので、基本的には、第1計測値で算出したCHの濃度がCHの濃度となる。次に、ガス発熱量算出部68は、第1計測値と第2計測値に基づいて、流通ガスに含まれるCOの濃度を計測する。なお、COの濃度は、基本的には、第1計測値で算出したCOの濃度がCOの濃度となる。
【0067】
その後、ガス発熱量算出部68は、算出したHの濃度と、算出したCOの濃度と、CHの濃度とに基づいて、流通ガスに含まれる物質のうち、燃焼により発熱する成分を計測し、その計測結果に基づいて発熱量を算出する。ここで、流通ガスの発熱量は、流量×(H濃度×3.026kcal/L+CO濃度×3.018kcal/L+CH濃度×9,465kcal/L)で算出することができる。制御手段18は、流通ガスの発熱量を算出したら、本処理を終了する。なお、制御手段18は、上記処理を繰り返すことで、連続的に流通ガスの発熱量を計測するようにしてもよい。ここで、本実施形態では、COの濃度の計測結果を用いることなく、発熱量を計測することができる。なお、この場合もCOの濃度の計測結果を用いて、各物質の濃度を補正してもよい。
【0068】
ガス発熱量計測装置10は、以上のように、測定対象の水素を変換手段14により酸化した第1流通ガスに含まれるHOの濃度を計測手段16により計測し、さらに、測定対象の水素を酸化していない第2流通ガスに含まれるHOの濃度を計測手段16により計測し、差分をとることで、測定対象の水素の濃度を算出することができる。また、CH(メタン)の濃度も計測することで、流通ガスに含まれる燃焼成分を計測することができ、その計測結果に基づいて、流通ガスの発熱量を計測することができる。
【0069】
また、ガス発熱量計測装置10は、計測手段16として、水素を変換したHOの吸収波長域の近赤外波長域のレーザ光を照射し、当該HOにより吸収される強度を検出することで、短時間で、かつ、高い精度で水素の濃度を計測することができる。また、水素に加え、各種燃焼成分の濃度も短時間で、かつ高い精度で計測することができる。このように、濃度各成分を高精度で計測できることで、流通ガスの発熱量を高い精度で計測することができる。
【0070】
また、測定対象の水素を酸化し、酸化物として測定することで、近赤外波長域に吸収波長がない水素の濃度を、計測手段16に示す半導体レーザ吸収分光法を用いて計測することが可能となる。また、本実施形態のように、測定対象の物質の近赤外域の波長の光を用いた計測ができることで、高精度での計測を行うことができる。
【0071】
さらに、近赤外波長域のレーザ光を用いる計測では、測定対象以外の成分が混在した状態であっても、測定対象の濃度を適切に測ることができる。つまり、測定対象以外の成分がノイズとなりにくくすることができる。これにより、フィルタや、除湿の工程をなくすまたは少なくすることができ、計測対象配管8から流通ガスを吸引してから、計測を行い、計測結果を算出するまでの時間を短時間にすることができる。つまり、計測の時間遅れを少なくすることができる。これにより、応答性を高くすることができる。
【0072】
また、ガス発熱量計測装置10は、変換手段14の前後の流量を算出し、その流量の変化に基づいて、酸化反応によるマスバランスの変化、モル数の変化による影響を補正することで、流通ガスに発熱量をより適切に算出することができる。なお、水素濃度をより適切に補正できるため、本実施形態のように変換手段14の前後での流量の変化を計測することが好ましいが、本発明はこれに限定されず、補正を行わないようにしてもよい。また、第1計測値と第2計測値との関係から、流量の変化量を推定し、その推定値に基づいて補正するようにしてもよい。なお、上記実施形態では、流量に基づいて、濃度の補正、具体的にHOの濃度の補正、及びHの濃度の補正を行ったが、CHの濃度、計測値を用いて濃度を補正するようにしても良い。つまり変換手段14の通過により、量が変化しないCHを用いることでも、濃度を補正することができる。
【0073】
また、ポンプ31を設けることで、計測対象配管8を流れる流通ガスを適切にサンプリング配管20から吸引することができる。なお、ポンプ31は設けることが好ましいが、配管ユニット12の構成や、計測対象配管8を流れる流通ガスの圧力等により、配管ユニット12に一定流量以上の流通ガスが流れる場合は、ポンプ31は設けなくてもよい。
【0074】
なお、上記実施形態では、メタンの濃度と一酸化炭素の濃度と水素の濃度のみから、流通ガスの発熱量を計測したが、本発明はこれに限定されない。ガス発熱量計測装置10は、HOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度の計測結果を用いて、メタン(CH)以外の炭化水素の成分を計測し、その計測結果も用いて、流通ガスの発熱量を計測することが好ましい。ここで、流通ガスにCH以外の炭化水素が含まれている場合、メタン(CH)以外の炭化水素は、変換手段14により酸素(O)と反応し、二酸化炭素と水に変換されている。なお、メタン(CH)以外の炭化水素は、メタンよりも温度で反応(燃焼)させることができる。
【0075】
ここで、図4−1及び図4−2は、それぞれ変換手段による物質の変換動作を説明するためのグラフである。なお、図4−1は、CHの温度と変換率(二酸化炭素と水になる割合)との関係を示すグラフであり、図4−2は、各種物質の温度と変換率との関係を示すグラフである。図4−1に示すように、メタンは、触媒温度が約250℃以上となることで、反応が開始する。これに対して、図4−2に示すように、水素は、50℃以下で反応する。また、一酸化炭素や、メチルアルコールは、100℃以下で反応し、エチレンも200℃以下で反応する。これにより、第1流通ガスのHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度と、第2流通ガスのHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度との間での各物質の濃度の変化を対比することで、反応した炭化水素の割合も算出することができる。これにより、流通ガスの発熱量をメタン以外の炭化水素も加味して、算出することができ、より高い精度で流通ガスの発熱量を算出することができる。
【0076】
このため、温度調整部40は、酸化触媒39の雰囲気、つまり、流通ガスの反応領域における温度を100℃以上200℃以下とすることが好ましい。これにより、メタンを反応させずに、水素、一酸化炭素、炭化水素を反応させることができる。これにより、HOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度の計測結果を用いて、各燃焼成分の濃度を適切に計測することができ、流通ガスの発熱量を好適に算出することができる。ここで、流通ガスの発熱量は、流量×(H濃度×3.026kcal/L+CO濃度×3.018kcal/L+CH濃度×9,465kcal/L+炭化水素の発熱量)で算出することができる。
【0077】
なお、計測手段16は、さらに、Oの濃度を計測することが好ましい。この場合、発光部は、Oが吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光素子を有し、計測セルに入射させた当該レーザ光を受光部で受光することで、第1流通ガス、第2流通ガスのそれぞれにおけるOの濃度を計測することができる。また、上記と同様に流量計の検出結果等に基づいて、濃度を補正することができる。HOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度に加え、Oの濃度を計測することで、第1流通ガスと第2流通ガスの間での、CとHとOのマスバランスの変化を計測することができる。これにより、炭化水素の構成をより高い精度で算出することができ、より高い精度で流通ガスの発熱量を算出することができる。
【0078】
また、水素濃度も、第1計測値のHOの濃度と、第2計測値のHOの濃度との差分に加え、炭化水素の反応で生成されたHOの濃度も加味することが好ましい。つまり、第1計測値のHOの濃度と、第2計測値のHOの濃度との差分から、さらに、炭化水素の反応で生成されたHOの濃度を引いて(除いて)算出することが好ましい。これにより、水素の濃度をより正確に算出することができる。
【0079】
ここで、ガス発熱量計測装置は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態とすることができる。以下、図5から図16を用いて、他の実施形態について説明する。
【0080】
[実施形態2]
図5は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図5に示すガス発熱量計測装置100は、配管ユニット112と、変換手段14と、計測手段116と、制御手段118と、流量計36、38とを有する。ここで、ガス発熱量計測装置100は、計測ユニットが2つ設けられており、第1配管122、第2配管124のそれぞれに計測ユニットが配置されている。なお、変換手段14、流量計36、38とは、図1に示す変換手段14、流量計36、38と同様の構成であるので、説明を省略する。また、本実施形態では、ポンプ31を設けない構成としたが、設けてもよい。なお、ポンプ31は、下記の実施形態のいずれにもおいても同様である。また、下記の実施形態では、制御手段と制御対象との接続を示す点線を一部省略しているが、各部と接続している。
【0081】
配管ユニット112は、サンプリング配管20と、第1配管122と、第2配管124と、を有する。サンプリング配管20は、配管ユニット12の各部と同様の構成なので、説明は省略する。
【0082】
第1配管122は、一方の端部がサンプリング配管20と接続され、他方の端部が計測手段116の第1計測ユニット130と接続されている。また、第1配管122には、管路内に後述する変換手段14が配置されている。また、第1配管122の変換手段14が配置されている領域は、他の領域よりも管路の径が大きくなっている。
【0083】
第2配管124は、基本的に第1配管122と並列に形成された配管であり、一方の端部がサンプリング配管20と接続され、他方の端部が計測手段116の第2計測ユニット132と接続されている。また、第2配管124には、管路内に後述する変換手段14が配置されていない。このように、配管ユニット112は、第1配管122の他方の端部と第2配管124の他方の端部とを接続する三方弁が設けられておらず、別々の計測ユニットに接続されている。
【0084】
計測手段116は、第1計測ユニット130と、第2計測ユニット132と、計測手段本体134、136とを有する。第1計測ユニット130は、第1配管122の他方の端部に接続されており、第1配管122を流れた流通ガス、つまり、変換手段14を通過した流通ガス(第1流通ガス)が供給される。なお、第1計測ユニット130の各部の構成は、上述した計測ユニット42と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0085】
第2計測ユニット132は、第2配管124の他方の端部に接続されており、第2配管124を流れた流通ガス、つまり、変換手段14を通過していない流通ガス(第2流通ガス)が供給される。なお、第2計測ユニット132の各部の構成も、上述した計測ユニット42と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0086】
計測手段本体134は、基本的に計測手段本体44と同様の構成であり、第1計測ユニット130にレーザ光を出力し、第1計測ユニット130から受光信号を受光する。また、計測手段本体136は、基本的に計測手段本体44と同様の構成であり、第2計測ユニット132にレーザ光を出力し、第2計測ユニット132から受光信号を受光する。
【0087】
計測手段本体134は、第1計測ユニット130に出力したレーザ光の強度、第1計測ユニット130から送られる受光信号に基づいて、第1流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度を計測する。また、計測手段本体136は、第2計測ユニット132に出力したレーザ光の強度、第2計測ユニット132から送られる受光信号に基づいて、第2流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度を計測する。計測手段本体134、136は、それぞれ計測結果を制御手段118に送る。
【0088】
制御手段118は、制御手段18と同様に、配管ユニット112、変換手段14、計測手段116の各部の動作を制御する。また、制御手段118は、ガス発熱量算出部68を有し、ガス発熱量算出部68により、計測手段116から送られる計測結果に基づいて、流通ガスに発熱量を計測(算出)する。なお、算出方法は、上述した制御手段18の算出方法と同様の方法である。
【0089】
ガス発熱量計測装置100は、以上のような構成により、流通ガスの発熱量を計測することができる。また、上述したガス発熱量計測装置10と同様に、計測手段として、いわゆるTDLAS方式の計測手段を用い、かつ、水素を酸化した酸化物の濃度(HO)を計測手段による計測対象とすることで、上述と同様の効果を得ることができる。
【0090】
ガス発熱量計測装置100は、第1計測ユニット130、第2計測ユニット132の2つの計測ユニットを設けることで、第1流通ガスと第2流通ガスとを別々に計測することができる。これにより、第1流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度(HOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度等)と、第2流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度とを同時に計測することができる。これにより、流路の切り替えが必要なくなり、流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度をより連続的に計測することができる。これにより、流通ガスの発熱量も連続的に計測することができる。また、流路を切り替えることなく、計測ができるため、計測の応答性もより高くすることができる。
【0091】
なお、ガス発熱量計測装置100も、ガス発熱量計測装置10と同様に、測定する対象のガスを増加させたり、減少させたり、算出方法を変更したりすることで、種々の効果を得ることができる。また、ガス発熱量計測装置100も、上述と同様にして、流量計36と、流量計38との計測結果に基づいて、水素の濃度等を補正するようにしても良い。なお、ガス発熱量計測装置10と同様に、測定する対象のガスを増加させたり、減少させたり、算出方法を変更したりすることで、種々の効果を得ることができる点は、下記の実施形態も同様である。
【0092】
[実施形態3]
図6は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図6に示すガス発熱量計測装置200は、配管ユニット212と、変換手段14と、計測手段216と、制御手段218と、流量計224、226を有する。ここで、ガス発熱量計測装置200は、配管ユニットが1本の配管で設けられており、計測ユニットが2つ設けられている。なお、変換手段14は、図1に示す変換手段14と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0093】
配管ユニット212は、サンプリング配管220と、配管222と、流量計224とを有する。サンプリング配管220は、計測対象配管8と接続し、計測対象配管8を流れる流通ガスの一部を捕集する配管であり、一方の端部が計測対象配管8の内部に配置されており、他方の端部が計測手段216の上流側計測ユニット230と連結されている。
【0094】
配管222は、一方の端部が上流側計測ユニット230と接続され、他方の端部が計測手段216の下流側計測ユニット232と接続されている。また、配管222には、管路内に後述する変換手段14が配置されている。また、配管222の変換手段14が配置されている領域は、他の領域よりも管路の径が大きくなっている。
【0095】
計測手段216は、上流側計測ユニット230と、下流側計測ユニット232と、計測手段本体234、236とを有する。上流側計測ユニット230は、上流側の端部が、サンプリング配管220の他方の端部と連結され、下流側の端部が、配管222の一方の端部(上流側の端部)とに連結されており、サンプリング配管220を流れ、変換手段14を通過する前の流通ガス(第2流通ガス)が供給される。なお、上流側計測ユニット230は、上述した計測ユニット42と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0096】
下流側計測ユニット232は、上流側の端部が、配管222の一方の端部(下流側の端部)と連結され、下流側の端部が、さらに下流側の配管(排気配管等)とに連結されており、配管222を流れ、変換手段14を通過した流通ガス(第1流通ガス)が供給される。なお、下流側計測ユニット232も、上述した計測ユニット42と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0097】
計測手段本体234は、基本的に計測手段本体44と同様の構成であり、上流側計測ユニット230にレーザ光を出力し、上流側計測ユニット230から受光信号を受光する。また、計測手段本体236は、基本的に計測手段本体44と同様の構成であり、下流側計測ユニット232にレーザ光を出力し、下流側計測ユニット232から受光信号を受光する。
【0098】
計測手段本体236は、下流側計測ユニット232に出力したレーザ光の強度、下流側計測ユニット232から送られる受光信号に基づいて、第1流通ガスに含まれるHOの濃度を計測する。また、計測手段本体234は、上流側計測ユニット230に出力したレーザ光の強度、上流側計測ユニット230から送られる受光信号に基づいて、第2流通ガスに含まれるHOの濃度を計測する。計測手段本体234、236は、計測結果を制御手段218に送る。
【0099】
また、流量計224は、サンプリング配管220の経路上に配置され、サンプリング配管220を流れる流通ガスの流量、つまり、変換手段14を通過する前の流通ガス(第2流通ガス)の流量を計測する。また、流量計226は、配管222の変換手段14と、下流側計測ユニット232との間に配置され、変換手段14を通過した後の流通ガス(第1流通ガス)の流量を計測する。
【0100】
制御手段218は、制御手段18と同様に、配管ユニット212、変換手段14、計測手段216の各部の動作を制御する。また、制御手段218は、ガス発熱量算出部68を有し、ガス発熱量算出部68により、計測手段216から送られる計測結果に基づいて、流通ガスに含まれる測定対象の水素の濃度を計測(算出)し、流通ガスの発熱量を計測する。なお、算出方法は、上述した制御手段18の算出方法と同様の方法である。
【0101】
ガス発熱量計測装置200は、以上のような構成により、酸化触媒39が配置されている領域よりも上流側と、下流側のそれぞれに計測ユニットを設けることでも、流通ガスに含まれる測定対象の水素の濃度を計測することができる。また、上述したガス発熱量計測装置10と同様に、計測手段として、いわゆるTDLAS方式の計測手段を用い、かつ、測定対象の水素を酸化した酸化物を用いることで、上述と同様の効果を得ることができる。
【0102】
ガス発熱量計測装置200は、酸化触媒が配置されている領域よりも上流側と、下流側のそれぞれに計測ユニット230、232の2つの計測ユニットを設けることで、流通ガスを案内する配管を2つに分離することなく、第1流通ガスと第2流通ガスとを別々に計測することができる。また、この場合も、第1流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度と、第2流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度とを同時に計測することができる。これにより、流路の切り替えが必要なくなり、流通ガスの発熱量をより連続的に計測することができる。また、流路を切り替えることなく、計測ができるため、計測の応答性もより高くすることができる。また、計測対象のガスを同じ流通ガスとすることができる。つまり、上流側計測ユニット230で計測した流通ガスを酸化させた後、下流側計測ユニット232で計測することができる。また、流量計224と流量計226により、変換手段14の通過前の流通ガス(第2流通ガス)と、変換手段14の通過後の流通ガス(第1流通ガス)とのモル数のバランスの変化を検出することができる。これにより、算出したモル数から流通ガスの水素の濃度の算出値等を補正することができ、より正確な発熱量を計測することができる。
【0103】
[実施形態4]
図7は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図7に示すガス発熱量計測装置300は、配管ユニット312と、変換手段14と、計測手段316と、制御手段318と、流量計322、324と、を有する。ここで、ガス発熱量計測装置300は、配管ユニット312の構成と、計測ユニットの配置位置、構成を除いて、他の構成はガス発熱量計測装置200と同様の構成である。また、変換手段14は、図1に示す変換手段14と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0104】
配管ユニット312は、サンプリング配管320と、流量計322とを有する。サンプリング配管320は、計測対象配管と接続し、計測対象配管8を流れる流通ガスの一部を捕集する配管であり、一方の端部が計測対象配管の内部に配置されており、他方の端部が下流の配管(排気配管)と連結されている。また、サンプリング配管320の経路上には、サンプリング配管320を流れる流通ガスの流量を計測する流量計322が配置されている。また、サンプリング配管320には、管路内に変換手段14が配置されている。また、サンプリング配管320の変換手段14が配置されている領域は、他の領域よりも管路の径が大きくなっている。つまり、本実施形態の配管ユニットは、1本の配管で構成されている。
【0105】
計測手段316は、上流側計測ユニット330と、下流側計測ユニット332と、計測手段本体334、336とを有する。上流側計測ユニット330は、サンプリング配管320の変換手段14の配置位置よりも上流側に設けられており、サンプリング配管320を流れ、変換手段14を通過する前の流通ガス(第2流通ガス)の測定対象の物質の濃度を計測する。なお、上流側計測ユニット330は、測定光であるレーザ光をサンプリング配管320内に入射させ、サンプリング配管320を通過したレーザ光を受光することで、ガス濃度を計測する。
【0106】
上流側計測ユニット330は、入射管342aと、出射管344aと、窓346a、348aと、光ファイバ350aと、入光部352aと、受光部354aを有する。
【0107】
入射管342aは、管状部材であり、一方の端部がサンプリング配管320に連結されている。また、サンプリング配管320は、入射管342aとの連結部が、入射管342aの開口(端部の開口)と略同一形状の開口となっている。つまり、入射管342aは、サンプリング配管320と、空気の流通が可能な状態で連結されている。また、入射管342aの他方の端部には、窓346aが設けられており、窓346aにより封止されている。なお、窓346aは、光を透過する部材、例えば、透明なガラス、樹脂等で構成されている。これにより、入射管342aは、窓346aが設けられている端部が、空気が流通しない状態で、かつ、光が透過できる状態となる。
【0108】
入射管342aは、図7に示すように、窓346a側の端部の開口(つまり、窓346aにより塞がれている開口)の面積と、サンプリング配管320側の端部(つまり、サンプリング配管320と連結している部分の開口)の面積とが実質的に同一の円筒形状である。なお、入射管342aの形状は円筒形状に限定されず、空気及び光を通過させる筒型の形状であればよく、種々の形状とすることができる。例えば、断面が四角、多角形、楕円、非対称曲面となる形状としてもよい。また筒形状の断面の形状、径が位置によって変化する形状でもよい。
【0109】
出射管344aは、入射管342aと略同一形状の管状部材であり、一方の端部がサンプリング配管320に連結され、出射管344aの他方の端部には、窓348aが設けられている。出射管344aも、サンプリング配管320と空気が流通可能な状態で、窓348aが設けられている端部が、空気が流通しない状態で、かつ、光が透過できる状態となる。また、出射管344aは、中心軸が入射管342aの中心軸と略同一となる位置に配置されている。つまり、入射管342aと出射管344aとは、サンプリング配管320の対向する位置に配置されている。
【0110】
また、出射管344aも、窓348a側の端部の開口(つまり、窓348aにより塞がれている開口)の面積と、サンプリング配管320側の端部(つまり、サンプリング配管320と連結している部分の開口)の面積とが実質的に同一の円筒形状である。なお、出射管344aも形状は円筒形状に限定されず、空気及び光を通過させる筒型の形状であればよく、種々の形状とすることができる。例えば、断面が四角、多角形、楕円、非対称曲面となる形状としてもよい。また筒形状の断面の形状、径が位置によって変化する形状でもよい。
【0111】
次に、光ファイバ350aは、計測手段本体334から出力されるレーザ光を入光部352aに案内する。つまり、計測手段本体334から出力されたレーザ光を入光部352aに入射させる。入光部352aは、窓346aに配置された光学系(ミラー、レンズ等)であり、光ファイバ350aにより案内されたレーザ光を窓346aから入射管342aの内部に入射させる。入射管342aに入射したレーザ光は、入射管342aからサンプリング配管320を通過して、出射管344aに到達する。
【0112】
受光部354aは、サンプリング配管320の内部を通過し、窓348aから出力されたレーザ光を受光する受光部である。受光部354aは、受光したレーザ光の強度を受光信号として、計測手段本体334に送る。
【0113】
上流側計測ユニット330は、計測手段本体334から光ファイバ350aに供給されるレーザ光を、入光部352a、窓346a、入射管342a、サンプリング配管320、出射管344a、窓348aを通過して、受光部354aに入射する。これにより、上流側計測ユニット330は、変換手段14を通過する前の流通ガス(第2流通ガス)が流れている領域を通過させたレーザ光の出力を検出することができる。これにより、上流側計測ユニット330は、上流側計測ユニット230と同様に、第2計測値を計測することができる。
【0114】
下流側計測ユニット332は、サンプリング配管320の変換手段14の配置位置よりも下流側に設けられており、サンプリング配管320を流れ、変換手段14を通過した後の流通ガス(第1流通ガス)のHOの濃度を計測する。なお、下流側計測ユニット332も、測定光であるレーザ光をサンプリング配管320内に入射させ、サンプリング配管320を通過したレーザ光を受光することで、ガス濃度を計測する。下流側計測ユニット332は、入射管342bと、出射管344bと、窓346b、348bと、光ファイバ350bと、入光部352bと、受光部354bを有する。なお、下流側計測ユニット332は、計測ユニットの配置位置を除いて、基本的構成は、上流側計測ユニット232と同様であるので説明を省略する。
【0115】
下流側計測ユニット332は、計測手段本体334から光ファイバ350bに供給されるレーザ光を、入射部352b、窓346b、入射管342b、サンプリング配管320、出射管344b、窓348bを通過して、受光部354bに入射する。これにより、下流側計測ユニット332は、変換手段14を通過した流通ガス(第1流通ガス)が流れている領域を通過させたレーザ光の出力を検出することができる。これにより、上流側計測ユニット330は、下流側計測ユニット232と同様に、第1計測値を計測することができる。
【0116】
計測手段本体334は、基本的に計測手段本体44と同様の構成であり、上流側計測ユニット330にレーザ光を出力し、上流側計測ユニット330から受光信号を受光する。また、計測手段本体336は、基本的に計測手段本体44と同様の構成であり、下流側計測ユニット332にレーザ光を出力し、下流側計測ユニット332から受光信号を受光する。
【0117】
計測手段本体336は、下流側計測ユニット332に出力したレーザ光の強度、下流側計測ユニット332から送られる受光信号に基づいて、第1流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度を計測する。また、計測手段本体334は、上流側計測ユニット330に出力したレーザ光の強度、上流側計測ユニット330から送られる受光信号に基づいて、第2流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度を計測する。計測手段本体334、336は、計測結果を制御手段318に送る。
【0118】
また、流量計322は、サンプリング配管320の経路上において、上流側計測ユニット330と変換手段14との間に配置され、変換手段14を通過する前の流通ガス(第2流通ガス)の流量を計測する。また、流量計324は、サンプリング配管320の経路上において変換手段14と下流側計測ユニット332との間に配置され、変換手段14を通過した後の流通ガス(第1流通ガス)の流量を計測する。流量計332と流量計334は、流量の計測結果を制御手段318に送る。
【0119】
制御手段318は、制御手段18と同様に、配管ユニット312、変換手段14、計測手段316、流量計322、324の各部の動作を制御する。また、制御手段318は、ガス発熱量算出部68を有し、ガス発熱量算出部68により、計測手段316から送られる計測結果に基づいて、流通ガスの発熱量を計測(算出)する。なお、算出方法は、上述した制御手段18の算出方法と同様の方法である。
【0120】
ガス発熱量計測装置300は、以上のような構成により、変換手段14(酸化触媒39)が配置されている領域よりも上流側と、下流側のそれぞれに計測ユニットを設けることでも、流通ガスに含まれる測定対象の水素の濃度を計測することができる。また、上述したガス発熱量計測装置10と同様に、計測手段として、いわゆるTDLAS方式の計測手段を用い、かつ、流通ガス中のHOの濃度を計測手段により計測することで、上述と同様の効果を得ることができる。また、ガス発熱量計測装置300も、流量計322、324での計測結果に基づいて、流通ガスの発熱量の算出値を補正することができ、より高い精度で算出することができる。
【0121】
また、ガス発熱量計測装置300も、酸化触媒39が配置されている領域よりも上流側と、下流側のそれぞれに計測ユニット330、332の2つの計測ユニットを設けることで、流通ガスを案内する配管を2つに分離することなく、第1流通ガスと第2流通ガスとを別々に計測することができる。また、この場合も、第1流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度と、第2流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度とを同時に計測することができる。これにより、流路の切り替えが必要なくなり、流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度をより連続的に計測することができる。これにより、連続的に流通ガスの発熱量を計測することができる。また、流路を切り替えることなく、計測ができるため、計測の応答性もより高くすることができる。また、計測対象のガスを同じ流通ガスとすることができる。つまり、上流側計測ユニット330で計測した流通ガスを所定の物質に変換(酸化)させた後、下流側計測ユニット332で計測することができる。
【0122】
さらに、ガス発熱量計測装置300は、サンプリング配管320を流れる流通ガスを直接計測することができる。これにより、計測セルを設けることなく、サンプリング配管320に開口を形成するのみで設置することができる。また、上記実施形態では、サンプリング配管320に設けた場合として説明したが、これに限定されず、計測対象配管に直接接地することもできる。計測対象配管に直接設ける場合でも、専用の計測セルが必要ないため、計測対象配管を流れる流通ガスの流量、流速を変化させずに、計測することができる。
【0123】
また、上記実施形態では、入射管と出射管を同軸上に設けたがこれには限定されない。例えば、サンプリング配管内に光学ミラーを設け、入射管の窓から入射されたレーザ光を測定セル内の光学ミラーで多重反射させた後、出射管の窓に到達させるようにしてもよい。このようにレーザ光を多重反射させることで、サンプリング配管内のより多くの領域を通過させることができる。これにより、サンプリング配管内を流れる流通ガスの濃度の分布(流通ガスの流量や密度のばらつき、流通ガス内の濃度分布のばらつき)の影響を小さくすることができ、正確に濃度を検出することができる。
【0124】
また、上記実施形態では、入射管と出射管をサンプリング配管に直接設けたが、サンプリング配管と同径の管に、入射管と出射管を設置し、その管をサンプリング配管の一部にはめ込むようにしても良い。つまり、サンプリング配管の一部を切断し、その切断部に入射管と出射管を設置した管をはめ込むようにしてもよい。
【0125】
[実施形態5]
図8は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。ここで、ガス発熱量計測装置400は、酸化剤供給手段450が設けられている点を除いて、他の構成は、基本的にガス発熱量計測装置200と同様である。そこで、ガス発熱量計測装置200と同様の構成には、同様の符号を付して説明を省略し、ガス発熱量計測装置400に特有の点について説明する。ここで、図8に示すガス発熱量計測装置400は、配管ユニット212と、変換手段14と、計測手段216と、流量計224、226と、制御手段418と、酸化剤供給手段450とを有する。配管ユニット212と、変換手段14と、計測手段216と、流量計224、226とは、図6に示すガス発熱量計測装置200の各手段と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0126】
酸化剤供給手段450は、流通ガスの流れ方向において、配管222の計測ユニット230よりも下流側で、かつ、変換手段14よりも上流側に配置されている。つまり、酸化剤供給手段450は、濃度の計測が終了し、酸化処理(水素と酸素を反応させ、HOにする処理)が行われる前の流通ガス(第2流通ガス)が流れている配管に接続されている。酸化剤供給手段450は、配管452と、酸化剤供給装置454と、流量計456とを有する。配管452は、一方の端部が、配管222の変換手段14よりも上流側に接続されており、他方の端部が、酸化剤供給装置454と接続されている。酸化剤供給装置454は、配管452を介して配管222に酸化剤(O、O等)を投入する装置である。酸化剤供給装置454は、酸化剤を貯留する貯留機構や、貯留している酸化剤を配管452に投入する投入機構を有する。なお、投入機構としては、酸化剤を空気搬送する機構、例えば、ファン(送風機)を用いることができる。流量計456は、配管452を流れる空気の流量を計測する計測器であり、酸化剤供給装置454から配管222に投入される空気の量を計測し、計測結果を制御手段418に送る。
【0127】
制御手段418は、配管ユニット212、変換手段14、計測手段216と、流量計224、226の各部の動作を制御する。また、制御手段418は、制御手段18と同様に、ガス発熱量算出部68を有し、ガス発熱量算出部68により、計測手段216から送られる計測結果に基づいて、流通ガスに含まれる測定対象の物質の濃度を計測(算出)し、流通ガスの発熱量を計測する。なお、算出方法は、上述した制御手段18の算出方法と同様の方法である。さらに、制御手段418は、酸化剤供給手段450から配管222に投入する酸化剤の量を制御する。
【0128】
ガス発熱量計測装置400は、以上のような構成により、変換手段14(酸化触媒39)が配置されている領域よりも上流側と、下流側のそれぞれに計測ユニットを設けることでも、流通ガスの発熱量を計測することができる。また、上述したガス発熱量計測装置10と同様に、計測手段として、いわゆるTDLAS方式の計測手段を用い、かつ、測定対象の水素を酸化した酸化物とすることで、上述と同様の効果を得ることができる。
【0129】
また、ガス発熱量計測装置400は、変換手段14の上流側で流通ガスに、水素等を酸化する(酸化反応する)酸化剤を投入することで、好適に水素を酸化物にすることができる。これにより、下流側計測ユニット232を通過する流通ガスに測定対象の水素の残存量をより少なくすることができ、測定対象の水素の濃度をより高い精度で算出することができ、流通ガスの発熱量を高い精度で算出することができる。また、流通ガス中に酸素が少ない場合も、酸化剤を投入することで、適切に反応を促進することができる。また、酸化剤を投入することで、メタン以外の炭化水素も好適に二酸化炭素と水に変換することができる。また、配管222に供給される酸化剤の流量を流量計456により検出できる。これにより、モル数の変化や、モル数バランスの変化、流量の変化を補正することができる。
【0130】
[実施形態6]
図9は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図9に示すガス発熱量計測装置500は、配管ユニット512と、変換手段14と、計測手段516と、制御手段518と、流量計522、524と、酸化剤供給手段550とを有する。
【0131】
なお、本実施形態では、変換手段14の酸化触媒として、測定対象のガス酸化物を選択的に吸蔵し、酸化剤との反応を促進させて酸化物とする吸蔵型酸化触媒(SCR触媒)を用いることが好ましい。つまり、酸化剤が供給されることで、水素がHOになる反応を促進する触媒を用いることが好ましい。吸蔵型酸化触媒は、水素を飽和するまで吸蔵する。また、吸蔵型酸化触媒は、酸化剤が供給されると吸着させている水素と酸化剤との反応を促進させ、反応され酸化物として生成されるHOを流通ガスとともに下流側に流す。以下、実施形態6では、触媒として吸蔵型酸化触媒を用いた場合として説明する。
【0132】
配管ユニット512は、サンプリング配管520と、流量計522とを有する。サンプリング配管520は、計測対象配管8と接続し、計測対象配管8を流れる流通ガスの一部を捕集する配管であり、一方の端部が計測対象配管8の内部に配置されており、他方の端部が計測手段516の計測ユニット532と連結されている。また、サンプリング配管520には、管路内に変換手段14が配置されている。また、サンプリング配520の変換手段14が配置されている領域は、他の領域よりも管路の径が大きくなっている。つまり、本実施形態の配管ユニットは、1本の配管で構成されている。
【0133】
計測手段516は、計測ユニット532と、計測手段本体534とを有する。計測ユニット532は、上流側の端部が、サンプリング配管520の一方の端部(下流側の端部)と連結され、下流側の端部が、さらに下流側の配管(排気配管等)とに連結されている。計測ユニット532は、変換手段14を通過した流通ガスが供給される。
【0134】
計測手段本体534は、計測ユニット532にレーザ光を出力し、計測ユニット532から受光信号を受光して、測定対象の物質の濃度を計測するものであり、基本的に計測手段本体44と同様の構成である。
【0135】
酸化剤供給手段550は、流通ガスの流れ方向において、サンプリング配管520の変換手段14よりも上流側に配置されている。つまり、酸化剤供給手段550は、変換手段14に到達する前の流通ガスが流れている配管に接続されている。
【0136】
酸化剤供給手段550は、配管552と、酸化剤供給装置554と、開閉弁556と、流量計558とを有する。配管552は、一方の端部が、サンプリング配管520の変換手段14よりも上流側に接続されており、他方の端部が、酸化剤供給装置554と接続されている。酸化剤供給装置554は、配管552を介してサンプリング配管520に酸化剤を投入する装置である。酸化剤供給装置554は、酸化剤を貯留する貯留機構や、貯留している酸化剤を配管552に投入する投入機構を有する。なお、投入機構としては、酸化剤を空気搬送する機構、例えば、ファン(送風機)を用いることができる。開閉弁556は、酸化剤供給装置554から供給された酸化剤をサンプリング配管520に供給する状態と、供給しない状態とを切り替える弁である。開閉弁556は、制御手段518により開閉が制御される。流量計558は、配管552を流れる空気の流量を計測する計測器であり、酸化剤供給装置554からサンプリング配管520に投入される空気の量を計測し、計測結果を制御手段518に送る。
【0137】
また、流量計522は、サンプリング配管520の経路上において、変換手段14及び酸化剤供給手段550よりも上流側に配置され、変換手段14を通過する前の流通ガス(第2流通ガス)の流量を計測する。また、流量計524は、サンプリング配管520の経路上において変換手段14と計測ユニット532との間に配置され、変換手段14を通過した後の流通ガス(第1流通ガス)の流量を計測する。流量計522と流量計524は、流量の計測結果を制御手段518に送る。
【0138】
制御手段518は、制御手段18と同様に、配管ユニット512、変換手段14、計測手段516、流量計522、524の各部の動作を制御する。また、制御手段518は、ガス発熱量算出部68を有し、ガス発熱量算出部68により、計測手段516から送られる計測結果に基づいて、流通ガスの発熱量を計測(算出)する。また、制御手段518は、酸化剤供給手段550の開閉弁556の開閉を制御することで、変換手段14に酸化剤を供給し、変換手段14で酸化剤と測定対象の水素とを反応させ、水素を酸化させる(HOにする)第1の状態と、変換手段14に酸化剤を供給せず、変換手段14で水素を吸蔵させ、水素を変換手段14に溜める第2の状態とを切り替える。
【0139】
以下、図10−1及び図10−2を用いて具体的に説明する。ここで、図10−1及び図10−2は、ガス発熱量計測装置の動作を説明するための説明図である。また、図10−1及び図10−2は、横軸をともに時間tとし、図10−1は、縦軸を開閉信号、図10−2は、縦軸をHO濃度とした。また、図10−1は、開信号を1、閉信号を0とした。また、図10−2のHO濃度は、変換手段14の下流側のHO濃度である。
【0140】
例えば、制御手段518は、図10−1に示すように閉信号を出力し開閉弁556を閉じた状態から、時刻tで開信号を出力し、開閉弁556を開状態とし、一定時間経過後の時刻tで再び閉信号を出力し開閉弁556を閉じた状態とする。これにより、これにより、時刻t以前は、変換手段14に酸化剤が供給されていない状態となり、時刻tから時刻tの間は、変換手段14に酸化剤が供給される状態となり、時刻t以降は、再び、変換手段14に酸化剤が供給されない状態となる。
【0141】
これに対応して、変換手段14では、時刻t以前は、変換手段14で水素を吸蔵している状態となり、時刻tから時刻tの間は、変換手段14で水素を酸化している状態となり、時刻t以降は、再び、変換手段14で水素を吸蔵している状態となる。これにより、時刻t以前及び時刻t以降は、基本的に、酸化前から流通ガスに含まれるHO(共存ガス、捕集時から流通ガスに含まれるHO)のみが、変換手段14を通過した流通ガスに含まれ、時刻tから時刻tの間は、共存ガスに加え、変換手段14に吸蔵されている水素が酸化剤と反応し、生成されたHOも含まれる状態となる。これにより、図10−2に示すように、時刻t以前は、HOの濃度が低く(濃度x)、時刻tから時刻tの間は、HOの濃度が高くなり(濃度x)、時刻t以降は、再び、HOの濃度が低くなる(濃度x)。
【0142】
制御手段518は、図10−2の関係を用いて、共存ガスの濃度を計測し、さらに、酸化処理時に検出されるHOの濃度と、酸化処理前に水素を吸蔵していた時間との関係に基づいて、演算を行うことで(例えば、吸蔵していた時間と反応させた時間との合計で濃度を平均化することで)、流通ガスに含まれる水素に由来するHOの濃度を算出し、さらにその結果から、流通ガスに含まれる測定対象の水素の濃度を計測(算出)する。また、流通ガスに含まれる水素以外の測定対象の物質は、上述したガス発熱量計測装置10と同様に第1の状態、第2の状態のそれぞれで計測することができる。ガス発熱量算出部68は、以上のようにして計測した結果を用いて、燃焼成分の割合を算出し、流通ガスの発熱量を計測する。
【0143】
ガス発熱量計測装置500は、以上のような構成により、酸化触媒として、水素を吸蔵する吸蔵型酸化触媒を用い、酸化剤の供給を調整することで、水素の吸蔵、酸化を繰り返すことでも、流通ガスに含まれる測定対象の水素の濃度を計測することができ、流通ガスの発熱量を計測することができる。この場合も、上述したガス発熱量計測装置10と同様に、計測手段として、いわゆるTDLAS方式の計測手段を用い、かつ、測定対象の水素を酸化した酸化物とすることで、上述と同様の効果を得ることができる。
【0144】
なお、本実施形態では、切り替えの時間が必要となるため、ガス発熱量計測装置10と同様に間欠的な計測となるが、1つの計測ユニットで濃度を計測することができる。
【0145】
なお、本実施形態の場合は、予め、飽和するために必要な水素の量を、例えば、濃度と流量と流通時間との関係で算出し、酸化剤供給時は、変換手段14の酸化触媒39の水素の飽和量、つまり、変換手段14の酸化触媒39に吸蔵された水素を酸化するために必要な酸化剤の最大量)の1から10倍の量をサンプリング配管520に供給することが好ましい。また、制御手段518は、変換手段14の酸化触媒39に吸蔵させる水素の量を、飽和吸蔵量の1/10以上1/2以下とすることが好ましい。変換手段14の酸化触媒39に吸蔵させる水素の量が上記範囲以下の状態で酸化処理を行うことで、水素の濃度を好適に算出することができる。
【0146】
また、実施形態6では、酸化触媒39として吸蔵型酸化触媒を用いた場合としたが、本発明はこれに限定されず、水素を吸蔵しない触媒を用いることもできる。この場合は、酸化剤が供給されていない場合は、流通ガスに含まれる水素もそのまま変換手段14を通過する。また、酸化剤の供給時は、酸化剤と混合された流通ガスに含まれる水素のみがHOに還元される。これにより、制御手段518は、各状態での検出時の値をそれぞれ第1計測値、第2計測値として、流通ガスの水素濃度を計測することができ、流通ガスの発熱量を計測することができる。また、ガス発熱量計測装置500も酸化触媒39により炭化水素を二酸化炭素と、水に変換するようにしてもよい。
【0147】
[実施形態7]
図11は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。ここで、ガス発熱量計測装置600は、変換手段614に水性逆シフト触媒650を設けている点を除いて、他の構成は、基本的にガス発熱量計測装置200と同様である。そこで、ガス発熱量計測装置200と同様の構成には、同様の符号を付して説明を省略し、ガス発熱量計測装置600に特有の点について説明する。ここで、図11に示すガス発熱量計測装置600は、配管ユニット212と、変換手段614と、計測手段216と、流量計224、226と、制御手段618と、を有する。配管ユニット212と、流量計224、226と、計測手段216とは、図6に示すガス発熱量計測装置200の各手段と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0148】
変換手段614は、水性逆シフト触媒650と、温度調整部40とを有する。なお、温度調整部40は、上述した変換手段14の温度調整部40と同様に、水性逆シフト触媒650の反応領域の雰囲気の温度を調整する。水性逆シフト触媒650は、流通ガスの流れ方向において、配管222の上流側計測ユニット230よりも下流側で、かつ、下流側計測ユニット232よりも上流側に配置されている。水性逆シフト触媒650は、流通ガス中に含まれる水素(H)と二酸化炭素(CO)とを反応させて、一酸化炭素(CO)と水(HO)とを生成する。つまり、水性逆シフト触媒650は、水素を二酸化炭素により、(HO)に変換する。
【0149】
これにより、第2流通ガスは、水性逆シフト触媒650を通過し、第1流通ガスとなることで、図12に示すように流通ガスのモル比が変換する。ここで、図12は、ガス発熱量計測装置の動作を説明するための説明図である。具体的には、図12は、配管222における位置と、ガス濃度との関係を示すグラフであり、縦軸をガス濃度とし、横軸を位置とした。図12に示すように、サンプリングガスの状態、つまり、計測対象配管8から供給され水性逆シフト触媒650に到達する前の流通ガスは、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、水蒸気(HO、水)、水素(H)が一定の濃度で含まれている。この状態の流通ガスが水性逆シフト触媒650を通過すると、水素と二酸化炭素が反応し、一酸化炭素と水が生成される、つまり、「H+CO→HO+CO」の反応がおきる。流通ガスは、水性逆シフト触媒650内に存在する時間が長くなるほど、つまり、流通ガスの流れ方向において、下流側に移動するほど、上記反応が進んだ状態となる。これにより、図12に示すように、流通ガスは、下流側に移動するほど、水素と二酸化炭素の量が減少し、一酸化炭素と水が増加し、下流側計測セル232の入口では、水素の全量が水に変換されている状態となる。水性逆シフト触媒650は、このようにして、水素を水に変換する。
【0150】
制御手段618は、配管ユニット212、変換手段14、計測手段216と、の各部の動作を制御する。また、制御手段618は、制御手段218と同様に、ガス発熱量算出部68を有し、ガス発熱量算出部68により、計測手段216から送られる計測結果に基づいて、流通ガスの発熱量を計測(算出)する。なお、算出方法は、上述した制御手段18の算出方法と同様の方法である。なお、制御手段618は、温度調整部40により、水性逆シフト触媒650の温度等を制御することで、高い効率で水素を水に変換できるように温度を調整する。
【0151】
ガス発熱量計測装置600は、以上のような構成により、変換手段614に水性逆シフト触媒650を設けることでも、上述と同様の効果を得ることができる。また、ガス発熱量計測装置600は、含有する酸素が少ない流通ガスの発熱量を計測する場合でも、流通ガスの水素濃度を計測することができ、流通ガスの発熱量を計測することができる。また、燃焼成分を含む流通ガス中に酸素を投入することなく、水に変換できるため、より安全に水素を水に変換することができる。
【0152】
また、ガス発熱量計測装置600は、さらに、図8の場合と同様に、変換手段614よりも上流側に、水素と反応する物質を供給するようにしても良い。つまり、配管222にCOを供給する装置を設けてもよい。なお、ガス発熱量計測装置600は、流通ガス中にメタン以外の炭化水素が含まれていない場合により好適に用いることができる。
【0153】
[実施形態8]
図13は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図13に示すガス発熱量計測装置700は、配管ユニット512と、変換手段614と、計測手段516と、制御手段718と、流量計522、524と、CO供給手段750と、を有する。なお、図13に示すガス発熱量計測装置700は、ガス発熱量計測装置500の水素濃度の計測方法と、ガス発熱量計測装置600の変換手段とを組み合わせた装置である。つまり、ガス発熱量計測装置500の変換手段を、水性逆シフト触媒に変え、酸化剤供給手段をCO供給手段に変えたものである。なお、配管ユニット512と、計測手段516と、流量計522、524とは、ガス発熱量計測装置500の各手段と同様であり、変換手段614は、ガス発熱量計測装置600の変換手段と同様であるので、説明を省略する。なお、本実施形態の場合は、水性逆シフト触媒650を吸蔵型触媒とすることが好ましいが、上述したように、吸蔵しない触媒としてもよい。
【0154】
CO供給手段750は、流通ガスの流れ方向において、サンプリング配管520の変換手段614よりも上流側に配置されている。つまり、CO供給手段750は、変換手段614に到達する前の流通ガスが流れている配管に接続されている。
【0155】
CO供給手段750は、配管752と、CO供給装置754と、開閉弁756と、流量計758とを有する。配管752は、一方の端部が、サンプリング配管520の変換手段14よりも上流側に接続されており、他方の端部が、CO供給装置754と接続されている。CO供給装置754は、配管752を介してサンプリング配管520にCOを投入する装置である。CO供給装置754は、COを貯留する貯留機構や、貯留しているCOを配管752に投入する投入機構を有する。なお、投入機構としては、COを空気搬送する機構、例えば、ファン(送風機)を用いることができる。開閉弁756は、CO供給装置754から供給されたCOをサンプリング配管520に供給する状態と、供給しない状態とを切り替える弁である。開閉弁756は、制御手段718により開閉が制御される。流量計758は、配管752を流れる空気の流量を計測する計測器であり、CO供給装置754からサンプリング配管520に投入される空気の量を計測し、計測結果を制御手段518に送る。
【0156】
また、流量計522は、サンプリング配管520の経路上において、変換手段614及びCO供給手段750よりも上流側に配置され、変換手段614を通過する前の流通ガス(第2流通ガス)の流量を計測する。また、流量計524は、サンプリング配管520の経路上において変換手段614と計測ユニット532との間に配置され、変換手段614を通過した後の流通ガス(第1流通ガス)の流量を計測する。流量計522と流量計524は、流量の計測結果を制御手段718に送る。
【0157】
制御手段718は、制御手段18と同様に、配管ユニット512、変換手段14、計測手段516、流量計522、524の各部の動作を制御する。また、制御手段718は、ガス発熱量算出部68を有し、ガス発熱量算出部68により、計測手段516から送られる計測結果に基づいて、流通ガスの発熱量を計測(算出)する。また、制御手段718は、CO供給手段750の開閉弁756の開閉を制御することで、変換手段614にCOを供給し、変換手段614でCOと測定対象の水素とを反応させ、水素をHOにする第1の状態と、変換手段614にCOを供給せず、変換手段614で水素を吸蔵させ、水素を変換手段614に溜める、または、水素を水にせずに水性逆シフト触媒650を通過させる第2の状態とを切り替える。制御手段718は、第1の状態と第2の状態とを切り替えることで、第1計測値と第2計測値を計測する。
【0158】
ガス発熱量計測装置700のように、変換手段として、水性逆シフト触媒を用いた場合でも上述と同様に水素と反応する物質(CO)の供給を調整することで、1つの計測ユニットで、流通ガスの発熱量を計測することができる。また、流通ガスとして、二酸化炭素がほとんど含まれない流通ガスを用いる場合は、本実施形態の構成とすることで、水素から水への反応が高い精度で制御できるため、高い精度で水素濃度を計測することができる。また、水素濃度を高い精度計測できるため、流通ガスの発熱量も高い精度で計測することができる。
【0159】
[実施形態9]
図14は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。ここで、ガス発熱量計測装置800は、変換手段814を除いて、他の構成は、基本的にガス発熱量計測装置200と同様である。そこで、ガス発熱量計測装置200と同様の構成には、同様の符号を付して説明を省略し、ガス発熱量計測装置800に特有の点について説明する。ここで、図14に示すガス発熱量計測装置800は、配管ユニット212と、変換手段814と、計測手段216と、流量計224、226と、制御手段818と、を有する。配管ユニット212と、流量計224、226と、計測手段216とは、図6に示すガス発熱量計測装置200の各手段と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0160】
変換手段814は、反応領域830と、オゾン供給手段832と、紫外線照射装置834と、反応促進部材836と、を有する。反応領域830は、流通ガスの流れ方向において、配管222の上流側計測ユニット230よりも下流側で、かつ、下流側計測ユニット232よりも上流側に配置されている。反応領域830は、配管222の一部に設けられており、流通ガスが通過する配管である。反応領域830は、配管222よりも径の大きい配管である。
【0161】
オゾン供給手段832は、配管840と、オゾン供給装置842と、開閉弁844と、流量計846とを有する。配管840は、一方の端部が、反応領域830に接続されており、他方の端部が、オゾン供給装置842と接続されている。なお、配管840は、反応領域830の流通ガスの流れ方向の上流側に配置されている。オゾン供給装置842は、配管840を介して反応領域830にオゾン(O)を投入する装置である。オゾン供給装置842は、オゾンを貯留する貯留機構や、貯留しているオゾンを反応領域830に投入する投入機構を有する。なお、投入機構としては、オゾンを空気搬送する機構、例えば、ファン(送風機)を用いることができる。開閉弁844は、オゾン供給装置842から供給されたオゾンを反応領域830に供給する状態と、供給しない状態とを切り替える弁である。開閉弁844は、制御手段818により開閉が制御される。流量計846は、配管840を流れる空気の流量を計測する計測器であり、オゾン供給装置842から反応領域830に投入される空気の量を計測し、計測結果を制御手段818に送る。
【0162】
紫外線照射装置834は、反応領域830に紫外線を照射する装置である。なお、紫外線照射装置834は、オゾン供給装置842が反応領域830にオゾンを供給する位置よりも下流側に紫外線を照射する。
【0163】
反応促進部材836は、反応領域830に配置されており、オゾンと水素との反応を促進する部材である。反応促進部材836としては、空気を撹拌する部材や、化学反応を促進させる触媒機能を有する部材を用いることができる。
【0164】
変換手段814は、以上の構成であり、反応領域830にオゾン供給手段832によりオゾンを供給することで、オゾンと水素を反応させ、酸素と水(HO)を生成する。これにより、水素を水に変換することができる。さらに、紫外線照射装置834により、反応領域830に紫外線を照射することで、オゾンと水素との反応を促進することができる。具体的には、Oに紫外線を照射することで、OとOに分解することができ、生成したOとHとを反応させることで、水素をHOにすることができる。さらに、反応促進部材836で、上記反応を促進することができる。
【0165】
制御手段818は、配管ユニット212、変換手段814、計測手段216と、の各部の動作を制御する。また、制御手段818は、制御手段218と同様に、ガス発熱量算出部68を有し、ガス発熱量算出部68により、計測手段216から送られる計測結果に基づいて、流通ガスに含まれる測定対象の水素の濃度を計測(算出)する。なお、算出方法は、上述した制御手段18の算出方法と同様の方法である。なお、制御手段818は、変換手段814のオゾン供給装置842からのオゾンの供給や、紫外線照射装置834による紫外線の照射の有無も制御する。
【0166】
ガス発熱量計測装置800は、以上のような構成により、変換手段814にオゾンを供給する装置を用いることでも、上述と同様の効果を得ることができる。
【0167】
また、ガス発熱量計測装置800では、変換手段814の上流に上流側計測ユニット230を設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、オゾン供給手段832によるオゾンの供給や、紫外線照射装置834による紫外線の照射の有無を切り替えることで、ガス発熱量計測装置700と同様に、第1の状態と第2の状態とを切り替え、下流側計測ユニット232のみで、それぞれの濃度を計測し、その結果に基づいて流通ガスの発熱量を計測するようにしてもよい。なお、ガス発熱量計測装置600は、流通ガス中にメタン以外の炭化水素が含まれていない場合により好適に用いることができる。
【0168】
なお、紫外線照射装置834や、反応促進部材836は、より短い経路、かつ短時間で反応させるためには、設けることが好ましいが、必ずしも設けなくてもよい。
【0169】
[実施形態10]
図15は、ガス発熱量計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。また、図16は、前処理手段の概略構成を示す模式図である。ここで、ガス発熱量計測装置900は、前処理手段919を設けている点を除いて、他の構成は、基本的にガス発熱量計測装置10と同様である。そこで、ガス発熱量計測装置10と同様の構成には、同様の符号を付して説明を省略し、ガス発熱量計測装置900に特有の点について説明する。図15に示すガス発熱量計測装置900は、配管ユニット912と、変換手段14と、計測手段16と、流量計36、38と、制御手段918、前処理手段919と、を有する。なお、配管ユニット912は、配管ユニット12のサンプリング配管20の一部に前処理手段919が設けられている点を除いて配管ユニット12と同様の構成である。
【0170】
前処理手段919は、サンプリング配管20、具体的には、サンプリング配管20の分岐前の部分に配置されている。また、前処理手段919は、図16に示すように、除湿装置922と、除塵装置924と、を有する。前処理手段919は、サンプリング配管20から供給された流通ガスを、除湿装置922と、除塵装置924とで処理をした後、第1配管22、第2配管24に供給する。また、前処理手段919は、流通ガスの流れ方向において、上流側から除湿装置922、除塵装置924の順で配置されている。
【0171】
除湿装置922は、流通ガスに含まれる水(HO)を除去する装置であり、サンプリング配管20を通過した流通ガスから流通ガスに含まれる水を除去する。これにより、除湿装置922は、流通ガスに含まれる共存ガス、つまり、流通ガスに含まれる水素に起因していない水を除去する。
【0172】
除塵装置924は、流通ガスに含まれる粉塵を除去する装置であり、除湿装置922で水分を除去した流通ガスから粉塵を除去する。
【0173】
ガス発熱量計測装置900は、以上のような構成であり、前処理装置919で流通ガスを配管22、24に供給する。これにより、ガス発熱量計測装置900は、流通ガスから水と粉塵を除去した後計測を行うことができる。これにより、流通ガスに含まれる種々の成分を除去し、測定への影響を少なくして、流通ガスの発熱量を計測でき、流通ガスの発熱量をより正確に計測することができる。また、ガス発熱量計測措置900は、サンプリング配管20の前処理手段919の上流と下流の流量をそれぞれ、計測することで、各流通ガスの流量を計測することができ、その流量に基づいて、水素濃度の計測値を補正することで、流通ガスの発熱量をより高い精度で計測することができる。
【0174】
ここで、本発明は上記実施形態にも限定されず、種々の形態とすることができる。例えば、各実施形態を組み合わせてもよい。例えば、実施形態1に酸化剤供給手段を加えても良い。また、いずれの配管ユニットの経路の場合でも変換手段として、水性逆シフト触媒を用いた変換手段、また、オゾン供給手段を用いた変換手段を用いることができる。
【0175】
また、ガス発熱量計測装置は、流通ガスに煤塵が多く含まれている場合は、上述したように、サンプリング配管の上流側の端部付近にフィルタ(除塵装置)を設けてもよい。フィルタを設けることで、流通ガスに含まれる煤塵を除去することができる。なお、フィルタを設ける場合も、ガス発熱量計測装置は、煤塵に対する許容度が大きいので、他の計測方法を用いる場合よりも簡単なフィルタを用いることができる。これにより、フィルタを配置することにより発生する時間遅れを、少なくすることができ、応答性を高く維持することができる。
【0176】
また、計測ユニットは、計測セルの窓に窓から離れる方向に空気を噴射するパージガス供給部を設けてもよい。パージガスを噴射させることで、窓に異物が付着し、レーザ光による計測に誤差が発生することを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0177】
以上のように、本発明にかかるガス発熱量計測装置及びガス発熱量計測方法は、管路内を流れる流通ガスに含まれる発熱量の計測に有用である。
【符号の説明】
【0178】
8 計測対象配管
10、100、200、300、400、500、600、700、800、900 ガス発熱量計測装置
12 配管ユニット
14 変換手段
16 計測手段
18 制御手段
20 サンプリング配管(流入配管)
22 第1配管
24 第2配管
26、28 分岐管
30 三方弁
31 ポンプ
32、34 開閉弁
36、38 流量計
39 酸化触媒
42 計測ユニット
44 計測手段本体
45 計測セル
46 光ファイバ
48 入光部
50 受光部
52 主管
54 流入管
56 排出管
58、59 窓
62 発光部
64 光源ドライバ
66 算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流通ガスに含まれる測定対象の水素濃度を計測するガス発熱量計測装置であって、
前記流通ガスが流れる配管ユニットと、
前記配管ユニットに配置され、通過する前記流通ガスに含まれる水素をHOに変換する変換手段と、
前記配管ユニットを流れる前記流通ガスのうち、前記変換手段を通過する配管経路を流れた第1流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度の計測値を含む第1計測値と、前記変換手段を通過しない配管経路を流れた第2流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度の計測値を含む第2計測値とを計測する計測手段と、
前記配管ユニット、前記計測手段の動作を制御し、前記第1計測値と前記第2計測値との差分から、水素の濃度を算出し、算出した水素の濃度及び燃焼成分の濃度に基づいて流通ガスの発熱量を算出する制御手段と、を有し、
前記計測手段は、
Oの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、CHの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光をそれぞれ出力する発光部と、
前記流通ガスが流れるガス計測セル、前記ガス計測セルにレーザ光を入射させる光学系、前記発光部から入射され、前記ガス計測セルを通過したレーザ光を受光する受光部を含む少なくとも1つの計測ユニットと、
前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記ガス計測セルを流れる前記流通ガスのHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度を算出する算出部とを有することを特徴とするガス発熱量計測装置。
【請求項2】
さらに、前記変換手段よりも上流側に配置され、前記変換手段に流入する前記流通ガスの流量を計測する第1流量計と、前記変換手段よりも下流側に配置され、前記変換手段から排出された前記流通ガスの流量を計測する第2流量計と、を備え、
前記制御手段は、前記第1流量計の計測結果と、前記第2流量計の計測結果に基づいて、前記流通ガスのHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度の計測値を補正して算出することを特徴とする請求項1に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項3】
前記変換手段は、水素をHOに変換する領域の雰囲気の温度を調整する温度調整部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項4】
前記温度調整部は、前記雰囲気の温度を100℃以上200℃以下とすることを特徴とする請求項3に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項5】
前記計測手段は、前記発光部からOの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光をさらに出力させ、前記第1流通ガスに含まれるOの濃度及び前記第2流通ガスに含まれるOの濃度を計測し、
前記制御手段は、第1流通ガスのHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度、Oの濃度と、第2流通ガスのHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度、Oの濃度との、マスバランスの変化に基づいて、炭化水素、及び、水素の構成比率を算出し、その算出結果から流通ガスの発熱量を算出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項6】
前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された第1配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に前記第1配管と共に接続され、前記変換手段が配置されていない第2配管と、
前記第1配管の下流側の端部と、前記第2配管の下流側の端部と、前記ガス計測セルの前記流通ガスの流れ方向の上流側の端部とを接続する三方弁と、を有し、
前記制御手段は、前記三方弁により前記第1配管の下流側の端部と前記ガス計測セルの前記流通ガスの流れ方向の上流側の端部とを連結させ、前記計測手段に前記第1流通ガスを流入させて、前記第1計測値を計測し、
前記三方弁により、前記第2配管の下流側の端部と前記ガス計測セルの前記流通ガスの流れ方向の上流側の端部とを連結させ、前記計測手段に前記第2流通ガスを流入させて、前記第2計測値を計測することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項7】
前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された第1配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に前記第1配管と共に接続され、前記変換手段が配置されていない第2配管と、を備え、
前記計測手段は、前記計測ユニットを2つ備え、一方の前記計測ユニットは、前記第1配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、
他方の前記計測ユニットは、前記第1配管に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項8】
前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された保持配管と、を備え、
前記計測手段は、前記計測ユニットを2つ備え、一方の前記計測ユニットは、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、
他方の前記計測ユニットは、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも上流側に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項9】
前記変換手段は、水素を酸化反応させてHOにする酸化触媒であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項10】
前記流通ガスの流れ方向において、前記変換手段よりも上流側に配置され、前記配管ユニットに、前記水素を酸化する酸化剤を供給する酸化剤供給手段をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項11】
前記流通ガスの流れ方向において、前記変換手段よりも上流側に配置され、前記配管ユニットに、前記水素を酸化する酸化剤を供給する酸化剤供給手段を備え、
前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された保持配管と、を備え、
前記計測手段は、前記計測ユニットが、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、
前記変換手段は、水素を酸化反応させてHOにする酸化触媒であり、
前記制御手段は、前記酸化剤供給手段から前記配管ユニットに前記酸化剤を供給している状態と、前記酸化剤供給手段から前記配管ユニットに前記酸化剤を供給していない状態とを切り替え、前記計測ユニットに、前記第1流通ガスが流入している状態と、前記第2流通ガスが流入している状態とを切り替えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項12】
前記変換手段は、前記流通ガスに含まれる二酸化炭素と水素を一酸化炭素とHOにシフトさせる水性逆シフト触媒を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項13】
前記流通ガスの流れ方向において、前記変換手段よりも上流側に配置され、前記配管ユニットに、前記二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項14】
前記流通ガスの流れ方向において、前記変換手段よりも上流側に配置され、前記配管ユニットに、二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段を、さらに備え、
前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された保持配管と、を備え、
前記計測手段は、前記計測ユニットが、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、
前記変換手段は、前記流通ガスに含まれる二酸化炭素と水素を一酸化炭素とHOにシフトさせる水性逆シフト触媒であり、
前記制御手段は、前記二酸化炭素供給手段から前記配管ユニットに前記二酸化炭素を供給している状態と、前記二酸化炭素供給手段から前記配管ユニットに前記二酸化炭素を供給していない状態とを切り替え、前記計測ユニットに、前記第1流通ガスが流入している状態と、前記第2流通ガスが流入している状態とを切り替えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項15】
前記変換手段は前記配管ユニットに、オゾンを供給するオゾン供給手段と、
前記流通ガスの流れ方向において前記配管ユニットの前記オゾン供給手段よりも下流側に形成され、前記流通ガスに含まれる水素と前記オゾン供給手段により供給されるオゾンとが反応する反応領域と有することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項16】
前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記流通ガスが流れる配管と、を備え、
前記変換手段は、前記配管ユニットに、オゾンを供給するオゾン供給手段と、
前記流通ガスの流れ方向において前記配管の前記オゾン供給手段よりも下流側に形成され、前記流通ガスに含まれる水素と前記オゾン供給手段により供給されるオゾンとが反応する反応領域と、を備え、
前記計測手段は、前記計測ユニットが、前記流通ガスの流れ方向において前記反応領域よりも下流側に配置され、
前記制御手段は、前記オゾン供給手段から前記配管ユニットに前記オゾンを供給している状態と、前記オゾン供給手段から前記配管ユニットに前記オゾンを供給していない状態とを切り替え、前記計測ユニットに、前記第1流通ガスが流入している状態と、前記第2流通ガスが流入している状態とを切り替えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項17】
前記変換手段は、前記反応領域に紫外線を照射する紫外線照射手段を、さらに備え、
前記制御手段は、前記紫外線照射手段から前記反応領域に前記紫外線を照射している状態と、前記紫外線照射手段から前記反応領域に前記紫外線を照射していない状態とを切り替え、前記計測ユニットに、前記第1流通ガスが流入している状態と、前記第2流通ガスが流入している状態とを切り替えることを特徴とする請求項15または16に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項18】
前記変換手段は、前記反応領域に前記オゾンと前記水素の反応を促進さる反応促進部材をさらに有することを特徴とする請求項15から17のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項19】
前記計測ユニットは、レーザ光が、前記変換手段を保持する配管の内部を通過することを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項20】
前記配管ユニットは、測定対象の装置から排出される前記流通ガスの全量が流れることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項21】
前記配管ユニットは、測定対象の装置から排出される前記流通ガスの全量が流れる測定対象配管から、一部の前記流通ガスを捕集していることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項22】
前記流通ガスの流れ方向において、前記変換手段よりも上流側に配置された、前記流通ガスに含まれるHOを回収する除湿装置及び前記流通ガスに含まれる粉塵を回収する除塵装置の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1から21のいずれか1項に記載のガス発熱量計測装置。
【請求項23】
配管を流れる流通ガスの水素濃度を計測するガス発熱量計測方法であって、
前記配管を流れる流通ガスのうち、水素をHOに変換する変換手段が配置されている領域を通過した第1流通ガスに対して、HOの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、CHの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光をそれぞれ出力させ、第1流通ガスが流れる管路内を通過した前記レーザ光を受光し、出力したレーザ光の強度と、受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記第1流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度を第1計測値として計測する第1計測ステップと、
前記配管を流れる流通ガスのうち、水素をHOに変換する変換手段が配置されている領域を通過していない第2流通ガスに対して、HOの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、CHの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光、COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力させ、第2流通ガスが流れる管路内を通過した前記レーザ光を受光し、出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記流通ガスに含まれるHOの濃度、CHの濃度、COの濃度、COの濃度を第2計測値として計測する第2計測ステップと、
前記第1計測値と前記第2計測値との差分から、水素の濃度を算出し、算出した水素の濃度及び燃焼成分の濃度に基づいて、前記流通ガスの発熱量を算出する算出ステップとを有することを特徴とするガス発熱量計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−257320(P2011−257320A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133415(P2010−133415)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】