説明

ガス発生剤及びその製造方法並びにエアバッグ用ガス発生器

非アジド系組成物で形成された筒状のガス発生剤成型体であって、その両端が潰された状態に成型されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、エアバッグを膨張させるために燃焼してガス成分を発生するガス発生剤及びその製造方法並びにそのガス発生剤を用いたエアバッグ用ガス発生器に関する。
【背景技術】
自動車の安全装置に用いられるガス生成用組成物は、一般に、燃料成分と酸化剤を含有する。例えば、酸化剤に相安定化硝酸アンモニウム、燃料成分にトリアミノグアニジンナイトレート(以下TAGNと省略する)、及びTAGN/硝酸グアニジンの組合せたものがある(例えば、特許文献1:米国特許第5783773号明細書参照)。さらに、燃料成分に硝酸グアニジン/ニトログアニジンを、酸化剤としては過塩素酸塩を主剤とした組成物がある(例えば、特許文献2:米国特許第5780768号明細書参照)。これらはいずれも本来、反応性の低い酸化剤、及び燃料に対し、例えば、TAGN、過塩素酸塩のように反応性の高い成分を組合せることで好適な燃焼速度を得ようとするものであるが、その反面で組成物の発熱量も上昇するため、ガス発生器にとっては好適なガス発生剤とは言えない。また、燃料として分子中に酸素原子を原子量比で25%以上含有する化合物と金属酸化物及び金属複酸化物(金属成分が複数種となる酸化物)の組合せたものがある(例えば、特許文献3:特開2000−86375号公報参照)。本組成物では燃焼温度は低く設計されているが、酸化剤に金属酸化物を用いているために重量当たりのガス発生モル数が満足いくものではなく、エアバッグを膨らますために必要な発生ガスのモル数を確保しようとすると、使用するガス発生剤量が増加することから、結果的にガス発生剤の燃焼により発生する熱量は増加する。即ち、これら組成物を使用したガス発生器では多量の冷却材が必要となることから、ガス発生器の小型・軽量化を達成するのは困難である。
以上の問題を解決するものとして、発熱量を抑えた場合であっても、高い燃焼性能を示すガス発生剤成型体が示されている(例えば、特許文献4:特開平10−87390号公報参照)。このものは、ガス発生剤成型体の形状を単孔円筒状に成型し、ガス発生剤の外表面及び内孔の内表面から同時に燃焼させ、効率良くガス発生剤を燃焼させることによって、発熱量を抑えつつ高い燃焼性能を示すガス発生剤成型体としている。これによって、ガス発生器の小型・軽量化を実現できるものとしている。また、表面に凹部を設けたガス発生剤成型体が特許文献5(特開2000−239092号公報)、特許文献6(特開2000−319086号公報)に記載されている。
一般に、エアバッグ用ガス発生器に用いられるガス発生剤としては、衝突等が起こった際に瞬時にエアバッグを膨張、展開させることが望まれている。この点、特許文献4(特開平10−87390号公報)に記載のガス発生剤成型体を用いたガス発生器は、高い燃焼性能を示すために、エアバッグを瞬時に膨張、展開させることができるものである。ところが、エアバッグは、展開初期に急激に膨張した場合、その衝撃が乗員に悪影響を与えるおそれもあり、その場合、乗員の安全を確保するエアバッグとして十分な機能を発揮しないとも考えられる。そのため、エアバッグ用ガス発生器に用いられるガス発生剤としては、エアバッグを、その展開初期は、緩やかに膨張させ、その後、急激に膨張させるものが理想とされている。即ち、ガス発生器内の圧力変化が、時間の経過とともに、S字状に変化するものが安全性を高めるものとして要望されている。
【発明の開示】
本発明は、非アジド系組成物で形成され、発熱量を抑え、高い燃焼性能を示すとともに、燃焼初期は緩やかに燃焼し、その後、急激に燃焼するガス発生剤及びその製造方法並びにそれを用いたエアバッグ用ガス発生器を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決するためにガス発生剤及びその製造方法並びにそれを用いたエアバッグ用ガス発生器について、鋭意研究の結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、非アジド系組成物で形成された筒状のガス発生剤成型体であって、その両端が潰された状態に成型されていることを特徴とするガス発生剤である。及び、前記ガス発生剤を用いたエアバッグ用ガス発生器である。
本発明のガス発生剤は、両端が潰された状態で成型されているため、着火当初の燃焼初期は、両端部が燃焼して、緩やかに燃焼し、その後、筒部の外表面及び内部の空間の内表面から同時に燃焼して急激に燃焼するガス発生剤とすることができ、エアバッグ用ガス発生器に用いられるガス発生剤として好適なものとなる。
本発明のガス発生剤の製造方法は、湿った状態にある筒状のガス発生剤成型体を互いの凸歯が向かい合うように回転する1対の成型用歯車の間に通し、前記凸歯によって前記成型体を所定の間隔で潰して、前記潰した窪み部分で折るように切断、乾燥することによって、両端が潰された筒状に成型されたガス発生剤を得る方法である。
また、本発明のガス発生剤の製造方法は、湿った状態にある筒状のガス発生剤成型体を互いの凸歯が向かい合うように回転する1対の成型用歯車の間に通し、前記凸歯によって前記成型体を所定の間隔で潰し、乾燥し、切断することによって、ガス発生剤を得る方法である。更に、該製造方法において、両端が、潰されていることが好ましい。また、潰した窪み部分で折るように切断し、分級することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係るガス発生剤を製造する製造装置の要部概略図である。
図2(a)は、図1における装置の成型用歯車の拡大正面図である。
図2(b)は、図1における装置の成型用歯車の拡大側面図である。
図3は、図2(a)におけるA部拡大図である。
図4は、本発明に係るガス発生剤の成型状況を説明するための図である。
図5は、本発明に係るガス発生剤の一形態例を示す図である。
図6は、本発明に係るガス発生剤のタンク燃焼試験の結果を示す図である。
図7は、本発明に係るガス発生剤のタンク燃焼試験の試験条件及び結果を示す図表である。
【発明を実施するための最良の形態】
本実施形態は、非アジド系組成物で形成された筒状のガス発生剤成型体であって、その両端が潰された状態に成型されていることを特徴とするガス発生剤に関する。
本実施形態において、非アジド系組成物は、通常、含窒素有機化合物、酸化剤、スラグ形成剤及びバインダーとで構成されるものである。
本実施形態において、成型体とは、型を用いて一定の形に加工したものを意味する。外径と内径との間に出来る型に押出成型材料を入れ、押出し、引き続いて向かい合う歯車の山と山とによって出来る型に押出成型材料を入れ、成型体に窪みを入れる。
本実施形態において、前記成型体の外径Dは、好ましくは1.4mm以上4mm以下、長さLは、好ましくは1.5mm以上8mm以下、前記空間の内径dは、好ましくは0.3mm以上1.2mm以下である。また、成型体の外径Dは、より好ましくは1.5mm以上3.5mm以下、また、長さLは、より好ましくは2mm以上6mm以下、空間の内径dは、より好ましくは0.5mm以上1.2mm以下である。両端が潰された状態で成型されたものであっても、従来の両端が潰されていない中空のガス発生剤(特許文献4:特開平10−87390号公報参照)と同等の燃焼速度を有したガス発生剤ができる。
ガス発生剤の成型体の両端が潰された状態とは、両端に開いた孔が外から内への力2つによって潰された状態のことをいう。孔は、完全に塞がった状態でも、塞ぎきれていない状態でもいずれでも良い。
本実施形態において、ガス発生剤は、後記する実施例に記載のタンク燃焼試験において、タンク最大圧P(kPa)が50kPa以上700kPa以下となるものが好ましい。また、50kPa以上500kPa以下となるものがより好ましい。
本実施形態において、ガス発生剤は、後記する実施例に記載のタンク燃焼試験において、タンク圧の立ち上がり開始からタンク最大圧P(kPa)到達までの時間T(ms)が20ms以上100ms以下で、圧力−時間曲線がS字状曲線となるものが好ましい。
本実施形態で用いる含窒素有機化合物としては、一般的にエアバッグ用ガス発生器に用いられるガス発生剤に燃料として使用可能な含窒素有機化合物、例えば、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、トリアゾール誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体などからなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。テトラゾール誘導体としては、例えばテトラゾール、5−アミノテトラゾール、5,5′−ビ−1H−テトラゾールなどが挙げられ、グアニジン誘導体としては、例えばグアニジン、ニトログアニジン、シアノグアニジン、硝酸グアニジン、炭酸グアニジンなどが挙げられる。ガス発生剤組成物における含窒素有機化合物の含有量は、酸化剤、添加剤の種類、酸素バランス等により異なるが、好ましくは32.5重量%以上60重量%以下である。また、ガス発生剤組成物の燃焼により発生するガス1モル当たりの発熱量を125kJ以下、好ましくは115kJ以下に、発生するガスのモル数を100g当たり2.70モル以上に調整するために、含窒素有機化合物として、硝酸グアニジン、ニトログアニジン又は5−アミノテトラゾールらよりなる群から選ばれる1種を用いるのが好ましい。特に硝酸グアニジンは比較的低コストであり、200℃より高い融点を有し、極めて熱的に安定性であること、更には耐環境性の観点などからガス発生剤に好適なものである。更に、これらの化合物は、分子中に、酸素原子を含有し、完全燃焼に必要な酸化剤が少なくてすむことから高い発生モル数が期待できる。また、高い負の標準生成エンタルピーΔHfを有し、その結果、ガス発生剤組成物の燃焼中に放出されるエネルギー量は小さく、ガス混合物の燃焼温度を低く抑えることができる。
含窒素有機化合物の50%平均粒子径は、大きすぎるとガス発生剤成型体とした場合の強度が低下し、また、小さすぎると粉砕に多大なコストを必要とするため、5μm以上80μm以下が好ましく、さらに好ましくは、10μm以上50μm以下である。なお、本明細書において50%平均粒子径とは個数基準50%平均粒子径を示すものである。
本実施形態で用いる酸化剤としては、一般的にエアバッグ用ガス発生器に用いられるガス発生剤に使用可能な酸化剤を用いることができ、本実施形態のガス発生剤組成物における酸化剤の含有量は、含窒素有機化合物、添加剤の種類、酸素バランス等により異なるが、好ましくは35重量%以上65重量%以下である。また、ガス発生剤組成物の燃焼により発生するガス1モル当たりの発熱量を125kJ以下、好ましくは115kJ以下に、発生するガスのモル数を100g当たり2.70モル以上に調整するために、酸化剤として、相安定化硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、塩基性硝酸金属、アルカリ金属の硝酸塩、過塩素酸塩又は塩素酸塩、及びアルカリ土類金属の硝酸塩、過塩素酸塩又は塩素酸塩からなる群より選ばれる1種以上を用いるのが好ましいが、性能調整の容易さなどの点から、前記の群より選ばれる2種以上を混合した混合酸化剤を用いるのが特に好ましい。ここで、相安定化硝酸アンモニウムについて説明する。硝酸アンモニウムは、熱安定性が悪く、温度によって相転移による体積変化を起こし、特に32℃付近で起こる相転移は体積変化が大きく、この温度を上下することを繰り返すと、ガス発生剤の強度が低下し、燃焼挙動が変化する恐れがある。これを防ぐ方法として、酸素原子を含有するカリウム塩(例えば、硝酸カリウム等)を10%程度添加混合することによって、相転移を防ぐことができる。このようなものを相安定化硝酸アンモニウムと呼んでいる。また、塩基性硝酸金属としては、塩基性硝酸銅などが、アルカリ金属の硝酸塩としては、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ストロンチウムなどが、アルカリ金属の過塩素酸塩としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ストロンチウムなどが、アルカリ金属の塩素酸塩としては、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、塩素酸ストロンチウムなどが、アルカリ土類金属の硝酸塩としては、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸バリウムなどが、アルカリ土類金属の過塩素酸塩としては、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸バリウムなどが、アルカリ土類金属の塩素酸塩としては、塩素酸マグネシウム、塩素酸カルシウム、塩素酸バリウムなどが、それぞれ例示できる。
酸化剤として混合酸化剤を用いる場合、発生ガス中の固体成分を排他し、燃焼性を改善するために、混合酸化剤は、硝酸ストロンチウム、塩基性硝酸銅及び相安定化硝酸アンモニウムからなる群より選ばれる1種以上を含有するのが好ましい。更に、硝酸ストロンチウム、塩基性硝酸銅及び相安定化硝酸アンモニウムからなる群より選ばれる2種または3種で混合酸化剤を調製するのが好ましい。混合酸化剤の一部に硝酸ストロンチウムを使用すると、ガス発生剤としてより適切な燃焼速度を得ることができる。また、硝酸ストロンチウムの燃焼残渣は含珪素化合物(例えば炭化珪素、二酸化珪素、珪酸塩、シラン化合物など)、金属酸化物(例えば酸化鉄など)とのスラグ形成反応により、容易にろ過しうる生成物となり、発生ガス中の固体成分を排他することができる。
また、塩基性硝酸銅と、アルカリ土類金属の硝酸塩及び相安定化硝酸アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種との混合酸化剤も好適である。
混合酸化剤の一部として塩基性硝酸銅を使用すると、ガス発生剤組成物の着火能を改善することができる。一般に、ガス発生剤は点火具と伝火薬によって、着火される。着火能の悪いガス発生剤では発熱量の大きな伝火薬を多量に使用することを余儀なくされ、ガス発生器当たりの総発熱量が増大することとなり、ガス発生器の小型・軽量化は達成できない。更に、塩基性硝酸銅の燃焼時に発生する燃焼残渣は溶融状態のCuO(融点1232℃)/Cu(融点1083℃)ミストであるが、高融点化合物であることから、ガス発生器中の冷却部材により容易に除去できる。また、後述する硝酸ストロンチウムのスラグ形成反応と共存させることにより、更に除去し易くなる。この点においても、酸化剤混合系を使用することは効果的である。
また、混合酸化剤の一部に相安定化硝酸アンモニウムを使用することが極めて有用である。相安定化硝酸アンモニウムを用いることにより、発生ガスのモル数が増加し、更に燃焼速度を増大させる効果があるためである。
また、相安定化硝酸アンモニウムを用いた系では、例えば、特許文献1(米国特許第5783773号明細書)に開示されているTAGNのような反応性の高い成分と組合せると、製造上の危険性が伴う。そのため、相安定化硝酸アンモニウムを用いる場合においては、TAGN以外の含窒素有機化合物を用いるのが好ましいが、丁AGNと相安定化硝酸アンモニウムとの組合せにおいても、その他の酸化剤や含窒素有機化合物、用いる添加剤によっては、安全なガス発生剤組成物となすことが可能である。
本実施形態で用いることができる相安定化硝酸アンモニウムの相安定化の方法は特に限定されるものではなく、1つの公知技術としては硝酸アンモニウムにカリウム塩を加える方法が挙げられる。本実施形態では、硝酸カリウムに少量の過塩素酸カリウム、硝酸カリウム、塩素酸カリウム、亜硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、蓚酸カリウムを加え、これらを硝酸アンモニウムに加えて得られた相安定化した硝酸アンモニウムが好ましく、熱安定性、酸化能力等から考えると、過塩素酸カリウム或いは硝酸カリウムで相安定化した硝酸アンモニウムが特に好ましい。これらのカリウム塩の硝酸アンモニウムへの添加量は1重量%以上30重量%以下で、更に好ましくは1重量%以上15重量%以下である。相安定化剤として、ジアンミン金属錯体などの金属錯体の使用も可能である。ジアンミン金属錯体を用いる場合、金属成分としては銅、ニッケル、及び亜鉛が好ましい。
また、混合酸化剤として用いる相安定化硝酸アンモニウムのガス発生剤組成物における含有量は、含窒素有機化合物、添加剤の種類、酸素バランス等により異なるが、好ましくは35重量%以上65重量%以下である。カリウム塩を用いて相安定化された硝酸アンモニウムを用いる場合には、ガス発生剤の燃焼により低融点、低沸点の酸化カリウム、炭酸カリウム、或いは塩化カリウムを生成する。これらの化合物はガス発生器内のフィルターでろ過することが極めて困難であり、ガス発生器より外へ流出し、バッグの損傷等のおそれがあることから、ガス発生剤組成物における相安定化硝酸アンモニウムの含有量は上記範囲内に設計することが好ましい。
また、酸化剤の平均粒子径は、大きすぎるとガス発生剤成型体とした場合の強度が低下し、また、小さすぎると粉砕に多大なコストを必要とするため、50%平均粒子径が5μm以上80μm以下のものが好ましく、50%平均粒子径が10μm以上50μm以下であるものがさらに好ましい。
本実施形態で用いるスラグ形成剤としては、一般的にエアバッグ用ガス発生器に用いられるガス発生剤に添加剤として使用可能なスラグ形成剤を用いることができる。例えば、クレー鉱物(例えば、酸性白土、カオリン、タルク)、窒化珪素、炭化珪素、二酸化珪素、珪酸塩、シリカ、シラン化合物などを具体例としてあげることができるが、本実施形態では、クレー鉱物又はシラン化合物を採用するのが好ましい。
本発明において、スラグ形成剤として使用しうるクレー鉱物は、おもにケイ酸アルミニウムからなっている。ケイ酸アルミニウムは、無機珪素化合物であり、xAl・ySiO・zHOで構成されている化合物である。酸性白土などとして知られているクレー鉱物が好適である。本発明のガス発生剤組成物中での酸性白土の含有量は、通常0.1重量%以上15重量%以下、好ましくは0.5重量%以上10重量%以下、より好ましくは0.5重量%以上8重量%以下である。この範囲よりも多い場合には、ガス発生剤の発熱量が増加し、本発明の目的が達成できないおそれがある。この範囲より少ない場合は、硝酸ストロンチウムの燃焼反応から生成する燃焼残渣が細かくなり、ガス発生器のフィルターに捕集できず、ガス発生器より外へ流出し、バックの損傷等の恐れが生じ、本発明の目的が達成できないおそれがある。本発明のガス発生剤組成物に酸性白土を含有することにより、硝酸ストロンチウムの燃焼反応から生成する燃焼残渣は、ガス発生器内のフィルターにより容易にろ過される化合物へと変化する。また、酸性白土を含有させることにより、成型体としての強度を保証し、更には、燃焼速度を増加させる効果がある。
本実施形態においてスラグ形成剤として使用しうるシラン化合物は、有機珪素化合物であり、ビニルシラン、エポキシシラン、アクリルシラン、アミノシランなどのシランカップリング剤として知られているシラン化合物が好適である。本実施形態のガス発生剤組成物中のシラン化合物の含有量は、通常0.1重量%以上15重量%以下、好ましくは0.5重量%以上10重量%以下、より好ましくは0.5重量%以上8重量%以下である。この範囲よりも多い場合には、燃焼温度が上昇し、発生ガス中に人体に害のある窒素酸化物を発生するおそれがある。更には、ガス発生剤の発熱量が増加し、本実施形態の目的が達成できないおそれがある。本実施形態のガス発生剤組成物にシランカップリング剤を含有することにより、硝酸ストロンチウムの燃焼反応から生成する燃焼残渣は、ガス発生器内のフィルターにより容易にろ過される化合物へと変化する。また、シランカップリング剤を含有させることにより、成型体としての強度を保証し、更には、燃焼速度を増加させる効果がある。
本実施形態において使用しうるバインダーとしては、一般的にエアバッグ用ガス発生器に用いられるガス発生剤に添加剤として使用可能なバインダーを用いることができる。具体的なバインダーとしては、例えば合成ヒドロタルサイト、酸性白土、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、二硫化モリブデン、結晶性セルロース、グラファイト、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。また、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、グアガム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド又はこれらの混合物等をあげることができる。後記するように本発明のように押出成型の場合、これらバインダーと滑剤(例えば、グラファイト、シランカップリング剤)、界面活性剤、二硫化モリブデン等を0.5重量%以上5重量%以下添加することにより、成型性が向上する。本実施形態のガス発生剤組成物中におけるバインダーの含有量は、好ましくは0.1重量%以上15重量%以下であり、より好ましくは0.5重量%以上10重量%以下であり、特に好ましくは1重量%以上5重量%以下である。含有量がこれより多い場合には、燃焼速度を低下させ、さらには発生ガスのモル数が低下することから、充分な乗員保護性能を果たさないおそれがある。また、これより少ない場合には耐環境性能に劣るおそれがある。
また、本実施形態ではさらに、添加剤として燃焼調整剤を用いることができる。使用可能な燃焼調整剤としてはガス発生剤の燃焼を調整できるものであればよいが、具体的には、例えば酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化クロム、酸化コバルト、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン等の金属酸化物、水酸化銅、水酸化コバルト、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、及び活性炭粉末、グラファイト、カーボンブラック等の炭素類等を例示することができる。ガス発生剤組成物中の燃焼調整剤の含有量は0重量%以上10重量%以下、更に好ましくは0重量%以上5重量%以下である。
次に、本実施形態の好ましい組合せの具体例について説明する。前記含窒素有機化合物が硝酸グアニジン、ニトログアニジン、5−アミノテトラゾールのいずれか1種、前記酸化剤が硝酸ストロンチウム、塩基性硝酸銅、相安定化硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、過塩素酸アンモニウムのいずれか1種又はこれらのうちの2種以上のものを組合せたもの、前記スラグ形成剤がシリカ、酸性白土、窒化珪素のいずれか1種と、前記バインダーがヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドのいずれか1種又はこれらのうちの2種以上のものを組合せたものからなるガス発生剤が好ましい。前記含窒素有機化合物が硝酸グアニジンを32.5重量%以上60重量%以下、前記酸化剤が硝酸ストロンチウム又は塩基性硝酸銅を35重量%以上65重量%以下、前記スラグ形成剤が酸性白土を0.5重量%以上15重量%以下及び前記バインダーがポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンのいずれか1種を0.5重量%以上15重量%以下であることが好ましい。また、本実施形態で使用されうる非アジド系組成物において、含窒素有機化合物を32.5重量%以上60重量%以下、酸化剤を35重量%以上65重量%以下、スラグ形成剤を0.5重量%以上15重量%以下、及びバインダーを0.5重量%以上15重量%以下含むものが好ましい。また、非アジド系組成物において、含窒素有機化合物に硝酸グアニジン、酸化剤に硝酸ストロンチウム、塩基性硝酸銅、相安定化硝酸アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも2種以上を用いたものが好ましく、具体的には、
▲1▼硝酸グアニジン:32.5重量%以上60重量%以下、
硝酸ストロンチウム:12重量%以上50重量%以下、
塩基性硝酸銅:1重量%以上30重量%以下(好適には12重量%以上30重量%以下)、
添加剤:残余分(好適には0.5重量%以上15重量%以下)の組合せ、
又は、
▲2▼硝酸グアニジン:32.5重量%以上60重量%以下、
硝酸ストロンチウム:12重量%以上50重量%以下、
塩基性硝酸銅:1重量%以上30重量%以下、
相安定化硝酸アンモニウム:1重量%以上30重量%以下、
添加剤:残余分(好適には0.5重量%以上15重量%以下)
などの組合せが挙げられる。
添加剤としては、シランカップリング剤と合成ヒドロタルサイトの組合せ、押出成形用バインダーと滑剤との組合せ、酸性白土などが好ましく、これらを用いた具体例として、
▲1▼硝酸グアニジン:32.5重量%以上60重量%以下、
硝酸ストロンチウム:12重量%以上50重量%以下、
塩基性硝酸銅:1重量%以上30重量%以下、
酸性白土:0.5重量%以上15重量%以下、
ポリアクリルアミド:0.5重量%以上15重量%以下の組合せ、
▲2▼硝酸グアニジン:32.5重量%以上60重量%以下、
硝酸ストロンチウム:12重量%以上50重量%以下、
塩基性硝酸銅:1重量%以上30重量%以下、
酸性白土:0.5重量%以上15重量%以下、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:0.5重量%以上15重量%以下の組合せ、
▲3▼硝酸グアニジン:32.5重量%以上60重量%以下、
硝酸ストロンチウム:12重量%以上50重量%以下、
塩基性硝酸銅:1重量%以上30重量%以下(好適には1重量%以上20重量%以下)、
相安定化硝酸アンモニウム:1重量%以上30重量%以下、
酸性白土:0.5重量%以上15重量%以下、
ポリビニルピロリドン:0.5重量%以上15重量%以下の組合せ、
▲4▼硝酸グアニジン:32.5重量%以上60重量%以下、
硝酸ストロンチウム:12重量%以上50重量%以下、
塩基性硝酸銅:1重量%以上30重量%以下、
押出成型用バインダー:0.5重量%以上15重量%以下、
滑剤:0重量%以上5重量%以下の組合せ、
又は
▲5▼硝酸グアニジン:32.5重量%以上60重量%以下、
硝酸ストロンチウム:12重量%以上50重量%以下、
塩基性硝酸銅:1重量%以上30重量%以下、
バインダー:0.5重量%以上15重量%以下、
酸性白土:1重量%以上5重量%以下、
グラファイト:0.2重量%以上5重量%以下の組合せ、
などが挙げられる。
本実施形態のガス発生剤の着火から立ち上りまでの時間は、通常、1.0ms以上5.0ms以下の範囲にあり、1.7ms以上5.0ms以下の範囲にあるものが好ましい。
次に本実施形態のガス発生剤の製造方法の一例を説明する。前記した含窒素有機化合物、酸化剤、スラグ形成剤及びバインダー等で構成される非アジド系組成物は、まず、V型混合機、ロッキングミキサーまたはボールミル等によって混合される。ここに、シランカップリング剤を適量添加し、さらに水、又は溶媒(例えば、エタノール)を添加しながら混合し、湿った状態の薬塊を得る。ここで、湿った状態とは、ある程度の可塑性を有する状態であり、水又は溶媒を好ましくは10%以上25%以下、より好ましくは13%以上18%以下含有している状態にあるものをいう。また、予めシランカップリング剤を水、または溶媒と混合してから添加してもよい。この時、含窒素有機化合物、酸化剤とシランカップリング剤が化学結合を起こし、両者を結合する力が増加する。この後、この湿った状態の薬塊をそのまま押出成型機(例えば、ダイス及び内孔用ピンを出口に備えたもの)により、外径Dが、好ましくは1.4mm以上4mm以下で、より好ましくは1.5mm以上3.5mm以下であり、空間の内径dが、好ましくは0.3mm以上1.2mm以下であり、より好ましくは0.5mm以上1.2mm以下の中空筒状成型体に押出成型する。
次いで、図1に示すように、押出成型機8から押出された中空筒状成型体を風乾することなく、図1に示すロータリーカッタ1の引取りベルト2で引取りながら、成型体Sを下側に押し進めるように互いに逆方向に回転し、表面に形成されている凸歯同士が突き合わさることで、成型体Sに等間隔で潰された部分を形成する1対の成型用歯車3,4間に送り、成型体Sを等間隔で潰すようにする。
成型用歯車3,(4)は、図2(a)に示すように、等間隔で凸歯5,(5′)が表面に形成されている。この凸歯5は、図2(a)におけるA部の拡大図である図3に示すように、成型体Sを潰した部分が小さくなるように薄く鋭角に形成されている。
また、図4に示すように、成型用歯車3,4は、互いの成型用歯車3,4の表面の凸歯5,5′が突き合わされた状態で、それぞれの成型用歯車3,4間にわずかに隙間ができるように配置されている。これによって、この成型用歯車3,4の隙間を成型体Sが通り抜けたときに、成型体Sが、これら成型用歯車3,4によって切断されることなく、内部に空間6を保持しつつ潰された窪み部分12を形成することができる。また、図4に示すように、切断されることなく、潰された窪み部分12が形成できるのは、成型体Sを押出し成型した後に風乾することなく、軟らかい状態の成型体Sを成型用歯車3,4間に通すことが、それをなし得る条件の一つとなっている。
それぞれ潰された窪み部分12で折るようにして切断した後、通常、50℃以上60℃以下の範囲で4時間以上10時間以下で乾燥し、次いで、通常、105℃以上120℃以下の範囲で6時間以上10時間以下で乾燥という2段階による乾燥を行なうことにより、図5に示すように端部7が潰された状態で、内部に空間6を有した筒状のガス発生剤10を得ることができる。
また、ガス発生剤10は、別途の方法により得ることもできる。即ち、得られた成型体Sを好ましくは、50℃以上60℃以下の範囲で4時間以上10時間以下の範囲で乾燥し、次いで、好ましくは、105℃以上120℃以下の範囲で6時間以上10時間以下の範囲で乾燥という2段階による乾燥を行なう。乾燥後、成型体Sを折るためのボールを成型体SとともにV型混合機、ボールミル、ロッキングミキサーに投入し、3分以上60分以下の範囲で運転し、成型体Sを折る。ここでいう成型体Sを折るためのボールとは、比重1.0以上8.0以下を有し、テフロン又は樹脂で被覆された鉄等の金属のことをいう。そして、それぞれ潰された窪み部分12で折るようにして切断した後、分級を行なうことにより、図5に示すように端部7が潰された状態で、内部に空間6を有した筒状のガス発生剤10を得ることができる。
ガス発生剤10は、長さが好ましくは1.5mm以上8mm以下である。また、折るようにして切断することで、端部7の破断面が粗くなり(粗面)、表面積が大きくなり、火付きが良くなり、着火性が向上する。また、直接、上記の105℃以上120℃以下の乾燥に入ると形状に影響が出て、反ったり、曲がったりするおそれがあるので、徐々に形状を安定させるために最初は低温域で乾燥し、次いで高温域で乾燥することが好ましい。また、両端が潰された状態に成型されたガス発生剤10において、その肉厚より、潰され部が薄い場合には、潰され部が先に燃え尽きることによって両端が開いた状態になって燃焼する。
以上のようにして、両端が潰された状態に成型されたガス発生剤10とすることによって、着火直後は、端部7の潰された部分が燃焼して、緩やかに燃焼した後、筒部の外表面及び内部の空間6の内表面から急速に燃焼する。このため、圧力−時間曲線は、S字状となり、エアバッグ用ガス発生器に用いられるガス発生剤として好適なものとなる。
また、両端が潰されているため、従来の単孔筒状のものに比べて、圧縮強度が高く、ガス発生器中のガス発生剤として車載した場合に、振動に対して強く、経時の形状変化を抑制できる。
また、従来の単孔筒状のものに比べて、前記したように圧縮強度が高いことや、両端部が潰されて丸みを呈しているため、高い充填密度でガス発生器内に充填することができるため、ガス発生器の小型化、軽量化が可能となる。
本実施形態のガス発生剤を用いたエアバック等の車両搭乗者拘束装置用のガス発生器は、好適なガス発生性能を示す。
以下に実施例により、本実施形態を具体的に説明する。なお、本実施形態は、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例1】
硝酸グアニジン43.5重量%、硝酸ストロンチウム25重量%、塩基性硝酸銅25重量%、酸性白土2.5重量%、ポリアクリルアミド4重量%の組成で混合した組成物に、エタノール3重量%と、水13重量%を加えて混合、混練し、混練塊にして、出口に内径2mmのダイスと外径0.5mmの内孔用ピンを備えた押出機にて、押出圧8MPaで押出して、押出棒状の成型体を引取りベルトで引取りながら、成型用歯車間に送り出し、成型用歯車の凸歯によって4.4mmの間隔で窪み部分を形成し、その窪み部分で折るようにして切断した後、55℃で8時間乾燥し、次いで110℃で8時間乾燥し、ガス発生剤を得た。
【実施例2】
実施例1と同様にして混合・混練を行った後、出口に内径2mmのダイスと外径0.8mmの内孔用ピンを備えた押出機にて、押出圧8MPaで押出して、押出棒状の成型体を引取りベルトで引取りながら、成型用歯車間に送り出し、成型用歯車の凸歯によって4.4mmの間隔で窪み部分を形成し、その窪み部分で折るようにして切断した後、55℃で8時間乾燥し、次いで110℃で8時間乾燥し、ガス発生剤を得た。
【実施例3】
硝酸グアニジン40.6重量%、硝酸ストロンチウム25重量%、塩基性硝酸銅25重量%、酸性白土4.8重量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2.3重量%、ポリビニルピロリドン1.6重量%、グラファイト0.5重量%、二酸化ケイ素0.2重量%の組成で混合した組成物に、エタノール3重量%と、水13重量%を加えて混合、混練し、混練塊にして、出口に内径3mmのダイスと外径1.0mmの内孔用ピンを備えた押出機にて、押出圧10MPaで押出して、押出棒状の成型体を引取りベルトで引取りながら、成型用歯車間に送り出し、成型用歯車の凸歯によって4.4mmの間隔で窪み部分を形成するようにし、55℃で8時間乾燥し、次いで110℃で8時間乾燥し、前記潰した窪み部分で折るようにして切断した後、分級し、ガス発生剤を得た。
(比較例1)
実施例1と同様にして押出棒状の成型体を成型後、引取りベルトで引取り、風乾した後、潰れることがなくなった後、切断し、55℃で8時間乾燥し、次いで110℃で8時間乾燥し、ガス発生剤を得た。
(比較例2)
実施例2と同様にして押出棒状の成型体を成型後、引取りベルトで引取り、風乾した後、潰れることがなくなった後、切断し、55℃で8時間乾燥し、次いで110℃で8時間乾燥し、ガス発生剤を得た。
以上の実施例1,2及び比較例1,2のガス発生剤の特性及びタンク燃焼試験した結果を図7及び図6に示す。
なお、図7におけるタンク燃焼試験は、内容積が60リットルのステンレス製タンク容器に、実施例1,2及び比較例1,2の各ガス発生剤をそれぞれ充填し、着火装置の付いたガス発生器を、取り付けて、外部着火してタンク容器内部のガス発生剤を燃焼させた。そして、タンク容器に設置した圧電素子によって時間軸におけるタンク容器内圧を測定した。
図7及び図6よりわかるように、本実施形態例に係る実施例1及び実施例2並びに比較例1及び比較例2ともに、圧力−時間曲線がS字状を呈している。しかし、本発明に係る実施例1及び実施例2の両端が潰された状態に成型されているガス発生剤は、着火から立ち上がりまでの時間及び立ち上がり開始からタンク最大圧到達までの時間が、対応するそれぞれの比較例1及び比較例2のガス発生剤よりも長い時間を要している。このことにより、本実施形態例に係る実施例1及び実施例2のガス発生剤は、対応するそれぞれの比較例1及び比較例2のガス発生剤に比べて、緩やかに燃焼し、エアバッグの展開初期の急激な膨張による衝撃を緩和できるガス発生剤であることがわかった。
尚、本発明は、上記の好ましい実施形態例に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態例が他になされることができることは理解されよう。
【図1】


【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非アジド系組成物で形成された筒状のガス発生剤成型体であって、その両端が潰された状態に成型されていることを特徴とするガス発生剤。
【請求項2】
前記ガス発生剤成型体の外径Dが1.4mm以上4mm以下、長さLが1.5mm以上8mm以下、前記空間の内径dが0.3mm以上1.2mm以下である請求の範囲第1項に記載のガス発生剤。
【請求項3】
タンク燃焼試験において、タンク最大圧P(kPa)が50kPa以上700kPa以下である請求の範囲第1項又は第2項に記載のガス発生剤。
【請求項4】
タンク燃焼試験において、タンク圧の立ち上がり開始からタンク最大圧P(kPa)到達までの時間T(ms)が20ms以上100ms以下で、圧力−時間曲線がS字状曲線となる請求の範囲第1項又は第2項に記載のガス発生剤。
【請求項5】
前記非アジド系組成物が、含窒素有機化合物、酸化剤、スラグ形成剤及びバインダーとで構成される請求の範囲第1項又は第2項に記載のガス発生剤。
【請求項6】
前記非アジド系組成物の組成が、含窒素有機化合物32.5重量%60重量%以下、酸化剤35重量%以上65重量%以下、スラグ形成剤0.5重量%以上15重量%以下及びバインダー0.5重量%以上15重量%以下である請求の範囲第5項に記載のガス発生剤。
【請求項7】
前記含窒素有機化合物が、テトラゾール誘導体及びグアニジン誘導体からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求の範囲第5項に記載のガス発生剤。
【請求項8】
前記含窒素有機化合物が硝酸グアニジン、ニトログアニジン、5−アミノテトラゾールのいずれか1種、前記酸化剤が硝酸ストロンチウム、塩基性硝酸銅、相安定化硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、過塩素酸アンモニウムのいずれか1種又はこれらのうちの2種以上のものを組合せたもの、前記スラグ形成剤がシリカ、酸性白土、窒化珪素のいずれか1種と、前記バインダーがヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドのいずれか1種又はこれらのうちの2種以上のものを組合せたものからなる請求の範囲第5項に記載のガス発生剤。
【請求項9】
前記含窒素有機化合物が硝酸グアニジンを32.5重量%以上60重量%以下、前記酸化剤が硝酸ストロンチウム又は塩基性硝酸銅を35重量%以上65重量%以下、前記スラグ形成剤が酸性白土を0.5重量%以上15重量%以下及び前記バインダーがポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、グラファイト、二酸化ケイ素のいずれか1種を0.5重量%以上15重量%以下である請求の範囲第8項に記載のガス発生剤。
【請求項10】
湿った状態にある筒状のガス発生剤成型体を互いの凸歯が向かい合うように回転する1対の成型用歯車の間に通し、前記凸歯によって前記成型体を所定の間隔で潰して、前記潰した窪み部分で折るように切断、乾燥することを特徴とする両端が潰された筒状に成型されたガス発生剤の製造方法。
【請求項11】
湿った状態にある筒状のガス発生剤成型体を互いの凸歯が向かい合うように回転する1対の成型用歯車の間に通し、前記凸歯によって前記成型体を所定の間隔で潰し、乾燥し、切断することを特徴とするガス発生剤の製造方法。
【請求項12】
両端が、潰されていることを特徴とする請求の範囲第11項に記載のガス発生剤の製造方法。
【請求項13】
潰した窪み部分で折るように切断し、分級することを特徴とする請求の範囲第11項又は第12項に記載のガス発生剤の製造方法。
【請求項14】
請求の範囲第1項に記載のガス発生剤を用いたエアバッグ用ガス発生器。
【請求項15】
請求の範囲第2項に記載のガス発生剤を用いたエアバッグ用ガス発生器。
【請求項16】
請求の範囲第3項に記載のガス発生剤を用いたエアバッグ用ガス発生器。
【請求項17】
請求の範囲第4項に記載のガス発生剤を用いたエアバッグ用ガス発生器。
【請求項18】
請求の範囲第5項に記載のガス発生剤を用いたエアバッグ用ガス発生器。
【請求項19】
請求の範囲第6項に記載のガス発生剤を用いたエアバッグ用ガス発生器。
【請求項20】
請求の範囲第7項に記載のガス発生剤を用いたエアバッグ用ガス発生器。
【請求項21】
請求の範囲第8項に記載のガス発生剤を用いたエアバッグ用ガス発生器。
【請求項22】
請求の範囲第9項に記載のガス発生剤を用いたエアバッグ用ガス発生器。

【国際公開番号】WO2004/048296
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【発行日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555013(P2004−555013)
【国際出願番号】PCT/JP2003/014931
【国際出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】