説明

ガス発生装置、アイソレータ

【課題】振動板に穴が開いているか否かを検出することができるガス発生装置を提供する。
【解決手段】ガス発生装置は、底面に設けられた第1開口部を塞ぐように取り付けられた振動板を有し、液体を貯留するとともに、加圧または減圧される際には密閉される第1空間を有する第1貯留部と、第1貯留部で霧化される液体を気化する気化部と、超音波振動を伝播する伝播水を貯留する第2空間と、第2開口部とを有し、第2開口部が閉塞された場合に第1貯留部とともに第2空間を密閉する、底面に超音波振動子が取り付けられる第2貯留部と、第1空間を加圧または減圧する圧力調整装置と、第2開口部を介して第2空間の圧力を測定する圧力測定装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス発生装置、アイソレータに関する。
【背景技術】
【0002】
ダブルチャンバ式の霧化装置を備える滅菌ガス発生装置や薬剤吸入器等では、伝播水と、霧化対象となる液体を貯留するカップの底面の振動板とを介して、超音波振動のエネルギーが液体に伝わるため、カップの液体は霧化される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−172692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に振動板は薄いため、霧化装置を長期間使用していると、振動板に亀裂が発生して穴が開いてしまうことがある。このような場合、霧化対象となる液体が伝搬水を貯留する容器側へと漏れてしまう。したがって、例えば作業者は、定期的に振動板の表面を観測し、振動板に穴が開いていないかを確認する必要があった。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、振動板の表面を観測することなく、振動板に穴が開いているか否かを検出することができるガス発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一つの側面に係るガス発生装置は、底面に設けられた第1開口部を塞ぐように取り付けられた振動板を有し、液体を貯留するとともに、加圧または減圧される際には密閉される第1空間を有する第1貯留部と、前記第1貯留部で霧化される前記液体を気化する気化部と、超音波振動を伝播する伝播水を貯留する第2空間と、第2開口部とを有し、前記第2開口部が閉塞された場合に前記第1貯留部とともに前記第2空間を密閉する、底面に超音波振動子が取り付けられる第2貯留部と、前記第1空間を加圧または減圧する圧力調整装置と、前記第2開口部を介して前記第2空間の圧力を測定する圧力測定装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
振動板の表面を観測することなく、振動板に穴が開いているか否かを検出することができるガス発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態であるアイソレータ10の構成を示す図である。
【図2】滅菌ガス発生装置33の側面図である。
【図3】マイコン73に実現される機能ブロックを示す図である。
【図4】マイコン73が実施する処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】振動板116に穴がない場合に測定された圧力P1,P2の一例を示す図である。
【図6】振動板116に穴がある場合に測定された圧力P1,P2の一例を示す図である。
【図7】滅菌ガス発生装置33の空間Aを直接加圧する場合の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態であるアイソレータ10の構成を示す図である。アイソレータ10は、作業者が滅菌された環境で細胞の作業等を行うための装置であり、滅菌ガス発生ユニット20、供給装置21、作業室22、排出装置23、及び制御装置24を含んで構成される。なお、滅菌とは微生物を殺滅して限りなく無菌に近くすることであるが、本明細書ではいわゆる除染、除菌、殺菌なども含めるものとする。また、無菌環境とは限りなく無菌に近い環境であって、除染処理とはその無菌環境を実現するための処理をいい、除染処理に用いる物質を除染物質という。
【0011】
滅菌ガス発生ユニット20は、タンク30、ポンプ31、パイプ32、滅菌ガス発生装置33、及び圧力計34を含んで構成される。
タンク30は、過酸化水素水(過酸化水素(H2O2)が溶解した水溶液)を貯蔵する。
ポンプ31は、タンク30から過酸化水素水を汲み上げ、パイプ32を介して滅菌ガス発生装置33に供給する。
【0012】
滅菌ガス発生装置33は、供給される過酸化水素水から滅菌ガスである過酸化水素ガスを発生し、キャリアガスとともに供給装置21へと供給する。なお、滅菌ガス発生装置33の詳細については後述するが、滅菌ガス発生装置33における空間Aでは、過酸化水素水及びキャリアガスが供給されて、過酸化水素ガスが発生する。一方、空間Bは、過酸化水素水を霧化させるための伝搬水が貯留される密閉された空間である。また、圧力計34(圧力測定装置)は、空間Bの圧力P1を測定する。
【0013】
供給装置21は、供給される過酸化水素ガス、またはアイソレータ10の外部の空気を作業室22へと供給する装置であり、電磁バルブ40、及びファン41を含んで構成される。
【0014】
電磁バルブ40は、制御装置24の制御に基づいて、過酸化水素ガス、または外部の空気をファン41に供給する。ファン41は、電磁バルブ40から供給される過酸化水素ガス、または空気を作業室22へと供給する。
【0015】
作業室22は、例えば細胞等の生体由来材料を対象とする作業を行う空間であり、作業室22には、エアフィルタ50,51、扉52、作業用グローブ53、コンプレッサ54、及び圧力計55が設けられている。
【0016】
エアフィルタ50は、ファン41から供給される過酸化水素ガス、または空気に含まれる塵等を除去するためのフィルタである。エアフィルタ51は、作業室22から排出されるガス等に含まれる塵等を除去するためのフィルタである。なお、エアフィルタ50,51には、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタが用いられる。
【0017】
扉52は、細胞等を作業室10に搬入するために作業室10の前面に開閉可能に設けられている。
作業用グローブ53は、扉52が閉じられた状態で作業者が作業室22内の細胞等を作業できるよう、扉52に設けられた開口部(不図示)に取り付けられている。
【0018】
コンプレッサ54(圧力調整装置)は、作業室22に設けられた開口部80(第3開口部)を介して、アイソレータ10の外部の空気を圧縮して作業室22へと供給する。なお、開口部80には、エアフィルタ50と同様のエアフィルタ(不図示)が設けられている。
圧力計55は、作業室22に設けられた開口部81(第4開口部)を介して、作業室22の内部の空間の圧力P2を測定する。
【0019】
排出装置23は、作業室22から過酸化水素ガスや空気等のガスを排出するための装置であり、電磁バルブ60、及び滅菌処理装置61を含んで構成される。
【0020】
電磁バルブ60は、制御装置24からの制御に基づいて、エアフィルタ51から出力されるガスを、滅菌処理装置61、または滅菌ガス発生装置33の何れかに供給する。なお、電磁バルブ60からの出力が滅菌ガス発生装置33へと供給される場合、作業室22のガスは循環されることになる。
滅菌処理装置61は触媒を備え、電磁バルブ60から出力されるガスを無害化および滅菌処理をしてアイソレータ10の外部へと出力する。
【0021】
制御装置24(判定装置)は、アイソレータ10の各ブロックを制御する装置であり、操作部70、表示部71、記憶装置72、及びマイコン73を含んで構成される。
【0022】
操作部70は、利用者がアイソレータ10の動作を設定するための操作パネル等である。なお、操作部70の操作結果はマイコン73へと送信される。
表示部71は、操作部70の操作結果や、アイソレータ10の各ブロックの状態等を表示する表示パネルである。
記憶装置72は、マイコン73が実行するプログラムデータや、各種データを記憶する。
【0023】
マイコン73は、記憶装置72に記憶されたプログラムデータを実行することにより、各種機能を実現する。例えば、操作部70から、リークチェックを実行させるための指示や、滅菌ガスを発生させるため指示が出力されると、マイコン73は、指示に応じた所定のプログラムを実行し、ポンプ31等を制御する。なお、マイコン73の詳細は後述する。
【0024】
==滅菌ガス発生装置33の詳細==
図2は、滅菌ガス発生装置33の側面図である。なお、図2において、一部のブロックは断面図で描かれている。滅菌ガス発生装置33は、過酸化水素水(液体)を霧化させる霧化装置100を備えている。また、霧化装置100は、過酸化水素水を貯留するカップ110、伝播水を貯留する貯留容器111、蓋部材112を備えている。
【0025】
カップ110(第1貯留部)には、上側(+Z方向)と下側(−Z方向)に開口部が設けられている。カップ110の下側の開口部200(第1開口部)には、開口部200をふさぐように振動板116が、パッキンを挟んでボルト等で水密的に固定されている。振動板116は、底面(−Z方向の面)が水平になるよう、カップ110に取り付けられている。また、カップ110に振動板116が取り付けられることにより、カップ110には、過酸化水素水を貯留する空間A(第1空間)が形成される。
【0026】
貯留容器111の底面には、伝播水に超音波振動を与えるための超音波振動子120が、その放射方向が垂直上向きから所定の角度(例えば、7度)傾いた状態となるように設けられている。伝播水はカップ110内の過酸化水素水へ超音波振動を伝播する。
【0027】
蓋部材112には、カップ110が挿入される開口部210、伝播水が注入される注入口220、及び圧力計34が取り付けられる開口部230が設けられている。
【0028】
カップ110は、開口部210を塞ぐように、上側から開口部210に挿入される。なお、カップ110は開口部210に挿入された後、ボルト(不図示)等で蓋部材に取り付けられる。注入口220には、注入口220を開放または閉塞する栓部材113が挿入されている。開口部230(第2開口部)には、伝播水が貯留される空間B(第2空間)の圧力P1を圧力計34が測定できるよう、フランジ114及びパイプ115を介して、圧力計34が取り付けられている。したがって、開口部220は閉塞され、空間Bは密閉される。ここで、貯留容器111及び蓋部材112は、第2貯留部に相当する。なお、貯留容器111及び蓋部材112は、一体形成されていても良い。
【0029】
蓋部材112の上側には、過酸化水素ガスを外部へ供給するための供給管140と、供給管140を支持する支持部材150が設けられている。支持部材150は、蓋部材112の上面に設置された筒状部材151と、筒状部材151の上面に設けられたフランジ152を含む。
【0030】
筒状部材151の径は、円筒状の供給管140の径よりも大きく、筒状部材151の−X側の側面には、キャリアガス(作業室22を循環する空気)が供給されるポート153が設けられている。フランジ152は、筒状部材151の上面の開口部を閉じつつ、中心に供給管140が貫通されている。また、フランジ152の上面には、過酸化水素水が供給されるパイプ32を通すためのポート154が設けられている。なお、パイプ32は、ポート154と、供給管140の側面に設けられた開口部を介して、カップ110に過酸化水素水等が供給できるよう、供給管140の側面に固定されている。
【0031】
また、カップ110の上側には、霧化された過酸化水素水を加熱し、気化するためのヒーター130が設けられている。ヒーター130で加熱され、ガス化した過酸化水素ガスは、供給されるキャリアガスとともに供給管140に設けられたポート141から出力される。ポート141は、前述の供給装置21の電磁バルブ40にパイプを介して接続される。このように、カップ110で霧化された過酸化水素水は、過酸化水素ガスとしてポート141から供給装置21へと供給される。なお、ヒーター130、供給管140は気化部に相当する。また、過酸化水素水を貯留する空間Aでは、気化された過酸化水素ガスが発生することになる。
【0032】
==流路について==
ここで、例えば、アイソレータ10の内部のガスが外部へとリークしていないことを確認するためのリークチェックの工程が実行される際に、過酸化水素ガス等が流れる流路について、図1を参照しつつ説明する。
【0033】
リークチェックの工程では、電磁バルブ40は、過酸化水素ガスをファン41に供給し、電磁バルブ60は、エアフィルタ51から出力されるガスを、滅菌ガス発生装置33へと供給する。このため、作業室22のガスは、例えば、滅菌ガス発生装置33の空間A→電磁バルブ40→ファン41→作業室22→電磁バルブ60→空間Aという流路Aで循環することなる。また、流路Aにリークがない場合、流路Aの内部の空間、つまり空間Aや作業室22の内部の空間は密閉される。したがって、例えばリークチェックの工程で、作業室22の内部の空間が加圧されると、空間Aも加圧されることになる。このように、リークチェックの工程では、空間Aを加圧するための流路Aが形成されていることになる。
【0034】
==マイコン73の詳細について==
マイコン73により実現される機能ブロックについて説明する。マイコン73は、操作部70から、リークチェックの工程の開始指示が入力されると、所定のプログラムを実行し、図3に示すような、制御部300、測定部301、及び判定部302,303の機能を実現する。
【0035】
制御部300は、開始指示が入力されると、アイソレータ10の内部でガス等が流れる流路が、流路Aとなるよう電磁バルブ40,60を制御する。また、制御部300は、流路Aの内部の空間を加圧すべく、コンプレッサ54を制御する。
測定部301は、圧力計34を制御して空間Bの圧力P1を測定する。また、測定部301は、圧力計55を制御して空間Aの圧力P2を測定する。
判定部302は、コンプレッサ54が、作業室22の内部へ圧縮空気を供給してから、所定時間(例えば、時間TA)経過したか否かを判定する。
判定部303は、圧力P1,P2の測定結果に基づいて、流路Aにリークがあるか否かと、空間Aと空間Bとの間に設けられた振動板116に穴があるか否かを判定する。
【0036】
図4は、リークチェックの工程が実行された際において、マイコン73が実施する処理の一例である。なお、リークチェックの工程が実行される際に、貯留容器111に貯留される伝播水の水位は、例えば図2に示すように、振動板116の底面より低い水位である。
【0037】
まず、制御部300は、過酸化水素ガスがファン41に出力されるよう電磁バルブ40を制御するとともに、作業室22からのガスが滅菌ガス発生装置33へと供給されるよう電磁バルブ60を制御する(S100)。この結果、アイソレータ10には、流路Aが形成されることになる。
【0038】
そして、測定部301は、加圧前の圧力P1,P2を測定し(S101)、流路Aの内部の空間を加圧すべく、コンプレッサ54を制御する(S102)。判定部302は、コンプレッサ54が圧縮空気を供給し始めてから、所定時間TAが経過したか否かを判定する(S103)。所定時間TA経過すると(S103:YES)、測定部301は、加圧後の圧力P1,P2を測定する(S104)。
【0039】
判定部303は、加圧前と加圧後の圧力P2の変化が所定値PA以上であるか否かを判定する(S105)。なお、所定値PAは、流路Aにリークが無い状態で測定される加圧前と加圧後の圧力P2の差の例えば60%の値である。そして、判定部303は、圧力P2の変化、すなわち、加圧前後の圧力P2の差が所定値PAより小さい場合、流路Aにはリークが有ると判定して判定結果を表示部71に表示する(S106)。一方、判定部303は、圧力P2の変化が所定値PAより大きい場合、流路Aにはリークが無いと判定し、判定結果を表示部71に表示する(S107)。
【0040】
また、加圧前後の圧力P1の差が所定値PAより小さい場合、つまり、密閉された空間Bの圧力の変化が小さい場合、判定部303は、振動板116に異常が無いと判定して判定結果を表示部71に表示する(S109)。一方、空間Bの圧力P1の変化が所定値PAより大きい場合、つまり、密閉されているはずの空間Bの圧力の変化が大きい場合、判定部303は、振動板116に異常が有ると判定して判定結果を表示部71に表示する(S110)。
【0041】
図5は、リークチェックの工程が実施された際に、振動板116に穴がない状態、すなわち、空間Bが密閉されている状態で測定された圧力P1,P2の一例を示す図である。なお、ここでは、時刻t0より前のタイミングで流路Aは形成されている。
【0042】
まず、時刻t0において、圧力P1,P2は測定される(S101)。そして、時刻t2から所定期間、コンプレッサ54は圧縮空気を作業室22の内部へと供給する(S102)。このため、圧力P2は上昇し、コンプレッサ54の動作が停止された後は徐々に減少する。また、振動板116には穴がない状態であるため、空間Bは密閉された状態であり、圧力P1に変化はない。
【0043】
時刻t1から所定時間TAだけ経過した時刻t2において、圧力P2の加圧前後での差は、所定値PAよりも大きい(S105:YES)。このため、流路Aにはリークが無いことが判定され、リーク無しの表示が表示部71に表示される(S107)。また、時刻t2において、圧力P1の加圧前後での差は、所定値PAよりも小さい(S108:NO)。したがって、振動板116には異常が無いことが判定され、その旨が表示部71に表示される(S109)。なお、時刻t3において、加圧された圧力を低下すべく、例えば作業室22に設けられたバルブ(不図示)が開放される。
【0044】
図6は、リークチェックの工程が実施された際に、振動板116に穴がある状態で測定された圧力P1,P2の一例を示す図である。なお、時刻t0〜t3のタイミングは、図5で説明したタイミングと同様である。
【0045】
まず、時刻t0において、圧力P1,P2は測定される(S101)。そして、時刻t2から所定期間、コンプレッサ54は圧縮空気を作業室22の内部へと供給する(S102)。このため、圧力P2は上昇し、コンプレッサ54の動作が停止された後は徐々に減少する。ここでは、振動板116には穴がある状態であるため、空間Bの密閉状態は維持されておらず、空間Bの圧力P1は圧力P2と同様に変化する。
【0046】
そして、時刻t1から所定時間TAだけ経過した時刻t2において、圧力P2の加圧前後での差は、所定値PAよりも大きい(S105:YES)。このため、流路Aにはリークが無いことが判定され、リーク無しの表示が表示部71に表示される(S107)。また、時刻t2において、圧力P1の加圧前後での差は、所定値PAよりも大きい(S108:YES)。したがって、振動板116には異常が有ることが判定され、その旨が表示部71に表示される(S110)。
【0047】
以上、本実施形態のアイソレータ10について説明した。なお、アイソレータ10に含まれる滅菌ガス発生装置33の空間Aを直接加圧する場合であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。具体的には、例えば図7に示すように、ポート141の開口をフランジ400で閉塞し、ポート153に、空間Aを加圧できるよう、フランジ401及びパイプ402を介してコンプレッサ54を取り付ける。そして、コンプレッサ54を動作させて空間Aを加圧すると、振動板116に穴があるか否かにより空間Bの圧力P1は変化する。したがって、滅菌ガス発生装置33においては、振動板116を直接観測することなく、振動板116に穴が開いているか否かを検出することができる。
【0048】
また、アイソレータ10では、作業室22の開口部80を介して流路Aの内部の空間が加圧される。このような場合に、滅菌ガス発生装置33の空間Aも加圧されることになるため、空間Bの圧力P1を測定することにより、振動板116に穴が開いているか否かを検出することができる。
【0049】
例えば、振動板116に穴がある場合、流路Aが加圧されると圧力P1は上昇する。このため、例えば、時刻t2において測定された圧力P1のみに基づいて、振動板116に穴があるか否かを判定しても良い。ただし、本実施形態の判定部303は、加圧前後の圧力P1の差に基づいて判定しているため、圧力計34にオフセットがあるような場合であっても、穴の有無を精度良く判定できる。
【0050】
また、加圧前後の圧力P1の差が所定値PAよりも大きい場合、表示部71には、振動板116に異常があることが表示される。このため、作業者は、振動板116に穴が開いていることを直ちに把握することができる。
【0051】
また、一般に、過酸化水素水が霧化された後に気化される滅菌工程は、リークチェックの工程の後に実行される。本実施形態では、過酸化水素水が霧化される滅菌工程が実行される前に、振動板116の穴の有無が判定される。このため、より安全に滅菌工程を実行することができる。
【0052】
また、アイソレータ10では、圧力計34,55が設けられているが、例えば、作業室22の開口部81と、空間Bの開口部230とを切り替えることが可能な電磁バルブ等を用いて、圧力計34のみで圧力P1,P2を測定させても良い。このような場合、アイソレータ10で使用する圧力計の数を減らすことができる。
【0053】
なお、上記実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0054】
例えば、貯留容器111には、伝播水が貯留されていない場合であっても、本実施形態と同様に振動板116の穴の有無の検出が可能である。
【0055】
また、圧力計55の代わりに、例えば、大気圧と空間Bの圧力との差を測定する差圧計を用いても本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、コンプレッサ54の代わりに流路Aの内部の空間を減圧するポンプ(圧力調整装置)を用いる場合であっても、振動板116の穴の有無の検出が可能である。
【0057】
また、本実施形態では圧力調整装置としてコンプレッサ54を用いたが、コンプレッサ54の代わりにファン41を圧力調整装置として使用しても良い。この場合であって、流路Aの内部の空間を加圧することができる。
【0058】
また、圧力計34の代わりに、例えば空間Bの湿度を測定する湿度計を設け、リークチェックの工程において、湿度計が測定する湿度が低下した場合、振動板116に穴があると判定しても良い。
【0059】
また、コンプレッサ54は、滅菌ガス発生装置33に設けられた開口部(不図示)を介して、流路Aを加圧しても良い。
【符号の説明】
【0060】
10 アイソレータ
20 滅菌ガス発生ユニット
21 供給装置
22 作業室
23 排出装置
24 制御装置
30 タンク
31 ポンプ
32,115,402 パイプ
33 滅菌ガス発生装置
40,60 電磁バルブ
41 ファン
50,51 エアフィルタ
52 扉
53 グローブ
61 滅菌処理装置
70 操作部
71 表示部
72 記憶装置
73 マイコン
100 霧化装置
110 カップ
111 貯留容器
112 蓋部材
113 栓部材
114,152,400,401 フランジ
116 振動板
120 超音波振動子
130 ヒーター
140 供給管
141,153,154 ポート
150 支持部材
151 筒状部材
200,210,230 開口部
220 注入口
300 制御部
301 測定部
302,303 判定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に設けられた第1開口部を塞ぐように取り付けられた振動板を有し、液体を貯留するとともに、加圧または減圧される際には密閉される第1空間を有する第1貯留部と、
前記第1貯留部で霧化される前記液体を気化する気化部と、
超音波振動を伝播する伝播水を貯留する第2空間と、第2開口部とを有し、前記第2開口部が閉塞された場合に前記第1貯留部とともに前記第2空間を密閉する、底面に超音波振動子が取り付けられる第2貯留部と、
前記第1空間を加圧または減圧する圧力調整装置と、
前記第2開口部を介して前記第2空間の圧力を測定する圧力測定装置と、
を備えることを特徴とするガス発生装置。
【請求項2】
底面に設けられた第1開口部を塞ぐように取り付けられた振動板を有し、過酸化水素水を貯留する第1空間を有する第1貯留部と、前記第1貯留部で霧化される前記過酸化水素水を気化する気化部と、超音波振動を伝播する伝播水を貯留する第2空間及び第2開口部を有し、前記第2開口部が閉塞された場合に前記第1貯留部とともに前記第2空間を密閉する、底面に超音波振動子が取り付けられる第2貯留部と、を含む滅菌物質発生装置と、
前記第1空間を加圧または減圧するための流路と、
前記滅菌物質発生装置または前記流路の何れかに設けられ、閉塞された場合には前記第1空間を密閉する第3開口部と、
前記第3開口部を介して前記第1空間を加圧または減圧する圧力調整装置と、
前記第2開口部を介して前記第2空間の圧力を測定する圧力測定装置と、
を備えるアイソレータ。
【請求項3】
請求項2に記載のアイソレータであって、
前記圧力調整装置により前記第1空間の圧力が変化される前に測定された前記第2空間の圧力と、前記圧力調整装置により前記第1空間の圧力が変化された後に測定された前記第2空間の圧力との差が、所定の圧力より大きいか否かを判定する判定装置を更に備えること、
を特徴とするアイソレータ。
【請求項4】
請求項3に記載のアイソレータであって、
前記判定装置が前記所定の圧力より前記差が大きいと判定した場合、前記振動板に穴が有ることを示す情報を表示する表示部を更に備えること、
を特徴とするアイソレータ。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか一項に記載のアイソレータであって、
前記圧力調整装置は、
前記過酸化水素水が霧化される前に前記第1空間を加圧または減圧すること、
を特徴とするアイソレータ。
【請求項6】
請求項2〜5の何れか一項に記載のアイソレータであって、
前記滅菌物質発生装置または前記流路の何れかに設けられ、前記第3開口部が閉塞されている場合に閉塞されると、前記第1空間を密閉する第4開口部を更に備え、
前記圧力測定装置は、
前記第4開口部を介して前記第1空間の圧力を測定すること、
を特徴とするアイソレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−213473(P2012−213473A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79955(P2011−79955)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(592031097)パナソニックヘルスケア株式会社 (28)
【Fターム(参考)】