説明

ガス絶縁開閉装置

【課題】支持架台による機器の支持箇所を減らすことで設置コストの低減が可能なガス絶縁開閉装置を得ること。
【解決手段】3相分離形の母線を備えたガス絶縁開閉装置において、横形の遮断器1の上部には2つの分岐引出し口6、7が設けられており、分岐引出し口6には変流器8が接続され、分岐引出し口7には変流器9が接続されている。さらに、変流器8には母線側機器15が接続され、変流器9には線路側機器21が接続されている。遮断器1の上部に設けられた変流器8、9、母線側機器15、および線路側機器21についての遮断器1の長手方向における重心位置が、同一方向における遮断器1の配置範囲内に位置するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横形の遮断器を備えたガス絶縁開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁ガスを使用したガス絶縁開閉装置は、発電所、変電所等における開閉装置として使用されており、都市部における需要増大などにより、設置面積をより縮小し、建設コストを低減させることが望まれている。また、ガス絶縁開閉装置は、支持架台に支持して設置される。そのため、ガス絶縁開閉装置の機器構成に応じて、支持架台の支持箇所、および支持範囲等も適切に設定する必要がある。
【0003】
特許文献1では、横形の遮断器を備えたガス絶縁開閉装置が記載されており、遮断器の一端の上部には変流器を介して線路側機器が接続され、遮断器の他端の上部には別の変流器を介して2重母線が形成された母線側機器が接続されている。この特許文献1では、母線側機器、特に母線が遮断器の配置範囲から離れて配置されている。そのため、遮断器を支持する支持架台に加えて、母線側機器を支持する支持架台が別に必要になる。
【0004】
【特許文献1】実開平05−004710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の従来技術によれば、母線側機器が遮断器から離れて配置されているため、母線側機器および線路側機器の配置範囲が広くなり、遮断器の下部以外にも支持架台が必要となる。そのため、支持箇所が増え、支持架台の個数が増えるので、コストが増加するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、支持架台による機器の支持箇所を減らすことで設置コストの低減が可能なガス絶縁開閉装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるガス絶縁開閉装置は、3相分離形の母線を備えたガス絶縁開閉装置であって、その長手方向を水平にして配置された遮断器と、この遮断器に設けられた一方の分岐引出し口に接続され前記遮断器の上部に設けられた第1の変流器と、この第1の変流器に接続された母線側機器と、前記遮断器に設けられた他方の分岐引出し口に接続され前記遮断器の上部に設けられた第2の変流器と、この第2の変流器に接続された線路側機器と、を備え、前記第1の変流器、前記第2の変流器、前記母線側機器、および前記線路側機器についての前記遮断器の長手方向における重心位置は、前記長手方向における前記遮断器の配置範囲内に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、第1および第2の変流器、母線側機器、および線路側機器についての遮断器の長手方向における重心位置が、同一方向における遮断器の配置範囲内に位置するようにしたので、横形の遮断器の下部を支持架台で支持するだけでガス絶縁開閉装置の支持が可能となる。そのため、支持箇所が縮小され、必要な支持架台の個数も少なくなり、設置コストが低減できるという効果を奏する。また、遮断器を除く主要構成機器を遮断器の上部に配置する構成としているので、遮断器の長さの標準化が図れ、基礎設計を容易にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明にかかるガス絶縁開閉装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置の構成を、一部断面で示した側面図である。図1に示すように、円筒状のタンク内に遮断部を有する遮断器1は、タンクの長手方向が水平になるように支持架台2上に支持固定されており、いわゆる横形の遮断器となっている。また、支持架台2を構成する取り付け足の側面には、各機器操作用の操作装置5が設けられている。
【0011】
遮断器1の一端の上部には分岐引出し口6が設けられており、分岐引出し口6には変流器8が接続されている。変流器8の上部には断路器10Cが接続されている。断路器10Cは、その長手方向を遮断器1の長手方向と平行にして配置されており、断路器10Cの一端の下部において変流器8と接続されている。
【0012】
断路器10Cの他端の下部には、母線13Cが接続されている。母線13Cは、母線13Aおよび13Bと共に、3相が分離された相分離形の母線を構成している。母線を区別するA、B、Cは、それぞれ、A、B、C相を表すものとする。また、母線13Aおよび13Bは、断路器10Cの背面側に配置された2つの断路器(図示せず)にそれぞれ接続されている。母線13A、13B、13Cの延伸方向は相互に平行であると共に、遮断器1の長手方向と交差する方向であり、図示例では、遮断器1の長手方向と直交する方向である。母線13Bは、母線13Cと同一の水平面内に配置されている。母線13A、13B、13Cの各断面の中心は、直角2等辺三角形の頂点をなすように構成されている。
【0013】
変流器8の上方における断路器10Cの上部には、接続部11を介して、断路器12Cが接続されている。断路器12Cは、断路器10Cと平行に配置されている。母線13Cの上方における断路器12Cの上部には、母線14Cが接続されている。母線14Cは、母線14Aおよび14Bと共に、3相が分離された相分離形の母線を構成している。また、母線14Aおよび14Bは、断路器12Cの背面側に配置された2つの断路器(図示せず)にそれぞれ接続されている。母線14A、14B、14Cは、母線13A、13B、13Cと平行に延びている。母線14Bは、母線14Cと同一水平面内に配置されている。母線14A、14B、14Cの各断面の中心は、直角2等辺三角形の頂点をなすように構成されている。
【0014】
図1に示すように、母線13A、13B、13C、および母線14A、14B、14Cは、遮断器1の上方に重ねて配置された2重母線構造となっている。また、上述のように、A相、B相についてもC相と同様の構成が図面に垂直な方向に並列して設けられている。このように、3相の構成要素がユニットとして、支持架台2上に設けられている。すなわち、3相分で1ユニットをなし、このユニットがユニット架台である支持架台2上に設けられている。
【0015】
一方、遮断器1の他端の上部には分岐引出し口7が設けられており、分岐引出し口7には変流器9が接続されている。なお、本実施の形態では、遮断器1の分岐引出し口6および7は、長手方向における遮断器1の中央部から、例えば、それぞれ等距離の位置に設けられている。変流器9の上部には、断路器18、変圧器19、およびケーブルヘッド等を含む線路側機器21が設けられている。すなわち、変流器9の上部には、断路器18が接続されており、断路器18には、ケーブルヘッドタンク20が接続されている。ケーブルヘッドタンク20は、その長手方向が装置の設置面に対して垂直となっており、ケーブルヘッドタンク20の上部には変圧器19が設けられ、その下部にはケーブルヘッドおよびケーブルヘッドに接続されたケーブルが設置されている。
【0016】
本実施の形態においては、遮断器1の上部に設けられた複数の機器についての遮断器1の長手方向における重心位置が、遮断器1の長手方向における遮断器1の配置範囲内に位置するように構成されている。
【0017】
すなわち、図1において、変流器8、母線13C、断路器10C、接続部11、断路器12C、母線14C、変流器9、断路器18、変圧器19、およびケーブルヘッドタンク20に対して、遮断器1の長手方向(円筒の軸方向)における重心位置を算出すると、図中、「重心位置」、「C相」で指示された箇所となり、その位置は、遮断器のタンクの軸方向の配置範囲内に含まれている。同様の計算は、A相およびB相の構成要素についても行うことができる。A相およびB相に対して同様に重心位置を算出すると、図中、「重心位置」、「A/B相」で指示された箇所となり、その位置は、遮断器のタンクの軸方向の配置範囲内に含まれている。母線13A、13B、14A、および14Bの断面の中心位置は、すべて、遮断器1の中央部の直上に位置している。そのため、A相、B相とも上記重心位置は同じであり、「A/B相」と表記している。また、母線13C、14Cと母線13A、14Aとの位置関係に応じて、すなわち、C相の母線は、遮断器1の中央部から取り付け口6側に位置しているため、A相についての重心位置は、C相についての重心位置に対して、より分岐引出し口7側に位置している。
【0018】
本実施の形態のガス絶縁開閉装置においては、母線を含む機器がガス絶縁化されており、また、ケーブルヘッドに接続されたケーブルには、例えば、送電線が接続されており、遮断器1、および断路器10C、12C、18等を開閉することにより、電路の入切等が行われる。
【0019】
本実施の形態によれば、遮断器1の上部に設けられた複数の機器についての遮断器1の長手方向における重心位置が、遮断器1の長手方向における遮断器1の配置範囲内に位置するようにしたので、横形の遮断器1の下部を支持架台2で支持するだけでガス絶縁開閉装置の支持が可能となる。特に、図1に示すように、2箇所に設けられた取り付け足で安定に支持することが可能となる。そのため、支持箇所が縮小され、必要な支持架台の個数も少なくなり、同時に設置スペースも縮小され、設置コストが低減できるという効果を奏する。
【0020】
また、遮断器1を除く他の構成機器を遮断器1の上部に配置する構成としているので、遮断器1の長さの標準化が図れ、基礎設計を容易にする。このように、遮断器1の長さ(タンクの長さ)が標準化され、縮小化がされているので、これをトレーラ等の荷台に搭載して輸送するのにも適している。
【0021】
本実施の形態では、3相分離形の母線を例に説明したが、これに限定されず、本発明は、3相一括型の場合にも適用でき、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0022】
なお、従来技術(たとえば、特開昭58−099208号公報)では、3相一括形の母線を備えた2重母線方式のガス絶縁開閉装置において、横形の遮断器の上方に2重母線を重ねて配置することにより、据付面積の縮小化を図っている。すなわち、遮断器を水平に配置し、遮断器の一端の上部に変流器と断路器と順次積み上げて配置する。遮断器の上方には、遮断器の長手方向と直交し2段積みした母線が各断路器とそれぞれ接続されている。一方、遮断器の他端の上部には、変流器と断路器を積み上げて配置し、この断路器には遮断器の長手方向と同一の方向に配置された導体装置が接続されている。また、2重母線を、遮断器の中央部に配置することで、一層の据付面積の縮小化を図った実施例が記載されている。しかしながら、上記従来技術では、遮断器の上部に配置された機器の重心位置については言及されておらず、さらに、母線も3相一括形に限定しており、本実施の形態とは異なるものである。
【0023】
実施の形態2.
図2−1は、本実施の形態における遮断器とそれを支持する支持架台の構成を、一部断面で示した正面図である。本実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置は、実施の形態1の構成に基づいており、図2−1は、図1に示すガス絶縁遮断器装置を、遮断器1のタンクの軸方向から見たものである。
【0024】
図2−1に示すように、支持架台2上には、それぞれ、A相、B相、およびC相に相当する遮断器1A、遮断器1B、および遮断器1Cが支持固定されている。なお、図2−1における遮断器1Cは、図1における遮断器1に相当している。支持架台2の取り付け足の外側面には、操作装置5が取り付けられている。また、操作装置5を支持架台2の下部の空きスペースに設けることもできる。このように、本実施の形態では、単一の支持架台2上に、3相の遮断器が相互に平行に並列して設置されている。
【0025】
一方、図2−2は、従来のガス絶縁開閉装置における遮断器とそれを支持する支持架台の構成を、一部断面で示した正面図である。図2−2に示すように、支持架台は遮断器ごとに設けられており、A相に相当する遮断器100Aは支持架台101A上に、B相に相当する遮断器100Bは支持架台101B上に、C相に相当する遮断器100Cは支持架台101C上に、それぞれ支持固定されている。
【0026】
図2−2において、遮断器100Aと遮断器100Bとの間、および遮断器100Bと遮断器100Cとの間には、それぞれ間隔がFで示された点検スペースが設けられており、この点検スペースは各種操作装置(図示せず)を点検するためのスペースである。
【0027】
一方、図2−1においては、ユニット形態の支持架台2上に3相の遮断器が一括して配置され、操作装置5は、例えば支持架台2の取り付け足の外側面に取り付けられているので、点検スペースを必要としない。そのため、遮断器1Aと遮断器1Bとの間の間隔D、または遮断器1Bと遮断器1Cとの間の間隔Dは、遮断器100Aと遮断器100Bとの間の間隔E、または遮断器100Bと遮断器100Cとの間の間隔Eよりも小さくなるように設計することができる(D<E)。さらに、本実施の形態では、遮断器1A、1B、1Cのタンクの直径ΦFを、従来一般に使用されている遮断器タンクの直径ΦG(すなわち、遮断器100A、100B、100Cのタンクの直径ΦG)よりも小さくしている。遮断器タンクの直径を小さくするような構成は、従来の技術を適用して実現することが可能であり、例えば、タンク内に充填された絶縁ガスのガス圧を高圧に設定するような条件化で実現可能である。
【0028】
このような構成により、支持架台2に3相の遮断器1A、1B、1Cおよび操作装置5が取り付けられて決まる本実施の形態におけるユニットの横幅(図2−1におけるユニット幅B)は、遮断器100A、100B、100C、および点検スペースで決まる従来におけるユニットの横幅(図2−2におけるユニット幅C)よりも小さくすることができる。
【0029】
従来、例えば、420kVのガス絶縁開閉装置に対しては、図2−2におけるユニット幅Cが、国内における輸送制限幅を超えるために、3相を一括して輸送することはできず、相ごとに分離して輸送し、現地で一体化する必要がある。本実施の形態では、ユニット幅B<ユニット幅Cとなり、さらに、ユニット幅Bは輸送制限幅よりも小さくできることがわかった。
【0030】
本実施の形態によれば、ユニット幅Bが輸送制限幅よりも小さくなるように構成されているので、支持架台2に支持固定された3相の遮断器1A、1B、および1Cを一括して輸送することが可能となる。そのため、輸送前に予め3相を一括しておけばよいので、現地取り付け工数が低減される。また、従来と比べて、支持架台も3相一体化されているので、部品数を削減することができる。
【0031】
実施の形態3.
図3−1は、本実施の形態におけるガス絶縁開閉器の構成を、一部断面で示した正面図であり、図3−2は、本実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置の構成を、一部断面で示した側面図である。図3−1は、図3−2に示すガス絶縁開閉装置を正面側(図中、左側)から見たものであり、支持架台2上には、ユニットを構成するA、B、C相に相当する遮断器等(例えば、C相については遮断器1C)が支持固定されている。そして、このようなユニット装置が2つ表示されており、それらを上側母線14A、14B、14Cおよび下側母線13A、13B、13Cが接続している。
【0032】
図3−1および図3−2に示すように、本実施の形態では、図1に示す実施の形態1および図2−1に示す実施の形態2の構成に加えて、母線間を連結し支持する相間支持部材が設けられている。すなわち、図3−2に示すように、上側の母線である母線14A、14B、14Cに対して、母線14Aおよび母線14B間には両母線を連結する相間支持部材32が、母線14Bおよび母線14C間には両母線を連結する相間支持部材30が、母線14Cおよび母線14A間には両母線を連結する相間支持部材31が、それぞれ設けられている。
【0033】
下側の母線である母線13A、13B、13Cに対して、母線13Aおよび母線13B間には両母線を連結する相間支持部材36が、母線13Bおよび母線13C間には両母線を連結する相間支持部材34が、母線13Cおよび母線13A間には両母線を連結する相間支持部材35が、それぞれ設けられている。
【0034】
図3−1では、遮断器1Cが設置された支持架台2と隣接する支持架台(図中、左側の支持架台)上において、母線14Cおよび母線14A間を連結する相間支持部材51、および母線13Cおよび母線13A間を連結する相間支持部材52が示されている。なお、相間支持部材の設置箇所は、一例であって、他の箇所に設置して母線間を連結してもよい。例えば、相間支持部材31と相間支持部材35とを、遮断器1Cの直上に設置することができる。また、相間支持部材の設置個数も全体の支持強度を考慮して適宜設定される。
【0035】
本実施の形態においては、これらの相間支持部材は、例えば棒状の形状を有している。また、相間支持部材は導電性材料から形成されており、母線間の支持を行うと共に、相間シャントバー(接地バー)としての機能を備えている。相間支持部材は、例えば、アルミニウム、または銅等から形成することが好ましい。
【0036】
図3−2に示すように、相間支持部材30、31、32、34、35、36による母線間の連結位置は、遮断器1Cの中央部上方となっている。そのため、遮断器1C上に設けられた複数の機器についての遮断器1Cの長手方向における重心位置は、実施の形態1と同様に、同一方向における遮断器1Cの配置範囲内の中央付近に位置している。したがって、相間支持部材は、母線を前記重心近傍で支持しており、安定な支持を可能としている。なお、図3−2におけるその他の構成は、図1に示す実施の形態1の構成と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0037】
本実施の形態によれば、母線間を連結する支持部としての相間支持部材に、さらに、母線間の接地機能も持たせることにより、外装の簡素化が図れ、部品点数も削減することができる。
【0038】
また、母線13A、13Bおよび13Cは、相間支持部材34、35、および36で連結され、母線14A、14Bおよび14Cは、相間支持部材30、31、および32で連結されているので、母線13A、13Bおよび13C、ならびに、母線14A、14Bおよび14Cを一体化して輸送することができる。つまり、これらの相間支持部材は、輸送用支持架台としての機能も兼ね備えている。したがって、通常別部品にて用意される輸送用支持架台の個数を削減することが可能となり、輸送コストを下げることが可能となる。また、母線を含むモジュール単位で予め組み立てておくことにより、モジュール単位での輸送が可能となり、設置現場での組み立て工数を削減することができる。
【0039】
なお、従来技術(たとえば、特開昭63−257407号公報)では、相分離形のガス絶縁開閉装置において、ガス絶縁開閉装置の容器外部への電流漏洩を緩和することを目的として、相分離形母線の各相間を個別に短絡する短絡バーを設置する従来技術が記載されている。しかしながら、上記従来技術においては、短絡バーは機器架台としての機能は持たず、ガス絶縁開閉装置本体、支持架台、操作装置等の周辺機器とは別に設ける必要があるため、外装品が多くなり、コストも高くなるという問題点がある。
【0040】
実施の形態4.
図4−1は、本実施の形態におけるガス絶縁開閉器の構成を、一部断面で示した正面図であり、図4−2は、本実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置の構成を、一部断面で示した側面図である。また、図5は、本実施の形態にかかるガス絶縁開閉装置の構成を、一部断面で示した側面図であり、遮断器上に設けられた複数の機器についての重心位置を示した図である。
【0041】
図4−2に示すように、本実施の形態おいては、図3−1および図3−2に示す実施の形態3の構成に加えて、上側母線に属する母線14Aと下側母線に属する母線13Aとの間に両者を連結して支持する支持部材55と、母線13Bと遮断器1Cとの間に両者を連結して支持する支持部材56とが設けられている。図示例では、支持部材55および56の形状は、例えば、棒状である。
【0042】
また、図4−1に示すように、遮断器1Cが設置された支持架台2に隣接する支持架台(図中、左側の支持架台)上においても、上側母線に属する母線14Aと下側母線に属する母線13Aとの間に両者を連結して支持する支持部材57が設けられている。図4−1では、支持部材56は、遮断器1の上部に設置されているので、装置の背面側に位置しており、図示されていない。支持部材55、57の設置箇所は、図4−1に示す例に限定されず、例えば、支持部材55を、遮断器1の直上に設置することもできる。また、図4−2において、支持部材を遮断器1Cと母線13Cとの間に設けることもできる。また、支持部材の設置個数も全体の支持強度を考慮して適宜設定され、例えば、遮断器ごとに設置することができる。
【0043】
図5では、本実施の形態において、遮断器1の上部に設けられた複数の機器についての遮断器1の長手方向における重心位置が、遮断器1の長手方向における遮断器1の配置範囲内に位置することを示している。「重心位置」、「A/B相」「C相」については、図1と同様である。
【0044】
上述のように本実施の形態では、2重母線の母線間が支持部材で支持連結され、また、下側母線と遮断器との間も支持部材で支持連結されている。本実施の形態によれば、このような支持部材を用いた構造により、輸送時にモジュール単位での一体輸送が可能となる。例えば、複母線を一体化して輸送することが可能となる。つまり、支持部材は、輸送用支持架台としての機能も兼ね備えている。したがって、通常別部品にて用意される輸送用支持架台の個数を削減することが可能となり、輸送コストを下げることが可能となる。また、モジュール単位で予め組み立てておくことにより、モジュール単位での輸送が可能となり、設置現場での組み立て工数を削減することができる。
【0045】
また、図5に示すように、支持部材による支持箇所は、前記重心位置の近傍であるため、安定した支持をおこなうことが可能である。
【0046】
なお、実施の形態1〜4では、2重母線形式を例に説明したが、これに限らず、本発明は、他の複母線形式の場合にも適用することができるし、また、単母線形式の場合にも適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかるガス絶縁開閉装置は、支持架台数を削減し、設置コストを低減するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態1にかかるガス絶縁開閉装置の構成を、一部断面で示した側面図である。
【図2−1】実施の形態2における遮断器とそれを支持する支持架台の構成を、一部断面で示した正面図である。
【図2−2】従来のガス絶縁開閉装置における遮断器とそれを支持する支持架台の構成を、一部断面で示した正面図である。
【図3−1】実施の形態3におけるガス絶縁開閉器の構成を、一部断面で示した正面図である。
【図3−2】実施の形態3にかかるガス絶縁開閉装置の構成を、一部断面で示した側面図である。
【図4−1】実施の形態4におけるガス絶縁開閉器の構成を、一部断面で示した正面図である。
【図4−2】実施の形態4にかかるガス絶縁開閉装置の構成を、一部断面で示した側面図である。
【図5】実施の形態4にかかるガス絶縁開閉装置の構成を、一部断面で示した側面図であり、遮断器上に設けられた複数の機器についての重心位置を示した図である。
【符号の説明】
【0049】
1、1A、1B、1C、100A、100B、100C 遮断器
2、101A、101B、101C 支持架台
5 操作装置
6、7 分岐引出し口
8、9 変流器
10C、12C、18 断路器
11 接続部
13A、13B、13C 母線
14A、14B、14C 母線
15 母線側機器
19 変圧器
20 ケーブルヘッドタンク
21 線路側機器
30、31、32、34、35、36、51、52 相間支持部材
55、56、57 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相分離形の母線を備えたガス絶縁開閉装置であって、
その長手方向を水平にして配置された遮断器と、
この遮断器に設けられた一方の分岐引出し口に接続され前記遮断器の上部に設けられた第1の変流器と、
この第1の変流器に接続された母線側機器と、
前記遮断器に設けられた他方の分岐引出し口に接続され前記遮断器の上部に設けられた第2の変流器と、
この第2の変流器に接続された線路側機器と、
を備え、
前記第1の変流器、前記第2の変流器、前記母線側機器、および前記線路側機器についての前記遮断器の長手方向における重心位置は、前記長手方向における前記遮断器の配置範囲内に位置することを特徴とするガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
相互に平行に並置された3相の遮断器を一括して下方から支持固定するユニット架台と、
このユニット架台の側面および/または下部に設けられ前記3相の遮断器を含む機器の操作を行うための操作部と、
を備え、
前記3相の遮断器の断面の大きさ、および前記3相の遮断器における隣接する遮断器間の間隔を調整することにより、前記3相の遮断器の並置方向における前記ユニット架台の幅を規定し、前記操作部も含めた前記ユニット架台の前記3相の遮断器の並置方向における幅が、輸送制限より決まる輸送制限幅よりも小さくなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項3】
前記3相の母線間には、母線間を相互に支持連結する相間支持部材が設けられ、この相間支持部材は、接地部材としての機能を有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項4】
前記3相の母線の少なくとも1つと前記遮断器との間には、両者を支持連結する支持部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項5】
前記母線側機器に含まれる母線は、複母線であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項6】
前記複母線を構成する母線は、前記遮断器の上方に配置されると共に、上方から下方へ向け平面視で相互に重なるように配置されていることを特徴とする請求項5に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項7】
上下に隣接して配置された前記複母線を構成する母線間には、両者を支持連結する支持部材が設けられていることを特徴する請求項5または6に記載のガス絶縁開閉装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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