説明

ガス缶の穿孔構造体

【課題】簡易な構造でありながらも、安全確実な穿孔に作用し、穿孔の必要性や重要性の啓蒙にも作用するガス缶の穿孔構造体を提供すること。
【解決手段】ガス缶の穿孔を補助する構造体であり、ガス缶の表面10に、ガス缶を穿孔する針先の配置を安定させる凹部11を設ける。凹部11を穿孔部位として視認させる文様を、凹部11近傍に設けて、安全確実な穿孔や、穿孔の必要性や重要性の啓蒙に寄与させてもよい。文様に、注意喚起を促す文字情報の他に、アート性も有した模様13も設けて、商品価値の向上に寄与させてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス缶の穿孔を補助する構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みのスプレー缶やカセット燃料ガスボンベ等のガス缶は、個人法人を問わず、使い切るか穿孔の後適切に分別した方法で収集されることが奨励されている。
にも関わらず、残留ガスによる火災や事故が多く発生している。
また、収集缶の孔開け率は決して高いものではない。更に、気温等の関係によって残留ガスが皆無とならない危険があり、穿孔技術の開発は急務と考えられている。
【0003】
図1は、従来技術による穿孔の様態を示す缶の側部一部断面図である。
缶の表面(10)に、針(20)の先端が接触押圧する方法においては、表面(10)が曲面となっているため不安定で、一例として図面矢印方向へ滑りやすく、確実な穿孔が困難であり、手傷をおうことや、ガスを安全に噴出させられないことがあった。
【0004】
また、穿孔を促す適切な注視媒体が皆無のため、廃棄する個々においては、孔を開ける意識や穿孔の重要性の認識が欠けていた。また、注意の欠如のままに穿孔したり、穿孔せずに廃棄することから、事故につながることもあった。
また、自治体や収集業者やリサイクル業者においては、穿孔の有無判定や残留ガスの有無の判断を目視に頼っているのが現状であり、火災等の危険だけでなく、労働環境の悪化をきたし、疲労による見逃しを助長したり、分別の生産性の低下を招いたりして、分別収集コストやリサイクルコストを増大させるという一連の不具合があった。
【0005】
ガス缶の穿孔を補助する従来技術としては、特許文献1〜5が挙げられる。
例えば、特許文献1は、缶容器の底面を穿孔し、残留ガスを放出させられる穿孔用プレートを装着する手段を開示している。
しかしながら、従来技術では、穿孔の意識向上や確実簡易な穿孔は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−200024
【特許文献2】特開2004−331164
【特許文献3】特開2002−326195
【特許文献4】特開2000−142846
【特許文献5】特開平08−192877
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、簡易な構造でありながらも、安全確実な穿孔に作用し、穿孔の必要性や重要性の啓蒙にも作用するガス缶の穿孔構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のガス缶の穿孔構造体は次の構成を備える。
すなわち、ガス缶の穿孔を補助する構造体であり、ガス缶の表面に、ガス缶を穿孔する針先の配置を安定させる凹部を備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、凹部を穿孔部位として視認させる文様を、凹部近傍に設けて、安全確実な穿孔や、穿孔の必要性や重要性の啓蒙に寄与させてもよい。
【0010】
また、文様に、注意を喚起する文字情報の他に、アート性も有した模様も設けて、商品価値の向上に寄与させてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のガス缶の穿孔構造体によると、凹部によって針先の配置が安定し、安全確実な穿孔が行える。
また、凹部に伴う文様によって、穿孔位置が認識され安全確実な穿孔が行え、穿孔の必要性や重要性の啓蒙を行える。更に、文様に備わるアート性よって、商品価値が高まる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来技術による穿孔の様態を示す缶の側部一部断面図
【図2】本発明によるガス缶の正面図
【図3】同、凹部の側部一部断面図
【図4】別実施例の凹部を示す側部一部断面図
【図5】別実施例の凹部を示す側部一部断面図
【図6】別実施例の凹部を示すガス缶の正面図
【図7】別実施例のガス缶の正面図
【図8】別実施例のガス缶の正面図
【図9】別実施例のガス缶の正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、適宜設計変更可能であり、前記特許文献や従来公知の技術を援用可能である。
図2は、本発明によるガス缶の正面図である。
缶の表面(10)に、針の先端を安定配置させるための凹部(11)が設けられている。
【0014】
図3は、その凹部(11)の側部一部断面図である。
凹部(11)は、略円錐形で、径は、0.5〜3cm程度、好ましくは1〜2cm程度、深さは0.1〜1cm程度、好ましくは0.3〜0.6cm程度である。
【0015】
なお、図2のように、凹部(11)の最深部(12)に、目印を設けてもよい。また、最深部(12)に、更なる凹みを付加してもよい。
【0016】
図4は、別実施例の凹部(11)を示す側部一部断面図である。
本実施例の凹部(11)は、円錐の側面が曲面で構成されている。
【0017】
図5も、別実施例の凹部(11)を示す側部一部断面図である。
本実施例の凹部(11)は、円錐形ではなく球面で構成されている。
【0018】
図6も、別実施例の凹部(11)を示すガス缶の正面図である。
本実施例の凹部(11)は、略直線状の溝で構成されている。
このように、凹部(11)の形状は、針の先端を安定配置させられれば任意の形状が採用でき、例えば、曲線状の溝や渦巻き状の溝などでもよい。
【0019】
また、凹部(11)の形状や位置に一定の規格を設け、廃棄作業におけるコンベアライン上で一斉に、穿孔有無の識別や穿孔操作を行えるようにしてもよい。
【0020】
図7〜9は、別実施例のガス缶の正面図である。
凹部(11)の近傍に、その凹部の形状またはデザインと関連した模様(13)が付設されている。これによるアート性によって、凹部(11)の認知や穿孔の意識を向上させられる。
【0021】
凹部(11)の近傍には、また、穿孔の喚起する文言(14)も付設されている。
文言(14)には、製造者、販売者、銘柄名などの製品情報を含めてもよく、それら文言(14)にも模様(13)と共にアート性を付帯させ、製品としての知名度向上に寄与させてもよい。
このような模様(13)や文言(14)などの文様は、ガス缶に直接印刷してもよいし、シールとして別途貼り付けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明によると、安全確実な穿孔、穿孔する意識の啓蒙、更に、商品価値が高まり、安全な廃棄処理やリサイクルにも寄与し、産業上非常に有用である。
【符号の説明】
【0023】
10 缶の表面
11 凹部
12 凹部の最深部
13 模様
14 文言
20 穿孔用の針

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス缶の穿孔を補助する構造体であり、
ガス缶の表面に、ガス缶を穿孔する針先の配置を安定させる凹部を備える
ことを特徴とするガス缶の穿孔構造体。
【請求項2】
凹部を穿孔部位として視認させる文様を、凹部近傍に備える
請求項1に記載のガス缶の穿孔構造体。
【請求項3】
文様が、注意を喚起する文字情報の他に、アート性も有した模様も備える
請求項1または2に記載のガス缶の穿孔構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−179952(P2010−179952A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26979(P2009−26979)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(596029801)
【Fターム(参考)】