説明

ガラクトマンナンを含む組成物及びそのプロセス

本発明は、構造式Iで表され、任意で賦形剤と組み合わせられる、身体組成、並びに前糖尿病及び糖尿病の症状に関連する要素を改善するための、新規植物性化合物に関する。また、本発明は、身体組成、並びに前糖尿病及び糖尿病の症状に関連する要素を改善するための新規植物性化合物を製造するプロセスにも関する。また、本発明は、身体組成の改善、体脂肪の減少、除脂肪体重の増大、体力の向上及びグルコース代謝の異常の改善のための、新規植物性化合物の使用にも関する。また、本発明は、前糖尿病及び糖尿病の症状に関連する要素を改善するための新規植物性化合物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体組成を改善し、除脂肪体重(lean muscle mass)を増大し、脂肪を燃焼し、体力を向上し、及びグルコース代謝を改善することを特有の特徴とする、新規植物由来組成物に関する。
【0002】
また、本発明は、この化合物の、糖尿病と診断された対象における、及び前糖尿病(pre−diabete)の症状を呈する対象における使用にも関する。また、本発明は、この化合物の、体脂肪を減少し、除脂肪体重を増大し、及び身体組成を改善するための使用にも関する。該身体組成の改善は、グルコース代謝も改善する。本発明は、該化合物の、グルコース代謝に異常を有する対象における使用にも関する。また、本発明は、該組成物の、対象の筋肉量の増大及び体力の向上にも関する。
【0003】
また、本発明は、身体組成を改善し、除脂肪体重を増大し、脂肪を燃焼し、体力を増大し、及びグルコース代謝を改善するための前記化合物を調製する方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
糖尿病(Diabetes mellitus)は、内分泌疾患であり、2000年には1億7100万人が罹患しており、そして2030年までには、罹患者は3億6600万人に達すると予想される。この疾患は、血中グルコースレベルの制御の不調を特徴とする。これらのレベルは、膵臓のランゲルハンス島β細胞により分泌されるホルモンであるインスリンにより制御されている。膵臓のインスリン分泌の不調、又は分泌されたインスリンに対する耐性(インスリン耐性)は、2型糖尿病の主要な原因である。インスリン生産の不調は、既存の遺伝的要素と環境及び生活スタイルの選択との複雑な相互作用により引き起こされる。現代の国際社会において、肥満、運動不足、及び肥満の横行と連動する「エネルギー豊富で栄養に乏しい」加工食品、冷凍食品又は「インスタント」食品の濫用等の生活スタイルの選択は、糖尿病の発症の増大において、主要な役割を果たす。
【0005】
健康な身体において、グルコースは、血中グルコースレベルと膵臓ホルモンとの間の厳密にモニタリングされるフィードバック経路を通じて、インスリンにより効果的に制御されている。糖尿病の身体において、膵臓のβ細胞が不調により所望の量のインスリンを分泌しないため、血中グルコースレベルが増大する。代謝プロセス及び他の細胞機能のエネルギー供給源であるグルコース制御の不調は様々な代謝の不調を引き起こし、それらは、糖尿病の発症により引き起こされる長期間の慢性の症状である。2型糖尿病の発症後、複数の器官に影響を生じる多くの慢性の合併症が発症し、それらは、該疾患に関連する罹患率及び死亡率の原因である。故に、血中グルコースレベルの早期の診断及び迅速な管理は、糖尿病の管理において非常に重要である。
【0006】
糖尿病は、身体が血中の等分を吸収及び利用する過程に影響する。取り込む栄養の量と同等で、身体は、成長及びエネルギー生産に十分な量のグルコースを有しない。加えて、血中糖分のレベルが正常な個体と比較して、糖尿病患者において、筋タンパク質の損失及び負の窒素バランスを引き起こす異化活性も増大する。
【0007】
故に、この疾患を効果的に管理するためには、血中グルコースレベルの管理は、身体組成の改善と連動するべきである。
【0008】
糖尿病人口の増大以外に、他の緊急の課題は、「前糖尿病」の症状の驚くべき速度での拡大である。前糖尿病の症状において、身体の細胞は徐々に及び進行的にインスリン耐性の増大を示す。このインスリン刺激に対する耐性は、正常な血中グルコースレベルの超過を引き起こす。医学的に、血中グルコースレベルが増大した状態は、検出するのに使用された試験に依存して、耐糖能異常又は空腹時血糖異常(IGT/IFG)とも称される。それらは、これらの症状の1つを表す。
【0009】
血中グルコースレベルが増大したこの状態により、前糖尿病の個体は、糖尿病の状態に進行する傾向がある。加えて、それらは既に、糖尿病の症状に関連する不都合な慢性の健康上の影響を生じている場合がある。グルコースは、細胞のエネルギー源として使用されずに血中を循環するため、血中グルコースレベルは亢進する。例えば、前糖尿病のヒトの心臓血管疾患のリスクは、血中グルコースが正常なヒトと比較して、1.5倍になる。
【0010】
40〜74歳の成人の米国人中4100万人が、前糖尿病に罹患している。前糖尿病は、2型糖尿病の前症状である。肥満(体重指数BMI>30)、不摂生及び座ってばかりの生活スタイルは、前糖尿病を引き起こし得る。肥満は、インスリン耐性の根源的な原因であり、同様に、可逆的な前糖尿病の発症の鍵となる要因でもある。
【0011】
前糖尿病は、ヒトの血中グルコースレベルが異常なときに生じる症状であるが、この異常は、糖尿病の臨床的症状を何も呈していないので、糖尿病と診断されるものと見做されない。通常、前糖尿病の症状は、身体組成の変化により誘起される。
【0012】
身体組成の異常又は欠陥は、通常、脂肪の増大、特に中心性肥満として兆候が現れる。これらの蓄積した脂肪細胞は、ホルモンの貯蔵庫として振舞い、そしてインスリン感受性を阻害するサイトカインの分泌を開始する。これは、血中を循環するグルコース及びインスリンのレベルの増大を特徴とする、インスリン耐性と呼ばれる症状の始まりである。この血中インスリン及びグルコースのレベルの増大は、グルコースの脂肪への転換を引き起こし、更なる脂肪量の増大を引き起こす。これが悪循環の始まりであり、脂肪量が増大し続けることにより、除脂肪体重が減少する。筋肉量は、グルコースの取り込みを促進するのに必要である。故に、除脂肪体重の減少は、グルコース取り込みの低下を引き起こし、これが、既に増大したグルコースレベルの更なる増大に関与する。
【0013】
血中を循環するグルコースのレベルの増大は、膵臓のβ細胞に対する毒性(糖毒性(glucotoxicity))に関与する。実際に、β細胞の機能不全は、診断前の段階で始まる。加えて、World Health Organization又はthe American Diabetic Associationにより定められた基準に従い糖尿病が診断されるまでには、既に生じていた血中グルコースレベルの増大により、約40〜50%のβ細胞が機能不全に陥っている。
【0014】
脂肪量の増大と血糖値の上昇の組み合わせは、循環的プロセスであり、脂肪の増大及び除脂肪体重(骨格筋量)の減少を引き起こす身体組成の異常で始まる一連のカスケード段階としてまとめられ、これが、グルコース代謝の低下(診断前に)を引き起こし、やがて2型糖尿病に至る。
【表1】

【0015】
故に、体重の減少は、前糖尿病が糖尿病症状に進行するのを防ぐ/遅延させるのに、重要なステップであると結論付けられる。加えて、血中グルコースを減少させる性質は、前糖尿病の管理において有利である。
【0016】
加えて、研究により、体脂肪分布のIGT(耐糖能異常)及びIFG(空腹時血糖異常)における役割も示唆された。グルコースレベルが増大した女性は、正常な血糖値の女性よりも、皮下脂肪及び全体の脂肪量の蓄積が高度であることを特徴とする。故に、肥満症の程度、形態的な及び一時的な分布は、全て、前糖尿病の症状と関連していることが見出されている。インスリン耐性又は前糖尿病の全ての症状に対応する単一の解決策は存在しないので、これらの症状を改善するためには、多面的なアプローチが必要となる。
【0017】
目下のところ、前記前糖尿病の集団は、処置がなされていないが、症状の進行を防止し、及び脂肪過多に関連する他の慢性の症状を防止するためには、血糖値の管理だけでなく、身体組成の改善も必要である。前糖尿病以外に、身体の脂肪の増大(肥満)に関連する他の多くの症状(体脂肪増大に関連する症状)として:インスリン耐性、成人の2型糖尿病の発症、心疾患及び心臓発作、変形性関節炎、代謝疾患、多嚢胞性卵巣疾患等が存在する。
【0018】
糖尿病の管理は、血糖値の管理の治療と身体組成の改善を組み合わせることを必要とする。加えて、前糖尿病の人口は、生活スタイルの多様化及び近年定着しつつある座りがちの生活パターンに伴って増大している。
【0019】
これらの要素を考慮して、これらの全ての症状に対応する、治療的に有効な方策について、未だ満たされていない需要が存在する。
【0020】
トリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum):
フェヌグリーク(Fenugreek)トリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum)は最も古い薬用植物の一つで、マメ科植物のファミリーに属する。この植物は地中海地域、インド、北アフリカ、欧州及び中国に広く生育する。フェヌグリークはハーブ及び香辛料の両方として使用される。フェヌグリークの種子は、インドでは、主食穀物の一部として非常によく使用される。フェヌグリークの葉は、緑の葉の野菜として広く消費されており、カルシウム、鉄、βカロチン及び他のビタミンに富む。フェヌグリークは、アーユルヴェーダ及び中国医学において、古くから治療用に使用されている。フェヌグリークは、血糖値のコントロール、脂肪減少効果、炎症の抑制及び感染防御等の医学的特性を呈することが報告されている。また、この植物は、胃内容排出を遅延し、炭水化物吸収を緩慢化し、及びグルコース吸収を阻害するとも考えられている。
【0021】
フェヌグリーク種子の組成は、水分9%、灰3%、脂質3%、タンパク質26%及び澱粉6%である。加えて、フェヌグリーク種子は、繊維成分を45%、ゴム成分を20%、及び中性デタージェント繊維成分を28%含む。
【0022】
フェヌグリークの治療用途、即ち血糖値低下、グルコース及び炭水化物吸収の緩慢化、胃内容排出の遅延、並びに脂質及びコレステロール低下の効果は、フェヌグリーク種子中のゴムの存在に起因する。ゴムは、本来、消化及び排出のプロセスの過程で、分子の吸収を遅延させる特性を有する。また、それらは、胃内容排出を遅延させることにより、食欲の抑制に一定の役割を果たす。
【0023】
典型的には、ゴムは、疎水性又は親水性の高分子量分子で、適切な溶媒又は膨張剤中でゲル又は高粘度の懸濁液又は溶液を形成するコロイド的性質を有する。ゴムが適切な溶媒及び膨張剤を吸収する能力は、消化プロセス中のゴムの生理的効果の主要な理由である。
【0024】
種子は、ゴムの原料として歴史が古い。ほとんどの種子は、植物の初期の生長に使用するための主要な貯蔵栄養分として、澱粉を含有する。澱粉以外の多糖類を貯蔵栄養分として含有する種子も多く、それらの種子の一部のものは、食用ゴムを生産するために収穫される。これらの食用ポリマー又はゴムは、より一般的には、食物繊維と称されている。
【0025】
ゴム又は食物繊維は、グリコシル単位と称される糖の単位で構成される、直鎖化合物として存在する。直鎖は、数百のグリコシル単位を有し得る。幾つかの食用多糖類(繊維)は、グリカンと称される分岐鎖多糖類として存在する。これらの直鎖及び分岐鎖繊維の分子量はいずれも幅広く、2,000Da〜100,000Daである。直鎖多糖類と分岐鎖多糖類との間の重要な違いは、それらの溶液の粘度に対する寄与である。直鎖繊維の溶液の粘度は、分岐鎖繊維の場合よりも高い傾向がある。直鎖繊維で粘度が増大する性質は、直鎖分子の穏和な加水分解のためである。
【0026】
フェヌグリーク種子中のゴムを構成する主要な成分は、ガラクトース及びマンノースである。これらの糖は特定の割合で連結し、直鎖多糖類の繊維を形成する。これらの多糖類の糖は、内胚乳貯蔵物を形成する。フェヌグリークから取得されるゴム又は繊維は、粘性付与及び結合剤として大変適していることが知られている。加えて、フェヌグリークのガラクトマンナンは、マンノースとガラクトースの比率が1:1である点で、他のガラクトマンナンと比べてユニークである。また、既存の対応する物質と比べて、冷水への溶解度が良好である。また、本明細書に記載のフェヌグリーク由来ガラクトマンナンゴム又は食物繊維は、約30,000ダルトンである。これらのガラクトマンナンの抽出物により取得される収率は、15〜20%に限定されている。
【0027】
故に、繊維の生理的機能は、主として、特定の溶媒中で膨張し、及び所定の溶液の粘度を増大させる能力による。これらの2つの特性は、繊維の存在下での、胃内容排出の遅延及び分子吸収レベルの低下に寄与する。
【0028】
食物繊維は、上部消化管で代謝されない多くの様々な多糖類から構成される。よって、食物繊維が胃を通過して小腸及び大腸に至るときに、膨張及びレオロジーに関連する繊維の性質は、それらの生理的機能に寄与する。
【0029】
本来の膨化傾向により、食物繊維は、胃腸管を通過するときに、体積が顕著に増大する。故に、それらは、分子と小腸及び大腸との接触を減少させ、分子がそれらを素通りすることにより、糖等の分子の吸収を低下させる。加えて、それらは、小腸で分泌される胆汁を取り囲み、その再吸収を防ぐことにより、コレステロールの出発点である胆汁のアベイラビリティーを低下させる。また、媒体の粘度を増大させる性質は、胃内容排出を遅延させ、それにより、食欲の抑制を引き起こす。
【0030】
よって、これらの高分子量の多糖類は、GITの健康状態において、末梢的な影響(peripheral impact)を有すると結論付けられる。末梢的な影響とは、部位特異的な作用を指す。この作用は、血流に吸収されるものではないので、全身的ではない。これらの多糖類は分子量が大きいため、吸収することができない。よって、これらの高分子量の分子の作用は、それらが存在している部位に限定される。
【0031】
先行技術
米国特許出願20080027024号は、哺乳類において、満腹感の促進、体重減少の促進、血中グルコースレベルの低下、又は血中コレステロールレベルの低下をもたらすために使用される食物繊維を送達するように粘性を有する、グルコマンナン、キサンタンゴム及びアルギネートの組み合わせを記載する。この特許は、該書面に記載の機能を促進するための所望の粘性を達成するために、異なるゴムを組み合わせることを述べている。
【0032】
米国特許出願20070098号は、グルコマンナン及び1つ以上のガラクトマンナンからなる組成物を記載する。この特許において、記載されているグルコマンナンは、コンニャク植物の根又は球茎由来のものである。また、これらの多糖類を構成するグルコースとマンノースの比率は、5:8である。コンニャク植物由来のグルコマンナンの主要な点は、このグルコマンナンの分子量が、既知の食物繊維中で最も大きく、200,000〜2,000,000ダルトンであることである。分子量が巨大であることにより、血中に全く吸収されず、故に、対象の身体中で、末梢的な作用のみを有する。
【0033】
米国特許5847109号は、反復単位が50以上のフェヌグリーク由来ガラクトマンナンを含む組成物を記載する。この特許に係る組成物の分子量は、〜18,000ダルトンである。これは、高分子量の化合物である。高分子量の化合物であるから、血流中に吸収されない。食後のグルコースの減少、コレステロールの減少、及びインスリン応答の亢進に関する、この特許に記載されている効果は、任意の食物繊維の末梢的作用に関するものである。この作用は、部位特異的であり、小腸及び大腸において生じる。これらの分子は、分子量が大きく、ゴムであり、ゆえに、それらは小腸に侵入し、水を吸収し、膨張し、そして大腸内腔の多くの容積を占有し、これにより、糖の吸収を防ぎ、更に、コレステロールを生じる胆汁の再吸収を防ぐ。この組成物の末梢的作用は、その生理学的機能による。この組成物は分子量が大きいため血流中に吸収されず、ゆえに、全身的作用を生じ得ない。
【0034】
米国特許7141254号は、トリゴネリン、アミノ酸及びガラクトマンナンを含む、糖尿病治療用組成物に関する。また、この特許において、ガラクトマンナンは10〜60%存在する。加えて、トリゴネリン及びアミノ酸から独立してのガラクトマンナンの効果のデータは存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
発明の目的
本発明の主要な目的は、精製された新規植物性化合物の開発である。本発明の他の目的は、糖尿病及び前糖尿病の症状に関連する要素を改善することである。
【0036】
本発明の他の目的は、体脂肪を減少し、それにより筋肉量を増大させ、及び身体組成を改善させるための、本発明の精製化合物の使用である。
【0037】
本発明の更なる他の目的は、糖尿病及び前糖尿病の症状が診断された対象の血中グルコースレベルを健康な値に維持するための、前記精製化合物の使用である。他の目的は、前糖尿病の症状が2型糖尿病に進行するのを遅延させ、又は防ぐことである。
【0038】
本発明の更なる他の目的は、インスリン様メカニズムにより、細胞のグルコース取り込みを促進するための、前記精製化合物の使用である。本発明の更なる他の目的は、体重を減少することにより、身体組成を改善し、そして筋肉量を増大させるための、前記精製した新規植物性化合物の使用である。
【0039】
本発明の更なる他の目的は、糖尿病、前糖尿病の症状に関連する要素を改善するため、体重減少により身体組成を改善するため、及び筋肉量を改善するために使用される、前記精製した新規植物性組成物を、調製するプロセスを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0040】
発明の提示
よって、本発明は、構造式I
【化1】

で表される化合物を提供する。
【0041】
また、本発明は、構造式I
【化2】

で表される化合物、及び医薬として許容される添加物を含む、前糖尿病及び糖尿病の症状に関連する要素を改善するために使用される組成物に関する。
【0042】
また、本発明は、構造式I
【化3】

で表される、植物トリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum)由来の化合物を調製するプロセスにも関し、ここで、該プロセスは:脂肪分を除去するために、削った種子を脂肪族炭化水素溶媒及びハイドロアルコール(hydro alcohol)を用いて抽出し;該抽出物を濃縮して半固形物を取得し;濃縮した物質を溶解して透明な溶液を取得し;透明な溶液をイオン交換樹脂に通して、窒素塩基及びイオン性塩基を除去することにより、浄化した溶液を取得し;該浄化した溶液を吸着カラムに通すことにより、活性化合物を吸着させ;そして得られた透明な溶液を濃縮し、これを減圧下で乾燥させることにより、式Iで表される化合物の粉末を取得する工程を含む。
【0043】
更に、本発明は、処置を必要とする対象における前糖尿病及び糖尿病の症状を処置する方法にも関し、該方法は、対象に、医薬有効量のトリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum)由来の構造式I
【化4】

で表される化合物を、任意で医薬として許容される添加物と一緒に投与する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】構造式Iの化合物のHPLCクロマトグラムを表す。
【図2】構造式Iの化合物のLC−MSクロマトグラムを表す。
【図3】構造式Iの試験化合物の体重に対する影響の試験において取得された結果の柱状図を表す。
【図4】構造式Iの試験化合物のテストステロンレベルに対する影響の柱状図を表す。
【図5】構造式Iの試験化合物の身体組成に対する影響を示すグラフを表す。
【図6】構造式Iの試験化合物の体力に対する影響を示すグラフを表す。
【図7】構造式Iの試験化合物がグルコースを細胞内に移動させる能力を示す柱状図を表す。
【図8】構造式Iの化合物の除脂肪体重に対する影響を示すグラフを表す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、構造式I
【化5】

で表される化合物に関する。
【0046】
本発明の他の態様において、前記化合物は、分子量が200〜1000ダルトン、好ましくは約705ダルトンの低分子量ガラクトマンナンである。
【0047】
本発明のなおも他の態様において、前記化合物は、C244823の分子式を有する。
【0048】
本発明の更なる他の態様において、前記化合物は、植物トリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum)から取得される。
【0049】
本発明の更なる他の態様において、前記化合物は、身体組成、体力、並びに前糖尿病(pre−diabete)及び糖尿病の症状に関連する要素を改善するためのものである。
【0050】
本発明の更なる他の態様において、前記化合物は、図1に記載のHPLCクロマトグラムが得られる。
【0051】
本発明の更なる他の態様において、前記化合物は、図2に記載のLC−MSクロマトグラムが得られる。
【0052】
本発明は、構造式I
【化6】

で表される化合物を、任意で医薬として許容される添加物を共に含む、身体組成、体力、並びに前糖尿病及び糖尿病の症状に関連する要素を改善するための組成物に関する。
【0053】
本発明の他の態様において、前記組成物は、前記添加物が、造粒剤、結合剤、平滑剤、崩壊剤、甘味料、着色料、香料、コーティング剤、可塑剤、保存料、懸濁化剤、乳化剤及び球形化剤(spheronization agent)を含む群から選択される。
【0054】
本発明のなおも他の態様において、前記組成物は、錠剤、トローチ、薬用キャンディー(lozenge)、水性又は油性懸濁物、分散する粉末又は顆粒、ハード又はソフトゲルカプセルに詰めるエマルジョン、シロップ及びエリキシールを含む群から選択される様々な剤形で製剤化される。
【0055】
本発明の更なる他の態様において、前記化合物は、トリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum)の植物部分から取得される。
【0056】
本発明の更なる他の態様において、前記組成物は、前記植物部分が、根、シュート、葉、種子、植物全体を含む群から選択され、好ましくは種子である。
【0057】
本発明の更なる他の態様において、前記組成物は、非毒性で、副作用が無い。
【0058】
本発明の更なる他の態様において、前記組成物は、前記前糖尿病及び糖尿病の症状が、身体組成の貧弱化、除脂肪体重の低下、脂肪燃焼の低下、体力の低下、グルコース代謝異常、インスリン耐性の増大、血中グルコースの増大、心臓血管疾患、肥満及び2型糖尿病の症状を含む。
【0059】
本発明は、構造式I
【化7】

で表される化合物を、トリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum)から調製するプロセスであり、以下の:脂肪分を除去するために、削った種子を脂肪族炭化水素溶媒及びハイドロアルコールを用いて抽出し;該抽出物を濃縮して半固形物を取得し;濃縮した物質を溶解して透明な溶液を取得し;透明な溶液をイオン交換樹脂に通して、窒素塩基及びイオン性塩基を除去することにより、浄化した溶液を取得し;該浄化した溶液を吸着カラムに通すことにより、活性化合物を吸着させ;そして得られた透明な溶液を濃縮し、これを減圧下で乾燥させることにより、式Iで表される化合物の粉末を取得する工程を含む、前記プロセスに関する。
【0060】
本発明の他の態様において、前記抽出は、3〜12時間、好ましくは約10時間実施される。
【0061】
本発明のなおも他の態様において、前記抽出は、30℃〜40℃の温度範囲で、好ましくは約35℃で実施される。
【0062】
本発明の更なる他の態様において、前記脂肪族炭化水素溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びシクロヘキサンを含む群から選択され、好ましくはヘキサンである。
【0063】
本発明の更なる他の態様において、前記抽出用のハイドロアルコールの比率は、1:9〜9:1であり、好ましくは約1:7である。
【0064】
本発明の更なる他の態様において、前記抽出物は、45℃〜55℃の温度範囲で、好ましくは約50℃で、減圧下で濃縮される。
【0065】
本発明の更なる他の態様において、前記物質は、脱イオン水に溶解させられる。
【0066】
本発明の更なる他の態様において、前記イオン交換樹脂は、カチオン交換ゲル型樹脂である。
【0067】
本発明の更なる他の態様において、式Iで表される化合物の収率は、約32gm/フェヌグリーク種子1000gmである。
【0068】
本発明の更なる他の態様において、式Iで表される化合物の純度は、90%〜97%、好ましくは約95%である。
【0069】
本発明の更なる他の態様において、前記抽出物は、50℃〜75℃の温度範囲で、好ましくは約50℃で、減圧下で濃縮される。
【0070】
本発明は、治療を必要とする対象の前糖尿病及び糖尿病疾患の症状を処置する方法であり、該対象に、医薬的に有効な量の構造式I
【化8】

で表される化合物を、任意で医薬として許容される添加物と共に投与する工程を含む、前記方法に関する。
【0071】
本発明の他の態様において、前記前糖尿病及び糖尿病の症状は、身体組成の貧弱化、除脂肪体重の低下、脂肪燃焼の低下、体力の低下、グルコース代謝異常、インスリン耐性の増大、血中グルコースの増大、心臓血管疾患、肥満及び2型糖尿病の症状を含む。
【0072】
本発明のなおも他の態様において、前記添加物は、造粒剤、結合剤、平滑剤、崩壊剤、甘味料、着色料、香料、コーティング剤、可塑剤、保存料、懸濁化剤、乳化剤及び球形化剤を含む群から選択される。
【0073】
本発明の更なる他の態様において、前記組成物は、錠剤、トローチ、薬用キャンディー(lozenge)、水性又は油性懸濁物、分散する粉末又は顆粒、ハード又はソフトゲルカプセルに詰めるエマルジョン、シロップ及びエリキシールを含む群から選択される様々な剤形で製剤化される
【0074】
本発明の更なる他の態様において、前記対象は動物又は人類である。
【0075】
本発明の更なる他の態様において、前記化合物は、例えばインスリン様作用、血糖値の低下、身体の衰弱の防止、身体組成の改善、体脂肪の減少及び除脂肪体重の増大等、前糖尿病及び糖尿病の症状を改善する。
【0076】
本発明の更なる他の態様において、前記組成物は、トリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum)の植物部分から取得される。
【0077】
本発明の更なる他の態様において、前記化合物が、根、シュート、葉、種子、植物全体を含む群から選択される植物部分から、好ましくは種子から取得される。
【0078】
本発明の一つの態様は、図1のHPLCクロマトグラムで特徴付けられ、任意で医薬として許容される賦形剤と共に使用され、身体組成を改善し、及びグルコース代謝の異常を改善するために使用される、植物性化合物に関する。本発明の他の態様において、前記化合物は、好ましくはトリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum)である植物性原料に由来する。本発明の他の側面において、前記化合物は、分子量が200〜1000ダルトンの低分子量化合物である。本発明の他の態様において、前記化合物はアンドロゲン活性を有しない。
【0079】
本発明の他の態様は、図1のHPLCクロマトグラムが得られる植物性化合物の生産プロセスに関し、ここで、該プロセスは、サイズを小さくするために種子を削り、脂肪族炭化水素溶媒を用いて油脂及び脂質を除去し、脂肪族アルコール溶媒を用いて抽出し、不要な化合物を除去し、そして濃縮及び乾燥して、粉末を取得する工程を含む。本態様の一つの側面は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びシクロヘキサンからなる群から選択され、好ましくはヘキサンである、脂肪族炭化水素溶媒に関する。本態様の他の側面は、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選択され、好ましくはエタノールである、水性脂肪族アルコール溶媒に関する。本態様の他の側面において、前記抽出は、30〜40℃の温度範囲で、好ましくは35℃で行われる。本態様の他の側面において、前記抽出は、3〜10時間、好ましくは10時間行われる。本態様の他の側面は、0〜95%の範囲の植物性化合物の精製に関する。
【0080】
本発明の他の態様は、身体組成及びグルコース代謝異常を改善するための、図1のHPLCクロマトグラムで特徴付けられる植物性化合物、及び構造式1で表される化合物の使用に関する。本態様の他の側面は、体脂肪を減少し、及び筋肉量を増大するための、前記化合物の使用に関する。本発明の他の側面は、体力を増大するための、前記化合物の使用に関する。本発明の他の側面は、グルコース代謝異常を改善するための、前記化合物の使用に関する。
【0081】
本発明の他の態様は、構造式1で表され、そして図1のHPLCクロマトグラムが得られる化合物の、前糖尿病及び糖尿病の症状に関する要素を改善するための使用に関する。本態様の他の側面は、前糖尿病及び糖尿病の症状に関連する要素に関し、ここで、前糖尿病及び糖尿病の症状に関連する要素の改善は、インスリン様作用、血糖値の低下、身体組成の改善、体脂肪の減少、及び除脂肪体重の増大を含む群から選択される。
【0082】
本発明は、糖尿病及び前糖尿病の症状に関連する要素を改善し、図1に示すHPLCフィンガープリントを有し、更に、図2に示されるLC−MSクロマトグラムにより特徴付けられる新規植物性化合物及びその誘導体に関する。また、本発明は、本明細書中に図示したプロセスによる、この新規植物性化合物の製造方法に関する。本発明は、体脂肪を減少又は燃焼することにより、及び筋肉量を増大させることにより身体組成を改善するための、前記化合物の使用に関する。また、本発明は、治療が必要な対象の体力を増大させるための、前記化合物の使用に関する。また、本発明は、血糖値改善し、並びに糖尿病及び前糖尿病の症状に関連する身体組成の要素を改善するための、前記植物性化合物の使用に関する。また、本発明は、糖尿病及び前糖尿病の症状に関連する身体組成の効果的な管理を促進するための、前記植物性化合物の使用に関する。
【0083】
本発明の他の態様において、構造式Iで表される化合物は、図1で示されるフィンガープリントを有し、及び任意で賦形剤と組み合わされる。本発明の他の態様において、前記化合物は、図2に示されるLC−MSクロマトグラムにより特徴付けられ、及び任意で賦形剤と組み合わされる。他の態様において、前記化合物はフェヌグリーク種子に由来し、態分子量の化合物であり、分子量は705ダルトンである。本発明の他の態様において、前記組成物は、対象の身体に全身的な効果を有する。本発明の更なる他の態様において、本発明は、脂肪を減少又は燃焼することにより、及び筋肉量を増大することにより、身体組成を改善するための、化合物の使用に関する。この筋肉量の増大は、体力の向上も引き起こす。
【0084】
他の態様において、本発明は、インスリン様の機序で、細胞内にグルコースを移動させるための、前記化合物の使用に関する。更なる他の態様において、本発明は、治療を必要とする対象の血糖値を低下させるための、前記化合物の使用に関する。
【0085】
本発明の他の態様において、前記賦形剤は、添加物、ゴム、甘味料、コーティング剤、結合剤、崩壊剤(disintegrant)、滑剤、分解剤(disintegration agent)、懸濁剤、溶媒、着色料、流動促進剤、抗付着剤(anti−adherent)、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤、乳化剤、香料、粘性促進剤及び抗酸化剤を含む群から選択される。
【0086】
本発明の更なる他の態様において、前記組成物は、液体、粉末、カプセル、錠剤、注射剤、パッチ、軟膏、ゲル、乳濁液、クリーム、ローション、歯磨き剤、スプレー及びドロップ等の剤形に製剤化される。本発明の更なる他の態様において、前記化合物は、粉末又は液体のいずれかである。
【0087】
また、本発明は、新規植物性化合物を調製するプロセスに関し、該プロセスは、以下の:
1.抽出のための調製:フェヌグリークを削ってサイズを減少させる
2.油脂及び脂質を除去する
3.水性アルコール溶媒で抽出する
4.アルカロイド、窒素化合物、高分子量極性化合物及びサポニンを除去する
5.濃縮及び乾燥して粉末を取得する
工程を含む。
【0088】
また、本発明は、図1に示されるフィンガープリントにより更に特徴付けられる式Iで表される本発明の化合物を、任意で賦形剤と組み合わせて、糖尿病及び前糖尿病の症状に関連する要素を改善し、及び体脂肪を減少することにより身体組成を改善し、そして筋肉量を増大させるための医薬を製造するために使用することにも関する。該植物性化合物の純度は、0〜95%、好ましくは90%である。
【0089】
本発明の更なる他の態様において、前記化合物は、粉末又は液体のいずれかであり、副作用は最小限に抑えられる。
【0090】
本発明の一つの態様において、構造式Iで表され、更に図1のフィンガープリントで特徴付けられる、フェヌグリーク種子由来の、前記化合物の単離は、以下に記載するプロセスを含む:
主に高分子量化合物(例えばフェヌグリーク種子)及び低分子量水溶性生物活性化合物を含む異なる種子材料から、前記化合物を単離した。それらは、分子量1000〜200以下の化合物のみ抽出できる特別な方法で単離された。前記種子は、ローラーフレーキング装置を使用して、厚さ1mm〜8mmのサイズに削られた。好ましくは厚さ1mmのサイズに削ることにより、内核の効果的な露出が達成される。該削られた種子は、底面フィルターが取り付けられた抽出装置に充填された。溶媒と共に種子の破片がフィルターを通過しない適切なフィルターのメッシュサイズは200メッシュであった。ヘキサン、ヘプタン、オクタン、及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒を、好ましくはヘキサンを、前記充填された種子の層に浸透させる。浸透させられた脂肪族炭化水素の層を10〜12時間循環させられ、最終的には種子の破片の油脂及び脂質は完全に抜ける。この脂肪族炭化水素により抽出された種子の破片を、水とアルコールの比率が1:1〜9:1、好ましくは1:7の水性脂肪族アルコールを含む溶媒混合物を溶媒として、再び抽出に付する。該アルコールは、アルコール溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロパノールであってもよく、好ましくはエタノールである。該水性アルコール混合物は、浸透装置中の前記種子の層を上から下に通過する。この溶媒を循環させるプロセスは、室温で、3〜10時間、好ましくは8時間続けられた。
【0091】
浸透装置の底部の透明な抽出液に懸濁粒子が無いか視覚的に検査され、必要に応じて再び濾過される。該透明な濾液を、糊状の塊になるまで、50〜75℃、好ましくは55℃の温度で減圧濃縮する。該ペーストを脱イオン水中に再溶解して、固体の分量が2%前後の透明な溶液にする。この透明な溶液を、流入液からアルカロイド及び他の窒素化合物を除去できる強酸アニオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂カラムに通す。カラムを通過した液体は塩基性化合物が失われ、他のアミノ酸は、流入液から全ての高分子極性化合物及びサポニンを除去できるポリマー吸着剤amberlyt XAD-761からなる吸着カラムを通過する。カラムを通過した液体は、固体の濃度が50%になっており、これを並流スプレードライヤー中で乾燥して、粉末を取得した。
【0092】
前記精製した化合物を単離する全プロセスは、以下の工程からなり、これらの工程を経て前記低分子量化合物が得られ、該低分子量化合物は、薄層クロマトグラフィーで展開され、続いて10%アルコール硫酸がスプレーされ、そして加熱されることで糖として検出されるものである。:
1.効果的に脱脂、抽出及びプロセシングが行われるように、種子(フェヌグリーク)を削って内核を露出させる。
2.効果的に種子の脱脂が行われるように、脂肪族炭化水素溶媒を該フェヌグリーク層に繰り返し通す。
3.効率的な抽出が行われるように、該削られた種子を浸透装置に充填し、そして脂肪族アルコール及び水を含む溶媒混合物を通す。
4.インプットの完全性を確保するために、該溶媒を低温で減圧濃縮し、得られた物質を脱イオン水に溶解して、透明な溶液を得た。
5.得られた透明な溶液をイオン交換カラムに通して、全ての窒素化合物及びイオン性塩基を除去する。
6.得られた透明な溶液をポリマー吸着剤XAD−761に通して、サポニン及び項分子量の化合物を担持させる。
7.得られたアウトレット溶液を、固体が50%の溶液になるまで低温で濃縮した。
8.該溶液を減圧トレイドライヤー又はスプレードライヤーを用いて乾燥し、自由に流動する粉末(free flowing powder)を得る。
【0093】
本発明の生産物の用量
ヒトにおける用量は、1kgあたり1mg〜100mgであり、脂肪燃焼、除脂肪体重増大、体力向上及び前糖尿病症状のコントロールには、好ましくは6.5mgである。糖尿病のコントロールには、1kgあたり2mg〜100mg、糖尿病のコントロール及び糖尿病における体重減少の回復のためには、好ましくは1kgあたり10mgである。ラットにおける用量は、1kgあたり10mg〜200mgであり、脂肪燃焼及び除脂肪体重の増大には、好ましくは35mgである。また、糖尿病の症状における血糖値の低下には、1kgあたり60mgである。
【実施例】
【0094】
本願の技術は、以下の実施例により更に詳述される。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるものではない。
【0095】
実施例1
水分含有量が7%未満のフェヌグリーク種子1000gを、ローラーフレーキング装置中で、厚さが5mmになるまで削った。該削られた材料を、ベッド高さが300mmのカラムに充填した。ヘキサン5lを該フェヌグリークの層に通して、底部から回収したその溶出液を再び該フェヌグリーク層に通し、これを35℃で10時間続けた。10時間後、フェヌグリーク層からヘキサンを除去した。イソプロピルアルコール及び水を4:1で含む溶媒混合物(8リットル)を前記層に通して、溶出液を再利用し、これを35℃で8時間続けた。8時間後、フェヌグリークベッドから全ての抽出液を抜き取った。回収された抽出液を50℃で減圧濃縮して、半固形の物質を得た。該濃縮塊を、5リットルの脱イオン水に再び溶解して、透明な溶液を得た。該透明な水溶液を、500mlのマクロ多孔形態の強酸カチオン交換樹脂を充填したカラムに、2時間かけて通した。
【0096】
カラム溶出物をTLCスクリーニングにかけ、アルカロイド及びアミノ酸等の窒素化合物の存否を確認した(TLCシステムは、ブタノール、酢酸、水が12:8:2の比率で構成される)。Ninhydrin試薬を使用して検出が行われた。カラムを通って出てきた液体を、Amberlite XAD−761を含む750mlの樹脂のベッドに、3時間以上かけて通した。前記排出液から回収されたカラムの残余は、減圧下50℃未満で濃縮され、濃厚なペーストが得られ、これを、以下の条件の小型スプレードライヤー中でスプレー乾燥させる。
注入温度:160℃
排出温度:80℃
アトマイザーRPM:12000
収量 32グラム
【0097】
実施例2
水分含有量が7%未満のフェヌグリーク種子1000gを、ローラーフレーキング装置中で、厚さが5mmになるまで削った。該削られた材料を、ベッド高さが300mmのカラムに充填した。ヘキサン5lを該フェヌグリークの層に通して、底部から回収したその溶出液を再び該フェヌグリーク層に通し、これを35℃で10時間続けた。10時間後、フェヌグリーク層からヘキサンを除去した。エチルアルコール及び水を4:1で含む溶媒混合物(8リットル)を前記層に通して、溶出液を再利用し、これを35℃で8時間続けた。8時間後、フェヌグリークベッドから全ての抽出液を抜き取った。回収された抽出液を50℃で減圧濃縮して、半固形の物質を得た。該濃縮塊を、5リットルの脱イオン水に再び溶解して、透明な溶液を得た。該透明な水溶液を、500mlのマクロ多孔形態の強酸カチオン交換樹脂を充填したカラムに、2時間かけて通した。カラム溶出物をTLCスクリーニングにかけ、アルカロイド及びアミノ酸等の窒素化合物の存否を確認した(TLCシステムは、ブタノール、酢酸、水が12:8:2の比率で構成される)。Ninhydrin試薬を使用して検出が行われた。カラムを通って出てきた液体を、Amberlite XAD−761を含む750mlの樹脂のベッドに、3時間にわたり通した。前記排出液から回収されたカラムの残余は、減圧下50℃未満で濃縮され、濃厚なペーストが得られ、これを、以下の条件の小型スプレードライヤー中でスプレー乾燥させて、微細な粉末を得た。
【0098】
上記化合物のH.P.L.Cは、検出用の逆相カラム及びELSD検出装置を使用して実行された。結果は、マーカー1が主要な化合物であり(純度91%)、残りは少量の化合物であった。HPLCの条件を以下に示す。
【表2】

【0099】
同様に、LC−MSの条件を、以下に示す。
【表3】

【0100】
実施例3:
水分含有量が7%未満のフェヌグリーク種子1000gを、ローラーフレーキング装置中で、厚さが6mmになるまで削った。該削られた材料を、ベッド高さが300mmのカラムに充填した。ヘキサン5lを該フェヌグリークの層に通して、底部から回収したその溶出液を再び該フェヌグリーク層に通し、これを35℃で10時間続けた。10時間後、フェヌグリーク層からヘキサンを除去した。メタノール及び水を4:1で含む溶媒混合物(8リットル)を前記層に通して、溶出液を再利用し、これを35℃で8時間続けた。8時間後、フェヌグリークベッドから全ての抽出液を抜き取った。回収された抽出液を50℃で減圧濃縮して、半固形の物質を得た。該濃縮塊を、5リットルの脱イオン水に再び溶解して、透明な溶液を得た。該透明な水溶液を、500mlのマクロ多孔形態の強酸カチオン交換樹脂を充填したカラムに、2時間かけて通した。カラム溶出物をTLCスクリーニングにかけ、アルカロイド及びアミノ酸等の窒素化合物の存否を確認した(TLCシステムは、ブタノール、酢酸、水が12:8:2の比率で構成される)。Ninhydrin試薬を使用して検出が行われた。カラムを通って出てきた液体を、Amberlite XAD−761を含む750mlの樹脂のベッドに、3時間にわたり通した。前記排出液から回収されたカラムの残余は、減圧下50℃未満で濃縮され、濃厚なペーストが得られ、これを、以下の条件の小型スプレードライヤー中でスプレー乾燥させた。
注入温度:160℃
排出温度:80℃
アトマイザーRPM:12000
【0101】
以下の実施例において、言及されている試験化合物は、本発明の新規植物性化合物である。
【0102】
以下の実施例は、身体組成、体力及び血糖値に対する、前記新規植物性化合物の効果を判定ために行われた。
【0103】
BMI>30として定義される身体組成の異常は、前糖尿病の症状及び糖尿病の症状の主要な原因で、特徴的なものである。以下の実験は、新規植物性化合物の、体脂肪を減少し、及び身体組成を改善する能力を反映する。また、体脂肪の減少による身体組成の改善は、筋肉量の増大とも解釈され、これも、以下の実施例により反映される。筋肉量の低下は、糖尿病の発生後の重大な症状である。以下の実施例も、本発明の新規化合物の筋肉量増大に対する効果を反映するものと見做される。筋肉量の増大は身体組成を改善し、そして糖尿病に関連する異化活性及び筋組織崩壊を低下させる
【0104】
実施例4:
構造式Iの試験化合物の身体組成に対する効果
体重約55g(±5g)の未成熟雄ウィスターラットを試験用に選択した。これらのラットは、麻酔用エーテルで麻酔され、そして去勢された。処置の4週間後、動物をサクリファイスし、そして精嚢及び腹側前立腺、及び肛門挙筋を注意深く切開し、計量した。動物の体重は、試験の最初及び最後に登録した。精嚢及び腹側前立腺の重量の増大はアンドロゲン活性を暗示し、一方肛門挙筋の増大は、代謝活性を暗示する。
【0105】
試験化合物(10mg/kg p.o)により4週間処置したものは、ラットの体重に変化は無かったが、テストステロン(10mg s.c 週2回)処理群及び試験化合物(35mg/kg p.o)処理群は、コントロール群と比較して、体重の顕著な増大を示した。この試験の結果は、図3の柱状図にまとめられている。
【0106】
試験化合物(10及び35mg/kg)は、雄の生殖系器官、即ち前立腺、精嚢及び陰茎の重量を増大させなかった。これは、試験化合物は、前記動物に対して同化作用を有するが、アンドロゲン作用を有しないことを示す点で重要な結果である。また、該試験化合物が、肛門挙筋の重量の顕著な増大を示したことも注目すべきである。
【0107】
試験化合物の非アンドロゲン効果:
また、前記体重及び筋肉量の増大が、アンドロゲン活性によるものである可能性を排除するために、血清中のテストステロンレベルを測定した。
【0108】
約55g(±5g)の未成熟な雄のウィスター系ラットを、試験用に選択した。これらのラットは、麻酔用エーテルで麻酔され、そして去勢された。処置の4週間後、逆眼穿孔(retro orbital puncture)によりラットから血液を回収し、血清中のテストステロンを解析した。血清中のテストステロン量の測定には、ラジオイムノアッセイ(RIA)キットを使用した。
【0109】
全体の血清テストステロンレベルは、35mg/kg p.oの用量で毎日処置した後でも顕著な増大が認められず、これは注意すべき重要かつ興味深いことである。本試験の結果は、図4の柱状図に示されている。
【0110】
実施例5:
試験化合物の効率を確認するための臨床試験
続いて、49人の処置を受けていないボランティアにおける、二重盲検かつ偽薬を対照とした試験により、試験化糖物の安全性及び効率を評価した。この2ヶ月の試験は、試験化合物を500mgを投与して行われ、ボランティアは、週4日レジスタンストレーニングを行った。この試験の過程で、試験化合物の身体組成(脂肪率)及び体力が評価された。
【0111】
身体組成:
生体電気インピーダンス及び流体静力学的計量(hydrostatic weighing)により、身体密度を解析した。これらのパラメーターに基づき、除脂肪量が計算された。
【0112】
図5によると、8週間の試験期間中、試験生産物は、体脂肪を12%まで減少させたと結論付けられる。これは、顕著な減少と言える。身体組成は、身体中の骨、脂肪及び筋肉のパーセンテージを記述するのに使用される。体重が一定でありながら体脂肪が減少した場合、筋肉量が増大したことになる。試験化合物は、体脂肪を減少させたが、体重を維持させた。故に、試験化合物により、筋肉量は増大した。
【0113】
体力
この生産物は、筋肉量を増大させるのに使用されたので、試験化合物のボランティアの体力に対する効果が評価された。これは、ベンチプレス及びレッグプレス運動のアイソトニック反復を実施することにより行われた。体力の増大は、これらの2つの運動の過程で持ち上げられた重量の増大に基づいて判定された。
【0114】
ベンチプレス及びレッグプレスで持ち上げられた重量の増大から、顕著な体力の増大が認められた。ベンチプレスにおいては偽薬群と比較して100%、レッグプレスにおいては偽薬群と比較して80%増大が認められた。この増大は、偽薬群と比較して統計的に有意であり、試験化合物の体力増強における効率を反映する。この試験の結果を、図6に示す。
【0115】
実施例6:
細胞内にグルコースを移動させる試験化合物の能力:インスリン様作用
この実施例は、試験化合物で処理した3T3−L1細胞における、濃度依存的デオキシ−D−グルコース,2−(1−14C)の取り込みの時間及び濃度依存的取り込みを試験する。
【0116】
24ウェルプレートで3T3−L1細胞を培養(DMEM+FBS)し、これを5μg/ml及び50μg/mlの試験化合物で10分間又は30分間処理した。100nMのインスリンで処理した細胞を陽性コントロールとして使用した。TopCount(Packard)を用いて、放射能(cpm)を測定した。
【0117】
この実験により、10分間のインスリン処理による刺激でグルコースの取り込みが1.74倍になることが示された。試験化合物による細胞の処理において、5μg/mlの用量で、グルコースの取り込みが増大した。この実験は、CHO−GLUT4eGFP細胞のGLUT4移動のビデオイメージングの結果と一致する。本実験の結果を、図7の柱状図に示す。
【0118】
上記実験から、試験化合物がインスリン様作用を模倣して、細胞内にグルコースを移動させることが証明される。
【0119】
実施例7:
アロキサンで誘導した糖尿病の早期段階における血糖値及び体重に対する試験化合物の効果
アロキサン一水和物(160mg/kg i.p.)を雄のウィスター系ラットに注射して、糖尿病を誘導した。注射の48時間後、グルコース測定キットを使用して、血中グルコースレベルを判定した。血中グルコースレベルが300mg/dlを越える動物を選択して、各群が6頭のラットを有する4つの群に分けた。
群1:非糖尿病コントロール
群2:糖尿病コントロール
群3:試験化合物(60mg/kg)
群4:ピオグリタゾン(標準薬物)(5mg/kg)
【0120】
前記動物に、各薬物の溶液を30日間所定の用量投与した。処理後0日、15日及び30日に、血糖値及び体重を解析した。
【0121】
血糖レベル:
眼窩後採血により取得した血液を、4℃で15分間7000rpmで遠心分離することにより、血清を取得した。取得した血清を、血糖レベルを判定するために収集した。下記表に、様々な群の血糖レベルのデータを示す。
【0122】
【表4】

【0123】
試験化合物で処理した群は、処理後30日で、血糖レベルの顕著な減少(55%減少)を示した。ピオグリトゾン群は、標準薬物モデルとして使用された。試験化合物は、優秀な糖尿病抑制能力、及び上昇した血糖レベルを低下させる能力を示した。
【0124】
アロキサンは、ラットにおいて糖尿病を実験的に誘導するのに通常使用される。その効果は、ラットの膵臓のβ細胞に対する選択的な作用に基づく。この化合物は構造的にグルコースに類似するため、GLUT2分子によりラット膵臓のβ細胞中に取り込まれる。故に、アロキサンを使用することにより、この化合物に対するβ細胞の保護を評価することが出来る。β細胞のダメージは、血糖レベルの増大と連動している。故に、β細胞の保護は、アロキサン処理後にもかかわらず血中グルコースレベルが減少することから示唆される。
【0125】
この実験は、アロキサンの存在下にもかかわらず血糖レベルを減少させる試験化合物の能力を反映し、故に、試験化合物が膵臓のβ細胞に対する予防効果を反映する。
【0126】
上記実験により、試験化合物は、糖尿病の症状及び前糖尿病の症状において、血糖レベルを低下させる能力を有すると結論付けられる。加えて、試験化合物は、膵臓のβ細胞におけるアロキサンの作用に対しても、予防効果を有する。この実験結果は、この化合物が、糖尿病及び前糖尿病の症状の両方に使用され得ることを示す。
【0127】
体重:
非糖尿病ラットにおいて、平均体重は顕著に増大していた。非糖尿病群と比較して、糖尿病群の体重は、顕著に減少していた。試験化合物で処理した群において、0日における体重は185.16で、30日では240.83であった。この実験は、試験化合物で処理した動物における体重の増大を示した。また、これらの動物は、良好な糖尿病の抑制も示した。試験化合物で処理した動物の体重の増加は29%であり、これは、非処理の津男尿病動物の体重が9%減少していたのと比較して、優秀な結果であった。下記の表において、各処理を施した群の体重の変化のパーセンテージを示す。
【0128】
【表5】

【0129】
体重の減少は糖尿病の臨床的特徴の一つであり、これは、不十分な糖尿病の抑制を示唆する。この体重の減少は、頻繁な排尿及びグリコーゲンのグルコースへの過剰な転換によるエネルギーの損失を補償するための、脂肪細胞及び筋組織の分解によるものと予想される。体重減少の管理は、糖尿病の管理の重要な特徴である。
【0130】
故に、試験化合物は、糖尿病動物の体重の増大の他に、体重減少の緩和に対しても顕著に作用することが示された。
【0131】
次の実験は、動物の筋肉の分量に対する重量の増大の影響を評価するために行われた。この実験は、筋肉量が増大しており、それにより、体重の増加が、体脂肪ではなく筋肉量の増大によるものであり得ることを示した。
【0132】
筋肉量に対する薬物の影響を調査するために、これらの動物の肛門挙筋を調査した。
【0133】
図8に示すグラフに見られるように、試験化合物で処理した動物の筋肉量は、顕著に増大する。上記2つの結果から、試験化合物は、全体的な身体組成に正の効果を有すると結論付けられる。健康な身体組成の維持は、前糖尿病の症状の進行の抑制及び維持において、重要な標的の一つである。
【0134】
血中グルコースの調整(上記)及び健康な身体組成の維持は、予備的な前糖尿病の症状の糖尿病への進行を抑制するのに非常に重要である。加えて、血糖レベル及び身体組成の改善の両方を調整することも、同様に糖尿病疾患の抑制において重要である。故に、試験化合物は、糖尿病及び前糖尿病に対する適用に非常に適している。
【0135】
上記記載は、本発明の様々な態様を例示するものであり、限定を意味するものではなく、当業者は、本発明の様々な自明なバリエーションを実施し得ると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I
【化1】

で表される化合物。
【請求項2】
分子量が200〜1000ダルトン、好ましくは約705ダルトンの低分子量ガラクトマンナンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
244823の分子式を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
植物トリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum)から取得される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
身体組成、体力、並びに前糖尿病(pre−diabete)及び糖尿病の症状に関連する要素を改善するための、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
図1に記載のHPLCクロマトグラムが得られる、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
図2に記載のLC−MSクロマトグラムが得られる、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
組成物であり、構造式I
【化2】

で表される化合物を含み、任意で医薬として許容される添加物を共に含む、身体組成、体力、並びに前糖尿病及び糖尿病の症状に関連する要素を改善するための前記組成物。
【請求項9】
前記添加物が、造粒剤、結合剤、平滑剤、崩壊剤、甘味料、着色料、香料、コーティング剤、可塑剤、保存料、懸濁化剤、乳化剤及び球形化剤(spheronization agent)を含む群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
錠剤、トローチ、薬用キャンディー(lozenge)、水性又は油性懸濁物、分散する粉末又は顆粒、ハード又はソフトゲルカプセルに詰めるエマルジョン、シロップ及びエリキシールを含む群から選択される様々な剤形で製剤化される、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記化合物が、トリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum)の植物部分から取得される、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記植物部分が、根、シュート、葉、種子、植物全体を含む群から選択され、好ましくは種子である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
非毒性で、副作用の無い、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
前記前糖尿病及び糖尿病の症状が、身体組成の貧弱化、除脂肪体重(lean muscle mass)の低下、脂肪燃焼の低下、体力の低下、グルコース代謝異常、インスリン耐性の増大、血中グルコースの増大、心臓血管疾患、肥満及び2型糖尿病の症状を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項15】
構造式I
【化3】

で表される化合物を、トリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum)から調製するプロセスであり、以下の
a 脂肪分を除去するために、削った種子を脂肪族炭化水素溶媒及びハイドロアルコール(hydro alcohol)を用いて抽出し;
b 該抽出物を濃縮して半固形物を取得し;
c 濃縮した物質を溶解して透明な溶液を取得し;
d 透明な溶液をイオン交換樹脂に通して、窒素塩基及びイオン性塩基を除去することにより、浄化した溶液を取得し;
e 該浄化した溶液を吸着カラムに通すことにより、活性化合物を吸着させ;そして
f 得られた透明な溶液を濃縮し、これを減圧下で乾燥させることにより、式Iで表される化合物の粉末を取得する
工程を含む、前記プロセス。
【請求項16】
前記抽出が、3〜12時間、好ましくは約10時間実施される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記抽出が、30℃〜40℃の温度範囲で、好ましくは約35℃で実施される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項18】
前記脂肪族炭化水素溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びシクロヘキサンを含む群から選択され、好ましくはヘキサンである、請求項15に記載のプロセス。
【請求項19】
前記抽出用のハイドロアルコールの比率が、1:9〜9:1であり、好ましくは約1:7である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項20】
前記抽出物が、45℃〜55℃の温度範囲で、好ましくは約50℃で、減圧下で濃縮される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項21】
前記物質が、脱イオン水に溶解させられる、請求項15に記載のプロセス。
【請求項22】
前記イオン交換樹脂が、カチオン交換ゲル型樹脂である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項23】
式Iで表される化合物の収率が、約32g/フェヌグリーク種子1000gである、請求項15に記載のプロセス。
【請求項24】
式Iで表される化合物の純度が、90%〜97%、好ましくは約95%である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項25】
前記抽出物が、50℃〜75℃の温度範囲で、好ましくは約50℃で、減圧下で濃縮される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項26】
治療を必要とする対象の前糖尿病及び糖尿病疾患の症状を処置する方法であり、該対象に、医薬的に有効な量の構造式I
【化4】

で表される化合物を、任意で医薬として許容される添加物と共に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項27】
前記前糖尿病及び糖尿病の症状が、身体組成の貧弱化、除脂肪体重の低下、脂肪燃焼の低下、体力の低下、グルコース代謝異常、インスリン耐性の増大、血中グルコースの増大、心臓血管疾患、肥満及び2型糖尿病の症状を含む、請求項26に記載の処置方法。
【請求項28】
前記添加物が、造粒剤、結合剤、平滑剤、崩壊剤、甘味料、着色料、香料、コーティング剤、可塑剤、保存料、懸濁化剤、乳化剤及び球形化剤を含む群から選択される、請求項26に記載の処置方法。
【請求項29】
前記組成物が、錠剤、トローチ、薬用キャンディー(lozenge)、水性又は油性懸濁物、分散する粉末又は顆粒、ハード又はソフトゲルカプセルに詰めるエマルジョン、シロップ及びエリキシールを含む群から選択される様々な剤形で製剤化される、請求項26に記載の処置方法。
【請求項30】
前記対象が動物又は人類である、請求項26に記載の処置方法。
【請求項31】
前記化合物が、例えばインスリン様作用、血糖値の低下、身体の衰弱の防止、身体組成の改善、体脂肪の減少及び除脂肪体重の増大等、前糖尿病及び糖尿病の症状を改善する、請求項26に記載の処置方法。
【請求項32】
前記組成物が、トリゴネラ・フォエヌム・グラエクム(Trigonella foenum graecum)の植物部分から取得される、請求項26に記載の処置方法。
【請求項33】
前記化合物が、根、シュート、葉、種子、植物全体を含む群から選択される植物部分から、好ましくは種子から取得される、請求項32に記載の処置方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2011−519909(P2011−519909A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508001(P2011−508001)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際出願番号】PCT/IB2008/001179
【国際公開番号】WO2009/136219
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(510294405)インダス バイオテック プライベート リミティド (1)
【Fターム(参考)】