説明

ガラスマスクとマスクホルダの位置合わせ装置

【課題】 ガラスマスクとマスクホルダの位置合わせ高精度に行うことができるガラスマスクとマスクホルダの位置合わせ装置を提供する。
【解決手段】ガラスマスク50を載せたマスクホルダ51を基台1上に装入し、固定シリンダ12、13によりX基準位置片10とY基準位置片11にマスクホルダ51を押し当てて固定し、マスクホルダ51の位置決めを行った上、リフター21を上昇させて吸着パッド23によりガラスマスク50を吸着固定し、CCDカメラ18から送られる画像に基づいて、アライメントステージ2を動かしてマスクマーク60と基準マーク61を整合させる。整合後、ガラスマスク50をマスクホルダ51により固定し、マスクホルダ51の固定を解除し、次工程に送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガラスマスクとマスクホルダの位置合わせ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板の製造などに用いられる露光装置においては、露光すべきパターンである回路基板などを描いたマスクとしてガラスマスクを主として使用している。このガラスマスクは通常マスクホルダと称する枠形状の固定具に固定されて用いられる。ガラスマスクをマスクホルダに固定する際には、ガラスマスク端面の突き当てやケガキ線による目視の位置合わせ等が行われている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−247718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年分割露光法などにより、プリント回路基板の露光において精度の高い露光が求められており、ガラスマスクと露光対象物である回路基板などの位置合わせにはついては、精密な位置合わせ方法や装置が開発され利用されている。
しかし、ガラスマスクとマスクホルダの位置合わせにおいては、上記したようにガラスマスク端面の突き当てやケガキ線による目視の位置合わせ等であるため、ガラスマスクの外形寸法のばらつき等により精度の高い位置合わせが困難であり、露光精度の向上の妨げとなっている。
本発明は上記した従来の問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明はガラスマスクとマスクホルダの位置合わせ装置であって、ガラスマスクを支持するマスクホルダを所定の位置に保持する基台と、該基台に設けられ、前記保持されたマスクホルダと所定の位置関係を有する基準マークと、前記ガラスマスクを少なくともxy方向及び上下方向に移動可能に保持するアライメントステージと、前記ガラスマスクに設けられた位置合わせ用のマスクマークと、前記マスクマークと前記基準マークに基づいて、前記ガラスマスクを移動させてマスクホルダに対する予め決められた所定の位置に位置決めする位置決め装置と、前記位置決め装置により位置決めされたガラスマスクをマスクホルダに固定する装置と、を有することを特徴とする。
上記構成により、ガラスマスクとマスクホルダの位置合わせ高精度に行うことができ、ひいては露光精度を向上できる。
前記基準マークは基準マークプレートに描いて、ガラスマークに重ね合わせることができるように構成するのが望ましい。
また前記位置決め装置が、前記マスクマークと前記基準マークとを撮影し、該マスクマークと基準マークの位置関係を表示可能な画像処理装置を有するように構成することが望ましい。このような画像処理装置を用いることによりマスクマークと前記基準マークの重ね合わせ等による位置合わせを簡単に且つ精度良く行うことが可能になる。
前記マスクホルダは一般的に枠形状であり、アライメントステージが枠形状のマスクホルダの下側から該枠形状の中空部を通ってマスクホルダの上方に延出するように構成し、これによりガラスマスクをマスクホルダの上方において保持するように構成することが可能である。このような構成により装置全体をコンパクトに構成でき、装置の設置面積の縮小などを図ることが可能である。
なお前記アライメントステージはθ方向に移動可能に構成し、ガラスマスクを回動できるように構成するのが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明のガラスマスクとマスクホルダの位置合わせ装置によれば、ガラスマスクとマスクホルダの位置合わせ高精度に行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は正面図、図2は平面図である。
この位置合わせ装置は、基台1とアライメントステージ2を有する。基台1は、その上面15にガラスマスク50を載せたマスクホルダ51を載置し、所定の位置に位置決めするように構成されている。
上面15は互いに平行な2つの部分から構成され、その間は空間16になっている。
マスクホルダ51は2つの上面15、15の間に掛け渡すように載置される。
【0008】
図2に示すように、上面15にはX基準位置片10とY基準位置片11が設けられており、このX基準位置片10とY基準位置片11にマスクホルダ51を固定シリンダ12と固定シリンダ13により押しつけることにより、マスクホルダ51を予め決められた所定の位置に精度良く位置させることができるようになっている。
【0009】
基台1にはまた基準マークプレート17が設けられており、この基準マークプレート17に図4及び図5に示すように基準マーク61が設けられている。基準マークプレート17は基台1の予め決められた所定の位置に設けられており、前記したX基準位置片10とY基準位置片11により位置決めされたマスクホルダ51と基準マークプレート17の位置は所定の位置関係になるようになっている。従って、基準マークプレート17に設けられた基準マーク61とマスクホルダ51も所定の位置関係にあり、基準マーク61の位置はマスクホルダ51の位置を表している。
【0010】
基準マークプレート17はこの実施形態では、マスクホルダ51上に固定されるガラスマスク50の端部の上方に位置するように設けられており、ガラスマスク50に設けられたマスクマーク60と基準マーク61を重ね合わせることができるようになっている。
基準マークプレート17の上方には更にCCDカメラ18が設けられ、マスクマーク60と基準マーク61を重ね合わせて撮影し、図5に示すようにCCDカメラ18に接続するモニタ19に該画像を映し出すように構成されている。
該画像の信号は制御装置5に送られ、種々のデータ処理が行われるように構成されている。
なお、この実施形態においては、図2に示すように基準マークプレート17とCCDカメラ18は2個設けられているが、その数は適宜増減可能である。
【0011】
アライメントステージ2は上面15の下側に装着されており、移動機構20によりxy方向に移動可能で且つθ方向に回動可能にガラスマスク50を保持するようになっている。アライメントステージ2は更にリフター21を備え、このリフター21はリフターシリンダ22により上下方向に昇降可能になっている。リフター21の上には複数の吸着パッド23が設けられており、この吸着パッド23の上にガラスマスク50を吸着保持できるように構成されている。
【0012】
リフター21上の吸着パッド23は、図3に示すように空間16と枠形状のマスクホルダ51の中空部を通過して、マスクホルダ51上に載置されたガラスマスク50の下面に接触し、該下面を吸着し保持するようになっている。そして、移動機構20によりxy方向及びθ方向にガラスマスク50のみを移動させ、ガラスマスク50とマスクホルダ51の位置合わせを行わせるように構成されている。
【0013】
マスクマーク60は、図4に示すようにガラスマスク50の端部に設けられており、基準マーク61の平面上の位置と合致する時に、ガラスマスク50とマスクホルダ51との相互の位置が予め決められた所定の位置に位置決めされる位置に形成されている。
マスクマーク60と基準マーク61はCCDカメラ18により撮影され、図5に示すようにモニタ19上に重ね合わせて表示される。ユーザはモニタ19で確認しながらアライメントステージ2を移動させ、マスクマーク60と基準マーク61を一致させることによりガラスマスク50とマスクホルダ51の位置を合わせることができるように構成されている。なお、上記操作は自動的に行われるように構成することも可能である。
上記アライメントステージ2、CCDカメラ18、モニタ19及びマスクマーク60、基準マーク61で位置決め装置が形成されている。
【0014】
ガラスマスク50とマスクホルダ51の位置合わせが終了したら、リフター21を下降させ、位置合わせされた状態でガラスマスク50をマスクホルダ51上に再び載置し、所定の固定装置によりガラスマスク50とマスクホルダ51を固定するように構成されている。この固定は固定金具等の物理的固定だけでなく真空吸着を併用することが望ましく、これにより整合後の位置ずれを起こすことなく、次工程の露光装置に送ることができる。
【0015】
次に動作を説明する。
まず、ガラスマスク50を載せたマスクホルダ51を基台1上に装入し、固定シリンダ12と固定シリンダ13によりX基準位置片10とY基準位置片11にマスクホルダ51を押し当てて固定し、これによりマスクホルダ51の位置決めを行う。
次に、リフター21を上昇させてガラスマスク50を支持し、吸着パッド23によりガラスマスク50を吸着固定し、更にリフター21を上昇させCCDカメラ18ピントに合わせる。
そして、CCDカメラ18から送られる画像をモニタ19で確認しながら移動機構20を制御してアライメントステージ2を動かし、マスクマーク60と基準マーク61を整合させる。このアライメント操作は上記したように手動アライメント、或いは自動アライメントの両方が適用可能である。
マスクマーク60と基準マーク61の整合後、リフター21を下げてマスクホルダ51にガラスマスク50を載せ、吸着パッド23の真空吸着を開放してガラスマスク50とリフター21を切り離す。
そして、ガラスマスク50をマスクホルダ51により固定し、固定シリンダ12と固定シリンダ13を開放し、マスクホルダ51の固定を解除し、ガラスマスク50とマスクホルダ51を基台1から取り出して、次工程に送る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略正面図。
【図2】本発明の一実施形態を示す概略平面図。
【図3】本発明の一実施形態の動作を示す説明図。
【図4】本発明の一実施形態の基準マークプレート17とCCDカメラ18の詳細図。
【図5】本発明の一実施形態の動作を示す説明図。
【符号の説明】
【0017】
1:基台、2:アライメントステージ、5:制御装置、10:X基準位置片、11:Y基準位置片、12:固定シリンダ、13:固定シリンダ、15:上面、16:空間、17:基準マークプレート、18:CCDカメラ、19:モニタ、20:移動機構、21:リフター、22:リフターシリンダ、23:吸着パッド、50:ガラスマスク、51:マスクホルダ、60:マスクマーク、61:基準マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスマスクを支持するマスクホルダを所定の位置に保持する基台と、
該基台に設けられ、前記保持されたマスクホルダと所定の位置関係を有する基準マークと、
前記ガラスマスクを少なくともxy方向及び上下方向に移動可能に保持するアライメントステージと、
前記ガラスマスクに設けられた位置合わせ用のマスクマークと、
前記マスクマークと前記基準マークに基づいて、前記ガラスマスクを移動させてマスクホルダに対する予め決められた所定の位置に位置決めする位置決め装置と、
前記位置決め装置により位置決めされたガラスマスクをマスクホルダに固定する装置と、
を有することを特徴とするガラスマスクとマスクホルダの位置合わせ装置。
【請求項2】
前記基準マークが前記ガラスマークに重ねることが可能な基準マークプレートに描かれている、
請求項1の位置合わせ装置。
【請求項3】
前記位置決め装置が、前記マスクマークと前記基準マークとを撮影し、該マスクマークと基準マークの位置関係を表示可能な画像処理装置を有する、
請求項1又は2の位置合わせ装置。
【請求項4】
前記マスクホルダが枠形状であり、
前記アライメントステージがガラスマスクを、枠形状のマスクホルダの下側から該枠形状の中空部を通ってマスクホルダの上方にガラスマスクを保持する、
請求項1又は2又は3の位置合わせ装置。
【請求項5】
前記アライメントステージがθ方向に移動可能である、
請求項1又は2又は3又は4の位置合わせ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−217008(P2009−217008A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61048(P2008−61048)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(300091670)株式会社アドテックエンジニアリング (23)
【Fターム(参考)】