説明

ガラスルーバー窓

【課題】上下に隣接するキャップ間の気密性を向上させることができる構造のガラスルーバー窓を提供する。
【解決手段】ルーバー窓の左右の縦枠または上下の横枠側に、複数個のクリップを上下または左右に配列する。各クリップをルーバー羽根開閉用の連動バーに連係させる。各クリップにルーバー羽根のキャップ9を一体または別体に設ける。ルーバー羽根8の隣接するルーバー羽根8と対向する端部に気密材24を固着する。キャップ9に設けた係止部9aを、気密材24のルーバー羽根8に設けた被係止部24bに係止させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば居室、浴室等のように、必要に応じて換気を要する建物の開口部に設けられるガラスルーバー窓に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラスルーバー窓において、ルーバー羽根全体が閉塞時に平面をなす構造を採用すれば、ルーバー羽根の端部の板面どうしを気密材を介して当接させる場合、すなわちルーバー羽根の端部がジグザグになる構造に比較して、縦枠とクリップとの間に気密性が得易いという利点がある。
【0003】このようなルーバー羽根の重ね合わせ構造を採用する場合、上下に隣接する部分に、図7(A)に示すような断面構造のゴム等の弾性材でなる気密材51が、それぞれルーバー羽根50に接着して取付けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、気密材51をルーバー羽根50の端部に取付ける構造において、図7(A)、(B)に示すように、ルーバー羽根50の両端はクリップ(図示せず)に取付けられるキャップ52の支持部52aにより支持されるために気密材51が圧縮され、キャップ52、52間とその近傍部に隙間Gを生じ、気密性を損なうという問題点がある。
【0005】本発明は、上記の問題点に鑑み、上下に隣接するキャップ間の気密性を向上させることができる構造のガラスルーバー窓を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するため、ルーバー窓の左右の縦枠または上下の横枠側に、複数個のクリップを上下または左右に配列し、各クリップをルーバー羽根開閉用の連動バーに連係させ、各クリップにルーバー羽根のキャップを一体または別体に設け、ルーバー羽根の隣接するルーバー羽根と対向する端部に気密材を固着し、キャップに設けた係止部を、前記気密材に設けた被係止部に係止させたことを特徴とする(請求項1)。
【0007】また、本発明は、ルーバー窓の左右の縦枠または上下の横枠側に、複数個のクリップを上下または左右に配列し、各クリップをルーバー羽根開閉用の連動バーに連係させ、各クリップにルーバー羽根のキャップを一体または別体に設け、ルーバー羽根の隣接するルーバー羽根と対向する端部に該端部の一部を除いて気密材を固着し、キャップに設けた係止部を、ルーバー羽根の前記端部で気密材が取付けられていない部分に係止させたことを特徴とする(請求項2)。
【0008】
【作用】本発明においては、キャップに設けた係止部が、気密材の隣接するパネルに当接させる部分を係止しないため、気密材の隣接パネルへの当接部が突出し、隣接パネルに当接するため、隣接するキャップ間の気密性が確保される。
【0009】
【実施例】図1(A)は本発明によるルーバー窓の一実施例を閉塞状態で示す縦断面図、図1(B)はその開閉用リンクの構成図、図2は本実施例のルーバー窓の横断面図、図3(A)、(B)は本実施例におけるそれぞれクリップにキャップを組み込んだ状態を示す図とキャップにルーバー羽根を組み込んだ状態を示す図、図4はルーバー羽根の上下の組み合わせ状態を示す断面図である。
【0010】図1(A)および図2において、1は建物の壁等に設けられた開口部に固定される枠であり、該枠1はアルミニウム合金製あるいは合成樹脂製押出形材でなる上枠2と下枠3と縦枠4とを方形に組んでタッピングねじ等の固定具で結合することにより構成される。本例の枠2〜4は、それぞれ室内側部材2a〜4aと室外側部材2b〜4bとの間に断熱材5を設けることにより、断熱形材として構成されたものであるが、本発明は、断熱材5を有しない一般の形材でなるものにも適用される。
【0011】図2に示すように、左右の縦枠4には可動ルーバーの取付け枠6がねじ等の固定具7により固定される。各取付け枠6にはルーバー羽根8a1〜8a3、8b1〜8b3(以下これらをそれぞれ8a、8bと記す場合がある)をキャップ9を介して保持する複数個のクリップ10が、枢着軸11および後述の連動バー12および第1〜第3のリンク15〜17により連動するように、縦に配列して取付けられる。本発明は、ルーバー羽根の取付け段にそれぞれ一枚ずつルーバー羽根が取付けられる場合にも適用できるが、本例においては、各取付け段に室内側ルーバー羽根8aと室外側ルーバー羽根8bとからなる2枚のルーバー羽根を保持する例について示す。
【0012】図3(A)、(B)に示すように、1つのクリップ10に2個のキャップ9を係止爪を孔や係止片に係止させて嵌着あるいは接着、固定具による固定等により取付け、キャップ9に同幅のルーバー羽根8a、8bの端部をそれぞれキャップ9に嵌着して取付ける。
【0013】図1(A)、図2において、連動バー12は、クリップ10を連動させてルーバー羽根8a、8bを開閉するためのものであり、左右にそれぞれ1本ずつ、前記取付け枠6のガイド部6aに沿って上下動自在に取付けられる。13は該連動バー12を上下させるハンドルであり、該ハンドル13の回動は、変換機構14を介して連動バー12の上下動に変換される。
【0014】連動バー12の上下動をクリップ10の動きに変換するための第1のリンク15は、図1(A)、(B)に示すように、その一端を前記連動バー12に連結軸16により連結し、他端を、第3のクリップ17の下端に連結軸18により連結する。また、第3のリンク17の上端はクリップ10の中央上部に連結軸19により連結する。第2のリンク16は、前記枢着軸11により取付け枠6に一端を連結し、他端をクリップ10の上部の室内側に連結軸20により連結する。また、第1のリンク15の中間部と第2のリンク16の中間部を連結軸22により連結する。
【0015】図3(B)、図4に示すように、前記各ルーバー羽根8a、8bの上端部には、室内側に寄った位置に、ゴム等の弾性材からなるひれ状の気密材23を接着等により固着し、各ルーバー羽根8a、8bの下端には、中空状に形成することにより変形を容易にしたゴム等の弾性材からなる気密材24を接着等により固着する。
【0016】これらの気密材23、24は、ルーバー羽根8a、8bと共押しによって一体成形することにより、効率良く製造することを可能とし、もって気密材を含めたルーバー羽根価格を低減すると共に、ルーバー羽根8a、8bの端部の保護機能や人の負傷防止機能も気密材23、24に兼ね持たせるものである。
【0017】図1(A)、図2に示すように、各枠2〜4の室内側部材2a、3a、4aには、補助枠2c、3c、4cが取付けられ、これらの補助枠2c、3c、4cに、4周にわたり連続する気密材26が取付けられ、該気密材26にルーバー羽根8aの板面あるいは最上部のルーバー羽根8a1の気密材23を当接させる。
【0018】また、図2に示すように、前記取付け枠6には、クリップ10の室外側部分に側方に突出させたフィン10aを当接させる気密材27を取付けている。また、図1に示すように、上枠2、下枠3の室外側部材2b、2bには、最上端の室外側ルーバー羽根8b1の上端部、最下端のルーバー羽根8b2の下端部をそれぞれ当接させる気密材28、29が取付けられる。なお、本実施例においては、ルーバー羽根の開閉時に、最上部の室内側ルーバー羽根8a1の気密材23が、室外側の最上部のルーバー羽根8b1を当接させる気密材28の取付け部3dに摺接して破損することを防止するため、前記ルーバー羽根8b1を他のルーバー羽根より上下幅を大きくしている。
【0019】図5(A)に示すように、本実施例においては、各ルーバー羽根8a、8b(以下これらの符号を8で代表させる)の対向する一方の端部である下端に設ける気密材24は、接着剤30によりルーバー羽根8に固着し、そのルーバー羽根8への取付け部24aにおける室外側の面に、段状の被係止部24bを形成し、キャップ9に形成した係止部9aを該被係止部24bに係止させて支持することにより、隣接するルーバー羽根への当接部24cを支持しない構造とする。また、クリップ10はルーバー羽根8の下端部を覆わない構造とする。
【0020】このようなルーバー羽根8の支持構造とすれば、図5(B)に示すように、キャップ9により気密材24の隣接するルーバー羽根への当接部24cが圧縮されることがなく、キャップ9、9間においても、気密材24でルーバー羽根間を閉塞することができ、気密材が向上する。
【0021】図6は本発明の他の実施例であり、本実施例は、ルーバー羽根8の下端部の室外側の一部を、キャップ9に形成した係止部9aにより係止し、ルーバー羽根8の下端部の室内側の面に気密材24を設けたものである。本実施例においても、前記実施例と同様に、気密材24の隣接ルーバー羽根への当接部24cを圧縮せず、前記実施例と同様の効果を奏することができる。
【0022】本発明の気密材の支持構造は、ルーバー羽根8の下端のみでなく、上端部についても適用できる。
【0023】また、上記実施例においては、ルーバー羽根8が横向きに取付けられる例について説明したが、ルーバー羽根8が縦向きに取付けられる場合にも本発明を適用できる。また、本発明を実施する場合、実施例で示したように、隣接するルーバー羽根の双方の対向面に気密材を設けるのではなく、対向面の一方にのみ気密材を設ける構成としてもよい。
【0024】また、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、枠2〜4、取付け枠6、取付け枠6に対するクリップ10の取付け構造、ルーバー羽根8やクリップ10の構造、気密材23〜29等の構造や取付け位置等について種々の変更、付加が可能である。
【0025】
【発明の効果】請求項1によれば、キャップに設けた係止部を、前記気密材のルーバー羽根に設けた被係止部に係止させたので、気密材の隣接パネルへの当接部がキャップにより圧縮されることなく、隣接ルーバー羽根の端部に当接させることができるため、隣接するキャップ間の気密性が確保される。したがって、従来のルーバー窓に比較し、気密性を向上させることができる。
【0026】請求項2によれば、キャップに設けた係止部を、ルーバー羽根の端部で気密材が取付けられていない部分に係止させたので、気密材の隣接パネルへの当接部がキャップにより圧縮されることなく、隣接ルーバー羽根の端部に当接させることができるため、隣接するキャップ間の気密性が確保される。したがって、従来のルーバー窓に比較し、気密性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明によるルーバー窓の一実施例を閉塞状態で示す縦断面図、(B)はその開閉用リンクの構成図である。
【図2】本実施例のルーバー窓の横断面図である。
【図3】(A)、(B)は本実施例におけるそれぞれクリップにキャップを組み込んだ状態を示す図とキャップにルーバー羽根を組み込んだ状態を示す図である。
【図4】本実施例において、ルーバー羽根の上下の組み合わせ状態を示す断面図である。
【図5】(A)は本実施例のルーバー羽根の下端部のキャップによる支持構造を示す断面図、(B)は上下のルーバー羽根を閉塞状態において室外側から見た図である。
【図6】本発明において、ルーバー羽根の下端部のキャップによる支持構造の他の例を示す断面図である。
【図7】(A)は従来のルーバー羽根の下端部のキャップによる支持構造を示す断面図、(B)はこの従来構造による場合に上下のルーバー羽根を閉塞状態において室外側から見た図である。
【符号の説明】
1:枠、2:上枠、3:縦枠、4:下枠、5:断熱材、6:ルーバー羽根の取付け枠、8a:室内側ルーバー羽根、8b:室外側ルーバー羽根、9:キャップ、9a:係止部、10:クリップ、11:枢着軸、12:連動バー、13:ハンドル、14:変換機構、15〜17:リンク、18〜22:連結軸、23〜29:気密材、24a:取付け部、24b:被係止部、24c:当接部、30:接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】ルーバー窓の左右の縦枠または上下の横枠側に、複数個のクリップを上下または左右に配列し、各クリップをルーバー羽根開閉用の連動バーに連係させ、各クリップにルーバー羽根のキャップを一体または別体に設け、ルーバー羽根の隣接するルーバー羽根と対向する端部に気密材を固着し、キャップに設けた係止部を、前記気密材に設けた被係止部に係止させたことを特徴とするガラスルーバー窓。
【請求項2】ルーバー窓の左右の縦枠または上下の横枠側に、複数個のクリップを上下または左右に配列し、各クリップをルーバー羽根開閉用の連動バーに連係させ、各クリップにルーバー羽根のキャップを一体または別体に設け、ルーバー羽根の隣接するルーバー羽根と対向する端部に該端部の一部を除いて気密材を固着し、キャップに設けた係止部を、ルーバー羽根の前記端部で気密材が取付けられていない部分に係止させたことを特徴とするガラスルーバー窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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