説明

ガラス基板の高速マルチローダー及びガラス基板の投入・回収方法

【課題】処理装置側の処理速度が速くなった場合でも対応することが出来、また横行コンベア又はトラバーサーが故障してしまった場合であっても、上記ガラス基板の投入や回収を行うことが出来る高速マルチローダーを提供する。
【解決手段】ガラス基板を処理する処理装置にガラス基板を投入し、処理装置で処理されたガラス基板を回収するマルチローダーであって、ガラス基板を収納したカセットとガラス基板を回収するカセットをそれぞれ載置する部位を三個以上備えた載置部と、載置部から処理装置側に順に設けられた、ガラス基板の受け入れ受け渡しを行う上下二段からなる第一搬送手段と、第一搬送手段とガラス基板の受け入れ受け渡しを行う左右二列と上下二段からなる第二の搬送手段と、第二の搬送手段と処理装置との間でガラス基板の受け渡し受け入れを行う第三の搬送手段と、を備えたことを特徴とするガラス基板の高速マルチローダー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に用いられるカラーフィルタガラスガラス基板を製造するカラーフィルタ製造ラインにガラス基板を投入及び処理されたガラス基板を回収する高速マルチローダー及びガラス基板の投入・回収方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1にカラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタガラス基板の一例を断面で示す。カラーフィルタ1は、ガラス基板2上にブラックマトリックス(以下、BM)3、レッドRの着色画素(以下、R画素)4−1、グリーンGの着色画素(以下、G画素)4−2、ブルーBの着色画素(以下、B画素)4−3、透明電極5、及びフォトスペーサー(Photo Spacer)(以下、PS)6、バーテイカルアライメント(Vertical Alignment)(以下、VA)7が順次形成されたものである。
【0003】
上記構造のカラーフィルタの製造方法は、フォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法を用いることが知られているが、図2は一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の工程を示すフロー図である。カラーフィルタは、先ず、ガラス基板上にBMを形成処理する工程(C1)、ガラス基板を洗浄処理する工程(C2)、着色フォトレジストを塗布および予備乾燥処理する工程(C3)、着色フォトレジストを乾燥、硬化処理するプリベーク工程(C4)、露光処理する工程(C5)、現像処理する工程(C6)、着色フォトレジストを硬化処理する工程(C7)、透明電極を成膜処理する工程(C8)、PS、VAを形成処理する工程(C9)がこの順に行われ製造される。
【0004】
例えば、R画素、G画素、B画素の順に画素が形成される場合には、カラーフィルタ用ガラス基板を洗浄処理する工程(C2)から、着色フォトレジストを硬化処理する工程(C7)間ではレッドR、グリーンG、ブルーBの順に着色フォトレジストを変更して3回繰り返されてR画素、G画素、B画素が形成される。
【0005】
図3は一般的なカラーフィルタ製造ラインの工程の一例を示す図であって、1色の画素を形成する場合の製造ラインの工程を示すものである。カラーフィルタが製造される場合には先ず、ガラス基板が収納されているカセットが、ストッカー10からストッカー装置内の搬送路を介してローダ(以下、LD)11に搬送される。次にガラス基板がローダ11によって製造ラインに投入される。その後コンベア12、16、18、22や、ロボット13、20によって、プロセス処理装置15、17、21、その他の図示しないプロセス処理装置や、検査装置14、19に搬送され、プロセス処理や検査が行われる。その後、アンローダ(以下、ULD)23によってカセットに回収される。カセットに回収されたガラス基板は、図示しないストッカー内の搬送路を介して再びストッカー10に搬送され保管されるか、又は次の色の画素を形成するラインに直接搬送される。ガラス基板がラインに直接搬送される場合には、上記のようにカセットに回収されてラインに直接搬送されても良く、またカセットに回収されずに1枚毎ラインに直接搬送されても良い。ここで言うプロセス処理15、17、21は、例えば塗布装置やオーブンや露光装置や現像装置といった装置であって、検査装置14、19は外観検査装置や異物検査装置といった検査装置である。
【0006】
図4はLD及びULDの機能を説明するための図で、LD11はストッカー10から運ばれてくるガラス基板入りカセットを受け取り、ガラス基板を製造ラインの下流装置に投入し、カセット内のガラス基板を全て払出すと、ストッカーに空のカセットを回収させる装置であって、上記カセットの受け取りとガラス基板の投入とを繰り返す装置である。
【0007】
ULD23はストッカー10より空のカセットを受け取り、カラーフィルタ製造ラインで処理されたガラス基板を空カセットに回収し、カセットが満載になるとストッカーに回収させる装置であって、上記空のカセットの受け取りとガラス基板の回収とを繰り返す装置である。
【0008】
このようにLD11とULD23は動作が異なるため分割してそれぞれ設置される。一方、近年マルチローダーが多く採用される傾向にある。図5はマルチローダーの概略機能を説明するための図である。マルチローダーは、上記LD、ULDを分割した設備構成とせず、LDとULDを一体化設備構成としたものであり、ストッカーに格納されているガラス基板をカラーフィルタ製造ラインへ投入し、処理されたガラス基板を回収しストッカーに格納するものである。この場合、LD側のカセットが空になった場合に、空カセットをストッカーに回収させずにULD側のカセットとして使用する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−145829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図6はマルチローダー動作を説明するための図である。図6で示されるマルチローダー30は、Aと示される載置台AとBと示される載置台Bと、横行コンベア(クロスコンベアと呼ばれる)又はトラバーサー(走行コンベアと呼ばれる)から構成され、カセットに収納されているガラス基板を下流装置31に投入し、また処理されたガラス基板を上流装置32から回収する。
【0011】
図6(a)は載置台Aに処理されるガラス基板が収納されたカセット33がセットされ、載置台Bには空のカセットがセットされた状態を示す。次に図6(b)に示すように、載置台Aにセットされたカセットからガラス基板が下流装置に投入され、一方載置台Bにセットされた空のカセットに処理されたガラス基板が上流装置から回収される(破線は投入、実線は回収を示す。以下同じ)。その後、図6(c)に示すように、載置台Aにセットされたカセット内のガラス基板が空になり、一方載置台Bにセットされたカセット内には処理されたガラス基板が収納限度(満載)になるまで上流装置から回収される。ガラス基板が満載になるまで回収されたカセット34はストッカーへ搬送される。次に図6(d)に示すように、載置台Bには次に処理されるガラス基板が収納されたカセット35がストッカーから搬入されセットされる。更に図6(e)で示すように、載置台Bにセットされたカセットからガラス基板が下流装置に投入され、一方載置台Aにセットされた空のカセットに処理されたガラス基板が上流装置から回収される。このようにして、図6(f)で示すように載置台Bにセットされたカセット内のガラス基板が空になり、一方、載置台Aにセットされたカセット内には処理されたガラス基板が満載になるまで上流装置から回収される。
【0012】
図7は、図6に示されるマルチローダーの動作フローを示す図である。LD部に処理されるガラス基板が収納されたカセットをセット(L1)した後、LD部から下流装置へガラス基板を投入する(L2)。LD部のカセットにガラス基板がなくなるまで(L3のNO)、ガラス基板投入が続けられる。LD部のカセットにガラス基板がなくなった場合には(L3のYES)、LD部の空カセットは上流装置からガラス基板を回収するカセットとなる。即ちLD部はULD部となる(L4)。ULD部の空カセットに上流装置からガラス基板を回収し(LD1)、ULD部のカセットが満載になるまで(LD2のNO)、回収は続行される。一方満載になった時点(LD2のYES)で、満載となったカセット
をストッカーに排出し(LD3)、カセットが無くなったULD部はLD部となり、ガラス基板が収納されたカセットがセットされる(LD4)。ここで、ステップ(LD4)とステップ(L1)は同一ステップで、またステップ(L2)〜ステップ(L3)とステップ(LD1)〜ステップ(LD2)は同一時刻に行われるものである。
【0013】
このように載置台Aにセットされ、ガラス基板が空となったカセット33のストッカーへの搬送をなくすことが可能となり、ストッカーの搬送効率が良くなる。
【0014】
しかしながら、上記マルチローダーでは搬送コンベア又はトラバーサーを1台しか使用しないため、ガラス基板の投入、処理されたガラス基板の回収を交互に行わなければならない。そのため処理装置の処理速度が速くなると上記1台の搬送コンベア又はトラバーサーではマルチローダーでの対応が不可となる。
【0015】
また、新たに処理するガラス基板を収納したカセットを載置台に搬送する際に、処理装置側ではガラス基板の待ちの状態となり、設備効率の低下の原因となっていた。また逆に処理装置から処理されたガラス基板をULDに回収する場合に回収カセットが無い場合には、カセット待ちの状態となり、同様に設備効率の低下の原因となっていた。
【0016】
更に、図6(e)で示されるように載置台Bのカセットから下流装置にガラス基板を投入し、処理されたガラス基板を上流装置からに載置台Aのカセットに回収する際に、横行コンベア又はトラバーサーが故障してしまった場合には、上記ガラス基板の投入や回収を行うことが出来なくなってしまう。
【0017】
そこで本発明は、処理装置側の処理速度が速くなった場合でも対応することが出来、また横行コンベア又はトラバーサーが故障してしまった場合であっても、上記ガラス基板の投入や回収を行うことが出来る高速マルチローダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そこで本発明の請求項1に係る発明は、ガラス基板を処理する処理装置にガラス基板を投入し、処理装置で処理されたガラス基板を回収するマルチローダーであって、
処理装置に投入されるガラス基板を収納したカセットと処理装置で処理されたガラス基板を回収するカセットをそれぞれ載置する部位を三個以上備えた載置部と、
載置部から処理装置側に順に設けられた、ガラス基板の受け入れ受け渡しを行う上下二段からなる第一搬送手段と、第一搬送手段とガラス基板の受け入れ受け渡しを行う左右二列と上下二段からなる第二の搬送手段と、第二の搬送手段と処理装置との間でガラス基板の受け渡し受け入れを行う第三の搬送手段と、を備えたことを特徴とするガラス基板の高速マルチローダーである。
【0019】
本発明の請求項2に係る発明は、前記第一搬送手段は、横行可能コンベア又はトラバーサーであることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の高速マルチローダーである。
【0020】
本発明の請求項3に係る発明は、前記第二の搬送手段は、搬送コンベアであることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の高速マルチローダーである。
【0021】
本発明の請求項4に係る発明は、第三の搬送手段は、横行可能コンベア又はトラバーサーと、ガラス基板を昇降する昇降装置又はガラス基板を搬送するロボットであることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の高速マルチローダーである。
【0022】
本発明の請求項5に係る発明は、ガラス基板を処理する処理装置にガラス基板を投入し、処理装置から処理されたガラス基板を回収する方法であって、
処理装置に投入されるガラス基板を収納したカセットと処理装置で処理されたガラス基板を回収するカセットをそれぞれ載置する部位を三個以上備えた載置部に載置されたカセットの内、ガラス基板を収納したカセットから、ガラス基板の受け入れ受け渡しを行う上下二段からなる二個の横行可能コンベア又はトラバーサーと、左右二列と上下二段からなる四個のコンベアと、横行可能コンベア又はトラバーサーと、ガラス基板を昇降する昇降装置又はガラス基板を搬送するロボットと、によって下流に位置する処理装置にガラス基板を投入し、収納されている全てのガラス基板が投入されて空となったカセットを回収用のカセットとして使用し、前記載置部に載置されている新たに処理されるガラス基板を収納したカセットから下流に位置する処理装置にガラス基板を投入し、一方、処理されたガラス基板を上流に位置する処理装置から回収し、収納限界まで回収したカセットをカセットの格納場所に搬送した後、前記空となったカセットを用いて処理されたガラス基板を上流に位置する処理装置から回収することを特徴とするガラス基板の投入・回収方法である。
【0023】
本発明の請求項6に係る発明は、前記上下二段からなる二個の横行可能コンベア又はトラバーサーの内、一方が故障した場合は他の一方によってガラス基板の投入と回収を行うことを特徴とする請求項5に記載のガラス基板の投入・回収方法である。
【0024】
本発明の請求項7に係る発明は、前記左右二列と上下二段からなる四個のコンベアの内、いずれかが故障した場合は他の三個のコンベアによってガラス基板の投入と回収を行うことを特徴とする請求項5に記載のガラス基板の投入・回収方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明による高速マルチローダーによれば、ガラス基板の処理装置への投入と処理装置からの回収を従来のマルチローダーと比較して高速で行うことが出来、また横行コンベア又はトラバーサーが故障してしまった場合であっても、ガラス基板の投入や回収を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】カラーフィルタガラス基板の一例を断面で示す図。
【図2】一般的に用いられているフォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ層の製造工程を示すフロー図。
【図3】一般的なカラーフィルタ製造ラインの工程の一例を示す図。
【図4】LD及びULDの機能を説明するための図。
【図5】マルチローダーの概略機能を説明するための図。
【図6】マルチローダー動作を説明するための図。(a)は載置台Aに処理されるガラス基板が収納されたカセットがセットされ、載置台Bには空のカセットがセットされた状態を示す図。(b)は載置台Aにセットされたカセットからガラス基板が下流装置に投入され、載置台Bにセットされた空のカセットに処理されたガラス基板が上流装置から回収される状態を示す図。(c)は載置台Aにセットされたカセット内のガラス基板が空になり、載置台Bにセットされたカセット内には処理されたガラス基板が満載になるまで上流装置から回収される状態を示す図。(d)は載置台Bには次に処理されるガラス基板が収納されたカセットがストッカーから搬入されセットされる状態を示す図。(e)は載置台Bにセットされたカセットからガラス基板が下流装置に投入され、載置台Aにセットされた空のカセットに処理されたガラス基板が上流装置から回収される状態を示す図。(f)は載置台Bにセットされたカセット内のガラス基板が空になり、載置台Aにセットされたカセット内には処理されたガラス基板が満載になるまで上流装置から回収される状態を示す図。
【図7】マルチローダーの動作フローを示す図。
【図8】本発明の高速マルチローダーの構成図。
【図9】本発明の高速マルチローダーによってガラス基板を投入、回収する場合のガラス基板の搬送ルートを説明するための図。(a)は破線61aで示される搬送ルートで下流処理装置に搬送され、上流処理装置から実線62aで示されるルートで空カセットに搬送されるルートを示す。(b)は破線61bで示されるルートで下流処理装置に搬送され、上流処理装置から実線62bで示されるルートで空カセットに搬送されるルートを示す。
【図10】本発明による高速マルチローダーの場合の第一搬送部A46及び第一搬送部B47、又は第二搬送部Aa48及び第二搬送部Ab49と第二搬送部Ba50及び第二搬送部Bb51のいずれかが故障した場合のガラス基板の投入と回収について説明するための図。(a)は第一搬送部B47が故障した場合のガラス基板の投入と回収を行う場合を示す図。(b)は第二搬送部Bb51が故障した場合のガラス基板の投入と回収を行う場合を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の高速マルチローダーを実施するための形態を説明する。
【0028】
図8は本発明の高速マルチローダーの構成図を示す。高速マルチローダー100は図示しない処理するガラス基板をカセットから上流に位置する上流処理装置に矢印40で示される方向に搬送し、処理装置で処理されたガラス基板を下流に位置する下流処理装置から矢印41で示される方向に搬送し回収カセットに回収するマルチローダーであって、処理装置に投入されるガラス基板を収納するカセットと処理装置で処理されたガラス基板を回収するカセットを載置可能な載置部42〜45と、載置部42〜45から処理装置側に順に設けられ上下二段からなる第一搬送手段である第一搬送部A46及び第一搬送部B47と、第一搬送部A46及び第一搬送部B47とガラス基板の受け入れ受け渡しを行う左右二列と上下二段からなる第二の搬送手段である第二搬送部Aa48及び第二搬送部Ab49と第二搬送部Ba50及び第二搬送部Bb51と、第二搬送部Aa48及び第二搬送部Ab49と第二搬送部Ba50及び第二搬送部Bb51とガラス基板の受け渡し受け入れを行う第三の搬送手段である第三搬送部Aa52と第三搬送部Ab56及び第三搬送部B53と第三搬送部C54と、を備えている。第三搬送部B53と第三搬送部C54は矢印55a及び矢印55bで示す方向にガラス基板を昇降する。
【0029】
載置部42〜45は図8では4個のカセットを載置することが出来ることを示しているが、少なくとも3個以上のカセットを載置することが出来れば良い。しかしLDの部分とULDの部分にそれぞれ2個のカセットを載置できるように4個分の載置部を設けることが望ましい。それによって、下流装置へのガラス基板の投入待ちや上流装置からのガラス基板の回収待ちの時間を無くすことが出来る。
【0030】
上下二段からなる第一搬送手段である第一搬送部A46及び第一搬送部B47は、横行可能コンベア又はトラバーサーであって、第一搬送部A46が上段に、第一搬送部B47が下段に設けられており、通常は上段に設けられた第一搬送部A46によって、処理されるガラス基板をLDの部分から第二搬送部Aa48及び第二搬送部Ab49に搬送される。また下段に設けられた第一搬送部B47は、処理されたガラス基板を第二搬送部Ba50及び第二搬送部Bb51からULDの部分に搬送する。
【0031】
左右二列で上下二段からなる第二の搬送手段である第二搬送部Aa48及び第二搬送部Ab49と第二搬送部Ba50及び第二搬送部Bb51は、第二搬送部Aa48及び第二搬送部Ab49が左右2列に上段に設けられ、第二搬送部Ba50及び第二搬送部Bb51が左右2列に下段に設けられており、第三搬送部Aa52及び第三搬送部Ab56とガラス基板の受け入れ受け渡しを行うもので、第一搬送部A46及び第一搬送部B47と第三搬送部Aa52及び第三搬送部Ab56とを繋ぐものである。第二搬送部Aa48及び第二搬送部Ab49と第二搬送部Ba50及び第二搬送部Bb51には、コンベアによる搬送装置を用いることが出来る。
【0032】
第三の搬送手段は例えば第三搬送部Aa52及び第三搬送部Ab56、第三搬送部B53、第三搬送部C54で構成され、第三搬送部Aa52は第二搬送部Aa48及び第二搬送部Ab49と、第三搬送部Ab56は第二搬送部Ba50及び第二搬送部Bb51と上流処理装置及び下流処理装置とを繋ぐ搬送装置であって、更に第三搬送部B53と第三搬送部C54はガラス基板を矢印55a及び矢印55bに示す方向に昇降する機構となっている。この場合の第三搬送部Aa52及び第三搬送部Ab56は横行可能コンベア又はトラバーサーであって、第三搬送部B53と第三搬送部C54は昇降コンベアである。上記第三の搬送手段の別の構成としては、上記に示す第三搬送部B53、第三搬送部C54によってガラス基板を昇降する代わりにロボットによってガラス基板を搬送する構成でも良い。
【0033】
図9は本発明の高速マルチローダーによってガラス基板を投入、回収する場合のガラス基板の搬送ルートを説明するための図である。例えば、当初図9(a)で示される載置部42と45には処理されるガラス基板を収納したカセットが載置され、載置部43と44には処理が行われたガラス基板を回収するカセットが載置される。次にガラス基板を収納したカセットが載置された載置部42の部分から破線61aで示される搬送ルートで搬送された後、図示しない下流処理装置に矢印40で示す方向に投入される。一方、処理されたガラス基板は上流処理装置から矢印41で示される方向に回収された後、実線61bで示されるルートで空カセットが載置された載置部43ULDに搬送される。
【0034】
上記搬送ルートでガラス基板の投入と回収が行われ、載置部42に載置されたカセットのガラス基板がすべて投入され、空カセットとなった場合には載置部42に載置されたカセットがULD用のカセットとなる。また、載置部43に載置されたカセットに回収されたガラス基板が満載になった場合には、そのカセットはストッカーに搬送され、載置部43には新たに処理されるガラス基板を収納したカセットがストッカーから搬送される。
【0035】
次に図9(b)に示すように載置部45に載置されたカセットから処理されるガラス基板が破線62aで示されるルートで搬送され下流処理装置に投入される。一方、載置部44に載置された空カセットへ上流処理装置で処理されたガラス基板が回収され、破線62bで示されるルートで搬送される。この結果、載置部45に載置されたカセットから処理されるガラス基板が全て投入された後は、載置部45に載置されたカセットは空カセットとなり、一方、載置部44に載置されたカセットが処理されたガラス基板で満載になった後は、そのカセットはカセットの格納場所であるストッカーに搬送され、載置部44には新たにガラス基板を収納したカセットがストッカーから搬送される。
【0036】
上記載置部は処理装置に投入されるガラス基板を収納するカセットと処理装置で処理されたガラス基板を回収するカセットを合わせて3個以上載置可能であれば、ガラス基板の投入と回収を、空きカセットをストッカーに搬送することなく行うことが出来る。
【0037】
更に図9から明らかなように、ガラス基板の投入、回収の際には二段からなる第一搬送部A46及び第一搬送部B47の内、第一搬送部A46がガラス基板の投入時に専用に用
いられ、第一搬送部B47が処理されたガラス基板の回収時に専用に用いられる。その結果、従来のマルチローダーと比較してガラス基板の投入、回収を高速に行うことが出来る。
【0038】
上記図9に示される載置部はカセットを4個載置出来る場合を示した。4個載置することによって、カセットから投入する場合とカセットへ回収する場合の、カセットの空になるタイミングとカセットが満載になるタイミングが一致しない場合であっても、投入するガラス基板を収納したカセットの待ち時間や、回収するカセットの待ち時間が発生することを防ぐことが出来る。
【0039】
第一搬送部A46及び第一搬送部B47、又は第二搬送部Aa48及び第二搬送部Ab49と第二搬送部Ba50及び第二搬送部Bb51のいずれかが故障した場合のガラス基板の投入と回収について説明する。
【0040】
図7に示される従来用いられていたマルチローダーは、横行コンベア又はトラバーサーが故障した場合には、ガラス基板の投入や回収が不可能となるが、本発明による高速マルチローダーの場合の第一搬送部A46及び第一搬送部B47、又は第二搬送部Aa48及び第二搬送部Ab49と第二搬送部Ba50及び第二搬送部Bb51のいずれかが故障した場合のガラス基板の投入と回収について図10を用いて説明する。
【0041】
図10(a)は例えば第一搬送部B47が故障した場合のガラス基板の投入と回収を行う場合を示す図で、図10(b)は例えば第二搬送部Bb51が故障した場合のガラス基板の投入と回収を行う場合を示す図である。
【0042】
図10(a)の第一搬送部B47が故障した場合のガラス基板の投入と回収は、第一搬送部A46と第二搬送部Aa48及び第二搬送部Ab49を使用して、破線71aの次に破線72aで示すガラス基板の投入を、また実線71bの次に実線72bで示すガラス基板の回収を行う。
【0043】
図10(b)の第二搬送部Bb51が故障した場合のガラス基板の投入と回収は、第一搬送部A46と第一搬送部B47と第二搬送部Aa48及び第二搬送部Ba50を使用して、破線81aの次に破線82aで示すガラス基板の投入を、また実線81bの次に実線82bで示すガラス基板の回収を行う。
【0044】
この場合、図10(a)に示される第一搬送部B47が故障した場合には、第一搬送部A46が律速となり、従来のマルチローダーと速度は同じになる可能性があるが、処理装置にガラス基板を投入したり処理装置からガラス基板を回収する動作が中止することが避けられる。また、図10(b)に示される第二搬送部Bb51が故障した場合はガラス基板の投入と回収は速度の低下が避けられる。即ち第二搬送部Aa48と第二搬送部Ab49、及び第二搬送部Ba50と第二搬送部Bb51はお互いが故障時のバックアップとなるように作用する。
【0045】
以上のように本発明による高速マルチローダーによれば、ガラス基板の処理装置への投入と処理装置からの回収を従来のマルチローダーと比較して、投入するガラス基板の待ちや回収するカセットの待ちが無いため、高速で行うことが出来、また横行コンベア又はトラバーサーやコンベアが故障してしまった場合であっても、ガラス基板の投入や回収を行うことが出来る。
【符号の説明】
【0046】
1・・・カラーフィルタ
2・・・ガラス基板
3・・・ブラックマトリックス
4−1・・・レッドRの着色画素
4−2・・・グリーンGの着色画素
4−3・・・ブルーBの着色画素
5・・・透明電極
6・・・フォトスペーサー
7・・・バーテイカルアライメント
10・・・ストッカー
11・・・ローダ(LD)
12、16、18、22・・・コンベア
13、20・・・ロボット
14、19・・・検査装置
15、17、21・・・プロセス処理装置
23・・・アンローダ(ULD)
30・・・マルチローダー
31・・・下流装置
32・・・上流装置
33・・・処理されるガラス基板が収納されたカセット
34・・・ガラス基板が満載になるまで回収されたカセット
35・・・次に処理されるガラス基板が収納されたカセット
100・・・高速マルチローダー
40・・・処理されるガラス基板の搬送方向を示す矢印
41・・・処理されたガラス基板の搬送方向を示す矢印
42〜45・・・載置部
46・・・第一搬送部A
47・・・第一搬送部B
48・・・第二搬送部Aa
49・・・第二搬送部Ab
50・・・第二搬送部Ba
51・・・第二搬送部Bb
52・・・第三搬送部Aa
52a・・・第三搬送部Aが最下位置に降下された場合の第三搬送部A
53・・・第三搬送部B
54・・・第三搬送部C
55a・・・第三搬送部Bによってガラス基板が昇降される方向を示す矢印
55b・・・第三搬送部Cによってガラス基板が昇降される方向を示す矢印
56・・・第三搬送部Ab
61a、62a・・・収納したカセットからガラス基板が下流処理装置に投入される搬送ルート
61b、62b・・・処理されたガラス基板が上流処理装置から搬送されるルート
71a、72a・・・第一搬送部Bが故障した場合の収納したカセットからガラス基板が下流処理装置に投入される搬送ルート
71b、72b・・・第一搬送部Bが故障した場合の処理されたガラス基板が上流処理装置から搬送されるルート
81a、82a・・・第一搬送部Bが故障した場合の収納したカセットからガラス基板が下流処理装置に投入される搬送ルート
81b、82b・・・第一搬送部Bが故障した場合の処理されたガラス基板が上流処理装置から搬送されるルート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板を処理する処理装置にガラス基板を投入し、処理装置で処理されたガラス基板を回収するマルチローダーであって、
処理装置に投入されるガラス基板を収納したカセットと処理装置で処理されたガラス基板を回収するカセットをそれぞれ載置する部位を三個以上備えた載置部と、
載置部から処理装置側に順に設けられた、ガラス基板の受け入れ受け渡しを行う上下二段からなる第一搬送手段と、第一搬送手段とガラス基板の受け入れ受け渡しを行う左右二列と上下二段からなる第二の搬送手段と、第二の搬送手段と処理装置との間でガラス基板の受け渡し受け入れを行う第三の搬送手段と、を備えたことを特徴とするガラス基板の高速マルチローダー。
【請求項2】
前記第一搬送手段は、横行可能コンベア又はトラバーサーであることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の高速マルチローダー。
【請求項3】
前記第二の搬送手段は、搬送コンベアであることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の高速マルチローダー。
【請求項4】
第三の搬送手段は、横行可能コンベア又はトラバーサーと、ガラス基板を昇降する昇降装置又はガラス基板を搬送するロボットであることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の高速マルチローダー。
【請求項5】
ガラス基板を処理する処理装置にガラス基板を投入し、処理装置から処理されたガラス基板を回収する方法であって、
処理装置に投入されるガラス基板を収納したカセットと処理装置で処理されたガラス基板を回収するカセットをそれぞれ載置する部位を三個以上備えた載置部に載置されたカセットの内、ガラス基板を収納したカセットから、ガラス基板の受け入れ受け渡しを行う上下二段からなる二個の横行可能コンベア又はトラバーサーと、左右二列と上下二段からなる四個のコンベアと、横行可能コンベア又はトラバーサーと、ガラス基板を昇降する昇降装置又はガラス基板を搬送するロボットと、によって下流に位置する処理装置にガラス基板を投入し、収納されている全てのガラス基板が投入されて空となったカセットを回収用のカセットとして使用し、前記載置部に載置されている新たに処理されるガラス基板を収納したカセットから下流に位置する処理装置にガラス基板を投入し、一方、処理されたガラス基板を上流に位置する処理装置から回収し、収納限界まで回収したカセットをカセットの格納場所に搬送した後、前記空となったカセットを用いて処理されたガラス基板を上流に位置する処理装置から回収することを特徴とするガラス基板の投入・回収方法。
【請求項6】
前記上下二段からなる二個の横行可能コンベア又はトラバーサーの内、一方が故障した場合は他の一方によってガラス基板の投入と回収を行うことを特徴とする請求項5に記載のガラス基板の投入・回収方法。
【請求項7】
前記左右二列と上下二段からなる四個のコンベアの内、いずれかが故障した場合は他の三個のコンベアによってガラス基板の投入と回収を行うことを特徴とする請求項5に記載のガラス基板の投入・回収方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図1】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−115302(P2013−115302A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261549(P2011−261549)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】