説明

ガラス基板処理装置とそのクリーニング方法、およびガラス基板処理方法

【課題】HFガスを用いたガラス基板のエッチング時に、チェンバ内壁に付着したアルカリ元素のフッ化物からなる堆積膜やパーティクルを従来に比して容易に洗浄することができるガラス基板処理装置を得ること。
【解決手段】真空チェンバ11と、真空チェンバ11内でガラス基板100を保持する基板ステージ12と、真空チェンバ11内にガラス基板100を処理する処理ガスを供給するガス供給機構20と、基板ステージ12の基板保持面に対向して配置され、基板ステージ12に向けて処理ガスを吐出するガスシャワーヘッド13と、真空チェンバ11内のガスを排気する排気手段と、真空チェンバ11内を洗浄水110で洗浄するシャワーヘッド31と、真空チェンバ11内に貯留した洗浄水110を排水する排水機構40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガラス基板処理装置とそのクリーニング方法、およびガラス基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電は、火力発電や原子力発電の代替エネルギーとして大いに期待されており、従来からの単結晶あるいは多結晶シリコン基板を用いる結晶系の太陽電池に加え、近年、安価なソーダガラス上にシリコン薄膜を堆積して太陽電池セルを形成する薄膜シリコン太陽電池が注目されている。
【0003】
薄膜シリコン太陽電池は、たとえばガラス基板上に、透明導電膜からなる第1電極層と、P型アモルファスシリコン膜、発電層であるI型アモルファスシリコン膜およびN型アモルファスシリコン膜からなるアモルファスシリコンセルと、透明導電膜および金属電極膜からなる第2電極層と、が積層された構造を有する。薄膜シリコン太陽電池では、ガラス基板を介して入射した太陽光を効率的に発電に利用するため、たとえばガラス基板の表面にテクスチャと呼ばれる凹凸形状を形成して入射光を散乱させ、発電層内での光路長を長くすることで高い発電電流を得ている。
【0004】
薄膜シリコン太陽電池で使用するガラス基板の表面への凹凸形状の形成方法としては、サンドブラストを用いる方法などが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。また、ガラス基板をフッ酸液やフッ化水素(HF)ガスに曝すと、表面に微細な凹凸形状が形成されることが知られており(たとえば、特許文献2参照)、HFガスを用いた気相エッチング装置として、半導体LSI(Large-Scale Integrated)デバイスやMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)の製造分野で使用されている気相HFエッチング装置が知られている(たとえば、特許文献3、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−199745号公報
【特許文献2】特許第2737901号公報
【特許文献3】特開2008−187105号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】W. I. Jang, C. A. Choi, J. H. Lee, C. H. Jun, H. Yang, Y. T. Kim, “Characterization of residues on anhydrous HF gas-phase etching of sacrificial oxides for surface micromachining”, Jpn. J. Appl. Phys., vol.39, pp.337-342(2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、サンドブラスト法を用いた場合には、ガラス基板表面の凹凸形状の形状制御が困難であり、この上に太陽電池を作製した場合、安定した太陽電池特性が得られないという問題点があった。
【0008】
また、従来の気相HFエッチング装置は、直径φ6〜10インチのシリコン基板表面に形成された半導体装置のシリコン酸化膜やシリコン窒化膜をエッチングするための装置であり、薄膜太陽電池で使用するガラス基板の表面に凹凸形状を形成するための装置ではない。そのため、従来の気相HFエッチング装置を用いて薄膜シリコン太陽電池用のガラス基板をエッチングして基板表面に凹凸形状の形成を行なう場合には、半導体LSIデバイスやMEMSの製造の際には生じなかった以下の問題点が発生してしまう。
【0009】
一般的なソーダガラスの組成は、SiO2(72%)、Na2O(13%)、CaO(10%)、MgO(4%)、Al23(1%)であり、半導体装置のシリコン酸化膜とは異なり、アルカリ元素(Na,Ca等)がガラス中に相当量(10〜20%程度)含まれている。これらの元素がHFガスと反応して生成されるフッ化物、すなわちフッ化ナトリウム(NaF)、珪フッ化ナトリウム(Na2SiF6)、フッ化カルシウム(CaF2)等は、SiO2成分から生成されるSiF4のような反応生成物とは異なり、沸点が高く(言い換えれば蒸気圧が低く)、真空チェンバ内の減圧下においても揮発しにくい性質がある。たとえば大気圧下(〜760Torr)でのSiF4の沸点は−95℃であるが、Na2SiF6では485℃、NaFは1,704℃、CaF2は2,500℃であることが知られている。
【0010】
このため、HFガス中では、ガラス中のSiO2成分のエッチングは容易に進行するが、アルカリ元素のフッ化物が表面に形成されると、減圧下でも殆ど揮発せず表面に残留する。一方、沸点が比較的低い(蒸気圧が比較的高い)NaFやNa2SiF6等は、減圧下においてはその一部は表面から脱離する。ガラス基板表面から脱離したNaFやNa2SiF6は、付着係数が大きい(Sp〜1)ガス種であることから、気相HFエッチング装置内のガスシャワーヘッドや真空チェンバ壁面に衝突すると直ちに再付着し、これらの膜が堆積するようになる。薄膜太陽電池の製造では、1m角を超える大型ガラス基板が使用されるが、この場合には、エッチング処理時に発生する反応生成物の発生量は基板面積に比例するため、結果として真空チェンバ内にアルカリ元素のフッ化物(特にNaFやNa2SiF6)の膜が多量に堆積するようになる。
【0011】
真空チェンバ内に堆積した膜は、膜厚が厚くなると膜剥がれによりパーティクルの発生源となり、太陽電池の製品歩留まりの低下を引き起こすという問題点があった。また、ガラス基板上に形成されたアルカリ元素のフッ化物(厚さ:数百nm〜数μm)も膜剥がれが起こり易く、エッチング処理後に基板を真空チェンバから取り出す際に、チェンバ内部に多量のパーティクルを発生させることがある。このため、真空チェンバ内に付着した堆積膜やパーティクルを除去するためには、エッチング装置の運転を止め、作業者による真空チェンバ内部の洗浄・清掃を長時間行う必要があり、装置の稼働率が大きく低下するという問題点もあった。
【0012】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、HFガスを用いて太陽電池用のガラス基板をエッチングする際に、チェンバ内壁に付着したアルカリ元素のフッ化物からなる堆積膜やパーティクルを従来に比して容易に洗浄することができるガラス基板処理装置とそのクリーニング方法、およびガラス基板処理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、この発明にかかるガラス基板処理装置は、処理室と、前記処理室内でガラス基板を保持する基板保持手段と、前記処理室内に前記ガラス基板を処理する処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、前記基板保持手段の基板保持面に対向して配置され、前記基板保持手段に向けて前記処理ガスを吐出する処理ガス吐出手段と、前記処理室内のガスを排気する排気手段と、前記処理室内に洗浄水を散布する散水手段と、前記散水手段に前記洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、前記処理室内に貯留した前記洗浄水を排水する排水手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、HFガスを用いてアルカリ元素を含むガラス基板のエッチングによって生じたアルカリ元素のフッ化物から成る堆積膜やパーティクルをin-situに、かつ従来に比して効果的に洗浄除去することができ、その結果、太陽電池の製品歩留まりの向上や装置の稼働率の改善を実現することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施の形態1によるガラス基板処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、実施の形態1による基板エッチング処理とチェンバクリーニング処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図3は、実施の形態1によるガラス基板処理装置の概略構成の他の例を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、実施の形態2によるガラス基板処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は、実施の形態2による基板エッチング処理とチェンバクリーニング処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、実施の形態3によるガラス基板処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
【図7】図7は、実施の形態4によるガラス基板処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
【図8】図8は、実施の形態5によるガラス基板処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
【図9】図9は、実施の形態5による基板エッチング処理、チェンバクリーニング処理および基板洗浄処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明の実施の形態にかかるガラス基板処理装置とそのクリーニング方法、およびガラス基板処理方法を詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるガラス基板処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。このガラス基板処理装置10は、処理室としての真空チェンバ11を備え、この内部に基板保持手段である基板ステージ12と、処理ガス吐出手段であるガスシャワーヘッド13と、が対向して配置されている。この例では、基板ステージ12は、真空チェンバ11内の下部に配置され、ガスシャワーヘッド13は、真空チェンバ11内の上部に配置される。基板ステージ12上には、エッチング処理を施すガラス基板100が載置される。この図では、エッチング処理後のチェンバクリーニング時の状態を表しているので、ガラス基板100が載置されていない状態を示している。また、真空チェンバ11の壁や基板ステージ12は図示しない加熱機構が設けられる。
【0018】
真空チェンバ11のガスシャワーヘッド13の設置位置には、ガス供給機構20が設けられている。ガス供給機構20は、真空チェンバ11に接続されるガス供給配管21と、ガス供給配管21から分岐する一方のガス供給配管211に設けられ、エッチング処理時に処理ガスを供給する処理ガス供給部22と、他方のガス供給配管212に設けられ、パージ用ガスを供給するパージ用ガス供給部23と、処理ガスまたはパージ用ガスの真空チェンバ11内への供給のオン/オフを切替えるガス供給配管21上に設けられるガス供給バルブ24と、を有する。
【0019】
この例では、処理ガス供給部22は、ガラス基板100のエッチングを行うHFガスやフッ酸蒸気を供給するHFガス供給部221と、エッチング時にHFを解離させるHF解離ガスを供給するHF解離ガス供給部222とを有する。HFガスは、無水のフッ化水素(HF)ガスであり、フッ酸蒸気は、フッ化水素(HF)ガスを水に溶かし込んだ液体の蒸気であり、フッ化水素ガスと水蒸気とを含むガスである。また、HF解離ガスとして、水蒸気(H2O)やメタノール(CH3OH)、エタノール(C25OH)、イソプロピルアルコール(C37OH)などのアルコールガスなどを用いることができる。HFガス供給部221は、ガス供給配管211から分岐するガス供給配管211Aに接続されており、ガス供給配管211A上には、HFガスの流量を制御するマスフローコントローラ25Aが設けられる。また、HF解離ガス供給部222は、ガス供給配管211から分岐するガス供給配管211Bに接続されており、ガス供給配管211B上には、HF解離ガスの流量を制御するマスフローコントローラ25Bが設けられる。パージ用ガス供給部23は、真空チェンバ11内にN2ガスや、Arガスなどの希ガス、乾燥空気などからなるパージ用ガスを供給する。
【0020】
ガスシャワーヘッド13の内部には、内部の貯気空間にガスを均一に拡散させるためのガス拡散板131が備えられ、また、ガスシャワーヘッド13の基板ステージ12と対向する面には、面内から均一にガスが噴出するように、無数の小孔を有するシャワープレート132が設けられている。
【0021】
また、真空チェンバ11には、真空チェンバ11内を真空排気するための排気口14が設けられ、この排気口14には排気管15が接続されている。排気管15には、排気手段としての排気バルブ16と図示しない圧力調整バルブおよび真空ポンプが接続されている。エッチング処理時には、排気バルブ16を開け、圧力調整バルブにより真空チェンバ11内の圧力を所望の値に調整することができる。この例では、排気口14は、真空チェンバ11の側壁の下方に設けられている。
【0022】
さらに、真空チェンバ11には、真空チェンバ11内に洗浄水を導入するための給水機構30と、真空チェンバ11から洗浄水を排出する排水機構40と、を有している。給水機構30は、真空チェンバ11の内部全体に洗浄水をかけるために真空チェンバ11内に設けられ、無数の小孔を有するリング状の散水手段であるシャワーヘッド31と、シャワーヘッド31に洗浄水を供給する洗浄水供給部32と、シャワーヘッド31と洗浄水供給部32との間を接続する給水管33と、シャワーヘッド31に供給される洗浄水を所定の温度に加熱する洗浄水加熱部34と、洗浄水のシャワーヘッド31への供給のオン/オフを切替える給水バルブ35と、シャワーヘッド31へのパージ用ガスの供給のオン/オフを切り替えるガス供給バルブ36と、を備える。洗浄水は特に限定されないが、脱イオン水、より好ましくは純水を用いるのが望ましい。また、洗浄効果を高めるために界面活性剤を加えてもよい。また、洗浄水加熱部34は、ヒータと温度計を有し、洗浄水の温度が所定の温度となるように制御される。さらにガス供給バルブ36は、ガス供給配管37を介してパージ用ガス供給部23と接続される。なお、この図では、給水バルブ35は開いた状態を表し、ガス供給バルブ36は閉じた状態を表している。
【0023】
排水機構40は、真空チェンバ11の底部に設けられる排水口41と、排水口41に接続される排水管42と、排水管42上に設けられ、排水のオン/オフを切替える排水バルブ43と、を備える。なお、この図では、排水バルブ43は開いた状態を表している。
【0024】
つぎに、このような構造のガラス基板処理装置10での基板エッチング処理とチェンバクリーニング処理について説明する。図2は、実施の形態1による基板エッチング処理とチェンバクリーニング処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0025】
まず、真空チェンバ11内の基板ステージ12上に載置したガラス基板100のエッチング処理を行う(ステップS11)。具体的には、真空チェンバ11内にガラス基板100を搬送し、基板ステージ12上に載置した後、図示しない排気手段によって、真空チェンバ11内が所定の真空度になるまで排気する。このとき、ガス供給バルブ24、排水バルブ43および給水バルブ35を閉め(オフとし)、排気バルブ16を開ける(オンとする)。
【0026】
真空チェンバ11内が所定の真空度になると、HFガス供給部221とHF解離ガス供給部222からHFガスまたはフッ酸蒸気とたとえば水蒸気とを、それぞれマスフローコントローラ25A,25Bで所定の流量となるように調整して供給する。このとき、ガス供給配管211Aを流れるHFガスと、ガス供給配管211Bを流れる水蒸気と、は、ガス供給配管211で合流し、混合され、ガス供給配管21へと到達する。そして、ガス供給バルブ24を開くことでHFガスと水蒸気との混合ガスがガスシャワーヘッド13へと供給される(逆に、ガス供給バルブ24を閉じるとガスが直ちに遮断される)。ガスシャワーヘッド13内へと供給された混合ガスは、ガス拡散板131によって貯気空間内に均一に拡散され、シャワープレート132から均一に真空チェンバ11内へと吐出(噴出)される。このとき、圧力調整バルブによって、真空チェンバ11内は所定の圧力とされる。そして、所定の時間この状態を維持することで、吐出された混合ガスによる基板ステージ12上のガラス基板100のエッチング処理が行われる。
【0027】
所定の時間、エッチング処理を行った後、ガス供給バルブ24を閉状態(オフ)とし(ステップS12)、混合ガスの真空チェンバ11内への供給を止める。すなわち、HFガス供給部221からのHFガスの供給とHF解離ガス供給部222から水蒸気の供給を止める。その後、所定の時間真空チェンバ11内を真空排気して、混合ガスを十分に排出した後、排気バルブ16を閉め(ステップS13)、真空チェンバ11内の基板ステージ12からガラス基板100を真空搬送によって取り出す(ステップS14)。以上によって、ガラス基板100のエッチング処理が終了する。
【0028】
ついで、N2ガスを真空チェンバ11に供給して真空チェンバ11内を大気圧に戻した後、ガス供給バルブ24を閉め、真空チェンバ11の底の排水バルブ43を開け(ステップS15)、続いて洗浄水の給水バルブ35も開けて(ステップS16)、洗浄水供給部32から洗浄水110を真空チェンバ11内に導入する。このとき、ガス供給バルブ24と排気バルブ16は閉まっているので、水分がガス供給配管21や排気管15に浸入することはない。
【0029】
洗浄水供給部32からの洗浄水110は、真空チェンバ11内に設置したシャワーヘッド31へと到達し、シャワーヘッド31から四方八方に吹き出され、ガスシャワーヘッド13、基板ステージ12、真空チェンバ11の壁面が洗浄水110によって洗われる。この水洗処理を所定の時間行う(ステップS17)。なお、このとき、洗浄水110は、真空チェンバ11の下部に溜まるが、排水口41から排水される。
【0030】
上述したように、ソーダガラスをHFガス中でエッチングすると、アルカリ金属元素のフッ化物(NaFやNa2SiF6)の堆積膜やパーティクルがシャワープレート132や真空チェンバ11の壁面に付着するが、これらの堆積膜やパーティクルは可溶性であり、真空チェンバ11内に導入する洗浄水110によって溶解させることができる。NaFの溶解度は、25℃で4.1g/100mlであり、Na2SiF6の溶解度は25℃で0.76g/100mlであり、100℃で2.45g/100mlである。一方、CaF2の溶解度は、18℃で0.0015g/100mlであり、殆ど溶解しないことが知られている。
【0031】
大型ガラス基板(たとえば1.4m×1.1m)対応のガラス基板処理装置10の真空チェンバ11の内寸法を1.6m×1.3m×0.3mと仮定すると、真空チェンバ11の容積はV=624,000cm3となり、内部の表面積はS=59,000cm2となる。この真空チェンバ11の内壁に1μmの厚さのNaF膜(密度:2.79g/cm3)が均一に堆積しているとすると、付着しているNaF膜の全質量Wは16.5gである。一方、この真空チェンバ11に水を満たしたとすると、真空チェンバ11の容積(624,000cm3)とNaFの25℃での溶解度(4.1g/100ml)から、NaFを最大256kgまで溶かすことができる。つまり、真空チェンバ11に供給する洗浄水110の量を適当に選択することによって、NaFやNa2SiF6の堆積膜やパーティクルを溶解して除去することができる。特に、液温を上げることで堆積膜やパーティクルの溶解度は増加するので、洗浄水加熱部34を動作させて、洗浄水110の液温を室温〜90℃の範囲で所望の値に設定すると洗浄効果を向上させることができる。洗浄水110の温度として、30℃以上、好ましくは50℃以上とすることができる。これによって、クリーニング後に、真空チェンバ11の壁面の水分を速やかに蒸発させることもできる。
【0032】
水洗が終了すると、給水バルブ35を閉めて(ステップS18)、洗浄水110が排水され、蒸発するのを待つ。このとき、自然に洗浄水110の排水と蒸発を待つようにしてもよいが、真空チェンバ11内の乾燥を短時間で充分なものにするために、ガス供給バルブ24を開き、パージ用ガス供給部23からパージ用ガスをガスシャワーヘッド13を介して真空チェンバ11内に所定の時間流し続け、さらに、ガス供給バルブ36を開き、洗浄水110のシャワーヘッド31にもパージ用ガスを供給することで、シャワーヘッド31内に溜まっている水分を真空チェンバ11内に排出させ、内部を乾燥させるパージ処理を行ってもよい(ステップS19)。このようにして、真空チェンバ11内の水分を充分に蒸発させた後、ガス供給バルブ24,36を閉じてパージ用ガスの供給を停止し、排水バルブ43を閉める(ステップS20)。そして、排気バルブ16を開けて、真空チェンバ11内を真空排気することによって(ステップS21)、チェンバクリーニング処理が完了する。
【0033】
なお、上記した説明では、図2に示されるようにガラス基板100のエッチング処理毎にチェンバクリーニングを行っているが、必ずしも毎回クリーニングを行う必要は無く、真空チェンバ11内で膜剥がれが起こるまでエッチング処理を重ねた後、すなわち所定枚数のガラス基板100をエッチング処理する毎に、チェンバクリーニングを施してもよい。
【0034】
また、上述した説明では、真空チェンバ11内に洗浄水110を放出させるのにリング状のシャワーヘッド31を用いたが、散水手段がこれに限定されるものではない。図3は、実施の形態1によるガラス基板処理装置の概略構成の他の例を模式的に示す断面図である。このガラス基板処理装置10では、散水手段が真空チェンバ11の長手方向に平行な方向に延在するロッド状のシャワーヘッド31Aとなっている。このようにすることで、真空チェンバ11の側壁にも十分に洗浄水110をかけることが可能となる。なお、図1と同一の構成要素には、同一の符号を付して、その説明を省略している。
【0035】
また、上述した説明では、基板エッチング処理が終了し、ガラス基板100を真空チェンバ11から取り出してから、真空チェンバ11内に洗浄水110を導入しているが、ガラス基板100を基板ステージ12に設置した状態で真空チェンバ11内を水洗してもよい。この場合には、ガラス基板100上の堆積膜も同時に溶解・除去することができ、後工程の水洗処理を兼ねることができ、後工程を含めた処理時間の短縮に有効である。ただし、この場合には、ガラス基板100の乾燥を充分に行うために、ガラス基板100の表面および裏面にN2ガスを吹き付ける機構や基板ステージ12を回転させる機構等がさらに設けられる。
【0036】
実施の形態1では、真空チェンバ11内にHFガスやフッ酸蒸気を導入してガラス基板100のエッチングを行った後、真空チェンバ11内の堆積膜やパーティクルが付着する範囲に洗浄水110を散布してクリーニング処理を行うようにした。ソーダガラスのエッチングで生じた堆積膜やパーティクル(NaFやNa2SiF6等)は水に溶解することから、真空チェンバ11内を水洗することによって、これらの堆積膜やパーティクルを除去することができる。つまり、ガラス基板100の表面処理後にチェンバクリーニングを施すことによって、真空チェンバ11内に発塵を引き起こすことなく、長期的に安定してガラス基板100の表面処理を重ねることができるという効果を有する。その結果、太陽電池の製造歩留まりの低下やスループットの低下を防止することができるという効果を有する。
【0037】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2によるガラス基板処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。このガラス基板処理装置10は、実施の形態1のガラス基板処理装置の洗浄水用のシャワーヘッド31を除去し、真空チェンバ11のガスシャワーヘッド13の設置位置に給水管33を直接接続する構造としている。これによって、真空チェンバ11の内部を水洗する際に、ガスシャワーヘッド13内部や真空チェンバ11の内部に洗浄水110を充填させ、壁面に付着しているアルカリ元素のフッ化物(既に述べたように、主にNaFやNa2SiF6)の堆積膜やパーティクルを溶解させながら除去する構造としている。
【0038】
また、真空チェンバ11には、内部の圧力が大気圧以上に加圧されないよう、ベント管51とベントバルブ52が接続されている。ベント管51は、真空チェンバ11の上面部に設けられており、このベントバルブ52を開けると、ベント管51を介して真空チェンバ11内に溜まったガスを大気中に放出することができる。この図では、ベントバルブ52を開けている状態を示している。なお、実施の形態1と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略している。
【0039】
つぎに、このような構造のガラス基板処理装置10での基板エッチング処理とチェンバクリーニング処理について説明する。図5は、実施の形態2による基板エッチング処理とチェンバクリーニング処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0040】
実施の形態1の図2のステップS11〜S14と同様に、真空チェンバ11内の基板ステージ12に載置したガラス基板100をHFガスやフッ酸蒸気を用いてエッチング処理した後、ガス供給バルブ24を閉じ、排気バルブ16を閉じて、真空チェンバ11からガラス基板100を取り出す基板エッチング処理を行う(ステップS31〜S34)。
【0041】
基板エッチング処理が完了すると、真空チェンバ11にN2ガスを供給して真空チェンバ11内を大気圧に戻した後、真空チェンバ11の底面の排水バルブ43を開け(ステップS35)、また真空チェンバ11の上面のベントバルブ52を開ける(ステップS36)。
【0042】
ついで、給水バルブ35を開け(ステップS37)、洗浄水供給部32からガスシャワーヘッド13を介して真空チェンバ11内に洗浄水110を導入する。このとき、洗浄水110の給水速度を排水速度よりも大きく設定する。これによって、真空チェンバ11内の水面は上昇するようになる。真空チェンバ11内が洗浄水110でほぼ満たされた時点で給水速度と排水速度とが釣り合うように給水速度を調整し、所定の時間、真空チェンバ11の内部全体を水洗する(ステップS38)。このように、洗浄水110を真空チェンバ11内に供給するときには、真空チェンバ11内の空間に溜まっているガスをベント管51を介して真空チェンバ11の外に放出し、真空チェンバ11内が加圧されないようにしている。
【0043】
所定の時間が経過した後、すなわち水洗が終了した後、給水バルブ35を閉め(ステップS39)、洗浄水110が排水されるのを待つ。このとき、真空チェンバ11内をより早く乾燥させるために、排水の途中からガス供給バルブ24を開き、真空チェンバ11内にパージ用ガス供給部23からパージ用ガスとしてのN2ガスを導入し、ベント管51および排水管42からガスを放出するパージ処理を行う(ステップS40)。
【0044】
このようにして、真空チェンバ11内の水分を充分に蒸発させた後、ベントバルブ52を閉め(ステップS41)、ついで排水バルブ43も閉める(ステップS42)。そして、最後に排気バルブ16を開けて、真空チェンバ11内を真空排気することによって(ステップS43)、チェンバクリーニングが完了する。
【0045】
実施の形態2では、給水バルブ35から給水される洗浄水110の給水速度が、排水バルブ43から排水される洗浄水110の排水速度に比して大きくなるように、真空チェンバ11内に洗浄水110を供給するようにした。これによって、真空チェンバ11内全体が洗浄水110で満たされ、ガスシャワーヘッド13や基板ステージ12等の隙間にも洗浄水110を行き渡らせることができ、実施の形態1に比して真空チェンバ11内のクリーニングをより効果的に行うことができる。
【0046】
実施の形態3.
図6は、実施の形態3によるガラス基板処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。このガラス基板処理装置10は、実施の形態2のガラス基板処理装置の真空チェンバ11の側壁に設けられる振動子61と、振動子61に接続される超音波発生部62と、をさらに備える。超音波発生部62によって振動子61で超音波またはメガソニック波(高周波超音波)が発生され、この振動子61が励起源となり、洗浄水110に超音波またはメガソニック波を伝播させる。これによって、真空チェンバ11内に洗浄水110を満たした状態で、洗浄水110に超音波またはメガソニック波を励起し、超音波洗浄またはメガソニック洗浄によって真空チェンバ11内部の洗浄を行うようにしている。なお、実施の形態1,2と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。また、このガラス基板処理装置10を用いたクリーニング方法については、実施の形態2の図5のステップS38で超音波洗浄またはメガソニック洗浄を行う部分以外は、実施の形態2で説明したものと同様であるので、その説明も省略する。
【0047】
この実施の形態3によれば、振動子61を真空チェンバ11の側壁に設け、真空チェンバ11内が洗浄水110で満たされた際に、超音波またはメガソニック波を発生させるようにしたので、洗浄能力を実施の形態2に比して高めることができるという効果を有する。
【0048】
実施の形態4.
図7は、実施の形態4によるガラス基板処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。このガラス基板処理装置10は、実施の形態1〜3のガラス基板処理装置の排水管42にパーティクルトラップ71をさらに備える構造となっている。パーティクルトラップ71は、たとえば1層以上のフィルタが積層された構造からなり、排水中に含まれる膜の破片やパーティクルを取り除くことができる。なお、実施の形態1,2と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。このガラス基板処理装置10を用いたクリーニング方法については、実施の形態1,2で説明したものと同様であるので、その説明も省略する。
【0049】
この実施の形態4によれば、パーティクルトラップ71を排水管42に設けるようにしたので、クリーニング処理で真空チェンバ11の内壁などから落ちた堆積物やパーティクルをパーティクルトラップ71で取り除くことができる。その結果、排水管42の目詰まりを防ぐことが出来、長期間安定に装置を稼働することができるという効果を有する。
【0050】
実施の形態5.
上述した実施の形態1〜4では、基板エッチング処理後にガラス基板を取り出し、基板ステージ上にはガラス基板が無い状態で真空チェンバ内の洗浄を行う例について説明した。この場合、ガラス基板処理装置から取り出したガラス基板は洗浄装置を用いて基板表面の堆積物を洗浄・除去する処理がさらに行なわれる。製造ラインの処理能力を上げる、あるいは製造コストを下げるためには、このガラス基板処理装置内で引き続きガラス基板の洗浄を行う方が好ましい。そこで、この実施の形態5では、ガラス基板処理装置内でガラス基板の洗浄を行うことができるガラス基板処理装置およびガラス基板処理方法について説明する。
【0051】
図8は、実施の形態5によるガラス基板処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。このガラス基板処理装置10は、実施の形態1のガラス基板処理装置で、真空チェンバ11内に洗浄水110を導入するための2つの給水機構30A,30Bを有している。給水機構30Aは、実施の形態1の図1の給水機構30と同じであり、図1で使用されている符号の末尾に“A”が付されている。もう一方の給水機構30Bは、真空チェンバ11のガスシャワーヘッド13の設置位置に洗浄水110が供給されるように設けられている。すなわち、給水機構30Bは、真空チェンバ11のガスシャワーヘッド13の設置位置に洗浄水を供給する洗浄水供給部32Bと、真空チェンバ11と洗浄水供給部32Bとの間を接続する給水管33Bと、真空チェンバ11に供給される洗浄水を所定の温度に加熱する洗浄水加熱部34Bと、洗浄水の真空チェンバ11への供給のオン/オフを切り替える給水バルブ35Bと、を備える。また、真空チェンバ11と給水バルブ35Bとの間で給水管33Bには、パージ用ガス供給部23と接続されるガス供給配管37Bが設けられ、このガス供給配管37B上に、真空チェンバ11内へのパージ用ガスの供給のオン/オフを切り替えるガス供給バルブ36Bが設けられる。なお、実施の形態1と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略している。
【0052】
このような構成によって、給水機構30Bの洗浄水供給部32Bからの洗浄水110をガスシャワーヘッド13にも供給し、シャワープレート132から、基板ステージ12上のガラス基板100の表面に洗浄水110を散水することができるようになる。その結果、給水機構30Aによる真空チェンバ11の壁面に付着した堆積膜やパーティクルなどの堆積物の洗浄に加え、ガラス基板100の表面の堆積物の洗浄・除去も可能である。
【0053】
なお、この図8では、図1の構成にさらに真空チェンバ11のガスシャワーヘッド13の設置位置に洗浄水を供給する給水機構30Bを有する構造を示しているが、これに限定されるものではなく、実施の形態1の図3の構成を有するガラス基板処理装置10の真空チェンバ11のガスシャワーヘッド13の設置位置に洗浄水110を供給する給水機構30Bを有する構造としてもよい。
【0054】
つぎに、このような構造のガラス基板処理装置10での基板エッチング処理、チェンバクリーニング処理および基板洗浄処理について説明する。図9は、実施の形態5による基板エッチング処理、チェンバクリーニング処理および基板洗浄処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下に詳細について説明する。
【0055】
実施の形態1の図2のステップS11〜S12と同様に、真空チェンバ11内の基板ステージ12に載置したガラス基板100をHFガスやフッ酸蒸気を用いてエッチング処理した後、ガス供給バルブ24を閉じる(ステップS51〜S52)。その後も、図示しない排気手段によって、真空チェンバ11内を真空排気する(ステップS53)。以上によって、ガラス基板100のエッチング処理が終了する。
【0056】
基板エッチング処理が完了すると、基板ステージ12上にガラス基板100を残した状態で、排気バルブ16を閉じ、真空チェンバ11にN2ガスを供給して真空チェンバ11内を大気圧に戻した後、真空チェンバ11の底面の排水バルブ43を開ける(ステップS54)。
【0057】
ついで、洗浄水供給部32Aの洗浄水の給水バルブ35Aを開け(ステップS55)、洗浄水供給部32Aからリング状のシャワーヘッド31を介して真空チェンバ11内に洗浄水110を導入する。洗浄水110は四方八方に吹き出され、ガスシャワーヘッド13、基板ステージ12、真空チェンバ11の壁面が洗浄水110によって洗浄される(ステップS56)。またこのとき、別の洗浄水供給部32Bの給水バルブ35Bも開け(ステップS55)、洗浄水供給部32Bからガスシャワーヘッド13を介して真空チェンバ11内に洗浄水110を導入する。洗浄水110は、ガラス基板100に向かって吹き出され、ガラス基板100の表面が洗浄水110によって洗浄される(ステップS56)。
【0058】
所定の時間が経過した後、すなわち真空チェンバ11内およびガラス基板100の水洗が終了した後、給水バルブ35A,35Bを閉め(ステップS57)、洗浄水110が排水されるのを待つ。このとき、自然に洗浄水110が排水されるのと、真空チェンバ11内面およびガラス基板100から蒸発されるのと、を待つようにしてもよいが、真空チェンバ11内の乾燥を短時間で充分なものにするために、ガス供給バルブ24を開き、パージ用ガス供給部23からパージ用ガスをガスシャワーヘッド13を介して真空チェンバ11内に所定の時間流し続け、さらに、ガス供給バルブ36A,36Bを開き、給水管33A,33B内、シャワーヘッド31内およびガスシャワーヘッド13内に溜まっている水分を強制的に排出させ、内部を乾燥させるパージ処理を行ってもよい(ステップS58)。このようにして、真空チェンバ11内の水分を充分に蒸発させた後、ガス供給バルブ24,36A,36Bを閉じてパージ用ガスの供給を停止し、排水バルブ43を閉める(ステップS59)。
【0059】
そして、排気バルブ16を開けて、真空チェンバ11内を真空排気する(ステップS60)。以上によって、チェンバクリーニング処理および基板洗浄処理が同時に完了する。その後は、真空チェンバ11内の基板ステージ12から洗浄が完了したガラス基板100が、真空搬送によって取り出される。
【0060】
実施の形態5では、真空チェンバ11の内部全体に洗浄水110を散水する給水機構30Aと、真空チェンバ11のガスシャワーヘッド13の設置位置から基板ステージ12上に載置されたガラス基板100に向けて洗浄水110を散水する給水機構30Bと、を設け、基板エッチング処理後にガラス基板100を基板ステージ12上に載置させたまま、給水機構30A,30Bから洗浄水110を散水するようにした。これによって、チェンバクリーニング処理時にガラス基板100の洗浄も同時に行うことができるので、真空チェンバ11から取り出されたガラス基板100は洗浄工程での洗浄処理を省略して、直ちにつぎの工程に進めることができる。その結果、ガラス基板100の製造を低コスト化することができるという効果を有する。
【符号の説明】
【0061】
10 ガラス基板処理装置
11 真空チェンバ
12 基板ステージ
13 ガスシャワーヘッド
14 排気口
15 排気管
16 排気バルブ
20 ガス供給機構
21,37,37B,211,211A,211B,212 ガス供給配管
22 処理ガス供給部
23 パージ用ガス供給部
24,36,36A,36B ガス供給バルブ
25A,25B マスフローコントローラ
30,30A,30B 給水機構
31,31A シャワーヘッド
32,32A,32B 洗浄水供給部
33,33A,33B 給水管
34,34A,34B 洗浄水加熱部
35,35A,35B 給水バルブ
40 排水機構
41 排水口
42 排水管
43 排水バルブ
51 ベント管
52 ベントバルブ
61 振動子
62 超音波発生部
71 パーティクルトラップ
100 ガラス基板
110 洗浄水
131 ガス拡散板
132 シャワープレート
221 HFガス供給部
222 HF解離ガス供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室と、
前記処理室内でガラス基板を保持する基板保持手段と、
前記処理室内に前記ガラス基板を処理する処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、
前記基板保持手段の基板保持面に対向して配置され、前記基板保持手段に向けて前記処理ガスを吐出する処理ガス吐出手段と、
前記処理室内のガスを排気する排気手段と、
前記処理室内に洗浄水を散布する散水手段と、
前記散水手段に前記洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、
前記処理室内に貯留した前記洗浄水を排水する排水手段と、
を備えることを特徴とするガラス基板処理装置。
【請求項2】
前記散水手段は、
前記洗浄水供給手段と配管により接続されており、
前記処理室の内壁に向かって前記洗浄水を吐出するノズルを有することを特徴とする請求項1に記載のガラス基板処理装置。
【請求項3】
前記処理ガス吐出手段は、前記散水手段と兼用されており、
前記処理ガス供給手段と前記洗浄水供給手段が各々の配管によって前記処理ガス吐出手段に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板処理装置。
【請求項4】
前記処理室に設けられる振動子と、
前記振動子に超音波またはメガソニック波を発生させる超音波発生手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のガラス基板処理装置。
【請求項5】
前記散水手段は、前記洗浄水を加熱する加熱手段をさらに有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のガラス基板処理装置。
【請求項6】
前記排水手段は、
前記処理室の底部に設けられる排水管と、
前記排水管に設けられ、前記洗浄水中の堆積膜や微粒子をろ過するパーティクルトラップと、
を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のガラス基板処理装置。
【請求項7】
ガラス基板をHFまたはフッ酸蒸気を含む減圧ガス雰囲気下の処理室内でエッチング処理した後、前記処理室をクリーニングするガラス基板処理装置のクリーニング方法において、
前記処理室内に洗浄水をシャワー状に供給するとともに前記洗浄水を前記処理室から排水することを特徴とするガラス基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項8】
前記処理室内に前記洗浄水が充填されるように、前記洗浄水を前記処理室内に供給するとともに前記処理室内から排水することを特徴とする請求項7に記載のガラス基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項9】
前記処理室内に充填された前記洗浄水に超音波またはメガソニック波の振動を加えることを特徴とする請求項8に記載のガラス基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項10】
前記洗浄水を30℃以上に加熱して前記処理室内に供給することを特徴とする請求項7から9のいずれか1つに記載のガラス基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項11】
ガラス基板をHFまたはフッ酸蒸気を含む減圧ガス雰囲気下の処理室内でエッチング処理するエッチング工程と、
前記処理室内に洗浄水をシャワー状に供給して前記処理室をクリーニングしながら、前記処理室内の前記ガラス基板の表面にも洗浄水をシャワー状に供給して前記ガラス基板をクリーニングするクリーニング工程と、
を含むことを特徴とするガラス基板処理方法。
【請求項12】
前記クリーニング工程では、前記洗浄水を30℃以上に加熱して供給することを特徴とする請求項11に記載のガラス基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−110377(P2013−110377A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−86558(P2012−86558)
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】