説明

ガラス壜の水滴除去装置

【課題】ガラス壜をスターホイールによって円形軌道に沿って搬送している間にガラス壜を自転させ、この自転中にガラス壜の底部から底部のやや上方の壜胴下部までの検査エリアにエアを吹き付けることにより、ガラス壜の検査エリアに付着した水滴を確実に除去することができるガラス壜の水滴除去装置を提供する。
【解決手段】液体が充填された複数のガラス壜1を複数のポケット3aで支持して円形軌道に沿って搬送するスターホイール3と、スターホイール3により支持されたガラス壜1に接触しながら走行してガラス壜を自転させるベルト16と、スターホイール3により円形軌道に沿って搬送されるガラス壜1の側方に配置され、ガラス壜1に向けて空気を吹き付けるエアブローユニット20とを備え、エアブローユニット20の前面20fは円形軌道に沿うように配置され、エアブローユニット20の前面20fには空気を噴出する複数のノズル20nが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の液体が充填されたガラス壜の底部又は底部付近に異物が沈殿又は浮遊しているか否かを光学的に検査する異物検査装置に付帯して設置され、検査装置の前段でガラス壜の外面に付着した水滴を除去するガラス壜の水滴除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガラス壜に飲料等の液体を充填した後に壜の底部又は底部付近に異物が沈殿又は浮遊しているか否かの検査を行っている。一般に、異物検査装置においては、ガラス壜内を照明し、ガラス壜を透過した透過光をCCDカメラにより撮影し、得られた画像を画像処理装置により処理して壜の底部又は底部付近に存在する異物を検出している。この場合、CCDカメラによる画像中では異物は明るい背景の中に暗い影となって映り、この暗い影を判別することにより異物を検出している。ガラス壜の外面に水滴が付着していると、CCDカメラによる画像中では水滴は暗い影となって映るため、水滴を異物と誤判定することがある。
【0003】
このため、容器の水滴除去装置として、特開2007−261595号公報(特許文献1)には、検査装置の上流側において容器を搬送するコンベアの両側に、コンベアの搬送経路に沿ってエア(圧縮空気)を噴出する複数のエアノズルを配置し、搬送中の容器のキャップにエアを吹き付けて水滴を除去する装置が開示されている。
また、特開平9−79747号公報(特許文献2)には、コンベアを挟んで吸水スポンジベルトからなる胴部用拭取部材とネック部用拭取部材とを対向して設置し、コンベアで容器を搬送し、走行する胴部用拭取部材と容器ガイドで容器の胴部を挟持して容器を回転させ、かつネック部用拭取部材を走行させて容器の胴部とネック部の水滴除去を行う容器の水滴除去装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−261595号公報
【特許文献2】特開平9−79747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、ガラス壜の底部又は底部付近に異物が沈殿又は浮遊しているか否かを検査する場合、ガラス壜の検査エリアの外面に水滴が付着していると、水滴を異物と誤判定する恐れがある。そのため、特許文献1に開示されているように容器の検査エリアにエアを吹き付けることにより水滴を除去しようとすると、ガラス壜の底部から底部のやや上方の壜胴下部までの検査エリアにエアを吹き付けて水滴を除去する必要がある。
【0006】
一方、ガラス壜を搬送するコンベアは、前後のガラス壜が連なった状態で且つ多数のガラス壜を連続して搬送する必要があるため、壜プレッシャーを減らす目的でコンベアの搬送面に液状の潤滑剤(コンベアスライダー)を噴霧して摩擦係数を下げるようにしている。そのため、コンベアによって搬送されるガラス壜の底部から壜胴下部までの検査エリアにエアを吹き付けて水滴を除去する場合、コンベアの搬送面上のコンベアスライダーが飛散し、ガラス壜に付着するという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されているように容器の検査エリアに拭取部材を押し付けることにより水滴を除去しようとすると、ガラス壜の底部から底部のやや上方の壜胴下部までの検査エリアに拭取部材を押し付けて水滴を除去する必要がある。この場合、拭取部材がガラス壜の底部のみならずコンベアの搬送面に接触することになり、搬送面上のコンベアスライダーを拭取ってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明者らは、引用文献1および2等に開示されている従来の水滴除去装置について検討を重ねた結果、ガラス壜の検査エリアが壜の底部から底部のやや上方の壜胴下部までのエリアであることから、コンベアによるガラス壜の搬送中に壜の検査エリアにエアを吹き付ける方式ではコンベアスライダーの飛散の問題を解消することができないため、コンベアを用いないガラス壜の搬送方式を採用する必要があること、拭取部材によって水滴を除去する方式に比べてエアを吹き付けて水滴を除去する方式の方が短時間で確実に水滴を除去することが可能であること、およびエアを吹き付けて水滴を除去する場合にエアを吹き付けられた水滴がガラス壜の表面を回ってノズルの反対側に移動して水滴が残ってしまうことがあるという知見を得たものである。
【0009】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、ガラス壜をスターホイールによって円形軌道に沿って搬送している間にガラス壜を自転させ、この自転中にガラス壜の底部から底部のやや上方の壜胴下部までの検査エリアにエアを吹き付けることにより、ガラス壜の検査エリアに付着した水滴を確実に除去することができるガラス壜の水滴除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明のガラス壜の水滴除去装置は、液体が充填された複数のガラス壜を外周部に設けられた複数のポケットで支持して円形軌道に沿って搬送するスターホイールと、前記スターホイールにより支持されたガラス壜に接触しながら走行してガラス壜を自転させるベルトと、前記スターホイールにより円形軌道に沿って搬送されるガラス壜の側方に配置され、ガラス壜に向けて空気を吹き付けるエアブローユニットとを備え、前記エアブローユニットの前面は前記円形軌道に沿うように配置され、前記エアブローユニットの前面には空気を噴出する複数のノズルが設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、ガラス壜をスターホイールによって円形軌道に沿って搬送している間に、走行するベルトをガラス壜の壜胴部に接触させることによりガラス壜を自転させ、この自転中にエアブローユニットの複数のノズルからガラス壜に向けて空気を吹き付けることにより、ガラス壜に付着した水滴を除去することができる。この場合、ガラス壜がエアブローユニットの前方を通過していく間に、ガラス壜は1.2回〜1.4回だけ自転することになり、ガラス壜の検査エリアに繰り返しエアが吹き付けられる。ガラス壜の回転速度(自転速度)は500rpm〜600rpmに設定されている。1本のガラス壜に吹き付けられる空気量は、0.3〜0.4MPaの圧縮空気で、2000〜2600L(リットル)である。したがって、ガラス壜のスピン(自転)による水滴除去とエアブローユニットからのエアブローによる水滴除去との両方の効果を短時間で得ることが可能である。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記エアブローユニットの前面は前記円形軌道に沿って湾曲した曲面からなることを特徴とする。
本発明によれば、空気を噴出する複数のノズルが設けられているエアブローユニットの前面は、円形軌道に沿って湾曲した曲面からなるため、円形軌道に沿って搬送されるガラス壜と各ノズルとの距離を均一に保つことができ、各ノズルから噴出されてガラス壜に当たる際の空気の圧力を均一に保つことができる。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記複数のノズルは、前記円形軌道に沿って間隔をおいて設けられるとともに垂直方向に間隔をおいて設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、複数のノズルは、前記円形軌道に沿って間隔をおいて設けられるとともに垂直方向に間隔をおいて設けられているため、ガラス壜の所定のエリア、例えば、ガラス壜の底部から該底部の上方の壜胴下部までのエリアに繰り返しエアを吹き付けることができる。したがって、ガラス壜の所定のエリアに付着した水滴を確実に除去することができる。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記各ノズルの中心線は、前記スターホイールの回転中心に向かっているとともに、斜め下方に向かっていることを特徴とする。
本発明によれば、スターホイールにより搬送されるガラス壜がノズルの前面を通過する際に、各ノズルから噴出される空気を円形断面のガラス壜の前面に対して直交する方向から当てることができるため、ガラス壜に付着した水滴を確実に除去できる。また、各ノズルから斜め下方に向かって空気を噴出することができるため、ガラス壜に付着した水滴に対して下向きの力を加えることができ、水滴を速やかに除去することができる。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記エアブローユニットは、内部に、前記複数のノズルが連通する空間を備え、前記空間は圧縮空気源に接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、圧縮空気源からエアブローユニットの空間に空気を供給することにより、各ノズルから空気を噴出させることができる。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記各ノズルは、自転するガラス壜の底部から該底部の上方の壜胴下部までのエリアに空気を吹き付けることを特徴とする。
本発明によれば、自転するガラス壜の底部から該底部の上方の壜胴下部までのエリアに空気を吹き付けることにより、ガラス壜のスピン(自転)による水滴除去とエアブローユニットからのエアブローによる水滴除去との両方の効果を短時間で得ることが可能である。したがって、ガラス壜の底部から該底部の上方の壜胴下部までのエリアに付着した水滴を確実に除去することができる。
【0016】
本発明の好ましい態様は、前記スターホイールの各ポケットの両側部に配置され、ガラス壜の壜胴部を支持する支持ローラを設けたことを特徴とする。
本発明によれば、ガラス壜の壜胴部を支持ローラによって支持することにより、ガラス壜の自転をスムーズに行うことができる。
【0017】
本発明の好ましい態様は、前記円形軌道に沿って配置され、ガラス壜の底面を支持するための円弧状の支持レールを設けたことを特徴とする。
本発明によれば、円形軌道に沿って搬送されるガラス壜の底面を円弧状の支持レールにより支持するため、ガラス壜の搬送を確実に行うことができる。
【0018】
本発明の異物検査装置は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水滴除去装置と、前記水滴除去装置の後段に配置され、液体が充填された複数のガラス壜を外周部に設けられた複数のポケットで支持して円形軌道に沿って搬送する検査用ロータと、前記検査用ロータにより円形軌道に沿って搬送されるガラス壜を挟むように配置された照明とカメラとを有し、ガラス壜の底部から該底部の上方の壜胴下部までのエリアを照明して撮影する検査ステーションとを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、ガラス壜に付着した水滴を確実に除去した後に、検査用ロータによりガラス壜を円形軌道に沿って搬送している間に、検査ステーションにおいてガラス壜の底部から該底部の上方の壜胴下部までのエリアを照明して撮影することができる。したがって、水滴付着に起因する良壜を不良壜として排除してしまう無駄バネを飛躍的に減らすことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)ガラス壜をスターホイールによって円形軌道に沿って搬送している間にガラス壜を自転させ、この自転中にガラス壜の底部から底部のやや上方の壜胴下部までの検査エリアにエアブローユニットからエア(圧縮空気)を吹き付けることにより、ガラス壜の検査エリアに付着した水滴を除去することができる。したがって、ガラス壜のスピン(自転)による水滴除去とエアブローユニットからのエアブローによる水滴除去との両方の効果を短時間で得ることが可能である。
(2)ガラス壜をスターホイールによって円形軌道に沿って搬送し、搬送中に壜の検査エリアにエアを吹き付ける方式であるため、コンベヤスライダーが飛散してガラス壜に付着する問題を解消することができる。したがって、良壜を不良壜として排除してしまう無駄バネを飛躍的に減らすことができる。
(3)ガラス壜のスピン(自転)による水滴除去とエアブローユニットからのエアブローによる水滴除去との両方の効果を短時間で得ることが可能であるため、供給エアの流量を減らすことができる。
(4)ガラス壜を自転させながら、エアを吹き付けてガラス壜に付着した水滴を除去する方式であるため、エアを吹き付けられた水滴がガラス壜の表面を回ってノズルの反対側に移動して水滴が残ってしまうという問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明に係るガラス壜の水滴除去装置を備えた異物検査装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図2は、水滴除去用スターホイールの構成を示す平面図である。
【図3】図3は、水滴除去用スターホイールの構成を示す縦断面図である。
【図4】図4は、ガラス壜がスターホイール本体のポケットに設けられた支持ローラと、支持レールとにより支持され、スピン用タイミングベルトに接触した状態を示す平面図である。
【図5】図5は、水滴除去用スターホイールにより保持されたガラス壜とエアブローユニットとの関係を示す図であり、図5(a)は平面図であり、図5(b)は図5(a)のV-V線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るガラス壜の水滴除去装置の実施形態を図1乃至図5を参照して説明する。図1乃至図5において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明に係るガラス壜の水滴除去装置を備えた異物検査装置の全体構成を示す平面図である。検査対象となるガラス壜1には、酒や焼酎等の飲料が充填されている。図1に示すように、異物検査装置は、検査対象となるガラス壜1を搬入する入口コンベア2と、入口コンベア2からガラス壜1を受け取ってガラス壜1に付着した水滴を除去する水滴除去用スターホイール3と、水滴除去用スターホイール3から受け渡されたガラス壜1の底部等の検査を行う検査部である検査用ロータ4と、検査用ロータ4から受け渡されたガラス壜1を下流側に転送する転送スターホイール5と、転送スターホイール5からガラス壜1を受け取って下流側に搬送する出口コンベア6とを備えている。また、入口コンベア2に平行してスクリュー7が設けられており、出口コンベア6に平行してスクリュー8が設けられている。
【0022】
図1に示すガラス壜検査装置において、検査対象となるガラス壜1は、入口コンベア2により装置内に搬入され、スクリュー7により一定の間隔が形成されて水滴除去用スターホイール3に順次受け渡される。ガラス壜1は水滴除去用スターホイール3により円形軌道に沿って搬送されている間に、ガラス壜1の底部から底部のやや上方の壜胴下部までのエリアに付着した水滴が除去される。その後、ガラス壜1は水滴除去用スターホイール3から検査用ロータ4に受け渡され、検査用ロータ4にて円形軌道に沿って搬送されている間に検査ステーションISにおいて撮像され、ガラス壜1の壜底部等に沈殿又は浮遊している異物の検査が行われる。検査用ロータ4において検査を終了したガラス壜1は転送スターホイール5に受け渡され、転送スターホイール5により下流側に転送される。そして、ガラス壜1は転送スターホイール5から出口コンベア6に受け渡され、出口コンベア6により搬送されている間にスクリュー8により一定の間隔が形成されて次工程に搬送される。
【0023】
図2および図3は、水滴除去用スターホイールの構成を示す図であり、図2は平面図、図3は縦断面図である。図2および図3に示すように、水滴除去用スターホイール3は、円板状の支持板11の下面に取り付けられる概略環状の部材からなるスターホイール本体12を備えている。スターホイール本体12の外周部には、ガラス壜1の側面が嵌り込むポケット(凹部)3aが多数形成されている。そして、各ポケット3aの両側部には、ガラス壜1の壜胴部の両側面を支持するための対をなす樹脂製の支持ローラ13,13が設けられている。各ポケット3aの両側部に設けられた支持ローラ13は、ガラス壜1の上下方向に間隔をおいて2個設けられているため、ガラス壜1は4個の支持ローラ13により支持されるようになっている。また、水滴除去用スターホイール3は、円形軌道に沿って配置されたガラス壜1の底面を支持するための円弧状の支持レール14を備えるとともにガラス壜1の壜胴部に接触してガラス壜1の壜胴部を支持するための円弧状ガイド15とを備えている。
【0024】
図2に示すように、スターホイール本体12の半径方向の外側には、無端状のスピン用タイミングベルト16が配置されている。スピン用タイミングベルト16は複数のプーリ17により支持されている。複数のプーリ17のうち、1つのプーリはモータ18に連結されており(図3参照)、モータ18を駆動することによりスピン用タイミングベルト16が走行するようになっている。スピン用タイミングベルト16はガラス壜1の壜胴部に接触しながら走行するようになっているため、ガラス壜1は支持ローラ13により支持されつつ自転することになる。
【0025】
図4は、ガラス壜1がスターホイール本体12のポケット3aに設けられた支持ローラ13,13と、支持レール14とにより支持され、スピン用タイミングベルト16に接触した状態を示す平面図である。図4においては、円弧状ガイド15の図示を省略している。図4に示すように、ガラス壜1は、支持ローラ13,13により壜胴部が支持されるとともに支持レール14により底面が支持された状態で、スターホイール本体12が矢印A方向に回転することによりガラス壜1は支持レール14上を摺動して円形軌道に沿って搬送される。搬送中に、矢印B方向に走行するスピン用タイミングベルト16がガラス壜1の壜胴部に接触してガラス壜1は自転するようになっている。
【0026】
図2および図3に示すように、スピン用タイミングベルト16が配置されている領域には、ガラス壜1に対してエア(圧縮空気)を吹き付けるためのエアブローユニット20が設置されている。エアブローユニット20は水滴除去用スターホイール3の半径方向の外側であって水滴除去用スターホイール3の円形軌道に沿って配置されている。エアブローユニット20の内部には、エア(圧縮空気)を供給するための空間20Sが形成されており、エアブローユニット20の前面20fは水滴除去用スターホイール3の円形軌道に沿って湾曲した曲面になっている。空間20Sは圧縮空気源(図示せず)に接続されている。そして、エアブローユニット20の前面20fには、水滴除去用スターホイール3の中心に向かうとともに斜め下方に向かってあけられた多数の孔20hが形成されている。これらの孔20hは、空間20Sに連通しており、ガラス壜1の底部から底部のやや上方の壜胴下部までのエリアにエア(圧縮空気)を吹き付けるためのノズル20nを構成している。
【0027】
図5は、水滴除去用スターホイール3により保持されたガラス壜1とエアブローユニット20との関係を示す図であり、図5(a)は平面図であり、図5(b)は図5(a)のV-V線断面図である。
図5(a)に示すように、エアブローユニット20の前面20fには、水滴除去用スターホイール3の円形軌道に沿った方向に所定間隔をおいて設けられた多数の孔20hが開口している。各孔20hの中心線Cは、水滴除去用スターホイール3の回転中心3oに向かっている。
図5(b)に示すように、エアブローユニット20の前面20fには、垂直方向に所定間隔をおいて設けられた複数の孔20hが開口している。各孔20hの中心線Cは、斜め下方に向かっている。
図5(a)および図5(b)に示すように、各孔20hは、エア(圧縮空気)が充填された空間20Sに連通しており、ガラス壜1の底部1aから底部のやや上方の壜胴下部1bまでの間のエリアAEにエア(圧縮空気)を吹き付けるためのノズル20nを構成している。
【0028】
図2乃至図5に示すように構成された水滴除去用スターホイール3において、ガラス壜1は、支持ローラ13,13と円弧状ガイド15とにより壜胴部が支持されるとともに支持レール14により底面が支持される。その状態で、水滴除去用スターホイール3が矢印A方向に回転することによりガラス壜1は支持レール14上を摺動して円形軌道に沿って搬送される。搬送中に、矢印B方向に走行するスピン用タイミングベルト16がガラス壜1の壜胴部に接触して、ガラス壜1は自転する。ガラス壜1は、自転しながら円形軌道に沿って搬送されてエアブローユニット20の前方に到達すると、エアブローユニット20における多数のノズル20nからエア(圧縮空気)がガラス壜1の底部1aから底部1aよりやや上方の壜胴下部1bまでの検査エリアAEに吹き付けられることになる。
【0029】
この場合、ガラス壜1がエアブローユニット20の前方を通過していく間に、ガラス壜1は1.2回〜1.4回だけ自転することになり、ガラス壜1の検査エリアAEに繰り返しエアが吹き付けられる。ガラス壜1の回転速度(自転速度)は500rpm〜600rpmに設定されている。1本のガラス壜1に吹き付けられる空気量は、0.3〜0.4MPaの圧縮空気で、2000〜2600L(リットル)である。このように、ガラス壜1は、自転しながらエアブローユニット20の多数のノズル20nからエア(圧縮空気)が吹き付けられ、ガラス壜1のスピン(自転)による水滴除去とエアブローユニット20からのエアブローによる水滴除去との両方の効果を短時間で得ることが可能である。したがって、ガラス壜1の底部1aから底部1aよりやや上方の壜胴下部1bまでの検査エリアAEに付着した水滴を確実に除去することができる。
【0030】
水滴が除去されたガラス壜1は、水滴除去用スターホイール3から検査用ロータ4に受け渡され、検査用ロータ4により円形軌道に沿って搬送されている間に検査ステーションISにおいてガラス壜1の検査エリアAEが検査される。検査ステーションISには、図1に示すように、複数のCCDカメラ30が配置されており、ガラス壜1を挟んでCCDカメラ30の反対側には照明(図示せず)が配置されている。これにより、照明からの光がガラス壜1の検査エリアを透過し、透過した光がCCDカメラ30により撮像され、ガラス壜1の底部又は底部付近に沈殿又は浮遊する異物が検出される。
【0031】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
1 ガラス壜
1a 底部
1b 壜胴下部
2 入口コンベア
3 水滴除去用スターホイール
3a ポケット(凹部)
3o 回転中心
4 検査用ロータ
5 転送スターホイール
6 出口コンベア
7,8 スクリュー
11 支持板
12 スターホイール本体
13 支持ローラ
14 支持レール
15 円弧状ガイド
16 スピン用タイミングベルト
17 プーリ
18 モータ
20 エアブローユニット
20f 前面
20h 孔
20n ノズル
20S 空間
30 CCDカメラ
中心線
IS 検査ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填された複数のガラス壜を外周部に設けられた複数のポケットで支持して円形軌道に沿って搬送するスターホイールと、
前記スターホイールにより支持されたガラス壜に接触しながら走行してガラス壜を自転させるベルトと、
前記スターホイールにより円形軌道に沿って搬送されるガラス壜の側方に配置され、ガラス壜に向けて空気を吹き付けるエアブローユニットとを備え、
前記エアブローユニットの前面は前記円形軌道に沿うように配置され、前記エアブローユニットの前面には空気を噴出する複数のノズルが設けられていることを特徴とするガラス壜の水滴除去装置。
【請求項2】
前記エアブローユニットの前面は前記円形軌道に沿って湾曲した曲面からなることを特徴とする請求項1記載のガラス壜の水滴除去装置。
【請求項3】
前記複数のノズルは、前記円形軌道に沿って間隔をおいて設けられるとともに垂直方向に間隔をおいて設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のガラス壜の水滴除去装置。
【請求項4】
前記各ノズルの中心線は、前記スターホイールの回転中心に向かっているとともに、斜め下方に向かっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガラス壜の水滴除去装置。
【請求項5】
前記エアブローユニットは、内部に、前記複数のノズルが連通する空間を備え、前記空間は圧縮空気源に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガラス壜の水滴除去装置。
【請求項6】
前記各ノズルは、自転するガラス壜の底部から該底部の上方の壜胴下部までのエリアに空気を吹き付けることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガラス壜の水滴除去装置。
【請求項7】
前記スターホイールの各ポケットの両側部に配置され、ガラス壜の壜胴部を支持する支持ローラを設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のガラス壜の水滴除去装置。
【請求項8】
前記円形軌道に沿って配置され、ガラス壜の底面を支持するための円弧状の支持レールを設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のガラス壜の水滴除去装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水滴除去装置と、
前記水滴除去装置の後段に配置され、液体が充填された複数のガラス壜を外周部に設けられた複数のポケットで支持して円形軌道に沿って搬送する検査用ロータと、
前記検査用ロータにより円形軌道に沿って搬送されるガラス壜を挟むように配置された照明とカメラとを有し、ガラス壜の底部から該底部の上方の壜胴下部までのエリアを照明して撮影する検査ステーションとを備えたことを特徴とする異物検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−63795(P2013−63795A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204023(P2011−204023)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】