説明

ガラス容器のための掻き傷マスキングコーティング

本発明は、様々な瓶の表面及び塗布条件に適合しうる、ガラス容器例えば瓶のための掻き傷マスキング用コーティングシステムを提供する。この掻き傷マスキング用コーティングは、水中油エマルジョンとして塗布され、取扱い上の問題を最小にしつつ、取扱い及び塗布技術における柔軟性を提供する。本発明において、この水中油エマルジョンは、エマルジョンブレーカー及び不安定化剤によって処理されて、該エマルジョンは、処理すべき表面への塗布後に不安定化又は凝離される。この不安定化又は凝離は、エマルジョンブレーカー又は熱を該エマルジョンに、所望の凝離時間を与えるのに十分な量で加えることにより起こされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス表面、特にガラス容器の外表面の仕上げ又は改善のための水中油エマルジョンの利用に関するものである。一層詳細には、本発明は、外観を良くしたガラス瓶の掻き傷マスキングコーティングに関係する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製品例えば通い壜は、製造、検査、充填、輸送、洗浄などにおいて多数回扱われる。このように扱われる間に、これらの瓶は、様々な機械装置例えばコンベア、検査装置など並びに他のガラス瓶及び表面例えば箱、棚板などに接触する。この高度の接触は、破損、亀裂、引掻き又は他の表面欠損によってダメージを引き起こす。
【0003】
ガラス容器における掻き傷又は擦り傷マスキング剤の利用は、公知である。かかるマスキング剤は、望ましくは、擦り傷をマスクし、許容しうる耐久性及び表面特性を示す。擦り傷マスキング剤の望ましい特性には、耐水性及び耐久性であると同時に、無毒性であって、アルカリ瓶洗浄操作で除去できることが含まれる。ガラス製品のコーティングは、瓶表面への塗布後に、室温で又は加熱時に硬化するポリマー材料を含むことができる。例えば、米国特許第4,273,834号は、擦傷をマスクするためにガラス製品に塗布される特定のオルガノポリシロキサン及び硬化触媒を開示している。この材料は、瓶の表面で、室温で又は加熱時に硬化する。米国特許第5,346,544号は、トリグリセリド材料及びイソプロピルアルコールの脂肪酸エステルを、水中に乳化され、ガラス瓶に塗布されて、室温で又は加熱により乾燥されるガラス容器のコーティングとして開示している。
【0004】
米国特許第4,792,494号及び4,834,950号は、改変ポリエチレン(好ましくは、水性分散体の形態のもの)の、ガラス表面上の保護コーティングを形成するための利用を開示している。このコーティングは、典型的には、ホットエンド仕上げ工程の最後で塗布され、それにより、ガラスの残留熱が、慣用のコールドエンド被覆工程における乾燥を助成する。
【0005】
米国特許第3,296,173号は、ポリビニルアルコール、乳化ポリオレフィン及び塩化アンモニウムの反応生成物を含むガラス用の保護コーティングを開示している。このコーティングは、塗布されて加熱され、それにより、その組成物は反応して耐久性のあるコーティングを生成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガラス瓶の取扱い、洗浄及び充填操作の様々なデザインが、従来技術のコーティング方法の適用に制限を生じている。保護コーティングは、ホットエンド工程及び/又はコールドエンド工程における製造中のガラス容器に塗布される。使い捨てガラス容器において、かかる保護コーティングは、その容器の耐用年数における掻き傷形成を防御するのに十分である。20〜60回洗浄して再充填できるガラス製通い壜では、「製造時塗布された」コーティングは、洗い落とされて保護が失われる。それ故、リターンサイクル数が増すにつれて、擦傷も増し、それは、良くない外観を生じる。より良い外観を与えるために、戻された瓶は、各洗浄/再充填サイクルにおいて抗擦傷コーティングにより処理される。塗布されたコーティングを硬化又は乾燥させるための熱に依存するコーティングシステムは、ガラス瓶が冷たいラインでは効果的でない。幾つかのコーティングでは、凝結などからの水分による長時間の硬化時間が、コーティングシステムに悪影響を与えうる。水性エマルジョンベースのコーティングシステムは、しばしば、水相の蒸発によるエマルジョンの不安定化又は凝離に依存する。他のシステムは、乳化剤濃度に基づくエマルジョンの不安定化に依存する。凝結などからの瓶の水分は、かかるシステムに悪影響を与えうる。エマルジョンベースのコーティングシステムにおいては、ガラス表面上のエマルジョンの不安定性は、エマルジョンが凝離して油相コーティングがガラス表面に付着されるようなものであることが望まれる。しかしながら、エマルジョンの輸送及び塗布用器具などにおける取扱い中の安定性は望ましい。従来システムは、エマルジョンの凝離及びガラス表面へのコーティングの付着のために、水相の蒸発又は乳化剤の濃縮に依存していた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ガラス容器例えば瓶のためのコーティングシステムであって、様々な瓶の表面に適合できて様々な塗布条件に適合しうる当該コーティングシステムを提供する。本発明のコーティングは、油相がマスキングコーティングである水中油エマルジョンとして塗布される。水中油エマルジョンとしての塗布は、取扱い上の問題を最小にしつつ、取扱い及び塗布技術における柔軟性を提供する。本発明において、水中油エマルジョンは、エマルジョンが容易に制御される仕方で不安定化され又は凝離するように処理される。エマルジョンの不安定化又は凝離は、油相を生じ、マスキングコーティングが、処理すべきガラス表面に塗布される。この不安定化又は凝離は、好ましくは、エマルジョンブレーカーのエマルジョンへの、所望のエマルジョン凝離を所望の時点で与えるのに十分な量での添加により起こされる。このエマルジョンブレーカーは、ガラス表面への塗布の少し前にエマルジョンに加えることができ又は別溶液としてガラス表面に塗布することができる。このエマルジョンに加える場合は、十分なエマルジョンブレーカーを、該エマルジョンのガラス表面への塗布の前に加えて、エマルジョンの凝離がガラス表面への塗布後に起きることを確実にする。別法として、熱を利用して、エマルジョンの凝離を起こすことができる。熱例えばエマルジョンのフローライン及び/又は塗布用ノズルの加熱により与えられる熱は、エマルジョンのガラス表面での凝離を生じるのに十分なエマルジョン不安定性を与えることができる。
【0008】
エマルジョンの表面への塗布と凝離との間の時間を最少にすることにより、コーティング塗布の効力が増進される。加えて、ユニーク且つ/又は可変の操作条件は、エマルジョンに加える不安定化剤若しくはエマルジョンブレーカーの量又は熱の量を変えることにより、容易に適合させることができる。エマルジョンに加える不安定化剤又はエマルジョンブレーカーの量を変えることにより、エマルジョンの凝離のタイミングを制御することができる。
【0009】
別溶液として塗布する場合には、エマルジョンブレーカーは、エマルジョンの塗布の前に、該塗布と同時に、又は該塗布後に塗布することができる。このエマルジョンとエマルジョンブレーカーとの、処理すべき表面上での相互作用は、エマルジョンの凝離又は不安定化及び処理の表面への適用を生じる。本発明の方法は、様々な瓶の取扱い、ホット並びにコールド適用温度において採用することができ、並びに変化する条件例えば補給水の変化又は湿気を生じる凝結の変化に適合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ガラス容器表面にコーティングを塗布する方法に向けられている。このコーティングは、商品価値に悪影響を与えるガラス容器表面上の掻き傷及び擦傷のマスキングを提供する。例えば、ガラス瓶特に飲料用の通い壜上の掻き傷又は擦傷は、良くない曇り又は白色の外観を生じ、これは、その瓶の価値を低下させる。本発明の方法は、かかる掻き傷又は擦傷をマスクするガラス容器のコーティングを提供する。加えて、このコーティングは、容器表面の潤滑性を増進させることができる。本発明のコーティングは、スプレー塗布、浸漬又は接触法により塗布することのできる水中油エマルジョンの形態で塗布される。スプレー塗布は、好適な塗布方法である。本発明の水中油エマルジョンにおいて、油相は、ガラス表面のコーティング処理を含む。本発明により、この水中油エマルジョンは、ガラス表面で不安定化し又は凝離してそれにより処理適用工程の一層大きい制御を与えるように処理される。このエマルジョンは、エマルジョンの加熱又は好ましくはエマルジョン不安定化剤若しくはブレーカーのエマルジョンへの、ある時点好ましくは塗布のすぐ後での、エマルジョンをガラス表面で不安定化若しくは凝離させるのに十分な量での添加によって不安定化されうる。
【0011】
本発明の水中油エマルジョンは、内部に分散され又は乳化された油相を有する水連続相を含む。このエマルジョンは、典型的には、乳化剤を含む油相を水相と混合することにより製造される。この油相と乳化剤は、最終ユーザーが水と混合して処理エマルジョンを形成する濃縮物として供給することができ又は調合済みエマルジョンとして供給することができる。塗布されるエマルジョンにおける油相の好適濃度は、約3〜20重量%であり、好ましくは約6〜10重量%である。pH又は硬度などの水質の変化は、「地方の」水と混合する濃縮物として供給する場合には、最終的な処理エマルジョンの質及び安定性に影響を与えうる。かかる変化を償うためには、油相又は乳化剤の濃度を加減することがしばしば必要である。エマルジョンが容易な取扱い及び塗布のために十分に安定であることを確実にするために、「過剰の」乳化剤がしばしば加えられる。油相化コーティングのガラス表面への効率的付着を可能にするためには、エマルジョンをガラス表面への塗布後に不安定化し又は凝離させることが必要である。典型的なコールドエンド工程においては、これは、ガラスを加熱すること又はエマルジョンを熱いガラス表面に塗布することにより達成される。水の蒸発は、エマルジョンの安定性を、エマルジョンが凝離して油相がガラス表面に付着するように変える。限られた安定性のエマルジョンを与えるために濃縮物における乳化剤の配合を変える試みがなされてきた。かかる調節は、水分量の変化並びに塗布方法の変化の故に困難である。その上、システム処理条件の変化は、急速に生じうる。例えば、冷たい瓶での凝縮の生成は、エマルジョン特性の変化を生じ得て、それでエマルジョンの凝離の制御は困難となる。凝縮の生成は、プロセス制御を困難にする局所的条件によって大きく変化しうる。
【0012】
本発明は、エマルジョンの不安定化又は凝離の制御を提供する。エマルジョンの凝離又は不安定化は、エマルジョン不安定化剤のエマルジョンへの添加又はエマルジョンの加熱により与えることができる。好適な方法は、エマルジョン不安定化剤の添加である。この不安定化剤は、エマルジョンに、ガラス表面への塗布の前に添加することができ又は独立にガラス表面に塗布することができる。ガラス表面に独立に塗布する場合には、エマルジョンブレーカー又は不安定化剤を、エマルジョンの塗布の前に、該塗布と同時に又は該塗布後に塗布することができる。エマルジョンブレーカー又は不安定化剤をエマルジョンに、該エマルジョンをガラス表面に塗布する少し前に加えることにより、エマルジョンの凝離の制御を、迅速且つ容易に、変化する条件を考慮するように適合させることができる。このエマルジョンブレーカー又は不安定化剤の量又は濃度は、プロセス条件の変化を償うように変化させることができる。同様に、エマルジョンブレーカーをガラス表面に別溶液として塗布することは、プロセス条件の変化を考慮するようにエマルジョンの凝離作用の調節をすることを可能にする。その上、これは、エマルジョン濃縮物又は使用待ちエマルジョン希釈物を、乳化剤を用いて製造して、ガラス表面への塗布前に不安定性が生じないことを確実にすることを可能にする。
【0013】
本発明の水中油エマルジョンは、マスキング剤、油又はポリマー不連続相を水性又は水連続相中に含む。この油又はポリマーは、ポリオレフィン例えばパラフィン油又は40炭素原子以下の脂肪酸エステルを含むことができる。このマスキング剤は、水性エマルジョンとして供給することができ、それは、直接塗布することもできるし、又は塗布の前に水と混合するマスキング油と乳化剤の濃縮混合物として塗布することもできる。これらの乳化剤は、非イオン性、アニオン性又はカチオン性であってよい。典型的な非イオン性乳化剤は、エトキシル化アルコール例えばオレイル又はステアリルアルコールエトキシレート;エトキシル化酸(オレイン酸及びパルミチン酸を含むが、これらに限られない)を含むが、これらに限られず;エトキシル化エステルは、ソルビタン及びグリセロール又は他のポリオールカルボキシレートを含むが、これらに限られない。典型的な乳化剤は、脂肪酸塩例えばナトリウム又はアンモニウムオレエートを含むが、これらに限られない。典型的なカチオン性乳化剤は、C12〜C18アミン及びエチレンオキシドアセテート又は他の塩を含むが、これらに限られない。他の添加剤例えば殺菌剤も又、含ませることができる。マスキング剤の濃度は、好ましくは、最終作用性エマルジョン約3〜15重量%に及ぶ。塗布用器具は、典型的には、混合及び貯蔵用容器、ポンプ、移送管路及びスプレー器具並びに制御及び監視用装置を含む。作用性溶液中に存在する乳化剤は、塗布用器具中でエマルジョンの安定性を維持するのに十分な安定性を与える。
【0014】
エマルジョン不安定化剤又はブレーカーは、エマルジョンを制御された仕方で不安定化し又は凝離させるために利用される。このエマルジョン不安定化剤又はブレーカーは、エマルジョンに、ガラス表面への塗布の少し前に、加え又は混合することができる。或は、エマルジョン不安定化剤又はブレーカーを、処理すべきガラス表面に、エマルジョンの塗布の前に、該塗布と同時に又は該塗布後に塗布することができる。エマルジョン安定性は、pH依存性であり、エマルジョン不安定化剤又はブレーカーは、エマルジョンを不安定化し又は凝離させるのに十分にpHを改変する添加剤を含むことができる。例えば、このエマルジョン不安定化剤又はブレーカーは、有機酸例えばクエン酸、乳酸、酢酸又は無機酸(塩酸、硫酸を含むが、これらに限られない)を含む酸(これらに限られない)、又はかかる酸の混合物を含むことができる。このエマルジョン不安定化剤又はブレーカーは、代わりになるべきものとして、pHの制御を与える多価のイオン性物質例えばカルシウム、鉄、ナトリウム、マグネシウム又はこれらの混合物を含むことができる。好ましくは、このエマルジョン不安定化剤又はブレーカーは、酸である。用いるエマルジョン不安定化剤又はブレーカーの量は、エマルジョンがガラス表面に塗布された後で該エマルジョンの不安定化又は凝離を与える量である。
【0015】
安定なエマルジョンのガラス表面への塗布の少し後での該エマルジョンへのエマルジョン不安定化剤又はブレーカーの添加は、用いる不安定化剤の量を調節することを可能にする。これは、エマルジョンの実際の凝離までの時間を調節すること及び変化するプロセス条件(例えば、湿気の変化、水の変化など)を償うことを可能にする。加えて、これは、このエマルジョンを安定な形態で製造し、貯蔵して取り扱うことを可能にして、混合、貯蔵又は塗布器具に対する有害な影響を回避する。不安定化剤を独立した溶液として、エマルジョンのガラス表面への塗布の前に、該塗布と本質的に同時に又は該塗布の後で塗布することは、エマルジョンの凝離のタイミングを制御するように加える不安定化剤の量の変化を与える。本発明の方法は、エマルジョンベースのガラス表面マスキングコーティングの増進された制御を与え、これは、多くの種類の塗布システム例えばガラス容器が暖かいもの並びにガラス容器が冷たいものにおいて適用可能である。
【実施例】
【0016】
本発明を、下記の非制限的実施例において一層詳細に説明する。試験を、市販のガラスマスキング製品のOpticoat(登録商標)140を用いて行ない、これを水と混合して6〜8%の水中油のエマルジョンを形成し(Opticoat 140は、エトキシル化脂肪酸エステル、エステル油及びエトキシル化アルコールの混合物であって、ペンシルベニア、Philadelphia, Arkema Inc.から入手可能である)、そして酸性エマルジョンブレーカーのクエン酸の、ガラス瓶に付着したコーティングに対する影響を評価した。コーティング付着の効率を、該コーティングをガラス瓶に塗布して、乾燥させて、該コーティング物質を瓶からアセトンを用いて小さい受け器内へすすぎ、アセトンを蒸発させた後に該受け器の重量を再測定することにより評価した。これは、塗布されたコーティングの重量を与え、それは、マスキング性能の尺度である。これらの塗布条件は、下記のように標準化された:
−ガラス瓶(塗布の開始時に、8℃で、乾燥している)。
−6% Opticoat(登録商標)140(水中、硬度 dH2°)。
−Opticoat(登録商標)140をスプレーにより、0.4ml/秒のエマルジョンフローで1秒間にわたって、回転する瓶に塗布する。
−120g/リットルのクエン酸ストック溶液を、濃度を変えて用いた。
−Opticoatの塗布の直後に、この瓶を、1時間にわたって室温で、90%より高い相対湿度(22〜26°)に条件設定し、その後、周囲条件にて乾燥した。
【0017】
実施例1
上記の条件設定で試験することを、変化する量(ml)のクエン酸のストック溶液を、Opticoat140エマルジョン(1リットル)に加え、その後、そのエマルジョンをガラス瓶に塗布して、クエン酸のコーティング重量に対する影響を評価することにより行なった。表1には、この結果をまとめてある。
【0018】
【表1】

【0019】
表1は、Opticoat140へのクエン酸の添加が、瓶の表面に付着された処理剤の量を増大させることを示している。
【0020】
実施例2
実験を、実施例1に示した条件下で行なって、Opticoat140エマルジョンの瓶表面への塗布の直前及び直後の独立のスプレーとしてのクエン酸のスプレー塗布を、量(1リットルの水中のストック溶液のml)を変えて評価した。表2には、その結果をまとめてある。
【0021】
【表2】

【0022】
表2は、瓶に塗布されたOpticoat140の量が、Opticoat140エマルジョンの瓶表面への塗布の直前又は直後の独立のスプレーとしてのクエン酸の塗布によって増大されうることを示している。
【0023】
実施例3
酸、塩及び塩基の、瓶コーティングエマルジョンを凝離又は不安定化させる能力を評価した。クエン酸、酢酸、硫酸、塩化ナトリウム及びアンモニアを、それらの瓶マスキングエマルジョンの安定性に対する影響について評価した。エマルジョンブレーカー又は不安定化剤の重量百分率を変えて、10重量パーセントの瓶コーティング剤エマルジョン(水中)に加えた。油層の体積パーセントを経時的に測定して、この処理剤のエマルジョンを凝離させる能力を評価した。この試験した瓶コーティング組成物は、Opticoat140であった。表1〜5には、この結果がまとめてある。効果がごくわずかである場合には、表の項目がないことにより示したように試験を中止した。この表において、dHは、ドイツ基準に従って測定した硬度を示している。
【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
【表5】

【0027】
【表6】

【0028】
【表7】

【0029】
表1〜5のデータは、エマルジョンブレーカー又は不安定化剤の量及び種類を変化させることの、瓶コーティング用水中油エマルジョンの安定性に対する影響を示している。
【0030】
本発明は、特定の具体例に関して記載されているが、この発明の多くの他の形態及び改変が当業者には明らかとなるであろうことは明白である。添付の請求の範囲及びこの発明は、一般に、かかる明らかな形態及び改変のすべて(これらは、本発明の真の精神及び範囲の内にある)をカバーすると解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掻き傷マスキングコーティングをガラス表面に形成する方法であって、該方法は、下記:
ガラス表面に、水中油エマルジョン又は水中油の分散体を含む掻き傷マスキングエマルジョンを塗布すること;及び
十分量のエマルジョン不安定化剤を該掻き傷マスキングエマルジョンと混合することを含み、それにより、該水中油エマルジョン又は分散体を、該ガラス表面に接触させた後で不安定化させる当該方法。
【請求項2】
前記の混合を、掻き傷マスキング組成物の塗布の前に行なう、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の混合を、ガラス表面で行なう、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記のエマルジョン不安定化剤を、掻き傷マスキング組成物の塗布の前にガラス表面に塗布する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記のエマルジョン不安定化剤を、ガラス表面に、本質的に、前記の掻き傷マスキング組成物と同時に塗布する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記のエマルジョン不安定化剤を、掻き傷マスキング組成物の塗布の後にガラス表面に塗布する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記の掻き傷マスキングコーティングを、スプレー、浸漬又は接触塗布手段によって塗布する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記のエマルジョン不安定化剤を、酸及び多価イオン性物質よりなる群から選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記の酸を、クエン酸、乳酸、塩酸、硫酸及びこれらの混合物の群から選択する、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記の多価イオン性物質を、カルシウム、鉄、ナトリウム、マグネシウムの塩又はこれらの混合物よりなる群から選択する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記の掻き傷マスキング組成物が、更に、殺生物剤、エマルジョン安定剤及びこれらの混合物よりなる群から選択する化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
掻き傷マスキングコーティングをガラス表面に付着させるための掻き傷マスキング組成物であって、下記を含む当該組成物:
水連続相中に油相を含む掻き傷マスキングエマルジョン;
酸又は多価イオン性物質を含むエマルジョン不安定化剤組成物。
【請求項13】
前記のエマルジョン不安定化剤を、酸及び多価イオン性物質よりなる群から選択する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記の酸を、クエン酸、乳酸、塩酸、硫酸及びこれらの混合物の群から選択する、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記の多価イオン性物質を、カルシウム、鉄、ナトリウム、マグネシウムの塩又はこれらの混合物よりなる群から選択する、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
殺生物剤、エマルジョン安定剤及びこれらの混合物よりなる群から選択する化合物を更に含む、請求項12に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−545613(P2008−545613A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515128(P2008−515128)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005392
【国際公開番号】WO2006/131318
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(500307340)アーケマ・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】