説明

ガラス形成被覆としてのポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン

材料表面上のナノスコピックガラス層のその場での形成のためのシリコン含有薬剤の使用方法が記載されている。それのポリマー、金属、複合材料、セラミックス、ガラス、及び生物学的材料との適応可能な適合性のために、ナノスコピックシリコン含有薬剤は、直接混合プロセスによりナノメートルレベルで材料に簡単にそして選択的に組み込まれ得る。改善された特性は、気体及び液体バリヤー性、汚染抵抗性、環境悪化抵抗性、接着性、印刷特性、熱変形性、クリ−プ性、圧縮永久歪み性、収縮性、弾性のような、時間に依存する機械的及び熱的特性、硬度、耐摩耗性、酸化抵抗性、電気及び熱伝導性、耐火性を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本出願は、2005年5月24日に出願された米国仮特許出願連番60/684,415の利益を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、熱可塑性及び熱硬化性ポリマーの特性を向上させる方法に関し、より特別には、オゾン、過酢酸及び過酸化水素のような化学的酸化剤の作用を受けさせることでポリマー表面のその場でのガラス形成のための、ポリマーへのナノ構造化学物質の組み込みに関する。
【0003】
このような材料の応用は、手術用品、硬直若しくはフレキシブルな内視鏡、受動的若しくは能動的インプラントのような医用及び歯科用製品、容器、トレーのような医用付属部品及び医用部品の包装における被覆、接着、型成形製品、鋳込製品、単層及び多層材料製品での使用のためのポリマーを包含する。
【0004】
発明の背景
本発明は、オゾン、酸素、水蒸気若しくは他の酸化媒質又は医療用化学薬剤の作用を受けさせることでガラス状表面を形成するためのポリマー材料内での、ポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、シルセスキオキサン、ポリヘドラルオリゴメリックシリケート、シリケート及びシリコンのアロイ化可能剤としての使用に関する。ポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、シルセスキオキサン、ポリヘドラルオリゴメリックシリケート、シリケート及びシリコンは、以下、「シリコン含有薬剤」という。
【0005】
シリコン含有薬剤は、ポリマー鎖をもつシリコン原子のナノスコピックレベルでの均質な分散及びアロイ化のために以前は使用されてきた。米国特許第6,767,930号に記載のとおり、シリコン含有薬剤は、原子状酸素の存在下で変換され、ガラス様シリカ層を形成することができる。
【0006】
そのようなシリコン含有薬剤は、そのガラス状表面層により細菌進入を妨げ、引き続く酸化汚染除去剤への暴露からポリマーの分解を妨げるガラス状の層を形成することに効果的であることから、ポリマーの汚染除去にも有益であることが、今回驚くべきことに、見出された。このような能力から、シリコン含有薬剤は、ポリマーにアロイ化されたときに、それ自体有効であるが、熱水、過酸化物、酸素プラズマ、オゾン、有機酸、酸化物若しくは過酸化物もしくは酸化性火炎の作用を受けたとき、ナノスコピックに薄いガラス防護壁のその場での形成のために、好ましくは、使用される。このような酸化剤にさらされると、シリコン含有薬剤は、シリカを含む表面ガラス層を与える。その方法及びナノスコピックに薄いガラス層の利点は、人間の目により検出することができないこと、靭性及び柔軟性及びそれによるロール及びモールドパッキン貯蔵に十分適すること、湿気及びガス不透過性、直接印刷可能性、汚染抵抗性、スクラッチ抵抗性、ガラスより低コストで軽い重量並びに別々の組成上の接合線の除去及び組成傾斜した材料境界面によるそれらの置換に基づくポリマーとガラスとの間の良好な接着性を含む。
【0007】
酸化環境に対する保護のためのポリマーでのシリコン含有薬剤の使用は、米国特許第6,767,930号に記載されている。しかしながら、先行技術は、汚染除去被覆へのこのような材料の使用は考えていない。
【0008】
ポリマーにガラス被覆を施すために、数多くの先行技術による方法が知られている。これらの方法は、高温での焼結、スパッタリング、蒸着、ゾルゲル及び被覆プロセスが含まれるが、すべて追加的製造ステップを必要とし、高速鋳込や押出し加工には適さない。これら先行技術の方法はまた、ガラスとポリマー層との間の貧弱な界面結合に悩まされる。先行技術はまた、単一のガラス層内部の明確なナノ構造に、金属及び非金属原子を組み込むことができない。最後に、先行技術は、ナノスコピックに薄いガラス表面を生み出すことができず、したがって、その方法は、フレキシブルな包装の高速製造、特に反復される汚染除去加工に適さない。
【0009】
このために非常に有用なシリコン含有薬剤は、シルセスキオキサン、ポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン及びポリヘドラルオリゴメリックシリケートのような低コストのシリコンに基づくもので最も良く例示される。図1は、シロキサン、シルセスキオキサン及びシリケートを含む幾つかの代表的な例を示す。この構造でのR基は、Hからアルカン、アルケン、アルキン、芳香族及びエーテル、酸、アミン、チオール、リン酸塩を含む置換有機系及びハロゲン化R基に及ぶ。
【0010】
シリコン含有薬剤は、すべて、その内部枠組が、主に無機シリコン-酸素結合からなる、共通のハイブリッド(即ち、有機-無機)組成を共有する。穏やかなまた更なる酸化により、これらシステムは容易にシリカガラスとなる。ナノ構造の外部は、反応性及び非反応性有機官能基(R)双方により覆われ、有機ポリマーとナノ構造との適合性及び適応性を確保している。これら及び他のナノ構造化学物質の特性は、米国特許第5412053号及び米国特許第5484867号で詳細に考察されているが、ここでは、特に、両者の全体を参照に組み入れることとする。これらナノ構造化学物質は、低密度であり、直径は、0.5〜5.0nmに変動することができる。
【0011】
発明の概要
本発明は、新しい一連のポリマー添加物とそれのポリマー表面のナノスコピックなガラス層のその場での形成への使用を記載する。結果得られたナノ-アロイ化ポリマーは、それ自体有用であり、他のポリマーと併用しても、或いは繊維、粘土、ガラス、金属、鉱物及び他の粒子フィラーのような巨視的強化物と併用しても有用である。ナノ-アロイ化ポリマーは、オゾン及び過酸化水素、過酢酸等のような他の酸化汚染除去プロセスに繰り返し作用されることによる変質に対して固有の抵抗性を持つポリマー医用機器及び部品を製造するために、特に有益である。
【0012】
ここで挙げられる好ましい組成物は、2つの主な材料配合を含む:即ち(1)シリコーン、ポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン、ポリシルセスキオキサン、ポリヘドラルオリゴメリックシリケート、ポリシリケート、ポリオキソメタレート、カルボラン及びボランの化学種からのナノ構造化学物質、ナノ構造オリゴマー若しくはナノ構造ポリマーを含むシリコン含有薬剤及び(2)ポリスチレン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、エポキシ、シアネートエステル、マレイミド、フェノール樹脂、ポリイミド、フルオロポリマー、ゴムのような人工ポリマー系及びセルロース、糖、澱粉、蛋白質、キチンを含む天然ポリマー及びそれらのあらゆる半結晶質、結晶質、ガラス質、エラストマーポリマー及びコポリマーである。
【0013】
ナノ構造化学物質を熱可塑性樹脂に組み込む方法は、好ましくは、ポリマーへのシリコン含有薬剤の溶融混合により達成される。シリコン含有薬剤の熱硬化性樹脂への組み込みは、溶融混合、混練若しくは溶媒支援法によりなし得る。溶融配合、乾燥配合、溶液配合、反応及び非反応配合を含むあらゆるタイプの配合技術が有効である。
【0014】
加えて、シリコン含有薬剤の特殊なポリマーへの選択的組み込み及び最大添加レベルは、アロイ化されるべきポリマー内領域の化学ポテンシャルと適合する化学ポテンシャル(混和性)を有するシリコン含有薬剤の使用により達成することができる。その化学的性質故に、シリコン含有薬剤は、ポリマー鎖及びコイル内の選択された配列とセグメントとの適合性若しくは不適合性を示すように適応されることができる。適応可能な適合性と組み合わせて、その物理的サイズは、ナノ構造化学物質に基づくシリコン含有薬剤が、選択的にポリマーに組み込まれ、コイル、ブロック、ドメーン、セグメントの力学を制御し、その後多数の物理的性質に好ましく影響することを可能にする。
【0015】
シリコン含有薬剤と共にアロイ化されたポリマーから成形された製品上のその場でのガラスグレージングの形成プロセスは、製品を酸素プラズマ、オゾン若しくは他の酸化媒質の作用を受けさせることによりなされる。これらの化学酸化法は、それらが微生物を不活性化すること、現行の医用プロセスであること、そしてポリマー表面を加熱する結果とならないことから、望ましいものである。成形製品にはなんらトポロジー的制約はない。アロイ化されたポリマーに由来する薄い膜及び厚い部分の双方が、ナノメートル厚さの表面ガラス層を含むように加工されることができる。最も効率的で、そのため好ましい酸化法は、水蒸気、過酸化物、酸素プラズマ及びオゾンである。シリコン含有薬剤上のR基が、H、メチル若しくはビニルであるアロイに対しては、それらは、オゾン、過酸化物若しくは熱水蒸気の作用を受けて、一般的にガラスに変換されることができる。上記方法の信頼しうる代替は、酸化炎の使用である。方法の選択は、化学薬剤-ポリマーアロイ系、シリコン含有化学薬剤の添加量レベル、薬剤の表面偏析、所望のシリカ表面の厚さ及び製造上考慮すべき事項に依存している。プロセスの図解が図2に示される。
【0016】
酸化源に表面がさらされた後、1nm〜500nm、好ましくは1nm〜50nm、最も好ましくは1nm〜30nmのナノスコピックに薄いガラス層が得られる。シリコン含有薬剤が金属を含むならば、その時は、その金属もガラス層に組み込まれるだろう。ナノスコピックなガラス表面層の形成から生じる効果は、気体及び液体バリヤー性、改善された酸化安定性、可燃性減少、改善された電気特性、改善された印刷特性及び改善された汚染及びスクラッチ抵抗性を含む。
【0017】
ナノ構造表現式の定義
本発明の化学組成物を理解するために、シリコン含有薬剤及び特にポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン(POSS)及びポリヘドラルオリゴメリックシリケート(POS)ナノ構造の表現式について、以下の定義がなされる。
【0018】
ポリシルセスキオキサンは、∞はモル重合度を表し、Rは有機置換基(H、シロキシ、環状或いは直鎖脂肪族若しくは芳香族基であって、追加的に、アルコール、エステル、アミン、ケトン、オレフィン、エーテルのような反応性官能基を含んでもよいし、或いはハロゲンを含んでもよい。)を表す式[RSiO1.5により表される材料である。ポリシルセスキオキサンは、ホモレプティックかヘテロレプティックの何れかであってよい。ホモレプティック系はただ1つの型のR基を含み、一方、ヘテロレプティック系は1以上の型のR基を含む。
【0019】
シリコン含有薬剤のサブセットは、POSSとして分類され、POSナノ構造組成物は以下の式により表される:
ホモレプティック組成物に対しては[(RSiO1.5)Σ#
ヘテロレプティック組成物に対しては、[(RSiO1.5)(R´SiO1.5)Σ#(ここで、RとR´は、異なる。)
官能化ヘテロレプティック組成物に対しては、[(RSiO1.5)(RXSiO1.0)Σ#(ここで、R基は、一致するか、不一致であり得る。)
上記Rすべては、上記定義と同じであり、Xは、限定するものではないが、OH、Cl、Br、I、アルコキシド(OR)、アセテート(OOCR)、パーオキサイド(OOR)アミン(NR)、イソシアネート(NCO)及びRを包含する。記号m,n及びjは、組成物の化学量論に関連する。記号Σは、組成物がナノ構造を形成することを示し、記号#は、ナノ構造内に含まれる珪素原子の数をいう。#の値は、通常はmとnの和であり、nの範囲は、典型的には1〜24であり、mの範囲は、典型的には1〜12である。Σ#は、化学量論を決定する乗数と混同されるべきではなく、単に、システムの全体のナノ構造特性(籠サイズとして知られる)を説明するものであることが留意されるべきである。
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、シリコン含有薬剤の、放射吸収のための及びポリマー材料へのその場でのガラス層形成のためのそして、ポリマーコイル、ドメーン、鎖及びセグメントの分子レベルでの強化のためのアロイ化剤としての使用を教示する。
【0021】
ナノ構造化学物質のようなシリコン含有薬剤が、その能力を機能させることを可能とする鍵は、(1)ポリマー鎖寸法に対するその独自な大きさ、(2)ポリマー鎖によるナノ強化剤の排除と不適合とを促進する反発力に打ち勝つために、ポリマーシステムとのナノスコピックレベルで均質に分散し適合化される能力、(3)そのハイブリッド組成と選択的酸化剤に曝されたときのガラス化能力、(4)シリコン含有薬剤及びそれから生じる対応するガラスに金属を化学的に組み込む能力を含む。シリコン含有薬剤の選択に作用する因子は、シリコン含有薬剤の添加レベル及びポリマーの光学的、電気的及び物理的性質である。透過性制御とガラス化のためのシリコン含有薬剤の選択に作用する因子は、ナノ構造化学物質のナノサイズ、ナノサイズ分布及びナノ構造化学物質とポリマーシステムとの間の適合性並びに不一致、シリコン含有薬剤の添加レベル、所望のシリコン層の厚さ及びポリマーの光学的、電気的及び物理的性質を含む。
【0022】
図1に示されるポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン(POSS)のようなシリコン含有薬剤は、固体状或いは油状で、金属を含む状態或いは含まない状態で入手可能である。両方の形態は、溶融ポリマー若しくは溶媒に溶解し、或いは直接ポリマーと反応することができ、或いはそれ自身結合材料として使用されることができる。POSSに対しては、分散は、熱力学的には、混合の自由エネルギーの式(ΔG=ΔH−TΔS)に支配されているようである。R基の性質とポリマー及び表面と反応し或いは相互作用するPOSS籠上の反応性基の能力は、有益なエンタルピー項(ΔH)に大いに貢献し、他方、エントロピー項(ΔS)は、モノスコピックな籠サイズと1.0の分布の故に、非常に有益である。
【0023】
上記分散の熱力学的推進力はまた、高せん断混合、溶媒配合若しくはアロイ化中に起こるような動力学的混合力により寄与される。動力学的分散は、また、大部分のポリマーの加工温度或いはその近傍で溶融するいくつかのシリコン含有薬剤の能力により補助されることができる。
【0024】
化学的及び加工パラメーターを制御することにより、1.5nmレベルでのポリマーのナノ強化及びアロイ化が、実質的にどのようなポリマーシステムでも達成できる。シリコン含有薬剤は、物理的性質、遮蔽性、汚染抵抗性及び酸化抵抗性の向上に関する同様の所望の利益を提供するために、巨視的フィラーと併用することもできる。
【0025】
本発明は、特性の向上が、シリコン含有薬剤及び好ましくはナノ構造化学物質のポリマーへの直接配合によって実現できることを立証する。これは、先行技術によるプロセスを大いに単純化する。
【0026】
更に、ナノ構造化学物質のようなシリコン含有薬剤は、球状分子のような球状形状(単結晶X線散乱研究による)を有することから、また、それらが溶解することから、それらは、ポリマーシステムの粘度を減少させることにも効果的である。これは、化学物質のナノスコピックな性質に基づく個々のポリマー鎖の強化の利益に加えて、このようなナノ-アロイ化ポリマーを使用する製品の加工、成形若しくは被覆に有益である。引き続くナノ-アロイ化ポリマーの酸化剤への暴露の結果、暴露表面へのナノスコピックなその場でのガラス形成が生じる。図2は、シルセスキオキサンのようなシリコンのガラスへの酸化を示す。ナノ-アロイ化ポリマーの酸化源への暴露により、シリコン-R結合は切断され、R基は揮発反応副産物として失われるが、シリコンに対する原子価は酸素原子架橋と同時の籠の溶融により維持され、かくして、溶解ガラス同等物を提供する。このように、このガラス表面層のその場での形成し易さは、ナノ構造シリコン含有薬剤の使用により得ることができるが、他方、先行技術は、2次的被覆或いは堆積方法を使用する必要があり、表面のミクロン厚さのガラス層の形成を生じてしまうであろう。シリコン含有薬剤のポリマー全体或いはポリマー内でのナノスコピックな分散性は、成形製品内側及び外側でのガラス形成を与える。図4は、ポリマー表面にアロイ化された粗いシリコン含有薬剤及びナノスコピックガラス層のその場での形成後の表面粗さの減少を示す。これは、内側及び外側にその場でのガラス遮蔽層を許容し、他方、酸化源がまた殺菌を提供することから、壜のような製品に非常に効果がある。このようなガラス層はまた、包装に直接製品情報を印刷するためのより望ましい表面を提供することから有利である。このようなナノ-アロイ化ポリマーの使用から得られる追加的利益は、表面ガラス層の損失が起こると自己回復するこのような材料の能力である。このような場合、元のガラス表面の下にあるナノスコピックシリカ薬剤は、酸化剤の作用により、新たに回復したガラス表面層へとその場での変換を受けることができるであろう。このような、適合性、分散性、サイズ及び製造容易性の制御は、従来の全てのフィラー及び被覆技術にはないものである。シリカ含有薬剤の添加レベルは1〜99重量%好ましくは1〜30重量%の範囲で変化させることができる。
【0027】

全プロセスに適用可能な一般的プロセス変数
化学的プロセスに典型的なように、純度、選択性、速度及びプロセスメカニズムを制御するために使用される多くの変数がある。シリコン含有薬剤(例、シリコン及びシルセキスオキサン)のプラスチックへの組み込みのためのプロセスに影響する変数は、ナノスコピック薬剤のサイズ、多分散性及び組成を含む。同様に、ポリマー系の分子量、多分散性及び組成は、シリカ薬剤とポリマーの変数との間でマッチされる必要がある、最後に、配合若しくは混合プロセスの間に使用される動力学、熱力学的、加工道具及びフィラーもまた、添加量レベル及び組み込みから生じる向上度に影響することのできるトレードツールである。溶融配合、乾燥配合及び溶液混合配合のような配合プロセスは、ナノスコピックシリコン含有薬剤をプラスチック中に混合し、アロイ化することに全て有効である。
【0028】
代替方法:溶媒支援処方。シリコン含有薬剤は、均質相を形成するために、所望のポリマー、プレポリマー、或いはモノマーを含む容器に添加され、充分な量の有機溶媒(例、ヘキサン、トルエン、ジクロロメタン等)若しくはフッ素化溶媒に溶解されることができる。混合物は、ついで、30分間の適切な混合を保証するために十分な温度で高せん断力下撹拌され、揮発性溶媒は、その後除去され、真空下或いは蒸留を含む同様の型のプロセスを使用して、回収される。COのような超臨界流体も可燃性炭化水素溶媒の置換えとして使用されることができる。結果得られる処方は、その後直接に或いは後続する加工に使用されてもよい。
【0029】
例1.酸化安定性
以下に提供される例は、特別な材料の組合せ或いは条件に向けての制限と解釈されるべきではない。典型的酸素プラズマ処理は、100%パワー下1秒から5分の範囲にわたる。典型的オゾン化処理は、ビニル基につき0.03当量のOのCHCl溶液により与えられるオゾンで、1秒から5分の範囲にわたる。典型的酸化性火炎処理は、1秒から5分の範囲にわたる。
【0030】
例2.プロセス適合性
プロセス適合性試験が、オゾン殺菌剤に多数回周期さらされた時の、幾つかのPOSSが添加されたエポキシ接着剤についてなされた。表面へのその場でのガラス形成により観察された主な利点は、成形製品が再使用され再汚染除去され得る回数の増加である。エポキシに添加された2種の異なるPOSSの処方のバルク抵抗が、2つの商業的に入手しうるエポキシ接着剤と比較され、重量変化が、オゾン殺菌周期の数に対してプロットされた。表1参照。試料は、周期的に浄化された。
【表1】

【0031】
ある代表的な具体例と説明が本発明を例示する目的で示されているが、当業者には、前記特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から離れることなく、ここに開示された方法及び装置における様々な変形がなされ得ることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】非金属化シリコン含有薬剤の代表的構造例を示す。
【図2】シリコン薬剤のナノスコピックに薄い融解ガラス層への酸化変換の化学的プロセスを示す。
【図3】成形プラスチック製品内側及び外側のナノスコピックに薄いバリヤー層を形成する能力を示す。
【図4】ポリマー表面にアロイ化された粗いシリコン含有薬剤及びナノスコピックガラス層のその場での形成後の表面粗さの減少を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリマーにシリコン含有薬剤を組み込むこと、そして
(b)1nm〜500nmの厚さを有するガラス層を形成するために、表面を酸化すること、
のステップを含むポリマー表面上へのガラス層のその場での形成方法。
【請求項2】
異なるシリコン含有薬剤の混合物がポリマーに組み込まれる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリマーが、油状、非晶質、半結晶質、結晶質、エラストマー状及びゴム状からなる群より選択される物理的状態である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ポリマーが、ポリマーコイル、ポリマードメーン、ポリマー鎖、ポリマーセグメント若しくはそれらの混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
シリコン含有薬剤が、分子レベルでポリマーを強化する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
組み込みが、非反応的である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
組み込みが、反応的である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ポリマーの物理的性質が、シリコン含有薬剤のポリマーへの組み込みの結果として改善される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ガラス層が、オゾン、過酸化水素、過酢酸及び熱水蒸気の作用を受けさせることからなる群より選択される酸化汚染除去プロセスを使用して形成される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
物理的性質が、熱変形性、圧縮永久歪み性、クリ−プ性、粘着性、撥水性、難燃性、密度、低誘電定数、熱伝導性、ガラス転移性、粘度、融解転移、貯蔵弾性率、緩和性、応力転移、磨耗抵抗性、酸化抵抗性、耐火性、生物学的適合性、ガス透過性、多孔性、及び光学的品質から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項11】
物理的性質が、熱変形性、圧縮永久歪み性、クリ−プ性、粘着性、撥水性、難燃性、密度、低誘電定数、熱伝導性、ガラス転移、粘度、融解転移、貯蔵弾性率、緩和性、応力転移、磨耗抵抗性、耐火性、生物学的適合性、ガス透過性、多孔性、及び光学的品質から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
組み込みが、巨視的フィラー及び他のナノスコピックフィラー及び添加物を併用して達成される、請求項8記載の方法。
【請求項13】
組み込みステップと形成ステップが、巨視的フィラー及び他のナノスコピックフィラー及び添加物を併用して達成される、請求項9記載の方法。
【請求項14】
シリコン含有薬剤が、物理的性質、バリヤー性、汚染及び酸化抵抗を向上させる微視的フィラーと共に使用される、請求項9記載の方法。
【請求項15】
ポリマーが、表面ガラス層の損失に対して自己復元し若しくは自己パッシベートする能力を有する、請求項9記載の方法。
【請求項16】
シリコン含有薬剤が、材料フィラー若しくはベース構造と反応する、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−542477(P2008−542477A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513786(P2008−513786)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/020615
【国際公開番号】WO2006/128060
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(506207473)ハイブリッド・プラスティックス・インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】