説明

ガラス板梱包体の側方押え装置

【課題】本発明は、梱包時におけるガラス板の横ズレ防止作業を短時間で行うことができるガラス板梱包体の側方押え装置を提供する。
【解決手段】実施の形態の側方押え装置10によれば、レバー52を回動操作すると、ロッド54全体が下方に移動していく。そして、移動コマ76が下降移動してくるため、移動コマ76のテーパ面76Aがロッド36のテーパ面36Aに当接する。この後、移動コマ76の更なる下降移動により、移動コマ76のテーパ面76Aがロッド36のテーパ面36Aを押圧しながらテーパ面36Aに沿って下降移動する。この下降移動動作によって、水平方向駆動部30全体が圧縮ばね44の付勢力に抗して左方に移動していき、押え板34に設けられたクッション材42がガラス板Gの側方部G1に当接する。これによって、ガラス板Gの横ズレが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス板梱包体の側方押え装置に係り、特に液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)等用の大型ガラス板やその製造過程における中間製品の大型ガラス板を梱包し、輸送した後に開梱するガラス板梱包体の側方押え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ用ガラス、プラズマディスプレイ用ガラス等のフラットパネルディスプレイに用いられるガラス板の大型化のニーズが高まっている。従来、このような大型のガラス板を輸送する梱包体として、特許文献1に開示されたガラス板梱包体が知られている。
【0003】
このガラス板梱包体は、ガラス板が載置される底受け部材と、ガラス板の面が受けられる背受け部材と、前記底受け部材に載置されるとともに前記背受け部材にその面が受けられたガラス板の側方部に当接されてガラス板の側方移動を規制する側方押え装置とを備えている。
【0004】
ガラス板は、ガラス板製造工場からディスプレイ組立工場にトラック等の輸送手段によって輸送されるが、この輸送中にガラス板がガラス板梱包体に対して横ズレしないように前記側方押え装置によってガラス板の横ズレが防止されている。
【0005】
特許文献1に開示された側方押え装置は、ガラス板を挟んでガラス板の両側方に配置され、押え板、ねじ、及びこのねじが螺合されたナットから構成されている。また、ねじの先端に押え板が固定され、ナットは底受け部材に固定された状態で回転可能に設けられている。このナットを回転させることにより、ナットが移動することなく、ねじが移動して押え板がガラス板の側方部に当接し、ガラス板の横ズレを防止する。
【特許文献1】特開2005−298062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のガラス板梱包体の側方押え装置は、梱包時にはナットを回転させてねじを締め、開梱時にはナットを逆方向に回転させてねじを緩めなければならず、ナットを回転させるだけの作業であるが、その作業に時間がかってしまい作業性が悪いという欠点があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、梱包時におけるガラス板の横ズレ防止作業を短時間で行うことができるガラス板梱包体の側方押え装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、ガラス板梱包体におけるガラス板の底受け部材に載置されるとともにガラス板の背受け部材にその面が受けられたガラス板の側方部に当接されてガラス板の側方移動を規制する側方押え装置であって、ガラス板の側方部に対して水平方向に進退移動自在に設けられるとともにガラス板の側方部に当接される押え部材、該押え部材に一端が連結されて他端にテーパ面が形成された第1のロッドを有する水平方向駆動部と、ガラス板の側方部に対して上下方向に移動自在に設けられるとともに、操作部材、該操作部材に一端が連結されて他端に、前記第1のロッドのテーパ面に当接するテーパ面が形成された第2のロッドを有する上下方向駆動部と、を備え、前記上下方向駆動部の前記操作部材によって前記第2のロッドを上方向又は下方向に移動させることにより、第2のロッドのテーパ面を第1のロッドのテーパ面に押し付けて、前記水平方向駆動部をガラス板の側方部に向けて進出移動させ、水平方向駆動部の押え部材をガラス板の側方部に当接させることを特徴とするガラス板梱包体の側方押え装置を提供する。
【0009】
ガラス板の梱包時において、上下方向駆動部の操作部材により第2のロッドを上方向又は下方向に移動させると、第2のロッドのテーパ面が第1のロッドのテーパ面に押し付けることにより、水平方向駆動部がガラス板の側方部に向けて進出移動していき、水平方向駆動部の押え部材がガラス板の側方部に当接する。すなわち、本発明の側方押え装置によれば、操作部材によって第2のロッドを上方向又は下方向に移動させる作業だけで、ガラス板の横ズレを防止することができるので、梱包時におけるガラス板の横ずれ防止作業を短時間で行うことができる。
【0010】
本発明は、前記水平方向駆動部の前記押え部材がガラス板の側方部に当接した位置で、水平方向駆動部の移動を規制する移動規制部材が設けられていることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、押え部材がガラス板の側方部に当接した位置で、水平方向駆動部の移動を移動規制部材によって規制する。これにより、押え部材は、ガラス板の側方部に当接した位置で保持されるので、ガラス板輸送中におけるガラス板の横ズレを防止することができる。
【0012】
本発明は、前記上下方向駆動部の前記操作部材と前記第2のロッドとは、スプリングを介して連結されていることが好ましい。
【0013】
押え部材によるガラス板の横ずれ防止後において、輸送中の振動に起因して生じるガラス板の微小な横ズレ(許容範囲の横ズレ)は、操作部材と第2のロッドとの間に介在されているスプリングが伸縮することによって吸収される。これに対して、前記微小な横移動でも規制する側方押え装置であれば、押え板に当接しているガラス板の縁部に応力が集中して縁部が破損するおそれがある。本発明の側方押え装置では、このような不具合を防止できる。
【0014】
本発明は、前記水平方向駆動部をガラス板の側方部から離間した元の位置に復帰移動させる復帰移動部材が設けられていることが好ましい。
【0015】
ガラス板の開梱時において、上下方向駆動部の操作部材により第2のロッドを下方向又は上方向に移動させると、第2のロッドのテーパ面が第1のロッドのテーパ面から退避移動しいく。そして、この退避移動に連動して水平方向駆動部が復帰移動部材によって、ガラス板の側方部から離間した元の位置に復帰移動していく。したがって、本発明では、操作部材の第2のロッドを移動させるだけの簡単な作業で水平方向駆動が元の位置に復帰するので、開梱時の作業も短時間で済む。
【0016】
復帰移動部材としては、水平方向駆動部(押え部材が好ましい)に第3のロッドを連結し、そして、この第3のロッドを付勢部材によって前記元の位置に向けて付勢する。このような簡単な構造の復帰移動部材であっても、水平方向駆動を元の位置に復帰させることができる。
【0017】
本発明は、前記水平方向駆動部の前記押え部材の、ガラス板の側方部に当接される面には、クッション材が設けられることが好ましい。
【0018】
輸送中の振動に起因してガラス板が横ズレしようとした際に、その横ズレはクッション材によって吸収されるため、ガラス板の縁部の損傷を防止できる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明のガラス板梱包体の側方押え装置によれば、操作部材によって第2のロッドを上方向又は下方向に移動させる作業だけで、ガラス板の横ズレを防止することができるので、梱包時におけるガラス板の横ずれ防止作業を短時間で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面に従って本発明に係るガラス板梱包体の側方押え装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、実施の形態の側方押え装置10が設けられたガラス板梱包体12の全体斜視図である。
【0022】
同図に示すガラス板梱包体12は、基台となる台座14の上面に形成された搭載面16上に、ガラス板Gを載置する底受け板(底受け部材)18が傾斜して設けられている。支柱20、20…は底受け板18に対して90°〜100°、特に好ましくは約95°となるように搭載面16上に複数本(図1では3本)立設され、この支柱20、20…にガラス板Gの面を受ける背受け板(背受け部材)22が立て掛けられて固定される。底受け板18及び背受け板22にはガラス板Gを載置した際のガラス板Gとの接触による損傷を防止するため、ゴムや硬質の発泡性樹脂等のクッション材(不図示)が設けられている。
【0023】
台座14の搭載面16の後部には壁24が立設され、この壁24に支柱20、20…が支持されている。また、台座14の前後方向の面にはフォークリフトの爪(不図示)が挿抜される開口部26、26…が形成される。
【0024】
底受け板18は実質平坦な板であり、前側下部の底片28、28…を介して搭載面16上に載置される。底受け板18の表面は、ガラス板Gを差込むための溝等が形成されない実質上平坦なものであり、ガラス板Gを、合紙(不図示)を挟んで載置できるものであれば、波状や粗面状であってもよい。底受け板18は台座14の搭載面16に対して好ましくは5°〜25°、より好ましくは10°〜20°、特に好ましくは約18°に傾斜して配置される。これにより、作業者はガラス板Gを底受け板18に載置する際に、ガラス板Gの位置決め作業を容易に、且つ効率よく安全に行うことができる。各ガラス板G、G…は自重により背受け板22側のガラス板Gに接するので、各ガラス板G、G…間に無駄な隙間が生じることはない。また、載置するガラス板Gの安定化を図ることができ、ガラス板Gのズレや崩壊を防止し、併せて傷や割れの防止も図ることができる。
【0025】
台座14の搭載面16上であって、底受け板18の左右両側には、実施の形態の側方押え装置10、10が立設されている。
【0026】
図2は、側方押え装置10の構成を示した縦断面図であり、図3は側方押え装置10の要部構成を示した斜視図である。図1上でガラス板Gを挟んで左右両側に配置された側方押え装置10、10は同一構成なので、ここでは右側に配置された側方押え装置10の構成のみ説明し、左側に配置された側方押え装置10についてはその説明を省略する。
【0027】
実施の形態の側方押え装置10は図2、図3に示すように、大別して水平方向駆動部30と上下方向駆動部32とから構成されている。
【0028】
水平方向駆動部30は押え板(押え部材)34、及びロッド(第1のロッド)36から構成される。ロッド36は、側方押え装置10をカバーするハウジング38の側方開口部40に挿通され、不図示の軸受により水平方向に移動自在に支持される。ロッド36の先端部は、押え板34の背面の略中央部に固定され、押え板34の正面側には、ゴムや硬質の発泡性樹脂製のクッション材42が貼着されている。このクッション材42がガラス板Gの側方部G1に当接される。なお、クッション材42は必須ではないが、このクッション材42によって、底受け板18上に積載されたガラス板Gの幅方向の微小な位置ズレを吸収できるので、押え板34にクッション材42を設けることが好ましい。
【0029】
ロッド36の基端部は、右下がりの略45度の傾斜角度を持つテーパ面36Aが形成されている。また、押え板34の背面にはロッド(復帰移動部材(第3のロッド))46が固着されている。このロッド46は、ロッド36と平行に、かつロッド36の側方(図2では下方に図示)に配置され、ハウジング38に設けられたスライドガイド50を介してハウジング38内に貫通配置されている。また、ロッド46に圧縮ばね(復帰移動部材)44が挿通され、この圧縮ばね44は、スライドガイド50とロッド46の端部に固定されたストッパ板48との間で付勢力が与えられた状態で取り付けられている。
【0030】
したがって、ロッド36が外力により圧縮ばね44の付勢力に抗して図2の左方向に移動されると、押え板34が同方向に移動される。この動作により圧縮ばね44の付勢力が大きくなる。この後、前記外力が開放されると、ロッド36は圧縮ばね44の付勢力により図2の右方向に移動され、押え板34及びロッド36を含む水平方向駆動部30全体がガラス板Gの側方部G1から離間した元の位置に復帰移動される。この圧縮ばね44とロッド46とは、ロッド36を挟んで左右に配置されている。なお、圧縮ばね44は必須ではないが、この圧縮ばね44によって、水平方向駆動部30を前記元の位置に復帰移動させることができるので、水平方向駆動部30に圧縮ばね44を設けることが好ましい。また、実施の形態では、復帰移動部材として圧縮ばね44を例示したが、これに限定されるものではなく、水平方向駆動部30を前記元の位置に復帰移動させる機能を持つ部材であれば、いかなるものでも適用できる。
【0031】
一方、上下方向駆動部32は図2、図3の如くレバー(操作部材)52、及びロッド(第2のロッド)54から構成される。
【0032】
レバー52は、L字状に形成されたリンク56の延設部56Aに連結され、そのリンク56の上端部はピン58を介して小ロッド68の上端部に回動自在に連結されている。また、リンク56の下端部は、ピン60を介してリンク62の上端部に回動自在に連結され、リンク62の下端部はピン64を介して固定部66に回動自在に連結されている。小ロッド68は、ハウジング38の上面に設けられたスリーブ72に上下方向に移動自在に支持されている。
【0033】
このようなリンク構造において、レバー52を図2の一点鎖線で示した位置から反時計周り方向に回動して実線で示した位置に位置させると、レバー52がリンク56のピン58を介して小ロッド68を下方に押下する。これにより、小ロッド68を含むロッド54全体が下方に移動する。また、レバー52を図2の実線で示した位置から時計周り方向に回動して一点鎖線で示した位置に位置させると、レバー52がリンク56のピン58を介して小ロッド68を上方に押し上げる。これにより、小ロッド68を含むロッド54全体が上方に移動する。なお、実施の形態では、レバー52の回動方向を、積載されたガラス板Gの面に対して略平行としたが、これに限定されるものではなく、図5に示すように積載されたガラス板Gの面に対して略直交方向でもよい。この直交方向であれば、積載されるガラス板Gに邪魔されることなくレバー52を操作できるので好ましい。
【0034】
ロッド54は前述した小ロッド68、スプリング74、及び移動コマ76等から構成される。なお、スプリング74は必須ではないが、このスプリング74によって、底受け板18上に積載されたガラス板Gの幅方向の微小な位置ズレを吸収できるので、スプリング74を設けることが好ましい。
【0035】
スプリング74は、小ロッド68の下部に連結された、下方が開口された筒部78と、移動コマ76の上部に連結された、上方が開口された筒部80によって伸縮可能に保持されている。これにより、スプリング74のロッド54からの脱落が防止されている。
【0036】
移動コマ76の下端部は、右下がりの略45度の傾斜角度を持つテーパ面76Aが形成されている。この移動コマ76は、図4(A)で示すロッド54の下降移動前状態ではロッド36の上方に位置され、図4(B)で示すようにロッド36が左方に若干押し込まれた後において下降移動されてくると、そのテーパ面76Aがロッド36のテーパ面36Aに当接される。この後、移動コマ76が更に下降移動されると、テーパ面76Aがテーパ面36Aを押圧しながら摺動することにより、水平方向駆動部30全体が図3に示した圧縮ばね44の付勢力に抗して左方に移動されていく。これにより、図4(C)に示すように押え板34に設けられたクッション材42がガラス板Gの側方部G1に当接され、ガラス板Gの横ズレを防止する。
【0037】
なお、図2は、移動コマ76のテーパ面76Aにロッド36のテーパ面36Aが当接された状態が示されているが、ロッド36の初期位置は、図4(A)で示した移動コマ76の下方位置である。この初期位置は、圧縮ばね44の付勢力によって規定される位置であり、この位置に限定されるものではなく、移動コマ76の下方位置であればこの位置に限定されるものではない。
【0038】
次に、前記の如く構成された側方押え装置10の作用について説明する。
【0039】
ガラス板梱包体12の底受け板18に規定枚数のガラス板G、G…を載置した後、これらのガラス板G、Gの側方部G1を側方押え装置10によって押さえる場合、すなわち、ガラス板Gをガラス板梱包体12に梱包する場合、まず、レバー52を図2の一点鎖線で示した位置から実線で示した位置に回動する。これにより、ロッド54全体が下方に移動していく。そして、図4(B)で示したように、ロッド36が左方に若干押し込まれた後において、移動コマ76が下降移動してくるため、移動コマ76のテーパ面76Aがロッド36のテーパ面36Aに当接する。この後、移動コマ76の更なる下降移動により、移動コマ76のテーパ面76Aがロッド36のテーパ面36Aを押圧しながらテーパ面36Aに沿って下降移動する。この下降移動動作によって、水平方向駆動部30全体が図3に示した圧縮ばね44の付勢力に抗して左方に移動していき、図4(C)に示すように押え板34に設けられたクッション材42がガラス板Gの側方部G1に当接する。これによって、ガラス板Gの横ズレが防止される。この後、図2の如くハウジング38に設けられたフック(移動規制部材)82をレバー52に掛けてフック82の移動を規制することにより、水平方向駆動部30の移動を規制する。なお、移動規制部材はフック82に限定されるものではなく、押え板34のクッション材42がガラス板Gの側方部G1に当接した位置で、水平方向駆動部30の水平移動を規制するものであれば、いかなる部材であってもよい。
【0040】
以上の如く実施の形態の側方押え装置30によれば、レバー52の押し下げ操作だけで、ガラス板Gの横ズレを防止することができる。よって、この側方押え装置10を使用することにより、梱包時におけるガラス板Gの横ずれ防止作業を短時間で行うことができる。なお、実施の形態では、上下方向駆動部32の下降移動によって水平方向駆動部30をガラス板Gの側方部G1に向けて移動させる構造としたが、これに限定されるものではなく、上下方向駆動部32の上昇移動によって水平方向駆動部30をガラス板Gの側方部G1に向けて移動させる構造としてもよい。この機構の場合には、上下方向駆動部32を水平方向駆動部30の下方位置に配置するとともに、各々のテーパ面36A、76Aを逆方向(左下がり方向)に形成すればよい。
【0041】
一方、実施の形態の側方押え装置10によれば、水平方向駆動部30のクッション材42がガラス板Gの側方部G1に当接した位置で、水平方向駆動部30の移動を規制するフック82が設けられている。これにより、クッション材42は、ガラス板Gの側方部G1に当接した位置で保持されるので、ガラス板Gの輸送中におけるガラス板Gの横ズレを防止することができる。
【0042】
また、実施の形態の側方押え装置10によれば、クッション材42によるガラス板Gの横ずれ防止後において、輸送中の振動に起因して生じるガラス板Gの微小な横ズレ(許容範囲の横ズレ)は、レバー52とロッド54との間に介在されているスプリング74が伸縮することによって吸収される。これに対して、前記微小な横移動でも規制する側方押え装置であれば、押え板に当接しているガラス板の縁部に応力が集中して縁部が破損するおそれがあるが、実施の形態の側方押え装置10では、このような不具合を防止できる。
【0043】
実施の形態では、ロッド54の一部としてスプリング74を示しているが、レバー52、リンク56、62、小ロッド68までの構成を操作部材とし、移動コマ76を第2のロッドとした構成の場合には、スプリング74は操作部材と第2のロッドとを連結する構造となり、同様の効果を得ることができる。なお、スプリング74は、押え板34とロッド36との間に介在させてもよい。
【0044】
更に、実施の形態の側方押え装置10によれば、水平方向駆動部30をガラス板Gの側方部G1から離間した元の位置に復帰移動させる圧縮ばね44が設けられているため、レバー52を回動操作して移動コマ76のテーパ面76Aをロッド36のテーパ面36Aから上方に退避移動させると、退避移動に連動して水平方向駆動部30が圧縮ばね44の付勢力によって、ガラス板Gの側方部G1から離間した元の位置に復帰移動していく。
【0045】
したがって、実施の形態の側方押え装置10では、レバー52によってロッド54を移動させるだけの簡単な作業で水平方向駆動部30が元の位置に復帰するので、開梱時の作業も短時間で済む。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施の形態の側方押え装置が設けられたガラス板梱包体の全体斜視図
【図2】図1に示した側方押え装置の構成を示した縦断面図
【図3】図2に示した側方押え装置の要部構成を示した斜視図
【図4】実施の形態の側方押え装置の動作説明図
【図5】レバーの回動方向の別実施例を示したガラス板梱包体の全体斜視図
【符号の説明】
【0047】
10…側方押え装置、12…ガラス板梱包体、14…台座、16…搭載面、18…底受け板、20…支柱、22…背受け板、24…壁、26…開口部、28…底片、30…水平方向駆動部、32…上下方向駆動部、34…押え板、36…ロッド、36A…テーパ面、38…ハウジング、40…側方開口部、42…クッション材、44…圧縮ばね、46…ロッド、48…ストッパ板、50…スライドガイド、52…レバー、54…ロッド、56…リンク、56A…延設部、58…ピン、60…ピン、62…リンク、64…ピン、66…固定部、68…小ロッド、72…スリーブ、74…スプリング、76…移動コマ、76A…テーパ面、78…筒部、82…フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板梱包体におけるガラス板の底受け部材に載置されるとともにガラス板の背受け部材にその面が受けられたガラス板の側方部に当接されてガラス板の側方移動を規制する側方押え装置であって、
ガラス板の側方部に対して水平方向に進退移動自在に設けられるとともにガラス板の側方部に当接される押え部材、該押え部材に一端が連結されて他端にテーパ面が形成された第1のロッドを有する水平方向駆動部と、
ガラス板の側方部に対して上下方向に移動自在に設けられるとともに、操作部材、該操作部材に一端が連結されて他端に、前記第1のロッドのテーパ面に当接するテーパ面が形成された第2のロッドを有する上下方向駆動部と、
を備え、前記上下方向駆動部の前記操作部材によって前記第2のロッドを上方向又は下方向に移動させることにより、第2のロッドのテーパ面を第1のロッドのテーパ面に押し付けて、前記水平方向駆動部をガラス板の側方部に向けて進出移動させ、水平方向駆動部の押え部材をガラス板の側方部に当接させることを特徴とするガラス板梱包体の側方押え装置。
【請求項2】
前記水平方向駆動部の前記押え部材がガラス板の側方部に当接した位置で、水平方向駆動部の移動を規制する移動規制部材が設けられている請求項1に記載のガラス板梱包体の側方押え装置。
【請求項3】
前記上下方向駆動部の前記操作部材と前記第2のロッドとは、スプリングを介して連結されている請求項1又は2に記載のガラス板梱包体の側方押え装置。
【請求項4】
前記水平方向駆動部をガラス板の側方部から離間した元の位置に復帰移動させる復帰移動部材が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載のガラス板梱包体の側方押え装置。
【請求項5】
前記水平方向駆動部の前記押え部材の、ガラス板の側方部に当接される面には、クッション材が設けられる請求項1〜4のいずれかに記載のガラス板梱包体の側方押え装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−111399(P2010−111399A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283052(P2008−283052)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】