ガラス板研磨装置の監視方法及び監視システム
【課題】本発明は、ガラス板の破損発生率を低減できるガラス板研磨装置の監視方法及び監視システムを提供する。
【解決手段】実施の形態の監視システムは、吸着シート22に対するガラス板Gの異常吸着形態を常時監視し、異常と判定した場合には、そのガラス板Gの研磨を実施せず、研磨部18を停止したり、アラーム58から警告音を発生させたりして、オペレータに異常を知らしめる。実施の形態の監視システムは、グリセリン塗布部12、板吸着部14、研磨部18を有する通常設備のガラス板研磨装置10において、板吸着部14と研磨部18との間に、撮像部16を有する判定部20を備える。撮像部16は、板吸着部14から研磨部18に移動する吸着シート22をライト38によって照明し、その反射光をカメラ40によって撮像する。そして、判定部20は、カメラ40で撮像された画像に基づき、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されたか否かを判定する。
【解決手段】実施の形態の監視システムは、吸着シート22に対するガラス板Gの異常吸着形態を常時監視し、異常と判定した場合には、そのガラス板Gの研磨を実施せず、研磨部18を停止したり、アラーム58から警告音を発生させたりして、オペレータに異常を知らしめる。実施の形態の監視システムは、グリセリン塗布部12、板吸着部14、研磨部18を有する通常設備のガラス板研磨装置10において、板吸着部14と研磨部18との間に、撮像部16を有する判定部20を備える。撮像部16は、板吸着部14から研磨部18に移動する吸着シート22をライト38によって照明し、その反射光をカメラ40によって撮像する。そして、判定部20は、カメラ40で撮像された画像に基づき、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されたか否かを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板研磨装置の監視方法及び監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等に使用されるFPD(Flat Panel Display)用のガラス板は、溶融ガラスを板状に成形し、その後、切断装置によって所定矩形サイズのガラス板に切断された後、面取り装置の面取り用砥石によって、その端面が面取り加工される。この後、前記ガラス板は、研磨装置によって表面の微小な凹凸やうねりが研磨除去されることにより、FPD用ガラス板で要求される平坦度を満足した薄板状のガラス板に製造される。前記ガラス板のサイズとしては縦横寸法が1000mmを超えるものが主流であり、その厚さは0.7mm以下である。
【0003】
特許文献1に開示された研磨装置は、膜枠に張られた吸着シートにガラス板を貼着する板貼着ステージと、前記膜枠をキャリアに取り付ける膜枠取付ステージと、膜枠が取り付けられたキャリアと研磨定盤とを相対的に近づけて、前記吸着シートに貼着されたガラス板の研磨面を研磨定盤の研磨パッドに押し付けて研磨する研磨ステージとを備えている。
【0004】
前記吸着シートは、自己吸着性のある多孔質部材によって構成されているが、吸着シートに吸着されるガラス板の非研磨面の乾燥を防止したり、吸着シートの自己吸着力を高めたりするために、ガラス板が液体を介して吸着シートに吸着されている。特許文献2に開示されたウェーハの研磨方法では、ウェーハの非研磨面とウェーハ載置用プレートとの間に、グリセリン等の液体を介在させることにより、ウェーハの非研磨面と前記プレートとの吸着力を高めている。なお、吸着シートの吸着力は、所定の塗布量まではグリセリンの塗布量が多くなるに従って強くなるが、グリセリンの塗布量が所定の塗布量を超えると吸着力は低下する傾向にある。
【0005】
また、ガラス板を吸着シートに載置する前に、吸着シートの吸着面にガラス片、吸着シート片、研磨具片、及び研磨剤等の異物が付着しているか否かを、カメラ等の撮像手段やセンサ等の検出手段によって検査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−122351号公報
【特許文献2】特開平6−61203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
研磨装置においては、吸着シートにガラス板が正常に吸着されているか否かを監視することが望まれているが、設備が複雑な研磨装置において、目視にて監視することは難しい。特に、特許文献1に示した研磨装置の如く、吸着シートの下面にガラス板の非研磨面を吸着させて研磨する装置では、設備が複雑なうえ、キャリアの下方から吸着シートを見上げなくてはならないので、目視による監視を行うことは非常に困難であった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、吸着シートに対するガラス板の吸着状態を監視することができるガラス板研磨装置の監視方法及び監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
まず、吸着シートに対するガラス板の吸着状態の異常形態について説明する。
【0010】
第1の異常形態は、吸着シートに対するグリセリンの塗布量過多、及び塗布量過少に起因して、吸着シートの吸着力が低下する形態である。
【0011】
第2の異常形態は、吸着シートに2枚以上のガラス板が吸着される形態である。この形態は、吸着シートに残存したガラス片に新たなガラス板が吸着された形態を含む。
【0012】
第3の異常形態は、吸着シートにガラス板が吸着されていない形態である。
【0013】
第4の異常形態は、枠体に対してガラス板が正規の位置から外れて吸着シートに吸着された形態である。
【0014】
本発明は、上記第1〜第4の異常形態に着目してなされたものである。以下、本発明を説明する。
【0015】
本発明は、前記目的を達成するために、ガラス板を吸着する吸着シートに液体を塗布する液体塗布工程と、前記液体が塗布された前記吸着シートにガラス板の非研磨面を吸着させる吸着工程と、前記吸着シートに向けて照明光を照射し、その反射光を撮像する撮像工程と、前記撮像された画像に基づいて前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたか否かを判定する判定工程と、前記吸着シートに吸着された前記ガラス板の研磨面を研磨する研磨工程と、を備えたことを特徴とするガラス板研磨装置の監視方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記目的を達成するために、ガラス板を吸着する吸着シートに液体を塗布する液体塗布手段と、前記液体が塗布された前記吸着シートにガラス板の非研磨面を吸着させる吸着手段と、前記吸着シートに向けて照明光を照射し、その反射光を撮像する撮像手段と、前記撮像された画像に基づいて前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたか否かを判定する判定手段と、前記吸着シートに吸着された前記ガラス板の研磨面を研磨する研磨手段と、を備えたことを特徴とするガラス板研磨装置の監視システムを提供する。
【0017】
本発明によれば、液体塗布工程、吸着工程、研磨工程を有するガラス板研磨装置において、前記吸着工程と前記研磨工程との間に撮像工程と判定工程とを備えている。前記撮像工程は、前記吸着工程から前記研磨工程に移動する吸着シートを照明し、その反射光を撮像手段によって撮像する。前記判定工程は、前記撮像手段で撮像された画像に基づき、前記吸着シートにガラス板が正常に吸着されたか否かを判定する。
【0018】
よって、本発明は、吸着シートに対するガラス板の吸着状態を監視することができる。また、研磨装置に前記撮像手段を配置することで、目視による監視が不要になるとともに、設備の複雑な研磨装置において前記判定が可能となる。
【0019】
本発明の前記判定工程は、前記画像の輝度の平均値を算出するとともに、該平均値と予め記憶されている前記液体の塗布量が最適値の場合の最適輝度の範囲とを比較し、前記平均値が前記最適輝度の範囲にある場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記平均値が前記最適輝度の範囲から外れている場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定することが好ましい。
【0020】
本発明の前記判定手段は、前記画像の輝度の平均値を算出するとともに、該平均値と予め記憶されている前記液体の塗布量が最適値の場合の最適輝度の範囲とを比較し、前記平均値が前記最適輝度の範囲にある場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記平均値が前記最適輝度の範囲から外れている場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定することが好ましい。
【0021】
本発明は、前述した第1の異常形態を判定する。
【0022】
吸着シートに対する液体の塗布量が最適値よりも多い状態でガラス板が吸着シートに吸着されていると、撮像手段は、ガラス板からの反射光の光量よりも吸着シートからの反射光の光量を多く受光する。このため、撮像手段は、吸着シートの色(例えばガラス板の輝度よりも低い輝度の黒)を撮像し、その平均輝度は、最適輝度の範囲の下限値未満となるので、判定手段は、塗布量過多によりガラス板が吸着シートに正常に吸着されていないと判定する。
【0023】
また、吸着シートに対する液体の塗布量が最適値よりも少ない状態でガラス板が吸着シートに吸着されていると、撮像手段は、吸着シートからの反射光の光量よりもガラス板からの反射光の光量を多く受光する。このため、撮像手段は、ガラス板の色(例えば輝度の高い白)を撮像し、その平均輝度は、最適輝度の範囲の上限値超の輝度となるので、判定手段は、塗布量過少によりガラス板が吸着シートに正常に吸着されていないと判定する。
【0024】
一方で、吸着シートに対する液体の塗布量が最適値であると、撮像手段は、吸着シートからの反射光と、該反射光と略同量のガラス板からの反射光を受光する。このため、撮像手段は、ガラス板の色(例えば白)と吸着シートの色(例えば黒)とが混合した灰色を撮像し、その平均輝度は、最適輝度の範囲内に入るので、判定手段は、ガラス板が吸着シートに正常に吸着されたと判定する。
【0025】
本発明の前記判定工程は、前記画像中に含まれる白い部分の面積を算出するとともに、該白面積と予め記憶されている基準白面積とを比較し、前記白面積が前記基準白面積未満の場合には、前記吸着シートに1枚のガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記白面積が前記基準白面積以上の場合には、前記吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着されていると判定することが好ましい。
【0026】
本発明の前記判定手段は、前記画像中に含まれる白い部分の面積を算出するとともに、該白面積と予め記憶されている基準白面積とを比較し、前記白面積が前記基準白面積未満の場合には、前記吸着シートに1枚のガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記白面積が前記基準白面積以上の場合には、前記吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着されていると判定することが好ましい。
【0027】
本発明は、前述した第2の異常形態を判定する。
【0028】
吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着されている場合、少なくとも2枚のガラス板から照明光が反射されてくるため、その部分の画像は白くなる。判定手段は、前記白い部分の白面積を算出し、算出した白面積と基準白面積とを比較することで前記第2の異常形態を判定する。なお、吸着シートからの反射光と、ガラス板からの反射光とを識別するために、吸着シートの色は例えば黒等の、ガラス板の輝度よりも低い色であることが好ましい。
【0029】
本発明の前記判定工程は、前記画像中に含まれる黒い部分の面積を算出するとともに、該黒面積と予め記憶されている基準黒面積とを比較し、前記黒面積が前記基準黒面積未満の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記黒面積が前記基準黒面積以上の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が吸着されていないと判定することが好ましい。
【0030】
本発明の前記判定手段は、前記画像中に含まれる黒い部分の面積を算出するとともに、該黒面積と予め記憶されている基準黒面積とを比較し、前記黒面積が前記基準黒面積未満の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記黒面積が前記基準黒面積以上の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が吸着されていないと判定することが好ましい。
【0031】
本発明は、前述した第3の異常形態を判定する。
【0032】
吸着シートにガラス板が吸着されていない場合、撮像手段は例えば黒色の吸着シートからの反射光を撮像するので、画像は黒くなる。判定手段は、前記黒い部分の黒面積を算出し、算出した黒面積と基準黒面積とを比較することで前記第3の異常形態を判定する。
【0033】
本発明の前記吸着シートには、前記吸着シートに吸着保持された前記ガラス板の周囲に配置され、前記ガラス板とともに前記研磨工程における研磨具に当接される枠体が吸着されており、前記判定工程は、前記画像に基づいて前記ガラス板と前記枠体との間隔を算出し、算出した間隔と予め記憶されている基準間隔とを比較し、前記算出した間隔が前記基準間隔以下の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定することが好ましい。
【0034】
本発明の前記吸着シートには、前記吸着シートに吸着保持された前記ガラス板の周囲に配置され、前記ガラス板とともに研磨工程における研磨具に当接される枠体が吸着されており、前記判定手段は、前記画像に基づいて前記ガラス板と前記枠体との間隔を算出し、算出した間隔と予め記憶されている基準間隔とを比較し、前記算出した間隔が前記基準間隔以下、又は前記基準間隔以上の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定することが好ましい。
【0035】
本発明は、前述した第4の異常形態を判定する。
【0036】
例えば白色の枠体と例えば白色のガラス板とを撮像手段が撮像することで、枠体とガラス板との間に存在する、例えば黒色の吸着シートを撮像手段が同時に撮像する。判定手段は、前記吸着シートの黒色の画像(画素数)に基づいて、ガラス板と枠体との間隔を算出し、算出した間隔が基準間隔以下、又は基準間隔以上の場合には、吸着シートにガラス板が正常に吸着されていないと判定する。
【0037】
本発明の前記吸着工程において前記ガラス板は、前記非研磨面を上面にして前記吸着シートに吸着され、前記撮像工程において前記吸着シートは、該吸着シートの下方から前記照明光が照射されることが好ましい。
【0038】
本発明の前記吸着手段において前記ガラス板は、前記非研磨面を上面にして前記吸着シートに吸着され、前記撮像手段において前記吸着シートは、該吸着シートの下方から前記照明光が照射されることが好ましい。
【0039】
本発明によれば、吸着シートの下面にガラス板の非研磨面を吸着させて研磨する装置に、すなわち、目視による監視が非常に困難な研磨装置に、撮像手段を有する本願発明を適用することは特に有効である。
【発明の効果】
【0040】
本発明のガラス板研磨装置の監視方法及び監視システムによれば、吸着シートに対するガラス板の吸着状態を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施の形態のガラス板研磨装置の監視システムが設置されたガラス板研磨装置の側面図
【図2】実施の形態の撮像部の構成を示した斜視図
【図3】実施の形態の判定部の構成を示したブロック図
【図4】吸着シートに対するグリセリンの塗布量過多状態を示す説明図
【図5】吸着シートに対するグリセリンの塗布量過少状態を示す説明図
【図6】吸着シートに対するグリセリンの塗布量最適状態を示す説明図
【図7】吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着された画像を示す説明図
【図8】吸着シートにガラス板が吸着されていない画像を示した説明図
【図9】ガラス板と枠体との間の間隔を示した説明図
【図10】ガラス板の各コーナ部において2点の監視点を示した説明図
【図11】ガラス板に入射する光とガラス板の研磨面及び非研磨面で反射する光との関係を示す説明図
【図12】2枚のガラス板に入射する光とガラス板の研磨面及び非研磨面で反射する光との関係を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、添付図面に従って本発明に係るガラス板研磨装置の監視方法及び監視システムの好ましい実施の形態について説明する。
【0043】
図1は、実施の形態のガラス板研磨装置の監視システムが設置されたガラス板研磨装置10の側面図である。
【0044】
同図に示す研磨装置10は、ガラス板Gの加工工程の上流側から下流側に向けてグリセリン塗布部(液体塗布工程)12、板吸着部(吸着工程)14、撮像部(撮像工程)16、研磨部(研磨工程)18、及び取外部(不図示)が順に配置されている。また、撮像部16には、判定部(判定工程)20が接続され、撮像部16によって撮像された画像信号が判定部20に出力される。判定部20は、前記画像信号を信号処理することによって、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されたか否かを判定する。
【0045】
研磨装置10は、大型のガラス板G(例えば、一辺が1800mmを超え、厚さ0.2mm〜0.7mm)の研磨面を液晶ディスプレイ用ガラス板に必要な平坦度に研磨する研磨装置である。
【0046】
グリセリン塗布部12では、研磨ヘッド24のキャリア26の下部に膜枠28が取り付けられ、この膜枠28に前記吸着シート22が張られている。ガラス板Gを吸着保持する面である吸着シート22の下面の全面に、ノズル(液体塗布手段)30からグリセリン(液体)32が塗布される。なお、液体としてグリセリン32を例示するが、水でもよく、ポリエチレングリコールでもよい。しかしながら、グリセリン32は水よりも乾燥し難いため、グリセリン32が好適である。また、グリセリン32は、研磨部18で使用する研磨液によるガラス板Gの縁部の汚染防止液としても好適である。
【0047】
グリセリン32が塗布された吸着シート22は、研磨ヘッド24の矢印Aで示す移動によって板吸着部14に搬送され、ここで吸着シート22の下面にガラス板Gの非研磨面がグリセリン32を介して吸着保持される。吸着方法は、まず、ロボット60によってテーブル34上にガラス板Gを載置する。次に、前記ガラス板Gに向けてキャリア26を下降移動させ、吸着シート22でガラス板Gの非研磨面を吸着する。次いで、キャリア26を元の位置に上昇移動させた後、キャリア26の側方に配置したローラ(吸着手段)36をガラス板Gの研磨面上を走行させ、ガラス板Gの非研磨面を吸着シート22に押圧して密着させる。なお、前記吸着方法は一例である。
【0048】
吸着シート22に吸着保持されたガラス板Gは、研磨ヘッド24の矢印Bで示す移動、つまり板吸着部14から研磨部18への移動によって撮像部16の上方を通過する。この際にガラス板G及び吸着シート22は、撮像部16のライト38によって照明されるとともに、その反射光がカメラ(撮像手段)40の受光素子によって受光され、ガラス板G及び吸着シート22が撮像される。カメラ40からの画像信号は、前述の如く判定部20に出力される。
【0049】
撮像部16の上方を通過したガラス板Gは、継続する研磨ヘッド24の矢印Bで示す移動によって研磨部18に搬送される。ここでガラス板Gの研磨面が研磨パッド42に押圧されて研磨される。研磨方法は、キャリア26と吸着シート22との間に圧力流体を供給し、この圧力流体の圧力を、吸着シート22を介してガラス板Gに伝達することにより、ガラス板Gの研磨面を研磨パッド42に押圧する。そして、キャリア26を回転軸44によって回転(自転、公転を含む)させるとともに、研磨パッド42を回転させてガラス板Gの研磨面を研磨する。なお、この研磨方法も一例である。
【0050】
吸着シート22には、ガラス板Gとともに研磨パッド42に押圧当接される枠体46が吸着されている。この枠体46は、ダミープレートと称され、ガラス板Gの周囲を包囲し、ガラス板Gの研磨面のエッジ部に研磨圧力が集中することを防止する。枠体46は、研磨パッド42による研磨によって摩耗しない材質で構成されており、ステンレス、鉄、アルミ、ポリエチレン、ポリウレタンを挙げることができる。
【0051】
研磨部18で研磨面が研磨されたガラス板Gは、研磨ヘッド24の矢印Cで示す移動によって取外部(不図示)18に搬送され、ここで吸着シート22から取り外された後、次工程(例えば洗浄工程)に搬送される。
【0052】
次に、撮像部16、及び判定部20について説明する。
【0053】
図2は、撮像部16の構成を示した斜視図であり、矢印B(図1参照)に移動するキャリア26を下方から見上げた斜視図である。
【0054】
撮像部16は、ライト38である棒状の蛍光灯と、カメラ40であるラインセンサとから構成される。ライト38は、矢印Bで示す移動方向に対して直交方向に配置される。また、ライト38の下方には、ライト38からの照明光をガラス板G及び吸着シート22に集光するリフレクタ48が取り付けられている。
【0055】
前記ラインセンサは、受光素子が矢印Bで示す移動方向に対して直交方向に配列されており、ガラス板G、吸着シート22、及び枠体46によって反射された、ライト38からの照明光を受光する。また、前記ラインセンサは、ガラス板G、吸着シート22、枠体46の前記直交方向の1ライン毎の画像信号を出力するため、矢印Bで示すキャリア26の移動によってガラス板G、吸着シート22、枠体46の全ラインを走査し、ガラス板G、吸着シート22、枠体46を示す全ラインの画像信号を取得できる。なお、ラインセンサに代えてエリアセンサを使用してもよい。
【0056】
図3は、実施の形態の判定部20の構成を示したブロック図である。
【0057】
カメラ40からの画像信号は、アンプ50によって増幅され、判定部20の画像信号処理部52に出力される。画像信号処理部52は、カメラ40によって撮像された画像に基づいて吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されたか否かを判定するとともに、ディスプレイ54に前記画像を表示させる。
【0058】
また、前記判定の結果は、研磨装置10を統括制御するCPU56に出力される。CPU56は、前記結果に基づいて、研磨装置10の研磨部18の動作を停止させたり、アラーム58から警告音を発生させたり、ロボット60を制御して、図1に示すテーブル34に対するガラス板Gの載置位置を変更させたりする。
【0059】
次に、画像信号処理部52による判定方法、及びCPU56による制御動作について説明する。
【0060】
まず、本願発明者は、吸着シート22に対するガラス板Gの吸着状態の異常形態について検討、及び実験した結果、次の形態を見出した。
【0061】
第1の異常形態は、吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量過多、及び塗布量過少に起因して吸着シート22の吸着力が低下する形態である。この場合、研磨部18におけるガラス板Gの研磨中にガラス板Gが吸着シート22に対してずれたり、また、キャリア26によるガラス板Gの搬送中に、ガラス板Gが吸着シート22から落下したりする。
【0062】
第2の異常形態は、吸着シート22に2枚以上のガラス板Gが吸着された形態である。この形態は、吸着シート22に残存したガラス片に新たなガラス板Gが吸着された形態を含む。
【0063】
第3の異常形態は、吸着シート22にガラス板Gが全く吸着されていない形態である。
【0064】
第4の異常形態は、枠体46に対してガラス板Gが正規の位置から外れて吸着シート22に吸着された形態である。
【0065】
実施の形態の監視システムでは、上記第1〜第4の異常形態を常時監視し、異常と判定した場合には、そのガラス板Gの研磨を実施せず、研磨部18を停止したり、アラーム58から警告音を発生させたりして、オペレータに異常を知らしめる。
【0066】
すなわち、実施の形態の監視システムは、グリセリン塗布部12、板吸着部14、研磨部18を有する通常設備のガラス板研磨装置10において、板吸着部14と研磨部18との間に、撮像部16を有する判定部20を備えている。
【0067】
撮像部16は、板吸着部14から研磨部18に移動するガラス板G及び吸着シート22をライト38によって照明し、その反射光をカメラ40によって撮像する。そして、判定部20は、カメラ40で撮像された画像に基づき、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されたか否かを判定する。
【0068】
よって、実施の形態の監視システムは、吸着シート22に対するガラス板Gの吸着状態を常時監視することができる。また、研磨装置10に撮像部16を配置することで、目視による監視が不要になるとともに、設備の複雑な研磨装置10において前記判定が可能となる。
【0069】
次に、前述した第1の異常形態を判定する方法について説明する。
【0070】
判定部20の画像信号処理部52は、前記画像の輝度の平均値を算出するとともに、この平均値と予め記憶されているグリセリン32の塗布量が最適値の場合の最適輝度の範囲とを比較する。そして、画像信号処理部52は、前記平均値が前記最適輝度の範囲にある場合には、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されたと判定し、一方、前記平均値が前記最適輝度の範囲から外れている場合には、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されていないと判定する。
【0071】
図4は、吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量過多状態を示す説明図である。吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量が最適値の範囲の上限値よりも多い状態でガラス板Gが吸着シートに吸着されていると、カメラ40は、ガラス板Gの研磨面Gaからの反射光よりも吸着シート22からの反射光を多く受光する。
【0072】
図11は、ガラス板Gに入射する光とガラス板Gの研磨面Ga及び非研磨面Gbで反射する光との関係を示す説明図である。ガラス板Gの屈折率(絶対屈折率:以下の屈折率も同様)は略1.5である。図11には、屈折率が略1.0の空気中に存在するガラス板Gの例が示されている。ライト38から出射してガラス板Gに照射された光は、ガラス板Gの研磨面Gaで一部の光は反射されるが、残りの光はガラス板Gの内部に進み、ガラス板Gの非研磨面Gbで反射される。そして、ガラス板Gの研磨面Gaからガラス板Gの非研磨面Gbの反射光が出射される。なお、厚さが0.7mm以下のフロート法で製造されたガラス板の可視光波長0.38〜0.78μmの反射率は10%未満、透過率は90%以上である。
【0073】
しかし、図4に示すように、ガラス板Gの非研磨面Gbに、屈折率が略1.45のグリセリン32が多く塗布されている場合には、ガラス板Gの内部を進んだ光は、ガラス板Gの非研磨面Gbでほとんど反射されず、ガラス板Gの非研磨面Gbからグリセリン32に入射して、グリセリン32の内部を進んで、吸着シート22で反射され、ガラス板Gの研磨面Gaから吸着シート22の反射光が出射される。
【0074】
図4において、カメラ40で受光する光量は、研磨面Gaからの反射光よりもガラス板Gの研磨面Gaから出射された吸着シート22からの反射光が多い。
【0075】
このため、カメラ40は、吸着シート22の色(例えばガラス板の輝度よりも低い輝度の黒)を撮像し、その平均輝度は、最適輝度の範囲の下限値未満の輝度となる。よって、画像信号処理部52は、グリセリン32の塗布量過多によって、ガラス板Gが吸着シート22に正常に吸着されていないと判定する。
【0076】
図5は、吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量過少状態を示す説明図である。吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量が最適値よりも少ない状態を詳細に説明すると、ガラス板Gと吸着シート22との間にグリセリン32と気泡33とが混在している状態でガラス板Gが吸着シート22に吸着されていると、カメラ40は、吸着シート22からの反射光よりもガラス板Gの研磨面Gaからの反射光及びガラス板Gの研磨面Gaから出射された非研磨面Gbからの反射光を多く受光する。
【0077】
つまり、図5に示したグリセリン32の塗布量過少状態は、図11に示した空気中に存在するガラス板Gの状態に類似している。したがって、ライト38から出射してガラス板Gに照射された光は、ガラス板Gの研磨面Gaで一部の光は反射されるが、残りの光はガラス板Gの内部に進み、ガラス板Gの非研磨面Gbで反射され、ガラス板Gの研磨面Gaからガラス板Gの非研磨面Gbの反射光が出射される。カメラ40は、ガラス板Gの非研磨面Gbで反射せずに吸着シート22からの反射光も受光するが、ガラス板Gの研磨面Gaからの反射光及びガラス板Gの研磨面Gaから出射された非研磨面Gbからの反射光を多く受光する。このため、カメラ40は、ガラス板Gの色(例えば輝度の高い白)を撮像し、その平均輝度は、最適輝度の範囲の上限値超の輝度となるので、画像信号処理部52は、グリセリン32の塗布量過少によって、ガラス板Gが吸着シート22に正常に吸着されていないと判定する。
【0078】
図6は、吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量最適状態を示す説明図である。吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量が最適値であると、カメラ40は、吸着シート22からの反射光の光量と、この反射光の光量と略同量のガラス板Gからの反射光(研磨面Gaからの反射光と非研磨面Gbからの反射光との和)を受光する。このため、カメラ40は、ガラス板Gの色(例えば白)と吸着シート22の色(例えば黒)とが混合した灰色を撮像し、その平均輝度は、最適輝度の範囲内に入るので、画像信号処理部52は、ガラス板Gが吸着シート22に正常に吸着されたと判定する。
【0079】
一画素当たり256階調(8bit)のカメラ40を使用した場合、例えば0〜50階調を黒色と規定し、51〜200階調を灰色と規定し、201〜256階調を白色と規定することで、前記第1の異常形態を判定できる。なお、前記カメラ40においては、最適輝度の範囲を51〜200階調と規定したが、好ましくは80〜120階調がよい。なお、前記階調は一例であり、その階調の段階は適宜設定されるものである。また、最適輝度の範囲は、実験値から得られた範囲である。また、カメラ40で受光する明るさは、照明の明るさ、カメラ40の絞り、ソフト上のゲインによって調整することができる。
【0080】
次に、前述した第2の異常形態を判定する方法について説明する。
【0081】
図3に示した画像信号処理部52は、画像中に含まれる白い部分の面積(以下、白面積という。)を算出するとともに、この白面積が所定の面積(以下、基準白面積という。)未満の場合には、吸着シート22に1枚のガラス板Gが正常に吸着されたと判定し、前記白面積が前記基準白面積以上の場合には、吸着シート22に少なくとも2枚のガラス板Gが吸着されていると判定する。
【0082】
図7は、吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着された画像を示す説明図である。図7に示す画像は、図3に示したディスプレイ54に表示された画像であり、黒色エリアB、灰色エリアGr、枠状の白色エリアW1、及び不規則形状の白色エリアW2が示されている。
【0083】
黒色エリアBは、グリセリン32の塗布量過多エリアと、ガラス板Gの四辺と枠体46との間に位置する吸着シート22とを示しており、灰色エリアGrは、グリセリン32の塗布量が最適なエリアを示している。また、白色エリアW1は、枠体46を示している。そして、白色エリアW2は、グリセリン32の塗布量過少エリア、又は少なくとも2枚のガラス板Gが吸着されているエリアを示している。
【0084】
図12は、2枚のガラス板G1、G2に入射する光とそれぞれガラス板の研磨面及び非研磨面で反射する光との関係を示す説明図である。ガラス板G1は、カメラ40及びライト38側のガラス板であり、ガラス板G2は、吸着シート側のガラス板である。ガラス板G1の非研磨面G1bとガラス板G2の研磨面G2aとが密着している。なお、ガラス板同士を積層すると積層面においてガラス板表面同士が結合してある程度の結合力で密着することは公知であり、この結合力は、両ガラス表面に存在するシラノール基(Si−OH)同士の水素結合や部分的な脱水縮合による化学結合の生成、両ガラス板表面間のファンデルワールス力、などによると考えられている。
【0085】
ライト38から出射してガラス板G1に照射された光は、ガラス板G1の研磨面G1aで一部の光は反射されるが、残りの光はガラス板G1の内部に進み、内部を進んだ光の一部はガラス板G1の非研磨面G1bで反射される。ガラス板G1の非研磨面G1bで反射されなかった残りの光の一部は、ガラス板G2の研磨面G2aで反射される。さらにガラス板G2の研磨面G2aで反射されなかった残りの光はガラス板G2の非研磨面G2bで反射される。非研磨面G1b、研磨面G2a及び非研磨面G2bそれぞれの反射光は、ガラス板G1の研磨面G1aから出射される。
【0086】
すなわち、吸着シート22に少なくとも2枚のガラス板Gが吸着されていると、少なくとも2枚のガラス板Gから照明光が反射されてくるため、その部分の画像は、前記白色エリアW2の如く白くなる。画像信号処理部52は、吸着シート22に少なくとも2枚のガラス板Gが吸着された形態と、グリセリン32の塗布量が過少な形態とを区別するために、白色エリアW2の面積を算出し、算出した白面積と、少なくとも2枚のガラス板Gが吸着されていると判断される基準白面積とを比較することで前記第2の異常形態か否かを判定する。なお、基準白面積は予め画像信号処理部に記憶されており、実験によって得られた面積であり、ガラス板Gの非研磨面の面積に対する面積比として表すこともできる。面積比として表す場合には、例えば、一画素当たり256階調(8bit)のカメラ40を使用した場合、ガラス板Gの非研磨面の面積に対する、180階調以上の面積が10%以上あるものを、吸着シート22に少なくとも2枚のガラス板Gが吸着されていると判定する。
【0087】
次に、前述した第3の異常形態を判定する方法を説明する。
【0088】
図3に示した画像信号処理部52は、画像中に含まれる黒い部分の面積(以下、黒面積という。)を算出するとともに、該黒面積が所定の面積(以下、基準黒面積という。)未満の場合には、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されたと判定し、前記黒面積が前記基準黒面積以上の場合には、吸着シート22にガラス板Gが吸着されていないと判定する。
【0089】
図8は、吸着シートにガラス板が吸着されていない画像を示し説明図である。図8に示す画像は、図3に示したディスプレイ54に表示された画像であり、黒色エリアB、及び白色エリアW1が示されている。
【0090】
黒色エリアBは、グリセリン32の塗布量過多エリア又は吸着シート22にガラス板Gが吸着されていない状態と、ガラス板Gの四辺と枠体46との間に位置する吸着シート22とを示しており、白色エリアW1は、枠体46を示している。
【0091】
すなわち、吸着シート22にガラス板Gが吸着されていない場合には、吸着シート22から照明光が反射されてくるため、その部分の画像は、図8に示すような黒色エリアBの如く黒くなる。画像信号処理部52は、図8に示すような吸着シート22にガラス板Gが吸着されていない形態と、図7に示すようなグリセリン32の塗布量が過多な形態とを区別するために、黒色エリアBの面積を算出し、算出した黒面積と、吸着シート22にガラス板が吸着されていないと判断される基準黒面積とを比較することで前記第3の異常形態を判定する。なお、基準黒面積は予め画像信号処理部に記憶されており、実験によって得られた面積であり、ガラス板Gの非研磨面の面積に対する面積比として表すこともできる。面積比として表す場合には、例えば、一画素当たり256階調(8bit)のカメラ40を使用した場合、ガラス板Gの非研磨面の面積に対する、40階調以下の面積が50%以上あるものを、吸着シート22にガラス板Gが吸着されていない状態と判定する。
【0092】
次に、前述した第4の異常形態を判定する方法を説明する。
【0093】
画像信号処理部52は、画像に基づいてガラス板Gと枠体46との間隔を算出し、算出した間隔が基準間隔以下又は基準間隔以上の場合には、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されていないと判定する。
【0094】
図9は、ガラス板と枠体との間の間隔を示した説明図である。図9に示す画像は、図3に示したディスプレイ54に表示された画像であって、ガラス板Gのコーナ部近傍を拡大した画像であり、灰色エリアGr、白色エリアW1、及び黒色エリアBが示されている。
【0095】
灰色エリアGrは、グリセリン32の塗布量が最適なエリアであり、白色エリアW1は、枠体46を示している。そして、黒色エリアBは、ガラス板Gの四辺と枠体46との間に位置する吸着シート22を示している。
【0096】
図3に示した画像信号処理部52は、ガラス板Gの一辺M1と当該一辺M1に対向する枠体46の一辺N1との間隔Pの画素数、及び、前記一辺M1に隣接する一辺M2と当該一辺M2に対向する枠体46の一辺N2との間隔Qの画素数に基づいて、ガラス板Gと枠体46との間隔を算出し、算出した間隔が基準間隔に対して小さい場合、又は大きい場合には、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されていないと判定する。この場合の判定は、図10に示すガラス板Gのコーナ部において各2点の計8点(a〜h点)において実施する。
【0097】
前記間隔が基準間隔以下(例えば、3mm以下)、又は基準間隔以上(例えば、15mm)の場合には、テーブル34に対するガラス板Gの載置位置が最適な位置になるように図3に示したCPU56がロボット60の動作を制御する。
【0098】
以上により、実施の形態の監視システムによれば、第1〜第4の異常形態を監視することができる。
【0099】
実施の形態では、吸着シート22の下面にガラス板Gの非研磨面を吸着させて研磨する研磨装置10を例示した。この研磨装置10によれば、吸着シート22に対するガラス板Gの吸着形態を目視によって監視することが非常に困難であるため特に有効である。なお、吸着シート22の上面にガラス板Gの非研磨面を吸着させて研磨する研磨装置にも、実施の形態の監視システムは適用できる。
【0100】
なお、実施の形態のカメラ40によって撮像したガラス板Gの画像情報に基づき、ガラス板Gの四辺沿いの欠け、及び角部の欠けも検出することができる。すなわち、ガラス板Gの四辺沿い画像情報、及び角部情報と、欠けの無い基準形状情報とを比較して、差分の画素数から欠けに相当する面積を算出する。そして例えば、一画素当たり256階調(8bit)のカメラ40を使用した場合、40階調以下の面積が12.5cm2以上あるものを、欠け量の多いガラス板Gであると判定する。
【符号の説明】
【0101】
G…ガラス板、10…研磨装置、12…グリセリン塗布部、14…板吸着部、16…撮像部、18…研磨部、20…判定部、22…吸着シート、24…研磨ヘッド、26…キャリア、28…膜枠、30…ノズル、32…グリセリン、34…テーブル、36…ローラ、38…ライト、40…カメラ、42…研磨パッド、44…回転軸、46…枠体、48…リフレクタ、50…アンプ、52…画像信号処理部、54…ディスプレイ、56…CPU、58…アラーム、60…ロボット
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板研磨装置の監視方法及び監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等に使用されるFPD(Flat Panel Display)用のガラス板は、溶融ガラスを板状に成形し、その後、切断装置によって所定矩形サイズのガラス板に切断された後、面取り装置の面取り用砥石によって、その端面が面取り加工される。この後、前記ガラス板は、研磨装置によって表面の微小な凹凸やうねりが研磨除去されることにより、FPD用ガラス板で要求される平坦度を満足した薄板状のガラス板に製造される。前記ガラス板のサイズとしては縦横寸法が1000mmを超えるものが主流であり、その厚さは0.7mm以下である。
【0003】
特許文献1に開示された研磨装置は、膜枠に張られた吸着シートにガラス板を貼着する板貼着ステージと、前記膜枠をキャリアに取り付ける膜枠取付ステージと、膜枠が取り付けられたキャリアと研磨定盤とを相対的に近づけて、前記吸着シートに貼着されたガラス板の研磨面を研磨定盤の研磨パッドに押し付けて研磨する研磨ステージとを備えている。
【0004】
前記吸着シートは、自己吸着性のある多孔質部材によって構成されているが、吸着シートに吸着されるガラス板の非研磨面の乾燥を防止したり、吸着シートの自己吸着力を高めたりするために、ガラス板が液体を介して吸着シートに吸着されている。特許文献2に開示されたウェーハの研磨方法では、ウェーハの非研磨面とウェーハ載置用プレートとの間に、グリセリン等の液体を介在させることにより、ウェーハの非研磨面と前記プレートとの吸着力を高めている。なお、吸着シートの吸着力は、所定の塗布量まではグリセリンの塗布量が多くなるに従って強くなるが、グリセリンの塗布量が所定の塗布量を超えると吸着力は低下する傾向にある。
【0005】
また、ガラス板を吸着シートに載置する前に、吸着シートの吸着面にガラス片、吸着シート片、研磨具片、及び研磨剤等の異物が付着しているか否かを、カメラ等の撮像手段やセンサ等の検出手段によって検査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−122351号公報
【特許文献2】特開平6−61203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
研磨装置においては、吸着シートにガラス板が正常に吸着されているか否かを監視することが望まれているが、設備が複雑な研磨装置において、目視にて監視することは難しい。特に、特許文献1に示した研磨装置の如く、吸着シートの下面にガラス板の非研磨面を吸着させて研磨する装置では、設備が複雑なうえ、キャリアの下方から吸着シートを見上げなくてはならないので、目視による監視を行うことは非常に困難であった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、吸着シートに対するガラス板の吸着状態を監視することができるガラス板研磨装置の監視方法及び監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
まず、吸着シートに対するガラス板の吸着状態の異常形態について説明する。
【0010】
第1の異常形態は、吸着シートに対するグリセリンの塗布量過多、及び塗布量過少に起因して、吸着シートの吸着力が低下する形態である。
【0011】
第2の異常形態は、吸着シートに2枚以上のガラス板が吸着される形態である。この形態は、吸着シートに残存したガラス片に新たなガラス板が吸着された形態を含む。
【0012】
第3の異常形態は、吸着シートにガラス板が吸着されていない形態である。
【0013】
第4の異常形態は、枠体に対してガラス板が正規の位置から外れて吸着シートに吸着された形態である。
【0014】
本発明は、上記第1〜第4の異常形態に着目してなされたものである。以下、本発明を説明する。
【0015】
本発明は、前記目的を達成するために、ガラス板を吸着する吸着シートに液体を塗布する液体塗布工程と、前記液体が塗布された前記吸着シートにガラス板の非研磨面を吸着させる吸着工程と、前記吸着シートに向けて照明光を照射し、その反射光を撮像する撮像工程と、前記撮像された画像に基づいて前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたか否かを判定する判定工程と、前記吸着シートに吸着された前記ガラス板の研磨面を研磨する研磨工程と、を備えたことを特徴とするガラス板研磨装置の監視方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記目的を達成するために、ガラス板を吸着する吸着シートに液体を塗布する液体塗布手段と、前記液体が塗布された前記吸着シートにガラス板の非研磨面を吸着させる吸着手段と、前記吸着シートに向けて照明光を照射し、その反射光を撮像する撮像手段と、前記撮像された画像に基づいて前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたか否かを判定する判定手段と、前記吸着シートに吸着された前記ガラス板の研磨面を研磨する研磨手段と、を備えたことを特徴とするガラス板研磨装置の監視システムを提供する。
【0017】
本発明によれば、液体塗布工程、吸着工程、研磨工程を有するガラス板研磨装置において、前記吸着工程と前記研磨工程との間に撮像工程と判定工程とを備えている。前記撮像工程は、前記吸着工程から前記研磨工程に移動する吸着シートを照明し、その反射光を撮像手段によって撮像する。前記判定工程は、前記撮像手段で撮像された画像に基づき、前記吸着シートにガラス板が正常に吸着されたか否かを判定する。
【0018】
よって、本発明は、吸着シートに対するガラス板の吸着状態を監視することができる。また、研磨装置に前記撮像手段を配置することで、目視による監視が不要になるとともに、設備の複雑な研磨装置において前記判定が可能となる。
【0019】
本発明の前記判定工程は、前記画像の輝度の平均値を算出するとともに、該平均値と予め記憶されている前記液体の塗布量が最適値の場合の最適輝度の範囲とを比較し、前記平均値が前記最適輝度の範囲にある場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記平均値が前記最適輝度の範囲から外れている場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定することが好ましい。
【0020】
本発明の前記判定手段は、前記画像の輝度の平均値を算出するとともに、該平均値と予め記憶されている前記液体の塗布量が最適値の場合の最適輝度の範囲とを比較し、前記平均値が前記最適輝度の範囲にある場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記平均値が前記最適輝度の範囲から外れている場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定することが好ましい。
【0021】
本発明は、前述した第1の異常形態を判定する。
【0022】
吸着シートに対する液体の塗布量が最適値よりも多い状態でガラス板が吸着シートに吸着されていると、撮像手段は、ガラス板からの反射光の光量よりも吸着シートからの反射光の光量を多く受光する。このため、撮像手段は、吸着シートの色(例えばガラス板の輝度よりも低い輝度の黒)を撮像し、その平均輝度は、最適輝度の範囲の下限値未満となるので、判定手段は、塗布量過多によりガラス板が吸着シートに正常に吸着されていないと判定する。
【0023】
また、吸着シートに対する液体の塗布量が最適値よりも少ない状態でガラス板が吸着シートに吸着されていると、撮像手段は、吸着シートからの反射光の光量よりもガラス板からの反射光の光量を多く受光する。このため、撮像手段は、ガラス板の色(例えば輝度の高い白)を撮像し、その平均輝度は、最適輝度の範囲の上限値超の輝度となるので、判定手段は、塗布量過少によりガラス板が吸着シートに正常に吸着されていないと判定する。
【0024】
一方で、吸着シートに対する液体の塗布量が最適値であると、撮像手段は、吸着シートからの反射光と、該反射光と略同量のガラス板からの反射光を受光する。このため、撮像手段は、ガラス板の色(例えば白)と吸着シートの色(例えば黒)とが混合した灰色を撮像し、その平均輝度は、最適輝度の範囲内に入るので、判定手段は、ガラス板が吸着シートに正常に吸着されたと判定する。
【0025】
本発明の前記判定工程は、前記画像中に含まれる白い部分の面積を算出するとともに、該白面積と予め記憶されている基準白面積とを比較し、前記白面積が前記基準白面積未満の場合には、前記吸着シートに1枚のガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記白面積が前記基準白面積以上の場合には、前記吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着されていると判定することが好ましい。
【0026】
本発明の前記判定手段は、前記画像中に含まれる白い部分の面積を算出するとともに、該白面積と予め記憶されている基準白面積とを比較し、前記白面積が前記基準白面積未満の場合には、前記吸着シートに1枚のガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記白面積が前記基準白面積以上の場合には、前記吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着されていると判定することが好ましい。
【0027】
本発明は、前述した第2の異常形態を判定する。
【0028】
吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着されている場合、少なくとも2枚のガラス板から照明光が反射されてくるため、その部分の画像は白くなる。判定手段は、前記白い部分の白面積を算出し、算出した白面積と基準白面積とを比較することで前記第2の異常形態を判定する。なお、吸着シートからの反射光と、ガラス板からの反射光とを識別するために、吸着シートの色は例えば黒等の、ガラス板の輝度よりも低い色であることが好ましい。
【0029】
本発明の前記判定工程は、前記画像中に含まれる黒い部分の面積を算出するとともに、該黒面積と予め記憶されている基準黒面積とを比較し、前記黒面積が前記基準黒面積未満の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記黒面積が前記基準黒面積以上の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が吸着されていないと判定することが好ましい。
【0030】
本発明の前記判定手段は、前記画像中に含まれる黒い部分の面積を算出するとともに、該黒面積と予め記憶されている基準黒面積とを比較し、前記黒面積が前記基準黒面積未満の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記黒面積が前記基準黒面積以上の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が吸着されていないと判定することが好ましい。
【0031】
本発明は、前述した第3の異常形態を判定する。
【0032】
吸着シートにガラス板が吸着されていない場合、撮像手段は例えば黒色の吸着シートからの反射光を撮像するので、画像は黒くなる。判定手段は、前記黒い部分の黒面積を算出し、算出した黒面積と基準黒面積とを比較することで前記第3の異常形態を判定する。
【0033】
本発明の前記吸着シートには、前記吸着シートに吸着保持された前記ガラス板の周囲に配置され、前記ガラス板とともに前記研磨工程における研磨具に当接される枠体が吸着されており、前記判定工程は、前記画像に基づいて前記ガラス板と前記枠体との間隔を算出し、算出した間隔と予め記憶されている基準間隔とを比較し、前記算出した間隔が前記基準間隔以下の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定することが好ましい。
【0034】
本発明の前記吸着シートには、前記吸着シートに吸着保持された前記ガラス板の周囲に配置され、前記ガラス板とともに研磨工程における研磨具に当接される枠体が吸着されており、前記判定手段は、前記画像に基づいて前記ガラス板と前記枠体との間隔を算出し、算出した間隔と予め記憶されている基準間隔とを比較し、前記算出した間隔が前記基準間隔以下、又は前記基準間隔以上の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定することが好ましい。
【0035】
本発明は、前述した第4の異常形態を判定する。
【0036】
例えば白色の枠体と例えば白色のガラス板とを撮像手段が撮像することで、枠体とガラス板との間に存在する、例えば黒色の吸着シートを撮像手段が同時に撮像する。判定手段は、前記吸着シートの黒色の画像(画素数)に基づいて、ガラス板と枠体との間隔を算出し、算出した間隔が基準間隔以下、又は基準間隔以上の場合には、吸着シートにガラス板が正常に吸着されていないと判定する。
【0037】
本発明の前記吸着工程において前記ガラス板は、前記非研磨面を上面にして前記吸着シートに吸着され、前記撮像工程において前記吸着シートは、該吸着シートの下方から前記照明光が照射されることが好ましい。
【0038】
本発明の前記吸着手段において前記ガラス板は、前記非研磨面を上面にして前記吸着シートに吸着され、前記撮像手段において前記吸着シートは、該吸着シートの下方から前記照明光が照射されることが好ましい。
【0039】
本発明によれば、吸着シートの下面にガラス板の非研磨面を吸着させて研磨する装置に、すなわち、目視による監視が非常に困難な研磨装置に、撮像手段を有する本願発明を適用することは特に有効である。
【発明の効果】
【0040】
本発明のガラス板研磨装置の監視方法及び監視システムによれば、吸着シートに対するガラス板の吸着状態を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施の形態のガラス板研磨装置の監視システムが設置されたガラス板研磨装置の側面図
【図2】実施の形態の撮像部の構成を示した斜視図
【図3】実施の形態の判定部の構成を示したブロック図
【図4】吸着シートに対するグリセリンの塗布量過多状態を示す説明図
【図5】吸着シートに対するグリセリンの塗布量過少状態を示す説明図
【図6】吸着シートに対するグリセリンの塗布量最適状態を示す説明図
【図7】吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着された画像を示す説明図
【図8】吸着シートにガラス板が吸着されていない画像を示した説明図
【図9】ガラス板と枠体との間の間隔を示した説明図
【図10】ガラス板の各コーナ部において2点の監視点を示した説明図
【図11】ガラス板に入射する光とガラス板の研磨面及び非研磨面で反射する光との関係を示す説明図
【図12】2枚のガラス板に入射する光とガラス板の研磨面及び非研磨面で反射する光との関係を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、添付図面に従って本発明に係るガラス板研磨装置の監視方法及び監視システムの好ましい実施の形態について説明する。
【0043】
図1は、実施の形態のガラス板研磨装置の監視システムが設置されたガラス板研磨装置10の側面図である。
【0044】
同図に示す研磨装置10は、ガラス板Gの加工工程の上流側から下流側に向けてグリセリン塗布部(液体塗布工程)12、板吸着部(吸着工程)14、撮像部(撮像工程)16、研磨部(研磨工程)18、及び取外部(不図示)が順に配置されている。また、撮像部16には、判定部(判定工程)20が接続され、撮像部16によって撮像された画像信号が判定部20に出力される。判定部20は、前記画像信号を信号処理することによって、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されたか否かを判定する。
【0045】
研磨装置10は、大型のガラス板G(例えば、一辺が1800mmを超え、厚さ0.2mm〜0.7mm)の研磨面を液晶ディスプレイ用ガラス板に必要な平坦度に研磨する研磨装置である。
【0046】
グリセリン塗布部12では、研磨ヘッド24のキャリア26の下部に膜枠28が取り付けられ、この膜枠28に前記吸着シート22が張られている。ガラス板Gを吸着保持する面である吸着シート22の下面の全面に、ノズル(液体塗布手段)30からグリセリン(液体)32が塗布される。なお、液体としてグリセリン32を例示するが、水でもよく、ポリエチレングリコールでもよい。しかしながら、グリセリン32は水よりも乾燥し難いため、グリセリン32が好適である。また、グリセリン32は、研磨部18で使用する研磨液によるガラス板Gの縁部の汚染防止液としても好適である。
【0047】
グリセリン32が塗布された吸着シート22は、研磨ヘッド24の矢印Aで示す移動によって板吸着部14に搬送され、ここで吸着シート22の下面にガラス板Gの非研磨面がグリセリン32を介して吸着保持される。吸着方法は、まず、ロボット60によってテーブル34上にガラス板Gを載置する。次に、前記ガラス板Gに向けてキャリア26を下降移動させ、吸着シート22でガラス板Gの非研磨面を吸着する。次いで、キャリア26を元の位置に上昇移動させた後、キャリア26の側方に配置したローラ(吸着手段)36をガラス板Gの研磨面上を走行させ、ガラス板Gの非研磨面を吸着シート22に押圧して密着させる。なお、前記吸着方法は一例である。
【0048】
吸着シート22に吸着保持されたガラス板Gは、研磨ヘッド24の矢印Bで示す移動、つまり板吸着部14から研磨部18への移動によって撮像部16の上方を通過する。この際にガラス板G及び吸着シート22は、撮像部16のライト38によって照明されるとともに、その反射光がカメラ(撮像手段)40の受光素子によって受光され、ガラス板G及び吸着シート22が撮像される。カメラ40からの画像信号は、前述の如く判定部20に出力される。
【0049】
撮像部16の上方を通過したガラス板Gは、継続する研磨ヘッド24の矢印Bで示す移動によって研磨部18に搬送される。ここでガラス板Gの研磨面が研磨パッド42に押圧されて研磨される。研磨方法は、キャリア26と吸着シート22との間に圧力流体を供給し、この圧力流体の圧力を、吸着シート22を介してガラス板Gに伝達することにより、ガラス板Gの研磨面を研磨パッド42に押圧する。そして、キャリア26を回転軸44によって回転(自転、公転を含む)させるとともに、研磨パッド42を回転させてガラス板Gの研磨面を研磨する。なお、この研磨方法も一例である。
【0050】
吸着シート22には、ガラス板Gとともに研磨パッド42に押圧当接される枠体46が吸着されている。この枠体46は、ダミープレートと称され、ガラス板Gの周囲を包囲し、ガラス板Gの研磨面のエッジ部に研磨圧力が集中することを防止する。枠体46は、研磨パッド42による研磨によって摩耗しない材質で構成されており、ステンレス、鉄、アルミ、ポリエチレン、ポリウレタンを挙げることができる。
【0051】
研磨部18で研磨面が研磨されたガラス板Gは、研磨ヘッド24の矢印Cで示す移動によって取外部(不図示)18に搬送され、ここで吸着シート22から取り外された後、次工程(例えば洗浄工程)に搬送される。
【0052】
次に、撮像部16、及び判定部20について説明する。
【0053】
図2は、撮像部16の構成を示した斜視図であり、矢印B(図1参照)に移動するキャリア26を下方から見上げた斜視図である。
【0054】
撮像部16は、ライト38である棒状の蛍光灯と、カメラ40であるラインセンサとから構成される。ライト38は、矢印Bで示す移動方向に対して直交方向に配置される。また、ライト38の下方には、ライト38からの照明光をガラス板G及び吸着シート22に集光するリフレクタ48が取り付けられている。
【0055】
前記ラインセンサは、受光素子が矢印Bで示す移動方向に対して直交方向に配列されており、ガラス板G、吸着シート22、及び枠体46によって反射された、ライト38からの照明光を受光する。また、前記ラインセンサは、ガラス板G、吸着シート22、枠体46の前記直交方向の1ライン毎の画像信号を出力するため、矢印Bで示すキャリア26の移動によってガラス板G、吸着シート22、枠体46の全ラインを走査し、ガラス板G、吸着シート22、枠体46を示す全ラインの画像信号を取得できる。なお、ラインセンサに代えてエリアセンサを使用してもよい。
【0056】
図3は、実施の形態の判定部20の構成を示したブロック図である。
【0057】
カメラ40からの画像信号は、アンプ50によって増幅され、判定部20の画像信号処理部52に出力される。画像信号処理部52は、カメラ40によって撮像された画像に基づいて吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されたか否かを判定するとともに、ディスプレイ54に前記画像を表示させる。
【0058】
また、前記判定の結果は、研磨装置10を統括制御するCPU56に出力される。CPU56は、前記結果に基づいて、研磨装置10の研磨部18の動作を停止させたり、アラーム58から警告音を発生させたり、ロボット60を制御して、図1に示すテーブル34に対するガラス板Gの載置位置を変更させたりする。
【0059】
次に、画像信号処理部52による判定方法、及びCPU56による制御動作について説明する。
【0060】
まず、本願発明者は、吸着シート22に対するガラス板Gの吸着状態の異常形態について検討、及び実験した結果、次の形態を見出した。
【0061】
第1の異常形態は、吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量過多、及び塗布量過少に起因して吸着シート22の吸着力が低下する形態である。この場合、研磨部18におけるガラス板Gの研磨中にガラス板Gが吸着シート22に対してずれたり、また、キャリア26によるガラス板Gの搬送中に、ガラス板Gが吸着シート22から落下したりする。
【0062】
第2の異常形態は、吸着シート22に2枚以上のガラス板Gが吸着された形態である。この形態は、吸着シート22に残存したガラス片に新たなガラス板Gが吸着された形態を含む。
【0063】
第3の異常形態は、吸着シート22にガラス板Gが全く吸着されていない形態である。
【0064】
第4の異常形態は、枠体46に対してガラス板Gが正規の位置から外れて吸着シート22に吸着された形態である。
【0065】
実施の形態の監視システムでは、上記第1〜第4の異常形態を常時監視し、異常と判定した場合には、そのガラス板Gの研磨を実施せず、研磨部18を停止したり、アラーム58から警告音を発生させたりして、オペレータに異常を知らしめる。
【0066】
すなわち、実施の形態の監視システムは、グリセリン塗布部12、板吸着部14、研磨部18を有する通常設備のガラス板研磨装置10において、板吸着部14と研磨部18との間に、撮像部16を有する判定部20を備えている。
【0067】
撮像部16は、板吸着部14から研磨部18に移動するガラス板G及び吸着シート22をライト38によって照明し、その反射光をカメラ40によって撮像する。そして、判定部20は、カメラ40で撮像された画像に基づき、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されたか否かを判定する。
【0068】
よって、実施の形態の監視システムは、吸着シート22に対するガラス板Gの吸着状態を常時監視することができる。また、研磨装置10に撮像部16を配置することで、目視による監視が不要になるとともに、設備の複雑な研磨装置10において前記判定が可能となる。
【0069】
次に、前述した第1の異常形態を判定する方法について説明する。
【0070】
判定部20の画像信号処理部52は、前記画像の輝度の平均値を算出するとともに、この平均値と予め記憶されているグリセリン32の塗布量が最適値の場合の最適輝度の範囲とを比較する。そして、画像信号処理部52は、前記平均値が前記最適輝度の範囲にある場合には、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されたと判定し、一方、前記平均値が前記最適輝度の範囲から外れている場合には、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されていないと判定する。
【0071】
図4は、吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量過多状態を示す説明図である。吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量が最適値の範囲の上限値よりも多い状態でガラス板Gが吸着シートに吸着されていると、カメラ40は、ガラス板Gの研磨面Gaからの反射光よりも吸着シート22からの反射光を多く受光する。
【0072】
図11は、ガラス板Gに入射する光とガラス板Gの研磨面Ga及び非研磨面Gbで反射する光との関係を示す説明図である。ガラス板Gの屈折率(絶対屈折率:以下の屈折率も同様)は略1.5である。図11には、屈折率が略1.0の空気中に存在するガラス板Gの例が示されている。ライト38から出射してガラス板Gに照射された光は、ガラス板Gの研磨面Gaで一部の光は反射されるが、残りの光はガラス板Gの内部に進み、ガラス板Gの非研磨面Gbで反射される。そして、ガラス板Gの研磨面Gaからガラス板Gの非研磨面Gbの反射光が出射される。なお、厚さが0.7mm以下のフロート法で製造されたガラス板の可視光波長0.38〜0.78μmの反射率は10%未満、透過率は90%以上である。
【0073】
しかし、図4に示すように、ガラス板Gの非研磨面Gbに、屈折率が略1.45のグリセリン32が多く塗布されている場合には、ガラス板Gの内部を進んだ光は、ガラス板Gの非研磨面Gbでほとんど反射されず、ガラス板Gの非研磨面Gbからグリセリン32に入射して、グリセリン32の内部を進んで、吸着シート22で反射され、ガラス板Gの研磨面Gaから吸着シート22の反射光が出射される。
【0074】
図4において、カメラ40で受光する光量は、研磨面Gaからの反射光よりもガラス板Gの研磨面Gaから出射された吸着シート22からの反射光が多い。
【0075】
このため、カメラ40は、吸着シート22の色(例えばガラス板の輝度よりも低い輝度の黒)を撮像し、その平均輝度は、最適輝度の範囲の下限値未満の輝度となる。よって、画像信号処理部52は、グリセリン32の塗布量過多によって、ガラス板Gが吸着シート22に正常に吸着されていないと判定する。
【0076】
図5は、吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量過少状態を示す説明図である。吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量が最適値よりも少ない状態を詳細に説明すると、ガラス板Gと吸着シート22との間にグリセリン32と気泡33とが混在している状態でガラス板Gが吸着シート22に吸着されていると、カメラ40は、吸着シート22からの反射光よりもガラス板Gの研磨面Gaからの反射光及びガラス板Gの研磨面Gaから出射された非研磨面Gbからの反射光を多く受光する。
【0077】
つまり、図5に示したグリセリン32の塗布量過少状態は、図11に示した空気中に存在するガラス板Gの状態に類似している。したがって、ライト38から出射してガラス板Gに照射された光は、ガラス板Gの研磨面Gaで一部の光は反射されるが、残りの光はガラス板Gの内部に進み、ガラス板Gの非研磨面Gbで反射され、ガラス板Gの研磨面Gaからガラス板Gの非研磨面Gbの反射光が出射される。カメラ40は、ガラス板Gの非研磨面Gbで反射せずに吸着シート22からの反射光も受光するが、ガラス板Gの研磨面Gaからの反射光及びガラス板Gの研磨面Gaから出射された非研磨面Gbからの反射光を多く受光する。このため、カメラ40は、ガラス板Gの色(例えば輝度の高い白)を撮像し、その平均輝度は、最適輝度の範囲の上限値超の輝度となるので、画像信号処理部52は、グリセリン32の塗布量過少によって、ガラス板Gが吸着シート22に正常に吸着されていないと判定する。
【0078】
図6は、吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量最適状態を示す説明図である。吸着シート22に対するグリセリン32の塗布量が最適値であると、カメラ40は、吸着シート22からの反射光の光量と、この反射光の光量と略同量のガラス板Gからの反射光(研磨面Gaからの反射光と非研磨面Gbからの反射光との和)を受光する。このため、カメラ40は、ガラス板Gの色(例えば白)と吸着シート22の色(例えば黒)とが混合した灰色を撮像し、その平均輝度は、最適輝度の範囲内に入るので、画像信号処理部52は、ガラス板Gが吸着シート22に正常に吸着されたと判定する。
【0079】
一画素当たり256階調(8bit)のカメラ40を使用した場合、例えば0〜50階調を黒色と規定し、51〜200階調を灰色と規定し、201〜256階調を白色と規定することで、前記第1の異常形態を判定できる。なお、前記カメラ40においては、最適輝度の範囲を51〜200階調と規定したが、好ましくは80〜120階調がよい。なお、前記階調は一例であり、その階調の段階は適宜設定されるものである。また、最適輝度の範囲は、実験値から得られた範囲である。また、カメラ40で受光する明るさは、照明の明るさ、カメラ40の絞り、ソフト上のゲインによって調整することができる。
【0080】
次に、前述した第2の異常形態を判定する方法について説明する。
【0081】
図3に示した画像信号処理部52は、画像中に含まれる白い部分の面積(以下、白面積という。)を算出するとともに、この白面積が所定の面積(以下、基準白面積という。)未満の場合には、吸着シート22に1枚のガラス板Gが正常に吸着されたと判定し、前記白面積が前記基準白面積以上の場合には、吸着シート22に少なくとも2枚のガラス板Gが吸着されていると判定する。
【0082】
図7は、吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着された画像を示す説明図である。図7に示す画像は、図3に示したディスプレイ54に表示された画像であり、黒色エリアB、灰色エリアGr、枠状の白色エリアW1、及び不規則形状の白色エリアW2が示されている。
【0083】
黒色エリアBは、グリセリン32の塗布量過多エリアと、ガラス板Gの四辺と枠体46との間に位置する吸着シート22とを示しており、灰色エリアGrは、グリセリン32の塗布量が最適なエリアを示している。また、白色エリアW1は、枠体46を示している。そして、白色エリアW2は、グリセリン32の塗布量過少エリア、又は少なくとも2枚のガラス板Gが吸着されているエリアを示している。
【0084】
図12は、2枚のガラス板G1、G2に入射する光とそれぞれガラス板の研磨面及び非研磨面で反射する光との関係を示す説明図である。ガラス板G1は、カメラ40及びライト38側のガラス板であり、ガラス板G2は、吸着シート側のガラス板である。ガラス板G1の非研磨面G1bとガラス板G2の研磨面G2aとが密着している。なお、ガラス板同士を積層すると積層面においてガラス板表面同士が結合してある程度の結合力で密着することは公知であり、この結合力は、両ガラス表面に存在するシラノール基(Si−OH)同士の水素結合や部分的な脱水縮合による化学結合の生成、両ガラス板表面間のファンデルワールス力、などによると考えられている。
【0085】
ライト38から出射してガラス板G1に照射された光は、ガラス板G1の研磨面G1aで一部の光は反射されるが、残りの光はガラス板G1の内部に進み、内部を進んだ光の一部はガラス板G1の非研磨面G1bで反射される。ガラス板G1の非研磨面G1bで反射されなかった残りの光の一部は、ガラス板G2の研磨面G2aで反射される。さらにガラス板G2の研磨面G2aで反射されなかった残りの光はガラス板G2の非研磨面G2bで反射される。非研磨面G1b、研磨面G2a及び非研磨面G2bそれぞれの反射光は、ガラス板G1の研磨面G1aから出射される。
【0086】
すなわち、吸着シート22に少なくとも2枚のガラス板Gが吸着されていると、少なくとも2枚のガラス板Gから照明光が反射されてくるため、その部分の画像は、前記白色エリアW2の如く白くなる。画像信号処理部52は、吸着シート22に少なくとも2枚のガラス板Gが吸着された形態と、グリセリン32の塗布量が過少な形態とを区別するために、白色エリアW2の面積を算出し、算出した白面積と、少なくとも2枚のガラス板Gが吸着されていると判断される基準白面積とを比較することで前記第2の異常形態か否かを判定する。なお、基準白面積は予め画像信号処理部に記憶されており、実験によって得られた面積であり、ガラス板Gの非研磨面の面積に対する面積比として表すこともできる。面積比として表す場合には、例えば、一画素当たり256階調(8bit)のカメラ40を使用した場合、ガラス板Gの非研磨面の面積に対する、180階調以上の面積が10%以上あるものを、吸着シート22に少なくとも2枚のガラス板Gが吸着されていると判定する。
【0087】
次に、前述した第3の異常形態を判定する方法を説明する。
【0088】
図3に示した画像信号処理部52は、画像中に含まれる黒い部分の面積(以下、黒面積という。)を算出するとともに、該黒面積が所定の面積(以下、基準黒面積という。)未満の場合には、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されたと判定し、前記黒面積が前記基準黒面積以上の場合には、吸着シート22にガラス板Gが吸着されていないと判定する。
【0089】
図8は、吸着シートにガラス板が吸着されていない画像を示し説明図である。図8に示す画像は、図3に示したディスプレイ54に表示された画像であり、黒色エリアB、及び白色エリアW1が示されている。
【0090】
黒色エリアBは、グリセリン32の塗布量過多エリア又は吸着シート22にガラス板Gが吸着されていない状態と、ガラス板Gの四辺と枠体46との間に位置する吸着シート22とを示しており、白色エリアW1は、枠体46を示している。
【0091】
すなわち、吸着シート22にガラス板Gが吸着されていない場合には、吸着シート22から照明光が反射されてくるため、その部分の画像は、図8に示すような黒色エリアBの如く黒くなる。画像信号処理部52は、図8に示すような吸着シート22にガラス板Gが吸着されていない形態と、図7に示すようなグリセリン32の塗布量が過多な形態とを区別するために、黒色エリアBの面積を算出し、算出した黒面積と、吸着シート22にガラス板が吸着されていないと判断される基準黒面積とを比較することで前記第3の異常形態を判定する。なお、基準黒面積は予め画像信号処理部に記憶されており、実験によって得られた面積であり、ガラス板Gの非研磨面の面積に対する面積比として表すこともできる。面積比として表す場合には、例えば、一画素当たり256階調(8bit)のカメラ40を使用した場合、ガラス板Gの非研磨面の面積に対する、40階調以下の面積が50%以上あるものを、吸着シート22にガラス板Gが吸着されていない状態と判定する。
【0092】
次に、前述した第4の異常形態を判定する方法を説明する。
【0093】
画像信号処理部52は、画像に基づいてガラス板Gと枠体46との間隔を算出し、算出した間隔が基準間隔以下又は基準間隔以上の場合には、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されていないと判定する。
【0094】
図9は、ガラス板と枠体との間の間隔を示した説明図である。図9に示す画像は、図3に示したディスプレイ54に表示された画像であって、ガラス板Gのコーナ部近傍を拡大した画像であり、灰色エリアGr、白色エリアW1、及び黒色エリアBが示されている。
【0095】
灰色エリアGrは、グリセリン32の塗布量が最適なエリアであり、白色エリアW1は、枠体46を示している。そして、黒色エリアBは、ガラス板Gの四辺と枠体46との間に位置する吸着シート22を示している。
【0096】
図3に示した画像信号処理部52は、ガラス板Gの一辺M1と当該一辺M1に対向する枠体46の一辺N1との間隔Pの画素数、及び、前記一辺M1に隣接する一辺M2と当該一辺M2に対向する枠体46の一辺N2との間隔Qの画素数に基づいて、ガラス板Gと枠体46との間隔を算出し、算出した間隔が基準間隔に対して小さい場合、又は大きい場合には、吸着シート22にガラス板Gが正常に吸着されていないと判定する。この場合の判定は、図10に示すガラス板Gのコーナ部において各2点の計8点(a〜h点)において実施する。
【0097】
前記間隔が基準間隔以下(例えば、3mm以下)、又は基準間隔以上(例えば、15mm)の場合には、テーブル34に対するガラス板Gの載置位置が最適な位置になるように図3に示したCPU56がロボット60の動作を制御する。
【0098】
以上により、実施の形態の監視システムによれば、第1〜第4の異常形態を監視することができる。
【0099】
実施の形態では、吸着シート22の下面にガラス板Gの非研磨面を吸着させて研磨する研磨装置10を例示した。この研磨装置10によれば、吸着シート22に対するガラス板Gの吸着形態を目視によって監視することが非常に困難であるため特に有効である。なお、吸着シート22の上面にガラス板Gの非研磨面を吸着させて研磨する研磨装置にも、実施の形態の監視システムは適用できる。
【0100】
なお、実施の形態のカメラ40によって撮像したガラス板Gの画像情報に基づき、ガラス板Gの四辺沿いの欠け、及び角部の欠けも検出することができる。すなわち、ガラス板Gの四辺沿い画像情報、及び角部情報と、欠けの無い基準形状情報とを比較して、差分の画素数から欠けに相当する面積を算出する。そして例えば、一画素当たり256階調(8bit)のカメラ40を使用した場合、40階調以下の面積が12.5cm2以上あるものを、欠け量の多いガラス板Gであると判定する。
【符号の説明】
【0101】
G…ガラス板、10…研磨装置、12…グリセリン塗布部、14…板吸着部、16…撮像部、18…研磨部、20…判定部、22…吸着シート、24…研磨ヘッド、26…キャリア、28…膜枠、30…ノズル、32…グリセリン、34…テーブル、36…ローラ、38…ライト、40…カメラ、42…研磨パッド、44…回転軸、46…枠体、48…リフレクタ、50…アンプ、52…画像信号処理部、54…ディスプレイ、56…CPU、58…アラーム、60…ロボット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板を吸着する吸着シートに液体を塗布する液体塗布工程と、
前記液体が塗布された前記吸着シートにガラス板の非研磨面を吸着させる吸着工程と、
前記吸着シートに向けて照明光を照射し、その反射光を撮像する撮像工程と、
前記撮像された画像に基づいて前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたか否かを判定する判定工程と、
前記吸着シートに吸着された前記ガラス板の研磨面を研磨する研磨工程と、
を備えたことを特徴とするガラス板研磨装置の監視方法。
【請求項2】
前記判定工程は、前記画像の輝度の平均値を算出するとともに、該平均値と予め記憶されている前記液体の塗布量が最適値の場合の最適輝度の範囲とを比較し、前記平均値が前記最適輝度の範囲にある場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記平均値が前記最適輝度の範囲から外れている場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定する請求項1に記載のガラス板研磨装置の監視方法。
【請求項3】
前記判定工程は、前記画像中に含まれる白い部分の面積を算出するとともに、該白面積と予め記憶されている基準白面積とを比較し、前記白面積が前記基準白面積未満の場合には、前記吸着シートに1枚のガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記白面積が前記基準白面積以上の場合には、前記吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着されていると判定する請求項1、又は2に記載のガラス板研磨装置の監視方法。
【請求項4】
前記判定工程は、前記画像中に含まれる黒い部分の面積を算出するとともに、該黒面積と予め記憶されている基準黒面積とを比較し、前記黒面積が前記基準黒面積未満の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記黒面積が前記基準黒面積以上の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が吸着されていないと判定する請求項1、2又は3に記載のガラス板研磨装置の監視方法。
【請求項5】
前記吸着シートには、前記吸着シートに吸着保持された前記ガラス板の周囲に配置され、前記ガラス板とともに前記研磨工程における研磨具に当接される枠体が吸着されており、
前記判定工程は、前記画像に基づいて前記ガラス板と前記枠体との間隔を算出し、算出した間隔と予め記憶されている基準間隔とを比較し、前記算出した間隔が前記基準間隔以下、又は前記基準間隔以上の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定する請求項1から4のいずれかに記載のガラス板研磨装置の監視方法。
【請求項6】
前記吸着工程において前記ガラス板は、前記非研磨面を上面にして前記吸着シートに吸着され、
前記撮像工程において前記吸着シートは、該吸着シートの下方から前記照明光が照射される請求項1から5のいずれかに記載のガラス板研磨装置の監視方法。
【請求項7】
ガラス板を吸着する吸着シートに液体を塗布する液体塗布手段と、
前記液体が塗布された前記吸着シートにガラス板の非研磨面を吸着させる吸着手段と、
前記吸着シートに向けて照明光を照射し、その反射光を撮像する撮像手段と、
前記撮像された画像に基づいて前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたか否かを判定する判定手段と、
前記吸着シートに吸着された前記ガラス板の研磨面を研磨する研磨手段と、
を備えたことを特徴とするガラス板研磨装置の監視システム。
【請求項8】
前記判定手段は、前記画像の輝度の平均値を算出するとともに、該平均値と予め記憶されている前記液体の塗布量が最適値の場合の最適輝度の範囲とを比較し、前記平均値が前記最適輝度の範囲にある場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記平均値が前記最適輝度の範囲から外れている場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定する請求項7に記載のガラス板研磨装置の監視システム。
【請求項9】
前記判定手段は、前記画像中に含まれる白い部分の面積を算出するとともに、該白面積と予め記憶されている基準白面積とを比較し、前記白面積が前記基準白面積未満の場合には、前記吸着シートに1枚のガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記白面積が前記基準白面積以上の場合には、前記吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着されていると判定する請求項7、又は8に記載のガラス板研磨装置の監視システム。
【請求項10】
前記判定手段は、前記画像中に含まれる黒い部分の面積を算出するとともに、該黒面積と予め記憶されている基準黒面積とを比較し、前記黒面積が前記基準黒面積未満の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記黒面積が前記基準黒面積以上の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が吸着されていないと判定する請求項7、8又は9に記載のガラス板研磨装置の監視システム。
【請求項11】
前記吸着シートには、前記吸着シートに吸着保持された前記ガラス板の周囲に配置され、前記ガラス板とともに研磨工程における研磨具に当接される枠体が吸着されており、
前記判定手段は、前記画像に基づいて前記ガラス板と前記枠体との間隔を算出し、算出した間隔と予め記憶されている基準間隔とを比較し、前記算出した間隔が前記基準間隔以下の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定する請求項7から10のいずれかに記載のガラス板研磨装置の監視システム。
【請求項12】
前記吸着手段において前記ガラス板は、前記非研磨面を上面にして前記吸着シートに吸着され、
前記撮像手段において前記吸着シートは、該吸着シートの下方から前記照明光が照射される請求項7から11のいずれかに記載のガラス板研磨装置の監視システム。
【請求項1】
ガラス板を吸着する吸着シートに液体を塗布する液体塗布工程と、
前記液体が塗布された前記吸着シートにガラス板の非研磨面を吸着させる吸着工程と、
前記吸着シートに向けて照明光を照射し、その反射光を撮像する撮像工程と、
前記撮像された画像に基づいて前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたか否かを判定する判定工程と、
前記吸着シートに吸着された前記ガラス板の研磨面を研磨する研磨工程と、
を備えたことを特徴とするガラス板研磨装置の監視方法。
【請求項2】
前記判定工程は、前記画像の輝度の平均値を算出するとともに、該平均値と予め記憶されている前記液体の塗布量が最適値の場合の最適輝度の範囲とを比較し、前記平均値が前記最適輝度の範囲にある場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記平均値が前記最適輝度の範囲から外れている場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定する請求項1に記載のガラス板研磨装置の監視方法。
【請求項3】
前記判定工程は、前記画像中に含まれる白い部分の面積を算出するとともに、該白面積と予め記憶されている基準白面積とを比較し、前記白面積が前記基準白面積未満の場合には、前記吸着シートに1枚のガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記白面積が前記基準白面積以上の場合には、前記吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着されていると判定する請求項1、又は2に記載のガラス板研磨装置の監視方法。
【請求項4】
前記判定工程は、前記画像中に含まれる黒い部分の面積を算出するとともに、該黒面積と予め記憶されている基準黒面積とを比較し、前記黒面積が前記基準黒面積未満の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記黒面積が前記基準黒面積以上の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が吸着されていないと判定する請求項1、2又は3に記載のガラス板研磨装置の監視方法。
【請求項5】
前記吸着シートには、前記吸着シートに吸着保持された前記ガラス板の周囲に配置され、前記ガラス板とともに前記研磨工程における研磨具に当接される枠体が吸着されており、
前記判定工程は、前記画像に基づいて前記ガラス板と前記枠体との間隔を算出し、算出した間隔と予め記憶されている基準間隔とを比較し、前記算出した間隔が前記基準間隔以下、又は前記基準間隔以上の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定する請求項1から4のいずれかに記載のガラス板研磨装置の監視方法。
【請求項6】
前記吸着工程において前記ガラス板は、前記非研磨面を上面にして前記吸着シートに吸着され、
前記撮像工程において前記吸着シートは、該吸着シートの下方から前記照明光が照射される請求項1から5のいずれかに記載のガラス板研磨装置の監視方法。
【請求項7】
ガラス板を吸着する吸着シートに液体を塗布する液体塗布手段と、
前記液体が塗布された前記吸着シートにガラス板の非研磨面を吸着させる吸着手段と、
前記吸着シートに向けて照明光を照射し、その反射光を撮像する撮像手段と、
前記撮像された画像に基づいて前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたか否かを判定する判定手段と、
前記吸着シートに吸着された前記ガラス板の研磨面を研磨する研磨手段と、
を備えたことを特徴とするガラス板研磨装置の監視システム。
【請求項8】
前記判定手段は、前記画像の輝度の平均値を算出するとともに、該平均値と予め記憶されている前記液体の塗布量が最適値の場合の最適輝度の範囲とを比較し、前記平均値が前記最適輝度の範囲にある場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記平均値が前記最適輝度の範囲から外れている場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定する請求項7に記載のガラス板研磨装置の監視システム。
【請求項9】
前記判定手段は、前記画像中に含まれる白い部分の面積を算出するとともに、該白面積と予め記憶されている基準白面積とを比較し、前記白面積が前記基準白面積未満の場合には、前記吸着シートに1枚のガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記白面積が前記基準白面積以上の場合には、前記吸着シートに少なくとも2枚のガラス板が吸着されていると判定する請求項7、又は8に記載のガラス板研磨装置の監視システム。
【請求項10】
前記判定手段は、前記画像中に含まれる黒い部分の面積を算出するとともに、該黒面積と予め記憶されている基準黒面積とを比較し、前記黒面積が前記基準黒面積未満の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されたと判定し、前記黒面積が前記基準黒面積以上の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が吸着されていないと判定する請求項7、8又は9に記載のガラス板研磨装置の監視システム。
【請求項11】
前記吸着シートには、前記吸着シートに吸着保持された前記ガラス板の周囲に配置され、前記ガラス板とともに研磨工程における研磨具に当接される枠体が吸着されており、
前記判定手段は、前記画像に基づいて前記ガラス板と前記枠体との間隔を算出し、算出した間隔と予め記憶されている基準間隔とを比較し、前記算出した間隔が前記基準間隔以下の場合には、前記吸着シートに前記ガラス板が正常に吸着されていないと判定する請求項7から10のいずれかに記載のガラス板研磨装置の監視システム。
【請求項12】
前記吸着手段において前記ガラス板は、前記非研磨面を上面にして前記吸着シートに吸着され、
前記撮像手段において前記吸着シートは、該吸着シートの下方から前記照明光が照射される請求項7から11のいずれかに記載のガラス板研磨装置の監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−75340(P2013−75340A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216807(P2011−216807)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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