説明

ガラス板積層体

【課題】本発明は、ガラス板の上辺部から突出させた合紙を良好に取り出すことができるガラス板積層体を提供する。
【解決手段】本発明のガラス板積層体12によれば、ガラス板積層体12の全ての合紙10、10…のうち、ガラス板Gの両側辺部から側方に突出させた合紙の両側縁部分10a、10bを、ガラス板Gの両側辺部に沿って傾斜台22側に折り曲げる。これにより、ガラス板Gの上辺部から突出させた合紙の上縁部分10cには、垂れ下がり方向に抗力が発生する。この抗力によって、合紙10の上縁部分10cは、剛性が強くなるため垂れ下がらなくなる。よって、ガラス板積層体12によれば、吸着位置が予め記憶されている吸着パッドによって、合紙10の上縁部分10cが確実に把持されるので、パレット14から合紙10を良好に取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス板積層体に係り、特に複数枚のガラス板を、合紙を介して積層したガラス板積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板であって、建築用ガラス板、自動車用ガラス板、並びにプラズマディスプレイ用ガラス基板及び液晶用ガラス基板等のFPD(Flat Panel Display)用ガラス基板は、保管中や搬送中に表面に疵や汚染が付き、製品欠陥となり易い。特に、液晶ディスプレイ用に使用される無アルカリガラス基板のように、その表面に電気回路を組み込むガラス基板として用いる場合には、その表面にわずかな疵や汚染があっても断線やパターニング不良が発生する。よって、このようなガラス基板には、きわめて高い表面特性が要求される。
【0003】
ガラス板の表面の疵は、ガラス板を積層して保管や搬送する際に、隣接するガラス板との間で擦れが生じることによって発生する場合が多い。また、ガラス板の表面の汚染は、搬送雰囲気中の有機物(汚染物質)がガラス板の表面に付着することによって発生する場合が多い。この有機物は、水洗のみではガラス板の表面から除去することは困難である。また、この有機物は、例えば酸やアルカリを用いて洗浄する必要がある。しかしながら、このような洗浄は、洗浄時の作業環境が悪化するとともに洗浄及び廃液処理コストも増大する。また、このような洗浄を行っても有機物をガラス板の表面から完全に除去することは困難である。
【0004】
そこで、ガラス板の保管中や搬送中の疵や汚染を防止する方法として、積層するガラス板とガラス板との間に紙を介在させて隣接するガラス板の表面同士を分離する、いわゆる合紙を介装したガラス板積層体が、特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1には、水平姿勢のガラス板と合紙をそれぞれ吸着してパレットに縦姿勢で同時に移載する移載装置が開示されている。
【0006】
この移載装置は、ロボットのハンドにガラス板吸着手段と合紙吸着手段とを備えており、ロボットの動作によってガラス板と合紙とを前述の如く移載するものである。また、前記ハンドにはエアノズルが設けられている。このエアノズルから噴射するエアを、パレットに立て掛けたガラス板の上辺部から突出させている合紙の上縁部分に吹き付け、上縁部分がガラス板側に折れ曲がって垂れ下がるのを防止している。
【0007】
また、特許文献1には、ガラス板の下辺部から突出させた合紙の下縁部分を折り曲げることが開示されている。この折り曲げは、パレットに次のガラス板を移載する際に、その下縁部分が次のガラス板に巻き込まれるのを防止するものである。すなわち、折り曲げ部を有する合紙上にガラス板を載置する際に、合紙の折り曲げ部の折れ線上にガラス板の下辺部を僅かに被せるように重ねる。これにより、折り曲げた面とガラス板と重なった合紙面との角度が90度以上に広がって鈍角となるので、パレットに移載したときに折り曲げられた部分がパレットの床桟側に押し付けられる。よって、次のガラス板を移載するときに、合紙の下縁部分が次のガラス板に巻き込まれるのを防止することができる。
【0008】
ところで、合紙が介在されたガラス板積層体は、特許文献1のパレットに梱包されてガラス板メーカーからガラス板の加工及び組立等を行うガラス板使用メーカーに搬送される。そして、ガラス板は、ガラス板使用メーカーでこのパレットから、取出装置によって1枚ずつ取り出される。この際、取出装置のガラス板把持部によってガラス板を吸着把持して取り出し、次に合紙把持部によって合紙を取り出すという動作を繰り返し行うことになる。合紙を取り出す際には、ガラス板の上辺部から突出させた合紙の上縁部分を吸着やチャッキング等の合紙把持部で把持して取り出す場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−139138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、合紙の剛性が弱い場合には、ガラス板の辺部から突出させた縁部分の合紙が垂れ下がることがあり、その垂れ下がった合紙を合紙把持部が良好に把持できない場合がある。合紙把持部は、ロボットによって吸着位置が予めティーチングされており、その吸着位置に向けて移動される。よって、吸着位置に合紙が存在しない場合、すなわち、合紙が垂れ下がっている場合には、合紙把持部によって合紙を良好に把持できない。
【0011】
特許文献1のようにガラス板を斜めに立て掛けた状態でパレットに積層する縦積の形態の場合には、ガラス板の上辺部から突出させた合紙の上縁部分(合紙出代部分ともいう)が背面側に垂れ下がり、この合紙を取り出す際に合紙把持部が合紙を良好に把持できない場合がある。
【0012】
特に、FPD用ガラス基板のサイズは大型化傾向にあり、これに伴い合紙もFPD用ガラス基板の大きさと同程度の大きさとなっている。このことから、例えば第6世代のFPD用ガラス基板の梱包に使用される合紙の大きさは、1600mm×1900mm程度の大きさになる。このように合紙サイズが大きくなると、合紙の把持ミスによって、合紙を取り出すことができないトラブルの発生頻度が高くなるという問題があった。
【0013】
なお、特許文献1では、ガラス板の下辺部から合紙の下縁部分を突出させるようにしている。しかしながら、合紙の下縁部分をガラス板の下辺部から突出させると、下縁部分の合紙が邪魔になり、ガラス板をパレットに隙間なく積載することができず、梱包や搬送時にガラス板が損傷する虞がある。よって、ガラス板の下辺部からは合紙を突出させないことが好ましい。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガラス板の上辺部から突出させた合紙の上縁部分を合紙把持部によって確実に把持し、パレットから合紙を良好に取り出すことができるガラス板積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記目的を達成するために、板状体の底辺部が載置される載置台と板状体の背面を支持する背面支持体とを備えたパレットに、複数枚の板状体を、各々の板状体間に合紙を介在させて積層されるとともに、前記合紙を、前記板状体の前記パレットに載置した状態における上辺部および両側辺部よりもそれぞれ上方および側方に所定量突出させたガラス板積層体において、前記ガラス板の両側辺部から側方に突出させた合紙の両側縁部分の少なくとも一部が折り曲げられていることを特徴とするガラス板積層体を提供する。
【0016】
本発明のガラス板積層体によれば、ガラス板の両側辺部から側方に突出させた合紙の両側縁部分の少なくとも一部を折り曲げたので、ガラス板の上辺部から突出させている合紙の上縁部分は、垂れ下がり方向に抗力が発生する。この抗力によって、合紙の上縁部分は、剛性が強くなるため垂れ下がらなくなる。よって、本発明は、合紙の上縁部分を合紙把持部によって確実に把持することができるので、パレットから合紙を良好に取り出すことができる。
【0017】
また、本発明のガラス板積層体は、前記合紙の両側縁部分は、前記傾斜台に向けて折り曲げられていることが好ましい。
【0018】
本発明によれば、パレットの傾斜台にガラス板積層体を斜めに立て掛けて収納し、合紙の両側縁部分を傾斜台に向けて折り曲げている。このため、ガラス板をガラス板把持部によってパレットから取り出す際に、折り曲げた合紙の両側縁部分がガラス板把持部に邪魔にならない。よって、本発明によれば、ガラス板をガラス板把持部によって安定して取り出すことができる。
【0019】
また、本発明によれば、前記合紙の両側縁部分の折り曲げ角度は、該両側縁部分を除く合紙の面に対して約10°〜90°であることが好ましい。
【0020】
合紙の両側縁部分の折り曲げ角度が10°未満であると、合紙の上縁部分に垂れ下がり方向の抗力を十分に与えることができない。また、折り曲げ角度が90°を超えると、その折り曲げられた両側縁部分が、先に積層されているガラス板との間に挟まれることから、ガラス板を隙間なく積載できず、梱包や搬送時にガラス板Gが損傷する虞があるため好ましくない。よって、合紙の折り曲げ角度は、約10°〜90°の範囲が好ましい。なお、複数枚のガラス板と複数枚の合紙とを積層した後に、全ての合紙の両側縁部分を一度に折り曲げる場合は、折り曲げ角度の上限が90°となる。合紙の両側縁部分の折り曲げ工数を簡易化する場合には、前述の如く積層されている複数枚の合紙の両側縁部分を一度に折り曲げることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ガラス板とガラス板との間に介装される合紙において、ガラス板の両側辺部から側方に突出させた合紙の両側縁部分を折り曲げて、ガラス板の上辺部から突出させている合紙の上縁部分の剛性を強くしたので、上縁部分は垂れ下がらない。よって、合紙の上縁部分は、合紙把持部によって確実に把持されるので、パレットから合紙を良好に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態のガラス板積層体が搭載されたパレットの斜視図
【図2】図1に示したパレットの全体構造を示した斜視図
【図3】ガラス板積層体が梱包されたパレットの側面図
【図4】ガラス板積層体の合紙の曲げ治具を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に従って本発明に係るガラス板積層体の好ましい実施の形態について詳説する。
【0024】
図1には、矩形状の複数枚のガラス板Gが矩形状の合紙10、10…を介して縦置きに積層された実施の形態のガラス板積層体12が示されている。また、このガラス板積層体12がガラス板梱包用パレット14に搭載された状態が示されている。
【0025】
図2は、パレット14の全体構成を示す斜視図であり、下部横押さえ部材15A、15B、及び上部横押さえ部材17A、17Bが示されている。図3は、ガラス板積層体12が梱包されたパレット14の右側面図である。また、図3には、ガラス板積層体12の側部が下部横押さえ部材15Bと上部横押さえ部材17Bとによって押さえ付けられてパレット14にガラス板積層体12が梱包された状態が示されている。すなわち、ガラス板積層体12の梱包形態が図3に示され、ガラス板Gと合紙10の取り出し形態が図1に示されている。つまり、ガラス板Gと合紙10の取り出し時には、図2に示した下部横押さえ部材15A、15Bと上部横押さえ部材17A、17Bがパレット14から取り外される。
【0026】
図2の如くパレット14は、上面に平坦な搭載面16が形成された台座18を備えている。また、パレット14は、搭載面16に対し約18°の角度(θ)で傾斜して設けられるとともにガラス板の底辺部が載置される平坦な底板(載置台)20を備えている。更に、パレット14は、底板20に対して約90°(θ)の角度で傾斜して立設された傾斜台22を備えている。この傾斜台22の前面には、平坦な樹脂製の背板(背面支持体)24が接着剤によって固着されている。この背板24にガラス板Gの背面が受けられてガラス板積層体12が縦置きにパレット14に搭載される。なお、パレット14に搭載されるガラス板G及び合紙10の枚数は、例えば第6世代のガラス基板の場合は300枚以上、第7世代のガラス基板の場合は250枚以上である。
【0027】
また、パレット14は、底板20を約18°の角度(θ)をもって搭載面16に支持する底板受け部材26と、図1の如く搭載面16に立設されて傾斜台22の背面を支持する枠状の受け部材28とを有している。
【0028】
台座18は、長短多数本の鋼材を縦横、高さ方向に溶着することにより構成され、溶着組み立て後に研削加工によってその搭載面16が所定の平坦度に加工されている。また、台座18の前後方向の面には、フォークリフトの爪(不図示)が挿抜される開口部30、30が備えられている。
【0029】
合紙10は、ガラス板G同士が直接接触するのを防止するためにガラス板Gとガラス板Gとの間に介装されるシートである。この合紙10は、合紙10が含有する樹脂分がガラス板Gの表面に転写されて紙肌模様や焼けや汚れが生じることを防ぐため、紙の平滑度が20秒以下、好ましくは18秒以下の粗面とされている。これにより、ガラス板Gの表面との接触面積が減少するので、樹脂分の転写を防ぐことができる。また、紙の樹脂分を0.1%以下、好ましくは0.05%以下とすることにより、粗面との複合作用によりガラス板Gの品質を保持することができる。したがって、合紙10にパーティクル等の発生があったとしても、ガラス板Gがパレット14に立て掛けられて梱包することと相まって、ガラス板Gの表面にパーティクル等は固着しない。
【0030】
合紙10は、ガラス板Gを保護するために、ガラス板Gよりも大きいサイズの紙であり、合紙10の一部は、ガラス板Gの辺部から突出されている。この合紙10の、突出された部分のうちガラス板Gの上辺部から突出された細長の上縁部分10cが、不図示のアンパッカーの吸着パッド(合紙把持部)に吸着把持されて、合紙10がパレット14から取り出される。なお、パレット14のようにガラス板Gを縦積にする場合、ガラス板Gの下辺部から合紙10が突出すると、ガラス板Gを隙間なく積載できずに梱包や搬送時にガラス板Gが損傷する虞がある。よって、合紙10は、ガラス板Gの上辺部と左右の両側辺部からのみ、突出されている。また、合紙10の原料は古紙、バージンパルプ、これらの混合物であってもよい。更にセルロース等を含有している原料を用いてもよい。
【0031】
図1に示すようにガラス板積層体12の全ての合紙10、10…は、ガラス板Gの両側辺部から側方に突出された合紙の両側縁部分10a、10bが、ガラス板Gの両側辺部に沿って背板24側に折り曲げられている。
【0032】
ガラス板積層体12において、ガラス板Gの両側辺部から側方に突出された合紙10の両側縁部分10a、10bを折り曲げると、ガラス板Gの上辺部から突出された合紙の上縁部分10cには、垂れ下がり方向に抗力が発生する。この抗力によって、合紙10の上縁部分10cは、剛性が強くなるため垂れ下がらなくなっている。
【0033】
よって、実施の形態のガラス板積層体12によれば、吸着位置が予め記憶されている前記吸着パッドによって、合紙10の上縁部分10cが確実に把持される。したがって、パレット14から合紙10を良好に取り出すことができる。
【0034】
また、合紙10の両側縁部分10a、10bは、パレット14の傾斜台22に向けて折り曲げられていることが好ましい。このような方向に両側縁部分10a、10bを折り曲げると、ガラス板Gをガラス板吸着パッド(不図示:ガラス板把持部)によってパレット14から取り出す際に、折り曲げた合紙10の両側縁部分10a、10bがガラス板吸着パッドに邪魔にならない。よって、ガラス板Gをガラス板吸着パッドによって安定して取り出すことができる。なお、両側縁部分10a、10bを傾斜台22とは反対側に折り曲げてもよい。この場合には、ガラス板吸着パッドに邪魔にならない折り曲げ角度とすればよい。
【0035】
また、合紙10の両側縁部分10a、10bの折り曲げ角度は、両側縁部分10a、10bを除く合紙10の面に対して約10°〜90°であることが好ましい。両側縁部分10a、10bの折り曲げ角度が10°未満であると、合紙10の上縁部分10cに十分な垂れ下がり方向の抗力を与えることができず、上縁部分10cが垂れ下がる場合がある。また、折り曲げ角度が90°を超えると、その折り曲げられた両側縁部分10a、10bが、先に積層されているガラス板Gとの間に挟まれるため、ガラス板Gを隙間なくパレット14に積載できず、梱包や搬送時にガラス板Gが損傷する虞がある。よって、両側縁部分10a、10bの折り曲げ角度は、約10°〜90°の範囲が好ましい。
【0036】
次に、合紙10の両側縁部分10a、10bを折り曲げる折曲部材について説明する。
【0037】
この折曲部材は、図2に示した下部横押さえ部材15A、15Bと上部横押さえ部材17A、17Bとによって構成される。
【0038】
下部横押さえ部材15A、15Bは、板状に形成されている本体32、ハンドル34、及び押さえ板36等から構成される。
【0039】
本体32は、所定の形状の金属製板材をプレス成型によって屈曲された形状を有しており、不図示のボルトによって台座18の搭載面16に着脱自在に固定される。ハンドル34の中央部には、ねじ棒38が固定され、このねじ棒38は本体32に水平方向に螺合されている。また、ねじ棒38の先端部には、押さえ板36が当接されている。押さえ板36は、一対のガイドバー40、40を介して本体32に水平方向に移動自在に係合されている。したがって、ハンドル34を締め込む方向に回動すると、ハンドル34のねじ棒38に押されて押さえ板36が、ガラス板積層体12の下部側面を押し込む方向に移動する。この動作によって、図1に示す一対の下部横押さえ部材15A、15Bの各々の押さえ板36、36によってガラス板積層体12の下部側面が挟持され、ガラス板積層体12がパレット14に固定される。そして、ガラス板Gの両側辺部から突出させている合紙10の両側縁部分10a、10bが、各々の押さえ板36、36によって傾斜台22に向けて折り曲げられる。
【0040】
次に、上部横押さえ部材17A、17Bについて説明する。
【0041】
図3の如く、パレット14に積載されたガラス板積層体12の表面には、所定の厚さの矩形状の緩衝板42が載置され、その表面に前枠44が被せられている。前枠44の下端部は台座18に係合され、下端部を支点に傾動されて緩衝材42の表面に当接されている。
【0042】
上部横押さえ部材17Bは、その基端部が傾斜台22に係合されて片持ち支持された状態で、ガラス板積層体12の側面に当接されている。この上部横押さえ部材17Bによって、図1におけるガラス板Gの右側辺部から突出されている合紙10の右側縁部分10bが、傾斜台22に向けて折り曲げられる。
【0043】
また、前枠44の上部の側部にはフック46が設けられ、このフック46にはベルト48が掛けられている。また、このベルト48は、上部横押さえ部材17Bを横切るように配され、ベルト48の端部が、ラチェット式巻上装置50を介して傾斜台22に連結されている。したがって、ラチェット式巻上装置50を駆動してベルト48を巻き上げることにより、ベルト48の張力によって前枠44が傾斜台22に固定される。これと同時に、張設されたベルト48によって上部横押さえ部材17Bがガラス板積層体12の右側面に押圧されることにより、ガラス板Gの右側辺部から突出されている合紙10の右側縁部分10bが、傾斜台22に向けて強く折り曲げられる。
【0044】
なお、上部横押さえ部材17Aについても、上部横押さえ部材17Bと同一の構成である。よって、ガラス板Gの左側辺部から突出されている合紙10の左側縁部分10aが、上部横押さえ部材17Aによって傾斜台22に向けて強く折り曲げられる。
【0045】
以上の如く、下部横押さえ部材15A、15Bと上部横押さえ部材17A、17Bとによって合紙10の両側縁部分10a、10bが傾斜台22に向けて折り曲げられる。
【0046】
なお、合紙10の両側縁部分10a、10bは、下部横押さえ部材15A、15Bと上部横押さえ部材17A、17Bとによって、その全てが折り曲げられることはない。すなわち、下部横押さえ部材15A、15Bと上部横押さえ部材17A、17Bと接触している一部が強く折り曲げられる。このように合紙10の両側縁部分10a、10bの一部を折り曲げることによっても、合紙10の上縁部分10cには、垂れ下がり方向に抗力が付与されるので、上縁部分10cが垂れ下がることはない。
【0047】
一方で、複数枚のガラス板Gと複数枚の合紙10とを積層した後に、図4に示す曲げ治具52を使用して、全ての合紙10の両側縁部分10a、10bの全てを一度に折り曲げてもよい。この曲げ治具52は、断面がL字形状であり、ガラス板積層体12の前面に当接される第1の平坦部52Aと、ガラス板積層体12の側面に当接される第2の平坦部52Bとからなる。第1の平坦部52Aを、ガラス板積層体12の前面に当接するとともに、第2の平坦部52Bを、ガラス板積層体12の側面に当接することにより、全ての合紙10の両側縁部分10a、10bが一度に折り曲げられる。この曲げ治具52を使用した際の両側縁部分10a、10bの折り曲げ角度は90°となる。合紙10の両側縁部分10a、10bの折り曲げ工数を簡易化する場合には、前述の如く積層されている複数枚の合紙10の両側縁部分10a、10bを、曲げ治具52を使用して一度に折り曲げることが好ましい。
【0048】
実施の形態のガラス板積層体12では、合紙10のサイズや厚さは限定されないが、第6世代のFPD用ガラス基板(1500mm×1850mm、厚さ0.2〜0.7mm)サイズに対応する合紙サイズ以上の場合、及び厚さが0.06mm〜0.2mmの場合に特に好適である。また、このサイズにおいて、ガラス板基板の両側辺部から突出する合紙10の両側縁部分10a、10bの幅寸法は50〜100mmであり、ガラス基板の上辺部から突出する合紙10の上縁部分10cの幅寸法(高さ寸法)は50〜200mmである。
【符号の説明】
【0049】
G…ガラス板、10…合紙、10a、10b…側縁部分、10c…上縁部分、12…ガラス板積層体、14…ガラス板梱包用パレット、15A、15B…下部横押さえ部材、16…搭載面、17A、17B…上部横押さえ部材、18…台座、20…底板、22…傾斜台、24…背板、26…底板受け部材、28…受け部材、30…開口部、32…本体、34…ハンドル、36…押さえ板36…ねじ棒、40…ガイドバー、42…緩衝板、44…前枠、46…フック、48…ベルト、50…ラチェット式巻上装置、52…曲げ治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体の底辺部が載置される載置台と板状体の背面を支持する背面支持体とを備えたパレットに、複数枚の板状体を、各々の板状体間に合紙を介在させて積層されるとともに、前記合紙を、前記板状体の前記パレットに載置した状態における上辺部および両側辺部よりもそれぞれ上方および側方に所定量突出させたガラス板積層体において、
前記ガラス板の両側辺部から側方に突出させた合紙の両側縁部分の少なくとも一部が折り曲げられていることを特徴とするガラス板積層体。
【請求項2】
前記合紙の両側縁部分は、前記傾斜台に向けて折り曲げられている請求項1に記載のガラス板積層体。
【請求項3】
前記合紙の両側縁部分の折り曲げ角度は、該両側縁部分を除く合紙の面に対して約10°〜90°である請求項1又は2に記載のガラス板積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−143946(P2011−143946A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7270(P2010−7270)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】