説明

ガラス板輸送用パレット

【課題】単純な構成のガラス運搬用パレットでありながら、ガラス板を破損しないように安全に運搬することが可能であり、ガラス板運搬後に前記パレットを回収する場合も、廃棄する場合も嵩張らないガラス板運搬用パレットを提供する。
【解決手段】
複数枚の矩形のガラス板を縦姿勢で載置するベース部と、前記複数枚の矩形のガラス板からなるガラス板群を背面から支持する背受と、前記ガラス板群の前面を覆う前枠と、からなるガラス板輸送用パレットにおいて、前記ガラス板群の左右端部にそれぞれ当接される一対のガラス板側部抑えフレームと、前記ガラス板側部抑えフレームと前枠及び背受とを締結する側部抑えバンドとを備えていることを特徴とするガラス板輸送用パレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の矩形状のガラス板を縦姿勢で積載する自立型のガラス板輸送用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縦横1m程度の矩形状ガラス板を数百枚程度梱包して搬送する際には、木製の箱体が用いられることが多い。
【0003】
前記木製の箱体は、前記ガラス板の搬送時に箱体の全面を釘着して完全に密閉するため、搬送先で前記ガラス板を取出すのに手間取る上、搬送後に前記箱体を廃棄する際に大量の廃棄物を発生させるという問題が生じていた。
【0004】
そこで、木製の箱体に替わるさまざまなガラス板輸送用手段が提案されている。例えば特開平7−267290号公報には、ガラス板の下縁部を支承するベース部と、該ベース部の後縁部に立設されて前記ガラス板の背面を受ける背受とが備えられたガラス板の運搬具であって、ベース部の前縁部に立ち上がり状態の前枠が備えられており、前記前枠の内面側には前後方向に進退自在なリンク式の伸縮機構が設けられており、前記ガラス板の運搬具に積載するガラス板の量に応じて、前記リンク式の伸縮機構の前後位置を調整して、前記ガラス板の前面を抑えて前記ガラス板の搬送中に、前記ガラス板が振動等によって破損することを防止する運搬具が開示されている(特許文献1)。
【0005】
また、特開2004−83132号公報には、複数のガラス板を縦姿勢で梱包できる梱包装置に関して、複数のガラス板を縦姿勢にして並列して載置する底板と、前記載置されたガラス板群を前後両サイドから保持するガラス板側部抑えフレームと前記ガラス板群を上面から抑えるトップフレームとからなり、前記ガラス板搬送後に、前記の各フレームを容易に脱着することができるため前記梱包装置をコンパクトにまとめて回収することのできるガラス板輸送用の梱包装置が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−267290号公報
【特許文献2】特開2004−83132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された発明は、積載したガラス板を抑えるために、前記リンク式の伸縮機構が前記前枠の内面側に設けられているため、構造が複雑であり、またガラス板搬送後に前記運搬具を回収する場合には、嵩張ってしまうという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載された発明は、底面の大きさにしたがって載置しなければならないガラス板の枚数が決定されるため、運搬するガラス板の増減に応じて底面に載置するガラス板の枚数を柔軟に変化させることができなかった。また、前記ガラス板側部抑えフレームの長さに関しても、搬送するガラス板の高さに応じて用意する必要があった。さらにまた、前記梱包装置を段積みにして運搬する場合には、各梱包装置にまとめられているガラス板群の厚さのみによって高さ方向の強度を確保しているため、運搬時の振動等によってガラス板が破損する不安があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこれらの問題点に鑑みて、搬送するガラス板の寸法やガラス板の枚数に対応して汎用的に用いられるパレットでありながら、前記ガラス板を輸送中に傷つけないための保護機能を単純な構成で実現することで、前記ガラス板を搬送後に前記パレットを回収する場合にコンパクトにまとめることで回収コストを抑えたり、前記パレットを廃棄する場合の廃棄物量を減少させたりすることを可能とするガラス板輸送用パレットを提供することを目的としている。
【0010】
すなわち本発明は、複数枚の矩形のガラス板を縦姿勢で載置するベース部と、前記複数枚の矩形のガラス板からなるガラス板群を背面から支持する背受と、前記ガラス板群の前面を覆う前枠と、からなるガラス板輸送用パレットにおいて、前記ガラス板群の左右端部にそれぞれ当接される一対のガラス板側部抑えフレームと、前記ガラス板側部抑えフレームと前枠及び背受とを締結する側部抑えバンドとを備えていることを特徴とするガラス板輸送用パレットである。
【0011】
あるいはまた、本発明は、前記ガラス板群の前面に当接し、前記背受と前記ベース部とに締結させることで、前記ガラス板群を前記パレットに固定する前部抑えバンドを備えることを特徴とする上述のガラス板輸送用パレットである。
【0012】
あるいはまた、本発明は、前記前枠が、少なくとも1本の前枠つなぎフレームと、前記ベース部の前縁部に対して左右に一対ずつ着脱自在に設けられる前枠支柱と、前記前枠支柱と前記背受の側端部との間に着脱自在に架設される側部フレームと、前記一対の前枠支柱間に着脱自在に架設される少なくとも1本の前枠つなぎフレーム、とからなることを特徴とする上述のガラス板輸送用パレットである。
【0013】
あるいはまた、本発明は、前記側部フレームと、前記前枠支柱と、前記ベース部の側端部と、前記背受の側端部とに沿わせて一周させた前枠固定バンドの両端を締結し、前記前枠固定バンドで前記前枠を前記背受に固定したことを特徴とする上述のガラス板輸送用パレットである。
【0014】
あるいはまた、本発明は、前記前枠支柱の上端と前記側部フレームの端部とが接合されていることを特徴とする上述のガラス板輸送用パレットである。
【0015】
あるいはまた、本発明は、前記前枠支柱、前記側部フレーム及び前記前枠つなぎフレームが、それぞれ中空もしくは断面が略コの字状の金属フレーム材であることを特徴とする上述のガラス板輸送用パレットである。
【0016】
あるいはまた、本発明は、前記背受及び前記ベース部のそれぞれを中空もしくは断面が略コの字状の金属フレーム材を用いて構成したことを特徴とする上述のガラス板輸送用パレットである。
【0017】
あるいはまた、本発明は、前記側部抑えバンドを引っ掛けるためのバンド掛けを前記パレットの左右に設置された前記前枠支柱と前記背受の左右端部とに備え、前記前部抑えバンドを引っ掛けるためのバンド掛けを前記ベース部の所定の位置に設けたことを特徴とする上述のガラス板輸送用パレットである。
【0018】
あるいはまた、本発明は、前記一対の側部フレームの上面に複数の段積部材を設置したことを特徴とする上述のガラス板輸送用パレットである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ベース部と背受と前枠とを備えるガラス板輸送用パレットにおいて、積載されたガラス板の側部を保護するためのガラス板側部抑えフレームを、前記ベース部、前記背受及び前記前枠とは独立した部材とすることで、2つの効果が得られた。一つ目は、背受と前枠とにバンドで固定する構造としたことにより、パレット幅方向にさまざまな長さをもったガラス板の積載に柔軟に対応できるようになったこと、二つ目は、ガラス板側部抑えフレームのための複雑な構造を前記前枠及び前記背受に備える必要がないため、本発明のパレットを回収もしくは廃棄するときにコンパクトにまとめることが可能となったことである。また、本発明のパレットは、このように回収時、廃棄時にコンパクトにまとめられる構成でありながら、積載しているガラス板群が前枠と背受とで囲まれる構成となっているため、本発明のパレットを段積した場合であっても、上段のパレットは、下段のパレットの前枠支柱と背受とで支持される構成となるため、下段のパレットに積載しているガラス板群には、上段パレットからの力は加わらないため、輸送中の振動等による破損の可能性を大きく減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係わるガラス板輸送用パレットの組立状態での斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係わるガラス板輸送用パレットの前枠を脱着して示した斜視図。
【図3】本発明の実施形態に係わるガラス板輸送用パレットのガラス板積載状態の斜視図。
【図4】本発明の実施形態に係わるガラス板輸送用パレットへのガラス板の積載作業の手順を示した側面図。
【図5】本発明の実施形態に係わるガラス板輸送用パレットで輸送可能なガラス板の積載状態を例示した側面図。
【図6】本発明の実施形態に係わるガラス板輸送用パレットの前枠を脱着して、まとめたときの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明のガラス板輸送用パレットは、図1に示されるベース部20、背受10、前枠30、図3に示されるガラス板側部抑えフレーム40及び側部抑えバンド2とから構成される。
【0023】
<ベース部の構造>
ベース部20は、ベース部20の左右端に平行に配置される一対の床フレーム21と、床フレーム21に直交し、左右の床フレーム21間に架設される複数のベース部横フレーム23と、ベース部横フレーム23と直交し、ベース部横フレーム23上面に設置される複数の床桟22とから構成されている。ベース部横フレーム21の各端部は、左右の床フレーム21とそれぞれ接合され、床桟22はそれぞれベース部横フレーム23の上面と接合されている。
【0024】
<背受の構造>
背受10は、左右の床フレーム21の後端部にそれぞれ接合され、垂直に立設されている背受支柱11と、背受支柱11に直交し、左右の背受支柱11の間に架設される複数の背受横フレーム12とから構成されており、背受横フレーム12は、その両端部がそれぞれ左右の背受支柱11に接合されている。
【0025】
<前枠の構造>
前枠30は、左右の床フレーム21の前端部に垂直に着脱自在に立設されている一対の前枠支柱31と、床フレーム21に平行で、前枠支柱31の上端部と背受支柱11の上端部との間に架設される側部フレーム32と、床フレーム21に直交し、左右の前枠支柱31上端間に着脱自在に架設される少なくとも1本の前枠つなぎフレーム33とから構成されている。前枠つなぎフレーム31は、前枠支柱31間に架設するのは、本発明のパレットでガラス板を輸送するときに、振動や輸送車両の加減速によって発生する横方向の力に対する前枠支柱31の強度を確保するために設置しており、少なくとも1本の前枠つなぎフレーム33を前枠支柱31間に架設すれば、本発明のパレットを段積にして輸送した場合であっても横方向に十分な強度を確保することができる。
【0026】
側部フレーム32と前枠支柱31とを着脱自在としても構わないが、本実施形態のように前枠支柱31の上端部と側部フレーム32の一端部とは接合することによって略L字形状のフレームとし、ガラス板の積載時及びガラス板の取出し時に、前枠30の着脱作業をより効率的に行うことができる。
【0027】
前枠支柱31と床フレーム21とを着脱自在とするために、床フレームの前端部に上向きの開口部を設け、その開口部を前枠支柱受部24とし、前枠支柱31の下端部を、前枠支柱受部24とした開口部に差し込みできるように、前枠支柱31の下端部をその断面形状が前記開口部と同じ形状で、かつ、やや小さくなるように加工して、差込部311としている。
【0028】
また、側部フレーム32と背受支柱11とを着脱自在とするために、背受支柱11の上端部を開口しておき、その開口部を側部フレーム受部13とし、側部フレーム32の一端に、下方向で垂直になるように差込部材321を接合し、差込部材321が側部フレーム受部13に差し込みできるように、差込部材321は側部フレーム受部13の開口部の断面と同じ形状で、かつやや小さくなるように加工されている。
【0029】
前枠つなぎフレーム33と、前枠支柱31の上端部とを着脱自在とするために、前枠つなぎフレーム33の両端に差込片331を接合しており、前枠支柱31の上部側面に差込部331を差し込むことができる前枠つなぎフレーム受部材312を接合している。
【0030】
前枠支柱31を床フレーム21に接続し、側部フレーム32を背受支柱11に接続したときに、前枠支柱31の上端と背受支柱11の上端とのパレット1の載置面からの高さが同じとなり、側部フレーム32が前記載置面に対して水平になるように各部の寸法を設定している。
【0031】
<段積部材の構造>
側部フレーム32の上辺は、平坦であり、側部フレーム32の上辺に別のパレット1の床フレーム21の下辺を載置することで本発明のパレットを段積にすることができるようになっている。
【0032】
また、側部フレーム32には、左右それぞれに複数個の段積部材34を設けている。段積部材34は、それぞれ側部フレーム32の上面の両サイドから側部フレーム32の両サイドから斜め上方に広がるように伸びる2枚の金属片で構成されており、パレット1を段積する際に、段積部材34があることによって載置位置の調整が容易になるとともに、ガラス板の輸送中に、輸送中の振動などによって上段に積んだパレットの落下を防ぐことができる。
【0033】
<ガラス板側部抑えフレーム及び側部抑えバンドの構成>
ガラス板側部抑えフレーム40は、ベース部20に積載されているガラス板G群の左右側部に一本ずつ当接され、背枠支柱11及び前枠支柱31のそれぞれと側部抑えバンド2で締結される。ガラス板側部抑えフレーム40をガラス板G群の側部に当接させることにより、輸送中にガラス板側部を保護することができ、例えば輸送中に隣り合うパレット同士が接触し、ガラス板の側部を破損する事態を防止することができる。背枠支柱11及び前枠支柱31へのガラス板側部抑えフレーム40の固定を側部抑えバンド2で行うことにより本発明のパレットに積載するガラス板の幅が変わっても柔軟に対応することができ、同時に部品点数も減らすことができる。
【0034】
また、背受支柱11、背受横フレーム12、床フレーム21、床桟22、ベース部横フレーム23、前枠支柱31、側部フレーム32及び前枠つなぎフレーム33はそれぞれ、中空の金属部材か、断面がコの字状の金属部材かのいずれかで構成することで、必要な強度を保ちながら軽量な構造となるようにしている。
【0035】
<ガラス板積載状態>
パレット1にガラス板G群を積載したときの状態は図3に示すようになる。
【0036】
ガラス板G群はベース部20の床桟22上に直交するように載置され、ガラス板G群の背面は背受10の背受横フレーム12に支持されている。
【0037】
ガラス板G群の固定に関しては、ガラス板G群の側部はガラス板側部抑えフレーム40と側部抑えバンド2で固定され、ガラス板G群の前部の固定は前部押さえバンド3によって固定されている。
【0038】
ガラス板G群前部の固定に関しては、前部抑えバンド3の一端を背受横フレーム12の一つに締結し、前部抑えバンド3のもう一端を、前部抑えバンド3がガラス板G群の最前面の上端から下端にかけて当接するように適切なベース部横フレーム23を選択して締結することで、前部抑えバンド3のガラス板G群の最前面との当接面と背受横フレーム12との間でガラス板G群が抑えられ、前後に動かないように固定される。
【0039】
側部抑えバンド2及び前部抑えバンド3に関しては、引張強度の大きなものであればよく、例えばVバンドやポリエステルバンドなどを用いることができる。
【0040】
また、ガラス板G群を前後に挟むように背受支柱11と前枠支柱31とが配置されており、側部フレーム32は、ガラス板G群の上辺部よりも上に配置されている。このことによって、パレット1を段積みした場合に、上段のパレット1は下段のパレット1の前枠支柱31と背受11とのみから支持されることになるので、下段のパレット1に積載されるガラス板Gに上段のパレットからの負荷がかかることがなくなり、パレット1を段積みして安全に輸送できる。
【0041】
また、側部フレーム32及び床フレーム21は、中空の部材で構成されており、背受支柱11及び前枠支柱31は、断面がコの字状の部材で構成されている。前枠固定バンド35を側部フレーム32の中空フレーム内を通し、背受支柱11及び前枠支柱31に沿わせて、床フレーム21の中空フレーム内を通して一周させ、前枠固定バンド35で、側部フレーム32と床フレーム21間を締結することで、前枠30を背受10に固定する。このようにすることによって、輸送中に前枠30が背受10から外れることを防いでいる。また、前枠固定バンド35としては、引張強度の大きなものであればよく、スチールバンドなどを用いることができる。
【0042】
前枠支柱31及び背受支柱11並びにベース部横フレーム23には、それぞれ適当な位置に側部抑えバンド用バンド掛け51と前部抑えバンド用バンド掛け52が備えられており、側部抑えバンド2及び前部抑えバンド3でガラス板G群を抑えて固定する作業の作業性を高めている。
【0043】
また、図3に示す本発明の実施形態においては、パレット1に積載されているガラス板Gの幅が、パレット1の横幅よりも長くなっている。本発明のガラス板運搬用パレットは、本発明の実施形態のようにガラス板Gの幅がパレット1の幅よりも長い場合だけではなく、積載されるガラス板Gの幅がパレット1の幅よりも短い場合であっても、用いることができる。
【0044】
ガラス板Gの幅がパレット1の幅よりも短い場合のガラス板側部抑えフレーム40の前枠支柱31及び背受支柱11との締結方法は次のとおりである。ガラス板G群の右側面に当接されるガラス板側部抑えフレーム40は、左側の前枠支柱31及び左側の背受支柱11と側部抑えバンド2で締結し、ガラス板G群の左側面に当接されるガラス板側部抑えフレーム40は、右側の前枠支柱31及び右側の背受支柱11と側部抑えバンド2で締結する。
【0045】
また、パレット1には、センサー検知板60が備えられている。センサー検知板60は、空のパレット1に最初にガラス板G群を積込むときに必要なものであり、ガラス板Gをパレットに積込むフォークに備えられた位置確認センサーがセンサー検知板60を検知することで、背受10の位置を確認し、前記ガラス板Gをベース部20に載置し、背受10に支持させることができる。一度、パレット1にガラス板G群を積込めば、前記パレットに2回目以降に積込む場合には、フォークに備えられた位置確認センサーが先に積込んだガラス板G群の前面を検知することができる。
【0046】
<積載方法>
続いて、本発明のガラス板輸送用パレットへの板ガラスの積載方法について図4を用いて説明する。
【0047】
パレット1へガラス板Gを積載するときには、前枠支柱31と側部フレーム32とで構成される略L字形状フレームと、前枠つなぎフレーム33を外す。
【0048】
そして、図4(a)に示すようにガラス板積載場に空のパレット1を設置する。ガラス板Gのパレット1への積載は、ガラス板搬送装置70によって実施される。ガラス板搬送装置は、パレット1の前面に対して垂直で、ガラス板Gをその上辺に積載するフォーク71と、ガラス板Gを支持し、パレット1に対して平行となるガラス板背受72と、パレット1の前面に対して、フォーク71とガラス板背受72とを前後に移動させる搬送機構73と、ガラス板Gの載置位置を検知する位置確認センサー74とから構成されており、一回の搬送で複数枚のガラス板を搬送することができる。位置確認センサーとしては、接触式センサーや光電センサーが用いられる。
【0049】
空のパレット1には、はじめ図4(a)に示すように、パレット1の前方から複数枚のガラス板Gがフォーク71上に積載され、ガラス板背受72に背面を支持された状態で近づいてくる。
【0050】
そして、図4(b)のようにさらに背受10にガラス板Gが接近すると、位置検出センサー74がセンサー検知板60を検知して、ガラス板搬送装置70が、ガラス板Gの前方方向への搬送を一旦停止し、ガラス板Gを床桟23付近まで下降させる。
【0051】
さらに、図4(c)のように、ガラス板搬送装置70は、ガラス板Gを背受横フレーム12に押付け、ガラス板Gの下辺を床桟23上面に当接させる。そして、図4(d)のように、ガラス板搬送装置70は、ガラス板Gの下辺からフォーク71を引き抜き、新たにガラス板Gを積載するためにパレット1から後方へ後退する。
【0052】
ガラス板Gが、一旦パレット1上に載置されると、次回以降のガラス板Gの積載作業においては、位置確認センサー74はすでにパレット1に載置されているガラス板Gの最前面を検知するようになり、円滑にガラス板をパレット1上に載置していくことができる。
【0053】
パレット1へのガラス板積載作業を終えたら、ガラス板G前面を前部抑えバンド3で抑え、ガラス板Gが前後方向に動かないように固定する。そして、前枠支柱31と側部フレーム32とで構成される略L字形状フレームと、前枠つなぎフレーム33を組み付ける。そして、前枠固定バンド35を側部フレーム32から前枠支柱31、床フレーム21、背受支柱11と一周まわして締結し、前枠30を背受10に固定する。そして、ガラス板G群の両サイドにガラス板側部抑えフレーム40を当接し、ガラス板側部抑えフレーム40と背受支柱11と前枠支柱31とを側部抑えバンド2で締結し、ガラス板G群が、左右に動かないように固定する。
【0054】
<具体的な積載例>
本発明のガラス板輸送用パレットは、図5(a)のように、パレット1の寸法に合わせて、本パレットの側部フレーム32の下部の高さとほぼ同じ高さのガラス板を輸送可能枚数の最大限の枚数を本パレットの奥行き方向に積載することができる。また、図5(b)のように、本パレットの側部フレーム32の下部の高さに対して、高さの低いガラス板を輸送可能枚数の最大限の枚数を本パレットの奥行き方向に積載した場合や、図5(c)のように、本パレットの側部フレーム32の下部の高さとほぼ同じ高さのガラス板を輸送可能枚数の最大限の枚数を本パレットの奥行き方向に積載しない場合や、図5(d)のように、本パレットの側部フレーム32の下部の高さに対して高さの低いガラス板を輸送可能枚数の最大限の枚数を本パレットの奥行き方向に積載しない場合であっても、ガラス板G群をパレットに固定するために側部抑えバンド2及びガラス板側部抑えフレーム40並びに前部抑えバンド3を用いているため、柔軟にパレット1上でガラス板G群が動かないように固定することが可能である。さらに、ガラス板G群の上部に側部フレーム32が配置されるように、背受支柱11及び前枠支柱31が配置されているため、パレットに載置されているガラス板の枚数や大きさによらず、パレット1を段積することができ、輸送効率を高めることができる。
【0055】
<分解・回収方法>
また、パレット1は、前枠30が着脱自在となっており、さらに、前枠30は、前枠支柱31と側部フレーム32とで構成される略L字形状フレームと、前枠つなぎフレーム33とに分解することができるため、ガラス板Gの搬送後に、パレット1を回収する場合には、図6に示したように、背受10とベース部20とで構成される部位と、前枠30を構成する前枠支柱31、側部フレーム32及び前枠つなぎフレーム33とを重ねてコンパクトにまとめることができ、回収コストを低減させることができる。また、簡単な構成となっていることから、ガラス板搬送後にパレット1を廃棄する場合も、従来の木製の箱体を用いる場合に比べて大幅に廃棄物量を減らすことが可能となる。
【0056】
パレット1を構成する背受支柱11、背受横フレーム12、床フレーム21、床桟22、ベース部横フレーム23、前枠支柱31、側部フレーム32及び前枠つなぎフレーム33をそれぞれ中空の金属部材や、断面形状がコの字状の部材で製作することにより、さらなるパレットの軽量化が可能となり、パレット1を回収する場合の回収コストとパレット1を廃棄する場合の廃棄コストとを、さらに低減させることができる。
【0057】
以上好適な実施の形態について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の応用が考えられるものである。
【符号の説明】
【0058】
G ガラス板
1 パレット
2 側部抑えバンド
3 前部抑えバンド
4 バンド
10 背受
11 背受支柱
12 背受横フレーム
13 側部フレーム受部
20 ベース部
21 床フレーム
22 床桟
23 ベース部横フレーム
24 前枠支柱受部
30 前枠
31 前枠支柱
311 差込部
312 前枠つなぎフレーム受部材
32 側部フレーム
321 差込部材
33 前枠つなぎフレーム
331 差込片
34 段積部材
35 前枠固定バンド
40 ガラス板側部抑えフレーム
51 側部抑えバンド用バンド掛け
52 前部抑えバンド用バンド掛け
60 センサー検知板
70 ガラス板搬送装置
71 フォーク
72 ガラス板背受
73 搬送機構
74 位置確認センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の矩形のガラス板を縦姿勢で載置するベース部と、前記複数枚の矩形のガラス板からなるガラス板群を背面から支持する背受と、前記ガラス板群の前面を覆う前枠と、からなるガラス板輸送用パレットにおいて、
前記ガラス板群の左右端部にそれぞれ当接される一対のガラス板側部抑えフレームと、前記ガラス板側部抑えフレームと前枠及び背受とを締結する側部抑えバンドとを備えていることを特徴とするガラス板輸送用パレット。
【請求項2】
前記ガラス板群の前面に当接し、前記背受と前記ベース部とに締結させることで、前記ガラス板群を前記パレットに固定する前部抑えバンドを備えることを特徴とする請求項1に記載のガラス板輸送用パレット。
【請求項3】
前記前枠は、少なくとも1本の前枠つなぎフレームと、前記ベース部の前縁部に対して左右に一対ずつ着脱自在に設けられる前枠支柱と、前記前枠支柱と前記背受の側端部との間に着脱自在に架設される側部フレームと、前記一対の前枠支柱間に着脱自在に架設される少なくとも1本の前枠つなぎフレーム、とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板輸送用パレット。
【請求項4】
前記側部フレームと、前記前枠支柱と、前記ベース部の側端部と、前記背受の側端部とに沿わせて一周させた前枠固定バンドの両端を締結し、前記前枠固定バンドで前記前枠を前記背受に固定したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のガラス板輸送用パレット。
【請求項5】
前記前枠支柱の上端と前記側部フレームの端部とが接合されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のガラス板輸送用パレット。
【請求項6】
前記前枠支柱、前記側部フレーム及び前記前枠つなぎフレームが、それぞれ中空もしくは断面が略コの字状の金属フレーム材であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一つに記載のガラス板輸送用パレット。
【請求項7】
前記背受及び前記ベース部のそれぞれを中空もしくは断面が略コの字状の金属フレーム材を用いて構成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに一つに記載のガラス板輸送用パレット。
【請求項8】
前記側部抑えバンドを引っ掛けるためのバンド掛けを前記パレットの左右に設置された前記前枠支柱と前記背受の左右端部とに備え、前記前部抑えバンドを引っ掛けるためのバンド掛けを前記ベース部の所定の位置に設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載のガラス板輸送用パレット。
【請求項9】
前記一対の側部フレームの上面に複数の段積部材を設置したことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載のガラス板輸送用パレット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−171652(P2012−171652A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35401(P2011−35401)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【出願人】(507238713)株式会社ケイ・エル・エス (3)
【Fターム(参考)】