説明

ガラス溶融炉の炉内異物回収装置

【課題】ガラス溶融炉内の溶融物が流動性のある高温状態において、ガラス溶融炉内に存在する異物を回収する。
【解決手段】ガラス溶融炉1の炉本体3の天井部に貫通形成された原料投入口11に設けられた管台12と、管台12の上端に着脱可能に取り付けられた取付管21と、取付管21に炉本体3内の溶融された原料内の異物を回収するために設けられた回収手段22とを備え、回収手段22は、取付管21に挿通された棒部36と、棒部36の下端に設けられ、異物を把持するハンド部37と、棒部36の上端に設けられ、取付管21の上方に配置された操作部38と、ハンド部37と操作部38との間に介設され、操作部38によってハンド部37を開閉操作するリンク機構39とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス溶融炉内に存在する異物を回収するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス溶融炉においては、炉本体内に対向配置された電極の間に原料を供給し、原料又は溶融物が導電性を有していることを利用して、電極間に電流を流して抵抗発熱を生じさせ、原料の溶融を行うようにしている。炉本体の底部には導電性材料からなる流下ノズルが配置されており、流下ノズルを誘導加熱することにより高温状態として溶融物を流下ノズルを通じて流下させ、溶融物を炉本体内から流下ノズルの直下に配置したキャニスタ内へと流出させる。上記原料としては、例えば高レベル放射性廃棄物(廃液)の固化処理に用いられるガラスが挙げられる。上記のようなガラス溶融炉は例えば特許文献1及び2等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−5791号公報
【特許文献2】特開平9−80197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガラス溶融炉の運転中に壁部を構成する耐火材等の破片(以下異物という)が炉本体内の溶融物に混入して、その異物が流下ノズルの流下孔を塞ぐ事態が生じた場合には、炉本体内の溶融物を流下ノズルを通じて流出させることが困難になる。従来、このような事態に至った場合には、炉本体内の溶融物をできる限り流下ノズルを通じて抜き出して、その後、炉本体内に残留し固まった溶融物をはつり装置等ではつってから、炉本体内の異物の除去を行っていた。しかしながら、異物によって流下ノズルの流下孔が閉塞され、炉本体内の溶融物を流下ノズルを通じて抜き出せない場合は、大量の溶融物が炉本体内に残るため、炉本体内に残留し固まった溶融物をはつる作業が膨大になり多大な労力を要することになる。そのため、ガラス溶融炉内の溶融物が流動性のある高温状態において、ガラス溶融炉内で流下ノズルの流下孔を塞いでいる異物を回収することが求められている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ガラス溶融炉内の溶融物が流動性のある高温状態において、ガラス溶融炉内に存在する異物を回収することができる炉内異物回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ガラス溶融炉の炉本体の天井部に貫通形成された原料投入口に設けられた管台と、該管台の上端に着脱可能に取り付けられた取付管と、該取付管に上記炉本体内の溶融された原料内の異物を回収するために設けられた回収手段とを備え、該回収手段は、上記取付管に挿通された棒部と、該棒部の下端に設けられ、異物を把持するハンド部と、上記棒部の上端に設けられ、上記取付管の上方に配置された操作部と、上記ハンド部と上記操作部との間に介設され、上記操作部によって上記ハンド部を開閉操作するリンク機構とを有するものである。
【0007】
ここで、上記ハンド部は、上記棒部の下端に近接・離反可能に設けられた一対の把持爪と、該把持爪の先端にそれぞれ回動可能に取り付けられ、異物を挟持する挟持板とを有しても良い。
【0008】
また、上記管台に上方から下方に挿通させて着脱可能に取り付けられ、下端が上記炉本体の天井部内面よりも下方の上記炉本体内まで延出された保護管を備え、該保護管に上記回収手段の棒部が挿通されても良い。
【0009】
また、上記管台に上方から下方に挿通させて着脱可能に取り付けられ、下端が上記炉本体の天井部内面よりも下方の上記炉本体内まで延出された保護管を備え、該保護管に上記回収手段の棒部が挿通され、上記保護管の下端に、上記挟持板で挟持した異物を引き上げる際にその異物の一部が当たって、異物を回転させて上記保護管を通るようにするための段差部を形成しても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガラス溶融炉内の溶融物が流動性のある高温状態において、ガラス溶融炉内に存在する異物を回収することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る炉内異物回収装置を適用したガラス溶融炉の側断面図である。
【図2】図2は、取付管及び回収手段の平面図である。
【図3】図3は、図2のIII−III線矢視図である。
【図4】図4は、図3のIV−IV線矢視図である。
【図5】図5は、保護管の平面図である。
【図6】図6は、図5のVI−VI線矢視図である。
【図7】図7(a)から図7(c)は、炉内異物回収装置の設置の一例を説明するための概略図である。
【図8】図8(a)から図8(c)は、異物回収方法の一例を説明するための概略図である。
【図9】図9(a)から図9(d)は、異物回収方法の一例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るガラス溶融炉1は、上下方向中間部から下方に向かって開口断面が小さくなる溶融空間2を有する炉本体3を有し、溶融空間2内に溶融物Gを貯留するようになっている。炉本体3は、炉本体3の内壁をなす耐火材(耐火レンガ)4と、耐火材4を取り囲むように配設された断熱材5と、これら耐火材4及び断熱材5を収容するケーシング6とで主に構成されている。
【0014】
炉本体3内には、炉本体3の側壁部(耐火材4、断熱材5及びケーシング6)を貫通して一対の主電極7が対向配置されている。また、炉本体3(溶融空間2)の底部には、底部電極8と、炉本体3内の溶融物Gを炉本体3外へと流下させるための流下ノズル9と、流下ノズル9を周方向に取り囲む誘導加熱コイル10とが設けられている。
【0015】
また、本実施形態では、炉本体3の天井部に、流下ノズル9の鉛直上方に位置させて原料投入口11が貫通形成されており、この原料投入口11に管台12が設けられる。この管台12には、通常は原料となるガラス及び廃液を炉本体3内に供給するための原料供給器(図示せず)が取り付けられる。
【0016】
このような構成からなるガラス溶融炉1では、原料供給器から炉本体3内(溶融空間2内)に供給される原料(ガラス及び廃液)を、主電極7及び底部電極8に電力を供給することにより溶融させ、さらに、誘導加熱コイル10に電力を供給することによって、溶融物Gを流下ノズル9を通じて流下させるようになっている。
【0017】
ここで、ガラス溶融炉1の運転中に壁部を構成する耐火材4等の破片(異物)が炉本体3内の溶融物Gに混入した場合には、溶融空間2が上下方向中間部から下方に向かって開口断面が小さくなるように形成されているため、異物に下方中央部へと移動させる力が働き、異物が流下ノズル9の流下孔よりも大きいと、異物が流下ノズル9の流下孔を閉塞する事態に至ると考えられる。このように異物が流下ノズル9の流下孔を閉塞する事態に至った場合に、ガラス溶融炉1内(炉本体3内)で流下ノズル9の流下孔を塞いでいる異物を回収する必要が生じるのである。
【0018】
次に、本実施形態に係る炉内異物回収装置について説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る炉内異物回収装置20は、管台12の上端に着脱可能に取り付けられた取付管21と、取付管21に炉本体3内の溶融物G内(溶融された原料内)の異物を回収するために設けられた回収手段22と、管台12に上方から下方に挿通させて着脱可能に取り付けられ、下端が炉本体3の天井部内面よりも下方の炉本体3内(溶融空間2内)まで延出された保護管23とを備えている。
【0020】
図2から図4に示すように、取付管21は、管台12の上方に延出する管本体24と、管本体24の下部に設けられた下部フランジ25と、管本体24の上部に設けられた蓋部材26とから主に構成されている。管本体24には分岐管27が取り付けられており、その分岐管27の先端に覗き窓28が装着されている。
【0021】
下部フランジ25には、後述する保護管23の取付ボルト58のヘッド部分が挿通され得る穴29(図2参照)と、後述する保護管23のシャッター開閉バー56が挿通され得る切り欠き30(図2参照)と、取付管21を保護管23に固定するための取付ボルト31(図3参照)とが設けられている。取付ボルト31には上方に延出する延出部材32が設けられており、その延出部材32の上端に、マニピュレータ(図示せず)を用いて取付ボルト31を締め付けるためのハンドル33が設けられている。
【0022】
蓋部材26の上部には、回収手段22が挿通されるスリーブ34が設けられており、スリーブ34には長手方向に延出するキー溝35(図3及び図4参照)が設けられている。キー溝35は、周方向に間隔を隔てて複数設けられている(図4参照)。スリーブ34の内周と後述する回収手段22の棒部36の外周との間には所定の隙間が設けられており(図4参照)、回収手段22をスリーブ34の上端内縁を支点として所定角度θ(例えば4度)だけ回動できるようになっている(図1参照)。また、スリーブ34は、回収手段22の下降を規制するストッパの役割も果たす。
【0023】
図2及び図3に示すように、回収手段22は、取付管21の管本体24及びスリーブ34に挿通された棒部36と、棒部36の下端に設けられ、異物を把持するハンド部37と、棒部36の上端に設けられ、取付管21の上方に配置された操作部38と、ハンド部37と操作部38との間に介設され、操作部38によってハンド部37を開閉操作するリンク機構39とを有する。
【0024】
棒部36は筒状に形成されており、棒部36の下端には支持部材40が接続されている。棒部36の外周には、取付管21のスリーブ34に設けたキー溝35に係合し得るキー41が長手方向に沿って設けられている。本実施形態では、キー41は棒部36の上部と下部とにそれぞれ設けられている。棒部36の上部に設けたキー41は、その上部のキー41が取付管21のキー溝35に係合する回収手段22の下降時に、回収手段22の長手方向軸回りの回転を規制するようになっている。一方、棒部36の下部に設けたキー41は、その下部のキー41が取付管21のキー溝35に係合する回収手段22の上昇時に、回収手段22の長手方向軸回りの回転を規制するようになっている。キー41を取付管21に設けたキー溝35から抜いたときには、棒部36を長手方向軸回りに回転させてキー41が係合するキー溝35を変更することで、回収手段22のハンド部37の向きを変えることができる。また、支持部材40は回収手段22の上昇を規制するストッパ及び取付管21からの抜け止めの役割も果たす。棒部36の上端にはフランジ42が設けられており、フランジ42には、天井クレーンCのフック(図7(b)参照)が係合するための吊りベール43が設けられている。吊りベール43は、マニピュレータによる操作部38の操作を妨げないように、フランジ42に起倒可能に取り付けられている。
【0025】
ハンド部37は、棒部36の下端に近接・離反可能に設けられた一対の把持爪44と、把持爪44の先端にそれぞれ回動可能に取り付けられ、異物を挟持する挟持板45とを有する。把持爪44は、棒部36の下端に接続された支持部材40に回動可能に取り付けられている。挟持板45は、例えば継手を介して把持爪44の先端に取り付けられており、少なくとも把持面に直交する軸回りに回動可能になっている。
【0026】
リンク機構39は、棒部36のフランジ42に形成されたネジ穴46に螺合されるネジ部47と、ネジ部47の下端に同軸回りに回転可能に連結された軸部48と、軸部48の下端と把持爪44の上端とを連結するリンク部材49とから主に構成されている。軸部48は棒部36に対して回り止めがされており、ネジ部47を回転させて長手方向に沿って移動させることで、軸部48を回転させることなく棒部36の長手方向に沿って移動させることが可能になっている。軸部48を上方に移動させることでリンク部材49が上方に引っ張られて、把持爪44が近接され(閉じられ)、軸部48を下方に移動させることでリンク部材49が下方に押されて、把持爪44が離反される(開かれる)ようになっている。
【0027】
操作部38は、リンク機構39のネジ部47の上端に接続されたハンドル50を有しており、ハンドル50には、マニピュレータが係合するためのベール51が設けられている。
【0028】
図5及び図6に示すように、保護管23は、管台12に挿通される管本体52と、管本体52の上部に設けられたフランジ53とから主に構成されている。保護管23の管本体52の下端には、回収手段22の挟持板45で挟持した異物を引き上げる際にその異物の一部が当たって、異物を回転させて保護管23を通るようにするための段差部54(図6参照)が形成されている。管本体52の下端を段違い構造とすることにより、管本体52の下端に段差部54を形成している。
【0029】
フランジ53には、保護管23の上部開口を開閉するシャッター55が設けられており、シャッター55には、マニピュレータが係合するためのシャッター開閉バー56が設けられている。また、フランジ53には、天井クレーンCのフックが係合するための吊りベール57(図5参照)と、保護管23を管台12に結合するための取付ボルト58と、取付管21の取付ボルト31が螺合されるボルト穴59(図5参照)と、シャッター開閉バー56が挿通され得る切り欠き60(図5参照)とが設けられている。
【0030】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0031】
まず、炉内異物回収装置の設置の一例を図7を用いて説明する。
【0032】
炉本体3周囲は作業者が近付けない雰囲気であるので、取付管21、回収手段22及び保護管23の搬送、回収手段22の昇降は、遠隔操作可能な天井クレーンCを用いて行い、回収手段22のハンド部37の開閉は、遠隔操作可能なマニピュレータを用いて行うことになる。
【0033】
本実施形態では、炉本体3内の溶融物Gを冷やして固化させた後、天井クレーンC及びマニピュレータを用いて、原料供給器を管台12から取り外す。その後、天井クレーンCのフックを保護管23の吊りベール57に係合させて、天井クレーンCを用いて保護管23を吊り上げ、図7(a)に示すように、マニピュレータを用いて保護管23を炉本体3に設けた管台12に設置(固定)する。保護管23を管台12に設置したならば、保護管23のシャッター55を閉じた状態で炉本体3内の溶融物Gを加熱して再び溶融させた後、天井クレーンCのフックを回収手段22の吊りベール43に係合させて、図7(b)に示すように、天井クレーンCを用いて回収手段22及び取付管21を吊り上げ、図7(c)に示すように、マニピュレータを用いて取付管21を保護管23上に設置(固定)する。そして、マニピュレータを用いて保護管23のシャッター55を開いた後に、回収手段22による異物回収を行うこととなる。
【0034】
次に、異物回収方法の一例を図8及び図9を用いて説明する。
【0035】
まず、取付管21を保護管23上に固定した状態で、天井クレーンCのフックを回収手段22の吊りベール43に係合させて、天井クレーンCを用いて回収手段22を炉本体3内の流下ノズル9に向けて下降させる。回収手段22のハンド部37が流下ノズル9近傍に達したならば、マニピュレータを用いて回収手段22の操作部38(ハンドル50)を操作してハンド部37の把持爪44を近接させる(閉じさせる)。そして、ハンド部37の把持爪44を閉じた状態で、天井クレーンCを用いて回収手段22を上昇させる。
【0036】
図8(a)に示すように、ハンド部37の挟持板45が異物Aの中心を挟み込んでいる場合には、図8(b)に示すように、異物Aを保護管23内まで吊り上げ、図8(c)に示すように、そのまま異物Aを取付管21内まで吊り上げることができる。異物Aを取付管21内に回収できたか否かは覗き窓28から確認する。
【0037】
他方、図9(a)に示すように、ハンド部37の挟持板45が異物Aの中心からずれた箇所を挟み込んでいる場合には、図9(b)に示すように、異物Aを保護管23下端まで吊り上げると、保護管23の管本体52下端の段差部54に異物Aが当たり、図9(c)に示すように、保護管23の管本体52下端の段差部54に当たった状態で異物を吊り上げると、異物A及び挟持板45が保護管23の管本体52下端(段差部54)を支点として回転するので、異物Aの姿勢を保護管23の管本体52を通るように直すことができる。異物Aの姿勢が直されるので、図9(d)に示すように、ハンド部37の挟持板45が異物Aの中心からずれた箇所を挟み込んでいる場合でも、異物Aを取付管21内まで吊り上げることができる。
【0038】
そして、異物Aを取付管21内に回収したならば、回収手段22のハンド部37で異物Aを挟み込んだ状態で、天井クレーンC及びマニピュレータを用いて、取付管21及び保護管23を炉本体3から取り外す。
【0039】
ここで、本実施形態に係る炉内異物回収装置20によれば、ガラス溶融炉1の炉本体3の天井部に貫通形成された原料投入口11に設けられた管台12と、管台12の上端に着脱可能に取り付けられた取付管21と、取付管21に炉本体3内の溶融された原料内の異物を回収するために設けられた回収手段22とを備え、回収手段22は、取付管21に挿通された棒部36と、棒部36の下端に設けられ、異物を把持するハンド部37と、棒部36の上端に設けられ、取付管21の上方に配置された操作部38と、ハンド部37と操作部38との間に介設され、操作部38によってハンド部37を開閉操作するリンク機構39とを有するので、ガラス溶融炉1内(炉本体3内)の溶融物が流動性のある高温状態において、回収手段22によってガラス溶融炉1内に存在する異物を回収することが可能となる。よって、異物によって流下ノズル9の流下孔が閉塞されている場合においても、回収手段22によってガラス溶融炉1内の溶融物G中に存在する異物を回収することで、流下ノズル9の流下孔の閉塞状態を解除することができる。ガラス溶融炉1内の異物を回収することで、ガラス溶融炉1内の溶融物Gを流下ノズル9から流下させることができるようになるので、ガラス溶融炉1内の大量の溶融物Gをはつる必要がなくなる。
【0040】
また、管台12に上方から下方に挿通させて着脱可能に取り付けられ、下端が炉本体3の天井部内面よりも下方の炉本体3内まで延出された保護管23を備え、保護管23に回収手段22の棒部36が挿通されるので、回収手段22によって異物を引き上げる際に異物が保護管23内を通って引き上げられるので、引き上げられる異物によって炉本体3の内壁(耐火材4、断熱材5及びケーシング6)を傷付ける事態を回避することが可能となる。
【0041】
また、ハンド部37は、回収手段22の棒部36の下端に近接・離反可能に設けられた一対の把持爪44と、把持爪44の先端にそれぞれ回動可能に取り付けられ、異物を挟持する挟持板45とを有し、また、保護管23の下端に、挟持板45で挟持した異物を引き上げる際にその異物の一部が当たって、異物を回転させて保護管23を通るようにするための段差部54を形成したので、回収手段22のハンド部37で把持した異物が保護管23外にはみ出していても、異物を保護管23内に収容する際にその保護管23の下端の段差部54によって異物の姿勢を保護管23を通るように直すことができ、異物を取付管21内へと容易に回収することが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1 ガラス溶融炉
3 炉本体
11 原料投入口
12 管台
20 炉内異物回収装置
21 取付管
22 回収手段
23 保護管
36 棒部
37 ハンド部
38 操作部
39 リンク機構
44 把持爪
45 挟持板
54 段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス溶融炉の炉本体の天井部に貫通形成された原料投入口に設けられた管台と、該管台の上端に着脱可能に取り付けられた取付管と、該取付管に上記炉本体内の溶融された原料内の異物を回収するために設けられた回収手段とを備え、
該回収手段は、上記取付管に挿通された棒部と、該棒部の下端に設けられ、異物を把持するハンド部と、上記棒部の上端に設けられ、上記取付管の上方に配置された操作部と、上記ハンド部と上記操作部との間に介設され、上記操作部によって上記ハンド部を開閉操作するリンク機構とを有することを特徴とするガラス溶融炉の炉内異物回収装置。
【請求項2】
上記ハンド部は、上記棒部の下端に近接・離反可能に設けられた一対の把持爪と、該把持爪の先端にそれぞれ回動可能に取り付けられ、異物を挟持する挟持板とを有する請求項1に記載のガラス溶融炉の炉内異物回収装置。
【請求項3】
上記管台に上方から下方に挿通させて着脱可能に取り付けられ、下端が上記炉本体の天井部内面よりも下方の上記炉本体内まで延出された保護管を備え、該保護管に上記回収手段の棒部が挿通される請求項1又は2に記載のガラス溶融炉の炉内異物回収装置。
【請求項4】
上記管台に上方から下方に挿通させて着脱可能に取り付けられ、下端が上記炉本体の天井部内面よりも下方の上記炉本体内まで延出された保護管を備え、
該保護管に上記回収手段の棒部が挿通され、
上記保護管の下端に、上記挟持板で挟持した異物を引き上げる際にその異物の一部が当たって、異物を回転させて上記保護管を通るようにするための段差部を形成した請求項2に記載のガラス溶融炉の炉内異物回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−275133(P2010−275133A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127549(P2009−127549)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)