ガラス瓶の耐内圧検査方法および耐内圧検査装置
【課題】 傷ついて耐内圧性が低下しているガラス瓶が加圧によって破壊しても、隣接するガラス瓶へ波及することを防止しながら、能率よく耐内圧検査を行うことができるようにする。
【解決手段】 ガラス瓶wを前後に並べて移送するとともに、前後に隣接するガラス瓶wの間に介在した遮蔽壁19をガラス瓶wと同期して移動させ、ガラス瓶wと同期移動する加圧ヘッド40でガラス瓶wの口を押圧封止し、加圧ヘッド40から瓶内に流体を加圧注入してガラス瓶wに内圧を印加し、加圧ヘッド40を移動させた後、ガラス瓶wの口から離間させる。
【解決手段】 ガラス瓶wを前後に並べて移送するとともに、前後に隣接するガラス瓶wの間に介在した遮蔽壁19をガラス瓶wと同期して移動させ、ガラス瓶wと同期移動する加圧ヘッド40でガラス瓶wの口を押圧封止し、加圧ヘッド40から瓶内に流体を加圧注入してガラス瓶wに内圧を印加し、加圧ヘッド40を移動させた後、ガラス瓶wの口から離間させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてビールや炭酸飲料など内圧が発生する発泡性飲料が充填されるガラス瓶を回収して再使用するに際して、ガラス瓶の内圧に対する耐久性を検査する方法とこれを実行する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回収された使用済みのガラス瓶のなかには、当て傷、すり傷、クラックなどによって耐内圧性が低下しているものがあり、このようなものを除外して設定以上の耐内圧性が確保されたものだけを再使用に供することが望まれる。
【0003】
そこで、再使用されるガラス瓶の耐内圧検査を行うことが要求され、回収された使用済みのガラス瓶に高圧水などの加圧液体を注入して耐内圧性を検査することが試みられた。
この耐内圧検査手段は、図14に示すように、水が満杯に注入されたガラス瓶wを並べて連続移動させ、このガラス瓶wと同期して循環移動する加圧ヘッド40群をガラス瓶wの口に押し当て加圧水を注入することで、飲料を充填封止した場合に通常発生する内圧よりも十分高い内圧をかけ、ガラス瓶wが印加された内圧によって破壊しないものを、耐内圧性が確保された良品とするようにしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の耐内圧検査手段方法では、ガラス瓶が前後に接触した状態に並べて移動させるようにしていたので、耐内圧性が低下しているガラス瓶が、内圧印加によって、破壊した場合、その破壊衝撃や飛散したガラス破片が隣接するガラス瓶に及んで、良品までも破損あるいは傷つけてしまうことがあった。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、傷ついて耐内圧性が低下しているガラス瓶が加圧によって破壊しても、隣接するガラス瓶へ波及することを防止しながら、能率よく耐内圧検査を行うことができる検査方法と検査装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0007】
(1)本発明に係るガラス瓶の耐内圧検査方法は、ガラス瓶を前後に並べて移送するとともに、前後に隣接するガラス瓶の間に介在した遮蔽壁をガラス瓶と同期して移動させ、ガラス瓶と同期移動する加圧ヘッドでガラス瓶の口を押圧封止し、加圧ヘッドから瓶内に加圧流体を注入してガラス瓶に内圧を印加し、加圧ヘッドを移動させた後、ガラス瓶の口から離間させることを特徴とする。
【0008】
これによると、耐内圧性の低下しているガラス瓶が内圧印加によって破壊した場合でも、その破壊衝撃や飛散したガラス破片が遮蔽壁によって受け止められ、隣接するガラス瓶に波及することを防止することができる。
【0009】
(2)本発明の好ましい実施態様では、ガラス瓶の口に前記加圧ヘッドが押圧されている間だけ加圧流体を加圧ヘッドからガラス瓶に供給することを特徴とする。
【0010】
これによると、加圧ヘッドがガラス瓶に押圧されていない間は、自閉バルブによって加圧流体の流出は遮断され、内圧を印加する過程においてのみ加圧流体を供給することができ、加圧流体の無駄な流出を回避して流体供給動力を節減することができる。
【0011】
(3)本発明に係るガラス瓶の耐内圧検査装置は、ガラス瓶を移送するコンベアと、ガラス瓶と同期して移動して前後のガラス瓶を仕切る遮蔽壁と、ガラス瓶の口に押圧される加圧ヘッドと、ガラス瓶の移動に同期して加圧ヘッドを前後および上下に循環移動させるヘッド移動機構と、を備え、
コンベア上のガラス瓶が移動する間に加圧ヘッドをガラス瓶の口に押圧し、ガラス瓶に加圧流体を注入して内圧を印加するよう構成してあることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、上記(1)の発明方法を好適に実施することができる。
【0013】
(4)本発明の好ましい実施態様においては、ガラス瓶と同期して移動する前記遮蔽壁に、ガラス瓶を前後から支持して前後の瓶間隔を保持する瓶支持部を備えてある。
【0014】
この構成によると、前後間隔を一定にしてガラス瓶が移送されるので、ガラス瓶の口に対して加圧ヘッド圧を正しい位置決め状態で押圧することができ、瓶内部への加圧流体の注入加圧を的確に行うことができる。
【0015】
(5)本発明の他の実施態様においては、前記加圧ヘッドに、ガラス瓶の口への押圧によって開放され、ガラス瓶の口からの離間によって閉塞される自閉バルブを備えてある。
【0016】
この構成によると、特別なタイミング制御手段を要することなく、機械的な構成で上記(2)に記載の機能を的確に発揮させることができる。
【0017】
(6)本発明の他の実施態様においては、コンベア上のガラス瓶を一定の前後間隔を開けた状態に整列する整列機構を備えてある。
【0018】
この構成によると、ガラス瓶を無造作に並べて耐内圧検査装置に搬入しても、遮蔽壁を介在するに好適な前後間隔を空けた状態にして耐内圧検査を施すことができ、搬入ラインを厳密に同期制御する必要なく接続することができる。
【0019】
(7)本発明の他の実施態様においては、前記コンベア、前記遮蔽壁の移動機構、前記加圧ヘッドの移動機構を単一の駆動モータに同期連動してある。
【0020】
この構成によると、各部を連動する伝動機構にチェーンやギヤを用いてスリップの発生しないものにすることで、各部連動伝動機構を簡単かつ的確に同期駆動することができる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明によれば、傷ついて耐内圧性が低下しているガラス瓶が加圧によって破壊しても、隣接するガラス瓶へ波及することを防止しながら、能率よく耐内圧検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態にかかる耐内圧検査装置の全体平面図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる耐内圧検査装置の全体正面図である。
【図3】前記耐内圧検査装置における姿勢保持装置の平面図である。
【図4】前記姿勢保持装置の一部を切欠いた正面図である。
【図5】前記姿勢保持装置の縦断側面図である。
【図6】前記耐内圧検査装置における瓶ホルダの一部切欠き平面図である。
【図7】前記耐内圧検査装置における内圧付与装置の全体正面図である。
【図8】前記内圧付与装置のヘッド移動機構を分解した斜視図である。
【図9】前記内圧付与装置の平面図である。
【図10】前記内圧付与装置の縦断側面図である。
【図11】前記耐内圧検査装置における加圧ヘッドのバルブ閉じ状態(a)およびバルブ開き状態(b)を示す縦断正面図である。
【図12】前記耐内圧検査装置におけるヘッド移動機構の各種動作状態を示す正面図である。
【図13】前記耐内圧検査装置における伝動系統を示す斜視図である。
【図14】従来の耐内圧検査手段の概略を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態にかかるガラス瓶の耐内圧検査方法および耐内圧検査装置を詳細に説明する。
【0024】
まず、図1、図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる耐内圧検査装置の全体平面図、図2は、本発明の実施形態にかかる耐内圧検査装置の全体正面図である。これらの図に示される一実施形態の耐内圧検査装置は、検査対象となるガラス瓶wを、立ち姿勢で載置して、縦列状に水平搬送するコンベア1、搬送されるガラス瓶wの立ち姿勢および前後間隔を安定保持しながらコンベア1と同速度で同期回動される姿勢保持装置2、搬入コンベア3で送られてきたガラス瓶wを姿勢保持装置2による瓶ピッチに対応する前後一定間隔に配列してコンベア1に送り込む整列機構4、搬送されるガラス瓶wに高い内圧を付与する内圧付与装置5、等が備えられており、以下に各部の構造を詳細に説明する。なお、以後の説明において、便宜上、コンベア1の長手方向を前後方向、コンベア1の幅方向を左右方向と呼称する。
【0025】
前記コンベア1は、幅広の搬送プレートを順次枢支連結したループ状の搬送ベルト6を、後方の駆動スプロケット7と前方の従動スプロケット8に亘って巻回して構成されている。図5中に示すように、搬送径路においては、搬送ベルト6の左右両端を摺動自在に受け止め支持するスライドレール9が前後水平に固定配備されており、搬送径路における搬送ベルト6が瓶重量によって撓むことなく平坦状態を維持して水平移動するようになっている。
【0026】
図3〜図6に、前記姿勢保持装置2の詳細な構造が示されている。この姿勢保持装置2は、前記コンベア1の横側上方に沿って配備されており、駆動スプロケット10と従動スプロケット11に亘って横回し巻回された上下一対のチェーン12に、多数の瓶ホルダ13を前後一定ピッチで取り付けて構成されている。従動スプロケット11の支軸14は、多数の皿バネを積層してなる上下一対のテンション機構15によって前方にスライド付勢され、チェーン12が適度に緊張されている。また、直線径路におけるチェーン12は前後に長いガイドレール16の案内溝16aに挿通され、瓶ホルダ13がコンベア1と平行して直線移動するよう構成されている。
【0027】
各瓶ホルダ13は、上下のチェーン12に亘って連結された支持板17、その表面に装着された前後一対の樹脂製の瓶支持部18と、前後の瓶支持部18で挟まれた縦壁状の遮蔽壁19とで構成されている。各瓶支持部18は平面形状が直角三角形のブロック状に形成されており、前後一対の瓶支持部18が遮蔽壁19の厚さに相当する小間隔を開けて背中合わせ状に支持板17に連結されている。また、前後の瓶支持部18に亘って2本のスプリングピン20が前記小間隔を貫通して打ち込み装着されており、図5中の仮想線で示すように、小間隔に上方から遮蔽壁19を挿入して、遮蔽壁19の下端縁に形成した切欠き21をスプリングピン20に係止することで、遮蔽壁19を所定の姿勢に位置決め固定するよう構成されている。
【0028】
前記整列機構4は、ガラス瓶wの胴部に係合して駆動される星形ローラ22をコンベア1の入り口側の横脇に立設配備して構成されており、星形ローラ22が一定速度で回転することで、搬入コンベア3からコンベア1に移載されたガラス瓶wを星形の周方向ピッチによって決定される一定の前後間隔に整列するよう構成されている。整列機構4によって決められる瓶前後間隔は姿勢保持装置2における瓶ホルダ13の前後ピッチに対応されており、コンベア1で整列されたガラス瓶wは姿勢保持装置2における前後の瓶ホルダ13の間に正しく導かれる。
【0029】
なお、図1で示すように、搬入コンベア3で搬送されてきたガラス瓶wは、左右のガイドバー23で案内されて固定案内レール24上に押し出し移載された後、コンベア1および整列機構4に導かれる。また、整列機構4で整列作用を受けるガラス瓶wは、ガイドバー23の後部と径路脇に固定配備されたガイドプレート25で案内され、星形ローラ22がガラス瓶wに正しく係合作用するよう左右方向での瓶位置決めがなされる。
【0030】
図7〜図11に、前記内圧付与装置5の詳細な構造が示されている。前記姿勢保持装置2の上方には、これを前後に跨ぐように門形フレーム30が立設されるとともに、門形フレーム30における支柱部30aの上部に亘って角パイプ製の支持フレーム31が前後水平に架設支持され、この支持フレーム31の正面中央に内圧付与装置5が装備されている。
【0031】
支持フレーム31の正面上下にはそれぞれベース板32が固設されるとともに、各ベース板32の正面に水平レール33がそれぞれ設けられている。これら上下の各水平レール33に前後一対づつ嵌合するスライダ34を背面に備えた第1可動台35が前後水平にスライド移動可能に配備されている。更に、第1可動台35の正面には前後一対の縦レール36が鉛直に設けられるとともに、これら前後の各縦レール36に上下一対づつ嵌合するスライダ37を背面に備えた第2可動台38が上下にスライド移動可能に配備されている。そして、第2可動台38の正面に突設された前後一対の支持ブラケット39に加圧ヘッド40が搭載連結されるようになっている。
【0032】
支持フレーム31には軸受けボス41を介して駆動軸42が挿通支承され、この駆動軸42の正面側の突出端部に操作カム43が連結されている。また、駆動軸42の背面側の突出端が支持フレーム31の背面に装着した駆動ケース44に挿入されて、駆動ケース44に下方から挿入された入力軸45にベベルギヤ連動され、入力軸45の回転によって操作カム43が正面から見て軸心x回りに時計方向に一定速度で回転されるようになっている。
【0033】
水平移動可能な第1可動台35の背面には、操作カム43の外周に後方から当接するカムフォロアローラ46が遊転自在に装備されるとともに、第1可動台35の上方後部に設けられたバネ受けピン47と、上部のベース板32における前端近くに設けられたバネ受けピン48に亘って引っ張りバネ49が張設され、このバネ張力によって第1可動台35が常に前方にスライド付勢され、カムフォロアローラ46が操作カム43に当接することで第1可動台35の前後方向での位置が決められるようになっている。
【0034】
操作カム43の正面には、カム回転軸心xと偏芯して操作ローラ50が軸支されるとともに、第2可動台38の背面には、操作ローラ50を上下から挟む一対の受け部材51が設けられており、操作カム43の回動によって操作ローラ50がカム回転軸心xを中心として偏芯回動することで、操作ローラ50のカム回転軸心xからの偏芯距離の2倍のストロークで第2可動台38が上下にスライド移動されるようになっている。
【0035】
このように、操作カム43が回動することで、図12に示すように、第1可動台35が前後に往復移動するとともに、操作ローラ50の偏芯回動によって第2可動台38が上下に往復移動し、第2可動台38に装着した加圧ヘッド40が、前後および上下に亘る一定のループ軌跡で循環移動されるヘッド移動機構が構成されている。なお、図12(a)は、加圧ヘッド40がガラス瓶wに追従して後方へ移動を開始する状態を示し、図12(b)は、後方移動する加圧ヘッド40が下限に到達した状態を示し、図12(c)は、加圧ヘッド40の後方への追従移動が終了した状態を示し、また、図12(d)は、加圧ヘッド40が前方へ復帰移動しながら上限に到達した状態を示している。
【0036】
図11に、加圧ヘッド40の詳細な構造が示されている。この加圧ヘッ40には、第2可動台38に搭載連結されるとともにホース60を介して高圧水が供給されるボス部61、このボス部61に上下スライド可能に挿入されて下方に突出されるプランジャ部62、プランジャ部62の上下動によって開閉される自閉バルブ63、プランジャ部62の下方突出端に備えられたヘッド本体64、等が備えられている。
【0037】
自閉バルブ63は、内装したコイルバネ65で下向きに付勢した球状の弁子66を弁座67に押圧することで閉じ状態が維持され、プランジャ部62の上端で弁子66がコイルバネ65に抗して突き上げ変位されて便座67から浮上することで、ボス部61の内部に形成された流路aとプランジャ部62に形成された流路bとが連通されて、高圧水がヘッド本体64に導かれるようになっている。
【0038】
ヘッド本体64は、ガラス瓶wの口に被さる径で下向きに開口された口金部材68の内部に、ゴムなどの弾性材からなるリング状のシールプレート69を装備して構成されており、加圧ヘッド40が下降してヘッド本体64がガラス瓶wの口に押し当てられることで、シールプレート69でガラス瓶wの口が押圧封止されるようになっている。
【0039】
図7で示すように、内圧付与装置5を装着した支持フレーム31は、門形フレーム30における前後の支柱部30aに対して上下動可能に支持されるとともに、ハンドル70によって回動操作される操作軸71にベベルギヤ連動された前後一対のネジ軸72に螺合支持されており、操作軸71を回動して支持フレーム31を平行にねじ送り昇降することで、内圧付与装置5をガラス瓶wのサイズに合わせた適正高さに位置調節することが可能となっている。なお、一方の支柱部30aには上下一対のロックレバー73が配備されており、このロックレバー73を回動操作することで支持フレーム31を任意の高さで締め込み固定、および、固定解除することができる。
【0040】
図13に、この耐内圧検査装置全体の駆動系統が示されている。図から明らかなように、駆動系には単一の駆動モータ74が利用されており、駆動モータ74からの出力は、先ず第1ギヤケース75に入力されてギヤ減速された後、縦向きの原動軸76に出力される。原動軸76の中間部位と第2ギヤケース77の第1伝動軸78、および、別箇所に立設配備されたカウンター軸79とがチェーン80を介して連動連結されるとともに、第2ギヤケース77に入力された動力が横向きの第2伝動軸81に出力される。
【0041】
第2伝動軸81とコンベア駆動軸82とがチェーン83を介して巻き掛け連動され、これによって駆動モータ74からコンベア1へスリップの無い伝動が行われる。
【0042】
前記カウンター軸79と別途立設された第3伝動軸84とがチェーン85で巻き掛け連動されるとともに、第3伝動軸84と星形ローラ22の駆動軸86とがギヤ87,88を介して咬合連動され、これによって、駆動モータ74から整列機構4へスリップの無い伝動が行われる。
【0043】
また、前記カウンター軸79の上部に姿勢保持装置2におけるチェーン12を巻回する駆動スプロケット10が備えられ、これによって、駆動モータ74から姿勢保持装置2へスリップの無い伝動が行われる。
【0044】
前記原動軸76の上端部と内圧付与装置5における入力軸45の下端部とが同心に突合せ配備されるとともに、両軸76,45が伸縮自在にキー連結されており、これによって、駆動モータ74から内圧付与装置5へスリップの無い伝動が行われる。
【0045】
このように、コンベア1、遮蔽壁19の移動機構を備えた姿勢保持装置2、整列機構4、および、加圧ヘッド40の移動機構を備えた内圧付与装置5、の全てが単一の駆動モータ74によって駆動位相差を発生させることなく同期駆動されるようになっている。
【0046】
本発明に係るガラス瓶耐内圧検査装置は以上のように構成されており、次にその検査過程について説明する。
【0047】
搬入コンベア3で搬送されてきたガラス瓶wは、先ず整列機構4に導かれ、回動する星形ローラ22によって一定の前後間隔を空けた状態に整列されて後方に搬送されてゆく。なお、搬入コンベア3上手には図示されていない給水部が設置されており、ここで満杯に給水されたガラス瓶wが搬入されてくる。
【0048】
整列されて搬送されるガラス瓶wは、コンベア1と同期して回動している姿勢保持装置2の作用域に入り、瓶ホルダ13に前方から係止されながら、径路脇に固定配備されたガイドプレート89によって案内され、前後に隣接する瓶ホルダ13の間に形成された三角形空間に導かれる。前後に隣接する瓶ホルダ13の間に導かれたガラス瓶wは、前後に隣接する瓶ホルダ13の瓶支持部18で挟まれて位置決めされ、前後の瓶間隔が一定に維持されるとともに、各ガラス瓶wの立ち姿勢が安定保持された状態で後方に連続搬送されてゆく。
【0049】
他方、内圧付与装置5においては、操作カム43の定速連続回転に伴って加圧ヘッド40が所定の軌跡で循環移動されており、ガラス瓶wに追従して後方に移動しながら下降する加圧ヘッド40のヘッド本体64が、所定位置まで搬送されてきたガラス瓶wの口に押し当てられ、加圧ヘッド40の引き続く下降に伴ってヘッド本体64はボス部61に対して相対的に突き上げられる。これによって、ヘッド本体64を支持しているプランジャ部62がコイルバネ65に抗して上昇変位することで自閉バルブ63が開かれ、ホース60を介して供給されている高圧水がヘッド本体64にまで導かれ、水で満たされているガラス瓶wに高圧水が供給されることで所定の内圧が印加され、この内圧印加によって破壊しないガラス瓶wが十分な耐内圧性を備えた良品とされる。
【0050】
この場合、先の使用中についた傷などで設定以下まで耐内圧性が低下しているガラス瓶wは、内圧印加によって破壊することになるが、この破壊衝撃や発生したガラス破片は瓶ホルダ13の遮蔽壁によって受け止められ、前後に隣接するガラス瓶wに波及することが阻止される。
【0051】
ガラス瓶wが、図3中に示された位置pまで移動すると加圧ヘッド40は下限に到達し、自閉バルブ63が最大に開かれた状態となる。引き続く後方への瓶搬送およびヘッド移動に伴って加圧ヘッド40が上昇し、これに伴ってコイルバネ65によって下方付勢されているヘッド本体64およびプランジャ部62がボス部61に対して相対下降し、ヘッド本体64がガラス瓶wの口から上方に離れた時点で自閉バルブ63が閉じられる。
【0052】
ガラス瓶wから離れた加圧ヘッド40は前方に復帰移動した後、再び後方へ移動し、後続のガラス瓶wへの追従移動および加圧行程に移行する。
【0053】
加圧処理が済んだガラス瓶wは、左右のガイドバー90で案内されてコンベア1から搬出され、固定案内レール91の上をスライド移動して搬出コンベア92に移載されてゆく。
【0054】
なお、加圧によって破壊したガラス瓶wは、図示されていないエアーブロー装置などによってコンベア1から側方に強制排除され、コンベア後部の横脇に設けたシュー93を介して回収容器などに回収される。
〔第2の実施の形態〕
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0055】
(1)上記実施例の瓶ホルダ13は、チェーン12に連結固定した瓶支持部18に対して遮蔽壁19を脱着できる構造としたが、遮蔽壁19と瓶支持部18とを樹脂材で一体成形することもできる。また、チェーン12に遮蔽壁19を連結固定し、この遮蔽壁19に対して瓶支持部18を脱着する構造とすることもでき、これによると、ガラス瓶wのサイズ等に応じた形状や大きさの瓶支持部18と容易に交換することが可能となる。
【0056】
(2)加圧ヘッド40の自閉バルブ63に代えて、電磁開閉弁を装備するとともに、駆動軸の回転位相を検出するようにし、ヘッド本体64がガラス瓶wに押圧されている間の好適な時間域において高圧水が供給されるように電磁開閉弁を開閉制御することも可能であり、これによると、ガラス瓶wの種類、等に対応して加圧タイミングや加圧特性、等を容易かつ速やかに設定変更することができる。
【0057】
(3)上記実施例では、第1可動台35の前後移動と、第2可動台38の上下移動を組み合わせることで、第2可動台38に装着した加圧ヘッド40を前後および上下に循環移動させるヘッド移動機構を構成しているが、前記操作カム43の正面に環状カム溝を形成するとともに、このカム溝に係入案内されるカムフォロアを第2可動台38の背面に設け、操作カム43を回動することで第2可動台38を直接に前後および上下に循環移動させるようにヘッド移動機構を構成することも可能である。
【0058】
(4)加圧ヘッド40からガラス瓶wに供給する加圧流体は水に限られるものではなく、水を満たしたガラス瓶wの口に加圧ヘッド40を押圧して封止し、加圧ヘッド40から高圧空気を供給して所望の内圧を印加することも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 コンベア
4 整列機構
18 瓶支持部
19 遮蔽壁
40 加圧ヘッド
63 自閉バルブ
w ガラス瓶
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてビールや炭酸飲料など内圧が発生する発泡性飲料が充填されるガラス瓶を回収して再使用するに際して、ガラス瓶の内圧に対する耐久性を検査する方法とこれを実行する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回収された使用済みのガラス瓶のなかには、当て傷、すり傷、クラックなどによって耐内圧性が低下しているものがあり、このようなものを除外して設定以上の耐内圧性が確保されたものだけを再使用に供することが望まれる。
【0003】
そこで、再使用されるガラス瓶の耐内圧検査を行うことが要求され、回収された使用済みのガラス瓶に高圧水などの加圧液体を注入して耐内圧性を検査することが試みられた。
この耐内圧検査手段は、図14に示すように、水が満杯に注入されたガラス瓶wを並べて連続移動させ、このガラス瓶wと同期して循環移動する加圧ヘッド40群をガラス瓶wの口に押し当て加圧水を注入することで、飲料を充填封止した場合に通常発生する内圧よりも十分高い内圧をかけ、ガラス瓶wが印加された内圧によって破壊しないものを、耐内圧性が確保された良品とするようにしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の耐内圧検査手段方法では、ガラス瓶が前後に接触した状態に並べて移動させるようにしていたので、耐内圧性が低下しているガラス瓶が、内圧印加によって、破壊した場合、その破壊衝撃や飛散したガラス破片が隣接するガラス瓶に及んで、良品までも破損あるいは傷つけてしまうことがあった。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、傷ついて耐内圧性が低下しているガラス瓶が加圧によって破壊しても、隣接するガラス瓶へ波及することを防止しながら、能率よく耐内圧検査を行うことができる検査方法と検査装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0007】
(1)本発明に係るガラス瓶の耐内圧検査方法は、ガラス瓶を前後に並べて移送するとともに、前後に隣接するガラス瓶の間に介在した遮蔽壁をガラス瓶と同期して移動させ、ガラス瓶と同期移動する加圧ヘッドでガラス瓶の口を押圧封止し、加圧ヘッドから瓶内に加圧流体を注入してガラス瓶に内圧を印加し、加圧ヘッドを移動させた後、ガラス瓶の口から離間させることを特徴とする。
【0008】
これによると、耐内圧性の低下しているガラス瓶が内圧印加によって破壊した場合でも、その破壊衝撃や飛散したガラス破片が遮蔽壁によって受け止められ、隣接するガラス瓶に波及することを防止することができる。
【0009】
(2)本発明の好ましい実施態様では、ガラス瓶の口に前記加圧ヘッドが押圧されている間だけ加圧流体を加圧ヘッドからガラス瓶に供給することを特徴とする。
【0010】
これによると、加圧ヘッドがガラス瓶に押圧されていない間は、自閉バルブによって加圧流体の流出は遮断され、内圧を印加する過程においてのみ加圧流体を供給することができ、加圧流体の無駄な流出を回避して流体供給動力を節減することができる。
【0011】
(3)本発明に係るガラス瓶の耐内圧検査装置は、ガラス瓶を移送するコンベアと、ガラス瓶と同期して移動して前後のガラス瓶を仕切る遮蔽壁と、ガラス瓶の口に押圧される加圧ヘッドと、ガラス瓶の移動に同期して加圧ヘッドを前後および上下に循環移動させるヘッド移動機構と、を備え、
コンベア上のガラス瓶が移動する間に加圧ヘッドをガラス瓶の口に押圧し、ガラス瓶に加圧流体を注入して内圧を印加するよう構成してあることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、上記(1)の発明方法を好適に実施することができる。
【0013】
(4)本発明の好ましい実施態様においては、ガラス瓶と同期して移動する前記遮蔽壁に、ガラス瓶を前後から支持して前後の瓶間隔を保持する瓶支持部を備えてある。
【0014】
この構成によると、前後間隔を一定にしてガラス瓶が移送されるので、ガラス瓶の口に対して加圧ヘッド圧を正しい位置決め状態で押圧することができ、瓶内部への加圧流体の注入加圧を的確に行うことができる。
【0015】
(5)本発明の他の実施態様においては、前記加圧ヘッドに、ガラス瓶の口への押圧によって開放され、ガラス瓶の口からの離間によって閉塞される自閉バルブを備えてある。
【0016】
この構成によると、特別なタイミング制御手段を要することなく、機械的な構成で上記(2)に記載の機能を的確に発揮させることができる。
【0017】
(6)本発明の他の実施態様においては、コンベア上のガラス瓶を一定の前後間隔を開けた状態に整列する整列機構を備えてある。
【0018】
この構成によると、ガラス瓶を無造作に並べて耐内圧検査装置に搬入しても、遮蔽壁を介在するに好適な前後間隔を空けた状態にして耐内圧検査を施すことができ、搬入ラインを厳密に同期制御する必要なく接続することができる。
【0019】
(7)本発明の他の実施態様においては、前記コンベア、前記遮蔽壁の移動機構、前記加圧ヘッドの移動機構を単一の駆動モータに同期連動してある。
【0020】
この構成によると、各部を連動する伝動機構にチェーンやギヤを用いてスリップの発生しないものにすることで、各部連動伝動機構を簡単かつ的確に同期駆動することができる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明によれば、傷ついて耐内圧性が低下しているガラス瓶が加圧によって破壊しても、隣接するガラス瓶へ波及することを防止しながら、能率よく耐内圧検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態にかかる耐内圧検査装置の全体平面図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる耐内圧検査装置の全体正面図である。
【図3】前記耐内圧検査装置における姿勢保持装置の平面図である。
【図4】前記姿勢保持装置の一部を切欠いた正面図である。
【図5】前記姿勢保持装置の縦断側面図である。
【図6】前記耐内圧検査装置における瓶ホルダの一部切欠き平面図である。
【図7】前記耐内圧検査装置における内圧付与装置の全体正面図である。
【図8】前記内圧付与装置のヘッド移動機構を分解した斜視図である。
【図9】前記内圧付与装置の平面図である。
【図10】前記内圧付与装置の縦断側面図である。
【図11】前記耐内圧検査装置における加圧ヘッドのバルブ閉じ状態(a)およびバルブ開き状態(b)を示す縦断正面図である。
【図12】前記耐内圧検査装置におけるヘッド移動機構の各種動作状態を示す正面図である。
【図13】前記耐内圧検査装置における伝動系統を示す斜視図である。
【図14】従来の耐内圧検査手段の概略を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態にかかるガラス瓶の耐内圧検査方法および耐内圧検査装置を詳細に説明する。
【0024】
まず、図1、図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる耐内圧検査装置の全体平面図、図2は、本発明の実施形態にかかる耐内圧検査装置の全体正面図である。これらの図に示される一実施形態の耐内圧検査装置は、検査対象となるガラス瓶wを、立ち姿勢で載置して、縦列状に水平搬送するコンベア1、搬送されるガラス瓶wの立ち姿勢および前後間隔を安定保持しながらコンベア1と同速度で同期回動される姿勢保持装置2、搬入コンベア3で送られてきたガラス瓶wを姿勢保持装置2による瓶ピッチに対応する前後一定間隔に配列してコンベア1に送り込む整列機構4、搬送されるガラス瓶wに高い内圧を付与する内圧付与装置5、等が備えられており、以下に各部の構造を詳細に説明する。なお、以後の説明において、便宜上、コンベア1の長手方向を前後方向、コンベア1の幅方向を左右方向と呼称する。
【0025】
前記コンベア1は、幅広の搬送プレートを順次枢支連結したループ状の搬送ベルト6を、後方の駆動スプロケット7と前方の従動スプロケット8に亘って巻回して構成されている。図5中に示すように、搬送径路においては、搬送ベルト6の左右両端を摺動自在に受け止め支持するスライドレール9が前後水平に固定配備されており、搬送径路における搬送ベルト6が瓶重量によって撓むことなく平坦状態を維持して水平移動するようになっている。
【0026】
図3〜図6に、前記姿勢保持装置2の詳細な構造が示されている。この姿勢保持装置2は、前記コンベア1の横側上方に沿って配備されており、駆動スプロケット10と従動スプロケット11に亘って横回し巻回された上下一対のチェーン12に、多数の瓶ホルダ13を前後一定ピッチで取り付けて構成されている。従動スプロケット11の支軸14は、多数の皿バネを積層してなる上下一対のテンション機構15によって前方にスライド付勢され、チェーン12が適度に緊張されている。また、直線径路におけるチェーン12は前後に長いガイドレール16の案内溝16aに挿通され、瓶ホルダ13がコンベア1と平行して直線移動するよう構成されている。
【0027】
各瓶ホルダ13は、上下のチェーン12に亘って連結された支持板17、その表面に装着された前後一対の樹脂製の瓶支持部18と、前後の瓶支持部18で挟まれた縦壁状の遮蔽壁19とで構成されている。各瓶支持部18は平面形状が直角三角形のブロック状に形成されており、前後一対の瓶支持部18が遮蔽壁19の厚さに相当する小間隔を開けて背中合わせ状に支持板17に連結されている。また、前後の瓶支持部18に亘って2本のスプリングピン20が前記小間隔を貫通して打ち込み装着されており、図5中の仮想線で示すように、小間隔に上方から遮蔽壁19を挿入して、遮蔽壁19の下端縁に形成した切欠き21をスプリングピン20に係止することで、遮蔽壁19を所定の姿勢に位置決め固定するよう構成されている。
【0028】
前記整列機構4は、ガラス瓶wの胴部に係合して駆動される星形ローラ22をコンベア1の入り口側の横脇に立設配備して構成されており、星形ローラ22が一定速度で回転することで、搬入コンベア3からコンベア1に移載されたガラス瓶wを星形の周方向ピッチによって決定される一定の前後間隔に整列するよう構成されている。整列機構4によって決められる瓶前後間隔は姿勢保持装置2における瓶ホルダ13の前後ピッチに対応されており、コンベア1で整列されたガラス瓶wは姿勢保持装置2における前後の瓶ホルダ13の間に正しく導かれる。
【0029】
なお、図1で示すように、搬入コンベア3で搬送されてきたガラス瓶wは、左右のガイドバー23で案内されて固定案内レール24上に押し出し移載された後、コンベア1および整列機構4に導かれる。また、整列機構4で整列作用を受けるガラス瓶wは、ガイドバー23の後部と径路脇に固定配備されたガイドプレート25で案内され、星形ローラ22がガラス瓶wに正しく係合作用するよう左右方向での瓶位置決めがなされる。
【0030】
図7〜図11に、前記内圧付与装置5の詳細な構造が示されている。前記姿勢保持装置2の上方には、これを前後に跨ぐように門形フレーム30が立設されるとともに、門形フレーム30における支柱部30aの上部に亘って角パイプ製の支持フレーム31が前後水平に架設支持され、この支持フレーム31の正面中央に内圧付与装置5が装備されている。
【0031】
支持フレーム31の正面上下にはそれぞれベース板32が固設されるとともに、各ベース板32の正面に水平レール33がそれぞれ設けられている。これら上下の各水平レール33に前後一対づつ嵌合するスライダ34を背面に備えた第1可動台35が前後水平にスライド移動可能に配備されている。更に、第1可動台35の正面には前後一対の縦レール36が鉛直に設けられるとともに、これら前後の各縦レール36に上下一対づつ嵌合するスライダ37を背面に備えた第2可動台38が上下にスライド移動可能に配備されている。そして、第2可動台38の正面に突設された前後一対の支持ブラケット39に加圧ヘッド40が搭載連結されるようになっている。
【0032】
支持フレーム31には軸受けボス41を介して駆動軸42が挿通支承され、この駆動軸42の正面側の突出端部に操作カム43が連結されている。また、駆動軸42の背面側の突出端が支持フレーム31の背面に装着した駆動ケース44に挿入されて、駆動ケース44に下方から挿入された入力軸45にベベルギヤ連動され、入力軸45の回転によって操作カム43が正面から見て軸心x回りに時計方向に一定速度で回転されるようになっている。
【0033】
水平移動可能な第1可動台35の背面には、操作カム43の外周に後方から当接するカムフォロアローラ46が遊転自在に装備されるとともに、第1可動台35の上方後部に設けられたバネ受けピン47と、上部のベース板32における前端近くに設けられたバネ受けピン48に亘って引っ張りバネ49が張設され、このバネ張力によって第1可動台35が常に前方にスライド付勢され、カムフォロアローラ46が操作カム43に当接することで第1可動台35の前後方向での位置が決められるようになっている。
【0034】
操作カム43の正面には、カム回転軸心xと偏芯して操作ローラ50が軸支されるとともに、第2可動台38の背面には、操作ローラ50を上下から挟む一対の受け部材51が設けられており、操作カム43の回動によって操作ローラ50がカム回転軸心xを中心として偏芯回動することで、操作ローラ50のカム回転軸心xからの偏芯距離の2倍のストロークで第2可動台38が上下にスライド移動されるようになっている。
【0035】
このように、操作カム43が回動することで、図12に示すように、第1可動台35が前後に往復移動するとともに、操作ローラ50の偏芯回動によって第2可動台38が上下に往復移動し、第2可動台38に装着した加圧ヘッド40が、前後および上下に亘る一定のループ軌跡で循環移動されるヘッド移動機構が構成されている。なお、図12(a)は、加圧ヘッド40がガラス瓶wに追従して後方へ移動を開始する状態を示し、図12(b)は、後方移動する加圧ヘッド40が下限に到達した状態を示し、図12(c)は、加圧ヘッド40の後方への追従移動が終了した状態を示し、また、図12(d)は、加圧ヘッド40が前方へ復帰移動しながら上限に到達した状態を示している。
【0036】
図11に、加圧ヘッド40の詳細な構造が示されている。この加圧ヘッ40には、第2可動台38に搭載連結されるとともにホース60を介して高圧水が供給されるボス部61、このボス部61に上下スライド可能に挿入されて下方に突出されるプランジャ部62、プランジャ部62の上下動によって開閉される自閉バルブ63、プランジャ部62の下方突出端に備えられたヘッド本体64、等が備えられている。
【0037】
自閉バルブ63は、内装したコイルバネ65で下向きに付勢した球状の弁子66を弁座67に押圧することで閉じ状態が維持され、プランジャ部62の上端で弁子66がコイルバネ65に抗して突き上げ変位されて便座67から浮上することで、ボス部61の内部に形成された流路aとプランジャ部62に形成された流路bとが連通されて、高圧水がヘッド本体64に導かれるようになっている。
【0038】
ヘッド本体64は、ガラス瓶wの口に被さる径で下向きに開口された口金部材68の内部に、ゴムなどの弾性材からなるリング状のシールプレート69を装備して構成されており、加圧ヘッド40が下降してヘッド本体64がガラス瓶wの口に押し当てられることで、シールプレート69でガラス瓶wの口が押圧封止されるようになっている。
【0039】
図7で示すように、内圧付与装置5を装着した支持フレーム31は、門形フレーム30における前後の支柱部30aに対して上下動可能に支持されるとともに、ハンドル70によって回動操作される操作軸71にベベルギヤ連動された前後一対のネジ軸72に螺合支持されており、操作軸71を回動して支持フレーム31を平行にねじ送り昇降することで、内圧付与装置5をガラス瓶wのサイズに合わせた適正高さに位置調節することが可能となっている。なお、一方の支柱部30aには上下一対のロックレバー73が配備されており、このロックレバー73を回動操作することで支持フレーム31を任意の高さで締め込み固定、および、固定解除することができる。
【0040】
図13に、この耐内圧検査装置全体の駆動系統が示されている。図から明らかなように、駆動系には単一の駆動モータ74が利用されており、駆動モータ74からの出力は、先ず第1ギヤケース75に入力されてギヤ減速された後、縦向きの原動軸76に出力される。原動軸76の中間部位と第2ギヤケース77の第1伝動軸78、および、別箇所に立設配備されたカウンター軸79とがチェーン80を介して連動連結されるとともに、第2ギヤケース77に入力された動力が横向きの第2伝動軸81に出力される。
【0041】
第2伝動軸81とコンベア駆動軸82とがチェーン83を介して巻き掛け連動され、これによって駆動モータ74からコンベア1へスリップの無い伝動が行われる。
【0042】
前記カウンター軸79と別途立設された第3伝動軸84とがチェーン85で巻き掛け連動されるとともに、第3伝動軸84と星形ローラ22の駆動軸86とがギヤ87,88を介して咬合連動され、これによって、駆動モータ74から整列機構4へスリップの無い伝動が行われる。
【0043】
また、前記カウンター軸79の上部に姿勢保持装置2におけるチェーン12を巻回する駆動スプロケット10が備えられ、これによって、駆動モータ74から姿勢保持装置2へスリップの無い伝動が行われる。
【0044】
前記原動軸76の上端部と内圧付与装置5における入力軸45の下端部とが同心に突合せ配備されるとともに、両軸76,45が伸縮自在にキー連結されており、これによって、駆動モータ74から内圧付与装置5へスリップの無い伝動が行われる。
【0045】
このように、コンベア1、遮蔽壁19の移動機構を備えた姿勢保持装置2、整列機構4、および、加圧ヘッド40の移動機構を備えた内圧付与装置5、の全てが単一の駆動モータ74によって駆動位相差を発生させることなく同期駆動されるようになっている。
【0046】
本発明に係るガラス瓶耐内圧検査装置は以上のように構成されており、次にその検査過程について説明する。
【0047】
搬入コンベア3で搬送されてきたガラス瓶wは、先ず整列機構4に導かれ、回動する星形ローラ22によって一定の前後間隔を空けた状態に整列されて後方に搬送されてゆく。なお、搬入コンベア3上手には図示されていない給水部が設置されており、ここで満杯に給水されたガラス瓶wが搬入されてくる。
【0048】
整列されて搬送されるガラス瓶wは、コンベア1と同期して回動している姿勢保持装置2の作用域に入り、瓶ホルダ13に前方から係止されながら、径路脇に固定配備されたガイドプレート89によって案内され、前後に隣接する瓶ホルダ13の間に形成された三角形空間に導かれる。前後に隣接する瓶ホルダ13の間に導かれたガラス瓶wは、前後に隣接する瓶ホルダ13の瓶支持部18で挟まれて位置決めされ、前後の瓶間隔が一定に維持されるとともに、各ガラス瓶wの立ち姿勢が安定保持された状態で後方に連続搬送されてゆく。
【0049】
他方、内圧付与装置5においては、操作カム43の定速連続回転に伴って加圧ヘッド40が所定の軌跡で循環移動されており、ガラス瓶wに追従して後方に移動しながら下降する加圧ヘッド40のヘッド本体64が、所定位置まで搬送されてきたガラス瓶wの口に押し当てられ、加圧ヘッド40の引き続く下降に伴ってヘッド本体64はボス部61に対して相対的に突き上げられる。これによって、ヘッド本体64を支持しているプランジャ部62がコイルバネ65に抗して上昇変位することで自閉バルブ63が開かれ、ホース60を介して供給されている高圧水がヘッド本体64にまで導かれ、水で満たされているガラス瓶wに高圧水が供給されることで所定の内圧が印加され、この内圧印加によって破壊しないガラス瓶wが十分な耐内圧性を備えた良品とされる。
【0050】
この場合、先の使用中についた傷などで設定以下まで耐内圧性が低下しているガラス瓶wは、内圧印加によって破壊することになるが、この破壊衝撃や発生したガラス破片は瓶ホルダ13の遮蔽壁によって受け止められ、前後に隣接するガラス瓶wに波及することが阻止される。
【0051】
ガラス瓶wが、図3中に示された位置pまで移動すると加圧ヘッド40は下限に到達し、自閉バルブ63が最大に開かれた状態となる。引き続く後方への瓶搬送およびヘッド移動に伴って加圧ヘッド40が上昇し、これに伴ってコイルバネ65によって下方付勢されているヘッド本体64およびプランジャ部62がボス部61に対して相対下降し、ヘッド本体64がガラス瓶wの口から上方に離れた時点で自閉バルブ63が閉じられる。
【0052】
ガラス瓶wから離れた加圧ヘッド40は前方に復帰移動した後、再び後方へ移動し、後続のガラス瓶wへの追従移動および加圧行程に移行する。
【0053】
加圧処理が済んだガラス瓶wは、左右のガイドバー90で案内されてコンベア1から搬出され、固定案内レール91の上をスライド移動して搬出コンベア92に移載されてゆく。
【0054】
なお、加圧によって破壊したガラス瓶wは、図示されていないエアーブロー装置などによってコンベア1から側方に強制排除され、コンベア後部の横脇に設けたシュー93を介して回収容器などに回収される。
〔第2の実施の形態〕
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0055】
(1)上記実施例の瓶ホルダ13は、チェーン12に連結固定した瓶支持部18に対して遮蔽壁19を脱着できる構造としたが、遮蔽壁19と瓶支持部18とを樹脂材で一体成形することもできる。また、チェーン12に遮蔽壁19を連結固定し、この遮蔽壁19に対して瓶支持部18を脱着する構造とすることもでき、これによると、ガラス瓶wのサイズ等に応じた形状や大きさの瓶支持部18と容易に交換することが可能となる。
【0056】
(2)加圧ヘッド40の自閉バルブ63に代えて、電磁開閉弁を装備するとともに、駆動軸の回転位相を検出するようにし、ヘッド本体64がガラス瓶wに押圧されている間の好適な時間域において高圧水が供給されるように電磁開閉弁を開閉制御することも可能であり、これによると、ガラス瓶wの種類、等に対応して加圧タイミングや加圧特性、等を容易かつ速やかに設定変更することができる。
【0057】
(3)上記実施例では、第1可動台35の前後移動と、第2可動台38の上下移動を組み合わせることで、第2可動台38に装着した加圧ヘッド40を前後および上下に循環移動させるヘッド移動機構を構成しているが、前記操作カム43の正面に環状カム溝を形成するとともに、このカム溝に係入案内されるカムフォロアを第2可動台38の背面に設け、操作カム43を回動することで第2可動台38を直接に前後および上下に循環移動させるようにヘッド移動機構を構成することも可能である。
【0058】
(4)加圧ヘッド40からガラス瓶wに供給する加圧流体は水に限られるものではなく、水を満たしたガラス瓶wの口に加圧ヘッド40を押圧して封止し、加圧ヘッド40から高圧空気を供給して所望の内圧を印加することも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 コンベア
4 整列機構
18 瓶支持部
19 遮蔽壁
40 加圧ヘッド
63 自閉バルブ
w ガラス瓶
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス瓶を前後に並べて移送するとともに、前後に隣接するガラス瓶の間に介在した遮蔽壁をガラス瓶と同期して移動させ、ガラス瓶と同期移動する加圧ヘッドでガラス瓶の口を押圧封止し、加圧ヘッドから瓶内に加圧流体を注入してガラス瓶に内圧を印加し、加圧ヘッドを移動させた後、ガラス瓶の口から離間させることを特徴とするガラス瓶の耐内圧検査方法。
【請求項2】
ガラス瓶の口に前記加圧ヘッドが押圧されている間だけ加圧流体を加圧ヘッドからガラス瓶に供給することを特徴とする請求項1記載のガラス瓶の耐内圧検査方法。
【請求項3】
ガラス瓶を移送するコンベアと、ガラス瓶と同期して移動して前後のガラス瓶を仕切る遮蔽壁と、ガラス瓶の口に押圧される加圧ヘッドと、ガラス瓶の移動に同期して加圧ヘッドを前後および上下に循環移動させるヘッド移動機構と、を備え、
コンベア上のガラス瓶が移動する間に加圧ヘッドをガラス瓶の口に押圧し、ガラス瓶に加圧流体を注入して内圧を印加するよう構成してあることを特徴とするガラス瓶の耐内圧検査装置。
【請求項4】
ガラス瓶と同期して移動する前記遮蔽壁に、ガラス瓶を前後から支持して前後の瓶間隔を保持する瓶支持部を備えてある請求項3記載のガラス瓶の耐内圧検査装置。
【請求項5】
前記加圧ヘッドに、ガラス瓶の口への押圧によって開放され、ガラス瓶の口からの離間によって閉塞される自閉バルブを備えてある請求項3または4記載のガラス瓶の耐内圧検査装置。
【請求項6】
コンベア上のガラス瓶を一定の前後間隔を開けた状態に整列する整列機構を備えてある請求項3ないし5のいずれかに記載のガラス瓶の耐内圧検査装置。
【請求項7】
前記コンベア、前記遮蔽壁の移動機構、前記加圧ヘッドの移動機構を単一の駆動モータに同期連動してある請求項3ないし6のいずれかに記載のガラス瓶の耐内圧検査装置。
【請求項1】
ガラス瓶を前後に並べて移送するとともに、前後に隣接するガラス瓶の間に介在した遮蔽壁をガラス瓶と同期して移動させ、ガラス瓶と同期移動する加圧ヘッドでガラス瓶の口を押圧封止し、加圧ヘッドから瓶内に加圧流体を注入してガラス瓶に内圧を印加し、加圧ヘッドを移動させた後、ガラス瓶の口から離間させることを特徴とするガラス瓶の耐内圧検査方法。
【請求項2】
ガラス瓶の口に前記加圧ヘッドが押圧されている間だけ加圧流体を加圧ヘッドからガラス瓶に供給することを特徴とする請求項1記載のガラス瓶の耐内圧検査方法。
【請求項3】
ガラス瓶を移送するコンベアと、ガラス瓶と同期して移動して前後のガラス瓶を仕切る遮蔽壁と、ガラス瓶の口に押圧される加圧ヘッドと、ガラス瓶の移動に同期して加圧ヘッドを前後および上下に循環移動させるヘッド移動機構と、を備え、
コンベア上のガラス瓶が移動する間に加圧ヘッドをガラス瓶の口に押圧し、ガラス瓶に加圧流体を注入して内圧を印加するよう構成してあることを特徴とするガラス瓶の耐内圧検査装置。
【請求項4】
ガラス瓶と同期して移動する前記遮蔽壁に、ガラス瓶を前後から支持して前後の瓶間隔を保持する瓶支持部を備えてある請求項3記載のガラス瓶の耐内圧検査装置。
【請求項5】
前記加圧ヘッドに、ガラス瓶の口への押圧によって開放され、ガラス瓶の口からの離間によって閉塞される自閉バルブを備えてある請求項3または4記載のガラス瓶の耐内圧検査装置。
【請求項6】
コンベア上のガラス瓶を一定の前後間隔を開けた状態に整列する整列機構を備えてある請求項3ないし5のいずれかに記載のガラス瓶の耐内圧検査装置。
【請求項7】
前記コンベア、前記遮蔽壁の移動機構、前記加圧ヘッドの移動機構を単一の駆動モータに同期連動してある請求項3ないし6のいずれかに記載のガラス瓶の耐内圧検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−17907(P2013−17907A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150756(P2011−150756)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000178826)日本山村硝子株式会社 (140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000178826)日本山村硝子株式会社 (140)
【Fターム(参考)】
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