説明

ガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物、並びにこれを用いてなるガラス繊維集束剤、繊維強化樹脂用ガラス繊維及びガラス繊維強化樹脂。

【課題】ガラス繊維の集束性に優れたガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物、それを用いたガラス繊維集束剤、該ガラス繊維集束剤を用いて処理してなる強化樹脂用ガラス繊維、及び、機械的強度に優れたガラス繊維強化樹脂を提供する。
【解決手段】エポキシエステル化合物及びポリイソシアネートを反応させて得られるウレタン樹脂を、乳化剤を用いて水に分散させてなる水系ポリウレタン樹脂。前記エポキシエステル化合物が、下記一般式(1)で表される、リシノール酸エポキシエステル化合物を必須成分とすることを特徴とする。但し、式中のRは、各々独立して、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基であり、nは0〜3の数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス繊維集束剤等に好適な水系ポリウレタン樹脂組成物、ガラス繊維集束剤、繊維強化樹脂用ガラス繊維及びガラス繊維強化樹脂に関し、特に、本発明の特定のリシノール酸エポキシエステル化合物を含有する水系ポリウレタン樹脂組成物、該水系ポリウレタン樹脂組成物を含有する集束性に優れたガラス繊維集束剤、該ガラス繊維集束剤にて処理されたガラス繊維、及び該繊維を用いてなる機械的強度に優れたガラス繊維強化樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス繊維強化樹脂は、電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性、耐腐食性と共に、引張強さ、曲げ強さ、耐衝撃性等にも優れており、住宅設備や舟艇・船舶等の様々な用途がある。
【0003】
ガラス繊維強化樹脂に用いられるガラス繊維は、溶融したガラスを紡糸してなるフィラメントを数百本束ねて1本のストランドとし、これを3〜6mmの長さに切断してチョップドストランドとするか、又はストランド更に数十本集めてなるロービングを所定長に切断し、ガラスチョップドストランドとして得られる。
これをマトリックス樹脂と加熱しながら混練した後、各種の成形法によって所定形状に成形することによって各種の成形品が製造される。
ここで、ガラス繊維の製造時あるいは合成樹脂とのブレンド時の摩擦によって生じる糸割れ、毛羽立ちを防止し、フィラメントを保護するために集束剤が用いられる。
【0004】
また、ガラスチョップドストランドの集束力が弱いと、ホッパー内や導入経路中で解繊するために綿状の毛羽が生じやすくなり、ガラス繊維強化樹脂を製造する際、連続かつ安定した混練及び成形が困難となる。
従って、ガラス繊維強化樹脂に用いられるガラスチョップドストランドには、強い集束性が要求される。
また、ガラスチョップドストランドが強く集束することにより、ガラス繊維強化樹脂の機械的強度を良好にすることができる。
【0005】
従来、ガラス繊維等の繊維材料の集束剤としては、でんぷん、加工でんぷん、デキストリン、アミロース等のでんぷん類(特許文献1及び2)、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アクリルアミド−酢酸ビニル共重合体(特許文献3)等の合成高分子化合物が用いられていたが、これらの皮膜形成性は充分ではないために、ガラス繊維の毛羽発生が充分抑えられておらず、機械的強度、耐温熱水性が充分ではなかった。
【0006】
このような問題点を解消するために、エポキシ樹脂を繊維材料の集束剤として使用する方法、多官能エポキシ化合物にて表面処理されたガラス繊維を熱可塑性ポリエステル樹脂に使用する方法(特許文献4)や、水添ビスフェノールA又はエポキシエマルジョンを熱可塑性樹脂強化用繊維のサイジング剤として使用する方法(特許文献5)が提案されている。
しかしながら、これらのエポキシ樹脂を単独で使用した水性樹脂組成物を用いたFRP又はFRTPは、着色したり、物性が劣っていたりする等の問題があった。
【0007】
また、水系ウレタン樹脂を含有するガラス繊維集束剤も一般的に知られており、ウレタン樹脂にカップリング剤を配合して集束性を改善する技術(特許文献6)、ブロックイソシアネートを用いる技術(特許文献7)等が開示されているが、集束性及びガラス繊維強化樹脂の機械的強度等の物性が十分なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭50―012394号公報
【特許文献2】特開平03−183644号公報
【特許文献3】特開昭63−236733号公報
【特許文献4】特開昭55−052340号公報
【特許文献5】特開昭63−230543号公報
【特許文献6】特開平09−301746号公報
【特許文献7】特開2004−175641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の第1の目的は、ガラス繊維の集束性に優れたガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、ガラス繊維の集束性に優れ、機械的強度に優れたガラス繊維強化樹脂を提供することができるガラス繊維集束剤を提供することにある。
本発明の第3の目的は、集束性に優れ、機械的強度に優れたガラス繊維強化樹脂を提供することができる強化樹脂用ガラス繊維を提供することにある。
本発明の第4の目的は、ガラス繊維が十分に集束しており、機械的強度に優れたガラス繊維強化樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の諸目的を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のリシノール酸エポキシエステル化合物を必須成分とするエポキシエステル化合物とポリイソシアネートを反応させて得られる水系ポリウレタン樹脂組成物が、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、エポキシエステル化合物及びポリイソシアネートから得られるウレタン樹脂を、乳化剤を用いて水に分散させてなる水系ポリウレタン樹脂であって、前記エポキシエステル化合物が、下記一般式(1)で表される、リシノール酸エポキシエステル化合物を必須成分とすることを特徴とするガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物、該水系ポリウレタン樹脂組成物を含有することを特徴とするガラス繊維集束剤、該ガラス繊維集束剤で処理されたガラス繊維からなることを特徴とする繊維強化合成樹脂用ガラス繊維、及び、該繊維強化樹脂用ガラス繊維を10〜70質量%含むことを特徴とするガラス繊維強化樹脂、並びに、下記一般式(1)で表されるリシノール酸エポキシエステル化合物を必須成分とするエポキシエステル化合物、ポリイソシアネートを反応させて得られたウレタン樹脂を水中に分散させ、更に鎖伸長剤を添加して反応させ、ガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物を製造する方法であって、前記エポキシエステル化合物が、ヒマシ油脂肪酸とビスフェノールジグリシジルエーテル化合物とをエステル化反応させてなることを特徴とするガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物の製造方法である。

但し、式中のRは、各々独立して、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基であり、nは0〜3の数である。
【0011】
前記一般式(1)におけるRは、水素原子又はメチル基であることが好ましく、前記一般式(1)におけるnが、0以上1未満であることが好ましい。
また、前記ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートであることが好ましい。
【0012】
前記水系ポリウレタン樹脂組成物において、前記エポキシエステル化合物は、更に、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノレン酸及びジヒドロキシ酸から選択される少なくとも1種の脂肪酸と、ビスフェノールジグリシジルエーテル化合物とを反応させて得られるエポキシエステル化合物を含有していてもよい。
【0013】
また、前記製造方法において、前記ビスフェノールジグリシジルエーテル化合物は、ビスフェノールF型又はビスフェノールA型のジグリシジルエーテル化合物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物により、集束性に優れたガラス繊維が得られ、このガラス繊維を繊維強化合成樹脂用ガラス繊維として使用することにより、機械的強度に優れたガラス繊維強化樹脂が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物の合成に使用されるエポキシエステル化合物は、前記一般式(1)で表されるリシノール酸エポキシエステル化合物を必須成分とする。
前記一般式(1)におけるRは、各々独立して水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基であり、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
また、前記一般式(1)におけるnは、0〜3の数であり、0以上1未満の数であることが好ましい。
特に、ウレタン樹脂組成物の水分散性や水分散後の保存安定性、ガラス繊維の集束性及びガラス繊維強化樹脂の機械的強度の観点から、nは0〜0.2であることが特に好ましい。
【0016】
前記式(I)のリシノール酸エポキシエステル化合物の製造方法は、特に制限されるものではなく、リシノール酸とビスフェノールジグリシジルエーテル化合物とのエステル化反応によって容易に製造することができる。
更に、本発明においては、前記式(I)のリシノール酸エポキシエステル化合物の製造に、ヒマシ油脂肪酸を使用してもよい。
【0017】
ヒマシ油脂肪酸とは、主成分としてリシノール酸を87〜91%含有する他、リノール酸(4.0〜5.0%)、オレイン酸(2.5〜4.0%)、パルミチン酸(0.5〜1.5%)、ステアリン酸(0.5〜1.5%)、リノレン酸(0.5〜1.5%)及びジヒドロキシ酸(0.5〜1.5%)を含む混合脂肪酸である。
また、ヒマシ油脂肪酸とのエステル化反応に用いるビスフェノールジグリシジルエーテル化合物としては、ビスフェノールF型又はビスフェノールA型のジグリシジルエーテル化合物を使用することが好ましい。
【0018】
本発明においては、一般式(1)で表されるリシノール酸エポキシエステル化合物に、ポリオール化合物を組み合わせて使用することができる。
本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物において、エポキシエステル化合物及びポリオールを含めた全アルコール成分中の、一般式(1)で表されるリシノール酸エポキシエステル化合物の含有率は、5〜100%であることが好ましい。
前記ポリオール化合物は特に制限されず、例えば、数平均分子量200未満の低分子ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエステルポリカーボネートポリオール類、及び結晶性又は非結晶性のポリカーボネートポリオール類等を使用することができる。
【0019】
前記数平均分子量200未満の低分子ポリオール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の3価以上のポリオールが挙げられる。
【0020】
前記ポリエーテルポリオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール等の前記低分子ポリオールの他、ビスフェノールA、エチレンジアミン等のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物;ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0021】
前記ポリエステルポリオール類としては、前述した数平均分子量200未満の低分子ポリオール等のポリオールと、その化学量論量より少ない量の多価カルボン酸、又は、該多価カルボン酸のエステル、酸無水物若しくは酸ハライド等のエステル形成性誘導体との直接エステル化反応又はエステル交換反応によって得られるポリエステルポリオール;及び、前記ポリオールと、ラクトン類又はその加水分解開環反応によって得られるヒドロキシカルボン酸との直接エステル化反応によって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0022】
前記多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類;トリメリト酸、トリメシン酸、ヒマシ油脂肪酸の三量体等のトリカルボン酸類;ピロメリット酸等の4価以上のカルボン酸が挙げられる。
【0023】
前記多価カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、上述した多価カルボン酸の、酸無水物、及び酸クロライド、酸ブロマイド等のカルボン酸ハライド;前記多価カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、アミルエステル等の低級脂肪族エステル等が挙げられる。
【0024】
前記ラクトン類としては、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
【0025】
前記ポリエステルポリカーボネートポリオール類としては、例えば、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルグリコールとアルキレンカーボネートとの反応生成物、エチレンカーボネートと多価アルコールとの反応生成物に有機ジカルボン酸と反応させて得られた反応生成物が挙げられる。
【0026】
また、前記結晶性又は非結晶性のポリカーボネートポリオール類としては、1,3‐プロパンジオール、1,4‐ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及び/又はポリテトラメチレングリコール等のジオールとホスゲン、ジアリルカーボネート(例えばジフェニルカーボネート)若しくは環式カーボネート(例えばプロピレンカーボネート)との反応生成物等が挙げられる。
【0027】
前記ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエステルポリカーボネートポリオール類、結晶性又は非結晶性のポリカーボネートポリオール類の数平均分子量は、300〜5000であることが好ましく、500〜3000であることがより好ましい。また、これらポリオール類の中でも、ポリカーボネートポリオール類を併用した本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、湿熱下での密着性が良好であることから特に好ましい。
【0028】
前記ポリイソシアネートは、特に限定されず、ジイソシアネート及びイソシアネート基を1分子中に3個以上有するポリイソシアネート等を使用することができる。
【0029】
ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、シス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類等;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
前記1分子中にイソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネートとしては、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、これらの混合物等の3官能以上のイソシアネート、これらの3官能以上のイソシアネートのカルボジイミド変性、イソシアヌレート変性、ビウレット変性等の変性物、これらを各種のブロッキング剤によってブロックしたブロックイソシアネート、前述したジイソシアネートのイソシアヌレート(三量体)及びビウレット三量体等が挙げられる。
【0031】
これらの中でも、入手が容易で、耐候性及び強度等に優れた水系ポリウレタン樹脂組成物が得られることから、脂肪族ジイソシアネート又は脂環式ジイソシアネートを使用することが好ましく、中でも、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートを使用することが特に好ましい。
前記乳化剤は、特に限定されるものではなく、例えば、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤;第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩、第四級アミン塩及びピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤;並びに、ベタイン型、硫酸エステル型及びスルホン酸型等の両性界面活性剤等の公知のものを使用することができる。
【0032】
前記アニオン性界面活性剤としては、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムドデシルサルフェート等のアルキルサルフェート類;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート、アンモニウムポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート等のポリオキシエチレンエーテルサルフェート類;ナトリウムスルホリシノレート;スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ナトリウムベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ポリオキシエチレンエーテルリン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩;N−アシルアミノ酸塩;N−アシルメチルタウリン塩等が挙げられる。
【0033】
前記ノニオン性界面活性剤としては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等の多価アルコールの脂肪酸部分エステル類;ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル類;ポリグリセリン脂肪酸エステル類;炭素数1〜18のアルコールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物;アルキルフェノールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物;アルキレングリコール及び/又はアルキレンジアミンのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0034】
これらのノニオン性界面活性剤を構成する炭素数1〜18のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、第3ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、第3アミルアルコール、ヘキサノール、オクタノール、デカンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。
【0035】
前記アルキルフェノールとしては、フェノール、メチルフェノール、2,4−ジ第3ブチルフェノール、2,5−ジ第3ブチルフェノール、3,5−ジ第3ブチルフェノール、4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノール、4−イソオクチルフェノール、4−ノニルフェノール、4−第3オクチルフェノール、4−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、4−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、ナフトール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられる。
【0036】
前記アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられ、アルキレンジアミンとしては、これらのアルキレングリコールのアルコール性水酸基がアミノ基に置換されたもの等が挙げられる。
また、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物は、ランダム付加物であってもブロック付加物であってもよい。
【0037】
前記カチオン性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルピリジニウムブロマイド及びイミダゾリニウムラウレート等が挙げられる。
【0038】
前記両性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチル酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酸ベタイン、2‐アルキル‐N‐カルボキシメチル‐N‐ヒドロキシメチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタイン、ヒドロキシプロピルリン酸の金属塩等のベタイン型、β‐ラウリルアミノプロピオン酸の金属塩等のアミノ酸型、硫酸エステル型及びスルホン酸型等が挙げられる。
【0039】
前記乳化剤は、前記の中でも本発明におけるウレタン樹脂の水分散性及び水分散後の保存安定性の観点から、ノニオン系界面活性剤が好ましく、特にアルキルフェノールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
前記乳化剤の使用量は特に制限されるものではないが、ガラス繊維の集束性及びガラス繊維強化樹脂成形時の耐熱性の観点から、ポリウレタン樹脂固形分の総量100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。30質量部を超えると前記した性能が低下するおそれがある。
【0040】
本発明の水系ポリウレタン樹脂は、乳化剤により安定に水に分散することが可能となるが、アニオン性基又はカチオン性基等のイオン性基導入成分及び中和剤成分を有していてもよく、また、鎖延長剤により高分子化されたものでもよい。
【0041】
本発明に係る水系ポリウレタン樹脂組成物の製造方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
(1)エポキシエステル化合物、ポリイソシアネート、並びに必要に応じてイオン性基導入剤及びイオン性基中和剤を配合してウレタン樹脂を合成し、これを水中に分散させ、更に鎖伸長剤を添加して反応させる方法。
(2)エポキシエステル化合物、ポリイソシアネート、及び鎖伸長剤、更に必要に応じてイオン性基導入剤及びイオン性基中和剤を配合してウレタン樹脂を合成し、これを水中に分散させる方法。
(3)エポキシエステル化合物、及びポリイソシアネート、必要に応じてイオン性基導入剤及びイオン性基中和剤を配合してウレタン樹脂を合成し、これに水を注入して水分散物とした後、鎖伸長剤を添加して反応させる方法。
(4)エポキシエステル化合物、ポリイソシアネート、及び鎖伸長剤、さらに必要に応じてイオン性基導入剤及びイオン性基中和剤を配合してウレタン樹脂を合成し、これに水を注入して分散させる方法。
【0042】
前記(2)、(3)及び(4)は水分散前のウレタン樹脂の粘度が高くなるため、分散が困難となる傾向があるので、(1)の方法によって高分子量化する方法がより好ましい。
また、これらの方法においては、必要に応じて、反応に不活性且つ水との親和性の大きい溶媒を用いて、ウレタン樹脂を合成してもよく、エポキシエステル化合物と共に前述したポリオールを配合してもよい。
【0043】
また、前記反応に不活性で水との親和性の大きい溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができる。これらの溶媒は、通常、ウレタン樹脂を製造するために用いられる前記原料の合計量に対して、3〜100質量%が用いられる。これら溶媒のなかで、沸点100℃以下の溶媒はウレタン樹脂の水分散後に減圧留去することが好ましい。
【0044】
前記イオン基導入剤としては、アニオン性基を導入するものとカチオン性基を導入するものが挙げられる。
アニオン性基を導入するものとしては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸等のカルボキシル基を含有するポリオール類、1,4−ブタンジオール−2−スルホン酸等のスルホン酸基を含有するポリオール類が挙げられ、カチオン性基を導入するものとしては、例えば、N,N−ジアルキルアルカノールアミン類、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、N−ブチル−N,N−ジエタノールアミン等のN−アルキル−N,N−ジアルカノールアミン類、トリアルカノールアミン類が挙げられる。
【0045】
前記イオン基中和剤には、アニオン性基に対する中和剤及びカチオン性基に対する中和剤がある。
アニオン性基に対する中和剤としては、例えば3級アミン化合物や塩基性化合物が挙げられ、3級アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン類;N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、1−ジメチルアミノ−2−メチル−2−プロパノール等のN,N−ジアルキルアルカノールアミン類;N−アルキル−N,N−ジアルカノールアミン類、トリエタノールアミン等のトリアルカノールアミン類等が挙げられ、塩基性化合物としては、アンモニア、トリメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
【0046】
カチオン性基に対する中和剤としては、蟻酸、酢酸、乳酸、コハク酸、グルタル酸、クエン酸等の有機カルボン酸、パラトルエンスルホン酸、スルホン酸アルキル等の有機スルホン酸、塩酸、リン酸、硝酸、スルホン酸等の無機酸、エピハロヒドリン等エポキシ化合物の他、ジアルキル硫酸、ハロゲン化アルキル等の4級化剤が挙げられる。
【0047】
前記鎖伸長剤としては、水系ポリウレタン樹脂組成物に用いられる周知の鎖伸長剤を一種類又は二種類以上混合で使用することができる。本発明においては、特に、多価アミン化合物、多価一級アルコール化合物等を使用することが好ましく、多価アミン化合物を使用することがより好ましい。
【0048】
前記多価アミン化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン等の前記例示の低分子ジオールのアルコール性水酸基がアミノ基に置換されたものである低分子ジアミン類;ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のポリエーテルジアミン類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の脂環式ジアミン類;m−キシレンジアミン、α−(m/pアミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族ジアミン類;ヒドラジン;前記のポリエステルポリオールに用いられる多価カルボン酸で例示したジカルボン酸とヒドラジンの化合物であるジカルボン酸ジヒドラジド化合物が挙げられる。
【0049】
前記鎖伸長剤の使用量については、特に制限されることはなく、任意の量を選択して使用できるが、例えば、鎖伸長反応前のウレタン樹脂のイソシアネート基1モルに対する鎖伸長剤の活性水素基のモル数が0.1〜1.5の範囲であることが、得られる水系ポリウレタン樹脂の集束剤としての性能が良好となる観点から好まし。
【0050】
本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は適宜希釈して使用することができ、その固形分濃度は特に制限されることはない。分散性や塗膜、成形体を得るための操作性等の観点から、固形分は1〜70質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましい。
【0051】
本発明のガラス繊維集束剤には、前記水系ポリウレタン樹脂と共に、例えば、表面処理剤、潤滑剤、滑剤、帯電防止剤、pH調整剤、水等の通常用いられる配合剤が配合されるが、これらを別途の処理液として用い、ガラス繊維を多段階に分けて処理することもできる。
【0052】
前記表面処理剤としては、例えば、アミノシラン系、エポキシシラン系、ビニルシラン系、メタクリロシラン系、ウレイドシラン系、ボラン系、チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ジルコニウム系等のカップリング剤;コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等のコロイダルゲル等が挙げられる。
【0053】
前記潤滑剤としては、例えば、動植物油水添硬化物、パラフィンワックス、エステル系合成油等が挙げられる。
前記滑剤としては、例えば、ブチルステアレート、テトラエチレンペンタミンジステアレート、水添ヒマシ油、イミダゾリン系脂肪酸アミド、カチオン性脂肪酸アミド、カチオン性ポリエチレンイミンポリアミド、ビスフェノールAポリ(オキシエチレン)エーテルグリコール等が挙げられる。
また、前記帯電防止剤としては、アニオン系、カチオン系の各種界面活性剤が挙げられ、前記pH調整剤としては、例えば、アンモニア、酢酸等が挙げられる。
【0054】
本発明の集束剤は、集束性と耐水性等のバランスをより優れたものにするために、他の水性樹脂と併用することができる。例えば、各種のデンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、種々の分子量及びケン化度のポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド及びその誘導体、ポリエチレングリコール等の水溶性高分子、並びにスチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のラテックス等の水中分散型樹脂が挙げられる。
【0055】
本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物又は、これを含有する集束剤には、必要に応じてフェノール系抗酸化剤、含燐安定剤、チオエーテル系抗酸化剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤を加え、その酸化安定性及び光安定性をさらに改善することができる。
【0056】
前記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、ステアリル−β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアリル−β−(3−第三ブチル−4ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサメチレンビス[β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4ヒドロキシ−5メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリス[β−(3,5−ジ第三ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0057】
前記含燐安定剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、テトラ(C12〜15混合アルキル)・ビスフェノールAジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタントリホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト)、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジクニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の有機ホスファイト化合物等が挙げられる。
【0058】
前記チオエーテル系抗酸化剤としては、ジラウリル−、ジミリスチル−、ジステアリル−チオジプロピオネート等のジアルキルチオジプロピオネート類、ペンタエリスリトールテトラ(ドデシルチオプロピオネート)等のアルキル(C=8〜18)チオプロピオン酸のエステルが挙げられる。
【0059】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2'−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4'−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。
【0060】
前記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
【0061】
本発明の繊維強化合成樹脂用ガラス繊維は、本発明の集束剤によってガラス繊維ストランドを処理した後、乾燥、切断してチョップストランドとすることにより得られる。
【0062】
本発明の集束剤が適用されるガラス繊維の原料としては、含アルカリガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラスの何れでもよい。
また、ガラス繊維の製造法は、特に限定されるものではなく、例えば、ロービング、チョップドストランド、ミルドファイバー等の方法が挙げられる。
【0063】
前記ガラス繊維の形態は、特に限定されるものではなく、物性又は表面性が特に良好なものが得られるため、繊維長で0.5〜10mm、特に1〜5mm、繊維径で1〜50μm、特に2〜20μmのものを用いることが又は好ましい。
【0064】
ガラス繊維ストランドをガラス繊維集束剤で処理する方法としては、浸漬塗布、ローラー塗布、吹き付け塗布、流し塗布、スプレー塗布等の公知の方法を任意に用いることができる。
【0065】
この場合、本発明の集束剤の添加量は、ガラス繊維100質量部に対して、固形分で0.05〜10質量部であることが好ましく、更に0.1〜5質量部であることがより好ましい。
集束剤の添加量が0.05質量部未満ではガラス繊維の集束が維持できなくなるおそれがあり、10質量%を超えても、ガラス繊維の集束性や繊維補強樹脂成形体の強度が更に向上することはない。
また、ストランドを切断した後に乾燥しても、ストランドを乾燥した後に切断しもよい。
【0066】
本発明の繊維強化合成樹脂用ガラス繊維は、種々の樹脂と混合することができ、混合する際に、ガラス繊維の破片の発生を十分に抑制することができると共に、機械的性能に優れたガラス繊維強化樹脂製品を提供することができる。
【0067】
本発明のガラス繊維強化樹脂に使用することができる樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、6−ナイロン、6,6−ナイロン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂又はポリオキシメチレンのようなポリアセタール等が挙げられる。
【0068】
本発明のガラス繊維強化樹脂において、本発明の繊維強化合成樹脂用ガラス繊維の含有量は、10〜70質量%であり、20〜60質量%であることが好ましい。
ガラス繊維の量が70質量%を超えると成型品が脆くなったり、表面性が低下したりするおそれがあり、ガラス繊維の量が10質量%未満では、機械的物性が十分に改善されない場合がある。
【0069】
以下、製造例及び実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の製造例、実施例によりなんら制限されるものではない。
【0070】
[製造例1:リシノール酸エポキシエステル(1)の製造]
ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル((株)ADEKA製、製品名アデカレジンEP−4100L:一般式(1)におけるRがメチル基、n≒0.14)340g、ヒマシ油脂肪酸(伊藤製油(株)製、製品名CO−FA)307g、トリフェニルホスフィン0.2gを窒素雰囲気下100℃で4時間反応させ、水酸基当量343のリシノール酸エポキシエステル化合物(1)を得た。
得られた化合物をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した結果、目的物である、エポキシ:脂肪酸のモル比が1:1の反応生成物が62%であり、1:2反応生成物が28%、及び未反応エポキシ化合物が10%であった。
【0071】
[製造例2:リシノール酸エポキシエステル(2)の製造]
ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル((株)ADEKA製、製品名アデカレジンEP−4901E:一般式(1)におけるRが水素原子、n≒0.11)380g、ヒマシ油脂肪酸(伊藤製油(株)製、製品名CO−FA)312g、トリフェニルホスフィン0.2gを窒素雰囲気下100℃で4時間反応させ、水酸基当量361のリシノール酸エポキシエステル化合物(2)を得た。
得られた化合物をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した結果、エポキシ:脂肪酸のモル比が1:1の反応生成物が65%であり、1:2反応生成物が23%及び未反応エポキシ化合物が12%であった。
【実施例1】
【0072】
<ウレタン樹脂製造工程>
エポキシエステル化合物として、上記で製造したリシノール酸エポキシエステル化合物(1)343質量部(0.5モル)及び(B)ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート170質量部(0.8モル)を、トルエン/酢酸エチル(質量比1:1)の溶媒160質量部に添加し、100℃で、理論NCO%(3.3%)になるまで反応させた後、70℃まで冷却した。
次いで反応液中に、乳化剤としてノニオン型界面活性剤((株)ADEKA製、製品名アデカトールSP−12)52.3質量部を添加し、ウレタン樹脂(UP−1)を得た。
【0073】
<水分散工程>
次いで、水260質量部中に上記で得られたウレタン樹脂(UP−1)350質量部を撹拌しながら水温30〜40℃で注ぎ込み、ウレタン樹脂を水に分散させた後、15分間混合を行なった。さらに、水分散したウレタン樹脂に鎖伸長剤としてヒドラジン−1水和物水溶液(0.10モル)、シランカップリング剤((株)東レダウ製、製品名Z−6011)0.016モルを配合し、IR(赤外分光光度計)にてNCO基が消失するまで反応させた。その後トルエン/酢酸エチル溶媒を留去して、水系ポリウレタン樹脂(PU−1)を得た。
また、下記表1に示された配合として、上記PU−1の製造方法と同様の方法により、水系ポリウレタン樹脂(PU−2〜PU−4)を製造した。
【0074】
[比較例1]
下記表1に示された配合として、上記PU−1の製造方法と同様の方法により、水系ポリウレタン樹脂(PU−5〜PU−7)を製造した。
【0075】
【表1】

【0076】
表1における各成分は以下の通りである。
また、上段の数値は質量部であり、下段の( )内の数値については、ウレタン樹脂場合は当量であり、それ以外はモル数である。
*1:前記製造例1リシノール酸エポキシエステル化合物
*2:前記製造例2リシノール酸エポキシエステル化合物
*3:ネオペンチルグリコール/アジピン酸系ポリエステルポリオールMw1000((株)ADEKA製)
*4:メチルペンタンジオール/アジピン酸系ポリエステルポリオールMw1000((株)クラレ製)
*5:ポリカーボネートジオールMw1000(旭化成ケミカルズ(株)製)
*6:ポリテトラメチレンエーテルグリコールMw1000((株)保土ヶ谷化学製)
*7:イソホロンジイソシアネート
*8:ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート
*9:ノニオン系界面活性剤((株)ADEKA製)
*10:ノニオン系界面活性剤((株)ADEKA製)
*11:エチレンジアミン
*12:ヒドラジン−1水和物(純度80%)
*13:アジピン酸ジヒドラジド
【実施例2】
【0077】
下記の配合で、前記実施例1で製造した各々の水系ポリウレタン樹脂(PU−1〜PU−4)10.0質量部(固形分40質量%)を混合し、ガラス繊維集束剤(GF−1〜GF−4)とした。
<配合量>
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 0.8質量部
パラフィン系潤滑剤 0.3質量部
水 88.9質量部
【0078】
チョップドストランド法により直径13μのガラス繊維にガラス繊維集束剤(GF−1〜GF−4)を塗布して乾燥した後、長さ3mmのチョップドストランドとして、繊維強化樹脂用ガラス繊維(CS−1〜CS−4)とした。
各繊維強化樹脂用ガラス繊維のガラス繊維集束剤の付着量を測定したところ、付着量は1質量%であった。
【0079】
[比較例2]
前記比較例1で製造した各々の水系ポリウレタン樹脂(PU−5〜PU−7)を用いて、ガラス繊維集束剤(GF−5〜GF−7)とした。
これらを用いて、実施例2と同様の方法により、繊維強化樹脂用ガラス繊維(CS−5〜CS−7)とした。
各繊維強化樹脂用ガラス繊維のガラス繊維集束剤の付着量を測定したところ、付着量は1質量%であった。
【0080】
以下の方法により、実施例2及び比較例2で作製された繊維強化樹脂用ガラス繊維のバルキー性を測定し、繊維強化樹脂用ガラス繊維の集束性を評価した。結果を表2に示す。
[バルキー性の測定]
繊維強化樹脂用ガラス繊維50gを内径80mmの500ccビーカーに入れ、回転翼(形状ディスパー型、直径32mm)を用い、2600rpmで特定時間(0、1、5分)攪拌した。
次いで内径50mmメスシリンダーにガラス繊維を移し、堆積したガラス繊維の高さ(mm)を測定した。この高さが低い程、集束性が良好であると評価される。
【0081】
【表2】

【実施例3】
【0082】
下記の成分を配合して、二軸押出し機を用いて270℃で混練し、ペレタイザーでペレットを作製した。得られたペレットを成型温度270℃、金型温度80℃で射出成型してガラス繊維強化樹脂の試験片を作製した。
<配合成分>
マレイン化ポリプロピレン樹脂 80質量部
ガラス繊維(CS−1〜CS−4) 20質量部
テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン 0.1質量部
ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト 0.2質量部
【0083】
[比較例3]
比較例2で得られたガラス繊維(CS−5〜CS−7)を用いて、実施例3と同様の方法により試験片を作製した。
【0084】
実施例3及び比較例で3得られた試験片を用いて、引張強度(ISO527−1)、曲げ強度(ISO178)及びシャルピー衝撃強度(ISO179)を測定した。
結果を下記表3に示す。
【0085】
【表3】

【実施例4】
【0086】
結晶性樹脂をポリエチレンテレフタレート樹脂(ユニチカ(株)製、MA−2103、IV=0.68)70質量部、ガラス繊維30質量部としたこと以外は、前記実施例3と同様の条件で試験片を作製し、評価を行った。結果を下記表4に示す。
【0087】
[比較例4]
ガラス繊維集束剤(CS−5〜CS−7)を用いて、実施例4と同様の方法により試験片を作製し、評価を行った。結果を下記表4に示す。
【0088】
【表4】

【0089】
前記実施例及び比較例から明らかなように、本発明の特定のリシノール酸エポキシエステル化合物を含有する水系ポリウレタン樹脂組成物からなるガラス繊維集束剤は、ガラス繊維の集束性に優れていること、及び本発明のガラス繊維強化樹脂は、機械的強度の向上が顕著であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物により、機械的物性に優れたガラス繊維強化樹脂が得られるため、住宅設備や舟艇・船舶等の様々な成形品の製造に有効であるため、本発明は産業上極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシエステル化合物及びポリイソシアネートを反応させて得られるウレタン樹脂を、乳化剤を用いて水に分散させてなるガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物であって、前記エポキシエステル化合物が、下記一般式(1)で表されるリシノール酸エポキシエステル化合物を必須成分とすることを特徴とするガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物;

但し、式中のRは、各々独立して、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基であり、nは0〜3の数である。
【請求項2】
前記一般式(1)におけるRが、水素原子又はメチル基である、請求項1に記載された水系ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)におけるnが、0以上1未満である、請求項1又は2に記載された水系ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネートが、脂肪族ジイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートである、請求項1〜3の何れかに記載された水系ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項5】
前記エポキシエステル化合物が、更に、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノレン酸及びジヒドロキシ酸から選択される少なくとも1種の脂肪酸と、ビスフェノールジグリシジルエーテル化合物とを反応させて得られるエポキシエステル化合物を含有する、請求項1〜4の何れかに記載された水系ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載された水系ポリウレタン樹脂組成物を含有することを特徴とするガラス繊維集束剤。
【請求項7】
請求項6に記載されたガラス繊維集束剤で処理されたガラス繊維からなることを特徴とする繊維強化合成樹脂用ガラス繊維。
【請求項8】
請求項7に記載された繊維強化樹脂用ガラス繊維を10〜70質量%含むことを特徴とするガラス繊維強化樹脂。
【請求項9】
下記一般式(1)で表されるリシノール酸エポキシエステル化合物を必須成分とするエポキシエステル化合物、ポリイソシアネートを反応させて得られたウレタン樹脂を水中に分散させ、更に鎖伸長剤を添加して反応させ、ガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物を製造する方法であって、前記エポキシエステル化合物が、ヒマシ油脂肪酸とビスフェノールジグリシジルエーテル化合物とをエステル化反応させてなることを特徴とするガラス繊維集束剤用水系ポリウレタン樹脂組成物の製造方法;

但し、式中のRは、各々独立して、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基であり、nは0〜3の数である。
【請求項10】
前記ビスフェノールジグリシジルエーテル化合物が、ビスフェノールF型又はビスフェノールA型のジグリシジルエーテル化合物である、請求項9に記載された製造方法。

【公開番号】特開2013−100194(P2013−100194A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244382(P2011−244382)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】