説明

ガリウム配合インク、並びにその製造方法および使用方法

【課題】ガリウム配合インクとその使用方法を提供する。
【解決手段】a)ガリウム成分;セレン成分;有機カルコゲナイド成分;第1b族成分;場合によって、二座チオール成分;場合によって、インジウム成分;の組み合わせを当初成分として含む第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族システムと、(b)液体キャリア成分を含む、ガリウム配合インクであって、前記ガリウム成分がガリウム、安定化成分、添加剤およびガリウムキャリアを当初成分として含み、有機カルコゲナイド成分がRZ−Z’R’およびR−SHから選択される式を有する少なくとも1種の有機カルコゲナイドを含み、第1b族成分はCuClおよびCuOの少なくとも1種を含み、安定化成分は、1,3−プロパンジチオール、ベータ−メルカプトエタノール、これらの類似体およびこれらの混合物からなる群から選択され、液体キャリア中に分散されるガリウム配合インク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガリウム配合インク、ガリウム配合インクを製造する方法、および第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質を基体上に堆積させるためにガリウム配合インクを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第1b族/第3a族/第6a族物質の薄膜の製造は、例えば、スイッチング素子、太陽電池、非線形光学素子、イオン性蓄電池、および高密度相変換データ記憶素子をはじめとする多くの潜在的な用途における使用のために過去二十年にわたって広く検討されてきた。
【0003】
第1b族/第3a族/第6a族物質のための非常に前途有望な用途の1つは、太陽光を電気に変換するための太陽電池の製造における用途である。特に、例えば、銅−インジウム−ジセレニド(CuInSe)、銅−ガリウム−ジセレニド(CuGaSe)および銅−インジウム−ガリウム−ジセレニド(CuIn1−xGaSe)をはじめとする第1b−3a−6a族混合金属カルコゲナイド物質をベースにした太陽電池の製造は、太陽エネルギーから電気エネルギーへのその高い変換効率のせいで著しく関心のあるものである。この第1b−3a−6a族混合金属カルコゲナイド半導体は場合によっては概してCIGS物質と称される。従来のCIGS太陽電池は、モリブデンの層のような裏面電極、CIGS吸収体層、CdS接合パートナー(junction partner)層、任意の透明バッファ層、例えば、酸化亜鉛、および透明導電酸化物層電極(例えば、アルミニウムドープZnO、インジウムスズ酸化物、SnO)を含み、モリブデン層は基体上に堆積されており、CIGS吸収体層はモリブデン層とCdS接合パートナーとの間に挿入されており、そしてこのCdS接合パートナーはCIGS吸収体層と透明導電酸化物層電極との間に挿入されている。
【0004】
第1b族/第3a族/第6a族物質の堆積膜の前途有望な使用についての1つの試みは、コスト効果的な製造技術の開発である。第1b族/第3a族/第6a族物質を堆積させる従来の方法は典型的には真空ベースのプロセス、例えば、真空蒸発、スパッタリングおよび化学蒸着(例えば、金属有機化学蒸着)などの使用を伴う。このような堆積技術は低いスループット能力および高いコストを示す傾向がある。大規模で高スループットで低コストでの、堆積された第1b族/第3a族/第6a族物質の使用を組み込むシステムの製造を容易にするために、液体ベースの堆積技術を提供することが望ましいであろう。
【0005】
半導体前駆体膜の液体堆積のための方法がシュルツ(Schulz)らへの米国特許第6,126,740号に開示されている。シュルツらは金属カルコゲナイドナノ粒子および揮発性キャッピング剤を含むコロイド懸濁物を開示し、このコロイド懸濁物は、有機溶媒中での金属塩とカルコゲナイド塩との反応により金属カルコゲナイドを沈殿させ、この金属カルコゲナイド沈殿物の回収、および非水系有機溶媒中での金属カルコゲナイド沈殿物と揮発性キャッピング剤との混合によって製造される。シュルツらは、コロイド懸濁物が基体上に噴霧堆積されて、半導体前駆体膜を生じさせることができることをさらに開示する。シュルツらはそのコロイド懸濁物における使用および使用方法に特に好ましい金属が銅、インジウム、ガリウムおよびカドミウムであることを開示する。
【0006】
CIGS物質の製造においてセレンを堆積させる液体堆積方法の1つは、ミツィー(Mitzi)らによって、アドバンストマテリアルズ(ADVANCED MATERIALS)、第20巻、3657−62ページ(2008年)、高効率の溶液堆積薄膜光起電力素子(A High−Efficiency Solution−Deposited Thin−Film Photovoltaic Device)(Mitzi I)に開示されている。Mitzi Iは特に、薄膜CIGS層の製造におけるセレンの堆積のための液体ビヒクルとしてのヒドラジンを含むセレンインクの使用を開示する。しかし、ヒドラジンは高毒性および爆発性の物質である。よって、Mitzi Iのプロセスは、セレン含有半導体デバイスの大規模製造における使用のためには、限定された価値しか有しない。
【0007】
Mitzi Iに記載されるヒドラジン含有セレンインクの代替物が、Mitziらによって、アドバンストマテリアルズ、第17巻、1285〜89ページ(2005年)、高機動性スピンコートカルコゲナイド半導体を使用する低電圧トランジスタ(Low−Voltage Transistor Employing a High−Mobility Spin−Coated Chalcogenide Semiconductor)(Mitzi II)に開示されている。Mitzi IIは、セレン化インジウムを堆積し、薄膜トランジスタのセレン化インジウムチャネル形成のための、ヒドラジニウム前駆体物質の使用を開示する。Mitzi IIはさらに、そのヒドラジニウムアプローチは、SnS2−XSe、GeSeおよびInSeシステム以外に、他のカルコゲナイドにおそらく拡張可能であることを述べる。
【0008】
Mitziらによって開示されるヒドラジニウム前駆体物質は、半導体膜を生産するための製造工程からヒドラジンを除く。にもかかわらず、Mitziらはヒドラジンについての必要性を除いていない。むしろ、Mitziらは、ヒドラジニウム前駆体物質の製造において、依然としてヒドラジンを利用する。さらに、ヒドラジニウムイオン前駆体は、エッカートW.シュミット(Eckart W.Schmidt)によって、彼の本、ヒドラジンおよびその誘導体:製造、特性および用途(Hydrazine and Its Derivatives: Preparation, Properties, and Applications)、ジョンウイリーアンドサンズ(JOHN WILEY&SONS)、第392〜401ページ(1984年)に記載されるように、かなりの爆発の危険性を有している。多くの金属イオンの存在は、ヒドラジニウム爆発または爆轟の危険性を深刻にする。残留するヒドラジニウム塩は、製造中にプロセス装置内に蓄積する場合があり、許容できない安全上のリスクを生じさせるので、このことは問題であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,126,740号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ミツィー(Mitzi)ら、アドバンストマテリアルズ、第17巻、1285〜89ページ(2005年)、高機動性スピンコートカルコゲナイド半導体を使用する低電圧トランジスタ(Low−Voltage Transistor Employing a High−Mobility Spin−Coated Chalcogenide Semiconductor)
【非特許文献2】ミツィー(Mitzi)ら、アドバンストマテリアルズ、第17巻、1285〜89ページ(2005年)、高機動性スピンコートカルコゲナイド半導体を使用する低電圧トランジスタ(Low−Voltage Transistor Employing a High−Mobility Spin−Coated Chalcogenide Semiconductor)
【非特許文献3】エッカートW.シュミット(Eckart W.Schmidt)、ヒドラジンおよびその誘導体:製造、特性および用途(Hydrazine and Its Derivatives: Preparation, Properties, and Applications)、ジョンウイリーアンドサンズ(JOHN WILEY&SONS)、第392〜401ページ(1984年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
よって、CIGS半導体を組み込んでいるシステム(例えば、スイッチング素子、太陽電池、非線形光学素子、イオン性蓄電池、および高密度相変化データ記憶素子)の製造において使用するための液体堆積方法についての必要性が依然として存在している。特に、第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質の堆積を容易にするガリウム配合インク、好ましくは、ヒドラジンおよびヒドラジニウムを含まないガリウムインク配合物についての必要性が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、(a)ガリウム、安定化成分、添加剤およびガリウムキャリアを当初成分として含むガリウム成分;セレン成分;有機カルコゲナイド成分;第1b族成分;場合によって、二座チオール成分;場合によって、インジウム成分;の組み合わせを当初成分として含む第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族システムと、(b)液体キャリア成分とを含む、ガリウム配合インクであって、
前記有機カルコゲナイド成分はRZ−Z’R’およびR−SHから選択される式を有する少なくとも1種の有機カルコゲナイドを含み、式中、ZおよびZ’は独立して硫黄、セレンおよびテルルから選択され;RはH、C1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20メルカプトアルキル基、およびエーテル基から選択され;R’およびRはC1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20メルカプトアルキル基、およびエーテル基から選択され;
前記第1b族成分はCuClおよびCuOの少なくとも1種を当初成分として含み;
前記安定化成分は、1,3−プロパンジチオール、ベータ−メルカプトエタノール、これらの類似体およびこれらの混合物からなる群から選択され;
前記添加剤はピラジン、2−メチルピラジン、3−メチルピラゾール、メチル2−ピラジンカルボキシラート、ピラゾール、プラキサジン、ピラジンカルボキサミド、ピラジンカルボニトリル、2,5−ジメチルピラジン、2,3,5,6−テトラメチルピラジン、2−アミノピラジン、2−エチルピラジン、キノキサリン、C1−5アルキル基で置換されたキノキサリン、2−ピラジンカルボン酸、2−メチルキノキサリン、2,3−ピラジンジカルボキサミド、2,3−ピラジンジカルボニトリル、ピロリジノ−1−シクロヘキセン、ピロリジノ−1−シクロペンテン、フェナジン、C1−5アルキル基で置換されたフェナジン、イソキノリン、C1−5アルキル基で置換されたイソキノリン、インドール、C1−5アルキル基で置換されたインドール、イミダゾール、C1−5アルキル基で置換されたイミダゾール、テトラゾール、C1−5アルキル基で置換されたテトラゾール、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンからなる群から選択され;
前記ガリウムキャリアはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリエチレンテトラミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチル−1−ヘキシルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ピリジン、ピロリジン、1−メチルイミダゾール、テトラメチルグアニジン、2−メチルピラジンおよびこれらの混合物から選択され;並びに
前記第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族システムは前記液体キャリア成分中に安定に分散されている、ガリウム配合インクを提供する。
【0013】
本発明は、ガリウムを提供し;1,3−プロパンジチオール、ベータ−メルカプトエタノール、これらの類似体およびこれらの混合物から選択される安定化成分を提供し;ピラジン、2−メチルピラジン、3−メチルピラゾール、メチル2−ピラジンカルボキシラート、ピラゾール、プラキサジン、ピラジンカルボキサミド、ピラジンカルボニトリル、2,5−ジメチルピラジン、2,3,5,6−テトラメチルピラジン、2−アミノピラジン、2−エチルピラジン、キノキサリン、C1−5アルキル基で置換されたキノキサリン、2−ピラジンカルボン酸、2−メチルキノキサリン、2,3−ピラジンジカルボキサミド、2,3−ピラジンジカルボニトリル、ピロリジノ−1−シクロヘキセン、ピロリジノ−1−シクロペンテン、フェナジン、C1−5アルキル基で置換されたフェナジン、イソキノリン、C1−5アルキル基で置換されたイソキノリン、インドール、C1−5アルキル基で置換されたインドール、イミダゾール、C1−5アルキル基で置換されたイミダゾール、テトラゾール、C1−5アルキル基で置換されたテトラゾール、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンからなる群から選択される添加剤を提供し;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリエチレンテトラミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチル−1−ヘキシルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ピリジン、ピロリジン、1−メチルイミダゾール、テトラメチルグアニジン、2−メチルピラジンおよびこれらの混合物から選択されるガリウムキャリアを提供し;セレンを提供し;第1の有機カルコゲナイドおよび場合によっては第2の有機カルコゲナイドを含む有機カルコゲナイド成分を提供し、ここで前記第1の有機カルコゲナイドおよび前記第2の有機カルコゲナイドはいずれもRZ−Z’R’およびR−SHから独立して選択される式を有する(式中、ZおよびZ’は独立して硫黄、セレンおよびテルルから選択され、RはH、C1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20メルカプトアルキル基、およびエーテル基から選択され;R’およびRはC1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20メルカプトアルキル基、およびエーテル基から選択される);CuClおよびCuOの少なくとも1種を当初成分として含む第1b族成分を提供し;第1b族リガンド成分を提供し;インジウムを場合によって提供し;第1の液体キャリア、第2の液体キャリアおよび場合によって第3の液体キャリアを含む液体キャリア成分を提供し;ガリウム、安定化成分、添加剤およびガリウムキャリアを一緒にして、ガリウム成分を生じさせ;セレン、第1の有機カルコゲナイドおよび第1の液体キャリアを一緒にし;この一緒にしたものを攪拌しつつ加熱して化合したセレン/有機カルコゲナイド成分を生じさせ;第1b族成分、第1b族リガンド成分および第2の液体キャリアを一緒にして、第1b族物質/リガンド成分を生じさせ;場合によって、インジウム、第2の有機カルコゲナイドおよび第3の液体キャリアを一緒にして場合によるインジウム/有機カルコゲナイド成分を生じさせ;ガリウム成分、化合したセレン/有機カルコゲナイド成分、第1b族物質/リガンド成分、および場合によるインジウム/有機カルコゲナイド成分を一緒にして、ガリウム配合インクを形成することを含み、ガリウム配合インクが安定な分散物であり、第1の液体キャリア、第2の液体キャリアおよび場合による第3の液体キャリアはガリウムキャリアと一緒に混和可能であるかまたは同じである、請求項1に従うガリウム配合インクを製造する方法を提供する。
【0014】
本発明は、基体を提供し;本発明のガリウム配合インクを提供し;ガリウム配合インクを基体上に堆積させ;堆積したガリウム配合インクを加熱してガリウムキャリア、第1の液体キャリア、第2の液体キャリアおよび場合による第3の液体キャリアを除いて、第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質を基体上に残し;並びに場合によっては第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質をアニールすることを含み、前記第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質は式 NaCuGaIn(1−d)(2+e)(1−f)Se(2+e)f(式中、0≦L≦0.25、0.25≦m≦1.5、0≦d≦1、−0.2≦e≦0.5、0<f≦1、0.5≦(L+m)≦1.5、および1.8≦{(2+e)f+(2+e)(1−f)}≦2.5である)に従う、第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質を基体上に堆積させる方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、ガリウム配合インクに関する言及における用語「安定」とは、ガリウム成分、セレン成分、有機カルコゲナイド成分、第1b族成分、第1b族リガンド成分および場合によってインジウム成分を液体キャリア成分中で一緒にすることによって形成される生成物が、22℃で窒素下でのガリウム配合インクの15分間の貯蔵中に沈殿物を形成しないことを意味する。
【0016】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、ガリウム配合インクに関する言及における用語「貯蔵安定」とは、ガリウム配合インクが、ガリウム配合インクの22℃で窒素下での24時間の貯蔵中に沈殿物を形成しないことを意味する。
【0017】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、ガリウム配合インクに関する言及における用語「延長された安定性」とは、ガリウム配合インクが、ガリウム配合インクの22℃で窒素下での7日間の貯蔵中に沈殿物を形成しないことを意味する。
【0018】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、ガリウム配合インクに関する言及における用語「ヒドラジンを含まない」とは、ガリウム配合インクが100ppm未満しかヒドラジンを含まないことを意味する。
【0019】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、ガリウム配合インクに関する言及における用語「ヒドラジニウムを含まない、または(Nを含まない」とは、セレンと錯体形成したヒドラジニウムをガリウム配合インクが100ppm未満しか含まないことを意味する。
【0020】
本発明はガリウム配合インク、ガリウム配合インクの製造、およびガリウム/第1b族/(場合によってインジウム)/第6a族含有デバイス、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)、発光ダイオード(LED);メモリデバイスに使用するための相変化(phase change)合金;および光応答デバイス[例えば、エレクトロフォトグラフィ(例えば、レーザープリンタおよびコピー機)、整流器、写真用露出計、および太陽電池]の製造におけるガリウム配合インクの使用に関する。以下の詳細な記載は、太陽電池における使用のために設計されたCIGS物質の製造における、本発明のガリウム/第1b族/(場合によってインジウム)/第6a族インクの使用に焦点を当てる。
【0021】
好ましくは、本発明のガリウム配合インクは安定である。より好ましくは、本発明のガリウム配合インクは貯蔵安定である。最も好ましくは、本発明のガリウム配合インクは延長された安定性を示す。
【0022】
好ましくは、本発明のガリウム配合インクはヒドラジンを含まずかつヒドラジニウムを含まない。
【0023】
好ましくは、本発明のガリウム配合インクに使用されるガリウムはガリウムショットもしくはガリウムインゴットである。
【0024】
好ましくは、本発明のガリウム配合インクに使用される安定化成分は1,3−プロパンジチオール、ベータ−メルカプトエタノール、これらの類似体およびこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、安定化成分は1,3−プロパンジチオール、ベータ−メルカプトエタノールおよびこれらの混合物からなる群から選択される。さらにより好ましくは、安定化成分は1,3−プロパンジチオールおよびベータ−メルカプトエタノールからなる群から選択される。最も好ましくは、安定化成分は1,3−プロパンジチオールである。
【0025】
本発明のガリウム配合インクに使用される添加剤は、好ましくは、ピラジン、2−メチルピラジン、3−メチルピラゾール、メチル2−ピラジンカルボキシラート、ピラゾール、プラキサジン、ピラジンカルボキサミド、ピラジンカルボニトリル、2,5−ジメチルピラジン、2,3,5,6−テトラメチルピラジン、2−アミノピラジン、2−エチルピラジン、キノキサリン、C1−5アルキル基で置換されたキノキサリン、2−ピラジンカルボン酸、2−メチルキノキサリン、2,3−ピラジンジカルボキサミド、2,3−ピラジンジカルボニトリル、ピロリジノ−1−シクロヘキセン、ピロリジノ−1−シクロペンテン、フェナジン、C1−5アルキル基で置換されたフェナジン、イソキノリン、C1−5アルキル基で置換されたイソキノリン、インドール、C1−5アルキル基で置換されたインドール、イミダゾール、C1−5アルキル基で置換されたイミダゾール(例えば、1−メチルイミダゾール)、テトラゾール、C1−5アルキル基で置換されたテトラゾール、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンからなる群から選択される。好ましくは、添加剤は1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピロリジノ−1−シクロヘキセン、1−メチルイミダゾール、ピラジンおよび2−メチルピラジンからなる群から選択される。当業者は第二級アミン(ピロリジンなど)およびケトンからストーク(Stork)エナミンが形成されることを認識するであろう。市販のストークエナミンには、ピロリジノ−1−シクロヘキセンおよびピロリジノ−1−シクロペンテンが挙げられる。ストークエナミンは脱水条件下、第二級アミンとケトンとの反応によってその場(in situ)で製造されうる。
【0026】
本発明のガリウム配合インクにおいて使用されるガリウムキャリアは、添加剤の存在下でガリウムが安定に分散可能である溶媒もしくは溶媒の混和性混合物であり得る。好ましくは、使用される液体キャリアはアミン、エーテル、ポリエーテル、アミド溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、N−メチルピロリドン、ケト溶媒(例えば、メチルイソブチルケトン)、アリール溶媒(例えば、トルエン)、クレゾール、キシレン、およびこれらの混和性混合物から選択される。場合によっては、使用される液体キャリアはエーテル、ポリエーテル、アミド溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、N−メチルピロリドン、ケト溶媒(例えば、メチルイソブチルケトン)、アリール溶媒(例えば、トルエン)、クレゾール、キシレン、およびこれらの混和性混合物から選択される。場合によっては、ガリウムキャリアは窒素含有溶媒および窒素含有溶媒の混和性混合物から選択される。より好ましくは、使用されるガリウムキャリアは式NR、[式中、各Rは独立して、H、C1−10アルキル基、C6−10アリール基、C3−10アミノシクロアルキル基(例えば、1,2−ジアミノシクロヘキシル)、およびC1−10アミノアルキル基から選択される]を有する液体アミンを含む。さらにより好ましくは、本発明のガリウム成分に使用されるガリウムキャリアは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリエチレンテトラミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチル−1−ヘキシルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ピリジン、ピロリジン、1−メチルイミダゾール、テトラメチルグアニジン、2−メチルピラジンおよびこれらの混合物から選択される。最も好ましくは、ガリウムキャリアは1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、2−メチルピラジンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0027】
本発明のガリウム配合インク中の当初成分として使用されるセレン成分は好ましくはセレン粉体である。
【0028】
本発明のガリウム配合インクにおいて使用される有機カルコゲナイド成分は、RZ−Z’R’およびR−SHから選択される式を有する少なくとも1種の有機カルコゲナイドを含み、式中、ZおよびZ’は硫黄、セレンおよびテルル(好ましくは硫黄およびセレン、最も好ましくは硫黄)から独立して選択され;RはH、C1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20メルカプトアルキル基およびエーテル基から選択され(好ましくは、RはC1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基およびC3−20エーテル基から選択され;より好ましくはRはC1−20アルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基およびC6−20アリール基から選択され;さらにより好ましくはRはC1−10アルキル基およびC1−10ヒドロキシアルキル基から選択され;最も好ましくはRはC1−5アルキル基およびC1−5ヒドロキシアルキル基から選択され);R’はC1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20メルカプトアルキル基およびエーテル基から選択され(好ましくはR’はC1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基およびC3−20エーテル基から選択され;より好ましくはR’はC1−20アルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基およびC6−20アリール基から選択され;さらにより好ましくはR’はC1−10アルキル基およびC1−10ヒドロキシアルキル基から選択され;最も好ましくはR’はC1−5アルキル基およびC1−5ヒドロキシアルキル基から選択され);RはC1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20メルカプトアルキル基およびエーテル基から選択される(好ましくはRはC1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基およびC3−20エーテル基から選択され;より好ましくはRはC1−20アルキル基、C1−20ヒドロキシアルキル基およびC6−20アリール基から選択され;さらにより好ましくはRはC1−10アルキル基およびC1−10ヒドロキシアルキル基から選択され;最も好ましくはRはC1−5アルキル基およびC1−5ヒドロキシアルキル基から選択される)。場合によっては、R、R’およびRは液体キャリア成分中での有機カルコゲナイドの溶解度を増大させるように選択される。
【0029】
場合によってはZおよびZ’は両方とも硫黄である。好ましくは、ZおよびZ’が両方とも硫黄である場合には、RおよびR’は独立して、フェニル基、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基およびtert−ブチル基から選択される。より好ましくは、ZおよびZ’が両方とも硫黄である場合には、RおよびR’は独立してブチル基、tert−ブチル基、およびヒドロキシエチル基から選択される。
【0030】
場合によってはZおよびZ’は両方ともセレンである。好ましくは、ZおよびZ’が両方ともセレンである場合には、RおよびR’は独立して、フェニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基およびtert−ブチル基から選択される。より好ましくは、ZおよびZ’が両方ともセレンである場合には、RおよびR’は両方ともフェニル基である。
【0031】
本発明のガリウム配合インクにおいて使用される第1b族成分は好ましくは銅を含む。最も好ましくは、第1b族成分はCuClおよびCuOから選択される。
【0032】
本発明のガリウム配合インクにおいて使用される第1b族成分は好ましくは、第1b族リガンド成分と関連する。好ましくは、第1b族リガンド成分は式R−SHを有する有機カルコゲナイド(上述の通り)および二座チオール化合物から選択される。二座チオール化合物は好ましくはジチオール、ヒドロキシチオールおよび窒素含有チオール{好ましくは、二座チオールリガンド上の活性キレート化基が4炭素(すなわち、−C−C−C−C−)以下の鎖によって隔てられているジチオール、ヒドロキシチオールおよび窒素含有チオール;より好ましくは、二座チオールリガンド上の活性キレート化基が2炭素(すなわち、−C−C−)の鎖によって隔てられているジチオール、ヒドロキシチオールおよび窒素含有チオール}から選択される。最も好ましくは、二座チオール化合物は1,2−ジメルカプトエタン、1,3−ジメルカプトプロパン、ベータ−メルカプトエタノールおよびジメルカプトールから選択される。
【0033】
本発明のガリウム配合インクにおいて使用される、場合によるインジウム成分はインジウムを含む。
【0034】
本発明のガリウム配合インクにおいて使用される液体キャリア成分は、ガリウム成分、セレン成分、有機カルコゲナイド成分、第1b族成分、第1b族リガンド成分および場合によるインジウム成分を一緒にすることによって形成される生成物が安定に分散可能である溶媒もしくは溶媒の混和性混合物であり得る。好ましくは、使用される液体キャリア成分はアミン、エーテル、ポリエーテル、アミド溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、N−メチルピロリドン、ケト溶媒(例えば、メチルイソブチルケトン)、アリール溶媒(例えば、トルエン)、クレゾール、キシレン、およびこれらの混和性混合物から選択される。場合によっては、使用される液体キャリア成分はエーテル、ポリエーテル、アミド溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、N−メチルピロリドン、ケト溶媒(例えば、メチルイソブチルケトン)、アリール溶媒(例えば、トルエン)、クレゾール、キシレン、およびこれらの混和性混合物から選択される。場合によっては、液体キャリア成分は窒素含有溶媒および窒素含有溶媒の混和性混合物から選択される。好ましくは、使用される液体キャリア成分は式NR、[式中、各Rは独立して、H、C1−10アルキル基、C6−10アリール基、C3−10アミノシクロアルキル基(例えば、1,2−ジアミノシクロヘキシル)、およびC1−10アミノアルキル基から選択される]を有する液体アミンを含む。好ましくは、本発明のセレン/第1b族/第3a族インクの製造に使用される液体キャリア成分は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリエチレンテトラミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチル−1−ヘキシルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ピリジン、ピロリジン、1−メチルイミダゾール、テトラメチルグアニジンおよびこれらの混合物から選択される。より好ましくは、使用される液体キャリア成分はエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリエチレンテトラミン、n−ヘキシルアミン、ピロリジン、n−ブチルアミン、1,3−ジアミノプロパン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノールおよびこれらの混合物から選択される。最も好ましくは、使用される液体キャリア成分は1,3−ジアミノプロパン、3−アミノ−1−プロパノール、エチレンジアミンおよび1−アミノ−2−プロパノールから選択される。
【0035】
本発明のガリウム配合インクは、場合によってはナトリウムをさらに含む。
【0036】
本発明のガリウム配合インクは、場合によっては、補助溶媒をさらに含む。本発明において使用するのに適した補助溶媒は、ガリウムキャリアおよび液体キャリアと混和性である。好ましい補助溶媒は、ガリウムキャリアおよび液体キャリアの沸点から30℃以内の沸点を示す。
【0037】
本発明のガリウム配合インクは、場合によっては、分散剤、湿潤剤、ポリマー、バインダー、消泡剤、乳化剤、乾燥剤、充填剤、増量剤、膜コンディショニング剤、酸化防止剤、可塑剤、保存剤、増粘剤、フロー制御(flow control)剤、レベリング剤、腐蝕抑制剤、およびドーパント(例えば、CIGS物質の電気的性能を向上させるためのナトリウム)から選択される、少なくとも1種の変性剤をさらに含むことができる。例えば、保存期間の延長を容易にするために、フロー特性を向上させるために、基体への適用方法(例えば、印刷、噴霧)を容易にするために、基体上へのガリウム配合インクの濡れ/展着特性を変更するために、並びにガリウム配合インクの分解温度を変えるために、任意の変性剤が本発明のガリウム配合インクに組み込まれることができる。いくつかの任意のフロー制御および粘度改変剤には、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドンおよびジェフアミン(Jeffamine(登録商標))が挙げられる。
【0038】
本発明のガリウム配合インクに含まれるガリウム成分、セレン成分、第1b族成分、および場合によるインジウム成分の相対量は、必要とされる具体的な用途、並びにガリウム配合インクを所定の基体に適用するのに使用される処理技術および装置に適合するように選択的に提供されうる。好ましくは、ガリウム配合インクは、ガリウム配合インクの重量を基準にして1〜50重量%、1〜5重量%、4〜15重量%、および5〜10重量%から選択されるセレン含量を示す。好ましくは、ガリウム配合インクは、ガリウム配合インクの重量を基準にして0.4〜10重量%から選択される第1b族物質(すなわち、銅)含量を示す。好ましくは、ガリウム配合インクは、ガリウム配合インクの重量を基準にして0.4〜10重量%の第3a族(すなわち、ガリウム+場合によるインジウム)含量を示す。好ましくは、ガリウム配合インクは、2:0.5:1〜10:1.5:1のセレン:第1b族物質:第3a族物質(すなわち、ガリウム+場合によるインジウム)のモル比を示す。
【0039】
本発明のガリウム配合インクを製造する方法は、ガリウムを提供し;1,3−プロパンジチオール、ベータ−メルカプトエタノール、これらの類似体およびこれらの混合物から選択される安定化成分を提供し;ピラジン、2−メチルピラジン、3−メチルピラゾール、メチル2−ピラジンカルボキシラート、ピラゾール、プラキサジン、ピラジンカルボキサミド、ピラジンカルボニトリル、2,5−ジメチルピラジン、2,3,5,6−テトラメチルピラジン、2−アミノピラジン、2−エチルピラジン、キノキサリン、C1−5アルキル基で置換されたキノキサリン、2−ピラジンカルボン酸、2−メチルキノキサリン、2,3−ピラジンジカルボキサミド、2,3−ピラジンジカルボニトリル、ピロリジノ−1−シクロヘキセン、ピロリジノ−1−シクロペンテン、フェナジン、C1−5アルキル基で置換されたフェナジン、イソキノリン、C1−5アルキル基で置換されたイソキノリン、インドール、C1−5アルキル基で置換されたインドール、イミダゾール、C1−5アルキル基で置換されたイミダゾール、テトラゾール、C1−5アルキル基で置換されたテトラゾール、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンからなる群から選択される添加剤を提供し;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリエチレンテトラミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチル−1−ヘキシルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ピリジン、ピロリジン、1−メチルイミダゾール、テトラメチルグアニジン、2−メチルピラジンおよびこれらの混合物から選択されるガリウムキャリアを提供し;セレン成分を提供し;第1の有機カルコゲナイドおよび場合によって第2の有機カルコゲナイドを含む有機カルコゲナイド成分を提供し、ここでそれぞれの前記第1の有機カルコゲナイドおよび前記第2の有機カルコゲナイドは、RZ−Z’R’およびR−SH(本明細書において上述した通り)から独立して選択される式を有する;CuClおよびCuOの少なくとも1種を当初成分として含む第1b族成分を提供し;第1b族リガンド成分(好ましくは、第1b族リガンド成分は、上述した通りの、式R−SHを有する物質および二座チオール化合物から選択される)を提供し;インジウムを場合によって提供し;第1の液体キャリア、第2の液体キャリアおよび場合によって第3の液体キャリアを含む液体キャリア成分を提供し;ガリウム、安定化成分、添加剤およびガリウムキャリアを一緒にして、ガリウム成分を生じさせ;セレン、第1の有機カルコゲナイドおよび第1の液体キャリアを一緒にし;この一緒にしたものを攪拌しつつ加熱して化合したセレン/有機カルコゲナイド成分を生じさせ;第1b族成分、第1b族リガンド成分および第2の液体キャリアを一緒にして、第1b族物質/リガンド成分を生じさせ;場合によって、インジウム、第2の有機カルコゲナイドおよび第3の液体キャリアを一緒にして場合によるインジウム/有機カルコゲナイド成分を生じさせ;ガリウム成分、化合したセレン/有機カルコゲナイド成分、第1b族物質/リガンド成分、および場合によるインジウム/有機カルコゲナイド成分を一緒にして、ガリウム配合インクを形成することを含み、当該ガリウム配合インクが安定な分散物であり、第1の液体キャリア、第2の液体キャリアおよび場合による第3の液体キャリアはガリウムキャリアと一緒に混和可能であるか、または同じであり、第1の有機カルコゲナイドおよび第2の有機カルコゲナイドは両方とも、本明細書において上で定義した通りの有機カルコゲナイド成分から独立して選択され(すなわち、第1の有機カルコゲナイドおよび第2の有機カルコゲナイドは同じであってもよいし、または異なっていてもよい);並びに、第1の液体キャリア、第2の液体キャリアおよび任意の第3の液体キャリアは全て本明細書において上で定義した通りの液体キャリアから選択され、かつ全てガリウムキャリアと一緒に混和可能であるか、または同じである(すなわち、これらは異なっていてよいが、ガリウムキャリアと一緒に混和可能でなければならない)。
【0040】
好ましくは、本発明のガリウム配合インクの製造における使用のために提供されるガリウムはガリウムショットもしくはガリウムインゴットである。
【0041】
好ましくは、本発明のガリウム配合インクの製造における使用のために提供されるセレンはセレン粉体である。
【0042】
好ましくは、本発明のガリウム配合インクの製造における使用のために提供されるセレンは、製造されるガリウム配合インクの1〜50重量%、1〜20重量%、1〜5重量%、4〜15重量%、もしくは5〜10重量%を構成する。
【0043】
本発明のガリウム配合インクの提供においては、提供される有機カルコゲナイドはチオール、有機ジカルコゲナイドおよびこれらの混合物から選択される。チオールが使用される場合には、好ましくは、チオールは式R−SH(本明細書において上述した通り)を有する。有機ジカルコゲナイドが使用される場合には、有機ジカルコゲナイドは、好ましくは、式RZ−Z’R’(本明細書において上述した通り)を有する。使用されるチオールおよび有機ジカルコゲナイドにおけるR、RおよびR’基は、ガリウム成分、セレン成分、有機カルコゲナイド成分、第1b族成分、場合によるインジウム成分、および場合による二座チオールリガンドを液体キャリア中で一緒にすることにより形成される生成物の溶解度を増大させるように選択されうる。
【0044】
本発明のガリウム配合インクの製造に使用するためのセレンを提供する場合には、セレンおよび第1の液体キャリアは好ましくは、第1の液体キャリアをセレンに添加することにより一緒にされる。より好ましくは、セレンおよび第1の液体キャリアは不活性技術を用いて一緒にされ、次いで、セレンが第1の液体キャリアに溶けるまで、連続攪拌および還流加熱が行われる。好ましくは、第1の液体キャリアは、第1の液体キャリアとセレンとを一緒にする際に、20〜240℃の温度に維持される。場合によっては、第1の液体キャリアおよびセレンは、一緒にするプロセス中、セレンの融点(220℃)より高く加熱されうる。
【0045】
場合によっては、セレンおよび第1の有機カルコゲナイドが一緒にされて、本発明のガリウム配合インクの製造において使用するための化合したセレン/有機カルコゲナイド成分を形成する。化合したセレン/有機カルコゲナイド成分の形成は、好ましくは、セレンを提供し;RZ−Z’R’およびR−SHから選択される式(本明細書において上述の通り)を有する第1の有機カルコゲナイドを提供し;第1の液体キャリアを提供し;セレン、第1の有機カルコゲナイドおよび第1の液体キャリアを一緒にし;一緒にしたものを攪拌しつつ、(好ましくは第1の液体キャリアの沸点温度から25℃以内の温度に、最も好ましくは還流加熱で)(好ましくは0.1〜40時間、より好ましくは0.1〜8時間)加熱して、第1の液体キャリア中に安定に分散された、化合したセレン/有機カルコゲナイド成分を形成することを含む。好ましくは、化合したセレン/有機カルコゲナイド成分における、セレン:第1の有機カルコゲナイドのモル比は2:1〜20:1、より好ましくは2:1〜14:1、さらにより好ましくは2:1〜10:1、最も好ましくは2:1〜8:1である。
【0046】
液体状態で第1の有機カルコゲナイドを使用する場合には、場合によっては、本発明のガリウム配合インクの製造に使用するための化合したセレン/有機カルコゲナイド成分の提供は、液体の第1の有機カルコゲナイドを添加する前に、一緒にされたセレンおよび第1の液体キャリアを加熱することをさらに含む。好ましくは、場合によっては、本発明のガリウム配合インクの製造に使用するための化合したセレン/有機カルコゲナイド成分を提供することは、液体の第1の有機カルコゲナイドの添加前および添加中に、一緒にされた第1の液体キャリアおよびセレン粉体を加熱することをさらに含む。より好ましくは、一緒にされた第1の液体キャリアおよびセレン粉体は、液体の第1の有機カルコゲナイドの添加中に20〜240℃の温度に維持される。最も好ましくは、一緒にされたセレンおよび第1の液体キャリアに、液体の第1の有機カルコゲナイドを、連続攪拌および還流加熱を伴って徐々に添加することにより、一緒にされたセレンおよび第1の液体キャリアに、液体の第1の有機カルコゲナイドが添加される。
【0047】
本発明のガリウム配合インクの製造に使用するための第1b族成分を提供することは、好ましくは、CuClおよびCuOからなる群から選択される第1b族含有物質を提供することを含む。
【0048】
場合によっては、本発明のガリウム配合インクの製造に使用するための第1b族成分の提供においては、第1b族成分、第1b族リガンド成分および第2の液体キャリアが一緒にされて、一緒にされた第1b物質/リガンド成分を形成する。より好ましくは、不活性技術を用いて、第1b族成分、第1b族リガンド成分および第2の液体キャリアが一緒にされ、次いで固体が第2の液体キャリアに溶けるまで連続攪拌および還流加熱が行われる。好ましくは、第1b族成分、第1b族リガンド成分および第2の液体キャリアを一緒にする際に、第2の液体キャリアは20〜150℃の温度(より好ましくは、20〜100℃の温度)に維持される。
【0049】
第1b族物質/リガンド成分を提供することは、好ましくは、CuClおよびCuOから選択される第1b族成分を提供し;式R−SH(本明細書において上述の通り)を有する物質、および二座チオール化合物(本明細書において上述の通り)から選択される第1b族リガンド成分を提供し;第2の液体キャリアを提供し;第1b族成分、第1b族リガンド成分および第2の液体キャリアを一緒にし;この一緒にしたものを(好ましくは25℃〜100℃の温度で)(好ましくは、0.1〜40時間、より好ましくは0.1〜8時間)攪拌しつつ加熱して、第2の液体キャリア中に安定に分散された第1b族物質/リガンド成分を形成する。好ましくは、第1b族物質/リガンド成分における銅:第1b族リガンド成分のキレート化基のモル比は2:1〜1:16、より好ましくは2:1〜1:8、さらにより好ましくは1:1〜1:6、最も好ましくは1:1〜1:4である。最も好ましくは、第1b族物質/リガンド成分は1.0重量%以上の銅を含む。
【0050】
本発明のガリウム配合インクの製造に使用するための、場合によるインジウム成分の提供は、好ましくは、インジウムを提供し;第2の有機カルコゲナイド(上述の通り)を提供し;第3の液体キャリア(上述の通り)を提供し;インジウム、第2の有機カルコゲナイドおよび第3の液体キャリアを一緒にし;この一緒にしたものを(好ましくは、第3の液体キャリアの沸点温度から25℃以内の温度、より好ましくは還流加熱で)(好ましくは0.1〜40時間、より好ましくは0.1〜8時間)攪拌しつつ加熱して、第3の液体キャリア中に安定に分散された化合したインジウム/有機カルコゲナイド成分を形成することを含む。好ましくは、化合したインジウム/有機カルコゲナイド成分を提供するのに使用されるインジウム:第2の有機カルコゲナイドのモル比は2:3〜1:6であり、最も好ましくは有機ジカルコゲナイド(すなわち、RZ−Z’R’)については2:3であり、チオール(すなわち、R−SH)については1:3である。好ましくは、第3の液体キャリアはアミンである。
【0051】
好ましくは、本発明のガリウム配合インクの提供において、有機カルコゲナイド成分および第1b族リガンド成分の添加のタイミングはそれらの物理的状態に応じて変化する。固体有機カルコゲナイドおよび固体第1b族リガンド成分については、好ましくは、液体キャリア成分と一緒にする前に、固体有機カルコゲナイドおよび固体第1b族リガンド成分は他の固体(例えば、固体セレン粉体、固体第1b族成分)と一緒にされる。液体有機カルコゲナイドおよび液体第1b族リガンド成分については、液体有機カルコゲナイドおよび液体第1b族リガンド成分は、好ましくは、セレン粉体および第1b族成分の少なくとも一方の添加の後で、液体キャリア成分に添加される。
【0052】
本発明のガリウム配合インクの製造に使用するための液体キャリア成分の提供は、好ましくは、ガリウム成分、セレン成分、有機カルコゲナイド成分、第1b族成分、第1b族リガンド成分および場合によるインジウム成分を一緒にすることによって形成される生成物が液体キャリア中で安定である液体キャリア(本明細書において上述の通り)を提供することを含む。液体キャリア成分は別々の部分で、例えば、第1の液体キャリア、第2の液体キャリアおよび第3の液体キャリアとして提供されうる。この別々の部分は体積および組成が変化することができる。それぞれの部分の組成は同じであってよいし、または異なっていてもよいが、ただし、これら部分はガリウムキャリアと一緒になって全体で混和性である。
【0053】
場合によっては、本発明のガリウム配合インクを製造する方法は、ナトリウム源を提供し、ガリウム成分、化合したセレン/有機カルコゲナイド成分、第1b族物質/リガンド成分および場合によるインジウム成分とナトリウム源とを一緒にすることをさらに含む。
【0054】
場合によっては、本発明のガリウム配合インクを製造する方法は、補助溶媒を提供し、補助溶媒をガリウム成分、セレン成分、有機カルコゲナイド成分、第1b族含有物質、第1b族リガンド成分、場合によるインジウム成分および液体キャリア成分と一緒にすることをさらに含む。好適な補助溶媒はガリウム配合インク中に含まれる液体キャリア成分と混和性であり、かつガリウム配合インクを不安定にする影響を有しない。好ましい補助溶媒は、ガリウム配合インクに含まれる液体キャリア成分の沸点から30℃以内の沸点をさらに示す。
【0055】
場合によっては、本発明のガリウム配合インクを製造する方法は、任意の変性剤を提供し、この任意の変性剤を液体キャリア成分と一緒にすることをさらに含み、この任意の変性剤は分散剤、湿潤剤、ポリマー、バインダー、消泡剤、乳化剤、乾燥剤、充填剤、増量剤、膜コンディショニング剤、酸化防止剤、可塑剤、保存剤、増粘剤、フロー制御剤、レベリング剤、腐蝕抑制剤、およびドーパントから選択される。
【0056】
本発明のガリウム配合インクは、セレンを含む様々な半導体材料(例えば、薄層トランジスタ、太陽電池、エレクトロフォトグラフィ部品、整流器、写真用露出計、写真式複写(photocopying)メディア)の製造に、およびカルコゲナイド含有相変化メモリデバイスの製造に使用されうる。
【0057】
好ましくは、基体上にガリウム配合インクを堆積させる方法は、基体を提供し;本発明のガリウム配合インクを提供し;ガリウム配合インクを基体上に堆積させ;堆積されたガリウム配合インクを加熱して、ガリウムキャリア、第1の液体キャリア、第2の液体キャリアおよび第3の液体キャリアを除去して、基体上に第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質を残し;並びに、場合によっては、第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質をアニールすることを含み、第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質は式 NaCuGaIn(1−d)(2+e)(1−f)Se(2+e)f(式中、0≦L≦0.25、0.25≦m≦1.5、0≦d≦1、−0.2≦e≦0.5、0<f≦1、0.5≦(L+m)≦1.5、および1.8≦{(2+e)f+(2+e)(1−f)}≦2.5である)に従う。
【0058】
本発明のガリウム配合インクは従来の処理技術、例えば、湿潤コーティング、噴霧コーティング、スピンコーティング、ドクターブレードコーティング、接触印刷、トップフィード(top feed)反転印刷、ボトムフィード(bottom feed)反転印刷、ノズルフィード反転印刷、グラビア印刷、マイクログラビア印刷、反転マイクログラビア印刷、コマダイレクト(comma direct)印刷、ローラーコーティング、スロットダイコーティング、マイヤーバー(meyerbar)コーティング、リップダイレクトコーティング、デュアルリップダイレクトコーティング、キャピラリーコーティング、インクジェット印刷、ジェット堆積、噴霧熱分解および噴霧堆積を使用して基体上に堆積されうる。好ましくは、本発明のガリウム配合インクは、従来の噴霧堆積技術を用いて基体上に堆積される。好ましくは、本発明のガリウム配合インクは不活性雰囲気下(例えば、窒素下)で基体上に堆積される。
【0059】
好ましくは、堆積された第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質を処理してガリウムキャリアおよび液体キャリアを除く場合には、堆積された第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質はガリウムキャリアおよび液体キャリアの沸点温度を超える温度まで加熱される。場合によっては、堆積された第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質は5〜500℃の温度に加熱される。場合によっては、堆積された第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質は5〜450℃の温度に真空下で加熱される。
【0060】
使用される基体は、セレンを含む半導体の製造に伴い、またはカルコゲナイド含有相変化メモリデバイスに伴い使用される従来の物質から選択されうる。いくつかの用途における使用のためには、好ましくは、基体はモリブデン、アルミニウムおよび銅から選択される物質の層を含む。光起電力素子における使用のためのCIGS物質の製造における使用のためには、基体は好ましくはモリブデンの層を含む。ある用途においては、モリブデン、アルミニウムまたは銅基体層はキャリア材料、例えば、ガラス、ホイルおよびプラスチック(例えば、ポリエチレンテレフタラートおよびポリイミド)上の塗膜であり得る。場合によっては、基体は光起電力素子における使用のためのCIGS物質のロールツーロール生産を容易にするのに充分に柔軟である。
【0061】
場合によっては、基体上に第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質を堆積させるための方法は、堆積された第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族をアニールすることをさらに含む。堆積された第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質のためのアニーリング温度は、30秒〜5時間のアニーリング時間で、200〜650℃の範囲であることができる。場合によっては、セレンインク、セレン蒸気、セレン粉体、セレン化水素ガス、硫黄粉体および硫化水素ガスの少なくとも1つの形態で、アニーリングプロセス中に、追加の第6a族物質が導入されうる。場合によっては、アニーリングプロセスは2段階アニールである。第1のアニーリング段階においては、堆積された物質は30秒〜1時間の第1段階のアニーリング時間で200〜500℃の温度に加熱される。第2のアニーリング段階においては、堆積された物質は30秒〜1時間の第2段階のアニーリング時間で200〜650℃の温度に加熱される。
【0062】
場合によっては、基体上に第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質を堆積する方法は、ナトリウム源を提供し、および基体上にナトリウムを堆積させることをさらに含む。
【0063】
本発明の第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質を堆積する方法を使用すると、第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質(例えば、CIGS物質)を含む均一なまたは段階的な半導体膜を提供することが可能である。例えば、段階的CIGS物質は、様々な相対濃度のガリウム、セレン、第1b族および場合によるインジウム成分を用いて、様々な配合の本発明のガリウム配合インクを堆積させることにより(すなわち、異なる組成の前駆体物質の複数層を堆積させることにより)製造されうる。CIGS物質の製造においては、(例えば、Ga濃度に関して)段階的な膜を提供することが場合によっては望まれる。光によって生じた電荷キャリアの分離の向上を容易にするために、および裏面接触での組み替えの低減を容易にするために、光起電力素子に使用するためのCIGS物質の深さに応じて段階的なGa/(Ga+In)比を提供することが従来のものである。よって、所望の粒子構造および最も高い効率の光起電力素子特性を達成するようにCIGS物質組成を調整することが望ましいと考えられる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態が以下の実施例において詳細に説明される。
【実施例】
【0065】
実施例1〜21:ガリウムインクの製造
表1に示される材料および材料の量を用いてガリウムインクが製造された。具体的には、表1に示される各実施例については、ガリウム(アルファエーサー(Alfa Aesar)からのショット)が反応器に計り採られ、攪拌棒を備え付けた。次いで、この反応器に液体キャリアが添加され、次いで表1に示される追加の固体材料(すなわち、ピラジン)が添加された。次いで、反応器はグローブボックス内で組み立てられ、窒素下で反応器を密封した。次いで、この反応器はドラフトに移され、そこでは、窒素マニホルドを用いて正の窒素圧力下でその反応器が維持された。次いで、挿入シリンジを用いて、反応器の隔壁を経由して残りの液体材料が添加された。次いで、反応器の内容物は表1に示される反応条件下で処理された。冷却の後に、内容物を出すために、この反応器はグローブボックスに移された。次いで、生成物インクは反応器からデカントされて、残っている固体を除去した。デカントされた生成物インクは、1週間の室温で窒素下での貯蔵の後で透明かつ安定なままであることが観察された(すなわち、懸濁固体は明確には認められなかった)。
【0066】
【表1】

A:反応器はアルミニウム加熱ブロック上に配置された;次いで、加熱ブロック温度が60℃に設定され1時間維持された;次いで、加熱ブロック温度が100℃に設定され1時間維持された;次いで、加熱ブロック温度が140℃に設定され一晩維持された;次いで、反応器は熱源から取り外され、冷却された。
B:反応器はアルミニウム加熱ブロック上に配置された;次いで、加熱ブロック温度が120℃に設定され24時間維持された;次いで、加熱ブロック温度が140℃に設定され4時間維持された;次いで、反応器は熱源から取り外され、冷却された。
C:反応器はアルミニウム加熱ブロック上に配置された;次いで、加熱ブロック温度が140℃に設定され24時間維持された;次いで、加熱ブロック温度が150℃に設定され4時間維持された;次いで、加熱ブロック温度が160℃に設定され2時間維持された;次いで、反応器は熱源から取り外され、冷却された。
D:反応器はアルミニウム加熱ブロック上に配置された;次いで、加熱ブロック温度が160℃に設定され7時間維持された;次いで、反応器は熱源から取り外され、冷却された。
E:反応器はアルミニウム加熱ブロック上に配置された;次いで、加熱ブロック温度が140℃に設定され6時間維持された;次いで、反応器は熱源から取り外され、冷却された。
F:反応器はアルミニウム加熱ブロック上に配置された;次いで、加熱ブロック温度が140℃に設定され30時間維持された;次いで、反応器は熱源から取り外され、冷却された。
【0067】
実施例22〜25:ガリウムインク分析
実施例10、12および14〜15からのデカントされた生成物ガリウムインクが、窒素下で別々の丸底フラスコに入れられた。次いで、減圧下でこれら生成物サンプルから揮発性物質が除かれた。実施例22については、揮発性物質は最初に2.67kPaおよび80〜85℃でロータリーエバポレータで処理することにより除去された。実施例23〜25については、揮発性物質は最初に0.13kPaおよび80〜85℃でショートパス蒸留を行うことにより除去された。次いで、全てのサンプルは2.67kPaで2日間真空ハウス下に置かれて、残留する揮発性物質を除去した。次いで、丸底フラスコ内に残ったサンプル物質が誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−OES)によって分析された。これら分析の結果が表2に提供される。
【0068】
【表2】

【0069】
実施例26:インジウム成分の製造
インジウム金属(2g、ショット、99.99%、アルファエーサーから)、33.16gのエチレンジアミン(アクロス(Acros)99+%)および4.84グラムの2−ヒドロキシエチルジスルフィド(アルファエーサー、90%)が、凝縮器を取り付けた100mLの1つ口フラスコ内で一緒にされた。次いで、フラスコ内容物は窒素でパージされて、120℃で21時間還流され、この時点で、インジウムの大部分が消費されて、褐色がかった橙色の溶液を形成した。この褐色がかった橙色の溶液生成物であるインジウム成分がカニューレを介してバイアルに移された。この生成物インジウム成分は、カニュレーションの後のフラスコ内に残っているインジウムの重量に基づいて、3.75重量%濃度のインジウム金属を有すると推定された。
【0070】
実施例27:セレン成分の製造
セレン粉体200メッシュ(4.0g)(ストレムケミカルズ(Strem Chemicals)Inc.より)が40mLバイアル内に秤量された。次いで、このバイアルは窒素グローブボックス内に移された。次いで、1,3−ジアミノプロパン(アクロス99+%)(14.49g)がグローブボックス内のこのバイアルに添加された。このバイアルは反応器内に配置され、窒素下で密閉された。バイアル/反応器はドラフトに移され、そこではそれは窒素マニホルドに接続され、ジ−n−ブチルジスルフィド(1.51g)(アクロス、98%)がシリンジでバイアルに添加された。バイアルの内容物は攪拌しつつ6時間還流加熱され、黒色溶液生成物である化合セレン成分を生じた。この溶液(20% w/wSe)は使用まで窒素下に貯蔵された。
【0071】
実施例28:銅成分の製造
8mLのパラレル反応管に、118mgの塩化銅(II)(無水、ストレム、98%)、190mgの1,3−プロパンジチオール(アクロス、98%)および2.49gの1,3−ジアミノプロパン(アクロス、99%)が空気中で秤量された。次いで、この反応器は密閉され、窒素で不活性化された。次いで、この反応管は80℃に加熱され、磁気攪拌しつつそこで2時間保持された。この反応物は次いで室温まで冷却され、そして生成物溶液は窒素下で貯蔵された。2%(w/w)銅溶液はわずかな黄色みを有しており、目に見える固体はなかった。
【0072】
実施例29〜43:配合第1b族/第3a族/セレンインクの製造
配合第1b族/第3a族/セレンインクは表3に示される量で成分を使用して製造された。これら成分はサンプルバイアルにインジウム成分を添加することに始まり、次いでガリウムインクを添加し、次いでセレン成分を添加し、次いで銅成分を添加し、そして次いで10秒間激しく混合した。生成物の配合第1b族/第3a族/セレンインクはテフロン(登録商標)キャップしたバイアル内に使用まで貯蔵された。
【0073】
【表3】

【0074】
実施例44〜48:配合第1b族/第3a族/セレンインクの安定性
生成物の配合第1b族/第3a族/セレンインクの安定性が表4に示される。具体的には、示されるインクは室温で窒素パージボックス内でキャップされたバイアル中で貯蔵され、そして貯蔵の当初および29日後に50倍のペンシルスコープを用いてそのインクの外観観察がなされた。これら観察の結果は表4に報告される。
【0075】
【表4】

【0076】
実施例49〜53:第1b族/第3a族/セレン膜の製造
窒素グローブボックス内の80℃のホットプレート上に配置された、モリブデンコートされたスライドガラス上に表5に示された配合インク12滴を配置することにより第1b族/第3a族/セレン物質の薄膜が製造された。次いで、このホットプレート温度は約15分間の勾配時間にわたって400℃に上げられた。このホットプレート温度は30分間にわたって400℃に維持され、その後ホットプレートのスイッチを切った。次いで、スライドガラスがホットプレート表面上で室温まで冷却させられた。次いで、堆積した膜はリガクD/MAX2500を用いる、ニッケルフィルター銅Kα放射線で50kV/200mAでのx線回折(XRD)によって分析された。この膜は0.03度のステップで0.25度/分で5〜85度の2θでスキャンされた。回折ジオメトリが使用され、サンプルは20RPMで回転させられた。得られたXRDスペクトルはCIGS化合物の既知のXRDスペクトル(例えば、CuIn0.5Ga0.5SeCIGS相についてのJCPDS粉末回折ファイルからの00−040−1488)と良く相関していた。
【0077】
【表5】

【0078】
実施例54:第1b族/第3a族/セレン膜の製造
実施例34からの配合インク生成物を2平方インチのモリブデンコートされたスライドガラス上にスピンコートすることにより、第1b族/第3a族/セレン物質の薄膜が製造された。各実施例において、スライドガラスはまず5%水酸化アンモニウム溶液で清浄化され、次いで脱イオン水およびアルコールですすがれた。1,000mgの配合インクをこのスライドガラス上に分配することにより、配合インクの第1のコートがこのスライドガラスに適用された。次いで、このスライドガラスは200rpmまで10秒の勾配時間で回転数を上げられ、200rpmで60秒間保持された。次いで、このスライドガラスは10秒間の勾配時間で2000rpmまで回転数を上げられ、2000rpmで30秒間保持された。次いで、このスライドガラスは130℃で4分間、第1のホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスは240℃で4分間、ホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスは400℃で4分間、ホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスはホットプレート上で裏返されて130℃で4分間、配置された。次いで、このスライドガラスはホットプレートから取り出され、室温まで4分間冷却された。次いで、さらなる1,000mgの配合インクをこのスライドガラス上に分配することにより、配合インクの第2のコートがこのスライドガラスに適用された。次いで、このスライドガラスは1200rpmまで10秒の勾配時間で回転数を上げられ、1200rpmで60秒間保持された。次いで、このスライドガラスは10秒間の勾配時間で2000rpmまで回転数を上げられ、2000rpmで30秒間保持された。次いで、このスライドガラスは130℃で4分間、第1のホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスは240℃で4分間、ホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスは400℃で4分間、ホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスはホットプレート上で裏返されて130℃で4分間、配置された。次いで、このスライドガラスはホットプレートから取り出され、室温まで4分間冷却された。次いで、さらなる1,000mgの配合インクをこのスライドガラス上に分配し、そして第2のコートについて示されたスピンサイクルを行うことにより、配合インクの第3のコートがこのスライドガラスに適用された。次いで、このスライドガラスは130℃で4分間、ホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスは240℃で4分間、ホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスは400℃で30分間、ホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスはホットプレートから取り出され、室温まで冷却された。
【0079】
この堆積膜を伴うスライドガラスは導電炭素テープ上に取り付けられ、そして日立3400VP−SEMにおいて可変圧力モードで、15KeVで30mmSD検出器を用いて、エネルギー分散型X線分析(Energy dispersive X−ray spectroscopy;EDS)によって分析された。この分析の結果は表6に提供される。
【0080】
次いで、これら堆積膜は550℃で90分間セレン雰囲気下で加熱することによりアニールされた。アニール後のこの堆積膜を伴うスライドガラスがEDSによって再び分析された。分析の結果は表6に提供される。
【0081】
【表6】

【0082】
実施例55〜56:第1b族/第3a族/セレン膜の製造
実施例35および36からの配合インク生成物を1平方インチのモリブデンコートされたスライドガラス上にスピンコートすることにより、実施例55〜56における第1b族/第3a族/セレン物質の薄膜が製造された。スライドガラスはまず5%水酸化アンモニウム溶液で清浄化され、次いで脱イオン水およびアルコールですすがれた。各実施例において、300mgの配合インクをこのスライドガラス上に分配することにより、配合インクの第1のコートがこのスライドガラスに適用された。次いで、このスライドガラスは200rpmまで10秒の勾配時間で回転数を上げられ、200rpmで60秒間保持された。次いで、このスライドガラスは10秒間の勾配時間で1200rpmまで回転数を上げられ、1200rpmで30秒間保持された。次いで、このスライドガラスは130℃で3分間、第1のホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスは240℃で3分間、第2のホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスは400℃にセットされた第3のホットプレート上に3分間配置された。次いで、このスライドガラスは第1のホットプレート上で裏返されて130℃で3分間、配置された。次いで、このスライドガラスは第1のホットプレートから取り出され、室温で3分間冷却された。次いで、さらなる300mgの配合インクをこのスライドガラス上に分配することにより、配合インクの第2のコートがこのスライドガラスに適用された。次いで、このスライドガラスは200rpmまで10秒の勾配時間で回転数を上げられ、200rpmで60秒間保持された。次いで、このスライドガラスは10秒間の勾配時間で1200rpmまで回転数を上げられ、1200rpmで30秒間保持された。次いで、このスライドガラスは130℃で3分間、第1のホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスは240℃で3分間、第2のホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスは400℃にセットされた第3のホットプレート上に3分間配置された。次いで、このスライドガラスは第1のホットプレート上で裏返されて130℃で3分間、配置された。次いで、このスライドガラスは第1のホットプレートから取り出され、室温で3分間冷却された。次いで、さらなる300mgの配合インクをこのスライドガラス上に分配し、そして第2のコートについて示されたスピンサイクルを行うことにより、配合インクの第3のコートがこのスライドガラスに適用された。次いで、このスライドガラスは130℃で3分間、ホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスは240℃で3分間、ホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスは400℃で30分間、ホットプレート上に配置された。次いで、このスライドガラスはホットプレートから取り出され、室温まで冷却された。
【0083】
次いで、これら堆積膜は630℃で60分間セレン雰囲気下で加熱することによりアニールされた。この堆積膜を伴うスライドガラスは導電炭素テープ上に取り付けられ、そして日立3400VP−SEMにおいて可変圧力モードで、15KeVで30mmSD検出器を用いて、エネルギー分散型X線分析(EDS)によって分析された。この分析の結果は表7に提供される。
【0084】
【表7】

【0085】
実施例57〜63:第1b族/第3a族/セレン膜の製造
実施例37〜43からの配合インク生成物をドロップキャストすることにより、それぞれ、実施例57〜63における第1b族/第3a族/セレン物質の薄膜が製造された。具体的には、実施例57〜63のそれぞれにおいては、8滴の配合インクが、ホットプレートの表面上にあるモリブデンコートされたスライドガラス上に配置された。次いで、このホットプレート設定温度が80℃に上げられ、その堆積インクから全ての液体が蒸発するまでそこで保持された。次いで、このホットプレート設定温度が約15分間の勾配時間にわたって400℃に上げられた。次いで、このホットプレート設定温度が400℃で30分間保持され、その後スイッチを切った。次いで、このスライドガラスはホットプレートの表面上で室温まで冷却された。次いで、この生成物膜は、日立3400VP−SEMにおいて可変圧力モードで、15KeVで30mmSD検出器を用いて、エネルギー分散型X線分析(EDS)によって分析された。この分析の結果は表8に提供される。
【0086】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ガリウム成分;セレン成分;有機カルコゲナイド成分;第1b族成分;場合によって、二座チオール成分;場合によって、インジウム成分;の組み合わせを当初成分として含む第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族システムと、(b)液体キャリア成分とを含む、ガリウム配合インクであって、
前記ガリウム成分がガリウム、安定化成分、添加剤およびガリウムキャリアを当初成分として含み;
前記有機カルコゲナイド成分がRZ−Z’R’およびR−SHから選択される式を有する少なくとも1種の有機カルコゲナイドを含み、式中、ZおよびZ’は独立して硫黄、セレンおよびテルルから選択され;RはH、C1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20メルカプトアルキル基、およびエーテル基から選択され;R’およびRはC1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20メルカプトアルキル基、およびエーテル基から選択され;
前記第1b族成分はCuClおよびCuOの少なくとも1種を当初成分として含み;
前記安定化成分は、1,3−プロパンジチオール、ベータ−メルカプトエタノール、これらの類似体およびこれらの混合物からなる群から選択され;
前記添加剤はピラジン、2−メチルピラジン、3−メチルピラゾール、メチル2−ピラジンカルボキシラート、ピラゾール、プラキサジン、ピラジンカルボキサミド、ピラジンカルボニトリル、2,5−ジメチルピラジン、2,3,5,6−テトラメチルピラジン、2−アミノピラジン、2−エチルピラジン、キノキサリン、C1−5アルキル基で置換されたキノキサリン、2−ピラジンカルボン酸、2−メチルキノキサリン、2,3−ピラジンジカルボキサミド、2,3−ピラジンジカルボニトリル、ピロリジノ−1−シクロヘキセン、ピロリジノ−1−シクロペンテン、フェナジン、C1−5アルキル基で置換されたフェナジン、イソキノリン、C1−5アルキル基で置換されたイソキノリン、インドール、C1−5アルキル基で置換されたインドール、イミダゾール、C1−5アルキル基で置換されたイミダゾール、テトラゾール、C1−5アルキル基で置換されたテトラゾール、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンからなる群から選択され;
前記ガリウムキャリアはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリエチレンテトラミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチル−1−ヘキシルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ピリジン、ピロリジン、1−メチルイミダゾール、テトラメチルグアニジン、2−メチルピラジンおよびこれらの混合物から選択され;並びに
前記第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族システムは前記液体キャリア成分中に安定に分散されている;
ガリウム配合インク。
【請求項2】
安定化成分が1,3−プロパンジチオールおよびベータ−メルカプトエタノールから選択される、請求項1に記載のガリウム配合インク。
【請求項3】
添加剤が、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ピロリジノ−1−シクロヘキセン、ピロリドン−1−シクロペンテン、1−メチルイミダゾール、ピラジンおよび2−メチルピラジンから選択される、請求項1に記載のガリウム配合インク。
【請求項4】
ガリウムキャリアが1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、2−メチルピラジンおよびこれらの混合物から選択される、請求項1に記載のガリウム配合インク。
【請求項5】
液体キャリア成分が窒素含有溶媒および窒素含有溶媒の混和性混合物から選択される、請求項1に記載のガリウム配合インク。
【請求項6】
液体キャリア成分が式NR(式中、各Rは独立して、H、C1−10アルキル基、C6−10アリール基およびC1−10アミノアルキル基から選択される)を有する液体アミンから選択される、請求項1に記載のガリウム配合インク。
【請求項7】
液体キャリア成分がエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリエチレンテトラミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチル−1−ヘキシルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ピリジン、ピロリジン、1−メチルイミダゾール、テトラメチルグアニジンおよびこれらの混合物から選択される、請求項1に記載のガリウム配合インク。
【請求項8】
セレン:銅:ガリウム+場合によるインジウムのモル比が2:0.5:1〜10:1.5:1である、請求項1に記載のガリウム配合インク。
【請求項9】
ガリウムを提供し;
1,3−プロパンジチオール、ベータ−メルカプトエタノール、これらの類似体およびこれらの混合物から選択される安定化成分を提供し;
ピラジン、2−メチルピラジン、3−メチルピラゾール、メチル2−ピラジンカルボキシラート、ピラゾール、プラキサジン、ピラジンカルボキサミド、ピラジンカルボニトリル、2,5−ジメチルピラジン、2,3,5,6−テトラメチルピラジン、2−アミノピラジン、2−エチルピラジン、キノキサリン、C1−5アルキル基で置換されたキノキサリン、2−ピラジンカルボン酸、2−メチルキノキサリン、2,3−ピラジンジカルボキサミド、2,3−ピラジンジカルボニトリル、ピロリジノ−1−シクロヘキセン、ピロリジノ−1−シクロペンテン、フェナジン、C1−5アルキル基で置換されたフェナジン、イソキノリン、C1−5アルキル基で置換されたイソキノリン、インドール、C1−5アルキル基で置換されたインドール、イミダゾール、C1−5アルキル基で置換されたイミダゾール、テトラゾール、C1−5アルキル基で置換されたテトラゾール、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンからなる群から選択される添加剤を提供し;
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリエチレンテトラミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチル−1−ヘキシルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ピリジン、ピロリジン、1−メチルイミダゾール、テトラメチルグアニジン、2−メチルピラジンおよびこれらの混合物から選択されるガリウムキャリアを提供し;
セレンを提供し;
第1の有機カルコゲナイドおよび場合によっては第2の有機カルコゲナイドを含む有機カルコゲナイド成分を提供し、ここで前記第1の有機カルコゲナイドおよび前記第2の有機カルコゲナイドはいずれもRZ−Z’R’およびR−SHから独立して選択される式を有し、式中、ZおよびZ’は独立して硫黄、セレンおよびテルルから選択され、RはH、C1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20メルカプトアルキル基、およびエーテル基から選択され、R’およびRはC1−20アルキル基、C6−20アリール基、C1−20ヒドロキシアルキル基、C1−20メルカプトアルキル基、およびエーテル基から選択される;
CuClおよびCuOの少なくとも1種を当初成分として含む第1b族成分を提供し;
第1b族リガンド成分を提供し;
インジウムを場合によって提供し;
第1の液体キャリア、第2の液体キャリアおよび場合によって第3の液体キャリアを含む液体キャリア成分を提供し;
ガリウム、安定化成分、添加剤およびガリウムキャリアを一緒にして、ガリウム成分を生じさせ;
セレン、第1の有機カルコゲナイドおよび第1の液体キャリアを一緒にし、この一緒にしたものを攪拌しつつ加熱して化合したセレン/有機カルコゲナイド成分を生じさせ;
第1b族成分、第1b族リガンド成分および第2の液体キャリアを一緒にして、第1b族物質/リガンド成分を生じさせ;
場合によって、インジウム、第2の有機カルコゲナイドおよび第3の液体キャリアを一緒にして、場合によるインジウム/有機カルコゲナイド成分を生じさせ;
ガリウム成分、化合したセレン/有機カルコゲナイド成分、第1b族物質/リガンド成分、および場合によるインジウム/有機カルコゲナイド成分を一緒にして、ガリウム配合インクを形成することを含み、
前記ガリウム配合インクが安定な分散物であり、
第1の液体キャリア、第2の液体キャリアおよび場合による第3の液体キャリアはガリウムキャリアと一緒に混和可能であるかまたは同じである、
請求項1に記載のガリウム配合インクを製造する方法。
【請求項10】
基体を提供し;
請求項1に記載のガリウム配合インクを提供し;
ガリウム配合インクを基体上に堆積させ;
堆積したガリウム配合インクを加熱してガリウムキャリア、第1の液体キャリア、第2の液体キャリアおよび場合による第3の液体キャリアを除いて、第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質を基体上に残し;並びに
場合によっては、第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質をアニールする;
ことを含み、
前記第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質は式 NaCuGaIn(1−d)(2+e)(1−f)Se(2+e)f(式中、0≦L≦0.25、0.25≦m≦1.5、0≦d≦1、−0.2≦e≦0.5、0<f≦1、0.5≦(L+m)≦1.5、および1.8≦{(2+e)f+(2+e)(1−f)}≦2.5である)に従う、
第1b族/ガリウム/(場合によってインジウム)/第6a族物質を基体上に堆積させる方法。

【公開番号】特開2012−172150(P2012−172150A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−29573(P2012−29573)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】