説明

ガルバーニ微粒子を備えた医療機器

ガルバーニ微粒子を有する埋め込み式医療機器を開示する。前記微粒子は、前記医療機器の表面の少なくとも一部上にコーティングされ得る。更に、前記ガルバーニ微粒子は、抗微生物医療機器を製造するために用いられる材料に含有されてもよく、又は前記医療機器の表面に埋め込まれてもよい。また、本発明は、新規コーティング方法及び加工方法を提供する。前記機器は、抗微生物、抗炎症、及び組織再生促進を含む有益な特徴及び効果を有し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗微生物医療機器、より具体的には、ガルバーニ微粒子を含むか又はガルバーニ微粒子でコーティングされた抗微生物性機器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器は、一般的には、使用前に滅菌される。大部分の医療機器は、医療サービスが施される又は提供される場所において医療提供者がパッケージを開封するまで機器の無菌状態を維持するパッケージにパッケージ化される。機器を使用する環境に応じて、使用前若しくは挿入中、又は患者における埋め込み部位が汚染されている場合は挿入若しくは埋め込み後において、外傷若しくは欠陥若しくは不適切な滅菌手順の結果として、装置が微生物で汚染される可能性がある。医療機器の微生物汚染は、抗生物質耐性バイオフィルムの形成を含む、様々な理由のために容易に治療することができない場合が多い重篤な感染症を患者に生じさせる恐れがある。医療機器上に抗微生物コーティングを使用すると、医療機器の使用又は埋め込みに関連する感染症の発生をなくすか又は減らすことができる。細菌汚染及び組織感染に加えて、過剰の組織炎症により多くの術後合併症が引き起こされ、手術又は埋め込み部位における疼痛及び浮腫、瘢痕化及び組織癒着を導く。
【0003】
イオン導入パッチ装置における電源としてガルバーニ対(galvanic couple)を使用することは当該技術分野において公知である。例えば、米国特許第5,147,297号、同第5,162,043号、同第5,298,017号、同第5,326,341号、同第5,405,317号、同第5,685,837号、同第6,584,349号、同第6,421,561号、同第6,653,014号、及び米国特許出願公開第2004/0138712号を参照されたい。ガルバーニ対は、亜鉛ドナー電極及び塩化銀対電極のような、異なる金属の粉末から製造される。これらのガルバーニ対式電源局所イオン導入パッチ装置のいくつかは、体組織及び/又は体液がガルバーニ系とともに完全回路を形成して、電気を発生させるとき、自動的に作動する。これらの装置は、電気刺激、創傷治癒の向上、又は抗微生物治療のような、意図する効果をもたらすために、人体に適用される。微粒子の形態のガルバーニ対式電源の局所システムの他の種類は、米国特許第7,476,221号、同第7,479,133号、同第7,477,939号、同第7,476,222号、同第7,477,940号、並びに米国特許出願公開第2005/0148996号、及び同第2007/0060862号に開示されており、これらは、特に、皮膚及び粘膜組織の局所治療を対象とする開示を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のガルバーニ治療システムは、皮膚、爪、毛髪、及び粘膜の症状及び疾患用の局所治療製品において有用であると認められている。この分野では、機器の生体適合性及び機械的機能を保持しながら抗微生物特性を高め、かつ抗炎症及び組織再生特性等の更なる利点を有し得る新規埋め込み式医療機器の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
抗微生物特性を有する埋め込み型医療機器を開示する。その医療機器は、ガルバーニ微粒子を含む。そのガルバーニ微粒子は、機器の表面上、機器のバルク内、又はこれらの組み合わせに存在し得る。本発明の別の態様は、表面の少なくとも一部がガルバーニ微粒子を含む抗微生物コーティングでコーティングされた医療機器である。ガルバーニ微粒子を有する医療機器は、埋め込み部位における感染を予防するか、低減するか、又はなくすために有用である。その機器はまた、抗炎症及び組織再生特性を含む他の有益な特性を有し得る。
【0006】
本発明の更に別の態様は、上記医療機器を製造する方法である。
【0007】
本発明の更に別の態様は、外科的手技において上記機器を使用する方法である。
【0008】
本発明の別の態様は、ガルバーニ微粒子と水性ゲルとの組み合わせである。
【0009】
本発明のこれらの及び他の態様及び利点は、以下の説明及び添付図面により更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】高温付着プロセスを用いてZn/Cuガルバーニ微粒子でコーティングされたポリプロピレンメッシュのSEM画像。
【図2】ディップコーティングプロセスを用いてZn/Cuガルバーニ微粒子でコーティングされたポリプロピレンメッシュのSEM画像。
【図3】マイクロスプレープロセスを用いてZn/Cuガルバーニ微粒子でコーティングされたポリプロピレンメッシュの光学顕微鏡画像。
【発明を実施するための形態】
【0011】
当業者であれば、本明細書の記載に基づいて本発明を最大限利用できるであろう。以下の具体的な実施形態は、単なる例示として解釈すべきであり、いかなることがあっても以下の開示を限定するものではない。
【0012】
特段の記載がない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術における通常の知識を有する者が共通に解釈するのと同じ意味を有する。更に、本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許、及び他の引用文献は全て、これを援用するものである。特に指示しない限り、百分率は重量百分率(即ち、%(W/W))を指す。
【0013】
本明細書で使用するとき、「製品」とは、ガルバーニ粒子を含むコーティング剤でコーティングされているか、又はガルバーニ微粒子が埋め込まれている若しくは含有されている本発明の医療機器を意味する。
【0014】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容できる」とは、この用語が説明する成分が、過度の毒性、不適合、不安定、刺激、及びアレルギー反応等がなく、意図する医療用途に好適であることを意味する。
【0015】
本明細書で使用するとき、「安全且つ有効な量」は、所望の水準で所望の効果をもたらすのに十分であるが、重篤な副作用を避けるのに十分少ない、成分又は組成物の量を意味する。成分又は組成物の安全且つ有効な量は、治療される領域、患者の年齢及び個々の特徴、治療の期間及び性質、使用される特定の成分又は組成物、利用される具体的な薬学的に許容できる担体、並びに同様の要因を含む慣行的因子によって異なる。
【0016】
本明細書で使用するとき、「治療する」又は「治療」という用語は、症状(例えば、感染症、炎症、疼痛、浮腫、及び/又は他の術後及び手技後合併症)の治療(例えば、症状の軽減又は消散及び/又は治癒)並びに/又は予防若しくは阻害を意味する。その手技としては、開腹手術及び医学的手技(例えば、注射、カテーテルの挿入)、並びに低侵襲手技が挙げられる。低侵襲手技は、同目的のために用いられる開腹手術よりも低侵襲性である任意の(外科的又は別方法の)手技である。低侵襲手技は、典型的には、内視鏡に類似する機器を通して手術野を間接的に見る、腹腔鏡及び遠隔制御操作装置の使用を含み、皮膚を通して、又は体腔若しくは解剖学的開口部を通して実施される。
【0017】
微粒子及び粒子状物質という用語は、本明細書において互換的に用いられる。粒子という用語は、微粒子及び粒子状物質という用語と互換的に用いられる。
【0018】
1つの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるように、ガルバーニ微粒子を含む医療機器である。そのガルバーニ微粒子は、機器の表面上、医療機器のバルク内、及びこれらの組み合わせに組み込まれ得る。このような医療機器の作製方法も記載される。
【0019】
本発明で有用なガルバーニ微粒子は、第1導電材料及び第2導電材料を含み、第1導電材料及び第2導電材料の両方が少なくとも部分的に微粒子の表面上に露出している。1つの実施形態では、微粒子は、第1導電材料を含有し、その微粒子の表面は第2導電材料で部分的にコーティングされる。
【0020】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、第2導電材料の重量%が、微粒子の合計重量の約0.001重量%〜約20重量%、例えば、微粒子の合計重量の約0.01重量%〜約10重量%であるコーティング方法により生成される。1つの実施形態では、第2導電材料のコーティング厚さは、単一原子から数百マイクロメートルまで変化してもよい。更に別の実施形態では、ガルバーニ微粒子の表面は、約0.001重量%〜約99.99重量%、例えば、約0.1重量%〜約99.9重量%の第2導電材料を含む。
【0021】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、非コーティング方法により(例えば、第1及び第2導電材料を共に焼結、印刷、又は機械的加工して、ガルバーニ微粒子を形成することにより)生成され、第2導電材料は、微粒子の合計重量の約0.1重量%〜約99.9重量%、及び他の範囲、例えば、微粒子の合計重量の約10%〜約90%を構成する。
【0022】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、保存中組成物に懸濁することができるのに十分な程度細かい。更なる実施形態では、それらは扁平及び/又は細長い形状である。ガルバーニ微粒子の扁平及び細長い形状の利点としては、見かけ密度が低く、それ故、浮遊/懸濁能がより良好になり、並びに生体組織をより良好に被覆し、生体組織(例えば、皮膚又は粘膜)を通過するガルバーニ電流の範囲をより広く及び/又はより深くすることが挙げられる。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子の最長寸法は、このような微粒子の最短寸法の少なくとも2倍(例えば、少なくとも5倍)である。別の実施形態では、ガルバーニ微粒子の形状は薄いフレーク状であり、その厚さ(Z軸)は、他の2つの寸法(X及びY寸法)よりも著しく小さく、例えば、厚さは、約0.5〜1.5マイクロメートルであり、他の2つの寸法は、約5マイクロメートル〜約100マイクロメートルである。
【0023】
ガルバーニ微粒子は、球形若しくは非球形、又は細長い若しくは扁平な形状(例えば、円筒形、繊維又はフレーク)が挙げられるがこれらに限定されない、任意の形状であってよい。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子の平均粒径は、約10ナノメートル〜約500マイクロメートル、例えば、約100ナノメートル〜約100マイクロメートルである。粒径は、少なくとも一方向における最長寸法を意味する。
【0024】
第1導電材料/第2導電材料の組み合わせの例には、以下が挙げられるがこれらに限定されない元素金属である(「/」という記号は、酸化されているが、本質的に不溶性形態の金属を表す)。亜鉛−銅、亜鉛−銅/銅ハロゲン化物、亜鉛−銅/銅酸化物、マグネシウム−銅、マグネシウム−銅/銅ハロゲン化物、亜鉛−銀、亜鉛−銀/銀酸化物、亜鉛−銀/銀ハロゲン化物、亜鉛−銀/銀塩化物、亜鉛−銀/銀臭化物、亜鉛−銀/銀ヨウ化物、亜鉛−銀/銀フッ化物、亜鉛−金、亜鉛−炭素、マグネシウム−金、マグネシウム−銀、マグネシウム−銀/銀酸化物、マグネシウム−銀/銀ハロゲン化物、マグネシウム−銀/銀塩化物、マグネシウム−銀/銀臭化物、マグネシウム−銀/銀ヨウ化物、マグネシウム−銀/銀フッ化物、マグネシウム−炭素、アルミニウム−銅、アルミニウム−金、アルミニウム−銀、アルミニウム−銀/銀酸化物、アルミニウム−銀/銀ハロゲン化物、アルミニウム−銀/銀塩化物、アルミニウム−銀/銀臭化物、アルミニウム−銀/銀ヨウ化物、アルミニウム−銀/銀フッ化物、アルミニウム−炭素、銅−銀/銀ハロゲン化物、銅−銀/銀塩化物、銅−銀/銀臭化物、銅−銀/銀ヨウ化物、銅−銀/銀フッ化物、鉄−銅、鉄−銅/銅酸化物、銅−炭素鉄−銅/銅ハロゲン化物、鉄−銀、鉄−銀/銀酸化物、鉄−銀/銀ハロゲン化物、鉄−銀/銀塩化物、鉄−銀/銀臭化物、鉄−銀/銀ヨウ化物、鉄−銀/銀フッ化物、鉄−金、鉄−導電性炭素、亜鉛−導電性炭素、銅−導電性炭素、マグネシウム−導電性炭素、及びアルミニウム−炭素。
【0025】
第1導電材料及び第2導電材料、特に第1導電材料は、合金であってもよい。合金の非限定的な例としては、第1導電材料として亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、銅、及びマンガンの合金、第2導電材料として銀、銅、ステンレススチール及び金の合金が挙げられる。
【0026】
1つの実施形態では、第1導電材料から作製される微粒子は、第2及び第3導電材料など、数種の導電材料で部分的にコーティングされる。更なる実施形態では、微粒子は少なくとも95重量%の第1導電材料、第2導電材料、及び第3導電材料を含む。1つの実施形態では、第1導電材料は亜鉛であり、第2導電材料は銅であり、第3導電材料は銀である。標準電極電位は、標準状態におけるイオンと平衡状態にある、その標準状態における物質から構成される電極の水素電極と比べた電位である。1つの実施形態では、第1導電材料と第2導電材料の標準電極電位(又は簡単に標準電位)の差は、少なくとも約0.1ボルト、例えば、少なくとも0.2ボルトである。1つの実施形態では、ガルバーニ対を構成する材料は、約3ボルト以下の標準電極電位を有する。例えば、金属亜鉛及び銅で構成されるガルバーニ対では、亜鉛の標準電位は−0.763V(Zn/Zn2)であり、銅の標準電位は+0.337(Cu/Cu2)であるため、標準電位の差は、亜鉛−銅ガルバーニ対で1.100Vである。同様に、マグネシウム−銅ガルバーニ対では、マグネシウムの標準電位(Mg/Mg2)は−2.363Vであり、したがって、標準電位の差は2.700Vである。ガルバーニ対に好適ないくつかの材料の標準電位値の更なる例は、Ag/Ag:+0.799V、Ag/AgCl/Cl:0.222V、及びPt/H/H:0.000Vである。Ptはまた、炭素又は別の導電材料に置き換えられてもよい。一般的に、導電材料間の電圧は、所望の治療効果を有効に提供するのに十分である。
【0027】
1つの実施形態では、導電金属インク(例えば、ポリマー結合剤を有する)を従来の化学的、電気化学的、物理的、又は機械的加工(無電解めっき、電気めっき、真空蒸着、アーク噴霧、焼結、圧縮、加圧成形、押出成形、印刷、及び造粒のような)によって、及び粉末冶金、電子工学、及び医療機器の製造プロセスにおいて一般的に用いられる他の既知の金属コーティング及び粉末加工方法により、導電性電極を組み合わせる(例えば、第2導電電極を第1導電電極に堆積させる)。別の実施形態では、全ての導電性電極は、還元剤(複数も含む)の存在下で、順次又は同時に、従来の化学還元プロセス(例えば、無電解めっき)により製造される。還元剤の例としては、リン含有還元剤(例えば、米国特許第4,167,416号及び同第5,304,403号に記載のような次亜リン酸塩)、ホウ素含有還元剤、及びテトラヒドロホウ酸ナトリウム(NaBH4)(例えば、米国特許出願公開第20050175649号に記載のもの)のようなアルデヒド又はケトン含有還元剤が挙げられる。
【0028】
1つの実施形態では、第2の導電性電極は、スプレーコーティング、プラズマコーティング、導電インクコーティング、スクリーン印刷、ディップコーティング、金属接着、高圧−高温下での粒子の衝突、流動床加工、又は真空蒸着のような、物理的堆積により第1の導電性電極上に堆積又はコーティングされる。
【0029】
1つの実施形態では、コーティング方法は、置換化学反応、つまり第1導電材料の微粒子(例えば、金属亜鉛粒子)を、第2導電材料の溶解塩(例えば、酢酸銅、乳酸銅、グルコン酸銅、又は硝酸銀)を含有する溶液と接触させることに基づいている。更なる実施形態では、本方法は、第1導電材料(例えば、亜鉛粉末)の微粒子上を、又は第1導電材料の充填粉末を通して、溶液を流すことを含む。1つの実施形態では、塩溶液は水溶液である。別の実施形態では、溶液は、アルコール、グリコール、グリセリン、又は薬剤生産において一般的に用いられる他の溶媒のような有機溶媒を含有して、第1微粒子の表面上への第2導電材料の堆積速度を調節し、それにより、生成されるガルバーニ微粒子の活性を制御する。
【0030】
別の実施形態では、本発明のガルバーニ微粒子を、他の材料でコーティングして、保存中にガルバーニ材料が劣化(例えば、酸素及び水分による酸化劣化)するのを防ぐか、又は電気化学的反応を調節し、使用中の電流発生を制御することもできる。ガルバーニ材料に対する代表的なコーティング材料は、無機又は有機ポリマー、天然又は合成のポリマー、生分解性又は生体吸収性のポリマー、シリカ、セラミック、種々の金属酸化物(例えば、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、又はチタンの酸化物)、及び低溶解性の他の無機塩類(例えば、リン酸亜鉛)である。コーティング方法は金属粉末加工及び金属顔料製造の分野において既知であり、例えば米国特許公開第5,964,936号、同第5,993,526号、同第7,172,812号、米国特許出願公開第20060042509A1号、及び同第20070172438号に記述されているものがある。
【0031】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、乾燥環境において保管される。ガルバーニ微粒子は、水分によって活性化されて、ガルバーニ電池を提供する。ガルバーニ微粒子は、粒子の早すぎる活性化を防ぐために水分を含まない環境で保持されることが好ましい。別の実施形態では、ガルバーニ微粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、及びプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない、無水溶媒又は溶媒混合物等の非導電性ビヒクル中で保管される。
【0032】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、医療機器及びインプラントの内又は上に組み込まれる。ガルバーニ微粒子を含み得るか又はガルバーニ微粒子でコーティングされ得る好適な医療機器としては、創傷縫合用止め金、縫合糸、縫合糸アンカー、外科用縫合針、皮下注射針、カテーテル、創傷テープ、創傷包帯、止血鉗子、ステント、代用血管、血管パッチ、カテーテル、外科用メッシュ、骨インプラント、関節インプラント、歯科用インプラント、移植骨、歯科用インプラント、乳房インプラント、組織増大インプラント、プラスチック製再建インプラント、埋め込み式薬物送達ポンプ、診断用インプラント、及び組織工学スカフォールド、並びに他の従来の医療機器及びこれらの等価物が挙げられるが、これらに限定されない。その医療機器は、従来の生体適合性の、吸収性又は再吸収性ポリマー、非再吸収性ポリマー、金属、ガラス、又はセラミック、及びこれらの等価物から調製又は作製することができる。
【0033】
好適な非再吸収性ポリマーとしては、アクリル、ポリアミド−イミド(PAI)、ポリアリールエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート、ポリエチレン(PE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリエチレン(PET)、テレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド(PA)、ポリフッ化ビニル(PVDF)、及びポリフッ化ビニリデン、−co−ヘキサフルオロプロピレン(PVDF/HFP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、並びにこれらの組み合わせ及び等価物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
好適な吸収性ポリマーは、合成ポリマーであっても天然ポリマーであってもよい。好適な生体適合性、生体吸収性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、シュウ酸ポリアルキレン、ポリアミド、チロシン由来ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含有するポリオキサエステル、ポリ(酸無水物)、ポリホスファゼン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーが挙げられる。本発明の目的のために、脂肪族ポリエステルとしては、ラクチドのホモポリマー及びコポリマー(乳酸、D−、L−、及びメソラクチドを含む)、グリコリド(グリコール酸を含む)、エプシロン−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、トリメチレンカーボネートのアルキル誘導体、及びこれらのポリマーブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。天然ポリマーとしては、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、ラミニン、及びゼラチン、ケラチン、硫酸コンドロイチン、及び脱細胞化組織が挙げられる。
【0035】
好適な金属は、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金、ステンレススチール、及びコバルト−クロム合金(例えば、コバルト−クロム−モリブデン合金)等が挙げられるが、これらに限定されない医療機器で従来用いられている生体適合性金属である。これら金属は、縫合糸、手術針、歯科用インプラント、創傷止め金、血管吻合器、心臓弁、プラスチック製手術用インプラント、他の埋め込み式機器等で従来用いられる。
【0036】
好適な吸収性又は生体適合性のガラス若しくはセラミックとしては、ヒドロキシアパタイト、置換アパタイト、リン酸テトラカルシウム、アルファ−及びベータ−リン酸トリカルシウム、リン酸オクタカルシウム、ブラッシュ石、モネタイト、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、リン酸塩ガラス等のリン酸塩、カルシウム及びマグネシウムの炭酸塩、硫酸塩、及び酸化物、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明の実施において、ガルバーニ微粒子は、医療機器の表面の少なくとも一部上にガルバーニ微粒子をコーティングする、ガルバーニ微粒子を医療機器に組み込む、及びこれらの組み合わせを含む様々な方法によって医療機器と組み合わせることができる。ガルバーニ微粒子を医療機器に組み込むことにより、吸収性ポリマーの場合のように、時間と共に露出する粒子の活性を持続させることができる。ガルバーニ粒子は、水分によって活性化されるので、粒子の加工は全て、乾燥又は実質的に乾燥条件下で実施すべきである。
【0038】
ガルバーニ微粒子は、粒子を機器に直接付着させることにより、又は従来の生体適合性ポリマー結合剤を含むポリマー結合剤を用いることにより、医療機器の表面上にコーティングすることができる。また、粒子は、粒子を加熱することにより前記機器に直接付着させてもよい。粒子は、医療機器の表面を融解させるのに十分な温度に粒子を加熱し、次いで、機器の表面と粒子を衝突させて、機器表面を一時的に融解又は軟化させ、次いで冷却して、粒子を機器の表面上に定置させるか、埋め込むか、又は他の方法で接着させることにより、結合剤としてポリマーコーティングを有する機器又はポリマーから調製される医療機器の表面上に付着させることができる。加熱された粒子は、静電噴霧、流動床コーティング等の従来の方法によって塗布することができる。あるいは、ポリマー膜を、装置の表面上にコーティングし、次いで、この膜を加熱し、微粒子を上記のように軟化した膜に付着させてもよい。
【0039】
あるいは、ポリマー結合剤コーティングを用いて、粒子を医療機器に塗布又は付着させてもよい。ガルバーニ粒子は、ポリマー結合剤を含有する溶液と混合してもよい。好適なポリマー結合剤としては、上に列挙した医療機器を調製するために用いられたものが挙げられる。好適な溶媒としては、1,4−ジオキサン、酢酸エチル等が挙げられる。当業者は、ポリマーの組成に基づいて適切な溶媒を決定することができる。ポリマー結合剤は、約1重量%〜約15重量%の濃度で好適な溶媒に溶解する。ガルバーニ粒子は、約7.5重量%〜約10重量%の量でポリマー結合剤溶液中に存在できる。ポリマー結合剤溶液中にガルバーニ微粒子を含有するコーティング剤を用いて医療機器を、典型的には外表面の全て又は一部をコーティングすることができるが、内表面も同様に、マイクロ噴霧コーティング、静電噴霧、静電スピニング、ディップコーティング、流動床コーティング等の従来の方法によってコーティングできる。
【0040】
医療機器のコーティングされた表面上のガルバーニ粒子の量は、安全且つ効率的な方法で抗微生物及び/又は抗炎症及び/又は抗癒着作用を有効に発現させるのに十分であろう。1つの実施形態では、ガルバーニ粒子は、約0.00016mg/cm(0.001mg/in)〜約3.10mg/cm(20mg/in)の量で機器の表面上に存在できる。別の実施形態では、ガルバーニ粒子は、約0.016mg/cm(0.1mg/in)〜1.550mg/cm(10mg/in)の量で機器の表面上に存在してよい。
【0041】
また、ガルバーニ微粒子は、コンパウンド化、溶媒流延、凍結乾燥、静電スピニング、押出成形等の従来の方法によって医療機器に組み込んでもよい。
【0042】
粒子は、静的ミキサ又は連続押出成形機内で溶融ポリマーとの複合体にコンパウンド化することができる。粒子とポリマーとの複合体は、押出成形、射出成形、圧縮成形、及び他の融解プロセスを含む方法を用いて機器に更に加工することができる。好適なポリマーとしては、上に列挙された医療機器を調製するために用いられるものが挙げられる。1つの実施形態では、複合体中の微粒子装填量は、約0.001重量%〜約80重量%であり得る。別の実施形態では、複合体中の微粒子装填量は、約0.01重量%〜約20重量%であってよい。当業者は、所望のポリマー組成物のための好適な加工条件を決定することができる。
【0043】
あるいは、ポリマー溶液を用いて、溶媒流延、凍結乾燥、静電スピニング等の方法によって医療機器にガルバーニ微粒子を組み込んでもよい。ガルバーニ粒子は、ポリマー溶液と混合してもよい。好適なポリマーとしては、上に列挙した医療機器を調製するために用いられるものが挙げられる。好適な溶媒としては、1,4−ジオキサン、酢酸エチル等が挙げられる。当業者は、ポリマーの組成に基づいて適切な溶媒を決定することができる。ポリマーは、約1重量%〜約15重量%の濃度で好適な溶媒に溶解する。ガルバーニ粒子は、約7.5重量%〜約10重量%の量で前記ポリマー溶液中に存在できる。このようなガルバーニ微粒子/ポリマー溶液は、膜を提供するための溶媒流延、発泡体医療機器を提供するための凍結乾燥、及び繊維、管、マット等を調製するための静電スピニングを含む従来のプロセスで用いることができる。
【0044】
また、ガルバーニ微粒子は、水性ゲル又はエマルション等の水性組成物と混合してもよい。その微粒子は、使用時に水性ゲルと混合してもよい。ガルバーニ粒子は、約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは、約0.01重量%〜約1重量%の量で水性ゲル中に存在し得る。別の実施形態では、乾燥形態のガルバーニ微粒子と好適なポリマーとの混合物は、使用時に水和させてもよい。好適なポリマーとしては、カルボキシルメチルセルロース、ヒアルロン酸、PEG、アルギン酸塩、キトサン、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、及びそれらのポリマーブレンド並びにそれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。好適な水性溶媒は、水、生理食塩水、リン酸緩衝化食塩水等である。
【0045】
ガルバーニ微粒子を含む本発明の医療機器は、埋め込み部位における感染を予防するか、低減するか、又はなくすために有用である。このような機器は、滅菌手順、抗生物質投与等を含む感染予防の他の態様と共に用いられることが理解されるであろう。例えば、ガルバーニ粒子でコーティングされたメッシュ(又は他のガルバーニ粒子を含有するもの)を、バイオフィルムを含む抗生物質耐性細菌の発生に関する問題を著しく低減しながら、汚染されたヘルニア修復又は汚染された外傷修復のために用いることができる。あるいは、ガルバーニ粒子を含有する抗感染性止血鉗子は、外傷性及び手術後の出血抑制に有用であることができる。ガルバーニ微粒子を有する本発明の医療機器は更に、経口投与又は静脈投与等の感染制御のための従来の方法に用いて、感染制御のための従来の治療方法の効果を増強することができる。医療機器にガルバーニ粒子を組み込み、コーティングすることは、前記機器の生体適合性を改善し、且つ組織−機器の一体性を高め、且つ炎症反応を抑制することにより創傷修復を促進することができる。
【0046】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を含む医療機器を用いて、軟組織(例えば、皮膚、粘膜、上皮、創傷、眼及びその周りの組織、軟骨、及び靱帯、腱、又は半月のような他の軟質筋骨格組織)、硬組織(例えば、骨、歯、爪床、又は毛包)、及び軟組織−硬組織結合体(例えば、歯に含まれる歯周領域、骨、又は関節の軟組織の周りの通道組織)を含む、このような療法的治療を必要とする体の標的箇所に直接(例えば、局所的に又は体の内側のいずれかに)ガルバーニ微粒子を適用することにより、意図する療法的ガルバーニ電気刺激効果を提供して、組織の再生、修復、及び成長を促進する。1つの実施形態では、前記ガルバーニ微粒子の医療機器は、単独で投与される。別の実施形態では、更なるガルバーニ微粒子は、外科的手技又は低侵襲手技を介してこのような治療を必要としている被験体(例えば、ヒト)にガルバーニ微粒子の医療機器を用いて局所的に投与される。
【0047】
このような療法的効果としては、抗微生物効果(例えば、抗細菌、抗真菌、抗ウイルス、及び抗寄生虫効果);表面組織又は深部組織における効果を含む抗炎症効果(例えば、軟組織の浮腫若しくは発赤を低減又は除去する);手術後の組織の癒着の予防(抗癒着);疼痛、かゆみ、若しくは他の感覚的不快感(例えば、頭痛、針痛、又はうずくようなしびれ)の除去又は低減;軟組織及び硬組織の両方の再生又は治癒の強化;幹細胞の分化及び組織成長の調節(例えば、爪の成長速度を高める、又は脱毛症による抜け毛を再成長させる)若しくは軟組織の体積の増加(例えば、皮膚又は唇におけるコラーゲン又はエラスチンの増加)のような組織発達;脂肪細胞代謝の増加又は体の外観の向上(例えば、体の輪郭又は形状に対する効果);及び血液又はリンパ球の循環の増加が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を含む医療機器は、イオン導入及び/又は電気浸透による活性剤の送達を強化するため、並びに接触した組織を治療するため(例えば、血行を増大させる又は他の効果のため)の電気刺激を提供するためのような、症状を治療するための複数の作用機序を提供する。「活性剤」とは、治療薬又は生物学的剤等の標的ヒト組織又は器官及び周囲組織に対して治療効果を有する化合物(例えば、人体に対する生物学的効果を発揮することができる物質)を意味する(例えば、合成化合物、天然源から単離された化合物、又は生物工学及び分子生物学的方法を通して製造された化合物)。このような治療用薬物の例としては、小分子、ペプチド、タンパク質、核酸物質、及びミネラル及び抽出物のような栄養素、が挙げられる。担体中の活性剤の量は、活性剤及び/又は組成物若しくは製品の意図する用途に応じて決定される。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を有する医療機器は、安全且つ治療上有効な量の活性剤を、例えば、組成物の約0.001重量%〜約20重量%で、例えば、約0.01重量%〜約10重量%で更に含有する。
【0049】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を含む医療機器は、医療機器に組み込まれる(例えば、表面コーティングとして、又は内部に埋め込まれる)活性剤(抗微生物剤、抗炎症剤、鎮痛剤、及び生物学的薬剤等)と組合せて、前記活性剤の生物学的効果又は治療効果を増強又は強化することができる。別の実施形態では、前記ガルバーニ微粒子を医療機器に組み込んで、その活性剤の生物学的又は治療的効果を増強若しくは高めるために、同時又は順次に異なる投与経路によって(例えば、経口投与、注射、又は注入等の全身経路によって)投与される1つ以上の活性剤と有効に又は相乗的に機能させることができる。例えば、ガルバーニ微粒子コーティングを有する医学用インプラントは外科的手技を通して患者に適用でき、一方、全身的抗生物質療法を予防療法として前記手技前又は直後のいずれかに投与して、任意の手術後感染を予防又は治療できる。更に別の実施形態では、ガルバーニ微粒子はまた、他の物質と組み合わせて、ガルバーニ微粒子の活性を増強又は高めることもできる。ガルバーニ微粒子の活性を増強又は高めることができる物質としては、有機溶媒、界面活性剤、及び水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本発明のガルバーニ微粒子は、タンパク質、多糖類、種々の分子量のヒアルロン酸、ヒアルロン酸類似体、ポリペプチド、及び異なる起源のコラーゲンが挙げられるがこれらに限定されない、合成又は天然ポリマーと共に、共役体又は複合体を形成することができる。
【0050】
1つの実施形態では、組成物はキレート剤又はキレート化剤を含有する。キレート剤の例としては、グリシンのようなアミノ酸、ラクトフェリン、エデト酸塩、クエン酸塩、ペンテト酸塩、トロメタミン、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、デフェロキサミン、これらの誘導体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。有用なキレート剤の他の例は、米国特許第5,487,884号及び国際特許公開第2006056984号に開示されている。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を、創傷包帯及び包帯に組み込んで、治癒強化及び瘢痕予防のためのガルバーニ電気治療を提供する。1つの実施形態では、創傷滲出液及び/又は創傷洗浄溶液は、(i)創傷包帯/包帯の中に予め組み込まれている活性物質を送達させるために、並びに/又は、(ii)有益な金属イオンを電気化学的に発生させた後に、その有益な金属イオンを創傷に送達させるために、並びに/又は(iii)血液循環を増加させ、組織の免疫応答を刺激し、及び/若しくは組織の炎症を抑制することのできる、療法的電流により創傷を治療するために(これは、治癒の加速及び瘢痕の低減を導く可能性がある)、ガルバーニ微粒子を含む創傷包帯/包帯を活性化させるように機能する。
【0051】
1つの実施形態では、組成物又は製品は、局所用抗生物質、抗微生物剤、創傷治癒強化剤、局所用抗真菌薬、抗乾癬薬、及び抗炎症剤のような、局所用創傷及び瘢痕治療用として一般的に用いられる活性剤を含有する。
【0052】
抗真菌薬の例としては、ミコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、セルタコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、クリオキノール、ビフォコナゾール(bifoconazole)、テルコナゾール、ブトコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、クロトリマゾール、ウンデシレン酸、ハロプロジン、ブテナフィン、トルナフテート、ナイスタチン、シクロピロクスオラミン、テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、エルビオール、グリセオフルビン、並びにこれらの薬学的に許容できる塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、抗真菌薬はアゾール、アリルアミン、又はこれらの混合物である。
【0053】
抗生物質(又は消毒剤)の例としては、ムピロシン、硫酸ネオマイシン、バシトラシン、ポリミキシンB、1−オフロキサシン、テトラサイクリン(塩酸クロルテトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン−10及び塩酸テトラサイクリン)、リン酸クリンダマイシン、硫酸ゲンタマイシン、メトロニダゾール、ヘキシルレゾルシノール、塩化メチルベンゼトニウム、フェノール、第四級アンモニウム化合物、ティー・ツリー油、並びにこれらの薬学的に許容できる塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
抗微生物剤の例としては、オクテニジン、ロドプロピニルブチルカルバメート、ジアゾリジニル尿素、二グルコン酸クロルヘキシデンジグルコネート、酢酸クロルヘキシデン、イセチオン酸クロルヘキシデン、及び塩酸クロルヘキシデンのような、クロルヘキシジンの塩類が挙げられるが、これらに限定されない。塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロルカルバン(triclocarbon)、ポリヘキサメチレンビグアニド、塩化セチルピリジウム、及び塩化メチルベンゼトニウム(methyl and benzothonium chloride)のような、他のカチオン性抗微生物剤を用いてもよい。他の抗微生物剤としては、2,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、のようなハロゲン化フェノール化合物、及びエタノール、プロパノール等のような短鎖アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
ヘルペス及び肝炎のようなウイルス感染症のための抗ウイルス剤の例としては、イミキモド及びその誘導体、ポドフィロックス、ポドフィリン、インターフェロンアルファ、アシクロビル、ファムシクロビル(famcyclovir)、バラシクロビル(valcyclovir)、レチキュロス(reticulos)及びシドフォビル、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
抗炎症剤の例としては、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン、アルファメチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デオキシメタゾン、酢酸デソキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクラロロンアセトニド(fluclarolone acetonide)、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル(flucortine butylester)、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)(fluprednidene(fluprednylidene)acetate)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド(flucetonide)、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン(difluorosone diacetate)、フルラドレナロンアセトニド(fluradrenalone acetonide)、メドリゾン、アムシアフェル(amciafel)、アムシナファイド(amcinafide)、ベタメタゾン、クロルプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン(clocortelone)、クレスシノロン(clescinolone)、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド(flucloronide)、フルニソリド、フルオロメタロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニソロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロンのようなコルチコステロイド、並びにこれらの塩類及びプロドラッグのような好適なステロイド抗炎症剤が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、本発明で用いるためのステロイド性抗炎症剤はヒドロコルチゾンである。本発明の組成物で有用な抗炎症剤の第2の部類としては、非ステロイド性抗炎症剤が挙げられる。
【0057】
創傷治癒強化剤の例としては、組換えヒト血小板由来成長因子(PDGF)及び他の成長因子、ケタンセリン、イロプロスト、プロスタグランジンE及びヒアルロン酸、マンノース−6−リン酸のような瘢痕低減剤、鎮痛剤、麻酔剤、ミノキシジルのような毛髪成長促進剤、塩酸エフロルニチンのような毛髪成長遅延剤、抗高血圧薬、冠動脈病を治療するための薬剤、抗癌剤、エンドクリン及び代謝薬、神経薬、薬品嗜癖の停止のための薬剤、酔い止め薬、タンパク質及びペプチド薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
1つの実施形態では、他の抗真菌性活性剤の有り無しでガルバーニ微粒子を用いて、真菌感染を治療又は予防する。別の実施形態では、他の抗細菌活性剤の有り無しでガルバーニ微粒子を用いて、急性創傷等の外科的手技による体の内部(intern)又は表面の組織傷害の感染、及び様々な疾患(静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、及び褥瘡性潰瘍)による慢性創傷を含むが、これらに限定されない細菌感染を治療及び予防する。
【0059】
別の実施形態では、他の抗ウイルス活性剤の有り無しでガルバーニ微粒子を用いて、伝染性軟属腫、いぼ、口唇ヘルペス、口内炎(kanker sore)及び陰部ヘルペスのような単純ヘルペスウイルス感染を含むが、これらに限定されない皮膚及び粘膜のウイルス感染を治療及び予防する。
【0060】
別の実施形態では、他の抗寄生虫活性剤の有り無しでガルバーニ微粒子を用いて、鉤虫感染、シラミ、疥癬、海水浴発疹及び沼地皮膚症を含むが、これらに限定されない寄生虫感染を治療及び予防する。
【0061】
1つの実施形態では、微粒子は、耳感染(肺炎球菌(streptococcus oneumoniae)により引き起こされるもののような)、鼻炎及び/又は副鼻腔炎(インフルエンザ菌、カタラリス菌、黄色ブドウ球菌、及び肺炎球菌により引き起こされるもののような)、及び連鎖球菌性咽頭炎(化膿連鎖球菌により引き起こされるもののような)の治療を補助するために投与される。
【0062】
1つの実施形態では、微粒子は、動物(例えば、動物飼料として)又はヒト(例えば、栄養補助食品として)により摂取されて、飲食に起因する健康被害(例えば、カンピロバクター・ジェジュニ、リステリア・モノサイトゲネス、及びサルモネラ・エンテリカのような食品媒介病原体に起因する)の大流行を予防するのに役立つ。
【0063】
1つの実施形態では、本発明は、微生物を、第1導電材料及び第2導電材料を含むガルバーニ微粒子を含有する組成物と接触させることによって薬剤耐性微生物を含む病原菌を殺す方法であって、第1導電材料及び第2導電材料の両方が微粒子の表面上に露出しており、第1導電材料と第2導電材料との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである方法を特徴とする。1つの実施形態では、その微粒子の粒径は、約10ナノメートル〜約1000マイクロメートル、例えば、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルである。1つの実施形態では、第2導電材料は、微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%である。1つの実施形態では、薬物耐性微生物は、MRSA及びVREのような細菌である。1つの実施形態では、微粒子は、鼻スプレー、すすぎ溶液、又は軟膏を介して投与される。
【0064】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子を用いて、皮膚の顔のしわの見えやすさを低減する、萎縮を低減する、又はコラーゲン刺激を増加させることができる。ガルバーニ微粒子は、単独で用いてもよく、又は皮下充填剤、移植片、歯周移植片、筋肉内注射、及び生体吸収性ポリマーなどの皮下注射のような、当該技術分野において周知である他の成分と併用してもよい。例えば、ガルバーニ微粒子をコラーゲン及び/又はヒアルロン酸注射と併用してもよい。
【0065】
別の実施形態では、ガルバーニ微粒子を、当該技術分野において既知の技術を用いて、組織工学及び生体器官印刷(organ printing)のための生分解性スカフォールドに組み込むことができる。
【0066】
別の実施形態では、ガルバーニ粒子を組織の癒着予防のために水性ゲルに組み込んでもよい。例えば、カルボキシルメチルセルロース水溶液又はゲル中のガルバーニ微粒子を外傷部位及び周囲組織に塗布して、癒着瘢痕の形成を低減することができる。
【0067】
別の実施形態では、前記ガルバーニ粒子を変形性関節症治療のために水性ゲルに組み込んで、関節内注射を介して疼痛をなくすか又は低減することができる。
【0068】
別の実施形態では、ガルバーニ粒子を創傷治療のために水性ゲル又は無水ゲルに組み込んで、炎症により引き起こされる疼痛をなくすか又は低減したり、治癒速度及び/又は治癒部強度を高めたり、瘢痕化を低減したりすることができる。
【0069】
また、ガルバーニ微粒子は、水性ゲル又はエマルション等の水性組成物と混合してもよい。微粒子は、使用時に水性ゲルと混合してもよい。ガルバーニ粒子は、約0.01重量%〜約0.5重量%、好ましくは、約0.05重量%〜約0.25重量%の量で水性ゲル中に存在できる。別の実施形態では、乾燥形態のガルバーニ微粒子及び好適なポリマーの混合物は、使用時に水和させてもよい。好適なポリマーとしては、カルボキシルメチルセルロース、ヒアルロン酸、PEG、アルギン酸塩、キトサン、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、及びポリマーブレンド、並びにこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。好適な水性溶媒は、水、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水等である。別の実施形態では、ゲル化剤としてのポリマーは、約0.01重量%〜約20重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約5重量%の量で水性ゲル中に存在できる。
【0070】
別の実施形態では、ガルバーニ微粒子を乳房インプラントの表面コーティングに組み込んで、インプラントの生体適合性を改善し、抗微生物及び抗炎症効果を付与して、被膜拘縮をなくすか低減することができる。
【0071】
別の実施形態では、ガルバーニ微粒子を含む本発明の医療機器は、他のエネルギー系医療機器及び治療と共に用いて、いずれか又は両方の機器の治療効果を高めることができる。そのエネルギー系治療としては、超音波機器又は療法、磁気治療、電磁気機器又は療法、高周波治療、熱治療(加熱又は冷却)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
ガルバーニ微粒子を含む本発明の新規医療機器は、外科的手技後の創傷閉鎖、外傷性傷害の創傷閉鎖、カテーテル挿入、止血鉗子の適用、スタントの埋め込み、代用血管及び血管パッチの挿入、外科用メッシュの埋め込み、骨インプラント、整形外科用インプラント、及び軟組織インプラントの埋め込み、移植骨及び歯科用インプラントの埋め込み、乳房インプラント、組織増大インプラント、及びプラスチック製再建インプラントを含む美容外科的手技、薬物送達ポンプの挿入、診断用インプラントの挿入又は埋め込み、組織工学スカフォールドの埋め込み、並びに長期間又は永続的インプラントを必要とする他の外科的手技等の医療機器及び他のインプラントの埋め込みなどのための、開腹及び低侵襲手技を含むが、これらに限定されない様々な従来の外科的手技において用いることができる。本発明の機器は所望の結果を得るための従来の方式の外科的手技を用いて埋め込まれ、加えて、本発明の新規機器の使用は、感染及びバイオフィルムの形成を低減し、炎症を抑制し、且つ組織修復及び再生を増強することにより外科手術結果を改善する。
【0073】
当業者は、好適な、既知の及び一般に認められた細胞及び/又は動物モデルを使用したインビボ並びにインビトロの両方における試験により、成分、組成物、又は製品の、所定の症状を治療又は予防する能力を予測できることを認識するであろう。当業者は更に、健康な患者及び/又は所定の症状若しくは障害に罹患している患者におけるヒト初回投与(first-in-human)試験、用量設定試験、及び有効性試験を含むヒト臨床試験が、臨床及び医療分野で周知の方法に従って遂行できることを認識するであろう。
【0074】
下記の実施例は本発明の原理及び実践の説明のためであり、これらに限定されるものではない。本発明の範囲及び趣旨内の多くの追加の実施形態は、ひとたびこの開示の利益を得ると、当業者に明らかになるであろう。
【実施例】
【0075】
実施例1−置換化学に基づくガルバーニ微粒子の調製
(a)純粋な水性媒質中:亜鉛粉末上に銅の無電解めっきを行うことにより、0.1%銅でコーティングされた亜鉛ガルバーニ微粒子を製造した。≦45マイクロメートルの亜鉛粉末10gを、0.22マイクロメートルのフィルタを用いて真空フィルタブフナー漏斗上に均一に広げた。次いで、5gの酢酸銅溶液を亜鉛粉末上に均一に注ぎ、およそ30秒間反応させた。次いで、濾液が完全に吸い取られるまで、フィルタに吸引を適用した。次いで、得られた粉末ケーキをほぐし、10gの脱イオン水を添加し、次いで吸い出した。次いで、10gのエタノールを吸引下で粉末に添加した。次いで、粉末を注意深くフィルタシステムから取り出し、デシケータ内で乾燥させた。
【0076】
(b)エタノール含有媒質中:亜鉛粉末上に銅の無電解めっきを行うことにより、0.1%銅でコーティングされた亜鉛ガルバーニ微粒子を製造した。≦45マイクロメートルの亜鉛粉末10gをガラスジャーに秤量した。0.61% w/wの酢酸銅を200プルーフ(proof)のエタノールに溶解させた。結果として得られる銅溶液はわずかに青色である。酢酸銅溶液5gを亜鉛粉末上に均等に注ぎ、銅溶液が透明になるまで反応させた。この反応を室温でおよそ48時間続けたところ、溶液は透明になった。複合体を0.22マイクロメートルのフィルタを有する真空フィルタブフナー漏斗上に均一に広げた。次いで、真空濾液が完全に吸い取られるまで、フィルタに真空吸引を適用した。次いで、得られた粉末ケーキをほぐし、10gの脱イオン水を添加し、次いで吸い出した。次いで、10gのエタノールを吸引下で粉末に添加した。次いで、粉末を注意深くフィルタシステムから取り出し、デシケータ内で乾燥させた。
【0077】
(c)純粋な水性媒質中:亜鉛粉末をマグネシウム粉末に置き換えたことを除き、実施例1(a)に記載したのと同じ方法を用いて、マグネシウム粉末上に銅を無電解めっきすることにより、およそ0.1%の銅でコーティングされたマグネシウムガルバーニ微粒子を製造した。
【0078】
(d)純粋な水性媒質中:亜鉛粉末をマグネシウム粉末に置き換え、乳酸銅溶液を塩化第一鉄溶液に置き換えたことを除き、実施例1(a)に記載したのと同じ方法を用いて、マグネシウム粉末上に鉄を無電解めっきすることにより、およそ0.1%の鉄でコーティングされたマグネシウムガルバーニ微粒子を製造した。
【0079】
実施例2−ヒドロコロイド基材上へのガルバーニ微粒子のコーティング
(a)基材上への粉末篩い分け堆積(Sieving Deposition)によるコーティングプロセス:まず、自己接着性ヒドロコロイドの表面積を測定し、必要なガルバーニ微粒子の量を1.2mg/cm表面コーティングに基づいて算出した。実施例1(a)のガルバーニ微粒子を、ヒドロコロイドシートを篩の下方に定置した状態で、篩#325(45マイクロメートル)に入れた。篩を穏やかに振盪させて、ヒドロコロイド表面上に粉末を均等なコーティングを形成した。PET剥離ライナを、ガルバーニ微粒子でコーティングされたヒドロコロイド表面上に置いた。剥離ライナは使用前に取り除く。
【0080】
(b)基材上への静電粉末堆積によるコーティングプロセス:静電粉末堆積技術を用いる基材上へのガルバーニ微粒子のコーティングの実現可能性を、市販の高電圧粉末静電コーティングシステム(HVパウダー・コーティング・システム(HV Powder Coating System)、Caswell,Inc.,Lyons,New Yortkから購入)を実証した。ガルバーニ微粒子及びヒドロコロイド材料、並びにサンプル調製手順は実施例2aと同じであった。HV粉末コーティングシステムの電圧設定を45kVに設定し、圧縮空気を103.4kPa(15psi(ポンド・パー・インチ))で制御した。簡易な高速のコーティングプロセスの結果、ヒドロコロイドシート上のガルバーニ粉末の均一コーティングは均一であった。
【0081】
実施例3−MRSA、酵母、及び細菌に対するガルバーニ微粒子のインビトロでの有効性
実施例1(a)のガルバーニ微粒子を、8mLの融解した寒天と混合した47℃の滅菌蒸留水2mLに懸濁させることにより、ガルバーニ微粒子を含有する寒天ディスクを製造した。次いで、混合物を100×15mmのペトリ皿に注いだ。混合物をペトリ皿内で固化させ、ガルバーニ微粒子を固定化し、寒天中に均一に分布させた。滅菌コルクボーラー(内径=12.2mm)を用いて、ガルバーニ微粒子含有寒天からより小さな寒天ディスクを切り取り、ガルバーニ微粒子の更なる試験に用いた。
【0082】
0.5%又は1%のいずれかの濃度でガルバーニ微粒子を含有する、寒天ディスク(D=12.2mm、厚さ1.2mm)を、約6 log CFUの指標微生物を接種した寒天プレート上に置いた。プレートを37℃で24時間インキュベートした。阻害ゾーン(ディスクの縁から明らかな非成長ゾーンの縁の距離(mm))を、デジタルキャリパーで測定した。この試験のために2つ組(Duplicate)のサンプルを用いた。結果を表1に示す。
【表1】

結果は2つ組のサンプルの平均である。
【0083】
これらの結果は、ガルバーニ微粒子が、抗生物質耐性細菌(MRSA及びMRSE)、酵母(カンジダ・アルビカンス)、及び臭気生成種(コリネバクテリウム・アクアティカム、コリネバクテリウム・ジェイケイウム、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、ミクロコッカス・リラエ、表皮ブドウ球菌)を含む広範な微生物に対して阻害性であることを示した。このインビトロでの有効性は、創傷感染用製品、膣の健康に関する製品、及び臭気低減製品にガルバーニ微粒子を用いる見込みを示す。
【0084】
実施例4−金属塩対照と比べた、MRSA及びコリネバクテリウム・アルビカンスに対するガルバーニ微粒子の有効性
0.1%、0.5%、若しくは1%の濃度で、実施例1(a)の銅−亜鉛ガルバーニ微粒子、又は酢酸亜鉛を含有する寒天ディスクを、マイクロウェルプレート内の生理食塩水中の約6 log CFUのMRSA又はコリネバクテリウム・アルビカンスに曝露し、37℃及び200rpmで24時間インキュベートした。プレート計数を実施し、インキュベート後の生存微生物を数えた。log減少は、試験物品のインキュベート前後の接種材料のlog差と定義した(例えば、6 logの接種材料で6のlog減少は全ての接種材料が死んだことを意味し、6 logの接種材料で3のlog減少は50%の接種材料が死んだことを意味する)。試験結果を表2に記載する。
【表2】

【0085】
結果は、ガルバーニ微粒子が金属塩対照である酢酸亜鉛より著しく高い抗微生物能を有することを示す。
【0086】
実施例5−ガルバーニ微粒子と銅金属及び亜鉛金属粉末の、MRSA及びVREに対する抗微生物活性の比較
実施例1(a)のガルバーニ微粒子銅金属粉末、亜鉛金属粉末のいずれかを含む寒天ディスク、又は対照であるTSAのみの寒天ディスクに、10e3 VRE又は10e5 MRSAのいずれかを接種した。阻害ゾーンを評価した。表3に報告する結果は、1%の銅−亜鉛ガルバーニ微粒子が接種材料(inoclum)の増殖を完全に阻害したことを示し、一方、対照である銅金属粉末、及び亜鉛金属粉末ディスクは阻害を示さなかった。
【表3】

【0087】
実施例6−ガルバーニ微粒子と酢酸銅及び酢酸亜鉛との、コリネバクテリウム・アルビカンス及びMRSAに対する抗微生物活性の比較
0.5%の実施例1(a)の銅−亜鉛ガルバーニ微粒子、0.5%の酢酸亜鉛、及び0.1%の酢酸銅を含有する寒天ディスク上で阻害ゾーン試験を実施した。寒天ディスクを、約6 log CFUのMRSA又はコリネバクテリウム・アルビカンスを接種したTSA寒天表面上に置き、37℃で24時間インキュベートした。MRSA及びコリネバクテリウム・アルビカンスの両方で、0.5%のガルバーニ微粒子は著しい、明白な阻害ゾーンを示したことが見出された。0.5%の酢酸亜鉛は、より小さな阻害ゾーンを示し、これは0.5%のガルバーニ微粒子で生じたゾーンの半径のおよそ半分であった。0.1%酢酸銅は、MRSAでもコリネバクテリウム・アルビカンスでも明白な阻害ゾーンを全く示さなかった。
【0088】
実施例7−寒天ディスクマイクロウェルアッセイによる、ガルバーニ微粒子並びに酢酸亜鉛及び酢酸銅の比較
1%の、実施例1(a)の0.1%の銅でコーティングされた亜鉛ガルバーニ微粒子若しくは酢酸亜鉛、又は0.1%の酢酸銅を含有する寒天ディスクを、マイクロウェルプレート内の生理食塩水中の約6 log CFUのMRSA又はコリネバクテリウム・アルビカンスに曝露し、37℃、200rpmで24時間インキュベートした。平板計数を実施し、インキュベート後の生存微生物を数えた。log減少は、試験物品のインキュベート前後の接種材料のlog差と定義した。結果を以下の表4に示す。
【表4】

【0089】
実施例8−酢酸亜鉛と比べた、ガルバーニ微粒子の長期間持続する有効性の評価
1%の、実施例1(a)に記載のガルバーニ微粒子又は酢酸亜鉛のいずれかを含有する寒天ディスクを、約6 log CFUのMRSA又はコリネバクテリウム・アルビカンスを接種したTSA寒天表面上に置き、37℃で24時間インキュベートした(1日目)。インキュベート後、寒天ディスクの阻害ゾーンを観察し、次いでプレートから取り出し、新たに同じ接種材料を接種したTSAプレート上に置き、24時間インキュベートした(2日目)。1日目には、ガルバーニ微粒子ディスク及び酢酸亜鉛ディスクの両方でコリネバクテリウム・アルビカンス及びMRSAに対する阻害ゾーンが生じ、ガルバーニ微粒子により生じたそのゾーンは酢酸亜鉛ディスクによるものより大きいことが見出された。しかしながら、2日目には、ガルバーニ微粒子を含有するディスクのみが明白な阻害ゾーンを示し、酢酸亜鉛を含有するディスクは全く阻害を示さなかった。これは、ガルバーニ微粒子が持続する期間にわたって抗微生物又は阻害効果を有することを示す。
【0090】
実施例9−PHAで刺激されたヒトT細胞のサイトカイン放出の免疫調節
実施例1(a)のガルバーニ微粒子の免疫反応を調節する能力は、以下のアッセイにおいて、実施例1(a)のガルバーニ微粒子がT細胞受容体(TCR)活性化剤フィトヘムアグルチニン(PHA)で刺激された活性化ヒトT細胞によるサイトカイン産生を低減する能力により示された。
【0091】
ヒトT細胞は白血球フェレーシスを介して健常成人男性から収集された。T細胞は、フィコール勾配(Ficol gradient)を介して末梢血から単離され、細胞は無血清リンパ球増殖基本培地(ExVivo−15,Biowhittaker,Walkersville,MD)中、1×10細胞/mLの密度に調整された。ヒトT細胞を、公開されている方法(Hamamoto Y.ら、Exp Dermatol 2:231〜235,1993)に従って、試験化合物の存在又は非存在下で、10mg/mLのPHAで刺激した。5%のCOを用いて37℃で48時間インキュベートした後、上清を取り除き、市販のマルチプレックス・サイトカイン検出キットを用いてサイトカイン含量を評価した。結果を表5に示す。
【表5】

(IL−2=インターロイキン−2(サイトカイン))
【0092】
ガルバーニ微粒子は、T細胞刺激により誘発される炎症伝達物質の放出を調節できることが見出された。更に、抗炎症活性は、銅金属粉末、亜鉛金属粉末、銅イオン(酢酸銅(II))、又は亜鉛イオン(塩化亜鉛)のみよりも高かった。
【0093】
実施例10−NF−kB活性化の阻害
核因子カッパベータ(NF−kB)は、COX−2及び酸化窒素合成酵素(iNOS)のような、炎症誘発性遺伝子のプロモータ領域上のNF−kB結合部位に結合する転写因子である(Bell S,et al(2003)Cell Signal.;15(1):1〜7)。NF−kBは、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)のような炎症誘発性タンパク質の合成を刺激することにより、ストレス、傷害、特に免疫反応の経路における、細胞活動の多くの局面の調節に関与し、それにより炎症を導く(Chun KSら(2004)Carcinogenesis 25:445〜454、Fenton MJ(1992)Int J Immunopharmacol 14:401〜411)。NF−kB自体は、炎症誘発性サイトカイン(例えば、TNF−アルファ及びIL−1ベータ)細菌毒素(例えば、LPS及び菌体外毒素B)、多数のウイルス/ウイルス産物(例えば、HIV−1、HTLV−I、HBV、EBV、及び単純ヘルペス)、並びにアポトーシス誘発性及び壊死刺激(例えば、酸素フリーラジカル、紫外線、及びガンマ線照射)等の刺激によって誘導される。NF−kB活性化を阻害すると、新規炎症誘発性遺伝子の転写を生じさせるその後のシグナル伝達を遮断することにより、炎症を低減させる可能性がある。
【0094】
太陽紫外線照射は、転写因子NF−kBを活性化し、これはエラスチン及びコラーゲンのようなマトリクスタンパク質の分解を導く恐れのあるマトリクスメタロプロテイナーゼの産生を誘発する。NF−kBの阻害剤は、皮膚マトリクス中でMMPの存在をもたらすその後のシグナル伝達を阻害する可能性があり、より多くの経路が阻害されと、MMPが誘発されない可能性がより高まる。近年、NF−kB経路の阻害により、その後コラーゲン合成が誘発されることが示された(Schreiber Jら(2005)Surgery.138:940〜946)。したがって、NF−kB活性化の阻害はまた、コラーゲン合成を増加させることにより、皮膚に老化防止効果をもたらすこともできる。
【0095】
NF−kB活性化の遮断における実施例1(a)のガルバーニ微粒子の活性を評価するために、FB293細胞(NF−kBの遺伝子レポーターを含有する安定な形質移入されたヒト上皮細胞株をPanomics(Fremont,CA)から得た)を用いた。FB293細胞を、10%のウシ胎児血清(Invitrogen,San Diego,CA)を追加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中5×10細胞/mLの密度で蒔いて培養した。FB293細胞を、ガルバーニ微粒子の存在又は非存在下で、50ng/mLの12−O−テトラデカノイルホルボール13−アセテート(TPA)(Sigma St Louis,MO)で刺激した。5% COを用いて37℃で24時間インキュベートした後、細胞を40μLのレポーター溶解緩衝剤(Promega,Madison,WI)で溶解した。溶解物の20μLのアリコートを、ルシフェラーゼアッセイキット(プロメガ)を用いてアッセイし、Lmax照度計(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)で10秒間計数し、データを相対光単位/秒として表した。ガルバーニ微粒子は、表6に示すようにNF−kB活性化を阻害することが見出された。
【表6】

【0096】
よって、ガルバーニ微粒子は、実質的にNF−kB活性化を低減することが見出された。この実施例は、ガルバーニ微粒子が、皮膚の炎症の一因である炎症伝達物質の産生を調節できることを実証する。この実施例はまた、ガルバーニ微粒子が、皮膚の老化を導く恐れのある損傷及び分解からエラスチン及びコラーゲン繊維を保護することもできることを実証する。
【0097】
実施例11−再構築された表皮上におけるUV誘導炎症誘発性伝達物質の放出に対する抗炎症活性
ガルバーニ微粒子の効果を、ヒト表皮等価物に対する局所的抗炎症活性について評価した。表皮等価物(EPI 200 HCF)(正常ヒト表皮ケラチノサイトからなる多層及び分化した表皮)は、MatTek(Ashland,MA)から購入した。これらの表皮等価物を、ヒドロコルチゾンを含まない維持培地中で37℃にて24時間インキュベートした。等価物を、太陽紫外線(1mmスコット(Schott)WG 320フィルタを備える1000W−オリエル(Oriel)人工光源、適用されるUV線量:360nmで測定したとき70kJ/m)に曝露する前に、2時間、70%エタノール/30%プロピレングリコールビヒクル中実施例1(a)のガルバーニ微粒子(1mg/mL)で局所的に処理した(2mg/cm)。等価物を維持培地と共に37℃で24時間インキュベートし、次いで市販のキット(Upstate Biotechnology,Charlottesville,VA)を用いて、IL−8サイトカイン放出について上清を分析した。結果を表7に記載する。
【表7】

** は、P<0.05に設定した有意水準(significance set)で、スチューデントのt検定を用いて、UV、ビヒクル処理から有意差があることを示す。
【0098】
この実施例に基づいて、ガルバーニ微粒子を局所的に適用することにより、炎症伝達物質のUV刺激性放出を有意に低減できた。それ故、ガルバーニ微粒子は、皮膚に適用されたときに有効な抗炎症効果をもたらすことが予想される。
【0099】
実施例12−ガルバーニ微粒子による過酸化水素産生の刺激
過酸化水素(H)は、強い酸化特性を有し、それ故強力な漂白剤である。過酸化水素はまた、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)単離株に対して特に有効である、有効な抗細菌、抗真菌、及び抗ウイルス化合物でもある(Flournoy DJ,Robinson MC.(1990)Methods Find Exp Clin Pharmacol.12:541〜544)。それに加えて、過酸化水素溶液で口腔をすすぐと、唾液中の好気性及び嫌気性細菌が著しく減少する(Matula C,Hildebrandt M,Nahler G.(1988)J Int Med Res.;16:98〜106)。口腔内の細菌の減少は、歯肉炎の発生の低減に役立つことができる。
【0100】
過酸化物は、100年以上歯のホワイトニングに用いられており、過酸化水素は歯のホワイトニングで最も一般的に用いられる活性剤の1つである(Li Y.(1996)Food Chem Toxicol.34:887〜904)。また、過酸化水素は、くまの出現を低減させ、皮膚のホワイトニング効果を生じさせる有効な血管収縮剤である(Stamatas GN,Kollias N.(2004).J Biomed Opt.9:315〜322;Goette DK,Odom RB.(1977)South Med J.70:620〜622.)。
【0101】
実施例1(a)のガルバーニ微粒子の過酸化水素産生を誘発する能力を、以下のアッセイで示す。ヒトケラチノサイト細胞を、同一の密度でアッセイプレートに播種し、5% COを用いて、37℃で48時間インキュベートした。過酸化水素の産生を検出するために、ケラチノサイトを、5μMの過酸化水素感受性蛍光プローブ5−(及び−6)−クロロメチル−2’,7’−ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート,アセチルエステル(CM−H2DCFDA、Invitrogen Carlsbad,CA)とともに、30分のインキュベート時間ロードした。更に長い時間にわたって、ガルバーニ微粒子、又は亜鉛若しくは銅金属粉末のみで細胞を処理した。対照ウェルの処理は、陽性対照として機能する0.03%の過酸化水素で行った。過酸化水素産生は、波長485励起/530放射に設定した蛍光プレートリーダーを用いて定量化した。この結果を表8及び9に示す。
【表8】

** は、P<0.05に設定した有意水準で、スチューデントのt検定を用いて、その時点でのベースラインの過酸化水素濃度から有意差があることを示す。
【表9】

【0102】
この実施例に基づいて、ガルバーニ微粒子は過酸化水素の産生を有意に誘発することができた。更に、ガルバーニ微粒子により生じる過酸化水素の産生は、銅金属粉末又は亜鉛金属粉末のみよりも有意に多かった。それ故、ガルバーニ微粒子は、皮膚に適用されたとき、有効な皮膚の美白、歯のホワイトニング、及び抗細菌活性をもたらすと予想される。
【0103】
実施例13−抗真菌効果
実施例1(a)のガルバーニ微粒子を、Yangら、Mycopathologia 148:79〜82,1999に記載のものと同様に、インビトロにおける爪真菌症モデルで評価した。足の爪真菌症の模擬実験を行うために、ウシの蹄を用いた。蹄を直径1.3cmのプレートに打ち抜き、次いでオートクレーブで滅菌した。蹄プレートを、外面が抗真菌調製物の1種又は対照としての滅菌水に浸漬した滅菌濾紙上になるように、滅菌ペトリ皿に置いた。皮膚糸状菌培養物の寒天ブロックを内面に移植した。乾燥を防ぐために、装置全体を、滅菌水を入れたより大きなペトリ皿に入れた。接種後、皮膚糸状菌を、毎日5マイクロリットルのサブローブロス(Sabouraud broth)で湿らせた。ブロスを、寒天ブロックの底部の蹄プレートの内面にマイクロピペットで付着させた。実験材料を0日目に蹄系上に置き、真菌の成長を毎日監視して、真菌が爪を通り抜けて成長した最初の日を測定した。出現日及び成長のブレークスルー量を記録した。3.6mg/cmのガルバーニ微粒子でコーティングされたヒドロコロイドを、未処理の対照と比較した。全てのサンプルを3回反復した。
【0104】
結果を表10に示し、これは、未処理対照の真菌増殖の最初のブレークスルーは2日目であり、一方ガルバーニ微粒子の最初のブレークスルーは5日目であることを示した。これは、ガルバーニ微粒子が真菌の増殖を阻害する、又は抗真菌活性を有することを示す。
【表10】

【0105】
この実施例に基づいて、ガルバーニ微粒子は過酸化水素の産生を有意に誘発することができた。ガルバーニ微粒子により生じる過酸化水素の産生は、銅金属粉末又は亜鉛金属粉末のみよりも実質的に多かった。更に、エタノールプロセスを用いて作製されたガルバーニ微粒子により生じた過酸化水素の産生は、水プロセスを用いて作製されたガルバーニ微粒子よりも実質的に多かった。それ故、エタノールプロセスを用いて作製されたガルバーニ微粒子は、皮膚への適用時、有効な皮膚の美白、歯のホワイトニング、及び抗微生物活性をもたらすことが予想される。
【0106】
実施例14−ガルバーニ微粒子の反応速度、質、及び活性の制御
ある金属を別の金属上に金属めっきする条件を変化させると、ガルバーニ微粒子の活性に影響を与えることができる。それ故、反応媒質の極性、並びに錯化剤及びキレート化剤のような他の剤の存在を調整して、コーティングの厚さ、コーティングの密度、コーティングパターン、及び/又は反応速度を包含するが、これらに限定されない種々の特性のガルバーニ微粒子を作製することができる。亜鉛粉末上に銅をめっきする速度を制御する能力を、以下の実施例に示す。実施例1(b)に記載のプロセスは、表11に概説される様々な種類の0.61% w/w酢酸銅溶液を用いて実施され、ここで、反応時間は、銅が亜鉛粉末上に完全に堆積するのにかかる時間を指し、銅塩溶液が青から透明に変化することにより示される。
【表11】

【0107】
この実施例に基づいて、コーティング反応速度は、金属塩溶液の極性により調節することができる。実施例14は、得られるガルバーニ微粒子の活性が製造条件により影響を受けることを示す。
【0108】
実施例15:35/65(mol/mol)ポリ(イプシロン−カプロラクトン−co−ポリグリコリド(PCL/PGA))溶液の調製
前記ポリマーを1,4−ジオキサンに溶解させることにより、10%(w/v)の35/65 PCL/PGA溶液を調製した。360mLの1,4−ジオキサンを500mLのフラスコに移し、次いで、70℃に予熱した。40gの35/65 PCL/PGAを、撹拌しながらゆっくり溶媒に添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を約4時間撹拌した。ポリマー溶液を粗いセラミックフィルタを通して濾過し、室温で保管した。7.5%、5%、2.5%、及び1%の35/65 PCL/PGAを含有する溶液を類似の手順に従って調製した。
【0109】
実施例16:キャスト−オン−メッシュ(Cast-On-Mesh)プロセスを用いてガルバーニ微粒子/ポリマーでコーティングされたポリプロピレンメッシュの調製
12.7cm×15.2cm(5”×6”)の寸法のポリプロピレンメッシュをテフロンコーティングされた金属トレー(12.7cm×15.2cm(5”×6”))上に置いた。1,4−ジオキサン中の7.5%(w/v)35/65 PCL/PGA溶液10ミリリットル(実施例1で調製)を実施例1bに記載の通りに調製された0.1% CuをZn上に付着させたガルバーニ微粒子500mgと混合し、メッシュと共にトレーに入れた。ガルバーニ微粒子懸濁液をメッシュ全体に速やかに且つ均一に広げた。コーティングされたメッシュを一晩空気乾燥させ、窒素環境中で保管した。様々な量のガルバーニ微粒子でコーティングされたメッシュを、類似の手順に従って調製した。
【0110】
コーティングされたメッシュのプロトタイプを、走査電子顕微鏡(SEM)によって評価した。SEM解析の前にプロトタイプのサンプルを炭素の薄層でコーティングして、サンプルの荷電を最低限に抑えた。Cressington 108C自動炭素塗布機を用いて炭素層を塗布した。JEOL JSM−5900LV SEMを使用してSEM分析を実施した。標準的なSEM SEI検出器及びBEI(後方散乱)検出器を用いて画像をキャプチャした。解析によって、全体的にプロトタイプの上面及び底面で異なる形態が示される(図1参照)。A側の形態は、固体のフィルム状下層に付着したメッシュの存在を示す。観察された形態は、ガルバーニ微粒子が、プロトタイプのフィルム状の下層全体にわたって均一に分布していることを示す。画像により、ガルバーニ粒子は、幾つかがポリマー層内に完全に埋め込まれている状態で、サンプルにしっかり付着していることが示される。SEM画像は、粒径100μm以下のガルバーニ粒子のわずかな凝集を示唆しているが、ビーズ状粒子のほとんどの粒径は5〜10μmである。B側の形態は、フィルム状の層全体にわたって均一に分布しているガルバーニ微粒子が存在する滑らかなフィルム状表面を示す。
【0111】
実施例17:加熱付着を用いてガルバーニ微粒子/ポリマーでコーティングされたポリプロピレンメッシュ
実施例15で調製した5%、2.5%、及び1%の35/65 PCL/PGA溶液でディップコーティングすることにより、35/65 PCL/PGA溶液でポリプロピレンメッシュをコーティングした。コーティングされたメッシュをドラフト内で一晩空気乾燥させた。7.6cm×15.2cm(3×6インチ)の寸法のポリマーコーティングされたメッシュを、20.3cm(8”)の篩上に置き、次いで、使用まで窒素環境中で保管した。約50グラムのガルバーニ微粒子を別の金属篩(635番)に移し、約5分間窒素パージしたオーブン内で120℃に予熱した。加熱されたガルバーニ微粒子の入った篩をメッシュの上方に置き、ガルバーニ微粒子の入った篩を手動で振盪し、メッシュ領域を通過させて、加熱ガルバーニ微粒子をメッシュに付着させた。篩をメッシュと共に振盪させることによって、メッシュに付着しなかった粉末を取り除いた。ガルバーニ微粒子をコーティングする前及び後のポリマーコーティングメッシュを重量測定することにより、メッシュ上のガルバーニ微粒子の量を測定した。それぞれ5%、2.5%、及び1%のPCL/PGA溶液を用いてコーティングされたメッシュに対して、約1.55、1.09及び0.78mg/cm(10、7 & 5mg/in)の微粒子付着が達成された。
【0112】
SEM解析の前にプロトタイプのサンプルを炭素の薄層でコーティングして、サンプルの荷電を最低限に抑えた。Cressington 108C自動炭素塗布機を用いて炭素層を塗布した。JEOL JSM−5900LV SEMを使用してSEM分析を実施した。標準的なSEM SEI検出器及びBEI(後方散乱)検出器を用いて画像をキャプチャした。
【0113】
加熱付着プロセスを用いて調製されたプロトタイプのSEM画像を図2に示す。分析結果は全体的に、プロトタイプの上面及び底面に関して類似の表面形態を有する目の粗いメッシュ構造を示す。SEM画像は、メッシュ構造のポリプロピレンストランドに付着したガルバーニ粒子の存在を示す。ガルバーニ粒子は、メッシュのストランドが絡まった領域内に高度に濃縮されているように見える。分析結果はまた、メッシュサンプル全体にわたってポリプロピレンストランドの表面に沿って付着したガルバーニ粒子を示す。SEM画像は、粒径100μm以下のガルバーニ粒子のわずかな凝集を示唆しているが、ビーズ状粒子のほとんどの粒径は5〜10μmである。
【0114】
実施例18:マイクロスプレーを用いてガルバーニ微粒子/ポリマーでコーティングされたポリプロピレンメッシュの調製
この実験では、Asymtek(Carlsbad,CA)(Nordson Corporationの一部門)製のSC−300回転式アプリケータを備えるC−341コンフォーマルコータを使用して、7.6cm×15.2cm(3”×6”)のポリプロピレンメッシュ上にガルバーニ微粒子を霧化し、堆積させた。メッシュサンプル重量測定し、スプレーヘッドの約3.8cm(1.5”)下方のユニット内部の14”×17”のプラットフォームに固定した。575ミリグラムのガルバーニ微粒子を含む10%の35/65 PCL/PGA溶液45ミリリットルをノズルに装填した。スプレーユニットに対する空気圧を344.7kPa(50PSI)に設定し、ノズルの移動速度を12.7cm/秒(5インチ/秒)に固定した。懸濁液をメッシュサンプルの両側に軽く噴霧し、一晩乾燥させ、再度重量測定して、塗布された金属の総質量を計算した。2つの更なるメッシュ片をより多い量のガルバーニ微粒子でコーティングした。これは、ノズル開口部を調整して、より多くの流体がスプレーヘッドを通過するのを可能にすることにより達成された。以下の図は、500倍の倍率でガルバーニ微粒子の投与量増加を表している(図3参照)。
【0115】
実施例19:ガルバーニ微粒子でコーティングされたメッシュの抗微生物活性
実施例16、17、及び18で調製された、ガルバーニ微粒子でコーティングされたメッシュの抗微生物活性を、BacT/ALERTシステム(BioMerieux,Inc.,Durham,N.C.)を用いて評価した。光学比色分析感覚システム(optical colorimetric sensory system)を用いてCO生成を連続的にモニタすることにより、35℃で14日にわたって、完全に自動化されたBacT/ALERTシステムを用いて黄色ブドウ球菌(SA)の増殖を検出した。簡潔に述べると、約7.6cm×15.2cm(3”×6”)のプロトタイプサンプルそれぞれを、無菌鉗子を用いて縦方向に7.6cm(3”)の束に無菌的に巻き取り、9mLの好気性カゼイン及びダイズ系ブロス培養培地を収容しているBacT/ALERTサンプル瓶に移した。BacT/ALERTサンプル瓶に移すとき、プロトタイプガルバーニ微粒子でコーティングされたメッシュサンプル(以下の表12に示す)をほどき、各サンプル瓶の内壁に寄り掛からせた。SAの1mLのアリコートを各サンプル瓶に接種して、抗微生物効果を試験するために約2×10 CFU/mLを含有する合計体積10mLの培地を作製した。一晩SA BacT/ALERT培養瓶から1mLを、40mLの培地を収容している新たなBacT/ALERT瓶に接種することによって作製された、SA−1希釈と命名されたBacT/ALERTサンプル瓶から1mLのSA接種材料を取った。次いで、40mLの培地を含有する新たなBacT/ALERTサンプル瓶に1mLを接種することにより、SA−1希釈と命名されたサンプル瓶を段階希釈して、それぞれSA−2、−3、及び−4希釈と命名された更なるSA陽性対照サンプル瓶を作製した。これらSA陽性対照サンプル瓶のBacT/ALERT検出時間増殖結果(time-to-detection growth results)を以下の表12(Table 14)に示す。表12に示されるガルバーニ微粒子でコーティングされたメッシュBacT/ALERTサンプルにおいてSA増殖が生じなかったことは、ガルバーニ微粒子でコーティングされたメッシュプロトタイプサンプルの抗微生物活性を実証する。このSA増殖阻害は、ガルバーニ微粒子コーティングにより生じる動電気及び/又は電気化学的に生成される種に起因すると考えられる。
【表12】

【0116】
実施例20:再構築された表皮上におけるUV誘導炎症誘発性伝達物質の放出に対する抗炎症活性
実施例17で調製され、約1.09mg/cm(7mg/in)の量のガルバーニ微粒子を有する、ガルバーニ微粒子でコーティングされたメッシュの効果を、ヒト表皮等価物上の抗炎症活性について評価した。表皮等価物(EPI 200 HCF)(正常ヒト表皮ケラチノサイトからなる多層及び分化した表皮)は、MatTek(Ashland,MA)から購入した。受領時、表皮等価物を、ヒドロコルチゾンを含まない維持培地中で37℃にて24時間インキュベートした。円形の生検パンチを用いて、ガルバーニ微粒子でコーティングされたメッシュ及びコーティングされていないメッシュの両方を試験するための直径8mmのサンプルを作製した。コーティングされたメッシュ及びコーティングされていないメッシュを、太陽紫外光(1−mm Schott WG 320フィルタを備える1000W−Oriel人工光源;適用されたUV線量:360nmで測定したとき70kJ/m)に曝露する前に2時間、それぞれ皮膚等価物上に置いた。等価物を維持培地と共に37℃で24時間インキュベートし、次いで市販のキット(Upstate Biotechnology,Charlottesville,VA)を用いて、IL−1aサイトカイン放出について上清を分析した。結果を以下の表13に示す。
【表13】

** は、P<0.05に設定した有意水準(significance set)で、スチューデントのt検定を用いて、処理されたUV+コーティングされていないメッシュから有意差があることを示す。
【0117】
実施例の塗布に基づいて、ガルバーニ微粒子でコーティングされたメッシュは、炎症メディエータのUV刺激性放出を有意に低減することができた。したがって、ガルバーニ微粒子でコーティングされたメッシュは、有効な抗炎症効果を提供すると予測された。
【0118】
実施例21:ガルバーニ微粒子が装填されたカルボキシルメチルセルロース(CMC)ゲルの調製
リン酸塩緩衝液中のカルボキシルメチルセルロース(CMC)(7HFPH,Aqualon Chemical Company,Wilmington,DE)の2.5%(w/v)水溶液を調製し、オートクレーブを介して滅菌した。99.25%の亜鉛及び0.75%の銅を含有するガルバーニ粒子を、25KGyの線量のガンマ線照射によって滅菌した。動物試験と同日に無菌CMCゲルとガルバーニ粒子とを混合することにより、1mg/mL及び0.25mg/mLのガルバーニ粒子を含有するCMCゲルを調製した。
【0119】
実施例22:ウサギ二重子宮角(DUH)モデル研究
この研究の目的は、21日間にわたって癒着形成の低減に関して、手術の最後において外傷部位に適用される試験物品の効果を評価することであった。
表14に示すように、40匹(sixty)のメスのニュージーランド白ウサギ(2.4kg〜2.7kg)を研究で用いた。手術の開始前に10匹ずつのウサギを4つ(six)の処理群(以下の表)に無作為に割りつけた。ウサギを、55mg/kgのケタミン塩酸塩と5mg/kgのロンプン(Rompum)との混合物を筋肉内注射することにより麻酔した。滅菌手術の準備の後、正中開腹術が実施された。子宮角を露出させ、点状の出血が生じるまでガーゼで漿膜表面をこすることにより傷をつけた。側副血液供給部の除去により、両方の子宮角の虚血を誘導した。子宮角に対する残りの血液供給源は、子宮筋層の子宮−膣動脈供給部の上行枝であった。手術の最後に、未処理、ビヒクル対照(4mL)、及び実施例22に記載のガルバーニ粉末を含有するCMCゲルを投与した。次いで、前記角を正常な解剖学的位置に戻し、正中切開を3−0ビクリル(Vicryl)縫合糸で縫合した。
【表14】

【0120】
21日後、ウサギを安楽死させ、様々な器官に対して癒着した角の面積の百分率を測定した。更に、癒着の接着性をスコア付けした。結果を表15に示す。手術後に記録された生体適合性の問題又は有害な臨床知見は存在せず;剖検時に炎症は観察されず;ガルバーニ微粒子が装填されたCMCゲルは、未手術部位及び手術部位の両方で癒着の低減を示すことが実証された。
【表15】

【0121】
実施例23:ガルバーニ微粒子でコーティングされた硬化シリコーンエラストマーの調製
この実施例は、シリコーン製乳房インプラントをガルバーニ微粒子でのコーティングを可能にする方法について記載する。未硬化/硬化シリコーンエラストマー(厚さ0.030cm(.012”))の30.5×30.5cm(12”×12”)の二層シートを、0.1% Cu/Znガルバーニ微粒子でコーティングした。エラストマーシートの上層は触媒されるが、未硬化である。シートの底層は、完全に硬化される。この材料は、「加硫(vulc)/未加硫(unvulc)シート」と呼ばれる。15.5孔/平方センチメートル(100ppi(孔/平方インチ))の30.5×30.5cm(12”×12”)のポリウレタン発泡体シートを折り畳み、ガルバーニ微粒子の全懸濁粒子(tsp)の約1/2を前記発泡体の上面に置いた。前記発泡体を穏やかにたたき、ガルバーニ微粒子を前記発泡体に均一に分布させる。未加硫/加硫シートをアルミニウムパン上に加硫(硬化)側を下にして置き、角部をパンにテープで貼り付けて、シートの移動を防いだ。ガルバーニ微粒子が分布している折り畳まれた発泡体で未加硫(未硬化)表面を前後に掃き、薄く、かなり均一なガルバーニ微粒子の層を残した。次いで、新たな発泡体シートを折り畳み、折り畳まれた縁部を用いて、更なる粉末が除去されなくなるまで、粉末化表面を掃いた。次いで、テフロン製チューブを用いてコーティングされた表面を2〜3回巻き取って、残りの粉末の未加硫(未硬化)表面への付着を増加させた。次いで、結果として得られるコーティングされたシリコーンエラストマーシートをアルミニウムのトレー上に置き、163℃(325°F)で2時間硬化させた。次いで、最後のシートをパッケージ化し、乾熱滅菌した。
【0122】
本発明はその詳細な実施例に関して図示及び説明が行われたが、当業者には、当該形態及び詳細におけるさまざまな変更は、本請求発明の主旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるであろう。
【0123】
〔実施の態様〕
(1) ガルバーニ微粒子を含む埋め込み式医療機器。
(2) 前記ガルバーニ微粒子が、第1導電材料及び第2導電材料を含み、当該第1導電材料及び当該第2導電材料の両方が、少なくとも部分的に露出している表面を有し、当該微粒子の粒径が、約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、当該第2導電材料が、当該微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%を構成し、当該第1導電材料と当該第2導電材料との標準電位の差が、少なくとも約0.2Vである、実施態様1に記載の医療機器。
(3) 前記第1導電材料が、亜鉛及びマグネシウムからなる群より選択され、前記第2導電材料が、銅及び銀からなる群より選択される、実施態様1に記載の医療機器。
(4) 前記医療機器が、創傷縫合用止め金、縫合糸、外科用縫合針、カテーテル、縫合糸アンカー、創傷テープ、創傷包帯、止血鉗子、ステント、代用血管、血管パッチ、カテーテル類、外科用メッシュ、骨インプラント、移植骨、歯科用インプラント、乳房インプラント、組織増大インプラント、プラスチック製再建用インプラント、埋め込み式薬物送達ポンプ、診断用インプラント、及び生体組織工学スキャフォールドからなる群より選択される、実施態様1に記載の医療機器。
(5) 前記ガルバーニ微粒子が、前記機器の表面上に存在する、実施態様2に記載の医療機器。
(6) 前記機器がバルクを有し、前記ガルバーニ微粒子が、当該機器の当該バルク内に存在する、実施態様2に記載の医療機器。
(7) 前記ガルバーニ微粒子が、前記機器の表面上と、前記機器の前記バルク内とに存在する、実施態様6に記載の医療機器。
(8) 表面を有する医療機器と、
当該表面の少なくとも一部を被覆する抗微生物コーティングであって、当該コーティングが生体適合性ポリマーとガルバーニ微粒子とを含む、抗微生物コーティングと、を含む、コーティングされた医療機器。
(9) ガルバーニ微粒子を備えた埋め込み式医療機器を作製する方法であって、
ポリマー表面を有する当該埋め込み式医療機器を提供する工程と、
当該ポリマー表面を少なくとも部分的に融解するのに十分有効な温度に当該ガルバーニ微粒子を加熱する工程と、
当該加熱されたガルバーニ微粒子を当該ポリマー表面に取り付ける工程と、を含む、方法。
(10) 前記微粒子が、前記ポリマー表面に少なくとも部分的に埋め込まれている、実施態様9に記載の方法。
【0124】
(11) 前記微粒子が、前記ポリマー表面に接着する、実施態様9に記載の方法。
(12) ガルバーニ微粒子と、水性ゲルと、使用直前に当該ガルバーニ微粒子及び当該水性ゲルを混合する手段と、を含む、キット。
(13) ガルバーニ微粒子と水性ゲルとを含む医療機器を提供する工程と、当該機器を関節に埋め込む工程と、を含む、変形性関節症を治療する方法。
(14) 外科的手技を実施する工程と、医療機器を組織の少なくとも一部に取り付ける工程とを含む、癒着を予防する方法であって、当該医療機器が、ガルバーニ微粒子と水性ゲルと、を含む、方法。
(15) 外科的手技を実施する工程と、ガルバーニ粒子でコーティングされたメッシュを組織の少なくとも一部に取り付ける工程とを含む、感染を予防する方法。
(16) 前記ガルバーニ微粒子が、第1導電材料及び第2導電材料を含み、当該第1導電材料及び当該第2導電材料の両方が、少なくとも部分的に露出している表面を有し、当該微粒子の粒径が、約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、当該第2導電材料が、当該微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%を構成し、当該第1導電材料と当該第2導電材料との標準電位の差が、少なくとも約0.2Vである、実施態様8に記載の機器。
(17) 前記コーティングが、治療上有効な量の治療剤を更に含む、実施態様8に記載の機器。
(18) 前記ガルバーニ微粒子が、第1導電材料及び第2導電材料を含み、当該第1導電材料及び当該第2導電材料の両方が、少なくとも部分的に露出している表面を有し、当該微粒子の粒径が、約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、当該第2導電材料が、当該微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%を構成し、当該第1導電材料と当該第2導電材料との標準電位の差が、少なくとも約0.2Vである、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記機器が、生体適合性材料を含む、実施態様1に記載の医療機器。
(20) 前記医療機器が、生体吸収性ポリマーを含む、実施態様19に記載の医療機器。
【0125】
(21) 前記生体適合性、生体吸収性ポリマーが、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、シュウ酸ポリアルキレン、ポリアミド、チロシン由来ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含有するポリオキサエステル、ポリ(酸無水物)、ポリホスファゼン、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、ラミニン、及びゼラチン、ケラチン、コンドロイチン硫酸、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、実施態様20に記載の医療機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガルバーニ微粒子を含む埋め込み式医療機器。
【請求項2】
前記ガルバーニ微粒子が、第1導電材料及び第2導電材料を含み、当該第1導電材料及び当該第2導電材料の両方が、少なくとも部分的に露出している表面を有し、当該微粒子の粒径が、約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、当該第2導電材料が、当該微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%を構成し、当該第1導電材料と当該第2導電材料との標準電位の差が、少なくとも約0.2Vである、請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記第1導電材料が、亜鉛及びマグネシウムからなる群より選択され、前記第2導電材料が、銅及び銀からなる群より選択される、請求項1に記載の医療機器。
【請求項4】
前記医療機器が、創傷縫合用止め金、縫合糸、外科用縫合針、カテーテル、縫合糸アンカー、創傷テープ、創傷包帯、止血鉗子、ステント、代用血管、血管パッチ、カテーテル類、外科用メッシュ、骨インプラント、移植骨、歯科用インプラント、乳房インプラント、組織増大インプラント、プラスチック製再建用インプラント、埋め込み式薬物送達ポンプ、診断用インプラント、及び生体組織工学スキャフォールドからなる群より選択される、請求項1に記載の医療機器。
【請求項5】
前記ガルバーニ微粒子が、前記機器の表面上に存在する、請求項2に記載の医療機器。
【請求項6】
前記機器がバルクを有し、前記ガルバーニ微粒子が、当該機器の当該バルク内に存在する、請求項2に記載の医療機器。
【請求項7】
前記ガルバーニ微粒子が、前記機器の表面上と、前記機器の前記バルク内とに存在する、請求項6に記載の医療機器。
【請求項8】
表面を有する医療機器と、
当該表面の少なくとも一部を被覆する抗微生物コーティングであって、当該コーティングが生体適合性ポリマーとガルバーニ微粒子とを含む、抗微生物コーティングと、を含む、コーティングされた医療機器。
【請求項9】
ガルバーニ微粒子を備えた埋め込み式医療機器を作製する方法であって、
ポリマー表面を有する当該埋め込み式医療機器を提供する工程と、
当該ポリマー表面を少なくとも部分的に融解するのに十分有効な温度に当該ガルバーニ微粒子を加熱する工程と、
当該加熱されたガルバーニ微粒子を当該ポリマー表面に取り付ける工程と、を含む、方法。
【請求項10】
前記微粒子が、前記ポリマー表面に少なくとも部分的に埋め込まれている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記微粒子が、前記ポリマー表面に接着する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ガルバーニ微粒子と、水性ゲルと、使用直前に当該ガルバーニ微粒子及び当該水性ゲルを混合する手段と、を含む、キット。
【請求項13】
前記ガルバーニ微粒子が、第1導電材料及び第2導電材料を含み、当該第1導電材料及び当該第2導電材料の両方が、少なくとも部分的に露出している表面を有し、当該微粒子の粒径が、約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、当該第2導電材料が、当該微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%を構成し、当該第1導電材料と当該第2導電材料との標準電位の差が、少なくとも約0.2Vである、請求項8に記載の機器。
【請求項14】
前記コーティングが、治療上有効な量の治療剤を更に含む、請求項8に記載の機器。
【請求項15】
前記機器が、生体適合性材料を含む、請求項1に記載の医療機器。
【請求項16】
前記医療機器が、生体吸収性ポリマーを含む、請求項15に記載の医療機器。
【請求項17】
前記生体適合性、生体吸収性ポリマーが、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、シュウ酸ポリアルキレン、ポリアミド、チロシン由来ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含有するポリオキサエステル、ポリ(酸無水物)、ポリホスファゼン、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、ラミニン、及びゼラチン、ケラチン、コンドロイチン硫酸、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16に記載の医療機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−521804(P2012−521804A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502254(P2012−502254)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/028686
【国際公開番号】WO2010/111502
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(509263146)アドバンスト・テクノロジーズ・アンド・リジェネレイティブ・メディスン・エルエルシー (17)
【氏名又は名称原語表記】Advanced Technologies and Regenerative Medicine, LLC
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham, MA 02767, United States of America
【Fターム(参考)】