説明

ガルバーニ微粒子を含む唇用組成物

【課題】新規唇用組成物を開示する。
【解決手段】唇用組成物はガルバーニ微粒子を含み、以下の効果をもたらす:唇の色を向上させる、細かい線及びしわを低減する、ふくよかさを高める、保湿、滑らかさ、質感を改善する、並びに境界及び唇の輪郭をはっきりさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガルバーニ微粒子を含む、口紅、リップグロス、リップクリーム、及びリップペンシル等の新規唇用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ガルバーニ微粒子を含む局所適用組成物は、国際公開第2009/045720号及び米国特許第2007/0060862号に記載されており、これらは、この組成物から種々の皮膚効果が得られ得ることを示す。例えば、国際公開第2009/045720号は、ガルバーニ微粒子が、皮膚又は唇におけるコラーゲン又はエラスチンを増加させることにより、軟組織の体積を増加させ得ることを開示している。
【0003】
唇用組成物は、広く化粧品に用いられている。唇用組成物は、典型的には、唇に色又は質感を付与することを意図する。リップクリームはまた、医薬成分を有してもよい。
【0004】
唇用組成物にガルバーニ微粒子を配合すると、唇の色を向上させる、細かい線及びしわを低減する、ふくよかさを高める、保湿、滑らかさ、質感を改善する、並びに境界及び唇の輪郭をはっきりさせるという特別な効果を得ることができることが現在見出されている。
【0005】
出願人らは、また、ガルバーニ微粒子を含む唇用組成物を局所適用すると、唇におけるオキシヘモグロビン量が少なくとも10パーセント増加することを見出した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、a)増粘剤、脂肪質物質、及びろうから選択される少なくとも1種の構造剤と、b)第1の導電性物質及び第2の導電性物質を含むガルバーニ微粒子であって、前記第1の導電性物質及び前記第2の導電性物質の両方が前記ガルバーニ微粒子の表面上に露出しており、前記ガルバーニ微粒子の粒径が約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、第1の導電性物質と第2の導電性物質との標準電位の差が少なくとも約0.2Vであるガルバーニ微粒子とを含む唇用組成物を提供する。
【0007】
本発明はまた、唇用組成物を唇に局所適用することを含み、唇用組成物が、第1の導電性物質及び第2の導電性物質を含むガルバーニ微粒子であって、前記第1の導電性物質及び前記第2の導電性物質の両方が前記ガルバーニ微粒子の表面上に露出しており、前記ガルバーニ微粒子の粒径が約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、第1の導電性物質と第2の導電性物質との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、ガルバーニ微粒子を含む、唇におけるオキシヘモグロビン量を少なくとも10パーセント増加させる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例2に記載されるスペクトル画像上で行われるオキシヘモグロビン分析の結果。
【発明を実施するための形態】
【0009】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。更に、本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許、及び他の引用文献は全てこれを援用するものである。特に指示しない限り、百分率は重量百分率(すなわち、%(W/W))を指す。
【0010】
本明細書で使用するとき、「化粧品として許容可能な」とは、過度の毒性、不適応性、不安定性、刺激、アレルギー反応等がなく、組織(例えば、皮膚)と接触する用途に好適であることを意味する。この用語は、組成物を限定することを意図するものではなく、単に化粧品としての使用に関して記載する(例えば、組成物を医薬品として使用することもできる)。
【0011】
本明細書で使用するとき、「安全かつ有効な量」は、所望の水準で所望の効果をもたらすのに十分であるが、重篤な副作用を避けるのに十分少ない量を意味する。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「処置する」又は「処置」は、ヒト、特に唇の状態又は疾患の症状の緩和又は消失、治癒、予防、又は阻害を意味する。
【0013】
本発明は、口紅、リップケア製品、リップペンシル若しくはリップライナ、リップスクラブ、又はリップグロス等の唇用組成物に関する。唇用組成物は、液体形、加熱注入(hot pour)スティック、成型スティック、又はゲルスティックを含む種々の形態のうちのいずれかをとり得る。唇用組成物は、有色又は無色、透明、半透明、又は不透明であってもよく、美容目的又は治療目的のために用いることができる。
【0014】
唇用組成物は、ガルバーニ微粒子を含む。各ガルバーニ微粒子は、第1の導電性物質及び第2の導電性物質を含み、第1の導電性物質及び第2の導電性物質の両方がガルバーニ微粒子の表面上に露出している。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、第2の導電性物質で部分的にコーティングされている第1の導電性物質を含む。
【0015】
好ましくは、唇用組成物は、最高約10重量%のガルバーニ微粒子、例えば、最高約5重量%のガルバーニ微粒子、又は最高約1重量%のガルバーニ微粒子を含む。
【0016】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、第2の導電性物質の重量%が、ガルバーニ微粒子の総重量の約0.001重量%〜約20重量%、例えば、ガルバーニ微粒子の総重量の約0.01重量%〜約10重量%であるコーティング方法により生成される。1つの実施形態では、第2の導電性物質のコーティング厚さは、単一原子から数百マイクロメートルまで変化してもよい。更に別の実施形態では、ガルバーニ微粒子の表面は、約0.001%〜約99.99%、例えば、約0.1〜約99.9%の第2の導電性物質を含む。
【0017】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、非コーティング方法により(例えば、第1及び第2の導電性物質をともに焼結、印刷、又は機械的加工して、ガルバーニ微粒子を形成することにより)生成され、第2の導電性物質は、微粒子の総重量の約0.1重量%〜約99.9重量%、例えば、微粒子の総重量の約10%〜約90%含まれる。
【0018】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、保存中半固体組成物に懸濁することができるのに十分な程細かい。更なる実施形態では、それらは扁平及び/又は細長い形状である。ガルバーニ微粒子の扁平及び細長い形状の利点としては、見かけ密度が低く、それ故、唇用組成物における流動/懸濁能がより良好になり、並びに唇をより良好に被覆し、唇を通過するガルバーニ電流の範囲をより広く及び/又はより深くすることが挙げられる。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子の最長寸法は、このような微粒子の最短寸法の少なくとも2倍(例えば、少なくとも5倍)である。
【0019】
ガルバーニ微粒子は、球形若しくは非球形粒子、又は細長い若しくは扁平な形状(例えば、円筒形、繊維又はフレーク)が挙げられるが、これらに限定されない任意の形状であってもよい。1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子の平均粒径は、約10ナノメートル〜約500マイクロメートル、例えば、約100ナノメートル〜約100マイクロメートルである。粒径は、少なくとも一方向における最長寸法を意味する。
【0020】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、ガルバーニ微粒子の生成にコーティング方法が用いられるとき、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%の導電性物質(例えば、第1の導電性物質及び第2の導電性物質)を含む。
【0021】
第1の導電性物質/第2の導電性物質の組み合わせの例としては(「/」の印は、酸化されているが、本質的に金属の非可溶性形態であることを表す)、亜鉛−銅、亜鉛−銅/銅ハロゲン化物、亜鉛−銅/銅酸化物、マグネシウム−銅、マグネシウム−銅/銅ハロゲン化物、亜鉛−銀、亜鉛−銀/銀酸化物、亜鉛−銀/銀ハロゲン化物、亜鉛−銀/銀塩化物、亜鉛−銀/銀臭化物、亜鉛−銀/銀ヨウ化物、亜鉛−銀/銀フッ化物、亜鉛−金、亜鉛−炭素、マグネシウム−金、マグネシウム−銀、マグネシウム−銀/銀酸化物、マグネシウム−銀/銀ハロゲン化物、マグネシウム−銀/銀塩化物、マグネシウム−銀/銀臭化物、マグネシウム−銀/銀ヨウ化物、マグネシウム−銀/銀フッ化物、マグネシウム−炭素、アルミニウム−銅、アルミニウム−金、アルミニウム−銀、アルミニウム−銀/銀酸化物、アルミニウム−銀/銀ハロゲン化物、アルミニウム−銀/銀塩化物、アルミニウム−銀/銀臭化物、アルミニウム−銀/銀ヨウ化物、アルミニウム−銀/銀フッ化物、アルミニウム−炭素、銅−銀/銀ハロゲン化物、銅−銀/銀塩化物、銅−銀/銀臭化物、銅−銀/銀ヨウ化物、銅−銀/銀フッ化物、鉄−銅、鉄−銅/銅酸化物、銅−炭素鉄−銅/銅ハロゲン化物、鉄−銀、鉄−銀/銀酸化物、鉄−銀/銀ハロゲン化物、鉄−銀/銀塩化物、鉄−銀/銀臭化物、鉄−銀/銀ヨウ化物、鉄−銀/銀フッ化物、鉄−金、鉄−導電性炭素、亜鉛−導電性炭素、銅−導電性炭素、マグネシウム−導電性炭素、及びアルミニウム−炭素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
第1の導電性物質又は第2の導電性物質、特に第1の導電性物質はまた、合金であってもよい。合金の非限定的な例としては、第1の導電性物質として亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、銅、及びマンガンの合金、第2の導電性物質として銀、銅、ステンレス鋼及び金の合金が挙げられる。
【0023】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、第2及び第3の導電性物質のような数種の導電性物質で部分的にコーティングされている第1の導電性物質を含む。更なる実施形態では、微粒子は少なくとも95重量%の第1の導電性物質、第2の導電性物質、及び第3の導電性物質を含む。1つの実施形態では、第1の導電性物質は亜鉛であり、第2の導電性物質は銅であり、第3の導電性物質は銀である。
【0024】
1つの実施形態では、第1の導電性物質と第2の導電性物質との標準電極電位(又は単に標準電位)の差は、少なくとも約0.1ボルト、例えば、少なくとも0.2ボルトである。1つの実施形態では、ガルバーニ対を構成する材料は、約3ボルト以下の標準電極電位を有する。例えば、金属亜鉛及び銅を含むガルバーニ対では、亜鉛の標準電位は−0.763V(Zn/Zn2)であり、銅の標準電位は+0.337(Cu/Cu2)であるため、標準電位の差は、亜鉛−銅ガルバーニ対で1.100Vである。同様に、マグネシウム−銅ガルバーニ対では、マグネシウムの標準電位(Mg/Mg2)は−2.363Vであるため、標準電位の差は2.700Vである。ガルバーニ微粒子で用いるのに好適ないくつかの材料の標準電位値の追加例は、Ag/Ag:+0.799V、Ag/AgCl/Cl:0.222V、及びPt/H/H:0.000Vである。Ptはまた、炭素又は別の導電性物質に置き換えられてもよい。例えば、Physical Chemistry by Gordon M.Barrow,4th Ed.,McGraw−Hill Book Company,1979,page 626を参照。
【0025】
1つの実施形態では、導電金属インクの(例えば、ポリマー結合剤との)化学的、電気化学的、物理的、又は機械的加工(無電解析出、電気めっき、真空蒸着、アーク噴霧、焼結、圧縮、加圧成形、押出成形、印刷、及び造粒のような)、又はAsm Handbook Volume 7:Powder Metal Technologies and Applications(Asm International Handbook Committee,edited by Peter W.Lee,1998,pages 31〜109,311〜320)の書籍に記載されている方法のような、粉末冶金、電子工学、又は医療機器の製造プロセスにおいて一般的に用いられる他の既知の金属コーティング又は粉末加工方法により、第1の導電性電極と第2の導電性電極とを組み合わせる(例えば、第2の導電性電極を第1の導電性電極に堆積させる)。別の実施形態では、全ての導電性電極は、還元剤の存在下で、順次又は同時に、化学還元プロセス(例えば、無電解析出)により製造される。還元剤の例としては、リン含有還元剤(例えば、米国特許第4,167,416号及び同第5,304,403号に記載のような次亜リン酸塩)、ホウ素含有還元剤、及びテトラヒドリドホウ酸ナトリウム(NaBH)(例えば、米国特許出願公開第20050175649号に記載のような)のようなアルデヒド又はケトン含有還元剤が挙げられる。
【0026】
1つの実施形態では、第2の導電性電極は、スプレーコーティング、プラズマコーティング、導電インクコーティング、スクリーン印刷、ディップコーティング、金属接着、高圧−高温下での衝撃微粒子、流動床加工、又は真空蒸着のような、物理的堆積により第1の導電性電極上に堆積又はコーティングされる。
【0027】
1つの実施形態では、コーティング方法は、置換化学反応、つまり第1の導電性物質の粒子(例えば、金属亜鉛粒子)を、第2の導電性物質の溶解塩(例えば、酢酸銅、乳酸銅、グルコン酸銅、又は硝酸銀)を含有する溶液と接触させることに基づいている。更なる実施形態では、方法は、第1の導電性物質(例えば、亜鉛粉末)の粒子上を、又は第1の導電性物質の充填粉末を通して溶液を流すことを含む。1つの実施形態では、塩溶液は水溶液である。別の実施形態では、溶液は、アルコール、グリコール、グリセリン、又は医薬品生産において一般的に用いられる他の溶媒のような有機溶媒を含有して、第1の導電性物質粒子の表面上への第2の導電性物質の堆積速度を調節し、それにより生成されるガルバーニ微粒子の活性を制御する。
【0028】
別の実施形態では、本発明のガルバーニ微粒子を、他の材料でコーティングして、保存中に第1及び第2の導電性物質が分解するのを防ぐ(例えば、酸素及び水分からの酸化分解)、又は電気化学的反応を調節し、使用中の電流発生を制御することもできる。代表的なコーティング材料としては、無機又は有機ポリマー、天然又は合成ポリマー、生分解性又は生体吸収性ポリマー、シリカ、ガラス、種々の金属酸化物(例えば、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、又はチタンの酸化物)、及び他の低可溶性無機塩(例えば、リン酸亜鉛)が挙げられる。コーティング方法は、米国特許第5,964,936号、同第5,993,526号、同第7,172,812号、米国特許出願公開第20060042509A1号、及び同第20070172438号に記載のような、金属粉末加工及び金属色素生産の技術分野において既知である。
【0029】
1つの実施形態では、ガルバーニ微粒子は、無水形で、例えば、乾燥粉末として、又は本質的に無水非導電有機溶媒組成物(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、液体シリコーン、及び/又はアルコールに溶解した)として保存される。別の実施形態では、ガルバーニ微粒子は、無水担体に埋め込まれている(例えば、ポリマー内部)。更に別の実施形態では、ガルバーニ微粒子は、貯蔵寿命(self-life)の安定性を達成する、ガルバーニ微粒子の活性化を遅延させる、又はガルバーニ微粒子の作用を延長するために、マイクロカプセル、リポソーム、又はミセルの組成物にカプセル化される、又は乳化系の水中油型(O/W)又は油中水型(W/O)タイプの親油性相(例えば、W/Oローション、W/O軟膏、又はO/Wクリーム)、並びに自己乳化組成物に埋め込まれる。
【0030】
唇用組成物は、好ましくは、ガルバーニ微粒子に加えて、油、ろう、皮膚軟化剤、及び色素を含み、これらは唇に色及び質感を付与する。
【0031】
具体的には、唇用組成物は、好ましくは、パーソナルケア又は化粧品組成物で一般的に用いられている種類の増粘剤、脂肪質物質、及びろうから選択される少なくとも1つの構造剤を含む。構造剤は、室温で唇用組成物に自立形状を付与する。構造剤の量は、好ましくは唇用組成物の5%〜90%、又は10%〜30%、最も好ましくは10%〜20%である。
【0032】
一般的に自立形状を有しないリップグロスの場合、構造剤として使用するのに好適な物質を粘度調整剤として使用することができる。http://www.micropatent.com/perl/di/psrecord.pl?ticket=188757186526&listid=2898420100201161532154&container_id=1972937&patnum=US7611726B2構造剤ではなく粘度調整剤として用いられるとき、これら成分の用いられる量は、室温(18〜25℃)で自立形状を提供するのには不十分であることが好ましい。
【0033】
増粘剤としては、粘土、有機粘土、シリカ、セルロース誘導体ヘクトライト、アクリルポリマー又はポリウレタン型の会合性ポリマー等の合成ポリマー、及びガム、特にキサンタンガムを挙げることができる。
【0034】
代表的な脂肪質物質としては、エステル化又は非エステル化液体形又はエステル化固体形のシリコーン、例えば、ベヘネートジメチコン、ポリアミド樹脂、非シリコーン脂肪質物質、例えば、油、パスタ及び野菜、ミネラル、動物性及び/又は合成ろうが挙げられる。
【0035】
ろうを用いて非透明組成物を形成することができる。本明細書で使用するとき、「ろう」は、液体脂肪相に可溶性である任意の親油性脂肪族化合物であってもよい。ろうは、例えば、約45℃超、例えば、約55℃超の融点を有してもよい。
【0036】
好適なろうの非限定的な例としては、蜜蝋、カルナバろう、キャンデリラろう、オウリキュリー(ouricury)ろう、日本ろう、コルク繊維ろう、サトウキビろう、パラフィンろう、亜炭ろう、微晶質ろう、ラノリンろう、モンタンろう、及びオゾケライト、水素添加ホホバ油等の水素添加油、ホホバエステル等の天然源のろう、エチレンの重合により誘導されるポリエチレンろう、フィッシャー−トロプシュ合成により得られるろう、脂肪酸エステル及びグリセリド、ヒマシ油、及びポリ(ジ)メチルシロキサンの誘導体等のシリコーンろう等の合成源のろうが挙げられる。
【0037】
唇用組成物は、無機色素、レーキ、雲母、及び効果色素(effect pigment)を含む、化粧品分野で既知の1つ以上の色素を含んでもよい。典型的な色素の例としては、ブロモ酸、D&CレッドNo.21、D&CレッドNo.27及びD&CレッドNo.34、カルシウムレーキ、及びD&CオレンジNo.17等のレーキが挙げられる。ピンクの色合いは、二酸化チタンを種々の赤の色合いと混合することにより作製される。好ましくは、色素は水に不溶性であるため、色が唇上に長期間維持される。
【0038】
1つの実施形態では、唇用組成物のバルク色のみが色素を用いて調整され、塗布時の唇の色は変化しない。
【0039】
別の実施形態では、色素は、唇を透明感のある色で被覆する。
【0040】
別の実施形態では、色素は、塗布時に唇に色調の強い変化をもたらす。
【0041】
唇用組成物は、パール入り製品、マットな製品、透明感のある製品、着色された製品、及び唇の色が持続する製品を含む、化粧品分野で既知である種々の形態をとり得る。パール入り口紅は、例えば、色に艶を与える真珠様光沢付与剤を含んでもよい。例えば、合成パールであるオキシ塩化ビスマスは、パール感又は光沢を付与する。次炭酸ビスマスは、皮膚保護剤としても用いることができる。
【0042】
マットな口紅は、より多くの量の構造剤及び色素を含有するが、皮膚軟化剤の量は少ない。マットな口紅は、光沢よりも質感を重視する。クリーム口紅は、光沢と質感のバランスがとれている。リップグロスは、光沢が強く、色調は弱い。透明感のある口紅及び着色された口紅は、高濃度の油及び中程度の量のろうを含有する。微光を放つ口紅は、典型的には、雲母又はシリカ粒子を含有する。色が持続する口紅は、シリコーン油を含有することが多い。
【0043】
1つの実施形態では、唇用組成物は、液晶を更に含む。液晶の例としては、International Specialty Productsから市販されているISP Colorflow液晶が挙げられる。液晶は、唇用組成物に独特の色効果、及び保湿効果を与えることができる。
【0044】
唇用組成物はまた、化粧品分野で既知である防腐剤及び酸化防止剤を含んでもよい。
【0045】
1つの実施形態では、唇用組成物はリップグロスである。リップグロスは、好ましくは、約0.5重量%〜約80重量%、好ましくは約0.5〜約60重量%の、有機溶媒に溶解、分散、懸濁、又は乳化している低分子量非極性熱可塑性ポリオレフィン光沢強化ポリマーを少なくとも1つ含む、光沢強化塗膜形成剤を含む。また、少なくとも1つの増粘剤を含む。
【0046】
唇用組成物は、化粧品分野で既知である他の添加剤を含んでもよい。例えば、疎水性コンディショニング剤が、唇用組成物に含まれてもよい。これらは、鉱物油、レシチン、水素添加レシチン、ラノリン、ラノリン誘導体、C7〜C40分枝鎖炭化水素、C1〜C30カルボン酸のC1〜C30アルコールエステル、C2〜C30ジカルボン酸のC1〜C30アルコールエステル、C1〜C30カルボン酸のモノグリセリド、C1〜C30カルボン酸のジグリセリド、C1〜C30カルボン酸のトリグリセリド、C1〜C30カルボン酸のエチレングリコールモノエステル、C1〜C30カルボン酸のエチレングリコールジエステル、C1〜C30カルボン酸のプロピレングリコールモノエステル、C1〜C30カルボン酸のプロピレングリコールジエステル、糖類のC1〜C30カルボン酸モノエステル及びポリエステル、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、ポリアルカリールシロキサン、3〜9個のケイ素原子を有するシクロメチコン、植物油、硬化植物油、ポリプロピレングリコールC4〜C20アルキルエーテル、ジC8〜C30アルキルエーテル、及びこれらの組み合わせから選択することができる。
【0047】
乳化剤は、特に親水性成分の存在下で、唇用組成物に用いることができる。乳化剤の量は、唇用組成物の約0.1〜約10重量%、好ましくは約0.3〜約5重量%であってもよい。レシチン等のリン脂質、またグリセロールモノステアレート等のグリセロール脂肪酸エステルが特に有用である。
【0048】
唇用組成物は、組成物に構造を付加するために、化粧品分野で既知であるポリマー又はコポリマーを含有してもよい。これら物質の濃度は、唇用組成物の約0.1〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約8重量%、より好ましくは約1〜約5重量%であってもよい。例としては、ポリビニルピロリドン(PVP)ポリマー及びコポリマー、それぞれInternational Specialty ProductsからGanex 220及びGanex 216として市販されている、ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー、及びビニルピロリドン/ヘキサデセンが挙げられる。
【0049】
唇用組成物は、ビタミン化合物、前駆体、及びそれらの誘導体を含んでいてもよい。ビタミン化合物は、天然型であっても合成型であってもよい。好適なビタミン化合物としては、ビタミンA(例えば、ベータカロチン、レチノイン酸、レチノール、レチノイド、パルミチン酸レチニル、プロプリオ酸レチニル)、ビタミンB(例えば、ナイアシン、ナイアシンアミド、リボフラビン、パントテン酸)、ビタミンC(例えば、アスコルビン酸)、ビタミンD(例えば、エルゴステロール、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール)、ビタミンE(例えば、トコフェロール、トコフェロールアセテート)、及びビタミンK(例えば、フィトナジオン、メナジオン、フチオコール)化合物が挙げられるが、これらに限定されない。用いられるビタミンの量は、唇用組成物の0.000001〜2重量%であってもよい。
【0050】
有機又は無機日焼け止め剤を唇用組成物に組み込んでもよい。http://www.micropatent.com/perl/di/psrecord.pl?ticket=188757186526&listid=2764820100201164658937&container_id=1972937&patnum=US20080287540A1日焼け止め剤の濃度は、唇用組成物の約0.1〜約20重量%、好ましくは約1〜約5重量%であってもよい。日焼け止め剤の例としては、p−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチル−p−アミノ安息香酸2−エチルヘキシル、p−アミノ安息香酸、2−フェニルベンゾミダゾール−5−スルホン酸、オクトクリレン、オキシベンゾン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、4,4’−メトキシ−t−ブチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、3−ベンジリデンカンファー、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化鉄、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
1つの実施形態では、唇用組成物は活性剤を含む。本明細書で使用するとき、「活性剤」は、治療薬剤又は化粧剤等の唇又は周囲組織に美容又は治療効果を付与する化合物(例えば、合成又は天然)を意味する。治療薬剤の例としては、小分子、ペプチド、タンパク質、核酸物質、及びミネラルのような栄養素、及び抽出物が挙げられる。唇用組成物中の活性剤の量は、活性剤、唇用組成物中に存在する他の成分、及び唇用組成物の所望の効果に依存する。1つの実施形態では、唇用組成物は、安全かつ有効な量の活性剤、例えば、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、例えば、約0.01重量%〜約10重量%の活性剤を含有する。
【0052】
ガルバーニ微粒子を活性剤(抗微生物剤、抗炎症剤、及び鎮痛剤のような)と組み合わせて、その活性剤の生物学的又は治療的効果を高める又は増強することができる。別の実施形態では、ガルバーニ微粒子はまた、他の物質と組み合わせて、ガルバーニ微粒子の活性を高める又は増強することもできる。ガルバーニ微粒子の活性を高める又は増強する物質としては、有機溶媒(アルコール、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールのような)、表面活性剤(非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びポリマー界面活性剤)、及び水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ガルバーニ微粒子は、タンパク質、多糖類、種々の分子量のヒアルロン酸、ヒアルロン酸類似体、ポリペプチド、及びポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない合成又は天然ポリマーと、コンジュゲート又は複合体を形成することができる。
【0053】
1つの実施形態では、唇用組成物はキレート剤又はキレート化剤を含有する。キレート剤の例としては、グリシンのようなアミノ酸、ラクトフェリン、エデト酸塩、クエン酸塩、ペンテト酸塩、トロメタミン、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、デフェロキサミン、これらの誘導体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。有用なキレート剤の他の例は、米国特許第5,487,884号及び国際公開第91/16035号及び同第91/16034号に開示されている。
【0054】
1つの実施形態では、唇用組成物は、老化防止剤を含有する。好適な老化防止剤の例としては、二酸化チタン及び酸化亜鉛のような無機日焼け止め剤、メトキシケイヒ酸オクチルのような有機日焼け止め剤、レチノイド、ジメチルアミノエタノール(DMAE)、銅含有ペプチド、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンC、及びビタミンBのようなビタミン、並びにアスコルビン酸ジ−グルコシド及びビタミンE酢酸塩又はパルミチン酸のようなビタミンの塩類又は誘導体、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、アルファーヒドロキシ酪酸、アルファ−ヒドロキシイソ酪酸、アルファ−ヒドロキシイソカプロン酸、アトロラクチン酸(atrrolactic acid)、アルファ−ヒドロキシイソ吉草酸、ピルビン酸エチル、ガラクツロン酸、グルコヘプトン酸、グルコヘプトノ1,4−ラクトン、グルコン酸、グルコノラクトン、グルクロン酸、グルクロノラクトン、ピルビン酸イソプロピル、ピルビン酸メチル、粘液酸、ピルビン酸、糖酸、糖酸1,4−ラクトン、酒石酸、及びタルトロン酸のようなアルファ−ヒドロキシ酸並びにこれらの前駆体、ベータ−ヒドロキシ酪酸、ベータ−フェニル乳酸、及びベータ−フェニルピルビン酸のようなベータ−ヒドロキシ酸、テトラヒドロキシプロピルエチレン−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(THPED)、並びに緑茶、ダイズ、オオアザミ、藻、アロエ、アンゼリカ、ダイダイ、コーヒー、オウレン、グレープフルーツ、ホウレン(hoellen)、セイヨウスイカズラ、ジュズダマ、リソスペルマム(lithospermum)、クワ、ボタン、プエラルア(puerarua)、ナイス(nice)、及びベニバナのような植物抽出物、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
1つの実施形態では、唇用組成物は活性剤として植物抽出物を含有する。植物抽出物の例としては、ナツシロギク、ダイズ、グリシン・ソヤ、オート麦、小麦、アロエ・ベラ、クランベリー、マンサク、ウサギギク、カワラヨモギ、細辛の根、カバノキ、キンセンカ、カモミール、シンジウム、ヒレハリソウ、ウイキョウ、ガラ・ロイス(galla rhois)、サンザシ、ドクダミ、オトギリソウ、ナツメ、キウイ、カンゾウ、モクレン、オリーブ、ペパーミント、フィロデンドロン、サルビア、クマザサ(sasa albo-marginata)、天然のイソフラボノイド、ダイズイソフラボン、及び天然のエッセンシャル・オイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
1つの実施形態では、唇用組成物は、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、グルコン酸緩衝剤のような緩衝剤、又はゲル化剤、増粘剤、又はポリマーを含有する。
【0057】
1つの実施形態では、唇用組成物又は製品は芳香剤を含有する。
【0058】
1つの実施形態では、唇用組成物は、口腔ヘルペス、単純ヘルペス、口内炎の治療、微生物感染の治療、又は口腔衛生の改善を行うための活性剤を含む。
【0059】
別の実施形態では、唇用組成物は抗生物質を含む。抗生物質(又は消毒剤)の例としては、ムピロシン、硫酸ネオマイシン、バシトラシン、ポリミキシンB、1−オフロキサシン、テトラサイクリン(塩酸クロルテトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン−10及び塩酸テトラサイクリン)、リン酸クリンダマイシン、硫酸ゲンタマイシン、メトロニダゾール、ヘキシルレゾルシノール、塩化メチルベンゼトニウム、フェノール、第四級アンモニウム化合物、ティー・ツリー油、並びにこれらの製薬上許容できる塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
別の実施形態では、唇用組成物は抗微生物剤を含む。抗微生物剤の例としては、ロドプロピニルブチルカルバメート、ジアゾリジニル尿素、二グルコン酸クロルヘキシデンジグルコネート、酢酸クロルヘキシデン、イセチオン酸クロルヘキシデン、及び塩酸クロルヘキシデンのような、クロルヘキシジンの塩類が挙げられるが、これらに限定されない。塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロカーボン(triclocarbon)、ポリヘキサメチレンビグアニド、塩化セチルピリジウム、塩化メチル及びベンゼトニウムのような、他のカチオン性抗微生物剤を用いてもよい。他の抗微生物剤としては、2,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)のような、ハロゲン化フェノール性化合物、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、及びエタノール、プロパノール等のような、短鎖アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、アルコールは、隔膜の過度の乾燥を引き起こさないように低濃度(例えば、担体の約10重量%未満、例えば、担体の5重量%未満)である。
【0061】
更なる実施形態では、唇用組成物は抗ウイルス剤を含む。ヘルペス及び肝炎のようなウイルス感染症のための抗ウイルス剤の例としては、イミキモド及びその誘導体、ポドフィロックス、ポドフィリン、インターフェロンアルファ、アシクロビル、ファムシクロビル(famcyclovir)、バラシクロビル(valcyclovir)、レチキュロス(reticulos)及びシドフォビル、並びにこれらの塩類及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
別の実施形態では、唇用組成物は抗炎症剤を含む。抗炎症剤の例としては、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン、アルファメチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デオキシメタゾン、酢酸デソキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクラロロンアセトニド(fluclarolone acetonide)、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル(flucortine butylester)、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)(fluprednidene (fluprednylidene)acetate)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド(flucetonide)、フルドロコルチゾン、酢酸ジフルオロゾン(difluorosone diacetate)、フルラドレナロンアセトニド(fluradrenalone acetonide)、メドリゾン、アムシアフェル(amciafel)、アムシナファイド(amcinafide)、ベタメタゾン、クロルプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン(clocortelone)、クレスシノロン(clescinolone)、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド(flucloronide)、フルニソリド、フルオロメタロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニソロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロンのようなコルチコステロイド、並びにこれらの塩類及びプロドラッグのような好適なステロイド抗炎症剤が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、本発明で用いるためのステロイド性抗炎症剤はヒドロコルチゾンである。本発明の組成物で有用な抗炎症剤の第2の部類としては、非ステロイド性抗炎症剤が挙げられる。
【0063】
唇用組成物は、従来の方法を用いて作製され得る。色素の混合物を細かく粉砕し、加熱された構造剤をそれに添加する。特定の要件のある場合、油及び皮膚軟化剤を添加してもよい。次いで、得られた温液混合物を冷金属成形型に注ぎ入れ、そこで固化させて更に冷却する。形成された唇用組成物を短時間加熱して(0.5秒間)、表面の欠陥を除去してもよい。
【0064】
ガルバーニ微粒子は、好ましくは、唇用組成物の他の成分にガルバーニ微粒子を添加する前に粉砕される。これにより粒径が減少し、ガルバーニ微粒子の凝集が減少する。
【0065】
本発明によれば、ガルバーニ微粒子を含む唇用組成物は、唇の色を向上させる、細かい線及びしわを低減する、ふくよかさを高める、保湿、滑らかさ、質感を改善する、並びに境界及び唇の輪郭をはっきりさせるという種々の予想外の効果を唇にもたらす。
【0066】
1つの実施形態では、本発明は、ガルバーニ微粒子を含む唇用組成物を唇に局所適用することにより、少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも25パーセント、唇におけるオキシヘモグロビン量を増加させる方法を提供する。出願人らは、本発明の唇用組成物を、例えば、2週間、3週間、4週間、又は8週間の間、1日2回、好ましくは1日3回局所適用した後、唇におけるオキシヘモグロビン量が増加することを見出した。
【0067】
次の非限定的実施例は、本発明を更に説明する。
【実施例】
【0068】
(実施例1)
以下のように、亜鉛粉末上に銅を無電解めっきすることにより、0.1%の銅でコーティングされた亜鉛ガルバーニ微粒子を製造した。10gの≦45マイクロメートルの亜鉛粉末を、0.22マイクロメートルのフィルタを用いて真空フィルタブフナー漏斗上に均一に広げた。次いで、5gの酢酸銅溶液を亜鉛粉末上に均一に注ぎ、およそ30秒間反応させた。次いで、濾液が完全に吸い上げられるまで、フィルタに吸引力を適用した。次いで、得られる粉末ケーキを解き放ち、10gの脱イオン水を添加し、次いで吸い出した。次いで、10gのエタノールを吸引力下で粉末に添加した。次いで、粉末を注意深くフィルタ系から取り除き、デシケータ内で乾燥させた。
【0069】
(実施例2)
小規模無作為化二重盲検プラセボ及びベンチマーク対照臨床試験を実施して、老化防止、唇の美しさ、及び唇の健康等の唇に関する効果に対するガルバーニ微粒子含有組成物の効果を評価した。試験集団は、40歳〜65歳の、登録時(ベースライン)のフィッツパトリック肌質が1〜4である女性であり、専門家の評価及び自己申告に基づいて以下を経験していた:中〜重篤な唇輪郭周りの線、唇の細かい縦線、色あせた/血色の悪い唇、縁部が明確ではない唇、薄い/ふくよかさのない唇、出血している唇、及び軽〜中程度に乾燥した唇。
【0070】
共通の基本配合(比較製品A、表1)を有するリップクリーム/口紅の形態の4種の唇用組成物を試験で用いた。2種はガルバーニ微粒子を含有しており(製品1及び2)、2種は含有していなかった(比較製品A及びB)。唇用組成物1種につき被験者は11人であり、被験者は朝、昼(昼食後)、及び夜の1日3回製品を使用した。
【0071】
唇用組成物の配合を表1〜4に示す。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0072】
被験者をベースライン、1週目、及び8週目に評価した。これら各時点に、被験者は自己評価によるアンケートに答え、唇の高解像度デジタル画像を撮影し、唇のスペクトル画像解析を行った。
【0073】
高解像度デジタル画像を、(処理群を隠して)専門家の評価により等級付けし、唇の変化を客観的に評価した。専門家の評価には、デジタル画像を等級付けするための8つの視覚的等級パラメータを用いた。
1)唇上の線、
2)唇の周りの線、
3)質感、
4)色調の均一さ、
5)色、
6)ふくよかさ、
7)境界の明確さ、及び
8)乾燥(視覚的評価のみ)。
【0074】
専門家が評価した結果、製品1の唇用組成物は、8週目において、唇の周りの線が比較製品Aに比べて有意に改善されており(p<0.05)、唇の境界の明確さ及び唇上の線が一方向に(directionally)改善された(p<0.10)。更に、製品1は、8週目において、8つの等級パラメータ全てがベースラインよりも少なくとも一方向に有意に改善された(p<0.10)唯一の唇用組成物であった。
【0075】
製品2の唇用組成物は、ベースラインに比べて唇のふくよかさ(p<0.05)、色調の均一さ(p<0.05)、及び唇上の線(p<0.1)が改善されたが、比較製品Bでは改善されなかったことから、比較製品Bよりも優れていた。
【0076】
全体的に、製品1及び製品2で処理することにより、唇の色、細かい線、及びふくよかさがほんの1週間で視覚的に改善され、8週目でも全てのパラメータについて効果が持続していたことがデジタル画像から示された。
【0077】
オキシヘモグロビン分析を、加工可能なスペクトル画像を用いて実施した(処理群あたり7〜9人の被験者)。図1に示すように、製品1の唇用組成物は、ベースライン時の量に比べて8週目にはオキシヘモグロビン量がほぼ25%増加していた(p=0.05)。比較製品Aは、有意な変化を示さなかった。このオキシヘモグロビン量の増加は、自己評価及び専門家の評価のデータにおいて示された唇の色の視覚的改善に寄与していると考えられる。
【0078】
被験者の自己評価アンケートの結果は、製品2が全ての他の製品よりも1週目から始まって一貫して高い評価を受けていることを示した。製品2はまた、処理間の有意差が最も大きく、8週目における全ての唇パラメータにおいてベースラインよりも自己評価が有意に(p<0.05)改善された唯一の唇用組成物であった。
【0079】
更に、製品2の上位2位の成績の百分率は、以下のパラメータについて他の唇用組成物よりも高かった:「健康的な輝きを有する唇」及び「よりきらきらする感触」、「全体的な唇の外観及び感触が優れている」、「より若々しい」、「よりふくよか/柔らか」、及び「通常使用している他の製品よりも優れた結果をもたらす」。
【0080】
全体的に、ガルバーニ微粒子を含有する唇用組成物は、被験者の自己評価及び専門家による臨床画像の評価において、早くも最初の評価(1週目)で、唇の特性が、ベースライン、プラセボ、及びガルバーニ微粒子を含有しない類似組成物に対して統計的に有意な(p<0.05)改善を示した。本発明に係る唇用組成物はまた、最後の評価時でも改善が持続していた。観察された改善点としては、唇の色を向上させる、細かい線及びしわを低減する、ふくよかさを高める、保湿、滑らかさ、質感を改善する、並びに境界及び唇の輪郭をはっきりさせることを含んでいた。
【0081】
(実施例3〜5)
本発明に係る以下の唇用組成物を、表5に示す成分を用いて作製した(量は重量パーセント)。相Aを65℃に加熱し、次いで相Bをそれに添加し、均質になるまで混合することにより、組成物を作製した。次いで、得られた混合物を撹拌しながら冷却させた。
【表5】

【0082】
(実施例6〜13)
本発明に係る以下の唇用組成物を、表6に示す成分を用いて作製した(量は重量パーセント)。相Aを混合し、ローラーミルを用いてそれを粉砕することにより、組成物を各々作製した。相Bを相Aに添加し、ろうが融解するまで混合物を75〜80℃で加熱した。次いで、相Cをそれに添加し、均質になるまで成分を混合した。相Dを、三倍器ローラーミルを通して別々に粉砕し、次いで70℃でバルク混合物に添加した。次いで、組成物を、混合しながら、60℃の型に注いだ。
【表6−1】

【表6−2】

【0083】
〔実施の態様〕
(1) a)増粘剤、脂肪質物質、及びろうから選択される少なくとも1種の構造剤と、b)第1の導電性物質及び第2の導電性物質を含むガルバーニ微粒子であって、前記第1の導電性物質及び前記第2の導電性物質の両方が前記ガルバーニ微粒子の表面上に露出しており、前記ガルバーニ微粒子の粒径が約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、前記第1の導電性物質と前記第2の導電性物質との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、ガルバーニ微粒子と、を含む、唇用組成物。
(2) 前記ガルバーニ微粒子が、前記第2の導電性物質で部分的にコーティングされている前記第1の導電性物質を含む、実施態様1に記載の唇用組成物。
(3) 前記ガルバーニ微粒子が、少なくとも95重量パーセントの前記第1の導電性物質及び前記第2の導電性物質を含む、実施態様1に記載の唇用組成物。
(4) 前記第1の導電性物質が亜鉛である、実施態様1に記載の唇用組成物。
(5) 前記第2の導電性物質が銅又は銀である、実施態様1に記載の唇用組成物。
(6) 前記構造剤がろうを含む、実施態様1に記載の唇用組成物。
(7) 液晶を更に含む、実施態様1に記載の唇用組成物。
(8) 前記唇用組成物が、8週間1日3回唇に局所適用した後、前記唇におけるオキシヘモグロビン量を少なくとも10パーセント増加させる、実施態様1に記載の唇用組成物。
(9) 唇用組成物を唇に局所適用することを含み、前記唇用組成物が、第1の導電性物質及び第2の導電性物質を含むガルバーニ微粒子であって、前記第1の導電性物質及び前記第2の導電性物質の両方が前記ガルバーニ微粒子の表面上に露出しており、前記ガルバーニ微粒子の粒径が約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、前記第1の導電性物質と前記第2の導電性物質との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、ガルバーニ微粒子を含む、唇におけるオキシヘモグロビン量を少なくとも10パーセント増加させる方法。
(10) 唇用組成物を唇に局所適用することを含み、前記唇用組成物が、第1の導電性物質及び第2の導電性物質を含むガルバーニ微粒子であって、前記第1の導電性物質及び前記第2の導電性物質の両方が前記ガルバーニ微粒子の表面上に露出しており、前記ガルバーニ微粒子の粒径が約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、前記第1の導電性物質と前記第2の導電性物質との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、ガルバーニ微粒子を含み、唇の色を向上させる、細かい線及びしわを低減する、ふくよかさを高める、保湿、滑らかさ、又は質感を改善する、並びに境界及び唇の輪郭をはっきりさせる、から選択される、唇の状態又は外観を改善する方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)増粘剤、脂肪質物質、及びろうから選択される少なくとも1種の構造剤と、b)第1の導電性物質及び第2の導電性物質を含むガルバーニ微粒子であって、前記第1の導電性物質及び前記第2の導電性物質の両方が前記ガルバーニ微粒子の表面上に露出しており、前記ガルバーニ微粒子の粒径が約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、前記第1の導電性物質と前記第2の導電性物質との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、ガルバーニ微粒子と、を含む、唇用組成物。
【請求項2】
前記ガルバーニ微粒子が、前記第2の導電性物質で部分的にコーティングされている前記第1の導電性物質を含む、請求項1に記載の唇用組成物。
【請求項3】
前記ガルバーニ微粒子が、少なくとも95重量パーセントの前記第1の導電性物質及び前記第2の導電性物質を含む、請求項1に記載の唇用組成物。
【請求項4】
前記第1の導電性物質が亜鉛である、請求項1に記載の唇用組成物。
【請求項5】
前記第2の導電性物質が銅又は銀である、請求項1に記載の唇用組成物。
【請求項6】
前記構造剤がろうを含む、請求項1に記載の唇用組成物。
【請求項7】
液晶を更に含む、請求項1に記載の唇用組成物。
【請求項8】
前記唇用組成物が、8週間1日3回唇に局所適用した後、前記唇におけるオキシヘモグロビン量を少なくとも10パーセント増加させる、請求項1に記載の唇用組成物。
【請求項9】
唇用組成物を唇に局所適用することを含み、前記唇用組成物が、第1の導電性物質及び第2の導電性物質を含むガルバーニ微粒子であって、前記第1の導電性物質及び前記第2の導電性物質の両方が前記ガルバーニ微粒子の表面上に露出しており、前記ガルバーニ微粒子の粒径が約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、前記第1の導電性物質と前記第2の導電性物質との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、ガルバーニ微粒子を含む、唇におけるオキシヘモグロビン量を少なくとも10パーセント増加させる方法。
【請求項10】
唇用組成物を唇に局所適用することを含み、前記唇用組成物が、第1の導電性物質及び第2の導電性物質を含むガルバーニ微粒子であって、前記第1の導電性物質及び前記第2の導電性物質の両方が前記ガルバーニ微粒子の表面上に露出しており、前記ガルバーニ微粒子の粒径が約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、前記第1の導電性物質と前記第2の導電性物質との標準電位の差が少なくとも約0.2Vである、ガルバーニ微粒子を含み、唇の色を向上させる、細かい線及びしわを低減する、ふくよかさを高める、保湿、滑らかさ、又は質感を改善する、並びに境界及び唇の輪郭をはっきりさせる、から選択される、唇の状態又は外観を改善する方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−162545(P2011−162545A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−22353(P2011−22353)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(502112382)ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・カンパニーズ・インコーポレイテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON & JOHNSON,CONSUMER,COMPANIES,INC.
【住所又は居所原語表記】199 Grandview Road,Skillman,NJ 08558,US
【Fターム(参考)】