説明

ガレート型カテキン含有白濁コロイド状飲料

【課題】ガレート型カテキンを含有しながら苦渋味の低減された、コク味のある口当たりを有する飲料を提供すること。
【解決手段】(a)ガレート型カテキン、(b)平均分子量20,000以上のコラーゲンペプチド及び/又はゼラチン、(c)アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ガティガム、アルギン酸及びその塩、ポリグルタミン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロースから選ばれる少なくとも1種の増粘安定剤、の3成分からなる回転楕円形状の粒子を含むコロイド状飲料であって、前記粒子が1.0〜50.0μmの範囲の平均粒子径を有する白濁コロイド状飲料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガレート型カテキンを含有し、乳脂肪様のコク味を有する白濁コロイド状飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の偏りやストレス、喫煙、飲酒、運動不足などにより、ガン、心疾患、脳卒中、糖尿病、高血圧、メタボリック症候群などの生活習慣病が問題となっており、日本人の死因の6割以上とも言われている。生活習慣病は完全な治療が困難なものも多く、また、厚生労働省の調べによると、2008年度の国民医療費は34兆8000億円にも上ることからも、病気を「治療する」よりも、病気を「予防する」ことが必要な時代に差し掛かっている。その観点から、消費者の間でも健康志向が高まっており、特定保健用食品や栄養機能食品などの健康食品やサプリメントの市場は大きな成長を遂げている。
【0003】
中でも、飲料は健康素材を手軽に摂取しやすいため、緑茶や乳酸菌飲料、野菜ジュースなどの健康志向の飲料は安定した大きな市場を形成している。
【0004】
健康志向の飲料の一つである緑茶飲料に多く含まれるカテキン類には、抗酸化作用、抗菌作用、ガン抑制作用、コレステロール吸収抑制作用、インフルエンザウイルスの不活化などの生理活性が期待されている。そのため、カテキン濃度を高めた茶飲料や、カテキン配合の非茶系清涼飲料など、カテキン類の生理活性に着目した飲料が既に販売されている。
【0005】
しかし、カテキン類は特有の苦渋味を有することが知られている。カテキン類の中でも特にエピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキンガレート(EGCg)のような分子内にガロイル基を有するガレート型カテキンは、収斂味とも表現される特有の渋味を有し、苦味に関してもエピカテキン(EC)、カテキン(C)の2〜3倍の強さをもつ。しかしガレート型カテキンは生理活性が非常に高く、例えばヒトインフルエンザウイルスの不活化や、LDLの酸化に対する抑制効果などに関して、非ガレート型カテキンよりも高い生理活性を示すことが報告されている。そのため、ガレート型カテキンの苦渋味を軽減することは非常に重要な課題であると言える。
【0006】
カテキン類の苦渋味をマスキングする技術提案はいくつかなされており、例えば、キナ酸を特定比率で併用する方法(特許文献1)、配糖化する方法(特許文献2)、平均分子量500〜4500の哺乳類由来のコラーゲンペプチドを添加する方法(特許文献3)などがある。しかし、いずれの方法も苦渋味の低減は図れるものの、そのマスキング効果は十分なものとは言えなかった。
【0007】
また、近年、嗜好飲料に関しても、消費者の健康意識は高く、糖質オフやカロリーカットといった缶コーヒーや炭酸飲料、ビール系飲料などが堅調に売上を伸ばしている。その中で、低脂肪牛乳や低脂肪ミルクコーヒーなど、乳脂肪分を低減させて、脂質やカロリーを抑えた商品が出されている。しかし、乳を含む飲料に対して乳脂肪分を減少させると、口当たりは水っぽく、喉越しのコクは乏しくなる。そのため、非凝集性の変性タン白粒子を含むクリーム代替食品成分(特許文献4)、炭水化物とタンパク質からなる粒子を含むクリーム代用物(特許文献5)などの種々の乳脂肪代替品の提案がなされている。さらに、近年、乳原料価格が高騰していることからも、乳原料を減らしつつ乳脂肪感を付与させることは、今後の大きな課題である。
【0008】
また、乳飲料のみでなく飲料全般において、「コク」と呼ばれる口当たりや喉越しの濃厚感は、おいしさの重要な因子となっている。例えば、pH調整や粒子のメジアン径を10〜100μmに設計することによる白濁状の喉越しの良いスープの提案などがなされている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3378577号公報
【特許文献2】特許第3579496号公報
【特許文献3】特開2011−15632号公報
【特許文献4】特許第2647219号公報
【特許文献5】特許第3626501号公報
【特許文献6】特許第4333240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ガレート型カテキンを含有しながら苦渋味の低減された、コク味のある口当たりを有する白濁コロイド状の飲料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ガレート型カテキン、平均分子量20,000以上のコラーゲンペプチド及び/又はゼラチン、増粘安定剤の3成分を含有させたところ、乳脂肪様の官能特性を有する白濁コロイド状飲料が得られ、さらにはガレート型カテキンの苦渋味やコラーゲンの不快味が低減されることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕(a)ガレート型カテキン、
(b)平均分子量20,000以上のコラーゲンペプチド及び/又はゼラチン、
(c)アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ガティガム、アルギン酸及びその塩、ポリグルタミン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロースから選ばれる少なくとも1種の増粘安定剤、
の3成分からなる回転楕円形状の粒子を含むコロイド状飲料であって、前記粒子が1.0〜50.0μmの範囲の平均粒子径を有する白濁コロイド状飲料、
〔2〕前記(a)、(b)の含有量[A]、[B](単位:重量%)が以下の式の範囲内にある前記〔1〕に記載の白濁コロイド状飲料、
i)3.0≦([B]/[A])≦20.0
ii)0.1≦[B]≦8.0
〔3〕下記A1とB2、又はA2とB1、又はA2とB2を混合する工程を含むことを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の飲料の製造方法
A1:ガレート型カテキン又はその溶液
A2:ガレート型カテキンと増粘安定剤の混合溶液
B1:平均分子量20,000以上のコラーゲンペプチド及び/又はゼラチン、又はそれらの溶液
B2:平均分子量20,000以上のコラーゲンペプチド及び/又はゼラチンと増粘安定剤の混合溶液
に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の飲料は、高い生理活性を持つガレート型カテキンを含有しながら苦渋味が低減され、コラーゲンを含有しながら不快味もない、健康増進効果及び美容効果に優れた白濁コロイド状飲料である。さらに本発明の飲料は乳脂肪様の官能特性を有するため、コクのある口当たりを有する無脂肪又は低脂肪の乳飲料や乳風味飲料が作製できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の白濁コロイド状飲料(以下、本発明の飲料ともいう)は、
(a)ガレート型カテキン、
(b)平均分子量20,000以上のコラーゲンペプチド及び/又はゼラチン、
(c)アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ガティガム、アルギン酸及びその塩、ポリグルタミン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロースから選ばれる少なくとも1種の増粘安定剤、
の3成分からなる回転楕円形状の粒子を含み、前記粒子が1.0〜50.0μmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする。
【0015】
〔(a)ガレート型カテキン〕
カテキンとは、緑茶、紅茶あるいはウーロン茶などのカメリア属に分類される植物の茶に多く含まれているポリフェノールの一種であり、主にエピカテキン(EC)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキンガレート(EGCg)、カテキン(C)、カテキンガレート(Cg)などのフラバン−3−オール類の総称であるが、本発明において「(a)ガレート型カテキン」とは、分子内にガロイル基を有するカテキンであり、具体的には、ECg、EGCg、Cgなどを指す。これらは、精製品の他、粗製品でも良く、これらを含有する天然物もしくはその加工品でも良い。
【0016】
本発明の飲料中の(a)ガレート型カテキンの含有量は0.06〜0.6重量%であることが好ましく、0.1〜0.3重量%であることがより好ましい。前記含有量が0.06重量%未満では、緑茶以下のカテキン量となり、健康飲料としての十分な効果が期待できない。また、前記含有量が0.6重量%を超えると、苦渋味を強く感じてしまう。
【0017】
〔(b)平均分子量20,000以上のコラーゲンペプチド及び/又はゼラチン〕
本発明に用いられるゼラチンとは、動物の骨や皮に多く含まれるタンパク質であるコラーゲンを、加熱・変性させて得られるものであり、分子量10万程度の可溶性タンパク質であればよい。また、本発明においてゼラチンは、由来生物や製法、ゼリー強度に関して特に限定されずに使用することができる。
【0018】
本発明に用いられるコラーゲンペプチドとは、コラーゲンあるいはゼラチン等の変性コラーゲンを酸やアルカリあるいは酵素等で加水分解させたものをいう。本発明においてコラーゲンペプチドは、由来生物や製法に関して特に限定されずに使用することができる。
尚、一般的にゼラチン及びコラーゲンペプチドを包含して「コラーゲン」と総称する(以下、ゼラチンとコラーゲンペプチドを合わせてコラーゲンと呼ぶ)。
【0019】
本発明に用いられるコラーゲンの平均分子量は、20,000以上である。20,000より少ない場合、苦渋味のマスキングの効果及び口当たりの濃厚感が不十分となり、さらにより低分子のものではコラーゲンの臭いや不快味が強く、嗜好性に劣るものとなってしまう。尚、コラーゲンの分子量に関する情報は、粘度測定やHPLC及びゲルろ過法等の定量方法によって得られ、すでに公知の手法を使用することが可能である。ここで平均分子量とは重量平均分子量をいう。
【0020】
本発明において、平均分子量20,000以上のコラーゲンは、それぞれを単独かもしくは併用して使用する。また、それらを平均分子量20,000未満のコラーゲンペプチドと併用しても問題はない。
【0021】
通常、平均分子量20,000以上のコラーゲンを飲料に使用した場合、粘度が上昇し、更に一定温度下では可逆的なゲルを形成する場合もあり、飲料としての適性を失ってしまう。しかし、本発明においては、驚くべきことに、平均分子量20,000以上のコラーゲンを使用した場合でも前記のようなゲル化をすることなく低粘度の飲料が得られる。
なお、本発明において、前記コラーゲンのゲル化が生じない理由は、詳細は不明であるが、前記コラーゲンが(a)ガレート型カテキン及び(c)増粘安定剤と結合し、後述のような回転楕円形状の粒子となるためと考えられる。
【0022】
本発明では、ゼラチンを酵素処理等によってコラーゲンペプチドに加水分解する必要なく、ゼラチンから直接コラーゲン飲料が得られるため、コスト面で非常に有益である。
【0023】
特に、本発明の飲料においては、(a)ガレート型カテキンの含有量[A](重量%)」と(b)平均分子量20,000以上のコラーゲンの含有量(重量%)[B]とを、以下の式の範囲内に調整することが好ましい。
i)3.0≦([B]/[A])≦20.0
ii)0.1≦[B]≦8.0
【0024】
前記i)について、([B]/[A])が3.0未満ではガレート型カテキン由来の苦渋味のマスキングが不十分かつコク味を付与する効果が十分得られない。また、20.0を超えるとゲル化や粘度上昇などの飲料にとって不都合な現象が起きる。より好ましくは5.0≦([B]/[A])≦10.0である。
前記ii)について、コラーゲンの不快臭低減やコク味付与の観点から、0.5≦[B]≦3.0であることがより好ましく、0.8≦[B]≦2.0であることがさらに好ましい。
【0025】
〔(c)増粘安定剤〕
本発明の飲料は、(c)増粘安定剤として、アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ガティガム、アルギン酸及びその塩、ポリグルタミン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロースから選ばれる少なくとも1種を含有する。
【0026】
本発明の飲料中の前記増粘安定剤の含有量は、種類によって異なるが、概ね0.1〜2.0重量%であればよく、0.2〜0.6重量%であることが好ましい。前記含有量が0.1重量%未満では、コロイド安定化効果が十分得られず、2.0重量%を超えると増粘安定剤由来の味や粘性により嗜好性が低下してしまう。
【0027】
〔粒子〕
本発明の飲料は、上記(a),(b),(c)の3成分からなる粒子が水中に分散することで、白濁コロイド状態となっている。
前記粒子が(a),(b),(c)の3成分からなることは、これらの3成分を水中で混合することで白濁コロイドが生じることで確認できる。
前記粒子の形状は、1,000倍の倍率の光学顕微鏡での目視により、回転楕円形状であることが確認できる。尚、回転楕円形とは、楕円をその長軸又は短軸を回転軸として得られる回転体の形であり、球形や扁球を包含する。概球形であることが、口当たりなどの官能特性を良好にする上で重要である。
【0028】
前記粒子の平均粒子径は、1.0〜50.0μmの範囲である。1.0μm未満では口当たりの濃厚感が弱い。50.0μmを超える場合は濃厚感と安定性に乏しく、静置すると沈殿が生じることもある。さらには、口当たりにざらつきを感じることもある。
前記粒子の平均粒子径は1.0〜20.0μmの範囲にあることが好ましく、濃厚感の付与の観点では1.0〜10.0μmの範囲にあることがより好ましい。
尚、前記粒子の平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(例えば島津製作所(株)製、「SALD」シリーズ)を使用して測定・算出される。
【0029】
なお、本発明でいう「白濁コロイド状」とは、不溶性粒子の分散した白く濁った状態をいい、乳飲料に類似した視覚的感覚を有する。白濁度は公知の方法で測定可能であり、例えば、分光光度計において600nmの波長の光の透過率を測定した場合、蒸留水の透過率を100%として、1%以下を示す。
【0030】
また、本発明の飲料には、所望により、糖質、果汁、野菜汁、豆乳、乳製品、茶類、コーヒー、アルコール類、酸味料、炭酸ガス、香料、着色料、食物繊維、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、油脂、乳化剤、高甘味度甘味料などの任意成分を含有してもよい。これらの任意成分を適宜選択することで、飲料の嗜好性の幅を広げることができる。尚、前記任意成分は、嗜好性や物理的安定性に悪影響を与えない範囲で使用すればよい。
【0031】
前記のような構成を有する本発明の飲料の製造方法は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を混合する際、(c)成分を予め(a)成分及び/又は(b)成分と混合溶解して溶液状態としておく必要がある。
【0032】
即ち、本発明の飲料は、下記A1とB2、もしくはA2とB1、もしくはA2とB2を混合する工程により製造することができる。
A1:ガレート型カテキン又はその溶液
A2:ガレート型カテキンと増粘安定剤の混合溶液
B1:平均分子量20,000以上のコラーゲン、又はそれらの溶液
B2:平均分子量20,000以上のコラーゲンと増粘安定剤の混合溶液
【0033】
また、上記混合前に、両者ともある程度の量の水で薄めておくことが好ましく、例えば、両者とも同量の水で薄めておいてから、その両者を混合することで目的とする濃度に到達させることが好ましい。しかし混合方法は前記方法に限定されるものではなく、上記A1とB2、もしくはA2とB1、もしくはA2とB2を混合する工程であればよい。一方、A1とB1を先に混合した場合、後から増粘安定剤又はその溶液を添加しても、凝集を防ぐことはできず、本発明の効果は得られない。なお、前記溶液の溶媒としての水は、飲料水であればよい。
【0034】
尚、前記各成分を混合する際の温度などの条件については、成分の変性などが生じない条件であればよく、特に限定はない。
【0035】
以上のようにして本発明の飲料を得ることができる。なお、本発明の飲料のpHについては特に限定はない。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0037】
(実施例1〜9、比較例1〜4)
コラーゲンペプチド(商品名:HBC−P20、新田ゼラチン株式会社製、平均分子量20,000)1gと表1に示す増粘安定剤を60℃の水に溶かし、全量90gの水溶液を作製した。ここにガレート型カテキン含有製剤(商品名:サンフェノン90S、ガレート型カテキン含有率66重量%、太陽化学株式会社製)0.2gを60℃の水に溶かして全量10gになるように調製した水溶液を加えたところ、いずれも白濁が生じて、コロイド状態となった飲料100gを得た。なお、実施例1〜9で得られた飲料について、分光光度計において600nmの波長の光の透過率を測定したところ、蒸留水の透過率を100%として、いずれも1%以下であった。
【0038】
得られた飲料について、粒度分布測定及び5名のパネラーによる官能試験を行なった。下記に示す試験方法によって得られた結果を表1に示す。
また、各試料を1,000倍の倍率の光学顕微鏡(「BX41」、オリンパス株式会社製)で観察したところ、各試料に含まれる白濁コロイドを構成している粒子が回転楕円形状であることが確認できた。
【0039】
<粒度分布測定方法>
レーザー回析式粒度分布測定装置(「SALD−2000J」、島津製作所(株)製)を用い、公知の方法によって平均粒子径を測定した。具体的な操作としては、各試料を振とう後、5〜10倍の水に希釈してサンプラ攪拌槽に投入し、ポンプ速度調整ツマミを6の位置にして攪拌させながら粒度分布を測定した。分布基準は、体積基準(全粒子の体積の総和中で特定粒子径の粒子がどれだけの体積を占めるか)を用いた。平均粒子径は、当該装置用のソフトウェア(Wing−SALD−2000J、島津製作所(株)製)によって算出した。
<官能試験方法>
(1)コク味に関する評価
5名のパネラーが、下記に示す内容に従ってコク味を3段階評価し、その平均値を四捨五入して整数で表したものを評点とする。
点数:内容
1:口当たりがなく、水っぽい。もしくはザラツキを感じる。
2:口当たりや喉越しをわずかに感じる。
3:口当たりや喉越し感がある。
(2)苦渋味に関する評価
5名のパネラーが、下記に示す内容に従って苦渋味強度を3段階評価し、その平均値を四捨五入して整数で表したものを評点とする。
強度:内容
1:苦渋味をあまり感じない。
2:苦渋味を感じる。
3:苦渋味を強く感じる。
【0040】
【表1】

【0041】
表1の結果から、実施例1〜9で得られた飲料は、口当たりや喉越し感があるなどのコク味が良好で、苦渋味をあまり感じないものであった。
一方、比較例1〜4で得られた飲料は、実施例1〜9の飲料に比べて口当たりや喉越し感があるなどのコク味が感じにくいものであった。
【0042】
(実施例10〜12、比較例5、6)
表2に示す量(単位:g)のコラーゲンを60℃の水に溶かして全量90gの水溶液を作製した。ここに表2に示す量(単位:g)のEGCg(商品名:サンフェノンEGCg、ガレート型カテキン含有率95重量%以上、太陽化学株式会社製)とアラビアガム(商品名:インスタントガムAB、コロイドナチュレルインターナショナル社製)0.8gを60℃の水に溶かして全量20gになるように調製した水溶液を加え、100gの飲料を得た。得られた飲料について、実施例1と同様の試験方法によって得られた結果を表2に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
表2の結果より、実施例10〜12で得られた飲料は、いずれも比較例5、6で得られた飲料に比べて、口当たりや喉越し感があるなどのコク味が良好で、苦渋味をあまり感じないものであった。
【0045】
(実施例13、比較例7、8)
実施例11のEGCgをECg(実施例13)、EGC(比較例7)、(+)−カテキン(比較例8)(いずれも和光純薬工業株式会社より試薬として入手)に変えて、実施例11と同様の操作を行なって飲料を作製した。ECgではEGCgと同様の効果が得られたが、EGC、(+)−カテキンでは白濁がほとんど生じず、口当たりもコク味の乏しい飲料となった。
【0046】
(実施例14)
砂糖65g、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲンF−SL、第一工業製薬株式会社製)2g、紅茶エキスパウダー10g、ミルク香料0.2gを60℃の水に溶かして得た全量645gの水溶液に、ゼラチン(商品名:APH−250、新田ゼラチン株式会社製)の20重量%水溶液を55g加えて混合し、続いて、ここにガレート型カテキン含有製剤(商品名:サンフェノン90S、ガレート型カテキン含有率66重量%、太陽化学株式会社製)2gを60℃の水に溶かして全量300gになるように調製した水溶液を加え、ミルク風味の紅茶飲料1000gを作製した。得られた飲料は、苦渋味やコラーゲンの不快味もなく、無脂肪にも関わらず乳脂肪様の官能特性を有するミルク風味の紅茶飲料となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ガレート型カテキン、
(b)平均分子量20,000以上のコラーゲンペプチド及び/又はゼラチン、
(c)アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ガティガム、アルギン酸及びその塩、ポリグルタミン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロースから選ばれる少なくとも1種の増粘安定剤、
の3成分からなる回転楕円形状の粒子を含むコロイド状飲料であって、前記粒子が1.0〜50.0μmの範囲の平均粒子径を有する白濁コロイド状飲料。
【請求項2】
前記(a)、(b)の含有量[A]、[B](単位:重量%)が以下の式の範囲内にある請求項1に記載の白濁コロイド状飲料。
i)3.0≦([B]/[A])≦20.0
ii)0.1≦[B]≦8.0
【請求項3】
下記A1とB2、又はA2とB1、又はA2とB2を混合する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料の製造方法。
A1:ガレート型カテキン又はその溶液
A2:ガレート型カテキンと増粘安定剤の混合溶液
B1:平均分子量20,000以上のコラーゲンペプチド及び/又はゼラチン、又はそれらの溶液
B2:平均分子量20,000以上のコラーゲンペプチド及び/又はゼラチンと増粘安定剤の混合溶液

【公開番号】特開2013−94081(P2013−94081A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237784(P2011−237784)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(390020189)ユーハ味覚糖株式会社 (242)
【Fターム(参考)】