説明

ガレート型カテキン含有顆粒、チュアブルタブレットおよびそれらの製造方法

【課題】ガレート型カテキンを高濃度で含有しながら苦渋味が低減され、かつ優れた打錠適性を有する、タンパク質を基材とする顆粒およびその製造方法、ならびに、前記顆粒を打錠して得られる、タンパク質を基材としながら、硬度が高く、優れたクランチ性を有し、かつ、ガレート型カテキンを含有しながら苦渋味が低減されたチュアブルタブレットおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】タンパク質を30〜90重量%、ガレート型カテキンを7〜25重量%含み、且つ100メッシュ(目開き150μm)の篩を通過する粒径のものが全重量の25%以下であることを特徴とするガレート型カテキン含有顆粒および該ガレート型カテキン含有顆粒を打錠して得られるチュアブルタブレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質およびガレート型カテキンを含有する顆粒、チュアブルタブレット、およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の偏りやストレス、喫煙、飲酒、運動不足などによる、ガン、心疾患、脳卒中、糖尿病、高血圧、メタボリック症候群などの生活習慣病が問題となっており、これらは日本人の死因の6割以上であるとも言われている。生活習慣病は完全な治療が困難なものも多く、また、厚生労働省の調べによると、2008年度の国民医療費は34兆8000億円にも上ることからも、病気を治療することだけでなく、今後は「未病」の考え方に見られる「病気を予防する」ということが非常に重要である。その観点から、消費者の中でも健康志向は高まっており、特定保健用食品や栄養機能食品などの健康食品やサプリメントの市場は大きな成長を遂げている。健康で快適な生活を送るために、我々の最も身近にある食品に求められている消費者からの期待は非常に高い。
【0003】
健康食品やサプリメントの市場の1つに、プロテイン(タンパク質)高含有食品がある。タンパク質は炭水化物や脂質、ビタミン、ミネラルとともに、人間に必要な5大栄養素の1つである。タンパク質高含有食品はその機能から、スポーツ選手の筋肉増強や女性の美容ダイエット、高齢者の栄養補助など様々な目的で利用されており、その商品形態の幅は広い。中でも、チュアブルタブレットは、水なしで手軽に摂取でき、タンパク質含有量が高いため摂取効率も良く、非常に人気がある。
【0004】
しかしながら、タンパク質やペプチドを基材としてタブレットを製造した場合、十分な硬度が出にくく、さらにはタンパク質やペプチドを基材としたチュアブルタブレットでは、歯付きが多く、噛み砕きにくいものとなってしまうという問題がある。一般に、打錠時の顆粒の形状を工夫することでタブレットの食感を改良することはある程度可能である。しかし、タンパク質やペプチドの食感への影響は非常に大きいため、これらを基材とした場合には、顆粒の形状を工夫しても食感の改良には限界がある。そこで、平均分子量が4000以下であり、そのN末端アミノ酸においてグリシンの占める割合が65モル%を超えるコラーゲンペプチドを使用することで、歯付きを改良したチュアブルタブレットが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法では基材となるコラーゲンペプチドの種類が制限されており、その他のタンパク質やペプチドに応用できるものではなかった。
【0005】
また、溶解性を60%以下に低下させた大豆7Sタンパクを用いたチュアブルタブレットが提案されている(特許文献2参照)。しかし、上記発明では、大豆に対して特殊な処理を必要とし、また、タブレットに十分な硬度を与えるためには糖類の添加が必要であった。
【0006】
さらに、小麦グリアジンと小麦グルテンを用いた造粒物またはタブレットの提案もあるが(特許文献3参照)、これは小麦グリアジンと小麦グルテンの比率を重量比で8:2〜2:8に調整することで、長時間咀嚼できる可食性の咀嚼物を提供することを目的としており、噛み砕けるようなクランチ性のあるものではなかった。
【0007】
他にも、大豆や小麦などの植物性タンパク質を含有するクリスピーな食感の錠菓が提案されているが(特許文献4参照)、これはバインダー(結着剤)として植物性タンパク質を0.1〜2.0%含有するものであり、タンパク質を基材として利用するものではなかった。
【0008】
ところで、数ある機能性食品素材の中でも、緑茶に多く含まれるカテキン類には、抗酸化作用、抗菌作用、ガン抑制作用、コレステロール低下作用、インフルエンザウイルスの不活化、紫外線に対する皮膚保護作用などの生理活性が期待されている。既に、カテキン類の生理活性に着目した商品は数多く出されており、多様な心血管病予防にも関係した健康機能を高めるための茶、コレステロールの吸収を防ぐための茶、体脂肪の蓄積抑制や燃焼促進効果を有する茶などの茶飲料だけでなく、カテキン類を高濃度に含有させたタブレットやカプセルなどの食品が新たな市場を形成している。
【0009】
しかし、カテキン類に特有の苦渋味は舌に残る残留感が非常に強いため、嗜好性において十分に満足させるカテキン高含有食品は未だ市場に存在しないのが現状である。そこで、カテキン類の苦渋味をマスキングする技術提案がいくつかなされており、例えば、カテキン類をタンパク質と結合させることで苦渋味の軽減を図る方法がある。この方法としては、卵白や植物タンパク質等を使用したものが報告されている(特許文献5、6参照)。しかし、いずれの方法もカテキン類の苦渋味の低減は図れるものの、そのマスキング効果は十分なものではなく、さらにカテキン類とタンパク質との結合体を乾燥・顆粒化する工程が煩雑であった。
【0010】
また、カテキン類の中でも特に、エピカテキンガレート(ECg)やエピガロカテキンガレート(EGCg)のような分子内にガロイル基を有するガレート型カテキンは、収斂味とも表現される特有の渋味を有し、苦味に関してもエピカテキン(EC)やカテキン(C)の2〜3倍の強さをもつ。しかしながら、ガレート型カテキンは生理活性が非常に高く、例えばヒトインフルエンザウイルスの不活化や、LDLの酸化に対する抑制効果などに関して、非ガレート型カテキンよりも高い生理活性を示すことが報告されている。茶に含まれるカテキン類の大半がガレート型カテキンであること、ガレート型カテキンは他のカテキン類に比べてより高い生理活性を示すことが多いことからも、ガレート型カテキンの苦渋味を軽減することは非常に重要な課題であると言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4709730号明細書
【特許文献2】特許第4380117号明細書
【特許文献3】特許第4059908号明細書
【特許文献4】特開平4−316452号公報
【特許文献5】特開平2−202900号公報
【特許文献6】特開2002−68991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、以上のような事情に鑑みなされたものであって、ガレート型カテキンを高濃度で含有しながら苦渋味が低減され、かつ優れた打錠適性を有する、タンパク質を基材とする顆粒およびその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記顆粒を打錠して得られる、タンパク質を基材としながら、硬度が高く、優れたクランチ性を有し、かつ、ガレート型カテキンを含有しながら苦渋味が低減されたチュアブルタブレットおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、タンパク質およびガレート型カテキンを特定の配合で含有させ、粒径を規定することで、得られる顆粒の苦渋味が低減され、しかも打錠適性に優れること、そして、この顆粒を打錠したところ、硬度が高く、クランチ性を有し、さらにはガレート型カテキンの苦渋味が低減されたチュアブルタブレットが得られることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
〔1〕タンパク質を30〜90重量%、ガレート型カテキンを7〜25重量%含み、且つ100メッシュ(目開き150μm)の篩を通過する粒径のものが全重量の25%以下であることを特徴とするガレート型カテキン含有顆粒。
〔2〕高甘味度甘味料を0.04〜1.0重量%含有する前記〔1〕に記載のガレート型カテキン含有顆粒。
〔3〕前記〔1〕または〔2〕記載のガレート型カテキン含有顆粒を打錠して得られるチュアブルタブレット。
〔4〕粉末状タンパク質またはガレート型カテキンとタンパク質との混合粉末に、ガレート型カテキンを含有する溶液を混合または噴霧し、流動層造粒法、転動造粒法、押し出し造粒法、攪拌造粒法のいずれかの造粒法を用いて造粒することを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載のガレート型カテキン含有顆粒の製造方法。
〔5〕前記〔4〕に記載の製造方法で得られるガレート型カテキン含有顆粒を打錠することを特徴とするチュアブルタブレットの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、ガレート型カテキンを高濃度で含有しながら、苦渋味がなく、さらさらとした流動性があり食べ易い顆粒、およびタンパク質を基材としながら、硬度が高く、カリッとしたクランチ性を有し、さらにガレート型カテキンを高濃度で含有しながら苦渋味が低減された、嗜好性の高いチュアブルタブレットを提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0017】
(1)ガレート型カテキン含有顆粒
本発明のガレート型カテキン含有顆粒は、タンパク質を30〜90重量%、ガレート型カテキンを7〜25重量%含み、且つ100メッシュ(目開き150μm)の篩を通過する粒径のものが全重量の25%以下であることを特徴とする。
【0018】
前記タンパク質は、大豆、小麦、トウモロコシ等の植物性由来のものや、乳、畜肉、魚肉等の動物性由来のものなど、食用であれば何でも良い。真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成するコラーゲンも、タンパク質として使用される。さらに、これらのタンパク質を分解して得られるペプチドも使用できる。これらのタンパク質またはペプチドは、水溶性のものでも水不溶性のものでも使用できるが、ガレート型カテキンの苦渋味のマスキング効果の上で、水溶性のものがより好ましい。
【0019】
本発明のガレート型カテキン含有顆粒におけるタンパク質の含有量は、30〜90重量%であり、40〜80重量%であることが好ましい。前記含有量が30重量%未満では、ガレート型カテキンの苦渋味のマスキングが十分ではなくなり、90重量%を超えると、タブレットにした際の硬度やクランチ性が十分でなくなる。
【0020】
カテキンとは、緑茶、紅茶あるいはウーロン茶などの茶に多く含まれているポリフェノールの一種であり、主にエピカテキン(EC)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキンガレート(EGCg)、カテキン(C)などのフラバン−3−オール類の総称であるが、本発明において「ガレート型カテキン」とは、分子内にガロイル基を有するカテキンであり、具体的には、ECg、EGCgなどを指す。これらは、精製品の他、粗製品でも良く、これらを含有する天然物もしくはその加工品でも良い。
【0021】
本発明のガレート型カテキン含有顆粒におけるガレート型カテキンの含有量は、7〜25重量%であり、10〜20重量%であることが好ましい。前記含有量が7重量%未満では、タブレットにした際の硬度やクランチ性が十分得られず、25重量%を超えると、ガレート型カテキンの苦渋味のマスキングが十分ではなくなる。
【0022】
ガレート型カテキン含有顆粒には、タンパク質とガレート型カテキンの混合物の特異的な呈味をマスキングするために、高甘味度甘味料を使用することが好ましい。高甘味度甘味料としては、例えば、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、カンゾウ、サッカリン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0023】
本発明のガレート型カテキン含有顆粒における高甘味度甘味料の含有量は、0.04〜1.0重量%であることが好ましく、0.2〜0.8重量%であることがより好ましい。前記含有量を0.04〜1.0重量%の範囲に調整することで、得られる顆粒の風味を良好にすることができる。
【0024】
本発明のガレート型カテキン含有顆粒中には、食感を阻害しない程度に、糖質、酸味料、香料、着色料、食物繊維、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、油脂、乳化剤、増粘多糖類、滑沢剤等の任意成分を含有してもよい。これらの任意成分を適宜選択することで、顆粒またはチュアブルタブレットの嗜好性の幅を広げることができる。
【0025】
さらに、本発明のガレート型カテキン含有顆粒の粒径は、100メッシュ(目開き150μm)の篩を通過する粒径のものが全重量の25%以下であるように調整する。前記100メッシュの篩を通過する粒径のものが25%よりも多くなると、顆粒の状態で喫食する際に不快味を感じやすかったり、粉が飛散して飲みづらかったりし、また顆粒をチュアブルタブレットに成型する際には、粉体流動性が悪く、打錠適性の悪いものとなる。
また、本発明のガレート型カテキン含有顆粒の粒径の上限については、特に限定はないが、例えば、4.7メッシュのステンレス製篩(目開き4mm、JIS Z8801、株式会社飯田製作所製)を通過する粒径のものとすることで、後述のように打錠などの操作が行い易くなるので好ましい。
【0026】
本発明のガレート型カテキン含有顆粒は、粉末状よりも粒径が大きな顆粒状に調整することにより、苦渋味がなく、固形物としての流動性がありながらも、取り扱いの際に粉状に舞い上がったりせず、食べる際にも咳き込んだり、さらには口内に付着したりするなどの問題がなく、食べ易い食品である。また、本発明のガレート型カテキン含有顆粒は、顆粒状で取り扱い易いことから打錠適性にも優れる。
【0027】
(2)チュアブルタブレット
本発明のチュアブルタブレットは、前記ガレート型カテキン含有顆粒を打錠して得られるものである。したがって、本発明のチュアブルタブレットに使用される成分やその組成は、前記ガレート型カテキン含有顆粒と同じである。
また、前記のように任意成分を含有しているガレート型カテキン含有顆粒を打錠してチュアブルタブレットを作製してもよいが、その他の手法として、タンパク質およびガレート型カテキンを用いてガレート型カテキン含有顆粒を作製し、これに、糖質、酸味料、香料、着色料、食物繊維、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、油脂、乳化剤、増粘多糖類、滑沢剤等の任意成分を混合し、この混合物を打錠することでチュアブルタブレットを作製してもよい。これらの任意成分を適宜選択することで、チュアブルタブレットの嗜好性の幅を広げることができる。
【0028】
本発明のチュアブルタブレットは、大人から子供まで口に入れて食べ易いサイズであればよく、特に限定はない。
また、チュアブルタブレットの形状としては、円柱状、三角柱状、四角柱状等等が挙げられるが、特に限定はない。
【0029】
(3)ガレート型カテキン含有顆粒の製造方法およびチュアブルタブレットの製造方法
本発明のガレート型カテキン含有顆粒は、粉末状タンパク質またはガレート型カテキンとタンパク質との混合粉末に、ガレート型カテキンを含有する溶液を混合または噴霧し、次いで造粒することで製造される。
【0030】
具体的には、まず、ガレート型カテキンを水やエタノールなどの溶媒に溶解させてガレート型カテキン溶液を得る。このとき、前記溶媒を60℃程度に加温することで、ガレート型カテキンの溶解が容易になる。
【0031】
次に、粉末状タンパク質またはガレート型カテキンとタンパク質との混合粉末に、前記のようにして得られたガレート型カテキン溶液を混合または噴霧し、流動層造粒法、転動造粒法、押し出し造粒法、攪拌造粒法のいずれかの造粒法を用いて造粒する。
前記造粒法の中でも、流動層造粒法が、ガレート型カテキンがタンパク質をより均一に被覆でき、均一で打錠適性の優れた粒子が得られやすく、好ましい。
ここで、前記造粒には、菓子などの製造に使用する市販の造粒装置を用いればよい。
なお、一般的に粉体の造粒には、粉体粒子どうしを結着させるためにアラビアガムなどのバインダー(結着剤)が必要であるが、本発明では、ガレート型カテキンがその役割を果たすため、必ずしも必要ではない。
前記造粒は、室温〜90℃くらいで行うことが好ましい。
また、顆粒を造粒工程中に完全に乾燥させることも可能であるが、造粒装置から取り出してから所定の温度(例えば、室温付近)で静置するなどしてさらに乾燥を行なってもよい。
【0032】
なお、前記ガレート型カテキン溶液に用いる溶媒の種類、造粒温度、造粒時間などを適宜調整して造粒を行うことで、100メッシュ(目開き150μm)の篩を通過させて、通過する粒径の顆粒が全顆粒重量の25%以下であるガレート型カテキン含有顆粒を得ることができる。
【0033】
次に、本発明のチュアブルタブレットは、前記ガレート型カテキン含有顆粒を打錠することで得られる。打錠は乾式打錠により行うことが好ましい。打錠に使用する打錠機は特に限定されず、ロータリー打錠機、単発打錠機などを用いることができる。
【0034】
なお、高甘味度甘味料は、以上の工程中の任意の段階で添加することができるが、ガレート型カテキン溶液中に溶解させると、ガレート型カテキン含有顆粒またはチュアブルタブレット中に均一に分散させることができるため好ましい。
また、その他任意成分も任意の段階で添加することができる。
【実施例】
【0035】
次に実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。尚、以下の実施例の記載中、「部」は重量部を意味する。
【0036】
(実施例1)
ガレート型カテキン製剤(商品名:サンフェノン90S、ガレート型カテキン含有率65%、太陽化学株式会社製、以下同じ)30部とグレープフルーツ香料(長岡香料株式会社製、以下同じ)0.5部とアスパルテーム(商品名:パルスイート、味の素株式会社製)1部とを、50℃に加温した水60部に溶解させ、ガレート型カテキン溶液を作製した。
次に、乳タンパク(商品名:ペプチドW−800、森永乳業株式会社製)100部とビタミンC 10部との混合粉末を流動層造粒機(パウレック社製)に入れて加熱し(60℃)、これに前記ガレート型カテキン溶液を噴霧して造粒を行い、室温にて一晩乾燥させて、ガレート型カテキン含有顆粒を得た。
【0037】
(実施例2)
ガレート型カテキン製剤50部とグレープフルーツ香料0.5部とを、50℃に加温した水60部に溶解させ、ガレート型カテキン溶液を作製した。
次に、粉末状ゼラチン(商品名:G微粉、新田ゼラチン株式会社製)90部、粉糖10部、無水クエン酸パウダー7部、アスパルテーム(商品名:パルスイート、味の素株式会社製)1部の混合粉末を流動層造粒機に入れて加熱し(60℃)、これに前記作製したガレート型カテキン溶液を噴霧して造粒を行い、室温にて一晩乾燥させて、ガレート型カテキン含有顆粒を得た。
【0038】
(実施例3)
ガレート型カテキン製剤30部とスクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)0.1部とストロベリー香料(長岡香料株式会社製)0.5部とを、50℃に加温した水60部に溶解させ、ガレート型カテキン溶液を作製した。
次に、コラーゲンペプチド(商品名:SCP−5200、新田ゼラチン株式会社製)120部と粉糖80部との混合粉末を流動層造粒機に入れて加熱し(60℃)、これに前記作製したガレート型カテキン溶液を噴霧して造粒を行い、室温にて一晩乾燥させて、ガレート型カテキン含有顆粒を得た。
【0039】
(実施例4)
EGCg(商品名:サンフェノンEGCg、ガレート型カテキン含有率95%以上、太陽化学株式会社製、以下同じ)15部とアセスルファムカリウム(商品名:サネット、キリン協和フーズ株式会社製)0.1部とミルク香料(長岡香料株式会社製)0.5部とを、50℃に加温した水50部とエタノール80部の混合溶媒に溶解させ、ガレート型カテキン溶液を作製した。
得られた溶液を、乳タンパク(商品名:ペプチドW−800、森永乳業株式会社製)100部と粉糖10部、アスパルテーム(商品名:パルスイート、味の素株式会社製)1部との混合粉末に添加、混合し、押し出し造粒機(株式会社畑鐵工所製)にて造粒を行い、室温にて一晩乾燥させて、ガレート型カテキン含有顆粒を得た。
【0040】
(実施例5)
ガレート型カテキン製剤20部とグレープ香料(長岡香料株式会社製)0.5部とを、水60部とエタノール60部との混合溶媒に溶解させ、ガレート型カテキン溶液を作製した。
次に、大豆タンパク(商品名:プロリーナ250、不二製油株式会社製)100部、粉糖30部および無水クエン酸パウダー5部の混合粉末を転動造粒機(アズワン株式会社製)に入れて、ガレート型カテキン溶液を噴霧して造粒を行い、室温にて一晩乾燥させて、ガレート型カテキン含有顆粒を得た。
【0041】
(比較例1)
ガレート型カテキン製剤5部とグレープフルーツ香料0.5部とアスパルテーム(商品名:パルスイート、味の素株式会社製)1部を、50℃に加温した水60部に溶解させ、ガレート型カテキン溶液を作製した。
次に、乳タンパク(商品名:ペプチドW−800、森永乳業株式会社製)100部とビタミンC 10部の混合粉末を流動層造粒機に入れて加熱し(60℃)、これに作製したガレート型カテキン溶液を噴霧して造粒を行い、室温にて一晩乾燥させて、ガレート型カテキン含有顆粒を得た。
【0042】
(比較例2)
ガレート型カテキン製剤150部とグレープフルーツ香料0.5部とアスパルテーム(商品名:パルスイート、味の素株式会社製)1部を、50℃に加温した水200部に溶解させ、ガレート型カテキン溶液を作製した。
次に、乳タンパク(商品名:ペプチドW−800、森永乳業株式会社製)100部とビタミンC 10部の混合粉末を流動層造粒機に入れて加熱し(60℃)、これに作製したガレート型カテキン溶液を噴霧して造粒を行い、室温にて一晩乾燥させて、ガレート型カテキン含有顆粒を得た。
【0043】
(比較例3)
茶より抽出・精製して得たEGC 30部とグレープフルーツ香料0.5部とアスパルテーム(商品名:パルスイート、味の素株式会社製)1部を、50℃に加温した水60部に溶解させ、カテキン溶液を作製した。
次に、乳タンパク(商品名:ペプチドW−800、森永乳業株式会社製)100部とビタミンC 10部の混合粉末を流動層造粒機に入れて加熱し(60℃)、これに作製したカテキン溶液を噴霧して造粒を行い、室温にて一晩乾燥させて、ガレート型カテキン含有顆粒を得た。
【0044】
(比較例4)
ブドウ果皮抽出物(商品名:グレープアクティブ ホワイトM、FERCO社製、ポリフェノール含量50%以上)30部とグレープフルーツ香料0.5部とアスパルテーム(商品名:パルスイート、味の素株式会社製)1部を、50℃に加温した水60部に溶解させ、ポリフェノール溶液を作製した。
次に、乳タンパク(商品名:ペプチドW−800、森永乳業株式会社製)100部とビタミンC 10部の混合粉末を流動層造粒機に入れて加熱し(60℃)、これに作製したポリフェノール溶液を噴霧して造粒を行い、室温にて一晩乾燥させて、ポリフェノール含有顆粒を得た。
【0045】
尚、上記実施例1〜5、比較例1〜4で得られた顆粒は、いずれも100メッシュのステンレス製篩(目開き150μm、JIS Z8801、株式会社飯田製作所製、以下同じ)を通過する粒径のものが全重量の25%以下となるまで造粒したものであった。
また、実施例1〜5、比較例1〜4で得られた顆粒を4.7メッシュのステンレス製篩(目開き4mm、JIS Z8801、株式会社飯田製作所製)に通し、篩上に残るような大きな粒径の顆粒は取り除いた。
【0046】
(比較例5)
ガレート型カテキン製剤30部、粉末グレープフルーツ香料(長岡香料株式会社製)0.5部、乳タンパク(商品名:ペプチドW−800、森永乳業株式会社製)100部、ビタミンC 10部、アスパルテーム(商品名:パルスイート、味の素株式会社製)1部を粉体混合し、ガレート型カテキン含有粉末を得た。得られた粉末は、100メッシュのステンレス製篩をほぼ全て通過した。
【0047】
(比較例6)
ガレート型カテキン製剤30部、グレープフルーツ香料0.5部、乳タンパク(商品名:ペプチドW−800、森永乳業株式会社製)100部、ビタミンC 10部、アスパルテーム(商品名:パルスイート、味の素株式会社製)1部を、50℃に加温した水100部中で攪拌混合し、凍結乾燥、粉砕の工程を経て、ガレート型カテキン含有粉末を得た。得られた粉末は、100メッシュのステンレス製篩を通過する粒径のものが全重量の約50%であった。
【0048】
(試験例1)顆粒および粉末の評価
実施例1〜5、比較例1〜6で作製した顆粒および粉末について、粉体流動性および苦渋味の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0049】
<粉体流動性の評価>
以下の内容に従って2段階で評価した。その結果を表1に示した。
○ さらさらとして喫食しやすい
× 粉が飛散する、口内に付着する
【0050】
<苦渋味の評価>
以下の内容に従って4段階で官能評価した。その結果を表1に示した。
◎ 苦渋味が弱い
○ 苦渋味を感じるが不快ではない
△ 苦渋味を強く感じる
× 苦渋味が強すぎて喫食できない
【0051】
(試験例3)チュアブルタブレットの評価
実施例1〜5、比較例1〜6で作製した顆粒および粉末を用いて、ロータリー打錠機(DOTT.BONAPACE社製)によって直径10mmの丸型平型に圧縮打錠し、単重0.5gのチュアブルタブレットを製造した。製造工程での打錠適性および得られたタブレットの硬度、クランチ性の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0052】
<打錠適性の評価>
以下の内容に従って3段階で評価した。その結果を表1に示した。
○ 問題なく連続生産が可能
△ 杵付きやキャッピングにより一定時間以上の稼動が困難
× 杵付きやキャッピングがすぐに起こる
【0053】
<硬度の評価>
以下の内容に従って3段階で評価した。その結果を表1に示した。
○ 表面に艶があり、硬い
△ 表面に艶がなく、割れを生じやすい
× 軽い衝撃で崩壊する
【0054】
<クランチ性の評価>
以下の内容に従って4段階で評価した。その結果を表1に示した。
○ カリッと砕けるクランチ性のある食感である
△ クランチ性の乏しい食感である
× 脆い食感である
【0055】
【表1】

【0056】
表1の結果より、実施例1〜5で得られたガレート型カテキン含有顆粒は、いずれも粉体流動性に優れ、苦渋味が抑えられ、しかも打錠適性に優れた顆粒であることがわかる。
一方、比較例1〜4で得られた顆粒や、比較例5、6で得られた粉体は、粉体流動性、苦渋味、打錠適性のいずれかの性質が劣っており、全てが優れた評価のものはないことがわかる。
【0057】
また、実施例1〜5のガレート型カテキン含有顆粒を打錠して得られるタブレットは、いずれも硬度が硬く、クランチ性にも優れていることから、チュアブルタブレットとして使用できることがわかる。
一方、比較例1〜4の顆粒を打錠して得られるタブレットは、いずれも硬度またはクランチ性が劣っており、全てが優れた評価のものはないことがわかる。
また、比較例5、6の粉体は、打錠しても、硬度、クランチ性がいずれも顕著に劣るタブレットとなっており、チュアブルタブレットとはならないことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質を30〜90重量%、ガレート型カテキンを7〜25重量%含み、且つ100メッシュ(目開き150μm)の篩を通過する粒径のものが全重量の25%以下であることを特徴とするガレート型カテキン含有顆粒。
【請求項2】
高甘味度甘味料を0.04〜1.0重量%含有する請求項1に記載のガレート型カテキン含有顆粒。
【請求項3】
請求項1または2記載のガレート型カテキン含有顆粒を打錠して得られるチュアブルタブレット。
【請求項4】
粉末状タンパク質またはガレート型カテキンとタンパク質との混合粉末に、ガレート型カテキンを含有する溶液を混合または噴霧し、流動層造粒法、転動造粒法、押し出し造粒法、攪拌造粒法のいずれかの造粒法を用いて造粒することを特徴とする請求項1または2に記載のガレート型カテキン含有顆粒の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の製造方法で得られるガレート型カテキン含有顆粒を打錠することを特徴とするチュアブルタブレットの製造方法。

【公開番号】特開2013−42733(P2013−42733A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184633(P2011−184633)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(390020189)ユーハ味覚糖株式会社 (242)
【Fターム(参考)】