説明

ガングリオシドGD3に特異的に結合する抗体組成物

ガングリオシドGD3に特異的に結合し、N−グリコシド結合複合型糖鎖をFc領域に有する遺伝子組み換え抗体分子からなる組成物であって、N−グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である抗体組成物、該抗体組成物を生産する形質転換体、該抗体組成物の製造方法および該抗体組成物を含有する医薬を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガングリオシドGD3に特異的に結合し、N−グリコシド結合複合型糖鎖をFc領域に有する遺伝子組換え抗体分子からなる抗体組成物であって、N−グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である抗体組成物。
【請求項2】
N−グリコシド結合複合型糖鎖が、該糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合していない糖鎖である、請求項1に記載の抗体組成物。
【請求項3】
ガングリオシドGD3発現細胞に特異的に結合する請求項1または2に記載の抗体組成物。
【請求項4】
ガングリオシドGD3発現細胞に対し細胞傷害活性を示す請求項3のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項5】
ガングリオシドGD3発現細胞に対し、非ヒト動物由来ハイブリドーマが生産するモノクローナル抗体よりも高い細胞傷害活性を示す請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項6】
細胞傷害活性が抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性である請求項4または5に記載の抗体組成物。
【請求項7】
細胞傷害活性が補体依存性細胞傷害(CDC)活性である請求項4または5に記載の抗体組成物。
【請求項8】
それぞれ配列番号14、15および16で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子重鎖(H鎖)可変領域(V領域)の相補性決定領域(CDR)1、CDR2、CDR3を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項9】
それぞれ配列番号17、l8および19で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子軽鎖(L鎖)可変領域(V領域)の相補性決定領域(CDR)1、CDR2、CDR3を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項10】
それぞれ配列番号14、15および16で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子重鎖(H鎖)可変領域(V領域)の相補性決定領域(CDR)1、CDR2、CDR3、およびそれぞれ配列番号17、18およびl9で示されるアミノ酸配列からなる抗体軽鎖(L鎖)V領域の相補性決定領域(CDR)1、CDR2、CDR3を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項11】
遺伝子組換え抗体がヒト型キメラ抗体またはヒト型CDR移植抗体である請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項12】
ヒト型キメラ抗体がガングリオシドGD3に特異的に結合するモノクローナル抗体の重鎖(H鎖)可変領域(V領域)および軽鎖(L鎖)V領域の相補性決定領域(CDR)を含む、請求項11に記載の抗体組成物。
【請求項13】
抗体分子の重鎖(H鎖)可変領域(V領域)が、配列番号20で示されるアミノ酸配列を含む請求項12に記載の抗体組成物。
【請求項14】
抗体分子の軽鎖(L鎖)可変領域(V領域)が、配列番号21で示されるアミノ酸配列を含む請求項12または13に記載の抗体組成物。
【請求項15】
抗体分子の重鎖(H鎖)可変領域(V領域)が、配列番号20で示されるアミノ酸配列を含み、抗体分子の軽鎖(L鎖)V領域が、配列番号21で示されるアミノ酸配列を含む請求項12〜14のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項16】
ヒト型CDR移植抗体がガングリオシドGD3に特異的に結合するモノクローナル抗体の重鎖(H鎖)可変領域(V領域)および軽鎖(L鎖)V領域の相補性決定領域(CDR)を含む、請求項11に記載の抗体組成物。
【請求項17】
ガングリオシドGD3に特異的に結合するモノクローナル抗体の重鎖(H鎖)可変領域(V領域)および軽鎖(L鎖)V領域の相補性決定領域(CDR)とヒト抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域のフレームワーク領域(FR)を含む、請求項16に記載の抗体組成物。
【請求項18】
ガングリオシドGD3に特異的に結合するモノクローナル抗体の重鎖(H鎖)可変領域(V領域)および軽鎖(L鎖)V領域の相補性決定領域(CDR)とヒト抗体のH鎖V領域およびL鎖V領域のフレームワーク領域(FR)、ならびにヒト抗体のH鎖定常領域(C領域)およびL鎖C領域を含む、請求項16または17に記載の抗体組成物。
【請求項19】
抗体分子の重鎖(H鎖)可変領域(V領域)が、配列番号22で示されるアミノ酸配列、または配列番号22で示されるアミノ酸配列の10番目のGly、11番目のLeu、20番目のLeu、28番目のThr、84番目のAsn、91番目のThr、95番目のTyr、97番目のAlaおよび115番目のValから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項20】
抗体分子の軽鎖(L鎖)可変領域(V領域)が、配列番号23で示されるアミノ酸配列、または配列番号23で示されるアミノ酸配列の49番目のTyr、65番目のSerおよび71番目のPheから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項21】
抗体分子の軽鎖(L鎖)可変領域(V領域)が、配列番号24で示されるアミノ酸配列、または配列番号24で示されるアミノ酸配列の7番目のSer、8番目のPro、12番目のSer、41番目のGly、44番目のPro、72番目のThr、77番目のSer、83番目のPheおよび87番目のTyrから選ばれる少なくとも1つ以上のアミノ酸残基が置換されたアミノ酸配列を含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項22】
抗体分子の重鎖(H鎖)可変領域(V領域)が、配列番号22で示されるアミノ酸配列、または配列番号22で示されるアミノ酸配列の10番目のGly、11番目のLeu、20番目のLeu、28番目のThr、84番目のAsn、91番目のThr、95番目のTyr、97番目のAlaおよび115番目のValから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、抗体分子の軽鎖(L鎖)V領域が、配列番号23で示されるアミノ酸配列、または配列番号23で示されるアミノ酸配列の49番目のTyr、65番目のSerおよび71番目のPheから選ばれる少なくとも1つ以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む、請求項16〜20のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項23】
抗体分子の重鎖(H鎖)可変領域(V領域)が、配列番号22で示されるアミノ酸配列、または配列番号22で示されるアミノ酸配列の10番目のGly、11番目のLeu、20番目のLeu、28番目のThr、84番目のAsn、91番目のThr、95番目のTyr、97番目のAlaおよび115番目のValから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、抗体分子の軽鎖(L鎖)V領域が、配列番号24で示されるアミノ酸配列、または配列番号24で示されるアミノ酸配列の7番目のSer、8番目のPro、12番目のSer、41番目のGly、44番目のPro、72番目のThr、77番目のSer、83番目のPheおよび87番目のTyrから選ばれる少なくとも1つ以上のアミノ酸残基が置換されたアミノ酸配列を含む、請求項16〜19または21のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項24】
抗体分子の重鎖(H鎖)可変領域(V領域)が、配列番号22または25で示されるアミノ酸配列を含む、請求項16〜19、22または23のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項25】
抗体分子の軽鎖(L鎖)可変領域(V領域)が、配列番号23、24、26または27で示されるアミノ酸配列を含む請求項16〜18、20〜23のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項26】
抗体分子の重鎖(H鎖)可変領域(V領域)が、配列番号22または25で示されるアミノ酸配列を含み、かつ、抗体分子の軽鎖(L鎖)V領域が、配列番号23、24、26または27で示されるアミノ酸配列を含む請求項16〜25のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項27】
抗体分子の重鎖(H鎖)可変領域(V領域)が、配列番号25で示されるアミノ酸配列を含み、かつ、抗体分子の軽鎖(L鎖)V領域が配列番号24、26または27で示されるアミノ酸配列を含む請求項16〜18のいずれかl項に記載の抗体組成物。
【請求項28】
ガングリオシドGD3に特異的に結合する抗体分子をコードするDNAを宿主細胞に導入して得られる、請求項1〜27のいずれか1項に記載の抗体組成物を生産する形質転換体。
【請求項29】
宿主細胞が、細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素、またはN−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素を欠活するようにゲノムが改変された細胞である、請求項28に記載の形質転換体。
【請求項30】
宿主細胞が、細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素、またはN−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム上の対立遺伝子のすべてがノックアウトされた細胞である、請求項28に記載の形質転換体。
【請求項31】
細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素が、GDP−マンノース4,6−デヒドラターゼ(GMD)またはGDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース−3,5−エピメラーゼ(Fx)がら選ばれる酵素である、請求項29または30に記載の形質転換体。
【請求項32】
GDP−マンノース4,6−デヒドラターゼが、以下の(a)および(b)からなる群から選ばれるDNAがコードする蛋白質である、請求項31に記載の形質転換体。
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA;
(b)配列番号1で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつGDP−マンノース4,6−デヒドラターゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【請求項33】
GDP−マンノース4,6−デヒドラターゼが、以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる蛋白質である、請求項31に記載の形質転換体。
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつGDP−マンノース4,6−デヒドラターゼ活性を有する蛋白質;
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつGDP−マンノース4,6−デヒドラターゼ活性を有する蛋白質。
【請求項34】
GDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース−3,5−エピメラーゼが、以下の(a)および(b)からなる群から選ばれるDNAがコードする蛋白質である、請求項31に記載の形質転換体。
(a)配列番号3で表される塩基配列からなるDNA;
(b)配列番号3で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつGDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース−3,5−エピメラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【請求項35】
GDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース−3,5−エピメラーゼが、以下の(a)〜(c)からなる群から選ばれる蛋白質である、請求項31に記載の形質転換体。
(a)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b)配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつGDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース−3,5−エピメラーゼ活性を有する蛋白質;
(c)配列番号4で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつGDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース−3,5−エピメラーゼ活性を有する蛋白質。
【請求項36】
N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素がα1,6−フコシルトランスフェラーゼである請求項29または30に記載の形質転換体。
【請求項37】
α1,6−フコシルトランスフェラーゼが、以下の(a)〜(d)からなる群から選ばれるDNAがコードする蛋白質である、請求項36に記載の形質転換体。
(a)配列番号5で表される塩基配列からなるDNA;
(b)配列番号6で表される塩基配列からなるDNA;
(c)配列番号5で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA;
(d)配列番号6で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【請求項38】
α1,6−フコシルトランスフェラーゼが、以下の(a)〜(f)からなる群から選ばれる蛋白質である、請求項36に記載の形質転換体。
(a)配列番号7で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b)配列番号8で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(c)配列番号7で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質;
(d)配列番号8で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質;
(e)配列番号7で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質;
(f)配列番号8で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質。
【請求項39】
形質転換体がFERM BP−8471である請求項38に記載の形質転換体。
【請求項40】
宿主細胞が、下記の(a)〜(i)からなる群から選ばれる細胞である請求項28〜39のいずれか1項に記載の形質転換体。
(a)チャイニーズハムスター卵巣組織由来CHO細胞;
(b)ラットミエローマ細胞株YB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞;
(c)マウスミエローマ細胞株NSO細胞;
(d)マウスミエローマ細胞株SP2/0−Agl4細胞;
(e)シリアンハムスター腎臓組織由来BHK細胞;
(f)抗体を産生するハイブリドーマ細胞;
(g)ヒト白血病細胞株ナマルバ細胞;
(h)胚性幹細胞;
(i)受精卵細胞。
【請求項41】
請求項28〜40のいずれか1項に記載の形質転換体を培地に培養し、培養物中に抗体組成物を生成蓄積させ、該抗体組成物を採取し、精製する、請求項1〜27のいずれか1項に記載の抗体組成物の製造方法。
【請求項42】
請求項41に記載の製造方法により得られる、請求項1〜26のいずれか1項に記載の抗体組成物。
【請求項43】
請求項1〜27および42いずれか1項に記載の抗体組成物を有効成分として含有する医薬。
【請求項44】
請求項1〜27および42のいずれか1項に記載の抗体組成物を有効成分として含有するガングリオシドGD3関連疾患の治療薬。
【請求項45】
ガングリオシドGD3関連疾患が、癌疾患である請求項44に記載の治療薬。
【請求項46】
請求項1〜27および42のいずれか1項に記載の抗体組成物を患者に投与することを特徴とするガングリオシドGD3関連疾患の治療方法。
【請求項47】
ガングリオシドGD3関連疾患の治療薬の製造のための、請求項1〜27および42のいずれか1項に記載の抗体組成物の使用。

【国際公開番号】WO2005/035577
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514666(P2005−514666)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015314
【国際出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】