説明

ガンマ−セクレターゼモジュレーターとしての新規フェニルイミダゾールおよびフェニルトリアゾール

本明細書において定義される式(I)の構造を有する化合物およびその化合物の薬学的に許容できる塩が開示される。対応する医薬組成物、治療方法、合成方法および中間体もまた開示される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトを包含する哺乳動物における、アルツハイマー病ならびに他の神経変性障害および/または神経学的障害の治療に関する。本発明は、ヒトを包含する哺乳動物における、アミロイドタンパク質の神経学的堆積物形成に寄与し得るA−ベータペプチドの産生の調節にも関する。より詳細には、本発明は、A−ベータペプチド産生に関係するアルツハイマー病およびダウン症等の神経変性障害および/または神経学的障害の治療に有用な、フェニルイミダゾールおよびフェニルトリアゾール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
認知症は、多種多様な独特の病的過程によって生じる。認知症を引き起こす最も一般的な病的過程は、アルツハイマー病(AD)、脳アミロイド血管症(CM)およびプリオン媒介疾患である(例えば、Haanら、Clin.Neurol.Neurosurg.、1990、92(4):305〜310、Glennerら、J.Neurol.Sci.、1989、94:1〜28を参照)。ADには、米国人口における割合が最も急速に増加している85歳を過ぎた人口全体のほぼ半数が罹患している。そのため、米国におけるAD患者の数は、次の世紀の半ばまでに約400万人から約1400万人まで増加すると予想されている。現在のところ、アルツハイマー病の進行を停止し、予防し、または逆転させるための有効な治療はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、アルツハイマー病の進行を緩徐化し、かつ/または該疾患を最初の段階で予防することができる医薬品が差し迫って必要である。
【0004】
認知症、AD、CMおよびプリオン媒介疾患を引き起こす病的過程を寛解するための数種のプログラムが、研究グループによって進められてきた。γ−セクレターゼモジュレーターは1つのそのような戦略であり、多数の化合物が医薬品グループによる承認審査中である。本発明は、脳浸透性であり、そのため、ADの治療用のγ−セクレターゼモジュレーターとして有用である、γ−セクレターゼモジュレーターに関する(Ann.Rep.Med.Chem.、2007、Olsenら、42:27〜47を参照)。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、薬学的に許容できるその塩を包含する、式Iaの構造を有する化合物:
【0006】
【化1】

[式中、
Xは、CHまたはNであり、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキルまたはC2〜6アルケニルであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキルおよびアルケニルは、1から3個のハロゲンまたは−(CH−C3〜6シクロアルキルで置換されていてもよく、
は、水素、−CF、シアノ、ハロゲン、C1〜6アルキルまたは−ORであり、
およびRは、それぞれ独立に、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、−(CH、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールRまたはR置換基は、1から3個のRで独立に置換されていてもよく、または、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル部分を形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキル部分は、1から3個のRで独立に置換されていてもよく、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C2〜6アルケニルまたはC2〜6アルキニルであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアルキニルは、シアノまたは1から3個のハロゲンで置換されていてもよく、
各Rは、独立に、水素、ハロゲン、−CF、C1〜6アルキル、C2〜6アルキリデン、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールもしくは−(CH−ヘテロアリール、−(CH−OR、−C(O)R、−CN、または−N(Rであり、ここで、前記−(CH、−(CH−シクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロシクロアルキルおよび−(CH−ヘテロアリール置換基は、1から3個のアルキル、ハロゲン、−CFまたは−ORで独立に置換されていてもよく、
各Rは、独立に、水素、C1〜6アルキル、−CF、−SO、−N(R、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、−(CH、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−CFまたは−OCFで置換されていてもよく、
各Rは、水素、C1〜6アルキルまたは−(CH−アリールであり、ここで、前記C1〜6アルキルまたは−(CH−アリールは、1から3個のハロゲンで置換されていてもよく、
各tは、0、1、2、3および4から独立に選択される整数である]
を対象とする。
【0007】
本発明は、薬学的に許容できるその塩を包含する、式Iの構造を有する化合物:
【0008】
【化2】

[式中、
Xは、CHまたはNであり、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキルまたはC2〜6アルケニルであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキルおよびアルケニルは、1から3個のハロゲンで置換されていてもよく、
は、水素、−CF、シアノ、ハロゲン、C1〜6アルキルまたは−ORであり、
およびRは、それぞれ独立に、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、−(CH、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールRまたはR置換基は、1から3個のRで独立に置換されていてもよく、または、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル部分を形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキル部分は、1から3個のRで独立に置換されていてもよく、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C2〜6アルケニルまたはC2〜6アルキニルであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアルキニルは、シアノまたは1から3個のハロゲンで置換されていてもよく、
各Rは、独立に、水素、ハロゲン、−CF、C1〜6アルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールもしくは−(CH−ヘテロアリール、−OR、−C(O)R、−CN、または−N(Rであり、ここで、前記−(CH、−(CH−シクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロシクロアルキルおよび−(CH−ヘテロアリール置換基は、1から3個のアルキル、ハロゲン、−CFまたは−ORで独立に置換されていてもよく、
各Rは、独立に、水素、C1〜6アルキル、−CF、−SO、−N(R、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、−(CH、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−CFまたは−OCFで置換されていてもよく、
各Rは、水素、C1〜6アルキルまたは−(CH−アリールであり、ここで、前記C1〜6アルキルまたは−(CH−アリールは、1から3個のハロゲンで置換されていてもよく、
各tは、0、1、2、3および4から独立に選択される整数である]
も対象とする。
【0009】
本発明の一実施形態において、XはCHである。
【0010】
本発明の別の実施形態において、XはNである。
【0011】
本発明の一実施形態において、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル部分を形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキル部分は、1から3個のRで独立に置換されていてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、1個のRで独立に置換されていてもよい。本発明の別の実施形態において、Rは、−ORまたは−(CH−アリールである。本発明のまた別の実施形態において、該ヘテロシクロアルキルは、1個のRで置換されていてもよく、ここで、Rは−ORであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−CFまたは−OCFで置換されていてもよい−(CH−アリールである。本発明の別の実施形態において、該ヘテロシクロアルキルは、1個のRで置換されていてもよく、ここで、Rは−(CH−アリール[ここで、tは0であり、前記アリールは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−CFまたは−OCFで置換されていてもよい]である。
【0013】
本発明の一実施形態において、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、2個のRで置換されていてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、3個のRで置換されていてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、Rは、C1〜6アルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記C1〜6アルキル、−(CH、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールR置換基は、1から3個のRで置換されていてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、RはC1〜6アルキルであり、ここで、前記C1〜6アルキルR置換基は、1から3個のRで置換されていてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、Rは−(CH−シクロアルキルであり、ここで、前記−(CH−シクロアルキルR置換基は、1から3個のRで置換されていてもよい。本発明の一実施形態において、Rは−(CH−シクロアルキルであり、ここで、前記−(CH−シクロアルキルR置換基は、1個のRで置換されていてもよく、Rはハロゲンまたは−CNである。本発明の一実施形態において、Rは−(CH−シクロアルキルであり、ここで、前記−(CH−シクロアルキルR置換基は、2個のRで置換されていてもよく、各Rは、独立に、水素、ハロゲン、C1〜6アルキル、−CF、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−OR、−C(O)R、−CNまたは−N(Rである。本発明の別の実施形態において、Rは−(CH−シクロアルキルであり、ここで、前記−(CH−シクロアルキルR置換基は、3個のRで置換されていてもよく、各Rは、独立に、水素、ハロゲン、C1〜6アルキル、−CF、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−OR、−C(O)R、−CNまたは−N(Rである。本発明者らにとって興味深い他の実施形態は、加えてRが水素である化合物である。
【0018】
本発明の一実施形態において、Rは−(CH−ヘテロシクロアルキルであり、ここで、前記−(CH−ヘテロシクロアルキルR置換基は、1から3個のRで置換されていてもよい。本発明の一実施形態において、Rは−(CH−ヘテロシクロアルキルであり、ここで、前記−(CH−ヘテロシクロアルキルR置換基は、1個のRで置換されていてもよく、Rはハロゲンまたは−CNである。本発明の一実施形態において、Rは−(CH−ヘテロシクロアルキルであり、ここで、前記−(CH−ヘテロシクロアルキルR置換基は、2個のRで置換されていてもよく、各Rは、独立に、水素、C1〜6アルキル、−CF、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、ハロゲン、−OR、−C(O)R、−CNまたは−N(Rである。本発明の別の実施形態において、Rは−(CH−ヘテロシクロアルキルであり、ここで、前記−(CH−ヘテロシクロアルキルR置換基は、3個のRで置換されていてもよく、各Rは、独立に、水素、C1〜6アルキル、−CF、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、ハロゲン、−OR、−C(O)R、−CNまたは−N(Rである。本発明者らにとって興味深い他の実施形態は、加えてRが水素である化合物である。
【0019】
本発明の一実施形態において、Rは−(CH−アリールであり、ここで、前記−(CH−アリールR置換基は、1から3個のRで置換されていてもよい。本発明の一実施形態において、Rは−(CH−アリールであり、ここで、前記−(CH−アリールR置換基は、1個のRで置換されていてもよく、Rはハロゲンまたは−CNである。本発明の一実施形態において、Rは−(CH−アリールであり、ここで、前記−(CH−アリールR置換基は、2個のRで置換されていてもよく、各Rは、独立に、水素、C1〜6アルキル、−CF、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、ハロゲン、−OR、−C(O)R、−CNまたは−N(Rである。本発明の一実施形態において、Rは−(CH−アリールであり、ここで、前記−(CH−アリールR置換基は、3個のRで置換されていてもよく、各Rは、独立に、水素、C1〜6アルキル、−CF、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、ハロゲン、−OR、−C(O)R、−CNまたは−N(Rである。本発明者らにとって興味深い他の実施形態は、加えてRが水素である化合物である。
【0020】
本発明の一実施形態において、Rは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記−(CH−ヘテロアリールR置換基は、1から3個のRで置換されていてもよい。本発明の一実施形態において、Rは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記−(CH−ヘテロアリールR置換基は、1個のRで置換されていてもよく、Rはハロゲンまたは−CNである。本発明の一実施形態において、Rは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記−(CH−ヘテロアリールR置換基は、2個のRで置換されていてもよく、各Rは、独立に、水素、C1〜6アルキル、−CF、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、ハロゲン、−OR、−C(O)R、−CNまたは−N(Rである。本発明の一実施形態において、Rは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記−(CH−ヘテロアリールR置換基は、3個のRで置換されていてもよく、各Rは、独立に、水素、C1〜6アルキル、−CF、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、ハロゲン、−OR、−C(O)R、−CNまたは−N(Rである。本発明者らにとって興味深い他の実施形態は、加えてRが水素である化合物である。
【0021】
本発明の一実施形態において、RはC1〜6アルキルである。この実施形態の一例において、Rはメチルである。
【0022】
本発明の一実施形態において、Rはハロゲンである。
【0023】
本発明の一実施形態において、Rは−ORである。本発明の一実施形態において、Rは水素またはC1〜6アルキルである。本発明の一実施形態において、Rは水素である。本発明の別の実施形態において、RはC1〜6アルキルである。この実施形態の一例において、Rはメチルである。
【0024】
本発明の一実施形態において、Rは、水素、C1〜6アルキルまたは−(CH−シクロアルキルであり、ここで、前記アルキルまたは−(CH−シクロアルキルは、1から3個のハロゲンで独立に置換されていてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態において、Rは水素である。
【0026】
本発明の一実施形態において、RはC1〜6アルキルである。本発明の一実施形態において、Rはメチルである。
【0027】
本発明の一実施形態において、tは0である。
【0028】
本発明の別の実施形態において、tは1である。
【0029】
本発明の別の実施形態において、tは2である。
【0030】
本発明の別の実施形態において、tは3である。
【0031】
本発明のまた別の実施形態において、tは4である。
【0032】
式Iの化合物および薬学的に許容できるその塩は、以下で論じる通り、前記式Iの化合物および薬学的に許容できるその塩の水和物、溶媒和物および多形も包含することが理解されよう。
【0033】
一実施形態において、本発明は、本願の実施例の項において実施例1〜140として記載されている個々の化合物(その遊離塩基または薬学的に許容できる塩を包含する)のそれぞれにも関する。
【0034】
別の実施形態において、本発明は、
N−[(5−クロロ−1−ベンゾチエン−3−イル)メチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
1−[2−メトキシ−4−({(3R)−3−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピロリジン−1−イル}カルボニル)フェニル]−4−メチル−1H−イミダゾール;
N−[2−(5−クロロ−1H−インドール−3−イル)エチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−[(1−フェニルシクロペンチル)メチル]ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−({4−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}メチル)ベンズアミド;
N−(アダマンタン−2−イルメチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−{[5−(4−クロロフェニル)−2−チエニル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−({2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−{3−メチル−4−[3−(トリフルオロ−メチル)フェニル]−1H−ピラゾール−5−イル}ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−[(2−フェニル−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]ベンズアミド;
N−[2−(5,7−ジクロロ−2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−{[1−(4−クロロフェニル)シクロペンチル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−{[1−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−{[1−(4−フルオロフェニル)シクロブチル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
1−[2−メトキシ−4−({(3S)−3−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピロリジン−1−イル}カルボニル)フェニル]−4−メチル−1H−イミダゾール;
N−[2−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)エチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−({1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]シクロブチル}メチル)ベンズアミド;
N−{[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−(3−クロロ−4−フルオロベンジル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−(5−イソプロピル−4−メトキシ−2−メチルベンジル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−(4−エトキシ−5−イソプロピル−2−メチルベンジル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−(5−イソプロピル−4−メトキシ−2−メチルフェネチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−(4−エトキシ−5−イソプロピル−2−メチルフェネチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−(1−(5−イソプロピル−4−メトキシ−2−メチルフェニル)プロパン−2−イル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−(1−(4−エトキシ−5−イソプロピル−2−メチルフェニル)プロパン−2−イル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−(1−シクロプロピル−2−(5−イソプロピル−4−メトキシ−2−メチルフェニル)エチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−(1−シクロプロピル−2−(4−エトキシ−5−イソプロピル−2−メチルフェニル)エチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−((6−フルオロ−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]アゼピン−3−イル)メチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1H−インドール−2−イル)エチル)ベンズアミド
からなる群から選択される化合物、および前述のそれぞれの薬学的に許容できる塩に関する。
【0035】
別の実施形態において、本発明は、神経学的障害および精神障害を治療する方法であって、それを必要とする患者に、そのような障害を治療するのに有効な量の式Iの化合物を投与するステップを含む方法を提供する。神経学的障害および精神障害は、哺乳動物における、心臓バイパス手術および移植後の脳欠損等の急性神経学的障害および精神障害、脳卒中、脳虚血、脊髄損傷、頭部外傷、周生期低酸素症、心停止、低血糖神経損傷、認知症、AIDS誘発性認知症、血管性認知症、混合型認知症、加齢に伴う記憶障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、統合失調症および双極性障害に関連する認知障害を包含する認知障害、特発性および薬物誘発性パーキンソン病、筋肉けいれんおよび振戦を包含する筋痙直に関連する障害、てんかん、けいれん、片頭痛、片頭痛性頭痛、尿失禁、薬物耐性(substance tolerance)、薬物離脱(substance withdrawal)、アヘン剤、ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン系薬、コカイン、鎮静剤および睡眠薬からの離脱、精神病、軽度認識障害、健忘性認識障害、複数領域認識障害(multi−domain cognitive impairment)、肥満、統合失調症、不安神経症、全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、気分障害、鬱病、躁病、双極性障害、三叉神経痛、難聴、耳鳴、目の黄斑変性、嘔吐、脳浮腫、疼痛、急性および慢性疼痛状態、激痛、難治性疼痛、神経因性疼痛、外傷後疼痛、遅発性ジスキネジー、睡眠障害、ナルコレプシー、注意欠陥/多動性障害、自閉症、アスペルガー障害、ならびに行為障害を包含するがこれらに限定されず、該哺乳動物に、有効量の式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を投与するステップを含む。したがって、一実施形態において、本発明は、ヒト等の哺乳動物において上記の状態から選択される状態を治療するための方法であって、式Iの化合物を該哺乳動物に投与するステップを含む方法を提供する。哺乳動物は、好ましくは、そのような治療を必要とする哺乳動物である。例として、本発明は、注意欠陥/多動性障害、統合失調症およびアルツハイマー病を治療するための方法を提供する。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、神経学的障害および精神障害を治療する方法であって、それを必要とする患者に、そのような障害を治療するのに有効な量の式Iの化合物を投与するステップを含む方法を提供する。式Iの化合物を、別の活性薬剤と組み合わせて使用してもよい。そのような活性薬剤は、例えば、非定型抗精神病薬、コリンエステラーゼ阻害剤、ディメボンまたはNMDA受容体アンタゴニストであってよい。そのような非定型抗精神病薬は、ジプラシドン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、パリペリドンを包含するがこれらに限定されず、そのようなNMDA受容体アンタゴニストは、メマンチンを包含するがこれに限定されず、そのようなコリンエステラーゼ阻害剤は、ドネペジルおよびガランタミンを包含するがこれらに限定されない。
【0037】
本発明は、式Iの化合物と薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物も対象とする。該組成物は、例えば、哺乳動物における、心臓バイパス手術および移植後の脳欠損等の急性神経学的障害および精神障害、脳卒中、脳虚血、脊髄損傷、頭部外傷、周生期低酸素症、心停止、低血糖神経損傷、認知症、AIDS誘発性認知症、血管性認知症、混合型認知症、加齢に伴う記憶障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、統合失調症および双極性障害に関連する認知障害を包含する認知障害、特発性および薬物誘発性パーキンソン病、筋肉けいれんおよび振戦を包含する筋痙直に関連する障害、てんかん、けいれん、片頭痛、片頭痛性頭痛、尿失禁、薬物耐性、薬物離脱、アヘン剤、ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン系薬、コカイン、鎮静剤および睡眠薬からの離脱、精神病、軽度認識障害、健忘性認識障害、複数領域認識障害、肥満、統合失調症、不安神経症、全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、気分障害、鬱病、躁病、双極性障害、三叉神経痛、難聴、耳鳴、目の黄斑変性、嘔吐、脳浮腫、疼痛、急性および慢性疼痛状態、激痛、難治性疼痛、神経因性疼痛、外傷後疼痛、遅発性ジスキネジー、睡眠障害、ナルコレプシー、注意欠陥/多動性障害、自閉症、アスペルガー障害、ならびに行為障害を包含するがこれらに限定されない神経学的障害および精神障害からなる群から選択される状態を治療するための組成物であってよく、有効量の式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる担体とを投与するステップを含む。該組成物は、非定型抗精神病薬、コリンエステラーゼ阻害剤、ディメボンまたはNMDA受容体アンタゴニストをさらに含んでいてもよい。そのような非定型抗精神病薬は、ジプラシドン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、パリペリドンを包含するがこれらに限定されず、そのようなNMDA受容体アンタゴニストは、メマンチンを包含するがこれに限定されず、そのようなコリンエステラーゼ阻害剤は、ドネペジルおよびガランタミンを包含するがこれらに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0038】
定義
用語「アルキル」は、1から20個までの炭素原子、一実施形態において、1から12個までの炭素原子、別の実施形態において、1から10個までの炭素原子、別の実施形態において、1から6個までの炭素原子、別の実施形態において、1から4個までの炭素原子を含有する、直鎖または分枝鎖の飽和ヒドロカルビル置換基(すなわち、炭化水素から水素の除去によって取得された置換基)を指す。そのような置換基の例は、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピルを包含する)、ブチル(n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルを包含する)、ペンチル、iso−アミル、ヘキシル等を包含する。いくつかの場合において、ヒドロカルビル置換基(すなわち、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール等)中の炭素原子の数は、接頭辞「Cx〜y」によって示され、ここで、xは置換基中の炭素原子の最小数であり、yは最大数である。故に、例えば、「C1〜6アルキル」は、1から6個までの炭素原子を含有するアルキル置換基を指す。
【0039】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖、分枝鎖または環式基を包含する、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する脂肪族炭化水素を指す。好ましくは、アルケニルは、2から6個の炭素原子を有する中型アルケニルである。例えば、本明細書において使用される場合、用語「C2〜6アルケニル」は、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C10)アリールオキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシまたはC1〜6アルキル等、上記で定義した通りの1から5個の適切な置換基によって置換されていてもよいエテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、iso−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル等を包含するがこれらに限定されない、2から6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖不飽和ラジカルを意味する。本発明の化合物がC2〜6アルケニル基を含有する場合、該化合物は、純粋なE(反対側)形態、純粋なZ(同じ側)形態、またはそれらの任意の混合物として存在し得る。
【0040】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する直鎖、分枝鎖または環式基を包含する、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する脂肪族炭化水素を指す。好ましくは、アルキニルは、2から6個の炭素原子を有する低級アルキニルである。例えば、本明細書において使用される場合、用語「C2〜6アルキニル」は、本明細書において、2から6個の炭素原子および1個の三重結合を有する上記で定義した通りの直鎖または分枝鎖炭化水素鎖アルキニルラジカルを意味するために使用される。
【0041】
用語「シクロアルキル」は、飽和炭素環式分子から水素を除去することによって取得され、3から14個の炭素原子を有する炭素環式置換基を指す。一実施形態において、シクロアルキル置換基は、3から10個の炭素原子を有する。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを包含する。
【0042】
用語「シクロアルキル」は、C〜C10芳香族環または5〜10員の芳香族複素環式環と縮合している置換基も包含し、ここで、そのような縮合シクロアルキル基を置換基として有する基は、該シクロアルキル基の炭素原子と結合している。そのような縮合シクロアルキル基が1個または複数の置換基で置換されている場合、該1個または複数の置換基は、別段の規定がない限り、該シクロアルキル基の炭素原子とそれぞれ結合している。縮合C〜C10芳香族環または5〜10員の芳香族複素環式環は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C3〜10シクロアルキルまたは=Oで場合により置換されていてよい。
【0043】
シクロアルキルは、典型的には3から6個までの環原子を含有する単環であってよい。例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを包含する。代替として、ビシクロデカニルおよびデカリニル等、2または3個の環が一緒に縮合してもよい。
【0044】
用語「アリール」は、1個の環または2もしくは3個の縮合環を含有する芳香族置換基を指す。アリール置換基は、6から18個の炭素原子を有し得る。一例として、アリール置換基は、6から14個の炭素原子を有し得る。用語「アリール」は、フェニル、ナフチルおよびアントラセニル等の置換基を指し得る。用語「アリール」は、CもしくはC炭素環等のC4〜10炭素環または4〜10員の複素環式環と縮合しているフェニル、ナフチルおよびアントラセニル等の置換基も包含し、ここで、そのような縮合アリール基を置換基として有する基は、該アリール基の芳香族炭素と結合している。そのような縮合アリール基が1個または複数の置換基で置換されている場合、該1個または複数の置換基は、別段の規定がない限り、該縮合アリール基の芳香族炭素とそれぞれ結合している。縮合C4〜10炭素環または4〜10員の複素環式環は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C3〜10シクロアルキルまたは=Oで場合により置換されていてよい。アリール基の例は、したがって、フェニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフタレニル(「テトラリニル」としても知られている)、インデニル、イソインデニル、インダニル、アントラセニル、フェナントレニル、ベンゾナフテニル(「フェナレニル」としても知られている)およびフルオレニルを包含する。
【0045】
いくつかの場合において、1個または複数のヘテロ原子を含有する環式置換基(すなわち、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル)中の原子の数は、接頭辞「x〜y員の」によって示され、ここで、xは置換基の環式部分を形成する原子の最小数であり、yは最大数である。故に、例えば5〜8員のヘテロシクロアルキルは、ヘテロシクロアルキルの環式部分中に、1個または複数のヘテロ原子を包含する5から8個までの原子を含有するヘテロシクロアルキルを指す。
【0046】
用語「水素」は水素置換基を指し、−Hとして示され得る。
【0047】
用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、−OHを指す。別の用語(複数可)と組み合わせて使用される場合、接頭辞「ヒドロキシ」は、該接頭辞が結合している置換基が1個または複数のヒドロキシ置換基で置換されていることを示す。1個または複数のヒドロキシ置換基が結合している炭素を持つ化合物は、例えば、アルコール、エノールおよびフェノールを包含する。
【0048】
用語「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個のヒドロキシ置換基で置換されているアルキルを指す。ヒドロキシアルキルの例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルおよびヒドロキシブチルを包含する。
【0049】
用語「シアノ」(「ニトリル」とも称される)は−CNを意味し、これは
【0050】
【化3】

としても示され得る。
【0051】
用語「カルボニル」は−C(O)−を意味し、これは
【0052】
【化4】

としても示され得る。
【0053】
用語「アミノ」は−NHを指す。
【0054】
用語「アルキルアミノ」は、少なくとも1つのアルキル鎖が、水素原子の代わりにアミノ窒素と結合しているアミノ基を指す。アルキルアミノ置換基の例は、メチルアミノ等のモノアルキルアミノ(式−NH(CH)によって例示され、これは
【0055】
【化5】

としても示され得る)およびジメチルアミノ等のジアルキルアミノ(式−N(CHによって例示され、これは
【0056】
【化6】

としても示され得る)を包含する。
【0057】
用語「ハロゲン」は、フッ素(−Fとしても示され得る)、塩素(−Clとしても示され得る)、臭素(−Brとしても示され得る)またはヨウ素(−Iとしても示され得る)を指す。一実施形態において、ハロゲンは塩素である。別の実施形態において、ハロゲンはフッ素である。別の実施形態において、ハロゲンは臭素である。
【0058】
接頭辞「ハロ」は、該接頭辞が結合している置換基が、1個または複数の独立に選択されるハロゲン置換基で置換されていることを示す。例えば、ハロアルキルは、少なくとも1個のハロゲン置換基で置換されているアルキルを指す。複数の水素がハロゲンで置き換えられている場合、該ハロゲンは、同一であっても異なっていてもよい。ハロアルキルの例は、クロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、トリクロロメチル、1−ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ジフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロプロピルおよびヘプタフルオロプロピルを包含する。さらに例証すると、「ハロアルコキシ」は、少なくとも1個のハロゲン置換基で置換されているアルコキシを指す。ハロアルコキシ置換基の例は、クロロメトキシ、1−ブロモエトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ(「ペルフルオロメチルオキシ」としても知られている)および2,2,2−トリフルオロエトキシを包含する。置換基が複数のハロゲン置換基によって置換されている場合、それらのハロゲン置換基は(別段の規定がない限り)同一であっても異なっていてもよいことを認識すべきである。
【0059】
用語「オキソ」は=Oを指す。
【0060】
用語「オキシ」はエーテル置換基を指し、−O−としても示され得る。
【0061】
用語「アルコキシ」は、酸素と連結しているアルキルを指し、これは−ORとしても表すことができ、ここで、Rはアルキル基を表す。アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびブトキシを包含する。
【0062】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、計4から14個の環原子を含有する飽和または部分飽和環構造から水素を除去することによって取得される置換基を指す。環原子の少なくとも1つは、通常、酸素、窒素または硫黄から選択されるヘテロ原子である。ヘテロシクロアルキルは、代替として、一緒に縮合した2または3個の環を含み得、ここで、少なくとも1個のそのような環は、環原子としてヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素または硫黄)を含有する。ヘテロシクロアルキル置換基を有する基において、該基と結合しているヘテロシクロアルキル置換基の環原子は、少なくとも1個のヘテロ原子であってよく、または該環原子は環炭素原子であってよく、ここで、該環炭素原子は該少なくとも1個のヘテロ原子と同じ環中にあってよく、または、該環炭素原子は該少なくとも1個のヘテロ原子とは異なる環中にあってよい。同様に、今度はヘテロシクロアルキル置換基が基または置換基で置換されている場合、該基もしくは置換基は少なくとも1個のヘテロ原子と結合していてよく、または該基もしくは置換基は環炭素原子と結合していてよく、ここで、該環炭素原子は該少なくとも1個のヘテロ原子と同じ環中にあってよく、または、該環炭素原子は該少なくとも1個のヘテロ原子とは異なる環中にあってよい。
【0063】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、C6〜10芳香族環または5〜10員の芳香族複素環式環と縮合している置換基も包含し、ここで、そのような縮合ヘテロシクロアルキル基を置換基として有する基は、該ヘテロシクロアルキル基のヘテロ原子と、または該ヘテロシクロアルキル基の炭素原子と結合している。そのような縮合ヘテロシクロアルキル基が1個または複数の置換基で置換されている場合、該1個または複数の置換基は、別段の規定がない限り、該ヘテロシクロアルキル基のヘテロ原子と、または該ヘテロシクロアルキル基の炭素原子とそれぞれ結合している。縮合C〜C10芳香族環または5〜10員の芳香族複素環式環は、C1〜6アルキル、C3〜10シクロアルキル、C1〜6アルコキシまたは=Oで場合により置換されていてよい。
【0064】
用語「ヘテロアリール」は、5から14個までの環原子を含有し、該環原子の少なくとも1つはヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素または硫黄)であり、残りの環原子は、炭素、酸素、窒素および硫黄からなる群から独立に選択される、芳香族環構造を指す。ヘテロアリールは、単環または2もしくは3個の縮合環であってよい。ヘテロアリール置換基の例は、ピリジル、ピラジル、ピリミジニルおよびピリダジニル等の6員環置換基、トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、1,2,3−、1,2,4−、1,2,5−または1,3,4−オキサジアゾリルおよびイソチアゾリル等の5員環置換基、ベンゾチオフラニル、イソベンゾチオフラニル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニルおよびアントラニリル等の6/5員縮合環置換基、ならびに、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニルおよび1,4−ベンズオキサジニル等の6/6員縮合環を包含する。ヘテロアリール置換基を有する基において、該基と結合しているヘテロアリール置換基の環原子は、少なくとも1個のヘテロ原子であってよく、または該環原子は環炭素原子であってよく、ここで、該環炭素原子は該少なくとも1個のヘテロ原子と同じ環中にあってよく、または、該環炭素原子は該少なくとも1個のヘテロ原子とは異なる環中にあってよい。同様に、今度はヘテロアリール置換基が基または置換基で置換されている場合、該基もしくは置換基は少なくとも1個のヘテロ原子と結合していてよく、または該基もしくは置換基は環炭素原子と結合していてよく、ここで、該環炭素原子は該少なくとも1個のヘテロ原子と同じ環中にあってよく、または、該環炭素原子は該少なくとも1個のヘテロ原子とは異なる環中にあってよい。用語「ヘテロアリール」は、ピリジルN−オキシドおよびピリジンN−オキシド環を含有する基も包含する。
【0065】
単環ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルの例は、フラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、チオフェニル(「チオフラニル」としても知られている)、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリル、イソピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イソイミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ジチオリル、オキサチオリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアジアゾリル、オキサチアゾリル、オキサジアゾリル(オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル(「アゾキシミル」としても知られている)、1,2,5−オキサジアゾリル(「フラザニル」としても知られている)または1,3,4−オキサジアゾリルを包含する)、オキサトリアゾリル(1,2,3,4−オキサトリアゾリルまたは1,2,3,5−オキサトリアゾリルを包含する)、ジオキサゾリル(1,2,3−ジオキサゾリル、1,2,4−ジオキサゾリル、1,3,2−ジオキサゾリルまたは1,3,4−ジオキサゾリルを包含する)、オキサチアゾリル、オキサチオリル、オキサチオラニル、ピラニル(1,2−ピラニルまたは1,4−ピラニルを包含する)、ジヒドロピラニル、ピリジニル(「アジニル」としても知られている)、ピペリジニル、ジアジニル(ピリダジニル(「1,2−ジアジニル」としても知られている)、ピリミジニル(「1,3−ジアジニル」または「ピリミジル」としても知られている)またはピラジニル(「1,4−ジアジニル」としても知られている)を包含する)、ピペラジニル、トリアジニル(s−トリアジニル(「1,3,5−トリアジニル」としても知られている)、as−トリアジニル(1,2,4−トリアジニルとしても知られている)およびv−トリアジニル(「1,2,3−トリアジニル」としても知られている)を包含する)、オキサジニル(1,2,3−オキサジニル、1,3,2−オキサジニル、1,3,6−オキサジニル(「ペントオキサゾリル」としても知られている)、1,2,6−オキサジニルまたは1,4−オキサジニルを包含する)、イソオキサジニル(o−イソオキサジニルまたはp−イソオキサジニルを包含する)、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサチアジニル(1,2,5−オキサチアジニルまたは1,2,6−オキサチアジニルを包含する)、オキサジアジニル(1,4,2−オキサジアジニルまたは1,3,5,2−オキサジアジニルを包含する)、モルホリニル、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル、およびジアゼピニルを包含する。
【0066】
2−縮合環ヘテロアリールの例は、インドリジニル、ピリンジニル、ピラノピロリル、4H−キノリジニル、プリニル、ナフチリジニル、ピリドピリジニル(ピリド[3,4−b]−ピリジニル、ピリド[3,2−b]−ピリジニルまたはピリド[4,3−b]−ピリジニルを包含する)、およびプテリジニル、インドリル、イソインドリル、インドレニニル、イソインダゾリル、ベンザジニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾジアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキサゾリル、インドオキサジニル、アントラニリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサジニル、ベンズイソキサジニル、およびテトラヒドロイソキノリニルを包含する。
【0067】
3−縮合環ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルの例は、5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5,1−ij]キノリン、4,5−ジヒドロイミダゾ[4,5,1−hi]インドール、4,5,6,7−テトラヒドロイミダゾ[4,5,1−jk][1]ベンゾアゼピンおよびジベンゾフラニルを包含する。
【0068】
縮合環ヘテロアリールの他の例は、インドリル、イソインドリル(「イソベンザゾリル」または「擬イソインドリル(pseudoisoindolyl)」としても知られている)、インドレニニル(「擬インドリル(pseudoindolyl)」としても知られている)、イソインダゾリル(「ベンズピラゾリル」としても知られている)、ベンザジニル(キノリニル(「1−ベンザジニル」としても知られている)またはイソキノリニル(「2−ベンザジニル」としても知られている)を包含する)、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾジアジニル(シンノリニル(「1,2−ベンゾジアジニル」としても知られている)またはキナゾリニル(「1,3−ベンゾジアジニル」としても知られている)を包含する)、ベンゾピラニル(「クロマニル」または「イソクロマニル」を包含する)、ベンゾチオピラニル(「チオクロマニル」としても知られている)、ベンゾオキサゾリル、インドオキサジニル(「ベンズイソオキサゾリル」としても知られている)、アントラニリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾフラニル(「クマロニル」としても知られている)、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル(「ベンゾチオフェニル」、「チオナフテニル」または「ベンゾチオフラニル」としても知られている)、イソベンゾチエニル(「イソベンゾチオフェニル」、「イソチオナフテニル」または「イソベンゾチオフラニル」としても知られている)、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサジニル(1,3,2−ベンズオキサジニル、1,4,2−ベンズオキサジニル、2,3,1−ベンズオキサジニルまたは3,1,4−ベンズオキサジニルを包含する)、ベンズイソキサジニル(1,2−ベンズイソキサジニルまたは1,4−ベンズイソキサジニルを包含する)、テトラヒドロイソキノリニル、カルバゾリル、キサンテニルおよびアクリジニル等のベンゾ縮合ヘテロアリールを包含する。
【0069】
用語「ヘテロアリール」は、CもしくはC炭素環等のC4〜10炭素環または4〜10員の複素環式環と縮合しているピリジルおよびキノリニル等の置換基も包含し、ここで、そのような縮合アリール基を置換基として有する基は、該ヘテロアリール基の芳香族炭素と、または該ヘテロアリール基のヘテロ原子と結合している。そのような縮合ヘテロアリール基が1個または複数の置換基で置換されている場合、該1個または複数の置換基は、別段の規定がない限り、該ヘテロアリール基の芳香族炭素と、または該ヘテロアリール基のヘテロ原子とそれぞれ結合している。縮合C4〜10炭素環または4〜10員の複素環式環は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C3〜10シクロアルキルまたは=Oで場合により置換されていてよい。
【0070】
ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルの追加例は、3−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン、(1−置換)−2−オキソ−ベンゾイミダゾール−3−イル、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロピラニル、3-テトラヒドロピラニル、4−テトラヒドロピラニル、[1,3]−ジオキサラニル、[1,3]−ジチオラニル、[1,3]−ジオキサニル、2− テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリニル、3−モルホリニル、4−モルホリニル、2−チオモルホリニル、3−チオモルホリニル、4−チオモルホリニル、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、4−チアゾリジニル、ジアゾロニル、N−置換ジアゾロニル、1−フタルイミジニル、ベンゾオキサニル、ベンゾ[1,3]ジオキシン、ベンゾ[1,4]ジオキシン、ベンゾピロリジニル、ベンゾピペリジニル、ベンゾオキソラニル、ベンゾチオラニル、4,5,6,7−テトラヒドロピラゾール[1,5−α]ピリジン、ベンゾチアニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリル、キノリジニル、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル,キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルを包含する。前述の基は、上記に収載した基に由来するため、それが可能な場所でC結合またはN結合していてよい。例えば、ピロリルに由来する基は、ピロール−1−イル(N結合)またはピロール−3−イル(C結合)であってよい。さらに、イミダゾールに由来する基は、イミダゾール−1−イル(N結合)またはイミダゾール−2−イル(C結合)であってよい。
【0071】
置換基は、1個または複数の水素原子と結合している少なくとも1個の炭素、硫黄、酸素または窒素原子を含む場合に「置換可能」である。故に、例えば、水素、ハロゲンおよびシアノは、この定義の範囲外である。
【0072】
置換基が「置換されている」と記述される場合、該置換基の炭素、酸素、硫黄または窒素上には水素置換基の代わりに非水素置換基がある。故に、例えば、置換されているアルキル置換基は、アルキル置換基上に水素置換基の代わりに少なくとも1個の非水素置換基があるアルキル置換基である。例証すると、モノフルオロアルキルは1個のフルオロ置換基で置換されているアルキルであり、ジフルオロアルキルは2個のフルオロ置換基で置換されているアルキルである。置換基上で複数の置換がある場合、各非水素置換基は(別段の規定がない限り)同一であっても異なっていてもよいことを認識すべきである。
【0073】
置換基が「置換されていてもよい」と記述される場合、該置換基は、(1)置換されていないか、または(2)置換されているかのいずれであってもよい。置換基の炭素が、置換基の一覧の1つまたは複数で置換されていてもよいと記述される場合、炭素上の水素の1つまたは複数は(多少でもある限り)独立に選択される任意選択の置換基で別個におよび/または一緒に置き換えられていてよい。置換基の窒素が、置換基の一覧の1つまたは複数で置換されていてもよいと記述される場合、窒素上の水素の1つまたは複数は(多少でもある限り)独立に選択される任意選択の置換基でそれぞれ置き換えられていてよい。1つの例示的な置換基は、−NR’R”として示され得、ここで、R’およびR”は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式環を形成し得る。それらが結合している窒素原子と一緒になったR’およびR”から形成される複素環式環は、部分もしくは完全飽和または芳香族であってよい。一実施形態において、複素環式環は4から7個の原子からなる。別の実施形態において、複素環式環は、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリルおよびテトラゾリルからなる群から選択される。
【0074】
本明細書では、用語「置換基」、「ラジカル」および「基」を同義で使用する。
【0075】
置換基の群が、置換基の一覧の1つまたは複数によって置換されていてもよいと総称的に記述される場合、該群は、(1)置換不可能な置換基、(2)任意選択の置換基によって置換されていない、置換可能な置換基、および/または(3)任意選択の置換基の1つもしくは複数によって置換されている、置換可能な置換基を包含し得る。
【0076】
置換基が特定数以下の非水素置換基で置換されていてもよいと記述される場合、その置換基は、(1)置換されていないか、または(2)その特定数以下の非水素置換基、もしくは該置換基上の最大数以下の置換可能位置のいずれか小さいほうによって置換されているかのいずれであってもよい。故に、例えば、置換基が最大3個の非水素置換基で置換されていてもよいヘテロアリールと記述される場合、3つ未満の置換可能位置を有する任意のヘテロアリールは、ヘテロアリールが置換可能位置を有するのと最大でも同数の非水素置換基によって置換されていてもよいことになる。例証すると、テトラゾリル(置換可能位置を1つだけ有する)は、最大1個の非水素置換基で置換されていてもよいことになる。さらに例証すると、アミノ窒素が最大2個の非水素置換基で置換されていてもよいと記述される場合、アミノ窒素が第一級窒素であれば該窒素は最大2個の非水素置換基で置換されていてもよいことになり、これに対し、アミノ窒素が第二級窒素であれば該アミノ窒素は最大でも1個の非水素置換基で置換されていてもよいことになる。
【0077】
複数部分の置換基に付けられた接頭辞は、最初の部分にのみ適用される。例証すると、用語「アルキルシクロアルキル」は、2つの部分:アルキルおよびシクロアルキルを含有する。故に、C1〜6アルキルシクロアルキルにおけるC1〜6−接頭辞は、アルキルシクロアルキルのアルキル部分が1から6個までの炭素原子を含有することを意味し、C1〜6−接頭辞はシクロアルキル部分について記述するものではない。さらに例証すると、ハロアルコキシアルキルにおける接頭辞「ハロ」は、アルコキシアルキル置換基のアルコキシ部分だけが1個または複数のハロゲン置換基で置換されていることを示す。ハロゲン置換がアルキル部分においてのみ発生する場合、置換基は「アルコキシハロアルキル」と記述されることになる。ハロゲン置換がアルキル部分およびアルコキシ部分の両方において発生する場合、置換基は「ハロアルコキシハロアルキル」と記述されることになる。
【0078】
置換基がある群から「独立に選択される」と記述される場合、各置換基は互いに独立して選択される。したがって、各置換基は他の置換基(複数可)と同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0079】
本明細書において使用される場合、用語「式I」は以後「本発明の化合物(複数可)」と称される。そのような用語は、その水和物、溶媒和物、異性体、結晶および非結晶形態、同形、多形、ならびに代謝産物を包含する、式Iの化合物のすべての形態を包含するようにも定義される。
【0080】
異性体
以後、本発明の化合物と称される式Iの化合物中に不斉中心が存在する場合、化合物は光学異性体(鏡像異性体)の形態で存在し得る。一実施形態において、本発明は、式Iの化合物の鏡像異性体およびラセミ混合物を包含する混合物を含む。別の実施形態において、複数の不斉中心を含有する式Iの化合物について、本発明は、化合物のジアステレオ異性形態(個々のジアステレオマーおよびその混合物)を含む。式Iの化合物がアルケニル基または部分を含有する場合、幾何異性体が生じ得る。
【0081】
互変異性形態
本発明は、式Iの化合物の互変異性形態を含む。構造異性体が低エネルギー障壁を介して相互変換可能である場合、互変異性化(「互変異性」)が発生し得る。これは、例えば、イミノ、ケトもしくはオキシム基を含有する式Iの化合物中ではプロトン互変異性の形態を、または、芳香族部分を含有する化合物中ではいわゆる原子価互変異性の形態をとり得る。要するに、単一の化合物が複数種の異性を呈し得るということになる。固体および液体形態の互変異性体の種々の比率は、分子上の種々の置換基、および化合物を単離するために使用される特定の結晶化技術に依存する。
【0082】

本発明の化合物は、無機または有機酸に由来する塩の形態で使用され得る。特定の化合物に応じて、化合物の塩は、異なる温度および湿度における薬学的安定性の増強、または水もしくは油中での望ましい溶解性等、該塩の物理的特性の1つまたは複数により、有利となり得る。いくつかの場合において、化合物の塩は、化合物の単離、精製および/または分割における助剤としても使用され得る。
【0083】
塩が患者に投与されることが意図されている場合(例えばインビトロ状況で使用されるのとは対照的に)、該塩は、好ましくは薬学的に許容できる。用語「薬学的に許容できる塩」は、式Iの化合物を、通例ヒトが消費するのにそのアニオンが適しているとみなされる酸またはそのカチオンが適しているとみなされる塩基と組み合わせることによって調製される塩を指す。薬学的に許容できる塩は、親化合物と比較して大きいその水溶解性のために、本発明の方法の生成物として特に有用である。医療で使用するために、本発明の化合物の塩は非毒性の「薬学的に許容できる塩」である。用語「薬学的に許容できる塩」内に包括される塩は、概して遊離塩基を適切な有機または無機酸と反応させることによって調製される、本発明の化合物の非毒性塩を指す。
【0084】
本発明の化合物の適切な薬学的に許容できる酸付加塩は、可能な場合、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、カルボン酸、スルホン酸および硫酸等の無機酸、ならびに酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イソチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、コハク酸、トルエンスルホン酸、酒石酸およびトリフルオロ酢酸等の有機酸に由来するものを包含する。適切な有機酸は、通例、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸およびスルホン酸クラスの有機酸を包含する。
【0085】
適切な有機酸の具体例は、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、ジグルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、グロクロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ピルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、アントラニル酸、ステアリン酸塩、サリチル酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、エンボン酸塩(パモ酸塩)、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パントテン酸塩、トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、スルファニル酸塩、シクロヘキシルアミノスルホン酸塩、アルゲン酸、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸塩、ガラクツロン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、酪酸塩、樟脳、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、グリコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、チオシアン酸塩およびウンデカン酸塩を包含する。
【0086】
さらに、本発明の化合物が酸性部分を担持する場合、適切な薬学的に許容できるその塩は、アルカリ金属塩、すなわちナトリウムまたはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩、および適切な有機配位子と形成された塩、例えば第四級アンモニウム塩を包含し得る。別の実施形態において、塩基塩は、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオールアミン塩、グリシン塩、リジン塩、メグルミン塩、オラミン塩、トロメタミン塩および亜鉛塩を包含する非毒性塩を形成する塩基から形成される。
【0087】
有機塩は、トロメタミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)およびプロカイン等の第二級、第三級または第四級アミン塩から作製され得る。塩基性窒素含有基は、低級アルキル(C〜C)ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、塩化、臭化およびヨウ化エチル、塩化、臭化およびヨウ化プロピル、ならびに塩化、臭化およびヨウ化ブチル)、硫酸ジアルキル(すなわち、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミル)、長鎖ハロゲン化物(すなわち、塩化、臭化およびヨウ化デシル、塩化、臭化およびヨウ化ラウリル、塩化、臭化およびヨウ化ミリスチル、ならびに塩化、臭化およびヨウ化ステアリル)、アリールアルキルハロゲン化物(すなわち、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)等の作用物質で四級化されていてよい。
【0088】
一実施形態において、酸および塩基のヘミ塩、例えばヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成され得る。
【0089】
同位体
本発明は、1個または複数の原子が、自然界において通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられているという事実を除き、式Iに列挙されているものと同一である同位体標識化合物も包含する。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例は、H、H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、32P、35S、18Fおよび36Cl等、それぞれ水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体を包含する。本発明の化合物、そのプロドラッグ、ならびに前述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する前記化合物のまたは前記プロドラッグの薬学的に許容できる塩は、本発明の範囲内である。本発明のある特定の同位体標識化合物、例えば、Hおよび14C等の放射性同位体が組み込まれた同位体標識化合物は、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわちH、および炭素−14、すなわち14C同位体は、それらの調製の容易さおよび検出性によって特に好ましい。さらに、重水素、すなわちH等のより重い同位体による置換は、より優れた代謝安定性から生じるある特定の治療上の利点、例えばインビボ半減期の増大または必要投薬量の低減をもたらすことができ、それ故、いくつかの状況においては好ましいことがある。本発明の式Iの同位体標識化合物およびそのプロドラッグは、概して、非同位体標識試薬を容易に入手可能な同位体標識試薬で代用することにより、以下のスキームならびに/または実施例および調製において開示されている手順を行うことによって調製できる。
【0090】
投与および投薬量
典型的には、本発明の化合物は、本明細書において記載されている通りの状態を治療するために有効な量で投与される。本発明の化合物は、任意の適切な経路により、そのような経路に適合された医薬組成物の形態で、意図されている治療に有効な用量で投与される。医学的状態の進行を治療するために必要となる化合物の治療有効用量は、医薬分野でよく知られている前臨床および臨床アプローチを使用して、当業者により容易に解明される。
【0091】
本発明の化合物は、経口的に投与され得る。経口投与には、化合物が胃腸管に入るような嚥下が含まれてもよく、または化合物が口から血流に直接入る口腔もしくは舌下投与を用いてもよい。
【0092】
別の実施形態において、本発明の化合物は、血流中、筋肉中または内臓器官中に直接投与されてもよい。非経口投与に適した手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下を包含する。非経口投与に適したデバイスは、針(顕微針を包含する)注射器、無針注射器および注入技術を包含する。
【0093】
別の実施形態において、本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所的に、すなわち、真皮にまたは経皮的に投与されてもよい。別の実施形態において、本発明の化合物は、鼻腔内にまたは吸入によって投与することもできる。別の実施形態において、本発明の化合物は、経直腸的にまたは経膣的に投与され得る。別の実施形態において、本発明の化合物は、目または耳へ直接投与されてもよい。
【0094】
化合物および/または化合物を含有する組成物の投薬レジメンは、患者の種類、年齢、体重、性別および医学的状態、状態の重症度、投与経路、ならびに用いられる特定の化合物の活性を包含する多様な要因に基づく。故に、投薬レジメンは広範にわたって変動し得る。1日当たり体重1キログラムにつき約0.01mgから約100mgまで程度の投薬量レベルが、上記で示した状態の治療において有用である。一実施形態において、本発明の化合物の(単回または分割用量で投与される)総日用量は、典型的には約0.01から約100mg/kgまでである。別の実施形態において、本発明の化合物の総日用量は、約0.1から約50mg/kgまでであり、別の実施形態において、約0.5から約30mg/kgまで(すなわち、体重1kg当たりの本発明の化合物mg)である。一実施形態において、投薬量は0.01から10mg/kg/日までである。別の実施形態において、投薬量は0.1から1.0mg/kg/日までである。投薬量単位組成物は、日用量を構成するような量またはその約量を含有し得る。多くの場合において、化合物の投与は、1日に複数回(典型的には4回以下)繰り返される。所望の場合、総日用量を増加させるために、典型的には1日に複数回用量が使用され得る。
【0095】
経口投与では、患者に対する投薬量の対症調整のために、組成物は、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、75.0、100、125、150、175、200、250および500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。薬剤は、典型的には、約0.01mgから約500mgまでの活性成分、または別の実施形態において、約1mgから約100mgまでの活性成分を含有する。静脈内では、用量は、定速注入中に約0.1から約10mg/kg/分までの範囲となり得る。
【0096】
本発明による適切な対象は、哺乳類対象を包含する。本発明による哺乳動物は、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、げっ歯類、ウサギ、霊長類等を包含するがこれらに限定されず、胎内哺乳動物を包括する。一実施形態において、ヒトは適切な対象である。ヒト対象は、いずれの性別であってもよく、任意の発達段階であってよい。
【0097】
薬剤の調製における使用
別の実施形態において、本発明は、本明細書において列挙されている状態の治療用薬剤の調製のための、1種または複数の本発明の化合物の使用を含む。
【0098】
医薬組成物
上記で言及した状態の治療のために、本発明の化合物を化合物自体として投与してよい。代替として、薬学的に許容できる塩は、親化合物と比較して大きいそれらの水溶解性のために、医学的用途に適している。
【0099】
別の実施形態において、本発明は、医薬組成物を含む。そのような医薬組成物は、薬学的に許容できる担体とともに提示される本発明の化合物を含む。担体は、固体、液体または両方であってよく、化合物とともに、0.05重量%から95重量%までの活性化合物を含有し得る単位用量組成物、例えば錠剤として製剤化され得る。本発明の化合物を、標的化可能な薬物担体として適切なポリマーとカップリングしてよい。他の薬理的活性物質も存在し得る。
【0100】
本発明の化合物は、任意の適切な経路により、好ましくはそのような経路に適合された医薬組成物の形態で、意図されている治療に有効な用量で投与され得る。活性化合物および組成物は、例えば、経口的に、経直腸的に、非経口的にまたは局所的に投与され得る。
【0101】
固体投薬形態の経口投与は、例えば、所定量の少なくとも1種の本発明の化合物をそれぞれ含有する、硬もしくは軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ剤または錠剤等の不連続単位で提示され得る。別の実施形態において、経口投与は、散剤または顆粒剤形態であってよい。別の実施形態において、経口投薬形態は、例えばロゼンジ剤等の舌下剤である。そのような固体剤形において、式Iの化合物は、通常、1種または複数のアジュバントと組み合わせられる。そのようなカプセル剤または錠剤は、制御放出製剤を含有し得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含み得るか、または腸溶コーティングして調製され得る。
【0102】
別の実施形態において、経口投与は、液体投薬形態であってよい。経口投与用の液体剤形は、例えば、当技術分野において一般に使用される不活性賦形剤(すなわち水)を含有する、薬学的に許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を包含する。そのような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味剤(例えば甘味剤)および/または着香剤等のアジュバントも含み得る。
【0103】
別の実施形態において、本発明は、非経口投薬形態を含む。「非経口投与」は、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、胸骨内注射および注入を包含する。注射用調製物(すなわち、滅菌注射用水溶液または油脂性懸濁液)は、適切な分散剤、湿潤剤および/または懸濁化剤を使用し、既知の技術によって製剤化され得る。
【0104】
別の実施形態において、本発明は、局所投薬形態を含む。「局所投与」は、例えば、経皮パッチもしくはイオントフォレーシスデバイスを介する等の経皮投与、眼内投与、または鼻腔内もしくは吸入投与を包含する。局所投与用の組成物は、例えば、局所ゲル剤、スプレー剤、軟膏剤およびクリーム剤も包含する。局所製剤は、皮膚または他の患部を介する活性成分の吸収または浸透を増強する化合物を包含し得る。本発明の化合物が経皮デバイスによって投与される場合、投与は、レザバーおよび多孔質膜式または固体マトリックス型のいずれかのパッチを使用して達成されることになる。この目的のための典型的な製剤は、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、撒布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚パッチ剤、ウエハー剤、移植片、スポンジ、繊維、絆創膏およびマイクロ乳剤を包含する。リポソームを使用してもよい。典型的な担体は、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールを包含する。浸透増強剤を組み込んでよく、例えば、J.Pharm.Sci.、88(10)、955〜958、FinninおよびMorgan著(1999年10月)を参照されたい。
【0105】
目への局所投与に適した製剤は、例えば、本発明の化合物を適切な担体に溶解または懸濁させた点眼剤を包含する。眼内または耳内投与に適した典型的な製剤は、等張のpH調整した滅菌生理食塩水中の微粒化懸濁液または溶液の滴の形態であってよい。眼内および耳内投与に適した他の製剤は、軟膏剤、生物分解性(すなわち、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生物分解性(すなわちシリコーン)移植片、ウエハー剤、レンズおよび微粒子、またはニオソームもしくはリポソーム等の小胞系を包含する。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えばジェランガム等のポリマーを、塩化ベンザルコニウム等の保存剤と一緒に組み込んでもよい。そのような製剤は、イオントフォレーシスによって送達することもできる。
【0106】
鼻腔内投与または吸入による投与のために、本発明の活性化合物は、好都合なことに、患者が圧搾するもしくは噴出させるポンプスプレー容器からの液剤もしくは懸濁剤の形態で、または、加圧容器もしくはネブライザーからのエアゾールスプレー提示物として、適切な推進剤を使用して送達される。鼻腔内投与に適した製剤は、典型的には、乾燥粉末吸入器から乾燥粉末(単独で、例えばラクトースとの乾式混和物中の混合物として、または例えばホスファチジルコリン等のリン脂質と混合された混合成分粒子としてのいずれか)の形態で、または、加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは、電気流体力学を使用して霧状ミストを生成する噴霧器)もしくはネブライザーからエアゾールスプレーとして、1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン等の適切な推進剤を使用してもしくは使用せずに、投与される。鼻腔内使用のために、粉末は、生体接着剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含み得る。
【0107】
別の実施形態において、本発明は、経直腸投薬形態を含む。そのような経直腸投薬形態は、例えば坐剤の形態であってよい。ココアバターが慣習的な坐剤基剤であるが、必要に応じて種々の代替物を使用してよい。
【0108】
薬学分野において既知である他の担体材料および投与モードを使用してもよい。本発明の医薬組成物は、有効な製剤および投与手順等、よく知られている調剤技術のいずれかによって調製できる。有効な製剤および投与手順に関する上記の考察は、当技術分野においてよく知られており、標準的な教科書において記載されている。薬物の製剤化については、例えば、Hoover,John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania、1975、Libermanら編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980、およびKibbeら編、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第3版)、American Pharmaceutical Association、Washington、1999において論じられている。
【0109】
共投与
本発明の化合物は、種々の状態または病状の治療において、単独で、または他の治療剤と組み合わせて使用され得る。本発明の化合物(複数可)および他の治療剤(複数可)は、同時に(同じ剤形中または別個の剤形中のいずれかで)または順次に投与され得る。例示的な治療剤は、例えば代謝型グルタミン酸受容体アゴニストであってよい。
【0110】
2種以上の化合物を「組み合わせて」投与することは、一方の存在が他方の生物学的作用を変化させる2種の化合物が、時間的に十分近接して投与されることを意味する。2種以上の化合物を、同時に、同時発生的にまたは順次に投与してよい。加えて、同時投与は、投与前に化合物を混合することによって、または同じ時点であるが異なる解剖学的部位に、もしくは異なる投与経路を使用して、化合物を投与することによって行われ得る。
【0111】
語句「同時発生的投与」、「共投与」、「同時投与」および「同時に投与される」は、化合物が組み合わせて投与されることを意味する。
【0112】
キット
本発明は、上記した治療方法を実施する上で使用するのに適したキットをさらに含む。一実施形態において、キットは、1種または複数の本発明の化合物を含む第一の剤形と、本発明の方法を行うのに十分な分量の投薬量のための容器とを含有する。
【0113】
別の実施形態において、本発明のキットは、1種または複数の本発明の化合物を含む。
【0114】
中間体
別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物を調製するために有用な新規中間体に関する。
【0115】
一般的合成スキーム
式Iの化合物は、有機化学分野において既知の合成方法、または当業者によく知られている修飾および誘導体化と一緒に、以下に記載する方法によって調製できる。本明細書において使用される出発材料は、市販されているか、または当技術分野において知られている常法(COMPENDIUM OF ORGANIC SYNTHETIC METHODS、I〜XII巻(Wiley−Interscience発行)等の標準的な参考図書において開示されている方法等)によって調製できる。好ましい方法は、以下に記載するものを包含するがこれらに限定されない。
【0116】
下記の合成シーケンスのいずれかの間、関与する分子のいずれか上にある感応性または反応性基を保護することが必要である、および/または望ましい場合がある。これは、参照により本明細書に組み込まれる、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1981、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1991、ならびにT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1999において記載されているもの等の従来の保護基を利用して実現できる。
【0117】
式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩は、本明細書において以下で論じる反応スキームに従って調製できる。別段の指示がない限り、スキーム中の置換基は上記の通り定義される。生成物の単離および精製は、通常の技術を有する化学者に知られている標準的な手順によって達成される。
【0118】
スキーム、方法および実施例において使用されている種々の符号、上付き文字および下付き文字は、表現の利便性のため、および/またはそれらがスキームに導入される順序を反映させるために使用されるものであって、添付の請求項における符号、上付き文字または下付き文字と一致することを必ずしも意図しないことが、当業者には理解されよう。スキームは、本発明の化合物を合成する上で有用な方法の代表である。該スキームは、本発明の範囲を何ら制約するものではない。
【0119】
実験手順および実用的な実施例
下記は、本発明の種々の化合物の合成を例証するものである。本発明の範囲内の追加の化合物は、これらの実施例において例証される方法を、単独で、または当技術分野において一般に既知の技術と組み合わせてのいずれかで使用して調製できる。
【0120】
一般スキーム
【0121】
【化7】

スキーム1は、式1.8によって示される化合物を調製するための方法を例証するものである。この方法は、DMF、DMACまたはDMSO等の溶媒中、KCOまたはCsCO等の塩基の存在下で加熱することによる、式1.1のフッ化アリールへの式1.2の置換イミダゾールの添加を伴う。次いで、式1.3の対応するニトリルを、KOH水溶液で処理することによって加水分解して、式1.4のカルボン酸誘導体を生じさせる。代替として、式1.4のカルボン酸は、式1.5の4−フルオロベンズアルデヒド誘導体から出発し、フッ化アリール1.1へのイミダゾール1.2の添加について記載されているものと同様の手順を使用して調製できる。次いで、式1.6の対応する置換ベンズアルデヒドを、水中30%Hを使用して酸化して、式1.4のカルボン酸とする。次いで、式1.4のカルボン酸を、EDCIおよびHOBTまたは別の適切なカップリング試薬を使用して、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、式1.7のアミンとカップリングして、式1.8の対応するアミドを形成することができる。
【0122】
【化8】

【0123】
スキーム2は、式2.6によって示されるフェニルトリアゾール誘導体を調製するための方法を例証するものである。この方法は、式2.1のアニリン誘導体とHCl中のNaNOとの反応から開始し、続いてSnCl等の適切な還元剤で還元して、式2.2の対応するヒドラジンを生じさせる。次いで、式2.2のヒドラジンをチオアセチミック酸(thioacetimic acid)メチルエステル(2.3)と反応させ、続いてHC(OMe)およびピリジンの存在下で加熱して、式2.4のトリアゾール誘導体を生じさせる。次いで、MeOHまたはTHF等の溶媒中、KOHまたはLiOH等の塩基水溶液で処理することにより、式2.4の化合物のエステル官能基を加水分解して、式2.5の対応するカルボン酸誘導体を提供する。次いで、得られた式2.5の酸を、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、EDCIおよびHOBTまたは別の適切なカップリング試薬を使用する式1.8のアミンとのアミド結合カップリングに供して、式2.6の対応するアミドを形成する。
【0124】
【化9】

【0125】
スキーム3は、式3.5によって示されるアミド誘導体を調製するための方法を例証するものである。この方法は、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、EDCIおよびHOBTまたは別の適切なカップリング試薬を使用して、式3.3の対応するアミドを形成する、式3.1のカルボン酸と式3.2のアミンとのカップリングを伴う。次いで、式3.3の化合物を、式3.4のヨウ化アルキルまたは臭化アルキルもしくはアルキルトリフレート等の別の適切なアルキル化剤でアルキル化することができる。この反応は、DMF等の溶媒中、NaH、KCOまたはCsCO等の塩基の存在下で行われ得る。
【0126】
【化10】

【0127】
スキーム4は、式1.8によって示されるアミド誘導体を調製するための方法を例証するものである。この方法は、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、EDCIおよびHOBTまたは別の適切なカップリング試薬を使用して、式4.2の対応するアミドを形成する、式4.1のカルボン酸と式1.7のアミンとのカップリングを伴う。次いで、式4.2の化合物を、DMF、DMACまたはDMSO等の溶媒中、KCOまたはCsCO等の塩基の存在下で加熱することによる、イミダゾール1.2等の複素環での芳香族求核置換に供してよい。
【0128】
【化11】

【0129】
スキーム5は、式5.4の化合物を調製するための方法を例証するものである。この方法は、濃HBrおよび氷酢酸中の化合物3.1aの混合物を加熱することによる、式3.1aの化合物の脱メチル化を伴う。代替として、式3.1aの化合物の脱メチル化は、CHCl中のBBrを使用して行うことができる。次いで、式5.1の対応するカルボン酸を、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、EDCIおよびHOBTまたは別の適切なカップリング試薬を使用して式1.7のアミンとカップリングして、式5.2の対応するアミドを形成する。次いで、式5.2の化合物中のフェノール官能基を、DMFまたはCHCl等の溶媒中、KCO、CsCOまたはNaH等の塩基の存在下で撹拌することにより、式5.3のアルキルハロゲン化物でアルキル化することができる。代替として、式5.2の化合物を光延条件下でアルコール(ROH)と反応させて、式5.4の対応する化合物を提供する。この反応は、ジベンジルアゾジカルボキシレート、ジエチルアゾジカルボキシレートまたはジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート等のアゾジカルボキシレートおよびトリフェニルホスフィンの存在下で行われる。
【0130】
【化12】

【0131】
スキーム6は、式6.4によって示されるアミド誘導体を調製するための方法を例証するものである。この方法は、TBTUもしくはHATUまたは任意の他の適切なカップリング試薬を使用して、式6.2の対応するアミドを形成する、式3.1のカルボン酸と式6.1のアミンとのカップリングを伴う。次いで、式6.2の化合物内のアルケンまたはアルキン官能基に、式6.3のオキシムによる3+2双極性環状付加を受けさせてよい。この反応は、N−クロロスクシンイミドまたは次亜塩素酸ナトリウムおよびトリエチルアミン等の塩基の存在下で行われる。
【0132】
【化13】

【0133】
スキーム7は、当業者によく知られている方法を用いて、式7.3(n=0〜2)によって示されるアミド誘導体を調製するための方法を例証するものである。この方法は、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、EDCIおよびHOBTまたは別の適切なカップリング試薬を使用して、式7.2の対応するアミドを形成する、式3.1のカルボン酸と式7.1(n=0〜2)のアミンとのカップリングを伴う。式7.2の化合物を、パラジウム触媒根岸クロスカップリング条件[Acc.Chem.Res.、1982、15、340]下で式7.3の有機亜鉛試薬と反応させるか、またはZn(CN)とパラジウム触媒反応させて、式7.5の対応する化合物を得ることができる。代替として、式7.2の化合物を、パラジウム触媒鈴木クロスカップリング条件[Chem.Rev.、1995、95、2457]下で式7.4のボロン酸と反応させて、式7.5の対応する化合物を得ることができる。例えば、カップリングは、THF、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エタノール(EtOH)またはベンゼン等の溶媒中、炭酸水素ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウムまたはナトリウムエトキシド等の塩基の存在下、触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を使用して行うことができる。
【0134】
【化14】

【0135】
スキーム8は、式8.6および8.8の化合物を調製するための方法を例証するものである。スキーム5を参照すると、式3.1の化合物を、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、EDCIおよびHOBTまたは別の適切なカップリング試薬を使用して、(S)−ピロリジン−3−オール(8.2)等のアミンと反応させて、式8.3の対応するアミドを形成することができる。式8.4または8.5のアルキルハロゲン化物への式8.3の化合物の添加により、式8.6の対応する化合物が提供される。この反応は、通例、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド等の塩基の存在下で行われる。この反応に適した溶媒は、THF、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、DMF、NMPおよびDMSO、またはこれらの溶媒の2種以上の組合せを包含する。代替として、式8.3の化合物を、光延条件下で式8.7のアルコール(ROH)と反応させて、式8.8の対応する化合物を提供する。この反応は、ジベンジルアゾジカルボキシレート、ジエチルアゾジカルボキシレートまたはジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート等のアゾジカルボキシレートおよびトリフェニルホスフィンの存在下で行われる。
【0136】
【化15】

【0137】
スキーム9は、式9.5の化合物を調製するための方法を例証するものである。式3.1の化合物を、CHCl等の溶媒中、EDCIまたは別の適切なカップリング試薬を使用して、N’−(2−アミノアセチル)ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルエステル(9.1)と反応させて、式9.2の対応するアミドを形成することができる。HClまたはTFA等の酸を使用する式9.2の化合物のBoc保護基の除去に続いて、EDCIを使用する式9.3のカルボン酸誘導体とのペプチドカップリング反応をして、式9.4の対応するアミドを生じさせる。次いで、式9.4の化合物に、POCl等の適切な脱水剤に暴露した際の脱水環化を受けさせて、化合物9.5を提供することができる。
【0138】
【化16】

【0139】
スキーム10は、式9.5の化合物を調製するための代替方法を例証するものである。式10.1の化合物を、CHCl等の溶媒中、EDCIまたは別の適切なカップリング試薬を使用して、式9.3のカルボン酸誘導体と反応させて、式10.2の対応するアミドを形成することができる。HClまたはTFA等の酸を使用する式10.2の化合物のBoc保護基の除去に続いて、式10.4の酸とのペプチドカップリング反応をして、式10.5の対応するアミドを生じさせる。式10.5の化合物を水素化分解に供してCBz保護基を除去して式10.6の化合物を提供し、これを今度はEDCIを使用してカルボン酸誘導体3.1とカップリングして、式9.4の化合物を生じさせる。次いで、スキーム9のように、式9.4の化合物に、POCl等の適切な脱水剤に暴露した際の脱水環化を受けさせて、化合物9.5を提供することができる。
【0140】
上記で示した本発明の中間化合物は、示されている特定の鏡像異性体に限定されず、すべての立体異性体およびその混合物も包含することが理解されよう。式Iの化合物は、式Iの化合物の中間体として使用され得ることも理解されよう。
【0141】
実験手順
実験は、通例、特に酸素感受性または水分感受性の試薬または中間体が用いられる場合には、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)下で行った。適切な場合には無水溶媒(通例、Aldrich Chemical Company、Milwaukee、WisconsinのSure−Seal(商標)製品)を包含する市販の溶媒および試薬を、通例さらに精製することなく使用した。質量分析データは、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)または大気圧化学イオン化(APCI)計測のいずれかにより報告する。核磁気共鳴(NMR)データの化学シフトは、用いた重水素化溶媒からの残存ピークを参照し、100万分の1(ppm、δ)で表す。
【実施例】
【0142】
(実施例1)
N−[2−(3−シアノフェニル)エチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(1)の合成
【0143】
【化17】

ステップ1.3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸の合成
A.3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾニトリルの合成。4−フルオロ−3−メトキシベンゾニトリル(98.2g、0.65mol)を、4−メチル−1H−イミダゾール(53.4g、0.65mol)および無水炭酸カリウム(138.2g、1mol、1.54当量)とジメチルホルムアミド(650mL)中で合わせ、反応混合物を135〜140℃(内部温度)で16時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、濾過し、塩をジクロロメタン(3×30mL)で洗浄した。合わせた濾液を真空蒸発させて褐色半固体を生じさせ、これを水(500mL)に懸濁させ、5℃で24時間静置しておいた。混合物を濾過し、固体を氷水(2×50mL)で洗浄し、次いで真空乾燥させて、黄色固体(105.5g)を生じさせた。メタノール(106mL)からの結晶化により、精製生成物(66.3g)を帯黄色結晶として得た。これらをアセトン(100mL)とともに5分間煮沸し、混合物を終夜冷却させておいた。混合物を濾過し、結晶をアセトン(2×10mL)で洗浄して、表題化合物を白色固体として生じさせた。収量:54.6g、0.256mmol、39%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.31 (d, J=1.0 Hz, 3H), 3.94 (s, 3H), 6.97
(m, 1H), 7.30 (m, 1H), 7.37 (m, 2H), 7.79 (d, J=1.4 Hz, 1H).
【0144】
B.3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸の合成。メタノール(176mL)および水(88mL)中の3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾニトリル(46.9g、0.22mol)を、水酸化カリウム(85%、16.5g、0.25mol)で処理し、得られた溶液を72時間還流させた。溶液を真空濃縮して約100mLとし、得られた固体を濾過によって除去した。水(40mL)を濾液に添加し、次いでこれを少量の30%塩酸水溶液(約40mL)の添加によってpH5に酸性化した。得られた濃厚懸濁液を5分間加熱還流し、終夜冷却させておいた。混合物を濾過し、白色固体を水(3×20mL)で洗浄し、真空乾燥させて、表題化合物を白色粉末として生じさせた。収量:53.76g、0.231mmol、定量的。LCMS m/z 233.1 (M+1).1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 2.36 (d, J=1.0 Hz, 3H), 3.97 (s, 3H), 7.43
(m, 1H), 7.56 (d, J=8.2 Hz, 1H), 7.76 (dd, J=8.1, 1.7 Hz, 1H), 7.84 (d, J=1.6
Hz, 1H), 8.66 (d, J=1.5 Hz, 1H).
【0145】
ステップ2.N−[2−(3−ブロモフェニル)エチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミドの合成
2−(3−ブロモフェニル)エタンアミン(427mg、2.14mmol)を、3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸(517mg、2.14mmol)およびO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU、1.00g、2.56mmol)とジメチルホルムアミド(4.27mL)およびジイソプロピルエチルアミン(0.76mL、4.3mmol)中で合わせ、得られた懸濁液を室温で18時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルと水とに分配し、水層を酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:酢酸エチル中0%から5%の[メタノール中2Mアンモニア])によって2回精製し、次いでHPLC精製(カラム:PhenomenexジェミニC18、移動相A:水中0.1%水酸化アンモニウム、移動相B:アセトニトリル中0.1%水酸化アンモニウム、勾配:50%Bから80%B)に供して、表題化合物を油として得た。収量:360mg、0.869mmol、41%。LCMS m/z 416.1 (M+1).1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 2.24 (d, J=1.0 Hz, 3H), 2.92 (t, J=7.1 Hz,
2H), 3.61 (t, J=7.2 Hz, 2H), 3.92 (s, 3H), 7.11 (m, 1H), 7.18-7.25 (m, 2H),
7.36 (ddd, J=7.4, 1.9, 1.9 Hz, 1H), 7.40-7.47 (m, 3H), 7.57 (d, J=1.8 Hz, 1H),
7.85 (d, J=1.4 Hz, 1H).
【0146】
ステップ3.N−[2−(3−シアノフェニル)エチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(1)の合成
シアン化亜鉛(85%、106mg、0.77mmol)および化合物N−[2−(3−ブロモフェニル)エチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(310mg、0.748mmol)をジメチルホルムアミド(10mL)と混合し、5分間脱気した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(43mg、0.037mmol)を添加し、溶液を追加で10分間脱気し、次いで100℃で18時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水(20mL)、1N水酸化ナトリウム水溶液(10mL)および酢酸エチル(10mL)で処理した。水層を酢酸エチル(2×10mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:酢酸エチル中0%から5%の[メタノール中2Mアンモニア])による精製により、表題化合物を固体として得た。収量:170mg、0.472mmol、63%。LCMS m/z 361.5 (M+1).1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.25 (s, 3H), 3.00 (t, J=7.1 Hz, 2H), 3.71
(br dt, J=6.7, 6.7 Hz, 2H), 3.87 (s, 3H), 6.93 (s, 1H), 7.07 (br t, J=6 Hz,
1H), 7.24 (d, J=8.1 Hz, 1H), 7.31 (dd, J=8.1, 1.7 Hz, 1H), 7.41 (dd, J=8, 8 Hz,
1H), 7.48-7.52 (m, 3H), 7.57 (d, J=1.7 Hz, 1H), 7.65 (br s, 1H).
【0147】
(実施例2)
N−[2−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシプロピル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(2)の合成
【0148】
【化18】

ステップ1.N−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミドの合成
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸[実施例1]、(500mg、2.15mmol)、2−アミノ−1−(4−クロロフェニル)エタノン(444mg、2.15mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、0.911g、2.32mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.5mL、0.86mmol)を、ジメチルホルムアミド(10mL)中で合わせた。混合物を室温で16時間撹拌し、次いで飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200mL)で希釈し、酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2×200mL)、水(2×200mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(150mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相A:酢酸エチル、移動相B:1:9 [メタノール中2Nアンモニア]:酢酸エチル、勾配:0%〜70%B)によって精製して、表題化合物を白色固体として得た。収量:546mg、1.42mmol、66%。LCMS m/z 384.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.31 (d, J=1.0 Hz, 3H), 3.94 (s, 3H), 4.94
(d, J=4.3 Hz, 2H), 6.98 (m, 1H), 7.33-7.36 (m, 2H), 7.48 (dd, J=8.1, 1.8 Hz,
1H), 7.52 (br d, J=8.9 Hz, 2H), 7.63 (d, J=1.8 Hz, 1H), 7.79 (d, J=1.4 Hz, 1H),
7.99 (br d, J=8.8 Hz, 2H).
【0149】
ステップ2.N−[2−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシプロピル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(2)の合成
テトラヒドロフラン中の臭化メチルマグネシウムの3M溶液(1.32mL、3.96mmol)を、テトラヒドロフラン(5mL)中のN−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(152mg、0.396mmol)の溶液に10分間かけて添加した。反応物を室温で2時間撹拌したら、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を添加した。混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(移動相A:酢酸エチル、移動相B:1:9 [メタノール中2Nアンモニア]:酢酸エチル、勾配:0%〜70%B)による精製により、表題化合物を透明ガム状物として生じさせた。収量:15mg、0.038mmol、10%。LCMS m/z 400.3 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.61 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 3.73 (dd,
J=14.0, 5.8 Hz, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.87 (m, 1H), 6.88-6.91 (m, 2H), 7.11-7.16
(m, 2H), 7.32 (br d, J=8.6 Hz, 2H), 7.44-7.48 (m, 3H), 7.54 (br s, 1H).
【0150】
(実施例3)
N−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)ベンズアミド(3)の合成
【0151】
【化19】

ステップ1.3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアルデヒドの合成
4−フルオロ−3−メトキシベンズアルデヒド(85g、0.55mol)、4−メチル−1H−イミダゾール(90.5g、1.1mol)および炭酸セシウム(268.8g、0.82mol)をジメチルホルムアミド(1.7L)中で合わせ、100℃で1時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、濾過し、濾液を真空濃縮した。残留物を水(2L)に溶解し、酢酸エチル(3×2L)で抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(溶離液:2:1 石油エーテル:酢酸エチル)により黄色固体を生じさせ、これを酢酸エチル(300mL)から再結晶させて、表題化合物を白色固体として得た。収量:17.8g、0.082mol、15%。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.31 (d, J=1.0 Hz, 3H), 3.97 (s, 3H), 7.01
(m, 1H), 7.45 (d, J=7.8 Hz, 1H), 7.54-7.58 (m, 2H), 7.83 (d, J=1.3 Hz, 1H),
10.01 (s, 1H).
【0152】
ステップ2.3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸、塩酸塩の合成
過酸化水素水溶液(30%、18.9mL)を、65℃のMeOH(38mL)および水(6.6mL)中の3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアルデヒド(5.0g、20.0mmol)および水酸化カリウム(6.1g、92.5mmol)の溶液に、20分間かけて滴下添加した。添加完了に続いて、反応物を室温にて追加で25分間撹拌した。次いで、反応物を室温に冷却させ、濃HClで酸性化した。得られた沈澱物を濾過して、表題化合物を白色固体として得た。収量:4.6g、17.1mmol、74%。MS (APCI) m/z 232.9 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD)
δ 2.45 (br s, 3H), 4.00 (s,
3H), 7.65 (br s, 1H), 7.67 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.82 (dd, J=8.3, 1.6 Hz, 1H),
7.89 (d, J=1.6 Hz, 1H), 9.24 (d, J=1.6 Hz, 1H).
【0153】
ステップ3.3−ヒドロキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸、臭化水素酸塩の合成
臭化水素酸水溶液(48%、25mL)および酢酸(25mL)を、3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸、塩酸塩(2.0g、7.4mmol)で満たしたフラスコに添加し、得られたスラリーを72時間加熱還流(浴温150℃)した。反応物を室温に冷却させ、次いで氷浴中でさらに冷却し、沈澱物の形成をもたらした。氷冷水(10mL)を添加し、固体を濾過によって単離し、追加の氷冷水(10mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて、表題化合物を白色固体として生じさせた。収量:2.245g、7.50mmol、定量的。LCMS m/z 219.2 (M+1). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 2.35 (d, J=1.2 Hz, 3H), 7.55
(dd, J=8.2, 1.8 Hz, 1H), 7.64 (d, J=8.3 Hz, 1H), 7.71 (d, J=1.8 Hz, 1H), 7.80
(m, 1H), 9.41 (d, J=1.7 Hz, 1H), 11.21 (s, 1H), 13.3 (br s, 1H).
【0154】
ステップ4.N−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミドの合成
先の実験からの3−ヒドロキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸、臭化水素酸塩(300mg、1.00mmol)を、2−(3−クロロフェニル)エタンアミン(321mg、2.06mmol)、1H−ベンゾトリアゾール−1−オール(HOBT、279mg、2.06mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.94mL、5.50mmol)とジメチルホルムアミド(6.9mL)中で合わせ、混合物を溶解するまで撹拌した。N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、320mg、2.06mmol)を添加し、反応物を18時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(移動相A:酢酸エチル、移動相B:9:1 酢酸エチル:[メタノール中2Mアンモニア]、勾配:50%Bから100%B)により、表題化合物を生じさせた。収量:280mg、0.787mmol、77%。LCMS m/z 356.1, 358.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD)
δ 2.24 (br s, 3H), 2.91 (t,
J=7.3 Hz, 2H), 3.58 (t, J=7.3 Hz, 2H), 7.16-7.22 (m, 3H), 7.25-7.30 (m, 3H),
7.37 (d, J=8.3 Hz, 1H), 7.44 (d, J=1.9 Hz, 1H), 7.94 (d, J=1.2 Hz, 1H).
【0155】
ステップ5.N−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−3−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)ベンズアミド(3)の合成
3−ブロモプロパ−1−イン(トルエン中80%、57μL、0.57mmol)を、ジメチルホルムアミド(2.9mL)中のN−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−3−ヒドロキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(102mg、0.287mmol)および炭酸カリウム(99mg、0.72mmol)の混合物に添加し、反応物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)に注ぎ入れ、水(20mL)およびブライン(3×20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(移動相A:酢酸エチル、移動相B:9:1 酢酸エチル:[メタノール中2Mアンモニア]、勾配:0%から50%B)により、表題化合物を生じさせた。収量:70mg、0.18mmol、63%。LCMS m/z 394.2 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.29 (d, J=1.0 Hz, 3H), 2.54 (t, J=2.4 Hz,
1H), 2.95 (t, J=6.9 Hz, 2H), 3.73 (dt, J=6.0, 6.9 Hz, 2H), 4.78 (d, J=2.4 Hz,
2H), 6.32 (br t, J=6 Hz, 1H), 6.96 (m, 1H), 7.14 (m, 1H), 7.23-7.28 (m, 3H),
7.29-7.31 (m, 2H), 7.65 (m, 1H), 7.74 (d, J=1.3 Hz, 1H).
【0156】
(実施例4)
N−{[3−(3−クロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(4)の合成
【0157】
【化20】

ステップ1.3−クロロベンズアルデヒドオキシムの合成
ヒドロキシルアミン塩酸塩(593mg、8.54mmol)を、ピリジン(4mL)中の3−クロロベンズアルデヒド(0.81mL、7.1mmol)の溶液に添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮し、残留物を10%炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルとに分配した。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を減圧下で濃縮して表題化合物(ピリジンが混入しているもの)を生じさせ、これを精製することなく以下のステップ3において使用した。収量:1.5g、定量的と推定。1H NMR (500 MHz, CD3OD), 生成物のピークのみ: δ 7.33-7.35 (m, 2H), 7.48 (m, 1H), 7.61 (m, 1H), 8.05 (s, 1H).
【0158】
ステップ2.3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−プロパ−2−イン−1−イルベンズアミドの合成
ピリジン(550μL、6.8mmol)およびO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU、1.32g、4.11mmol)を、ジメチルホルムアミド(10mL)中の3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸塩酸塩[実施例3]、(795mg、3.00mmol)およびプロパ−2−イン−1−アミン(263μL、4.11mmol)の混合物に添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌したら、高真空Genevac HT−4システムを使用してそれを濃縮して、ピリジンおよび1H−ベンゾトリアゾール−1−オールが混入している粗製の表題化合物を得た。定量的と推定。LCMS m/z 270.3 (M+1). 1H NMR (500 MHz, CD3OD),
生成物のピークのみ: δ 2.44 (d, J=1.1 Hz, 3H), 2.64 (t, J=2.6 Hz,
1H), 4.00 (s, 3H), 4.19 (d, J=2.4 Hz, 2H), 7.61-7.63 (m, 2H), 7.66 (d, J=8.3
Hz, 1H), 7.75 (m, 1H), 9.20 (d, J=1.6 Hz, 1H).
【0159】
ステップ3.N−{[3−(3−クロロフェニル)イソオキサゾール−5−イル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(4)の合成
N−クロロコハク酸イミド(99.6mg、0.746mmol)を、ジクロロメタン(15mL)中の3−クロロベンズアルデヒドオキシム(116mg、<0.746mmol)の溶液に添加し、得られた溶液を室温で1時間撹拌した。前ステップからの3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−プロパ−2−イン−1−イルベンズアミド(取得された生成物の22%、0.67mmol)を、ジクロロメタン(8mL)中の溶液として添加し、続いてトリエチルアミン(0.104mL、0.746mmol)を滴下添加した。反応物を室温で18時間撹拌したら、それを重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチした。反応混合物をジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をジメチルスルホキシド(4mL)に溶解し、HPLC(カラム:WatersクロスブリッジC18、5μm、移動相A:水中0.1%トリフルオロ酢酸、移動相B:アセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸、勾配:5%Bから50%B)によって精製して、表題化合物を無色液体として生じさせた。2つのステップにわたって収量15mg、0.035mmol、5%。LCMS m/z 423.6, 425.6 (M+1). 1H NMR (500 MHz, CD3OD)
δ 2.25 (d, J=1.0 Hz, 3H), 3.97
(s, 3H), 4.78 (s, 2H), 6.83 (m, 1H), 7.15 (m, 1H), 7.45-7.50 (m, 3H), 7.60 (dd,
J=8.2, 1.8 Hz, 1H), 7.72 (d, J=1.7 Hz, 1H), 7.77 (m, 1H), 7.87 (m, 1H), 7.91
(d, J=1.3 Hz, 1H).
【0160】
(実施例5)
N−{[5−(3−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(5)の合成
【0161】
【化21】

ステップ1.tert−ブチル2−(アミノアセチル)ヒドラジンカルボキシレートの合成
A.tert−ブチル2−({[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}アセチル)ヒドラジンカルボキシレートの合成。N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、4.12g、21.5mmol)を、ジクロロメタン(50mL)中のN−[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシン(3.00g、14.3mmol)およびtert−ブチルヒドラジンカルボキシレート(2.65g、20.0mmol)の溶液に添加した。反応混合物を室温で6時間撹拌したら、それを飽和重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中50%から75%酢酸エチル)により、表題化合物を白色ガム状物として得た。収量:2.26g、7.00mmol、49%。LCMS m/z 322.1 (M-1). 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.46 (s, 9H), 3.94 (br d, J=5.9 Hz, 2H),
5.13 (s, 2H), 7.35 (m, 5H).
【0162】
B.tert−ブチル2−(アミノアセチル)ヒドラジンカルボキシレートの合成。10%パラジウム炭素(300mg)を、メタノール(25mL)中のtert−ブチル2−({[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}アセチル)−ヒドラジンカルボキシレート(2.26g、7.00mmol)の溶液に添加し、混合物を50psiで3時間水素化した。次いで、反応混合物をセライトに通して濾過し、メタノールで洗浄し、合わせた濾液を真空濃縮して、表題化合物を薄灰色固体として生じさせた。収量:1.28g、6.76mmol、97%。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.49 (s, 9H), 3.50 (br s, 2H).
【0163】
ステップ2.tert−ブチル2−({[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾイル]アミノ}アセチル)ヒドラジンカルボキシレートの合成
N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、1.69g、8.82mmol)を、ジクロロメタン(30mL)中の3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸[実施例1](1.57g、6.76mmol)およびtert−ブチル2−(アミノアセチル)ヒドラジンカルボキシレート(1.28g、6.76mmol)の溶液に添加した。反応物を室温で18時間撹拌したら、それを飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して表題化合物を提供し、これを精製することなく次のステップにおいて使用した。収量:2.26g、5.60mmol、83%。MS (APCI) m/z 401.8 (M-1). 1H NMR (500 MHz, CDCl3)
δ 1.47 (s, 9H), 2.29 (br s,
3H), 3.89 (s, 3H), 4.22 (d, J=5.5 Hz, 2H), 6.60 (br s, 1H), 6.92 (s, 1H), 7.24
(d, J=8.1 Hz, 1H), 7.40 (dd, J=8.1, 1.7 Hz, 1H), 7.56 (br s, 1H), 7.74 (br s,
1H).
【0164】
ステップ3.N−(2−ヒドラジノ−2−オキソエチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド、塩酸塩の合成
tert−ブチル2−({[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾイル]アミノ}アセチル)ヒドラジンカルボキシレート(2.26g、5.60mmol)で満たしたフラスコに、エタノール中塩化水素の5%溶液(20mL)を添加した。反応物を室温で18時間撹拌したら、それを減圧下で濃縮して、表題化合物を白色固体として生じさせた。収量:1.754g、5.16mmol、92%。MS (APCI) m/z 301.8 (M-1). 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6)
δ 2.36 (d, J=1.1 Hz, 3H), 3.95
(s, 3H), 4.05 (d, J=5.9 Hz, 2H), 7.68 (dd, J=8.2, 1.6 Hz, 1H), 7.72 (d, J=8.3
Hz, 1H), 7.78 (m, 1H), 7.85 (d, J=1.6 Hz, 1H), 9.34 (br t, J=5.9 Hz, 1H), 9.44
(d, J=1.6 Hz, 1H), 11.28 (s, 1H).
【0165】
ステップ4.N−{2−[2−(3−クロロベンゾイル)ヒドラジノ]−2−オキソエチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド)の合成
N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、333mg、1.74mmol)を、ジメチルホルムアミド(10mL)中の、N−(2−ヒドラジノ−2−オキソエチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド、塩酸塩(351mg、1.03mmol)、3−クロロ安息香酸(217mg、1.39mmol)およびトリエチルアミン(0.484mL、3.47mmol)の溶液に添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌したら、それをジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液水およびブラインで洗浄した。沈澱物が形成され、これを濾過し、水およびジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、表題化合物を灰色粉末として得た。収量:194mg、0.439mmol、43%。LCMS m/z 442.6 (M+1). 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6)
δ 2.16 (br s, 3H), 3.91 (s,
3H), 4.03 (d, J=5.9 Hz, 2H), 7.21 (m, 1H), 7.50 (d, J=8.2 Hz, 1H), 7.53 (br d,
J=8 Hz, 1H), 7.59-7.64 (m, 2H), 7.72 (d, J=1.7 Hz, 1H), 7.83 (m, 1H), 7.86 (d,
J=1.2 Hz, 1H), 7.90 (m, 1H), 9.01 (br t, J=6 Hz, 1H).
【0166】
ステップ5.N−{[5−(3−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(5)
オキシ塩化リン(0.38mL、3.84mmol)を、アセトニトリル(3mL)中のN−{2−[2−(3−クロロベンゾイル)ヒドラジノ]−2−オキソエチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド)(73mg、0.16mmol)の溶液に添加し、混合物を100℃で2時間加熱した。反応物を室温に冷却させ、次いで真空濃縮した。残留物をジクロロメタンに溶解し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下で濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン中10%メタノール)により、表題化合物を灰色固体として生じさせた。収量:33mg、0.078mmol、49%。LCMS m/z 424.5, 426.5 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CD3OD)
δ 2.25 (d, J=1.0 Hz, 3H), 3.96
(s, 3H), 4.92 (s, 2H), 7.15 (m, 1H), 7.49 (d, J=8.2 Hz, 1H), 7.57 (dd, J=8.0,
7.7 Hz, 1H), 7.60-7.64 (m, 2H), 7.74 (d, J=1.8 Hz, 1H), 7.89 (d, J=1.4 Hz, 1H),
7.98 (ddd, J=7.7, 1.4, 1.4 Hz, 1H), 8.05 (dd, J=1.8, 1.8 Hz, 1H).
【0167】
(実施例6)
N−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−3−メトキシ−4−(3−メチル−[1,2,4]トリアゾール−1−イル)ベンズアミド(6)の合成
【0168】
【化22】

ステップ1.4−ヒドラジノ−3−メトキシ安息香酸メチルエステルの合成
濃HCl(620mL)中の4−アミノ−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(62g、0.342mol)の撹拌懸濁液に、HO(496mL)中のNaNO(24.8g、0.359mol)の溶液を−10℃で滴下添加した。添加完了後、反応混合物を0℃で1.5時間撹拌した。HO(248mL)および濃HCl(248mL)中のSnCl・2HO(247g、1.09mol)の溶液を、−10℃で滴下添加した。混合物を−10℃で1.5時間撹拌し、得られた白色沈殿物を濾過によって収集した。固体をEtOAc(200mL)に懸濁させ、混合物をKCOの飽和水溶液でpH12に塩基性化し、EtOAc(200mL×3)で抽出した。有機相をブライン(200mL×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた固体を石油エーテルで粉砕して表題化合物を生じさせ、これをさらに精製することなく次のステップにおいて直接使用した。収量:38.5g、196mmol、58%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.72 (s, 3H), 3.76 (s, 3H), 4.10 (s, 2H),
6.78 (s, 1H), 6.96 (d, J=8.4 Hz, 1 H), 7.22 (d, J=1.6 Hz, 1 H), 7.46 (dd,
J=8.4, 1.6Hz, 1 H).
【0169】
ステップ2.チオアセチミック酸メチルエステルの合成
MeI(19.0mL、0.306mol)を、アセトン(200mL)中のチオアセタミド(10.0g、0.133mol)の溶液に0℃で滴下添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌したら、溶媒を減圧下で除去した。残留物をEtOで洗浄し、固体を濾過によって収集して、表題化合物を黄色固体として生じさせ、これをさらに精製することなく次のステップにおいて直接使用した。収量:27.8g、312mmol、96%。
【0170】
ステップ3.3−メトキシ−4−(3−メチル[1,2,4]トリアゾール−1−イル)安息香酸メチルエステル
MeOH(385mL)中の4−ヒドラジノ−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(38.5g、0.196mol)の懸濁液に、チオアセチミック酸メチルエステル(42.7g、0.196mol)を添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌したら、溶媒を減圧下で除去した。トルエン(385mL)、HC(OMe)(188.7mL)およびピリジン(385mL)を添加し、反応混合物を100℃で終夜撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。得られた残留物をNaHCOの飽和水溶液に溶解し、混合物をEtOAc(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカ上でのクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル/EtOAc=20:1〜4:1)によって精製して、表題化合物を黄色固体として生じさせた。収量:20.0g、81.0mmol、41%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.44 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 3.95 (s, 3H),
7.68 (d, J=1.20Hz, 1H), 7.70 (d, J=8.4, 1.20 Hz, 1H), 7.86 (d, J=8.4 Hz, 1H),
8.76 (s, 1H).
【0171】
ステップ4.3−メトキシ−4−(3−メチル−[1,2,4]トリアゾール−1−イル)安息香酸
MeOH(300mL)中の3−メトキシ−4−(3−メチル[1,2,4]トリアゾール−1−イル)−安息香酸メチルエステル(20.0g、81.0mmol)の懸濁液に、HO(100mL)中のKOH(9.08g、0.16mol)の溶液を0℃で滴下添加した。反応混合物を室温に加温させ、終夜撹拌したら、溶媒を減圧下で除去した。残留物をHO(300mL)に溶解し、EtOAc(100mL×3)で洗浄した。水相をクエン酸の水溶液でpH3に酸性化し、沈殿物を濾過によって収集して、表題化合物を灰色固体として生じさせた。収量:12.5g、54.0mmol、66%。LCMS m/z 234.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, DMSO): δ2.32 (s, 3H), 3.93 (s, 3H), 7.63 (dd, J1=8.0,
1.6Hz, 1H), 7.68 (br. s 1H), 7.77 (d, J=8.0 Hz, 1H), 8.91 (s, 1H)
【0172】
ステップ5.N−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−3−メトキシ−4−(3−メチル−[1,2,4]トリアゾール−1−イル)−ベンズアミド(6)の合成
3−メトキシ−4−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)安息香酸(80mg、0.34mmol)を、2−(3−クロロフェニル)エタンアミン(53mg、0.34mmol)、1H−ベンゾトリアゾール−1−オール(HOBT、57mg、0.41mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.24mL、0.41mmol)とジメチルホルムアミド(1.5mL)中で合わせ、混合物をすべての固体が溶解するまで撹拌した。N−[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、83mg、0.41mmol)を添加し、反応物を室温で終夜撹拌した。反応物を水およびCHClで希釈し、層を分離した。水層をCHClで抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:酢酸エチル中3%から7%の[メタノール中2Mアンモニア])によって精製して、表題化合物を固体として生じさせた。収量:34mg、0.09mmol、27%。LCMS m/z 371.1, 373.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
δ 2.45 (s, 3H), 2.91 (t, J=6.9
Hz, 2H), 3.65-3.71 (複雑, 2H),
3.96 (s, 3H), 6.26 (m, 1H), 7.07-7.12 (m, 1H), 7.19-7.25 (複雑, 4H), 7.57 (s, 1H), 7.83 (d, J=8, 4 Hz,
1H), 8.72 (s, 1H).
【0173】
(実施例7)
3−フルオロ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−({4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}メチル)ベンズアミド、ギ酸塩(7)の合成
【0174】
【化23】

ステップ1.1−{4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}メタンアミンの合成
A.4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボニトリルの調製。[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトニトリル(40.7g、220mmol)およびビス(2−クロロエチル)エーテル(25.8mL、220mmol)を、ジメチルホルムアミド(800mL)に溶解した。水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液、17.58g、440mmol)を少量ずつ1.5時間かけて添加したため、反応物の温度は50〜55℃を超えなかった。添加完了後、反応物を55℃で2時間撹拌し、次いで室温で18時間撹拌した。過剰な水素化ナトリウムを、水素発生が止まるまで水の滴下添加によってゆっくり分解した。混合物を水(2L)で希釈し、酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(溶離液:四塩化炭素、次いで85:15 四塩化炭素:酢酸エチル)により、表題化合物を得た。収量:48g、188mmol、85%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 2.08-2.19 (m, 4H), 3.68 (ddd, J=11.5,
11.5, 2.9 Hz, 2H), 4.03 (m, 2H), 7.71 (dd, J=7.8, 7.8 Hz, 1H), 7.77 (br d,
J=7.8 Hz, 1H), 7.86 (br s, 1H), 7.90 (br d, J=7.8 Hz, 1H).
【0175】
B.1−{4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}メタンアミンの合成。アンモニア/メタノール混合物(825mL)中の4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボニトリル(55.9g、219mmol)の溶液をアルゴンでパージし、ラネーニッケル(30g)を添加した。反応混合物を水素でパージし、薄層クロマトグラフィーによってモニターしながら反応が完了するまで(約24時間)、水素バルーン下室温で撹拌した。反応混合物をセライトに通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(勾配:[1%ジエチルアミンを含有するクロロホルム]中0%から5%メタノール)により、表題化合物を生じさせた。収量:46.3g、179mmol、82%。LCMS m/z 260.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 1.86 (ddd, J=13.7, 8.8, 3.9
Hz, 2H), 2.02 (m, 2H), 2.69 (s, 2H), 3.36 (ddd, J=11.3, 8.6, 2.9 Hz, 2H), 3.68
(ddd, J=11.5, 6.4, 3.9 Hz, 2H), 7.58 (m, 3H), 7.65 (m, 1H).
【0176】
ステップ2.3,4−ジフルオロ−N−({4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}メチル)ベンズアミドの合成
1−{4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}メタンアミン(1.650g、6.36mmol)、3,4−ジフルオロ安息香酸(1.0g、6.3mmol)、1H−ベンゾトリアゾール−1−オール(HOBT、1.03g、7.62mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(4.42mL、25.4mmol)をジメチルホルムアミド(25mL)中で合わせ、混合物を溶解が完了するまで撹拌した。N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、1.46g、7.62mmol)を添加し、反応物を室温で18時間撹拌したら、それを重炭酸ナトリウム水溶液(150mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(60mL)およびブライン(60mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中30%から70%酢酸エチル)により、表題化合物を白色固体として生じさせた。収量:1.98g、4.95mmol、78%。LCMS m/z 398.2 (M-1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.01 (ABXX’パターンの半分, J=13.9, 7.6, 3.4 Hz, 2H), 2.14 (ABXX’パターンの半分, J=13.7, 6.7, 3.2 Hz, 2H), 3.62 (ddd, J=11.8, 7.6, 3.2 Hz, 2H),
3.70 (d, J=6.4 Hz, 2H), 3.89 (ddd, J=11.8, 6.8, 3.4 Hz, 2H), 5.64 (br t, J=6
Hz, 1H), 7.16 (m, 1H), 7.26 (m, 1H), 7.46 (ddd, J=10.5, 7.4, 2.0 Hz, 1H), 7.59
(m, 4H). 13C NMR (100 MHz, CDCl3) 部分的スペクトル: δ 33.44, 41.12, 48.76, 63.82, 116.66 (d, J=18 Hz), 117.51 (d, J=18
Hz), 122.86 (dd, J=7, 4 Hz), 123.26 (q, J= 4 Hz), 123.95 (q, J=4 Hz), 129.66,
129.93, 150.14 (dd, J=226, 13 Hz), 152.65 (dd, J=230, 13 Hz), 165.3.
【0177】
ステップ3.3−フルオロ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−({4−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}メチル)ベンズアミド、ギ酸塩(7)の合成
ジメチルスルホキシド(0.75mL)中の、3,4−ジフルオロ−N−({4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}メチル)ベンズアミド(150mg、0.376mmol)、4−メチル−1H−イミダゾール(61.7mg、0.751mmol)および炭酸カリウム(105mg、0.76mmol)の混合物を、130℃で18時間加熱した。室温に冷却後、反応物を水(30mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(40mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(勾配:酢酸エチル中30%から60%の[9:1 酢酸エチル:メタノール中2Mアンモニア])、続いて分取高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)精製(カラム:AgilentボーナスRP、5μm、移動相A:水中0.1%ギ酸、移動相B:アセトニトリル中0.1%ギ酸、勾配:5%Bから95%B)により、化合物をガム状物として生じさせた。収量:47mg、0.093mmol、25%。LCMS m/z 462.2 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.03 (m, 2H), 2.17 (m, 2H), 2.30 (s, 3H),
3.63 (m, 2H), 3.72 (d, J=6.4 Hz, 2H), 3.91 (m, 2H), 5.91 (br t, J=6 Hz, 1H),
7.01 (s, 1H), 7.37-7.43 (m, 2H), 7.55-7.61 (m, 5H), 7.89 (s, 1H), 8.20 (s,
<1H).
【0178】
(実施例8)
N−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−3−フルオロ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(8)の合成
【0179】
【化24】

ステップ1.3−フルオロ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアルデヒドの合成
4−メチル−1H−イミダゾール(1.67g、20.3mmol)および炭酸カリウム(3.52g、25.5mmol)を、ジメチルホルムアミド(25mL)中の3,4−ジフルオロベンズアルデヒド(2.24mL、20.4mmol)の溶液に添加した。混合物を110℃で18時間加熱したら、それを室温に冷却させた。反応物を重炭酸ナトリウム水溶液(150mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(60mL)およびブライン(60mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、残留物を提供した。シリカ上でのクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中70%から100%酢酸エチル)により、表題化合物を白色固体として得た。収量:88mg、0.43mmol、2%。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.30 (d, J=1 Hz, 3H), 7.07 (m, 1H), 7.56
(dd, J=7.6, 7.6 Hz, 1H), 7.76-7.79 (m, 2H), 7.85 (m, 1H), 9.99 (d, J=1.9 Hz,
1H).
【0180】
ステップ2.N−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−3−フルオロ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(8)の合成
3−フルオロ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアルデヒド(88mg、0.43mmol)を、メタノール(0.71mL)および水(0.12mL)中の水酸化カリウム(85%、114mg、1.7mmol)の溶液に添加し、得られた溶液を65℃に加熱したら、過酸化水素水溶液(30%、0.35mL、3.4mmol)を20分間かけて滴下添加した。添加完了に続いて、反応物を65℃にて追加で25分間撹拌したら、それを室温に冷却させ、濃塩酸で酸性化した。この段階での濾過による生成物の単離は失敗であったため、混合物を水(10mL)で希釈し、1N水酸化ナトリウム水溶液でpHを4に調整した。これを真空濃縮して、3−フルオロ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸および無機塩の混合物を白色固体として得た。LCMS m/z 221.2 (M+1).この混合物を、ジメチルホルムアミド(4.3mL)中で、2−(3−クロロフェニル)エタンアミン(0.181mL、1.29mmol)、1H−ベンゾトリアゾール−1−オール(HOBT、174mg、1.29mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.524mL、3.01mmol)と合わせた。N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、247mg、1.29mmol)を添加し、反応物を66時間撹拌したら、それを水(50mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(移動相A:酢酸エチル、移動相B:9:1 酢酸エチル/[メタノール中2Mアンモニア]、勾配:0%Bから50%B)により、表題化合物を固体として提供した。収量:90mg、0.25mmol、58%。LCMS m/z 358.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.31 (s, 3H), 2.94 (t, J=6.9 Hz, 2H), 3.73
(dt, 見かけq, J=6.2, 6.7 Hz, 2H),
6.25 (br s, 1H), 7.02 (br s, 1H), 7.13 (br d, J=6.8 Hz, 1H), 7.24-7.28 (m, 3H),
7.42 (dd, J=7.8, 7.8 Hz, 1H), 7.55 (br d, J=8.3 Hz, 1H), 7.66 (dd, J=11.4, 1.9
Hz, 1H), 7.78 (br s, 1H).
【0181】
ELISA読み出しによる細胞ベースのγ−セクレターゼアッセイ
ヒトWT−APP過剰発現CHO細胞を使用して、アミロイドベータタンパク質Aβ(1〜42)の産生を調節する化合物の能力を決定した。細胞を、DMEM/F12ベースの培地中の96ウェル組織培養処理透明プレート(Falcon)内、22,000細胞/100μLウェルで平板培養し、37℃で24時間インキュベートした。試験用の化合物を100%DMSO中で希釈して、IC50決定のための11点半対数用量応答を実現した。化合物を新鮮培地中に添加して、1%の最終DMSOを実現した。適切なビヒクルおよび阻害剤対照を添加して、アッセイについての最大および最小阻害値を取得した後、プレートを37℃で約24時間インキュベートした。
【0182】
0.1M NaHCO(pH9.0)中(4μg/mL)の組織内Aβ(1〜42)特異抗体50μL/ウェルの、黒色384ウェルMaxisorp(登録商標)プレート(Nunc)への添加によってELISAアッセイプレートのコーティングを開始し、4℃で終夜インキュベートした。次いで、捕捉抗体をELISAアッセイプレートから吸引し、100μL/ウェルのブロッキング緩衝液(ダルベッコのPBS、1.5%BSA(Sigma A7030))を添加した。周囲温度でのインキュベーションを最低でも2時間進行させた後、洗浄緩衝液(ダルベッコPBS、0.05%ツイン20)100μLで2回洗浄した。次いで、アッセイ緩衝液(ダルベッコPBS、1.0%BSA(Sigma A7030)、0.05%ツイン20)を20μL/ウェル添加した。
【0183】
37℃、5%COで終夜インキュベーション後、40μL(2連で)の実験用の馴化培地を、捕捉抗体を含有するブロックしたELSIAプレートのウェルに移し、続いて4℃で終夜インキュベーションした。メーカーの指示に従って比色分析細胞増殖アッセイ(CellTiter96(登録商標)AQueous1溶液細胞増殖アッセイ、Promega)により、Aβ(1〜42)アッセイの培地を除去後、対応する細胞中で細胞毒性を計測した。
【0184】
ELISAアッセイプレートの4℃での終夜のインキュベーション後、洗浄緩衝液で徹底的に(4×100μL)洗浄して非結合Aβペプチドを除去した。ユーロピウム(Eu)標識(カスタム標識、Perkin Elmer)Aβ(1〜16)6e10モノクローナル抗体(Covance 品番SIG−39320(50μL/ウェルEu−6e10を1:5000で、20uMのEDTA)をアッセイ緩衝液中に添加した。周囲温度で最低でも2時間のインキュベーション、続いて洗浄緩衝液による(4×100μL)洗浄の後、50μL/ウェルのデルフィアエンハンスメント溶液(Perkin Elmer)を添加した。1時間の周囲温度でのインキュベーションに続いて、標準的なDELFIA TRF設定を使用するエンビジョンプレートリーダー(Perkin Elmer)でプレートを読み取った。阻害IC50決定を包含するデータ分析は、非線形回帰当てはめ分析(インハウスソフトウェア)、ならびに最大および最小阻害対照の適切なプレート平均値を使用して実施した。
【0185】
【表1】

【0186】
表2中の化合物は、化合物1〜8について記載されている方法に類似する方法によって調製した。表2中の化合物の合成において使用されるアミンカップリングパートナーは、市販されているもしくは文献において既知のいずれかであるか、または当業者に既知の方法によって調製できる。
【0187】
5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン鏡像異性体1および2の合成
【0188】
【化25】

ステップ1.メチル5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾエートの合成
濃硫酸(20mL)を、メタノール(500mL)中の5−クロロサリチル酸(50g、290mmol)の懸濁液に添加し、混合物を5日間還流させた。反応物を減圧下で濃縮し、残留物をEtO(500mL)に溶解した。得られた混合物を、0℃に冷却したNaHCOの飽和水溶液(400mL)に注ぎ入れ、層を分離した。水層をEtO(2×400mL)で抽出し、合わせた有機層をNaHCOの飽和水溶液およびブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して、表題化合物を白色固体として生じさせた。収量:49.5g、265mmol、91%。
【0189】
ステップ2.メチル5−クロロ−2−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)ベンゾエートの合成
ブロモ酢酸エチル(30mL、265mmol)を、アセトン(1.0L)中のメチル5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾエート(49.5g、265mmol)およびKCO(128g、929mmol)の懸濁液に添加した。混合物を終夜還流させたら、反応物を室温に冷却させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をCHClに溶解した。得られた溶液を水で2回洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して、表題化合物を赤色ロウとして生じさせた。収量:55g、202mmol、76%。
【0190】
ステップ3.5−クロロ−1−ベンゾフラン−3(2H)−オンの合成
KOt−Bu(48.1g、429mmol)を、0℃のTHF(2L)中のメチル5−クロロ−2−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)ベンゾエート(46.8g、171mmol)の溶液に、小分けにして添加した。混合物を0℃で2時間撹拌したら、NHClの飽和水溶液(500mL)、続いてEtOAc(500mL)を添加した。層を分離し、水層をEtOAc(2×1L)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、表題化合物とエチル5−クロロ−3−ヒドロキシ−1−ベンゾフラン−2−カルボキシレートとの混合物を得た。この混合物をDMSO(260mL)および水(450mL)に溶解し、LiOH・HO(33.0g、803mmol)を添加した。反応物を70℃で3時間、次いで室温で終夜撹拌した。混合物をHClの10%水溶液(1L)に注ぎ入れると固体沈殿物が形成され、これを濾過によって収集し、水で洗浄した。固体材料をEtOに溶解し、水で洗浄した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%から40%酢酸エチル)により、表題化合物を赤色固体として得た。収量:2ステップにわたって19.6g、117mmol、68%。
【0191】
ステップ4.5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−オールの合成
NaBH(1.68g、44mmol)を、0℃のMeOH(600mL)中の5−クロロ−1−ベンゾフラン−3(2H)−オン(9.93g、59.1mmol)の溶液に添加した。混合物を0℃で2時間および室温で2時間撹拌したら、水(500mL)を添加した。反応混合物を減圧下で濃縮して、MeOHのほとんどを除去した。EtOAc(800mL)を添加し、層を分離した。水層をEtOAc(800mL)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、表題化合物を赤色ロウとして得た。収量:9.75g、57mmol、97%。
【0192】
ステップ5.3−アジド−5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフランの合成
0℃のトルエン(200mL)中の5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−オール(9.75g、57mmol)の溶液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(10.2mL、68.4mmol)、続いてジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(14.8mL、68.4mmol)を添加した。混合物を0℃で3時間、次いで室温で終夜撹拌した。H NMRは、出発材料の85%変換を示した。混合物を0℃に冷却し、追加のDBU(2.56mL、17.1mmol)、続いてDPPA(3.7mL、17.1mmol)を添加した。反応物を0℃で1時間撹拌したら、H NMRは反応が完了に至ったことを示した。反応混合物に、水(90mL)、続いてHClの水溶液(1N、90mL)を添加した。層を分離し、水層をCHClで3回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%から10%EtOAc)により、表題化合物を黄色油として得た。収量:6.1g、31.3mmol、55%。
【0193】
ステップ6.5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン塩酸塩の合成
THF(260mL)中の3−アジド−5−クロロ−2,3−ジヒドロベンゾフラン(6.10g、31.3mmol)の溶液に、水(5.63mL)およびトリフェニルホスフィン(24.7g、94mmol)を順次に添加した。反応物を50℃で終夜撹拌したら、それを室温に冷却させ、EtO(500mL)で希釈した。ジオキサン(8.25mL、33mmol)中のHCl(4N)を添加し、溶液を室温で5分間撹拌したら、沈澱物を濾過によって収集して、表題化合物を白色固体として生じさせた。収量=5.9g、28.9mmol、92%。
【0194】
ステップ7.5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミンの合成
5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン塩酸塩(10.8g、53mmol)を、飽和NaHCO水溶液(300mL)に溶解した。NaOH水溶液(3N)の添加によってpHを9に調整し、混合物をCHCl/MeOH(90/10)およびCHCl/MeOH(90/10)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、表題化合物を得た。収量:5.00g、29.6mmol、56%。水層のH NMRは、付加生成物の存在を示した。水層を濃縮乾固し、残留物をCHCl/MeOH(80/20)中で終夜撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、追加の表題化合物(0.50g、2.96mmol、5%)を産出した。MgSOパッドのH NMRは、多量の所望生成物の存在を示した。固体を、イソプロパノール(420mL)とMeOH中アンモニアの7N溶液(7mL)との混合物に懸濁させ、15分間撹拌した。固体を濾過によって除去し、濾液を減圧下で濃縮して、追加で3.24g(19.2mmol、36%)の表題化合物を生じさせた。表題化合物は白色固体として取得された。合わせた収量=8.74g、52mmol、98%。
【0195】
ステップ8.5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン鏡像異性体−1の合成
ラセミ5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン(8.74g、51.7mmol)および(+)−フェンシホス(2−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−4−フェニル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オン)(12.52g、51.7mmol)を、EtOH(300mL)および水(2mL)に懸濁させた。ヒートガンを使用して混合物を加熱還流し、次いで室温に終夜ゆっくり冷却させた。得られた固体を濾過によって単離し、EtOH/水(120mL/0.7mL)から再結晶させた。固体をNaOH水溶液(3N、70mL)およびCHCl(100mL)に溶解し、室温で2時間撹拌したら、混合物を濾過して(+)−フェンシホスナトリウム塩を除去した。固体をCHClで洗浄し、合わせた濾液および洗液から2つの層を分離した。水層をCHClで抽出し、NaSOを添加し10分間撹拌することによって、合わせた有機層を乾燥させ、続いてNaSOのパッドに通して濾過して、表題化合物を黄色油として生じさせた。収量=2.92g、17.3mmol、33%、ee=96%。スペクトルデータは、ステップ9における鏡像異性体2のものと同一であった。
【0196】
ステップ9.5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン鏡像異性体2の合成
ステップ8の母液を減圧下で濃縮して、5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン鏡像異性体2の(+)−フェンシホス塩(28.3mmol、ee=59%)を11.65g生じさせた。固体をsec−ブタノール(200mL)とKOH水溶液(1M、100mL)との混合物に溶解し、層を分離した。有機層(5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン鏡像異性体2遊離塩基、ee=59%を含有するもの)に、(−)−フェンシホス(6.78g、28mmol)を添加し、混合物を減圧下で濃縮した。固体にEtOH(150mL)を添加し、ヒートガンを使用して混合物を加熱還流し、次いで室温に終夜ゆっくり冷却させた。得られた固体を濾過によって単離し(ee=42%)、濾液を減圧下で濃縮して、5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン鏡像異性体2の(−)−フェンシホス塩、7.16g、17.3mmol、ee=80%を生じさせた。EtOHからの2回の再結晶により、eeを85%に増大させた。得られた固体をNaOH水溶液(3N、60mL)およびCHCl(100mL)に溶解し、混合物を室温で2時間撹拌したら、それを濾過した。固体をCHClですすぎ、濾液および洗液から2つの層を分離した。水層をCHClでさらに抽出し、NaSOを添加し10分間撹拌することによって、合わせた有機層を乾燥させ、続いてNaSOのパッドに通して濾過して、残りの(−)−フェンシホスナトリウム塩を除去した。濾液を減圧下で濃縮して、表題化合物を生じさせた。収量=1.47g、8.7mmol、ee=85%。この材料に、(−)−フェンシホス(2.1g、8.7mmol)およびEtOH(40mL)および水(0.1mL)を添加した。ヒートガンを使用して混合物を加熱還流し、次いで室温に終夜ゆっくり冷却させた。得られた固体を濾過によって単離した(ee=97%)。別バッチの5−クロロ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イルアミン鏡像異性体2(ee=42% 2.72g、16mmol、先の失敗した再結晶から)および(−)−フェンシホス(3.87g、16mmol)を、EtOH(70mL)および水(0.3mL)に懸濁させた。ヒートガンを使用して混合物を加熱還流し、次いで室温に終夜ゆっくり冷却させた。得られた固体を濾過によって単離し(ee=93%)、EtOH/水(35mL/0.5mL)から再結晶させ、濾過によって再度単離した(ee=97%)。5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミン鏡像異性体−2(−)−フェンシホス塩の2つのバッチを合わせ(ee=97%、7.3g、17.8mmol)、NaOH溶液(3N、80mL)およびCHCl(100mL)に溶解した。混合物を室温で2時間撹拌したら、それを濾過して、(−)−フェンシホスナトリウム塩を除去した。固体をCHClですすぎ、濾液および洗液から2つの層を分離した。水層をCHClでさらに抽出し、NaSOを添加し10分間撹拌することによって、合わせた有機層を乾燥させ、続いてNaSOのパッドに通して濾過して、残りの(−)−フェンシホスナトリウム塩を除去した。濾液を減圧下で濃縮して、表題化合物を淡黄色油として生じさせた。収量=3g、17.8mmol、34%、ee>97%。絶対配置は決定しなかった。LCMS m/z 153.0 [(M-NH3)+1]. 1H NMR (400 MHz,
CDCl3) δ 4.16 (dd,
J=9.2, 4.7 Hz, 1 H) 4.56-4.68 (m, 2 H) 6.71 (d, J=8.6 Hz, 1 H) 7.11 (dd, J=8.4,
2.2 Hz, 1 H) 7.24 (br s, 1 H).
【0197】
5−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミンの合成
【0198】
【化26】

ステップ1.N−{(1E)−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メチレン}−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドの合成
CsCO(6.23g、19.1mmol)を、CHCl(87mL)中の2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(1.65g、8.68mmol)およびtert−ブチルスルフィンアミド(2.17g、17.4mmol)の溶液に添加した。反応混合物を終夜加熱還流し、次いで室温に冷却させた。混合物をセライトに通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中10%から80%EtOAc)により、表題化合物を白色固体として産出した。収量:1.59g、5.42mmol、62%。LCMS m/z 294.2 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.25 (s, 9 H), 7.10 (d, J=8.8 Hz, 1 H),
7.65 (dd, J=8.6, 2.2 Hz, 1 H), 7.75 (d, J=2.0 Hz, 1 H), 8.71 (s, 1 H),
11.43 (s, 1 H).
【0199】
ステップ2.2−メチル−N−[5−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル]プロパン−2−スルフィンアミドの合成
KOt−Bu(608mg、5.42mmol)を、DMSO(27mL)中のN−{(1E)−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メチレン}−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(1.59g、5.42mmol)およびヨウ化トリメチルスルホキソニウム(1.19g、5.42mmol)の溶液に添加した。反応物を室温で終夜撹拌したら、それを、0℃に冷却した水に注ぎ入れた。混合物をEtOAcで3回抽出し、合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカ上でのクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中30%から80%EtOAc)により、表題化合物を生じさせた。収量:100mg、0.33mmol、6%。LCMS m/z 308.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3, ジアステレオマーの混合物) δ 1.21 (s, 3.6 H), 1.23 (s, 5.4 H), 3.46-3.60 (m, 1 H), 4.46 (dd,
J=10.2, 4.5 Hz, 0.4 H), 4.59 (dd, J=10.5, 4.9 Hz, 0.6 H), 4.72 (dd, J=10.2, 8.2
Hz, 0.4 H), 4.80 (dd, J=10.5, 8.2 Hz, 0.6 H), 5.07-5.22 (複雑, 1 H), 6.88 (d, J=8.8 Hz, 0.4 H), 6.90
(d, J=8.6 Hz, 0.6 H), 7.47-7.52 (複雑, 1 H), 7.54 (s, 0.6 H), 7.75 (s, 0.4 H).
【0200】
ステップ3.5−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−アミンの合成
ジオキサン中4MのHCl(0.24mL、0.96mmol)を、MeOH(2.5mL)中の2−メチル−N−[5−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル]プロパン−2−スルフィンアミド(100mg、0.33mmol)の溶液に添加した。反応物を室温で1.5時間撹拌したら、反応物を減圧下で濃縮して、粗製の表題化合物を白色固体として生じさせた。GCMS m/z 187 (M-NH2)。粗材料をさらに精製することなく次のアミドカップリング反応において直接使用した。
【0201】
【表2−1】

【0202】
【表2−2】

【0203】
【表2−3】

【0204】
【表2−4】

【0205】
【表2−5】

【0206】
【表2−6】

【0207】
【表2−7】

【0208】
【表2−8】

【0209】
【表2−9】

【0210】
【表2−10】

【0211】
【表2−11】

【0212】
【表2−12】

【0213】
【表2−13】

【0214】
【表2−14】

【0215】
ライブラリフォーマット合成
N−置換3−メトキシ−4(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミドの調製
【0216】
【化27】

アミン(0.075mmol)で満たしたバイアルに、ジメチルホルムアミド(0.6mL)中の3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸(17.41mg、0.075mmol)の溶液を添加した。次に、ジメチルホルムアミド(0.3mL)中のジイソプロピルエチルアミン(0.025ml、0.255mmol)およびO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU、97%、40mg、0.9mmol)を添加し、反応物を室温で16時間振とうした。溶媒を真空除去し、残留物をジクロロエタン(2mL)に再溶解した。混合物を7分間ボルテックスし、飽和重炭酸ナトリウム(2mL)を添加した。混合物を5分間振とうしたら、層を分離し、水層をジクロロエタン(2mL)で抽出した。合わせた有機層を真空濃縮し、残留物をジメチルスルホキシド(1mL)中に溶解し、下記の分取HPLC法の1つによる分取HPLCによって精製した。方法1(カラム:クロスブリッジC18、5um、19×100mm、溶媒A:水中0.1%水酸化アンモニウム(v/v)、溶媒B:アセトニトリル中0.1%水酸化アンモニウム(v/v)、適切な勾配を使用)。方法2(カラム:クロスブリッジC18、5um、19×50mm、溶媒A:水中0.1%水酸化アンモニウム(v/v)、溶媒B:アセトニトリル中0.1%水酸化アンモニウム(v/v)、適切な勾配を使用)。方法3(カラム:エクステラMS C18、5um、19×50mm 溶媒A:水中0.1%トリフルオロ酢酸(v/v)、溶媒B:アセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸(v/v)、適切な勾配を使用)。方法4(カラム:サンファイアC18、5um、19×100mm 溶媒A:水中0.1%トリフルオロ酢酸(v/v)、溶媒B:アセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸(v/v)、適切な勾配を使用)。方法5(カラム:シンメトリーC18、5um、30×50mm 溶媒A:水中0.05%トリフルオロ酢酸(v/v)、溶媒B:アセトニトリル中0.05%トリフルオロ酢酸(v/v)、適切な勾配を使用)。注記:いくつかの事例では、この一般的手順をわずかに修正した。ジメチルホルムアミドを溶媒として使用しジイソプロピルアミンを希釈せずに添加する代わりに、ジメチルホルムアミド(またはジメチルアセトアミド)中のジイソプロピルアミンの(0.5M)溶液を使用して、出発アミン(0.3mL)および3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸(0.3mL)を溶解した。
【0217】
【表3−1】

【0218】
【表3−2】

【0219】
【表3−3】

【0220】
【表3−4】

【0221】
【表3−5】

【0222】
【表3−6】

【0223】
【表3−7】

【0224】
【表3−8】

【0225】
【表3−9】

【0226】
N−置換3−メトキシ−4(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミドの調製
【0227】
【化28】

必須ライブラリテンプレート{1−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾイル]アゼチジン−3−イル}メチルメタンスルホネートは、当業者によく知られている方法を使用して、3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸[実施例1]から2ステップで調製した。
【0228】
フェノール(0.075mmol)で満たしたバイアルに、THF(0.5mL)中の{1−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンゾイル]アゼチジン−3−イル}メチルメタンスルホネート(19.0mg、0.050mmol)の溶液を添加した。次に、CsCO(32.6mg、0.100mmol)および水(1滴)を各バイアルに添加し、反応物を80℃で5時間振とうした。溶媒を真空除去し、残留物を分取HPLCによって精製した。
【0229】
【表4−1】

【0230】
【表4−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iaの化合物:
【化1】

[式中、
Xは、CHまたはNであり、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキルまたはC2〜6アルケニルであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキルおよびアルケニルは、1から3個のハロゲンまたは−(CH−C3〜6シクロアルキルで置換されていてもよく、
は、水素、−CF、シアノ、ハロゲン、C1〜6アルキルまたは−ORであり、
およびRは、それぞれ独立に、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、−(CH、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールRまたはR置換基は、1から3個のRで独立に置換されていてもよく、または、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル部分を形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキル部分は、1から3個のRで独立に置換されていてもよく、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C2〜6アルケニルまたはC2〜6アルキニルであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアルキニルは、シアノまたは1から3個のハロゲンで置換されていてもよく、
各Rは、独立に、水素、ハロゲン、−CF、C1〜6アルキル、C2〜6アルキリデン、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールもしくは−(CH−ヘテロアリール、−(CH−OR、−C(O)R、−CN、または−N(Rであり、ここで、前記−(CH、−(CH−シクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロシクロアルキルおよび−(CH−ヘテロアリール置換基は、1から3個のアルキル、ハロゲン、−CFまたは−ORで独立に置換されていてもよく、
各Rは、独立に、水素、C1〜6アルキル、−CF、−SO、−N(R、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、−(CH、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−CFまたは−OCFで置換されていてもよく、
各Rは、水素、C1〜6アルキルまたは−(CH−アリールであり、ここで、前記C1〜6アルキルまたは−(CH−アリールは、1から3個のハロゲンで置換されていてもよく、
各tは、0、1、2、3および4から独立に選択される整数である]。
【請求項2】
式Iの化合物:
【化2】

[式中、
Xは、CHまたはNであり、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキルまたはC2〜6アルケニルであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキルおよびアルケニルは、1から3個のハロゲンで置換されていてもよく、
は、水素、−CF、シアノ、ハロゲン、C1〜6アルキまたは−ORであり、
およびRは、それぞれ独立に、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、−(CH、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールRまたはR置換基は、1から3個のRで置換されていてもよく、または、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル部分を形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキル部分は、1から3個のRで置換されていてもよく、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C2〜6アルケニルまたはC2〜6アルキニルであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアルキニルは、シアノまたは1から3個のハロゲンで置換されていてもよく、
各Rは、独立に、水素、ハロゲン、−CF、(C1〜6)アルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールもしくは−(CH−ヘテロアリール、−OR、−C(O)R、−CN、または−N(Rであり、ここで、前記−(CH、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリール置換基は、1から3個のアルキル、ハロゲン、−CFまたは−ORで独立に置換されていてもよく、
各Rは、独立に、水素、アルキル、−CF、−SO、−N(R、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロゲン、−CFまたは−OCFで置換されていてもよく、
は、水素、C1〜6アルキルまたは−(CH−アリールであり、ここで、前記アルキルまたは−(CH−アリールは、1から3個のハロゲンで置換されていてもよく、
各tは、0、1、2、3および4から独立に選択される整数である]、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項3】
XがCHである、前記請求項の一項に記載の化合物。
【請求項4】
が水素であり、Rが、C1〜6アルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールであり、ここで、前記C1〜6アルキル、−(CH)、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリールまたは−(CH−ヘテロアリールR置換基は、1から3個のRで置換されていてもよい、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が水素であり、RがC1〜6アルキルであり、前記アルキルR置換基は、1から3個のRで置換されていてもよい、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が水素であり、Rが−(CH−シクロアルキルであり、前記−(CH−シクロアルキルR置換基は、1から3個のRで置換されていてもよい、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が水素であり、Rが−(CH−ヘテロシクロアルキルであり、前記−(CH−ヘテロシクロアルキルR置換基が、1から3個のRで置換されていてもよい、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が水素であり、Rが−(CH−アリールであり、前記−(CH−アリールR置換基が、1から3個のRで置換されていてもよい、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
が水素であり、Rが−(CH−ヘテロアリールであり、前記−(CH−ヘテロアリールR置換基が、1から3個のRで置換されていてもよい、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、1から3個のRで置換されていてもよい、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
各Rが、独立に、−ORまたは−(CH−アリールである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、水素、C1〜6アルキルまたは−(CH−シクロアルキルであり、ここで、前記C1〜6アルキルまたは−(CH−シクロアルキルは、1から3個のハロゲンで置換されていてもよい、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
がC1〜6アルキルである、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
がメチルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が−ORである、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
が水素またはC1〜6アルキルである、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
がメチルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
N−[(5−クロロ−1−ベンゾチエン−3−イル)メチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
1−[2−メトキシ−4−({(3R)−3−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピロリジン−1−イル}カルボニル)フェニル]−4−メチル−1H−イミダゾール;
N−[2−(5−クロロ−1H−インドール−3−イル)エチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−[(1−フェニルシクロペンチル)メチル]ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−({4−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}メチル)ベンズアミド;
N−(アダマンタン−2−イルメチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−{[5−(4−クロロフェニル)−2−チエニル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−({2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−{3−メチル−4−[3−(トリフルオロ−メチル)フェニル]−1H−ピラゾール−5−イル}ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−[(2−フェニル−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]ベンズアミド;
N−[2−(5,7−ジクロロ−2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−{[1−(4−クロロフェニル)シクロペンチル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−{[1−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−{[1−(4−フルオロフェニル)シクロブチル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
1−[2−メトキシ−4−({(3S)−3−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピロリジン−1−イル}カルボニル)フェニル]−4−メチル−1H−イミダゾール;
N−[2−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)エチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−({1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]シクロブチル}メチル)ベンズアミド;
N−{[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド;
N−(3−クロロ−4−フルオロベンジル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミドからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
【請求項19】
神経学的障害および精神障害からなる群から選択される疾患または状態の治療のための方法であって、哺乳動物に、有効量の請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩を投与するステップを含む方法。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物。
【請求項21】
非定型抗精神病薬、コリンエステラーゼ阻害剤、ディメボンまたはNMDA受容体アンタゴニストをさらに含む、請求項20に記載の組成物。

【公表番号】特表2012−519682(P2012−519682A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552556(P2011−552556)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050896
【国際公開番号】WO2010/100606
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】