説明

ガンマ−セクレターゼ阻害剤としてのシクロヘキシルスルホン

式(I)の化合物は、ガンマ−セクレターゼによるAPPの処理を阻害し、それ故、アルツハイマー病の治療又は予防に有用である。
【化38】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい種類の化合物、これらの塩、これらを含む医薬組成物、これらの製造方法、および人体の治療法におけるそれらの使用に関する。詳細には、本発明は、γ−セクレターゼによるAPPの処理を阻害する、それ故、アルツハイマー病の治療又は予防に有用である新規シクロヘキシルスルホンに関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、痴呆の最も一般的な形である。65歳より上の人口の10%までが罹患している、主として老人の疾病であるが、遺伝的素因を有する有意な数の若年患者もADに罹患している。これは、臨床的には記憶および認識機能の進行性喪失を特徴とし、病理学的には罹患者の脳の皮質および結合領域における細胞外蛋白質様斑の沈着を特徴とする神経変性疾患である。これらの斑は、β−アミロイドペプチド(Aβ)の原線維集合体を主として含む。Aβを形成するためのアミロイド前駆体蛋白(APP)の処理における、推定γ−セクレターゼを含むセクレターゼの役割は、文献に詳しく記録されており、例えば、国際公開公報第01/70677号に総説されている。
【0003】
細胞ベースのアッセイで測定したようなγ−セクレターゼに対して阻害活性を有する化合物の文献での報告は、比較的少ない。これらは、国際公開公報第01/70677号に総説されている。該当化合物の多くが、ペプチド又はペプチド誘導体である。
【0004】
国際公開公報第00/50391号は、β−アミロイド生産のモジュレータとして、広範な種類のスルホンアミドを開示しているが、本発明の化合物は、開示も提案もされていない。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、推定γ−セクレターゼによるAPPの処理を阻害してAβの生産を阻止することにより、ADの治療および予防に有用である新しい種類のシクロヘキシルスルホンを提供する。本発明の化合物は、一般に、標的酵素に対する高い親和性と好適な薬物動態特性を兼備している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明に従って、下記式I:
【0007】
【化4】

(式中、
nは、1又は2であり;
は、CFを表し、又はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜9シクロアルキル又はC3〜6シクロアルキルC1〜6アルキル(これらはいずれも、ハロゲン、CN、CF、OR、COR、CO、OCOR、SO、N(R、およびCON(Rから選択された2個以下の置換基を有していてもよい。)を表し、又は
は、アリール、アリールC1〜6アルキル、C−ヘテロシクリル又はC−ヘテロシクリルC1〜6アルキルを表し;
は、H又はC1〜4アルキルを表し;
は、H、C1〜4アルキル、フェニル又はヘテロアリールを表し;
は、C1〜4アルキル、フェニル又はヘテロアリールを表し;
は、H又はC1〜4アルキルを表し、又は2個のR基と、それらが相互に結合している窒素原子とが一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン又はチオモルホリン−1,1−ジオキシド環を完成しており;
ArおよびArは、フェニル又はヘテロアリールを独立に表し、それらのうちのいずれかは、ハロゲン、CN、NO、CF、CHF、OH、OCF、CHO、CH=NOH、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C2〜6アシル、C2〜6アルケニルおよびC1〜4アルキル(これらは、ハロゲン、CN、NO、CF、OHおよびC1〜4アルコキシから選択された置換基を場合によって有する。)から独立に選択された0〜3個の置換基を有しており;
「アリール」は、いずれの存在においても、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(Rおよび場合によって置換されているC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル又はC2〜6アルケニルオキシ(この場合の置換基は、ハロゲン、CN、CF、フェニル、OR、CO、OCOR、N(RおよびCON(Rから選択される)から選択された3個以下の置換基を場合によって有するフェニル又はヘテロアリールを指し;ならびに
「C−へテロシクリル」および「N−へテロシクリル」は、いずれの存在においても、炭素又は窒素によって結合されたヘテロ環構造をそれぞれ指し、前記環構造は、非芳香族性であり、および10個以下の原子を含み、そのうちの少なくとも1個は、O、N又はSであり、およびオキソ、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OR、COR、CO、OCOR、OSO、N(R、CON(Rおよび場合によって置換されているフェニル、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル又はC2〜6アルケニルオキシ(この場合の置換基は、ハロゲン、CN、CF、OR、CO、OCOR、N(R、およびCON(Rから選択される。)から選択された3個以下の置換基を場合によって有する。)
の化合物又はその医薬適合性の塩を提供する。
【0008】
可変項が、式Iにおいて一回より多く出現する場合、別様に示されていない限り、個々の出現は互いに無関係である。
【0009】
本明細書で用いられる場合の表現「C1〜xアルキル」(この場合、xは、1より大きい整数である。)は、構成炭素原子の数が1からxの範囲内である直鎖および分枝鎖アルキル基を指す。特定のアルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが挙げられる。「C2〜6アルケニル」、「ヒドロキシC1〜6アルキル」、「ヘテロアリールC1〜6アルキル」、「C2〜6アルキニル」および「C1〜6アルコキシ」などの派生表現は、類似の方式で解釈されなければならない。
【0010】
本明細書で用いられる場合の表現「C3〜9シクロアルキル」は、3から9個の環原子を含む非芳香族単環式又は融合二環式炭化水素環構造を指す。例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニルおよびビシクロ[2.2.1]ヘプチルが挙げられる。3から6員の単環式構造が好ましい。
【0011】
本明細書で用いられる場合の表現「C3〜6シクロアルキルC1〜6アルキル」は、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチルおよびシクロヘキシルメチルを包含する。
【0012】
本明細書で用いられる場合の表現「C2〜6アシル」は、そのアルキル部分が、直鎖であってもよいし、分枝鎖であってもよいし、又は環状であってもよく、ハロゲン化されていてもよいC1〜5アルキルカルボニル基を指す。例には、アセチル、プロピオニルおよびトリフルオロアセチルが挙げられる。
【0013】
本明細書において定義される場合の表現「ヘテロシクリル」は、C、N、OおよびSから選択される環原子10個以下の単環式および融合二環式構造の両者を包含する。環原子7個以下の単環式又は二環式構造が好ましく、環原子数4、5又は6の単環式構造が最も好ましい。複素環式環構造の例には、アゼチジニル、ピロリジニル、3−ピロリニル、テトラヒドロフリル、1,3−ジオキソラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2−アザ−5−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプチルおよび1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカニルが挙げられる。別に示されていない限り、ヘテロシクリル基は、環炭素原子によって結合されてもよいし、又は存在する場合には環窒素原子によって結合されてもよい。「C−へテロシクリル」は、炭素による結合を示し、一方、「N−へテロシクリル」は、窒素による結合を示す。
【0014】
本明細書で用いられる場合の表現「ヘテロアリール」は、C、N、OおよびSから選択される、環原子5又は6個の単環式構造、又は環原子10個以下の融合二環式構造を意味し、この場合、構成環の少なくとも一つは、芳香族性であり、炭素原子以外の環原子を少なくとも1個含む。5又は6員の単環式構造が好ましい。ヘテロアリール基の例には、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリルおよびチアジアゾリル基ならびにこれらのベンゾ融合類似体が挙げられる。ヘテロアリール基のさらなる例には、テトラゾール、1,2,4−トリアジンおよび1,3,5−トリアジンが挙げられる。ピリジン環は、N−オキシド形であってもよい。
【0015】
フェニル基又はヘテロアリール基が、2個以上の置換基を有する場合、水素又はアルキル以外であるのは、前記置換基の1個だけであるのが好ましい。アルキル基が、1個より多くの置換基を有する場合、好ましくは、ハロゲン以外であるのは、前記置換基の1個だけである。
【0016】
本明細書で用いられる場合の用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を包含し、これらのうち、フッ素および塩素が好ましい。
【0017】
医薬品での使用のために、式Iの化合物は、有利には医薬適合性の塩の形であり得る。しかし、式Iの化合物又はこれらの医薬適合性の塩の調製には、他の塩が有用であることもある。本発明の化合物の適する医薬適合性の塩には、例えば、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸などの医薬適合性の酸の溶液と本発明の化合物の溶液を混合することによって形成することができる、酸付加塩が挙げられる。あるいは、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、適する塩基で前記酸性部分を中和することによって、医薬適合性の塩を生成することができる。このようにして生成される医薬適合性の塩の例には、ナトリウム又はカリウム塩などのアルカリ金属塩;アンモニウム塩;カルシウム又はマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアミン塩(ピリジニウム塩を含む)および第四アンモニウム塩などの、適する有機塩基とで生成される塩が挙げられる。
【0018】
本発明の化合物が、少なくとも一つの不斉中心を有する場合、これらは、それに応じてエナンチオマーとして存在することができる。本発明の化合物が、二つ以上の不斉中心を有する場合、これらは、さらにジアステレオマーとして存在することができる。すべてのこうした異性体およびあらゆる比率でのそれらの混合物が本発明の範囲に包含されることは、理解されるべきである。
【0019】
式Iの化合物において、nは、1又は2、好ましくは2である。
【0020】
は、好ましくは、CF、アリールもしくはアリールアルキルであり、又は、前に記載したように場合によって置換されている、アルキル、アルケニル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキル基である。好ましい置換基には、ハロゲン(とりわけ、フッ素又は塩素)、CF、CN、OR(とりわけ、OH、OMeおよびOEt)、COR(とりわけ、アセチル)、CO(とりわけ、COH、COMeおよびCOEt)、SO(とりわけ、メタンスルホニル)、N(R(とりわけ、R基が環を完成させているときのもの)およびCON(R(とりわけ、CONH)が挙げられる。
【0021】
によって表されるアルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、2,2,2−トリフルオロエチル、クロロメチル、3−クロロプロピル、2−クロロ−2−プロピル、シアノメチル、2−ヒドロキシエチル、2−メトキシエチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、カルボキシメチル、メトキシカルボニルメチル、1−カルボキシエチル、1−エトキシカルボニルエチル、カルバモイルメチル、2−(ピロリジン−1−イル)エチル、2−(モルホリン−4−イル)エチルおよびMeSOCH−が挙げられる。
【0022】
によって表されるアルケニル基の例には、ビニルおよびアリルが挙げられる。
【0023】
によって表されるシクロアルキルおよびシクロアルキルアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルメチルおよびシクロペンチルメチルが挙げられる。
【0024】
が、アリール又はアリールアルキルを表す場合、このアリール基は、前に定義したように場合によって置換されているフェニル又はヘテロアリール(とりわけ、5又は6員ヘテロアリール)であり得る。好ましい置換基には、ハロゲン(とりわけ、塩素、臭素又はフッ素)、CN、CF、OCF、アルキル(とりわけ、メチル)、OH、アルコキシ(とりわけ、メトキシ)およびアルコキシカルボニル(メトキシカルボニルなど)が挙げられる。好ましいヘテロアリール基には、ピリジン、ピリミジン、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアジアゾールおよびテトラゾール、とりわけ、ピリジン、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾールおよびテトラゾールが挙げられる。
【0025】
によって表されるアリール基の例には、フェニル、2−、3−および4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、2−シアノフェニル、2−メチルフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−メトキシフェニル、5−クロロ−2−メトキシフェニル、2−ピリジル、4−ピリジル、6−クロロ−3−ピリジル、2−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−チアゾリル、5−イソチアゾリル、2−イミダゾリル、2−メチルフラン−3−イル、5−クロロ−2−チエニル、4−クロロ−2−チエニル、3−クロロチエニル−2−チエニル、3−ブロモ−2−チエニル、4−ブロモ−2−チエニル、5−メチル−2−チエニル、2−(メトキシカルボニル)−3−チエニル、4−メチルチアゾール−3−イル、1−メチルイミダゾール−2−イル、1−メチルイミダゾール−5−イル、1−メチルイミダゾール−4−イル、3−クロロ−1,5−ジメチルピラゾール−4−イル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、1−メチル−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1−メチル−1,2,4−トリアゾール−3−イル、2−メチル−1,2,4−トリアゾール−3−イルおよび4−メチル−1,2,4−トリアゾール−3−イルが挙げられる。
【0026】
によって表されるアリールアルキル基は、典型的に、場合によって置換されているベンジル、フェネチル、ヘテロアリールメチル又はヘテロアリールエチル基である。例には、ベンジル、2−フリルメチル、2−チエニルメチルおよび1−(2−チエニル)エチルが挙げられる。好ましい例には、ベンジルが挙げられる。
【0027】
は、好ましくは、H又はメチル、最も好ましくは、Hを表す。
【0028】
は、好ましくは、H、C1〜4アルキル、フェニル、ピリジル又は5員ヘテロアリールを表す。最も好ましくは、Rは、H又はC1〜4アルキルを表す。
【0029】
は、好ましくは、C1〜4アルキル、フェニル、ピリジル又は5員ヘテロアリールを表す。最も好ましくは、Rは、C1〜4アルキルを表す。
【0030】
ArおよびArは、場合によって置換されているフェニル又はヘテロアリールを独立に表す。Arは、好ましくは、場合によって置換されているフェニルおよび場合によって置換されている6員ヘテロアリールから選択される。Arの好ましい6員ヘテロアリールの実施態様には、場合によって置換されているピリジル、特に、場合によって置換されている3−ピリジルが挙げられる。Arは、6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジル、および場合によって4位がハロゲン、ビニル、アリル、アセチル、メチル又はモノ−、ジ−もしくはトリフルオロメチルで置換されているフェニルから、好ましくは選択される。本発明の一つの好ましい実施態様においてArは、4−クロロフェニルを表す。もう一つの好ましい実施態様において、Arは、4−トリフルオロメチルフェニルを表す。もう一つのさらに好ましい実施態様において、Arは、6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジルを表す。
【0031】
好ましくは、Arは、場合によって置換されているフェニル、特に、ハロゲン、CN、CFおよび場合によって置換されているアルキルから選択された2又は3個の置換基を有するフェニルを表す。Arは、2および5位、もしくは2、3および6位にハロゲン置換基(好ましくはフッ素)を有するフェニル基から、又は2位にフッ素置換基を、および5位にハロゲン、CN、メチルもしくはヒドロキシメチルを有するフェニルから、典型的には選択される。本発明の好ましい実施態様において、Arは、2,5−ジフルオロフェニルを表す。
【0032】
特定の実施態様において、Arは、6−トリフルオロメチル−3−ピリジル、4−クロロフェニル又は4−トリフルオロメチルフェニルであり、Arは、2,5−ジフルオロフェニルである。
【0033】
本発明の好ましい亜種の化合物は、下記式II:
【0034】
【化5】

(式中、
Xは、N又はCHを表し;
は、H、F、Cl、Br、CN、CF、CH=CH又はCHを表し;
は、F、Cl、Br、CN、CH又はCHOHを表し;および
は、前と同じ定義および好ましい同一性を有する。)
の化合物およびその医薬適合性の塩である。
【0035】
Xが、Nを表す時、Rは、好ましくはCFである。
【0036】
好ましい実施態様において、Rは、
(a)CF
(b)ハロゲン、CN、CF、OR、CO、SO、N(R、およびCON(Rから選択された2個以下の置換基を場合によって有するC1〜6アルキル;ならびに
(c)ハロゲン、CN、CF、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(Rおよび場合によって置換されているC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル又はC2〜6アルケニルオキシ(この場合の置換基は、ハロゲン、CN、CF、フェニル、OR、CO、OCOR、N(RおよびCON(Rから選択される。)
から選択された3個以下の置換基を場合によって有するフェニル、ピリジル又は5員ヘテロアリール
から選択され、この場合のR、RおよびRは、前と同じ定義および前述の好ましさを有する。
【0037】
は、非常に適切にはCFを表す。
【0038】
本発明の個々の化合物の例は、この後に追記する実施例セクションで提供する。
【0039】
式Iの化合物は、γ−セクレターゼによるAPPの処理のモジュレータとしての活性を有する。
【0040】
本発明は、式Iの一つ以上の化合物又はそれらの医薬適合性の塩および医薬適合性の担体を含む医薬組成物も提供する。好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、経鼻、舌下又は直腸内投与用の、又は吸入もしくは通気法による投与用の、錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、非経口用無菌溶液もしくは懸濁液、計量エーロゾルもしくは液体スプレー剤、滴剤、アンプル、経皮パッチ、自己注射装置又は坐剤などの単位剤形である。錠剤などの固体組成物を調製するために、主活性成分を、製薬用担体、例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムもしくはゴム又はモノオレイン酸ソルビタン、ポリエチレングリコールなどの界面活性剤のような通常の錠剤形成用成分、および他の製薬用希釈剤、例えば水、と混合して、本発明の化合物又はこの医薬適合性の塩の均質混合物を含有する固体予備調合組成物を生成する。これらの予備調合組成物を均質と呼ぶ時、それは、活性成分がその組成物全体にわたって均一に分散されていて、この組成物を錠剤、ピルおよびカプセルのような同等に有効な単位剤形に容易に細分することができることを意味する。この固体予備調合組成物は、その後、0.1から約500mgの本発明の活性成分を含有する上に記載したタイプの単位剤形に細分される。典型的な単位剤形は、1から250mg、例えば、1、2、5、10、25、50、100、200又は250mgの活性成分を含有する。本新規組成物の錠剤又はピルを被覆するか、組合せて、持続作用の利点をもたらす剤形を提供することができる。例えば、錠剤又はピルは、内側の投薬成分と外側の投薬成分を含むことができ、後者は、前者を覆う包膜の形態となる。胃での消化に耐えて、内側の成分を無損傷で十二指腸に通すか、内部成分の放出を遅らせる腸溶層によって、前記二成分を分けることができる。様々な材料をそうした腸溶層又は腸溶被覆に用いることができ、こうした材料には、多数の高分子酸、ならびに高分子酸とシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料との混合物が挙げられる。
【0041】
経口投与又は注射による投与のために本発明の新規組成物を組み入れることができる液体形には、水溶液、適切に着香されたシロップ、水性又は油性懸濁液、および綿実油、胡麻油又はヤシ油などの食用油を有する適切に風味が加えられた乳剤、ならびにエリキシルおよび同様の製薬用ビヒクルが挙げられる。水性懸濁液に適する分散又は懸濁化剤には、トラガカントゴム、アラビアゴムなどの合成および天然ゴム、アルジネート、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)又はゼラチンが挙げられる。
【0042】
本発明は、人体の治療方法に使用するための式Iの化合物又はその医薬適合性の塩も提供する。好ましくは、前記治療は、β−アミロイドの沈着を随伴する状態のためのものである。好ましくは、前記状態は、アルツハイマー病などの、β−アミロイド沈着を随伴する神経疾患である。
【0043】
さらに、本発明は、アルツハイマー病の治療薬又は予防薬の製造における式Iの化合物又はその医薬適合性の塩の使用を提供する。
【0044】
さらに、本発明は、β−アミロイドの沈着を随伴する状態に罹患しているか、罹患しやすい被験者の治療方法を提供し、この方法は、前記被験者に有効量の式Iの化合物又はこの医薬適合性の塩を投与することを含む。好ましくは、前記状態は、アルツハイマー病などの、β−アミロイド沈着を随伴する神経疾患である。
【0045】
アルツハイマー病を治療又は予防するために適する投薬レベルは、1日あたり体重1kgにつき0.01から250mg、好ましくは1日につき約0.10から100mg/kg、とりわけ約1.0から50mg/kg、例えば、1日につき約10から30mg/kgである。従って、1日につき一人あたり約500mgの用量と考えることができる。本化合物は、1日に1回から4回の方式で投与することができる。しかし、場合によって、これら以外の投薬を用いてもよい。
【0046】
がHである式Iの化合物は、塩化スルフィニルRSOCl又は塩化スルホニルRSOCl又は無水スルホン酸(RSOOを下記式III:
【0047】
【化6】

(式中、R、ArおよびArは、前と同じ意味を有する。)
のアミンと反応させることによって調製することができる。典型的には、この反応は、ジクロロメタンなどの非プロトン性溶媒中、トリエチルアミンなどの第三アミンの存在下、周囲温度又は低減温度で行われる。
【0048】
がH以外である式Iの化合物は、RがHである式Iの対応する化合物をアルキル化することにより、例えば、THF中、水素化ナトリウムの存在下、適切なヨウ化アルキルとともに加熱することにより、調製することができる。
【0049】
式IIIのアミンは、下記アジドIV:
【0050】
【化7】

(式中、ArおよびArは、前と同じ意味を有する。)
を還元することによって得ることができる。前記アジドIVは、塩化メタンスルホニルと反応させることにより下記transアルコールV(b)から生成した下記メシレートV(a)の求核置換によって得られる:
【0051】
【化8】

(式中、ArおよびArは、前と同じ意味を有する。)。前記アルコールV(b)は、下記シクロヘキサノンVI:
【0052】
【化9】

(式中、ArおよびArは、前と同じ意味を有する。)
を還元することによって得られる。その還元は、エタノール中の水素化ホウ素ナトリウムを用いて行うことができ、クロマトグラフィーによってトランス異性体を単離する。
【0053】
シクロヘキサノンVIの合成およびアミンIIIへのこれらの転化は、国際公開公報第02/081435号に記載されている。
【0054】
上記経路によって調製された式Iの個々の化合物をアルキル化、エステル化、アミドカップリング、加水分解、酸化および還元などのよく知られている合成的技法によって式Iの他の化合物に転化させることができることは、当業者には明らかなことである。こうした技法は、式Iの化合物の前駆体を用いて行うこともできる。例えば、芳香族基Ar又はAr上の置換基は、式Iの化合物又はこれらの前駆体を用いて行われる標準的な合成法によって、追加又は相互変換することができる。例えば、Ar又はAr上の塩素又は臭素原子は、トリ−t−ブチルホスフィン、フッ化セシウムおよびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)の存在下、ビニルトリブチル錫で処理することによって、ビニルにより置換することができる。このビニル基のオゾン分解によって対応するホルミル誘導体を生じ、これは、対応する酸への酸化、対応するベンジルアルコールへの還元、ならびにヒドロキシルアミン、その後のトリフェニルホスフィンおよび四塩化炭素での処理による対応するニトリルへの転化を含む様々な方法で、変換することができる。
【0055】
上記合成計画に利用される出発原料および試薬は、これら自体が市販されていない場合、標準的な有機合成技法を市販の材料に適用することによって得ることができる。
【0056】
上記合成計画の多くが、立体異性体の混合物を生じ得ることは、ご理解できよう。そうした混合物は、分別晶出および分取クロマトグラフィーなどの通常の手段によって分離することができる。
【0057】
本発明のある化合物は、一つ以上のキラル中心が存在するため、又はこの分子の全体としての非対称性に起因して、光学異性体として存在することがある。こうした化合物をラセミ形で調製してもよいし、又はエナンチオ特異的合成もしくは分割によって個々のエナンチオマーを調製してもよい。本新規化合物は、例えば、分取HPLC、又は(−)−ジ−p−トルイル−d−酒石酸および/もしくは(+)−ジ−p−トルイル−l−酒石酸などの光学活性酸との塩生成によるジアステレオマー対の生成、その後の分別晶出および遊離塩基の再生などの標準的技法によって、これらの構成要素のエナンチオマーに分割することができる。本新規化合物は、ジアステレオマーエステル又はアミドの生成、それに続くクロマトグラフ分離およびキラル助剤の除去によって分割することもできる。
【0058】
上記いずれかの合成順序の間に、関心のあるいずれかの分子上の感受性又は反応性の基を保護する必要があるおよび/又は保護することが望ましいことがある。これは、Protective Groups in Organic Chemistry,J.F.W.McOmie編,Plenum Press,1973;およびT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,第3版,1999に記載されているものなどの通常の保護基によって達成することができる。これらの保護基は、当該技術分野において公知の方法を用いて都合のよい後続段階で除去することができる。
【0059】
本発明の化合物の活性レベルを判定するために用いることができるアッセイは、国際公開公報第01/70677号に記載されている。そうした活性を判定するための好ましいアッセイは、次のとおりである:
1)βAPP C末端フラグメントSPA4CTを安定的に過発現しているSH−SY5Y細胞を集密度50から70%で培養する。平板培養の4時間前に10mMの酪酸ナトリウムを添加する。
2)細胞を、96ウエルプレートに、ダルベッコ最小必須培地(DMEM)(フェノールレッド非含有)+10%ウシ胎仔血清(FBS)、50mM HEPESバッファ(pH7.3)、1%グルタミン中、細胞数35,000/ウエル/100μLで平板培養する。
3)化合物プレートを希釈する。保存溶液を18.2x希釈して、5.5%DMSOにし、11x最終化合物濃度にする。化合物を激しく混合し、使用するまで4℃で保管する。
4)化合物10μL/ウエルを添加し、穏やかに混合して、37℃、5%COで18時間放置する。
5)例えば均等時間分解蛍光法(HTRF)アッセイによりアミロイドペプチドレベルを判定するために必要な試薬を調製する。
6)黒色96ウエルHTRFプレートの各ウエルに160μL量のHTRF試薬混合物をプレーティングする。
7)細胞プレートから40μLの調整上清をHTRFプレートに移す。混合し、4℃で18時間保管する。
8)化合物投与後に化合物が細胞毒性であるか否かを判定するために、レドックス色素還元の利用により、細胞の生存率を評価する。典型的な例は、レドックス色素MTS(Promega)と電子結合試薬PESの併用である。この混合物を製造業者のインストラクションに従って作り、室温に放置する。
9)10μL/ウエルのMTS/PES溶液を細胞に添加し、混合して、37℃で放置する。
10)吸収値が、約0.4から0.8である時、プレートを読み取る(読み取り前に簡単に混合して、還元ホルマザン生成物を分散させる)。
11)HTRFプレートリーダーを用いてアイロイドベータ40ペプチドを定量する。
【0060】
Biochemistry,2000,39(30),8698−8704には、別のアッセイが記載されている。
【0061】
J.Neuroscience Methods,2000,102,61−68も参照されたし。
【0062】
上記アッセイの少なくとも一つにおいて、本発明の例のすべてが0.5μM未満のED50を有し、殆どのケースで100nM未満、好ましいケースでは10nM未満のED50を有した。
【0063】
下記実施例によって本発明を説明する。
【実施例】
【0064】
中間体A
4−(4−(クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)シクロヘキシルアミン
【0065】
【化10】

(1)4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)シクロヘキサノンを、国際公開公報第02/081435号(実施例2)に記載されているとおり調製した。
【0066】
メタノール(2mL)中のこのシクロヘキサノン(0.1g、0.26mmol)をNaBH(0.098g、0.26mmol)で処理し、1時間攪拌して、HCl(1N、10mL)で反応を停止させ、酢酸エチル(20mL)で希釈して、その後、有機層を分離し、乾燥させて(MgSO)、蒸発乾固させた。そのtrans4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)シクロヘキサノールを、シリカを用い、ヘキサン−酢酸エチル混合物で溶離することによって精製した。0.052g。H NMR CDCl7.39−7.33(4H,m),7.11−7.02(2H,m),6.88−6.82(1H,m),3.80−3.73(1H,m),2.80−2.60(2H,m),2.22−2.16(2H,m),2.08−2.04(2H,m),1.53(1H,br)および1.27−1.13(2H,m)。
【0067】
(2)ジクロロメタン(50mL)中のこのアルコール(2.7g、6.9mmol)およびトリエチルアミン(1.45mL、10.3mmol)に、−30℃で塩化メタンスルホニル(0.645mL、8.9mmol)を添加した。30分後、この混合物を、水(20mL)、10%クエン酸水溶液(20mL)および炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)で洗浄して、乾燥させ(MgSO)、蒸発乾固させた。この固体をエーテルと研和して、そのメシレート(2.6g)を得た。
【0068】
(3)ジメチルホルムアミド(5mL)中のそのメシレート(1.5g、3.2mmol)をアジ化ナトリウム(315mg、4.8mmol)で処理し、6時間、90℃に加熱した。この混合物を水(80mL)で処理し、ジエチルエーテル(3x50mL)で抽出し、乾燥させて(MgSO)、蒸発乾固させた。この固体をエーテルと研和して、cis−アジド(1.4g)を得た。
【0069】
(4)テトラヒドロフラン(10mL)および水(1mL)中のそのアジド(1g、2.55mmol)を室温で15分間、トリフェニルホスフィン(740mg、2.8mmol)で処理し、水(5mL)を添加して、この混合物を4時間還流させながら加熱した。室温に冷却し、SCX Varian Bond Elut(商標)カートリッジに通した後、塩基性画分を蒸発させて、第一アミンを得た。MS MH+386(388)。
【0070】
中間体B
4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)シクロヘキシルアミン
【0071】
【化11】

ホウ化水素還元を−20℃で行ったこと以外は、段階(1)において適切なシクロヘキサノン(国際公開公報第02/081435号、実施例41)を用いて、中間体Aについてのように調製した。
【0072】
MS(ES+)MH+420。
【0073】
中間体C
4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−スルホニル)−シクロヘキシルアミン
【0074】
【化12】

(1)濃塩酸(1.7mL)中の3−アミノ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン(1.62g、0.01mol)の溶液を氷(2g)で処理し、0℃に冷却した。水(2mL)中の亜硝酸ナトリウム(0.71g、0.01mol)をゆっくりと添加し、その反応混合物を0℃で5分間攪拌し、その後、エタノール−水中のエチルキサントゲン酸カリウム(1.92g、0.012mol)の溶液でゆっくりと処理した。この反応混合物を50から55℃で30分間加熱し、冷却して、ジエチルエーテルおよび水で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させて(MgSO)、真空下で蒸発させた。得られたキサントゲン酸塩をエタノール(30mL)に溶解し、水酸化カリウム(3g)で処理して、2時間還流させた(90℃)。冷却し、濾過した後、濾液をクエン酸で酸性化し、ジエチルエーテルで希釈した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させて(MgSO)、真空下で蒸発させた。シリカでのカラムクロマトグラフィーによる精製によって、(トリフルオロメチル)ピリジンチオールを黄色の油として得た(0.79g、44%)。
【0075】
H NMR(360MHz,CDCl)δ8.57(1H,d,J=2.0Hz),7.74(1H,dd,J=8.1,2.0Hz),7.54(1H,d,J=8.1Hz),3.62(1H,s)。
【0076】
(2)このチオール(0.5g、2.8mmol)を、国際公開公報第02/081435号において中間体1について記載されている手順により、先ず臭化2,5−ジフルオロベンジルと反応させ、続いて3−クロロペルオキシ安息香酸と反応させて、ピリジルベンジルスルホンを白色の粉末として得た(0.82g、2段階にわたって87%)。
【0077】
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.93(1H,d,J=2.1Hz),8.18(1H,dd,J=8.1,2.1Hz),7.80(1H,d,J=8.1Hz),7.21−7.17(1H,m),7.10−7.04(1H,m),6.93−6.88(1H,m),4.46(2H,s)。
【0078】
(3)0℃でテトラヒドロフラン(5mL)中のこのスルホン(50mg、0.15mmol)をカリウムt−ブトキシド(17mg、0.15mmol)で、その後、2,2−ビス(2−ヨードエチル)−1,3−ジオキソラン(H.Niwaら,J.Am.Chem.Soc.,1990,112,9001)(86mg、0.23mmol)で処理して、室温で1時間、その後、70℃で1時間攪拌した。冷却した反応混合物をさらなるカリウムt−ブトキシド(1.2当量)および2,2−ビス(2−ヨードエチル)−1,3−ジオキソラン(0.3当量)で処理した。70℃で1時間加熱して、室温に冷却した後、反応混合物をジエチルエーテルおよび水で希釈し、層を分離して、有機層を水およびブラインで洗浄して、乾燥させ(MgSO)、真空下で蒸発させた。シリカでのカラムクロマトグラフィーによる精製によって、所望のシクロヘキサノン環状ケタール(38mg、56%)を白色の固体として得た。
【0079】
H NMR(360MHz,CDCl)δ8.68(1H,d,J=2.0Hz),7.92(1H,dd,J=2.0,8.1Hz),7.73(1H,d,J=8.1Hz),7.19−7.07(2H,m),6.90−6.82(1H,m),3.99−3.88(4H,m),2.7(2H,vbrm),2.5(2H,vbrappt),1.85(2H,brappd),1.54−1.26(2H,m)。
【0080】
(4)このケタール(30mg、0.065mmol)を80%酢酸−水中のp−トルエンスルホン酸(15mg)とともに50℃で一晩加熱した。この反応混合物をジエチルエーテルと水とで分配し、有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液およびブラインで洗浄して、乾燥させ(MgSO)、真空下で蒸発させた。シリカでのカラムクロマトグラフィーによる精製によって、シクロヘキサノン(25mg、92%)を白色の固体として得た。
【0081】
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.67(1H,d,J=2.0Hz),7.97(1H,dd,J=8.1,2.0Hz),7.77(1H,d,J=8.1Hz),7.28−7.16(2H,m),6.99−6.90(1H,m),3.01−2.97(2H,m),2.68−2.57(4H,m),2.26−2.17(2H,m)。
【0082】
(5)そのホウ化水素還元を−78℃で行ったこと以外は中間体Aの手順により、そのシクロヘキサノンを表題化合物に転化させた。
【0083】
M/Z421(MH)。
【0084】
塩化スルホニル
これらの実施例において用いた塩化スルホニルは、典型的には市販されており、又は文献経路によって入手することができた。代表的な合成には、次のものが挙げられる。
【0085】
塩化2−メチル−1−プロパンスルホニル
窒素下、アセトニトリル中、0℃の2−メチル−1−プロパンチオール(200mg、2.22mmol)にKNO(561mg、5.5mmol)を、その後、塩化スルホニル(0.45mL、5.5mmol)を添加した。この反応混合物を0℃で3時間攪拌し、NaHCOで希釈して、酢酸エチルで抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄して、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、塩化スルホニルを得た(293mg、95%)。
【0086】
2−クロロスルホニル−1−メチルイミダゾール
0℃に冷却した濃HSO(50mL)中の2−メルカプト−1−メチルイミダゾール(2.0g)の溶液に漂白剤(12%w/w水溶液、110mL)を用心深く添加した。0℃で30分攪拌した後、この混合物をHO(30mL)およびジクロロメタン(30mL)で希釈した。水性層を再びジクロロメタンで抽出して、併せた有機層を乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、生成物を油として得た(730mg)。
【0087】
5−クロロスルホニル−1−メチルテトラゾール
0℃で2NのHCl(25mL)中の5−メルカプト−1−メチルテトラゾール(1.518g)の溶液にCl(ガス)を通してバブリングした。15分後、固体沈殿物(880mg)を濾過して除去し、HOで洗浄した。
【0088】
(実施例1)
メタンスルホン酸、N−[4−(クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0089】
【化13】

塩化メタンスルホニル(24μL、0.31mmol)を、0℃でジクロロメタン(1.5mL)中の中間体A(100mg、0.28mmol)およびトリエチルアミン(77μL、0.56mmol)の溶液に添加した。周囲温度で12時間攪拌した後、その反応物を水(50mL)とジクロロメタン(50mL)とで分配し、相を分離して、水性層をジクロロメタンでもう二回洗浄した。併せた有機層を1NのHClで洗浄し、その酸性層をジクロロメタンで二回抽出して、併せた有機層をKCOで乾燥させて、濃縮した。60/40のヘキサン/酢酸エチルで溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーによって表題化合物を生じた(88.5mg)。
【0090】
MS(ES)[M−H]462,464。
【0091】
適切な塩化スルホニル又はスルフィニルを用いて、同手順により以下の実施例を調製した:
【0092】
【表1】



【0093】
(実施例44)
[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)シクロヘキシル]アミノスルホニル−アセトアミド
【0094】
【化14】

エタノール中のNH(25%水溶液)で処理することにより、実施例38のエステルから調製した。m/z(ES)=505/507。
【0095】
(実施例45)
2−ヒドロキシエタンスルホン酸、N−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0096】
【化15】

テトラヒドロフラン中のLiAlHでの還元により、実施例38のエステルから調製した。m/z(ES)=492/494。
【0097】
(実施例46)
シアノメタンスルホン酸、N−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0098】
【化16】

トルエン中の塩化チオニルおよび触媒量のジメチルホルムアミドで処理することにより、実施例44のアミドから調製した。
【0099】
m/z(ES)=487/489。
【0100】
(実施例47)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0101】
【化17】

0℃に冷却したジクロロメタン(3mL)中の中間体A(110mg、0.29mmol)をトリエチルアミン(99μL、0.43mmol)で、続いてトリフリン酸無水物(117μL、0.71mmol)で処理した。この反応物を0℃で2.5時間攪拌し、ゆっくりと周囲温度に温めて、酢酸エチルで希釈し、2Nの水酸化ナトリウムで洗浄して、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて橙色の油にし、これをクロマトグラフィー(15%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、白色の固体(16mg)を生じた。H NMR(360MHz,CDCl)δ7.39−7.30(4H,m),7.09−7.04(2H,m)6.88−6.81(1H,m),5.86−5.84(1H,m),3.82−3.80(1H,m),2.64−2.42(4H,m),2.07−2.02(2H,m),1.66−1.59(2H,m)。m/z=540,542[M+Na]
【0102】
(実施例48)
メタンスルホン酸、N−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−シクロヘキシル]−N−メチル−アミド
【0103】
【化18】

テトラヒドロフラン中のNaHおよびMeIで処理することにより、実施例1の生成物から調製した。m/z=500,502[MNa]
【0104】
(実施例49から61、68)
中間体Aの代わりに中間体Bを用い、適切な塩化スルホニルを用いて、実施例1と類似に以下の実施例を調製した:
【0105】
【表2】


【0106】
(実施例62)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0107】
【化19】

窒素下、乾燥ジクロロメタン(5mL)中の中間体B(170mg、0.41mmol)を、0℃でトリエチルアミン(80μL、0.62mmol)およびトリフリン酸無水物(133μL、0.82mmol)を用いて処理した。この反応物を放置して室温に温め、3時間攪拌し、ジクロロメタンで希釈して、水、ブラインで洗浄し、乾燥させて(MgSO)、濾過し、蒸発させた。残留物を、イソヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶離するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体(60mg)を得た。
【0108】
H NMRδ(ppm)(DMSO):1.46−1.53(2H,m),1.81(1H,s),1.84(1H,s),2.41(2H,t,J=13.1Hz),2.56−2.59(1H,m),2.59(1H,d,J=2.7Hz),3.64(1H,s),7.10−7.23(2H,m),7.30−7.36(1H,m),7.60(2H,d,J=8.2Hz),7.94(2H,d,J=7.6Hz),9.77(1H,d,J=7.6Hz)。
【0109】
(実施例63)
2−(モルホリン−4−イル)エタンスルホン酸、N−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0110】
【化20】

乾燥ジメチルホルムアミド中で過剰のモルホリンと反応させることにより、実施例61から調製した。MS[MH]597。
【0111】
(実施例64)
6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−3−スルホン酸、N−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0112】
【化21】

エタノール中でモルホリンとともに還流させることにより、実施例59から調製した。
【0113】
(実施例65)
1,1−ジメチルエタンスルフィン酸、N−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0114】
【化22】

テトラヒドロフラン(20mL)中の中間体B(0.73g、1.75mmol)および1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド(0.21g、1.75mmol)をチタン(IV)エトキシド(0.36mL、1.75mmol)で処理し、18時間、80℃に加熱した。水(0.35mL)で反応を停止させ、10分間攪拌した後、Celite(商標)に通して濾過した。このスルフィンイミンを−30℃に冷却し、L−Selectride(商標)(1.75mL、1.0mmol溶液)で処理して、−5℃に温めながら2時間攪拌した。メタノール(2mL)で反応を停止させ、酢酸エチル(50mL)とブライン(50mL)とで分配し、乾燥させて(MgSO)、蒸発乾固させた。この生成物を、酢酸エチル/ヘキサン混合物で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。収量120mg。MS MH=524。
【0115】
(実施例66)
1,1−ジメチルエタンスルホン酸、N−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0116】
【化23】

ジクロロメタン中のm−クロロペルオキシ安息香酸で酸化することにより、実施例65からの生成物より調製した。MS MH=540。
【0117】
(実施例67)
2−(ピロリジン−1−イル)エタンスルホン酸、N−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0118】
【化24】

モルホリンの代わりにピロリジンを用いて、実施例63の場合のように調製した。
【0119】
MS[MH]581。
【0120】
(実施例69から73)
【0121】
【化25】

中間体Cおよび適切な塩化スルホニルを用い、実施例1の手順によって、以下のスルホンアミドを調製した。
【0122】
【表3】

【0123】
(実施例74)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−スルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0124】
【化26】

ジクロロメタン(5mL)中の中間体C(100mg)をトリエチルアミン(1当量)で処理し、−78℃に冷却した。無水トリフルオロメタンスルホン酸(2当量)を添加し、この反応混合物を−40℃に温め、この温度で3時間攪拌した。この混合物をクエン酸水溶液で反応停止させ、酢酸エチルで希釈して、室温に温めた。有機層を分離し、ブラインで洗浄して、乾燥させ(MgSO)、濾過して、真空下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(5/1のヘキサン/酢酸エチルで溶離)による精製によって、表題化合物(120mg、91%)を白色の粉末として得た。H NMR(CDCl,400MHz)8.60(1H,d,J=1.9),7.91(1H,dd,J=8.2,1.9),7.74(1H,d,J=8.2),7.26−7.10(2H,m),6.88−6.81(1H,m),5.70(1H,brd,J=5),3.83(1H,brs),2.64−2.48(4H,m),2.11−2.07(2H,m),1.70−1.65(2H,m)。
【0125】
(実施例75)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−スルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0126】
【化27】

中間体C(段階2において臭化2−フルオロ−5−ブロモベンジルを使用)および実施例1(塩化トリフルオロメタンスルホニルを使用)の手順により調製した。M/Z=613,615(MH)。
【0127】
(実施例76)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(5−シアノ−2−フルオロフェニル)−4−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−スルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0128】
【化28】

ジメチルホルムアミド中のシアン化銅(4当量)、ピリジン(一滴)とともに180℃で一晩加熱することにより、実施例75(45mg)から調製した。M/Z=559(MH)。
【0129】
(実施例77)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(2−フルオロ−5−メチル−フェニル)−4−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−スルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0130】
【化29】

ジオキサン中、100℃のフッ化セシウム(2.2当量)、トリ−t−ブチルホスフィン(12mol%)、テトラメチル錫(2当量)およびPd(dba)(3mol%)で3時間処理することによって、実施例75から調製した。M/Z=549(MH)。
【0131】
(実施例78)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(2−フルオロ−5−(ヒドロキシメチル)−フェニル)−4−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−スルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0132】
【化30】

(i)100℃で2時間、ジオキサン中のCsF(2.2当量)、トリ−t−ブチルホスフィン(12mol%)、トリブチルビニル錫(2当量)およびPd(dba)(3mol%)での処理;(ii)ジクロロメタン/メタノール中、−78℃のオゾンでの、得られたスチレンの処理;および(iii)エタノール中の水素化ホウ素ナトリウム(2当量)での、得られた−78℃のアルデヒドの還元、により、実施例75から調製した。M/Z=547(M−OH+H)。
【0133】
(実施例79)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(4−ビニルベンゼンスルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0134】
【化31】

ジオキサン中のトリ−t−ブチルホスフィン、フッ化セシウム、Pd(dba)およびトリブチル(ビニル)錫を用いて100℃で2時間処理することにより、実施例47から調製した。
【0135】
(実施例80)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(4−ホルミルベンゼンスルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0136】
【化32】

ジクロロメタン/メタノール中のオゾンを用いて−78℃で処理することにより、実施例79から調製した。
【0137】
(実施例81)
4−{1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−[(トリフルオロメタンスルホニル)アミノ]−シクロヘキサンスルホニル}−ベンズアルデヒドオキシム
【0138】
【化33】

還流エタノール中、塩酸ヒドロキシルアミンおよび酢酸ナトリウムで処理することにより、実施例80から調製した。
【0139】
(実施例82)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(4−(フルオロメチル)ベンゼンスルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0140】
【化34】

(i)0℃、乾燥テトラヒドロフラン中、水素化ホウ素ナトリウムでの還元;および(ii)−78℃、乾燥ジクロロメタン中の三フッ化ジエチルアミノ硫黄での、得られたベンジルアルコールの処理により、実施例80から調製した。
【0141】
(実施例83)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(4−(ジフルオロメチル)ベンゼンスルホニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0142】
【化35】

室温、乾燥ジクロロメタン中の三フッ化ジエチルアミノ硫黄で処理することにより、実施例80から調製した。
【0143】
(実施例84)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(4−シアノベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0144】
【化36】

アセトニトリル中のトリフェニルホスフィンおよび四塩化炭素で処理することにより、実施例81から調製した。
【0145】
(実施例85)
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(ベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−シクロヘキシル]−アミド
【0146】
【化37】

10%パラジウム/炭素を用いる水素化により、実施例47から調製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I:
【化1】

(式中、
nは、1又は2であり;
は、CFを表し、又はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜9シクロアルキルもしくはC3〜6シクロアルキルC1〜6アルキル(これらはいずれも、ハロゲン、CN、CF、OR、COR、CO、OCOR、SO、N(R、およびCON(Rから選択された2個以下の置換基を有していてもよい。)を表し、又は
は、アリール、アリールC1〜6アルキル、C−ヘテロシクリル又はC−ヘテロシクリルC1〜6アルキルを表し;
は、H又はC1〜4アルキルを表し;
は、H、C1〜4アルキル、フェニル又はヘテロアリールを表し;
は、C1〜4アルキル、フェニル又はヘテロアリールを表し;
は、H又はC1〜4アルキルを表し、又は2個のR基とこれらが相互に結合している窒素原子とが一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン又はチオモルホリン−1,1−ジオキシド環を完成しており;
ArおよびArは、フェニル又はヘテロアリールを独立に表し、これらのうちのいずれかは、ハロゲン、CN、NO、CF、CHF、OH、OCF、CHO、CH=NOH、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C2〜6アシル、C2〜6アルケニルおよびC1〜4アルキル(これらは、ハロゲン、CN、NO、CF、OHおよびC1〜4アルコキシから選択された置換基を場合によって有する。)から独立に選択された0〜3個の置換基を有しており;
「アリール」は、いずれの存在においても、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(Rおよび場合によって置換されているC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル又はC2〜6アルケニルオキシ(この場合の置換基は、ハロゲン、CN、CF、フェニル、OR、CO、OCOR、N(RおよびCON(Rから選択される)から選択された3個以下の置換基を場合によって有するフェニル又はヘテロアリールを指し;ならびに
「C−へテロシクリル」および「N−へテロシクリル」は、いずれの存在においても、炭素又は窒素によって結合されたヘテロ環構造をそれぞれ指し、前記環構造は、非芳香族性であり、および10個以下の原子を含み、このうちの少なくとも1個は、O、N又はSであり、およびオキソ、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OR、COR、CO、OCOR、OSO、N(R、CON(Rおよび場合によって置換されているフェニル、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル又はC2〜6アルケニルオキシ(この場合の置換基は、ハロゲン、CN、CF、OR、CO、OCOR、N(R、およびCON(Rから選択される。)から選択された3個以下の置換基を場合によって有する。)
の化合物又はその医薬適合性の塩。
【請求項2】
Arが、6−トリフルオロメチル−3−ピリジル、4−クロロフェニル又は4−トリフルオロメチルフェニルであり、Arが、2,5−ジフルオロフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記式II:
【化2】

(式中、
Xは、N又はCHを表し;
は、H、F、Cl、Br、CN、CF、CH=CH又はCHを表し、
は、F、Cl、Br、CN、CH又はCHOHを表し、
は、請求項1において定義されているとおりである。)
の、請求項1に記載の化合物又はその医薬適合性の塩。
【請求項4】
が、CFである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
トリフルオロメタンスルホン酸、N−[4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(6−トリフルオロメチル−ピペリジン−3−スルホニル)−シクロヘキシル]−アミドである、請求項4に記載の化合物又はその医薬適合性の塩。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬適合性の塩および医薬適合性の担体を含む医薬組成物。
【請求項7】
人体の治療方法に使用するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬適合性の塩。
【請求項8】
アルツハイマー病の治療薬又は予防薬を製造するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬適合性の塩の使用。
【請求項9】
有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬適合性の塩を被験者に投与することを含む、β−アミロイドの沈着を随伴する状態に罹患しているか、罹患しやすい被験者の治療方法。
【請求項10】
塩化スルフィニルRSOCl又は塩化スルホニルRSOCl又は無水スルホン酸(RSOOを下記式III:
【化3】

(式中、R、ArおよびArは、請求項1において定義されているとおりである。)
のアミンと反応させることを含む、RがHである、請求項1に記載の化合物の調製方法。

【公表番号】特表2006−501295(P2006−501295A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540932(P2004−540932)
【出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004196
【国際公開番号】WO2004/031139
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】