説明

ガンマセクレターゼ阻害剤

式(I):


の化合物はγセクレターゼの強力な阻害剤であり、従って、βアミロイドの沈着に関連する疾患の治療又は予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規類の化合物、その塩、それらを含有する医薬組成物、その製造方法及び人体の治療におけるその使用に関する。特に、本発明はγセクレターゼによるAPPのプロセシングを阻害し、従って、アルツハイマー病の治療又は予防に有用な新規スルホンアミド、スルファミン酸及びスルファミド誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は痴呆の最も一般的な形態である。ADは主に高齢者の疾患であり、65歳以上の人口の10%までが罹患しているが、遺伝的疾病素質をもつ若年患者も相当数に及ぶ。ADは臨床的には記憶及び認知機能の進行性低下を特徴とし、病理的には患者の大脳皮質連合野における細胞外蛋白プラークの沈着を特徴とする神経変性疾患である。これらのプラークは主にβアミロイドペプチド(Aβ)の線維状凝集物から構成される。アミロイド前駆体蛋白質(APP)をプロセシングしてAβを形成する過程におけるセクレターゼ(推定γセクレターゼを含む)の役割は文献で詳細に検討されており、例えば、WO01/70677に記載されている。
【0003】
細胞アッセイで測定した場合にγセクレターゼに対する阻害活性をもつ化合物は各種文献に報告されている。これらはWO01/70677に記載されている。該当化合物の多くはペプチド又はペプチド誘導体である。
【0004】
WO01/70677とWO02/36555は夫々アルツハイマー病の治療に有用であると考えられるスルホンアミドとスルファミドで置換された架橋ビシクロアルキル誘導体を開示しているが、本発明の化合物については開示又は示唆していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は推定γセクレターゼによるAPPのプロセシングの特に強力な阻害を示し、従って、ADの治療又は予防に有用な新規類の架橋ビシクロアルキルスルホンアミド、スルファミン酸及びスルファミド誘導体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、式I:
【0007】
【化4】

(式中、ZはCH又はNを表し、その結果として形成されるイミダゾール又はトリアゾール基はアスタリスクにより示す位置の一方に結合しており、Xはその隣接位置に結合しており;
XはH、OH、C1−4アルコキシ、Cl又はFを表し;
Yは結合、O又はNRを表し;
Arはハロゲン、CF、CHF、CHF、NO、CN、OCF、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立して選択される0〜3個の置換基を各々もつフェニル又は6員環ヘテロアリールを表し;
はHを表すか;又はYがNRを表す場合には、RとRは一緒になって−CH−を表してもよく;
はH又は場合によりCN、C1−4アルコキシもしくは3個までのハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜10の炭化水素基を表すか;Rは場合によりハロゲン、CF、CHF、CHF、NO、CN、OCF、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立して選択される3個までの置換基をもつ5又は6員環ヘテロアリールを表すか;あるいはYがNRを表す場合には、RとRは一緒になって場合によりハロゲン、CF、CHF、CHF、NO、CN、OCF、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立して選択される3個までの置換基をもつ6員環までの複素環を形成してもよく;
はH又はC1−4アルキルを表すか、Rと一緒になって上記複素環を形成するか、あるいはRと一緒になって−CH−を形成し;
但しXがHであり、YがNRを表し、RとRが一緒になって−CH−を表す場合には、Rは2,2,2−トリフルオロエチル以外のものを表し;RとRが同時にHであることはない)の化合物又は医薬的に許容可能なその塩が提供される。
【0008】
当業者に自明の通り、式Iの任意化合物はアスタリスクにより示す環位置のどちらがイミダゾール又はトリアゾール環に結合しているかに応じて2種類のエナンチオマー形態で存在することができる。従って、式Iは式IIa及びIIb:
【0009】
【化5】

(式中、X、Y、Z、Ar、R及びRは上記に定義した通りである)のエナンチオマーと;式IIIa及びIIIb:
【0010】
【化6】

(式中、X、Y、Z、Ar、R及びRは上記に定義した通りである)のエナンチオマーを含む。
【0011】
同様に当業者に自明の通り、XがHを表す場合には、式IIaは式IIIaと同一であり、式IIbは式IIIbと同一である。
【0012】
なお、本発明は式Iの各化合物についてホモキラル化合物又は任意比率のエナンチオマーの混合物としての両者エナンチオマー形態を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の1好適態様では、式Iの化合物は式IIaもしくは式IIIaのホモキラル化合物、又は医薬的に許容可能なその塩であるか、あるいは式IIaもしくは式IIIaの化合物を含むラセミ混合物、又は医薬的に許容可能なその塩である。
【0014】
式I又はその置換基に変数が2回以上出現する場合には、このような変数は特に指定しない限り、出現毎に相互に独立している。
【0015】
本明細書で使用する「炭化水素基」なる用語は炭素原子と水素原子のみから構成される基を意味する。このような基は最大指定炭素原子数に一致する単独又は任意組み合わせとしての直鎖、分枝鎖又は環状構造を含むことができ、飽和でも不飽和でもよく、最大指定炭素原子数が許す場合には芳香族も含む。
【0016】
本明細書で使用する「C1−xアルキル」(式中、xは2以上の整数である)なる用語は構成炭素原子数が1〜xの直鎖及び分枝鎖アルキル基を意味する。特定アルキル基はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル及びt−ブチルである。「C2−6アルケニル」、「ヒドロキシC1−6アルキル」、「ヘテロアリールC1−6アルキル」、「C2−6アルキニル」及び「C1−6アルコキシ」等の派生語も同様に解釈されたい。これらの基における炭素原子数は6以下が最も適切である。
【0017】
本明細書で使用する「C3−6シクロアルキル」なる用語は3〜6員環の非芳香族単環炭化水素環系を意味する。例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘキセニルが挙げられる。
【0018】
本明細書で使用する「シクロアルキルアルキル」なる用語はシクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル及びシクロヘキシルメチル等の基を含む。
【0019】
本明細書で使用する「ハロゲン」なる用語はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含み、フッ素と塩素が好ましい。
【0020】
医薬用として、式Iの化合物は医薬的に許容可能な塩の形態とすることができる。しかし、式Iの化合物又は医薬的に許容可能なその塩の製造には他の塩が有用な場合もある。本発明の化合物の適切な医薬的に許容可能な塩としては例えば本発明の化合物の溶液を塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、琥珀酸、酢酸、安息香酸、蓚酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸等の医薬的に許容可能な酸の溶液と混合することにより形成することができる酸付加塩が挙げられる。あるいは、本発明の化合物が酸性部分をもつ場合には、前記酸性部分を適当な塩基で中和することにより医薬的に許容可能な塩を形成することができる。こうして形成される医薬的に許容可能な塩の例としてはナトリウム塩やカリウム塩等の金属塩;アンモニウム塩;カルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;及びアミン塩(ピリジニウム塩を含む)や第4級アンモニウム塩等の適当な有機塩基と共に形成される塩が挙げられる。
【0021】
本発明の化合物が少なくとも1個の不斉中心をもつ場合には、相応にエナンチオマーとして存在することができる。本発明の化合物が2個以上の不斉中心をもつ場合には、更にジアステレオ異性体として存在することができる。当然のことながら、これらの全異性体と任意比率のその混合物も本発明の範囲に含まれる。
【0022】
式Iの化合物においてXは好ましくはH、OH又はF、より好ましくはH又はFを表す。1特定態様では、XはHである。別の特定態様では、XはFである。XはHが最も好ましい。
【0023】
1態様では、ZはCHを表し、従って、1−アリールイミダゾール−4−イル環を形成する。別の態様では、ZはNを表し、従って、1−アリール−1,2,4−トリアゾール−3−イル環を形成する。
【0024】
Arはハロゲン、CF、CHF、CHF、NO、CN、OCF,C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立して選択される0〜3個の置換基を各々もつフェニル又は6員環ヘテロアリールを表す。Arにより表される適切な6員環ヘテロアリール基の例としてはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラダジニル及びトリアジニルが挙げられ、ピリジルが好適例である。好ましくは、フェニル又はヘテロアリール環は0〜2個の置換基をもつ。好ましい置換基としてはハロゲン(特に塩素及びフッ素)、CN、C1−6アルキル(特にメチル)、C1−6アルコキシ(特にメトキシ)、OCF及びCFが挙げられる。2個以上の置換基が存在する場合には、ハロゲン又はアルキル以外のものはその1個以下であることが好ましい。Arにより表される基の例としてはフェニル、モノハロフェニル、ジハロフェニル、トリハロフェニル、シアノフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、トリフルオロメトキシフェニル、ピリジル、モノハロピリジル及びトリフルオロメチルピリジルが挙げられ、ここで「ハロ」とはフルオロ又はクロロを意味する。Arの適切な具体例としては2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3,4,5−トリフルオロフェニル、4−シアノフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、2−(トリフルオロメチル)フェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−(トリフルオロメトキシ)フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、ピラジン−2−イル、5−メチルピリジン−2−イル、5−フルオロピリジン−2−イル、5−クロロピリジン−2−イル、5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル及び6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イルが挙げられる。好適例としては2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル及びピリジン−4−イルが挙げられる。
【0025】
特に好ましい態様では、Arは4−フルオロフェニルを表す。
【0026】
式Iの化合物の第1のサブセットにおいて、RはHを表し、従って、化合物は式IV:
【0027】
【化7】

(式中、X、Y、Z、Ar及びRは上記と同義であり、好ましい具体例も上記の通りである)により表される。
【0028】
このサブセットにおいて、Rにより表される炭化水素基としては場合により3個までのハロゲン置換基をもつアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、フェニル及びベンジル基が挙げられ、好ましいハロゲン置換基はフッ素又は塩素、特にフッ素である。前記アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル及びアルケニル基は一般に炭素原子数6までである。Rにより表される炭化水素及びフッ素化炭化水素基の例としては4−フルオロフェニル、ベンジル、n−プロピル、2,2−ジメチルプロピル、n−ブチル、イソプロピル、t−ブチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、アリル、シクロブチル及びシクロプロピルメチルが挙げられる。
【0029】
により表されるヘテロアリール基は5員環又は6員環であり、場合により上記のように置換されている。好ましい5員環ヘテロアリール基としてはチエニル、チアチアゾリル及びイソチアゾリル等の硫黄原子を含むものが挙げられる。好ましい6員環ヘテロアリール基としてはピリジル、特に3−ピリジルが挙げられる。好ましい置換基としてはハロゲン(特に塩素又はフッ素)、CF及びアルキル(例えばメチル)が挙げられる。2個以上の置換基が存在する場合には、ハロゲン又はアルキル以外のものはその1個以下であることが好ましい。好ましいヘテロアリール基は置換されていないか又はハロゲンでモノ置換されている。
【0030】
が場合により置換されたフェニル又はヘテロアリール基を表す場合には、Yは結合が好ましい。
【0031】
YがNRを表す場合には、RはRと一緒になって場合により上記のように置換された6員環までの複素環を形成することができる。前記環はRとRが相互に結合している窒素に加え、O、N及びSから選択される最大1個のヘテロ原子を含むことが好ましい。適切な環としてアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルが挙げられる。好ましい置換基としてはCF、ハロゲン(特に塩素又はフッ素)及びアルキル(例えばメチル)が挙げられる。2個以上の置換基が存在する場合には、ハロゲン又はアルキル以外のものはその1個以下であることが好ましい。
【0032】
あるいは、RはH又はC1−4アルキル(例えばメチル)でもよい。RはHを表すか又はRと共に環を形成することが好ましい。
【0033】
式IVの化合物の第1のサブセットにおいて、Yは結合であり、Rは場合により3個までのフッ素もしくは塩素置換基をもつ炭素原子数6までの炭化水素又は場合により上記のように置換された5もしくは6員環ヘテロアリールである。この態様では、Rの適切な具体例としてはn−ブチル、4−フルオロフェニル、2−チエニル、5−クロロ−2−チエニル、5−イソチアゾリル及び6−クロロ−3−ピリジルが挙げられる。
【0034】
式IVの化合物の第2のサブセットにおいて、YはOであり、Rは場合により3個までのフッ素原子で置換された炭素原子数6までのアルキル、アルケニル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルを表す。
【0035】
式IVの化合物の第3のサブセットにおいて、YはNH又はNMeであり、Rは場合により3個までのフッ素原子で置換された炭素原子数6までのアルキル、アルケニル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルを表す。
【0036】
式IVの化合物の第4のサブセットにおいて、YはNRを表し、RとRは上記のように複素環を形成する。
【0037】
式Iの化合物の第2のサブセットにおいて、YはNRを表し、RとRは一緒になって−CH−を表し、従って、化合物は式V:
【0038】
【化8】

(式中、X、Z、Ar及びRは上記と同義であり、好ましい具体例も上記の通りであるが、但し、XがHであるとき、Rは2,2,2−トリフルオロエチル以外のものである)により表される。
【0039】
このサブセットにおいて、RはHを表すかあるいは場合により3個までのハロゲン原子、CN又はC1−4アルコキシで置換された炭素原子数1〜10の炭化水素基を表し、但し、XがHであるとき、Rは2,2,2−トリフルオロエチル以外のものを表す。Rにより表される適切な炭化水素基としては場合により上記のように置換されたアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル及びベンジル基が挙げられ、好ましい置換基はフッ素又は塩素、特にフッ素とCNである。前記炭化水素基は一般に炭素原子数6までであり、非芳香族である。Rにより表される基の例としてはH、ベンジル、n−プロピル、2,2−ジメチルプロピル、n−ブチル、イソプロピル、t−ブチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、アリル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、1−メチル−2,2,2−トリフルオロエチル、2−フルオロプロパ−2−エニル、プロパ−2−イニル、2−メチルプロパ−2−エニル、シアノメチル及び2−メトキシエチルが挙げられる。
【0040】
本発明の化合物の特定例としてはRがHであり、XがHであり、Arが4−フルオロフェニルであり、Y、Z、R及び(該当する場合には)Rが下表:
【0041】
【表1】

に示す通りである式IIa又は式IIIaの化合物が挙げられる。
【0042】
本発明の化合物の他の例としてはYがNRであり、RとRが一緒になって−CH−を表し、Arが4−フルオロフェニルであり、XがHであり、ZとRが下表:
【0043】
【表2】

に示す通りである式IIaの化合物が挙げられる。
【0044】
本発明の化合物はγセクレターゼの阻害剤としての活性をもつ。
【0045】
本発明は1種以上の本発明の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物も提供する。これらの組成物は経口、非経口、鼻腔内、舌下もしくは直腸投与用又は吸入もしくは吸気投与用として、タブレット、ピル、カプセル、散剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液もしくは懸濁液、定量エアゾールもしくは液体スプレー、滴剤、アンプル、経皮パッチ、自己注射器又は座剤等の単位剤形であることが好ましい。一般に主活性成分を例えば慣用錠剤化成分(例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はガム類)、分散剤、懸濁剤又は界面活性剤(例えばモノオレイン酸ソルビタン及びポリエチレングリコール)等の医薬キャリヤー及び他の医薬希釈剤(例えば水)と混合し、本発明の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含有する均質プレ製剤組成物を形成する。これらのプレ製剤組成物が均質であるという場合には、組成物をタブレット、ピル及びカプセル等の均等に有効な単位剤形に容易に細分できるように活性成分が組成物全体に均等に分散していることを意味する。このプレ製剤組成物をその後、本発明の活性成分0.1〜約500mgを含有する上記型の単位剤形に細分する。典型的な単位剤形は1〜100mg、例えば1、2、5、10、25、50又は100mgの活性成分を含有する。新規組成物のタブレット又はピルは持続作用の利点を付与する剤形を提供するようにコーティング又は他の方法で加工することができる。例えば、タブレット又はピルは内側処方成分と外側処方成分から構成し、後者を前者のエンベロープとすることができる。胃での崩壊を阻止するように機能し、内側成分を無傷で十二指腸に導入するか又は放出を遅らせる腸溶層により2成分を分離することができる。このような腸溶層又はコーティングには種々の材料を使用することができ、このような材料としては多数のポリマー酸及びポリマー酸とシェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロース等の材料の混合物が挙げられる。
【0046】
本発明の新規組成物を経口又は注射投与用に配合することができる液体形態としては水溶液、液体又はゲルを充填したカプセル、適当なフレーバー入りシロップ、水性又は油性懸濁液、食用油(例えば綿実油、胡麻油又は椰子油)によるフレーバー入りエマルション、及びエリキシル剤等の医薬ビークルが挙げられる。水性懸濁液に適した分散剤又は懸濁剤としては合成及び天然ガム類、例えばトラガカントガム、アラビアガム、アルギン酸塩、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)又はゼラチンが挙げられる。
【0047】
本発明は人体の治療方法で使用するための本発明の化合物又は医薬的に許容可能なその塩も提供する。βアミロイドの沈着に関連する症状の治療が好ましい。症状はアルツハイマー病等のβアミロイドの沈着に関連する神経疾患が好ましい。
【0048】
本発明は更にアルツハイマー病の治療又は予防用医薬の製造における本発明の化合物又は医薬的に許容可能なその塩の使用も提供する。
【0049】
有効量の本発明の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を対象に投与することを含むアルツハイマー病に罹患しているか又はその傾向のある対象の治療方法も開示する。
【0050】
アルツハイマー病を治療又は予防するために適切な用量レベルは約0.01〜250mg/kg/日、好ましくは約0.01〜100mg/kg/日、より好ましくは約0.05〜50mg/kg体重/日であり、最も好ましい化合物では約0.1〜10mg/kg体重/日である。化合物は1日に1〜4回のレジメンで投与することができる。しかし、場合により、この範囲外の用量を使用してもよい。
【0051】
式IVの化合物はアミン(1):
【0052】
【化9】

(式中、X、Y、Z、Ar及びRは上記と同義である)をR−Y−SOClと反応させることにより製造することができる。反応はジクロロメタン等の非プロトン性溶媒中でトリエチルアミン又はピリジン等の塩基の存在下に実施される。
【0053】
アミン(1)はスルフィンアミド(2):
【0054】
【化10】

(式中、X、Ar及びZは上記と同義である)を酸で処理することにより製造することができる。反応はジオキサン中無水HClを使用して0℃のメタノール溶液中で実施することができる。
【0055】
スルフィンアミド(2)はケトン(3b)をt−Bu−SO−NHと縮合することにより得られるイミン(3a):
【0056】
【化11】

(式中、X、Ar及びZは上記と同義である)の還元により得られる。縮合は還流下のTHF中でチタン(IV)エトキシドの存在下に実施され、還元は0℃のメタノール中で水素化ホウ素ナトリウムを使用して実施することができる。
【0057】
ケトン(3b)はボロン酸エステル(4)とイミダゾール又はトリアゾール誘導体(5):
【0058】
【化12】

(式中、RはH又はC1−6アルキルを表すか、あるいは2個のORが一緒になってグリコール酸ネオペンチル又はピナコールエステル等の環状ボロン酸エステルを形成し、Lはトリフラート、臭化物又はヨウ化物等の脱離基を表し、X、Ar及びZは上記と同義である)のカップリングにより製造することができる。カップリングは約100℃のジメトキシエタン又はDMF等の溶媒中でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等のPd触媒の存在下で一般には炭酸セシウム、酢酸カリウム又は炭酸カリウム等の無機塩基の存在下に実施される。
【0059】
ボロン酸エステル(4)はトリフラート(6):
【0060】
【化13】

(式中、Tfはトリフルオロメタンスルホニルを表し、Xは上記と同義である)をビス(ピナコラート)ジボロン又はビス(ネオペンチルグリコラート)ジボロン等の適当なボロン試薬と反応させることにより製造することができる。反応は(4)と(5)のカップリングと同一条件下で実施されるが、好ましい触媒は[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)である。
【0061】
トリフラート(6)はフェノール(7):
【0062】
【化14】

(式中、Xは上記と同義である)をトリフルオロメタンスルホン酸無水物と反応させることにより製造される。反応は0℃のジクロロメタン溶液中でピリジン等の塩基の存在下に実施される。
【0063】
XがHであるフェノール(7)は文献(J.Org,Chem.1982,47,4329)から公知であり、式(7)の他の化合物も同様の方法又は(7)(X=H)の適当な操作(例えばハロゲン化)により製造することができる。
【0064】
YがNRを表す式IVの化合物もケトン(3b)をRNSONHと縮合させた後に得られたスルファモイルイミンを還元することにより製造することができる。縮合はTHF中でチタン(IV)エトキシドの存在下に試薬を16時間還流することにより実施することができ、還元は0℃のメタノール中でホウ水素化ナトリウムを使用して実施することができる。
【0065】
YがO又はNRを表す式IVの化合物の別の経路はアミン(1)を硫酸カテコールと反応させ、得られた(2−ヒドロキシフェニル)スルファミン酸塩を適宜ROH又はRNHで処理する。あるいは、硫酸カテコールをRNHと反応させ、得られたスルファミン酸塩を式(1)のアミンと反応させてもよい。
【0066】
がH以外のものである式Vの化合物はアジリジン誘導体(8a):
【0067】
【化15】

(式中、Ar、X及びZは上記と同義であり、イミダゾール又はトリアゾール基はアスタリスクにより示す位置の一方に結合しており、Xはその隣接位置に結合している)をR2aNH(式中、R2aはH以外のRである)と反応させることにより製造することができる。反応は密閉試験管でDMSOに試薬を加えて100℃に16時間加熱することにより実施することができる。
【0068】
あるいは、RがH以外のものである式Vの化合物は式(8b)のアジリジンをアミンR2aNHとNHSONHで順次処理することにより得られる。(8b)とアミンの反応は還流下の1,2−ジクロロエタン中でヨウ化亜鉛の存在下に実施することができ、得られたジアミンとスルファミドの反応は還流下のピリジン中で実施することができる。
【0069】
がHである対応する化合物はアミンR2aNHとしてp−メトキシベンジルアミンを使用して上記手順の1種を実施し、生成物を周囲温度のトリフルオロ酢酸で処理してp−メトキシベンジル基を除去することにより製造することができる。
【0070】
アジリジン(8a)及び(8b)は夫々イミン(9a)及び(9b):
【0071】
【化16】

(式中、X、Ar及びZは上記と同義である)を水素化ナトリウムの存在下にヨウ化トリメチルスルホキソニウムと反応させることにより製造することができる。反応は周囲温度のDMSO中で実施される。
【0072】
イミン(9a)及び(9b)はケトン(3b)を夫々MeNSONH又はBuSONHと縮合することにより製造することができる。反応はTHF中でチタン(IV)エトキシドの存在下に試薬を16時間還流させることにより実施することができる。
【0073】
式Vの化合物の代替経路では、イミダゾール又はトリアゾール誘導体(5)をボロン酸誘導体(10):
【0074】
【化17】

(式中、R、R及びXは上記と同義である)と反応させる。反応は上述した化合物(4)及び(5)のカップリングと同一条件下で実施される。
【0075】
ボロン酸エステル(10)はまず化合物(3b)から式Vの化合物への変換について上述した方法により(7)のケトン基をスピロ結合環状スルファミド基に変換した後に、化合物(7)から化合物(4)への変換について上述したようにフェノール基をB(ORに変換することによりケトン(7)から製造することができる。
【0076】
XがHであるボロン酸エステル(10)のフェノール前駆体を化学操作(例えばフッ素化)し、XがH以外のものである対応する化合物を得ることもできる。あるいは、前記フェノールをヨウ素化して対応するオルト−ヨードフェノールとし、これをボロン酸エステル(4)(X=OH)に変換し、イミダゾール又はトリアゾール(5)とカップリングし、XがOHである式Iの化合物を得ることもできる。
【0077】
同様に当然のことながら、ある反応から2種以上の異性体が得られる場合には、得られる異性体混合物を慣用手段により分離することができる。
【0078】
本発明の化合物の上記製造方法により立体異性体の混合物が得られる場合には、これらの異性体を分取クロマトグラフィー等の慣用技術により分離することができる。新規化合物はラセミ形で製造することもできるし、エナンチオ特異的合成又は分解により個々のエナンチオマーを製造することもできる。新規化合物は例えば、分取HPLC等の標準技術を用いるか又は光学活性酸(例えば(−)−ジ−p−トルオイル−d−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−l−酒石酸)との塩形成によるジアステレオマー対の形成後、分別結晶化と遊離塩基の再生によりその成分エナンチオマーに分解することができる。新規化合物はジアステレオマーエステル又はアミドの形成後にクロマトグラフィー分離し、キラル助剤を除去することにより分解することもできる。あるいは、目的化合物のラセミ合成前駆体でこのような方法を実施してもよい。
【0079】
式Iの純エナンチオマー化合物の好ましい1経路では、ラセミ中間体(7)に分取キラルHPLCを実施して対応するホモキラル中間体とした後に、上記経路により式Iのホモキラル化合物に変換する。
【0080】
上記合成スキームで使用される出発材料と試薬が市販されていない場合には、慣用手段により製造することができる。
【0081】
上記任意合成シーケンスの間に、任意該当分子上の感受性又は反応性基を保護することが必要であるか及び/又は望ましい場合がある。これはProtective Groups in Organic Chemistry,J.F.W.McOmie編,Plenum Press,1973;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991に記載されているような慣用保護基により実施することができる。保護基は当分野で公知の方法を使用して適当な後続段階で除去することができる。
【0082】
本発明の化合物の活性レベルを測定するために使用することができるアッセイはWO01/70677に記載されている。このような活性を測定するための好適アッセイはWO2004/039800に記載されている。
【0083】
代替アッセイはBiochemistry,2000,39(30),8698−8704に記載されている。
【0084】
J.Neuroscience Methods,2000,102,61−68も参照。
【0085】
本発明の化合物は上記アッセイにより測定した場合に予想外に高い親和性を示す。従って、以下の全実施例は上記アッセイの少なくとも1種でED50が50nM未満、一般に10nM未満、多くの場合には1nM未満であった。一般に、これらの化合物は良好な経口バイオアベイラビリティ及び/又は脳内移行も示す。
【実施例】
【0086】
以下、実施例により本発明を例証する。
【0087】
(実施例1)
N−{(6S,9R,11R)−2−[1−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル]−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−6,9−メタノベンゾ[a][8]アヌレン−11−イル}−N’−(2,2,2−トリフルオロエチル)スルファミド
【0088】
【化18】

【0089】
ステップ1
【0090】
【化19】

【0091】
Berger SFCセミ分取装置(キラルパックAS(25×2cm,20um);15%MeOH/CO@50mL/min;35℃;100バール;2番目に溶出するエナンチオマー)を使用して2−ヒドロキシ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−6,9−メタノベンゾ[a][8]アヌレン−11−オン(J.Org.Chem 1982,47,4329)を分解した。
【0092】
ステップ2
【0093】
【化20】

【0094】
ステップ1からの生成物(6.83g,34mmol)の乾燥DCM(40mL)溶液に撹拌下に0℃で窒素下にピリジン(3.8mL,47mmol)を加えた後にトリフルオロメタンスルホン酸無水物(8.0mL,47mmol)を加えた。反応混合物を0℃で2時間撹拌した。水(40mL)を加え、層分離させた。水層をDCM(×2)で抽出した。抽出層を合わせてブライン(×1)で洗浄した後、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。10−15%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、トリフラート(9.64g,85%)が得られた。(400MHz H,δ−CDCl)1.28(2H,m),1.92(2H,m),2.64(2H,m),2.85−3.05(4H,m),7.13(2H,m),7.29(1H,m)。
【0095】
ステップ3
【0096】
【化21】

【0097】
ステップ2からのトリフラート(2.546g,7.6mmol)、ビス(ネオペンチルグリコラート)ジボロン(2.064g,9.1mmol)及びKOAc(1.495g,15.2mmol)をジオキサン(27mL)とDMSO(3mL)に溶かした溶液に20分間窒素をバブリングすることにより脱酸素化した。[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロリド(0.622g,0.76mmol)を加え、脱酸素化を更に10分間続けた。反応混合物を90℃に16時間加熱した後、放冷させ、水(40mL)で希釈した。反応混合物をEtOAc(×3)で抽出した。抽出層を合わせて水とブラインで順次洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。20%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、生成物(1.881g,83%)が得られた。(360MHz H,δ−CDCl)1.04(6H,s),1.30(2H,m),1.83(2H,m),2.59(2H,m),2.85−3.00(4H,m),3.78(4H,s),7.19(1H,m),7.62(2H,m)。
【0098】
ステップ4
【0099】
【化22】

【0100】
ステップ3からのボロン酸エステル(1.787g,6.0mmol)、4−ブロモ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール(1.589g,6.6mmol)、及び炭酸セシウム(4.296g,13.2mmol)をDME(20mL)と水(10mL)に溶かした溶液に30分間窒素をバブリングすることにより脱酸素化した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.693g,0.6mmol)を加え、脱酸素化を更に10分間続けた。反応混合物を90℃に16時間加熱した後、放冷させ、水(40mL)で希釈した。Hyflo(登録商標)で濾過することにより触媒を除去し、濾液をEtOAc(×3)で抽出した。抽出層を合わせて水とブラインで順次洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。40%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製した。得られた固体をエーテルで洗浄すると、生成物(1.818g,88%)が得られた。(360MHz H,δ−CDCl)1.36(2H,m),1.87(2H,m),2.61(2H,m),2.89−3.09(4H,m),7.23(3H,m),7.42(2H,m),7.51(1H,s),7.62(1H,m),7.73(1H,s),7.83(1H,s)。
【0101】
ステップ5
【0102】
【化23】

【0103】
ステップ4からのケトン(1.0g,2.8mmol)のTHF(20ml)溶液に窒素雰囲気下で1,1−ジメチルエチルスルフィンアミド(814mg,6.4mmol)とチタンテトラエトキシド(tech.,1.2ml,5.8mmol)を順次加え、混合物を20時間加熱還流した。混合物を室温まで冷却し、激しい撹拌下にブラインに注いだ。30分後に酢酸エチル(100ml)を加え、混合物をHyflo(登録商標)で濾過し、層分離させ、水層を酢酸エチル(100ml)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧蒸発させると、所望イミンが黄色がかったフォームとして得られた(1.3g,99%)。M/Z ES+(450)(MH)
【0104】
ステップ6
【0105】
【化24】

【0106】
ステップ5からのイミン(1.3g,2.8mmol)の0℃メタノール(40ml)溶液を窒素雰囲気下に水素化ホウ素ナトリウム(220mg,5.8mmol)で処理し、混合物を0℃で2時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水(40ml)で希釈し、酢酸エチル(2×40ml)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧蒸発させると、所望スルフィンアミドが茶色いフォームとして得られた(1.4g,99%)。M/Z ES+(452)(MH)
【0107】
ステップ7
【0108】
【化25】

【0109】
ステップ6からのスルフィンアミド(1.4g,2.9mmol)の0℃無水メタノール(20ml)溶液を塩化水素(ジオキサン中4N,8ml,32mmol)で処理し、反応混合物を0℃で2時間撹拌した。減圧蒸発後、残渣を重炭酸ナトリウム(飽和,40ml)で希釈し、酢酸エチル(2×40ml)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧蒸発させると茶色いガムが得られ、イオン交換クロマトグラフィー(SCX,メタノールで洗浄し、メタノール(2M)中アンモニアで溶出)により精製すると、所望アミンが無色フォーム(925mg,93%)として得られた。M/Z ES+(348)(MH)
【0110】
ステップ8
【0111】
【化26】

【0112】
ステップ7からのアミン(50mg,0.14mmol)のジクロロメタン(1ml)溶液を2,2,2−トリフルオロエチルスルファモイルクロリド(138mg,0.7mmol)に加えた後、トリエチルアミン(195μl,1.4mmol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。NaHCO(飽和,1.5ml)を加えて反応混合物をクエンチし、Bond Elute(登録商標)相分離カートリッジにより相分離させた。水相をジクロロメタン(3×1ml)で抽出し、有機層を合わせて減圧蒸発させ、シリカクロマトグラフィー[酢酸エチル:イソヘキサン 1:2]により精製すると、所望スルファミドが無色フォーム(41mg,58%)として得られた。NMR(CDCl)δ 1.21−1.32(2H,m),1.70−1.74(2H,m),2.50−2.59(2H,m),2.65−2.77(2H,m),3.08(2H,dd,J=16.1&5.6Hz),3.71−3.84(3H,m),4.76(1H,t,J=7.0Hz,NH),4.82(1H,d,J=7.9Hz,NH),7.12(1H,d,J=7.8Hz),7.17−7.23(2H,m),7.39−7.44(2H,m),7.48(1h,d,J=1.4Hz),7.52(1H,dd,J=7.7&1.4Hz),7.61(1H,s),7.83(1H,d,J=1.2Hz)。M/Z ES+(509)(MH)
【0113】
(実施例2〜9)
【0114】
【化27】

【0115】
以下の実施例は最終ステップで適当なスルファモイル*又はスルホニルクロリドを使用し、実施例1に記載した方法により製造した。
【0116】
【表3】


【0117】
*スルファモイルクロリドが市販されていない場合には、以下の典型的製造方法に従った。
【0118】
内部温度が−5℃を越えないような速度でピロリジン(13.4ml,160mmol)の乾燥トルエン(40ml)溶液を塩化スルフリルの冷(−10℃)トルエン(30ml)溶液に滴下した。添加が完了したら、混合物を−5℃で30分間撹拌した後に水(50ml)を加えた。層分離させ、有機層をHCl(2N,50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧蒸発させると透明油状物(9.6g)が得られた。油状物は所望スルファモイルクロリドとビス−ピロリジンスルファミドの2:1混合物であった。NMR(CDCl)δ 1.89−1.93(4H,m,スルファミド),1.99−2.05(4H,m,スルファモイルクロリド),3.29−3.33(4H,m,スルファミド)及び3.48−3.52(4H,m,スルファモイルクロリド)。
【0119】
(実施例10)
N−シクロブチル−N’−{(6S,9R,11R)−2−[1−(4−フルオロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−6,9−メタノベンゾ[8]アヌレン−11−イル}スルファミド
【0120】
【化28】

【0121】
ステップ1
【0122】
【化29】

【0123】
(水浴で温和に発熱冷却しながら)窒素下に室温でシクロブチルアミン(8.6g,120mmol)の乾燥THF(60ml)溶液に撹拌下に硫酸カテコール(25g,144mmol)を加えた。16時間後に反応混合物を飽和NHCl水溶液(300ml)で希釈し、酢酸エチル(2×200ml)で抽出した。抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。5%EtOAc/DCMを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、スルファミン酸塩がオフホワイト固体として得られた(17g,58%)。(400MHz H,δ−CDCl)1.65−1.78(2H,m),1.94−2.04(2H,m),2.32−2.40(1H,m),4.90(1H,br d,J=8.1),6.16(1H,s),6.89−6.94(1H,m),7.04−7.07(1H,m),7.16−7.21(2H,m)。
【0124】
ステップ2
【0125】
【化30】

【0126】
実施例1、ステップ3からのボロン酸エステル(3.904g,13mmol)、3−ブロモ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール(2.881g,12mmol)、及び炭酸セシウム(7.756g,24mmol)をDME(40mL)と水(20mL)に溶かした溶液に10分間窒素をバブリングすることにより脱酸素化した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.375g,1.2mmol)を加え、脱酸素化を更に10分間続けた。反応混合物を90℃に16時間加熱した後、放冷させ、水(40mL)で希釈した。Hyflo(登録商標)で濾過することにより触媒を除去し、濾液をEtOAc(×3)で抽出した。抽出層を合わせて水とブラインで順次洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。20−50%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、生成物(2.906g,70%)が得られた。(360MHz H,δ−CDCl)1.36(2H,m),1.88(2H,m),2.63(2H,m),2.93−3.10(4H,m),7.22(2H,m),7.31(1H,m),7.73(2H,m),8.01(1H,m),8.05(1H,s),8.52(1H,s)。MS(ES+)348,MH
【0127】
ステップ3
【0128】
【化31】

【0129】
実施例1、ステップ5〜7の方法によりステップ2のケトンからアミンを製造した。MS(ES+)349,MH
【0130】
ステップ4
【0131】
【化32】

【0132】
ステップ3からのアミン(86mg,0.25mmol)、トリエチルアミン(37mg,0.37mmol)及びステップ1からのスルファミン酸(90mg,0.37mmol)のジオキサン(2mL)溶液を80℃に16時間加熱した。反応混合物を室温まで放冷させ、減圧濃縮した。残渣をEtOAc(20mL)に取り、2N NaOH(10mL)とブライン(10mL)で順次洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。15%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物(113mg,95%)が得られた。(360MHz H,δ−CDCl)1.23(2H,m),1.72(3H,m),1.97(3H,m),2.39(2H,m),2.51(2H,m),2.66−2.81(2H,m),3.14(2H,m),3.76(1H,m),3.90(1H,m),4.45(1H,m),4.67(1H,m),7.23(3H,m),7.73(2H,m),7.90(2H,m),8.57(1H,s)。MS(ES+)482,MH
【0133】
(実施例11)
N−{(6S,9R,11R)−2−[1−(4−フルオロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−6,9−メタノベンゾ[8]アヌレン−11−イル}−N’−プロピルスルファミド
【0134】
【化33】

【0135】
ステップ1でシクロブチルアミンの代わりにn−プロピルアミンを使用し、実施例10の方法により標記化合物を製造した。MS(ES+)470,MH
【0136】
(実施例12)
【0137】
【化34】

【0138】
ステップ1
【0139】
【化35】

【0140】
実施例1、ステップ4からのケトン(0.936g,2.7mmol)、N,N−ジメチルスルファミド(1.677g,13.5mmol)及びチタン(IV)エトキシド(tech.,1.7mL,8.1mmol)の乾燥THF(15mL)溶液を窒素下で撹拌しながら16時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷させ、激しい撹拌下にブライン(50mL)に注いだ。混合物を30分間撹拌した後、Hyflo(登録商標)で濾過し、DCMで洗浄した。濾液を分離漏斗に移した。層分離させ、水層をDCMで抽出した。有機抽出層を合わせて2N NaOHとブラインで順次洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。10−20%EtOAc/DCMを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、イミン(0.960g,78%)が得られた。(360MHz H,δ−CDCl)1.26−1.50(2H,m),1.75−1.85(2H,m),2.90(6H,s),2.94(2H,m),3.09(3H,m),3.89(1H,m),7.22(3H,m),7.42(2H,m),7.51(1H,s),7.65(1H,m),7.73(1H,s),7.83(1H,m)。
【0141】
ステップ2
【0142】
【化36】

【0143】
窒素下に室温でヨウ化トリメチルスルホキソニウム(0.700g,3.2mmol)の乾燥DMSO(5mL)懸濁液に撹拌下に水素化ナトリウム(油中60%分散液,0.127g,3.2mmol)を少量ずつ加えた。室温で1時間後、ステップ1からのイミン(0.960g,2.1mmol)の乾燥DMSO(10mL)溶液を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した後、水(20mL)でクエンチした。反応混合物をEtOAcで抽出した。有機抽出層を合わせて水とブラインで順次洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。50−60%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、アジリジン(0.847g,86%)が得られた。(360MHz H,δ−CDCl)1.31(2H,m),1.74(2H,m),2.24(2H,m),2.45(2H,m),2.73−2.86(2H,m),2.97(6H,s),3.59(2H,m),7.13(1H,m),7.20(2H,m),7.42(2H,m),7.48(1H,s),7.54(1H,m),7.60(1H,s),7.83(1H,s)。
【0144】
ステップ3
【0145】
【化37】

【0146】
ステップ2からのアジリジン(60mg,0.13mmol)とシクロブチルアミン(46mg,0.65mmol)のDMSO(2mL)溶液を密閉試験管で100℃に16時間加熱撹拌した。反応混合物を室温まで放冷させた後、EtOAc(20mL)で希釈し、水(2×10mL)とブライン(10mL)で順次洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。60%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物(52mg,82%)が得られた。(360MHz H,δ−CDCl)1.34(2H,m),1.70(2H,m),1.83(2H,m),2.23(4H,m),2.44(2H,m),2.67−2.80(2H,m),3.19(4H,m),3.81(1H,quintet,J=8.0),4.68(1H,s),7.12(1H,m),7.20(2H,m),7.41(2H,m),7.48(1H,s),7.53(1H,m),7.61(1H,s),7.82(1H,s)。MS(ES+)493,MH
【0147】
ステップ3でシクロブチルアミンの代わりに適当なアミンを使用し、実施例12と同一方法により表1の化合物を製造した。
【0148】
【化38】

【0149】
【表4】

【0150】
(実施例22)
【0151】
【化39】

【0152】
実施例12,ステップ2からのアジリジン(120mg,0.26mmol)と4−メトキシベンジルアミン(176mg,1.28mmol)のDMSO(4mL)溶液を密閉試験管で100℃に16時間加熱撹拌した。反応混合物を室温まで放冷させた後、EtOAc(40mL)で希釈し、水(2×10mL)とブライン(20mL)で順次洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。50%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、スルファミド(134mg)が得られた。スルファミドとTFA(5mL)のDCM(5mL)溶液を室温で6時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL)を加えた。反応混合物をDCMで抽出し、有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。50−70%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物(86mg,76%)が得られた。(360MHz H,δ−CDCl)1.35(2H,m),1.69(2H,m),2.41(2H,m),2.70−2.83(2H,m),3.24(2H,m),3.37(2H,d,J=7.4),4.62(1H,t,J=7.3),4.79(1H,s),7.12(1H,m),7.20(2H,m),7.41(2H,m),7.48(1H,s),7.53(1H,m),7.60(1H,s),7.82(1H,s)。MS(ES+)439,MH
【0153】
(実施例23)
【0154】
【化40】

【0155】
最終ステップでシクロブチルアミンの代わりにグリシンアミドを使用し、実施例12の手順を繰り返した。
【0156】
得られたスルファミド(50mg,0.1mmol)のオキシ塩化リン(3mL)溶液を撹拌しながら2時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷させ、減圧濃縮した。飽和重炭酸ナトリウム溶液(20mL)を加えた。反応混合物をDCMで抽出し、有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。EtOAcを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物(46mg,96%)が得られた。(360MHz H,δ−CDCl)1.40(2H,m),1.74(2H,m),2.50(2H,m),2.69−2.83(2H,m),3.20(2H,m),3.42(2H,s),4.04(2H,s),4.90(1H,s),7.12(1H,m),7.21(2H,m),7.42(2H,m),7.48(1H,m),7.54(1H,m),7.61(1H,s),7.83(1H,s)。MS(ES+)478,MH
【0157】
(実施例24〜28)
【0158】
【化41】

【0159】
ステップ1
【0160】
【化42】

【0161】
実施例1、ステップ3からのボロン酸エステル(3.904g,13mmol)、3−ブロモ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール(2.881g,12mmol)、及び炭酸セシウム(7.756g,24mmol)をDME(40mL)と水(20mL)に溶かした溶液に10分間窒素をバブリングすることにより脱酸素化した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.375g,1.2mmol)を加え、脱酸素化を更に10分間続けた。反応混合物を90℃に16時間加熱した後、放冷させ、水(40mL)で希釈した。Hyflo(登録商標)で濾過することにより触媒を除去し、濾液をEtOAc(×3)で抽出した。抽出層を合わせて水とブラインで順次洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。20−50%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、生成物(2.906g,70%)が得られた。(360MHz H,δ−CDCl)1.36(2H,m),1.88(2H,m),2.63(2H,m),2.93−3.10(4H,m),7.22(2H,m),7.31(1H,m),7.73(2H,m),8.01(1H,m),8.05(1H,s),8.52(1H,s)。MS(ES+)348,MH
【0162】
ステップ2
【0163】
【化43】

【0164】
ステップ1からのケトン(2.000g,5.8mmol)、N,N−ジメチルスルファミド(2.859g,23mmol)及びチタン(IV)エトキシド(tech.,2.4mL,11mmol)の乾燥THF(20mL)溶液を窒素下で撹拌しながら16時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷させ、激しい撹拌下にブライン(50mL)に注いだ。混合物を10分間撹拌した後、Hyflo(登録商標)で濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液を分離漏斗に移した。層分離させ、水層をEtOAcで抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。10%EtOAc/DCMを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、イミン(3.571g,N,N−ジメチルスルファミド含有)が得られた。
【0165】
窒素下に室温でヨウ化トリメチルスルホキソニウム(1.900g,8.6mmol)の乾燥DMSO(20mL)懸濁液に撹拌下に水素化ナトリウム(油中60%分散液,0.345g,8.6mmol)を少量ずつ加えた。室温で1時間後、イミン(3.571g)の乾燥DMSO(30mL)溶液を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した後、水(60mL)でクエンチした。反応混合物をEtOAcで抽出した。有機抽出層を合わせて水とブラインで順次洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。50%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、アジリジン(2.424g,90%)が得られた。(360MHz H,δ−CDCl)1.27(2H,m),1.74(2H,m),2.24(2H,m),2.45(2H,m),2.85(2H,m),2.97(6H,s),3.62(2H,m),7.22(3H,m),7.72(2H,m),7.91(2H,m),8.50(1H,s)。
【0166】
適当なアミンを使用し、実施例12,ステップ3と同一方法によりステップ2のアジリジンから表2の化合物を製造した。
【0167】
【化44】

【0168】
【表5】

【0169】
(実施例29)
【0170】
【化45】

【0171】
ステップ1
【0172】
【化46】

【0173】
DMF(100ml)中のホモキラル2−ヒドロキシ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−6,9−メタノベンゾ[a][8]アヌレン−11−オン(15g;実施例1、ステップ1)、KCO(20.5g)及び臭化ベンジル(10.6ml)の混合物を48時間室温で撹拌した。反応混合物を水(500ml)で希釈し、EtOAc(3×150ml)で抽出した。有機相を合わせて水(2×300ml)とブライン(150ml)で洗浄し、乾燥し、濃縮すると、ガム状油状物が得られ、放置すると結晶し、エーテルを加えて粉砕後に標記ベンジルエーテル(19.5g,90%)が白色固体として得られた。
【0174】
ステップ2
【0175】
【化47】

【0176】
ステップ1からの生成物(20g,68mmol)、(+/−)tert−ブチルスルフィンアミド(9.2g,76mmol)及びチタン(IV)エトキシド(tech.,29.2mL,140mmol)の乾燥THF(140mL)溶液を窒素下で撹拌しながら4時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷させ、激しい撹拌下にブライン(160mL)に注いだ。混合物を20分間撹拌した後、Hyflo(登録商標)で濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を分離漏斗に移した。層分離させ、水層を酢酸エチル(×1)で抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄した後、乾燥し(NaSO)、濾過し、蒸発させた。20→30%酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、イミン(24.9g,93%)が無色固体として得られた。MS(ES+)396([MH])。
【0177】
ステップ3
【0178】
【化48】

【0179】
窒素下に室温でヨウ化トリメチルスルホキソニウム(21g,95mmol)の乾燥DMSO(150mL)懸濁液に撹拌下に水素化ナトリウム(油中60%分散液,3.8g,95mmol)を少量ずつ加えた。室温で90分後、内部温度が30℃未満に維持されるようにステップ2からの生成物(24.9g,95mmol)の乾燥DMSO(250mL)溶液を加えた。混合物を室温で4時間撹拌した後、水(1L)でクエンチした。沈殿を濾取した。固形分をジクロロメタンに取り、ブラインで洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、濾過し、蒸発させた。5→10%酢酸エチル/ジクロロメタンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、アジリジン(23.2g,90%)が無色固体として得られた。MS(ES+)410([MH])。
【0180】
ステップ4
【0181】
【化49】

【0182】
窒素下に室温でアジリジン(1.000g,2.4mmol)と無水ヨウ化亜鉛(0.779g,2.4mmol)の乾燥1,2−ジクロロエタン(5mL)懸濁液に撹拌下に1−(トリフルオロメチル)エチルアミン(2mL)を加えた。得られた溶液を80℃に加熱し、24時間遮光した。飽和重炭酸ナトリウム溶液(10mL)を加えた。反応混合物をDCMで抽出し、有機抽出層を合わせてブラインで順次洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。5%メタノール/DCMを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、ジアミン(0.707g,69%)が得られた。MS(ES+)419,MH
【0183】
ステップ5
【0184】
【化50】

【0185】
ステップ4からの生成物(0.701g,1.68mmol)とスルファミド(0.209g,2.17mmol)の乾燥ピリジン(20mL)溶液を撹拌しながら16時間加熱還流した。反応混合物を放冷させた後、ピリジンを減圧除去した。2N HClを加え、反応混合物をEtOAcで抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。20%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、環状スルファミド(0.674g,84%)が得られた。H NMR(360MHz,CDCl)δ 1.34(2H,d,J=9.3),1.45(3H,d,7.0),1.69(2H,m),2.45(2H,m),2.62(2H,m),3.04−3.34(2H,m),3.34(2H,s),4.18(1H,m),4.62(1H,m),5.03(2H,s),6.73(2H,m),6.99(1H,m),7.35(5H,m)。
【0186】
ステップ6
【0187】
【化51】

【0188】
ステップ5からの生成物(0.652g,1.4mmol)のEtOAc(40mL)溶液を室温で16時間炭素担持10%パラジウム(65mg)により50psiで水素化した。Hyflo(登録商標)で濾過することにより触媒を除去した。濾液を蒸発させると、フェノール(0.521g,98%)が得られた。フェノール(0.521g,1.33mmol)とピリジン(0.22mL,2.72mmol)のC℃DCM(15ml)溶液にトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.3ml,1.78mmol)を滴下した。混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を水(20ml)で希釈し、DCMで抽出した。有機抽出層を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。10−20%EtOAc/ヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製すると、トリフラートの2種のジアステレオ異性体が1:1比で得られた(0.621g,89%)。
ジアステレオ異性体1,H NMR(360MHz,CDCl)δ 1.29(2H,m),1.45(3H,d,J=7.0),1.75(2H,m),2.48(2H,m),2.71(2H,m),3.17(1H,d,J=15.9),3.32(1H,m),3.35(2H,s),4.20(1H,m),4.74(1H,s),7.03(2H,m),7.17(1H,m)。
ジアステレオ異性体2,H NMR(360MHz,CDCl)δ 1.27(2H,m),1.46(3H,d,J=7.0),1.76(2H,m),2.46(2H,m),2.72(2H,m),3.21(1H,d,J=15.8),3.30(1H,d,J=15.8),3.35(2H,s),4.20(1H,m),4.62(1H,s),7.04(2H,m),7.17(1H,m)。
【0189】
ステップ7
【0190】
【化52】

【0191】
ステップ6からのジアステレオ異性体1に実施例1のステップ3及び4を実施すると、標記化合物(63mg)が得られた。(500MHz H,δ−CDCl)1.38(2H,m),1.46(3H,d,J=7.0),1.70(2H,m),2.46(2H,m),2.73(2H,m),3.17(1H,d,J=16.0),3.31(1H,d,J=15.9),3.36(2H,s),4.20(1H,m),4.77(1H,s),7.12(1H,m),7.21(2H,m),7.43(2H,m),7.49(1H,s),7.54(1H,m),7.63(1H,s),7.89(1H,s)。MS(ES+)535,MH
【0192】
ステップ6からのジアステレオ異性体2に実施例1のステップ3及び4を実施すると、標記化合物(69mg)が得られた。MS(ES+)535,MH

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、ZはCH又はNを表し、その結果として形成されるイミダゾール又はトリアゾール基はアスタリスクにより示す位置の一方に結合しており、Xはその隣接位置に結合しており;
XはH、OH、C1−4アルコキシ、Cl又はFを表し;
Yは結合、O又はNRを表し;
Arはハロゲン、CF、CHF、CHF、NO、CN、OCF、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立して選択される0〜3個の置換基を各々もつフェニル又は6員環ヘテロアリールを表し;
はHを表すか;又はYがNRを表す場合には、RとRは一緒になって−CH−を表してもよく;
はH又は場合によりCN、C1−4アルコキシもしくは3個までのハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜10の炭化水素基を表すか;Rは場合によりハロゲン、CF、CHF、CHF、NO、CN、OCF、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立して選択される3個までの置換基をもつ5又は6員環ヘテロアリールを表すか;あるいはYがNRを表す場合には、RとRは一緒になって場合によりハロゲン、CF、CHF、CHF、NO、CN、OCF、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立して選択される3個までの置換基をもつ6員環までの複素環を形成してもよく;
はH又はC1−4アルキルを表すか、Rと一緒になって上記複素環を形成するか、あるいはRと一緒になって−CH−を形成し;
但しXがHであり、YがNRを表し、RとRが一緒になって−CH−を表す場合には、Rは2,2,2−トリフルオロエチルを表さず;RとRが同時にHであることはない)の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項2】
式IV:
【化2】

(式中、X、Y、Z、Ar及びRは請求項1に定義した通りである)の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項3】
Yが結合であり、Rが場合により3個までのフッ素もしくは塩素置換基をもつ炭素原子数6までの炭化水素であるか、又は場合により置換された5もしくは6員環ヘテロアリールである請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
YがOであり、Rが場合により3個までのフッ素原子で置換された炭素原子数6までのアルキル、アルケニル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルを表す請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
YがNH又はNMeであり、Rが場合により3個までのフッ素原子で置換された炭素原子数6までのアルキル、アルケニル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルを表す請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
YがNRを表し、RとRが複素環を形成する請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
式V:
【化3】

(式中、X、Z、Ar及びRは請求項1に定義した通りであり、但しXがHである場合には、Rは2,2,2−トリフルオロエチルではない)の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項8】
がH又は場合により3個までのハロゲン原子、CNもしくはC1−4アルコキシで置換された炭素原子数1〜10の炭化水素基を表す請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
XがHである請求項1から8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
Arがフェニル、モノハロフェニル、ジハロフェニル、トリハロフェニル、シアノフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、トリフルオロメトキシフェニル、ピリジル、モノハロピリジル及びトリフルオロメチルピリジルから選択され、前記「ハロ」はフルオロ又はクロロを表す請求項1から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物。
【請求項12】
人体の治療方法で使用するための請求項1から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
アルツハイマー病の治療又は予防用医薬の製造における請求項1から10のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項14】
有効量の請求項1から10のいずれかに記載の化合物を患者に投与することを含むアルツハイマー病に罹患しているか又はその傾向のある患者の治療方法。

【公表番号】特表2007−506715(P2007−506715A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527458(P2006−527458)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003973
【国際公開番号】WO2005/030731
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】