説明

ガン予防及び治療のためのAkt阻害剤としてのアリールジヒドロナフタレン類及びその生産方法

【課題】ガン予防及び治療のためのAkt阻害剤としてのアリールジヒドロナフタレン類及びその生産方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、Akt活性化を阻害する九つのアリールジヒドロナフタレン類を開示する。本発明は、それら阻害化合物を含む組成物、及び、ガン患者に前記化合物を投与することによりAkt活性を阻害する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セリン/トレオニンキナーゼの一種類以上のイソ型(isoforms)、即ち、Akt(PKBとも称されるが、以下、Aktという)への阻害活性を有するアリールジヒドロナフタレン類の化合物(aryldihydronnaphthalenes compounds)に関する。また、本発明は、アリールジヒドロナフタレン類の化合物を含有する医薬品組成物、及び、前記化合物をガン治療に用いる方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
リグナン(lignan)は、ジフェニルプロパノイド(C6−C3)の誘導体の重合による化合物である。リグナン類は、様々なソースに見つけられることが可能であり、また、これまで、200種類以上のリグナン化合物が識別されている。最近では、三量体と四量体も発見されている。
【0003】
新たな構造を有するますます多くのリグナン類が識別されており、それらは、リグナン類(lignans)とネオリグナン類(neolignans)に分類される。ジフェニルプロパノイド(C6−C3)の二つのユニットが、β−炭素により接続されるときに、その分子は、リグナン類に分類される。接続がβ−炭素によらないときに、その化合物はネオリグナン類に分類される。最近、異なる分類方法も開発され、この方法によれば、酸化されたγ−炭素を有するフェニルプロパノイド類(phenylpropanoids)はリグナン類(桂皮酸、桂皮アルデヒド又は桂皮アルコールのうち二つのユニットからなる)に分類され、酸化されてないγ−炭素を有するフェニルプロパノイド類はネオリグナン類に分類される。
【0004】
また、リグナン類の一般構造に基づくその他の分類方法もあり、この方法によれば、リグナン類は、(1)ジベンジルブタン類(dibenzylbutanes)、(2)ジベンジルチルラクトン類(dibenzyltyrolactones)、(3)アリールナフタレン類(arylnaphthalanes)、(4)テトラヒドロフラン類(tetrahydrofurans)、(5)フロフラン類(furofurans)、(6)ジベンゾシクロオクテン類(dibenzocyclooctenes)、(7)ベンゾフラン類(benzofurans)、(8)ビシクロ[3,2,1]オクタン類(bicyclo[3,2,1]octanes)、(9)ベンゾ−ルパラレルジオキサン類(benzol
parallel dioxanes)、(10)スピロジエノン類(spirodienones)、(11)ビフェニレン類(biphenylenes)、(12)セスキリグナン類(sesquilignans)とジリグナン類(dilignans)の12種類のサブクラスを含む。それらサブクラスのうちアリールナフタレン類(サブクラス3)は、次の一般構造式(II)を有する。
【0005】
【化3】


非特許文献1は、バイテックス(Vitex negundo L)の種から、次の一般構造式(III)を有する複数の化合物を単離することを開示し、ここでは、Rは、H又はAcである。しかし、この研究では、その化合物の単離と分子構造のみが開示された。
【0006】
【化4】


非特許文献2は、バイテックス(Vitex negundo L)の種から、七つのリグナン化合物を単離することを開示した。これら化合物のうち二つは、次の一般構造式(IV)を特徴とするアリールヒドロナフタレン類(arylhydronnaphalens)である。また、単離と構造のキャラクタリゼーションに加え、非特許文献2は、それら化合物の抗酸化活性についての研究結果も開示した。
【0007】
【化5】


周知のように、リグナンの一つの群、即ち、ポドフィロトキシン類(podophyllotoxins)(アリールテトラリン類(aryltetralins))は、抗腫瘍活性を有する。例えば、特許文献1には、次の化合物(V)が開示された。
【0008】
【化6】


ここでは、Arは、3,4,5−トリアルコキシフェニル(tri−alkoxy phenyl)、又は、4−ヒドロキシ(hydroxy)−3,5−ビスアルコキシフェニル(bis−alkoxy
phenyl)であり、Xは、O、S、N、C(=CH−又は≡CH−)であり、Yは、H、アルキル、アルケニル類(alkenyls)、ナフテン、フェニル、−OH、アルコキシ、−NH、−NHR(R=アルキル)、−NR(R=アルキル)、シクランで置換されたアミノ基(cyclane
substituted amino group)、シクランで置換された芳香族アミノ基、シクランで置換されたアシル基、シクランで置換されたカルボキシ基、シクランで置換されたカルバルコキシ(carbalkoxy)基、シクランで置換されたアリールオキシカルボニル(aryloxycarbonyl)基である。点線は、7と8、或いは、8と8’の間に二重結合が存在することを示す。
【0009】
ポドフィロトキシン類は、近年、熱心に研究されている。その化合物の一部は、例えば、エトポシド(VP−16)とテニポシドなどの(VM−26)抗腫瘍剤として、既に臨床試験段階に入っている。従来の構造機能相関によれば、C4が良好な修飾位置であることが示されている(非特許文献3参照)。
【0010】
腫瘍細胞は自己調節により細胞自然死を減少させる能力は、腫瘍発症のメカニズム及び腫瘍治療失敗の二つの側面に重要な役割を果たすことが知られている。実は、腫瘍細胞は、細胞生存又は自然死に至るシグナル伝達径路において高い頻度で多様な変化を示す。哺乳動物においては、ホスホイノシチド−3−キナ−ゼ(PI3K)/Aktに基づく径路が極めて重要な生存シグナルを伝達し、また、Akt阻害剤を用いてホスホイノシチド−3−キナ−ゼ(PI3K)の活性を下方制御することにより、様々な種類の固形腫瘍の治療への抵抗を大幅に減らすことができる。
【0011】
Aktは、細胞の生存を促進させる腫瘍性タンパク質(oncoprotein)である。この腫瘍性タンパク質は、細胞増殖と生存を調節することに中心的役割を果たすので、研究者からの多大な注目を集めている。腫瘍性タンパク質は、乳ガン、前立腺ガン、肺ガン、膵ガン、肝ガン、卵巣ガン及び結腸直腸ガンなどの多くの人間の悪性腫瘍において異常に活性化される。増加した活性化は、タモキシフェン耐性、化学療法薬と放射線耐性、及び、アポトーシス耐性にも関連する。Akt活性化と過剰発現は、増加した侵入及び血管形成のシグナル伝達と強く関連するが、人間の前立腺ガン及び乳ガンの治療効果と強く関連しないことが示されている。この腫瘍性タンパク質は、抗腫瘍薬耐性と腫瘍細胞侵入を抑制するための極めて重要な臨床的なターゲットであるように思われる。Akt阻害剤は、化学療法において薬物耐性を抑えるための補助薬として用いられても良く、或いは、簡単に、ガン細胞を直接攻撃するための治療薬として用いられても良い。
【0012】
Aktは、PI3Kのシグナル伝達に応えて発生したリン酸化反応イベントにより活性化される。PI3Kは、細胞膜イノシトールリン脂質をリン酸化し、二次メッセンジャー、即ち、ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリスリン酸を生成し、この二次メッセンジャーは、AktのPH領域と結合されることが示されている。Akt活性化の従来のモデルは、Aktが3’−リン酸化ホスホイノシチド類により細胞膜と結合することを提案し、ここで、Akt調節部位のリン酸化は、上流キナーゼを生成することにより行われる。
【0013】
Akt活性化及びその活性の阻害は、LY294002とワートマニン(wortmannin)などの阻害剤を用いてPI3Kを阻害することにより得られる。しかし、PI3K阻害剤は、Aktに影響を与える可能性があるのみならず、その他のPH領域を含有するシグナル伝達分子にも影響を与える可能性がある。これらシグナル伝達分子は、例えば、チロシンキナーゼ類のTec族などのPdtlns(3,4,5)−P3に依存する。また、Aktは、PI3Kに依存しない成長シグナルにより活性化できることも開示されている。
【0014】
また、Akt活性は、上流キナーゼPDK1の活性を阻害することにより抑制されることができる。知られているように、化合物UCN−01は、PDK1の阻害剤の一種である。重ねて、PDK1の阻害は、活性がPDK1に依存する多種のタンパクキナーゼ、例えば、非定型なPKCイソ型、SGK及びS6キナーゼなどの阻害に帰着する。Aktの小分子阻害剤は、腫瘍、特に活性化されたAktを有するもの、の治療にとって有益である。
【特許文献1】欧州特許第EP0711767号
【非特許文献1】A.S.CHAVLAet al (PHYTOCHEMISTRY Vol.31. No.12. pp 4378−4379, 1992)
【非特許文献2】MasateruOno et al (Journal of Natural Product, 2004, 67, 2073−2075)
【非特許文献3】IssellBF, et al, Etoposide [Vp−16] Current Status and New Development [M]. AcademicPress: New York, 1984
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、ガン予防及び治療のためのAkt阻害剤としてのアリールジヒドロナフタレン類の化合物及びその生産方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述した目的を達成するために、本発明は、次の一般構造式を有するアリールジヒドロナフタレン類の化合物を提供する。
【0017】
【化7】


ここでは、Xは、C=O、C=S、C=N、メチレン(−CH−)、又は、アルケニル(−C=CH−)であり、Yは、水素、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、又は、なしであり、RとRは、水素、アルキル、アルケニル、グルコシル、グルクロ、及び、アリールであり、Rは、水素又はグルコシルであり、Rは、メトキシ又は水素であり、Rは、メトキシ又は水素であり、コア構造における3と4の配置は、RとS(3R,4S)である。
【0018】
前記化合物は、40%のエタノールによりバイテックス(vitex negundo L)の種から抽出されることができる。濃縮抽出物は、ポリアミド粉末と混合され、また、ポリアミドカラム(a
polyamide column)にロードされる。カラムは、10:90、25:75、40:60及び95:5の順に、水/エタノ−ルのステップ勾配で溶出される。25%のエタノールのフラクションは、濃縮され、また、サイズ排除カラム(樹脂)にロ−ドされ、カラムは、エタノール又は水飽和酢酸エチルにより溶出される。濃縮溶出物は、その他のサイズ排除カラムにロードされ、また、メタノールにより溶出される。結晶化物質は、その濃縮溶出物から採取可能である。
【0019】
次の化合物、即ち、6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(6−hydroxy−4−(4−hydroxy−3−methoxyphenyl)−3−hydroxymethyl−7−methoxy−3,4−dihydro−2−naphthaldehyde)(VB−1)、6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(6−hydroxy−4−(4−hydroxy−3−methoxyphenyl)−3−hydroxymethyl−5−methoxy−3,4−dihydro−2−naphthaldehyde)(VB−2)、及び、6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−グルコシルオキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−2)(即ち、6−hydroxy−4−(4−hydroxy−3−methoxyphenyl)−3−glucosyloxymethyl−7−methoxy−3,4−dihydro−2−naphthaldehyde)(VB3)は、分離される。
【0020】
前記VB−1は、絶食ラットに胃管栄養法によって与えられた。ラットの尿と糞は、24時間毎に収集され、また、そのサンプルは、メタノールと混合された。ラットの糞からのメタノール抽出物は、濃縮され、また、マクロ細孔吸収樹脂(AB−8)により更に処理され、樹脂は、エタノールと水により溶出される。30%のエタノールのフラクションは、ゲルろ過カラムにより更に処理される。ラットの代謝VB−1は、水溶出物から収集される。実施例において、本発明は、これら代謝物、即ち、6−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロキシメチル−3,4−ジヒドロ(3R,4S)−2−ヒドロナフトアルデヒド(6−hydroxy−7−methoxy−4−(4−hydroxy−3−methoxyphenyl)−2,3−dihydroxymethyl−3,4−dihydro(3R,4S)−2−hydronaphthaldehyde)(VB−4)、及び、6−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−4−(3−メトキシフェニル)−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド−4’−O−β−D−グルコピラノシドウロン酸(6−hydroxy−3−hydroxymethyl−4−(3−methoxyphenyl)−7−methoxy−3,4−dihydro−2−naphthaldehyde−4′−O−β−D−glucopyranosiduronic
acid)(VB−5)の構造を開示する。代謝物(VB−4)と非代謝物(VB−1)は、それぞれ、アリールジヒドロナフタレン類の一種類である。
【0021】
また、多くの誘導体がVB−1から得られる。図1は、VB−1から様々な誘導体を得るストラテジーを示す。
【0022】
本発明は、次の化合物、即ち、6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(6−hydroxy−4−(4−hydroxy−3−methoxyphenyl)−3−hydroxymethyl−7−methoxy−3,4−dihydro−2−naphthaldehyde)(VB−1)、6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(6−hydroxy−4−(4−hydroxy−3−methoxyphenyl)−3−hydroxymethyl−5−methoxy−3,4−dihydro−2−naphthaldehyde)(VB−2)、6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−グルコシルオキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−3)(即ち、6−hydroxy−4−(4−hydroxy−3−methoxyphenyl)−3−glucosyloxymethyl−7−methoxy−
3, 4−dihydro−2−naphthaldehyde)(VB3)、6−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロキシメチル−3,4−ジヒドロ(3R,4S)−2−ヒドロナフタレン(6−hydroxy−7−methoxy−4
−(4−hydroxy−3−methoxyphenyl)−2,3−dihydroxymethyl−3,4−dihydro(3R,4S)−2− hydronaphthalene)(VB−4)、6−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−4−(3−メトキシフェニル)−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド−4’−O−β−D−グルコピラノシドウロン酸(6−hydroxy−3−hydroxymethyl−4−(3−methoxyphenyl)−7−methoxy−3,4−dihydro−2−naphthaldehyde−4′−O−β−D−glucopyranosiduronic
acid)(VB−5)、6−メトキシ−4−(4−メトキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(6−methoxy−4−(4−methoxy−3−methoxyphenyl)−3−hydroxymethyl−7−methoxy−3,4−dihydro−2−naphthaldehyde)(VB−6)、6,7−ジメトキシ−4−(4−ヒドロキシル−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(6,
7−dimethoxy−4−(4−hydroxyl−3−methoxyphenyl)−3−hydroxymethyl−3, 4−dihydro−2−naphthaldehyde)(VB−7)、6−ブチロキシ−4−(4−ブチロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ブチロキシメチル−7−メトキシル−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(6−butyroxy−4−(4−butyroxy−3−methoxyphenyl)−3−butyroxymethyl−7−methoxyl−3,4−dihydro−2−naphthaldehyde)(VB−8)、6−アセトキシ−4−(4−アセトキシ−3−メトキシフェニル)−3−アセトキシメチル−7−メトキシル−3,4−ジヒドロ(3R,4S)−2−ナフトアルデヒド(6−acetoxy−4−(4−acetoxy−3−methoxyphenyl)−3−acetoxymethyl−7−methoxyl−3,4−dihydro(3R,
4S)−2−naphthaldehyde)(VB−9)を開示する。
【0023】
テスト結果によれば、開示された前記化合物は、様々な腫瘍細胞、例えば、COC1、SMMC−7721、MCF−7及びHT−29などに対しての阻害活性を有する。
【0024】
なお、開示された前記化合物は、Akt阻害剤として良く知られているが、本発明は、開示された前記化合物の他の生物活性を提供する。この生物活性は、細胞増殖の抑制、抗腫瘍、血管生成の抑制、血管生成細胞又は腫瘍細胞の成長の抑制、悪性腫瘍の抑制、及び、細胞アポトーシスの促進を含む。これら活性は、Aktに関係したものでないように思われ、また、可能性のあるメカニズムを解明する研究も行われていないようである。
【0025】
本発明は、開示された前記化合物の実験的な抗腫瘍効果を示すが、開示された前記化合物の薬理的なメカニズムを扱わない。開示された前記化合物は、実質性の器官に生じた様々な腫瘍、即ち、結腸ガン、膵ガン、乳ガン、前立腺ガン、骨肉腫、肝ガン、肺ガン、精巣ガン、皮膚ガン、胃ガン、子宮内膜ガン、卵巣ガン、脳腫瘍、及び、白血病を含む腫瘍の治療にとって有益である。また、開示された前記化合物は、PTENの損失又はAktの異常活性化によるガン、即ち、脳腫瘍、乳ガン、骨肉腫、子宮内膜ガン、肝ガン、肺ガン、前立腺ガン、腎ガン、膀胱ガン、結腸ガン、膵ガン、白血病、及び、軟部組織ガンを含むガンの治療にとっても有益である。
【0026】
よって、本発明は、様々なガンを治療するための一つ以上のアリールジヒドロナフタレン類の化合物を含有する医薬品組成物も提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、ガン予防及び治療のためのAkt阻害剤としてのアリールジヒドロナフタレン類の化合物及びその調製方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明をより詳細に説明するために次の実施例を提供する。しかし、本発明の範囲は、次の実施例により決して限定されない。
【実施例1】
【0029】
6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−(3R,4S)−2−ナフトアルデヒド(VB−1)の調製
【0030】
【化8】


種(Vitex negudo
L.)からの抽出は、40%のエタノールにより3回行われる。濃縮抽出物は、30−60個のメッシュのポリアミドと混合され、また、ポリアミドカラム(80−100個のメッシュ)にロードされる。カラムは、ステップ勾配の方法により、即ち、濃度が次第に増加したエタノール(10、25、40、60及び95%)により溶出される。濃縮後に、25%のエタノールの溶出物は、40%のエタノールを有する大きい孔径の樹脂カラム洗浄を通過する。濃縮溶出物は、ゲルろ過カラム(Sephadex
LH-20)にロードされ、また、40%のメタノールにより溶出される。ゲルろ過カラムからの溶出物は、結晶化のために濃縮される。カラム後、粗結晶は、純VB−1結晶を得るためにメタノールにより再結晶される。VB−1の分光分析データは、UVλMeOHmaxnm:357,255,209、ESI MS(m/z):735[2M+Na],356[M]、及び、表1のnmrである。
【0031】
【表1】

【実施例2】
【0032】
6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−(3R,4S)−2−ナフトアルデヒド(VB−2)の調製
【0033】
【化9】


種(Vitex negudo
L.)からの抽出は、40%のエタノールにより3回行われる。濃縮抽出物は、30−60メッシュのポリアミドと混合され、また、ポリアミドカラム(80−100個のメッシュ)にロードされる。カラムは、ステップ勾配の方法により、即ち、濃度が次第に増加したエタノール(10、25、40、60及び95%)により溶出される。次に、濃縮された25%のエタノールの溶出物は、30−60個のメッシュのポリアミドと混合される。混合物は、ポリアミド(80−100個のメッシュ)カラムに加えられ、また、水飽和酢酸エチルにより溶出される。酢酸エチルの溶出物は、ゲルろ過カラム(Sephadex
LH-20)においてメタノール濃度の増加によるメタノール/水の勾配を用いて分離される。40%のメタノールの溶出物は、一晩沈殿のため濃縮された。ろ過された上澄み液(supernatant)は、その他のポリアミドカラムにロードされ、また、クロロホルム/メタノール(60/1)により溶出される。主要部分は、一晩結晶化のプロセスのために濃縮される。ここで回収された結晶はVB−2である。VB−2の分光分析データは、UVλMeOHmaxnm:341,288,221、及び、表2のnmrである。
【0034】
【表2】

【実施例3】
【0035】
6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−グルコシルオキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−(3R,4S)−2−ナフトアルデヒド(VB−3)の調製
【0036】
【化10】


バイテックスネグンドL.(Vitex negundo L.)の種からの抽出は、40%のエタノールにより3回行われる。濃縮抽出物は、30−60個のメッシュのポリアミドと混合され、また、ポリアミドカラム(80−100メッシュ)にロードされる。カラムは、ステップ勾配の方法により、即ち、濃度が次第に増加したエタノール(10、25、40、60及び95%)により溶出される。25%のエタノールの溶出物は濃縮され、また、大きい孔径の樹脂カラム(a
large size resin column)を通過する。樹脂カラムの溶出物は濃縮され、また、ゲルろ過カラム(a gel filtration column)(Sephadex-LH-20)にロードされる。LH−20カラムは、ステップ勾配方法により、即ち、次第に増加したメタノール濃度(10、20、40、60及び95)により洗われる。VB−3の結晶は、20%のメタノールの濃縮溶出物から得られる。VB−3の分光分析データは、(VB−3)UVλMeOHmaxnm:359,256,210、ESI MS(m/z):1036[2M]、及び、表3のnmrである。
【0037】
【表3】

【実施例4】
【0038】
6−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロキシメチル−3,4−ジヒドロ−(3R,4S)−2−ヒドロナフタレン(VB−4)の調製
【0039】
【化11】


0.6gのVB−1を量りモルタルに置き、また、2mlのグリセロールを加え穏やかに研磨し、そして、水をゆっくり加え懸濁液を形成する。この懸濁液の最終体積は、40mlである。2ml当たり30mgのVB−1が含まれる。2mlの懸濁液が絶食ラットに胃管栄養法によって給餌され、一日一回で、計5日間行う。ラットの糞が24時間ごとに回収される。糞からの抽出は、メタノールにより3回行われる。濃縮抽出物は、樹脂(AB−8)により吸収される。樹脂は、水、10%、20%及び30%のエタノールにより、それぞれ溶出される。30%のエタノールの部分は、水を使って、ゲルろ過カラム(Sephadex LH-20)により処理される。約30mgのVB−4は、LH−20カラムの溶出物から結晶形成される。VB−4の分光分析データは、(VB−4)UVλMeOHmaxnm:358,283,226、及び、表4のnmrである。
【0040】
【表4】

【実施例5】
【0041】
6−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−4−(3−メトキシフェニル)−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド−4’−O−β−D−グルコピラノシドウロン酸(VB−5)の調製
【0042】
【化12】


0.6gのVB−1を量りモルタルに置く。VB−1は、2mlのグリセロールにより穏やかに研磨される。続いて、水をゆっくり加えて懸濁液を形成する。懸濁液の最終体積は、40mlである。2ml当たり30mgのVB−1が含まれる。2mlの懸濁液が絶食ラットに胃管栄養法によって給餌され、一日一回で、計5日間行う。ラットの尿が24時間ごとに回収される。尿は、メタノールと混合される。沈殿物が形成された後に、尿/メタノールの溶液がろ過で浄化される。濃縮された尿のサンプルは、樹脂(AB−8)により吸収される。樹脂は、水、10%及び20%のエタノールにより、それぞれ溶出される。10%のエタノールの部分は、水を使って、ゲルろ過カラム(Sephadex LH−20)により処理される。各々の部分は、VB−5を指標として用いて、薄層クロマトグラフ法(a thin layer chromatograph)で測定される。VB−5を含有する全ての部分を集める。集まった後に、更に、逆相カラム(C−18)で精製され、また、このプロセスにより、計19mgの純VB−5が生成される。VB−5の分光分析データは、(VB−5)UVλMeOHmaxnm:357,320,255,205、及び、表5のnmrである
【0043】
【表5】

【実施例6】
【0044】
6−メトキシ−4−(4−メトキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−6)の調製
【0045】
【化13】


50mgのVB−1は、1.1mlのNaOH(0.3N)に溶解する。41μlの硫酸ジメチルを加えた後に、溶液は、氷水槽で10時間掻き混ぜられる。10時間の反応プロセスの後、サンプルは、ゲルろ過カラム(HW−C40)にロードされる。カラムは、ステップ勾配の方法により、即ち、メタノール濃度が次第に増加したメタノール/水の溶液により洗浄される。33mgのVB−6は、40%のメタノール溶出物から得られる。VB−6の分光分析データは、UVλMeOHmaxnm:353,285,252,232,213、及び、表6のnmrである。
【0046】
【表6】

【実施例7】
【0047】
6,7−ジメトキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−3,4−ジヒドロ(3R,4S)−2−ナフトアルデヒド(VB−7)の調製
【0048】
【化14】


50mgのVB−1は、5mlのアセトンに溶解し、続いて、40mgのKCOを加える。加熱還流しながら、26μlの硫酸ジメチルが加えられる。2時間反応後、アセトンは蒸発される。残留物は、エチルアセトンで溶解させられ、また、LH−20カラムにロードされる。カラムは、石油エーテル/エチルアセトンの勾配(エチルアセトンの濃度を増加することにより)により溶出される。各々の部分は、VB−7を指標として用いて、薄層クロマトグラフ法(a thin layer chromatograph)で測定される。VB−7を含有する全ての部分を集める。このプロセスにより、計16mgのVB−7が生成される。nmrデータが表7に示される。
【0049】
【表7】

【実施例8】
【0050】
6−ブチロキシ−4−(4−ブチロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ブチロキシメチル−7−メトキシル−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−8)の調製
【0051】
【化15】


まず、2mlの酪酸(butyric acid)を丸底フラスコに入れ、次に、10mlのスルホキシドの塩化物(sulfoxide chloride)を加える。フラスコは、5時間加熱還流され、また、湯槽で反応されてないスルホキシドの塩化物を蒸発させる。フラスコにおける新しく形成された塩化ブチリル(butyryl-chloride)は、乾燥テトラヒドロフラン(dry
tetrahydrofuran)で希釈される。50mgのVB−1が他のフラスコに加えられ、また、30分期間内、1mlの塩化ブチリルのテトラヒドロフラン(butyryl-chloride
in etrahydrofuran)溶液が滴下で加えられる。反応は、かき混ぜと加熱をしながら、6時間行われる。反応溶液は、ゲルろ過カラム(HW−C0)にロードされ、また、クロロホルムで洗浄される。VB−8は、溶出物から得られる。
【実施例9】
【0052】
6−アセトキシ−4−(4−アセトキシ−3−メトキシフェニル)−3−アセトキシメチル−7−メトキシル−3,4−ジヒドロ(3R,4S)−2−ナフトアルデヒド(VB−9)の調製
【0053】
【化16】


50mgのVB−1は、50mlの丸底フラスコに加えられる。5mlの無水酢酸がフラスコに加えられ、また、凝縮器と共に135〜145℃までに加熱される。フラスコ内の反応が1時間行われる。反応終了時、10mlの水がフラスコに加えられる。抽出が酢酸エチルにより行われ。濃縮抽出物は、クロロホルムに溶解し、また、ゲルろ過カラム(HW−C40)にロードされる。VB−9は、クロロホルムの溶出物から得られる。
【実施例10】
【0054】
VB化合物の腫瘍細胞成長についての阻害効果
COC1細胞、SMMC−7721細胞、MCF−7細胞及びHT−29細胞が「中国典型培養物保蔵中心」から購入され、これら細胞は、37℃で、10%のFCSと5%のCO2を有するRPMI1640に培養される。対数期の細胞が実験のために得られる。
【0055】
細胞成長阻害がMTTの方法で測定される。1.0〜1.2×10/mlの細胞懸濁液が調製され、また、96個の穴を有するプレートに移され、各々の穴は180μlである。さらに2時間培養した後に、20μlの異なる試薬がそれぞれ穴に加えられる。細胞が培養器に戻り、そして、48時間培養され、次に、20μl(5mg/ml)のMTTがそれぞれの穴に加えられる。再び6時間培養後、プレートは、1000rpmで5分間遠心分離される。上澄み液を吸引した後に、100μlのDMSOがそれぞれの穴に加えられ、また、その光学濃度が490nmで測定される。細胞阻害(IR)は、IR(%)=[1−A(治療)/A(対照)]×100%のように計算され、ここで、Aは、光学濃度である。IRは、各々の薬物のIC50を確定するために、Calcusynプログラムにより分析される。
【0056】
表8、9、10及び11は、選択された化合物の異なる腫瘍細胞系統についての阻害データを列挙する。
【0057】
【表8】

【0058】
【表9】

【0059】
【表10】

【0060】
【表11】

【実施例11】
【0061】
生体内腫瘍治療モデル、即ち、人間の卵巣腫瘍細胞(CoCl)を接種したBalb/c−nuマウスを使用するVB−2試験結果
VB−1とVB−2は、バイテックスリグナン抽出物EVn−50から分離された二つの主なリグナン化合物であるので、VB−2のCoC1卵巣異種移植モデルにおける腫瘍抑制効果を調べる。
【0062】
実験方法:人間の卵巣腫瘍細胞(CoCl)が「中国典型培養物保蔵中心」から購入され、その細胞は、10%のFCSを有するRPMI1640において培養される。2〜3日間ごとに継代培養が行われる。対数期の細胞が実験のために得られる。約2×10CoClの細胞は、年齢が6〜7週間のBalb/c−nu雌性ヌードマウスの背中に皮下注射される。腫瘍が1000mm以上に達したときに(約30日間)、同じサイズの腫瘍を有するマウスは、二つのグループ、即ち、対照(NS)とVB−2治療の二つのグループに分けられる。各グループ、四つのマウスを有する。
【0063】
VB−2は、DMSOに溶解し、さらに、生理食塩水で希釈される。マウスは、一回分が10mg/kgである生理食塩水又はVB−2が注射(腹腔内)される。治療グループは、実験終了まで、薬が一日おきに投与される。全てのマウスは、第一回治療から20日間後に殺される。腫瘍のサイズ(mm)は、キャリパーを使って三次元測量により測定される。測定可能な腫瘍のみが、各時点の各クローンの平均腫瘍体積を計算するために用いられる。各ポイントは、腫瘍の平均値±SEを表す。治療済マウス対対照用マウスの腫瘍サイズの統計比較は、**p<0.01を示す
実験結果:治療前(表12)、対照グループとVB−2治療グループの腫瘍体積には相違が無く、また、これらマウスは、治療評価のための準備ができた。治療開始5日間後(表13)、VB−2治療下の腫瘍は、対照グループより少し小さくなる。表14は、10日間の治療後、VB−2治療下の腫瘍は対照グループの腫瘍よりずっと小さくなることを示す。その抑制率は、66.5%(p<0.05)である。表15に示すように、15日間の治療後、VB−2治療下の腫瘍は対照グループの腫瘍よりさらに小さくなることが分かる。その抑制率は、64.5%(p<0.05)である。また、表16に示すように、20日間の治療後、VB−2治療下の腫瘍は対照グループの腫瘍よりさらに小さくなることが分かる。その抑制率は、55.7%(p<0.01)である。表12〜表16のデータは、図2にまとめられている。
【0064】
【表12】

【0065】
【表13】

【0066】
【表14】

【0067】
【表15】

【0068】
【表16】

【実施例12】
【0069】
化合物VB−1とVB−2によるヒトの乳ガン細胞のAkt活性化の阻害
実験方法:ヒトの乳ガン細胞MDA−MB−435は、5%のFCSを含有するDMEM培地で培養される。細胞は、約50〜60%の濃度に達したときに、0.5、4及び8μMの濃度のVB−1とVB−2により12時間治療される。対照用と治療済細胞が得られ、また、全タンパクが分離され、規格化され、また、全タンパクの45μgがWestern Blot分析を受ける。リン酸化されたAktの発現(expression)は、特異的な抗リン酸化抗体を用いることにより決定され、また、全Aktタンパクの発現について規格化される。
【0070】
実験結果:図3に示すように、VB−1とVB2は、Aktのリン酸化を抑制することにより、Akt活性化の用量依存的な阻害を発揮すると同時に、これら化合物は、全非リン酸化Aktタンパクのレベルに影響を与えない。即ち、これら化合物は、Aktタンパクの安定性に影響を与えない。化合物AとBは、用量が4μMであるときに、Aktリン酸化を顕著にブロックする。用量が8μMであるときに、VB−1は、Akt活性化を完全にブロックする。
【実施例13】
【0071】
VB−1によるヒトの乳ガン細胞MDA−MB−435のアポトーシスの誘発
実験方法:ヒトの乳ガン細胞MDA−MB−435が5%のFCSを含有するDMEM培地で培養された。細胞は、2、4及び10μMのVB−1により三日間治療された。対照用細胞と治療済細胞が得られ、また、MTTの方法で測定された。
【0072】
実験結果:図4に示すように、VB−1は、用量依存的な細胞阻害を有する。10μMであるときに、50%の阻害がある。対照用グループの成長率は、100%である。治療済グループの成長率は、対照用グループの割合として表示される。各カラムは、平均値±SDである。4μMと8μMレベルであるときに、p値は、0.005より小さく、また、細胞の成長率は、対照用グループより遥かに小さい。
【0073】
以上の実施形態は本発明を説明するために用いられるものであり、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】VB−1を修飾することにより様々な化合物を生成するための合成ストラテジーを示す図であり、合成ルートaは、VB−1がハロゲン化したパラフィンと反応することであり、合成ルートbは、VB−1、無水酢酸及び酢酸ナトリウムの混合物が水槽で一晩掻き混ぜされ、続いて、AcOEtにより抽出されることであり、合成ルートcは、トレンス試薬によりVB−1を酸化することであり、合成ルートdは、VB−1がヒドロキシルチオ酪酸(hydroxylthiobuturic acid)と反応することであり、合成ルートeは、ステップ1で、トリフェニルホスフィンとハロゲン化したパラフィンの混合物の還流により第四級アルキルホスホニウム塩を生成し、ステップ2で、n−BuLiの条件の下で第四級アルキルホスホニウム塩をリンイリドに転換し、ステップ3で、VB−1をリンイリドと反応させることであり、合成ルートfは、VB−1を乾燥EtOHに溶解させ、第一級アミンを加え、混合物を反応が完成するまでに掻き混ぜながら加熱することであり、過剰なアミンは、純粋な化合物を得るために酸洗浄、カラムクロマトグラフィー又は分取TLCにより除去される。
【図2】VB−2のマウス(Balb/c−nu)の注入CoC1腫瘍成長への抑制効果を示す図である。
【図3】VB−1とVB−2化合物によるヒトの乳ガン細胞のAkt活性化の阻害を示す図である。
【図4】VB−1によるヒトの乳ガン細胞のアポトーシスの誘発を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般構造式(I)を有するアリールジヒドロナフタレン類の化合物であって、
【化1】


Xは、C=O、C=S、C=N、メチレン、又は、アルケニル基であり、
Yは、水素、ヒドロキシ、アミド、アルキル基、又は、なしであり、
とRは、それぞれ、水素、アルキル、アルケニル、グルコシル、グルクロ、及び、アリール基であり、
は、水素、グルコシル、又は、アリール基であり、
は、水素、又は、メトキシ基であり、
は、水素、又は、メトキシ基であり、
位置3と4における前記水素は、それぞれ、RとSの配置(3Rと4S)であり、
6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−1)と、6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−2)と、6−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロキシメチル−3,4−ジヒドロ(3R,4S)−2−ヒドロナフタレン(VB−4)と、6−メトキシ−4−(4−メトキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−6)と、6−アセテート−4−(4−アセテート−3−メトキシフェニル)−3−アセテート−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ(3R,4S)−2−ナフトアルデヒド(VB−9)と、を除く、
化合物。
【請求項2】
前記アリールジヒドロナフタレン類は、
6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−グルコシルオキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−(3R,4S)−2−ナフトアルデヒド(VB−3)と、
6−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−4−(3−メトキシフェニル)−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド−4’−O−β−D−グルコピラノシドウロン酸(VB−5)と、
6,7−ジメトキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−7)と、
6−ブチロキシ−4−(4−ブチロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ブチロキシメチル−7−メトキシル−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−8)と
を含む群から選択される、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
一つ以上のアリールジヒドロナフタレン類を含み、ガンを治療するための組成物であって、
前記アリールジヒドロナフタレン類は、一般構造式(I)及びその塩を有し、
【化2】


Xは、C=O、C=S、C=N、メチレン、又は、アルケニル基であり、
Yは、水素、ヒドロキシ、アミド、アルキル基、又は、なしであり、
とRは、それぞれ、水素、アルキル、アルケニル、グルコシル、グルクロ、及び、アリール基であり、
は、水素、グルコシル、又は、アリール基であり、
は、水素、又は、メトキシ基であり、
は、水素、又は、メトキシ基であり、
位置3と4における前記水素は、それぞれ、RとSの配置(3Rと4S)であり、
アルキルは、一つ乃至三つの炭素、メチル、エチル、及び、プロピルを含み、
アルケニルは、二つ乃至四つの炭素、エチレン、プロペニル、及び、ブテニルを含み、
アシルは、二つ乃至四つの炭素、アセチル、プロピオニル、及び、ブチリルを含む、
組成物。
【請求項4】
前記アリールジヒドロナフタレン類は、
6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−1)と、
6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−2)と、
6−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−グルコシルオキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−(3R,4S)−2−ナフトアルデヒド(VB−3)と、
6−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロキシメチル−3,4−ジヒドロ(3R,4S)−2−ヒドロナフタレン(VB−4)と、
6−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−4−(3−メトキシフェニル)−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド−4’−O−β−D−グルコピラノシドウロン酸(VB−5)と、
6−メトキシ−4−(4−メトキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−6)と、
6,7−ジメトキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシメチル−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−7)と、
6−ブチロキシ−4−(4−ブチロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ブチロキシメチル−7−メトキシル−3,4−ジヒドロ−2−ナフトアルデヒド(VB−8)と、
6−アセテート−4−(4−アセテート−3−メトキシフェニル)−3−アセテート−7−メトキシル−3,4−ジヒドロ(3R,4S)−2−ナフトアルデヒド(VB−9)と、
主要成分としてのVB−1とVB−2を有する抽出混合物と
を含む群から選択される、
請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ガンは、黒色腫、肝細胞ガン、腎細胞ガン、非小細胞肺ガン、卵巣ガン、前立腺ガン、結腸直腸ガン、乳ガン、及び、膵臓ガンを含む、
請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物又はその薬学的に許容可能な塩、及び、前記化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含み、薬学的に許容可能なキャリアを有する組成物は、Akt阻害剤である、
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物又はその薬学的に許容可能な塩、及び、前記化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含み、薬学的に許容可能なキャリアを有する組成物は、ガンを治療及び予防するために用いられる、
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物又はその薬学的に許容可能な塩、及び、前記化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含み、薬学的に許容可能なキャリアを有する組成物は、Akt阻害剤であり、或いは、ガンを治療及び予防するために用いられる、
請求項1又は2に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−522212(P2009−522212A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547839(P2008−547839)
【出願日】平成18年12月30日(2006.12.30)
【国際出願番号】PCT/CN2006/003703
【国際公開番号】WO2007/076704
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508194940)中南大学 (1)
【出願人】(508194951)▲達▼瑞科技投資有限公司 (1)
【Fターム(参考)】