説明

キク属植物およびその作出方法

【課題】香りのよいキク属植物およびその作出方法を提供すること。
【解決手段】種子親としてChrysanthemum fruticulosaまたはChrysanthemum lavandulifoliumと、花粉親としてChrysanthemum morifolium Ramat.とを交雑して得られた、香気が増強されたキク属植物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キク属植物およびその作出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キクは、花卉園芸上重要な植物であり、独特の香気を有している。従来、様々なキク品種が作出されてきたが、花序の形、頭花数、頭花の大きさ、頭花の型、花弁の大きさ、花弁の形、花色、葉の形、葉色、草高、草姿、分枝数などの改良を目的としており(特許文献1)、植物品種登録のキクの審査基準(非特許文献1)に香りに関する項目がないことから示唆されるように、香りの改良は行われていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−321057号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】http://www.hinsyu.maff.go.jp/annai/sinsakijun/kijun/1480.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、香りのよいキク属植物およびその作出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、キク属の野生種と栽培種とを交雑することにより、香りがよく、香りが強いキク属植物を作出できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、要約すると以下の通りである。
〔1〕種子親としてChrysanthemum fruticulosaまたはChrysanthemum lavandulifoliumと、花粉親としてChrysanthemum morifolium Ramat.とを交雑して得られた、香気が増強されたキク属植物。
〔2〕植物の香気成分をヘッドスペース法によるイオンクロマトグラフィーで分析したときに、香気成分の総量が花粉親の10倍以上である、〔1〕に記載の植物。
〔3〕ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、リナロール、メチルベンゾエート、リモネン、2−エチルヘキサノール、cis−3−ヘキセニルアセテート、α−ピネン、1,8−シネオール、ミルセン、2−フェニルエチルアルコール、カンファー、エチルアセテート、β−フェランドレン、カンフェン、trans−クリサンテノール、クリサンテノン、trans−クリサンテニルアセテート、cis−クリサンテニルアセテートおよびcis−クリサンテノールからなる群から選択される香気成分を含む、〔1〕または〔2〕に記載の植物。
〔4〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の植物の後代。
〔5〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の植物、または〔4〕に記載の植物の後代から得られた抽出物。
〔6〕種子親としてChrysanthemum fruticulosaまたはChrysanthemum Lavandulifoliumと、花粉親としてChrysanthemum morifolium Ramat.とを交雑することを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の植物を作出する方法。
〔7〕植物の香気成分をヘッドスペース法によるガスクロマトグラフィーで分析したときに、香気成分の総量が花粉親の10倍以上である植物を選択することをさらに含む、〔6〕に記載の方法。
〔8〕栄養繁殖することをさらに含む、〔6〕または〔7〕に記載の方法。
〔9〕電照栽培することをさらに含む、〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のキク属植物は、好意的に感じる、甘い香りおよび/またはハーブのような香りがし、従来のキク属植物が有するキク独特の香気とは明らかに異なる香りを有する。本発明のキク属植物は、従来のキク属植物と比べて、香気強度(放出している香気物質の量)が高い。地植えの状態であると、株から立ちのぼるように香る。切花の状態でも従来のキク植物よりも強く香る。また、種子親と比べて、花が大きく直立性であるなどの見た目がよく、鑑賞花として優れており、枯れていくときに見た目が汚くなく、ドライフラワーなどにも適している。本発明のキク属植物は、電照栽培が可能で、露地栽培よりも草高や花の大きさを大きくすることができる。また、農業分野における電力需要の造成や離脱防止、花卉産業の活性化などに寄与できる。本発明のキク属植物から抽出された抽出物は、香水、化粧品、アロマオイル、芳香剤などの製品に使用することができる。さらに、野生種のキクは、防臭、大気浄化、薬などの昔から利用されている機能性を有しているものが多く、本発明のキク属植物も同様の機能性を有している可能性があり、鑑賞花以外での用途が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】パネルAは、Chrysanthemum fruticulosaの株、パネルBは、Chrysanthemum fruticulosaの花、パネルCは、Chrysanthemum lavandulifoliumの株、パネルDは、Chrysanthemum lavandulifoliumの花を示す。
【図2】パネルAは、Chrysanthemum morifolium Ramat.の黄色品種の株、パネルBは、Chrysanthemum morifolium Ramat.の黄色品種の花、パネルCは、Chrysanthemum morifolium Ramat.の赤色品種の株、パネルDは、Chrysanthemum morifolium Ramat.の赤色品種の花、パネルEは、Chrysanthemum morifolium Ramat.の橙色品種の株、パネルFは、Chrysanthemum morifolium Ramat.の橙色品種の花、パネルGは、Chrysanthemum morifolium Ramat.の白色品種の株、パネルHは、Chrysanthemum morifolium Ramat.の白色品種の花を示す。
【図3】パネルAは、交雑種から得られた種子を示す。パネルBは、試験管中の培地への播種の様子を示す。パネルCは、発芽の様子を示す。パネルDは、伸長の様子を示す。
【図4】従来のCTAB法と簡易CTAB法を比較する電気泳動像を示す。
【図5】RAPDによる雑種性検定(プライマーOPA7使用)の電気泳動像を示す。
【図6】RAPDによる雑種性検定(プライマーOPA8使用)の電気泳動像を示す。
【図7】RAPDによる雑種性検定(プライマーOPA7使用)の2反復目の電気泳動像を示す。
【図8】PARDによる雑種性検定(プライマーOPA8使用)の2反復目の電気泳動像を示す。
【図9】パネルAは、培養苗の増殖、育成の様子を示す。パネルBは、順化開始時の培養苗を示す。パネルCは、順化開始後約4週間の植物を示す。パネルDは、定植後約4週間の植物を示す。パネルEは、定植後約14週間の植物を示す。パネルFは、増殖培養中の培養苗を示す。
【図10】パネルAは、採穂前の定植株を示す。パネルBは、採穂前の定植株を示す。パネルCは、採取した脇芽を示す。パネルDは、低温処理時の挿し芽の状態を示す。パネルEは、育成開始後11日の挿し芽を示す。パネルFは、育成開始後11日の挿し芽を示す。
【図11】平成17年度交雑の第1回栽培試験での調査結果及び生育状況を示す。
【図12】図11の続きである。
【図13】図12の続きである。
【図14】図13の続きである。
【図15】図14の続きである。
【図16】図15の続きである。
【図17】図16の続きである。
【図18】図17の続きである。
【図19】図18の続きである。
【図20】図19の続きである。
【図21】平成17年度交雑の第2回栽培試験での調査結果及び生育状況を示す。
【図22】図21の続きである。
【図23】図22の続きである。
【図24】図23の続きである。
【図25】図24の続きである。
【図26】図25の続きである。
【図27】図26の続きである。
【図28】平成17年度交雑の調査結果を示す。
【図29】図28の続きである。
【図30】図29の続きである。
【図31】図30の続きである。
【図32】図31の続きである。
【図33】図32の続きである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.本発明のキク属植物
本発明のキク属植物は、種子親として、野生種のChrysanthemum fruticulosaまたはChrysanthemum lavandulifoliumと、花粉親として、栽培種のChrysanthemum morifolium Ramat.とを交雑して得られる。その香気は、種子親および花粉親よりも増強され、香気成分の種類や量の違いがあるが、好ましくは、香気成分の総量が花粉親の10倍以上である。
【0011】
本発明のキク属植物には、その後代も含まれ、枝代わりなどの突然変異体も含まれる。また、本発明のキク属植物には、植物体(根、茎、葉、花、挿し芽、茎頂などを含む)、種子、花粉、胚珠、細胞、およびカルスなどの培養物も含まれる。さらに、本発明のキク属植物には、生のもの(鉢植え、切花など)だけでなく、加工したもの(ドライフラワーなど)も含まれる。本発明のキク属植物は、種子親よりも直立性であり、草高が高く、約15cm〜約150cmであり、ほとんどの交雑種で花が大きく、頭花の直径で約0.5cm〜約5cm、花数が多い。花色は、例えば、黄色であるが、特に限定されない。また、上記組み合わせの交雑で得られる種々のキク属植物は、本発明において、香気が増強された一連の植物群(植物集団)と捉えてもよい。
【0012】
(1)種子親
種子親のChrysanthemum fruticulosa(図1のパネルAおよびB)は、北緯30〜50度、標高1500〜3000mに分布し、Chrysanthemum lavandulifolium(図1のパネルCおよびD)は、北緯30度以下、標高1500m以下に分布する野生種であり、濃い蜜のような香りを有する。叢生で、葉や茎は細く、花は小さく(約0.3cm〜約1.5cm)、日本の気候条件では花を付けにくく、種子を得るのが難しいので、通常、交雑親として選択される種ではない。これらの種子親は、広島大学大学院理学研究科附属植物遺伝子保管実験施設(郵便番号739−8526 広島県東広島市鏡山1−4−3)から入手可能である。
【0013】
(2)花粉親
花粉親のChrysanthemum morifolium Ramat.の黄色品種(以下、Y−4ということがある。図2のパネルAおよびB)、Chrysanthemum morifolium Ramat.の赤色品種(以下、R−8ということがある。図2のパネルCおよびD)、Chrysanthemum morifolium Ramat.の橙色品種(以下、Or−3ということがある。図2のパネルEおよびF)ならびにChrysanthemum morifolium Ramat.の白色品種(登録品種名‘セイユース’(有限会社精興園)、以下、W−4ということがある。図2のパネルGおよびH)は、花色が鮮やかで濃く、葉が大きすぎないという基準で選択された栽培種である。本発明に用いるChrysanthemum morifolium Ramat.は、品種を問わない。Chrysanthemum morifolium Ramat.(Y−4、R−8、Or−3およびW−4)は、中部電力株式会社(郵便番号459−8522 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番地の1 中部電力株式会社エネルギー応用研究所)から入手可能である。
【0014】
(3)交雑
種子親は花を付けにくいので、種子親の開花に合わせて花粉親の花粉を受粉することができるように、花粉親を電照栽培などで開花調節することが好ましい。受粉には、結実をよくするため、栽培種の花粉の採取後、冷凍または冷蔵保存した花粉ではなく、新鮮な花粉を用いることが好ましい。例えば、種子親が開花する時間に合わせ、同じ日に開花した花粉親の花粉を薬包紙に集めておき、種子親の雌蕊が伸長したことを確認した後、薬包紙上の花粉を毛筆または指等を使って柱頭に受粉し、他の花粉による受粉を防ぐため袋がけする。これを開花期間中反復する。約4週間後種子を回収する。回収した種子のうち未熟なものはとりまきし、成熟したものは室温で保存することができる。
【0015】
(4)交雑種の育成
発芽率を向上させるため、例えば、試験管などに分注した培地に回収した種子を播種することが好ましい。培地として、例えば、MS培地を用いることができる。好ましくは1/2MS培地に、1%〜2%ショ糖、および0.1%〜0.5%ゲルライトまたは寒天など添加し、pHを約5.5〜6.0にする。発芽条件、育成条件は、約3000lux〜6000lux、10時間〜16時間日長、約20℃〜約25℃が好ましい。試験管内で育成した交雑種をさらに培養繁殖し、個体数を増やす。培養増殖は、キク属植物では通常挿し芽で行うが、茎頂培養などの他の方法でもよい。十分に発根したら、根に付いている培地を洗い流し、バーミキュライトなどの園芸用土を入れたポットに植えて、順化を行い、その後定植する。育成されたキクをさらに挿し芽等で栄養繁殖させ、後代を育成することができる。
【0016】
本発明のキク属植物は、電照栽培が可能である。加温する場合は、好ましくは約10℃〜約25℃、より好ましくは約12℃〜約18℃にすることが好ましい。また、電照加温栽培では、露地栽培と比べて、草高が高くなり、花が大きくなる。
【0017】
(5)交雑種の確認
交雑種子から育成した植物体が、野生種と栽培種との交雑種であることを確認する方法として、両親との染色体数の比較やGenomic in situ hybridization(GISH)法などを用いることが多かったが、染色体の観察には高度な技術習得が必要であり、時間もかかることから、大量の植物体を対象にするには効率的でない。そこで、遺伝子断片の相違をもとに、簡易な方法で雑種確認ができないかを検討し、Random amplified polymorphic DNA(RAPD)により可能であることを確認した。雑種個体や親となった野生種を識別できる特徴的な遺伝子断片が明らかになり、これと植物体の表現形質が一致すれば、野生種の有望な形質を持つ個体を、長期間の栽培を行うことなく育成初期にスクリーニングでき、新品種開発にかかる労力の大幅な削減が期待できる。また、RAPD法の試料となるDNAは、抽出法としてCetyl trimethyl ammonium bromide(CTAB)法が多く用いられるが、時間がかかりすぎる。そこで、簡易なDNA抽出法(簡易CTAB法)の検討を行った。簡易CTAB法で抽出されたDNAで、通常のCTAB法で得たDNAとほぼ同等のRAPDデータが得られ、また、DNA抽出するのにかかる時間が大幅に短縮できる。
【0018】
簡易CTAB法は、以下の手順で行うことができる。
(a)凍結保存した葉のサンプル(100〜200mg程度)を2.0mlチューブに入れマイクロ乳棒で破砕する。これに500μlの2%CTAB溶液(2%CTAB、1.4M NaCl、20mM EDTA、100mM Tris−HCl)を加えて混和する。
(b)500μlのCIA溶液(Chloroform:Isoamylalchol=24:1)を加え、1分間やや強めに混和し、遠心分離(15000rpm、5分、室温)する。
(c)上清を新しい1.5mlチューブに移し、500μlの1%CTAB溶液(1%CTAB、20mM EDTA、100mM Tris−HCl)を加えて混和後、遠心分離(15000rpm、5分、室温)する。
(d)上清除去後、ペレットに1mlの70%エタノールを加え、遠心分離(15000rpm、1分、室温)する。再び上清除去後、5分間真空乾燥する。その後100μlのTEを加えて、−20℃で保存する。
【0019】
上記簡易CTAB法で得られたDNAを試料として、RAPD法を行う。RAPD法のPCR増幅に用いるプライマーは、オペロン社のランダムプライマーシリーズOPA−7、OPA−8が好ましい。
【0020】
OPA−7の塩基配列(配列番号1):GAAACGGGTG
OPA−8の塩基配列(配列番号2):GTGACGTAGG
【0021】
PCR条件は、例えば、初期変性94℃、3分、変性94℃、1分、アニーリング40℃、2分、伸長72℃、2分を1サイクルとして45サイクルである。
【0022】
得られたPCR増幅産物を1.5%アガロースゲルで電気泳動し、核酸染色溶液(臭化エチジウム終濃度0.5μg/ml)で染色後、紫外線照射でバンドを検出する。花粉親に特異的なバンドあるいは両親のバンドを持つものは自殖由来でないと考えられることから交雑種と判定できる。
さらに、STS化マーカーを作製して、交雑種の確認をしてもよい。
【0023】
2.本発明のキク属植物の香気成分
本発明のキク属植物は、好ましくは、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、リナロール、メチルベンゾエート、リモネン、2−エチルヘキサノール、cis−3−ヘキセニルアセテート、α−ピネン、1,8−シネオール、ミルセン、2−フェニルエチルアルコール、カンファー、エチルアセテート、β−フェランドレン、カンフェン、trans−クリサンテノール、クリサンテノン、trans−クリサンテニルアセテート、cis−クリサンテニルアセテートおよびcis−クリサンテノールからなる群から選択される香気成分を含む。これらの香りの特徴を、下記の実施例の表8に示す。本発明のキク属植物は、他の成分、例えば、スクアレン、ヘキサデカン酸、テトラデカン酸などをさらに含んでもよい。
【0024】
本発明のキク属植物は、好ましくは、香気成分を、地植えの状態で、好ましくは開花時に、ヘッドスペース法によるガスクロマトグラフィーで分析し、該香気成分の総量を100%としたとき(クロマトグラフのデータでピークの全面積(エリア)を100%としたとき)に、ベンズアルデヒドおよび/またはフェニルアセトアルデヒドを1〜30%、5〜25%、10〜20%の量で含みうるが、特に限定されない。また、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒドを、それぞれ1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、または15%以上の量で含むことが好ましい。
【0025】
また、好ましくは、リナロール、メチルベンゾエート、リモネン、2−エチルヘキサノール、cis−3−ヘキセニルアセテート、α−ピネン、1,8−シネオール、ミルセン、2−フェニルエチルアルコール、カンファー、エチルアセテート、β−フェランドレン、カンフェン、trans−クリサンテノール、クリサンテノン、trans−クリサンテニルアセテート、cis−クリサンテニルアセテートおよびcis−クリサンテノールを、それぞれ0.05%以上、0.1%以上、0.2%以上、0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、または10%以上の量で含む。但し、総量としては100%を超えない。
【0026】
本発明のキク属植物は、花粉親と比較して、甘く、ハーブのような香りを有し、非常に強く香る。葉のみ、花のみでも香りが強い。例えば、切花などの植物の香気成分をヘッドスペース法によるガスクロマトグラフィーで分析したときに、香気成分の総量が花粉親の好ましくは10倍以上、25倍以上、30倍以上、35倍以上、40倍以上、45倍以上、または50倍以上である。地植えであれば、さらに香りが強く、開花時は特に強い。
【0027】
さらに、本発明のキク属植物の群(集団)の中から、植物の香気成分をヘッドスペース法によるガスクロマトグラフィーで分析したときに、香気成分の総量が花粉親の10倍以上であり、かつ、好意的な香り(甘い香り、ハーブのような香り)を有する株をスクリーニングしてもよい。
【0028】
ヘッドスペース法は、本発明のキク属植物を地植えのまま花の部分のみをガラスフードで覆い、フードにテフロンチューブとポンプを接続して、流量0.5L/minで4時間空気を循環させ、チューブの途中のガラス管に充填した捕集剤:Tenax TA 50mgで香気を捕集し、捕集した香気を、ガスクロマトグラフィー(GC−MS)にかけ、分析条件として、キャピラリーカラムTC−WAX0.25mmφ×60m、初期温度40℃→最終温度230℃、キャリアガス:ヘリウム、注入口温度:250℃、流速:1ml/min、香気成分脱着温度:230℃で分析することにより行うことができる。
【0029】
3.本発明のキク属植物の抽出物
抽出方法は、常法でよく、例えば、溶剤抽出法が挙げられる。抽出に用いられる本発明のキク属植物は、生のもの、半乾燥したもの、乾燥したもの、凍結乾燥したもの等のいずれでもよいが、生のものが好ましい。また、植物は、適宜粉砕または裁断されたもの、植物そのものの形態であってもよいが、粉砕されたものが好ましい。抽出の原料に用いられる植物の部分は、根、茎、葉、花等、あるいは全草のいずれでもよいが、花および/または葉を含むことが好ましい。
【0030】
溶媒として、水、親水性有機溶媒、またはそれらの混合物を用いることができる。親水性有機溶媒は、より粘度の高い抽出物を得ることができ、好ましい。溶媒の具体例としては、純水、精製水、メタノール、エタノール、ブタノール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等のアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸等が挙げられ、特に限定されないが、メタノール、ブタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールが好ましい。親水性有機溶媒のみを抽出に用いてもよいが、親水性有機溶媒と水の混合物を用いることが好ましい。この場合、親水性有機溶媒の濃度は、好ましくは10〜90vol%、より好ましくは20〜60vol%、さらに好ましくは25〜35vol%である。また、親水性有機溶媒を複数混合して用いてもよい。例えば、エタノール、1,3−ブチレングリコール及び水を混合してもよい。植物への溶媒の添加量は特に限定されないが、植物100gに対し好ましくは100〜1000mL、より好ましくは200〜600mLである。
【0031】
溶媒を植物に添加して、抽出を、好ましくは温度0〜60℃、より好ましくは20〜30℃で、好ましくは1時間〜7日間、より好ましくは8〜16時間(一晩)行う。抽出終了後、必要に応じて濾過、遠心分離などで残渣を除いてもよいし、濃縮工程や精製工程を行ってもよい。これらの工程は減圧濃縮、凍結乾燥、エタノール等の溶媒による沈殿、クロマトグラフィー、例えばイオン交換クロマトグラフィー、ゲルパミエーションクロマトグラフィー、HPLC等、限外濾過等の各種公知の方法を用いて行うことができる。
【0032】
本発明のキク属植物の抽出物(精油)は、好ましくは、1,8−シネオール、α−ピネン、p−ムーロレンおよびcis−サビノールからなる群から選択される成分を含む。含有量は、ガスクロマトグラフで分析したときに、それぞれ1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、または16%以上が好ましい。なお、通常、精油には、サビノールはあまり含まれないと言われている。また、本発明のキク属植物の抽出物は、さらに、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−ピネン、p−シメン、カンフェン、ミルセン、リモネン、リナロール、メチルベンゾエート、2−エチルヘキサノール、cis−3−ヘキセニルアセテート、2−フェニルエチルアルコール、γ−テルピネン、γ−ムーロレン、カンファー、エチルアセテート、β−フェランドレン、trans−クリサンテノール、クリサンテノン、trans−クリサンテニルアセテート、cis−クリサンテニルアセテート、cis−クリサンテノールなどを含んでもよい。
【0033】
4.本発明のキク植物の抽出物を用いた製品
上記抽出物は、例えば、香水、化粧品、アロマオイル、芳香剤などの製品に用いることができる。上記製品には、抽出物のほかに、各種成分、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類及びその誘導体、コラーゲン、エラスチン、ケラチンなどのタンパク質及びその誘導体、グリシン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸及びその誘導体、ソルビトール、トレハロース、グルコース、ショ糖などの糖類、尿素、セラミド、アロエ抽出物などの植物抽出物、ビタミンA、C、E類及びその誘導体、グルチルリチン酸類及びその誘導体、ナイアシンアミド、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、胎盤抽出液、スーパーオキシドジムスターゼ、マンニトール、ケルセチン、カテキン、アスタキサンチン、コエンザイムQ10、カラギーナン、ペクチン、寒天、アラビアガム、グアガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、クインスシード、ゼラチン、デンプンなどの天然物系高分子、メチルセルロースヒドロキシセルロースなどのセルロース系高分子、カルボキシビニルポリマーなどのアクリル酸系高分子、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸系高分子、スクワラン、ホホバオイル、ヒマシ油、紅花油、オリーブ油などの植物油、パラオキシ安息香酸エステル類、さらに、界面活性剤、キレート剤、色素、pH調整剤などを含めてもよい。
【実施例】
【0034】
1.キク属野生種と栽培種の交雑
以下の表1に示すように、種子親として野生種Chrysanthemum fruticulosaと、花粉親として栽培種9種とを交雑した。また、以下の表2に示すように、種子親として野生種Chrysanthemum lavandulifoliumと、花粉親として栽培種4種とを交雑した。
【0035】
(1)交雑方法
上記野生種2種ともに、開花時期が不明であったため、これら野生種の開花期に栽培種の花粉を受粉させることができるよう、栽培種を開花調節可能な温室で栽培した。種子親が開花する時間に合わせ、同じ日に開花した花粉親の花粉を薬包紙に集め、種子親の雌蕊が伸長したことを確認した後、薬包紙上の花粉を毛筆または指等を使って柱頭に受粉し、他の花粉による受粉を防ぐため袋がけした。以下の表1および表2に、受粉花数、結実花数、得られた種子数、種子の状態を示す。
【0036】
(2)播種
得られた種子を、in vitroで試験管中の培地に播種した。
培地組成:1/2MS、1.5%ショ糖、0.2%ゲルライト、ホルモンフリー、pH5.7
環境条件:約4000lux、12時間日長、22℃
【0037】
以下の表1および表2に発芽数を示す。また、図3のパネルA〜Dに、それぞれ、種子、試験管への播種、発芽、伸長した植物体を示す。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
2.交雑種の確認
交雑種子から育成した植物体が、野生種と栽培種との交雑種であることを確認する方法として、RAPD法を用いた。
【0041】
(1)交雑種からの簡易DNA抽出法
簡易CTAB法を上述の通りに行い、交雑種のDNAを抽出した。通常のCTAB法と簡易CTAB法を比較したRAPD分析データを図4に示す。簡易CTAB方法は、通常のCTAB法とほぼ同等のRAPD分析結果が得られ、かつ、24サンプルについてDNA抽出するのにかかる時間が、約6時間から約2時間に短縮できた。
【0042】
(2)親個体を用いたプライマーの選定
種子親の野生種と花粉親の栽培種を用いて、オペロン社のランダムプライマーシリーズOPA1〜20とOPB1〜20を用いたRAPD分析を行った。その結果、11のプライマーでバンドが得られた。これらのバンドを解析した結果、OPA7(配列番号1)、OPA8(配列番号2)、OPA9(配列番号3)、OPA18(配列番号4)のプライマーで良好な結果が得られることが確認できた。
【0043】
(3)交雑種個体を用いたRAPD法による雑種性検定
実施例の上記1.で得られた順調に成長している交雑種85個体の葉を培養試験管から採取し、実施例の上記2.に記載の簡易CTAB法を用いてDNAを抽出し、プライマーOPA7(配列番号1)とOPA8(配列番号2)を用いて3反復のRAPD分析を行った。
【0044】
反応液の調製は、最終濃度0.5μMプライマー、最終濃度0.2mM dNTPs、反応液20μlあたり0.5UのPCR用酵素(Taqポリメラーゼ)、20μlあたり1μlの鋳型DNAを混ぜ、全量20μlになるように滅菌蒸留水を加えた。
【0045】
RAPD法では、上記プライマー2種を用いて、PCRを行い、増幅産物を電気泳動した。
【0046】
図5に、交雑番号22番(C.fruticulosa×Y−4)の交雑種由来の鋳型DNAをプライマーOPA7で増幅した増幅産物の電気泳動像を例として示す。図中、*印は花粉親(Y−4)特異的バンド、△印は種子親(C.fruticulosa)特異的バンドを示す。花粉親特異的バンドと種子親特異的バンドの両方を持つ個体は、番号22−101(レーン2)、22−13(レーン6)、22−17(レーン9)であった。
【0047】
図6に、交雑番号22番の交雑種から抽出された鋳型DNAをプライマーOPA8で増幅した増幅産物の電気泳動像を例として示す。花粉親特異的バンドと種子親特異的バンドの両方を持つ個体は、番号22−101(レーン2)、22−103(レーン3)、22−12(レーン5)、22−13(レーン6)、22−15(レーン7)、22−16(レーン8)、22−17(レーン9)、22−18(レーン10)、22−19(レーン11)、22−2(レーン12)、22−20(レーン13)であった。
【0048】
上記プライマーOPA7とOPA8を用いたRAPD分析をさらに2回反復し、再現性が確認されたものを交雑種と判定した。図7にOPA7を用いた2回目の分析の電気泳動像、図8にOPA8を用いた2回目の分析の電気泳動像を例として示す。その結果、花粉親特異的バンドと種子親特異的バンドの両方を持つ交雑種が多数確認された。また、明らかに種子親とは違うバンドパターンが確認された系統もあった(例えば、図8のレーン3および4)。これらの系統は、プライマーOPA7またはOPA8では確認出来ない交雑種、または自然雑種であると考えられた。
【0049】
以下の表3および表4に、種子親のC.fruticulosa、C.lavanduliforiumに各花粉親を交雑して得られた交雑種のデータを示す。
【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
なお、STS化マーカーを作製して、RAPDの雑種性検定の確認も行った(データは示さず)。
3.交雑種の育成
(1)順化、親株定植
交雑個体であることが遺伝的に確認された個体は、1個体を1系統とし、培養増殖により個体数を確保した。十分な個体数が確保できた系統から、順化を行い、屋外圃場で親株の定植を行った。系統により発芽時期、雑種確認時期、成長速度が異なるため、順化および屋外圃場での栽培は成長に合わせ3年にわたり実施した。
【0053】
培養増殖は、培地(1/2MS、1.5%ショ糖、0.2%ゲルライト、ホルモンフリー、pH5.7)に、十分発根した個体からの挿し芽を植え、約4000lux、12時間日長、22℃の条件下で行った。
【0054】
十分に発根した培養苗から培地を洗い流して、培養苗をバーミキュライトに植えて、順化を行った(図9のパネルA〜F)。
【0055】
(2)挿し芽
露地に定植・育成した親株の脇芽を5cm程度で折り、葉を3〜4枚残して切除し、濡らした新聞紙に包んでビーカーに立て、冷蔵庫へ入れて一晩おいた後、新聞紙を取り、ポリエチレン袋に入れてビーカーに立て、引き続き冷蔵庫で保管した。約2週間後、セルトレイに入れたバーミキュライトに挿し、温室内で約4週間育成した(図10のパネルA〜F)。
【0056】
(3)露地栽培および電照加温栽培
交雑種の特性を確認するため、露地栽培と電照加温栽培を行った。露地栽培と電照加温栽培のスケジュールは表5の通りである。電照は、100Wの白熱電球を約10平方メートルに1.5球の割合で、高さ約2.0mのところに配置して行った。
【0057】
【表5】

【0058】
4.交雑種の特性
(1)露地栽培および電照加温栽培における生育特性
現在までに55系統の交雑種を育成した。平成20年度に、31系統の交雑種(交雑は平成17年度に行った。)の栽培試験を行い、生育特性を調査した。露地栽培と電照加温栽培を比較すると、露地では外花弁の無かった交雑種系統でも外花弁が形成伸長し、電照加温栽培では全体的に植物体が大きくなった。表6に、生育特性調査を示す。表中、露地での到花日数は、夏至をスタートとしてカウントしており、短日の感応時間が明らかでないため、参考値である。電照加温栽培において、消灯からの到花日数は、54〜60日が最も多く、平均8.2週となった。また、生育障害は、電照加温における定植後の枯死が4系統で顕著となったが、種子親に用いた野生種の生育地が冷涼乾燥な地域であったため、定植時に高温多湿条件が不適である可能性が高いと思われた。
【0059】
【表6】

【0060】
また、図11〜26に、上記31系統の交雑種の苗、蕾、株および花と調査結果を示す。
【0061】
(2)形態的な特徴
平成19年度に電照加温栽培した21系統の交雑種について、株の直立性、枝の広がり、花、葉の形態を比較した。図27に、種子親の野生種(C.fruticulosa)と交雑種(番号22−7)の比較を示す。また、図28〜図32に、上記21系統(平成17年度交雑)の交雑種の全体、花、葉の調査結果を示す。
【0062】
(3)香気的な特徴
平成19年度の電照加温栽培、平成20年度の露地栽培および電照加温栽培で、香気調査を実施した。
(i)官能調査
花は、開花直後から花が枯れるまで香りが続き、系統により、香り、強さに違いがあったが、いずれの交雑種も、花粉親よりも強く香った。花の香りの種類としては、従来のキクに近い「青臭い」、「苦い」と感じる香りを含む系統もあったが、ほとんどの系統が、「甘い」、「ハーブ」のような好意的に感じる香りを強く有していた(図11〜図26)。C.fruticuloseの系統では、濃いハチミツのような甘さ、C.lavandulifoliumの系統では、やや柑橘系のさわやかな甘さが感じられた。
【0063】
葉の香りは開花時期に特に強く、系統により、香り、強さに違いがあったが、いずれの交雑種も、花粉親よりも強く香った。葉の香りの種類としては、「ハーブ」のような好意的に感じる香りがほとんどで、葉が擦れるなどの刺激によって周囲に広がる傾向が強かった。
【0064】
(ii)香気分析
(a)切花の香気分析
平成19年度に電照加温栽培した交雑種2系統(1−8、22−101)と栽培種Y−4の香気をヘッドスペース法によるガスクロマトグラフィーで分析した。
【0065】
香気成分は20〜50種検出された。主成分は、交雑種、栽培種ともにα−ピネンで、交雑種では香気成分総量の約53%〜約67%、栽培種では75%を占めた(表7)。以下、β−ピネン、p−シメン、カンフェン、ミルセンが両種に共通して含まれていた。栽培種の特徴は、p−シメン、γ−テルピネンを多く含むことであり、この成分は交雑種にも見られた。一方、交雑種は、栽培種でみられない1,8−シネオールを約10%〜約27%主要成分として含んでいた。また、すべての香気成分の総量を比較すると、交雑種の葉は、栽培種の約30倍の量を放出しており、交雑種の花は、栽培種の約50倍の量を放出していた。
【0066】
【表7】

【0067】
交雑種22−4(C.fruticulose x Chrysanthemum morifolium Ramat.)の花部の主な香気成分を表8に示す。
【0068】
【表8】

【0069】
(b)抽出物の香気分析
交雑種2系統(番号1−8、22−101)から常法で抽出物(精油)を調製し、その香気成分をヘッドスペース法によるイオンクロマトグラフィーで分析した。
【0070】
分析結果を表9に示す。抽出物の収量は、2種の交雑種とも約0.04wt%であり、抽出物の構成成分は、セスキテルペン炭化水素であるγ−ムーロレンとサビノールを多く含有していた。
【0071】
【表9】

【0072】
(c)地植えでの香気分析
平成20年度に電照加温栽培した開花期の交雑種2系統(1−15、22−4)の香気を、地植えの状態で、ヘッドスペース法によるガスクロマトグラフィーで分析した。
【0073】
香気の採取は、本発明のキク属植物を地植えのまま花の部分のみをガラスフードで覆い、フードにテフロンチューブとポンプを接続して、流量0.5L/minで4時間空気を循環させ、チューブの途中のガラス管に充填した捕集剤:Tenax TA 50mgで香気を捕集した。捕集した香気は、ガスクロマトグラフィー(GC−MS)にかけ、分析条件としてキャピラリーカラムTC−WAX0.25mmφ×60m、初期温度40℃→最終温度230℃、キャリアガス:ヘリウム、注入口温度:250℃、流速:1ml/min、香気成分脱着温度:230℃で分析した。
【0074】
上記(a)の切花での分析で主要成分であった、α−ピネン、1,8−シネオール、ミルセンは1%以下であるが含まれており、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒトがそれぞれ香気成分総量の約10〜約20%を占めた。また、他の成分として、リナロール、メチルベンゾエート、リモネン、2−エチルヘキサノール、cis−3−ヘキセニルアセテート、2−フェニルエチルアルコール、カンファー、エチルアセテート、β−フェランドレン、カンフェン、trans−クリサンテノール、クリサンテノン、trans−クリサンテニルアセテート、cis−クリサンテニルアセテートおよびcis−クリサンテノールなどを含み、甘い香りの要因となっていることが示唆された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種子親としてChrysanthemum fruticulosaまたはChrysanthemum lavandulifoliumと、花粉親としてChrysanthemum morifolium Ramat.とを交雑して得られた、香気が増強されたキク属植物。
【請求項2】
植物の香気成分をヘッドスペース法によるイオンクロマトグラフィーで分析したときに、香気成分の総量が花粉親の10倍以上である、請求項1に記載の植物。
【請求項3】
ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、リナロール、メチルベンゾエート、リモネン、2−エチルヘキサノール、cis−3−ヘキセニルアセテート、α−ピネン、1,8−シネオール、ミルセン、2−フェニルエチルアルコール、カンファー、エチルアセテート、β−フェランドレン、カンフェン、trans−クリサンテノール、クリサンテノン、trans−クリサンテニルアセテート、cis−クリサンテニルアセテートおよびcis−クリサンテノールからなる群から選択される香気成分を含む、請求項1または2に記載の植物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物の後代。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに1項に記載の植物、または請求項4に記載の植物の後代から得られた抽出物。
【請求項6】
種子親としてChrysanthemum fruticulosaまたはChrysanthemum Lavandulifoliumと、花粉親としてChrysanthemum morifolium Ramat.とを交雑することを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物を作出する方法。
【請求項7】
植物の香気成分をヘッドスペース法によるガスクロマトグラフィーで分析したときに、香気成分の総量が花粉親の10倍以上である植物を選択することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
栄養繁殖することをさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
電照栽培することをさらに含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2011−83260(P2011−83260A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240610(P2009−240610)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】