説明

キサンタンガム被覆水溶性糖類及び圧縮成形製剤

【課題】
圧縮成形性の悪い水溶性糖類の流動性と圧縮成形性を高め、口腔内速崩壊性圧縮製剤用の賦形剤として適するようにし、それを用いて、適度な硬度を有し、速崩壊性に優れた、口腔内速崩壊性圧縮製剤を開発すること。
【解決手段】
圧縮成形性の悪い水溶性糖類をキサンタンガムで被覆することにより水溶性糖類の流動性及び圧縮成形性を向上させ、該キサンタンガム被覆水溶性糖類を賦形剤として使用することにより、適度な硬度を有し、速崩壊性に優れた、口腔内速崩壊性圧縮製剤を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キサンタンガムで被覆した水溶性糖類及びそれを使用した口腔内速崩壊性圧縮成形製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
経口投与用の固形製剤としては、従来、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの形態の製剤が用いられている。しかしこれらの剤型の製剤には、乳児、高齢者、重症患者にとっては、嚥下が困難である等の問題があるため、これらの問題の少ない製剤、例えば口腔内速崩壊性圧縮成形製剤も各種開発されつつある。
一方、治療効果の改善、患者の服用性の向上などを目的として、製剤からの薬物放出速度の制御、製剤に含まれる薬物の味のマスキングなど種々の機能を付与された製剤が研究され、臨床の場においても使用されている。
口腔内速崩壊錠は服用したときに速やかに崩壊することが要求される一方、口腔内ですぐに崩壊するため、服用感も良好であることが望まれると共に、服用までの保存、運搬等においては破損したりしない適度な硬度を必要とする。
医薬製剤の賦形剤として多用されている乳糖やマンニトールなどの水溶性糖類は圧縮製剤製造時における流動性及び圧縮成形性等が悪く、口腔内速崩壊性圧縮成形製剤の賦形剤として通常の方法で使用すると、得られた製剤の硬度及び速崩壊性などの点で満足のできる口腔内速崩壊性圧縮成形製剤を得るのが難しい。そのため種々の工夫がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、少なくとも1種の単糖類又は多糖類から誘導された結晶性糖アルコールの結晶マトリックス内に少なくとも一種の薬剤活性化合物の粒子を均一に分散させてなる薬剤組成物が記載されている。特許文献2には、結合性が低い、成形性の悪いマンニトール又は乳糖に嵩比重60g/100ml未満のソルビトール粉粒体を配合することにより、成形性の高い他の添加剤、例えばセルロース系化合物、アクリル酸系化合物、ゼラチン等の配合量低減が図れ、崩壊性に優れた固形製剤組成物として得られることが記載されている。特許文献3には、β−ラクトース含量の高い乳糖に糖アルコールを添加して、この水溶液をローラードライング法により乾燥させることにより乳糖の成形性を改善している。
また、特許文献4には汎用型の口腔内溶解型圧縮成型物が開示され、それによれば、乳糖又はマンニトール等の成形性の低い糖類に、マルトース等の成形性の高い糖類を結合剤として噴霧して被覆および/または造粒して得られた造粒物を、賦形剤として錠剤などの圧縮製剤に配合することにより口腔内速崩壊性の製剤が得られる旨開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−209336号公報
【特許文献2】特開平5−310558号公報
【特許文献3】特開平5−170669公報
【特許文献4】特許第3122141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医薬用担体として多用されている水溶性糖類の中で、乳糖又はマンニトール等の糖類は成形性が悪いことが知られている。そのため、最近増加している口腔内速崩壊錠への使用には種々の工夫が必要とされている。本発明は医薬用担体として多用されている成形性の悪い糖類の流動性及び圧縮成形性を改善し、圧縮整形製剤、特に口腔内速崩壊錠等の賦形剤として適するようにすると共に、適度な硬度と速崩壊性を有し、服用もし易い口腔内速崩壊性圧縮成形製剤の開発を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討をした結果、少量のキサンタンガムで被覆した水溶性糖類は成形性が改善され、目的とする口腔内速崩壊性圧縮成形製剤を容易に製造し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は
1.キサンタンガムで被覆された水溶性糖類、
2.水溶性糖類100質量部に対して、キサンタンガムの量が0.05〜0.001質量部の割合である請求項1に記載の水溶性糖類、
3.水溶性糖類を撹拌しながらキサンタンガム水溶液を噴霧して得られた請求項1又は2に記載の水溶性糖類、
4.粒子径が30〜200μmである請求項1〜3の何れか1項に記載の水溶性糖類、
5.水溶性糖類が乳糖又はマンニトールである請求項1に記載の水溶性糖類、
6.請求項1〜5の何れか1項に記載の水溶性糖類を製剤全量に対して、30〜99.8質量%含有する圧縮成形製剤、
7.口腔内速崩壊性圧縮成形製剤である請求項6に記載の圧縮成形製剤、
8.口腔内速崩壊性圧縮成形製剤の引張強度が1MPa以上で、口腔内崩壊時間が60秒以内である請求項7に記載の圧縮成形製剤、
9.医薬成分を製剤全量に対して、0.2〜5質量%含有する請求項6〜8の何れか一項に記載の圧縮成形製剤、
10.製剤中に、キサンタンガムで被覆された水溶性糖類以外の他の賦形剤を含む請求項6〜9の何れか一項に記載の圧縮成形製剤、
11.製剤中に崩壊剤を含む請求項6〜10の何れか一項に記載の圧縮成形製剤、
に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のキサンタンガム被覆水溶性糖類は、被覆前の水溶性糖類に比して、流動性及び成形圧縮性が格段に良くなり、打錠機の臼に一定量の粉末を連続的に充填することが可能であり、更に打錠時における不具合の発生を抑制し、均一な金型充てんが可能であり、それにより質量の均一な製剤を得ることができる。また、該被覆水溶性糖類を圧縮製剤の賦形剤としたとき、該製剤は適当な硬度を有し、優れた口腔内速崩壊性圧縮製剤とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で使用される水溶性糖類は、医薬品使用される水溶性糖類であれば特に限定されないが、一般的に成形性が悪いことが知られている水溶性糖類が好ましい。また、本発明において、特に断らない限り「糖類」は糖アルコールも含む意味で使用する。また、水溶性とは、常温(25℃)で、少なくとも5質量%以上の溶解度を示すものであれば支障は無い。主として単糖類又は二糖類が挙げられ、乳糖又はD−マンニトールが好ましい。これらの糖類の粒度は特に限定されないが、錠剤などの圧縮製剤に使用することを考慮すると、平均粒子径が30μm以上が好ましく、200μm以下が好ましい。より好ましくはこれらの糖類の平均粒子径は30〜100μm程度である。乳糖の場合、更に好ましくは50〜100μm程度である。
上記の好ましい糖類の乳糖及びD−マンニトールには、複数の結晶形のものが存在するが、何れも使用可能である。例えば乳糖ではα−含水乳糖、α−無水乳糖及びβ−無水乳糖等の結晶形の異なるものがあるが、いずれでも使用可能であり、またこれらの混合物でも差し支えない。本発明においては乳糖としては通常乳糖水和物が使用される。また、D−マンニトールではα−及びβ−結晶、及びアモルファスが存在するがいずれでも使用可能であり、またこれらの混合物でも差し支えない。これらの乳糖は何れも市販の医薬品用グレードのものであればいずれも使用可能であり、例えば、グラニュラック(GranuLac)100(メグレジャパン株式会社)又はファルマトーゼ(Pharmatose)200M(DMV ジャパン株式会社)等が挙げられる。
本発明で使用されるキサンタンガムは医薬品用のグレードとして、市場で一般的に入手できるものであれば特に支障はない。例えばケルトロールRTMCG(三晶株式会社製)等を挙げることができる。
なお、本発明における圧縮成形製剤は錠剤などの圧縮成形した製剤を意味する。また、以下の説明において、部又は%は特に断りの無い限り、質量部又は質量%を表す。また、上付のRTMは登録商標を示す。
【0010】
本発明におけるキサンタンガムで被覆された水溶性糖類(以下キサンタンガム被覆糖類或いは被覆糖類ともいう)はたとえば、キサンタンガムを、水、アルコール(エチルアルコール)または水・アルコ−ル(エチルアルコール)の混合液、好ましくは水、又は、水とエチルアルコールの混合液、最も好ましくは水などの溶媒に溶解して、噴霧用溶液とし、湿式造粒機などを用いて、糖類粉末を撹拌しながら、この溶液を噴霧して、糖類粉末を被覆することにより得ることができる。
噴霧用溶液におけるキサンタンガムの濃度は、噴霧に支障の無い濃度であればよく、通常0.004〜0.04%程度であり、好ましくは0.008〜0.03%であり、より好ましくは0.01〜0.03%である。
噴霧条件は特に限定されないが、通常排気温度を30℃以上に維持することが好ましく、乾燥空気を、温度35〜80℃で、給気しながら、上記噴霧用溶液を、被覆量が目的量となるように噴霧すればよい。
糖類へのキサンタンガムの被覆量は糖類に対して、0.1%未満でよく、下限は0.001%以上、好ましくは0.002%以上であればよい。通常糖類に対して、0.002%〜0.05%程度であり、好ましくは0.002〜0.03%程度、より好ましくは0.004〜0.02%、更に好ましくは0.004〜0.015%程度である。このような微量で、糖類の流動性及び圧縮成形性が顕著に改善されることは全く驚くべきことであった。
該被覆後の糖類の大きさは、原料に使用した糖類の大きさとほとんど変わらない。従って、その好ましい平均粒子径は30μm以上、200μm以下であり、より好ましくは30〜100μm程度である。乳糖の場合、更に好ましくは50〜100μm程度である。
なお、本発明においては便宜的に、糖類がキサンタンガムで「被覆された」又は「キサンタンガム被覆糖類」等と「被覆」と表現するが、実際に上記のような糖類の微粒子が、錠剤をコーティング剤でコーティングするときのように、完全にキサンタンガムで被覆されているか否かは明確では無く、粒子の一部に付着している場合もあり得るが、本発明においてはそれらの場合も含めて、便宜的に「被覆」と記載する。
【0011】
上記のようにして得られたキサンタンガム被覆糖類は、その流動性及び圧縮成形性が改善されているので、医薬用の賦形剤、特に錠剤などの圧縮成形製剤用の賦形剤として好適に使用すること出来る。特に、口腔内速崩壊性錠剤などの口腔内速崩壊性圧縮成形製剤用の賦形剤として、最適である。
キサンタンガム被覆糖類を賦形剤として、圧縮成形製剤を製造するには、通常の圧縮成形製剤を製造する場合と同様に、キサンタンガム被覆糖類、必要に応じて添加するその他の添加剤、及び医薬成分を、混合若しくは必要に応じて造粒して、圧縮成形用混合物とした後、常法により、錠剤等に圧縮成形すればよい。
【0012】
本発明の圧縮成形製剤は、キサンタンガム被覆糖類を、製剤全量に対して、通常30〜99.8質量%、好ましくは30〜80%含有する。
該圧縮成形製剤としては錠剤、丸剤等の圧縮成形製剤であれば何れも使用出来るが、口腔内速崩壊錠などの口腔内速崩壊性圧縮成形製剤が好ましい。
本発明の該圧縮成形製剤は賦形剤として、上記キサンタンガム被覆糖類以外の他の賦形剤を含んでもよく、通常他の賦形剤と併用される。他の賦形剤の含量は、本発明の効果が達成させる限り、限定はないが、賦形剤全量に対して、0〜50%程度であり、好ましくは、10〜40%程度である。
【0013】
他の賦形剤としては、圧縮成形製剤に使用されるものは何れも使用することが出来る。例えば、乳糖、白糖、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウム、結晶セルロース又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどを使用することができる。これらは一種であっても、二種以上であってもよい。本発明のキサンタンガム被覆糖類と併用する賦形剤としては、乳糖がより好ましい。
【0014】
本発明の圧縮成形製剤が口腔内速崩壊錠などの口腔内速崩壊性圧縮成形製剤の場合、必ずしも崩壊剤を必要としないが、崩壊性を早める時には、崩壊剤を含む方が好ましい。崩壊剤の製剤全体に対する含量は、希望する崩壊性にもよるので一概にはいえないが、通常0〜5%程度で充分であり、0.5〜4%程度がより好ましく、0.5〜3%程度が更に好ましい。
通常口腔内速崩壊性圧縮成形製剤の場合、口腔内の唾液のみで90秒以内、好ましくは60秒以内に崩壊するものを言うが、本発明においては、60秒以内、好ましくは30秒以内で口腔内で崩壊する口腔内速崩壊性圧縮成形製剤とすることができる。
崩壊剤としては、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファ化デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンなどを使用することができる。
【0015】
本発明の圧縮成形製剤に使用される医薬成分は経口投与可能な薬物であれば任意の薬物を含有させることができ、その種類は特に限定されない。
以下に含有可能な薬物の例を挙げる。
解熱鎮痛消炎剤:例えば、インドメタシン、アセチルサリチル酸、ジクロフェナックナトリウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、メフェナム酸、アズレン、フェナセチン、イソプロピルアンチピリン、アセトアミノフェノン、ベンザダック、フェニルブタゾン、フルフェナム酸、サリチル酸ナトリウム、サリチルアミド、サザピリン、エトドラクなど、
ステロイド系抗炎症剤:例えば、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロンなど、
抗潰瘍剤:例えば、エカベトナトリウム、エンプロスチル、スルピリド、塩酸セトラキサート、ゲファルナート、マレイン酸イルソグラジン、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、塩酸ロキサチジンアセテート、オメプラゾール、ランソプラゾールなど、
冠血管拡張剤:例えば、リスペリドン、硝酸イソソルビド、塩酸ジルチアゼム、トラピジル、ジピリダモール、塩酸ジラゼプ、ベラパミル、ニカルジピン、塩酸ニカルジピン、塩酸ベラパミルなど、
【0016】
末梢血管拡張剤:例えば、酒石酸イフェンプロジル、マレイン酸シネパジド、シクランデレート、シンナリジン、ペントキシフィリンなど、
抗生物質:例えば、アンピシリン、アモキシリン、セファレキシン、エチルコハク酸エリスロマイシン、塩酸バカンピシリン、塩酸ミノサイクリン、クロラルフェニコール、テトラサイクリン、エリスロマイシン、セフタジジム、セフロキシムナトリウム、アスポキシシリン、リチペネムアコキシル水和物など、
合成抗菌剤:例えば、ナリジクス酸、ピロミド酸、ピペミド酸三水和物、エノキサシン、シノキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、塩酸シプロフロキサシン、スルファメトキサゾール・トリメトプリムなど、
抗ウイルス剤:例えば、アシクロビル、ガンシクロビルなど、
鎮けい剤:例えば、臭化プロパンテリン、硫酸アトロピン、臭化オキサピウム、臭化チメピジウム、臭化ブチルスコポラミン、塩化トロスピウム、臭化ブトロピウム、N−メチルスコポラミンメチル硫酸、臭化メチルオクタトロピンなど、
鎮咳剤:例えば、ヒベンズ酸チペピジン、塩酸メチルエフェドリン、リン酸コデイン、トラニラスト、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸ジメモルファン、塩酸クロブチノール、塩酸ホミノベン、リン酸ベンプロペリン、塩酸エプラジノン、塩酸クロフェダノール、塩酸エフェドリン、ノスカピン、クエン酸ペントキシベリン、クエン酸オキセラジン、クエン酸イソアミニルなど、
去たん剤:例えば、塩酸ブロムヘキシン、カルボシステイン、塩酸エチルシステイン、塩酸メチルシステインなど、
【0017】
気管支拡張剤:例えば、テオフィリン、アミノフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、塩酸プロカテロール、塩酸トリメトキノール、ジプロフィリン、硫酸サルブタモール、塩酸クロルプレナリン、フマル酸ホルモテロール、硫酸オルシプレナリン、塩酸ピルブテロール、硫酸ヘキソプレナリン、メシル酸ビトルテロール、塩酸クレンブテロール、硫酸テルブタリン、塩酸マブテロール、臭化水素酸フェノテロール、塩酸メトキシフェナミンなど、
強心剤:例えば、塩酸ドパミン、塩酸ドブタミン、ドカルパミン、デノパミン、カフェイン、ジゴキシン、ジギトキシン、ユビデカレノンなど;
利尿剤:例えば、フロセミド、アセタゾラミド、トリクロルメチアジド、メチクロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、エチアジド、シクロペンチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、フロロチアジド、ピレタニド、メフルシド、エタクリン酸、アゾセミド、クロフェナミドなど、
筋弛緩剤:例えば、カルバミン酸クロルフェネシン、塩酸トルペリゾン、塩酸エペリゾン、塩酸チザニジン、メフェネシン、クロルゾキサゾン、フェンプロバメート、メトカルバモール、クロルメザノン、メシル酸プリジノール、アフロクアロン、バクロフェン、ダントロレンナトリウムなど、
脳代謝改善剤:例えば、ニセルゴリン、塩酸メクロフェノキセート、タルチレリンなど、
マイナートランキライザー:例えば、オキサゾラム、ジアゼパム、クロチアゼパム、メダゼパム、テマゼパム、フルジアゼパム、メプロバメート、ニトラゼパム、クロルジアゼポキシドなど、
【0018】
メジャートランキライザー:例えば、スルピリド、塩酸クロカプラミン、ゾテピン、クロルプロマジン、ハロペリドールなど、
β−ブロッカー:例えば、フマル酸ビソプロロール、ピンドロール、塩酸プロブラノロール、塩酸カルテオロール、酒石酸メトプロロール、塩酸ラベタノール、塩酸アセブトロール、塩酸ブフェトロール、塩酸アルプレノロール、塩酸アロチノロール、塩酸オクスプレノロール、ナドロール、塩酸ブクモロール、塩酸インデノロール、マレイン酸チモロール、塩酸ベフノロール、塩酸ブプラノロールなど、
抗不整脈剤:例えば、塩酸プロカインアミド、ジソピラミド、アジマリン、硫酸キニジン、塩酸アプリンジン、塩酸プロパフェノン、塩酸メキシレチン、塩酸アジミライドなど、 痛風治療剤:例えば、アロプリノール、プロベネシド、コルヒチン、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、ブコロームなど、
【0019】
血液凝固阻止剤:例えば、塩酸チクロピジン、ジクマロール、ワルファリンカリウム、(2R、3R)−3−アセトキシ−5−〔2−(ジメチルアミノ)エチル〕−2、3−ジヒドロ−8−メチル−2−(4−メチルフェニル)−1、5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン・マレイン酸塩など、
血栓溶解剤:例えば、メチル(2E、3Z)−3−ベンジリデン−4−(3、5−ジメトキシ−α−メチルベンジリデン)−N−(4−メチルピペラジン−1−イル)スクシナメート・塩酸塩など、
肝臓疾患用剤:例えば、(±)r−5−ヒドロキシメチル−t−7−(3、4−ジメトキシフェニル)−4−オキソ−4、5、6、7−テトラヒドロベンゾ〔b〕フラン−c−6−カルボン酸ラクトンなど、
抗てんかん剤:例えば、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、メタルピタール、カルバマゼピンなど、
【0020】
抗ヒスタミン剤:例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸クレマスチン、メキタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸サイクロヘブタジン、ベシル酸ベポタスチンなど、
鎮吐剤:例えば、塩酸ジフェニドール、メトクロプラミド、ドンペリドン、メシル酸ベタヒスチン、マレイン酸トリメブチンなど、
降圧剤:例えば、塩酸レセルピン酸ジメチルアミノエチル、レシナミン、メチルドパ、塩酸プラロゾシン、塩酸ブナゾシン、塩酸クロニジン、ブドララジン、ウラピジル、N−〔6−〔2−〔(5−ブロモ−2−ピリミジニル)オキシ〕エトキシ〕−5−(4−メチルフェニル)−4−ピリミジニル〕−4−(2−ヒドロキシ−1、1−ジメチルエチル)ベンゼンスルホンアミド・ナトリウム塩など、
高脂血症用剤:例えば、プラバスタチンナトリウム、フルバスタチンナトリウムなど、
交感神経興奮剤:例えば、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、塩酸イソプロテレノール、塩酸エチレフリンなど、
経口糖尿病治療剤:例えば、グリベングラミド、トルブタミド、グリミジンナトリウムなど、
経口抗癌剤:例えば、マリマスタットなど、
アルカロイド系麻薬:例えば、モルヒネ、コデイン、コカインなど);
ビタミン剤:例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、葉酸など、
頻尿治療剤:例えば、塩酸フラボキサート、塩酸オキシブチニン、塩酸テロリジンなど、
アンジオテンシン変換酵素阻害剤:例えば、塩酸イミダプリル、マレイン酸エナラプリル、アラセプリル、塩酸デラプリルなど、
抗精神薬:例えば、アリピプラゾール、塩酸クロルプロマジン、塩酸アミトリプチリン、ネモナプリド、ハロペリドール、塩酸モペロン、ペルフェナジン、ジアゼパム、ロラゼパム、クロルジアゼポキシド、メチルフェニデート、ミルナシプラン、リスペリドン、バルプロ酸ナトリウムなどを挙げることができる。
【0021】
上記の医薬成分は、圧縮成形用の混合物を得るまでの製造段階の何れの段階で添加してもよい。通常は、圧縮成形用の混合物を得る段階で、該医薬成分を添加して、本発明のキサンタンガム被覆糖類などと共に均一に混合するのが好ましい。また、該医薬成分は、上記の混合前の段階で、必要に応じて、予め、賦形剤等と造粒したもの(混合用造粒物)であっても、また、医薬成分の放出の制御、味のマスキング、遮光、プロテクト(他の賦形剤との接触防止)、防湿などの目的のために、医薬成分自体若しくは上記の混合用造粒物をコーティングしたものであってもよい。
本発明の圧縮成形製剤における医薬成分の含量は、医薬成分により異なるので、一概にはいえないが、製剤全量に対して、0.01〜10%程度であり、好ましくは、0.2〜5%程度である。
上記医薬成分は通常ある程度細かい方がよく、平均粒子径1μm〜200μm程度が好ましく、1〜100μm程度がより好ましい。
【0022】
上記のコーティングに用いるコーティング剤は、任意のものを使用することができる。具体的には、必要に応じて、水溶性高分子、水不溶性高分子、腸溶性高分子、胃溶性高分子、疎水性有機化合物などのコーティング剤を適宜選択して使用することができる。また上記のコーティング層は、1層のみならず、2層以上から構成されていてもよい。
水溶性高分子の例としては、(1)メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性セルロースエーテル;(2)ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリビニル誘導体;及び(3)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルキレンオキシド重合体を挙げることができる。
【0023】
水不溶性高分子の例としては、(1)エチルセルロースなどの水不溶性セルロースエーテル;及び(2)アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットRS、レーム・ファーマ製)、メタクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットNE30D、レーム・ファーマ製)などの水不溶性アクリル酸系共重合体を挙げることができる。
腸溶性高分子の例としては、(1)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルエチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートマレエート、セルロースベンゾェートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、メチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースフタレートなど)などの腸溶性セルロース誘導体;(2)スチレン・アクリル酸共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸共重合体、アクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル・スチレン・アクリル酸共重合体、メタクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットL100、オイドラギットS、いずれもレーム・ファーマ社製)、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットL100−55、レーム・ファーマ社製)、アクリル酸メチル・メタクリル酸・アクリル酸オクチル共重合体などの腸溶性アクリル酸系共重合体;(3)酢酸ビニル・マレイン酸無水物共重合体、スチレン・マレイン酸無水物共重合体、スチレン・マレイン酸モノエステル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸無水物共重合体、エチレン・マレイン酸無水物共重合体、ビニルブチルエーテル・マレイン酸無水物共重合体、アクリロニトリル・アクリル酸メチル・マレイン酸無水物共重合体、アクリル酸ブチル・スチレン・マレイン酸無水物共重合体などの腸溶性マレイン酸系共重合体;(4)ポリビニルアルコールフタレート、ポリビニルアセタールフタレート、ポリビニルブチレートフタレート、ポリビニルアセトアセタールフタレートなどの腸溶性ポリビニル誘導体を挙げることができる。
【0024】
胃溶性高分子の例としては、(1)ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートなどの胃溶性ポリビニル誘導体;及び(2)メタアクリル酸メチル・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットE、レーム・ファーマ製)などの胃溶性アクリル酸系共重合体を挙げることができる。
疎水性有機化合物の例としては、(1)ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸などの高級脂肪酸;(2)ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール;(3)ステアリン酸トリグリセリド、ミリスチン酸トリグリセリド、パルミチン酸トリグリセリド、ラウリン酸トリグリセリドなどの高級脂肪酸のトリグリセリド;及び(4)硬化ひまし油、硬化ヤシ油、牛脂などの水素添加されていてもよい天然油脂を挙げることができる。
【0025】
上記の医薬成分のコーティング層には、上記のようなコーティング剤成分のほか、必要に応じて着色剤、隠蔽剤、可塑剤、滑沢剤などの種々の添加剤を更に含有させることができる。このような着色剤としては、食用色素、レーキ色素、カラメル、カロチン、アナット、コチニール、三二酸化鉄などに加えて、レーキ色素とシロップを主体とした不透明着色剤オパラックス(OPALUX)などを挙げることができる。具体的には食用赤色2号、3号、黄色4号、5号、緑色3号、青色1号、2号、紫1号などの食用アルミニウムレーキ、アナット(ベニノキ由来の天然色素)、カルミン(カルミン酸アルミニウム塩)、パールエッセンス(グアニンを主成分とする)などを使用することができる。隠蔽剤としては、二酸化チタン、沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウムなどを使用することができる。可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどのフタル酸誘導体のほか、シリコン油、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、トリアセチン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、セタノール、モノステアリン酸グリセリンなどを使用することができる。また滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、合成ケイ酸マグネシウム、微粒子性酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステルなどを使用することができる。
【0026】
本発明の圧縮成形製剤には、上記賦形剤、崩壊剤及び医薬成分以外の添加剤として、必要に応じて、結合剤、滑沢剤又は流動化剤、界面活性剤、香料、着色剤、甘味剤、溶解補助剤などを含有させることができる。このような添加剤としては、製造される製剤の服用性、硬度、崩壊時間に悪影響を及ぼさない範囲で任意のものを使用することができる。
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、デキストリン、アルファー化デンプンなどを使用することができる。
滑沢剤又は流動化剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などを使用することができる。
界面活性剤としては、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、庶糖脂肪酸エステルなどを使用することができる。
香料としては、マスカット、オレンジ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、チョウジ油、テレピン油、ハッカ油、ユーカリ油、メントールを使用することができる。
着色剤としては、食用赤色2号、3号、食用黄色4号、5号、食用緑色3号、食用青色1号、2号、これらのアルミニウムレーキ、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などを使用することができる。
甘味剤としては、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、グリチルリチン酸モノアンモニウム、ソーマチン、などを使用することができる。
溶解補助剤としては、シクロデキストリン、アルギニン、リジン、トリスアミノメタンなどを使用することができる。
【0027】
本発明の圧縮成形製剤の製造において、キサンタンガム被覆糖類、必要に応じて添加するその他の添加剤、及び医薬成分を含む圧縮成形用混合物を得る際の混合は、一般に用いられる混合方法をそのまま使用することが出来る。
例えば、拡散式混合機(W型混合機、V型混合機など)を用いて、均一に混合すればよい。また、必要に応じてそれらの混合前に倍散混合、篩過倍散混合などの前処理をしても良い。他には、バーチカルグラニュレーターGV10(パウレック社製)、万能練合機(畑鉄工所製)、流動層造粒機FD−5S(パウレック社製)、ジヤイロシフター(徳寿製作所製)などを用いて混合することもできる。
【0028】
上記のようにして得られた圧縮成形用混合物は、常法によって圧縮成形することにより、本発明の圧縮成形製剤とすることができる。
例えば錠剤を得る場合、一般に錠剤の成型または造粒に用いられる装置が用いられる。例えば、単発錠剤機(菊水製作所製)、ロータリー式錠剤機(菊水製作所製)などが用いられる。打錠の際の成型圧力は、通常3〜160Kg/cm(2.94×105〜1.57×107Pa)、好ましくは5〜130Kg/cm(4.90×105〜1.27×107Pa)、より好ましくは8〜50Kg/cm(7.84×105〜4.90×106Pa)程度である。
打錠時の温度は、糖類粒子が溶解又は溶融しない程度であり、通常室温(例えば20〜30℃程度)、好ましくは約25℃である。
【0029】
本発明の圧縮成形製剤の引張強度は、0.5MPa以上、好ましくは約0.8MPa以上、より好ましくは約1MPa以上である。また本製剤の第十五改正日本薬局方崩壊試験(試験液:水)による崩壊時間は、好ましくは5分以下、より好ましくは2分以下であり、口腔内速崩壊錠等における好ましい口腔内崩壊時間は約60秒以下、より好ましくは約30秒以下、最も好ましくは約20秒以下である。
【0030】
本発明の好ましい口腔内速崩壊錠の組成(製剤の総量に対する割合)の例を示すと下記の通りでる。

医薬成分 0.2〜5%
キサンタンガム被覆糖類 30〜80%
キサンタンガム被覆糖類以外の賦形剤 5〜50%
崩壊剤 0.5〜5%
その他の医薬添加剤 0.1〜10%
【0031】
上記において、キサンタンガム被覆糖類がキサンタンガムで被覆された乳糖又はマンニトールであるものが好ましく、キサンタンガム被覆乳糖が最も好ましい。キサンタンガム被覆糖類以外の賦形剤としては、乳糖又はマンニトールが好ましく、キサンタンガム被覆糖類と同じ糖類がより好ましい。また、結晶セルロースも賦形剤として好ましく、上記糖類と結晶セルロースの併用は好ましい態様の1つである。結晶セルロースを併用する場合、その含量は2〜30%程度である。崩壊剤は前記したものが何れも使用出来るが、トウモロコシデンプンは好ましいものの一つである。また、医薬成分としてリスペリドンなどが好ましい。
【0032】
本発明の圧縮成形製剤は、どの様な形状も採用することができ、例えば丸形、楕円形、球形、円柱状、棒状型、ドーナツ型の形状及び積層錠、有核錠等であってもよく、更にはコーティングによって被膜することもできる。また、識別性向上のためのマーク、文字などの刻印更には分割用の割線を付けても良い。通常は円柱状の錠剤が使用される。また、通常は錠剤のコーティングは不要である。
本発明の口腔内速崩壊性圧縮成形製剤は、唾液により、口腔内で速やかに崩壊し、ざらつきを残さずに滑らかに服用可能である。
なおこの製剤は、口腔内で崩壊させることなく服用することや、水と一緒に服用することもできる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例及び試験例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1
(1)キサンタンガム0.024gを精製水(200ml)で攪拌溶解してコーティング用水溶液を得る。
(2)乳糖水和物(平均粒子径約98μm)600gを流動層造粒機に入れ、上記コーティング用水溶液を噴霧コーティングする。コーティング終了後そのまま流動層造粒機で乾燥し、キサンタンガム被覆乳糖(平均粒子径約102μm)を得た。
(3)上記キサンタンガム被覆乳糖99.8質量部に、ステアリン酸マグネシウム0.2質量部を混合して、打錠用末を得た。
(4)打錠用末をロータリー打錠機によって打錠圧約9KN(900Kg/cm)で打錠し、錠剤径8mm、1錠の平均質量180mgの口腔内速崩壊錠を得た。
【0035】
比較例1
上記実施例1において、キサンタンガム被覆乳糖を、被覆前の乳糖水和物に変える以外は実施例1と同様にして、比較用の口腔内速崩壊錠を得た。
【0036】
試験例1
実施例1及び比較例1の錠剤硬度を錠剤硬度計PC−30(岡田精工社製)を用いて測定し、下記式(1)により引張強度(MPa)を算出し、その比較を行った。
また、口腔内崩壊測定器(富山化学産社製)を用いて口腔内崩壊時間の確認を行った。
その結果を表1に示す。
【0037】
式(1) 引張強度(MPa)=2F/(πdh)÷9.8
F:錠剤硬度(kgf)
d:錠剤径(cm)
h:錠剤厚(cm)
【0038】
【表1】

【0039】
上表1から明らかなように通常の乳糖水和物を用いた比較例1は引張強度が0.62MPaにすぎないがキサンタンガム被覆乳糖を使用した実施例1は1.2Ma以上を示し、該被覆乳糖は圧縮成形性がほぼ2倍程度に向上し、且つ口腔内崩壊時間も短縮されていることが判る。
【0040】
実施例2
以下の(1)〜(4)の工程でリスペリドン口腔内速崩壊錠剤を製造した。
(1)キサンタンガム0.024gを精製水(200ml)で攪拌溶解してコーティング用水溶液を得た。
(2)乳糖水和物(平均粒子径約53μm)600gを流動層造粒機に入れ、上記コーティング用水溶液を用いて噴霧コーティングした。コーティング終了後そのまま流動層造粒機で乾燥し、キサンタンガム被覆乳糖(平均粒子径約57μm)を得た。
(3)上記キサンタンガム被覆乳糖60質量部に、リスペリドン1質量部、上記の乳糖水和物(平均粒子径約53μm)を18.5質量部、結晶セルロース(セオラスRTMPH301:旭化成ケミカルズ株式会社製)を14質量部、アスパルテームを3質量部、トウモロコシデンプンを2質量部、ステアリン酸マグネシウムを1.0質量部、軽質無水ケイ酸を0.5質量部及び香料(マスカット)を0.001質量部を混合して、打錠用末を得た。
(4)打錠用末をロータリー打錠機によって、打錠圧約7KNで打錠し、錠剤径6.5mm、1錠の平均質量100mgの口腔内速崩壊錠を得た。 得られた錠剤組成を後記表1に示す。
【0041】
実施例3
実施例2(3)におけるリスペリドン1質量部を1.54質量部に変え、乳糖水和物の添加量を、18.5質量部から17.96質量部に変え、実施例2(4)における錠剤径を6.5mmから7mmに変える以外は、実施例2と同様にして、1錠の平均質量130mgの口腔内速崩壊錠を得た。得られた錠剤組成を後記表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
比較例2
(1)リスペリドン1質量部、乳糖水和物(平均粒子径約53μm)を78.5質量部、結晶セルロース(セオラスRTMPH301:旭化成ケミカルズ株式会社製)を15質量部、アスパルテームを3質量部、トウモロコシデンプンを2質量部、ステアリン酸マグネシウムを1.0質量部、軽質無水ケイ酸を0.5質量部及び香料(マスカット)(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を0.001質量部を混合して、打錠用末を得た。
(2)打錠用末をロータリー打錠機によって、打錠圧約7KNで打錠し、錠剤径6.5mm、1錠の平均質量100mgの口腔内速崩壊錠を得た。 得られた錠剤組成を後記表3に示す。
【0044】
比較例3
比較例2(1)におけるリスペリドン1質量部をリスペリドン1.54質量部へ、また、乳糖水和物(平均粒子径約53μm)の添加量を78.5質量部から、77.96質量部へ変更し、比較例2(1)における錠剤径7mm、1錠の平均質量130mgに変更する以外は比較例2と同様にして、口腔内速崩壊錠を得た。得られた錠剤組成を下記表3に示す。
【0045】
【表3】

【0046】
試験例2
試験例1と同様にして、実施例5、6、比較例2及び3の錠剤硬度を測定し、引張強度(MPa)を算出し、その比較を行った。
また、口腔内崩壊測定器(富山化学産社製)を用いて口腔内崩壊時間の確認を行った。
その結果を表4に示す。
【0047】
【表4】

【0048】
実施例4
(1)キサンタンガム0.06gを精製水(200ml)で攪拌溶解してコーティング用水溶液を得る。
(2)乳糖水和物(平均粒子径約53μm)600gを流動層造粒機に入れ、上記コーティング用水溶液を用いて噴霧コーティングする。コーティング終了後そのまま流動層造粒機で乾燥し、キサンタンガム被覆乳糖(平均粒子径約57μm)を得た。
(3)上記キサンタンガム被覆乳糖99.8質量部に、ステアリン酸マグネシウム0.2質量部を混合して、打錠用末を得た。
(4)打錠用末をロータリー打錠機によって、打錠圧9KNで打錠し、錠剤径8.0mm、錠剤質量180mgの口腔内速崩壊錠を得た。
【0049】
実施例5
実施例4(1)におけるキサンタンガム0.06gを、0.12gに変える以外は、実施例4と同様にして、錠剤径8.0mm、錠剤質量180mgの口腔内速崩壊錠を得た。
試験例1と同様にして、実施例1、4及び5の錠剤硬度を測定し、引張強度(MPa)を算出した。また、口腔内崩壊測定器(富山化学産社製)を用いて口腔内崩壊時間の確認を行った。
その結果を表5に示す。
【0050】
【表5】

【0051】
実施例6
(1)キサンタンガム0.024gを精製水(200ml)で攪拌溶解してコーティング用水溶液を得る。
(2)D-マンニトール(平均粒子径約37μm)600gを流動層造粒機に入れ、上記コーティング用水溶液を噴霧コーティングする。コーティング終了後そのまま流動層造粒機で乾燥し、キサンタンガム被覆マンニトール(平均粒子径約40μm)を得た。
(3)上記キサンタンガム被覆マンニトール99.8質量部に、ステアリン酸マグネシウム0.2質量部を混合して、打錠用末を得た。
(4)打錠用末をロータリー打錠機によって打錠圧約9KNで打錠し、錠剤径8mm、1錠の平均質量180mgの口腔内速崩壊錠を得た。
この口腔内速崩壊錠の引張強度(MPa)は1.2MPa以上であり、口腔内崩壊時間30秒以内であった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のキサンタンガムで被覆された水溶性糖類は、流動性及び圧縮成形性が改善され、口腔内速崩壊性圧縮成形製剤に適する賦形剤として使用することが出来る。また、該被覆糖類を用いた錠剤末は錠剤などへの成形性がよく、流動性も向上していることから製造も容易であり、得られた口腔内速崩壊性圧縮成形製剤は硬度も高く、且つ口腔内での崩壊性が良く、口腔内で60秒以内、より好ましくは30秒以内での崩壊が可能である。従って本発明の口腔内速崩壊性圧縮成形製剤は種々の薬剤のための口腔内速崩壊性圧縮成形製剤として利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キサンタンガムで被覆された水溶性糖類。
【請求項2】
水溶性糖類100質量部に対して、キサンタンガムの量が0.05〜0.001質量部の割合である請求項1に記載の水溶性糖類。
【請求項3】
水溶性糖類を撹拌しながらキサンタンガム水溶液を噴霧して得られた請求項1又は2に記載の水溶性糖類。
【請求項4】
粒子径が30〜200μmである請求項1〜3の何れか1項に記載の水溶性糖類。
【請求項5】
水溶性糖類が乳糖又はマンニトールである請求項1に記載の水溶性糖類。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の水溶性糖類を製剤全量に対して、30〜99.8質量%含有する圧縮成形製剤。
【請求項7】
口腔内速崩壊性圧縮成形製剤である請求項6に記載の圧縮成形製剤。
【請求項8】
口腔内速崩壊性圧縮成形製剤の引張強度が1MPa以上で、口腔内崩壊時間が60秒以内である請求項7に記載の圧縮成形製剤。
【請求項9】
医薬成分を製剤全量に対して、0.2〜5質量%含有する請求項6〜8の何れか一項に記載の圧縮成形製剤。
【請求項10】
製剤中に、キサンタンガムで被覆された水溶性糖類以外の他の賦形剤を含む請求項6〜9の何れか一項に記載の圧縮成形製剤。
【請求項11】
製剤中に崩壊剤を含む請求項6〜10の何れか一項に記載の圧縮成形製剤。

【公開番号】特開2010−260803(P2010−260803A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111749(P2009−111749)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000169880)高田製薬株式会社 (33)
【Fターム(参考)】