説明

キサントセラスソルビフォリア抽出物を含む組成物、該抽出物から単離された化合物、それを調製する方法、およびその使用方法

【課題】 本発明はキサントセラス ソルビフォリア由来の純粋で、生物学的に活性な化合物を同定および生成する方法並びに行程を提供する。本発明はまた、キサントセラス ソルビフォリア由来の純粋な化合物、さらにサポニンを含む組成物も提供する。
【解決手段】組成物は、各種疾病を治療するために用いられる。トリテルペン骨格またはサポゲニンを含む化合物を提供し、その化合物においては糖部分がそのトリテルペン骨格の3位の炭素に結合していて、アセチルおよび/または糖部分が21位および22位の炭素に結合していて、そしてアンゲロイル基が糖部分に結合している。これらの官能基は機能的にトリテルペンまたはサポゲニンに機能的に結合することで化合物を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キサントセラス(Xanthoceras Sorbifolia)と言われる植物、即ち市販の中国医薬品では一般的にベングォングォ(Wenguanguo)と呼ばれている植物の抽出物から単離および/または精製される生物作用のある化合物と、それらの利用法および機能と、それらの調整方法に関する。
【0002】
この出願は、2003年12月23日に出願された米国特許出願第60/532,101号の恩恵を主張する2004年10月8日に提出された国際特許出願番号PCT/US04/33359号の優先権を主張し、また2004年10月8日に出願された米国特許出願番号第60/617,379号、2004年9月27日に出願された米国特許出願第60/613,811号、および2004年9月7日に出願された米国特許出願第60/607,858号の優先権を主張する。これらの先行出願の内容は、この出願に参照としてその全体が組み入れられる。
【0003】
この出願を通して種々の刊行物が参照される。これらの刊行物の開示事項は、本出願が関係する技術状況をより完全に説明するためにその全体がこの出願に参照として組み入れられる。
【背景技術】
【0004】
本発明の背景、即ち関連技術のより詳細な記載については、2004年10月8日に出願され、その全体が参照として本明細書に組み入れられるPCT国際出願番号PCT/US04/33359号の第1頁第25-38行目から第13頁に満足できるほど記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のこれら、および他の目的にしたがって本発明の簡単な概要が述べられる。幾分かの簡略化および省略が以下の概要ではなされているかもしれないが、それは本発明のいくらかの観点を強調しかつ導入することに意図があって、その範囲に限定する意図はない。本発明の概念を当業者が形成し、かつ利用できるようにするのに適した好適な例示的な態様の詳細な説明が、以下の段落に続く。
【0006】
本発明はベングォングォの抽出物から精製した化合物を利用することに関する。これらの化合物は夜尿症および頻尿から患者を救い、深い眠りから覚醒する際の膀胱からの信号を伝える中枢神経系の機能を改善するとともに、膀胱がより多くの尿を溜めることができるように膀胱を弛緩させる。
【0007】
ベングォングォから同定されて精製される化合物は、老化、ストレス、神経質、過剰−活動性、不安定性、過−反射、および無抑制性膀胱によって起こる排尿筋の緊張を弛緩させるために用いることができる。別の態様ではベングォングォの抽出物は、アセチルコリン、即ちAchによって誘導された膀胱の収縮をゆるめるために用いられる場合もある。
【0008】
ベングォングォから同定されて精製される化合物は、尿の容量を減少させる抗−炎症剤のような抗利尿ホルモン(ADH)を調節するためのAch阻害剤である、アセチルコリンエステラーゼとして用いることができる。
【0009】
本発明は、ベングォングォの鞘、仁、葉、果柄、枝、茎、根、種子の殻、および樹皮からサポニンを生成する行程、並びにその適用法を提供する。本発明は、ベングォングォの鞘、仁、葉、果柄、枝、茎、根、種子の殻、および樹皮から得られるサポニンを含む組成物を提供する。
【0010】
ベングォングォのサポニンは、膀胱の成長を促進するため、深い睡眠を抑制するため、眠っている患者の覚醒を促すため、抗利尿ホルモン(ADH)とその受容体の遊離、分解および取り込みを調節するため、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)とその受容体の分泌、分解および取り込みを調節するため、5-ヒドロキシトリプタミンとその受容体の遊離、分解および取り込みを調節するため、アセチルコリン(Ach)とその受容体の遊離、分解および取り込みを調節するため、アドレナリン(AD)とその受容体の遊離、分解および取り込みを調節するため、ドーパミン(DA)とその受容体の遊離、分解および取り込みを調節するため、ノルエピネフリン(NE)とその受容体の遊離、分解および取り込みを調節するため、睡眠麻痺を抑制するため、神経ペプチドとそれらの受容体の形成、遊離、分解および活性を調節するため、限定するわけではないが、乳癌、白血球の癌、肝臓癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、および脳の癌などの癌を治癒するため、さらに肺および膀胱の機能を改善するために用いることができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はトリテルペン骨格、即ちサポゲニンを含む化合物を提供し、その化合物では糖部分がトリテルペン骨格の3位炭素に結合し、アセチルおよび/または糖部分が21位および22位の炭素に結合し、そしてアンゲロイル基が糖部分に結合している。これらの官能基はトリテルペン即ちサポゲニンに機能的に結合することによってこの化合物を形成している。
【0012】
本発明は以下の構造式からなる化合物を提供する。
【化1】

3-O-[(-D-ガラクトピラノシル(1(2)]-(-L-アラビノフラノシル(1(3)-(-D-グルクロノピラノシル-21-O-(3,4-ジアンゲロイル)-(-L-ラムノフィラノシル-22-O-アセチル-3(, 16(, 21(, 22(, 28-ペンタヒドロキシオレアン-12-エン
【0013】
【化2】

3-O-[アンゲロイル-(1(3)-(-D-グルコピラノシル-(1(6)]-(-D-グルコピラノシル-28-O-[(-L-ラムノピラノシル-(1(2)-(-D-グルコピラノシル-(1(6)-(-D-グルコピラノシル-3(, 21(, 22(, 28-テトラヒドロキシオレアン-12-エン
【0014】
本発明は、上述した化合物の塩を提供する。本発明は上述した化合物および好適な担体を含む組成物を提供する。
【0015】
本発明は、上述した化合物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を提供する。
【0016】
本発明はキサントセラス ソルビフォリア 薬用植物由来の化合物を単離するための方法を提供し、その方法は、適当な量の一種またはそれ以上の有機溶媒を用い、適当な時間キサントセラス ソルビフォリア粉末を抽出することによって有機抽出液を得る行程、その有機抽出液を集める行程、その有機抽出液を還流して二次抽出液を得る行程、その二次抽出液から有機溶媒を除去する行程、その二次抽出物を乾燥し、滅菌することによってキサントセラス ソルビフォリアの抽出物粉末を得る行程、その抽出物粉末を分画することによってその抽出物粉末の一つまたはそれ以上の成分を得る行程、その抽出物粉末の一つまたはそれ以上の生物活性のある成分を同定する行程、その抽出物粉末の一つまたはそれ以上の生物活性のある成分をFPLCを利用して精製することによってその生物活性のある成分の一つまたはそれ以上のフラクションを得る行程、およびプレパラティブHPLCを用いて前記化合物を単離する行程からなる。
【0017】
本発明は、この明細書において以後化合物Y1と命名され、図7、8、9および10に示されているような1D-、2D-NMRスペクトルデータによって証明されている構造式を持つ化合物を提供する。
【0018】
本発明は、この明細書において以後化合物R1と命名され、1D-NMR(-NMR、C13-NMR)、2D-NMR(HMBC、HMQC)、およびMSスペクトル分析によって証明されている構造式を持つ化合物を提供する。この化合物のデータ、即ちプロフィールは図21、22、23、24および25に示されている。
【0019】
本発明は、化学式がC65H100O27であって、化学名が3-O-[β-D-ガラクトピラノシル(1→2)]-α-L-アラビノフラノシル(1→3)-β-D-グルクロノピラノシル-21-O-(3,4-ジアンゲロイル)-α-L-ラムノフィラノシル-22-O-アセチル-3β、16α、21β、22α、28-ペンタヒドロキシオレアン-12-エンである、癌に対して有効な化合物Y1、およびその誘導体の化学的特徴を提供する。
【0020】
本発明の化合物または組成物は、G-プロテイン受容体、Fasプロテイン、受容体チロシンキナーゼ、マイトジェン、マイトジェン受容体のような受容体または要素を調節する。この化合物はいわゆるキサントセラス ソルビフォリアから単離してもよいし、化学的に合成してもよく、あるいは他の生物起源から抽出することも可能である。
【0021】
本発明は、キサントセラス ソルビフォリアから同定されて精製され、癌の増殖を抑える化合物Y1を提供する。癌には限定するわけではないが、膀胱癌、子宮頸癌、前立腺癌、肺癌、乳癌、白血球の癌、大腸癌、肝臓癌、骨癌、脳癌、および卵巣癌が含まれる。
【0022】
本発明のこれらの目的および他の目的にしたがって本発明の簡単な概要が述べられる。幾分かの簡略化および省略が以下の概要ではなされているかもしれないが、それは本発明のいくらかの観点を強調しかつ導入することに意図があって、その範囲に限定する意図はない。本発明の概念を当業者が形成し、かつ利用できるようにするのに適した好適な例示的な態様の詳細な説明が、以下の段落に続く。
【0023】
本発明は、ベングォングォの粉末形状になっているベングォングォの鞘、果柄または種子の殻、葉、枝および茎、仁および根から粗のサポニンを提供する。ベングォングォから粗のサポニンを調製するための方法は以下の行程、即ちベングォングォの粉末を、例えばエタノール、メタノールなどの有機溶媒を1:2の比で用いて4-5回、各回20-35時間抽出することによって有機抽出液を作成する行程、その有機抽出液を集めて2-3回、80℃で還流することによって二次抽出液を作成する行程、その二次抽出液を水に溶解してn-ブタノールによって抽出することによってn-ブタノール抽出液を作成する行程、そのn-ブタノール抽出液をクロマトグラフィーにかけることによって粗のサポニンを得る行程からなる。この粗抽出物、即ちベングォングォ抽出物はサポニンを含む。
【0024】
伝統的な中国医薬品の理論から言うと、夜尿症、頻尿および尿失禁は腎臓「シェン(shen)」の不完全によって起こる。従ってそれらは、ヤクヨウニンジン(Ginseng)、バジチアン(Bajitian)、ロウコングロング(Roucongrong)、ドゥゾング(Duzhong)または冬虫夏草(Cordyceps)のような腎臓を整えることのできる中国の薬用植物を用いて治療される。これらの強壮薬用植物は腎臓の機能を強くできるとともに、「腎臓経路」を介する人体の水分代謝を調節でき、それが夜尿症、頻尿および尿失禁を治す助けとなる。
【0025】
本発明のベングォングォの抽出物はまた、夜尿症、頻尿および尿失禁を治療するために用いることもできる。しかしながらベングォングォの抽出物は、人体の水分代謝と排尿を調節するための「膀胱経路」を介して夜尿症、頻尿および尿失禁を治療する。本発明のベングォングォの抽出物は膀胱の成長を刺激する。図9および図23B参照。本発明のベングォングォの抽出物は膀胱の容量を大きくするとともに、排尿を調節する膀胱の機能を良くする。例えば、国際PCT出願番号PCT/US04/33359における101頁14-29行目から106頁1-21行目に記載された実施例5参照。本発明の別の観点ではベングォングォの抽出物は、夜尿症、頻尿および尿失禁を治療するための「腎臓経路」薬用植物とともに用いた場合、腎臓経路と膀胱経路の両方の経路を強めることができ、より良い治療効果を生じさせるであろう。
【0026】
本発明はさらに、ビタミンB、ビタミンD、ビタミンK、グレープ種子の抽出物および他の抗酸化剤、コルディセプス(Cordyceps)もしくはその抽出物、イチョウもしくはその抽出物、オタネニンジン(Panax ginseng)および西洋ニンジン(P. quinquefolium)もしくはそれらの抽出物、ワンピ(Huanpi)(クラウゼナ ランジューム(Clausena lansium))もしくはその抽出物、エキナセア(Echinacea)もしくはその抽出物、セント ジョーンズ ワート(St John's Wort)(ハイペリカム ペルフォラタム(Hypericum perforatum))もしくはその抽出物、ゲジェン(Gegen)(ペラリア ロバタ(Pueraria lobata))もしくはその抽出物、ティアンマ(Tianma)(ガストロディア エラタ(Gastrodia elata))もしくはその抽出物、アルミラリエラ メレア(Armillariella mellea)もしくはその抽出物、ダンシェン(Danshen)(サルビア ミルチオリザ(Salvia miltiorrhiza))もしくはその抽出物、サンキ(Sanqi)(パナックス ノトジンセン(Panax notoginsen))もしくはその抽出物、モナスカス(Monascus)もしくはホンク(Honqu)(レッド イースト ライス(Red Yeast rice))、フアンキ(Huanqi)(ヘディサルム ポリボトリイズ(Hedysarum polybotrys))もしくはその抽出物、ジフアング(Dihuang)(レーマニア グルチノーサ(Rehmannia glutinosa))もしくはその抽出液、ダングイ(Danggui)(アンジェリカ シネンシス(Angelica sinensis))、ユアンジー(Yuanzhi)(ポリガラ テヌイフォイラ(Polygala tenuifoila))もしくはその抽出物、リンジー(Lingzhi)(ガノデルマ spp.(Ganoderma spp.))もしくはその抽出物、フリング(Fuling)(ポリア ココス(Poria cocos))もしくはその抽出物、エノキタケ(フラムリナ ベルチペス(Flammulina velutipes))もしくはその抽出物、ガン カオ(Gan Cao)(グリシリザ ウラレンシス フィッシュ(Glycyrrhiza uralensis Fisch))もしくはその抽出物、フペルジン A(Huperzine A)、ラシチン(Lacithin)、メトリフォネート(Metrifonate)、ノースタイル(Nocetile)、葉酸、アミノ酸、クレアチン、繊維サプリメント、またはそれらのどれかの組み合わせを含む医薬品または健康食品を提供する。
【0027】
本発明は、患者の5-ヒドロキシトリプタミン(5HT)の取り込みを阻害するためのベングォングォの抽出物を提供する。
【0028】
5−HTは、深い睡眠を維持し、増強する睡眠因子をコントロールし、調整する。5HTの取り込みを阻害すると深い眠りが抑制されるであろう。SWS 3およびSWS 4にあまりにも長い時間入り込む人は、その人の眠りが深すぎるために膀胱がいっぱいになっていても眠りから目覚めることができない。これは、夜尿症がSWS 3およびSWS 4の時によく起こる理由である。国際PCT出願番号第PCT/US04/33359の第38頁第1-35行目参照。
【0029】
本発明は、患者のドーパミンの活性を高め、それによってその患者の中枢神経系を機敏にするためのベングォングォの化合物を提供する。
【0030】
本発明は、尿量が減少している患者の抗利尿ホルモン(ADH)の分泌を高めるためのベングォングォの化合物を提供する。
【0031】
本発明は、患者のアセチルコリン(Ach)とその受容体の放出、分解および取り込みを調節するためのベングォングォの化合物を提供する。本発明の前記抽出物は5HTによって起こった深い眠りを抑制し、REM睡眠を強める。
【0032】
本発明は、患者の睡眠麻痺を抑制するためのベングォングォの化合物を提供する。
【0033】
本発明は、眠っている患者に覚醒を起こさせるためのベングォングォの化合物を提供する。
【0034】
本発明は、膀胱および括約筋の成長をたすけるための化合物を提供する。未成熟な膀胱および括約筋は排尿の行程や行為を調節できない。膀胱および括約筋の成長を促すことによってこの問題は解決し、夜尿症が起こらなくなるであろう。
【0035】
本発明は、癌の増殖に対抗するベングォングォの化合物を提供する。これらの癌には限定するわけではないが、膀胱癌、子宮頸癌、前立腺癌、肺癌、乳癌、白血球の癌、大腸癌、肝臓癌、骨癌、脳癌、および卵巣癌が含まれる。
【0036】
本発明は、トリテルペン骨格またはサポゲニンを含む化合物、即ちそのトリテルペン骨格の3位炭素に糖部分が結合し、21位および22位の炭素にアセチルおよび/または糖部分が結合し、その糖部分にアンゲロイル基が結合している化合物を提供する。これらの官能基はトリテルペンまたはサポゲニンに機能的に結合して化合物を形成している。
【0037】
本発明は以下の構造式からなる化合物を提供する。
【化3】

3-O-[β-D-ガラクトピラノシル(1→2)]-α-L-アラビノフラノシル(1→3)-β-D-グルクロノピラノシル-21-O-(3,4-ジアンゲロイル)-α-L-ラムノフィラノシル-22-O-アセチル-3β、16α、21β、22α、28-ペンタヒドロキシオレアン-12-エン
【0038】
本発明は次の構造式からなる化合物を提供する。
【化4】

3-o-[アンゲロイル-(1→3)-β-D-グルコピラノシル-(1→6)]-(-D-グルコピラノシル-28-O-[(-L-ラムノピラノシル-(1(2)-(-D-グルコピラノシル-(1(6)-(-D-グルコピラノシル-3(, 21(, 22(, 28-テトラヒドロキシオレアン-12-エン
【0039】
別の態様では本発明の化合物は、図15A、図15B、図15C、図15D、図27、図28、図29、図30、図31および図32に示されているような構造式からなる。
【0040】
本発明は上述した化合物の塩を提供する。
本発明は、上述した化合物および好適な担体を含む組成物を提供する。
本発明は、上述した化合物の有効量と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を提供する。
本発明は、上述した組成物を含む抗−卵巣癌剤と組成物を提供する。
【0041】
以下の方法および材料は、この出願明細書に記載された実施例および/または実験で利用された。
【0042】
細胞: ヒト癌細胞系はアメリカン タイプ カルチャー コレクションから入手した。即ち、HTB-9(膀胱)、HeLa-S3(子宮頸部)、DU145(前立腺)、H460(肺)、MCF-7(胸部)、K562(白血球)、HCT116(大腸)、HepG2(肝臓)、U20S(骨)、T98G(脳)、およびOVCAR-3(卵巣)である。細胞は、10%の仔ウシ血清とグルタミンと抗生剤を補充した培養培地(HeLa-S3、DU145、MCF-7、Hep-G2およびT98GはMEM(アールの塩(Earle's salts))中、HTB-9、H460、K562、OVCAR-3はPMI-1640中、HCT-116、U2OSはMcCoy-5A中)において、5% CO2で加湿された37℃のインキュベータ内で増殖させた。
【0043】
MTT分析: MTT分析のための手法は、ほんのわずかな変形加えられたにすぎない(Carmichaelらの1987)に記載された方法に従う。細胞は、薬物−処理を行う24時間前に96−ウェルプレートに10,000個/ウェル(HTB-9、HeLa、H460、HCT116、T98G、OVCAR-3)、15,000個/ウェル(DU145、MCF-7、HepG2、U20S)、または40,000個/ウェル(K562)の濃度で植え付けた。続いて細胞は、48時間(HepG2、U20Sに対しては72時間、またMCF-7に対しては96時間)、薬物に接触させた。薬物−処理を行った後でMTT(0.5mg/ml)を加えて一時間培養した。フォルマザン(生存している細胞によってテトラゾリウムが還元された生成物)の形成物はDMSOで溶解し、490nmでのO.D.をELISA読みとり装置によって測定した。薬物−処理前の細胞のMTTレベルも測定した(T0)。細胞−増殖の%(%G)は、下式で計算される。
【数1】

式中、TCまたはTDはコントロールの細胞または薬物−処理した細胞のO.D.読みとり値を表す。T0>TDの時、細胞毒性(LC)は下式で計算されるコントロールの%として表される。
【数2】

【0044】
本発明は、キサントセラス ソルビフォリアから単離された化合物によって相互作用した細胞性シグナル経路を提供する。
【0045】
別の態様では化合物は化学式がC65H100O27であって、化学名が、
3-O-[β-D-ガラクトピラノシル(1→2)]-α-L-アラビノフラノシル(1→3)-β-D-グルクロノピラノシル-21-O-(3,4-ジアンゲロイル)-α-L-ラムノフィラノシル-22-O-アセチル-3β、16α、21β、22α、28-ペンタヒドロキシオレアン-12-エンであり、この明細書では「構造式Y1」と示されていて、癌に対して有効な誘導性化合物である。更なる態様での本発明の化合物は、「構造式Y」、「構造式R1」、「構造式1から4」、「構造式Y-aからY-c」および「構造式Y1-aからY1-c」、「構造式Y1-3からY1-4」、並びにそれらの誘導体としてこの明細書に示された化学構造式を含む。図15、27−32参照。上述したこれらの成分は細胞の受容体または要素を調節する。これらの化合物はいわゆるキサントセラス ソルビフォリアという植物から単離してもよいし、合成してもよい。
【0046】
細胞の増殖をモニターするには多くの要素や経路がある。キサントセラス ソルビフォリア化合物またはその誘導体は、Wnt(ウィングレス−タイプのMMTV統合部位ファミリーメンバー)シグナル経路で働く。Wntシグナル経路は進化論上保存されており、胚発生期の数々のイベントを調節する。この経路は細胞の形態、増殖、運動性を調節するとともに、細胞のアポトーシスも調節する。それはまた、腫瘍の発生期でも重要な役割を果たしている。Wnt経路はまた、ヒトの数種の異なるタイプの癌で不適当に活性化されている場合が観察されている。
【0047】
細胞核においてWnt信号を送る標的遺伝子は、遺伝子調節性タンパク質の阻害性複合体によって、例えば遺伝子調節性タンパク質であるLEF-I/TCFに結合したグルコ(Groucho)コリプレッサータンパク質によって通常はサイレントが保たれている。Wnt信号がないといくらかのβ-カテニンがカドヘリンタンパク質の細胞質末端に結合し、するとAPC-アキシン-GSK-3βによって結合できるようになった細胞質のβカテニンはプロテアソームにおけるユビキチン化と分解を引き起こすであろう。その結果、β-カテニンの細胞内の含有量が減少する。しかしながらフリズレッド(Frizzled)(7個の貫通受容体)およびLRP(低密度リポタンパク質受容体)に結合しているWntが機構によってディッシェベルド(Dishevelled)(細胞質シグナルタンパク質)を活性化すると、これによってカゼインキナーゼIとともにカゼインキナーゼIIを必要とする機構によって分解性の複合体におけるGSK-β3の不活性化が導かれる。β-カテニン-アキシン-アデノマトス-プロポシス コリ(APC)−グリコーゲン シンターゼ キナーゼ(GSK)-3βのマルチタンパク質複合体の活性は、プロテアソームによって分解する際のリン酸化によりβ−カテニンを標的としており、その時Dsh/Dv1(ディッシュベルド、dsh相同体1)によって阻害される。その際このことは、β-カテニンの開始を阻害しているのであるとともに、β-カテニンのGSK-3βリン酸化を非間接的に阻害している。Wntによって刺激されると、DvlはGSK-3結合性タンパク質であるGBPをβ-カテニン-アキシン-アデノマトス-プロポシス コリ(APC)−グリコーゲン シンターゼ キナーゼ(GSK)-3βのマルチタンパク質複合体に組み入れる。するとGBPはアキシンからGSK-βを滴定し、それによってβ−カテニンのリン酸化が阻害される。その際アキシンは、細胞膜でLRPによって押さえられる。これらの全てにより、結果に細胞質のβ−カテニンが蓄積する。核においてはβ−カテニンはLEF-I/TCFに結合し、グルコ(Groucho)に置き換わってコ−アクチベーターとして作用し、Wnt標的遺伝子の転写を刺激する。
【0048】
キサントセラス ソルビフォリア組成物は、Wnt経路またはその受容体に関連する要素を調節し、それによって癌細胞の増殖を停止させる。
【0049】
この化合物またはその誘導体は、マイトジェン、RasおよびMAP(微小管関連タンパク質)キナーゼ経路で働く。マイトジェンは細胞分割を刺激する。マイトジェンが細胞表面の受容体に結合すると、RasおよびMAPキナーゼカスケードの活性化を引き起こす。この経路の効果の一つは、遺伝子調節性タンパク質であるMycの産生を増加させることである。Mycは、サイクリンDおよびSCFユビキチン リガーゼのサブユニットをエンコードする遺伝子を含む数種の遺伝子の転写を増加させる。G1-CdkおよびG1/S-Cdkの活性が結果的に増加するため、Rbのリン酸化と遺伝子調節性タンパク質であるE2Fの活性化が促進され、その結果G1-Cdk活性がRbリン酸化を開始させてS-フェーズへの開始が起こり、そのためRbが不活性化されてE2FがフリーになることによってG1/S−サイクリン(サイクリンE)およびS-サイクリン(サイクリンA)に対する遺伝子などのS-フェーズ遺伝子の転写が活性化できる。G1/S-CdkおよびS-Cdkが出現すると結果的にRbのリン酸化がさらに高まって正のフィードバックループが形成され、E2Fが戻されて機能するためにそれ自身の遺伝子の転写を刺激することができ、別の正のフィードバックループが形成される。Mycはまた、E2F遺伝子の転写を刺激することによって直接的にE2Fの活性を促進できると思われる。その結果、Sフェーズに入る遺伝子の転写が増加する。しかしながらこの経路が過剰に働くと、癌細胞の増殖を引き起こすことになる。
【0050】
植物キサントセラス ソルビフォリアから得られる化合物または組成物は、Ras-MAPキナーゼカスケードを調節し、その経路が過剰に作動しないようにしている。
【0051】
この化合物またはその誘導体はRas−依存性の、即ちMyc経路で働く。Rasにおけるアミノ酸の突然変異はしばしば不変的に過剰作動性となってしまうタンパク質を作り出し、マイトジェンの刺激がなくても過剰作動性のRas-依存性シグナル経路を刺激する。同様にMycの過剰発現を引き起こす突然変異は過度の細胞増殖を促進し、そのため癌の進行が速まる。
【0052】
植物キサントセラス ソルビフォリアから得られる化合物または組成物は、Ras-依存性またはMyc経路の要素を調節することによって、確実に過剰作動性にならないようにできる。
【0053】
この化合物またはその誘導体は、異常な細胞のチェックポイント機構を再活性化する。細胞内には異常な細胞分裂性の刺激を検出したり、アポトーシスに至る異常に過剰作動性の細胞を生じさせたりするチェックポイント機構がある。しかしながらこの機構は癌細胞においては、チェックポイントの反応に必須の要素をエンコードする遺伝子に突然変異があるために反応しない。突然変異がチェックポイント機構に起こると癌細胞は増殖し、際限なく分割する。
【0054】
植物キサントセラス ソルビフォリアから得られる化合物または組成物は、癌細胞の増殖を停止させるためのチェックポイント機構と反応する。
【0055】
この化合物またはその誘導体は細胞外の増殖シグナル経路に影響を与える。細胞増殖を刺激する細胞外増殖因子は、細胞表面にある受容体に結合し、細胞内のシグナル経路を活性化する。それは少なくとも部分的にeif4eおよびホスホリル化S6キナーゼを活性化することによりタンパク質の合成を促進する酵素PI3-キマーゼを活性化し、その結果mRNAの翻訳を増加させ、続いて細胞増殖を促進する。植物キサントセラス ソルビフォリアから得られる化合物または組成物は、細胞外増殖に関連する要素または受容体を調節する。それは卵巣癌細胞の受容体と結合することによって癌細胞の増殖を停止させることができる。
【0056】
植物キサントセラス ソルビフォリアから得られる化合物または組成物は、卵巣癌細胞の増殖を停止させるRasおよびMAPキナーゼに関連する要素を調節する。
【0057】
この化合物またはその誘導体は細胞外機構に影響を与える。細胞分割は、細胞増殖を制限することが可能な細胞外機構によっても調節される。正常な細胞ではMycタンパク質は、細胞増殖のためのシグナルとして核内で作用する。大量のMycは細胞の過剰な増殖や、腫瘍を発生させる。
【0058】
植物キサントセラス ソルビフォリアから得られる化合物または組成物は、Myc細胞の増殖に関する要素または受容体を調節することによって腫瘍細胞が分割するのを停止させることができる。
【0059】
この化合物またはその誘導体はTGF-αシグナル経路に影響を与える。TGF-αは、角質細胞、マクロファージ、肝細胞、および血小板によって産生される。その合成はウイルス感染によって刺激される。TGF-αは、ネズミやチキンの未成熟な造血前駆細胞、例えば分化を生じさせることのないBFU-Eの長期間の増殖を誘導する。それは、BFU-E細胞が赤血球になるという最終的な分化も誘導する。TGF-αは培養中の内皮細胞の増殖も刺激する。それは腫瘍組織の血管新生においても重要な役割を果たしている。
【0060】
植物キサントセラス ソルビフォリアから誘導される化合物または組成物はTGF-αの要素または受容体を調節することによって、卵巣癌や膀胱癌の細胞増殖を抑制できる。
【0061】
この化合物またはその誘導体の化合物はTGF-βシグナル経路に影響を与える。TGF-βは細胞の成長と増殖を調節し、多くの細胞タイプの成長を遮断する。二種のTGF-β受容体、即ちタイプ1とタイプ2がある。それらは信号が転写調節器のSMAD(最初に二種、C. elegansのSmaとショウジョウバエのMadが同定された後で名付けられたタンパク質)ファミリーを通るセリン−スレオニンキナーゼである。TGF-β経路とSMADの突然変異はヒトの癌と関係がある。
【0062】
植物キサントセラス ソルビフォリアから誘導された化合物または組成物は、TGF-βの要素または受容体を調節することによって卵巣癌と膀胱癌の細胞増殖を抑制できる。
【0063】
この化合物またはその誘導体は、DNAウイルスによって損傷を受けた細胞の機能と反応する。DNA腫瘍ウイルスは、細胞周期調節Rbタンパク質およびp53タンパク質を妨害することによって癌を引き起こす。p53遺伝子における突然変異は、癌細胞がDNAの損傷にかかわらず生き残り、増殖することを可能にする。パピローマニウスはタンパク質E6およびE7を配列p53およびRbにそれぞれ利用する。この作用は突然変異した細胞を活性化し、それらが生き残ってさらに分割し、蓄積されることを許容する。
【0064】
植物キサントセラス ソルビフォリアから得られる化合物または組成物はE6およびE7を調節し、タンパク質Rbおよびp53を放出して異常な細胞が分割するのを阻止できるであろう。それはまた、タンパク質を調節、即ち反応して癌細胞死を引き起こす。
【0065】
この化合物またはその誘導体はp53シグナル経路に影響を与える。p53は多細胞性生物がDNAの損傷や他のストレスのある細胞性イベントを安全にうまく対処するのを助けており、危険であろうと思われる環境では細胞の増殖を停止させる。癌細胞は突然変異したp53タンパク質を大量に含有する傾向があり、それらが被った遺伝子上のアクシデントや不適切な環境で成長させるストレスにより、p53タンパク質を正常的に活性化するシグナルが作り出されたことを示唆している。したがってp53の活性がなくなると突然変異した細胞が細胞周期を通過し続けることが可能になるため、癌に関しては極めて危険になる可能性がある。それはまた、それらがアポトーシスを回避するのを可能にする。そのためそれらのDNAが損傷を受けるといくらかの細胞は死ぬが、生き残っている細胞は損傷を修復するために止まることなく分割を行うであろう。これは細胞を死に至らせるかもしれないし、あるいはそれらが生き残り、変性したゲノムを伴って増殖する可能性もあって、それによって腫瘍抑制遺伝子と癌遺伝子の活性化のどちらも、例えば遺伝子の増幅によってなくなってしまうことになるかもしれない。遺伝子の増幅は、細胞に治療用薬物に対する耐性を発現させる機会を与える。
【0066】
植物キサントセラス ソルビフォリアから誘導された化合物またはその組成物は、癌細胞の分割を停止させるp53経路の要素および受容体を調節する。
【0067】
化合物またはその誘導体は細胞自殺シグナル経路に影響を与える。核を持つ全ての細胞は、細胞が破壊される前の信号を待ち受ける種々の不活性なプロキャスペース(procaspase)を含んでいる。それぞれの自殺プロテアーゼは、プロキャスペースと言われる不活性なプロ酵素として作られる。それは通常、キャスペースファミリーとは別物によってタンパク質開裂することにより活性化される。開裂したフラグメントの二つはキャプペースの活性部分を形成するために出会い、活性酵素はこれらの二つの部分が二つあるテトラマーであるはずと考えられる。それぞれの活性化されたキャスペース分子は多くのプロキャスペース分子を開裂でき、その結果より多くの分子を活性化できる。連鎖反応またはカスケードを経てこれはかなり大量のプロキャスペース分子の爆発的な作用をもたらす。続いて活性化されたプロキャスペースの幾分かは細胞内にある多くのキータンパク質、即ち調節された細胞死に至らせる特定の細胞質タンパク質や核−ラミンなどのキータンパク質を開裂する。
【0068】
細胞の外部にある細胞死受容体を活性化しても不活性なプロキャスペースを刺激できる。例えばキラーリンパ球は標的細胞の表面でタンパク質Fasを産生することによってアポトーシスを引き起こすことができる。それからFasタンパク質のこれらのクラスターは、プロキャスペース-8分子と結合してその分子を集める細胞内のアダプタータンパク質を補充する。その後これらは開裂し、互いに活性化する。活性化されたキャスペース-8分子は続いて下流側のプロキャスペースを活性化することによりアポトーシスを誘導する。
【0069】
しかしながら癌細胞では細胞を破壊する信号は、遺伝子の突然変異が原因で遮断される。これは癌細胞が分割し続け、それによって腫瘍を生じさせることを意味する。
【0070】
植物キサントセラス ソルビフォリアから誘導される化合物または組成物は自殺信号を遮断せず、癌細胞が自分自身を破滅させるようにする。
【0071】
本発明は、トリテルペン骨格、即ちサポゲニンを含む化合物を提供し、その化合物においては、糖部分がそのトリテルペン骨格の3位炭素に結合し、アセチルおよび/または糖部分が21位および22位の炭素に結合し、そしてアンゲロイル基がその糖部分に結合している。これらの官能基はトリテルペンまたはサポゲニンに機能的に結合して化合物を形成している。
【0072】
本発明は、ある量の上述した化合物を接触させる行程を含む、腫瘍細胞の成長を阻害するための方法を提供する。
【0073】
本発明は、上述した患者に投与する行程を含む、患者の腫瘍細胞の背長を阻害するための方法を提供する。
【0074】
本発明は、以下の実施例からよりよく理解できるであろう。しかしながら当業者は、以後に続く請求の範囲でより充分に説明されるように、ここで述べられた特定の方法および結果が本発明を単に例示しているにすぎないことを容易に認識するであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
【実施例1】
【0076】
薬用植物の抽出
(a)キサントセラス ソルビフォリアの鞘、または枝、または茎、または葉、または仁、または根、または樹皮の粉末を、比が1:2の有機溶媒を用い、4-5回、各回20-35時間にて抽出することによって有機系抽出液を得る行程、(b)その有機抽出液を集める行程、(c)その有機抽出液を80℃で2-3回還流することによって二次抽出液を得る行程、(d)その二次抽出液から有機溶媒を除去する行程、および(e)その抽出物を乾燥し、滅菌することによってキサントセラス ソルビフォリア抽出物粉末を得る行程。
【実施例2】
【0077】
HPLCクロマトグラフィーによるキサントセラス ソルビフォリア抽出成分の分析
方法
HPLC: C-18逆相μボンダパックカラム(水P/N 27324)は、10%のアセトニトリル、0.005%のトリフルオロ酢酸(平衡化溶液)で平衡化した。例えば上述した方法のような本発明の方法や、当業者に既知の別の方法を用いて調整したキサントセラス ソルビフォリアの抽出物は、カラムにかける前に平衡溶液に溶解した(1mg/ml)。20ugのサンプルをカラムにかけた。
【0078】
溶出条件: フラクションは、アセトニトリル(70分で10%から80%の濃度勾配)を用いて溶出し(流速0.5ml/分)、続いて10分間、80%で維持する(70-80分)。次にアセトニトリルを10%になるまで滴下し(80-85分)、25分間10%で維持した(85-110分)。そのフラクションをチャートスピードが0.25cm/分、ODのフルスケールが0.128で207nmにおいてモニターした。
【0079】
装置
ウォーターズ モデル 510 溶媒供給システム(Waters Model 510 Solvent Delivery System)、ウォーターズ 484 調整可能な吸収検出器(Waters 484 tunable Absorbance Retector)、ウォーターズ 745/745B データ モジュール(Waters 745/745B Data Module)。
【0080】
結果
HPLC: プロフィールで約60-70のピークがカウントできる。それらの中で4個が主要なピークであって、10個が中間の大きさ、そして残りが小さなフラクションである。主要なピークは、アセトニトリル溶出の濃度を増加させるにつれてaからzでラベルされている。図1参照。
【実施例3】
【0081】
MTT分析を用いて別個のヒト臓器から誘導した癌細胞に対するキサントセラス ソルビフォリア抽出物の細胞毒性についてのスクリーニング
方法および材料
細胞: ヒト癌細胞系は、アメリカン タイプ カルチャー コレクションから入手した。即ち、HTB-9(膀胱)、HeLa-S3(子宮頸部)、DU145(前立腺)、H460(肺)、MCF-7(胸部)、K562(白血球)、HCT116(大腸)、HepG2(肝臓)、U20S(骨)、T98G(脳)、およびOVCAR-3(卵巣)である。細胞は、10%の仔ウシ血清とグルタミンと抗生剤を補充した培養培地(HeLa-S3、DU145、MCF-7、Hep-G2およびT98GはMEM(アールの塩(Earle's salts))中、HTB-9、H460、K562、OVCAR-3はPMI-1640中、HCT-116、U2OSはMcCoy-5A中)において、5% CO2で加湿された37℃のインキュベータ内で増殖させた。
【0082】
MTT分析: MTT分析のための手法は、ほんのわずかな変形加えられたにすぎない(Carmichaelらの1987)に記載された方法に従った。細胞は、薬物−処理を行う24時間前に96−ウェルプレートに10,000個/ウェル(HTB-9、HeLa、H460、HCT116、T98G、OVCAR-3)、15,000個/ウェル(DU145、MCF-7、HepG2、U20S)、または40,000個/ウェル(K562)の濃度で植え付けた。続いて細胞は、48時間(HepG2、U20Sに対しては72時間、またMCF-7に対しては96時間)、薬物に接触させた。薬物−処理を行った後でMTT(0.5mg/ml)を加えて一時間培養した。フォルマザン(生存している細胞によってテトラゾリウムが還元された生成物)の形成物はDMSOで溶解し、490nmでのO.D.をELISA読みとり装置[ダイナテックモデル MR700(Dynatech. Model MR700)]によって測定した。薬物−処理前の細胞のMTTレベルも測定した(T0)。細胞−増殖の%(%G)は、下式で計算される。
【数3】

式中、TCまたはTDはコントロールの細胞または薬物−処理した細胞のO.D.読みとり値を表す。T0>TDの時、細胞毒性(LC)は下式で計算されるコントロールの%として表される。
【数4】

【0083】
結果:10個の細胞系の研究で、キサントセラス ソルビフォリア抽出物に対するそれらの感受性は4つのグループに分けることができる(最高の感受性:卵巣。感受性が高い:膀胱、骨、前立腺、白血球。ぎりぎりの感受性:肝臓、胸、および脳。感受性がほとんどない:大腸、子宮頸、および肺)。国際出願番号PCT/US04/33359の図23および表8.1参照。
【0084】
【表A】

これらの細胞系の研究では、低濃度のキサントセラス ソルビフォリア植物抽出物が、膀胱、骨、および肺の細胞の増殖を刺激することがわかった。国際出願番号PCT/US04/33359の第109頁第17-25行目から、第110頁第1-13行目参照。
【実施例4】
【0085】
キサントセラス ソルビフォリア抽出物に含まれる活性成分-Y1の精製および構造決定
(A)FPLCを用いたキサントセラス ソルビフォリア抽出物成分の分画
【0086】
方法
カラム: オクタデシルで機能付けしたシリカゲル; カラムの寸法:2cm×28cm; 10%のアセトニトリル−0.005%のTFAを用いて平衡化。
サンプルの載置: 1-2ml、濃度:10%アセトニトリル/TFA中100mg/ml。
傾斜溶出: 全容量が500mlで10-80%のアセトニトリル。
モニター吸収波長: 254nm。
フラクションコレクター: 5ml/フラクション(10%から72%のアセトニトリルを集める。全部で90フラクション)。
装置: AKTA-FPLC、P920ポンプ; モニターUPC-900; Frac-900。
【0087】
結果
溶出プロフィールは4-5個の広いフラクションを示す。図2A参照。これらのフラクションはHPLCを用いて分析した。それから特定の成分、即ち図1で特定化されたa-zがFPLCフラクションに割り当てられる。
【0088】
FPLCフラクションは7個のプールにグループ分けされ、MTT分析を用いて膀胱細胞の持つ細胞増殖作用に対して分析した。一つのプール(#5962)のみが阻害作用を有していることがわかった。図2B参照。本発明のキサントセラス ソルビフォリア植物抽出物から精製したフラクションY(5962)は、増殖刺激作用は持っていないが阻害作用は維持している。
【0089】
(B)64%のアセトニトリルアイソクラティック溶出を用いたC18オープンカラムによるFPLCを用いたフラクション#5962の分画
方法
カラム: オクタデシルで機能付けしたシリカゲル; 50ml; 2cm×28cm; 64%のアセトニトリル−0.005%のTFAを用いて平衡化。
サンプルの載置: 0.2ml、濃度:65%アセトニトリル/TFA中1-2mg/ml。
溶出: 64%のアセトニトリルアイソクラティック溶出。
モニター吸収波長: 254nm
フラクションコレクター: 1ml/フラクション(はじめの90フラクションを集める)
装置: AKTA-FPLC、P920ポンプ; モニターUPC-900; Frac-900。
【0090】
結果
フラクション5962は、オープンODS-C18カラムを用いて64%のアセトニトリルアイソクラティック溶出でさらに分離した。二つの主要なフラクション、即ちXおよびYが集められた。図3参照。MTT分析は、Yフラクションのみが阻害活性を有していることを示した。図4参照。
【0091】
(C)HPLCを用いたフラクションYの分析
方法
カラム: ウォーターズμボンダパックC18(3.9mm×300cm)
溶出: 35%または45%のアイソクラティック溶出。
流速: 0.5ml/分; O.D.スケール、0.128で207nmにてモニター; チャート速度:0.25cm/分。
【0092】
結果
35%のアイソクラティック分析では、Yフラクションは4-5個の成分(Y0、Y1、Y2、Y3、Y4およびY5)を含んでいる。図5参照。
【0093】
(D)活性なYs成分の最終的な単離がプレパラティブHPLCを用いて達成された
方法
カラム: プレパラティブHPLCカラム(ウォーターズ デルタ パック C18-300A)。
溶出: 流速1ml/分で45%のアセトニトリルアイソクラティック溶出。207nmにてモニター。
【0094】
結果
Y1およびY2は互いにうまく分離し、個別に集められる。Y3/4およびY5はうまく分離できない。図6参照。Y1のピークのフラクションが集められて凍結乾燥された(化合物-Y1)。
【0095】
外観および溶解度: 純粋な化合物であるY1は、アモルファスな白色粉末であって、水性アルコール(メタノール、エタノール)、50%アセトニトリル、および100%ピリジンに溶解する。
【0096】
MTT分析を用いた化合物Y1およびY2の阻害作用。結果は、Y1とY2のどちらも抗癌作用を有していることを示している。図17参照。
【0097】
(E)キサントセラス ソルビフォリア抽出物である化合物Y1の化学構造の決定
方法
NMR分析: キサントセラスソルビフォリアの純粋化合物Y1は、0.05%v/vのTMSを入れたピリジン-D5に溶解した。全てのNMRスペクトルは、298KでQXIプローブ(1H/13C/15N/31P)を用いたブルッカー アバンス(Bruker Avance) 600 MHzを利用して獲得した。1D 1Hスペクトルについて行ったスキャン数は16から128であり、それはサンプル濃度に依存している。2D HMQCスペクトルは、スペクトル幅が6000×24,000Hzであって、データポイントがt2およびt1のディメンジョンに対してそれぞれ2024×256で記録した。スキャン数は4から128であった。2D HMBCは6000×30,000Hzのスペクトル幅と、t2およびt1のディメンジョンに対してそれぞれ2024×512のデータポイントとを必要とした。スキャン数は64であった。2Dデータは、データポイントを二倍にするためにt1ディメンジョンはゼロに合わせ、t1ディメンジョンとt2ディメンジョンの両方でコサイン−スクエア−ベル−ウインドウ(cosine-square-bell-window)関数によってかけ算してからソフトウェアXWIN-NMRを用いてフーリエ変換した。これらの2Dスペクトルの最終的な実質的マトリックスサイズは、HMQCおよびHMBCに対してそれぞれ2048×256および2048×512のデータポイント(F2×F1)である。
【0098】
マススペクトル分析: サンプルの質量は、MALDI-TOFマススペクトル分析装置によって分析した。
【0099】
MALDI-TOFのためのサンプルはまずアセトニトリルに溶解し、続いてマトリックスCHCA(アルファ-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸、採集濃度は、50:50の水/アセトニトリルと0.1%のTHFに入れた10mgのCHCA/mL)と混合した。このサンプルはアセトニトリルに完全に溶解し、マトリックスと混合した後溶解したままにした。分子量は、標準を用いた高分解能の質量スペクトル分析によって測定した。
【0100】
結果
Y1のプロトンNMRのプロフィールが図7に示されている。Y1の2D NMR(HMQC)のプロフィールは図8に示されている。Y1の2D NMR(HMBC)のプロフィールは図9に示されている。Y1の2D NMR(COSY)のプロフィールは図10に示されている。
【0101】
結論
化学シフト分析データに基づくと表1に示されているように、キサントセラス ソルビフォリアの抽出物から単離された活性化合物Y1は4個の糖とその糖部分に結合した二個のアンゲロイル基とを持つトリテルペノイドのサポニンである。Y1の化学式はC65H100O27であって、その構造式およびY1の化学名は、
【化5】

3-O-[β-D-ガラクトピラノシル(1→2)]-α-L-アラビノフラノシル(1→3)-β-D-グルクロノピラノシル-21-O-(3,4-ジアンゲロイル)-α-L-ラムノフィラノシル-22-O-アセチル-3β、16α、21β、22α、28-ペンタヒドロキシオレアン-12-エンである。
【0102】
【表2】


aそのデータは、HMQCおよびHMBCの相関関係に基づいて割り当てた。
MALDI-TOFによって測定した場合Y1の質量は1358.71であり、それはY1(1312.64)に2個のNaと1個のプロトンを加えた(M+2Na+H)理論的質量に一致している。
【0103】
Y2分析の結果
Y2のプロトンNMRのプロフィールは図11に示されている。Y2の2D NMR(HMQC)のプロフィールは図12に示されている。
【0104】
Y5のプロトンNMRのプロフィールは図13に示されている。Y5の2D NMR(HMQC)のプロフィールは図14に示されている。
【実施例5】
【0105】
化合物Yの酸加水分解
化合物Yは国際出願番号第PCT/US04/33359号においてキサントセラス ソルビフォリアから同定され、精製されている。第107頁第5-31行目から第108頁第1-10行目、および第110頁第15-30行目、および第136頁第1-14行目参照。
【0106】
化合物Yを酸加水分解することによって、この明細書でY1-cとして指名された以下の構造式を持つ以下の化合物を生成する。
【0107】
方法: 5mgのYを3mlのMeOHに溶解し、続いて3NのHCl、3mlを用いて処理した。サポニンの加水分解は4時間還流することで誘導される。加水分解の後でその溶液を5%のNa2CO3で中和し、EtOAcを用いて抽出することによってそれぞれ糖とアグリコンを含む水層と有機層が形成された。有機層から得られるアグリコンは、シリカゲルクロマトグラフィーに載せて(CHCl3:MeOH、1:9)で更に精製してもよいし、またはC18 ODS HPLCクロマトグラフィーを用いて更に精製してもよい。下記に示されたような構造式Y-cの化合物を約2mg得ることができる。
【0108】
方法の参照文献: 炭水化物化学の本質(Essentials of Carbohydrate Chemistry)。John F. Robyt, (Springer, 1998)による。
【0109】
オリゴ糖のリンケージは部分的な酸加水分解によって、また特定の酵素による加水分解によって開裂できる。例えばアラビノフラノシルの1→4リンケージはα−アミラーゼによって除去できる。β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、マンナーゼ、およびプルラナーゼのような他の酵素は、サポニンに含まれる個々のサッカライドを開裂するために利用できる。
【0110】
この構造のアンゲロイル基はアルカリ加水分解によって除去できる。例えば化合物Yを1M NaOHに溶解し、2-3時間室温で攪拌する。続いてその溶液を2M HClを用いて酸性または中性にしてから加水分解したサポニンを酢酸エチルで抽出することができる。更なる精製はC18カラムを用いたHPLCで達成できる。構造式Yの酵素加水分解によれば、以下の構造式が得られる。
【化6】

【化7】

【化8】

化合物Yを酸加水分解すると、構造式Y-cとしてここに指名された次の構造式を持つ以下の化合物が生成する。
【化9】

【実施例6】
【0111】
キサントセラス ソルビフォリア抽出物から得られる化合物R1の精製および構造決定
(A)FPLC(傾斜溶出)を用いたキサントセラス ソルビフォリア抽出成分の分画
方法
カラム: オクタデシルで条件付けしたシリカゲル; カラムの寸法:2cm×28cm; 10%のアセトニトリル−0.05%のTFAを用いて平衡化。
サンプルの載置: 1-2ml、濃度:10%アセトニトリル/TFA中100mg/ml。
傾斜溶出: 全容量が500mlで10-80%のアセトニトリル。モニター吸収波長: 254nm。
フラクションコレクター: 5ml/フラクション(10%から72%のアセトニトリルを集める。全部で90フラクション)
装置: AKTA-FPLC、P920ポンプ; モニターUPC-900; Frac-900。
【0112】
結果
溶出プロフィールは4-5個の広いフラクションを示す。図2A参照。これらのフラクションはHPLCを用いて分析した。それから特定の成分、即ちa-zがFPLCプロフィールおよびフラクションに割り当てられる。図1参照。
【0113】
(B)30%のアセトニトリルアイソクラティック溶出を用いたFPLCによるRの分画
方法
カラム: オクタデシルで機能付けしたシリカゲル; 50ml; 2cm×28cm; 30%のアセトニトリル−0.005%のTFAを用いて平衡化。
サンプルの載置: 0.2ml、濃度:30%アセトニトリル/TFA中1-2mg/ml。
溶出: 30%のアセトニトリルアイソクラティック溶出。
モニター吸収波長: 254nm。
フラクションコレクター: 5ml/フラクション(はじめの90フラクションを集める)
装置: AKTA-FPLC、P920ポンプ; モニターUPC-900; Frac-900。
【0114】
結果
FPLCの傾斜溶出から得られるNo.39-41のフラクション(図2A)を集めて、オープンODS-C18カラムを用いて30%のアセトニトリルアイソクラティック溶出でさらに精製した。二つのグループに6個の同定可能なフラクションが集められた。図18参照。フラクション6-13はHPLCを用いてさらに特徴づけた。
【0115】
(C)HPLCを用いたRの分析および単離
方法
カラム: ウォーターズμボンダパックC18(3.9mm×300cm)、およびウォーターズデルタパック C18(7.8mm×30cm)。
溶出: 傾斜溶出(10-80%)および30%のアイソクラティック溶出。
流速: 0.5ml/分; 207nm; 減衰0.128; チャート速度:0.25cm/分。
【0116】
結果
HPLC傾斜溶出分析を行ったところフラクション9-11には、一個の主要な成分と数個の少量の成分が含まれている。図19参照。これらの成分はデルタパックカラムで30%アセトニトリルアイソクラティック溶出を行うと4-5個の成分にさらに分離した。「R1」としてここに命名されたフラクションが主要な成分である。図20A参照。このフラクションR1はカラムから集めることによって連続的に単離された。図20B参照。
【0117】
外観および溶解度
純粋なR1はアモルファスな白色粉末であって、水性アルコール(メタノール、エタノール)、50%アセトニトリルおよび100%ピリジンに溶解する。
【0118】
(D)キサントセラス ソルビフォリア抽出物から単離されたR1の化学構造式の決定
方法
NMR分析: キサントセラス ソルビフォリアの純粋なR1フラクションについてNMR分析を行うための手法は、実験4に記載されたのと同じである。
マススペクトル分析: サンプルの質量は、前のセクションで記載されたような(A)MALDI-TOF質量分析法によって分析した。
結果
純粋なR1のプロトンNMRは、図21に示されている。R1の2D NMR(HMQC)スペクトルは図22に示された。R1の2D NMR(HMBC)スペクトルは図24に示された。カーボン13 NMRスペクトルは図25に示された。
【0119】
上記に示したデータ全てに基づいて以下の表、即ち表2には、化合物R1の官能基の構造分析と割り当ての結果がまとめられている。
【表3】


【0120】
a データは、COSY、HMQCおよびHMBCの相関関係に基づいて割り当てた。b、c、d、f 各カラムで同じラベルを付したデータはオーバーラップしていた。e 各カラムで同じラベルを付したデータは相互変換してもよい。
【0121】
結論
化学シフト分析に基づくと、キサントセラス ソルビフォリアの抽出物から単離された化合物R1は、5個の糖とその糖部分に結合した一個のアンゲロイル基とを持つトリテルペノイドサポニンである。化合物R1の化学式はC65H106O29であって、R1の化学名は、
【化10】

構造式R1の化学名は、3-O-[アンゲロイル-(1(3)-(-D-グルコピラノシル-(1(6)]-(-D-グルコピラノシル-28-O-[(-L-ラムノフィラノシル-(1(2)-(-D-グルコピラノシル-(1(6)-(-D-グルコピラノシル-3(, 21(, 22(, 28-ペンタヒドロキシオレアン-12-エンである。
【実施例7】
【0122】
キサントセラス ソルビフォリア抽出物から得られる成分-Oの精製
(A)FPLC(傾斜溶出)を用いたキサントセラス ソルビフォリア抽出成分の分画
方法
カラム: オクタデシルで条件付けしたシリカゲル; カラムの寸法:2cm×28cm; 10%のアセトニトリル−0.05%のTFAを用いて平衡化。
サンプルの載置: 1-2ml、濃度:10%アセトニトリル/TFA中100mg/ml。
傾斜溶出: 全容量が500mlで10-80%のアセトニトリル。
モニター吸収波長: 254nm。
フラクションコレクター: 5ml/フラクション(10%から72%のアセトニトリルを集め、全部で90フラクション)
装置: AKTA-FPLC、P920ポンプ; モニターUPC-900; Frac-900。
【0123】
結果
溶出プロフィールは4-5個の広いフラクションを示す(図2A参照)。これらのフラクションはHPLCを用いて分析した。それから特定の成分(a-z)がFPLCプロフィールおよびフラクションに割り当てられる。
【0124】
(B)20%のアセトニトリルアイソクラティック溶出を用いたHPLCによる成分-Oの分画
方法
カラム: プレパラティブHPLCカラム(ウォーターズ デルタ パック C18-300A)。
サンプル: FPLCの傾斜溶出によって得られたフラクション#28が集められ、HPLCにかけられた。
溶出: 流速1ml/分で20%のアセトニトリルアイソクラティック溶出。フラクションが集められた。207nmでモニターした。28、34、および54を含むフラクションが集められ、凍結乾燥された。これらのフラクションの再−クロマトグラフィーが同じ条件下で行われた。
【0125】
結果
16個の同定可能なフラクションが溶出プロフィールおいて見い出された(図33)。フラクション28、34および54は同じ条件のHPLCを用いて更に特徴を明らかにされた。図34、35および36はそれぞれフラクション28、34および54が単一のピークの溶出であることを示しており、それらが同一(純粋)であることを指示している。
【0126】
外観および溶解度
精製されたO-28およびO-34は明るい黄色のアモルファス粉末であって、水性アルコール(メタノール、エタノール)、50%アセトニトリルおよび100%ピリジンに溶解する。精製されたO-54は白色のアモルファス粉末であって、水性アルコール(メタノール、エタノール)、50%アセトニトリルおよび100%ピリジンに溶解する。
【0127】
(C)成分-Oから精製した化合物の構造分析
方法
NMR分析: キサントセラス ソルビフォリアの純粋なR1フラクションについてNMR分析を行うための手法は、実験4に記載されたのと同じである。
マススペクトル分析。 サンプルの質量は、実験4で記載されたような(A)MALDI-TOF質量分析法によって分析した。
【0128】
本発明は好適な態様に特定の参照文献を用いて詳細に説明したが、本発明が他の異なる態様でも可能であること、またその詳細がさまざまな明白な観点において修飾できることを理解すべきである。当業者にとって容易に明らかであるように、変形や修飾が本発明の精神および範囲内にとどまっているかぎり用いられてもよい。したがって前述した開示、説明、および図面は例示の目的しかなく、請求の範囲によってのみ定義される本発明を何ら制限するものではない。
【0129】
参照文献
1.Chen, Q. 1995. 中国医薬品の薬学的研究法。Press of People's Public Health, Beijing. p892,
2.Huang, Zh. Sh., Liu, M. P., Chen, Ch. Zh. 1997. 学習および記憶力の改善に対するヤングショウ ダン(Yangshou Dan)の効果についての研究。 Chinese Journal of combination of Chinese and west medicine, 9(17): 553 .
3.Zhang, Y., Zhang, H. Y., Li, W. P. 1995. 知能の改善に対するアンジフ(Anjifu)の効果についての研究。Chinese Bulletin of Pharmacology, 11 (3): 233.
4.Yang, J., Wang, J., Feng, P. A. 2000. マウスの学習および記憶力の改善に対するナオカングタイ(Naokkangtai)カプセルの効果についての研究。 New Chinese Medecine and Clinical Pharmacology, 1 (11): 29.
5.Yang, J., Wang, J., Zhang, J. Ch. 2000. マウスの学習および記憶力の改善に対するシャクヤクの粗サポニンの効果についての研究。 Chinese journal of Pharmacology, 2 (16): 46 .
6.Xia, W. J., Jin, M. W., Zhang, L. 2000. 血管−老化により起こる老人性痴呆症のダイダングタング(Didang tang)を用いた治療についての研究。 Pharmacology and Clinical of Chinese Medicines, 16 (4).
7.Bian, H. M., Yu, J. Z., Gong, J. N., 2000. マウスの学習および記憶力の改善に対するトングマイ イジ(Tongmai Yizhi)カプセルの効果についての研究。
8.Wei, X. L., Zhang, Y. X. 2000. 老人性痴呆症を研究するための動物モデルの研究。 Chinese jourmal of Pjarmacology, 8 (16): 372.
9.Bureau of Medicinal Police, Departmant of Public Health. 新規な医薬品の研究のガイドブックp45における、神経系疾患の治療用医薬品の効果を研究するためのガイドライン。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】図1は、μボンダパック(μbondapak)C18カラムを用いたHPLCによるキサントセラス ソルビフォリア成分抽出物の分離を示す。
【図2】図2は、FPLCフラクション(膀胱細胞を用いて誘導される)の細胞増殖作用についてのスクリーニングを示す。図2AはFPLCから得られる溶出フラクションを示す。これらのフラクションは、そのフラクションが活性であることを調べるために続いてMTT分析で用いた。図2Bはキサントセラス ソルビフォリア抽出物の別個の成分(FPLCによって分画された場合)が、細胞の増殖効果と阻害効果のいずれを引き起こすかについて示している。唯一のフラクション5962(Y成分)が細胞の阻害をもたらした。横座標:濃度(ug/ml)。縦座標:%細胞増殖(MTT分析によって測定される)。
【図3】図3は、64%アセトニトリルのアイソクラティック溶出を用いたフラクション5962の溶出プロフィールを示す。二個の主要なFTLCフラクションであるXおよびYが分離された。縦座標:吸光度(254nm)。横座標:フラクションナンバー(1ml/フラクション)。
【図4】図4は、膀胱細胞におけるフラクションX(2021)とY(2728)による阻害作用の比較を示す。
【図5】図5は、35%アセトニトリルのアイソクラティック溶出を用いたフラクションYのHPLCプロフィールを示す。Y(2728)フラクションは4-5個の成分(Y0、Y1、Y2、Y3およびY4)を含む。
【図6】図6は、プレパラティブC18カラム(デルタパックC18)で45%アセトニトリルのアイソクラティック溶出を行ったフラクションYのHPLCプロフィールを示す。これらの条件下ではフラクションY1とY2は互いにうまく分離されており、それらは別個に集められる。
【図7】図7は、Y1のプロトンNMRスペクトルを示す。
【図8】図8は、Y1(HMQC)の2D NMRスペクトルを示す。
【図9】図9は、Y1の2D NMR HMBCプロフィールを示す。
【図10】図10は、Y1のCOSY-NMRプロフィールを示す。
【図11】図11は、Y2のプロトンNMRスペクトルを示す。
【図12】図12は、Y2(HMQC)の2D NMRスペクトルを示す。
【図13】図13は、Y5のプロトンNMRスペクトルを示す。
【図14】図14は、Y5(HMQC)の2D NMRスペクトルを示す。
【図15】図15は、Y1について4つのありうる化学構造式を示す。A: 構造式Y1-1、B:構造式Y1-2、C:構造式Y1-3、およびD: 構造式Y1-4。
【図16】図16は、Y1の構造式を示す。
【図17】図17は、卵巣癌細胞の増殖に対するY1およびY2の阻害作用を示す。
【図18】図18は、FPLCを用いた化合物Rの精製を示す。
【図19】図19は、FPLCから得られたフラクション#9、#10、および#11のHPLC分析を示す。
【図20】図20は、HPLC(デルタ−パックC18)を用いた成分−Rの精製を示す。A:FPLC(iso-30)のフラクション#10から得られる抽出物をさらにHPLCによって分離した(条件は(1)カラム:デルタパックC18カラム、(2)溶出:30%のアセトニトリルのアイソクラティック溶出、(3)流速:1ml/分。207nmでモニターする。O.D.スケール:−0.128)。B:主要なR成分の再−クロマトグラフィーをAに記載したのと同じ条件で行う。
【図21】図21は、化合物R1のプロトンNMRスペクトルを示す。
【図22】図22は、化合物R1の2D NMR(HMQC)スペクトルを示す。
【図23】図23は、化合物R1の2D NMR(HMBC)スペクトルを示す。
【図24】図24は、化合物R1の2D NMR(COSY)スペクトルを示す。
【図25】図25は、化合物R1のC13 NMR(HMBC)スペクトルを示す。
【図26】図26は、化合物R1の化学構造式を示す。
【図27】図27は、Y-aの化学構造式を示す。R5=BまたはCまたはS1(注1参照)、R1=AまたはBまたはC、R2=AまたはBまたはC、R4=BまたはC。注:A=アンゲロイル、B=アセチル、C=H、S1=D-グルコース、D-ガラクトース、L-ラムノース、L-アラビノース、D-キシロースのような一個またはそれ以上の糖、およびD-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸のようなアルドウロン酸、並びにそれらの誘導体を持つ鎖。
【図28】図28は、Y-bの化学構造式を示す。R5=BまたはCまたはS1(注1参照)、R1=AまたはBまたはC、R2=AまたはBまたはC、R4=BまたはC。注:A=アンゲロイル、B=アセチル、C=H、S1=D-グルコース、D-ガラクトース、L-ラムノース、L-アラビノース、D-キシロースのような一個またはそれ以上の糖、およびD-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸のようなアルドウロン酸、並びにそれらの誘導体を持つ鎖。
【図29】図29は、Y-cの化学構造式を示す。
【図30】図30は、Y-aの化学構造式を示す。R5=BまたはCまたはS1(注1参照)、R1=AまたはBまたはC、R2=AまたはBまたはC、R4=BまたはC。注:A=アンゲロイル、B=アセチル、C=H、S1=D-グルコース、D-ガラクトース、L-ラムノース、L-アラビノース、D-キシロースのような一個またはそれ以上の糖、およびD-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸のようなアルドウロン酸、並びにそれらの誘導体を持つ鎖。
【図31】図31は、Y-bの化学構造式を示す。R5=BまたはCまたはS1(注1参照)、R1=AまたはBまたはC、R2=AまたはBまたはC、R4=BまたはC。注:A=アンゲロイル、B=アセチル、C=H、S1=D-グルコース、D-ガラクトース、L-ラムノース、L-アラビノース、D-キシロースのような一個またはそれ以上の糖、およびD-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸のようなアルドウロン酸、並びにそれらの誘導体を持つ鎖。
【図32】図32は、Y-cの化学構造式を示す。R5=BまたはCまたはS1(注1参照)、R1=AまたはBまたはC、R2=AまたはBまたはC、R4=BまたはC。注:A=アンゲロイル、B=アセチル、C=H、S1=D-グルコース、D-ガラクトース、L-ラムノース、L-アラビノース、D-キシロースのような一個またはそれ以上の糖、およびD-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸のようなアルドウロン酸、並びにそれらの誘導体を持つ鎖。
【図33】図33は、20%のアセトニトリルのアイソクラティック溶出(iso-20)を利用した、FPLCから得られた成分-Oの分画を示す。
【図34】図34は、#28(iso-20由来)の再クロマトグラフィーを示す。
【図35】図35は、#34(iso-20由来)の再クロマトグラフィーを示す。
【図36】図36は、#54(iso-20由来)の再クロマトグラフィーを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベングォングォ(Wenguanguo)またはキサントセラス ソルビフォリア(Xanthceras sorbifolia)の鞘、または果柄、または種子の殻、または葉、または枝、または茎、または仁、または根、または樹皮由来の化合物を含む組成物。
【請求項2】
さらにサポニンを含む請求項1の組成物。
【請求項3】
夜尿症を治すための請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項4】
膀胱を弛緩させるための請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項5】
大脳および小脳の反応性を改善させるための請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項6】
過度の深いレベルの睡眠を抑制する請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項7】
中心神経系に信号を収束させるように膀胱壁にある感覚性の伸張受容器を改善する請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項8】
AChEを阻害するための請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項9】
抗−炎症薬として使用するための請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項10】
ウイルスを阻害するための請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項11】
ヒト免疫不全ウイルスに対抗して使用できる請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項12】
癌を阻害するための請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項13】
血中のコレステロールまたはトリグリセライドのレベルを減少させるための請求項1もしくは2に記載に記載の医薬品または健康食品。
【請求項14】
大脳の老化を抑制するため、記憶力を改善するため、大脳の機能を改善するため、夜尿症、頻尿、尿失禁、痴呆、知能薄弱、アルツハイマー病、自閉症、脳外傷、パーキンソン病もしくは大脳の機能不全により起こる他の疾患を治療するため、関節炎、リウマチ、循環不良、動脈硬化症、レーノー症候群、狭心症、心臓病、冠血管性心臓病、頭痛、めまい、腎臓の異常を治療するため、またはインポテンスもしくは早発射精を治療するための請求項1もしくは2に記載の組成物。
【請求項15】
さらに、ビタミンB、ビタミンD、ビタミンK、グレープ種子の抽出物もしくは他の抗酸化剤、コルディセプス(Cordyceps)もしくはその抽出物、イチョウもしくはその抽出物、オタネニンジン(Panax ginseng)、西洋ニンジン(P. quinquefolium)もしくはそれらの抽出物、ワンピ(Huanpi)(クラウゼナ ランジューム(Clausena lansium))もしくはその抽出物、エキナセア(Echinacea)もしくはその抽出物、セント ジョーンズ ワート(St John's Wort)もしくはその抽出物、ゲジェン(Gegen)(ペラリア ロバタ(Pueraria lobata))もしくはその抽出物、ティアンマ(Tianma)(ガストロディア エラタ(Gastrodia elata))もしくはその抽出物、アルミラリエラ メレア(Armillariella mellea)もしくはその抽出物、ダンシェン(Danshen)(サルビア ミルチオリザ(Salvia miltiorrhiza))もしくはその抽出物、サンキ(Sanqi)(パナックス ノトジンセン(Panax notoginsen))もしくはその抽出物、モナスカス(Monascus)もしくはホング(Hongu)(レッド イースト ライス(Red Yeast rice))、フアンキ(Huanqi)(ヘディサルム ポリボトリイズ(Hedysarum polybotrys))もしくはその抽出物、ジフアング(Dihuang)(レーマニア グルチノーサ(Rehmannia glutinosa))もしくはその抽出液、ダングイ(Danggui)(アンジェリカ シネンシス(Angelica sinensis))、ユアンジー(Yuanzhi)(ポリガラ テヌイフォイラ(Polygala tenuifoila))もしくはその抽出物、リンジー(Lingzhi)(ガノデルマ spp.(Ganoderma spp.))もしくはその抽出物、フリング(Fuling)(ポリア ココス(Poria cocos))もしくはその抽出物、ガン カオ(Gan Cao)(グリシリザ ウラレンシス フィッシュ(Glycyrrhiza uralensis Fisch))もしくはその抽出物、フペルジン A(Huperzine A)、ラシチン(Lacithin)、メトリフォネート(Metrifonate)、ノースタイル(Nocetile)、葉酸、アミノ酸、クレアチン、繊維サプリメント、またはそれらのどれかの組み合わせを含む請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項16】
カプセル剤、錠剤、粉末剤、液剤または他の剤形になっている請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項17】
ベングォングォ(Wenguanguo)またはキサントセラス ソルビフォリア(Xanthceras sorbifolia)の鞘、または果柄、または種子の殻、または葉、または枝、または茎、または根、または樹皮由来の粗サポニンが、以下の行程、即ち、
(a)ベングォングォの鞘、または果柄、または種子の殻、または葉、または枝、または茎、または根、または樹皮の粉末を、薬用植物と溶媒の比が1:2の有機溶媒を用い、4-5回、各回20-35時間にて抽出することによって有機溶媒抽出物を得る行程、
(b)前記有機溶媒抽出物を集めて80℃で2-3回還流することによって二次抽出物を得る行程、
(c)前記二次抽出物を水に溶解することによって水性溶液を得る行程、
(d)クロマトグラフィーによってn-ブタノール抽出物からサポニン類を分離することによって粗のサポニン類を得る行程
を含む方法によって得られる請求項2の組成物。
【請求項18】
前記有機溶媒がエタノールまたはメタノールである請求項17の方法。
【請求項19】
ベングォングォまたはキサントセラス ソルビフォリアの仁由来の粗サポニンが、以下の行程、即ち、
(a)仁を加圧してその仁から油分を除去することによって仁の一塊を形成する行程、
(b)前記仁の一塊を根拠としてn-ヘキサンを用いて抽出することにより、n-ヘキサン抽出液を得る行程、
(c)前記n-ヘキサン抽出液からn-ヘキサンを除去する行程、
(d)前記n-ヘキサン抽出物を乾燥して仁の粉末を得る行程、
(e)前記仁の粉末を、有機溶媒との比が1:2の有機溶媒を用い、4-5回、各回20-35時間にて抽出することによって有機溶媒抽出物を得る行程、
(f)前記有機溶媒抽出物を集めて80℃で2-3回還流することによって二次抽出物を得る行程、
(g)前記二次抽出物を水に溶解することによって水性溶液を得る行程、
(h)前記水性溶液をn-ブタノールを用いて抽出することによってn-ブタノール抽出物を得る行程、および
(i)クロマトグラフィーによって前記n-ブタノール抽出物からサポニン類を分離することによって粗のサポニン類を得る行程
を含む方法によって得られる請求項2の組成物。
【請求項20】
前記有機溶媒がエタノールまたはメタノールである請求項19の方法。
【請求項21】
膀胱の成長を促進したり、深い睡眠を抑制したり、機敏な覚醒を促したり、抗利尿ホルモン、即ちADHまたはその受容体の遊離、分解および取り込みを調節したり、副腎皮質刺激ホルモン、即ちACTHまたはその受容体の分泌、分解および取り込みを調節したり、5-ヒドロキシトリプタミンまたはその受容体の遊離、分解および取り込みを調節したり、アセチルコリン、即ちAchまたはその受容体の遊離、分解および取り込みを調節したり、アドレナリン、即ちADまたはその受容体の遊離、分解および取り込みを調節したり、ドーパミン、即ちDAまたはその受容体の遊離、分解および取り込みを調節したり、ノルエピネフリン(NE)またはその受容体の遊離、分解および取り込みを調節したりする能力のある請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項22】
睡眠麻痺を抑制したり、または神経ペプチドもしくはそれらの受容体の組成、遊離、分解および活性を調節したりする能力のある請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項23】
癌を治癒させる能力のある請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項24】
前記癌が、乳癌、白血球の癌、肝臓癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、大腸癌、骨癌、子宮頸癌、皮膚癌、または脳の癌である請求項23の医薬品または健康食品。
【請求項25】
肺および膀胱の機能を改善したり、骨の成長を促進したり、排尿の頻度もしくは尿の容量を減少させたり、または排尿を後らせたりできる能力のある請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項26】
さらにヤクヨウニンジン(Ginseng)、バジチアン(Bajitian)、ロウコングロング(Roucongrong)、ドゥゾング(Duzhong)またはコルジセプス(Cordyceps)を含む請求項1もしくは2に記載の医薬品または健康食品。
【請求項27】
次の構造式(構造式Y1)からなる化合物。
【化1】

【請求項28】
トリテルペン骨格またはサポゲニン、そのトリテルペン骨格の3位炭素に結合する糖部分、21位および22位の炭素に結合するアセチルおよび/または糖部分、その糖部分に結合するアンゲロイル基を含む化合物であって、その糖部分とアンゲロイル基がトリテルペンまたはサポゲニンに機能的に結合して化合物を形成している。
【請求項29】
少なくとも2個の糖を含む請求項28の化合物。
【請求項30】
少なくとも1個のアンゲロイル基を含む請求項28の化合物。
【請求項31】
図15Aに示された構造式(Y1-1)からなる化合物。
【請求項32】
図15Bに示された構造式(Y1-2)からなる化合物。
【請求項33】
図15Cに示された構造式(Y1-3)からなる化合物。
【請求項34】
図15Dに示された構造式(Y1-4)からなる化合物。
【請求項35】
図27に示された構造式(Y-a)からなる化合物。
【請求項36】
図28に示された構造式(Y-b)からなる化合物。
【請求項37】
図29に示された構造式(Y-c)からなる化合物。
【請求項38】
図30に示された構造式(Y1-a)からなる化合物。
【請求項39】
図31に示された構造式(Y1-b)からなる化合物。
【請求項40】
図32に示された構造式(Y1-c)からなる化合物。
【請求項41】
次の化学的名称、即ち、
3-o-[アンゲロイル-(1(3)-(-D-グルコピラノシル-(1(6)]-(-D-グルコピラノシル-28-o-[(-L-ラムノピラノシル-(1(2)-(-D-グルコピラノシル-(1(6)-(-D-グルコピラノシル-3(, 21(, 22(, 28-テトラヒドロキシオレアン-12-エン
を持つ構造式(構造式R1)からなる化合物。
【請求項42】
次の構造式、
【化2】


からなる化合物。
【請求項43】
図7に示されているようなNMRスペクトルデータ、即ちプロトンNMRスペクトルデータプロフィールを含む化合物。
【請求項44】
図8に示されているようなNMRスペクトルデータ、即ち異種核多量子相関(HMQC)プロフィールを含む化合物。
【請求項45】
図9に示されているようなプロフィールのNMRスペクトルデータ、即ち異種核多重結合相関(HMBC)を持つ化合物。
【請求項46】
図10に示されているようなNMRスペクトルデータ(COSY)プロフィールを持つ化合物。
【請求項47】
図11に示されているようなプロトンNMRスペクトルデータプロフィールを含む化合物。
【請求項48】
図12に示されているようなNMRスペクトルデータ、即ち異種核多量子相関(HMQC)プロフィールを持つ化合物。
【請求項49】
図13に示されているようなNMRスペクトルデータ、即ちプロトンNMRプロフィールを含む化合物。
【請求項50】
図14に示されているようなNMRスペクトルデータ、即ち異種核多量子相関(HMQC)プロフィールを含む化合物。
【請求項51】
図21に示されているようなNMRスペクトルデータ、即ちプロトンNMRプロフィールを含む化合物。
【請求項52】
図22に示されているようなNMRスペクトルデータ、即ち異種核多量子相関(HMQC)プロフィールを含む化合物。
【請求項53】
図23に示されているようなNMRスペクトルデータ、即ち異種核多重結合相関(HMBC)プロフィールを持つ化合物。
【請求項54】
図24に示されているようなNMRスペクトルデータ(COSY)プロフィールを持つ化合物。
【請求項55】
図25に示されているようなカーボン-13 NMRスペクトルデータプロフィールを含む化合物。
【請求項56】
図37に示されているようなプロトンNMRスペクトルデータプロフィールを含む化合物。
【請求項57】
図38に示されているようなNMRスペクトルデータ、即ち異種核多量子相関(HMQC)プロフィールを持つ化合物。
【請求項58】
図39に示されているようなプロトンNMRスペクトルデータプロフィールを含む化合物。
【請求項59】
図40に示されているようなNMRスペクトルデータ、即ち異種核多量子相関(HMQC)プロフィールを持つ化合物。
【請求項60】
図41に示されているようなプロトンNMRスペクトルデータプロフィールを含む化合物。
【請求項61】
図42に示されているようなNMRスペクトルデータ、即ち異種核多量子相関(HMQC)プロフィールを持つ化合物。
【請求項62】
図43に示されているようなNMRスペクトルデータ、即ち異種核多量子相関(HMBC)プロフィールを持つ化合物。
【請求項63】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の塩。
【請求項64】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、腫瘍細胞の増殖を阻害するための組成物。
【請求項65】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物および好適な担体を含む、腫瘍細胞の増殖を阻害するための組成物。
【請求項66】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物および薬学的に好適な担体を含む、腫瘍細胞の増殖を阻害するための組成物。
【請求項67】
患者に請求項27の組成物の有効量を投与する行程を含む、患者の卵巣癌を治療するための方法。
【請求項68】
患者に請求項27から請求項62のいずれか一項の組成物の有効量を投与する行程を含む、患者の夜尿症を治療するための方法。
【請求項69】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、膀胱を弛緩させるための組成物。
【請求項70】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、大脳皮質または小脳の応答性を改善させるための組成物。
【請求項71】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、過度の深いレベルの睡眠を抑制するための方法。
【請求項72】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、中心神経系に信号を収束させるように膀胱壁にある感覚性の伸張受容器を改善するための組成物。
【請求項73】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、膀胱組織を弛緩させるための組成物。
【請求項74】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、AChEを阻害するための組成物。
【請求項75】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、炎症を抑制するための組成物。
【請求項76】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、ウイルスを阻害するための組成物。
【請求項77】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、ヒト免疫不全ウイルスプロテアーゼに対抗して使用できる組成物。
【請求項78】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、癌細胞を阻害するための組成物。
【請求項79】
前記癌が、乳癌、白血球の癌、肝臓癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、骨癌、または脳の癌である請求項78の組成物。
【請求項80】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、血液中のコレステロールまたはトリグリセライドのレベルを減少させるための組成物。
【請求項81】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、大脳の老化を抑制するため、記憶力を改善するため、大脳の機能を改善するため、夜尿症、頻尿、尿失禁、痴呆、知能薄弱、アルツハイマー病、自閉症、脳外傷、パーキンソン病もしくは大脳の機能不全により起こる他の疾患を治療するため、関節炎、リウマチ、循環不良、動脈硬化症、レーノー症候群、狭心症、心臓病、冠血管性心臓病、頭痛、めまい、腎臓の異常、インポテンスもしくは早発射精を治療するための組成物。
【請求項82】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、膀胱の機能を改善するため、または膀胱癌を阻止するための組成物。
【請求項83】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、機敏な覚醒を促すための組成物。
【請求項84】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、抗−利尿ホルモン、即ちADHまたはその受容体の遊離、分解および取り込みを調節するための組成物。
【請求項85】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、副腎皮質刺激ホルモン、即ちACTHまたはその受容体の分泌、分解および取り込みを調節するための組成物。
【請求項86】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、5-ヒドロキシトリプタミンまたはその受容体の遊離、分解および取り込みを調節するための組成物。
【請求項87】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、アセチルコリン、即ちAchまたはその受容体の遊離、分解および取り込みを調節するための組成物。
【請求項88】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、アドレナリン、即ちADまたはその受容体の遊離、分解および取り込みを調節するための組成物。
【請求項89】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、ドーパミン、即ちDAまたはその受容体の遊離、分解および取り込みを調節するための組成物。
【請求項90】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、ノルエピネフリン、即ちNEまたはその受容体の遊離、分解および取り込みを調節するための組成物。
【請求項91】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、神経ペプチドもしくはそれらの受容体の組成、遊離、分解および活性を調節するための組成物。
【請求項92】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む、肺および膀胱の機能を改善させるための組成物。
【請求項93】
以下の行程からなるキサントセラス ソルビフォリア 薬用植物由来の化合物を単離するための方法。
(a)有機溶媒を用いてキサントセラス ソルビフォリア粉末を抽出する行程、
(b)その有機抽出液を集める行程、
(c)その有機抽出液を還流して二次抽出液を得る行程、
(d)その二次抽出液から有機溶媒を除去する行程、
(e)その二次抽出物を乾燥し、滅菌することによってキサントセラス ソルビフォリアの粗抽出物粉末を得る行程、
(f)その粗抽出物粉末を、シリカゲル、C18および他の等価の固相材料を用いたHPLCおよびFPLCクロマトグラフィーを利用して成分に分画する行程、
(g)207nmまたは254nmでの吸収波長をモニターする行程、
(h)前記粗抽出物粉末の生物活性のある成分を同定する行程、
(i)その粗抽出物粉末の一個またはそれ以上の生物活性のある成分を精製することによってその生物活性のある成分の一個またはそれ以上のフラクションを得る行程、および
(j)プレパラティブHPLCを用いて生物活性のある成分を単離する行程。
【請求項94】
前記キサントセラス ソルビフォリア粉末は、キサントセラス ソルビフォリア 薬用植物の鞘、枝、茎、葉、仁、根、樹皮、または種子の殻から調製される請求項93の方法。
【請求項95】
前記有機溶媒は、エタノール、メタノール、エーテル、クロロホルム、アルコールまたはアセトンである請求項93の方法。
【請求項96】
前記キサントセラス ソルビフォリア粉末の有機溶媒に対する比が1:2である請求項93の方法。
【請求項97】
前記(a)の抽出行程は、4-5回、各回20-35時間行われる請求項93の方法。
【請求項98】
前記(c)の還流行程は、2-3回行われる請求項93の方法。
【請求項99】
前記(c)の還流行程は、80℃で行われる請求項93の方法。
【請求項100】
前記(h)の同定行程は、MTT分析法を用いて行われる請求項93の方法。
【請求項101】
前記(i-j)の一個またはそれ以上のフラクションは、図5から6に示されているようなHPLCプロフィールを持っている請求項93の方法。
【請求項102】
前記化合物は、図19−20に示されているようなHPLCプロフィールを持っている請求項93の方法。
【請求項103】
前記化合物は、図20に示されているようなHPLCプロフィールを持っている請求項93の方法。
【請求項104】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物を含む膀胱癌を治療するための組成物。
【請求項105】
請求項27から請求項62の組成物を有効濃度で卵巣癌細胞と接触させる行程を含む卵巣ガン細胞の増殖を阻害するための方法。
【請求項106】
請求項27から請求項62の組成物の有効量を患者に投与する行程を含む卵巣癌を治療、または抑制するための方法。
【請求項107】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、患者の癌の増殖を停止させるためにWnt経路またはその受容体に関連した要素を調節する能力のある組成物。
【請求項108】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、Ras-MAPキナーゼカスケードの要素または受容体を調節する能力のある組成物。
【請求項109】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、Ras-依存性の要素またはMyc経路を調節する能力のある組成物。
【請求項110】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、患者の癌細胞の増殖を停止させるチェックポイント機構を再活性化する能力のある組成物。
【請求項111】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、過度の細胞増殖に関連する要素または受容体を調節する能力のある組成物。
【請求項112】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、患者の卵巣癌細胞の増殖を停止させるためにRasおよびMAPキナーゼに関連する要素を調節する能力のある組成物。
【請求項113】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、腫瘍細胞が分割するのを停止させるためにMyc細胞の増殖に関する要素または受容体を調節する能力のある組成物。
【請求項114】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、患者の卵巣癌または膀胱癌の細胞増殖を抑制するためにTGF-アルファの要素または受容体を調節する能力のある組成物。
【請求項115】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、患者の卵巣癌および膀胱癌の細胞増殖を抑制するためにTGF-ベータの要素または受容体を調節する能力のある組成物。
【請求項116】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、異常細胞が分割するのを抑制するためにプロテインE6およびE7を調節するとともに、プロテインRbおよびp53を放出させる能力のある組成物。
【請求項117】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、癌細胞死を起こさせるためにプロテインを調節するか、またはそのプロテインと反応する能力のある組成物。
【請求項118】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、癌細胞が分割するのを停止させるためにp53経路の要素または受容体を調節する能力のある組成物。
【請求項119】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、細胞の自殺信号から障害物を除去する能力のある組成物。
【請求項120】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、BMP、FGF、Jak-Jnk-STATもしくはJun-fosの要素または受容体を調節する能力のある組成物。
【請求項121】
請求項27から請求項62のいずれか一項の化合物の有効量を含んでいて、糖質コルチコイド受容体、エストロジェン(Oestrogen)受容体、エストロジェン(Estrogen)受容体、チロシンキナーゼ受容体、G-タンパク質リンクの受容体またはEGF受容体を調節する能力のある組成物。
【請求項122】
下記に示されているような化合物の有効量と腫瘍細胞を接触させる行程を含む、腫瘍細胞の増殖を抑制するための方法。
【化3】


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公表番号】特表2007−523058(P2007−523058A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547422(P2006−547422)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/043465
【国際公開番号】WO2005/063273
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(506096888)パシフィック アロー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】