Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
キッチン用水栓及びキッチンカウンター
説明

キッチン用水栓及びキッチンカウンター

【課題】自動的に出水位置又は方向を変化させて、シンク内の広い範囲に出水することができるキッチン用水栓及びこのキッチン用水栓を備えたキッチンカウンターを提供する。
【解決手段】キッチンカウンター500において、キッチン用水栓700の可動水栓720に、上水道から水が供給される駆動部721と、この駆動部721から水が供給され、この水を出水する出水部722とを設ける。出水部722には、連結管723及びノズル724を設け、ノズル724の側面には出水孔725を形成する。駆動部721は、供給された水の圧力又は勢いを利用して、出水部722を連結管723及びノズル724の中心軸を回動軸として往復回動運動させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い範囲に出水することができるキッチン用水栓及びこのキッチン用水栓を備えたキッチンカウンターに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、キッチンカウンターにおいては、シンクの上方に、シンク内に水を出水するキッチン用水栓が設けられている。このようなキッチン用水栓については、多数の食器を一度に洗浄する場合や大きな食器を洗浄する場合などに、出水位置又は方向を変化させることにより、シンク内の広い範囲に対して水を出水できることが好ましい。
【0003】
そこで、特許文献1には、通常の吐水ヘッドの他に、食器洗浄用の吐水管を設ける技術が提案されている。すなわち、特許文献1に記載の水栓においては、その長手方向に沿って長孔が形成された吐水管が設けられており、水を吐水ヘッドから出水させるか吐水管から出水させるかが切替え可能とされている。また、吐水管は水栓本体に対して回転自在に取り付けられている。特許文献1には、これにより、シンク内の広い範囲に出水することができると記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−027248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の水栓においては、以下に示すような問題点がある。すなわち、水をシンク内の広い範囲に出水するためには、使用者が吐水管を手動で回動させ続けなければならず、使用者の手がふさがってしまう。一方、食器を洗浄するためには、通常、使用者は両手で作業することが必要である。従って、使用者が食器を洗浄しながら、水を広い範囲に出水させることができず、不便である。
【0006】
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、自動的に出水位置又は方向を変化させて、シンク内の広い範囲に出水することができるキッチン用水栓及びこのキッチン用水栓を備えたキッチンカウンターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
供給された水を利用して往復運動を生成する駆動部と、
前記駆動部により前記往復運動が付与されると共に、前記駆動部から前記水が供給されてこの水を出水する出水部と、
を備えたことを特徴とするキッチン用水栓が提供される。
【0008】
本発明の他の一態様によれば、
前記キッチン用水栓を備えたことを特徴とするキッチンカウンターが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動的に出水位置又は方向を変化させて、シンク内の広い範囲に出水することができるキッチン用水栓及びキッチンカウンターを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るキッチンカウンターを例示する模式的斜視図である。図1は、本実施形態に係るキッチンカウンターが、一般住宅のキッチンルームに設置された例を示している。
【0011】
図1に示すように、本実施形態においては、キッチンカウンター500の上面にシンク600が設けられており、キッチンカウンター500の上面におけるシンク600の奥の片側に、張出部602が設けられており、張出部602の上面にキッチン用水栓700が設置されている。キッチン用水栓700においては、通常水栓710と、可動水栓720と、バルブ730とが設けられている。バルブ730は、上水道(図示せず)に連通され、上水道から供給された水を通常水栓710から出水させるか可動水栓720から出水させるかを切替えるものである。
【0012】
可動水栓720には、上水道から水が供給される駆動部721と、この駆動部721から水が供給され、この水を出水する出水部722とが設けられている。
出水部722においては、駆動部721に連結され、駆動部721が吐水した水が流入される連結管723と、この連結管723の下流側に連結され、連結管723を介して供給された水をシンク600内に向けて出水するノズル724とが設けられている。ノズル724は直管からなり、その一端が連結管723に連結され、その他端が封止されており、その側面には複数個の出水孔725が形成されている。
駆動部721は、供給された水の圧力又は勢いを利用して、出水部722を連結管723及びノズル724の中心軸を回動軸として往復回動運動させる。駆動部721の構成については、後で具体例を挙げて詳しく説明する。
【0013】
なお、キッチン用水栓700に連通された上水道の上流側には、例えば、ガス式又は電気式の湯沸かし器(図示せず)が設けられており、キッチン用水栓700には、所望の温度の水が供給される。すなわち、本明細書において、「水」の温度には制約がなく、所謂「冷水」及び「湯」の双方を含むものとする。また、「水」には、水道水の他に、キッチン用の水として用いられる機能水、例えば、浄水や、pHを変化させた水等も含まれる。更に、通常水栓710は、例えばレバーを操作することにより、出水させる水の温度及び流量の双方を制御することができる。なお、この通常水栓710は設けられていなくてもよい。更にまた、シンク600の底部には、排水口601が設けられており、下水道(図示せず)に連通されている。更にまた、キッチンカウンター500には、シンク600及びキッチン用水栓700の他に、洗剤用ノズル及び浄水用ノズル等が設けられていてもよく、また、これらの水回り設備の他に、作業スペース及び収納庫等が設けられていてもよい。
【0014】
次に、本実施形態に係るキッチン用水栓の動作について説明する。
キッチン用水栓700においては、バルブ730を切替えることにより、上水道から可動水栓720の駆動部721に水が供給される。これにより、駆動部721は、この水の圧力又は勢いを利用して、出水部722の連結管723及びノズル724をその中心軸を回動軸として矢印Mで示すように回動させると共に、連結管723に対して水を吐出する。連結管723に吐出された水は、連結管723内を流通してノズル724内に流入し、出水孔725から水Wとして出水する。このとき、ノズル724は往復回動運動しているため、出水孔725からの出水方向は一定の角度範囲内で反復的に変化する。この結果、シンク600内の広い範囲に対して、水を出水することができる。
【0015】
次に、本実施形態に係るキッチン用水栓の効果について説明する。
上述の如く、本実施形態によれば、駆動部721が出水部722を往復回動運動させつつ、出水部722に対して水を供給することにより、出水部722は、その出水方向を変化させつつ、水を出水することができる。これにより、シンク600内の広い範囲に対して出水することができる。また、出水方向の変化は自動的に行われるため、使用者は自由に両手を使うことができる。すなわち、ハンズフリーで広範囲に水を出水させることができる。
【0016】
これにより、例えば、多量の食器又は大型の食器にまんべんなく水をかけながら、これらの食器を洗浄することができる。この結果、食器の予洗い若しくはすすぎなどの際に流れ作業が可能となる。又は、専用の水切り籠に未洗浄の食器若しくは洗剤の泡が付いた食器を入れ、これに対して出水することにより、大量の食器の予洗い若しくはすすぎを一度に行うことが可能となる。又は、鍋などの大型の食器を洗浄する際に、鍋をほとんど動かすことなく、鍋全体に水をかけることができる。これにより、重い鍋を動かす労力を軽減できる。
【0017】
また、被洗浄物に対して様々な角度から水をかけることができるため、野菜等を洗浄する際に、野菜の様々な部分に付いた汚れを効率よく落とすことができる。更に、水の出水角度を時間的に変化させているため、ある瞬間にある部分に対して出水される水流は十分に強く、汚れを落とす効果を十分に発揮させることができる。
【0018】
これに対して、単に広い範囲を濡らすだけであれば、例えば、特許文献1に記載されているような自動的には動かない吐水管を複数本設け、吐水管を動かすことなく水を同時に広範囲に散布する方法、及び、1本の吐水管の下半分に多数の出水孔を設けて水流を分散させる方法も考えられるが、これらの方法では、それぞれの水流が弱くなってしまうため、広い範囲を濡らすことはできるものの、水流による洗浄効果は小さい。
【0019】
更に、本実施形態によれば、シンク600の奥側に配置した直管状のノズル724を回動させることにより、出水方向を変化させているため、シンク600内の広い範囲に対して出水が可能であるにもかかわらず、キッチン用水栓700を小型化し、設置スペースを節約することができる。
【0020】
更にまた、駆動部721は、上水道から供給された水の圧力又は勢いを利用して往復回動運動を生成しているため、電力を使用する必要がない。従って、モータ等を設ける必要がなく漏電対策も不要であるため、コストが低いと共にコンパクトであり、電力コストもかからない。また、往復回動運動の生成に利用した水をそのまま出水しているため、捨て水がなく経済的である。
【0021】
次に、本実施形態に係るキッチン用水栓700の駆動部721を実現するための具体例について説明する。
先ず、第1の具体例について説明する。本具体例における駆動部は、水の圧力を利用して往復回動運動を生成する容積型の駆動部である。
図2は、本具体例の駆動部を例示する斜視図であり、
図3は、本具体例の駆動部を例示する斜視断面図であり、
図4(a)は、この駆動部を底面側から見た斜視図であり、(b)はその斜視断面図であり、
図5は、本具体例に係る駆動部を側方から見た断面図であり、
図6は、図5に示すA−A’線による断面図である。
また、図7は、の具体例に係る駆動部における主弁及びスライドバーを例示する斜視図である。
【0022】
本具体例に係る駆動部100は、図1に示す駆動部721の具体例である。駆動部100においては、ハウジング102が設けられている。ハウジング102は、枠状のハウジング本体103の両側に、ハウジング蓋104及び105がそれぞれ連結されて、内部が中空になるように形成されている。また、ハウジング102の一方の側、すなわち、ハウジング蓋104が配置されている側からは、ハウジング蓋104を貫通して吐水筒体180が突出している。吐水筒体180は、内部に吐水流路182を有する中空構造となっており、その先端は開口しており、図1に示す連結管723に連通されている。後述するように、ハウジング102に設けられた入水口112、114に水を導入すると、吐水筒体180がその中心軸を回動軸として、矢印Mの方向に往復回動運動する。
【0023】
次に、駆動部100の内部構造について説明する。
図3乃至図6に示すように、ハウジング本体103及びハウジング蓋104、105により形成される扇状のハウジング空間に、中子本体121と中子蓋122とからなる中子(なかご)120が吐水筒体180を中心軸として回動可能に収容されている。すなわち、中子120は、ハウジング102内を貫通する吐水筒体180に連結され、扇状のハウジング空間内を第1の圧力室116と第2の圧力室118とに分割して回動する。なお、図6においては、中子120から見て第1の圧力室116が図示の向かって右側に配置され、第2の圧力室118が図示の向かって左側に配置されている。これに基づき、以下、説明の便宜上、中子120から見て圧力室116側を単に「右側」ともいい、圧力室118側を単に「左側」ともいう。
【0024】
これら圧力室116、118のそれぞれには、入水口112、114からそれぞれ水が導入される。中子120とハウジング102の内壁との摺動部には、液密を維持しつつ摺動を円滑にするためのシール127が設けられている。また、吐水筒体180とハウジング102との摺動部にも、同様の目的でシール126が設けられている。これらシール127、126の材料も、液密を維持しつつ摺動を円滑にするものであり、例えば、テフロン(登録商標)、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)やPOM(ポリアセタール)などを用いることができる。なお、ここでいう「液密」とは、左右の圧力室に圧力差を生じさせるに足る状態を確保できればよい。
【0025】
次に、中子120の構造について説明する。
中子120の中部には、中子内流路124が形成されており、この中子内流路124は、吐水筒体180に設けられた吐水流路182に連通している。また、中子120には、中子内流路124と圧力室116、118とを連通させる導入口132、134が設けられている。そして、この中子内流路124を横断するように、弁体としての主弁142、144が設けられている。主弁144が中子120から離れる方向に移動すると、導入口134が開かれ、主弁142が中子120から離れる方向に移動すると、導入口132が開かれる。
【0026】
図7に示すように、左右の主弁142、144は連結棒149により連結され、中子本体121及び中子蓋122に設けられた導入口132、134を貫通して左右に移動可能に設置されている。つまり、主弁142、144は、中子120に対して、所定のストロークで左右に移動可能に設置されている。主弁142、144にはリブ143が形成されており、主弁142、144が導入口132、134に対して同軸に移動するように構成されている。主弁142、144がそれぞれ中子120から離れる方向に移動すると、これらリブ143の間に設けられている溝部145が導入口132、134の開口部となり、水路を形成する。
【0027】
また、駆動部100には、主弁142、144の動作を制御する制御手段が設けられている。後述するように、制御手段は、スライドバー146、148及び板ばね160により構成されている。制御手段は、中子120がその移動域における圧力室116側の端部に到達したときに、圧力室116内の圧力を圧力室118内の圧力よりも高くし、中子120がその移動域における圧力室118側の端部に到達したときに、圧力室118内の圧力を圧力室116内の圧力よりも高くするように、主弁142及び144を作動させて導入口132及び134の開度を変更するものである。すなわち、圧力室116内の圧力と圧力室118内の圧力とが等しくなる状態を挟んで、圧力室116及び118内の圧力の大小関係が逆転するように、導入口132及び134の開度を変更させるものである。
【0028】
より具体的には、制御手段は、中子120がその移動域における圧力室116側の端部に到達したときに、圧力室116から中子内流路124までの流路抵抗が、圧力室118から中子内流路124までの流路抵抗よりも大きくなるように、主弁142及び144を作動させて導入口132及び134の開度を変更し、中子120がその移動域における圧力室118側の端部に到達したときに、圧力室118から中子内流路124までの流路抵抗が、圧力室116から中子内流路124までの流路抵抗よりも大きくなるように、主弁142及び144を作動させて導入口132及び134の開度を変更する。
【0029】
なお、本明細書において、導入口の「開度」とは、導入口と弁体との間を流れる水の流路抵抗を決定するパラメータであるものとする。例えば、図6に表した状態においては、導入口132と主弁142との間に形成される流路の流路抵抗は、導入口134と主弁144との間に形成される流路の流路抵抗よりも高い。この場合、導入口132の開度は、導入口134の開度よりも小さいものとする。また、中子120の移動域とは、駆動部100を作動させたときに中子120が実際に移動する空間をいう。また、移動域の端部とは、中子120の移動方向における端部をいう。
【0030】
次に、制御手段の具体的な構成について説明する。上述の如く、制御手段は、スライドバー146、148及び板ばね160により構成されている。板ばね160は、その両端が相互に近づく方向に押圧された状態で中子本体121に支持されており、その中央部が右側に凸になるように湾曲した状態及び左側に凸になるように湾曲した状態の2つの状態が安定状態となる。また、スライドバー146、148は、主弁142、144を同軸状に貫通し、板ばね160を挟んで相互に連結されている。スライドバー146、148の長さは主弁142、144の長さよりも長く、このため、スライドバー146、148は、主弁142、144の動作ストロークよりも長いストロークで左右に移動可能に設置されている。
【0031】
導入口132、134の開度を変化させる主弁142、144の動作は、スライドバー146、148により決定される。すなわち、図3及び図5に示すように、左右のスライドバー146、148は圧縮された板ばね160をはさんで連結され、板ばね160の湾曲方向に応じて右端あるいは左端に向けた付勢力を受ける。これにより、スライドバー146、148は、板ばね160に付勢されて中子に対して相対的に移動し、このスライドバー146、148の移動により、主弁142、144も中子に対して相対的に移動し、導入口132、134を全開状態あるいは全閉状態のいずれかに択一的に制御する。
【0032】
以下、本具体例の駆動部の動作について説明する。
図8(a)乃至(c)は、本具体例の駆動部の動作を説明するための模式図である。
まず、同図(a)は、スライドバー146、148が板ばね160(図3参照)の作用により向かって左側に向けて付勢された状態を表す。この時、主弁142、144もスライドバー146により左側に向けて付勢されるので、導入口132は閉じ、導入口134が開いた状態が形成される。
【0033】
この状態で入水口112、114にほぼ同圧に水を供給すると、矢印Aで表したように入水口114から圧力室118に導入された水は、矢印Cで表したように導入口134から中子内流路124に流入し、矢印Dで表したように吐水流路182を介して流出する。これに対して、矢印Bで表したように入水口112から圧力室116に導入された水は、導入口132が閉じているために流出経路がない。このため、圧力室116の圧力は圧力室118の圧力よりも高くなる。つまり、導入口132、134の開度に差を設けることにより流路抵抗に差が生じ圧力差が生ずる。その結果として、中子120は矢印Mの方向に押されて回動する。
【0034】
なお、中子120が矢印Mの方向に移動すると、圧力室116の容積が増大し、その分だけ圧力室118の容積が縮小する。このため、矢印Bの経路による圧力室116への水の流入量の分、圧力室118内の水も押し出され、流路182から流出する水の吐水量に含まれることとなる。
【0035】
そしてさらに中子120が回動を続け、スライドバー148がハウジング102の内壁に当接し、中子120に対して押されると、板ばね160の湾曲方向が反転し、図8(b)に表したように、スライドバー146、148は、反対側に向けて付勢される。すると、スライドバー148が主弁144を押すことにより、主弁142、144も右側(向かって時計回り方向)に移動する。すなわち、導入口132が開き、導入口134が閉じる。
【0036】
図8(b)に表した状態においては、矢印Bで表したように入水口112から圧力室116に導入された水は、矢印Cで表したように、導入口132から中子内流路124に流入し、矢印Dで表したように吐水流路182を介して流出する。これに対して、矢印Aで表したように、入水口114から圧力室118に導入された水は、導入口134が閉じているために流出経路がない。その結果として、圧力室116、118に圧力差が生じ、中子120は矢印Mで表したように右側に向けて回動を開始する。
【0037】
中子120がさらに回動すると、図8(c)に表したように、スライドバー146がハウジング102の内壁に当接する位置まで移動する。この状態からさらに中子120が移動し、スライドバー146が中子120に対して押されることにより、板ばね160の湾曲方向が反転して、反対側に付勢される。すると、図8(a)に表した状態と同様に、導入口132が閉じて導入口134が開いた状態となり、中子120は左側に向けて回動を開始する。
【0038】
次に、本具体例における制御手段の作用についてさらに詳しく説明する。
図9(a)乃至(d)は、本具体例における制御手段の動作を説明するための模式図である。
すなわち、同図(a)は、板ばね160が向かって右側が凸になるように湾曲してスライドバー146、148をこの方向に付勢している状態を表す。この時、主弁142により導入口132は閉じ、主弁144により導入口134は開いた状態とされる。
【0039】
この状態で中子120が向かって右側に移動していくと、同図(a)に表したようにハウジング102の内壁にスライドバー148が当接する。中子120には圧力差が働いているため、スライドバー148をハウジング内壁に当接した状態で、中子120はさらに右に移動し、図9(b)に表した状態になる。すなわち、板ばね160の付勢力に打ち勝って中子120とスライドバー148との相対位置を変化させ、中子120に対してスライドバー148が押される。この結果、板ばね160も左側に押されて変形し、同図に例示したような略S字状の状態となる。このとき、主弁142、144には中子120と同様に圧力差が働いており、導入口132、134の開閉状態を変化させない。
【0040】
この後、中子120がさらに移動することにより、中子120に対してスライドバー148がさらに押されると、図9(c)に表したように、板ばね160の湾曲方向が左側に反転を開始し、スライドバー146、148を左側に付勢する。
すると、図9(d)に表したように、板ばね160の付勢力によって主弁142、144が左側に移動し、導入口132が全開となり導入口134が全閉の状態となる。
【0041】
以上説明したように、本具体例においては、圧縮した板ばね160の湾曲方向をスライドバー146、148により適宜反転させ、その付勢力を利用して主弁142、144を動作させることにより導入口132、134を全開及び全閉のいずれかの状態に択一的に制御する。つまり、板ばね160の付勢力を利用することで、中子120の反転のために左右の導入口132、134の開度差を確実に形成している。
【0042】
スライドバー146、148を介して主弁142、144を制御する本具体例の機構は、駆動部100の円滑な動作に対して極めて重要な役割を果たす。すなわち、圧縮された板ばね160は、右側あるいは左側に湾曲した状態が安定状態であるが、図9(b)に表したようにこれら安定状態の中間付近において、準安定な中立状態となる場合がある。この状態においては、板ばね160には、左あるいは右への付勢力があまり発生しない。従って、この状態において、仮に導入口132、134の開度がほぼ同一の状態となると、中子の両側の導入口132、134から水が流入するために圧力差が無くなり、中子120の移動が停止してしまう。つまり、主弁142、144の移動開始のタイミングが板ばね160の反転のタイミングよりも早いと、中子120の動作が停止してしまうことがある。
【0043】
これに対して、本具体例によれば、スライドバー146、148を設け、そのストロークを適宜調整することにより、図9(b)のような準安定な中立状態においては、主弁142、144がまだ移動せず、中子120に圧力がかかって動き続ける状態を維持できる。そして、この中立状態を越えて板ばね160が反転を開始した時に主弁142、144が移動を始めるようにすることができる。つまり、主弁142、142の移動開始のタイミングを、板ばね160の反転のタイミングに同期させることができる。
【0044】
言い換えれば、中子120を移動させるに足る開度差がなくなる前に板ばね160を反転させ、その反転力(付勢力)によりスライドバー146、148を介して主弁142、144を移動させ、導入口132、134の開度差を、中子120を逆方向に移動させるに足る開度差に逆転させることができる。
【0045】
このようにすれば、板ばね160が中立状態の時に導入口132、134の開度がほぼ等しい状態となり中子120が停止してしまう、という問題を解消して、円滑な反復運動を実現できる。
【0046】
また、このようにすると、中子120がその移動ストロークの中間付近などに停止している状態から出水を開始させるような場合においても、出水開始時に板ばね160により主弁142、144を制御して導入口132、134のいずれかが択一的に開かれた状態にあり、中子120の両側に圧力差を形成させて安定した初期動作を開始させることができる。つまり、導入口132の開度よりも導入口134の開度が大なる状態と、導入口134の開度よりも導入口132の開度が大なる状態と、を択一的に保持可能とすることができる。
【0047】
以上説明したように、本具体例においては、中子120の移動方向と、主弁142、144の可動方向、スライドバー146、148の可動方向、板ばね160の付勢方向を略同一とすることにより、力の働き方に無駄がなく、受圧面積の大きな中子の移動力を有効に活用でき、円滑かつ安定した動作が可能となる。つまり、中子120の移動動作と開度制御動作とを連動させることにより、中子120の反転のための導入口132、134の開度の大小関係を逆転させる制御動作を確実且つ容易なものとし、シンプルでコンパクトな弁体と制御手段を実現している。これにより、中子120の移動に応じて導入口の開度差の大小関係を適宜逆転させ、中子120を左右に反復的に動作させることができる。
【0048】
すなわち、中子120を動かすためには、導入口132、134の開度に差を設けて移動に必要な圧力差を生じさせればよい。また同様に、中子120の移動方向を反転させる際にも、制御手段によって、導入口132、134の開度の大小関係を逆転させればよい。例えば、導入口132及び134の開度の比率を制御手段によって、70:30から30:70に変化させることにより、反転動作が可能である。またさらに、制御手段によって、開度を100:0から0:100に変化させれば、最も確実且つ安定的反転動作が可能となる。
【0049】
また、本具体例によれば、電気などの機械動力を必要とせず、水等の供給圧力のみで円滑な往復反転運動が可能となり、電源の設置や感電あるいは漏電など対する対策が不要となる。また、電磁ノイズなどの外乱にも影響されず円滑な動作が可能である。
【0050】
更に、本具体例によれば、主弁142、144や制御手段が中子120に付属して設けられているので、例えば外付けの4方弁などが不要となり、シンプルな構成で円滑な往復反転運動を実現できる。その結果として、小型化が容易となり、また流路がシンプルになるため、圧力損失を抑えることができ、吐水量や吐水圧を確保できる点でも有利である。また、主弁142、144や制御手段がハウジング102の中に内蔵されている構造であるため、外乱に強く円滑な動作を実現できる。更にまた、給水に関しても、同一の給水源から分岐して2つの入水口に接続するだけでよく、施工性に優れる。更にまた、移動する中子と吐水筐体の内部に水路が形成されているため、吐水筐体の先端に様々なノズル又はスパウトなどを接続するだけで出水角度を変化させることが可能であり、特別な接続部材が不要である点でも、施工性が優れる。特に、キッチンルームにおいて、既存の設備の上に「後付け」で取り付ける場合においても、本具体例の駆動部は施工性が優れる点で有利である。
【0051】
なお、本具体例における中子120の回動運動のストローク(回動角度)は、ハウジング102の扇状空間の開き角度により適宜設定できる。これにより、シンクの大きさや水はねを考慮して、出水範囲を任意に設定することができる。
【0052】
また、回動動作により得られる推力は、中子120に付加される水圧と中子の受圧面積との積により決定される。従って、中子120の受圧面積を増加させれば、それに応じた大きな推力を得ることが可能となる。
【0053】
なお、本具体例の場合、中子120の反転に際して、スライドバー146、148をハウジングの内壁に当接させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、スライドバー146、148に磁石を設け、一方、ハウジングの内壁にも磁石を設け、これらの間に作用する反発力を利用してスライドバー146、148をハウジングに対して相対的に停止させることも可能である。この場合には、図9(a)乃至(c)に対応する状態において、スライドバー146、148がハウジング102の内壁に当接せず、磁石(図示せず)の反発力によりハウジング102の内壁から所定の距離だけ離れた状態にあることとなる。このようにすれば、非接触で中子120の反転が可能となる。これにより、例えば、中子の往復運動を滑らかにしたり、スライドバーがハウジングに接触して音が発生することを防止できる。なお、この場合、中子の移動域とは、仮に磁石がなければ中子が移動したはずの空間ではなく、中子が実際に移動する空間をいう。
【0054】
次に、本実施形態の第2の具体例について説明する。本具体例においては、導入口132、134の開度の大小関係を逆転させる制御手段として、前述の第1の具体例のような板バネ及びスライドバーではなく、磁石を利用する。
図10(a)乃至(d)は、本具体例における制御手段の動作を示す模式図である。
【0055】
図10(a)は、中子120が向かって左側から右側に向けて移動し、ハウジング102の内壁に主弁144が当接した状態を表す。本具体例の場合、中子120には磁石170が設けられ、ハウジング102には磁石174が設けられている。なお、本具体例においては、磁石170と磁石174との間の引力を利用するため、磁石170及び174のうちの一方は、強磁性体に置き換えてもよい。
【0056】
図10(a)に示す状態においては、中子120に対して圧力差による力が働くので、中子120はさらに右側に移動する。すなわち、主弁144をハウジング102に当接させ移動方向に対して固定した状態で、中子120はさらに右側に移動する。
【0057】
すると遂には図10(b)に表した状態になる。この状態においては、導入口132、134の開度はほぼ同一であるので、流路抵抗の差による圧力差は生じない。しかしこの時、磁石170と磁石174との間に作用する引力によって中子120をさらに右側に引き寄せることが可能である。
【0058】
なおこの場合、中子120の摺動抵抗の値によっては、図10(b)に表した状態になる前に中子120が停止することもあり得る。このような場合には、図10(a)と図10(b)の間の状態において磁石170と磁石174との間に作用する引力により中子120を引き寄せることが望ましい。
【0059】
図10(b)に表した状態から中子120が磁石の引力によって右側に引き寄せられると、図10(c)に表したように導入口132の開度が導入口134の開度よりも大きい状態が形成される。すると、これら導入口132、134の流路抵抗に差が生じ、圧力差が生ずる。すなわち、中子120の右側の圧力のほうが高くなり、中子120は向かって左側に動き始める。つまり、導入口132、134の開度差の大小関係を逆転させることにより、中子120を反転させることが可能となる。
【0060】
またこの時、圧力差は主弁144にも作用し、主弁144を閉じる方向の力が働く。その結果として、図10(d)に表したように、主弁144が完全に閉じられ、中子120の右側の圧力は最大値に上昇する。つまり、中子120を反転させた後、左側への最大の駆動力が得られる。
【0061】
以上説明したように、磁石170と磁石174との間に作用する引力によって、中子120を図10(c)に表した状態まで引き寄せることができれば、導入口132、134の開度差の大小関係を逆転させることができ、中子120を反転させることができる。つまり、中子120をハウジング102の中で往復直線運動させることができる。
【0062】
なお、この場合、中子120は、反転後に磁石の引力に打ち勝って移動する必要がある。つまり、圧力差により中子120に作用する力と、磁石により得られる引力とのバランスを適宜設定することが望ましい。
【0063】
また、本具体例においては、主弁142、144の表面(ハウジング102との当接面)は曲面状に突出し、ハウジング102に当接した状態でも隙間が生ずるようにしている。このように、ハウジング102への当接面積を小さくすることによって、弁体が受ける圧力差を有効に活用でき、開度の大小を逆転させるという弁体の反転動作を円滑に行うことができる。
【0064】
なお、本具体例においては、中子120の反転に際して、主弁142、144をハウジング102の内壁に当接させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、主弁142、144に磁石を設け、一方、ハウジング102の内壁にも磁石を設け、これらの間に作用する反発力を利用して主弁142、144をハウジング102に対して相対的に停止させることも可能である。つまりこの場合には、図10(a)乃至(c)に対応する状態において、主弁142、144がハウジング102の内壁に当接せず、磁石(図示せず)の反発力によりハウジング102の内壁から所定の距離だけ離れた状態にあることとなる。このようにすれば、非接触で中子を反転させることができる。
【0065】
次に、本実施形態の第3の具体例について説明する。本具体例に係る駆動部は、供給される水の勢いを利用して、往復回動運動を生成するものである。
図11は、本具体例に係る駆動部の羽根車室を例示する平面図であり、
図12は、本具体例に係る駆動部の歯車室を例示する平面図であり、
図13は、本具体例に係る駆動部の羽根車及び歯車を例示する模式的斜視図である。
なお、便宜上、図11及び図12においては、歯車は図示を省略されている。また、図13においては、羽根車、歯車及び軸以外の構成要素は図示を省略されている。
【0066】
本具体例に係る駆動部200においては、円筒形の水密容器であるハウジング201が設けられている。ハウジング201は、底板201a、側板201b及び天板(図示せず)からなり、底板201aには羽根車室202が掘り込まれており、底板201aの上方が歯車室203となっている。羽根車室202と歯車室203とは、底板201aの上面に連結された中蓋204により仕切られており、中蓋204には、水を通すための開口部205が形成されている。また、側板201bには入水管206が取り付けられている。入水管206の内部は入水流路207となっており、羽根車室202に連通されている。
【0067】
羽根車室202内には、羽根車211が底板201aに軸支されて、回転自在に設けられている。羽根車211の回転軸が延びる方向は、底板201aから天板に向かう方向である。以下、本具体例においては、この方向を「軸方向V」という。羽根車211の中心部からは、軸方向Vに沿って軸212が延出しており、軸212の先端部は歯車213となっている。なお、軸212は中蓋204を貫通しており、歯車213は歯車室203内に位置している。
【0068】
歯車室203には、後述するように複数個の歯車が収納されている。いずれの歯車も、中蓋204に回転自在に軸支されており、その回転軸は軸方向Vに延びている。これらの歯車は、歯車室203内で3層に分かれて配置されている。最下層である第1層には、前述の歯車213の他に、その直径が歯車213よりも大きく、相互に同形な1対の歯車214及び215が設けられている。歯車213は歯車215には接しておらず、歯車214のみに係合している。また、歯車214は歯車215に係合している。従って、歯車214と歯車215とは、相互に逆回転することになる。
【0069】
歯車214の中心からは、軸方向Vに沿って軸216が延出しており、その先端部は歯車217となっている。歯車217の直径は歯車214の直径よりも小さい。同様に、歯車215の中心からは、軸方向Vに沿って軸218が延出しており、その先端部は歯車219となっている。軸216と軸218とは相互に同形であり、歯車217と歯車219とは相互に同形であり、従って、歯車214、軸216及び歯車217が同軸に連結された部品と、歯車215、軸218及び歯車219が同軸に連結された部品とは、相互に同形である。
【0070】
歯車217及び219は、中間層である第2層に位置している。第2層には、これらの歯車217及び219の他に、その直径がほぼ歯車214及び215の直径と等しく、相互に同形の1対の歯車221及び222が設けられている。そして、歯車217は歯車221に係合しており、歯車219は歯車222に係合している。従って、歯車221と歯車222とは、相互に逆回転する。
【0071】
歯車221の中心からは、軸方向Vに沿って軸223が延出しており、その先端部には、扇形の歯車224が取り付けられている。歯車224の半径は歯車221の半径よりもやや小さく、その中心角は180度未満であり、例えば約135度である。同様に、歯車222の中心からは、軸方向Vに沿って軸225が延出しており、その先端部には、扇形の歯車226が取り付けられている。軸223と軸225とは相互に同形であり、歯車226と歯車224とは相互に同形である。従って、歯車221、軸223及び扇形の歯車224が同軸に連結された部品と、歯車222、軸225及び扇形の歯車226が同軸に連結された部品とは、相互に同形である。なお、扇形の歯車224及び226の中心角は、駆動に求められる所望の回動角度に合わせて適宜設定すればよい。
【0072】
2つの扇形の歯車224及び226は、最上層である第3層に位置している。第3層には、これらの扇形の歯車224及び226の他に、1個の円形の歯車227が設けられている。歯車227の半径は、扇形の歯車224及び226の半径と等しい。そして、扇形の歯車224及び226は、歯車227に交互に係合するように配置されている。
【0073】
歯車227の軸228は内部が中空となっており、その中心軸に沿って吐水流路229が形成されている。軸228における第1層に位置する部分には、吐水流路229を軸228の外部に連通する2つの導入口230が形成されている。一方、軸228の上端部は、ハウジング201の天板を貫通して、ハウジング201の外部に突出している。これにより、歯車室203は、吐水流路229を介して、駆動部200の外部に連通されている。
【0074】
次に、本具体例に係る駆動部200の動作について説明する。
矢印W1に示すように、入水管206の入水流路207に水が供給されると、この水は羽根車室202内に羽根車221の接線方向に流入し、羽根車211を回転させる。図11〜図13に示す例では、この回転方向は軸方向Vから見て反時計方向である。これにより、羽根車211に連結された歯車213が反時計方向に回転し、歯車213に係合された歯車214が時計方向に回転する。このとき、歯車214の回転速度は歯車213の回転速度よりも低くなり、トルクは大きくなる。また、歯車214に係合された歯車215が、歯車214と同じ回転速度で反時計方向に回転する。これにより、歯車214に連結された歯車217が時計方向に回転し、歯車215に連結された歯車219が反時計方向に回転する。
【0075】
そして、歯車217に係合された歯車221が反時計方向に回転し、歯車219に係合された歯車222が時計方向に回転する。このとき、歯車221及び222の回転速度は歯車217及び219の回転速度よりも低くなり、トルクは大きくなる。これにより、歯車221に連結された扇形の歯車224が反時計方向に回転し、歯車222に連結された扇形の歯車226が時計方向に回転する。
【0076】
そして、前述の如く、2つの扇形の歯車224及び226は交互に歯車227に係合する。このため、歯車227は、歯車224が係合しているときは時計方向に回転し、歯車226が係合しているときは反時計方向に回転する。この結果、歯車227は往復回動運動を行う。これにより、歯車227に連結された軸228も、往復回動運動を行う。
【0077】
また、このとき、羽根車211を回転させた水は、中蓋204の開口部205を介して歯車室203内に流入し、さらに、矢印W2に示すように導入口230を介して軸228内の吐水流路229内に流入し、矢印W3に示すように、軸228の上端部から吐水される。従って、軸228の吐水流路を図1に示す連結管723に連通することにより、第1の実施形態に係るキッチン用水栓700(図1参照)を実現することができる。
【0078】
本具体例においても、前述の第1及び第2の具体例と同様に、上水道から供給される水を利用して、出水部722(図1参照)に往復回動運動を付与することができる。
なお、前述の第1及び第2の具体例に係る容積型の駆動部は、水の圧力を利用して往復回動運動を生成しているが、本具体例に係る羽根車型の駆動部は、水の勢いを利用して往復回動運動を生成している。このため、本具体例に係る駆動部は、第1及び第2の具体例と比較して、高い回転速度を得やすい反面、大きなトルクを得ることがやや困難である。但し、回転速度とトルクとのバランスは、羽根車の設計や歯車の係合比の選択により、ある程度調節することができる。
【0079】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図14及び図15は、本実施形態に係るキッチン用水栓を例示する模式的斜視図であり、図14は、可動水栓を使用する場合を示し、図15は、通常水栓を使用する場合を示す。なお、図14及び図15において、図1に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0080】
図14に示すように、本実施形態におけるキッチンカウンター501は、前述の第1の実施形態におけるキッチンカウンター500と比較して、シンク610の構成が異なっている。すなわち、シンク610の奥側中央部に張出部611が形成されており、張出部611の上面にターンテーブル612が所定の角度範囲で回動可能に設けられている。そして、ターンテーブル612に、通常水栓710及び可動水栓720からなるキッチン用水栓700が取り付けられている。通常水栓710及び可動水栓720は、ターンテーブル621の中心から見て、通常水栓710のスパウトと可動水栓720のノズル724とが例えば相互に90度離隔した方向に延びるように配置されている。また、張出部611の上面におけるターンテーブル612が設けられていない領域には、水を通常水栓710から出水させるか可動水栓720から出水させるかを切替えるバルブ730が設けられている。通常水栓710及び可動水栓720の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。すなわち、可動水栓720の駆動部721には、例えば、前述の第1の実施形態の第1〜第3の具体例に係る駆動部のいずれかを使用することができる。
【0081】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図14に示すように、可動水栓720を使用する際には、ターンテーブル612の角度を調節して、可動水栓720のノズル724を手前側に引き出す。このとき、通常水栓710はシンク610の奥側に位置する。この状態で、バルブ730を切替えて、上水道から可動水栓720に水を供給する。これにより、駆動部721は、出水部722の連結管723及びノズル724をその中心軸を回動軸として矢印Mで示すように往復回動させると共に、ノズル724の出水孔725から水を出水させる。このとき、ノズル724は往復回動運動しているため、出水孔725からの出水方向は、一定の角度範囲内で反復的に変化する。この結果、シンク610内の広い範囲に対して、水を出水することができる。
【0082】
なお、このとき、ノズル724を往復回動させながら、手動によりターンテーブル612を回動させてもよい。これにより、ノズル724の自動的な往復回動運動に、手動によるターンテーブル612の回動運動が重畳され、より広い範囲に対して水を出水させることができる。
【0083】
一方、図15に示すように、通常水栓710を使用する際には、ターンテーブル612を回動させて、通常水栓710を手前側に引き出す。このとき、可動水栓720はシンク610の奥側に移動する。この状態で、バルブ730を切替えて、上水道から通常水栓710に水を供給する。
【0084】
このように、本実施形態によれば、ターンテーブル612を設けることにより、通常水栓710及び可動水栓720のうち、使用する方を手前側に引き出すと共に、使用しない方を奥側に位置させることができる。これにより、使用していない水栓が洗浄作業の邪魔になることがない。また、可動水栓720による洗浄作業中に、ターンテーブル612を手動で回動させれば、より広い範囲に対して水を出水させることができる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0085】
なお、ターンテーブル612の回動角度範囲は、図14に示すようにノズル724を手前側に引き出した状態と、図15に示すように通常水栓710を手前側に引き出した状態と、が選択可能となるような角度範囲であることが望ましく、例えば90度以上であることが望ましい。また、ノズル724から出水させながら、ターンテーブル612を手動で回動させてより広い範囲に対して出水させるためには、ターンテーブル612の回動角度範囲は90度よりも大きいことが好ましく、例えば、180度であることが好ましい。回動角度範囲を180度とすることにより、ノズル724を、シンク610の一方の奥側から他方の奥側までの範囲で回動させることができ、シンク610の全域をカバーすることができる。
【0086】
また、本実施形態において、可動水栓720にノズル724を複数本設けてもよい。このとき、例えば、複数本のノズル間において、中心軸が延びる方向を相互に異ならせて、複数本のノズルを駆動部721を中心とした扇形に配置してもよい。これにより、より一層広い範囲に対して出水させることができる。
【0087】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図16は、本実施形態に係るキッチン用水栓を例示する模式的斜視図である。なお、図16において、図1に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図17は、本実施形態に係るキッチン用水栓の配管を例示する模式図である。
【0088】
図16に示すように、キッチンカウンター502の上面には、シンク620が設けられている。上方から見て、シンク620の外縁の形状は手前側に凸の半円形である。そして、シンク620の奥側中央部には、張出部621が形成されている。上方から見て、張出部621の外縁、すなわちシンク620の内縁の形状も、手前側に凸の半円形であり、シンク620の外縁をなす半円の中心と張出部621の外縁をなす半円の中心とは相互に一致している。このため、上方から見て、シンク620の形状は半環状となっている。
【0089】
そして、張出部621には、可動水栓720が設けられている。可動水栓720における駆動部721は張出部621の内部に収納されている。また、駆動部721からはスパウト726が上方に引き出されている。スパウト726は張出部621の上面を貫通しており、その大部分が張出部621の上方に位置している。スパウト726は、駆動部721に連結されている側のほぼ半分が直管状であり、他方側のほぼ半分が半円状に湾曲しており、全体としてJ字形の曲管をなしている。そして、スパウト726における駆動部721に連結されていない側の端部が、下方に向いた出水口727となっている。
【0090】
図17に示すように、駆動部721には、例えば、前述の第1の実施形態の第1又は第2の具体例に係る容積型の駆動部を使用することができる。従って、駆動部721には、上水道800に連結された2つの入水口112及び114が設けられており、上水道800には、入水口112及び114に水を供給するか否かを切替える開閉バルブ731が設けられている。また、駆動部721には、2つの圧力室間をバイパスするバイパス管732が設けられており、バイパス管732には、バイパス管732に水を流すか否かを切替えるバイパスバルブ733が設けられている。図16に示すように、開閉バルブ731及びバイパスバルブ733は、張出部621の上面に取り付けられている。
【0091】
また、本実施形態に係るキッチン用水栓には通常水栓は設けられておらず、キッチンカウンター502の上面におけるシンク620以外の領域は、作業スペース503となっている。
【0092】
次に、本実施形態の動作について説明する。
開閉バルブ731を開くことにより、上水道800から駆動部721に水が供給される。そして、スパウト726を回動させたいときは、バイパスバルブ733を閉じる。これにより、駆動部721が、スパウト726をその駆動部721側の端部の中心軸を回転軸として、矢印Mに示すように往復回動運動させる。また、駆動部721は、スパウト726の出水口727から下方に向けて水を出水させる。これにより、シンク620のほぼ全域に対して、水を出水することができる。
【0093】
一方、スパウト726を回動させずに、一ヶ所で出水させたいときには、バイパスバルブ733を開く。これにより、駆動部721内の2つの圧力室間の圧力差が解消され、スパウト726の回動運動が停止する。これにより、出水口727を任意の位置に固定した状態で、水を出水させることができる。
【0094】
本実施形態によれば、スパウト自体を回動させ、シンクの広さをほぼ着水範囲に限定することにより、作業スペースを広くとることができる。また、本実施形態によれば、スパウトを曲管により構成することにより、スパウトの出水口をスパウトの回動軸から外れた位置に配置し、スパウトの自転運動を出水口の公転運動に変換して、出水口の位置を円弧状の軌道に沿って反復的に移動させることができる。
なお、本明細書において、「曲管」とは、部分的に直線状の部分があっても、少なくとも一ヶ所で湾曲又は屈曲した管をいい、例えば、直管の一ヶ所を屈曲させて形成したL字形の管、及び直管の二ヶ所を屈曲させて形成したコ字形の管も「曲管」に含まれる。
本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0095】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図18は、本実施形態に係るキッチン用水栓を例示する模式的斜視図である。
図18に示すように、キッチンカウンター504の上面には、シンク630が設けられており、キッチンカウンター504上におけるシンク630の奥側の両側方には、キッチン用水栓740が設けられている。すなわち、キッチン用水栓740は、通常水栓710と可動水栓750とからなり、通常水栓710はシンク630の一方の側方に配置されており、可動水栓750はシンク630の他方の側方に配置されている。通常水栓710と可動水栓750とは、給水配管が別系統となっている。なお、図18においては、通常水栓710がシンク630の向かって右側に配置され、可動水栓750がシンク630の向かって左側に配置された例を示したが、この配置は任意であり、通常水栓が左側、可動水栓が右側に配置されていてもよい。
【0096】
可動水栓750においては、駆動部751が設けられており、駆動部751における通常水栓710側の面からは、出水部としてのノズル752が引き出されている。ノズル752は短辺部分752a及び長辺部分752bからなるL字形状をなしている。すなわち、ノズル752は、その短辺部分752aが駆動部751から一旦通常水栓710側に引き出された後、ほぼ直角に屈曲して、その長手部分752bが手前側に延びている。ノズル752の長辺部分752bには、その長手方向に沿って複数個の出水孔(図示せず)が形成されている。なお、出水孔として、長辺部分752bの長手方向に延びる長孔が形成されていてもよい。また、ノズル752は駆動部751に対して、短辺部分752aの中心軸を回転軸として回転可能に取り付けられている。
【0097】
また、可動水栓750においては、駆動部751を支持する支持部753a及び753bが設けられており、支持部753a内には、上水道(図示せず)から駆動部751に水を供給する配管(図示せず)が挿通されている。この配管の途中には、水を駆動部751に供給するか否かを切替える開閉バルブ754が設けられている。この開閉バルブ754は支持部753aの側面に取り付けられている。
【0098】
駆動部751は、ノズル752を、その短辺部分752aが延びる方向に沿って往復直線運動させる。駆動部751の構成については、後で具体例を挙げて詳しく説明する。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0099】
次に、本実施形態の動作について説明する。
開閉バルブ754を開くことにより、上水道から可動水栓750の駆動部751に水が供給される。これにより、駆動部751は、この水を利用してノズル752を矢印Mで示すように往復直線運動させると共に、ノズル752に対して水を吐出する。ノズル752に吐出された水は、ノズル752内を流通し、出水孔から水Wとして出水する。このとき、ノズル752は出水孔が配列された方向に直交する方向に往復直線運動しているため、出水孔の位置が一定の領域内で反復的に変化し、この結果、シンク630内の広い範囲に対して、水を出水させることができる。
【0100】
一方、可動水栓750を使用しないときは、ノズル752を90度回転させて、長辺部分752bを短辺部分752aの上方に退避させる。また、通常水栓710には、可動水栓750とは別系統で水が供給されるため、可動水栓750から独立して使用することができる。本実施形態における上記以外の動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0101】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、ノズル752を往復直線運動させることにより、その長辺部分752bに形成された出水孔の位置を変化させながら、水を出水させることができる。これにより、シンク630内の広い範囲に対して水を出水させることができる。また、このとき、シンク630内の様々な位置に置かれた被洗浄物に対して、ほぼ同じ距離から水をかけることができるため、シンク630内の広い範囲において、均質な洗浄効果を得ることができる。
【0102】
また、本実施形態においては、通常水栓710と可動水栓750とで給水配管が別系統となっているため、通常水栓710及び可動水栓750を同時に使用することも可能である。更に、可動水栓750を使用しないときには、ノズル752の長辺部分752bを短辺部分752aの上方に位置させることにより、この長辺部分752bをシンク630の奥側に退避させることができる。これにより、この長辺部分752bが洗浄作業の邪魔になることがない。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0103】
次に、本実施形態に係るキッチン用水栓740の駆動部751を実現するための具体例について説明する。
図19乃至図22は、本具体例に係る駆動部の動作メカニズムを説明するための模式図である。
図19乃至図22に示す駆動部300は、図18に示す駆動部751の具体例である。駆動部300の動作メカニズムは、前述の第1の実施形態の第1の具体例に係る駆動部100(図2乃至図10参照)の動作メカニズムと同様であるが、生成する往復運動が往復回動運動ではなく、往復直線運動である点が異なっている。
【0104】
すなわち、駆動部300は、ハウジング302の中に移動可能に設けられた中子320を有する。これにより、ハウジング302の内部は、中子320によって2つの圧力室316、318に分割されている。中子320は中空構造を有し、その中空空間は、吐水筒体380に設けられた吐水流路382と連通した中子内流路324を構成している。また、中子内流路324は、導入口332、334を介してそれぞれ圧力室316、318と連通する。
【0105】
中子320には、導入口332、334の開度を変化させる主弁342、344が設けられている。また、中子320には、これら主弁342、344を制御する制御手段が設けられている。制御手段によって導入口332、334の開度に差を設けることにより、入水口から中子内流路324に至る左右の流路の流路抵抗を異ならせ、これにより左右の圧力室316、318に生ずる圧力差を利用して中子320を移動させることができる。
【0106】
図19に表した状態においては、制御手段は主弁342、344をそれぞれ右側に付勢された状態とし、中子320の右側に水の導入口334が開かれている。従って、入水口314から供給された水は、圧力室318から矢印Cで表した経路で中子320の中子内流路324に流入し、吐水筒体380に設けられた吐水流路382を通って矢印Dで表したように流出する。一方、ハウジング302の入水口312から供給された水は流出経路がない。このため、圧力室316の圧力は圧力室318の圧力よりも上昇する。その結果として、中子320は矢印Mの方向に動く。
【0107】
そして、図20に示すように、中子320がハウジング302内をその移動ストロークの右端または右端近傍まで動くと、制御手段の制御によって、主弁342、344が左側に移動する。すると、中子320の右側の導入口334は閉じられ、左側の導入口332が開かれる。この状態においては、入水口312から供給された水は矢印Cで表したように圧力室316から導入口332を介して中子320の中子内流路324に流入し、矢印Dで表したように吐水筒体380から流出する。一方、入水口314から供給された水は流出経路がなく流出できない。この結果、圧力室318の圧力は圧力室316の圧力よりも高くなり、中子320は、図20及び図21に矢印Mで表したように左方向に動く。
【0108】
中子320が左側に動き続け、図22に表したように、ハウジング302の左端または左端近傍に至ると、制御手段の制御によって、主弁342、344が右側に移動する。すると、図19に関して前述したように、中子320の左側の導入口332が閉じて右側の導入口334が開く。その結果として、圧力室318の圧力が低下し、圧力室316の圧力が上昇して中子320は矢印Mで表したように右側に動く。この後、図19乃至図22に関して前述した動作を繰り返すことにより、中子320は、ハウジング302の中を左右に反復して動き続ける。
【0109】
以下、本具体例に係る駆動部300の構造についてより詳細に説明する。
図23は、本具体例に係る駆動部を例示する斜視図であり、
図24は、本具体例に係る駆動部を例示する斜視断面図であり、
図25は、本具体例に係る駆動部を例示する断面図であり、
図26は、図25に示すB−B’線による断面図である。
【0110】
本具体例の駆動部300においては、ハウジング本体303とハウジング蓋304により形成されるハウジング302から円筒状の吐水筒体380が突出している。吐水筒体380は、内部に吐水流路382を有する中空構造となっており、先端にて開口している。
【0111】
ハウジング302に設けられた入水口312、314に水を導入すると、吐水筒体380が矢印Mの方向に往復直線運動をする。従って、吐水筒体380の先端に図18に示すノズル752を取り付ければ、出水位置が反復的に移動する可動水栓を構成できる。
【0112】
駆動部300の内部構造について説明すると、図24乃至図26に表したように、ハウジング本体303及びハウジング蓋304により形成されるハウジング302のシリンダ空間に、中子本体321と中子蓋322とからなる中子320が移動可能に収容されている。中子320は、ハウジング302から突出する吐水筒体380に連結され、ハウジング内を第1の圧力室316と第2の圧力室318とに分割してピストンのように動く。これら圧力室316、318のそれぞれには、入水口312、314からそれぞれ水が導入される。中子320とハウジング302の内壁との摺動部には、液密を維持しつつ摺動を円滑にするためのシール326が設けられている。また、吐水筒体380とハウジング302との摺動部にも、同様の目的でシール384が設けられている。これらシール326、384の材料は、図3に示すシール126、127と同様である。
【0113】
次に、中子320の構造について説明する。
中子本体321に中子蓋322を組合せることにより中子内流路324が形成され、この中子内流路324は、吐水筒体380に設けられた吐水流路382に連通している。中子本体321及び中子蓋322には、中子内流路324と圧力室316、318とを連通させる導入口332、334が設けられている。
【0114】
そして、中子内流路324を横断するように、主弁342、344、スライドバー346、348、板ばね360が設けられている。主弁、スライドバー、板ばねの形状及び相互間の関係は、図7に関して前述したとおりである。また、これらの動作は、図9に関して前述したとおりである。
【0115】
以下、本具体例に係る駆動部の動作について説明する。
図27(a)乃至(c)は、本具体例に係る駆動部の往復動作を示す模式図である。
すなわち、同図(a)は、スライドバー346、348が板ばね360の作用により向かって右側に向けて付勢された状態を表す。この時、主弁342、344もスライドバー346により右側に向けて付勢されるので、導入口332は閉じ、導入口334が開いた状態が形成される。
【0116】
この状態で入水口312、314にほぼ同圧に水を供給すると、矢印Bで表したように入水口314から圧力室318に導入された水は、矢印Cで表したように導入口334から中子内流路324に流入し、左右に連通する吐水流路382を介して矢印Dで表したように流出する。
【0117】
これに対して、矢印Aで表したように入水口312から圧力室316に導入された水は、導入口332が閉じているために流出経路がなく、圧力室316の圧力を上昇させる。つまり、導入口332、334の開度に差を設けることにより流路抵抗に差が生じ圧力差が生ずる。その結果として、圧力室318よりも圧力室316の圧力のほうが高くなり、中子320は矢印Mの方向に押されて移動する。
【0118】
図27(a)に表した状態から中子320が矢印Mの方向にさらに移動を続け、スライドバー348がハウジング302の内壁に当接し、中子に対して押されると、板ばね360の湾曲方向が反転し、図27(b)に表したように、スライドバー346、348は、向かって左側に向けて付勢される。すると、スライドバー348が主弁344を押すことにより、主弁342、344も左側に移動する。すなわち、導入口332が開き、導入口334が閉じる。
【0119】
図27(b)に表した状態においては、矢印Aで表したように入水口312から圧力室316に導入された水は、矢印Cで表したように、導入口332から中子内流路324に流入し、吐水流路382を介して矢印Dで表したように流出する。これに対して、矢印Bで表したように、入水口314から圧力室318に導入された水は、導入口334が閉じているために流出経路がない。この結果、圧力室318の圧力が圧力室316の圧力よりも高くなり、中子320の両側で圧力差が生じるため、中子320は矢印Mで表したように左側に向けて移動を開始する。
【0120】
中子320が移動を続けると、図27(c)に表したように、スライドバー346がハウジング302の内壁に当接する位置まで移動する。この状態からさらに中子320が移動し、スライドバー346が中子320に対して押されることにより、板ばね360の湾曲方向が反転して、右側に付勢される。すると、図27(a)に表した状態と同様に、導入口332が閉じて導入口334が開いた状態となり、中子320は右側に向けて移動を開始する。
【0121】
以上説明したように、本具体例によれば、中子320に弁体としての主弁342、344と、スライドバー346、348及び板ばね360からなる制御手段を設けることにより、中子320の移動に応じて導入口332、334の開度差の大小関係を適宜逆転させ、中子320を左右に反復的に動作させることができる。本具体例における中子320の往復運動のストロークは、ハウジング302の長さと、中子320の厚み(幅)と、により適宜設定できる。
【0122】
また、本具体例においては、ハウジング内空間を円柱状とし、円筒状の吐水筒体380を円筒状の中子320の中心に設けているため、吐水筒体380を回転させることができる。つまり、吐水筒体380の先端にノズル752(図18参照)を取り付けた場合に、ノズル752が回転可能となり、不使用時に上方に退避させることができるようになる。
【0123】
なお、本具体例においては、往復直線動作において得られる推力は、中子320に印加される水圧と中子の受圧面積との積により決定される。従って、中子320の受圧面積を増加させれば、それに応じた大きな推力を得ることが可能となる。
【0124】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図28は、本実施形態に係るキッチン用水栓を例示する模式的斜視図である。
図28に示すように、本実施形態におけるキッチンカウンター505においては、前述の第4の実施形態に係るキッチンカウンター504(図18参照)と比較して、可動水栓からノズルが2本引き出されている点が異なっている。
【0125】
すなわち、キッチンカウンター505の上面には、シンク630が設けられており、キッチンカウンター505上におけるシンク630の両側方には、通常水栓710と可動水栓760とからなるキッチン用水栓770が設けられている。通常水栓710はシンク630の一方の側方に配置されており、可動水栓760はシンク630の他方の側方に配置されており、通常水栓710と可動水栓750とは給水配管が別系統となっている。なお、図28においては、通常水栓710がシンク630の向かって左側に配置され、可動水栓760がシンク630の向かって右側に配置された例を示したが、これは逆でもよい。
【0126】
可動水栓760においては、駆動部761が設けられており、駆動部761における手前側及び奥側の面からは、それぞれノズル762が引き出されている。ノズル762は、一旦駆動部761から遠ざかる方向に引き出された後、90度屈曲してシンク630に向かって延び、再び90度屈曲して駆動部761の側方に達し、再々度90度屈曲して駆動部761から遠ざかる方向に延び、その先端に至っている。そして、再々度屈曲した部分から先端までの部分が、シンク630の上方を横断しており、この部分に複数個の出水孔(図示せず)が形成されている。なお、出水孔として長孔が形成されていてもよい。また、ノズル762は駆動部761に対して回転可能に取り付けられている。
【0127】
駆動部761は、ノズル762を、矢印Mで示す方向に沿って往復直線運動させる。駆動部761の構成については、後で具体例を挙げて詳しく説明する。また、キッチンカウンター505の上面における駆動部761の近傍には、上水道から供給された水を駆動部761に供給するか否かを切替える開閉バルブ764が設けられている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第4の実施形態と同様である。
【0128】
次に、本実施形態の動作について説明する。
開閉バルブ764を開くことにより、上水道から可動水栓760の駆動部761に水が供給される。これにより、駆動部761は、この水を利用してノズル762を矢印Mで示すように往復直線運動させると共に、ノズル762に対して水を吐出する。ノズル762に吐出された水は、ノズル762内を流通し、出水孔から水Wとして出水する。このとき、ノズル762は出水孔が配列された方向に直交する方向に往復直線運動しているため、出水孔の位置が一定の領域内で反復的に変化し、この結果、シンク630内の広い範囲に対して、水を出水させることができる。
【0129】
一方、可動水栓760を使用しないときは、2本のノズル762を90度回動させて、駆動部761の上方に退避させる。また、通常水栓710は、可動水栓760とは独立して使用することができる。本実施形態における上記以外の動作は、前述の第4の実施形態と同様である。
【0130】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、2本のノズル762から水を出水させることにより、ノズルが1本の場合と比較して、シンク630内のより広い範囲に対して水を出水させることができる。また、シンク630内の様々な位置に置かれた被洗浄物に対して、ほぼ同じ距離から水をかけることができるため、均質な洗浄効果を得ることができる。更に、通常水栓710と可動水栓760とで給水配管が別系統となっているため、両水栓を同時に使用することもできる。更にまた、可動水栓760を使用しないときには、ノズル762を駆動部761の上方に退避させることができる。このため、図28に示す例において、駆動部761の向かって右側が壁である場合には、ノズル762を壁側に退避させることができる。これにより、可動水栓760を使用しないときに、ノズル762が邪魔になることがない。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0131】
次に、本実施形態に係るキッチン用水栓770の駆動部761を実現するための具体例について説明する。
図29は、本具体例に係る駆動部を例示する斜視断面図である。なお、図29については、図23乃至図27に示す構成要素と同様の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0132】
図29に示すように、本具体例に係る駆動部400は、前述の第4の実施形態の具体例に係る駆動部300(例えば、図24参照)と比較して、吐水筒体380が中子320の両側に設けられている点が異なっている。これにより、吐水筒体380は、ハウジング302の両側から突出している。これら1対の吐水筒体380は、それぞれ吐水しながら同一方向に同期して往復運動をする。本具体例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第4の実施形態の具体例と同様である。
【0133】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの実施形態及びその具体例に限定されるものではない。すなわち、本発明のキッチン用水栓及びキッチンカウンターを構成するいずれかの要素について当業者が設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を備えたものであれば、本発明の範囲に包含される。例えば、キッチンカウンターにおけるキッチン用水栓の配設位置、シンクの形状、可動水栓の駆動部の外形、スパウト又はノズルの形状、出水孔の大きさ及び形状、往復回動運動の回動角度及び往復直線運動のストローク、運動速度などについて当業者が適宜変更を加えたものであっても、本発明の要旨を含む限り、本発明の範囲に包含される。また、上述の各実施形態においては、少なくとも可動水栓が設けられていればよく、通常水栓は設けられていなくてもよい。
【0134】
例えば、上述の各実施形態及びその具体例において、ノズルの回動速度又は往復直線運動速度を調整する速度調整手段を設けてもよい。このような速度調整手段は、例えば、吐水筒体に可変の摺動抵抗を与える摺動部材を設けることによって実現することができる。または、ハウジングの2つの入水口のうちいずれかの入水口に供給される水を遮断する弁機構を設けることによっても実現することができる。または、2つの圧力室間にバイパス水路を設け、このバイパス水路の流量を制御する開閉弁を設けることによっても実現することができる。これにより、ノズルの運動速度を使用者の好みの速度に調整することができる。また、このような速度調整手段を設ければ、ノズルの運動を停止することにより、ノズルを任意の位置又は角度で固定して使用することができる。
【0135】
また、上述の各実施形態及びその具体例において、往復回動運動の角度範囲又は往復直線運動のストロークを調整するストローク調整手段を設けてもよい。このようなストローク調整手段は、例えば、容積型の駆動部においては、左右の圧力室の少なくとも一方に中子のスライドバーに当接する可変終端を設けることにより実現することができる。また、羽根車型の駆動部においては、歯車間の係合比を選択するギアボックスを設けることにより実現することができる。
【0136】
更に、上述の各実施形態及びその具体例において、ノズルの往復運動において往路と復路とで速度を異ならせてもよい。これは、例えば、容積型の駆動部においては、左右の圧力室に供給する水の流路抵抗を異ならせることにより実現することができる。または、一方の圧力室から他方の圧力室又は中子内流路に漏出する水量を左右で異ならせることにより実現することもできる。または、左右の圧力室で中子の受圧面積を異ならせることにより実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るキッチンカウンターを例示する模式的斜視図である。
【図2】第1の実施形態の第1の具体例の駆動部を例示する斜視図である。
【図3】第1の具体例の駆動部を例示する斜視断面図である。
【図4】(a)は、第1の具体例に係る駆動部を底面側から見た斜視図であり、(b)はその斜視断面図である。
【図5】第1の具体例に係る駆動部を側方から見た断面図である。
【図6】図5に示すA−A’線による断面図である。
【図7】第1の具体例に係る駆動部における主弁及びスライドバーを例示する斜視図である。
【図8】(a)乃至(c)は、本具体例の駆動部の動作を説明する模式図である。
【図9】(a)乃至(d)は、本具体例における制御手段の動作を説明する模式図である。
【図10】(a)乃至(d)は、第1の実施形態の第2の具体例における制御手段の動作を示す模式図である。
【図11】本実施形態の第3の具体例に係る駆動部の羽根車室を例示する平面図である。
【図12】第3の具体例に係る駆動部の歯車室を例示する平面図である。
【図13】第3の具体例に係る駆動部の羽根車及び歯車を例示する模式的斜視図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るキッチン用水栓を例示する模式的斜視図であり、可動水栓を使用する場合を示す。
【図15】本実施形態に係るキッチン用水栓を例示する模式的斜視図であり、通常水栓を使用する場合を示す。
【図16】本発明の第3の実施形態に係るキッチン用水栓を例示する模式的斜視図である。
【図17】本実施形態に係るキッチン用水栓の配管を例示する模式図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係るキッチン用水栓を例示する模式的斜視図である。
【図19】第4の実施形態の具体例に係る駆動部の動作メカニズムを説明する模式図である。
【図20】本具体例に係る駆動部の動作メカニズムを説明するための模式図であり、図19に続く動作を示す。
【図21】本具体例に係る駆動部の動作メカニズムを説明するための模式図であり、図20に続く動作を示す。
【図22】本具体例に係る駆動部の動作メカニズムを説明するための模式図であり、図21に続く動作を示す。
【図23】本具体例に係る駆動部を例示する斜視図である。
【図24】本具体例に係る駆動部を例示する斜視断面図である。
【図25】本具体例に係る駆動部を例示する断面図である。
【図26】図25に示すB−B’線による断面図である。
【図27】(a)乃至(c)は、本具体例に係る駆動部の往復動作を示す模式図である。
【図28】本発明の第5の実施形態に係るキッチン用水栓を例示する模式的斜視図である。
【図29】第5の実施形態の具体例に係る駆動部を例示する斜視断面図である。
【符号の説明】
【0138】
100、300、400 駆動部
102、302 ハウジング
103、303 ハウジング本体
104、105、304 ハウジング蓋
112、114、312、314 入水口
116、118、316、318 圧力室
120、320 中子
121、321 中子本体
122、322 中子蓋
124、324 中子内流路
126、127、326、384 シール
132、134、332、334 導入口
142、144、342、344 主弁
143 リブ
146、148、346、348 スライドバー
149 連結棒
160、360 板ばね
170、174 磁石
180、380 吐水筒体
182、382 吐水流路
200 駆動部
201 ハウジング
201a 底板
201b 側板
202 羽根車室
203 歯車室
204 中蓋
205 開口部
206 入水管
207 入水流路
211 羽根車
212、216、218、223、225、228 軸
213、214、215、217、219、221、222、224、226、227 歯車
229 吐水流路
500、501、502、504、505 キッチンカウンター
503 作業スペース
600、610、620、630 シンク
601 排水口
602、611、621 張出部
612 ターンテーブル
700、740、770 キッチン用水栓
710 通常水栓
720、750、760 可動水栓
721、751、761 駆動部
722 出水部
723 連結管
724、752、762 ノズル
725 出水孔
726 スパウト
726 出水口
730 バルブ
731、754、764 開閉バルブ
732 バイパス管
733 バイパスバルブ
752a 短辺部分
752b 長辺部分
753a、753b 支持部
800 上水道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された水を利用して往復運動を生成する駆動部と、
前記駆動部により前記往復運動が付与されると共に、前記駆動部から前記水が供給されてこの水を出水する出水部と、
を備えたことを特徴とするキッチン用水栓。
【請求項2】
前記往復運動は、往復回動運動であることを特徴とする請求項1記載のキッチン用水栓。
【請求項3】
前記出水部は、その側面に出水孔が形成された直管を有し、
前記往復回動運動は、前記直管をその中心軸を回動軸として回動させる運動であることを特徴とする請求項2記載のキッチン用水栓。
【請求項4】
前記出水部は、その一端部に前記水が供給されその他端部から前記水を出水する曲管を有し、
前記往復回動運動は、前記曲管を前記一端部を通る鉛直軸を回動軸として回動させる運動であることを特徴とする請求項2記載のキッチン用水栓。
【請求項5】
前記往復運動は、往復直線運動であることを特徴とする請求項1記載のキッチン用水栓。
【請求項6】
前記駆動部は、
内部に空間を有するハウジングと、
前記空間を第1及び第2の圧力室に分割しつつ前記空間内を移動可能とされ、内部に中子内流路を有する中子と、
前記中子内流路に連通し前記ハウジングの外側に至る吐水流路を有する吐水筒体と、
前記第1の圧力室に水を導入する第1の入水口と、
前記第2の圧力室に水を導入する第2の入水口と、
前記第1の圧力室から前記中子内流路に水を導入する第1の導入口と、
前記第2の圧力室から前記中子内流路に水を導入する第2の導入口と、
前記第1及び第2の導入口の開度を変化させる弁体と、
前記中子がその移動域における前記第1の圧力室側の端部に到達したときに、前記第1の圧力室内の圧力を前記第2の圧力室内の圧力よりも高くし、前記中子がその移動域における前記第2の圧力室側の端部に到達したときに、前記第2の圧力室内の圧力を前記第1の圧力室内の圧力よりも高くするように、前記弁体を作動させて前記第1及び第2の導入口の開度を変更する制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のキッチン用水栓。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載のキッチン用水栓を備えたことを特徴とするキッチンカウンター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate


【公開番号】特開2007−239230(P2007−239230A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60319(P2006−60319)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】