説明

キッチン用水栓

【課題】本発明は、煩雑な作業の多いキッチンにおいても、より精度良く止水や吐水継続を行うことを実現するためのキッチン用水栓を提供すること。
【解決手段】
シンク底面に対して斜め下方に向けて吐水する吐水部と、被検知体の情報を検知信号として収集するセンサ部と、前記センサ部からの検知信号に基づきバルブを開閉し、前記吐水部からの吐止水の制御を行う制御部と、を有するキッチン用水栓であって、前記シンクには、作業台が隣接して設けられており、前記センサ部は、前記作業台と隣接するシンク側面に設けられ、前記吐水部から吐水される吐水流の流れ方向に沿って電波があたるように、斜め下方に向けて電波を放射し、前記制御部は、前記センサ部にて検知される吐水流の情報に基づく検知信号に応じてバルブを閉動作させる構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ部を搭載したキッチン用水栓であって、センサ部はマイクロ波等の電波を用いて水流の状態を検知して吐止水を制御するキッチン用水栓に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、シンクに光電センサを一対設け、光電センサの近傍に手や食器等の被検知物をかざすことにより、光電センサからの光を遮断することで物体を検知してバルブを開動作させるキッチン用水栓があった(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1のように光電センサからの光を遮断が発生すると吐水を開始し、光の遮断が無い場合には止水を行う構成であると、シンク内部に食器や調理器具が多量に入った場合に、光電センサからの光を調理器具等で遮ってしまうために、吐水行われたままの状態となってしまい、使用者が吐水を行いたくない状況においても吐水を行ってしまう恐れがあった。
【0003】
また、一般的に使用されている自動水栓のように、吐水口近傍の物体の有無を検知して吐止水を制御する水栓においても、キッチンのようにシンク内部や吐水口近傍にて様々な動作を行う場所では、使用者が止水を行いたい場面であってもセンサの検知範囲に物体が存在する等が発生し、タイムリーに止水を行なうことができない恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−75570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記問題を解決するために成されたものであり、煩雑な作業の多いキッチンにおいても、より精度良く止水や吐水継続を行うことを実現するためのキッチン用水栓を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、シンク底面に対して斜め下方に向けて吐水する吐水部と、
被検知体の情報を検知信号として収集するセンサ部と、前記センサ部からの検知信号に基づきバルブを開閉し、前記吐水部からの吐止水の制御を行う制御部と、を有するキッチン用水栓であって、前記シンクには、作業台が隣接して設けられており、前記センサ部は、前記作業台と隣接するシンク側面に設けられ、前記吐水部から吐水される吐水流の流れ方向に沿って電波があたるように、斜め下方に向けて電波を放射し、前記制御部は、前記センサ部にて検知される吐水流の情報に基づく検知信号に応じてバルブを閉動作させる構成としている。一般的にキッチンにおける作業は、シンクと隣接する作業台を用いて食材を切る、混ぜるといった作業を行うことや、水栓の近傍にて食材や調理器具等を洗浄するといった動作を主として行うため、センサ部をシンク側面から延在する作業台と隣接するシンク側面の裏側に配置することにより、作業台の前やシンクの前にいる使用者からセンサ部への操作が容易であるため、身体への負荷を低減した状態にてセンサ部への操作が可能となる。更に、センサ部からの電波を吐水流に沿って斜め下方に放射することで、電波の送信方向と吐水流の移動方向とを略同一方向に設定することが可能となるため、センサ部からの吐水流の動きに対する検知信号の振幅値を大きく出力することが可能となるため、ノイズとの識別が容易となり、吐水流の状態のみの検知信号をより精度良く収集することが可能となる。よって、吐水流のみの検知信号を確実に検出することが可能となるため、使用者が吐水を使用しておらず吐水流のみになった状態を確実に検知できるため、使用者が吐水を使用していない場合には確実にバルブを閉動作させ、使用者の意思に沿った止水制御を実現することが可能となる。更に、斜め下方に電波を放射することにより、シンク上方に電波を放射することを抑制することが可能なため、シンク開放面近傍における調理作業に伴う使用者の動きを検知しづらいため、使用者のシンク開放面近傍における動きで使用者が吐水を使用していると誤検知してしまい、吐水の継続を誤って実行するといった誤検知を防止することが可能となる。
【0007】
また、請求項2記載の発明によれば、前記制御部は、前記センサ部が配置された前記シンクの側面近傍の検知情報に基づいてバルブを開動作させることにより、吐水操作に関してはセンサ部の被検知体を人体や調理器具等の物体、止水操作に関しては吐水流の状態というように、吐水操作と止水操作の被検知体を分別することが可能となる。これにより、バルブ開動作中において手や調理器具がセンサ部近傍に接近したり直前を通過した場合においても、止水操作の被検知体とは異なるため、使用者が意図しない場面において止水が行われることを防止することが可能となるため、より精度の良い止水制御や吐水継続を行なうことが可能となる。更に、センサ部近傍における被検知体の情報に基づいて吐水を行うことにより、シンク内部における動作や吐水口近傍における動作によって誤って吐水を開始することを防止することが可能となるため、止水だけでなく吐水に関してもより精度良く制御を行なうことが可能となる。
【0008】
また、請求項3記載の発明によれば前記センサ部は、シンク側面のシンク上方に配置したことによって、シンク内部の吐水流全体に電波を放射することが可能となる。シンク内部に存在する吐水流全体に電波を放射することが可能となると、シンク内部における吐水流の状態を全て収集することが可能となるため、場所によって吐水流の状態を検知できないことを防止することが可能となり、止水制御や吐水継続をより厳密に行なうことが可能となる。更に、シンク側面の上方にセンサ部を設置したことにより、センサ部が設置された側面近傍に対して吐水を行うために操作する際にも、シンク内部に対して大きく手を挿入することなく操作を行なうことが可能となるため、バルブの開動作時における使用者の操作負荷を低減することが可能となる。
【0009】
また、請求項4記載の発明によれば、前記センサ部は、シンク側面の奥行き方向の略中央に配置したことによって、止水制御や吐水継続をより厳密に行なうことが可能な状態で、使用者が吐水操作を行うことを容易にすることが可能となるものである。シンクの奥行き方向において、センサ部が使用者より離れた場所に設置されている場合には、使用者の体型によっては手が届かない等の不具合が発生し、また、センサ部が使用者により近い場所に設置された場合においては、肘を身体に近づけた状態において操作を行う必要があるため、操作が不便である。そこで、シンクの奥行き方向における略中央に配置することにより、いかなる使用者においても、身体への大きな負荷無く吐水操作を行なうことが可能となるため、キッチン用水栓の使い勝手を更に向上させることが可能となる。また、キッチンにおいては、使用者が大きく手を伸ばすといった身体負荷を低減するために、シンクの奥行き方向の前縁側にて調理作業、及び洗浄作業を行なうことが多い。そのため、センサ部をシンク前縁側に配置すると、シンク前縁側にて行われる作業に応じた検知信号が大きく出力されてしまい、そのため吐水流のみの検知信号とシンク前縁側の作業による検知信号との識別が困難になる。また、キッチンにおける作業はシンク前縁側にて行われることが多いため、キッチン用水栓においてはシンク前縁方向に向かって吐水流を吐出するため、センサ部をシンク後縁側に配置すると、吐水流のみの検知信号を検出するのが困難となる。そこで、センサ部をシンクの奥行き方向で略中央に配置することにより、シンク前縁側の使用者の作業に伴う動きを検出しにくくし、且つ吐水流のみの検知信号を確実に検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センサ部からの電波を吐水流に沿って斜め下方に放射することにより、周囲環境に影響されずに吐水流のみの検知信号を収集することが可能となり、この吐水流のみの検知信号を用いて止水制御を行うことで、キッチン用水栓の使用者の行為や、シンク内部の物体の有無による誤検知を防止し、使用者の意図しない止水や吐水継続を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のキッチン用水栓の概略構成図
【図2】本発明のキッチン用水栓の配管及び配線構成図
【図3】各吐水状態における電波の送信方向と吐水流の状態図
【図4】各吐水状態の周波数−信号強度図
【図5】手の略静止状態により行われる吐水制御の概略図
【図6】手の移動と略静止状態により行われる吐水制御の概略図
【図7】本発明のキッチン用水栓のシンク上下方向に対するセンサ設置位置図
【図8】本発明のキッチン用水栓のシンク前後方向に対するセンサ設置位置図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1に本発明のキッチン用水栓の概略構成図、図2に本発明のキッチン用水栓の配管構成、及びセンサ部の配線構成図を示す。図1、2は、シンク1底面に対して斜め下方に向けて吐水する吐水部2と、被検知体の情報を検知信号として収集するセンサ部3と、前記センサ部3からの検知信号に基づきバルブ7を開閉し、前記吐水部2からの吐止水の制御を行う制御部4と、を有するキッチン用水栓であって、前記シンク1には、作業台5が隣接して設けられており、前記センサ部3は、前記作業台5と隣接するシンク側面6に設けられ、前記吐水部2から吐水される吐水流の流れ方向に沿って電波があたるように、斜め下方に向けて電波を放射する構成としている。
【0013】
ここで、まず本発明のキッチン用水栓においては、吐水流をシンク底面に対して斜め方向に供給する構成としている(図1においては、後方から前方側に斜め下方に吐水)。このような構成により、従来の略鉛直方向に吐水を行うキッチン用水栓のように、使用者が吐水流を使用しやすい場所に吐水流を供給するために、吐水口をシンク上方に存在させること無く使用者の使用しやすい場所に吐水流を供給することが可能となる。これにより、シンク上方に吐水口を有するスパウトが専有する体積を低減することが可能となるため、シンク上方に大きな空間を有することが可能となるため、キッチン、特にシンクにおける作業で作業空間が広い、視界にスパウトが入らないといった効果を有することが可能となる。
【0014】
また、センサ部は、シンク側面から延在する作業台と隣接するシンク側面に設置するものとする。キッチンにおける作業においては、作業台にて食材を切る、混ぜるといった作業を行うことと、シンクにおいて食材や調理器具を洗浄するといった作業が非常に多く、キッチンにおける使用者の滞在場所は、ほとんどがシンク、又は作業台の手前側となる。そこで、センサ部を作業台と隣接するシンク側面に設置することで、シンクや作業台の手前側にいる使用者からセンサ部に対して操作を行なう際に、身体を大きく動かすことなく手のみを動かして操作を行なうことが可能であるため、容易にセンサ部に対して操作を行なうことが可能となるものである。
【0015】
更に、センサ部は、送信する電波を吐水流に沿って斜め下方に放射する構成としている。前述したように、キッチンにおける作業は非常に煩雑であり、単に被検知体の有無を確認するだけでは、吐止水制御のために存在する被検知体なのか、吐止水制御のために行われた動作なのかを判断することが困難である。そこで、本発明においては、供給される吐水流の状態を検知して、吐水流の状態に応じてバルブの開閉制御を行うものとしている。そこで、吐水流の状態をより精度良く検知を行うためには、吐水流の進行方向に沿って電波を放射することが望ましい。電波を用いたセンサにおいては、物体の移動方向と電波の送信方向を略同一方向とすることで、移動物体の動きに伴う信号(ドップラー信号)を検出しやすくなる。更に、吐水流に沿って斜め下方に放射することで、シンク上方における物体の動きや蛍光灯によって発生するノイズを検知することなく、吐水流のみの動きを検出することが可能となるため、S/N比の高い検知信号を入手することが可能となる。以上の構成より、吐水流に沿って斜め下方に電波を放射することで、ノイズの検知を行うことなく吐水流のみの情報をより多く抽出することが可能となる。
【0016】
ここで、本発明のキッチン用水栓の吐止水制御に関して詳細に説明する。本発明のキッチン用水栓においては、センサ部が設置されているシンク側面近傍の手や調理器具といった被検知体の検知情報に基づき吐水を行うか否かの判定を行う吐水制御を行い、吐水部から供給される吐水流の検知情報に基づき止水を行うか否かの判定を行う止水制御を行う構成としている。ここで、吐水制御と止水制御を行う被検知体を異ならせている理由としては、吐水制御と止水制御の被検知体が同一の場合には、キッチンのように煩雑な作業が行われる場所では、その動きや物体が吐水のためか止水のためかを判断することが困難になる。そこで、吐水制御と止水制御の被検知体を全く異なる物体とすることで、物体の動きの特徴にて物体を識別すれば、使用者が意図している制御がどちらなかのかを判断することが容易となり、その結果、吐水及び止水制御をより精度良く実施することが可能となる。
【0017】
まず、止水制御に関して記載する。本発明のキッチン用水栓においては、センサ部から検知した吐水流の状態に基づいてバルブの閉制御を行うものである。ここで本発明の止水制御に用いている吐水流の状態とは、洗浄動作等において吐水流を用いている場合に発生する被洗浄体や手に吐水流が当たり飛散して落下する散乱水がある状態と、鍋やコップ等に水汲みを行う際に、シンク内部に着水する吐水流が無くなる状態と、吐水流を使用してない場合に起こる吐水流のみの状態である。本発明の制御部は、上記吐水流の状態を、例えば周波数の差異にて識別することが可能となる。ここで、図3に各吐水流の状態の概略構成図、図3に各吐水流の状態を周波数にて分別した概略図を示す。
【0018】
図3(A)に吐水流のみの状態を示す。吐水流のみの場合には、吐水部から吐出された流速にてシンク底面に着水する状態となる。そのため、本発明のキッチン用水栓のように、センサ部から送信される電波を吐水流に沿って斜め下方に放射すると、吐水流の流速とほぼ同じ速度にて検知信号を出力することが可能となる。また、図3(B)に散乱水が発生した吐水流の状態を示す。吐水流に対して被洗浄体を挿入した場合、被洗浄体に衝突した吐水流が粒となって下方に落下する。この際、吐水部から吐出した際の流速は被洗浄体に衝突するため大幅に減速し、下方に落下する際の速度は重力に伴う速度になる。そのため、センサ部から送信された電波と散乱水の落下する方向が略同一でないため、散乱水の速度はより低い速度として出力されるため、図3(A)の吐水流のみの検知信号とは速度が大幅に異なる検知信号が出力される。また、図3(C)に鍋やコップに水汲みを行った際の吐水流の状態を示す。水汲みを行うために、吐水流はほぼ全てが容器内部に貯留されるため、シンク下方には吐水流がなくなることになる。よって、センサ部から送信された電波は吐水流と交差することがほぼ無くなる為、センサ部からの検知信号がほとんど出力されない状態となる。
【0019】
以上の各吐水流の状態を図4に示す。上述したように、吐水流のみの状態の場合には、吐水部から吐出された速度とほぼ同じ速度にて検知信号が出力されるため、任意の速度近傍にて検知信号を出力することが可能となる。この際、検知信号の電圧値(強度)としては吐水流の状態(例えば整流吐水かシャワー吐水か)によって異なる。また、散乱水の状態は、吐水部から吐出された速度から低減し、更に電波の送信方向と散乱水の落下方向とが異なるため、更に速度が低減する。そのため、吐水流のみの状態に比べて大きく速度が低減するため、吐水流のみの状態と容易に識別することが可能となる。但し、散乱水は、シンク下方に対して様々な方向に散乱するため散乱水の状態を示す検知信号の周波数幅は広くなるが、吐水流のみの状態に沿ってセンサ部から電波を送信しているため、散乱水の状態から得られる検知信号と吐水流のみの検知信号とは差異が発生するのもである。また、散乱水の状態が非常に幅広い検知信号を有する場合には、検知信号の波形の周期性を確認することが望ましい。吐水流のみの状態は、ほぼ規則性を持って検知信号を出力することが可能であるが、散乱水は被洗浄体の形状、洗浄方法等によって不規則となるため、規則性を持って吐水流のみか散乱水かを判断することは可能となる。
【0020】
更に、水汲みを行っている状態において、本発明のキッチン用水栓のように、斜め下方に電波を送信している場合には、水汲みを行っている際の吐水流の状態を検出することができないため、検知信号としては出力されない状態となってしまう。または、水汲みを行う容器をシンク底面に置いた状態にて水汲みを行った場合、吐水流が容器内部にて対流する動きとなるが容器を介して電波が吐水流を検出するため、大きな電圧値を出力することができず、検知信号として出力しない状態となる。以上より、吐水流のみの状態、散乱水の状態、水汲みの状態を周波数にて識別することが可能となる。
【0021】
ここで、吐水の状態を用いて止水制御を行うが、キッチンの様々な動きと吐水流のみの動きを識別する必要がある。本発明においては、センサ部から送信される電波を、吐水流に沿って斜め下方に送信しているため、シンク上方の使用者の動き等を検知しにくく、且つシンク底面における調理器具等の動きに対しても上述したように周波数の差異によって識別することが可能なため、吐水流のみの状態を容易に識別することが可能となる。吐水流のみの状態は、吐水流を使用していない状態であるため、この吐水流のみの状態を用いて止水制御を行うことで、キッチンにおける様々な動作を加味することなく的確に止水を行なうことが可能となる。また、別途止水操作を行うことなく自動で止水を行うことが可能となるため、吐水流を用いた後の作業に容易に移ることが可能となるため、キッチンにおける作業効率を向上させることが可能となると共に、止水動作を行う間の水を削減することが可能となるため、節水効果を有することも可能となる。
【0022】
次に、吐水制御に関して記載する。本発明においては、吐水制御を行うための被検知体として、センサ部が設置されているシンク側面近傍の物体としている。そのため、止水制御に用いる被検知体と異なる物体となるため、従来の光電センサのように物体の有無のみで判断して吐水、及び止水制御が的確に行えない状態を回避することが可能となる。ここで、吐水制御においては、例えば、センサ部を設置したシンク側面に対して被検知体がある動作を行うことを識別して吐水制御を開始するものとしている。ある動作に関していくつかの例を示す。図5にセンサ部が設置されたシンク側面に被検知体をかざした場合に吐水制御を開始する場合について示す。センサ部が設置されたシンク側面に被検知体をかざす場合、かざす動作は略静止状態となっている。そのため、センサ部から出力される検知信号は、非常に低周波(0〜数Hz)の検知信号が出力される。この際、シンク内部に置かれている調理器具等と識別するために検知信号の振幅値によって判断することが可能となる。そのため、吐水操作と判断する検知距離(吐水操作と認識するための電圧の閾値)をシンク側面近傍となるように設定することで、シンク内部に置かれた調理器具等で吐水制御を行うことなく、使用者の意思に沿った吐水制御を行なうことが可能となる。また、センサ部直前に被検知体をかざすことが大きな電圧値を有する検知信号を出力することが可能なため、センサ部の直前にあるシンク側面に目視可能なマーカー等を設置することにより、使用者に対して最適な場所への操作を促すことが可能となるため、より大きな電圧値を有する検知信号を出力可能となり、吐水操作のみに対して確実な吐水制御を行なうことが可能となる。
【0023】
また、図6にセンサ部を設置したシンク側面に対して、被検知体が接近後にかざす動作を行うことにより吐水制御行うことについて示す。図5の場合には、センサ部が設置されたシンク側面近傍に鍋を置かれてしまった場合や、シンク側面に濡れた布巾等を置かれた場合に、被検知体をかざしたと判断する可能性があるため、図6においては、更にかざす動作の直前の動きを識別して吐水制御を行うものとしている。ここでは、まず被検知体が接近することにより高い周波数の検知信号が出力され、センサが設置されたシンク側面に近づくと、被検知体のシンク側面への衝突を抑制するために減速が開始され、徐々に低い周波数の検知信号となり、略静止状態の検知信号を出力される。その際に、検知信号の電圧値も、遠方からセンサ部に徐々に近づくため、被検知体より反射される電波量が増えるため、徐々に増加する傾向となる。このように周波数が徐々に低減し、且つ電圧値が徐々に増加する検知信号を得て、更に略静止状態になった場合に吐水制御を行うものとする。以上の判定により、シンク内部に鍋を置く等の動作との識別が可能となるため、吐水を行うための操作とその他の動作をより厳密に識別することが可能となり、吐水制御をより精度良く実施することが可能となる。
【0024】
なお、本実施例における吐水制御に関して、略静止、及び接近動作と略静止状態にて判断する構成について記載したが、センサ部が設置されたシンク側面に対する被検知体の特徴的な動作(例えば、略静止の後の離遠動作や、スナップ動作等)を識別することにより、キッチン作業により発生する動作との識別が可能となり、より精度良く吐水制御を実施することが可能となる。
【0025】
次に、本発明のキッチン用水栓におけるセンサ部の設置場所について記載する。まずシンクの上下方向に対する最適な設置場所について図7に記載する。図7は、本発明のキッチン用水栓のシンク側面図を示す。ここで、センサ部はシンク側面の上方に設置し、シンク上方より吐水流に沿って斜め下方に電波を送信する構成となっている。センサ部をシンク側面上方に設置することにより、センサ部は、送信される電波によりシンク上方からシンク底面までの間に存在する吐水流の動きに対して検知信号を出力することが可能となり、シンク内部における吐水流の状態変化を確実に検出することが可能となる。よって、シンク内部の吐水流に対して、高さが異なる場所で被洗浄体が吐水流に接触し散乱水が発生しても、確実に検知を行なうことが可能となるため、使用者の意思に沿った止水制御、及び吐水継続を行なうことが可能となる。更に、吐水流に沿って斜め下方に放射することで、シンク上面よりも上に電波を放射することがなくなるため、シンク上方における使用者の動きや、蛍光灯によるノイズを検知することを抑制することが可能となるため、吐水流のみの状態や散乱水の状態と類似した情報を除去しつつ、吐水/止水制御を最適に行なうことが可能となる。
【0026】
更に、シンクの前後方向に対するセンサ部の設置場所について図8に記載する。本実施例においては、センサ部をシンク前後方向に対して、シンク中央部近傍に配置することが望ましい。本発明におけるキッチン用水栓は、センサ部が設置されたシンク側面近傍の被検知体の情報に基づいて吐水制御を行うものとしている。そのため、図8(B)のようにシンク後方にセンサ部を設置した場合には、シンク前方にてキッチン用水栓を使用する使用者がセンサ部に対して操作を行う場合には、大きく手を伸ばすといったキッチン作業ではあまり行われない行為にて操作する可能性があるため、身体への負荷が大きくなることとなる。また、図8(C)のように、シンク前方にセンサ部を設置した場合には、センサ部に対して操作を行う際には、使用者の肘を身体から離して肘を曲げた状態となるため、キッチン作業にて身体に負荷無く作業を行なうことが可能な、肘が身体の近傍にあり、且つ軽く肘を曲げた状態とは大きく異なるため、センサ部に対する操作の際に身体への負荷が常に発生することとなる。そこで、図8(A)のようにセンサ部をシンク前後方向の中央部近傍に設置することにより、使用者が大きく手を伸ばすことなく、また通常行わないような肘を曲げる行為を行うことなく、センサ部に対して操作を行なうことが可能となるため、使用者の身体的な負荷を低減した操作系を実現することが可能となる。更に、センサ部をシンクの前後方向に対して中央部近傍で、且つシンク情報に設置することにより、吐水制御を行うためのセンサ部に対する操作に対して使用者の負荷を低減することが可能となり、更にシンク内部の吐水流の状態を確実に検知することが可能なため、使用者の意思に沿った止水制御、及び吐水継続を行なうことが可能なキッチン用水栓を実現することが可能となる。
【0027】
以上のように、センサ部から送信する電波を吐水流に沿って斜め下方に向けて送信することにより、吐水流の状態を確実に検知することが可能となるため、キッチンのよう煩雑な動きが多い場所においても、使用者の意思に沿って確実に止水制御を行なうことが可能なキッチン用水栓を提供することが可能となる。更にセンサの設置場所をシンク上方、シンクの前後方向に対する中央部近傍に設置することで、シンク内部の吐水流の状態を更に詳細に検知することが可能なため、更に精度の増した止水制御を行なうことが可能となり、且つセンサ部に対して吐水を行うための操作を行う際に、使用者の身体の負荷を低減して操作可能となるキッチン用水栓を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0028】
1…シンク、2…吐水部、3…センサ部、4…制御部、5…作業台、6…シンク側面、7…バルブ、8…吐水流、9…吐水流の進行方向、10…電波の送信方向、11…被洗浄体、12…散乱水、13…手、14…手の移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンク底面に対して斜め下方に向けて吐水する吐水部と、
被検知体の情報を検知信号として収集するセンサ部と、
前記センサ部からの検知信号に基づきバルブを開閉し、前記吐水部からの吐止水の制御を行う制御部と、
を有するキッチン用水栓であって、
前記シンクには、作業台が隣接して設けられており、
前記センサ部は、前記作業台と隣接するシンク側面に設けられ、
前記吐水部から吐水される吐水流の流れ方向に沿って電波があたるように、斜め下方に向けて電波を放射し、
前記制御部は、前記センサ部にて検知される吐水流の情報に基づく検知信号に応じてバルブを閉動作させることを特徴とするキッチン用水栓。
【請求項2】
前記制御部は
前記センサ部が配置された前記シンクの側面近傍の検知情報に基づいてバルブを開動作させることを特徴とする請求項1記載のキッチン用水栓。
【請求項3】
前記センサ部は、前記作業台と隣接するシンク側面のシンク上方に配置したことを特徴とする請求項1から2何れか1項記載のキッチン用水栓。
【請求項4】
前記センサ部は、前記作業台と隣接するシンク側面の奥行き方向の略中央に配置したことを特徴とする請求項1から3何れか1項記載のキッチン用水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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