説明

キトサンカルボキシアルキルアミドのヒドロゲル、その調製およびその美容的および皮膚科的使用

本発明は、キトサンカルボキシアルキルアミドのヒドロゲルであって、6.5〜7.2の間の、皮膚のpH値に近いpH値を有し、前記キトサンカルボキシアルキルアミドが、40〜90mol%の一般式(I)


(式中、nは1〜8の範囲の整数)のD−グルコサミン N―カルボキシアルキルアミド単位と、60〜10mol%のプロトン化Dグルコサミン単位と、5〜15mol%のN−アセチル−D−グルコサミン単位((C)単位)とにより構成されるヒドロゲルに関する。また、本発明は、かかるゲルの無水生成物並びにゲル及び無水生成物の美容的及び/又は皮膚科的利用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、皮膚の熱傷の美容的および皮膚科的治療用のキトサンカルボキシアルキルアミドのチキソトロピー性ヒドロゲルに関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース同様、キチンは最も広範な天然ポリマーの一つである。これは例えばある種の甲殻類や昆虫の外骨格から得られる。キチンは、β−1,4結合により互いに結合したN−アセチルグルコサミン単位から成る。キトサンは加水分解によるキチンの脱アセチル化物であり、この加水分解によりN−アセチル−グルコサミン単位の少なくともいくつかがグルコサミン単位に変換される。一般的には、50%より大きい脱アセチル化度を示すキチンを“キトサン”という用語で表すと認識されている。キチンの脱アセチル化は一般的には水中のポリマーの溶解度を増大させるが、この可溶化はpH値に依存し、換言すれば、十分な割合のアミン基がプロトン化されると、高レベルの脱アセチル化を示すキトサンは、一般的にはpH値が6より低い、酸性媒体にのみ溶解する。
【0003】
これら両ポリマーの優れた生体適合性、並びにキチンの生分解性およびそれには劣るがキトサンの生分解性は長きにわたり知られている。また、これらのポリマーの静菌性および静真菌性特性についても説明されてきた。さらに、それらポリマーの、表面(表皮)または深部のいずれにおいても慢性または急性皮膚病変の治癒に作用する、すなわち、真皮に影響を与える能力が実証されている。
【0004】
従って、仏国特許出願公開第2,736,835号は、40%の脱アセチル化度を有するキチンをベースとする慢性外傷用の包帯剤を開示している。この包帯剤は比較的剛性であり、透明性ヒドロゲルの形態をとる。
【0005】
国際特許出願公開第03/068281号は、キチンをベースとせず、少なくとも60%、好ましくは94〜98%の間から成る脱アセチル化度を有するキトサンをベースとする包帯剤を開示している。この包帯剤も同様に、保護および治療されるべき外傷上にて取扱および配置されることが可能となるのに十分な力学的特性を有する、随意に支持体に固定された、厚さ1〜10mmの間のパッチの形態をとる。
【0006】
最後に、米国特許第6,124,273号は、創傷内に放出されることを意図した、有効成分、具体的にはタンパク質を含む架橋キチンをベースとしたヒドロゲルを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2,736,835号
【特許文献2】国際特許出願公開第03/068281号
【特許文献3】米国特許第6,124,273号
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、キトサンの既知の治癒特性を、上述の従来技術文献に記載されているような比較的硬質なヒドロゲルをベースとした包帯剤の形態ではなく、必要に応じて皮膚の比較的広範囲に対しても、より使用し易く、且つ容易に適用することができるクリームまたは軟膏の形態で、利用することである。このような利用は、医療用の包帯剤としてだけでなく、例えば日光に長時間さらされたことによる、軽度の表面的熱傷の美容的治療に対してキトサンを使用可能にするであろう。
【0009】
従って、本出願人は、キトサンのチキソトロピー性ヒドロゲル、すなわち、静止時にはゲルの稠度を有するが、剪断力を受けると十分に低い粘度を有して、皮膚の広範囲にわたって容易に適用することが可能となる、(共有結合による架橋点を有する化学ゲルとは対照的な)物理ゲルを完成させることを目的とした。このヒドロゲルは皮膚のpH値に比較的近い、好ましくは6.5〜7.2の間のpH値を有するべきである。実際に、この範囲を外れたpH値であっても健康な皮膚上への塗布に完全に適合するが、本出願人は、表面あるいは深部にかかわらず、熱傷により生じる痛みの迅速かつ効果的な緩和は、敢えて製品のpH値を皮膚のpH値に近い範囲に調整することによってのみ得られることを発見した。
【0010】
次に本出願人は、このpH範囲内での弱アセチル化キトサンの溶解性が不十分となる問題に直面した。実際に、キトサンの酸性溶液の中和の際、約5〜6のpH値での沈殿生成およびチキソトロピー性ヒドロゲルの調製は不可能であることが分かった。
【0011】
本発明は、クリームまたは軟膏の稠度を有し、且つ、適切なカルボキシ二酸の無水物と反応させることによって、少なくとも85%の脱アセチル化度を有するキトサンのグルコサミン単位のアミン官能基の少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%をCOOH官能基に変換することにより、皮膚のpH値(pH=6.9)に近いpH値を有するチキソトロピー性ヒドロゲルを調製することは可能であるという発見に基づく。
【0012】
したがって、本発明は、キトサンカルボキシアルキルアミドのヒドロゲルに関するものであり、6.5〜7.2の間、好ましくは6.8〜7.0の間の、皮膚のpH値に近いpH値を有し、前記キトサンカルボキシアルキルアミドが、
−(A)単位と(B)単位の合計に対し、40〜90mol%、好ましくは50〜80mol%、特には50〜75mol%の一般式(I)
【化1】

(式中、nは1〜8の範囲の整数、好ましくは1〜4の範囲の整数、特には2を表す)ののD−グルコサミン N―カルボキシアルキルアミド単位((A)単位)、またはその生理学的に許容される塩基付加塩と
−(A)単位と(B)単位の合計に対し、60〜10mol%、好ましくは50〜20mol%、特には50〜25mol%の一般式(II)
【化2】

(式中、RはC1−4のアルキル残留物を表す)のプロトン化Dグルコサミン単位((B)単位)と、
−(A)単位と(B)単位と(C)単位の合計に対し、5〜15mol%のN−アセチル−D−グルコサミン単位((C)単位)と
により構成されることを特徴とするヒドロゲルである。
【0013】
上述の通り、このようなヒドロゲルは、チキソトロピー性であるべき、すなわち剪断力を受けない限り無限大の粘度を有する、すなわちゲルは大変緩やかに流動するか、まったく流動しない。例えば皮膚上に塗布している際に剪断力を受けると、ゲルの粘度は低減する。ブルックフィールド粘度計(4号針、回転速度30〜60rpm、20℃)で測定した本発明のチキソトロピー性ゲルのブルックフィールド粘度は、好ましくは200〜8000センチポアズの間、特には300〜1000センチポアズの間である。
【0014】
このように本発明のヒドロゲルを形成するキトサンはC3−10のカルボキシ二酸の無水物を有するキトサンのアセチル化生成物の酸添加塩である。無水物と反応させていないキトサンのアミン官能基を酸性化するのに用いられる酸は、一般式R−COOH(式中、RはC1−4のアルキル基を表す)の有機酸である。好ましくは、この酸性化に用いられる有機酸は酢酸であり、すなわち、Rはメチル基を表す。この酸は一般的には酸無水物との反応および反応生成物として得られるキトサンカルボキシアルキルアミドの中和の前に、水中にキトサンを溶解する際に用いられる。
【0015】
適切な稠度のヒドロゲルを得るために、キトサンカルボキシアルキルアミドの濃度は好ましくは0.5〜3重量%の間、特には1〜2重量%の間である。一般的には0.5%未満の濃度の場合、剪断力の不在下においてさえ流動するほどゲル粘度が低過ぎ、一方、3重量%を超える濃度の場合、特許文献1および2に記載されているような、過度に硬質なゲルを生じ、皮膚の広範囲にわたって容易に塗布するのには適合しない。
【0016】
上述したキトサンカルボキシアルキルアミドの適切な量は、当然のことながら、使用するキトサン誘導体の平均分子量によって決まる。ポリマーの分子量が大きいほど、適切な稠度を得るのに必要な濃度は低い。
【0017】
本発明のヒドロゲルを形成するキトサンカルボキシアルキルアミドは、一般的には10,000〜800,000ダルトンの間、好ましくは50,000〜200,000ダルトンの間からなる重量平均分子量を有する。
【0018】
この分子量は、ヒドロゲルの調製中に、キトサンの水性懸濁液または酸性溶液を過酸化水素処理することによって低減させることができる。
【0019】
本発明のヒドロゲルは、水に加えて、皮膚上におけるゲルの円滑な伸びを確実にするための、ポリオールから選択されたテクスチャー剤を含む。本発明のヒドロゲルは0.1〜40重量%、特には0.1〜20重量%の少なくとも一つのポリオールを含む。好ましいポリオールはグリセロールである。
【0020】
本発明のキトサンカルボキシルアミドのヒドロゲルは、即時鎮痛効果を有するが、これはおそらく保湿効果と冷却効果、ならびに酸性pHまたは塩基性pHによる刺激性特質が不在であるためであろう。この鎮痛作用は、本発明のヒドロゲル中に、その治癒効果で良く知られるキンセンカ(Calendula officinalis)の抽出物を配合することによる相乗作用で、向上および/持続させることができる。出願人は、濃度0.2〜0.5%のキンセンカの水グリセリン抽出物を用いることで優れた成果を得ている。
【0021】
ヒドロゲルおよびその脱水生成物の美容的使用に関して、しかしながら具体的には前記脱水生成物の皮膚科用使用に関して、薬学的使用に適合するヒドロゲルの入手可能な無菌検体を有することが望まれる。ヒドロゲルの殺菌は、高圧蒸気または、例えば十分な線量のガンマ線照射などの、無菌化放射線の照射によって実施されることが好ましい。
【0022】
本発明の特定の実施態様において、開封後の長期保管による細菌汚染を防ぐ目的で、ヒドロゲルは単位用量の形態で包装されている。
【0023】
本発明のさらなる目的は上で定義したヒドロゲルの調製プロセスである。このプロセスは以下の連続的段階を含む。すなわち、
第1段階−一般式R−COOH(式中、RはC1−4のアルキル基、好ましくはメチル基を表す)の有機酸を添加することによって、pH値を4.5〜5.5の間とした、85〜95%の間の脱アセチル化度を有するキトサンの酸性水溶液を調製する。
第2段階−このようにして得た水溶液中のキトサンの酸付加塩を、1molのD−グルコサミン単位((B)単位)に対して0.5〜1molの一般式HOOC−(CH−COOH(式中、nは1〜8の間の整数、好ましくは1〜4の間の整数、特には2を表す)の有機二酸の無水物と反応させる。
第3段階−このようして得た反応溶液のpHを、生理学的に許容される塩基の添加により、6.5〜7.2の間の値に調整する。
【0024】
第1段階からの溶液のキトサン濃度は好ましくは5〜150g/l(リットル)の間、特には10〜50g/lの間である。好適な実施態様において、脱アセチル化した粉末状のキトサンの適量を、攪拌しながら精製水に懸濁し、有機酸を徐々に、好ましくはグルコサミン単位の数と等モル量で追加する。この段階は、好ましくは室温で実施され、数十分間かけて行うことができる。この段階の変更は、最初に水を適切な量の酸で酸化させた後にキトサンを投入することである。
【0025】
酸性化によるこの溶解段階の後または先に、必要に応じて、高分子骨格の酸化的開裂によりキトサンの分子量を低減する目的で、過酸化水素の少量の添加を行ってもよい。過酸化水素の量は好ましくは0.01%〜0.03%の間である。
【0026】
ジカルボン酸無水物の反応は好ましくは、20℃〜30℃の間の室温で、撹拌しながら、例えば45分〜90分間の間にわたって行われる。無水物は2つ以上のロットで添加することができ、それぞれの添加の間に、塩基の追加により溶液を中和することができる。酸無水物すべての添加および反応後、徐々にこの溶液を、例えば炭酸や炭酸カリウムの希釈液等の希釈塩基液で中和するが、塩基を過度に急速に添加することによるキトサンの沈殿を生じないよう注意する必要がある。このようにして得られた生成物は本発明に従うヒドロゲルであり、他の処理や濃縮段階を行う必要はない。
【0027】
本発明のさらなる目的は、上述したキトサンカルボキシアルキルアミドをベースとしたヒドロゲルの利用であり、熱傷領域に前記ヒドロゲルを塗布することによる第1度熱傷、および非浸出性の、すなわち表面的な第2度熱傷の美容的処置を目的とする。ヒドロゲルの利用は、1日あたり1回またはそれ以上、症状が消失するまで、患部への単純な局所塗布によって行われる。第1度熱傷または非浸出性の第2度熱傷において、ヒドロゲルは表皮の層においてのみ作用し、下層の真皮と接することがないため、これは、皮膚科の治療ではない。
【0028】
本発明に従うヒドロゲルを含む美容用組成は、特には香料、着色剤、およびテクスチャー剤等のような他の美容用有効成分または添加物をさらに含むことができる。
【0029】
上記のヒドロゲル完成させることを目的とした研究の過程において、出願人は、第1度熱傷及び非浸出性第2度熱傷の美容的処置を目的としたヒドロゲルを凍結乾燥、微粒化乾燥、および噴霧乾燥等の既知のプロセスによって脱水してもよく、またそのようなものとして、水の添加による事前の再還元を行わずに、無水生成物を用いることもできることを発見し、そしてさらに、浸出性、すなわち深部の第2度熱傷または第3度熱傷の皮膚科用使用に非常に適しているという利点を示した。
【0030】
実際には、ヒドロゲルの脱水生成物は、粒子が十分に微細である場合に、それが調製された元であるヒドロゲル同様、皮膚上で容易に塗布でき、鎮痛効果および治癒効果を発揮する。驚くべきことに、本発明に従うヒドロゲルの脱水生成物は、目視可能な痕跡を残すことなく肌の内部に浸透すると思われる。
【0031】
このように、本発明のさらなる目的は、上述したヒドロゲルの脱水処理より得たキトサンカルボキシアルキルアミドをベースとした無水生成物である。脱水処理は真空下および/または加熱を伴って、組成物より水を蒸発させることによる、任意の既知の脱水処理とすることができる。出願人は、凍結乾燥および噴霧乾燥、または微粒化乾燥により優れた品質の生成物を得たが、脱水処理は、結果的に後者2つより選択されることが好ましい。
【0032】
また本発明の目的のひとつは、好ましくは局所塗布用の、且つ、好ましくは深部の浸出性第2度熱傷または第3度熱傷の治療を目的とした、医薬品として、および医療デバイスとしての無水生成物である。
【0033】
最後に、本発明の目的のひとつは、上記の無水生成物を含む、美容用組成物および皮膚科組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は48時間後の手の甲の写真であり、制御熱傷を左に示し、治療を行った3箇所の熱傷を右に示す。
【実施例1】
【0035】
本発明に従うキトサンカルボキシアルキルアミドのヒドロゲルの浸透のプロセス
【0036】
36リットルの精製水を50リットル容量のバットに導入し、回転速度2000〜3000rpmで撹拌しながら、脱アセチル化度94.4%ならびに含水率2.87%のキトサン粉末(Marinard社製)926.6gをゆっくりとこの精製水に注入する。15分間の撹拌の後に、319gの酢酸(キトサンのグルコサミン単位の数に対して約1モル当量)を追加し、室温でさらに数分間、撹拌を続ける。次に、30%の過酸化水素水0.1gを追加し、その混合物を約1時間静置する。次に、積極的に撹拌しながら、約133gの無水コハク酸(キトサンのグルコサミン単位の数に対して約0.30モル当量)を混合物に追加し、約30分間の撹拌を続ける。得られた水溶液を、約160gの炭酸を1.5リットルの水中で希釈したものを撹拌しながら約15分間にわたって徐々に加えることによって、非常にゆっくりと中和する。溶液のpH値が、6.5〜7.2の間である所望の終点を超えないよう注意しながら、無水コハク酸の添加および中和段階を繰り返す。
【0037】
上記の操作手順に従うことにより、即利用可能または即脱水段階に移ることが可能な、約39リットルのゲルを得ることができる。
【実施例2】
【0038】
キンセンカ抽出物を含む水グリセリンゲルの調製プロセス
【0039】
キンセンカの水グリセリン抽出物1.5リットルを3.5リットルの欧州薬局方グリセロールと混合し、その後、水6リットルを加える。得られた水溶液を、実施例1で調製したヒドロゲル39リットルと混合する。
【0040】
次に、得られた生成物に、25kGyのガンマ線照射を行う。
【実施例3】
【0041】
ヒドロゲル由来の脱水生成物による深部の第2度熱傷の治療
【0042】
実施例1に従い調製された、10〜30μmの球形粒子から成る、ヒドロゲルの微粒化により得られた無菌粉末を、手の甲へのレーザー処理により生じた深部の第2度熱傷3箇所に塗布する。熱傷は約5mmの直径を有する。これら3箇所の熱傷と同一の4箇所目の制御熱傷には治療を行わない。
【0043】
対照未治療熱傷は、3〜4週間かかって治癒且つ消失する。
【0044】
初日に6回、2日目に2回の塗布を受けた3箇所の熱傷は48時間後にはいかなる炎症症状も見せず、4日後には不可視となる。痛みは最初の塗布後に消える。
【0045】
図1は48時間後の手の甲の写真であり、制御熱傷を左に示し、治療を行った3箇所の熱傷を右に示す。
【実施例4】
【0046】
ヒドロゲルによる第1度熱傷の治療
【0047】
熱湯をかぶることで熱傷を負った手の甲に対し、熱傷直後(負傷後5分以内)に、実施例1のヒドロゲルを塗布する治療を行い、約30分後、ならびに2時間後にも同治療を行う。
【0048】
痛みは最初の塗布後に止む。手は約6時間赤みを伴う。翌日、熱傷の跡はもはや存在しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キトサンカルボキシアルキルアミドのヒドロゲルであって、6.5〜7.2の間の、皮膚のpH値に近いpH値を有し、前記キトサンカルボキシアルキルアミドが、
−(A)単位と(B)単位の合計に対し、40〜90mol%、好ましくは50〜80mol%、特には50〜75mol%の一般式(I)
【化1】

(式中、nは1〜8の範囲の整数、好ましくは1〜4の範囲の整数、特には2を表す)のD−グルコサミン N―カルボキシアルキルアミド単位((A)単位)、またはその生理学的に許容される塩基付加塩と、
−(A)単位と(B)単位の合計に対し、60〜10mol%、好ましくは50〜20mol%、特には50〜25mol%の一般式(II)
【化2】

(式中、RはC1−4のアルキル残留物を表す)のプロトン化Dグルコサミン単位((B)単位)と、
−(A)単位と(B)単位と(C)単位の合計に対し、5〜15mol%のN−アセチル−D−グルコサミン単位((C)単位)と
により構成されることを特徴とするヒドロゲル。
【請求項2】
Rはメチル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項3】
6.8〜7.0の間のpH値を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のヒドロゲル。
【請求項4】
キトサンカルボキシアルキルアミドの濃度は0.5〜3重量%の間、好ましくは1〜2重量%の間であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項5】
0.1〜40重量%、好ましくは0.1〜20重量%の、少なくとも1種のポリオール、好ましくはグリセロールをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項6】
キンセンカの水グリセリン抽出物をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項7】
無菌であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項8】
単位用量の形態で包装されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のヒドロゲルの調製方法であって、
以下の連続的段階
−一般式R−COOH(式中、RはC1−4のアルキル基、好ましくはメチル基を表す)の有機酸を添加することによって、pH値を4.5〜5.5の間とした、85〜95%の間の脱アセチル化度を有するキトサンの酸性水溶液を調製し、
−このようにして得た水溶液中のキトサンの酸付加塩を、1molのD−グルコサミン単位((B)単位)に対して0.5〜1molの一般式HOOC−(CH−COOH(式中、nは1〜8の間の整数、好ましくは1〜4の間の整数、特には2を表す)の有機二酸の無水物と反応させ、次いで
−このようして得た反応溶液のpHを、生理学的に許容される塩基の添加により、6.5〜7.2の間の値に調整する
ことを含む方法。
【請求項10】
熱傷領域に前記ヒドロゲルを塗布することによる、第1度熱傷及び非浸出性の表面的第2度熱傷の美容的処置への、請求項1〜8のいずれか一項に記載のヒドロゲルの使用。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のヒドロゲルの脱水処理により得たキトサンカルボキシアルキルアミドをベースとする無水生成物であって、前記脱水プロセスは好ましくは凍結乾燥および噴霧乾燥のうちから選択されることを特徴とする無水生成物。
【請求項12】
医薬品、好ましくは深部の浸出性第2度熱傷または第3度熱傷の治療を目的とした医薬品としての、請求項11に記載の無水生成物。
【請求項13】
医療デバイス、好ましくは深部の浸出性第2度熱傷または第3度熱傷の治療を目的とした医療デバイスとしての、請求項11に記載の無水生成物。
【請求項14】
請求項11に記載の無水生成物を含む皮膚科組成物。
【請求項15】
請求項11に記載の無水生成物を含む美容用組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2010−533154(P2010−533154A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515565(P2010−515565)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051214
【国際公開番号】WO2009/007635
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(510009865)バイオファーメックス ホールディング リミテッド (1)
【Fターム(参考)】