説明

キナゾリン誘導体およびCBアゴニストとしてのその使用

【課題】新規キナゾリノン誘導体、その製造方法、医薬としてのその使用、およびそれらを含む医薬組成物の提供。
【解決手段】式I:


の新規キナゾリノン誘導体、その製造方法を開示する。更に当該化合物を含有する医薬組成物はカンナビノイド受容体活性化が関与するとされる疾患の処置、予防に使用される。疾患としては緑内障並びに視神経の変性疾患、慢性疼痛、骨関節炎などがあげられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規キナゾリノン誘導体、その製造方法、医薬としてのその使用、およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【発明の概要】
【0002】
より特定的には、第1の態様において、本発明は、遊離塩基または酸付加塩の形態の、式I:
【化1】

[式中、
、R、R、R、およびRは、独立して、水素;ハロゲン;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;C−Cアルキルカルボキシ;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシC−Cアルキル;ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノによって、所望により置換されているフェニルC−Cアルキル;−SO10;シアノ;−SON(R10)R11;−S−R10、または−SOR10であるか、または
とR、またはRとRは、それらが結合している炭素原子と共に、5から10個の環原子を有する 芳香族性もしくは脂肪族性炭素環、または 5から10個の環原子を有し かつ環原子のうち1個、2個、もしくは3個が、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子である 芳香族性もしくは脂肪族性ヘテロ環を表し;
は、−CH−O−C(O)−N(R12)R13、−CH−X−C(O)−R14、C−Cアルキル、またはヒドロキシC−Cアルキルであり;
、R、およびRは、独立して、C−Cアルキルであり;
10とR11は、独立して、水素;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;C−Cアルキルカルボキシ;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシC−Cアルキル;ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノによって、所望により置換されているフェニルC−Cアルキルであるか、または
10とR11は、一緒になって、5から10個の環原子を有し かつ環原子のうち1個、2個、もしくは3個が、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子である 脂肪族性ヘテロ環を形成し;
12とR13は、独立して、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−CアルコキシC−Cアルキル、ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル、ヒドロキシC−Cアルキル、ジヒドロキシC−Cアルキル、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノ、−SO10、−SON(R10)R11、−S−R10、−SOR10、−C−C−アルキレン−SO10、−C−C−アルキレン−SOR10、−C−C−アルキレン−NH−SO10、−C−C−アルキレン−CON(R10)R11、−CON(R10)R11、−C−C−アルキレン−C(O)OR10、フルオロアルキルであるか、または
12とR13は、5から10個の環原子を有する 置換もしくは非置換の脂肪族性ヘテロ環を形成し;
14は、NH、C−Cアルキル−NH−、C−Cアルケニル−NH−、C−Cシクロアルキル−NH−、C−CシクロアルキルC−Cアルキル−NH−、C−CアルコキシC−Cアルキル−NH−、ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル−NH−、ヒドロキシC−Cアルキル−NH−、ジヒドロキシC−Cアルキル−NH−、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル−NH−、C−Cアルコキシカルボニル−NH−、−NH−C−C−アルキレン−CN、−NH−SO10、−NH−SON(R10)R11、−NH−C−C−アルキレン−S−R10、−NH−SOR10、−NH−C−C−アルキレン−SO10、−NH−C−C−アルキレン−SOR10、−NH−C−C−アルキレン−NH−SO10、−NH−C−C−アルキレン−CON(R10)R11、−NH−CON(R10)R11、−NH−C−C−アルキレン−C(O)OR10、−NH−フルオロアルキル、または5から10個の環原子を有する 置換もしくは非置換の脂肪族性ヘテロ環であり;
Xは、OまたはCHであり;
ただし
が、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメチル、または水素の何れかであり、かつR、R、Rが、水素、メチル、またはメトキシの何れかであり、かつRが、水素またはメチルの何れかである場合、R12は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、ヒドロキシC−Cアルキル、−C−C−アルキレン−SO10、および−C−C−アルキレン−SOR10の何れでもない]
の化合物を提供する。
【0003】
本発明の化合物は、遊離塩基もしくは塩(例えば酸付加塩)の形態で存在する。本発明は、遊離塩基および酸付加塩(例えばトリフルオロ酢酸塩もしくは塩酸塩)の形態の式Iの化合物を含むと解されるべきである。本発明に従う医薬の使用に適切な 薬学的に許容される酸付加塩は、特に塩酸塩を含む。
【0004】
式Iにおいて、下記の基が、独立して、集合的に、または何れかのコンビネーションもしくはサブ・コンビネーションにおいて、望ましい。
(a)Rは、水素、クロロ、メチル、メトキシ、−CHC(O)OCH、−CHCHC(O)OCH、−C(O)N(CH)、−C(O)OCH、シアノ、−SO−1−ピロリジニル、−SOCH、−SONHCH、−SON(CH)、−SON(CH)CHCOOH、−S−CH、−SOCHであるか、または
は、Rと共に、−NH−CH−CH−CH−、または−CH=CH−CH=CH−環を形成する;
は、より好ましくは−SONHCHである;
【0005】
(b)Rは、水素、クロロ、メチル、トリフルオロメチルであるか、または
と共に、−NH−CH−CH−CH−、−CH=CH−CH=CH−環を形成するか、または
と共に、−CH=CH−CH=CH−環を形成する;
より好ましくは、Rは水素である;
(c)Rは、水素、フルオロ、メチルであるか、または
と共に、−CH=CH−CH=CH−環を形成する;
より好ましくは、Rは水素およびクロロである;
【0006】
(d)Rは、水素、クロロであり、より好ましくは水素である;
(e)Rは、水素、クロロであり、より好ましくは水素である;
(f)Rは、メチル、ヒドロキシメチル、−CH−O−C(O)−N(R12)R13、および−CH−X−C(O)−R14である;
(g)RとRはメチルであり;
【0007】
(h)Rは、エチルまたはプロピルであり、より好ましくはエチルである;
(i)R10は、1−ピロリジニル、−CHCOOH、メチル、水素であり、より好ましくはメチルである;
(k)R11は、メチル、水素であり、より好ましくは水素である;
(l)R12は、メチル、エチル、プロピル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、シアノ、−CHCH−SOCH、−CHCH−S−CH、−CHCH−NH−SOCH、−CHC(O)OCH、−CHCONH、2,2,2−トリフルオロ−エチルであるか、または
13と共に、−CH−CH−CHOH−CH−CH−環を形成する;
より好ましくは、R12は、エチルおよび2−ヒドロキシエチルである;
【0008】
(m)R13は、水素であるか、またはR12と共に、−CH−CH−CHOH−CH−CH−環を形成する;
(n)R14は、−NH−CH、−NH−CHCH、−NH−CHCHCH、2−ヒドロキシエチル−NH−、3−ヒドロキシプロピル−NH−、2,3−ジヒドロキシプロピル−NH−、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル−NH−、−NH−CHCN、−NH−CHCH−SOCH、−NH−CHCH−S−CH、−NH−CHCH−NH−SOCH、−NH−CHC(O)OCH、−NH−CHCONH、2,2,2−NH−トリフルオロエチル、
【化2】

である;
より好ましくは、
【化3】

および2−ヒドロキシエチル−NH−である;
(o)XはOである。
【0009】
本発明はまた、式Iの化合物またはその酸付加塩の製造方法であって、
(i)Rが−CH−O−C(O)−N(R12)R13であり、かつR13が水素である、式Iの化合物を製造するために、
式 II:
【化4】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、上記で定義した通りである]の化合物を、式 III:
【化5】

[式中、R12は、上記で定義した通りである]の化合物と反応させる段階;または
【0010】
(ii)(i)に代わって、Rが−CH−O−C(O)−N(R12)R13であり、かつR13が水素である、式Iの化合物を製造するために、
式 IV:
【化6】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、上記で定義した通りである]の化合物を、式V:
【化7】

[式中、R12が上記で定義した通りである]の化合物と反応させる段階;または
【0011】
(iii)R=−CH−X−C(O)−R14であり、かつX=CHである、式Iの化合物を製造するために、
式 VI:
【化8】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、上記で定義した通りである]の化合物を、式 VII:
【化9】

[式中、R14は、上記で定義した通りである]の化合物と反応させる段階;または
【0012】
(iv)R=−CH−X−C(O)−R14であり、かつX=Oである、式Iの化合物を製造するために、
式 VIII:
【化10】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、上記で定義した通りである]の化合物を、式 VII の化合物と反応させる段階;または
【0013】
(v)RがC−Cアルキル またはヒドロキシC−Cアルキルである、式Iの化合物を製造するために、
式 IX:
【化11】

[式中、R、R、R、R、R、R、およびRは、上記で定義した通りであり;そして
は、C−Cアルキル、またはヒドロキシC−Cアルキルである]の化合物を、
式X:
【化12】

[式中、Rは上記で定義した通りであり;そして
Yは脱離基であり、例えばハロゲン(例えばBr)である]の化合物と反応させる段階;
および そのようにして得られた遊離塩基または酸付加塩の形態の式Iの化合物を回収すること;
を含む方法を含む方法を提供する。
【0014】
方法(i)は、慣用の手順、例えば実施例1に記載された手順に従って、行われ得る。方法(i)は、特定のイソシアネートが市販されているか、または容易に製造される場合が望ましい。方法(ii)、(iii)、(iv)、および(v)は、慣用の手順、例えば関連の実施例に記載された手順に従って、行われ得る。
【0015】
反応混合物の後処理、およびそのようにして得られた化合物の精製は、既知の手順に従って行われ得る。
酸付加塩は、既知の方法で、遊離塩基から製造され得、または逆も行い得る。
【0016】
式 II、III、およびVの出発化合物は、既知であるか、または既知の手順と類似の方法で、例えば実施例1に記載された通りに製造され得る。式 IV の化合物は、式 II の化合物を、例えばクロロ蟻酸フェニルと反応させることによって製造され得る。
式 VI、VII、VIII、IX、およびXの出発化合物は、既知であるか、または既知の手順と類似の方法で、例えば関連の実施例に記載された通りに製造され得る。
【0017】
本発明の化合物およびその薬学的に許容される酸付加塩(以降 本発明の薬物と言う)は、in vitro で試験した場合および動物実験で有益な薬理学的性質を示し、従って、医薬として有用である。
【0018】
特に、本発明の薬物は、カンナビノイド(CB)受容体結合活性を示す。より特定的には、本発明の薬物は、ヒトのCB1およびCB2受容体に活性である。本発明の薬物の カンナビノイド受容体相互作用は、例えばHEK293またはCHOK1膜で発現されたヒトのカンナビノイド受容体から、[H]CP55940を置換することができることを示し得る。このことは、例えば下記の試験方法に従って示される。
【0019】
試験I:CB1受容体結合アッセイ
本アッセイ混合物は、75μlの膜懸濁液[Receptor Biology, Beltsville, MD から購入した ヒトのCB1受容体でトランスフェクトされたHEK293細胞由来の膜;133μg/mlのアッセイ緩衝液中(50mMのTris−HCl, 2.5mMのEDTA, 5mMのMgCl, 5mg/mlのBSA, pH 7.4), 約10μg/ウェル)]と、25μlのWGA−YS ビーズ[小麦胚アグルチニンでコートされた珪酸イットリウム・ビーズ, Amersham (40mg/ml, 1mg/ウェル)]と、50μlのDMSO中4%の試験化合物と、50μLの放射性リガンド{[H]CP55940(180Ci/mmol), New England Nuclear;最終濃度 0.125nM, アッセイ緩衝液中}を含む。全ての成分を混合し、室温で2時間振盪し、次に Topcount で計数する。非飽和結合を、10μMの(R)−(+)−[2,3−ジヒドロ−5−メチル−3−[(4−モルホリニル)メチル]ピロロ[1,2,3−デ]−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル](1−ナフタレニル)メタノン(WIN55,212-2, Tocris)の存在下で測定する。
【0020】
CB1受容体結合アッセイにおけるK値は、本発明の薬物に対して、1nMから100μMの範囲であり、好ましくは4nMから1μMである。IC50値を、ORIGINで、ロジスティック・フィットを用いて計算する。K値を、Cheng-Prussoff の式:
=IC50/(1+([L]/K)
[ここで、[L]はリガンドの濃度である]
を用いて、IC50の値から計算する。
【0021】
試験 II:CB2受容体結合アッセイ
アッセイ混合物は、75μLの膜懸濁液[Receptor Biology, Beltsville, MD.から購入したヒトのCB2受容体でトランスフェクトされたCHOK1細胞由来の膜;133μg/mlのアッセイ緩衝液中(50mMのTris−HCl, 2.5mMのEDTA, 5mMのMgCl, 5mg/mlのBSA, pH 7.4), 約10μg/ウェル)]と、25μLのWGA−YS ビーズ[小麦胚アグルチニンでコートされた珪酸イットリウム・ビーズ, Amersham (40mg/ml, 1mg/ウェル)]と、50μLの DMSO中4%の試験化合物と、50μLの放射性リガンド{[H]CP55940(180Ci/mmol), New England Nuclear;最終濃度0.125nM, アッセイ緩衝液中}を含む。全ての成分を混合し、室温で2時間振盪し、次に Topcount で計数する。非飽和結合を、10μMの(R)−(+)−[2,3−ジヒドロ−5−メチル−3−[(4−モルホリニル)メチル]ピロロ[1,2,3−デ]−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル](1−ナフタレニル)メタノン (WIN55,212-2, Tocris)の存在下で測定する。
【0022】
CB2受容体結合アッセイにおけるK値はまた、本発明の薬物において、1nMから100μMの範囲であり、好ましくは4nMから1μMである。IC50値を、ロジスティック・フィットを用いて、ORIGIN で計算される。K値を、IC50値から、Cheng-Prussoff の式:
=IC50/(1+([L]/K)
[ここで、[L]は、リガンドの濃度である]
を用いて計算する。
【0023】
本発明の薬物は、従って、カンナビノイド受容体活性が役割を果たす もしくは関与する疾病状態、例えば慢性疼痛、特に炎症、例えば慢性炎症性疼痛、炎症性疾患、例えば炎症性気道疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または喘息、鼻炎、炎症性腸疾患、膀胱炎、例えば間質性膀胱炎、膵炎、ブドウ膜炎、炎症性皮膚疾患、およびリウマチ性関節炎の処置または予防に有用である。
特に麻酔薬としての活性が、標準的な試験方法で、例えば下記の試験に記載されているように、確認され得る。
【0024】
試験 III:神経因性疼痛モデル
痛覚過敏を、Seltzer et al (1990)によって記載された通りに、坐骨神経の部分的結紮によって誘発される神経因性疼痛のモデルで、試験する。概略して、ウィスターラット(120−140g)に麻酔をかけ、左の坐骨神経を、大腿中央部の小切開口から露出し、神経の厚さが1/3〜1/2になるまで、7.0の絹の縫合糸で結紮した。傷を単一筋肉縫合と皮膚クリップで閉じ、オーレオマイシン抗生物質粉末を散布した。動物を回復させ、手術12〜15日後に用いた。
【0025】
機械的な痛覚過敏を、足の裏側の表面への漸増圧力刺激に対する足の引っ込めを、analgesymeter(Ugo-Basile, Milan)を用いて、250gのカットオフで測定することによって評価する。引っ込めを、同じ側(結紮されている)と、反対側(結紮されていない)の両方の足で、投与前と薬物投与または賦形剤投与後6時間までで測定する。データを、引きずり(g)として、および下記:
【数1】

の式に従って計算した痛覚過敏の%回復として表す。
【0026】
効力を、D50値として、すなわち痛覚過敏が50%回復するのに必要な化合物の用量として表す。
50値は、本発明の化合物において、0.1mg/kgから100mg/kgの範囲である。
【0027】
特に、CB1アゴニストとしての活性は、標準試験法に従って、例えば下記の試験に記載した通りに、確かめられ得る。
【0028】
試験IV:CB1機能アッセイ
G−蛋白質活性を、G−蛋白質結合受容体に対する受容体−リガンド結合の機能測定として用いる。G−蛋白質活性化の基本的なメカニズムは、結合したグアノシン 5'−ジホスフェート(GDP)の、グアノシン 5'−トリホスフェート(GTP)への交換である。放射活性のある加水分解されない形態のGTP、例えばグアノシン 5'−O−(3−[35S]チオホスフェート([35S]GTPγS)を用いて、G−蛋白質活性は、受容体活性に対する応答における膜結合放射活性の累積を測定することによって評価する。
【0029】
アッセイ緩衝液は、25mMのHEPES(2.98g/0.5L)と、10mMの無水MgCl(476mg/0.5L)と、100mMのNaCl(2.92g/0.5L)と、0.1%のウシ血清アルブミン(0.5g/0.5L)を含む。1つの96ウェル・プレート試験において、全ての下記の試薬をアッセイ緩衝液中で製造する:
10×GDP(ナトリウム塩;Sigma, カタログ番号 G-7127;0.004g/10ml=10mM, 希釈 1:20, 500μMとする);
10×GTPγS(四リチウム塩;Sigma, カタログ番号 G-8634;1mM ストック, 希釈 1:10, 100μMとする);
10×[35S]−GTPγS(NEN Life Science, カタログ番号 NEG030H, 250μCi/20μL;10μMのストック, 希釈 1:20,000, 0.5nMとする);
hCB1受容体膜(HEK293細胞;Receptor Biology Inc, カタログ番号 RBhCB1 382200) 10μg/ウェル(ストック 9.23mg/ml, 受容体濃度(Bmax):1.21pmol/mg蛋白質)=103μL カンナビノイド供給膜, 9497μLの緩衝液中(膜バイアルを解凍し、素早くアッセイ緩衝液で希釈し、氷上に置く);
5×WGA PVT シンチレーション・プロキシミティー・アッセイ(SPA)ビーズ(Amersham International, カタログ番号 RPNQ001;20mg/ml);および
10×試験化合物/DMSO コントロール。
【0030】
下記のものを、Packard PicoPlate - 96 plates (体積/ウェル)にピペットで入れ、アッセイの全体積を250μLとする:25μLの10×(500μM)GDP、または緩衝液(全ての結合に対して);25μLの10×試験化合物/DMSO コントロール;25μLの10×GTPγS(非特異的結合に対して)、または緩衝液;25μLの10×[35S]−GTPγS;100μLのヒトのカンナビノイド受容体(10μg/ウェル);50μLの(20mg/ml)WGA PVT SPA ビーズ(1mg/ウェル)。プレートを topseal A cover で密閉し、2分間ボルテックスにかける。プレートを室温で60分間インキュベートし、800Gで5分間遠心分離(Beckman 6JB)し、Topcount で3分間計数する。
【0031】
非特異的な結合を10μMのGTPγSを用いて決定し、これを全ての値から引く。基底結合を、アゴニスト非存在下にGDPを存在させて評価する。アゴニストによる刺激を、基底レベルから増加したパーセンテージとして、
【数2】

と定義する。
【0032】
データは、実験1から6の平均値±S.E.M.として表し3回行った。濃度−応答データの非線形回帰分析を行い、Origin version 5 (logistics algorithm; Microcal Software Inc. MA, USA)を用いて、最大効果の百分率(Emax, %)およびEC50値(nM)を計算する。Emaxは、同じプレートでの WIN55,212-2 の値と比べた、試験化合物の最大活性である。
【0033】
EC50値は、本発明の薬物において、1nMから50μMの範囲であり、好ましくは2nMから3μMである。Emax値は、本発明の薬物において、52%から180%であり、好ましくは80%から180%である。
【0034】
本発明の薬剤は、従って、例えば様々な由来もしくは病因の疼痛の処置におけるカンナビノイド受容体アゴニストとして、および炎症反応、炎症疾患、もしくは炎症状態の処置およびアレルギー応答の処置における抗炎症剤および/または抗浮腫剤として、特に有用である。鎮痛/抗炎症プロファイルに関して、それらは、炎症性疼痛の処置、痛覚過敏の処置、そして特に重度慢性疼痛の処置に有用である。それらは、例えば、やけど、捻挫、骨折などに関する、外傷性疼痛、炎症、および/または浮腫の処置に、例えば術後鎮痛剤として例えば外科的侵襲後処置に、および骨および関節痛(骨関節炎)、リウマチ性関節炎、リウマチ性疾患、腱鞘炎、痛風、癌疼痛、筋膜疼痛(筋肉損傷、線維筋痛症)、下部背位疼痛、慢性神経因性疼痛、例えば糖尿病神経障害、幻肢痛、および術前術後疼痛(一般的手術、婦人科手術)の処置に有用である。それらは、さらに、例えばアンギナ、月経、または癌に関連する疼痛の処置のための鎮痛剤として適切である。抗炎症剤/抗浮腫剤として、それらは、さらに炎症性皮膚疾患、例えば乾癬および湿疹の処置に有用である。
【0035】
本発明の薬物はまた、慢性精神病、例えば鬱病、双極性障害、例えば躁鬱病、極度精神病性状態、例えば躁病、統合失調症、および過剰気分変動(行動の安定化が望ましい状態)の処置にも有用である。さらに、本化合物は、ADHD(注意欠陥多動性障害)、および他の注意障害、例えば自閉症、不安状態、不安全般(generalized anxiety)、および広所恐怖、および引きこもりによって特徴付けられる行動状態、例えば否定的症状(negative symptom)に適応され、そして神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病などの処置および予防にも適応される。
【0036】
本発明の薬物はまた、例えば胃腸管もしくは子宮の痙攣の処置、例えばクローン病、潰瘍性腸炎もしくは膵炎の治療、および例えば多発性硬化症における筋肉痙攣および震顫の処置のための、平滑筋弛緩剤として有用である。
【0037】
さらに、本発明の薬物はまた、特に緑内障に対する危険因子(例えば高眼圧、緑内障の家族歴、他眼緑内障、および近視(これらに限定されない)を有する患者において、緑内障、正常眼圧緑内障、および網膜や視神経の神経変性疾病状態からなる群から選択される眼の疾患の処置に有用である。
【0038】
該眼の疾患における効力は、下記の動物モデルで確かめられ得る(モデルの包括的な考察は Goldblum and Mittag, Vision Research 42 (2002) 471-478 を参照のこと)。
(1) 眼圧の増加によって誘発される実験的な緑内障を得る:
――ラット(Ueda et al., Japan. J. Ophthalmol. 1998; 42:337-344)、ウサギおよびサル(March et al., Lasers Surg. Med. 1984; 4:329-335, Pederson and Gaasterland, Arch. Ophthalmol. 1984; 102:1689-1692)における小柱網のレーザー光凝固法による;
――ラットでの2もしくは3つの強膜上静脈/輪部静脈の焼灼による(Shareef et al., Exp. Eye Res. 1995; 61: 379-382, Mittag et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 2000; 41:3451-3459 に記載された通り);
――ラットの輪部の水性体液集合静脈への、高浸透圧食塩水の注射による (Morrison et al., Exp. Eye Res. 1997; 64: 85-96 に記載された通り);
――ウサギにおけるα−キモトリプシンの眼内注射による (Fernandez-Durango et al., Exp. Eye Res. 1991; 53: 591-596 に記載された通り);
――ラットにおけるS−抗原の眼内注射による (Mermoud et al., Graefes Arch. Clin. Exp. Ophthalmol. 1994; 232:553-560);
【0039】
(2) 視神経(ON)損傷によって誘発される実験的な緑内障を得る:
――マウス(Levkovitch-Verbin et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 2000; 41: 4169-4174)、およびラット(Yoles and Schwartz, Exp. Neurol. 1998; 153:1-7)におけるONクラッシュによる;
――ラットにおけるON切断による (Martin et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 2002; 43: 2236-2243, Solomon et al. J. Neurosci. Methods 1996; 70:21-25 に記載された通り);
――眼の血管結紮(Lafuente et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 2001; 42:2074-2084 に記載された通り)または前房のカニューレ挿入(Buchi et al., Ophthalmologica 1991; 203:138-147)後の ラットにおける実験的な一過性(急性)網膜虚血による;
――ラット(Stokely at al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 2002; 43: 3223-3230)、またはウサギ(Takei et al., Graefes Arch. Clin. Exp. Ophthalmol 1993; 231:476-481)における 眼へのエンドセリン−1の注射による;
【0040】
(3)ラットにおける興奮毒性によって誘発される実験的な緑内障(Vorwerk et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 1996; 37:1618-1624 に記載された通りの興奮性アミノ酸もしくはそのアナログの眼への注射);
【0041】
(4)マウスにおける緑内障の二次的な形態(色素散乱)への自然進行 (DBA/2J, DBA/2Nnia, および AKXD28/Ty マウス, Anderson et al., BMC Genetics 2001; 2:1, Chang et al., Nature Genetics 1999; 21: 405-409, John et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 1998; 39: 951-962, Sheldon et al., Lab. Animal Sci. 1995; 15:508-518 に記載された通り);
【0042】
本発明の明細書において、“処置”または“処置する”という用語は、予防的(prophylactic もしくは preventative)処置、および治療処置もしくは疾患修飾処置(disease modifying treatment)の両方を言い、疾患にかかる危険がある患者の処置、または疾患にかかっている可能性のある患者の処置、および 病気の患者、または疾病状態もしくは医学的状態に罹患していると診断される患者の処置を含む。
【0043】
上記の適用において、本発明の薬物の適切な用量は、例えば宿主、投与方法、処置される状態の性質と重症度、および用いられる本発明の特定の薬物の関連の効果に依存して、当然に変化する。例えば、必要な活性成分の量は、特定の活性成分の血漿中の濃度が治療的効果において許容されるレベルで どのぐらい長く保持されるかを決定する、既知の in vitro の方法および in vivo の方法に基づいて決定され得る。一般的に、動物において満足できる結果は、経口で約0.01から約20.0mg/kgの1日用量で得られることが示されている。ヒトにおいて、適用される1日用量は、経口で約0.7から約1400mg/日、例えば約50から200mg/日の範囲であり、便宜的に、1度、または1日当たり4回までの分割用量で、または徐放性の形態で投与される。経口投与形は、それゆえに、適切には、適切な薬学的に許容される希釈剤もしくは担体と混合した、約0.2から約700mgの本発明の薬物を含む。
【0044】
本発明の薬物は、あるいは、例えば前記の皮膚状態を処置するために、例えばクリーム、ゲルなどの形態で局所に、または 例えば喘息の処置のために、例えば乾燥粉末の形態で吸入によって、投与され得る。
【0045】
本発明の薬物を含む組成物の例は、0.1から1%、例えば0.5%の範囲の、例えば式Iの塩酸塩を含む、例えば固体分散物、例えば可溶化剤を含む水溶液、ミクロエマルジョン、および懸濁液を含む。組成物は、適切な緩衝液によって、例えば3.5から9.5の範囲のpHに、例えばpH 4.5に調製され得る。
本発明の薬物はまた、研究用試薬としても有用である。
【0046】
本発明の薬物は、単独で またはCB1もしくはCB2受容体活性に役割を果たす もしくは関与する疾病状態の処置に有効な 他の薬物との組み合わせの何れかで、in vivo で投与され得る。該薬物は、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、例えば特定のCOX−2阻害剤(例えば セレコキシブ、および ロフェコキシブ)、および非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)(例えばアセチルサリチル酸、プロピオン酸誘導体)、バニロイド受容体アンタゴニスト、三環式抗うつ薬(例えば Anafranil(登録商標)、Asendin(登録商標)、Aventyl(登録商標)、Elavil(登録商標)、Endep(登録商標)、Norfranil(登録商標)、Norpramin(登録商標)、Pamelor(登録商標)、Sinequan(登録商標)、Surmontil(登録商標)、Tipramine(登録商標)、Tofranil(登録商標)、Vivactil(登録商標)、Tofranil-PM(登録商標))、抗痙攣薬(例えばガバペンチン(gabapentin))、およびGABAアゴニスト(例えばL−バクロフェン)を含む。
【0047】
本発明による、組み合わせパートナーの別個の投与のための医薬組成物、および固定化された組み合わせでの投与のための医薬組成物(すなわち少なくとも2つの組み合わせのパートナーを含む単一製剤)は、それ自身既知の方法で製造され得、そしてヒトを含む哺乳動物への 経腸の(例えば経口もしくは直腸の) および非経腸の投与に適切であり、そして単独で、または1個以上の薬学的に許容される担体と組み合わせた、治療上効果的な量の少なくとも1個の薬理学的に活性な組み合わせパートナーを含み、特に経腸の または非経腸の適用に適切である。
【0048】
新規医薬組成物は、活性成分を、例えば約0.1%から約99.9%、好ましくは約20%から約60%含む。経腸もしくは非経腸投与における、組み合わせ治療のための医薬製剤は、単位投与形で、例えば糖衣錠、錠剤、カプセル剤、または坐剤、およびさらにアンプルの形態である。別記しない限り、これらは、それ自身既知の方法で、例えば混合、顆粒化、糖衣、溶解、または凍結乾燥の工程などの慣用の工程によって製造される。それぞれの投与系のそれぞれの用量で含まれる組み合わせパートナーは、複数の投与単位の投与によって有効量を達成し得るならば、それ自身の構成要素で有効量を必要としないことが認められるであろう。
【0049】
特に、治療的に効果的な量の組み合わせパートナーは、それぞれ、同時に、または何れかの順序で連続的に、投与され得る。構成成分は、別個に、または固定化された組み合わせとして、投与され得る。例えば、本発明による増殖性疾患の進行の遅延または処置の方法は、
(i)組み合わせパートナーの投与
(a)遊離の または薬学的に許容される塩の形態;および
(ii)組み合わせパートナーの投与
(b)遊離の または薬学的に許容される塩の形態;
を、同時にまたは何れかの順で連続して、共に治療上効果的な量で、好ましくは共同的に効果的な量で、例えば本明細書中で記載された量に対応する1日用量で、投与することを含み得る。個々の組み合わせパートナーは、別個に、治療の経過の中で異なる時に、または分割もしくは1回組み合わせ製剤で同時に、投与され得る。さらに、投与という用語はまた、in vivo でこのような組み合わせパートナーに変換される組み合わせパートナーのプロドラッグの使用を含む。本発明は、従って、このようなレジメの同時もしくは代替の処置を全て含むと解され、“投与”という用語は、これに従って解釈される。
【0050】
用いられる組み合わせパートナーの有効量は、特定の化合物または用いられる医薬組成物、投与方法、処置される状態、処置される状態の重症度に依存して変化し得る。従って、投与レジメは、投与経路および患者の腎臓機能と肝機能を含む様々な要素に従って選択される。通常の技術を有する医師、臨床医、または獣医は、該状態の進行を妨げ、留め、または阻止するのに必要な有効量の1個の活性成分を、容易に決定し処方し得る。毒性がなく効力が得られる範囲内の活性成分の濃度を得る際の最適の精度は、活性成分の有効性の標的部位への薬物動態に基づくレジメによって決められる。一般的に、動物での満足のいく結果は、約0.01から約20.0mg/kg(経口)の1日用量で得られるよう適応される。ヒトにおいて、適応される1日用量は、約0.7から約1400 mg/日(経口)の範囲で、例えば約50から200mgであり、便宜的には、1度に または1日4回までの分割投与で、または徐放形で投与される。それゆえに、経口投与形は、適切には約0.2から約700mg 含む。
【0051】
上記に従って、本発明はまた、
(1)カンナビノイド受容体アゴニストとして、例えば上記の何れかの特定の適応に使用するための本発明の薬物;
(2)薬学的に許容される希釈剤または担体と共に、活性成分として本発明の薬物を含む医薬組成物(該組成物は、慣用の方法で製造され得る);
(2')カンナビノイド受容体活性が役割を果たすか、または関与する疾患もしくは状態を処置する または予防する医薬組成物であって、本発明の薬物および担体を含む医薬組成物;
(3)上記の何れかの特定の適応の処置が必要な対象において、該適応を処置する方法であって、有効量の本発明の薬物を投与することを含む方法;
(3')カンナビノイド受容体活性が役割を果たすか、または関与する疾患もしくは状態を処置する または予防する方法であって、治療上効果的な量の本発明の薬物を、該処置が必要な哺乳動物に投与することを含む方法;
(4)カンナビノイド受容体活性が役割を果たすか、または関与する疾患もしくは状態を処置する または予防する医薬の製造のための、本発明の薬物の使用;
(5)治療上効果的な量の本発明の薬物と第2薬物を、共に、例えば同時に または連続して投与することを含む上記の方法であって、第2薬物が、例えば上記の何れかの特定の適応に使用するための薬物である方法;
(6)治療上効果的な量の本発明の薬物と第2薬物を含む組み合わせであって、第2薬物が、例えば上記の何れかの特定の適応に使用するための薬物である組み合わせ;
を提供する。
【0052】
本発明に従って使用するのに望ましい式Iの化合物は、実施例2の化合物である。この化合物は、強力なCBアゴニストであり(試験IVのCB1機能アッセイにおけるEC50=0.132±0.019μM;Emax=117±5%)、特に in vitro でのCB1アゴニストであり(試験IのCB1受容体結合アッセイにおけるK=0.034±0.003μM)、そして in vitro でのCB2アゴニストである(試験IIのCB2受容体結合アッセイにおけるK=0.011±0.0035μM)。実施例2の化合物における試験IIIの神経因性モデルにおけるD50値は、0.5mg/kg(経口)である。
【0053】
実施例中で用いる略号
AcOH=酢酸;
HCl=塩酸;
KOH=水酸化カリウム;
MeCN=アセトニトリル;
MgSO=硫酸マグネシウム;
NaSO=硫酸ナトリウム;
NaHCO=炭酸水素ナトリウム;
TFA=トリフルオロ酢酸;
THF=テトラヒドロフラン.
下記の実施例は、本発明を例示している。
【実施例】
【0054】
実施例1:2−エチルカルバモイルオキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステルの製造
a)3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸 4−エチルエステル 1,2−ジメチルエステルの製造:
イソデヒドロ酢酸エチル(300g, 1.53mol)と、アセチレンジカルボン酸ジメチル(434.6g, 3.06mol)の、黄色の粘性の反応混合物を、アルゴン雰囲気下、約190℃で1時間加熱する。COが勢いよく発生し、黒色の反応混合物が形成される。反応混合物を、アルゴン下で、終夜環境温度まで冷却する。混合物を、酢酸エチル/ヘキサン(約700ml, 1:2)に溶解し、シリカゲル(5kg)に通して濾過し、ヘキサン/酢酸エチル(3:1)で溶出することによって精製し、表題化合物を黄色の油状物として得る(427g, 94.9%)。
【0055】
b)3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸 4−エチルエステル 2−メチル エステルの製造:
メタノール(10.2L)中の3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸 4−エチルエステル 1,2−ジメチルエステル(421g, 1.43mol)の薄黄色の溶液を、撹拌しながら、室温で5M KOH溶液(5.74L)で処理し、明褐色の溶液を形成する。反応混合物を室温で35分間撹拌し、TLC(酢酸エチル:AcOH, 20:1)は、約15分後に反応完了を示す。黄褐色の反応混合物を氷(3kg)で処置し、tert−ブチル メチル エーテル(2×15L)で抽出する。有機相を塩水(5L)でさらに抽出する。濃HCl溶液(2.5L)をpH 1となるまで、必要であれば氷を加えて30℃以下の温度に保って、水相に加える。酸性にした水層を酢酸エチル(2×3L)で抽出し、有機相を塩水(2L)で逆洗浄する。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去し、表題化合物を白色の結晶性の固体として得る(377g, 94%)。
【0056】
c)4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル 3−メチル エステルの製造:
tert−ブタノール(4.2L)中の、3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸 4−エチルエステル 2−メチル エステル(374g, 1.33mol)と、ジフェニルホスホリル アジド(734g, 576ml, 2.66mol)と、トリエチルアミン(270g, 371.4ml, 2.66mol)の黄色の溶液を、撹拌しながら、1.5時間還流する。勢いよくNが発生し、透明な褐色の溶液が形成する。反応混合物を約50℃まで冷却し、真空下で蒸発乾固し、暗褐色の油状物を得る(1.4kg)。これをジクロロメタン(3L)に再度溶解し、飽和NaHCO溶液(2×2L)で、そして塩水(2L)で連続して洗浄する。合わせた水層をジクロロメタン(1L)で逆洗浄する。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去し、暗褐色の油状物を得る(1.14kg)。粗生成物をヘキサン/酢酸エチル(1L, 1:1)に溶解し、シリカゲル(6kg)に通して濾過し、ヘキサン/酢酸エチル(8:1)で溶出することによって精製し、表題生成物を黄色のろう状固体として得る(441.5g, 94.2%)。
【0057】
d)4−アミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル 3−メチル エステルの製造:
ジクロロメタン(825ml)中の4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル 3−メチル エステル(435g, 1.24mol)の透明な黄色の溶液を、撹拌しながら、窒素下で、TFA(825ml)で、室温で処理する。この時、COの発生を観測した。環境温度で約1.5時間撹拌した後、反応混合物を真空で蒸発乾固する。残渣を酢酸エチル(2L)に再度溶解し、水(2L)で、50% NaHCO溶液(2L)で、飽和NaHCO溶液(2L)で、そして塩水(2L)で連続的に洗浄する。合わせた水相を酢酸エチル(1L)で逆洗浄する。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去する。得られた粘稠なパルプ状物質をヘキサン(2L)で処理し、撹拌しながら0℃まで冷却し、そして1時間勢いよく撹拌する。懸濁液を濾過し、冷ヘキサンでよく洗浄し、40℃で一定の重量になるまで乾燥し、表題生成物を白色の結晶性の固体として得る(231.5g, 74.4%)。
【0058】
e)4−アミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステルの製造:
メタノール(5.9L)中の4−アミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル 3−メチル エステル(225g, 0.89mol)の白色の懸濁液を、撹拌しながら、窒素雰囲気下、室温で、5M KOH溶液(3.58L)で処理する。反応混合物を約80℃まで加熱する。この時、透明な無色の溶液が最後に形成する。1時間加熱した後、反応混合物を約40℃まで冷却する。メタノールを減圧下で除去し、残った水相をtert−ブチル メチル エーテル(2×3L)で抽出する。有機相を水(0.5L)で逆抽出する。濃HCl溶液(2.5L)を、pH 1になるまで、必要であれば氷を加えて30℃以下の温度に保って、合わせた水相に加える。酸性にした水層を酢酸エチル(2×3L)で抽出し、有機相を塩水(2L)で逆洗浄する。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒が約1Lになるまで濃縮する。黄色の酢酸エチル溶液をヘキサン(2L)で希釈し、0℃で1時間置く。得られた白色の懸濁液を濾過し、ヘキサン/酢酸エチル(8:2)で洗浄し、40℃で一定の重量になるまで乾燥し、表題生成物を白色の結晶性の固体として得る(194g, 84.9%)。さらに17.8g(7.8%)を母液から回収し得る。
【0059】
f)4−(ベンジルオキシアセチル)アミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステルの製造:
無水ジクロロメタン(250ml)中の4−アミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル(25g, 0.1054mol)の溶液に、撹拌しながら、氷浴温度で、ジイソプロピルエチルアミン(18ml, 0.421mol)を一度に加え、次に塩化ベンジルオキシアセチル(Aldrich, 18ml, 0.1159mol)を滴下する。反応混合物を、終夜 室温まで温める。TLC/LCMS分析が、反応が完了したことを示す。反応混合物を蒸発乾固し、残渣を酢酸エチルと2M HClの層間に分配する。有機相を分離し、無水NaSOで乾燥し、蒸発させ、黄色の固体を得る。シクロヘキサン/酢酸エチルから再結晶し、表題化合物を黄色の結晶性の固体として得る(38.5g, 0.100mol, 95%)。
【0060】
g)N−メチル−2−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドの製造:
メタノール(35ml)中の塩化 2−ニトロベンゼンスルホニル(18.24g, 0.082mol)の懸濁液に、撹拌しながら、メチルアミン(THF中 2.0M, 90ml, 0.18mol)を、滴下ろうとを介して滴下する。反応混合物を室温に至らせ、その後終夜放置する。TLC(溶剤 シクロヘキサン/酢酸エチル 1/1)は、幾らかの出発物質が残っていることを示した。さらにメチルアミン(THF中 2.0M, 30ml)を加え、混合物を1時間撹拌する。TLCは、反応が完了したことを示す。反応混合物を真空で蒸発させ、残渣を水と酢酸エチルの層間に分配する。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を、飽和NaHCO水溶液で、そして塩水で洗浄し、次に無水MgSOで乾燥する。真空で蒸発させ、表題化合物を薄黄色の結晶として得る(16.91g, 0.078mol, 95%)。
【0061】
h)2−アミノ−N−メチル−ベンゼンスルホンアミドの製造:
無水THF(200ml)中のN−メチル−2−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(17g, 0.078mol)の溶液を、家庭用掃除機で脱気する。パラジウム/活性炭(10% Pd, 3.7g)を加え、懸濁液に、撹拌しながら、水素を勢いよく流す(バルーン)。懸濁液を水素下で終夜撹拌する。TLC分析は、反応が完了したことを示している。次に反応混合物をセライトで濾過する。消費した触媒を、酢酸エチルで、そしてメタノールで連続的に洗浄する。真空で蒸発させ、表題化合物を粘性の薄褐色の油状物として得る(14.6g, 100%)。
【0062】
i)2−ベンジルオキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸 エチルエステルの製造:
3口丸底フラスコ中の、4−(ベンジルオキシアセチル)アミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル(27g, 0.07mol)と、2−アミノ−N−メチル−ベンゼンスルホンアミド(13g, 0.07mol)と、無水トルエン(500ml)の懸濁液に、メカニカル・スターラーで撹拌しながら、三塩化リン(51ml, 0.56mol)を、滴下ろうとを介して滴下する。反応混合物を、室温で5分間撹拌し、次に還流する。45分後、LCMS分析は、反応が完了したことを示す。懸濁液を室温まで冷却し、溶液相を固体の物質からデカンテーションする。溶液と固体の物質を別個に後処理する。トルエン溶液を、勢いよく撹拌しながら、酢酸エチルと飽和NaHCO水溶液の層間で分配し、透明な二相の溶液を得る。有機相と水相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出する(×2)。有機相を合わせて無水NaSOで乾燥し、真空で蒸発させ、橙色の油状物を得る。同様に、固体の物質を、酢酸エチルと飽和NaHCO水溶液と共に、勢いよく撹拌し、透明な二相の溶液を得る。有機相と水相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出する(×2)。有機相を合わせ、無水NaSOで乾燥し、真空で蒸発させ、橙色の油状物を得る。橙色の油状物をジエチルエーテルでトリチュレートし、黄色の固体を得る。これを濾過によって取り、ジエチルエーテルで洗浄し、空気乾燥し、表題化合物を得る(20g, 0.037mol, 53%)。
【0063】
k)2−ヒドロキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸 エチルエステルの製造:
無水THF(270ml)中の2−ベンジルオキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸 エチルエステル(15g, 0.028mol)の溶液を、家庭用掃除機で脱気する。パラジウム/活性炭(Acros, 10% Pd, 930mg)を加え、懸濁液に勢いよく水素を流す(バルーン)。懸濁液を水素下で終夜撹拌する。TLCとLCMS分析は、出発物質が残っていることを示す。反応混合物をセライトで濾過し、触媒を、メタノールで、DCMで、そしてメタノールで連続的に洗浄する。ろ液を蒸発させ、クリーム状固体を得る。ジエチルエーテルでトリチュレートし、白色の固体を得る。それを濾過によって取り、高真空下で乾燥し、表題化合物を得る(5.42g, 0.012mol, 43%)。エーテル性のろ液(未反応の出発物質を含む)を、真空下で蒸発させ、残渣を、水素化(Pd−C, 920mg)の第2のサイクルにかける[水素下で終夜撹拌した後、TLC/LCMSは、出発物質が存在しないことを示す]。反応混合物を上記の通りに後処理し、表題化合物を白色の固体として得る(4.75g, 0.01mol, 38%)。
全収量:10.17g, 0.022mol, 82%.
【0064】
l)2−エチルカルバモイルオキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸 エチルエステルの製造:
無水THF(2ml)中の2−ヒドロキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル(1.2g, 2.70mmol)の溶液に、撹拌しながら、エチル イソシアネート(3ml)を一度に加える。得られた懸濁液をアルゴン下で撹拌する。10分後、透明な溶液を得る。45分後、TLC/LCMS分析は、完全な変換を示す。反応を、過剰のメタノールを添加することによってクエンチし、次に真空下で蒸発乾固する。シリカでのフラッシュクロマトグラフィー(溶出液の濃度勾配:酢酸エチル, 30%〜35%〜65%, ジエチルエーテル中)によって精製し、表題化合物を無色のガラス状物質として得る(1.36g, 2.63mmol, 98%)。
Mp 102〜115℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) 1.12 (3 H, t, J = 7 Hz), 1.41 (3 H, t, J = 8 Hz), 2.43 (3 H, s), 2.66 (3 H, d, J = 5 Hz), 2.73 (3 H, s), 3.16 (2 H, m), 4.44 (2 H, q, J = 7 Hz), 4.61 (1 H, d, J = 14 Hz), 4.73 (1 H, d, J = 14 Hz), 4.90 (1 H, bm) overlapping 4.94 (1 H, bm), 7.47 (2 H, m), 7.70 (1 H, dt, J = 1, 8 Hz), 7.78 (1 H, dt, J = 2, 8 Hz), 8.10 (1 H, d, J = 8 Hz);
1H NMR (400 MHz, CD3OD) 1.11 (3 H, t, J = 7 Hz), 1.42 (3 H, t, J = 7 Hz), 2.44 (3 H, s), 2.55 (3 H, s), 2.71 (3 H, s), 3.09 (2 H, q, J = 7 Hz), 4.46 (2 H, q, J = 7 Hz), 4.58 (1 H, d, J = 14 Hz), 4.78 (1 H, d, J = 14 Hz), 7.48 (1 H, s), 7.60 (1 H, dd, J = 1, 8 Hz), 7.81 (2 H, m), 8.12 (1 H, dd, J = 1, 8 Hz);
MS m/z (ES+) 517.1 (M + 1, 100%);
HPLC:保持時間=5.185分, >96%, カラム Phenomex-Kingsorb C18, 3cm×4.6mm ID, 溶媒系 MeCN/HO(0.1%TFA), 濃度勾配:10〜90% MeCN, 10分;検出 254nm.
【0065】
m)2−エチルカルバモイルオキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸 エチルエステル塩酸塩の製造:
2−エチルカルバモイルオキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル(504mg, 0.976mmol)を、勢いよく撹拌しながら、10分間に渡って、無水エタノール(20ml)に溶解する。透明な無色の溶液に、濃HCl(70滴)を、ピペットを介してゆっくりと加える。5分後、密な白色の沈殿物を形成する。さらに10分間撹拌した後、懸濁液を真空下で蒸発させ、残渣を高真空下で終夜乾燥し、塩酸塩を、無色微小針状晶として得る(521mg, 0.942mmol, 97%)。
Mp 126〜130℃;
1H NMR (400 MHz, CD3OD)1.12 (3 H, t, J = 8 Hz), 1.43 (3 H, t, J = 7 Hz), 2.48 (3 H, s), 2.56 (3 H, s), 2.73 (3 H, s), 3.13 (2 H, m), 4.48 (2 H, q, J = 7 Hz), 4.77 (1 H, d, J = 15 Hz), 4.90 (1 H, d, J = 15 Hz), 7.59 (1 H, s), 7.68 (1 H, dd, J = 1, 8 Hz), 7.88 (2 H, m), 8.15 (1 H, dd, J = 2, 8 Hz);
MS m/z (ES+) 517.1 (M+1, 100%).
【0066】
6bがHであり、RとRがメチルであり、かつRがエチルである、下記の式Iの化合物は、適切な出発物質を用いる以外は実施例1の手順に従って、製造され得る(Ex=実施例;HPLC保持時間のデータ[分]とイオン質量と共に示す)。
【表1】

【0067】
実施例2:2−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイルオキシメチル)−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステルの製造:
無水ピリジン(20ml)中の2−ヒドロキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル(800mg, 1.79mmol)の溶液に、撹拌しながら、窒素雰囲気下、クロロ蟻酸フェニル(0.566ml, 4.5mmol)を、一度に加える。ゼラチン状の白色の沈殿物が形成する。反応混合物を、撹拌しながら、80℃に加熱する。45分後、TLC/LCMS分析が反応の完了を示す。反応物を冷却し、真空で蒸発乾固させる。残渣を酢酸エチルと2M HClの層間に分配する。有機相を分離し、無水NaSOで乾燥し、蒸発させ、高真空で乾燥し、灰白色の泡沫を得る。泡沫を無水THF(10ml)に溶解し、エタノールアミン(2ml, 33mmol)を加える。反応混合物を、室温で、アルゴン下、終夜撹拌する。TLC/LCMS分析が反応の完了を示す。反応混合物を真空で蒸発乾固し、残渣をジクロロメタンと2M HClの層間に分配する。有機相を分離し、無水NaSOで乾燥し、真空で蒸発させ、橙色の油状物を得る。シリカでのフラッシュクロマトグラフィー(濃度勾配溶出:酢酸エチル, 50%〜70%〜90%, シクロヘキサン中)によって精製し、高真空で乾燥した後、表題化合物を無色の結晶として得る(872mg, 1.64mmol, 91%)。
Mp 122−125℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) 1.41 (3 H, t, J = 7 Hz), 2.30 (1 H, bm), 2.43 (3 H, s), 2.67 (3 H, d, J = 5 Hz), 2.74 (3 H, s), 3.27 (2 H, m), 3.66 (2 H, bm), 4.45 (2 H, q, J = 7 Hz), 4.73 (2 H, m), 4.97 (1 H, bm), 5.31 (1 H, bm), 7.45 (1 H, d, J = 8 Hz), 7.49 (1 H, s), 7.71 (1 H, t, J = 8 Hz), 7.79 (1 H, m), 8.10 (1 H, d, J = 8 Hz);
MS m/z (ES+) 533.2 (M + 1, 100%);
HPLC:保持時間=4.313分, >99%, カラム Phenomex-Kingsorb C18, 3 cm×4.6 mm ID, 溶媒系 MeCN/HO(0.1%TFA), 濃度勾配 10〜90% MeCN, 10分;検出 254nm.
【0068】
が−CH−O−C(O)−NH−R12であり、RとRがメチルであり、かつRがエチルである、下記の式Iの化合物は、適切な出発物質を用いる以外は、実施例2の手順に従って製造され得る(Ex=実施例;HPLC保持時間のデータ[分]とイオン質量と共に示す)。
【0069】
【表2】

【0070】
【表3】

【0071】
【表4】

【0072】
【表5】

【0073】
が−CH−O−C(O)−N(R12)R13であり、RとRがメチルであり、かつRがエチルである、下記の式Iの化合物は、適切な出発物質を用いる以外は、実施例2の手順に従って製造され得る(Ex=実施例;HPLC保持時間のデータ[分]とイオン質量と共に示す)。
【0074】
【表6】

【0075】
実施例77:3−(2−クロロフェニル)−2−(2−エチルカルバモイルエチル)−5,7−ジメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチルエステルの製造:
a)4−(3−エトキシカルボニルプロピオニルアミノ)−2,6−ジメチルイソフタル酸 1−エチルエステル:
ジクロロメタン(15ml)中の、4−アミノ−2,6−ジメチルイソフタル酸 1−エチルエステル(0.3g, 1.26mmol)と、トリエチルアミン(0.355ml, 2.55mmol)の溶液を、撹拌しながら、0℃で、塩化 エチルスクシニル(0.199ml, 1.39mmol)で処理し、反応混合物を室温まで終夜温める。反応混合物を1M 塩酸で洗浄し、塩水で逆洗浄し、無水MgSOで乾燥する。溶媒を減圧下で除去し、表題化合物を得る。これをさらに精製することなく用いる。
【0076】
b)3−(2−クロロフェニル)−2−(2−エトキシカルボニルエチル)−5,7−ジメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル:
トルエン(6ml)中の、4−(3−エトキシカルボニルプロピオニルアミノ)−2,6−ジメチルイソフタル酸 1−エチルエステル(0.327g, 0.89mmol)と、2−クロロアニリン(0.28ml, 2.66mmol)と、三塩化リン(0.74g, 5.4mmol)の混合物を、撹拌しながら、130℃で3時間加熱する。室温まで冷却し、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注ぎ、クロロホルムで抽出する。クロロホルム抽出物を合わせて、塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥する。溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(始めの溶出剤=19:1 シクロヘキサン:酢酸エチル;最終溶出液=7:3 シクロヘキサン:酢酸エチル)によって精製し、表題化合物を得る。
【0077】
b)2−(2−カルボキシエチル)−3−(2−クロロフェニル)−5,7−ジメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル:
無水エタノール(6ml)中の3−(2−クロロフェニル)−2−(2−エトキシカルボニルエチル)−5,7−ジメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル(0.1g, 0.22mmol)の溶液を、2M 水酸化ナトリウム溶液(12滴)で処理し、反応混合物を室温で4日間撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残渣を水に溶解し、酢酸エチルで洗浄する。水層を濃塩酸でpH 2まで酸性にし、これを酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせ、無水MgSOで乾燥し、溶媒を減圧下で除去し、表題化合物を得る。これをさらに精製することなく用いる。
【0078】
c)3−(2−クロロフェニル)−2−(2−エチルカルバモイルエチル)−5,7−ジメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル:
ジクロロメタン(10ml)中の、2−(2−カルボキシエチル)−3−(2−クロロフェニル)−5,7−ジメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル(0.093g, 0.217mmol)と、エチルアミン塩酸塩(0.018g, 0.221mmol)と、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.027g, 0.221mmol)と、トリエチルアミン(0.066g, 0.65mmol)と、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.042g, 0.219mmol)の混合物を、室温で3日間撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルに溶解する。酢酸エチル溶液を、2M 塩酸で、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で、そして塩水で連続的に洗浄する。無水MgSOで乾燥した後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を分取高速液体クロマトグラフィーによって精製し、表題生成物を得る。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.13 (3 H, t, J = 7.2 Hz), 1.43 (3 H, t, J = 7.1 Hz), 2.44 (3 H, s), 2.54-2.62 (2 H, m), 2.70-2.78 (2 H, m), 2.78 (3 H, s), 3.25-3.32 (2 H, m), 4.45 (2 H, q, J = 7.3 Hz), 5.98 (1 H, br s), 7.36 (1 H, s), 7.38-7.39 (1 H, m), 7.47-7.49 (2 H, m), 7.61 (1 H, m).
【0079】
実施例78:2−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイルオキシメチル)−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸プロピル エステルの製造
a)2−ヒドロキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸:
2−ベンジルオキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル(3g, 5.6mmol)を、47% 臭化水素酸に溶解する。反応混合物を、80℃で終夜、次に90℃で5時間、次に95℃でさらに5時間撹拌する。反応混合物を真空で蒸発させ、褐色の固体を得る。これをジエチルエーテル/ジクロロメタンに懸濁し、終夜撹拌する。濾過し、そしてジクロロメタンで、次にエーテルで洗浄し、真空で乾燥し、表題化合物を砂状の褐色の固体として得る。
【0080】
b)2−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイルオキシメチル)−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸プロピル エステル:
ピリジン(10ml)中の2−ヒドロキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸(200mg, 0.479mmol)の溶液に、クロロ蟻酸フェニル(0.361ml, 2.87mmol)を、室温で一度に加える。白色の沈殿物が形成する。反応混合物を80℃で2時間加熱し、次に蒸発させ、高真空で乾燥させる。残渣にプロパノール(30ml)とジクロロメタン(1ml)を加え、溶液を得る。これを室温で終夜撹拌する。反応混合物を真空で蒸発乾固し、残渣をジクロロメタンと2.0M 塩酸の層間に分配する。有機相を乾燥し(NaSO)、真空で蒸発させ、黄色の油状物を得る。油状物をTHF(5ml)に溶解し、エタノールアミン(1ml)を加え、反応混合物を室温で終夜撹拌する。反応混合物を真空で蒸発乾固し、残渣をジクロロメタンと2.0M 塩酸の層間に分配する。有機相を乾燥し(NaSO)、真空で蒸発させ、黄色の油状物を得る。自動化濃度勾配溶出液(10−100% ヘキサン中 酢酸エチル)のフラッシュクロマトグラフィーにかけ、表題化合物を薄黄色の泡沫として得る。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.02 (3 H, t, J = 7 Hz), 1.80 (2 H, m), 2.43 (3 H, s), 2.66 (3 H, d, J = 5 Hz), 2.74 (3 H, s), 3.26 (2 H, br m), 3.66 (2 H, br m), 4.44 (2 H, t, J = 7 Hz), 4.72 (2 H, m), 5.03 (1 H, br m), 5.43 (1 H, br m), 7.46 (2 H, m), 7.71 (1 H, t, J = 8 Hz), 7.79 (1 H, t, J = 8 Hz), 8.09 (1 H, d, J = 8 Hz).
【0081】
、R、R、およびRがHであり、Rが−CH−O−C(O)−R14であり、かつRとRがメチルである、下記の式Iの化合物は、適切な出発物質を用いる以外は、実施例78の手順に従って製造され得る(Ex=実施例;HPLC保持時間のデータ[分]とイオン質量と共に示す)。
【0082】
【表7】

【0083】
【表8】

【0084】
【表9】

【0085】
【表10】

【0086】
実施例102:2−ヒドロキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸ブチル エステル
a)3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸 4−エチルエステル 1,2−ジメチルエステルの製造:
イソデヒドロ酢酸エチル(300g, 1.53mol)と、アセチレンジカルボキン酸ジメチル(434.6g, 3.06mol)の黄色の粘性の反応混合物を、アルゴン雰囲気下、約190℃で1時間加熱する。勢いよくCOが発生し、黒色の反応混合物が形成する。反応混合物を、アルゴン下、環境温度まで終夜冷却する。混合物を酢酸エチル/ヘキサン(約700ml, 1:2)に溶解し、シリカゲル(5kg)で濾過し、ヘキサン/酢酸エチル(3:1)で溶出することによって精製し、表題化合物を黄色の油状物として得る。
【0087】
b)3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸 4−エチルエステル 2−メチル エステルの製造:
メタノール(10.2L)中の3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸 4−エチルエステル 1,2−ジメチルエステル(421g, 1.43mol)の薄黄色の溶液を、撹拌しながら、室温で5M KOH溶液(5.74L)で処理する。この時、明褐色の溶液が形成された。反応混合物を室温で35分間撹拌し、TLC(酢酸エチル:AcOH, 20:1)は、約15分後に反応の完了を示す。黄褐色の反応混合物を氷(3kg)で処置し、tert−ブチル メチル エーテル(2×15L)で抽出する。有機相をさらに塩水(5L)で抽出する。濃HCl溶液(2.5L)を、pH 1になるまで、必要であれば氷を加えて温度を30℃以下に保って、水相に加える。酸性にした水層を酢酸エチル(2×3L)で抽出し、有機相を塩水(2L)で逆洗浄する。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去し、表題化合物を白色の結晶性固体として得る。
【0088】
c)4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル 3−メチル エステルの製造:
tert−ブタノール(4.2L)中の、3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸 4−エチルエステル 2−メチル エステル(374g, 1.33mol)と、ジフェニルホスホリルアジド(734g, 576ml, 2.66mol)と、トリエチルアミン(270g, 371.4ml, 2.66mol)の黄色の溶液を、撹拌しながら、1.5時間還流する。勢いよくNが発生し、透明な褐色の溶液が形成する。反応混合物を約50℃まで冷却し、真空で蒸発乾固し、暗褐色の油状物を得る(1.4kg)。これをジクロロメタン(3L)に再度溶解し、飽和NaHCO溶液(2×2L)で、そして塩水(2L)で連続して洗浄する。合わせた水層をジクロロメタン(1L)で逆洗浄する。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去し、暗褐色の油状物を得る(1.14kg)。粗生成物をヘキサン/酢酸エチル(1L, 1:1)に溶解し、シリカゲル(6kg)で濾過し、ヘキサン/酢酸エチル(8:1)で溶出することによって精製し、表題生成物を黄色のろう状固体として得る。
【0089】
d)4−アミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル 3−メチル エステルの製造:
ジクロロメタン(825ml)中の4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル 3−メチル エステル(435g, 1.24mol)の黄色の透明な溶液を、撹拌しながら、窒素下、室温で、TFA(825ml)で処理する。この時、COの発生を観測した。環境温度で約1.5時間撹拌した後、反応混合物を真空で蒸発乾固する。残渣を酢酸エチル(2L)に再度溶解し、水(2L)で、50% NaHCO溶液(2L)で、飽和NaHCO溶液(2L)で、そして塩水(2L)で連続的に洗浄する。合わせた水相を酢酸エチル(1L)で逆洗浄する。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去する。得られた粘稠なパルプ状物質をヘキサン(2L)で処理し、0℃まで撹拌しながら冷却し、1時間勢いよく撹拌する。懸濁液を濾過し、冷ヘキサンでよく洗浄し、40℃で一定重量になるまで乾燥し、表題生成物を白色の結晶性の固体として得る。
【0090】
e)4−アミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステルの製造:
メタノール(5.9L)中の4−アミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル 3−メチル エステル(225g, 0.89mol)の白色の懸濁液を、撹拌しながら、窒素雰囲気下、室温で5M KOH溶液(3.58L)で処理する。反応混合物を約80℃まで加熱する。この時、最後に透明な無色の溶液を形成する。1時間加熱した後、反応混合物を約40℃まで冷却する。メタノールを減圧下で除去し、残った水相をtert−ブチル メチル エーテル(2×3L)で抽出する。有機相を水(0.5L)で逆洗浄する。濃HCl溶液(2.5L)を、pH 1になるまで、必要であれば氷を加えて温度を30℃以下に保って、合わせた水相に加える。酸性にした水層を酢酸エチル(2×3L)で抽出し、有機相を塩水(2L)で逆洗浄する。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を約1Lの容積まで濃縮する。黄色の酢酸エチル溶液をヘキサン(2L)で希釈し、0℃で1時間保存する。得られた白色の懸濁液を濾過し、ヘキサン/酢酸エチル(8:2)で徹底的に洗浄し、40℃で一定重量になるまで乾燥し、表題生成物を白色の結晶性固体として得る。さらなる量を母液から回収し得る。
【0091】
f)4−(ベンジルオキシアセチル)アミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステルの製造:
氷浴温度で、無水ジクロロメタン(250ml)中の4−アミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル(25g, 0.1054mol)の溶液に、撹拌しながら、ジイソプロピルエチルアミン(18ml, 0.421mol)を一度に加え、次に塩化ベンジルオキシアセチル(Aldrich, 18ml, 0.1159mol)を滴下する。反応混合物を室温まで終夜温める。TLC/LCMS分析が反応の完了を示す。反応混合物を蒸発乾固し、残渣を酢酸エチルと2M HClの層間に分配する。有機相を分離し、無水NaSOで乾燥し、蒸発させ、黄色の固体を得る。シクロヘキサン/酢酸エチルから再結晶し、表題化合物を黄色の結晶性固体として得る。
【0092】
g)N−メチル−2−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドの製造:
メタノール(35ml)中の、塩化 2−ニトロベンゼンスルホニル(18.24g, 0.082mol)の懸濁液に、撹拌しながら、メチルアミン(THF中 2.0M, 90ml, 0.18mol)を、滴下漏斗を介して滴下する。反応混合物を室温に至らせ、その後終夜放置する。TLC(溶出:シクロヘキサン/酢酸エチル 1/1)は、幾らかの出発物質が残っていることを示す。さらにメチルアミン(THF中 2.0M, 30ml)を加え、混合物を1時間撹拌する。TLCが反応の完了を示す。反応混合物を真空で蒸発させ、残渣を水と酢酸エチルの層間に分配する。有機相を分離し、有機相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を飽和NaHCO水溶液で、そして塩水で洗浄し、次に無水MgSOで乾燥する。真空で蒸発させ、表題化合物を薄黄色の結晶として得る。
【0093】
h)2−アミノ−N−メチル−ベンゼンスルホンアミドの製造:
無水THF(200ml)中のN−メチル−2−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(17g, 0.078mol)の溶液を、家庭用掃除機で脱気する。パラジウム/活性炭(10% Pd, 3.7g)を加え、懸濁液に、撹拌しながら、勢いよく水素を流す(バルーン)。懸濁液を水素下で終夜撹拌する。TLC分析が反応の完了を示す。次に反応混合物をセライトで濾過する。消費した触媒を酢酸エチルで、そしてメタノールで連続して洗浄する。真空で蒸発させ、表題化合物を粘性の薄褐色の油状物として得る。
【0094】
i)2−ベンジルオキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステルの製造:
三口丸底フラスコ中の、4−(ベンジルオキシアセチル)アミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル(27g, 0.07mol)と、2−アミノ−N−メチル−ベンゼンスルホンアミド(13g, 0.07mol)と、無水トルエン(500ml)の懸濁液に、メカニカルスターラーで撹拌しながら、三塩化リン(51ml, 0.56mol)を、滴下漏斗を介して加える。反応混合物を室温で5分間撹拌し、次に還流する。45分後、LCMS分析が反応の完了を示す。懸濁液を室温まで冷却し、固体物質から溶液相をデカンテーションする。溶液と固体物質を別に後処理する。トルエン溶液を勢いよく撹拌し、酢酸エチルと飽和NaHCO水溶液の層間に分配し、透明な二相の溶液を得る。有機相と水相を分離し、水相を酢酸エチル(×2)で抽出する。有機相を合わせて無水NaSOで乾燥し、真空で蒸発させ、橙色の油状物を得る。同様に、固体物質を、酢酸エチルと飽和NaHCO水溶液と共に勢いよく撹拌し、透明な二相の溶液を得る。有機相と水相を分離し、水相を酢酸エチル(×2)で抽出する。有機相を合わせ、無水NaSOで乾燥し、真空で蒸発させ、橙色の油状物を得る。橙色の油状物をジエチルエーテルでトリチュレートし、黄色の固体を得る。これを濾過によって取り、ジエチルエーテルで洗浄し、空気乾燥し、表題化合物を得る。
【0095】
k)2−ヒドロキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステルの製造:
無水THF(270ml)中の2−ベンジルオキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル(15g, 0.028mol)の溶液を家庭用掃除機で脱気する。パラジウム/活性炭(Acros, 10% Pd, 930mg)を加え、懸濁液に水素を流す(バルーン)。懸濁液を水素下で終夜撹拌する。TLCとLCMS分析は、出発物質が残っていることを示す。反応混合物をセライトで濾過し、触媒をメタノールで、DCMで、そしてメタノールで連続的に洗浄する。ろ液を蒸発させ、クリーム状固体を得る。ジエチルエーテルでトリチュレートし、白色の固体を得る。これを濾過によって取り、高真空下で乾燥し、表題化合物を得る。未反応の出発物質を含むエーテル性のろ液は、真空で蒸発させ、残渣を水素化の二回目のサイクル(Pd−C, 920mg)にかける [水素下で終夜撹拌した後、TLC/LCMSは、出発物質が存在しないことを示す]。反応混合物を上記の通り後処理し、表題化合物を白色の固体として得る。
【0096】
l)2−ヒドロキシメチル−5,7−トリメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸の製造:
2−ヒドロキシメチル−5,7−トリメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル(1.006g, 2.3mmol)を48% 臭化水素酸に溶解し、溶液を120℃で4.5時間加熱し、次に室温で終夜撹拌し続ける。反応混合物を真空で蒸発させ、残渣を酢酸エチルに懸濁する。懸濁液を蒸発させ、粗表題化合物を薄黄色の粉末として得る。これをさらに精製することなく用いる。
【0097】
m)2−ヒドロキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸ブチル エステル:
DMF(5ml)中の2−ヒドロキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸(238mg, 0.58mmol)の溶液に、室温で、炭酸セシウム(187mg, 0.57mmol)を、次に、1−ブロモブタン(0.062ml, 0.58mmol)を滴下する。反応混合物を室温で終夜撹拌する。溶媒を真空で除去し、残渣を水と酢酸エチルの層間に分配する。水相を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、真空で蒸発させる。自動化濃度勾配溶出液(0〜80% ヘキサン中酢酸エチル)のフラッシュクロマトグラフィーにかけ、表題化合物を白色の固体として得る。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.98 (3 H, t, J = 7 Hz), 1.49 (2 H, m), 1.76 (1 H, m), 2.45 (3 H, s), 2.65 (3 H, d, J = 5 Hz), 2.75 (3 H, s), 3.98 (1 H, t, J = 5 Hz), 4.07 (2 H, d, J = 5 Hz), 4.39 (2 H, m), 4.80 (1 H, br t, J = 5 Hz), 7.36 (1 H, dd, J = 1.5, 8 Hz), 7.50 (1 H, s), 7.76 (2 H, m), 8.14 (1 H, dd, J = 1.5, 8 Hz).
【0098】
実施例103:2,5,7−トリメチル−3−(2−メチルスルファモイルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸 シクロブチルメチル エステル
a)4−アセチルアミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステルの製造:
DCM(50ml)中の4−アセチルアミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸(5g, 20mmol)の溶液に、撹拌しながら、アルゴン下、DIPEA(11ml, 60mmol)を加えた。無色の溶液を氷浴上で冷却した。無水酢酸(2ml)を滴下した。反応混合物を室温に至らせ、その後終夜放置する。反応混合物を真空で蒸発させた。残渣に酢酸エチルと2M 塩酸を加えた。二層の混合物から白色の固体が沈殿した。白色の固体を濾過によって取り、有機相のろ液を乾燥し(NaSO)、真空で蒸発させ、さらなる白色の固体を得た。合わせた白色の固体を真空で乾燥し、表題化合物を得た。
【0099】
b)2,5,7−トリメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステルの製造:
トルエン(220ml)中の、4−アセチルアミノ−2,6−ジメチル−イソフタル酸 1−エチルエステル(5.39g, 1.95mmol)と、2−アミノ−N−メチル−ベンゼンスルホンアミド(3.63g, 1.95mmol)と、三塩化リン(8.5ml, 9.7mmol)の異成分混合物を、140℃(油浴の温度)で3.5時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、次に真空で蒸発させた。十分量の酢酸エチルを加え、残渣を溶解させ、溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で、次に塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、真空で蒸発させた。ジクロロメタンで残渣をトリチュレートし、白色の固体を濾過によって取った。ろ液を蒸発させ、次に酢酸エチルでトリチュレートし、白色の固体を二次収穫物として得た。蒸発−トリチュレーションを繰り返し、白色の固体を、さらに二つの収穫物として得た。合わせた白色の固体をエーテルで洗浄し、真空で乾燥させ、表題化合物を得た。
【0100】
c)2,5,7−トリメチル−3−(2−メチルスルファモイルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸の製造:
2,5,7−トリメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル(1.006g, 2.3mmol)を、48% 臭化水素酸に溶解し、溶液を120℃で4.5時間加熱し、室温で終夜撹拌し続けた。反応混合物を真空で蒸発させ、酢酸エチルに懸濁させた。懸濁液を蒸発させ、粗表題化合物を薄黄色の粉末として得た。これをさらに精製することなく用いる。
【0101】
d)2,5,7−トリメチル−3−(2−メチルスルファモイルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸 シクロブチルメチル エステルの製造:
DMF(4.5ml)中の2,5,7−トリメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸(196mg, 0.488mmol)の溶液に、氷浴温度で、ヘキサメチルジシラジド ナトリウム(THF中1.0M, 0.488ml)を滴下する。反応混合物を室温まで2時間に渡って温め、その後ブロモメチルシクロブタン(0.055ml, 0.488mmol)を加える。室温で終夜撹拌した後、ヨウ化カリウム(触媒量)を加え、反応混合物を、密封管中、90℃で、シングルモード・マイクロ波装置中で1時間25分間加熱する。溶媒を真空で除去し、残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルの層間に分配する。有機相を乾燥し(NaSO)、真空で蒸発させた。自動化濃度勾配溶出液(10〜80% ヘキサン中酢酸エチル)のフラッシュクロマトグラフィーにかけ、表題化合物を白色の固体として得る。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.87 (2 H, m), 1.94 (2 H, m), 2.13 (2 H, m) overlapping 2.18 (3 H, s), 2.42 (3 H, s), 2.65 (3 H, d, J = 5 Hz), 2.73 (3 H, s) overlapping 2.77 (1 H, m), 4.35 (2 H, d, J = 5 Hz), 4 82 (1 H, br m), 7.35 (1 H, dd, J = 1, 8 Hz), 7.41 (1 H, s), 7.71 (1 H, m), 7.78 (1H, m), 8.14 (1 H, dd, J = 1.5, 8 Hz).
【0102】
がSO−NHCHであり、R、R、R、およびRがHであり、そしてRとRがメチルである、下記の式Iの化合物は、適切な出発物質を用いる以外は実施例102または103の手順に従って製造され得る(Ex=実施例;HPLC保持時間のデータ[分]とイオン質量と共に示す)。
【0103】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離塩基または酸付加塩の形態の、式I:
【化1】

[式中、
、R、R、R、およびRは、独立して、水素;ハロゲン;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;C−Cアルキルカルボキシ;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシC−Cアルキル;ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノによって、所望により置換されているフェニルC−Cアルキル;−SO10;シアノ;−SON(R10)R11;−S−R10、または−SOR10であるか、または
とR、またはRとRは、それらが結合している炭素原子と共に、5から10個の環原子を有する 芳香族性もしくは脂肪族性炭素環、または 5から10個の環原子を有し かつ環原子のうち1個、2個、もしくは3個が、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子である 芳香族性もしくは脂肪族性ヘテロ環を表し;
は、−CH−O−C(O)−N(R12)R13、−CH−X−C(O)−R14、C−Cアルキル、またはヒドロキシC−Cアルキルであり;
、R、およびRは、独立して、C−Cアルキルであり;
10とR11は、独立して、水素;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;C−Cアルキルカルボキシ;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシC−Cアルキル;ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノによって、所望により置換されているフェニルC−Cアルキルであるか、または
10とR11は、一緒になって、5から10個の環原子を有し かつ環原子のうち1個、2個、もしくは3個が、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子である 脂肪族性ヘテロ環を形成し;
12とR13は、独立して、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−CアルコキシC−Cアルキル、ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル、ヒドロキシC−Cアルキル、ジヒドロキシC−Cアルキル、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノ、−SO10、−SON(R10)R11、−S−R10、−SOR10、−C−C−アルキレン−SO10、−C−C−アルキレン−SOR10、−C−C−アルキレン−NH−SO10、−C−C−アルキレン−CON(R10)R11、−CON(R10)R11、−C−C−アルキレン−C(O)OR10、フルオロアルキルであるか、または
6aとR6bは、5から10個の環原子を有する 置換もしくは非置換の脂肪族性ヘテロ環を形成し;
14は、NH、C−Cアルキル−NH−、C−Cアルケニル−NH−、C−Cシクロアルキル−NH−、C−CシクロアルキルC−Cアルキル−NH−、C−CアルコキシC−Cアルキル−NH−、ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル−NH−、ヒドロキシC−Cアルキル−NH−、ジヒドロキシC−Cアルキル−NH−、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル−NH−、C−Cアルコキシカルボニル−NH−、−NH−C−C−アルキレン−CN、−NH−SO10、−NH−SON(R10)R11、−NH−C−C−アルキレン−S−R10、−NH−SOR10、−NH−C−C−アルキレン−SO10、−NH−C−C−アルキレン−SOR10、−NH−C−C−アルキレン−NH−SO10、−NH−C−C−アルキレン−CON(R10)R11、−NH−CON(R10)R11、−NH−C−C−アルキレン−C(O)OR10、−NH−フルオロアルキル、または5から10個の環原子を有する 置換もしくは非置換の脂肪族性ヘテロ環であり;
Xは、OまたはCHであり;
ただし
が、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメチル、または水素の何れかであり、かつR、R、Rが、水素、メチル、またはメトキシの何れかであり、かつRが、水素またはメチルである場合、R12は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、ヒドロキシC−Cアルキル、−C−C−アルキレン−SO10、および−C−C−アルキレン−SOR10の何れでもない]
の化合物。
【請求項2】
、R、R、R、およびRが、独立して、水素;ハロゲン;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;C−Cアルキルカルボキシ;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシC−Cアルキル;ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノによって、所望により置換されているフェニルC−Cアルキル;−SO10;シアノ;−SON(R10)R11;−S−R10、または−SOR10であるか、または
とR、またはRとRは、それらが結合している炭素原子と共に、5から10個の環原子を有する 芳香族性もしくは脂肪族性炭素環、または 5から10個の環原子を有し かつ環原子のうち1個、2個、もしくは3個が、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子である 芳香族性もしくは脂肪族性ヘテロ環を表し;
が、C−Cアルキル、またはヒドロキシC−Cアルキルであり;
、R、およびRが、独立して、C−Cアルキルであり;
10とR11が、独立して、水素;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;C−Cアルキルカルボキシ;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシC−Cアルキル;ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノによって、所望により置換されているフェニルC−Cアルキルであるか、または
10とR11が、一緒になって、5から10個の環原子を有し かつ環原子のうち1個、2個、もしくは3個が、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子である 脂肪族性ヘテロ環を形成し;
12とR13が、独立して、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−CアルコキシC−Cアルキル、ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル、ヒドロキシC−Cアルキル、ジヒドロキシC−Cアルキル、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノ、−SO10、−SON(R10)R11、−S−R10、−SOR10、−C−C−アルキレン−SO10、−C−C−アルキレン−SOR10、−C−C−アルキレン−NH−SO10、−C−C−アルキレン−CON(R10)R11、−CON(R10)R11、−C−C−アルキレン−C(O)OR10、フルオロアルキルであるか、または
6aとR6bが、5から10個の環原子を有する 置換もしくは非置換の脂肪族性ヘテロ環を形成し;
14が、NH、C−Cアルキル−NH−、C−Cアルケニル−NH−、C−Cシクロアルキル−NH−、C−CシクロアルキルC−Cアルキル−NH−、C−CアルコキシC−Cアルキル−NH−、ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル−NH−、ヒドロキシC−Cアルキル−NH−、ジヒドロキシC−Cアルキル−NH−、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル−NH−、C−Cアルコキシカルボニル−NH−、−NH−C−C−アルキレン−CN、−NH−SO10、−NH−SON(R10)R11、−NH−C−C−アルキレン−S−R10、−NH−SOR10、−NH−C−C−アルキレン−SO10、−NH−C−C−アルキレン−SOR10、−NH−C−C−アルキレン−NH−SO10、−NH−C−C−アルキレン−CON(R10)R11、−NH−CON(R10)R11、−NH−C−C−アルキレン−C(O)OR10、−NH−フルオロアルキル、または5から10個の環原子を有する 置換もしくは非置換の脂肪族性ヘテロ環であり;
Xが、OまたはCHであり;
ただし
が、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメチル、または水素の何れかであり、かつR、R、Rが、水素、メチル、またはメトキシの何れかであり、かつRが、水素またはメチルである場合、R12は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、ヒドロキシC−Cアルキル、−C−C−アルキレン−SO10、および−C−C−アルキレン−SOR10の何れでもない、
遊離塩基もしくは酸付加塩の形態の請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が−SONHCHを表し、残りの基および記号が請求項1で定義した通りの意味を有する、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
遊離塩基もしくは酸付加塩の形態の、2−エチルカルバモイルオキシメチル−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステル、および2−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイルオキシメチル)−5,7−ジメチル−3−(2−メチルスルファモイル−フェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−6−カルボン酸エチルエステルの群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
遊離塩基または酸付加塩の形態の、式I:
【化2】

[式中、
は、水素、−CHC(O)OCH、−CHCHC(O)OCH、−C(O)N(CH)、−C(O)OCH、シアノ、−SO−1−ピロリジニル、−SOCH、−SONHCH、−SON(CH)、−SON(CH)CHCOOH、−S−CH、−SOCHであるか、または
は、Rと一緒になって、−NH−CH−CH−CH−環、または−CH=CH−CH=CH−環を形成し;
、R、R、およびRは、独立して、水素;ハロゲン;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;C−Cアルキルカルボキシ;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシC−Cアルキル;ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノによって、所望により置換されているフェニルC−Cアルキル;−SO10;シアノ;−SON(R10)R11;−S−R10、または−SOR10であるか、または
とR、またはRとRは、それらが結合している炭素原子と共に、5から10個の環原子を有する 芳香族性もしくは脂肪族性炭素環、または 5から10個の環原子を有し かつ環原子のうち1個、2個、もしくは3個が、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子である 芳香族性もしくは脂肪族性ヘテロ環を表し;
は、−CH−O−C(O)−N(R12)R13、−CH−X−C(O)−R14、C−Cアルキル、またはヒドロキシC−Cアルキルであり;
、R、およびRは、独立して、C−Cアルキルであり;
10とR11は、独立して、水素;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;C−Cアルキルカルボキシ;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシ;ヒドロキシC−Cアルキル;ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノによって、所望により置換されているフェニルC−Cアルキルであるか、または
10とR11は、一緒になって、5から10個の環原子を有し かつ環原子のうち1個、2個、もしくは3個が、窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子である 脂肪族性ヘテロ環を形成し;
12とR13は、独立して、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−CアルコキシC−Cアルキル、ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル、ヒドロキシC−Cアルキル、ジヒドロキシC−Cアルキル、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノ、−SO10、−SON(R10)R11、−S−R10、−SOR10、−C−C−アルキレン−SO10、−C−C−アルキレン−SOR10、−C−C−アルキレン−NH−SO10、−C−C−アルキレン−CON(R10)R11、−CON(R10)R11、−C−C−アルキレン−C(O)OR10、フルオロアルキルであるか、または
6aとR6bは、5から10個の環原子を有する 置換もしくは非置換の脂肪族性ヘテロ環を形成し;
14は、NH、C−Cアルキル−NH−、C−Cアルケニル−NH−、C−Cシクロアルキル−NH−、C−CシクロアルキルC−Cアルキル−NH−、C−CアルコキシC−Cアルキル−NH−、ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル−NH−、ヒドロキシC−Cアルキル−NH−、ジヒドロキシC−Cアルキル−NH−、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル−NH−、C−Cアルコキシカルボニル−NH−、−NH−C−C−アルキレン−CN、−NH−SO10、−NH−SON(R10)R11、−NH−C−C−アルキレン−S−R10、−NH−SOR10、−NH−C−C−アルキレン−SO10、−NH−C−C−アルキレン−SOR10、−NH−C−C−アルキレン−NH−SO10、−NH−C−C−アルキレン−CON(R10)R11、−NH−CON(R10)R11、−NH−C−C−アルキレン−C(O)OR10、−NH−フルオロアルキル、または5から10個の環原子を有する 置換もしくは非置換の脂肪族性ヘテロ環であり;
Xは、OまたはCHであり;
ただし
が、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメチル、または水素の何れかであり、かつR、R、Rが、水素、メチル、またはメトキシの何れかであり、かつRが、水素またはメチルである場合、R12は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、ヒドロキシC−Cアルキル、−C−C−アルキレン−SO10、および−C−C−アルキレン−SOR10の何れでもない]
の化合物。
【請求項6】
が−SONHCHを表し、残りの基および記号が請求項1で定義した通りの意味を有する、請求項3に記載の式Iの化合物。
【請求項7】
式Iの化合物もしくはその酸付加塩の製造方法であって、
(i)Rが−CH−O−C(O)−N(R12)R13であり、かつR13が水素である、式Iの化合物を製造するために、
式 II:
【化3】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、請求項1で定義した通りである]の化合物を、式 III:
【化4】

[式中、R12は、請求項1で定義した通りである]の化合物と反応させる段階;または
(ii)(i)に代わって、Rが−CH−O−C(O)−N(R12)R13であり、かつR13が水素である、式Iの化合物を製造するために、
式 IV:
【化5】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、請求項1で定義した通りである]の化合物を、式V:
【化6】

[式中、R12が請求項1で定義した通りである]の化合物と反応させる段階;または
(iii)R=−CH−X−C(O)−R14であり、かつX=CHである、式Iの化合物を製造するために、
式 VI:
【化7】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、請求項1で定義した通りである]の化合物を、式 VII:
【化8】

[式中、R14は、請求項1で定義した通りである]の化合物と反応させる段階;または
(iv)R=−CH−X−C(O)−R14であり、かつX=Oである、式Iの化合物を製造するために、
式 VIII:
【化9】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、請求項1で定義した通りである]の化合物を、式 VII:
【化10】

[式中、R14は、請求項1で定義した通りである]の化合物と反応させる段階;または
(v)RがC−Cアルキル またはヒドロキシC−Cアルキルである、式Iの化合物を製造するために、
式 IX:
【化11】

[式中、R、R、R、R、R、R、およびRは、請求項1で定義した通りであり;そして
は、C−Cアルキル、またはヒドロキシC−Cアルキルである]の化合物を、
式X:
【化12】

[式中、Rは請求項1で定義した通りであり;そして
Yは脱離基である]の化合物と反応させる段階;および
そのようにして得られた遊離塩基または酸付加塩の形態の式Iの化合物を回収すること;
を含む方法。
【請求項8】
医薬として使用するための、遊離塩基もしくは薬学的に許容される酸付加塩の形態の請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
カンナビノイド受容体活性化が役割を果たすか、または関与するとされている疾患もしくは状態の、処置もしくは予防に使用するための、遊離塩基もしくは薬学的に許容される酸付加塩の形態の請求項1または5に記載の化合物。
【請求項10】
薬学的な担体もしくは希釈剤と組み合わせた、遊離塩基もしくは薬学的に許容される酸付加塩の形態の請求項1または5に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項11】
カンナビノイド受容体活性化が役割を果たすか、または関与するとされている疾患もしくは状態の、処置もしくは予防のための医薬としての、遊離塩基もしくは薬学的に許容される酸付加塩の形態の請求項1または5に記載の化合物の使用。
【請求項12】
カンナビノイド受容体活性化が役割を果たすか、または関与するとされている疾患もしくは状態の、処置もしくは予防のための医薬の製造における、遊離塩基もしくは薬学的に許容される酸付加塩の形態の請求項1または5に記載の化合物の使用。
【請求項13】
緑内障、正常眼圧緑内障、ならびに網膜および視神経の神経変性疾病状態からなる群から選択される眼の疾患を処置するもしくは予防するための医薬の製造における、遊離塩基もしくは薬学的に許容される酸付加塩の形態の請求項1または5に記載の化合物の使用。
【請求項14】
緑内障、正常眼圧緑内障、ならびに網膜および視神経の神経変性疾病状態からなる群から選択される眼の疾患の処置が必要な対象において、緑内障、正常眼圧緑内障、ならびに網膜および視神経の神経変性疾病状態からなる群から選択される眼の疾患を処置するもしくは予防する方法であって、治療上効果的な量の、遊離塩基もしくは薬学的に許容される酸付加塩の形態の請求項1または5に記載の化合物を、該対象に投与することを含む方法。
【請求項15】
同時に、別個に、もしくは連続して使用するための、
(a)治療上効果的な量の 遊離塩基もしくは薬学的に許容される酸付加塩の形態の請求項1または5に記載の化合物;および
(b)第2薬物{ここで、該薬物は、例えば慢性疼痛、骨関節炎、リウマチ性関節炎、腱鞘炎、および痛風の処置および予防に使用するためのものである};および
所望により、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む組み合わせ。
【請求項16】
カンナビノイド受容体活性化が役割を果たす もしくは関与するとされている疾患もしくは状態の処置が必要な対象において、カンナビノイド受容体活性化が役割を果たす もしくは関与するとされている疾患もしくは状態を処置する もしくは予防する方法であって、治療上効果的な量の、遊離塩基もしくは薬学的に許容される酸付加塩の形態の 請求項1または5に記載の化合物を、該対象に投与することを含む方法。
【請求項17】
カンナビノイド受容体活性化が役割を果たす もしくは関与するとされている疾患もしくは状態を有する哺乳動物を処置する方法であって、
(a)治療上効果的な量の 遊離塩基もしくは薬学的に許容される酸付加塩の形態の請求項1または5に記載の化合物;および
(b)第2薬物{ここで、該薬物は、慢性疼痛、骨関節炎、リウマチ性関節炎、腱鞘炎、および痛風の処置および予防に使用するためのものである};
を含む組み合わせを、該動物に投与することを含む方法。

【公開番号】特開2009−149658(P2009−149658A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12064(P2009−12064)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【分割の表示】特願2003−565977(P2003−565977)の分割
【原出願日】平成15年2月5日(2003.2.5)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】