説明

キナゾリン誘導体

【課題】EGFおよびerbB受容体チロシンキナーゼの阻害に感受性がある腫瘍の予防または治療において抗増殖剤として使用するための化合物を提供する。
【解決手段】4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリンなどの、4-置換アニリノ-6-(1-カルバモイル-(アルキレン)-ピペリジン-4-イル-オキシ)-7-置換-キナゾリン誘導体;それらの製造方法、それらを含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明はある種の新規キナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩に関し、それらは抗腫瘍活性を有し、したがってヒトまたは動物体の治療の方法において有用である。また、本発明は、たとえばヒトのような温血動物における固形腫瘍の予防または治療における使用のための医薬品の製造における、上記キナゾリン誘導体製造のための工程、それらを含有する医薬組成物、および治療法におけるそれらの使用に関する。
【0002】
乾癬および癌のような、細胞増殖の異常な調節の結果生じる疾患のための現行の治療計画の多くは、DNA合成および細胞増殖を阻止する化合物を利用する。現在まで、そのよう
な治療に使用される化合物は一般に細胞に対して毒性があるが、腫瘍細胞のような速やかに分裂する細胞に対するそれらの促進作用は有益でありうる。これらの細胞毒性抗腫瘍剤の代わりとなる方法(たとえば、細胞情報伝達経路の選択的阻害剤)が現在開発中である。これらのタイプの阻害剤は腫瘍細胞に対して高い作用選択性を提示する潜在性を有すると考えられており、望ましくない副作用を伴う治療の蓋然性を減少させると予想される。
【0003】
真核細胞は、生物内で細胞間コミュニケーションを可能にする多様な細胞外シグナルに絶え間なく反応している。これらのシグナルは増殖、分化、アポトーシスおよび運動性を含む、細胞内の多様な生理反応を調節する。細胞外シグナルは、成長因子ならびにパラクリンおよび内分泌因子を含む多様な可溶性因子の形状をとる。特定の膜貫通受容体に結合することにより、これらのリガンドは細胞外シグナルを細胞内情報伝達経路に統合し、細胞膜を横切ってシグナルを伝達し、個々の細胞をその細胞外シグナルに対して反応させる。これらのシグナル伝達過程の多くは、これらの多様な細胞反応の促進に関与する蛋白質リン酸化の可逆的過程を利用する。標的蛋白質のリン酸化状態は、哺乳動物ゲノムによってコードされるすべての蛋白質の約1/3の調節に関与する特定のキナーゼおよびホスフ
ァターゼによって調節される。リン酸化はシグナル伝達過程において非常に重要な調節機序であるので、これらの細胞内経路の異常が原因で、正常でない細胞増殖および分化を引き起こし、細胞の形質転換を促進することは意外なことではない(総説:Cohen et al, Curr Opin Chem Biol, 1999, 3, 459〜465)。
【0004】
多数のこれらのチロシンキナーゼが構成的に活性な形状に突然変異し、および/または
過剰発現される場合、多様なヒト細胞を形質転換させることが広く示されている。これらのキナーゼの変異し、過剰発現された形状は高い比率でヒト腫瘍に存在する(総説:Kolibaba et al, Biochimica et Biophysica Acta, 1997, 133, F217〜F248)。チロシンキナーゼは多様な組織の増殖および分化に重要な役割を果たすため、新規抗癌治療の開発においてこれらの酵素が注目されている。これらの酵素ファミリーは、2種のグループ、すなわち、受容体および非受容体チロシンキナーゼ、それぞれたとえばEGF受容体およびSRCファミリーに分類されている。ヒトゲノムプロジェクトを始めとする非常に多くの研究結果から、約90のチロシンキナーゼがヒトゲノムにおいて同定されていて、そのうち58は受容体型であり、32が非受容体型である。これらは20の受容体チロシンキナーゼと10の非受容体チロシンキナーゼサブファミリーに分類することができる(Robinson et al, Oncogene,
2000, 19, 5548〜5557)。
【0005】
受容体チロシンキナーゼは細胞複製を開始する細胞分裂促進シグナルの伝達にとりわけ重要である。細胞膜にまたがるこれらの大きな糖蛋白質は、それらの特定のリガンド(た
とえば、上皮成長因子(EGF)受容体に対するEGF)に対する細胞外結合ドメインを有する。
リガンドの結合が、受容体の細胞内部分によってコードされる、受容体のキナーゼ酵素活性の活性化を引き起こす。この活性は標的蛋白質中の重要なチロシンアミノ酸をリン酸化
し、細胞膜を横切って増殖シグナルを伝達する。
【0006】
EGFR、erbB2、erbB3およびerbB4を含む受容体チロシンキナーゼの中のerbBファミリー
は、しばしば腫瘍細胞の増殖および生存の操作に関わることは公知である(総説:Olayioye et al., EMBO J., 2000, 19, 3159)。これを実行することができる一つ機序は、一般に遺伝子増幅の結果としての、蛋白質レベルでの受容体の過剰発現によるものである。このことは以下のような多くの一般的なヒトの癌に認められている(総説:Klapper et al., Adv. Cancer Res., 2000, 77, 25)。たとえば、
乳癌(Sainsbury et al., Brit. J. Cancer, 1988, 58, 458; Guerin et al., Oncogene Res., 1988, 3, 21; Slamon et al., Science, 1989, 244, 707; Klijn etal., Breast Cancer Res. Treat., 1994, 29, 73 および総説:Salomon et al., Crit. Rev. Oncol. Hematol., 1995, 19, 183)、
腺癌を含む非小細胞肺癌(NSCLC)(Cerny et al., Brit. J. Cancer, 1986, 54, 265; Reubi et al., Int. J. Cancer, 1990, 45, 269; Rusch et al., Cancer Research, 1993, 53, 2379; Brabender et al, Clin. Cancer Res., 2001, 7, 1850)
および他の肺癌(Hendler et al., Cancer Cells, 1989, 7, 347; Ohsaki et al., Oncol.
Rep., 2000, 7, 603)、
膀胱癌(Neal et al., Lancet, 1985, 366; Chow et al., Clin. Cancer Res., 2001, 7, 1957, Zhau et al., Mol Carcinog., 3, 254)、
食道癌(Mukaida et al., Cancer, 1991, 68, 142)、
結腸、直腸または胃癌のような消化器癌(Bolen et al., Oncogene Res., 1987, 1, 149; Kapitanovic et al., Gastroenterology, 2000, 112, 1103; Ross et al., Cancer Invest., 2001, 19, 554)、
前立腺癌(Visakorpi et al., Histochem. J., 1992, 24, 481; Kumar et al., 2000, 32,
73; Scher et al., J. Natl. Cancer Inst., 2000, 92, 1866)、
白血病(Konaka et al., Cell, 1984, 37, 1035, Martin〜Subero et al., Cancer Genet Cytogenet., 2001, 127, 174)、
卵巣癌(Hellstrom et al., Cancer Res., 2001, 61, 2420)、
頭頸部癌(Shiga et al., Head Neck, 2000, 22, 599)または膵臓癌(Ovotny et al., Neoplasma, 2001, 48, 188)である。受容体チロシンキナーゼのerbBファミリーの発現に関し
てさらに多くのヒト腫瘍組織が試験されているため、将来それらの広範な出現率および重要性がよりいっそう高まることが予想される。
【0007】
1以上のこれらの受容体の不適切な調節の結果として、多くの腫瘍が臨床的にいっそう
進行性になり、そのため患者のいっそう好ましくない予後と相関すると広く考えられている(Brabender et al, Clin. Cancer Res., 2001, 7, 1850; Ross et al, Cancer Investigation, 2001, 19, 554, Yu et al., Bioessays, 2000, 22.7, 673)。これらの臨床的所
見に加え、豊富な前臨床情報は、受容体チロシンキナーゼのerbBファミリーが細胞の形質転換に関与することを示唆する。これには、多くの腫瘍細胞系統が1以上のerbB受容体を
過剰発現する、およびEGFRまたはerbB2が非腫瘍細胞にトランスフェクションされた場合
、これらの細胞を形質転換する能力を有するといった観察があげられる。この腫瘍発生能力は、erbBを自発的に過剰発現するトランスジェニックマウスが乳腺に腫瘍を発生することにより、さらに実証されている。これに加え、多数の前臨床研究が、小分子阻害剤、優性ネガティブまたは阻害性抗体による1以上のerbB活性の阻止により、抗増殖作用が誘導
されうることを証明している(総説:Mendelsohn et al., Oncogene, 2000, 19, 6550)。
したがって、これらの受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、哺乳動物癌細胞増殖の選択的阻害剤として価値があるべきであるということが認識されている(Yaish et al. Science, 1988, 242, 933, Kolibaba et al, Biochimica et Biophysica Acta, 1997, 133, F217〜F248; Al〜Obeidi et al, 2000, Oncogene, 19, 5690〜5701; Mendelsohn et al, 2000, Oncogene, 19, 6550〜6565)。この前臨床データに加え、EGFRおよびerbB2に対する阻害剤
抗体(それぞれc〜225およびトラスツズマブ)を使用した所見は、診療所において、選択された固形腫瘍の治療に有益であることを証明している(総説:Mendelsohn et al, 2000, Oncogene, 19, 6550〜6565)。
【0008】
erbB型受容体チロシンキナーゼメンバーの増幅および/または活性が多数の非悪性増殖
性疾患、たとえば乾癬(Ben〜Bassat, Curr. Pharm. Des., 2000, 6, 933; Elder et al.,
Science, 1989, 243, 811)、良性前立腺肥大症(BPH)(Kumar et al., Int. Urol. Nephrol., 2000, 32,73)、アテローム性動脈硬化症および再狭窄(Bokemeyer et al., Kidney Int., 2000, 58, 549)において検出され、役割を果たすことが示唆されている。したがって、erbB型受容体チロシンキナーゼの阻害剤は、これらおよび他の悪性でない過剰な細胞増殖疾患の治療に有用であると期待される。
【0009】
欧州特許出願EP 566 226は、受容体チロシンキナーゼ阻害剤である、ある種の4-アニリノキナゾリンを開示する。
国際特許出願WO 96/33977、WO 96/33978、WO 96/33979、WO 96/33980、WO 96/33981,、WO 97/30034およびWO 97/38994は、4-位にアニリノ置換基ならびに6-および/または7-位
に置換基を持つある種のキナゾリン誘導体が受容体チロシンキナーゼ阻害剤活性を有することを開示する。
【0010】
欧州特許出願EP 837 063は、キナゾリン環の6-または7-位にアリールまたはヘテロアリール基を含有する部分を持つアリール置換された4-アミノキナゾリン誘導体を開示する。該化合物は高増殖性疾患の治療に有用であることが明示されている。
【0011】
国際特許出願WO 97/30035およびWO 98/13354は、7-位が置換されたある種の4-アミノキナゾリンが血管内皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤であることを開示する。
WO 00/55141は、6-および/または7-位の置換基がエステル結合部分(RO〜CO)を持つことが特徴の6,7-置換4-アニリンキナゾリン化合物を開示する。
【0012】
WO 00/56720は、癌またはアレルギー反応の治療のための6,7-ジアルコキシ-4-アニリンキナゾリン化合物を開示する。
WO 02/41882は、置換されたピロリジニル-アルコキシまたはピロリジニル-アルコキシ
基によって6-および/または7-位が置換された4-アニリンキナゾリン化合物を開示する。
【0013】
WO 03/082290は、ある種の6,7-置換4-アニリノキナゾリン化合物が受容体チロシンキナーゼ阻害剤活性を有することを開示する。そのような化合物の具体的な例としては、6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]-オキシ}-4-(3-クロロ-4-フルオロ
アニリノ)-7-メトキシ-キナゾリンが挙げられる。
【0014】
先行技術はいずれも、4-(2,3-ジハロゲノアニリノ)キナゾリンまたは4-(2,3,4-トリハ
ロゲノアニリノ)キナゾリン化合物を開示していない。
同時係属中の国際特許出願No. PCT/GB03/01306は、ある種の4-(2,3-ジハロゲノアニリ
ノ)キナゾリン誘導体が強力な抗腫瘍活性を有し、そしてとりわけ選択的にEGFRに抗する
ことを開示する。そのような化合物の具体的な例としては6-{[1-(カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]メトキシ}-4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-キナゾリン
が挙げられる。
【0015】
しかし、本出願者らは驚くべきことに、カルバモイル基への置換基の付加、そして場合によりアニリノ基への別の置換基の付加は、化合物がEGF阻害作用を保持しながらerbBキ
ナーゼ阻害剤としてとりわけ作用するという二重活性を有するという点で、高い活性を持つ精選された化合物のグループを生じ、これらのキナーゼの両方が関係している腫瘍の治
療においてそれらが特に臨床的に適用されることを見出している。
【0016】
本発明において開示された化合物が、単一の生物学的過程への作用に基づいてだけ薬理学的活性を有するということを意味することを望まずに、該化合物は腫瘍細胞の増殖を導く情報伝達段階に関与する受容体チロシンキナーゼの2種のerbBファミリーの阻害を介し
て抗腫瘍作用を提供すると考えられている。とりわけ、本発明の化合物はEGFRおよび/ま
たはerbB2受容体チロシンキナーゼの阻害を介して抗腫瘍作用を提供すると考えられてい
る。
【0017】
本発明の初めの側面において、以下の式Iのキナゾリン誘導体または薬剤的に受容でき
るその塩が提供される:
【0018】
【化1】

【0019】
[式中、
nは0、1、2または3であり、
それぞれのR5は、ハロゲノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、スルファモイル、トリフルオロメチル、(1〜6C)アルキル、(2〜8C)アルケニル、(2〜8C)アルキ
ニル、(1〜6C)アルコキシ、(2〜6C)アルケニルオキシ、(2〜6C)アルキニルオキシ、(1〜6C)アルキルチオ、(1〜6C)アルキルスルフィニル、(1〜6C)アルキルスルホニル、(1〜6C)
アルキルアミノ、ジ-[(1〜6C)アルキル]アミノ、(1〜6C)アルコキシカルボニル、N-(1〜6C)アルキルスルファモイル、およびN,N-ジ-[(1〜6C)アルキル]スルファモイル、C(O)NR6R7から独立して選択され、ここでR6およびR7は、水素、置換又は非置換の(1〜6C)アルキル、置換又は非置換の(3〜8C)シクロアルキル、または、置換又は非置換のアリールから独
立して選択されるか、またはR6およびR7は、それらが結合する窒素と一緒に、付加的なヘテロ原子を含んでいてもよい、置換又は非置換の複素環を形成し;
X1は、直接結合またはOであり;
R1は、水素および(1〜6C)アルキルから選択され、ここで(1〜6C)アルキル基は、非置換か、又は、ヒドロキシおよびハロゲノから選択される1以上の置換基(同じでも異なっても
よい)、および/または、以下から選択される置換基によって置換され:アミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロゲノ、(1〜6C)アルコキシ、ヒドロキシ(1〜6C)アルコキシ、(2〜8C)アルケニル、(2〜8C)アルキニル、(1〜6C)アルキルチオ、(1〜6C)アルキルスルフィニル、(1〜6C)アルキルスルホニル、(1〜6C)アルキルアミノ、ジ-[(1〜6C)アルキル]アミノ、カルバモイル、N-(1〜6C)アルキルカルバモイル、N,Nジ-[(1〜6C)アルキル]カルバモイル、(2〜6C)アルカノイル、(2〜6C)アルカノイルオキシ、(2〜6C)アルカノイルアミ
ノ、N-(1〜6C)アルキル-(2〜6C)アルカノイルアミノ、(1〜6C)アルコキシカルボニル、スルファモイル、N-(1〜6C)アルキルスルファモイル、N,N-ジ-[(1〜6C)アルキル]スルファ
モイル、(1〜6C)アルカンスルホニルアミノおよびN-(1〜6C)アルキル-(1〜6C)アルカンス
ルホニルアミノ;
mは、0、1、2 または3であり;
R2は、水素または(1〜6C)アルキルであり;そして
R3は、(1〜6C)アルキル、(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニルまたは(1〜6C)アルコキシであり、それらのいずれかは、炭素原子上で、(1〜6C)アルコキシ、アミノ、(1〜6C)アルキルアミノ、ジ-(1〜6C)アルキルアミノもしくは基S(O)s(1〜6C)アルキル(sは0、1または2である)、または飽和5または6員複素環(酸素、硫黄またはNR8から選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてもよく、ここでR8は水素、(1〜6C)アルキル、(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニル、(1〜6C)アルキルスルホニルまたは(1〜6C)アルキルカルボニルで
ある)によって置換されるか非置換であり;
またはR2およびR3は、それらが結合する窒素原子と一緒に、酸素、S、SOもしくはS(O)2またはNR8(R8は先に定義したとおりである)から選択される付加的なヘテロ原子を含んでい
てもよい飽和された5または6員複素環を形成する;
ただし、上記キナゾリン誘導体は以下のものではない:
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジエチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ピペリジン-1-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ピロリジン-1-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(4-メチル-ピペラジン-1-イル)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-エトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-(2-メトキシ-エトキシ)-キナゾリン;
4-[(3-エチニル-フェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(エチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[イソプロピルアミノ)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニルメチル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルメチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニルメチル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルメチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(メチルアミノ)カルボニルメチル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニルメチル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ピロリジン-1-イル)カルボニルメチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルメチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(メチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(2-メトキシエチル)アミノ)カルボニ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(N-メチル-N-2-メトキシエチル)アミ
ノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(3-メトキシプロピル)アミノ)カルボ
ニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(N-メチル-N-3-メトキシプロピル)ア
ミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルエチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;または
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルプロ
ピル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン]。
【0020】
本明細書では、一般的な用語「アルキル」は、直鎖および分枝鎖両方のアルキル基、たとえばプロピル、イソプロピルおよびtert-ブチル、ならびに(3〜7C)シクロアルキル基、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを包含する。しかし、個々のアルキル基、たとえば「プロピル」と言うときは直鎖型だけに特定され、個々の分枝鎖アルキル基、たとえば「イソプロピル」と言うときは分枝鎖型だけに特定され、そして個々のシクロアルキル基、たとえば「シクロペンチル」と言うときは5-員環だけに特定される。類似の慣例は他の一般的な用語にも適用し、たとえば(1〜6C)アルコキシは、メトキシ、エトキシ、シクロプロピルオキシおよびシクロペ
ンチルオキシを包含し、(1〜6C)アルキルアミノは、メチルアミノ、エチルアミノ、シク
ロブチルアミノおよびシクロヘキシルアミノを包含し、そしてジ-[(1〜6Cアルキル]アミ
ノは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-シクロブチル-N-メチルアミノおよびN-シク
ロヘキシル-N-エチルアミノを包含する。
【0021】
「アリール」という用語は、フェニルまたはナフチルのような芳香族炭化水素環を表す。「複素環」または「ヘテロシクリル」という用語は環状構造を包含し、それらは単環または二環であってもよく、そして3〜15原子を含み、少なくともそれらの1種、好適には
それらの1〜4種が酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子である。環は、芳香族、非芳香族、または縮合環系の1種の環が芳香族であって、他の環が非芳香族であってもよいと
いう意味において部分的に芳香族であってもよい。そのような環系の具体的な例としては、フリル、ベンゾフラニル、テトラヒドロフリル、クロマニル、チエニル、ベンゾチエニル、ピリジル、ピペリジニル、キノリル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、イソキノリル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、ピロリル、ピロリジニル、インドリル、インドリニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、モルホリニル、4H-1,4-ベンゾキサジニル、4H-1,4-ベンゾチアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、オキシラニル、オキセタニル、アゼチジニル、テトラヒドロピラニル、オキセパニル、オキサゼパニル、テ
トラヒドロ-1,4-チアジニル、1,1-ジオキソテトラヒドロ-1,4-チアジニル、ホモピペリジニル、ホモピペラジニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニルまたはチオモルホリニルが挙げられる。
【0022】
複素環群の具体的な例としては、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルまたはN-(1〜6C)アルキルピロリジンもしくはN-アルキル(1〜6C)ピペリジンが挙げられる。
環が窒素を含む場合、窒素の結合要件を満たすことが要求される時は、これらは水素原子または(1〜6C)アルキル基のような置換基を持っていてもよく、または窒素原子を介し
て構造の残りの部分に結合してもよい。ヘテロシクリル基内の窒素原子は酸化されて、対応するNオキシドになってもよい。
【0023】
一般に該化合物は高い抗増殖活性を保持しながら、高い溶解度のような都合のよい物理的性質を示す。さらに、本発明に記載の化合物の多くはhERGアッセイにおいて、不活性であるか、弱い活性を示すにすぎない。
【0024】
先に定義したある種の式Iの化合物が、1以上の非対称に置換された炭素および/また
は窒素原子のために光学的に活性であるか、またはラセミ型で存在し、したがってそれらはエナンチオマー的に純粋なジアステレオマーの混合物として、またはラセミ体として存在し、単離することができる限り、本発明はその定義において、式Iの化合物のいずれかのラセミ型、光学的活性型、エナンチオマー的に純粋な型、ジアステレオマーの混合物、立体異性型、またはそれらの混合物を包含し、それらは上記の活性を有すると理解すべきである。光学的活性型の合成は、当該技術分野で公知である有機化学の標準的方法(たとえば光学的に活性な標準物質からの合成、またはラセミ型の分割)により行うことができる。同様に、先に述べた活性は以後に言及する標準的な実験室的方法を使用して評価することができる。
【0025】
本発明は抗増殖活性を有する式Iの化合物のすべての互変異性型に関する。
また、ある種の式Iの化合物はたとえば水和型のような、溶媒和型および非溶媒和型において存在することができる。本発明は抗増殖活性を有するすべてのそのような溶媒和型を包含すると理解すべきである。
【0026】
また、ある種の式Iの化合物は多形で存在してもよく、そして本発明は抗増殖活性を有するすべてのそのような形状を包含すると理解すべきである。
先に言及した一般的な基の適切な意味は以下に示すものを包含する。
【0027】
本明細書において以前および以後に定義したR1、R2、R3またはR基のいずれかの適切
な意味は以下のものを包含する:
ハロゲノ:フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード;
(1〜6C)アルキル:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、ペンチルおよびヘキシル;
(1〜4C)アルキル:メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびtert-ブチル
(1〜6C)アルコキシ:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシおよびブトキシ

(2〜8C)アルケニル:ビニル、イソプロペニル、アリルおよびbut-2-エニル;
(2〜8C)アルキニル:エチニル、2-プロピニルおよびbut-2-イニル;
(2〜6C)アルケニルオキシ:ビニルオキシおよびアリルオキシ;
(2〜6C)アルキニルオキシ:エチニルオキシおよび2-プロピニルオキシ;
(1〜6C)アルキルチオ:メチルチオ、エチルチオおよびプロピルチオ;
(1〜6C)アルキルスルフィニル:メチルスルフィニルおよびエチルスルフィニル;
(1〜6C)アルキルスルホニル:メチルスルホニルおよびエチルスルホニル;
(1〜6C)アルキルアミノ:メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピル
アミノおよびブチルアミノ;
ジ-[(1〜6C)アルキル]アミノ:ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-エチル-N-メチルア
ミノおよびジイソプロピルアミノ;
(1〜6C)アルコキシカルボニル:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシ
カルボニルおよびtert-ブトキシカルボニル;
N-(1〜6C)アルキルカルバモイル:N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N-プ
ロピルカルバモイルおよびN-イソプロピルカルバモイル;
N,N-ジ-[(1〜6C)アルキル]カルバモイル:N,N-ジメチルカルバモイル、N-エチル-N-メチ
ルカルバモイルおよびN,N-ジエチルカルバモイル;
(2〜6C)アルカノイル:アセチル、プロピオニルおよびイソブチリル;
(2〜6C)アルカノイルオキシ:アセトキシおよびプロピオニルオキシ;
(2〜6C)アルカノイルアミノ:アセタミドおよびプロピオンアミド;
N-(1〜6C)アルキル-(2〜6C)アルカノイルアミノ:N-メチルアセタミドおよびN-メチルプ
ロピオンアミド;
N-(1〜6C)アルキルスルファモイル:N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル
およびN-イソプロピルスルファモイル;
N,N-ジ-[(1〜6C)アルキル]スルファモイル:N,N-ジメチルスルファモイルおよびN-メチル-N-エチルスルファモイル;
(1〜6C)アルカンスルホニルアミノ:メタンスルホニルアミノおよびエタンスルホニルア
ミノ;
N-(1〜6C)アルキル-(1〜6C)アルカンスルホニルアミノ:N-メチルメタンスルホニルアミ
ノおよびN-メチルエタンスルホニルアミノ;
ヒドロキシ-(1〜6C)アルコキシ:ヒドロキシメトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、1-ヒドロキシエトキシおよび3-ヒドロキシプロポキシ。
【0028】
R1がたとえばアミノによって置換されて、たとえば2-アミノエチル基を生じる基(1〜6C)アルキルである場合、それはX1基に結合する(1〜6C)アルキル基(またはX1が直接結合で
ある場合、キナゾリン環)であると理解すべきである。
【0029】
本明細書において(1〜4C)アルキル基に言及する場合、そのような基は4炭素原子までを含有するアルキル基を表すと理解すべきである。当業者は、そのような基の代表的な例が先に記載の4炭素原子までを含有する(1〜6C)アルキル、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルおよびtert-ブチルに属するものであることを理解するであろ
う。同様に、(1〜3C)アルキル基への言及は、たとえばメチル、エチル、プロピル、およ
びイソプロピルのような3炭素原子までを含有するアルキル基を表す。類似の慣例が上記
の別の基、たとえば(1〜4C)アルコキシ、(2〜4C)アルケニル、(2〜4C)アルキニルおよび(2〜4C)アルカノイルに採用される。
【0030】
式Iの化合物では、水素原子はキナゾリン環の2、5および8位に存在する。
式Iの化合物の適切な薬剤的に受容できる塩は、たとえば、式Iの化合物の酸付加塩、たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸またはマレイン酸のような無機または有機酸を持つ酸付加塩;またはたとえば、十分に酸性である式Iの化合物の塩、たとえばカルシウムまたはマグネシウム塩のようなアルカリもしくはアルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩、またはメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンまたはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミンのような有機塩
基との塩である。
【0031】
nの具体的な例は1、2または3、好適には2または3である。
好適にはそれぞれのR5は、ハロゲノ、トリフルオロメチル、(1〜6C)アルキル、(2〜8C)アルケニル、(2〜8C)アルキニルまたは基C(O)NR6R7から独立して選択され、ここでR6およびR7は先に記載のとおりである。
【0032】
とりわけ、それぞれの基R5はたとえばクロロまたはフルオロのようなハロゲノから独立して選択される。
基R6およびR7が水素以外である場合、それらの具体的な置換基には、ハロゲノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、スルファモイル、トリフルオロメチル、(2〜8C)アルケニル、(2〜8C)アルキニル、(1〜6C)アルコキシ、(2〜6C)アルケニルオキシ、(2〜6C)アルキニルオキシ、(1〜6C)アルキルチオ、(1〜6C)アルキルスル
フィニル、(1〜6C)アルキルスルホニル、(1〜6C)アルキルアミノ、ジ-[(1〜6C)アルキル]アミノ、(1〜6C)アルコキシカルボニル、N-(1〜6C)アルキルカルバモイル、N,N-ジ-[(1〜6C)アルキル]カルバモイル、N-(1〜6C)アルキルスルファモイル、N,N-ジ-[(1〜6C)アルキル]スルファモイル、(3〜8C)シクロアルキル、アリールまたは複素環基が挙げられる。
【0033】
R6およびR7のアリール置換基の具体的な例としては、フェニルまたはナフチル、とりわけフェニルが挙げられる。
R6およびR7の複素環置換基の具体的な例としては、5または6員複素環、たとえばフリル、テトラヒドロフリル、チエニル、ピリジル、ピペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、モルホリニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリルまたはテトラゾリルが挙げられる。
【0034】
R6およびR7は、それらが結合する窒素原子と一緒に、場合により置換された複素環を形成する場合、それはたとえば5または6員環であり、それは飽和されているか、または不飽和である。具体的な例としては、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルまたはチオモルホリノが挙げられる。あるいは、R6およびR7は一緒に(3〜6C)アルケニル基を形成す
る。
【0035】
結合する窒素原子と一緒になって、R6およびR7によって形成された複素環は、R6およびR7に関して先に述べた基のいずれかによって置換されてもよい。さらに、これらの環は1
以上の(1〜6C)アルキル基によって置換されてもよく、それらの基は、場合により、ハロ
ゲノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、スルファモイル、トリフルオロメチル、(2〜8C)アルケニル、(2〜8C)アルキニル、(1〜6C)アルコキシ
、(2〜6C)アルケニルオキシ、(2〜6C)アルキニルオキシ、(1〜6C)アルキルチオ、(1〜6C)アルキルスルフィニル、(1〜6C)アルキルスルホニル、(1〜6C)アルキルアミノ、ジ-[(1〜6C)アルキル]アミノ、(1〜6C)アルコキシカルボニル、N-(1〜6C)アルキルカルバモイル、N,N-ジ-[(1〜6C)アルキル]カルバモイル、N-(1〜6C)アルキルスルファモイル、またはN,N-ジ-[(1〜6C)アルキル]スルファモイルから選択される1以上の基によってそれら自体が置換されていてもよい。
【0036】
R6およびR7の置換基の例となる群としては、それらが水素以外である場合、シアノ、ヒドロキシ、(2〜8C)アルケニル、(2〜8C)アルキニル、(1〜6C)アルコキシ、(1〜6C)アルキルチオ、(1〜6C)アルキルアミノ、フェニルのようなアリールまたはフリルのような複素
環基、および場合により、R6およびR7が、それらが結合する窒素原子と一緒に環を形成する場合、メチルのような(1〜6C)アルキル基が挙げられる。
【0037】
nが1、2または3である場合、1種の基R5は好適にはベンゼン環のオルト-(2-)位にある。
nが1、2または3である場合、1種の基R5は好適にはベンゼン環のメタ-(3-)位にある。
したがって、nが1である場合、R5基は好適にはベンゼン環のオルト-(2-)またはメタ-(3-)位にある。
【0038】
本発明の一側面では、nが2である場合、第一のR5基は好適にはベンゼン環のメタ-位に
あり、第2のR5基は好適にはオルト-またはパラ-位にあり、したがって環はベンゼン環の2-および3-、または3-および4-位に置換基を有する。
【0039】
本発明の別の側面では、nが2または3である場合、第一のR5基は好適にはベンゼン環の
オルト-位にあり、第2のR5基は好適にはメタ-位にあり、そして場合により(nが3である場合)、第3のR5基は好適にはパラ-位にある。したがって、nが2である場合、環はベンゼン
環の2-および3-位に置換基を有し、そしてnが3である場合、環はベンゼン環の2-、3-および4-位に置換基を有する。
【0040】
本出願者らは、驚くべきことにベンゼン環の3-および4-位に置換基を有するキナゾリン誘導体に比較して、ベンゼン環の2-および3-位、または2-、3-および4-位に置換基(たと
えばハロゲノ置換基)を有するキナゾリン誘導体が、細胞アッセイにおいてerbB2および/
またはEGFR(とりわけerbB2)受容体チロシンキナーゼに反する増大した効果を有するという点で、促進された活性を持つ化合物を生じることを見出した。ベンゼン環の2-および3-位、または2-、3-および4-位に置換基(たとえばハロゲノ置換基)を有するキナゾリン誘導体は、同様にin vivoにおいてerbB2および/またはEGFR(とりわけerbB2)受容体チロシン
キナーゼに反する増大した効果を有するであろうと考えられている。
【0041】
好適には、nが2または3である場合、それぞれのR5基はクロロまたはフルオロのような
、同じか、または異なるハロゲノ原子である。好適には、少なくとも1種のR5基はフルオ
ロであり、少なくとも1種のフルオロは好ましくはベンゼン環のオルト-(2-)位に位置する。
【0042】
好適には、nが2である場合、それぞれのR5基は同じか、または異なるハロゲノ原子である。とりわけ、1種のR5基はクロロであり、そしてこれは、好ましくはそれが結合するベ
ンゼン環のメタ-(3-)位にあり、そして別のR5基は、好ましくはベンゼン環のオルト-(2-)またはパラ-(4-)(好ましくはオルト-(2-))位にあるフルオロである。
【0043】
好適には、nが3である場合、それぞれのR5基は同じか、または異なるハロゲノ原子である。とりわけ、1種のR5基はクロロであり、そしてこれは、好ましくはそれが結合するベ
ンゼン環のメタ-(3-)位にあり、そして別の2種のR5基はそれぞれフルオロであり、それらは好ましくはそれぞれベンゼン環のオルト-(2-)またはパラ-(4-)位にある。
【0044】
したがって、式Iの部分式(i):
【0045】
【化2】

【0046】
の基の具体的な例は、
部分式(ii):
【0047】
【化3】

【0048】
の基であり、式中、
(a)R10またはR12の一方は水素であり、他方はクロロまたはフルオロのようなハロゲノ、
とりわけフルオロであり、そしてR11はクロロまたはフルオロのようなハロゲノ、とりわ
けクロロである、または
(b)R10はクロロまたはフルオロのようなハロゲノ、とりわけフルオロであり、R11はクロ
ロまたはフルオロのようなハロゲノ、とりわけクロロであり、そしてR12は水素またはク
ロロまたはフルオロのようなハロゲノ、とりわけフルオロから選択される、または
(c)R10はフルオロであり、R11はクロロであり、そしてR12は水素またはフルオロである。とりわけ、R10、R11およびR12は(b)および/または(c)に定義されたとおりである。
【0049】
一つの態様では、nが2である場合、それぞれのR5基は同じか、または異なるハロゲノ原子(たとえばフルオロおよび/またはクロロ)であり、第1のR5基はベンゼン環のオルト-位
にあり、第2のR5基はメタ-位にあり、(i)mが0、1、2または3である場合、R3は(1〜6C)ア
ルキルではなく、そして(ii) mが0である場合、R2およびR3は、それらが結合する窒素原
子と一緒に飽和5または6員複素環(場合により酸素、S、SOもしくはS(O)2またはNR8から選択される付加的なヘテロ原子を含み、ここでR8は水素、(1〜4C)アルキルまたは(1〜4C)アルキルスルホニルである)を形成しない。
【0050】
好適にはX1は酸素である。
とりわけ、R1は水素、(1〜6C)アルキルおよび(1〜6C)アルコキシ(1〜6C)アルキルから
選択され、ここでR1中のいずれかの(1〜6C)アルキル基は、1以上(好適には1または2)のヒドロキシまたはハロゲノ置換基を持つ。より具体的には、R1は(1〜6C)アルキル、好まし
くは(1〜4C)アルキル、さらにより好ましくは(1〜2C)アルキルから選択される。たとえば、R1はメチルであってもよい。
【0051】
たとえば、R1-X1-はメトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、シクロプロピルメトキシ、2-ヒドロキシエトキシ、2-フルオロエトキシ、2-メトキシエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシまたは3-ヒドロキシ-3-メチルブトキシから選択
される。
【0052】
とりわけ、R1-X1-は水素、(1〜4C)アルコキシおよび(1〜4C)アルコキシ(1〜4C)アルコ
キシから選択される。たとえば、R1-X1-は水素、メトキシ、エトキシ、および2-メトキシエトキシから選択される。基R1-X1-の具体的な例はメトキシである。
【0053】
好適にはmは1、2または3である。好ましくは、mは0または1(より好ましくは1)である。
R2およびR3が、それらが結合する窒素原子と一緒に飽和複素環(場合により付加的なヘ
テロ原子を含む)を形成する場合、複素環はとりわけ6員環である。
【0054】
R2およびR3が、それらが結合する窒素原子と一緒に飽和5または6(好ましくは6)員複素
環(場合により付加的なヘテロ原子を含む)を形成する場合、これは好適には、OおよびN R8から選択される付加的なヘテロ原子を含有し、ここでR8は式Iに関して定義されたとお
りである。
【0055】
R2およびR3が、それらが結合する窒素原子と一緒に飽和5または6員複素環(場合により
付加的なヘテロ原子を含む)を形成する場合、これは好適には、ピロリジン環、モルホリ
ン環、ピペリジン環またはピペラジン環を含み、そしてそれは場合により、利用可能な窒素原子上で先に定義した基R8によって置換される。とりわけ、複素環はモルホリン環またはピペラジン環を含み、そしてそれは場合により利用可能な窒素原子上で式Iに関して定義された基R8によって置換される。
【0056】
R8基の具体的な例としては、(1〜3C)アルキル、たとえばメチル;(1〜3C)アルキルスルホニル、たとえばメチルスルホニル;(1〜3C)アルキルカルボニル、たとえばアセチル;(2〜4C)アルケニル、たとえばアリル;または(2〜4C)アルキニル、たとえばプロパルギル
が挙げられる。とりわけR8は(1〜3C)アルキル基、たとえばメチルである。
【0057】
したがって、R2がR3と一緒に、それらが結合する窒素原子と一緒に飽和5または6員複素環(場合により付加的なヘテロ原子を含む)を形成する場合、これは好適にはモルホリン環を含む。別の例としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンまたはN-メチルピペラジン、とりわけピペラジンまたはN-メチルピペラジンが挙げられる。
【0058】
好ましくは、R2は水素または(1〜3C)アルキルである。
とりわけ、R2は水素またはメチル(好ましくは水素)である。
R3の適切な置換基には、(1〜6C)アルコキシ、(1〜6C)アルキルアミノ、ジ-(1〜6C)アルキルアミノ、または飽和5もしくは6員複素環(場合により、酸素、硫黄またはNR8(R8は先
に定義されたとおりである)から選択される付加的なヘテロ原子を含有する)が挙げられる。
【0059】
とりわけ、R3の適切な置換基には、(1〜3C)アルコキシ、たとえばメトキシ、アミノ、(1〜3C)アルキルアミノ、ジ-(1〜3C)アルキルアミノ、たとえばジメチルアミノ、(1〜3C)
アルキルスルホニル、ピロリジン環またはピペラジン環が挙げられ、それらは利用可能な窒素原子上に、(1〜3C)アルキル基、たとえばメチル、(2〜4C)アルケニル基、たとえばビニル、(2〜4C)アルキニル基、たとえばプロパルギル、(1〜5C)アルキルスルホニル基、たとえばメチルスルホニルまたは(1〜6C)アルキルカルボニル基、たとえばアセチルを含ん
でいてもよい。
【0060】
適切なR3は(1〜6C)アルキル、とりわけ(1〜3C)アルキル、たとえばメチルまたはエチルである。適切なR2は水素であり、R3は(1〜6C)アルキル、とりわけ(1〜3C)アルキル、たとえばメチルまたはエチルである。
【0061】
式Iの化合物の具体的な例は式IA:
【0062】
【化4】

【0063】
の化合物であり;
式中、R2、R3およびmは先に記載のとおりであり、R10、R11およびR12は先の部分式(ii)に関して定義したとおりであり、そしてR13は水素、メトキシ、エトキシおよび2-メトキシ
エトキシ、とりわけメトキシから選択される。
【0064】
不明確になることを避けるために、式Iの化合物が式IAの化合物のように定義される場合、キナゾリン誘導体は以下のものではない:
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジエチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ピペリジン-1-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ピロリジン-1-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(4-メチル-ピペラジン-1-イル)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-エトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-(2-メトキシ-エトキシ)-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(エチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[イソプロピルアミノ)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニルメチル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルメチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニルメチル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルメチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(メチルアミノ)カルボニルメチル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニルメチル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ピロリジン-1-イル)カルボニルメチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルメチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(メチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(2-メトキシエチル)アミノ)カルボニ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(N-メチル-N-2-メトキシエチル)アミ
ノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(3-メトキシプロピル)アミノ)カルボ
ニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(N-メチル-N-3-メトキシプロピル)ア
ミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルエチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;もしくは
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルプロ
ピル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
または薬剤的に受容できるその塩。
【0065】
式Iの化合物の別の具体的な例としては式IBおよびIC:
【0066】
【化5】

【0067】
【化6】

【0068】
の化合物が挙げられ、
式中、R2、R3およびmは先に記載のとおりであり、そしてR13は水素、メトキシ、エトキシおよび2-メトキシエトキシ、とりわけメトキシから選択される。
【0069】
式Iの化合物の別の具体的な例としては式ID:
【0070】
【化7】

【0071】
の化合物:
[式中、R5aおよびR5bはハロゲノ(たとえば、フルオロおよび/またはクロロから)独立し
て選択され;
X1は直接結合またはOであり;
R1は水素および(1〜6C)アルキルから選択され、ここで(1〜6C)アルキル基は場合により、ヒドロキシおよびハロゲノから選択される1以上の置換基(同じでも異なってもよい)、
および/またはアミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロゲノ、(1〜6C)アルコキシ、ヒドロキシ(1〜6C)アルコキシ、(2〜8C)アルケニル、(2〜8C)アルキニル、(1〜6C)アルキルチオ、(1〜6C)アルキルスルフィニル、(1〜6C)アルキルスルホニル、(1〜6C)アルキルア
ミノ、ジ-[(1〜6C)アルキル]アミノ、カルバモイル、N-(1〜6C)アルキルカルバモイル、N,Nジ-[(1〜6C)アルキル]カルバモイル、(2〜6C)アルカノイル、(2〜6C)アルカノイルオキシ、(2〜6C)アルカノイルアミノ、N-(1〜6C)アルキル-(2〜6C)アルカノイルアミノ、(1〜6C)アルコキシカルボニル、スルファモイル、N-(1〜6C)アルキルスルファモイル、N,N-ジ-[(1〜6C)アルキル]スルファモイル、(1〜6C)アルカンスルホニルアミノおよびN-(1〜6C)アルキル-(1〜6C)アルカンスルホニルアミノから選択される置換基によって置換され;
mは0、1、2 または3であり;
R2は水素または(1〜6C)アルキルであり;そして
R3は(1〜6C)アルキルであり、ここで(1〜6C)アルキル基は炭素原子上で場合により、(1〜6C)アルコキシ、アミノ、(1〜6C)アルキルアミノ、ジ-(1〜6C)アルキルアミノもしくは基
S(O)s(1〜6C)アルキル(sは0、1または2である)、または飽和5または6員複素環(場合によ
り、酸素、硫黄またはNR8から選択される付加的なヘテロ原子を含み、ここでR8は水素、(1〜6C)アルキル、(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニル、(1〜6C)アルキルスルホニル
または(1〜6C)アルキルカルボニルである)によって置換される;
またはmが0の場合、R2およびR3は、それらが結合する窒素原子と一緒に飽和5または6員
複素環(場合により、酸素、S、SOもしくはS(O)2またはNR8から選択される付加的なヘテロ原子を含み、ここでR8は水素、(1〜4C)アルキルまたは(1〜4C)アルキルスルホニルである)を形成する]または薬剤的に受容できるその塩が挙げられる。
【0072】
式IDの化合物の一態様では、基R3は(1〜6C)アルキル、とりわけ置換されていない(1〜6C)アルキル基である。たとえば、基R3はメチルまたはエチル、とりわけメチルであってもよい。
【0073】
式IDの化合物の別の態様では、mは0であり、R2およびR3は、それらが結合する窒素原
子と一緒に飽和5または6員複素環(場合により、酸素、S、SOもしくはS(O)2またはNR8から選択される付加的なヘテロ原子を含み、ここでR8は水素、(1〜4C)アルキルまたは(1〜4C)アルキルスルホニルである)を形成する。たとえば、R2はR3と一緒になって、それらが結
合する窒素原子と一緒にモルホリン環を形成してもよい。別の例としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンまたはN-メチルピペラジン、とりわけピペラジンまたはN-メチルピペラジンが挙げられる。
【0074】
本発明の具体的な新規化合物には、式I(IA、IB、ICおよびIDを含む)の化合物が挙げら
れ、特記しない限り、それらにおいて、R1、R2、R3、R5、X1、mおよびnは先に定義したような意味のいずれかを有するということは当業者には明らかである。
【0075】
式Iのキナゾリン誘導体の例としては1以上の以下のもの:
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピ
ペリジン-4-イル]-オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N,N-ジメチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(モルホリン-4-イルカルボニルメ
チル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(ピロリジン-1-イルカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイル)ピペリジ
ン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N-(2-ジメチルアミノエチル)カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N,N-ジメチルカルバモイル)ピペリジン-4-イ
ル]オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(モルホリン-4-イルカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-[2-ピロリジン-1-イルエチル]
カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-エチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-
イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-[2-(ピロリジン-1-イル)エチル]カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-(2-メトキシエチル)カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-(2-ジメチルアミノエチル)カルバモイルメ
チル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(ピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;および
4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;
または薬剤的に受容できるその塩が挙げられる。
【0076】
式Iのキナゾリン誘導体の具体的な例としては1以上の以下のもの:
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピ
ペリジン-4-イル]-オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイル)ピペリジ
ン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(モルホリン-4-イルカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-[2-ピロリジン-1-イルエチル]
カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-エチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-
イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-[2-(ピロリジン-1-イル)エチル]カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-(2-メトキシエチル)カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-(2-ジメチルアミノエチル)カルバモイルメ
チル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(ピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;および
4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;
または薬剤的に受容できるその塩が挙げられる。
【0077】
式Iのキナゾリン誘導体の具体的な例の群としては1以上の以下のもの:
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピ
ペリジン-4-イル]-オキシ}キナゾリン;および
4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
または薬剤的に受容できるその塩が挙げられる。
【0078】
式IBのキナゾリン誘導体の具体的な例の群としては1以上の以下のもの:
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピ
ペリジン-4-イル]-オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N,N-ジメチルカルバモイル)ピペリジン-4-イ
ル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(モルホリン-4-イルカルボニルメ
チル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(ピロリジン-1-イルカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイル)ピペリジ
ン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N-(2-ジメチルアミノエチル)カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N,N-ジメチルカルバモイル)ピペリジン-4-イ
ル]オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(モルホリン-4-イルカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-[2-ピロリジン-1-イルエチル]
カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-エチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-
イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-[2-(ピロリジン-1-イル)エチル]カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-(2-メトキシエチル)カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-(2-ジメチルアミノエチル)カルバモイルメ
チル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;および
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(ピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;
または薬剤的に受容できるその塩が挙げられる。
【0079】
式ICのキナゾリン誘導体の具体的な例の群としては1以上の以下のもの:
4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;および
4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;
または薬剤的に受容できるその塩が挙げられる。
【0080】
式IDのキナゾリン誘導体の具体的な例の群としては1以上の以下のもの:
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピ
ペリジン-4-イル]-オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N,N-ジメチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(ピロリジン-1-イルカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイル)ピペリジ
ン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N-(2-ジメチルアミノエチル)カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N,N-ジメチルカルバモイル)ピペリジン-4-イ
ル]オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(モルホリン-4-イルカルボニル)ピ
ペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-[2-ピロリジン-1-イルエチル]
カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-エチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-
イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-[2-(ピロリジン-1-イル)エチル]カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-(2-メトキシエチル)カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;および
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-(2-ジメチルアミノエチル)カルバモイルメ
チル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
または薬剤的に受容できるその塩が挙げられる。
【0081】
式IDのキナゾリン誘導体の別の具体的な例の群としては1以上の以下のもの:
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピ
ペリジン-4-イル]-オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N,N-ジメチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(ピロリジン-1-イルカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイル)ピペリジ
ン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N,N-ジメチルカルバモイル)ピペリジン-4-イ
ル]オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(モルホリン-4-イルカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;および
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-エチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-
イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
または薬剤的に受容できるその塩が挙げられる。
【0082】
式Iの化合物の好ましい例は
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピ
ペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;または薬剤的に受容できるその塩である。
【0083】
式Iの化合物の別の好ましい例は
4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;または薬剤的に受容できるその塩である。
【0084】
式Iの化合物の別の好ましい例は
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-[2-(ピロリジン-1-イル)エチル]カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;または薬剤的に受容でき
るその塩である。
【0085】
式Iの化合物の別の好ましい例は
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;または薬剤的に受容できるその塩である。
【0086】
式Iの化合物の別の好ましい例は
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(ピペラジン-1-イル)-2-オキソ
エチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;または薬剤的に受容できるその塩である。
【0087】
式Iのキナゾリン誘導体の合成
本発明の別の側面は、式Iのキナゾリン誘導体または薬剤的に受容できるその塩を製造
するための工程を提供する。以下の工程のいずれかの間に、ある種の置換基がそれらの望ましくない反応を妨げるために保護を必要としてもよいことは理解されるであろう。当業者はいつそのような保護が必要であるか、およびそのような保護基をどのように適切に配置し、その後除去することができるかを理解するであろう。
【0088】
保護基の例としては、主題に関する多くの一般的な教科書の1つ(たとえば、Theodora
Greenによる‘Protective Groups in Organic Synthesis’(出版社:John Wiley & Sons))を参照されたい。保護基は、問題となっている保護基を除去するため、文献に記載さ
れているか、または当業者に公知のいずれか都合のよい方法によって適宜除去してもよく、そのような方法は、当該分子のいずれか他の位置の基をできるだけ妨害せずに保護基の除去が行えるように選択される。
【0089】
したがって、反応物質が、たとえばアミノ、カルボキシまたはヒドロキシのような基を含有する場合、本明細書に述べられた反応のどこかにおいて、基を保護することが望ましくてもよい
アミノまたはアルキルアミノのための適切な保護基は、たとえば、アシル基、たとえばアセチルのようなアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、たとえばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、またはt-ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、たとえばベンジルオキシカルボニル、またはアロイル基、たとえばベンゾイルである。先の保護基のための脱保護条件は保護基の選択によって必然的に変化する。したがって、たとえば、アシル基、たとえばアルカノイルまたはアルコキシカルボニル基、またはアロイル基はたとえば、アルカリ金属水酸化物、たとえば水酸化リチウムまたはナトリウムのような適切な塩基による加水分解によって除去することができる。あるいは、t-ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、たとえば、塩酸、硫酸、もしくはリン酸またはトリフルオロ酢酸のような適切な酸による処置により除去してもよく、そしてベンゾイルオキシカルボニル基のような、アリールメトキシカルボニル基は、たとえばパラジウム‐炭素のような触媒による水素添加、またはルイス酸、たとえばトリストリフルオロアセテートホウ素による処理によって除去してもよい。第一アミノ基のための適切な代わりとなる保護基は、たとえばフタロイル基であり、そしてそれはアルキルアミン、たとえばジメチルアミノプロピルアミン、またはヒドラジンによる処理により除去することができる。
【0090】
ヒドロキシ基のための適切な保護基は、たとえばアシル基、たとえばアセチルのようなアルカノイル基、ベンゾイルのようなアロイル基、またはベンジルのようなアリールメチル基である。先の保護基のための脱保護条件は、保護基の選択によって必然的に変化することになる。したがって、たとえば、アルカノイルのようなアシル基またはアロイル基は、たとえば、水酸化リチウム、ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物、またはアンモニアのような適切な塩基による加水分解によって除去することができる。あるいは、アリールメチル基、たとえばベンジル基は、たとえばパラジウム‐炭素のような触媒による水素添加によって除去することができる。
【0091】
カルボキシル基のための適切な保護基は、たとえば、エステル化基、たとえば水酸化ナトリウムのような塩基による加水分解によって除去することができるメチルまたはエチル基、またはたとえば酸、たとえばトリフルオロ酢酸のような有機酸による処理によって除去することができるt-ブチル基、またはたとえば、パラジウム‐炭素のような触媒による水素添加によって除去することができるベンジル基である。
【0092】
レジンも保護基として使用することができる。
保護基は化学技術分野で公知の慣用の方法を使用して、合成におけるいずれか都合のよい段階で除去することができる。
【0093】
式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩は、化学的に関連した化合物の製造に適用することができることが公知のいずれかの工程によって製造することができる。そのような工程は、式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩を製造するために使用する場合、本発明の別の態様として提供され、以下の代表的な実施例によって説明される。必要な出発物質は有機化学の標準手順によって得ることができる(
たとえば、Advanced Organic Chemistry (Wiley-Interscience), Jerry Marchを参照されたい)。そのような出発物質の製造は、添付する限定的でない実施例内に記載される。あ
るいは、必要な出発物質は、有機化学者の通常の技術の範囲内である、説明された手順に類似したものによって得ることができる。また、必要な出発物質または関連化合物の製造に関する情報(必要な出発物質を形成するために適合させてもよい)は以下の特許および特許出願公開に見出すことができ、それらの適切な工程部分の内容は参照として本明細書に援用する:WO 94/27965、WO 95/03283、WO 96/33977、WO 96/33978、WO 96/33979、WO 96/33980、WO 96/33981、WO 97/30034、WO 97/38994、WO 01/66099、US 5,252,586、EP 520
722、EP 566 226、EP 602 851およびEP 635 507。
【0094】
また、本発明は、式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩が以下のような工程(a)〜(m)(変化する要素は、特記しない限り、先に定義したとおりである)によって製造できることを提供する:
工程(a) 式II:
【0095】
【化8】

【0096】
の化合物(式中、R1、X1、R5およびnは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は先に定義した意味のいずれかを有する)と式III:
【0097】
【化9】

【0098】
の化合物(式中、R2、R3およびmは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外
は先に定義した意味のいずれかを有し、そしてLgは置換可能な基である)を反応させるこ
とであって、ここで反応は適切な塩基の存在下で都合よく行われ、
その後、存在するいずれかの保護基は慣用の手段により除去される。
【0099】
都合のよい置換可能な基Lgは、たとえば、ハロゲノ、アルカンスルホニルオキシまたはアリールスルホニルオキシ基、たとえば、クロロ、ブロモ、メタンスルホニルオキシ、4-ニトロベンゼンスルホニルオキシまたはトルエン-4-スルホニルオキシ基(好適にはメタンスルホニルオキシ、4-ニトロベンゼンスルホニルオキシまたはトルエン-4-スルホニルオ
キシ基)である。
【0100】
反応は、塩基の存在下で都合よく行われる。適切な塩基は、たとえば、有機アミン塩基、たとえば、ジ-イソプロピルエチルアミン、ピリジン、2,6-ルチジン、コリジン、4-ジ
メチルアミノピリジン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンまたはジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン、またはたとえば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩または水酸化物、たとえば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。あるいは、そのような塩基は、たとえば、アルカリ金属水素化物、、たとえば水素化ナトリウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属アミド、たとえばナトリウムアミドまたはナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、または十分に塩基性のアルカリ金属ハロゲン化物、たとえばセシウムフルオリドまたはナトリウムヨージドである。反応は、好適には不活性溶媒または希釈剤、たとえばアルカノールまたはエステル、たとえばメタノール、エタノール、2-プロパノールまたはエチルアセテート、ハロゲン化溶媒、たとえばメチレンクロリド、トリクロロメタンまたは四塩化炭素、エーテル、たとえばテトラヒドロフランまたは1,4-ジオキサン、芳香族炭化水素溶媒、たとえばトルエン、または(好適には)双極性非プロトン性溶媒、たとえば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド、N-メチルピロリジン-2-オンまたは
ジメチルスルホキシドの存在下で行われる。反応は10〜150℃(または溶媒の沸点)の範囲
、好適には20〜90℃の範囲の温度で都合よく行われる。
【0101】
特に適切な塩基はセシウムフルオリドである。この反応は好適には不活性な双極性非プロトン性溶媒、たとえば、N,N-ジメチルアセタミド、またはN,N-ジメチルホルムアミド中で行われる。反応は好適には25〜85℃の温度で行われる。
【0102】
工程(b) 必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は、先に定義したよう
に、式Iの別のキナゾリン誘導体または薬剤的に受容できるその塩における置換基を改変
する、またはそれに置換基を導入することであって;その後存在するいずれかの保護基は慣用の手段により除去される。
【0103】
置換基を別の置換基に変換するための方法は、当該技術分野で公知である。たとえば、アルキルチオ基はアルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニル基に酸化され、シアノ基はアミノ基に還元され、ニトロ基はアミノ基に還元され、ヒドロキシ基はメトキシ基にアルキル化され、ブロモ基はアルキルチオ基に変換され、アミノ基はアシル化され、(た
とえば適切な酸クロリドまたは酸無水物との反応により)アルカノイルアミノ基を生じ、
またはアルカノイルオキシ基はヒドロキシ基に加水分解されてもよい(たとえばアセチル
オキシアセチル基はヒドロキシアセチル基に変換されてもよい)。好都合には、1種のR1
基は式Iの化合物の製造における最終段階として別のR1基に変換されてもよい。
【0104】
工程(c) 式IV:
【0105】
【化10】

【0106】
の化合物(式中、R1、X1、R5およびnは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は式Iに関して定義したとおりである)と式VまたはV′:
【0107】
【化11】

【0108】
の化合物[式中、R2およびR3は必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は先
に定義したとおりであり、m’は0、1、2または3であり、ただしR2が水素である場合、そ
れは0ではなく、そしてLgは置換可能な基(たとえばクロロまたはブロモのようなハロゲノ)である]を反応させること。
【0109】
先に記載の反応は適切な塩基(たとえば、工程(a)において先に記載されたもの、たとえば、炭酸カリウム、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジンまたはジ-イソプロピ
ルエチルアミン)の存在下、および好都合には不活性溶媒または希釈剤(たとえば、N-メチルピロリジン-2-オン、アセトニトリル、N,N-ジメチルアセタミド、メタノール、エタノ
ールまたはメチレンクロリドのような工程(a)に記載の不活性溶媒または希釈剤)の存在下で、都合よく行われる。
【0110】
m’が1、2または3の場合、反応はヨウ化物源、たとえばヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムの存在下、およびたとえば、10〜150℃(または溶媒の沸点)の範囲、好適には20
〜90℃の範囲の温度で適切に行われる。たとえば、mが1の場合、反応は適切な塩基としてトリエチルアミン、適切なヨウ化物源としてヨウ化カリウムおよび適切な溶媒または希釈剤としてN,N-ジメチルアセタミドを使用して、約80℃の温度で行うことができる。
【0111】
mが0の場合、ヨウ化物源は必要ではなく、典型的な反応温度は0℃〜室温である。
式IVの化合物と式V’の化合物の反応は、R2が水素であり、mが0の場合に化合物を製造
するために有用である。
【0112】
工程(d) 式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩から保護基を除去すること。
保護基の除去のための適切な方法は公知であり、本明細書で説明される。たとえば、R1
が第一または第二アミノ基を含有する式Iの化合物の製造の場合は、R1が保護された第一または第二アミノ基を含有する、式Iの対応する化合物の開裂。
【0113】
アミノ基のための適切な保護基は、たとえば、アミノ基に関して先に開示された保護基のいずれかである。そのようなアミノ保護基の開裂のための適切な方法も先に開示される。とりわけ、適切な保護基は低級アルコキシカルボニル基、たとえばtert-ブトキシカル
ボニル基であり、それは酸に触媒される加水分解のような慣用の反応条件下、たとえばトリフルオロ酢酸の存在下において開裂されてもよい。
【0114】
工程(e) Mitsunobu条件下、先に定義した式IIの化合物と、LgがOHであること以外は先に定義したような式IIIの化合物を反応させることであって、その後存在するいずれかの
保護基は慣用の手段により除去される。
【0115】
適切なMitsunobu条件には、たとえば、有機溶媒、たとえばTHF、または好適にはジクロロメタン中、0℃〜60℃の温度範囲、しかし、好適には周囲温度において、適切な第三ホ
スフィンおよびジ-アルキルアゾジカルボキシレートの存在下における反応が挙げられる
。適切な第三ホスフィンには、たとえば、トリ-n-ブチルホスフィンまたは好適にはトリ-フェニルホスフィンが挙げられる。適切なジ-アルキルアゾジカルボキシレートには、た
とえば、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)または好適にはジ-tert-ブチルアゾジカルボキシレートが挙げられる。Mitsunobu反応の詳細はTet. Letts., 31, 699, (1990);The Mitsunobu Reaction, D.L.Hughes, Organic Reactions, 1992, Vol.42, 335〜656およびProgress in the Mitsunobu Reaction, D.L.Hughes, Organic Preparations and Procedures International, 1996, Vol.28, 127〜164に包含される。
【0116】
工程(f) R1-X1がヒドロキシ基である式Iの化合物の製造のための、R1-X1が(1〜6C)ア
ルコキシ基である式Iのキナゾリン誘導体の開裂。
開裂反応は、そのような変換に関して公知の多くの手順のいずれかによって都合よく行うことができる。R1が(1〜6C)アルコキシ基である式Iの化合物の開裂反応は、たとえば
、アルカリ金属(1〜6C)アルキルスルフィド、たとえばエタンチオレートナトリウムによ
るキナゾリン誘導体の処理により、またはたとえばアルカリ金属ジアリールホスフィド、たとえばリチウムジフェニルホスフィドによる処理により行うことができる。あるいは、開裂反応は、ホウ素またはアルミニウムトリハライド、たとえばホウ素トリブロミドによるキナゾリン誘導体の処理により、または有機または無機酸、たとえばトリフルオロ酢酸との反応により都合よく行うことができる。そのような反応は、好適には先に定義したような適切な不活性溶媒または希釈剤の存在下で行われる。好ましい開裂反応は、ピリジン塩酸塩による式Iのキナゾリン誘導体の処理である。開裂反応は、たとえば、10〜150℃
、たとえば25〜80℃の範囲の温度で行われる。
【0117】
工程(g) X1がOであり、そしてR1が水素でない式Iの化合物の製造のための、式VI:
【0118】
【化12】

【0119】
の化合物(式中、R2、R3、R5、mおよびnは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は先に定義した意味のいずれかを有する)と式R1-Lg(式中、R1は水素ではなく、
そして必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は先に定義した意味のいずれかを有し、そしてLgは置換可能な基であり、ここで反応は適切な塩基の存在下で都合よく行われる)の化合物の反応であって;その後存在するいずれかの保護基は慣用の手段によ
り除去される。
【0120】
適切な置換可能な基、Lgは、先に工程(a)で定義したとおり、たとえばクロロまたはブ
ロモである。反応は適切な塩基の存在下で適切に行われる。適切な溶媒、希釈剤および塩基には、たとえば、工程(a)に関連して先に記載したものが挙げられる。あるいは、Lgは
ヒドロキシ基であり、その結果反応は工程(c)に関連して先に記載のように、Mitsunobu条件下で行うことができる。
【0121】
工程(h) 式I (式中、R1は(1〜6C)アルコキシもしくは置換された(1〜6C)アルコキシ基、または(1〜6C)アルキルアミノもしくは置換された(1〜6C)アルキルアミノ基を含有する)の化合物の製造のための、式I(式中、R1はヒドロキシ基または第一もしくは第二アミノ
基を適宜含有する)のキナゾリン誘導体のアルキル化;
適切なアルキル化剤は、好都合には、先に記載の適切な塩基の存在下、先に記載の適切な不活性溶媒または希釈剤中、そしてたとえば、10〜140℃の範囲の温度、好都合には約
周囲温度における、たとえば、ヒドロキシからアルコキシまたは置換されたアルコキシへのアルキル化、またはアミノからアルキルアミノまたは置換されたアルキルアミノへのアルキル化のための、当該技術分野で公知のいずれかの物質、たとえば、アルキルまたは置換されたアルキルハライド、たとえば(1〜6C)アルキルクロリド、ブロミドもしくはヨー
ジド、または置換された(1〜6C)アルキルクロリド、ブロミドもしくはヨージドである。
類似の手順を使用して、場合により置換された(2〜6C)アルカノイルオキシ、(2〜6C)アルカノイルアミノおよび(1〜6C)アルカンスルホニルアミノ基をR1に導入することができる

【0122】
好都合には、R1が(1〜6C)アルキルアミノまたは置換された(1〜6C)アルキルアミノ基を含有する式Iの化合物の製造の場合、還元アミノ化反応はホルムアルデヒドまたは(2〜6C)アルカノールアルデヒド(たとえばアセトアルデヒドまたはプロピオンアルデヒド)を使
用して行うことができる。たとえば、R1N-メチル基を含有する式Iの化合物の製造の場合、N-H基を含有する対応する化合物は、適切な還元剤の存在下でホルムアルデヒドと反
応することができる。適切な還元剤は、たとえばヒドリド還元剤、たとえばギ酸、リチウムアルミニウムヒドリドのようなアルカリ金属アルミニウムヒドリド、または、好適には、ボロヒドリドナトリウム、シアノボロヒドリドナトリウム、トリエチルボロヒドリドナ
トリウム、トリメトキシボロヒドリドナトリウムおよびトリアセトキシボロヒドリドナトリウムのようなアルカリ金属ボロヒドリドである。反応は、適切な不活性溶媒または希釈剤、たとえば、リチウムアルミニウムヒドリドのような、より強力な還元剤に対してはテトラヒドロフランおよびジエチルエーテル、そしてたとえばトリアセトキシボロヒドリドナトリウムおよびシアノボロヒドリドナトリウムのような強力でない還元剤に対してはメチレンクロリドまたはメタノールおよびエタノールのようなプロトン性溶媒中で都合よく行われる。還元剤がギ酸である場合、反応はギ酸の水溶液を使用して都合よく行われる。反応は、10〜100℃、たとえば70〜90℃の範囲の温度、好都合には周囲温度またはそれに
近い温度で行われる。好都合には、還元剤がギ酸である場合、アルキル化されることになるNH基上のtert-ブトキシカルボニルのような保護基(たとえば、出発物質の合成から存在する)は反応中in-situで除去することができる。
【0123】
工程(i) 式I[式中、R1は基T(Tは(1〜6C)アルキルアミノ、ジ-[(1〜6C)アルキル]アミノ、(2〜6C)アルカノイルアミノ、(1〜6C)アルキルチオ、(1〜6C)アルキルスルフィニル
および(1〜6C)アルキルスルホニルから選択される)により置換される]の化合物の製造の
ための、式VII:
【0124】
【化13】

【0125】
の化合物(式中、R2、R3、R5、X1、nおよびmは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は先に定義した意味のいずれかを有し、R1’はいずれかのT基がLgに置換さ
れること以外は本明細書に定義した基R1であり、そしてLgは置換可能な基(たとえばクロ
ロもしくはブロモ、またはメシレート)である)と式THの化合物(式中、Tは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は先に定義したとおりである)の反応であって;
その後存在するいずれかの保護基は慣用の手段により除去される。
【0126】
反応は、適切な塩基の存在下で都合よく行われる。反応は適切な不活性溶媒または希釈剤中で都合よく行うことができる。適切な塩基、溶媒、希釈剤は、たとえば、工程(a)の
中で先に記載したものである。反応は好適には10〜150℃、たとえば30〜60℃の温度にお
いて行われる。
【0127】
工程(j) 式VIII:
【0128】
【化14】

【0129】
の化合物(式中、R1、R2、R3、X1およびmは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は先に定義した意味のいずれかを有し、そしてLgは先に定義したような置換可能な基である)と式IX:
【0130】
【化15】

【0131】
(式中、R5およびnは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は先に定義した意味のいずれかを有し、そして反応は適切な酸の存在下で都合よく行われる)のアニリ
ンを反応させることであって、その後存在するいずれかの保護基は慣用の手段により除去される。
【0132】
Lgによって表される適切な置換可能な基は先に定義したとおりであり、とりわけクロロのようなハロゲノである。
反応は、不活性溶媒または希釈剤、たとえばアルコールまたはエステル、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノールまたはエチルアセテート、ハロゲン化溶媒、たとえばメチレンクロリド、クロロホルムまたは四塩化炭素、エーテル、たとえばテトラヒドロフランまたは1,4-ジオキサン、芳香族溶媒、たとえばトルエン、または双極性非プロトン性溶媒、たとえば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド、N-メチルメチルピロリジン-2-オン、アセトニトリルまたはジメチルスルホキシドの存在下で都合よ
く行われる。反応は10〜250℃の範囲、好都合には40〜120℃の範囲の温度、または溶媒または希釈剤が使用される場合、還流温度で都合よく行われる。好都合には、式VIIIの化合物は、先に記載の条件下、イソプロパノールのようなプロトン性溶媒の存在下、好都合には酸、たとえば触媒量の酸の存在下で式IXの化合物と反応する。適切な酸には、ジエチルエーテルまたはジオキサン中の塩化水素ガス、および塩酸、たとえばジオキサン中の4M塩化水素溶液が挙げられる。あるいは、この反応は、酸、たとえばジエチルエーテルまたジオキサン中の塩化水素ガス、または塩酸の存在下、ジオキサンのような非プロトン性溶媒、またはN,N-ジメチルアセタミドもしくはアセトニトリルのような双極性非プロトン性溶媒中で、都合よく行うことができる。
【0133】
Lgがハロゲノである式VIIIの化合物は、酸の非存在下で式IXの化合物と反応することができる。この反応では、ハロゲノ脱離基Lgの置換がin-situで酸HLgを形成し、反応の自
触媒作用を引き起こす。反応は適切な不活性有機溶媒、たとえば、イソプロパノール、ジオキサンまたはN,N-ジメチルアセタミド中で都合よく行うことができる。この反応の適切
な条件は先に記載のとおりである。
【0134】
あるいは、式VIIIの化合物は適切な塩基の存在下で式IXの化合物と反応してもよい。この反応のための適切な塩基は工程(a)で先に定義したとおりである。たとえば、適切な塩
基は、アルカリ土類金属アミド、たとえばビス(トリメチルシリル)アミドナトリウムである。この反応は不活性溶媒または希釈剤、たとえばこの工程(j)に関連して先に述べられ
たものの中で都合よく行われる。
【0135】
工程(k) 式Iの化合物(式中、mは1、2または3である)の製造のための、式X:
【0136】
【化16】

【0137】
の化合物(式中、mは1、2または3であり、そしてR1、X1、R5およびnは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は先に定義したとおりである)と式R2NHR3(式中、R2
およびR3は先に定義したとおりである)の第一または第二アミンのカップリングであって;その後存在するいずれかの保護基は慣用の手段により除去される。
【0138】
カップリング反応は適切なカップリング剤、たとえばカルボジイミド(たとえば1-[3-(
ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド)、または適切なペプチドカップリング剤、たとえばO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ-ホスフェート(HATU)の存在下で都合よく行われる。また、反応はカ
ルボジイミドのような適切なカップリング剤とともに1-ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で行うことができる。カップリング反応はたとえばハロゲン化溶媒、たとえばメチレンクロリド、または双極性非プロトン性溶媒、たとえばN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミドまたは1-メチル-2-ピロリジノンのような不活性溶媒中で都合よく
行われる。好適にはカップリング反応は適切な塩基、たとえば有機アミン、たとえばジ-
イソプロピルエチルアミンまたは4-ジメチルアミノピリジンの存在下で行われる。カップリング反応は、好適には-25℃〜150℃、好都合には周囲温度で行われる。
【0139】
工程(l) 還元アミノ化手順を使用して、必要に応じていずれかの官能基が保護される
こと以外は、先に定義した式IVの化合物を式V’’:
【0140】
【化17】

【0141】
の化合物と反応させること。適切な反応条件は当業者に、および/または文献から明らか
であろう。
【0142】
工程(m) 式Iの化合物[式中、R3は炭素原子上でアミノ、(1〜6C)アルキルアミノ、ジ-(1〜6C)アルキルアミノまたはNR8(式中、R8は式Iに関連して定義したとおりである)を含有する飽和5もしくは6員複素環に置換された(2〜6C)アルキルである]のために、式XX:
【0143】
【化18】

【0144】
の化合物[式中、R3aはLg-(2〜6C)アルキルであり、ここでLgは置換可能な基であり、そ
してR1、R2、X1、R5、mおよびnは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は先に定義した意味のいずれかを有する]とアンモニアまたは適切な第一もしくは第二アミン、たとえばピロリジンを反応させることであって、その後存在するいずれかの保護基は慣用の手段により除去される。
【0145】
工程(m)の反応は不活性溶媒または希釈剤(たとえば工程(a)および(c)で記載した不活性溶媒または希釈剤、たとえばアセトニトリル、N,N-ジメチルアセタミド、メタノール、エタノールまたはメチレンクロリド)の存在下で都合よく行われる。反応は、ナトリウムヨ
ウジドまたはカリウムヨウジドのようなヨウ化物源の存在下、たとえば、10〜150℃(または溶媒の沸点)の範囲、好適には20〜90℃の範囲の温度において都合よく行われる。
【0146】
本発明の化合物の種々の環置換基のいくつかは、標準芳香族置換反応により導入されるか、または先に述べた工程の前、またはそれらのすぐ後のいずれかに、慣用の官能基改変により製造することができ、そしてそれ自体本発明の工程側面に包含されることは理解されるであろう。そのような反応および改変には、たとえば、芳香族置換反応の手段による置換基の導入、置換基の還元、置換基のアルキル化および置換基の酸化が挙げられる。そのような手順のための試薬および反応条件は化学技術分野で公知である。芳香族置換反応の具体的な例としては、濃硝酸を使用したニトロ基の導入、たとえばフリーデルクラフト条件下、アシルハライドおよびルイス酸(たとえばアルミニウムトリクロリド)を使用したアシル基の導入;フリーデルクラフト条件下、アルキルハライドおよびルイス酸(たとえ
ばアルミニウムトリクロリド)を使用したアルキル基の導入;およびハロゲノ基の導入が
挙げられる。
【0147】
当業者は、代わりの、およびある種の場合において、より都合のよい方法で本発明の化合物を得るために、先に述べた個々の工程段階は異なる順番で行ってもよく、および/ま
たは個々の反応は全体の経路の異なる段階で行ってもよい(すなわち、化学的変換は、先
の具体的な反応に関連した中間体にとっての異なる中間体に関して行うことができる)こ
とを理解するであろう。
【0148】
式Iのキナゾリン誘導体の薬剤的に受容できる塩、たとえば酸付加塩が必要な場合、たとえば、慣用の手順を使用して、上記キナゾリン誘導体と適切な酸との反応によりそれを得ることができる。製造中に化合物の単離を促進するために、化合物は薬剤的に受容できない塩である塩の形状で製造することができる。得られた塩は慣用の方法により改変し、化合物の薬剤的に受容できる塩を得ることができる。そのような方法としては、たとえば、薬剤的に受容できる対イオンの存在における、イオン交換法、または化合物の再沈殿が挙げられる。たとえば、塩酸付加塩を得るための、HClのような適切な酸の存在における
再沈殿である。
【0149】
上記の段落では、「不活性溶媒」という表現は、所望する生成物の収率に有害な影響を与える様式で、出発物質、試薬、中間体または生成物と反応しない溶媒を表す。
【0150】
出発物質の製造
式IIの化合物は市販されているか、または慣用の方法もしくは先行技術に記載された工程に類似のものを使用して製造することができる。とりわけ、先に記載したWO 96/15118
、WO 01/66099およびEP 566 226のような特許および特許出願。たとえば、式IIの化合物
は反応スキーム1に従って製造することができる:
【0151】
【化19】

【0152】
式中、R1、X1、R5、Lgおよびnは、先に定義されたとおりであり、そしてPgはヒドロキシ
保護基である。
【0153】
(i) 好適には、工程(j)で先に記載の条件と類似の条件下、酸、たとえば、ジエチルエーテルまたはジオキサン中の塩化水素ガス、または塩酸の存在下での、不活性プロトン性溶媒(たとえば、イソプロパノールのようなアルカノール)、非プロトン性溶媒(たとえば
ジオキサン)または双極性非プロトン性溶媒(たとえばN,N-ジメチルアセタミド)中の反応

【0154】
あるいは、反応は好都合には塩基、たとえば炭酸カリウムの存在下、上記の不活性溶媒の1種中で行うことができる。上記の反応は、たとえば10〜150℃までの範囲の温度、好適には反応溶媒の還流温度またはそれに近い温度で都合よく行われる。
【0155】
(ii) Pgの開裂は、そのような反応のための標準条件下で行うことができる。たとえば、Pgがアセチルのようなアルカノイル基である場合、それはメタノールアンモニア溶液の存在下で加熱により開裂することができる。
【0156】
式XIの化合物は公知であるか、または類似の化合物の製造のための公知の工程を使用して、製造することができる。市販されていない場合、式XIの化合物は標準的な化学的方法から選択された手順、公知の、構造的によく似た化合物の合成に類似の方法、または実施例に記載の手順に類似の方法により製造することができる。たとえば、標準的な化学的方法はHouben Weylに記載されたとおりである。例としては、R1-X1-がメトキシであり、Lg
がクロロであり、そしてPgはアセチルである式XIの化合物は、反応スキーム2に説明され
た工程を使用して製造することができる:
【0157】
【化20】

【0158】
反応スキーム2は当業者により一般化され、本明細書内の化合物(それらは特に説明されない)に適用する(たとえばキナゾリン環の7位においてメトキシ以外の置換基を導入する)ことができる。
【0159】
式IIIの化合物は市販されているか、または、たとえばUS 5,252,586およびWO 94/27965に説明されるような標準的な方法を使用して製造することができる。
式IVの化合物は式IIの化合物と式XVaまたはXVa:
【0160】
【化21】

【0161】
の化合物の反応により製造することができる
(式中、Lgは先に定義したような置換可能な基であり、Pgは適切な保護基である。たとえば、Lgはアルカンスルホニルオキシ基、たとえばメタンスルホニルオキシであってもよく、そしてPgはtert-ブチルカルボキシレートであってもよい)。
【0162】
式IIの化合物と式XVaの化合物の反応は、先の工程(a)に記載の条件と類似のものを使用して行い、その後標準条件下で保護基を除去することができる。たとえば、反応は適切な塩基として炭酸カリウム、適切な希釈剤としてN-メチルピロリジン、および約105℃の温
度で行うことができる。
【0163】
式IIの化合物と式XVbの化合物の反応は、先の工程(e)に記載のMitsunobu条件下で行い、その後標準条件下で保護基を除去することができる。
また、式IVの化合物は、式IXの化合物と式XVc:
【0164】
【化22】

【0165】
の化合物の反応により製造することができ、
式中、Lg、X1およびR1は先に記載のとおりであり、そしてPgは適切な保護基である。
式IXの化合物と式XVcの化合物の反応は、先の工程(j)に記載の条件下と類似のものを使用して行い、その後標準条件下で保護基を除去することができる。
【0166】
式VIの化合物は、たとえば反応スキーム1を使用して、製造された化合物から出発し、
先の工程(a)または工程(e)を使用して製造することができる。
式VIIの化合物は、工程(a)または工程(d)または工程(e)を使用して製造することができ、そこではたとえば、R1によって表された基はクロロまたはブロモのような、適切な置換可能な基Lgによって適切に官能化されている。
【0167】
式VIIIの化合物は、当該技術分野で公知の慣用の方法を使用して製造することができる。たとえば、反応スキーム1で先に記載した式XIの化合物におけるヒドロキシ保護基、Pg
は除去され、式XIII:
【0168】
【化23】

【0169】
の化合物を生じる。
保護基Pgは、慣用の技術を使用して式XIの化合物から除去することができる。
その後、式XIIIの化合物は、工程(a)または工程(e)に記載された条件と類似のものを使用して、先に定義した式IIIの化合物と結合させることができる。
【0170】
式XXの化合物は、たとえば、先の工程(a)、工程(c)または工程(k)を使用して製造する
ことができる。
式V、V’およびIXの化合物は市販されているか、または標準的な方法を使用して製造することができる。式V”の化合物は、たとえばSynthesis, 1993, 12, 1233 およびTetrahedron, 1992, 48, 5557に記載されたような標準的方法を使用して製造することができる。
【0171】
式X(mは1、2または3である)の化合物は、たとえば、塩基の存在下、先の工程(c)に記載された条件と類似のものを使用して、R1O2C(CH2)m-Lg(式中、LgおよびR1は先に定義した
とおりである)によりアルキル化し、その後エステルをカルボン酸に変換することにより(
たとえば、鹸化または酸性脱保護により)、式IVの化合物から製造することができる。
【0172】
あるいは、式X(mは1、2または3である)の化合物は、先の工程(e)に記載された条件と類似のものを使用して、R1O2C(CH2)m-OHによるMitsunobu反応、その後のエステルからカル
ボン酸への変換により(たとえば、鹸化または酸性脱保護により)、式IVの化合物から製造することができる。
【0173】
先の工程において利用された、ある種の新規中間体は、それらの製造のための工程と一緒に本発明の別の態様として提供される。
本発明の別の態様に従って、先に定義したような、式VI、VII、VIII、XおよびXXの化合物、またはその塩(薬剤的に受容できるその塩を包含する)が提供される。そのような化合物の例としては、6-{[1-(N-(2-クロロエチル)カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシキナゾリン、[4-({4-(3-クロロ-2-フルオ
ロアニリノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イル}オキシ)ピペリジン-1-イル]酢酸および[4-({4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イル}オキシ)ピペリジ
ン-1-イル]酢酸が挙げられる。
【0174】
生物学的アッセイ
化合物の阻害活性は、細胞を基礎にしない蛋白質チロシンキナーゼアッセイおよび細胞を基礎にした増殖アッセイにおいて評価し、その後、それらのin vivo活性は異種移植片
研究において評価した。
【0175】
a) 蛋白質チロシンキナーゼリン酸化アッセイ
この試験は、試験化合物がEGFRまたはErbB2チロシンキナーゼ酵素によるチロシン含有
ポリペプチド基質のリン酸化を阻止する能力を測定する。
【0176】
EGFR、erbB2およびerbB4(それぞれ、受託番号X00588、X03363およびL07868)の組換え体細胞内フラグメントをクローニングし、バキュロウイルス/Sf21系に発現させた。溶解産
物は、氷冷溶解バッファー(20mM N-2-ヒドロキシエチルピペリジン-N’-2-エタンスルホン酸(HEPES)pH7.5、150mM NaCl、10%グリセロール、1%Triton X-100、1.5mM MgCl2、1mM エチレングリコール-ビス(b-アミノエチルエーテル)N’,N’,N’,N’-四酢酸(EGTA)、とプロテアーゼ阻害剤により処理し、遠心分離にかけることにより調製した。
【0177】
組換え蛋白質の構成性キナーゼ活性は、合成ペプチド(6:3:1の比のグルタミン酸、アラニンおよびチロシンのランダムコポリマーから構成される)をリン酸化する能力により測
定した。具体的には、Maxisorb(登録商標)96ウェルイムノプレートを合成ペプチド(100mlリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、0.2mgのペプチド)でコートし、4℃で一晩インキュベートした。プレートは、室温で、PBS-T(0.5% Tween 20を含むリン酸緩衝生理食塩水)、続い
て50mM HEPES pH 7.4で洗浄し、結合していない過剰な合成ペプチドをすべて除去した
。EGFR、ErbB2またはErbB4チロシンキナーゼ活性は、100mM HEPES pH7.4、それぞれの
酵素のKm濃度のアデノシン三リン酸(ATP)、10mM MnCl2、0.1mM Na3VO4、0.2mM DL-ジ
チオスレイトール(DTT)、0.1% Triton X〜100中、22℃で20分間、ペプチドコートしたプレート中で、DMSO(最終濃度2.5%)中の試験化合物とのインキュベーションにより評価した。反応はアッセイの液体成分の除去、続いてPBS-Tによるプレートの洗浄により停止した

【0178】
固定化されたホスホペプチド反応生成物は免疫学的方法により検出した。初めに、プレートはマウスで作製した抗‐ホスホチロシン一次抗体(4G10、Upstate Biotechnology)と
共に室温で90分間インキュベートした。十分に洗浄後、プレートはホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)に結合したヒツジ抗‐マウス二次抗体(NXA931、Amersham)により、
室温で60分間処理した。さらに洗浄後、プレートのそれぞれのウェル中のHRP活性は、基
質として22’-アジノ-ジ-[3-エチルベンズチアゾリンスルホネート(6)]二アンモニウム塩結晶(ABTS(登録商標)、Roche)を使用して、比色分析した。
【0179】
発色および酵素活性の定量は、Molecular Devices ThermoMaxマイクロプレートリーダ
ー上で、450nmの吸光度を測定することにより行った。与えられた化合物のキナーゼ阻害
はIC50値として表した。これは、このアッセイにおいてリン酸化を50%阻害するために必
要な化合物の濃度の計算により求めた。リン酸化の範囲は正(ベヒクルプラスATP)および
負(ベヒクルマイナスATP)の対照値から計算した。
【0180】
b) EGFR作動KB細胞増殖アッセイ
このアッセイは、KB細胞(ヒト鼻咽頭癌、American Type Culture Collection(ATCC)か
ら入手)の増殖を阻止する試験化合物の能力を測定する。
【0181】
KB細胞(ヒト鼻咽頭癌、ATCCから入手)は、7.5% CO2空気インキュベーター中で、10%ウシ胎児血清、2mM グルタミンおよび非必須アミノ酸を含有するダルベッコ改変イーグル
培地(DMEM)中、37℃で培養した。細胞は、トリプシン/エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を
使用して、保存フラスコから採取した。細胞密度は血球計数器を使用して測定し、生存能はトリパンブルー溶液を使用して計算し、その後、37℃、7.5% CO2中、2.5% チャコー
ル処理した血清、1mM グルタミンおよび非必須アミノ酸を含有するDMEM中の96ウェルプ
レートのウェルごとに1.24X103細胞の密度で播種し、4時間放置した。
【0182】
プレートへの接着後、細胞をEGF(最終濃度1ng/ml)で、またはそれを含まずに、そして
ジメチルスルホキシド(DMSO)(最終濃度0.1%)中のある範囲の濃度の化合物で、または化合物を含まないDMSOで処理し、4日間インキュベートした。インキュベーション期間後、細
胞数は3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)(保存液5mg/ml)50μlを2時間添加することにより測定した。MTT溶液を捨て、プレートを丁寧にたたいて乾燥させ、細胞に100μlのDMSOを添加して溶解した。
【0183】
溶解した細胞の吸光度はMolecular Devices ThermoMaxマイクロプレートリーダーを使
用して540nmで読み取った。増殖の阻害は、IC50値として表した。これは、増殖を50%阻害するために必要な化合物の濃度の計算により求めた。増殖の範囲は正(ベヒクルプラスEGF)および負(ベヒクルマイナスEGF)の対照値から計算した。
【0184】
c) In vivo異種移植片アッセイ
(i) LOVO
このアッセイは、メスSwiss無胸腺マウス(Alderley Park、nu/nu遺伝子型)におけるLOVO腫瘍(大腸腺癌、ATCCから入手)の増殖を阻止する試験化合物の能力を測定する。
【0185】
メスSwiss無胸腺マウス(nu/nu遺伝子型)はAlderley Park中で、陰圧隔離室(PFI Systems Ltd.)において繁殖させ、維持した。マウスは12時間明暗周期を持つ障壁設備中で飼育
し、滅菌した食物および水を随意に提供した。すべての手順は少なくとも8週齢のマウス
に行った。LOVO腫瘍細胞(大腸腺癌、ATCCから入手)異種移植片は、マウス毎に無血清培地100μl中1x107の新たに培養した細胞を動物に皮下注射することにより後側腹部に定着さ
せた。移植5日後に、マウスを無作為に7群に分け、その後化合物またはベヒクル対照を1
日に1回0.1ml/10g体重で投与する処置を行った。腫瘍容積は、式(長さx幅)x√(長さx幅)x(π/6)(式中、長さは腫瘍を横切る最も長い直径であり、幅は対応する厚さである)を使用して、両側ノギス測定により週に2回評価した。研究開始からの増殖阻害は、対照および
処理群の腫瘍容積の平均変化の比較により計算し、2群間の統計的有意性は、Studentsのt検定を使用して評価した。
【0186】
(ii) In vivo BT-474異種移植片アッセイ
このアッセイは、メスSwiss無胸腺マウス(Alderley Park、nu/nu遺伝子型)においてBT-474腫瘍細胞異種移植片(ヒト乳癌、Dr Baselga, Laboratorio Recerca Oncologica, Paseo Vall D'Hebron 119〜129, Barcelona 08035,スペインから入手)(Baselga, J. et al. (1998) Cancer Research, 58, 2825〜2831)の増殖を阻止する、試験化合物の能力を測定する。
【0187】
メスSwiss無胸腺マウス(nu/nu遺伝子型)はAlderley Park中、陰圧隔離室(PFI Systems Ltd.)において繁殖させ、維持した。マウスは12時間明暗周期を持つ障壁設備中で飼育し
、滅菌した食物および水を随意に提供した。すべての手順は少なくとも8週齢のマウスに
行った。BT-474腫瘍細胞異種移植片は、マウス毎に無血清培地中1x107の新たに培養した
細胞を動物に皮下注射することにより後側腹部に定着させた。移植14日後に、マウスを無作為に10群に分け、その後化合物またはベヒクル対照を1日に1回0.1mL/kg体重で投与する処置を行った。腫瘍容積は、式(長さx幅)x√(長さx幅)x(π/6(式中、長さは腫瘍を横切る最も長い直径であり、幅は対応する厚さである)を使用して、両側ノギス測定により週に2回評価した。研究開始からの増殖阻害は、対照および処理群の腫瘍容積の平均変化の比較により計算し、2群間の統計的有意性は、Studentsのt検定を使用して評価した。
【0188】
d) hERGにコードされたカリウムチャンネル阻害アッセイ
このアッセイはヒトether-a-go-go関連遺伝子(hERG)にコードされたカリウムチャンネ
ルを通って流れる末端電流を阻止する試験化合物の能力を測定する。
【0189】
hERGにコードされたチャンネルを発現するヒト胚腎臓(HEK)細胞は、10%ウシ胎児血清(Labtech International;製品番号4-101-500)、10%M1無血清補足物(Egg Technologies;製品番号70916)および0.4mg/ml Geneticin G418(Sigma〜Aldrich;製品番号G7034)を補足した最少必須培地イーグル(EMEM; Sigma〜Aldrich catalogue number M2279)中で培養し
た。それぞれの実験の1または2日前に、細胞は標準組織培養法を使用して、アクターゼ(accutase) (TCS Biologicals)により組織培養フラスコから引き離した。それらは、12ウェルプレートのウェル中に置かれたカバーガラスに載せ、2mlの増殖培地で覆った。
【0190】
それぞれの細胞の記録のために、細胞を含有するカバーガラスは室温(〜20℃)で浴槽溶液(以下を参照されたい)を含有するPerspexチャンバーの底に置いた。このチャンバーは
倒立位相差顕微鏡のステージに固定した。カバーガラスをチャンバーに置いた後速やかに、浴槽溶液を、〜2ml/分の速度で2分間、重力利用貯留槽からチャンバーに潅流した。こ
の後、潅流は停止した。
【0191】
P-97マイクロピペットプラー(Sutter Instrument Co.)を利用してホウけい酸ガラスチ
ューブから作製したパッチピペット(GC120F, Harvard Apparatus)は、ピペット溶液(以下を参照されたい)で満たした。ピペットは、銀/塩化銀線を介して、パッチクランプ増幅器(Axopatch 200B、Axon Instruments)のヘッドステージに接続した。ヘッドステージグラ
ウンド(headstage ground)は接地電極に接続した。これは、0.85%塩化ナトリウムと共に作製した3%寒天中に埋め込まれた銀/塩化銀線から構成された。
【0192】
細胞は、パッチクランプ法の全細胞形において記録された。保持電位-80mV(増幅器により設定)で行われた「慣らし(break-in)」、ならびに直列抵抗の適切な調節およびキャパ
シタンスコントロールの後、電気生理学ソフトウェア(Clampex, Axon Instruments)を使
用して保持電位(−80mV)を設定し、電位プロトコールを送達した。このプロトコールは15秒毎に適用し、+40mVまで1s段階、その後−50mVまで1s段階で構成された。
【0193】
それぞれに課された電位プロトコールに対する電流反応は、1kHzで増幅器により低域をフィルターにかけた。このアナログ増幅器由来のアナログシグナルをデジタルコンバーターにデジタル化することにより、フィルターを通したシグナルがオンラインで得られた。デジタル化シグナルはコンピューターで作動するClampexソフトウェア(Axon Instruments)に取り込まれた。保持電位および+40mVへの行程中、電流は1kHzでサンプリングした。
サンプリング速度は電位プロトコールの残りの部分に対しては5kHzに設定された。
【0194】
浴槽およびピペット溶液の組成、pHおよび浸透圧を以下の表に示す。
【0195】
【表1】

【0196】
【表2】

【0197】
+40mV〜-50mVまでの段階に続くhEGFにコードされたカリウムチャンネル末端電流の振
幅はClampexソフトウェア(Axon Instruments)によりオンラインで記録した。末端電流振
幅の安定化後、試験物質のベヒクルを含有する浴槽溶液を細胞に注いだ。ベヒクル適用が末端電流振幅に対して有意な影響を与えない場合、化合物に対する累積濃度作用曲線を作成した。
【0198】
それぞれの濃度の試験化合物の作用は、試験化合物の指定の濃度の存在下における末端電流振幅を、ベヒクル存在下におけるそれの百分率として表すことにより定量した。
試験化合物の効力(IC50)は、標準データ‐近似パッケージを使用して、阻害百分率の値を近似させ、4パラメーターHill方程式に濃度‐作用を当てはめることにより定量した。
最高試験濃度においてみられた阻害レベルが50%を越えなかった場合、効力値は示されず
、その濃度における阻害百分率は見積もりであった。
【0199】
e) クローン24ホスホ‐erbB2細胞アッセイ
この免疫蛍光エンドポイントアッセイはMCF7(乳癌)由来細胞株において、erbB2のリン
酸化を阻害する試験化合物の能力を測定するものであって、その細胞株は標準法を使用して、全長erbB2遺伝子をMCF7細胞にトランスフェクトすることにより生み出し、全長野生
型erbB2型蛋白質を過剰発現する細胞株(以後、「クローン24」細胞)を得た、。
【0200】
クローン24細胞は、7.5%CO2空気インキュベーター中、37℃で、増殖培地(10%ウシ胎児
血清、2mM グルタミンおよび1.2mg/ml G418を含有する、無フェノールレッドダルベッ
コ改変イーグル培地(DMEM))中で培養した。細胞はPBS(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4、Gibco No.10010-015)中で1回洗浄することにより、T75保存フラスコから採取し、2mlのト
リプシン(1.25mg/ml)/エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(0.8mg/ml)溶液を使用して採取した。細胞は増殖培地に再懸濁した。細胞密度は血球計数器を使用して測定し、生存能はトリパンブルー溶液を使用して計算し、その後増殖培地でさらに希釈し、底が透明な96ウェルプレート(Packard、No. 6005182)に、ウェル(100μl)ごとに1x104細胞の密度で播種した

【0201】
3日後、ウェルから増殖培地を除去し、erbB2阻害剤化合物を含む100μlアッセイ培地 (無フェノールレッドDMEM、2mM グルタミン、1.2mg/ml G418)、または該化合物を含まない同じ培地で置換した。プレートはインキュベーターに4時間戻し、その後PBS中、20%ホ
ルムアルデヒド溶液20μlをそれぞれのウェルに添加し、プレートは室温に30分間放置し
た。この固定液はマルチチャンネルピペットで除去し、100μlのPBSをそれぞれのウェル
に添加し、その後マルチチャンネルピペットで除去し、50μlのPBSをそれぞれのウェルに添加した。その後プレートを密閉し、4℃で2週間まで保存した。
【0202】
免疫染色は室温で行った。ウェルはプレート洗浄器を使用して、200μl PBS/Tween20 (PBS/Tween乾燥粉末(Sigma, No. P3563)1袋(sache)を2回蒸留H2O1Lに添加することによ
り作製)で1回洗浄し、200μlブロッキング溶液(PBS/Tween 20中5% Marvel乾燥スキムミ
ルク(Nestle))を添加して10分間インキュベートした。ブロッキング溶液はプレート洗浄
器を使用して除去し、0.5% Triton X〜100/PBS 200μlを添加して細胞を透過性にした
。10分間後、プレートを200μl PBS/Tween20で洗浄し、200μlブロッキング溶液をもう
一度添加し、15分間インキュベートした。プレート洗浄器によりブロッキング溶液を除去後、ブロッキング溶液で1:250に希釈した、30μlのウサギポリクローナル抗‐ホスホErbB2 IgG抗体(エピトープホスホ-Tyr 1248、SantaCruz, No. SC-12352-R)をそれぞれのウェルに添加し、2時間インキュベートした。その後、この一次抗体溶液はプレート洗浄器を
使用してウェルから除去し、プレート洗浄器を使用して200μl PBS/Tween20で2回洗浄した。次に、ブロッキング溶液で1:750に希釈した、Alexa〜Fluor 488 ヤギ抗-ウサギIgG二次抗体(Molecular Probes、No. A〜11008)をそれぞれのウェルに添加した。この後、可能な場合、プレートは黒い裏張りテープで密封することにより、この段階で光暴露から保護した。プレートは45分間インキュベートし、その後二次抗体溶液をウェルから除去し、プレート洗浄器を使用して、200μl PBS/Tween20で2回洗浄した。その後100μlPBS溶液を
それぞれのウェルに添加し、10分間インキュベートし、プレート洗浄器を使用して除去した。さらに、100μlPBS溶液をそれぞれのウェルに添加し、インキュベートせずに、プレ
ート洗浄器を使用して除去した。その後50μlPBS溶液をそれぞれのウェルに添加し、プレートは黒い裏張りテープで再密封し、分析まで、4℃で2日間まで保存した。
【0203】
それぞれのウェルの蛍光シグナルは、レーザースキャンニングにより発生した画像の特徴を迅速に定量するために使用することができるプレートリーダーである、Acumen Explorer Instrument(Acumen Bioscience Ltd.)を使用して測定した。装置は、前設定した閾値以上の蛍光対象物の数を測定するように設定し、これはerbB2蛋白質のリン酸化状態の尺
度を提供した。それぞれの化合物により得た蛍光用量反応データは適切なソフトウェアパッケージ(たとえばOrigin)に移し、曲線近似解析を行った。erbB2リン酸化の阻害はIC50
値として表した。これはerbB2リン酸化シグナルを50%阻害するために必要な化合物の濃度
の計算により決定した。
【0204】
式Iの化合物の薬理学的性質は予想されるように、構造変化と共に変化し、一般に式Iの化合物が有する活性は、1以上の先の試験における、以下の濃度、または用量で示すこ
とができる:
試験(a):−たとえば0.001〜10μMの範囲におけるIC50
試験(b):−たとえば0.001〜10μMの範囲におけるIC50
試験(e):−たとえば0.001〜10μMの範囲におけるIC50
試験(c):−たとえば1〜200mg/kg/日の範囲におけるIC50
【0205】
例としては、表Aは本発明に記載の代表的な化合物の活性を説明する。表A、列2は、EGFRチロシンキナーゼ蛋白質リン酸化の阻害に関する試験(a)のIC50データを示す;列3は、erbB2チロシンキナーゼ蛋白質リン酸化の阻害に関する試験(a)のIC50データを示す;列4は、先に記載の試験(b)のKB細胞の増殖阻害のIC50データを示す;そして列5は、先に記載の試験(e)のMCF7由来細胞株のerbB2リン酸化阻害のIC50データを示す;:
【0206】
【表3】

【0207】
本発明の別の側面に従って、先に定義した式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩と一緒に薬剤的に受容できる希釈剤またはキャリアを含有する医薬組成物を提供する。
【0208】
本発明の組成物は、経口用途(たとえば、錠剤、トローチ剤、硬もしくは軟カプセル剤
、水性もしくは油性懸濁剤、乳剤、分散性粉末剤もしくは顆粒剤、シロップ剤またはエリキシル剤として)、局所用途(たとえば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、または水性もしくは油性溶液もしくは懸濁剤として)、吸入による投与(たとえば、微細に分割した粉末剤または液体エアゾールとして)、通気による投与(たとえば、微細に分割された粉末剤として)または非経口投与(たとえば、静脈内、皮下、筋肉内もしくは筋肉内投与のための滅菌水性もしくは油性溶液として、または直腸内投与のための坐剤として)に適切な形状であっ
てもよい。
【0209】
本発明の組成物は、当該技術分野で公知の、慣用の薬剤的添加物を使用して、慣用の手順により得ることができる。したがって、経口用途を意図した組成物は、たとえば、1以
上の着色剤、甘味剤、香味剤および/または保存剤を含有してもよい。
【0210】
単一剤形を産生するために1以上の添加剤と合わせた活性成分の量は、治療される受容
者および具体的な投与経路に依存して必然的に変化することになる。たとえば、ヒトへの経口投与を意図した製剤は、一般に、たとえば全組成物の重量で約5〜約98パーセントま
で変化してもよい、適切で都合のよい添加剤の量と一緒に調合した0.5mg〜0.5gの活性物
質(より好適には0.5〜100mg、たとえば1〜30mg)を含有することになる。
【0211】
式Iの化合物の治療または予防目的のための投与量のサイズは、公知の薬物の原則に従って、状態の性質および重症度、動物または患者の年齢および性、ならびに投与経路に従って当然変化することになる。
【0212】
治療または予防目的のために式Iの化合物を使用する場合、それは一般に、たとえば分割投与量が必要な場合、0.1mg/kg〜75mg/kg体重の範囲で1日投与量が受け取れるように投与されることになる。一般に、非経口経路が使用される場合、より低い投与量が投与されることになる。したがって、たとえば、静脈内投与には一般に、たとえば0.1mg/kg〜30mg/kg体重の範囲の投与量が使用されることになる。同様に、吸入による投与のためには、
たとえば0.05mg/kg〜25mg/kg体重の範囲の投与量が使用されることになる。しかし、とりわけ錠剤形における経口投与が好ましい。典型的には、単位剤形は約0.5mg〜0.5gの本発
明の化合物を含有することになる。
【0213】
本発明者らは、本発明の組成物が、それらのerbBファミリー受容体チロシンキナーゼ阻害活性、とりわけ混合したerbB2/EGF特性から生じると考えられている、抗癌性のような
、抗増殖性を有することを見出している。
【0214】
したがって、本発明の化合物はerbB受容体チロシンキナーゼ阻害作用によってだけ、またはそれに部分的に媒介される疾患または医学的状態の治療に有用であることが予想される:すなわち、そのような治療(処置)が必要な温血動物において、該化合物を使用してerbB受容体チロシンキナーゼ阻害作用を示すことができる。したがって、本発明の化合物は1以上のerbB受容体チロシンキナーゼファミリーの阻害によって特徴付けられる悪性細
胞処置のための方法を提供する。とりわけ、本発明の化合物を使用してerbB受容体チロシンキナーゼの阻害によってだけ、またはそれに部分的に媒介される、抗増殖および/また
はプロアポトーシスおよび/または抗浸潤作用を示すことができる。とりわけ、本発明の
化合物は、1以上のerbB受容体チロシンキナーゼの阻害に感受性のある腫瘍の予防または
治療に有用であることが予想され、そのようなキナーゼはこれらの腫瘍細胞を増殖させ、生存させるシグナル伝達段階に関与する。したがって、本発明の化合物は、抗増殖作用を提供することにより、乾癬、良性前立腺肥大症(BPH)、アテローム性動脈硬化症および再
狭窄および/または癌の治療、とりわけerbB受容体チロシンキナーゼ感受性癌の治療に有
用であることが予想される。そのような良性または悪性腫瘍は、いずれかの組織に影響を与え、白血病、多発性骨髄腫またはリンパ腫のような非固形腫瘍、さらに固形腫瘍、たとえば胆管、骨、膀胱、脳/CNS、乳房、大腸、子宮内膜、胃、頭頸部、肝臓、肺、神経、食道、卵巣、すい臓、前立腺、腎臓、皮膚、精巣、甲状腺、子宮および外陰部癌を包含する。
【0215】
本発明のこの側面に従って、医薬品としての使用のために式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩が提供される。
本発明の別の側面に従って、ヒトのような温血動物における抗増殖作用の提示に使用するために式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩が提供される。
【0216】
したがって、本発明のこの側面に従って、ヒトのような温血動物における抗増殖作用の
提示に使用するための医薬品の製造において、先に定義した、式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩の使用が提供される。
【0217】
本発明のこの側面の別の態様に従って、ヒトのような温血動物における抗増殖作用の提示のための方法が提供され、該方法は有効量の、先に定義した、式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩を上記動物に投与することを包含する。
【0218】
本発明の別の側面に従って、腫瘍細胞を増殖させるシグナル伝達段階に関与するerbB受容体チロシンキナーゼ、たとえばEGFRおよびerbB2の組み合わせの阻害に感受性のある腫
瘍の予防または治療に使用するための医薬品の製造における、先に定義した、式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩の使用が提供される。
【0219】
本発明のこの側面の別の態様に従って、1以上のerbB受容体チロシンキナーゼファミリ
ー、たとえばEGFRおよびerbB2の組み合わせの阻害に感受性のある腫瘍の予防または治療
の方法が提供され、そのようなキナーゼは腫瘍細胞を増殖させ、生存させるシグナル伝達段階に関与し、そして該方法は有効量の、先に定義した、式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩を上記動物に投与することを包含する。
【0220】
本発明のこの側面の別の態様に従って、erbB2受容体チロシンキナーゼ、たとえばEGFR
およびerbB2の組み合わせの阻害に感受性のある腫瘍の予防または治療に使用するための
、式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩の使用が提供され、そのようなキナーゼは腫瘍細胞を増殖させるシグナル伝達段階に関与する。
【0221】
本発明の別の側面に従って、組み合わせたEGFRおよびerbB2受容体チロシンキナーゼ阻
害作用を提供することにおける使用のための医薬品の製造における、先に定義した、式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩の使用が提供される。
【0222】
本発明のこの側面の別の態様に従って、組み合わせたEGFRおよびerbB2受容体チロシン
キナーゼ阻害作用を提供するための方法が提供され、該方法は、有効量の先に定義した、式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩を上記動物に投与することを包含する。
【0223】
本発明のこの側面の別の態様に従って、組み合わせたEGFRおよびerbB2受容体チロシン
キナーゼ阻害作用を提供することにおける使用のための、式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩が提供される。
【0224】
本発明の別の側面に従って、癌(たとえば、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、胆管、
骨、膀胱、脳/CNS、乳房、大腸、子宮内膜、胃、頭頸部、肝臓、肺、神経、食道、卵巣、すい臓、前立腺、腎臓、皮膚、精巣、甲状腺、子宮および外陰部癌から選択される癌)の
治療における使用のための医薬品の製造における、先に定義した式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩の使用が提供される。
【0225】
本発明のこの側面の別の態様に従って、癌(たとえば、白血病、多発性骨髄腫、リン
パ腫、胆管、骨、膀胱、脳/CNS、乳房、大腸、子宮内膜、胃、頭頸部、肝臓、肺、神経、食道、卵巣、すい臓、前立腺、腎臓、皮膚、精巣、甲状腺、子宮および外陰部癌から選択される癌)の治療が必要な、ヒトのような温血動物におけるそのような処理の方法が提供
され、該方法は、有効量の先に定義した、式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩を上記動物に投与することを包含する。
【0226】
本発明の別の側面に従って、癌(たとえば、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、胆管、
骨、膀胱、脳/CNS、乳房、大腸、子宮内膜、胃、頭頸部、肝臓、肺、神経、食道、卵巣、すい臓、前立腺、腎臓、皮膚、精巣、甲状腺、子宮および外陰部癌から選択される)の治
療における使用のための、式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩が提供される。
【0227】
先に述べたように、特定の疾患の治療的、または予防的治療に必要とされる投与量のサイズは必然的に、とりわけ、治療される受容者、投与経路および治療されることになる疾病の重症度に依存して変化することになる。
【0228】
先に定義した抗増殖処置は単独の治療法として適用してもよく、あるいは、本発明のキナゾリン誘導体に加え、慣用の外科手術または放射線療法もしくは化学療法を包含してもよい。そのような化学療法は1以上の以下のカテゴリーの抗腫瘍剤を包含してもよい:
(i) 医療腫瘍学に使用される、抗増殖/抗新生物薬およびその組み合わせ、たとえば、アルキル化剤(たとえば、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイト
ロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンおよびニトロソウレア);代謝拮抗物質(たとえば、抗葉酸剤、たとえば5-フルオロウラシルおよびテガフルのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキセート、シトシンアラビノシドおよびヒドロキシウレア);抗腫瘍抗生物質(たとえばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトマイシン-C、ダクチノマイシンおよびミトラマイシンのようなアントラサイクリン);抗有糸分裂薬(たとえば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンのようなビンカアルカロイド、ならびにタキソールおよびタキソテールのようなタキソイド);および
トポイソメラーゼ阻害剤(たとえばエトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロ
トキシン、、アムサクリン、トポテカンおよびカンプトテシン);
(ii) 細胞分裂抑制剤、たとえば抗エストロゲン(たとえば、タモキシフェン、トレミ
フェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンおよびヨードキシフェン)、エストロゲン受
容体ダウンレギュレーター(たとえばフルベストラント)、抗アンドロゲン(たとえば、ビ
カルタミド、フルタミド、ニルタミドおよびシプロテノンアセテート)、LHRHアンタゴニ
ストまたはLHRHアゴニスト(たとえばゴセレリン、ロイプロレリンおよびブセレリン)、プロゲストゲン(たとえばメゲストロールアセテート)、アロマターゼ阻害剤(たとえば、ア
ナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールおよびエキセメスタン)およびフィナステリ
ドのような5α-レダクターゼ阻害剤;
(iii) 癌細胞浸潤を阻止する物質(たとえば、マリマスタートのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤、およびウロキナーゼプラスミノーゲン活性化剤受容体機能の阻害剤);
(iv) 成長因子機能の阻害剤、たとえばそのような阻害剤には、成長因子抗体、成長因子受容体抗体(たとえば、抗‐erbb2抗体トラスツズマブ[Herceptin(登録商標)]および
抗‐erbb1抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシ
ンキナーゼ阻害剤およびセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、たとえば上皮成長因子ファ
ミリーの別の阻害剤(たとえばEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、たとえば
N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-アミン(ゲフィニチブ、AZD1839)、N-(3-エチルフェニル)-6-7-ビス(2-メトキシエトキ
シ)キナゾリン-4-アミン(エルロチニブ、OSI-774)および6-アクリルアミド-N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-アミン(CI 1033))、た
とえば、血小板由来成長因子ファミリーの阻害剤および、たとえば、肝細胞成長因子の阻害剤;
(v) 抗血管新生薬、たとえば血管内皮増殖因子の作用を阻止するもの、(たとえば、抗血管内皮増殖因子抗体ベバシズマブ[Avastin(登録商標)]、国際特許出願WO 97/22596、WO 97/30035、WO 97/32856およびWO 98/13354に開示されたような化合物および別の機序
で作用する化合物(たとえば、リノミド、インテグリンαvβ3機能の阻害剤およびアンギ
オスタチン));
(vi) 血管障害薬、たとえばコンブレタスタチンA4および国際特許出願WO 99/02166、WO00/40529、WO00/41669、WO01/92224、WO02/04434およびWO02/08213に開示された化合物

(vii) アンチセンス治療薬、たとえば抗‐rasアンチセンス、ISIS2503のような、先に記載の標的を指向するもの;
(viii) 遺伝子治療法、たとえばp53または異常なBRCA1もしくはBRCA2のような異常な
遺伝子を取り替える方法、GDEPT(遺伝子‐指向酵素プロドラッグ治療)、たとえばシトシ
ンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌ニトロレダクターゼ酵素を使用したもの、および化学療法または放射線療法に対する患者の耐性を増大させる方法、たとえば多剤耐性遺伝子治療;および
(ix) 免疫治療法、たとえば、インターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球‐マクロファージコロニー刺激因子のようなサイトカインによるトランスフェクションのような、患者腫瘍細胞の免疫原性を高めるためのex-vivoおよびin-vivo法、T-細胞アネルギーを減少させる方法、サイトカイン‐トランスフェクト樹状細胞のようなトランスフェクト免疫細胞を使用した方法、サイトカイン‐トランスフェクト腫瘍細胞株を使用した方法、および抗‐イデオタイプ抗体を使用した方法。
【0229】
そのようなコジョイント処置は、処置の個々の成分の同時、連続または別々の投与により行うことができる。そのような組み合わせ製品は、先に記載の投与量範囲内の本発明の化合物および、認可された投与量範囲内の薬剤的に活性な別の物質を使用する。
【0230】
本発明のこの側面に従って、先に記載の式Iのキナゾリン誘導体、および癌のコジョイント処置のための先に記載の付加的な抗腫瘍薬を含有する薬剤的製品が提供される。
式Iの化合物は温血動物(ヒトを含む)における使用のための治療薬として主に有用性があるが、それらはまた、erbB受容体チロシン蛋白質キナーゼの作用を阻止することが必要な場合はいつでも有用である。したがって、それらは新規生物学的試験の開発および新規薬理学的物質の探索における使用のための薬理学的標準として有用である。
【0231】
本発明はここで以下の限定的でない実施例によって説明されることになり、実施例では特記しない限り:
(i) 温度はセ氏(℃)で示す;操作は室温または周囲温度、すなわち18〜25℃の範囲で行
う;
(ii) 有機溶液は無水硫酸マグネシウムで乾燥させ;溶媒の留去は60℃までの浴槽温度で、減圧(600〜4000パスカル;4.5〜30mmHg)下、ロータリーエバポレーターを使用して行う;
(iii) クロマトグラフィーはシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを意味し;薄
層クロマトグラフィー(TLC)はシリカゲルプレートで行う;
(iv) 一般に、反応の経過はTLCおよび/または分析用LCMSで追跡し、そして反応時間は説明のためだけに示した;
(v) 最終生成物は納得のゆくプロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルおよび/またはマスス
ペクトルデータを示した;
(vi) 収率は説明のためだけに示し、必ずしも念入りな工程の展開によって得ることができるものではなく;より多くの物質が必要な場合は製造を反復した;
(vii) 与えられた場合、特記しない限り、NMRデータは主要な分析用プロトンのデルタ値の形状であり、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に比較したppmで示され、特記しない限り、溶媒として過重水素ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)を使用して400MHzで測
定し;以下の略語:s:一重項;d:二重項;t:三重項;q:四重項;m:多重項;b:ブロードが使用されている;
(viii) 化学記号はそれらの通常の意味を有し;SI単位および記号が使用される;
(ix) 溶媒比は、体積/体積(v/v)で示される;
(x)マススペクトル(MS)は直接暴露プローブを使用して、化学イオン化(CI)モードにおい
て70電子ボルトの電子エネルギーで作動し;イオン化はエレクトロスプレイによって行い;m/z値が示され;一般に、親質量を示すイオンだけが報告され;そして特記しない限り
、見積もられた質量イオンは(MH)+である

(xi) 特記しない限り、非対称的に置換された炭素および/または硫黄原子を含有する化
合物は分析していない;
(xii) 合成が以前の実施例で記載されたものに類似であると記載される場合、使用され
る量は以前の実施例で使用されたミリモル比に等価なものである;
(xiii) 以下の略語が使用されている:
DCM ジクロロメタン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド;
DMA N,N-ジメチルアセタミド;
THF テトラヒドロフラン;
(xiv) 合成が酸付加塩(たとえば、HCl塩)を導くと記載される場合、塩の具体的な化学
量論は確かめなかった;
(xv) 実施例1〜12では、特記しない限り、すべてのNMRデータは遊離塩基物質で報告され、単離された塩は遊離塩基型に変換してから性状解析を行った。
【0232】
実施例1
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)
ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリンの製造
2-クロロ-N-メチルアセタミド(32mg、0.3mmol)は、アセトニトリル(5ml)中の4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-[(ピペリジン-4-イル)オキシ]キナゾリン(120mg
、0.3mmol)、ヨウ化カリウム(16mg、0.1mmol)、および炭酸カリウム(50mg、0.36mmol)の
混合物に滴下して加えた。混合物は1時間加熱還流した。溶媒を真空下で留去後、残渣を
ジクロロメタンに溶解した。有機溶液は水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。真空下で溶媒を留去後、残渣はシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:
ジクロロメタン中1%〜2% 7N メタノールアンモニア)により精製し、白色固体として標
題化合物(85mg、60%)を得た。
【0233】
1H NMRスペクトル:(CDCl3) 1.98 (m, 2H), 2.08 (m, 2H), 2.46 (m, 2H), 2.85 (m, 2H), 2.87 (d, 3H), 3.07 (s, 2H), 4.02 (s, 3H), 4.49 (m, 1H), 7.16 (m, 4H), 7.31 (m, 2H), 8.49 (m, 1H), 8.71 (s, 1H); マススペクトル: MH+ 474
【0234】
出発物質として使用した4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-[(ピペリジ
ン-4-イル)オキシ]キナゾリンは、以下のように製造した:
段階1
6-アセトキシ-4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシキナゾリン塩酸塩
6-アセトキシ-4-クロロ-7-メトキシキナゾリン(WO01/66099の実施例25-5に記載のよう
に製造、6.00 g、23.8 mmol) および3-クロロ-2-フルオロアニリン(3.46 g、23.8 mmol)
はイソプロパノール(200ml)に懸濁した。混合物は3時間、80℃に加熱還流した。溶媒は留去し;残渣はアセトニトリルから結晶化し、薄桃色結晶性固体として生成物塩酸塩を得た(8.16 g、92%)。
【0235】
1H NMR::2.37 (s, 3H), 4.00 (s, 3H), 7.34 (ddd, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.52 (ddd, 1H), 7.61 (ddd, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.86 (s, 1H);マススペクトル:362.4, 364.4。
【0236】
段階2
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-ヒドロキシ-7-メトキシキナゾリン
段階1由来の6-アセトキシ-4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシキナゾリン塩酸塩(8.72 g、21.9 mmol)はメタノール(200ml)に溶解した。濃縮水性アンモニア(15ml)を添加し、溶液は撹拌しながら2時間、50℃に加熱し、クリーム色の固体を沈殿させた。固
体はろ過により集め、ジエチルエーテル(3x200ml)で洗浄し、真空下、60℃で、ジホスホ
ラスペントオキシドで乾燥させ、灰色がかった白色固体として生成物(5.40 g、77%)を得
た;
1H NMR:3.95 (s, 3H), 7.19 (s, 1H), 7.23 (dd, 1H), 7.42 (dd, 1H), 7.50 (dd, 1H), 7.64 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 9.43 (s, 1H), 9.67 (br.s, 1H);マススペクトル:320.4, 322.4。
【0237】
段階3
6-{[(1-tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-4-(3-クロロ-2-フルオ
ロアニリノ) -7-メトキシキナゾリン
段階2由来の4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-ヒドロキシ-7-メトキシキナゾリン(1870mg、5.85 mmol)はDMA(50ml)に溶解した。tert-ブチル(4-メタンスルホニルオキシ)ピ
ペリジン-1-カルボキシレート(Chemical & Pharmaceutical Bulletin 2001, 49(7), 822
〜829に記載のように製造;490 mg、1.76 mmol)およびセシウムフルオリド(890 mg、5.85
mmol)を添加し、混合物は撹拌しながら85℃で加熱した。2時間、4時間および6時間の間
隔で、tert-ブチル4-メタンスルホニルオキシピペリジン-1-カルボキシレートおよびセシウムフルオリドを上記の量で反応混合物に添加した。最後の添加後、85℃でさらに6時間
、加熱を続けた。溶媒を留去し、残渣はDCM(150ml)とH2O(150ml)間に分配した。水相はDCM(4x100ml)で抽出し、抽出物はDCM層と合わせた。合わせたDCM画分はMgSO4で乾燥し、留
去した。残渣は、DCM中0〜2.5%(7:1 MeOH /濃縮水性 NH4OH)で溶出するクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、留去し、明茶色泡状物として生成物(2.40g、58%、
残存するDMAの2.3当量を考慮する)を得た;
1H NMR:1.40 (s, 9H), 1.60〜1.65 (m, 2H), 1.95〜2.00 (m, 2H), 3.20〜3.25 (m, 2H), 3.65〜3.70 (m, 2H), 3.92 (s, 3H), 4.68 (m, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.27 (dd, 1H),
7.47 (ddd, 1H), 7.51 (dd, 1H), 7.85 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 9.53 (s, 1H);マススペクトル: 503.5, 505.5。
【0238】
段階4
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ) -7-メトキシ-6-[(ピペリジン-4-イル)オキシ]キナ
ゾリン
段階3由来の6-{[(1-tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-4-(3-クロ
ロ-2-フルオロアニリノ) -7-メトキシキナゾリン(350mg、0.70 mmol)はトリフルオロ酢酸(5ml)に溶解し、溶液は2時間放置した。過剰なトリフルオロ酢酸は留去し、残渣はDCMと2回共沸させた。残渣は、DCM中0〜4%(7:1 MeOH /濃縮水性 NH4OH)で溶出するクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を留去し、灰色がかった白色固体として生成物(270mg、96%)を得た;
1H NMR:1.53〜1.64 (m, 2H), 2.00〜2.05 (m, 2H), 2.64〜2.72 (m, 2H), 3.00〜3.07
(m, 2H), 3.92 (s, 3H), 4.60 (m, 1H), 7.20 (s, 1H), 7.26 (ddd, 1H), 7.47 (dd, 1H), 7.50 (dd, 1H), 7.82 (s, 1H), 8.34 (s, 1H), 9.56 (s, 1H);マススペクトル:403.2, 405.2。
【0239】
実施例2
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイル)ピペリ
ジン-4-イル]オキシ}キナゾリンの製造
メチルイソシアネート(20.4μl、0.33mmol)は、室温で、ジクロロメタン(5ml)中の4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-[(ピペリジン-4-イル)オキシ]キナゾリン(120mg、0.3mmol)の混合物に滴下して加えた。混合物は室温で4時間撹拌した。溶媒を真空
下で留去後、残渣はシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン中2% 7N
メタノールアンモニア)により精製し、白色固体として標題化合物(100mg、72%)を得た

【0240】
1H NMR スペクトル:(CDCl3) 1.98 (m, 2H), 2.08 (m, 2H), 2.83 (d, 3H), 3.32 (m, 2H), 3.72 (m, 2H), 4.01 (s, 3H), 4.48 (m, 1H), 4.64 (m, 1H), 7.16 (m, 2H), 7.23 (s, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.38 (br s, 1H), 8.44 (m, 1H), 8.70 (s, 1H);マススペクトル: MH+ 460。
【0241】
実施例3
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-(2-ピロリジン-1-イルエチル)カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリンの製造
ジメチルアセタミド(3ml)中の、6-{[1-(N-(2-クロロエチル)カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ) -7-メトキシキナゾリン(204mg、0.4mmol)、ピロリジン(0.14 ml、1.6 mmol)およびヨウ化カリウム(134mg、0.8mmol)の混合物
は、80℃で4時間加熱した。冷却し、溶媒を真空下で留去後、残渣を水、ジクロロメタン
で分配し、ジクロロメタンで抽出した。有機層は水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。真空下で溶媒を留去後、残渣はシリカゲルのクロマトグラフィー(
溶離液:ジクロロメタン中3%〜4% 7N メタノールアンモニア)により精製し、白色固体
として標題化合物(77mg、36%)を得た。
【0242】
1H NMR スペクトル:(CDCl3) 1.78 (m, 4H), 1.93 (m, 2H), 2.04 (m, 2H), 2.53 (m, 4H), 2.62 (t, 2H), 3.33 (m, 4H), 3.75 (m, 2H), 4.01 (s, 3H), 4.64 (m, 1H), 5.27 (m, 1H), 7.16 (m, 2H), 7.22 (s, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.36 (br s, 1H), 8.45 (m, 1H), 8.70 (s, 1H);マススペクトル:MH+ 543。
【0243】
出発物質として使用した6-{[1-(N-(2-クロロエチル)カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ) -7-メトキシキナゾリンは、実施例2と同様に、4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-[(ピペリジン-4-イル)オキシ]キナゾリン(160mg、0.4mmol)と2-クロロエチルイソシアネート(34μl、0.4mmol)の反応によって製造した。収率:200mg、100%。マススペクトル:MH+ 508, 510。
【0244】
実施例4
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-(モルホリノ-4-イルカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリンの製造
ジクロロメタン(5ml)中の4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-[(ピペリジン-4-イル)オキシ]キナゾリン(120mg、0.3mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(63μl、0.36mmol)の氷冷混合物に4-モルホリノカルボニルクロリド(35ml、0.3 mmol)を滴下して加えた。添加終了時に、混合物を室温で18時間撹拌した。混合物はジクロロメタンで希釈し、水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。真空下で溶媒を留去後、残渣はシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン中1%〜2% 7N メ
タノールアンモニア)により精製し、白色固体として標題化合物(100mg、64%)を得た。
【0245】
1H NMRスペクトル:(CDCl3) 1.93 (m, 2H), 2.05 (m, 2H), 3.20 (m, 2H), 3.29 (m, 4H), 3.62 (m, 2H), 3.70 (m, 4H), 4.01 (s, 3H), 4.64 (m, 1H), 7.16 (m, 2H), 7.20 (s, 1H), 7.31 (m, 2H), 8.49 (m, 1H), 8.71 (s, 1H);マススペクトル:MH+ 516。
【0246】
実施例5
4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリンの製造
2-クロロ-N-メチルアセタミド(51mg、0.47mmol)は、ジメチルアセタミド(5ml)中の4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-[(ピペリジン-4-イル)オキシ]キナゾリン(200mg、0.47mol)、ヨウ化カリウム(79mg、0.47mmol)、および炭酸カリウム(79mg、0.57mmol)の混合物に滴下して加えた。混合物は1時間、70℃に加熱還流した。冷却し、固体
をろ過後、2g/lギ酸アンモニウムを含有する、水とアセトニトリルの混合物(グラジエン
ト)で溶出する、プレパラティブHPLC-MSシステムのHPLCカラム(C18,、5ミクロン、直径19
mm、長さ100mm)でろ液を精製し、白色固体として標題化合物(55mg、24%)を得た。
【0247】
1H NMRスペクトル:(CDCl3) 1.98 (m, 2H), 2.07 (m, 2H), 2.44 (m, 2H), 2.86 (m, 2H), 2.87 (d, 3H), 3.06 (s, 2H), 4.01 (s, 3H), 4.48 (m, 1H), 7.07 (m, 1H), 7.15 (m, 1H), 7.20 (s, 1H), 7.30 (m, 2H), 8.32 (m, 1H), 8.66 (s, 1H);マススペクトル:MH+ 492。
【0248】
出発物質として使用した4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-[(ピペ
リジン-4-イル)オキシ]キナゾリンは、以下の様に製造した:
イソプロパノール(2ml)中の3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリン(1.7g、10.1mmol)および5N 塩化水素は、イソプロパノール(50ml)中のtert-ブチル4-[(4-クロロ-7-メトキシキナゾリン-6-イル)オキシ]ピペラジン-1-カルボキシレート(4g、10.1mmol、PCT Int. Appl. WO2003082831、AstraZeneca)の懸濁液に添加した。混合物は80℃で3時間撹拌した。溶媒
を留去後、残渣はシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン中5〜10% 7N メタノールアンモニア)により精製し、白色固体として4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-[(ピペリジン-4-イル)オキシ]キナゾリン(3.63g、85%)を得た。
【0249】
1H NMRスペクトル:(CDCl3 + CD3CO2D): 2.15 (m, 2H), 2.30 (m, 2H), 3.34 (m, 2H),
3.47 (m, 2H), 4.01 (s, 3H), 4.91 (m, 1H), 7.03 (m, 1H), 7.58 (m, 2H), 7.90 (s, 1H), 8.55 (s, 1H);マススペクトル:MH+ 421。
【0250】
実施例6〜10
ジクロロメタン(5ml)中の[4-({4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イル}オキシ]ピペリジン-1-イル)酢酸二塩酸塩(212mg、0.4mmol)、1-ヒドロキシベ
ンゾトリアゾール(66mg、0.48mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.14ml、0.8mmol)、
適切なアミン(0.48mmol)および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド
塩酸塩(92mg、0.48mmol)の懸濁液は2時間撹拌した。混合物は水、10%水性炭酸水素ナトリウムおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去後、残渣はシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン中2〜3% 7N メタノールアンモニア)により精製し、アセトニトリルで粉砕し、標題化合物を得た。
【0251】
実施例6
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-エチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン
使用したアミンはエチルアミンであった。
【0252】
収率:47 mg,、24%;1H NMRスペクトル:(CDCl3) 1.17 (t, 3H), 1.98 (m, 2H), 2.09 (m, 2H), 2.45 (m, 2H), 2.87 (m, 2H), 3.05 (s, 2H), 3.33 (m, 2H), 4.02 (s, 3H), 4.49 (m, 1H), 7.16 (m, 4H), 7.30 (s, 1H), 7.33 (s br, 1H), 8.48 (m, 1H), 8.71 (s,
1H);マススペクトル:MH+ 488。
【0253】
実施例7
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-[2-(ピロリジン-1-イル)エチル]カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン
使用したアミンは1-(2-アミノエチル)ピロリジンであった。
【0254】
収率:53 mg、24%; 1H NMRスペクトル:(CDCl3) 1.80 (m, 4H), 1.98 (m, 2H), 2.07 (m, 2H), 2.45 (m, 2H), 2.53 (m, 4H), 2.62 (t, 2H), 2.87 (m, 2H), 3.07 (s, 2H), 3.40 (m, 2H), 4.02 (s, 3H), 4.48 (m, 1H), 7.16 (m, 3H), 7.31 (m, 2H), 7.55 (s br 1H), 8.50 (m, 1H), 8.71 (s, 1H);マススペクトル:MH+ 557。
【0255】
実施例8
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-(2-メトキシエチル)カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン
使用したアミンは2-メトキシエチルアミンであった。
【0256】
収率:57 mg,、28%;1H NMRスペクトル:(CDCl3) 1.98 (m, 2H), 2.09 (m, 2H), 2.45 (m, 2H), 2.87 (m, 2H), 3.07 (s, 2H), 3.38 (s, 3H), 3.48 (s, 4H), 4.02 (s, 3H), 4.49 (m, 1H), 7.16 (m, 3H), 7.31 (m, 2H), 7.48 (s br, 1H), 8.49 (m, 1H), 8.71 (s,
1H);マススペクトル:MH+ 518。
【0257】
実施例9
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-(2-ジメチルアミノエチル)カルバモイル
メチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン
使用したアミンはN,N-ジメチルエチレンジアミンであった。
【0258】
収率:79 mg、37%;1H NMRスペクトル:(CDCl3) 1.98 (m, 2H), 2.10 (m, 2H), 2.26 (s, 6H), 2.43 (m, 4H), 2.88 (m, 2H), 3.07 (s, 2H), 3.37 (m, 2H), 3.48 (s br, 1H),
4.03 (s, 3H), 4.49 (m, 1H), 7.16 (m, 3H), 7.31 (m, 2H), 7.51 (s br, 1H), 8.49 (m, 1H), 8.71 (s, 1H);マススペクトル:MH+ 531。
【0259】
実施例10
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン
使用したアミンはN,N-ジメチルエチレンアミンであった。
【0260】
収率:64 mg、30%;1H NMRスペクトル: (CDCl3) 1.96 (m, 2H), 2.11 (m, 2H), 2.32 (s, 3H), 2.40 (m, 6H), 2.87 (m, 2H), 3.24 (s, 2H), 3.65 (m, 4H), 4.02 (s, 3H), 4.47 (m, 1H), 7.16 (m, 3H), 7.30 (m, 1H), 7.33 (s br, 1H), 8.48 (m, 1H), 8.70 (s,
1H);マススペクトル:MH+ 543。
【0261】
実施例11
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(ピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン
アミンとして1-tert-ブトキシカルボニルピペラジンを使用し、水性後処理の後、残渣
はジクロロメタン‐トリフルオロ酢酸(3ml)の1:1混合物中で90分間撹拌し、その後HPLCにより生成した以外は、実施例6〜10に記載の手順を使用した。
【0262】
収率:(0.56 mmol スケールから150 mg、51%);1H NMR スペクトル:(CDCl3) 1.96 (m,
2H), 2.11 (m, 2H), 2.41 (m, 2H), 2.87 (m, 6H), 3.23 (s, 2H), 3.59 (m, 4H), 4.01
(s, 3H), 4.46 (m, 1H), 7.16 (m, 3H), 7.29 (s, 1H), 7.41 (s br, 1H), 8.45 (m, 1H), 8.70 (s, 1H);マススペクトル:MH+ 529。
【0263】
出発物質として使用した[4-({4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシキナゾリ
ン-6-イル}オキシ]ピペリジン-1-イル)酢酸二塩酸塩は、以下のように製造した:
tert-ブチルクロロアセテート(1.43ml、10mmol)は、ジメチルアセタミド(50ml)中の4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-[(ピペリジン-4-イル)オキシ]キナゾリン(4.02g、10mmol)、ヨウ化カリウム(1.66g、10mmol)、および炭酸カリウム(1.66g、12mmol)の混合物に滴下して加えた。混合物は1時間、70℃に加熱した。真空下で溶媒を留去後、
残渣は水で粉砕した。得られた固体はろ過し、水で洗浄し、シリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン中2% 7N メタノールアンモニア)により精製し、白色固体としてtert-ブチル[4-({4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イ
ル}オキシ)ピペリジン-1-イル]アセテート(3.0g、60%)を得た。。
【0264】
NMRスペクトル:(CDCl3) 1.48 (s, 9H), 2.01 (m, 2H), 2.10 (m, 2H), 2.56 (m, 2H),
2.89 (m, 2H), 3.19 (s, 2H), 4.01 (s, 3H), 4.49 (m, 1H), 7.16 (m, 3H), 7.29 (m, 2H), 8.48 (m, 1H), 8.70 (s, 1H);マススペクトル::MH+ 517。
【0265】
ジオキサン(40ml)中4N 塩化水素溶液中のtert-ブチル[4-({4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イル}オキシ)ピペリジン-1-イル]アセテート(3.0g、5.8mmol)の懸濁液は室温で3時間撹拌した。溶媒は高真空で留去した。残渣はエーテルで粉
砕し、ろ過し、エーテルで洗浄して、二塩酸塩として[4-({4-(3-クロロ-2-フルオロアニ
リノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イル}オキシ]ピペリジン-1-イル)酢酸(3.1g、100%)を得
た。マススペクトル:MH+ 461。
【0266】
実施例12
4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン
[4-({4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イル}オキシ)ピペリジン-1-イル]酢酸二塩酸塩およびN-メチルピペラジンは、実施例6〜10に従った手順を使
用して標題化合物(126mg、56%)に変換した。
【0267】
1H NMRスペクトル:(CDCl3) 1.94 (m, 2H), 2.09 (m, 2H), 2.31 (s, 3H), 2.40 (m, 6H), 2.84 (m, 2H), 3.23 (s, 2H), 3.65 (m, 4H), 4.01 (s, 3H), 4.45 (m, 1H), 7.06 (m, 1H), 7.22 (s, 1H), 7.29 (m, 1H), 7.36 (s br, 1H), 8.28 (m, 1H), 8.65 (s, 1H)
マススペクトル:MH+561
出発物質として使用した[4-({4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシキナ
ゾリン-6-イル}オキシ)ピペリジン-1-イル]酢酸二塩酸塩は、実施例11に記載の手順と同
じものを使用して、4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-イル}オキシ)
ピペリジン-4-イル)オキシ]キナゾリンから製造した:
tert-ブチル[4-({4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イル}オキシ)ピペリジン-1-イル]アセテート(2.56g、67%);マススペクトル:MH+ 535。
[4-({4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシキナゾリン-6-イル}オキシ)ピペリジン-1-イル]酢酸(二塩酸塩、2.45g、93%):マススペクトル: MH+ 479。
【0268】
実施例13
医薬組成物
以下はヒトにおける治療的または予防的使用のための、本明細書で定義した代表的な、本発明の剤形(活性成分は「化合物X」と呼ぶ)を説明する:
(a) 錠剤I mg/錠剤
化合物X 100
ラクトースPh.Eur 182.75
クロスカルメロースナトリウム 12.0
トウモロコシデンプンペースト(5%w/vペースト) 2.25
ステアリン酸マグネシウム 3.0

(b) 注射I (50mg/ml)
化合物X 5.0%w/v
1M 水酸化ナトリウム溶液 182.75
0.1M 塩酸(pH7.6に調製)
ポリエチレングリコール400 4.5%w/v
注射用水により100%に調製。
先の製剤は、薬剤の技術分野における公知の慣用の手順によって得ることができる。たとえば、錠剤は成分を一緒に混合し、混合物を錠剤に圧縮することにより製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

のキナゾリン誘導体
[式中、
nは0、1、2または3であり、
それぞれのR5は、独立して、ハロゲノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、スルファモイル、トリフルオロメチル、(1〜6C)アルキル、(2〜8C)アルケニル、(2〜8C)アルキニル、(1〜6C)アルコキシ、(2〜6C)アルケニルオキシ、(2〜6C)アルキニルオキシ、(1〜6C)アルキルチオ、(1〜6C)アルキルスルフィニル、(1〜6C)アルキルスルホニル
、(1〜6C)アルキルアミノ、ジ-[(1〜6C)アルキル]アミノ、(1〜6C)アルコキシカルボニル、N-(1〜6C)アルキルスルファモイル、およびN,N-ジ-[(1〜6C)アルキル]スルファモイル
、C(O)NR6R7から選択され、
ここでR6およびR7は、水素、置換又は非置換の(1〜6C)アルキル、置換又は非置換の(3〜8C)シクロアルキル、または、置換又は非置換のアリールから独立して選択されるか、または、R6およびR7は、それらが結合する窒素と一緒になって、付加的なヘテロ原子を含んでいてもよい置換又は非置換の複素環を形成し;
X1は、直接結合またはOであり;
R1は、水素および(1〜6C)アルキルから選択され、ここで(1〜6C)アルキル基は、非置換であるか、又は、ヒドロキシおよびハロゲノから選択される1以上の置換基(同じでも異な
ってもよい)、および/または、以下から選択される置換基によって置換されていてもよ
く:アミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロゲノ、(1〜6C)アルコキシ、ヒドロキシ(1〜6C)アルコキシ、(2〜8C)アルケニル、(2〜8C)アルキニル、(1〜6C)アルキルチオ、(1
〜6C)アルキルスルフィニル、(1〜6C)アルキルスルホニル、(1〜6C)アルキルアミノ、ジ-[(1〜6C)アルキル]アミノ、カルバモイル、N-(1〜6C)アルキルカルバモイル、N,Nジ-[(1
〜6C)アルキル]カルバモイル、(2〜6C)アルカノイル、(2〜6C)アルカノイルオキシ、(2〜6C)アルカノイルアミノ、N-(1〜6C)アルキル-(2〜6C)アルカノイルアミノ、(1〜6C)アル
コキシカルボニル、スルファモイル、N-(1〜6C)アルキルスルファモイル、N,N-ジ-[(1〜6C)アルキル]スルファモイル、(1〜6C)アルカンスルホニルアミノおよびN-(1〜6C)アルキ
ル-(1〜6C)アルカンスルホニルアミノ;
mは、0、1、2 または3であり;
R2は、水素または(1〜6C)アルキルであり;そして
R3は、(1〜6C)アルキル、(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニルまたは(1〜6C)アルコキシであり、それらのいずれかは、炭素原子上で、置換されていないか、又は、(1〜6C)ア
ルコキシ、アミノ、(1〜6C)アルキルアミノ、ジ-(1〜6C)アルキルアミノもしくは基S(O)s(1〜6C)アルキル(sは0、1または2である)、または飽和5または6員複素環(酸素、硫黄またはNR8から選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてもよく、ここでR8は水素、(1〜6C)
アルキル、(2〜6C)アルケニル、(2〜6C)アルキニル、(1〜6C)アルキルスルホニルまたは(1〜6C)アルキルカルボニルである)によって置換されてもよく;
またはR2およびR3は、それらが結合する窒素原子と一緒に、酸素、S、SOもしくはS(O)2またはNR8(R8は先に定義したとおりである)から選択される付加的なヘテロ原子を含んでい
てもよい飽和の5または6員複素環を形成する]
ただし、上記キナゾリン誘導体は以下のものではない:
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジエチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ピペリジン-1-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ピロリジン-1-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(4-メチル-ピペラジン-1-イル)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-エトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-(2-メトキシ-エトキシ)-キナゾリン;
4-[(3-エチニル-フェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(エチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[イソプロピルアミノ)カルボニル]-ピ
ペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニルメチル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルメチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニルメチル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルメチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(メチルアミノ)カルボニルメチル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ジメチルアミノ)カルボニルメチル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(ピロリジン-1-イル)カルボニルメチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルメチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(メチルアミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(2-メトキシエチル)アミノ)カルボニ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(N-メチル-N-2-メトキシエチル)アミ
ノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(3-メトキシプロピル)アミノ)カルボ
ニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(N-メチル-N-3-メトキシプロピル)ア
ミノ)カルボニル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルエチ
ル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン;または
4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{1-[(モルホリン-4-イル)カルボニルプロ
ピル]-ピペリジン-4-イル-オキシ}-7-メトキシ-キナゾリン、または薬剤的に受容できる
その塩。
【請求項2】
nが1、2または3である、請求項1に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項3】
nが2または3である、請求項1または請求項2に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項4】
nが2である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項5】
nが3である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項6】
それぞれのR5基がハロゲノ基である、請求項1−5のいずれか1項に記載のキナゾリン
誘導体。
【請求項7】
それぞれの基R5が、クロロおよびフルオロから選択される、請求項1−6のいずれか1
項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項8】
請求項1−7のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体であって、結合するベンゼン環
上のオルト-(2-)位に位置する基R5を含む、前記キナゾリン誘導体。
【請求項9】
オルト-(2-)位に位置する基R5がフルオロである、請求項8に記載のキナゾリン誘導体

【請求項10】
式Iにおいて、部分式(i):
【化2】

の基が、部分式(ii):
【化3】

[式中、
(a) R10またはR12の一方は水素であり、他方はハロゲノであり、そしてR11はハロゲノである、または
(b) R10はハロゲノであり、R11はハロゲノであり、そしてR12は水素またはハロゲノから選択される、または
(c) R10はフルオロであり、R11はクロロであり、そしてR12は水素またはフルオロから選択される]
の基である、請求項1−9のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項11】
R10またはR12の一方は水素であり、他方はフルオロであり、そしてR11はハロゲノであ
る、請求項10に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項12】
R10はフルオロであり、R11はクロロであり、そしてR12は水素である、請求項10に記載
のキナゾリン誘導体。
【請求項13】
R10はフルオロであり、R11はクロロであり、そしてR12はフルオロである、請求項10に
記載のキナゾリン誘導体。
【請求項14】
X1が酸素である、請求項1−13のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項15】
R1が、水素、(1〜6C)アルキルおよび(1〜6C)アルコキシ(1〜6C)アルキルから選択され
、ここで、R1中のいずれかの(1〜6C)アルキル基が、1以上のヒドロキシまたはハロゲノ置換基を有していてもよい、請求項1−14のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項16】
R1が、1以上のヒドロキシまたはハロゲノ置換基を有していてもよい(1〜6C)アルキルから選択される、請求項15に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項17】
R1-X1-が、水素、メトキシ、エトキシおよび2-メトキシエトキシから選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項18】
R1-X1-が、メトキシである、請求項17に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項19】
式IA:
【化4】

[式中、
R2、R3およびmは請求項1に記載のとおりであり、
R10、R11およびR12は請求項10〜13のいずれか1項に定義したとおりであり、
そしてR13は水素、メトキシ、エトキシおよび2-メトキシエトキシから選択される]
の請求項1に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項20】
式IB:
【化5】

[式中、
R2、R3およびmは請求項1に記載のとおりであり、そして
R13は水素、メトキシ、エトキシおよび2-メトキシエトキシから選択される]
の請求項1に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項21】
式IC:
【化6】

[式中、
R2、R3およびmは請求項1に記載のとおりであり、そして
R13は水素、メトキシ、エトキシおよび2-メトキシエトキシから選択される]
の請求項1に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項22】
R13がメトキシである、請求項19〜21のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項23】
mが0または1である、請求項1−22のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項24】
mが1である、請求項1−23のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項25】
R2が水素または(1〜3C)アルキルである、請求項1−24のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項26】
R2が水素またはメチルである、請求項1−25のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導
体。
【請求項27】
R2が水素である、請求項1−26のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項28】
R3が(1〜6C)アルキルである、請求項1−27のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項29】
R3が(1〜3C)アルキルである、請求項1−28のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項30】
R3がメチルである、請求項1−29のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体。
【請求項31】
1以上の以下のものから選択される、請求項1に記載のキナゾリン誘導体:
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピ
ペリジン-4-イル]-オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N,N-ジメチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(モルホリン-4-イルカルボニルメ
チル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(ピロリジン-1-イルカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイル)ピペリジ
ン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N-(2-ジメチルアミノエチル)カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{1-[(N,N-ジメチルカルバモイル)ピペリジン-4-イ
ル]オキシ}7-メトキシ-キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(モルホリン-4-イルカルボニル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-[2-ピロリジン-1-イルエチル]
カルバモイル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-メチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-エチルカルバモイルメチル)ピペリジン-4-
イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-[2-(ピロリジン-1-イル)エチル]カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-{[1-(N-(2-メトキシエチル)カルバモイルメチル)ピペリジン-4-イル]オキシ}キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-6-{[1-(N-(2-ジメチルアミノエチル)カルバモイルメ
チル)ピペリジン-4-イル]オキシ}-7-メトキシキナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;
4-(3-クロロ-2-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(ピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;および
4-(3-クロロ-2,4-ジフルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-({1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イル}オキシ)キナゾリン;
または薬剤的に受容できるその塩。
【請求項32】
請求項1−31のいずれか1項に記載のキナゾリン誘導体を製造するための工程であっ
て、
以下の工程:
工程(a) 式II:
【化7】

の化合物(式中、R1、X1、R5およびnは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は請求項1に定義した意味のいずれかを有する)と、
式III:
【化8】

の化合物(式中、R2、R3およびmは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は請求項1に定義した意味のいずれかを有し、そしてLgは置換可能な基である)
を反応させることであって、ここで反応は適切な塩基の存在下で都合よく行われる;
工程(b) 必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は、先に定義した式Iの別のキナゾリン誘導体または薬剤的に受容できるその塩の置換基を改変すること、またはそれに置換基を導入すること;
工程(c) 式IV:
【化9】

の化合物(式中、R1、X1、R5およびnは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は式Iに関して定義したとおりである)と
式VまたはV′:
【化10】

の化合物(式中、R2およびR3は先に定義したとおりであり、m’は0、1、2または3であり、ただし、R2が水素である場合はそれが0ではなく、そしてLgは置換可能な基である)
とを反応させること;
工程(d) 式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩から保護基を除去すること;
工程(e) Mitsunobu条件下、先に定義した式IIの化合物と、LgがOHであること以外は先に定義したような式IIIの化合物を反応させること;
工程(f) R1-X1がヒドロキシ基である式Iの化合物の製造のための、R1-X1が(1〜6C)
アルコキシ基である式Iのキナゾリン誘導体の開裂;
工程(g) X1がOであり、そしてR1が水素でない式Iの化合物の製造のための、式VI:
【化11】

の化合物(式中、R2、R3、R5、mおよびnは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は請求項1に定義した意味のいずれかを有する)と
式R1-Lgの化合物(式中、R1は水素ではなく、そして必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は請求項1で定義した意味のいずれかを有し、そしてLgは置換可能な基で
ある)
との反応;
工程(h) 式Iの化合物(式中、R1は(1〜6C)アルコキシもしくは置換された(1〜6C)ア
ルコキシ基、または(1〜6C)アルキルアミノもしくは置換された(1〜6C)アルキルアミノ基を含有する)の製造のための、式I(式中、R1はヒドロキシ基または第一もしくは第二アミ
ノ基を適宜含有する)のキナゾリン誘導体のアルキル化;
工程(i) 式Iの化合物[式中、R1は基T(Tは(1〜6C)アルキルアミノ、ジ-[(1〜6C)ア
ルキル]アミノ、(2〜6C)アルカノイルアミノ、(1〜6C)アルキルチオ、(1〜6C)アルキルスルフィニルおよび(1〜6C)アルキルスルホニルから選択される)により置換される]の製造
のための、
式VII:
【化12】

の化合物[式中、R2、R3、R5、X1、nおよびmは、必要に応じていずれかの官能基が保護
されること以外は先に定義した意味のいずれかを有し、R1’は、いずれかのT基がLgに置
換されること以外は本明細書に定義したような基R1であり、そしてLgは置換可能な基(た
とえばクロロまたはブロモ)である]と
式THの化合物(式中、Tは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は先に定義したとおりである)との反応;
工程(j) 式VIII:
【化13】

の化合物(式中、R1、R2、R3、X1およびmは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は請求項1に定義した意味のいずれかを有し、そしてLgは先に定義した置換可能
な基である)と
式IX:
【化14】

のアニリン(式中、R5およびnは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は請求項1に定義した意味のいずれかを有し、そして反応は適切な塩基の存在下で都合よく
行われる)
とを反応させること;
工程(k) 式Iの化合物(式中、mは1、2または3である)の製造のための、式X:
【化15】

の化合物(式中、mは1、2または3であり、そしてR1、X1、R5およびnは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は請求項1に定義したとおりである)と式R2NHR3(式中、R2およびR3は請求項1に定義したとおりである)の第一または第二アミンとのカップリ
ング;
工程(l) 還元アミノ化手順を使用して、必要に応じていずれかの官能基が保護され
ること以外は、先に定義した式IVの化合物を式V’’:
【化16】

の化合物と反応させること;
工程(m) 式Iの化合物[式中、R3は炭素原子上でアミノ、(1〜6C)アルキルアミノ、
ジ-(1〜6C)アルキルアミノまたはNR8(式中、R8は請求項Iに定義したとおりである)を含有する飽和5もしくは6員複素環により置換された(2〜6C)アルキルである]の製造のために、式XX:
【化17】

の化合物(式中、R3aはLg-(2〜6C)アルキルであり、ここでLgは置換可能な基であり、そしてR1、R2、X1、R5、mおよびnは、必要に応じていずれかの官能基が保護されること以外は先に定義した意味のいずれかを有する)と
アンモニアまたは適切な第一または第二アミンとを反応させること;
のいずれかを含み、いずれかの前記工程の後、存在するいずれかの保護基が除去される、上記工程。
【請求項33】
薬剤的に受容できる希釈剤またはキャリアと共に請求項1〜31のいずれか1項に定義したような式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩を含有する医薬組成物

【請求項34】
医薬品として使用のための、請求項1〜31のいずれか1項に定義したような式Iのキナゾ
リン誘導体、または薬剤的に受容できるその塩。
【請求項35】
温血動物における抗増殖作用をもたらすために使用するための医薬品の製造における、請求項1〜31のいずれか1項に定義したような式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受
容できるその塩の使用。
【請求項36】
請求項1〜31のいずれか1項に定義した式Iのキナゾリン誘導体、または薬剤的に受容で
きるその塩を温血動物に投与することを含む、そのような治療が必要な前記動物において、抗増殖作用をもたらす方法。
【請求項37】
請求項32に定義した、式VI、VII、VIII、XもしくはXXの化合物、またはその塩。

【公開番号】特開2008−37874(P2008−37874A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240846(P2007−240846)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【分割の表示】特願2006−526686(P2006−526686)の分割
【原出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】