説明

キナーゼ調節剤としてのピロロ[2,3−b]ピリジン誘導体

蛋白質キナーゼに対して活性な化合物,ならびにそのような化合物を用いて蛋白質キナーゼの異常な活性に関連する疾病および状態を治療する方法が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願
本出願は,米国特許仮出願60/876,953(表題“Compounds and Methods for Kinase Modulation,and Indications Therefor”,2006年12月21日出願)に基づく優先権を主張し,かつ米国特許出願11/473,347(表題“Compounds and Methods for Kinase Modulation,and Indications Therefor”,2006年6月21日出願)に関連する。これは,米国特許仮出願60/731,528(表題“Compounds and Methods for Kinase Modulation,and Indications Therefor”,2005年10月28日出願),および米国特許仮出願60/692,960(表題“Compounds and Methods for Kinase Modulation,and Indications Therefor”,2005年6月22日出願)に基づく優先権を主張する。これらはすべてその全体をすべての目的のために参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は,キナーゼおよびキナーゼを調節する化合物およびその用途に関する。特定の態様は,本発明の化合物を用いてキナーゼ活性を調節することによる治療に適合した疾患を企図する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本明細書に提供される情報は,読者の理解を助けることのみを意図したものである。提供される情報または引用される参考文献のいずれも,本発明に対する従来技術であると認めるものではない。本明細書に引用される参考文献のそれぞれは,その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
レセプター蛋白質キナーゼは,多くの生理学的機能,例えば,細胞の成長および増殖,細胞分化,細胞の発生,細胞分裂,細胞接着,ストレス応答,短距離接触媒介性軸索ガイダンス,転写制御,異常な有糸分裂誘発,血管新生,血管の発生中の異常な内皮細胞−細胞または細胞−マトリクス相互作用,炎症,リンパ造血系幹細胞活性,特定の細菌に対する保護免疫,アレルギー性ぜん息,JNKシグナル伝達経路の活性化に対する異常な組織特異的応答,細胞トランスフォーメーション,記憶,アポトーシス,神経筋シナプスにおける競合活性依存性シナプス修飾,疾患の免疫学的媒介,およびカルシウム制御を調節するかまたはこれに関与する鍵となるシグナル伝達カスケードを制御する。
【0005】
蛋白質キナーゼの異常な制御に伴う特定の病的状態としては,例えば,限定されないが,I型尖頭合指症,急性骨髄性白血病,AIDS誘発性非ホジキンリンパ腫,アルツハイマー病,筋萎縮性側索硬化症,関節炎,喘息,アテローム性動脈硬化症,アトピー性皮膚炎,自己免疫疾患,細菌感染,膀胱癌,乳癌,中枢神経系の癌,結腸の癌,子宮内膜の癌,ファローピウス管の癌,胃腸管の癌,卵巣の癌,心不全,慢性骨髄性白血病,結腸癌腫,結腸直腸癌,慢性閉塞性肺疾患(COPD),クルゾン症候群,糖尿病,糖尿病性ネフロパシー,気腫,子宮内膜症,類表皮癌,線維性疾患,胃腸間質性腫瘍(GIST),糸球体腎炎,グレーヴズ病,頭部損傷,肝細胞癌,ヒルシュスプルング病,ヒト神経膠腫,免疫不全疾患,炎症性疾患,虚血性脳卒中,ジャクソン・ヴァイス症候群,平滑筋肉腫,白血病,ループス腎炎,悪性黒色腫,悪性腎硬化症,肥満細胞症,マスト細胞腫瘍,結腸の黒色腫,MEN2症候群,代謝性疾患,片頭痛,多発性硬化症,骨髄性増殖性疾患,腎炎,神経変性性疾病,神経外傷性疾病,非小細胞肺癌,臓器移植拒絶,骨粗鬆症,痛み,パーキンソン病,プファイファー症候群,多発性嚢胞腎症,原発性リンパ浮腫,前立腺癌,乾癬,血管再狭窄,慢性関節リウマチ,皮膚および組織瘢痕症,選択的T細胞障害(STD),重症複合型免疫不全(SCID),小細胞肺癌,脊髄損傷,扁平上皮癌,全身性エリテマトーデス,精巣癌,血栓性細小血管症症候群,ヴェーゲナー肉芽腫症,X連鎖無ガンマグロブリン血症,ウイルス感染,糖尿病性網膜症,脱毛症,勃起障害,黄斑変性,慢性リンパ球性白血病(CLL),脊髄形成異常症候群(MDS),神経線維腫症,および結節硬化症が挙げられる。
【0006】
本出願は,以下の公開特許出願に関連する:WO2004024895,US20040142864,WO2004078923,US20050170431,WO2005028624,US20050164300,およびWO2005062795。これらのそれぞれは,明細書,図面および表を含めて,すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2004024895
【特許文献2】US20040142864
【特許文献3】WO2004078923
【特許文献4】US20050170431
【特許文献5】WO2005028624
【特許文献6】US20050164300
【特許文献7】WO2005062795
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概して,蛋白質キナーゼ,例えば,限定されないが,Abl,Akt1,Akt2,Akt3,ALK,Alk5,A−Raf,B−Raf,Brk,Btk,Cdk2,CDK4,CDK5,CDK6,CHK1,c−Raf−1,Csk,EGFR,EphA1,EphA2,EphB2,EphB4,Erk2,Fak,FGFR1,FGFR2,FGFR3,FGFR4,Flt1,Flt3,Flt4,Fms,Frk,Fyn,Gsk3α,Gsk3β,HCK,Her2/Erbb2,Her4/Erbb4,IGF1R,IKKbeta,Irak4,Itk,Jak1,Jak2,Jak3,Jnk1,Jnk2,Jnk3,Kdr,Kit,Lck,Lyn,MAP2K1,MAP2K2,MAP4K4,MAPKAPK2,Met,Mnk1,MLK1,p38,PDGFRA,PDGFRB,PDPK1,Pim1,Pim2,Pim3,PKCα,PKCβ,PKCθ,Plk1,Pyk2,Ret,ROCK1,ROCK2,Ron,Src,Stk6,Syk,TEC,Tie2,TrkA,TrkB,Yes,および/またはZap70,ならびにこれらのキナーゼの任意の変異体に対して活性な化合物が企図される。ある観点においては,化合物はA−Raf,B−Rafおよび/またはc−Raf−1等の蛋白質キナーゼおよびこれらの任意の変異体に対して活性である。ある観点においては,化合物は,下記に記載される式I,式II,または式IIIの化合物である。
【0009】
また,本発明により企図されるものは,上述の化合物を上述のキナーゼの活性の制御に関連する疾病および状態の治療に使用する方法である。すなわち,蛋白質キナーゼの調節に関連する治療方法における化合物の使用,ならびに蛋白質キナーゼの調節に関連する治療方法に用いることができる化合物が提供される。
【0010】
ある態様においては,化合物は,下記の式I:
【化1】

そのすべての塩,プロドラッグ,互変異性体および異性体,
[式中,
は,水素,ハロゲン,低級アルキル,低級アルケニル,低級アルキニル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,ヘテロアリール,−OH,−NH,−CN,−NO,−C(O)OH,−S(O)NH,−C(O)NH,−C(S)NH,−NHC(O)NH,−NHC(S)NH,−NHS(O)NH,−OR,−SR,−NR,−C(O)R,−C(S)R,−C(O)OR,−C(O)NR,−C(S)NR,−S(O)NR,−NRC(O)R,−NRC(S)R,−NRS(O),−NRC(O)NH,−NRC(O)NR,−NRC(S)NH,−NRC(S)NR,−NRS(O)NH,−NRS(O)NR,−S(O)R,および−S(O)からなる群より選択され,ここで,低級アルキル,低級アルケニルまたは低級アルキニルは,フルオロ,−OH,−NH,−C(O)OH,−C(O)NH,−OR,−NR,−C(O)OR,−C(O)NR,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールから選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしての,または低級アルキル,低級アルケニルまたは低級アルキニルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;
は,ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,ヘテロアリール,−OH,−NH,−CN,−NO,−C(O)OH,−S(O)NH,−C(O)NH,−C(S)NH,−NHC(O)NH,−NHC(S)NH,−NHS(O)NH,−OR,−SR,−NR,−C(O)R,−C(S)R,−C(O)OR,−C(O)NR,−C(S)NR,−S(O)NR,−NRC(O)R,−NRC(S)R,−NRS(O),−NRC(O)NH,−NRC(O)NR,−NRC(S)NH,−NRC(S)NR,−NRS(O)NH,−NRS(O)NR,−S(O)R,および−S(O)からなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,−OR,−NR,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールから選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,ここで,Rとしての,または低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;
は,水素,フルオロおよびクロロからなる群より選択され;
は,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしての,または低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;
は,それぞれの場合に独立して,水素または低級アルキルであり;および
は,それぞれの場合に独立して,低級アルキル,ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,およびヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールは,ハロゲン,−CN,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシおよびフルオロ置換低級アルコキシからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,
ただし,化合物は以下:
【化2】

のものではない]
にしたがう構造を有する。
【0011】
式Iの化合物のある態様においては,Rは,水素,−CN,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−C(O)NR,−C(O)R,−S(O)NR,−S(O)R,−S(O),ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしての,または低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;および
は,−CN,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−C(O)NR,−C(O)R,−S(O)NR,−S(O)R,−S(O),ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,およびRとしての,または低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0012】
式Iの化合物のある態様においては,Rは,水素,−CN,−NR,−OR,−S(O),フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールまたはヘテロアリールであり,ここで,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールまたはヘテロアリールは,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,−NR,−ORおよび−S(O)からなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,およびRは,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,−NR,−ORまたは−S(O)である。
【0013】
式Iの化合物のある態様においては,Rは,水素,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルコキシ置換C2−6アルコキシ,アリールまたはヘテロアリールであり,ここで,アリールまたはヘテロアリールは,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,およびRは,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,またはシクロアルキルアミノである。
【0014】
式Iの化合物の1つの態様においては,化合物は以下からなる群より選択される:
4−ブトキシ−N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド(P−0007),
N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−4−ピラゾール−1−イル−ベンゼンスルホンアミド(P−0008),
N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド(P−0011),
4−tert−ブチル−N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド(P−0014),
N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド(P−0015),
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(2−メトキシ−エトキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド(P−0018),
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(4−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド(P−0019),
4−ジフルオロメトキシ−N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−ベンゼンスルホンアミド(P−0020),
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド(P−0021),
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド(P−0022),
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド(P−0023),
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド(P−0025),
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド(P−0026),
N−{3−[5−(1,5−ジメチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド(P−0027),
N−[2,4−ジフルオロ−3−(5−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−フェニル]−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド(P−0030),
N−[3−(5−シアノ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド(P−0031),
(E)−3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−アクリル酸メチルエステル(P−0032),
3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−プロピオン酸メチルエステル(P−0033),
3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−プロピオン酸(P−0034),
3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−N−エチル−プロピオンアミド(P−0035)および
それらのすべての塩,プロドラッグ,互変異性体,および異性体。
【0015】
ある態様においては,化合物は下記の式II:
【化3】

そのすべての塩,プロドラッグ,互変異性体および異性体,
[式中,
2aは,式IにおいてRについて定義したとおりであり;および
およびRは,式Iについて定義したとおりであり,ただし,化合物は以下:
【化4】

のものではない]
にしたがう構造を有する。
【0016】
式IIの化合物のある態様においては,Rは,水素,−CN,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−C(O)NR,−C(O)R,−S(O)NR,−S(O)R,−S(O),ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしてのまたは低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;およびR2aは,−CN,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−C(O)NR,−C(O)R,−S(O)NR,−S(O)R,−S(O),ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,および,R2aとしてのまたは低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0017】
式IIの化合物のある態様においては,Rは,水素,−CN,−NR,−OR,−S(O),フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールまたはヘテロアリールであり,ここで,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールまたはヘテロアリールは,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,−NR,−ORおよび−S(O)からなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,およびR2aは,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,−NR,−ORまたは−S(O)である。
【0018】
式IIの化合物のある態様においては,Rは,水素,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルコキシ置換C2−6アルコキシ,アリールまたはヘテロアリールであり,ここで,アリールまたはヘテロアリールは,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,およびR2aは,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,またはシクロアルキルアミノである。
【0019】
式IIの化合物の1つの態様においては,化合物は以下からなる群より選択される:
3−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニルスルファモイル]−安息香酸(P−0004),
N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−3−ジフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミド(P−0016),
3−ジフルオロメトキシ−N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−ベンゼンスルホンアミド(P−0024)および
これらのすべての塩,プロドラッグ,互変異性体,および異性体。
【0020】
ある態様においては,化合物は下記の式III:
【化5】

そのすべての塩,プロドラッグ,互変異性体および異性体,
[式中,
は,ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,ヘテロアリール,−OH,−NH,−CN,−NO,−C(O)OH,−S(O)NH,−C(O)NH,−C(S)NH,−NHC(O)NH,−NHC(S)NH,−NHS(O)NH,−OR,−SR,−NR,−C(O)R,−C(S)R,−C(O)OR,−C(O)NR,−C(S)NR,−S(O)NR,−NRC(O)R,−NRC(S)R,−NRS(O),−NRC(O)NH,−NRC(O)NR,−NRC(S)NH,−NRC(S)NR,−NRS(O)NH,−NRS(O)NR,−S(O)R,および−S(O)からなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり,ここで,低級アルキルiは,フルオロ,−OR,−NR,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rの置換基としてのまたは低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;および
,R,R,R,およびRは,式Iについて定義したとおりであり,
ただし,化合物は以下:
【化6】

のものではない]
にしたがう構造を有する。
【0021】
式IIIの化合物のある態様においては,Rは,水素,−CN,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−C(O)NR,−C(O)R,−S(O)NR,−S(O)R,−S(O),ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしての,または低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;およびRは,−CN,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−C(O)NR,−C(O)R,−S(O)NR,−S(O)R,−S(O),ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,およびRの置換基としてのまたは低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0022】
式IIIの化合物のある態様においては,Rは,水素,−CN,−NR,−OR,−S(O),フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールまたはヘテロアリールであり,ここで,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールまたはヘテロアリールは,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,−NR,−ORおよび−S(O)からなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,およびRは,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,−NR,−ORまたは−S(O)の1またはそれ以上で任意に置換されていてもよいヘテロアリールである。
【0023】
式IIIの化合物のある態様においては,Rは,水素,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルコキシ置換C2−6アルコキシ,アリールまたはヘテロアリールであり,ここで,アリールまたはヘテロアリールは,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,およびRは,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,またはシクロアルキルアミノの1またはそれ以上で任意に置換されていてもよいヘテロアリールである。
【0024】
式IIIの化合物の1つの態様においては,化合物は以下からなる群より選択される:
ベンゾ[b]チオフェン−3−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0001),
5−メチル−2−トリフルオロメチル−フラン−3−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0002),
5−オキサゾール−5−イル−チオフェン−2−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0003),
2−オキソ−2H−クロメン−6−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0005),
5−イソオキサゾール−5−イル−チオフェン−2−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0006),
ベンゾチアゾール−6−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0009),
1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0010),
ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール−5−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0013),
5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0017),
5−メチル−チオフェン−2−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0028),
1−メチル−1H−ピラゾール−3−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0029),
ピリジン−2−スルホン酸[2,4−ジフルオロ−3−(5−メトキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−フェニル]−アミド(P−0036)および
それらのすべての塩,プロドラッグ,互変異性体,および異性体。
【0025】
上述の化合物のある態様においては,N(Nがヘテロアリール環原子である場合を除く),O,またはSが,N(Nがヘテロアリール環原子である場合を除く),O,またはSにも結合している炭素に結合している化合物(ただし炭素が複素原子の1つと二重結合を形成している場合,例えばアミド,カルボン酸等におけるものを除く),またはN(Nがヘテロアリール環原子である場合を除く),O,C(S),C(O),またはS(O)(nは0−2である)がアルケニル基のアルケン炭素に結合しているかまたはアルキニル基のアルキン炭素に結合している化合物は除かれる。したがって,ある態様においては,以下の結合を含む化合物は本発明から除かれる:−NR−CH−NR−,−O−CH−NR−,−S−CH−NR−,−NR−CH−O−,−O−CH−O−,−S−CH−O−,−NR−CH−S−,−O−CH−S−,−S−CH−S−,−NR−CH=CH−,−CH=CH−NR−,−NR−C≡C−,−C≡C−NR−,−O−CH=CH−,−CH=CH−O−,−O−C≡C−,−C≡C−O−,−S(O)0−2−CH=CH−,−CH=CH−S(O)0−2−,−S(O)0−2−C≡C−,−C≡C−S(O)0−2−,−C(O)−CH=CH−,−CH=CH−C(O)−,−C≡C−C(O)−,または−C(O)−C≡C−,−C(S)−CH=CH−,−CH=CH−C(S)−,−C≡C−C(S)−,または−C(S)−C≡C−。
【0026】
本明細書に記載される化合物に関して,化合物または化合物群の特定は,そうではないことが明確に示されていない限り,そのような化合物の薬学上許容しうる塩,プロドラッグおよびすべての立体異性体が含まれる。本明細書に記載される式I,式II,または式IIIの化合物の組成物,キット,使用方法等に関して,特に記載しない限り,式Iの化合物はそのすべてのサブ態様を含み,式IIの化合物はそのすべてのサブ態様を含み,式IIIの化合物はその全てのサブ態様を含むことが理解される。
【0027】
1つの観点においては,本発明は,動物被験者において蛋白質キナーゼ媒介性疾病または状態を治療する方法を提供し,該方法は,被験者に有効量の式I,式II,または式IIIの1またはそれ以上の化合物を投与することを含む。"治療","療法"および同様の用語は,物質,例えば式I,式II,または式IIIの1またはそれ以上の化合物を,疾病または状態,すなわち適応症の1またはそれ以上の症状を予防,軽減または改善するか,および/または治療中の被験者の生存を長くするのに有効な量で投与することを表す。"蛋白質キナーゼ媒介性疾病または状態"との用語は,蛋白質キナーゼの生物学的機能が,疾病または状態の発症および/または経過に影響を与えるか,および/または,蛋白質キナーゼの調節が疾病または状態の発症,経過,および/または症状を変化させる疾病または状態を表す。蛋白質キナーゼ媒介性疾病または状態には,調節が治療上の有益性を与える疾病または状態が含まれ,例えば,蛋白質キナーゼ阻害剤,例えば本明細書に記載される化合物を用いる治療が疾病または状態に罹患しているかそのリスクを有する被験者に治療上の有益性を与える疾病または状態が含まれる。1つの観点においては,該方法は,被験者に有効量の式I,式II,または式IIIの1またはそれ以上の化合物を,疾病または状態の1またはそれ以上の他の治療法と組み合わせて投与することを含む。
【0028】
1つの観点においては,動物被験者において蛋白質キナーゼ媒介性疾病または状態を治療する方法が提供され,該方法は,被験者に有効量の式I,式II,または式IIIのいずれか1つまたはそれ以上の化合物を投与することを含む。
【0029】
1つの観点においては,本発明は,動物被験者においてRaf蛋白質キナーゼ媒介性疾病または状態を治療する方法を提供し,該方法は,被験者に有効量の式I,式II,または式IIIの1またはそれ以上の化合物を投与することを含む。"Raf蛋白質キナーゼ媒介性疾病または状態","Raf媒介性疾病または状態"および同様の用語は,Rafキナーゼ(その変異体を含む)の生物学的機能が疾病または状態の発症および/または経過に影響を及ぼすか,および/またはRaf蛋白質キナーゼの調節が疾病または状態の発症,経過,および/または症状を変化させる疾病または状態を表す。Raf蛋白質キナーゼとしては,限定されないが,A−Raf,A−Rafの変異体,B−Raf,B−Rafの変異体,c−Raf−1およびc−Raf−1の変異体が挙げられる。ある態様においては,Raf蛋白質キナーゼはB−Raf変異体V600Eである。ある態様においては,Raf蛋白質キナーゼはB−Raf変異体V600E/T529Iである。ある態様においては,疾病または状態は,V600E変異体B−Rafの阻害剤による治療に適合する癌である。ある態様においては,疾病または状態は,V600E/T529I変異B−Rafの阻害剤による治療に適合する癌である。Raf蛋白質キナーゼ媒介性疾病または状態には,Rafの阻害が治療上の有益性を与える疾病または状態が含まれ,例えば,Raf阻害剤,例えば本明細書に記載される化合物を用いる治療が,疾病または状態に罹患しているかそのリスクを有する被験者に治療上の有益性を与える疾病または状態が含まれる。1つの観点においては,該方法は,被験者に有効量の式I,式II,または式IIIの1またはそれ以上の化合物を疾病または状態の1またはそれ以上の他の療法と組み合わせて投与することを含む。同様に,“A−Raf,B−Rafまたはc−Raf−1蛋白質キナーゼ媒介性疾患または状態,”“A−Raf,B−Rafまたはc−Raf−1媒介性疾患または状態”などの用語は,それぞれA−Raf,B−Rafまたはc−Raf−1キナーゼ(これらの変異体を含む)の生物学的機能が疾病または状態の発症,経過および/または症状に影響を及ぼすか,および/または,それぞれA−Raf,B−Rafまたはc−Raf−1蛋白質キナーゼの調節が疾病または状態の発症,経過および/または症状を変化させる疾病または状態を表す。
【0030】
ある態様においては,式I,式II,または式IIIの化合物はRafキナーゼの阻害剤であり,一般的に受け入れられているRafキナーゼ活性アッセイにおいて判定して,500nm未満,100nM未満,50nM未満,20nM未満,10nM未満,5nM未満,または1nM未満のIC50値を有する。ある態様においては,式I,式II,または式IIIの化合物は,A−Raf,B−Raf,c−Raf−1,B−RafV600E変異体,またはB−RafV600E/T529I変異体に対して500nm未満,100nM未満,50nM未満,20nM未満,10nM未満,5nM未満,または1nM未満のIC50値を有する。ある態様においては,式I,式II,または式IIIの化合物は,1またはそれ以上の他のRafキナーゼと比較して,1つのRafキナーゼを選択的に阻害する。ある態様においては,式I,式II,または式IIIの化合物は,野生型キナーゼと比較してRafキナーゼ変異体の,たとえが野生型B−Rafと比較してB−RafV600E変異体の効果を選択的に阻害する。
【0031】
上述の態様の任意のものに加えて,本発明の化合物は,キナーゼの変異,例えば,限定されないが,癌等の疾病状態に関連する変異の影響を阻害するであろう。例えば,B−RafV600E変異体は,ある種の癌,例えば黒色種において高い割合で存在し,式I,式II,または式IIIの化合物は,この変異体のキナーゼ活性を阻害するであろう。
【0032】
上述の態様の任意のものに加えて,本発明の化合物は,1またはそれ以上の他のキナーゼと比較して,1つのキナーゼを選択的に阻害することができ,ここで,好ましくは,阻害は,他のキナーゼ(本明細書に議論されているキナーゼまたは他のキナーゼ)の任意のものに対して選択的である。ある態様においては,化合物は,野生型キナーゼと比較してキナーゼの変異体の効果を,例えば,野生型B−Rafと比較してB−RafV600Eを選択的に阻害することができる。ある態様においては,化合物は,Kitと比較してFmsを選択的に阻害することができる。他のキナーゼと比較して1つのキナーゼを選択的に阻害するとは,一般に認められるキナーゼ活性アッセイにより判定して,1つのキナーゼに対するIC50が,他のキナーゼのいずれに対するIC50より少なくとも約2倍,5倍,10倍,20倍,50倍,または少なくとも約100倍低いことでありうる。
【0033】
別の観点においては,治療上有効量の1またはそれ以上の式I,式II,または式IIIの化合物(式I,式IIまたは式IIIの化合物の任意の2またはそれ以上の組み合わせを含む)および少なくとも1つの薬学的に許容しうる担体,賦形剤,および/または希釈剤を含む組成物が提供される。組成物はさらに,異なる複数の薬学的に活性な化合物を含むことができ,これは,複数の式I,式II,および/または式IIIの化合物を含むことができる。別の観点においては,組成物は,1またはそれ以上の式I,式IIまたは式IIIの化合物を,同じ適応症に対して治療上有効な1またはそれ以上の化合物とともに含むことができる。1つの観点においては,組成物は,1またはそれ以上の式I,式IIまたは式IIIの化合物を,同じ適応症に対して治療上有効な1またはそれ以上の化合物とともに含み,ここで,これらの化合物はその適応症に対して相乗的な効果を有する。1つの観点においては,組成物は,癌の治療に有効な1またはそれ以上の式I,式IIまたは式IIIの化合物,およびその癌の治療に有効な1またはそれ以上の他の化合物を含み,ここで,これらの化合物はその癌に対して相乗的な効果を有する。
【0034】
別の観点においては,動物被験者において蛋白質キナーゼ媒介性疾患または状態を治療する方法が提供され,この方法は,被験者に1またはそれ以上の式I,式IIまたは式IIIの化合物を含む有効量の組成物を投与することを含む。
【0035】
1つの観点においては,本発明は,被験者に1またはそれ以上の式I,式IIまたは式IIIの化合物を含む有効量の組成物を投与することにより,A−Raf,B−Raf,c−Raf−1,B−RafV600E変異体,またはB−RafV600E/T529I変異体により媒介される疾病または状態を治療する方法を提供する。1つの観点においては,本発明は,被験者に1またはそれ以上の式I,式IIまたは式IIIの化合物を疾患を治療するのに適した1またはそれ以上の他の適当な療法との組み合わせで含む有効量の組成物を投与することにより,A−Raf,B−Raf,c−Raf−1,B−RafV600E変異体,またはB−RafV600E/T529I変異体により媒介される疾病または状態を治療する方法を提供する。1つの観点においては,本発明は,式I,式II,または式IIIの化合物1またはそれ以上を,1またはそれ以上の適当な抗癌療法,例えば1またはそれ以上の化学療法剤との組み合わせで含む有効量の組成物を被験者に投与することにより,B−RafV600E変異体またはB−RafV600E/T529I変異体により媒介される癌を治療する方法を提供する。
【0036】
1つの観点においては,本発明は,被験者に有効量の式I,式II,または式IIIの化合物を含む組成物を,癌の治療に有効な1またはそれ以上の他の療法または医療処置と組み合わせて投与することにより癌を治療する方法を提供する。他の療法または医療処置としては,適当な抗癌療法(例えば,薬剤療法,ワクチン療法,遺伝子療法,光療法)または医療処置(例えば,外科手術,放射線治療,温熱療法,骨髄または幹細胞移植)が挙げられる。1つの観点においては,1またはそれ以上の適当な抗癌療法または医療処置は,化学療法剤(例えば,化学療法薬剤),放射線治療(例えば,x線,γ線,または電子,プロトン,中性子,または粒子ビーム),温熱療法(例えば,マイクロ波,超音波,高周波アブレーション),ワクチン療法(例えば,AFP遺伝子肝細胞癌ワクチン,AFPアデノウイルスベクターワクチン,AG−858,同種異系GM−CSF−分泌乳癌ワクチン,樹状細胞ペプチドワクチン),遺伝子療法(例えば,Ad5CMV−p53ベクター,MDA7をコードするアデノベクター,アデノウイルス5−腫瘍壊死因子α),光療法(例えば,アミノレブリン酸,モテキサフィンルテチウム),外科手術,および骨髄および幹細胞移植による治療から選択される。
【0037】
好ましい態様においては,本発明は,被験者に有効量の式I,式II,または式IIIの1またはそれ以上の化合物を含む組成物を,1またはそれ以上の適当な化学療法剤と組み合わせて投与することにより癌を治療する方法を提供する。1つの観点においては,1またはそれ以上の適当な化学療法剤は,アルキル化剤,例えば,限定されないが,アドゼレシン,アルトレタミン,ビゼレシン,ブスルファン,カルボプラチン,カルボコン,カルムスチン,クロラムブシル,シスプラチン,シクロホスファミド,ダカルバジン,エストラムスチン,ホテムスチン,ヘプスファム,イホスファミド,イムプロスルファン,イソフルベン,ロムスチン,メクロレタミン,メルファラン,オキサリプラチン,ピポスルファン,セムスチン,ストレプトゾシン,テモゾロマイド,チオテパ,およびトレオスルファン;抗生物質,例えば,限定されないが,ブレオマイシン,ダクチノマイシン,ダウノルビシン,ドキソルビシン,エピルビシン,イダルビシン,メノガリル,マイトマイシン,ミトキサントロン,ネオカルチノスタチン,ペントスタチン,およびプリカマイシン;代謝拮抗物質,例えば,限定されないが,アザシチジン,カペシタビン,クラドリビン,クロファラビン,シタラビン,デシタビン,フロキシウリジン,フルダラビン,5−フルオロウラシル,フトラフール,ゲムシタビン,ヒドロキシウレア,メルカプトプリン,メトトレキサート,ネララビン,ペメトレキセド,ラルチトレキセド,チオグアニン,およびトリメトレキサート;免疫療法,例えば,限定されないが,アレムツズマブ,ベバシツマブ,セツキシマブ,ガリキシマブ,ゲムツズマブ,パニツムマブ,ペルツズマブ,リツキシマブ,トシツモマブ,トラスツズマブ,および90Yイブリツモマブ,チウキセタン;ホルモンまたはホルモンアンタゴニスト,例えば,限定されないが,アナストロゾール,アンドロゲン,ブセレリン,ジエチルスチルベストロール,エクセメスタン,フルタミド,フルベストラント,ゴセレリン,イドキシフェン,レトロゾール,ロイプロリド,マゲストロール,ラロキシフェン,タモキシフェンおよびトレミフェン;タキサン,例えば,限定されないが,DJ−927,ドセタキセル,TPI287,パクリタキセルおよびDHA−パクリタキセル;レチノイド,例えば,限定されないが,アリトレチノイン,ベキサロテン,フェンレチニド,イソトレチノインおよびトレチノイン;アルカロイド,例えば,限定されないが,エトポシド,ホモハリングトニン,テニポシド,ビンブラスチン,ビンクリスチン,ビンデシンおよびビノレルビン;抗血管新生剤,例えば,限定されないが,AE−941(GW786034,ネオバスタット),ABT−510,2−メトキシエストラジオール,レナリドマイドおよびサリドマイド。;トポイソメラーゼ阻害剤,例えば,限定されないが,アムサクリン,エドテカリン,エキサテカン,イリノテカン(また活性代謝産物SN−38(7−エチル−10−ヒドロキシ−カンプトセシン)),ルビテカン,トポテカン,および9−アミノカンプトセシン;キナーゼ阻害剤,例えば,限定されないが,エルロチニブ,ゲフェニチブ,フラボピリドール,メシル酸イマチニブ,ラパティニブ,ソラフェニブ,リンゴ酸スニチニブ,AEE−788,AG−013736,AMG706,AMN107,BMS−354825,BMS−599626,UCN−01(7−ヒドロキシスタウロスポリン),およびバタラニブ;標的化シグナル伝達阻害剤,例えば,限定されないが,ボルテゾミブ,ゲルダナマイシンおよびラパマイシン;生物反応修飾物質,例えば,限定されないが,イミキモッド,インターフェロン−α,およびインターロイキン−2;および他の化学療法剤,例えば,限定されないが,3−AP(3−アミノ−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン),アミノグルテチミド,アスパラギナーゼ,ブリオスタチン−1,シレンギチド,E7389,イクサベピロン,プロカルバジン,スリンダク,テムシロリムス,チピファルニブから選択される。好ましくは,癌を治療する方法は,被験者に有効量の式I,式II,または式IIIの1またはそれ以上を含む組成物を,5−フルオロウラシル,カルボプラチン,ダカルバジン,ゲフェニチブ,オキサリプラチン,パクリタキセル,SN−38,テモゾロマイド,ビンブラスチン,ベバシズマブ,セツキシマブまたはエルロチニブから選択される化学療法剤と組み合わせて投与することを含む。
【0038】
別の観点においては,本発明は,哺乳動物に,治療上有効量の式I,式II,または式IIIの1またはそれ以上の化合物,そのような化合物のプロドラッグ,またはそのような化合物またはプロドラッグの薬学的に許容しうる塩を投与することにより,哺乳動物において,疾病または状態を治療または予防する方法を提供する。化合物は単独であっても,組成物の一部であってもよい。別の観点においては,本発明は,哺乳動物に,治療上有効量の1またはそれ以上の式I,式II,または式IIIの化合物,そのような化合物のプロドラッグ,またはそのような化合物またはプロドラッグの薬学的に許容しうる塩を投与することにより,哺乳動物において,疾病または状態を治療または予防する方法を提供する。化合物は単独であっても,組成物の一部であってもよい。
【0039】
関連する観点においては,本発明は,本明細書に記載される組成物を含むキットを提供する。ある態様においては,組成物は,例えば,バイアル,ボトル,フラスコ中にパッケージされ,それらはさらに,例えば,箱,封筒,または袋内にパッケージされてもよく;組成物は,米国食品医薬品局か,または類似の規制機関によって,哺乳動物,例えばヒトへの投与について承認されており;組成物は蛋白質キナーゼ媒介性疾患または状態について哺乳動物,例えばヒトへの投与について承認されており;本発明のキットは,使用について書かれた説明書および/または組成物が蛋白質キナーゼ媒介性疾患または状態についてヒト等の哺乳動物への投与に適しているかまたは承認されていることを示す文書を含み;組成物は,単位容量で,または単回の服用型,例えば単回服用のピル,またはカプセルとしてパッケージされている。
【0040】
1またはそれ以上の式I,式IIまたは式IIIの化合物を用いる疾病または状態の治療または予防に関連する観点においては,疾病または状態は,例えば,限定されないが,神経疾患,例えば,限定されないが,脳血管性虚血,多発脳梗塞性痴呆,頭部損傷,脊髄損傷,アルツハイマー病(AD),パーキンソン病,筋萎縮性側索硬化症,痴呆,老年舞踏病,およびハンチントン病;新生物疾病および付随する合併症,例えば,限定されないが,化学療法誘発性低酸素症,胃腸間質性腫瘍(GIST),前立腺腫瘍,マスト細胞腫瘍(例えば,イヌマスト細胞腫瘍),急性骨髄性白血病,急性リンパ球性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性リンパ球性白血病,多発性骨髄腫,黒色腫,肥満細胞症,神経膠腫,神経膠芽細胞腫,神経膠星状細胞腫,神経芽細胞腫,肉腫(例えば,神経外胚葉起源の肉腫,平滑筋肉腫),癌腫(例えば,肺,乳,膵臓,結腸,肝細胞,腎臓,女性生殖管,扁平上皮癌,上皮内癌),リンパ腫(例えば,細網肉腫,非ホジキンリンパ腫),MEN2症候群,神経線維腫症(例えば,シュワン細胞新形成),脊髄形成異常症候群,白血病,腫瘍血管新生,甲状腺,肝臓,骨,皮膚,脳,中枢神経系,膵臓,肺(例えば,小細胞肺癌,非小細胞肺癌),乳,結腸,膀胱,前立腺,胃腸管,子宮内膜,ファローピウス管,精巣および卵巣の癌,および他の組織への腫瘍の転移;神経障害性または炎症性由来の痛み,例えば,限定されないが,急性の痛み,慢性痛,骨痛,癌性頭痛および片頭痛;心臓血管疾病,例えば,限定されないが,心不全,虚血性脳卒中,心肥大,血栓症(例えば,血栓性細小血管症症候群),アテローム性動脈硬化症,再灌流障害および虚血(例えば,脳血管性虚血,肝臓虚血);炎症,例えば,限定されないが,加齢性黄斑変性,慢性関節リウマチ,アレルギー性鼻炎,炎症性腸疾患(IBD),潰瘍性大腸炎,クローン病,全身性エリテマトーデス,シェーグレン症候群,ヴェーゲナー肉芽腫症,乾癬,強皮症,慢性甲状腺炎,グレーヴズ病,重症筋無力症,多発性硬化症,変形性関節症,子宮内膜症,瘢痕症(例えば,皮膚,組織),血管再狭窄,線維性疾患,過好酸球増加症,CNS炎症,膵炎,腎炎,アトピー性皮膚炎,および肝炎;免疫不全疾患,例えば,限定されないが,重症複合型免疫不全(SCID),臓器移植拒絶,および移植片対宿主疾患;腎臓または前立腺の疾患,例えば,限定されないが,糖尿病性ネフロパシー,多発性嚢胞腎症,腎硬化症,糸球体腎炎,間質性腎炎,ループス腎炎,前立腺過形成,慢性腎不全,尿細管壊死,糖尿病に伴う腎臓合併症,および肥大;代謝性疾病,例えば,限定されないが,1型糖尿病,2型糖尿病,代謝性症候群,肥満,肝臓脂肪症,インスリン耐性,高血糖症,リポリーシスおよび肥満;感染,例えば,限定されないが,ヘリコバクターピロリ,肝炎およびインフルエンザウイルス,発熱,および敗血症;肺疾病,例えば,限定されないが,慢性閉塞性肺疾患(COPD),急性呼吸窮迫症候群(ARDS),喘息,アレルギー,気管支炎,気腫,および肺線維症;遺伝的発達障害,例えば,限定されないが,ヌーナン症候群,クルゾン症候群,I型尖頭合指症,プファイファー症候群,ジャクソン・ヴァイス症候群,コステロ症候群,(顔面皮膚骨格症候群),LEOPARD症候群,心顔面皮膚症候群(CFC)および神経堤症候群,心臓血管,骨格,腸,皮膚,毛髪および内分泌疾病を引き起こす異常;骨構造の疾患,鉱化作用および骨の再形成および再吸収,例えば,限定されないが,骨粗鬆症,骨折のリスクの増加,パジェット病,高カルシウム血症,および癌の骨への転移;グレーヴズ病;ヒルシュスプルング病;リンパ浮腫;選択的T細胞障害(STD);X連鎖無ガンマグロブリン血症;糖尿病性網膜症;脱毛症;勃起障害;および結節硬化症である。
【0041】
1またはそれ以上の式I,式IIまたは式IIIの化合物を用いる疾病または状態の治療または予防に関連する観点においては,本発明は,動物被験者(例えば,ヒト等の哺乳動物,他の霊長類,スポーツ動物,ウシ等の商業的に重要な動物,ウマ等の家畜,またはイヌおよびネコ等のペット)において,A−Raf−媒介性,B−Raf−媒介性またはc−Raf−1−媒介性疾患または状態,例えば,異常なA−Raf,B−Raf,および/またはc−Raf−1活性(例えばキナーゼ活性)により特徴づけられる疾病または状態を治療する方法を提供する。本発明の方法は,A−Raf−媒介性,B−Raf−媒介性,および/またはc−Raf−1−媒介性疾患または状態に罹患しているかまたはそのリスクを有する被験者に,有効量の1またはそれ以上の式I,式IIまたは式IIIの化合物を投与することを含む。1つの態様においては,A−Raf−媒介性,B−Raf−媒介性,および/またはC−Raf媒介性疾患は,神経疾患,例えば,限定されないが,多発脳梗塞性痴呆,頭部損傷,脊髄損傷,アルツハイマー病(AD),パーキンソン病;新生物疾病,例えば,限定されないが,黒色腫,神経膠腫,肉腫,癌腫(例えば,結腸直腸,肺,乳,膵臓,甲状腺,腎臓,卵巣),リンパ腫(例えば,細網肉腫)神経線維腫症,急性骨髄性白血病,脊髄形成異常症候群,白血病,腫瘍血管新生,神経内分泌性腫瘍,例えば,髄質甲状腺癌,カルチノイド,小細胞肺癌および褐色細胞腫;神経障害性または炎症性由来の痛み,例えば,限定されないが,急性の痛み,慢性痛,癌性頭痛,および片頭痛;心臓血管疾病,例えば,限定されないが,心不全,虚血性脳卒中,心肥大,血栓症(例えば,血栓性細小血管症症候群),アテローム性動脈硬化症,および再灌流障害;炎症,例えば,限定されないが,乾癬,関節炎および自己免疫疾患および状態,変形性関節症,子宮内膜症,瘢痕症,血管再狭窄,線維性疾患,慢性関節リウマチ,炎症性腸疾患(IBD);免疫不全疾患,例えば,限定されないが,臓器移植拒絶,移植片対宿主疾患;腎臓または前立腺の疾患,例えば,限定されないが,糖尿病性ネフロパシー,多発性嚢胞腎症,腎硬化症,糸球体腎炎,前立腺過形成;代謝性疾患,例えば,限定されないが,肥満;感染,例えば,限定されないが,ヘリコバクターピロリ,肝炎およびインフルエンザウイルス,発熱,および敗血症;肺疾病,例えば,限定されないが,慢性閉塞性肺疾患(COPD)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS);遺伝的発達障害,例えば,限定されないが,ヌーナン症候群,コステロ症候群,(顔面皮膚骨格症候群),LEOPARD症候群,心顔面皮膚症候群(CFC),および神経堤症候群,心臓血管,骨格,腸,皮膚,毛髪および内分泌疾病を引き起こす異常;および筋肉の再生および変性に関連する疾病,例えば,限定されないが,サルコペニア,筋ジストロフィー(例えば,限定されないが,デュシェーヌ,ベッカー型,エメリー・ドライフス,肢帯筋,顔面肩甲上腕筋,筋緊張性,眼咽頭筋,遠位および先天性筋ジストロフィー),運動ニューロン疾病(例えば,限定されないが,筋萎縮性側索硬化症,乳児進行性脊髄性筋萎縮,中間脊髄性筋萎縮,若年性脊髄性筋萎縮,らせん球筋萎縮,および成人脊髄性筋萎縮),炎症性ミオパシー(例えば,限定されないが,皮膚筋炎,多発性筋炎,および封入体筋炎),神経筋接合部の疾病(例えば,限定されないが,重症筋無力症,ランバート・イートン症候群,および先天性筋無力症症候群),分泌異常に起因するミオパシー(例えば,限定されないが,甲状腺機能亢進性ミオパシーおよび甲状腺機能低下性ミオパシー)末梢神経の疾病(例えば,限定されないが,シャルコー・マリー・ツース病,ドゥジュリーヌ・ソッタ病,およびフリートライヒ運動失調),他のミオパシー(例えば,限定されないが,先天性ミオトニー,先天性パラミオトニア,中心コア病,ネマリンミオパシー,筋細管ミオパシー,および周期性麻痺),および筋肉の代謝性疾病(例えば,限定されないが,ホスホリラーゼ欠損症,酸性マルターゼ欠損症,ホスホフルクトキナーゼ欠損症,脱分枝酵素欠損症,ミトコンドリアミオパシー,カルニチン欠損症,カルニチンパルマチルトランスフェラーゼ欠損症,ホスホグリセレートキナーゼ欠損症,ホスホグリセレートムターゼ欠損症,乳酸脱水素酵素欠損症,およびミオアデニレートデアミナーゼ欠損症)からなる群より選択される。
【0042】
関連する観点においては,1またはそれ以上の式I,式IIまたは式IIIの化合物は,神経疾患,例えば,限定されないが,多発脳梗塞性痴呆,頭部損傷,脊髄損傷,アルツハイマー病(AD),パーキンソン病;新生物疾病,例えば,限定されないが,黒色腫,神経膠腫,肉腫,癌腫(例えば,結腸直腸,肺,乳,膵臓,甲状腺,腎臓,卵巣),リンパ腫(例えば,細網肉腫)神経線維腫症,急性骨髄性白血病,脊髄形成異常症候群,白血病,腫瘍血管新生,神経内分泌性腫瘍例えば,髄質甲状腺癌,カルチノイド,小細胞肺癌および褐色細胞腫;神経障害性または炎症性由来の痛み,例えば,限定されないが,急性の痛み,慢性痛,癌性頭痛,および片頭痛;心臓血管疾病,例えば,限定されないが,心不全,虚血性脳卒中,心肥大,血栓症(例えば,血栓性細小血管症症候群),アテローム性動脈硬化症,および再灌流障害;炎症,例えば,限定されないが,乾癬,関節炎および自己免疫疾患および状態,変形性関節症,子宮内膜症,瘢痕症,血管再狭窄,線維性疾患,慢性関節リウマチ,炎症性腸疾患(IBD);免疫不全疾患,例えば,限定されないが,臓器移植拒絶,移植片対宿主疾患;腎臓または前立腺の疾患,例えば,限定されないが,糖尿病性ネフロパシー,多発性嚢胞腎症,腎硬化症,糸球体腎炎,前立腺過形成;代謝性疾患,例えば,限定されないが,肥満;感染,例えば,限定されないが,ヘリコバクターピロリ,肝炎およびインフルエンザウイルス,発熱,および敗血症;肺疾病,例えば,限定されないが,慢性閉塞性肺疾患(COPD)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS);遺伝的発達障害,例えば,限定されないが,ヌーナン症候群,コステロ症候群,(顔面皮膚骨格症候群),LEOPARD症候群,心顔面皮膚症候群(CFC),および神経堤症候群,心臓血管,骨格,腸,皮膚,毛髪および内分泌疾病を引き起こす異常;および筋肉の再生および変性に関連する疾病,例えば,限定されないが,サルコペニア,筋ジストロフィー(例えば,限定されないが,デュシェーヌ,ベッカー型,エメリー・ドライフス,肢帯筋,顔面肩甲上腕筋,筋緊張性,眼咽頭筋,遠位および先天性筋ジストロフィー),運動ニューロン疾病(例えば,限定されないが,筋萎縮性側索硬化症,乳児進行性脊髄性筋萎縮,中間脊髄性筋萎縮,若年性脊髄性筋萎縮,らせん球筋萎縮,および成人脊髄性筋萎縮),炎症性ミオパシー(例えば,限定されないが,皮膚筋炎,多発性筋炎,および封入体筋炎),神経筋接合部の疾病(例えば,限定されないが,重症筋無力症,ランバート・イートン症候群,および先天性筋無力症症候群),分泌異常に起因するミオパシー(例えば,限定されないが,甲状腺機能亢進性ミオパシーおよび甲状腺機能低下性ミオパシー)末梢神経の疾病(例えば,限定されないが,シャルコー・マリー・ツース病,ドゥジュリーヌ・ソッタ病,およびフリートライヒ運動失調),他のミオパシー(例えば,限定されないが,先天性ミオトニー,先天性パラミオトニア,中心コア病,ネマリンミオパシー,筋細管ミオパシー,および周期性麻痺),および筋肉の代謝性疾病(例えば,限定されないが,ホスホリラーゼ欠損症,酸性マルターゼ欠損症,ホスホフルクトキナーゼ欠損症,脱分枝酵素欠損症,ミトコンドリアミオパシー,カルニチン欠損症,カルニチンパルマチルトランスフェラーゼ欠損症,ホスホグリセレートキナーゼ欠損症,ホスホグリセレートムターゼ欠損症,乳酸脱水素酵素欠損症,およびミオアデニレートデアミナーゼ欠損症)からなる群より選択されるA−Raf−媒介性,B−Raf−媒介性またはc−Raf−1−媒介性疾患または状態の治療用の医薬品の製造において使用することができる。
【0043】
本明細書に記載される標準的なアッセイにおいて判定して,10μM未満のIC50のキナーゼ活性を有する式I,式IIまたは式IIIの化合物を用いて,蛋白質キナーゼA−Raf,B−Rafおよび/またはc−Raf−1,およびこれらの任意の変異に関連する下記に例示される非限定的蛋白質キナーゼ媒介性疾患および状態を治療することができる。
【0044】
A−Rafの調節は以下に関連する:神経疾患,例えば,多発脳梗塞性痴呆,頭部損傷,脊髄損傷,アルツハイマー病(AD),パーキンソン病;新生物疾病,例えば,限定されないが,黒色腫,神経膠腫,肉腫,癌腫(例えば,結腸直腸,肺,乳,膵臓,甲状腺,腎臓,卵巣),リンパ腫(例えば,細網肉腫),神経線維腫症,脊髄形成異常症候群,白血病,腫瘍血管新生;神経障害性または炎症性由来の痛み,例えば,急性の痛み,慢性痛,癌性頭痛および片頭痛;および筋肉の再生および変性に関連する疾病,例えば,限定されないが,血管再狭窄,サルコペニア,筋ジストロフィー(例えば,限定されないが,デュシェーヌ,ベッカー型,エメリー・ドライフス,肢帯筋,顔面肩甲上腕筋,筋緊張性,眼咽頭筋,遠位および先天性筋ジストロフィー),運動ニューロン疾病(例えば,限定されないが,筋萎縮性側索硬化症,乳児進行性脊髄性筋萎縮,中間脊髄性筋萎縮,若年性脊髄性筋萎縮,らせん球筋萎縮,および成人脊髄性筋萎縮),炎症性ミオパシー(例えば,限定されないが,皮膚筋炎,多発性筋炎,および封入体筋炎),神経筋接合部の疾病(例えば,限定されないが,重症筋無力症,ランバート・イートン症候群,および先天性筋無力症症候群),分泌異常に起因するミオパシー(例えば,限定されないが,甲状腺機能亢進性ミオパシーおよび甲状腺機能低下性ミオパシー)末梢神経の疾病(例えば,限定されないが,シャルコー・マリー・ツース病,ドゥジュリーヌ・ソッタ病,およびフリートライヒ運動失調),他のミオパシー(例えば,限定されないが,先天性ミオトニー,先天性パラミオトニア,中心コア病,ネマリンミオパシー,筋細管ミオパシー,および周期性麻痺),および筋肉の代謝性疾病(例えば,限定されないが,ホスホリラーゼ欠損症,酸性マルターゼ欠損症,ホスホフルクトキナーゼ欠損症,脱分枝酵素欠損症,ミトコンドリアミオパシー,カルニチン欠損症,カルニチンパルマチルトランスフェラーゼ欠損症,ホスホグリセレートキナーゼ欠損症,ホスホグリセレートムターゼ欠損症,乳酸脱水素酵素欠損症,およびミオアデニレートデアミナーゼ欠損症)。
【0045】
B−Rafおよび/またはc−Raf−1の調節は以下に関連する:神経疾患,例えば,限定されないが,多発脳梗塞性痴呆,頭部損傷,脊髄損傷,アルツハイマー病(AD),パーキンソン病;新生物疾病,例えば,限定されないが,黒色腫,神経膠腫,肉腫,癌腫(例えば,結腸直腸,肺,乳,膵臓,甲状腺,腎臓,卵巣),リンパ腫(例えば,細網肉腫)神経線維腫症,急性骨髄性白血病,脊髄形成異常症候群,白血病,腫瘍血管新生,神経内分泌性腫瘍例えば,髄質甲状腺癌,カルチノイド,小細胞肺癌および褐色細胞腫;神経障害性または炎症性由来の痛み,例えば,限定されないが,急性の痛み,慢性痛,癌性頭痛,および片頭痛;心臓血管疾病,例えば,限定されないが,心不全,虚血性脳卒中,心肥大,血栓症(例えば,血栓性細小血管症症候群),アテローム性動脈硬化症,および再灌流障害;炎症,例えば,限定されないが,乾癬,関節炎および自己免疫疾患および状態,変形性関節症,子宮内膜症,瘢痕症,血管再狭窄,線維性疾患,慢性関節リウマチ,炎症性腸疾患(IBD);免疫不全疾患,例えば,限定されないが,臓器移植拒絶,移植片対宿主疾患;腎臓または前立腺の疾患,例えば,限定されないが,糖尿病性ネフロパシー,多発性嚢胞腎症,腎硬化症,糸球体腎炎,前立腺過形成;代謝性疾患,例えば,限定されないが,肥満;感染,例えば,限定されないが,ヘリコバクターピロリ,肝炎およびインフルエンザウイルス,発熱,および敗血症;肺疾病,例えば,限定されないが,慢性閉塞性肺疾患(COPD)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS);遺伝的発達障害,例えば,限定されないが,ヌーナン症候群,コステロ症候群,(顔面皮膚骨格症候群),LEOPARD症候群,心顔面皮膚症候群(CFC),および神経堤症候群,心臓血管,骨格,腸,皮膚,毛髪および内分泌疾病を引き起こす異常。
【0046】
別の観点および態様は下記の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0047】
好ましい態様の詳細な説明
本明細書において用いる場合,特に示さない限り以下の定義が適用される。
【0048】
"ハロゲン"とは,すべてのハロゲン,すなわち,クロロ(Cl),フルオロ(F),ブロモ(Br),またはヨード(I)を表す。
【0049】
"ヒドロキシル"または"ヒドロキシ"とは,−OH基を表す。
【0050】
"チオール"とは,−SH基を表す。
【0051】
"低級アルキル"とは,単独でも組み合わせでも,アルカンから誘導される,1−6個の炭素原子(特に記載しない限り)を含むラジカルを意味し,直鎖アルキルまたは分枝鎖のアルキルが含まれる。直鎖または分枝鎖のアルキル基は,任意の利用可能な点で結合して安定な化合物を生ずる。多くの態様において,低級アルキルは,1−6個,1−4個,または1−2個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖のアルキル基であり,例えば,メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,t−ブチル等が挙げられる。"置換低級アルキル"とは,独立して,任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずる1またはそれ以上の,好ましくは1,2,3,4または5個の,あるいは1,2,または3個の置換基で置換された低級アルキルを表す。例えば,"フルオロ置換低級アルキル"とは,ペルフルオロアルキル等の1またはそれ以上のフルオロ原子で置換された低級アルキル基を表し,ここで,好ましくは,低級アルキルは,1,2,3,4または5個のフルオロ原子,あるいは1,2,または3個のフルオロ原子で置換されている。置換は任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずるようなものであり,任意に置換されていてもよいアルキルが−OR,−NHR,−C(O)NHR等の成分のR基である場合,アルキルのR基の置換は,その成分の任意の−O−,−S−,または−N−(−N−がヘテロアリール環原子である場合を除く)に結合しているアルキル炭素の置換が,置換基の任意の−O−,−S−,または−N−(−N−がヘテロアリール環原子である場合を除く)がその成分の任意の−O−,−S−,または−N−に結合しているアルキル炭素に結合することとなる置換基を含まないようなものであることが理解される。
【0052】
“低級アルケニル”とは,単独でまたは組み合わせて,2−6個の炭素原子(特に記載しない限り),および少なくとも1つの,好ましくは1−3個の,より好ましくは1−2個の,最も好ましくは1個の炭素−炭素二重結合を含む直鎖または分枝鎖の炭化水素を意味する。炭素−炭素二重結合は,直鎖中に含まれていても分枝鎖中に含まれていてもよい。低級アルケニル基の例としては,エテニル,プロペニル,イソプロペニル,ブテニル等が挙げられる。"置換低級アルケニル"とは,独立して,任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずる1またはそれ以上の,好ましくは1,2,3,4または5個の,あるいは1,2,または3個の置換基で置換されている低級アルケニルを表す。例えば,“フルオロ置換低級アルケニル”とは,1またはそれ以上のフルオロ原子で置換されている低級アルケニル基を表し,ここで,好ましくは低級アルケニルは1,2,3,4または5個のフルオロ原子,あるいは1,2,または3フルオロ原子で置換されている。任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずるものであることが理解されるが,アルケニル基の置換は,−F,−C(O)−,−C(S)−,−C(NH)−,−S(O)−,−S(O)−,−O−,−S−,またはN(Nがヘテロアリールの環原子である場合を除く)がそのアルケン炭素に結合していないようなものである。さらに,アルケニルが,別の成分の置換基であるかまたは−OR,−NHR,−C(O)R等の成分のR基である場合,成分の置換は,その−C(O)−,−C(S)−,−S(O)−,−S(O)−,−O−,−S−,またはN(Nがヘテロアリールの環原子である場合を除く)がアルケニル置換基またはR基のアルケン炭素に結合していないようなものである。さらに,アルケニルが別の成分の置換基であるかまたは−OR,−NHR,−C(O)NHR等の成分のR基である場合,アルケニルのR基の置換は,その成分の任意のO,S,またはN(Nがヘテロアリールの環原子である場合を除く)に結合しているアルケニル炭素の置換に,置換基の任意のO,S,またはN(Nがヘテロアリールの環原子である場合を除く)がその成分の任意のO,S,またはNに結合しているアルケニル炭素に結合することとなる置換基が含まれないようなものである。“アルケニル炭素”とは,アルケニル基の中の任意の炭素を表し,飽和であっても炭素−炭素二重結合の一部であってもよい。“アルケン炭素”とは,アルケニル基の中の炭素−炭素二重結合の一部である炭素を表す。
【0053】
“低級アルキニル”とは,単独でまたは組み合わせて,2−6個の炭素原子(特に記載しない限り)を含み,少なくとも1つの,好ましくは1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖または分枝鎖の炭化水素を意味する。低級アルキニル基の例としては,エチニル,プロピル,ブチニル等が挙げられる。"置換低級アルキニル"とは,独立して,任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずる1またはそれ以上の,好ましくは1,2,3,4または5個の,あるいは1,2,または3個の置換基で置換されている低級アルキニルを表す。例えば,“フルオロ置換低級アルキニル”とは,1またはそれ以上のフルオロ原子で置換されている低級アルキニル基を表し,ここで,好ましくは低級アルキニルは1,2,3,4または5個のフルオロ原子,あるいは1,2,または3フルオロ原子で置換されている。任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずるものであることが理解されるが,アルキニル基の置換は,−F,−C(O)−,−C(S)−,−C(NH)−,−S(O)−,−S(O)−,−O−,−S−,またはN(Nがヘテロアリールの環原子である場合を除く)がそのアルキン炭素に結合していないようなものである。さらに,アルキニルが,別の成分の置換基であるかまたは−OR,−NHR,−C(O)R等の成分のR基である場合,成分の置換は,その−C(O)−,−C(S)−,−S(O)−,−S(O)−,−O−,−S−,またはN(Nがヘテロアリールの環原子である場合を除く)がアルキニル置換基またはR基のアルキン炭素に結合していないようなものである。さらに,アルキニルが別の成分の置換基であるかまたは−OR,−NHR,−C(O)NHR等の成分のR基である場合,アルキニルのR基の置換は,その成分の任意のO,S,またはN(Nがヘテロアリールの環原子である場合を除く)に結合しているアルキニル炭素の置換に,置換基の任意のO,S,またはN(Nがヘテロアリールの環原子である場合を除く)がその成分の任意のO,S,またはNに結合しているアルキニル炭素に結合することとなる置換基が含まれないようなものである。“アルキニル炭素”とは,アルキニル基の中の任意の炭素を表し,飽和であっても炭素−炭素三重結合の一部であってもよい。“アルキン炭素”とは,アルキニル基の中の炭素−炭素三重結合の一部である炭素を表す。
【0054】
"シクロアルキル"とは,1つの環につき3−10個,または3−8個,より好ましくは3−6個の環メンバーを有する,飽和または不飽和の,非芳香族性の,単環,二環または三環の炭素環系を表し,例えば,シクロプロピル,シクロペンチル,シクロヘキシル,アダマンチル等が挙げられる。"置換シクロアルキル"は,特に記載しない限り,独立して,1またはそれ以上の,好ましくは1,2,3,4または5個の,あるいは1,2,または3個の,任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずる置換基で置換されたシクロアルキルである。
【0055】
"ヘテロシクロアルキル"とは,5−10個の原子を有し,環中の1−3個の炭素原子がO,SまたはNの複素原子で置き換えられている,飽和または不飽和の,非芳香族性シクロアルキル基を表し,任意にベンゾまたは5−6員環のヘテロアリールと縮合していてもよい。また,ヘテロシクロアルキルは,酸化されたSまたはN,例えばスルフィニル,スルホニルおよび三級環窒素のN−オキシドを含むことが意図される。また,ヘテロシクロアルキルは,環炭素がオキソ置換されていてもよい化合物,すなわち,環炭素がカルボニル基である化合物,例えばラクトンおよびラクタムを含むことが意図される。ヘテロシクロアルキル環の結合点は,安定な環が保持されるような炭素または窒素原子である。ヘテロシクロアルキル基の例としては,限定されないが,モルホリノ,テトラヒドロフラニル,ジヒドロピリジニル,ピペリジニル,ピロリジニル,ピロリジニル,ピペラジニル,ジヒドロベンゾフリル,およびジヒドロインドリルが挙げられる。"置換ヘテロシクロアルキル"とは,特に記載しない限り,独立して,1またはそれ以上の,好ましくは1,2,3,4または5個の,あるいは1,2,または3個の,任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずる置換基で置換されたヘテロシクロアルキルである。
【0056】
"アリール"とは,単独でも組み合わせでも,芳香族性炭化水素を含有する単環のまたは二環の環系を表し,例えば,フェニルまたはナフチルが挙げられ,これは任意に,好ましくは5−7,より好ましくは5−6員環のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルと縮合していてもよい。"置換アリール"は,特に記載しない限り,独立して,1またはそれ以上の,好ましくは1,2,3,4または5個の,または1,2,または3個の,任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずる置換基で置換されたアリールである。
【0057】
"ヘテロアリール"とは,単独でも組み合わせでも,5または6個の環原子を含有する単環の芳香族性環構造,または8−10個の原子を有する二環の芳香族基を表し,独立してO,S,およびNからなる群より選択される,1またはそれ以上の,好ましくは1−4個,より好ましくは1−3個,さらにより好ましくは1−2個の複素原子を含有する。また,ヘテロアリールは,酸化されたSまたはN,例えば,スルフィニル,スルホニルおよび三級環窒素のN−オキシドを含むことが意図される。安定な化合物が生成するような炭素または窒素原子がヘテロアリール環構造の結合点である。ヘテロアリール基の例としては,限定されないが,ピリジニル,ピリダジニル,ピラジニル,キナオキサリル,インドリジニル,ベンゾ[b]チエニル,キナゾリニル,プリニル,インドリル,キノリニル,ピリミジニル,ピロリル,ピラゾリル,オキサゾリル,チアゾリル,チエニル,イソオキサゾリル,オキサチアジアゾリル,イソチアゾリル,テトラゾリル,イミダゾリル,トリアゾリル,フラニル,ベンゾフリル,およびインドリルが挙げられる。"窒素含有ヘテロアリール"とは,いずれかの複素原子がNであるヘテロアリールを表す。"置換ヘテロアリール"とは,特に記載しない限り,独立して,1またはそれ以上の,好ましくは1,2,3,4または5個の,または1,2,または3個の,任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずる置換基で置換されたヘテロアリールである。
【0058】
"低級アルコキシ"とは,−OR基を表し,ここでRは低級アルキルである。"置換低級アルコキシ"とは,Rが任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずる,本明細書(例えば,式I,式IIまたは式IIIの化合物の説明,例えば,置換シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールの説明)に記載される1またはそれ以上の置換基で置換されている低級アルキルである低級アルコキシを表す。好ましくは,低級アルコキシの置換は,1,2,3,4,または5個の置換基,あるいは1,2,または3個の置換基による。例えば,"フルオロ置換低級アルコキシ"とは,低級アルキルが1またはそれ以上のフルオロ原子で置換されている低級アルコキシを表し,ここで,好ましくは,低級アルコキシは,1,2,3,4または5個のフルオロ原子,あるいは1,2,または3個のフルオロ原子で置換されている。アルコキシ上の置換は,任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずるようなものであり,アルコキシの置換は,−O−,−S−,または−N−(Nがヘテロアリール環原子である場合を除く)が,アルコキシの−O−に結合しているアルキル炭素に結合しないようなものであることが理解される。さらに,アルコキシが別の成分の置換基として記述されている場合,アルコキシの酸素は,他の成分の−O−,−S−,または−N−(Nがヘテロアリール環原子である場合を除く)に,または他の成分のアルケンまたはアルキン炭素に結合している炭素原子には結合していない。
【0059】
"低級アルキルチオ"とは,基−SRaaを表し,ここで,Raaは低級アルキルである。"置換低級アルキルチオ"とは,Raaが任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずる,本明細書(例えば,式I,式IIまたは式IIIの化合物の説明,例えば,置換シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールの説明)に記載される1またはそれ以上の置換基で置換されている低級アルキルである低級アルキルチオを表す。好ましくは,低級アルキルチオの置換は,1,2,3,4,または5個の置換基,あるいは1,2,または3個の置換基による。例えば,"フルオロ置換低級アルキルチオ"とは,低級アルキルが1またはそれ以上のフルオロ原子で置換されている低級アルキルチオを表し,ここで,好ましくは,低級アルキルチオは,1,2,3,4または5個のフルオロ原子,あるいは1,2,または3個のフルオロ原子で置換されている。アルキルチオ上の置換は,任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずるようなものであり,アルキルチオの置換は,−O−,−S−,または−N−(Nがヘテロアリール環原子である場合を除く)が,低級アルキルチオの−S−に結合しているアルキル炭素に結合しないようなものであることが理解される。さらに,アルキルチオが別の成分の置換基として記述されている場合,アルキルチオのイオウは,他の成分の−O−,−S−,または−N−(Nがヘテロアリール環原子である場合を除く),または他の成分のアルケンまたはアルキン炭素に結合している炭素原子には結合していない。
【0060】
"アミノ"または"アミン"とは,基−NHを表す。"モノ−アルキルアミノ"とは,基−NHRbbを表し,ここで,Rbbは低級アルキルである。"ジ−アルキルアミノ"とは,基−NRbbccを表し,ここで,RbbおよびRccは,独立して,低級アルキルである。"シクロアルキルアミノ"とは,基−NRddeeを表し,ここで,RddおよびReeは,窒素と一緒になって,5−7員のヘテロシクロアルキルを形成し,ここで,ヘテロシクロアルキルは,環中に追加の複素原子,例えばO,N,またはSを含んでいてもよく,さらに低級アルキルで置換されていてもよい。5−7員のヘテロシクロアルキルの例としては,限定されないが,ピペリジン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,モルホリン,およびチオモルホリンが挙げられる。モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,またはシクロアルキルアミノが他の成分の置換基である場合には,任意の利用可能な原子に結合して安定な化合物を生ずることが理解されるが,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,またはシクロアルキルアミノの置換基としての窒素は,他の成分のO,S,またはNに結合している炭素原子には結合しない。
【0061】
本明細書において用いる場合,"組成物"との用語は,意図される動物被験者に治療目的で投与するのに適した,少なくとも1つの薬学的に活性な化合物および少なくとも1つの薬学的に許容しうる担体または賦形剤を含む製剤を表す。
【0062】
"薬学的に許容しうる"との用語は,示される物質が,合理的に慎重な医師が治療すべき疾病または状態およびそれぞれの投与の経路を考慮して,その物質を患者に投与することを避けるような特性を有しないことを示す。例えば,そのような物質は例えば注射剤用には本質的に無菌であることが一般に要求される。
【0063】
本発明の文脈においては,"治療上有効量"または"有効量"との用語は,疾病または医学的状態の1またはそれ以上の症状を予防,緩和,または改善するか,および/または治療中の被験者の生存を長くするのに有効な物質または物質の量を示す。
【0064】
本発明の文脈においては,“相乗的に有効”または“相乗的効果”との用語は,2種類またはそれ以上の治療上有効な化合物が組み合わせて用いられるときに,それぞれの化合物がそれ自体で用いられた場合の効果に基づいて期待される相加効果より高い改良された治療効果を与えることを示す。
【0065】
本明細書において用いる場合,“リガンド”および“調節剤”との用語は,標的生物分子,例えば,キナーゼ等の酵素の活性を変化(すなわち増加または減少)させる化合物を表すために同等に用いられる。一般に,リガンドまたは調節剤は小分子であり,ここで,小分子とは,分子量が1500ダルトン以下,好ましくは1000ダルトン以下,800ダルトン以下,または600ダルトン以下の化合物を表す。すなわち,“改良されたリガンド”とは,参照化合物より優れた薬理学的および/または薬物動態学的特性を有するものであり,ここで,“優れた”とは,特定の生物学的システムまたは治療用途について関連する技術分野の当業者が定義することができる。
【0066】
標的に結合する化合物の文脈において,“より高い親和性”および"選択的"との用語は,化合物が参照化合物より,または参照条件下の同じ化合物より強く,すなわちより低い解離定数で結合することを示す。ある態様においては,より高い親和性は,少なくとも2,3,4,5,8,10,50,100,200,400,500,1000,または10,000倍高い親和性である。
【0067】
本明細書において本発明の化合物に関連して用いる場合,“合成する”との用語および同様の用語は,1またはそれ以上の前駆体物質から化学合成することを意味する。
【0068】
“アッセイする”とは,実験条件を構築し,その実験条件の特定の結果についてのデータを集めることを意味する。例えば,酵素は,検出可能な基質に対して作用するその能力に基づいてアッセイすることができる。化合物またはリガンドは,特定の標的分子(単数または複数)に結合するその能力に基づいてアッセイすることができる。
【0069】
本明細書において用いる場合,“調節”または“調節する”との用語は,生物学的活性,特に蛋白質キナーゼ等の特定の生物分子に関連する生物学的活性を変化させる効果を表す。例えば,特定の生物分子のアゴニストまたはアンタゴニストは,酵素などの生物分子の活性を増加(例えば,アゴニスト,アクチベータ),または減少(例えば,アンタゴニスト,阻害剤)させることにより,その生物分子,例えば酵素の活性を調節する。このような活性は,典型的には,例えば酵素の阻害剤またはアクチベータに対する化合物の,それぞれ阻害濃度(IC50)または効果濃度(EC50)として表される。
【0070】
本発明は,蛋白質キナーゼの調節剤である式Iおよび全ての準一般式の化合物,式IIおよび全ての準一般式の化合物および式IIIおよび全ての準一般の化合物に関し,例えば,限定されないが,化合物は,A−Raf,B−Raf,c−Raf−1,およびこれらの任意の変異体からなる群より選択される少なくとも1つのキナーゼの調節剤であり,ならびにこのような化合物を疾病または状態の治療において使用することに関する。
【0071】
キナーゼ標的および本発明の適応症
蛋白質キナーゼは,生化学的シグナルを様々な生物学的経路に伝播する上で鍵となる役割を果たす。500種を超えるキナーゼが記述されており,特定のキナーゼは広範な疾病または状態(すなわち適応症),例えば,限定されないが,癌,心臓血管疾患,炎症性疾患,神経学的疾患,および他の疾病に関与することが示唆されている。このように,キナーゼは小分子による治療介入のための重要な制御ポイントである。本発明により企図される特定の標的蛋白質キナーゼについて以下に説明する。
【0072】
A−Raf:標的キナーゼB−Raf(すなわち,v−rafネズミ肉腫3611ウイルスオンコジンホモログ1)は,67.6kDaのセリン/トレオニンキナーゼであり,染色体Xp11.4−p11.2(記号:ARAF)にコードされる。成熟蛋白質は,RBD(すなわちRas結合ドメイン)およびホルボルエステル/DAG型ジンクフィンガードメインを含み,細胞膜から核への有糸分裂シグナルの伝達に関与する。A−Rafの阻害剤は,神経疾患,例えば,多発脳梗塞性痴呆,頭部損傷,脊髄損傷,アルツハイマー病(AD),パーキンソン病;新生物疾病,例えば,限定されないが,黒色腫,神経膠腫,肉腫,癌腫(例えば,結腸直腸,肺,乳,膵臓,甲状腺,腎臓,卵巣),リンパ腫(例えば,細網肉腫),神経線維腫症,脊髄形成異常症候群,白血病,腫瘍血管新生;神経障害性または炎症性由来の痛み,例えば,急性の痛み,慢性痛,癌性頭痛および片頭痛;および筋肉の再生および変性に関連する疾病,例えば,限定されないが,血管再狭窄,サルコペニア,筋ジストロフィー(例えば,限定されないが,デュシェーヌ,ベッカー型,エメリー・ドライフス,肢帯筋,顔面肩甲上腕筋,筋緊張性,眼咽頭筋,遠位および先天性筋ジストロフィー),運動ニューロン疾病(例えば,限定されないが,筋萎縮性側索硬化症,乳児進行性脊髄性筋萎縮,中間脊髄性筋萎縮,若年性脊髄性筋萎縮,らせん球筋萎縮,および成人脊髄性筋萎縮),炎症性ミオパシー(例えば,限定されないが,皮膚筋炎,多発性筋炎,および封入体筋炎),神経筋接合部の疾病(例えば,限定されないが,重症筋無力症,ランバート・イートン症候群,および先天性筋無力症症候群),分泌異常に起因するミオパシー(例えば,限定されないが,甲状腺機能亢進性ミオパシーおよび甲状腺機能低下性ミオパシー)末梢神経の疾病(例えば,限定されないが,シャルコー・マリー・ツース病,ドゥジュリーヌ・ソッタ病,およびフリートライヒ運動失調),他のミオパシー(例えば,限定されないが,先天性ミオトニー,先天性パラミオトニア,中心コア病,ネマリンミオパシー,筋細管ミオパシー,および周期性麻痺),および筋肉の代謝性疾病(例えば,限定されないが,ホスホリラーゼ欠損症,酸性マルターゼ欠損症,ホスホフルクトキナーゼ欠損症,脱分枝酵素欠損症,ミトコンドリアミオパシー,カルニチン欠損症,カルニチンパルマチルトランスフェラーゼ欠損症,ホスホグリセレートキナーゼ欠損症,ホスホグリセレートムターゼ欠損症,乳酸脱水素酵素欠損症,およびミオアデニレートデアミナーゼ欠損症)の治療に有用でありうる。
【0073】
B−Raf:標的キナーゼB−Raf(すなわち,v−rafネズミ肉腫ウイルスオンコジンホモログB1)は,染色体7q34によりコードされる84.4kDaのセリン/トレオニンキナーゼである(記号:BRAF)。成熟蛋白質は,RBD(すなわち,Ras結合ドメイン),C1(すなわち,蛋白質キナーゼC保存領域1)およびSTK(すなわち,セリン/トレオニンキナーゼ)ドメインを含む。
【0074】
標的キナーゼB−Rafは,細胞膜から核への有糸分裂シグナルの伝達に関与しており,海馬ニューロンのシナプス後応答において役割を果たすことができる。RAFファミリーの遺伝子はRasにより制御されて成長シグナルに対する細胞応答を媒介するキナーゼをコードする。実際,B−Rafキナーゼは,RAS−>Raf−>MEK−>ERK/MAPキナーゼシグナリング経路の鍵となる成分であり,細胞成長,分裂および増殖の制御において基本的な役割を果たし,構成的に活性化されると,腫瘍発生を引き起こす。Rafキナーゼのいくつかのアイソフォームのうち,B−タイプないしB−Rafは,下流のMAPキナーゼシグナリングの最も強いアクチベータである。
【0075】
BRAF遺伝子は種々のヒト腫瘍,特に悪性黒色腫および結腸癌腫においてしばしば変異している。最も一般的に報告されている変異は,ヌクレオチド1796のミスセンスのチミン(T)からアデニン(A)への変化であり(T1796A;B−Raf蛋白質におけるアミノ酸変化はVal<600>からGlu<600>),悪性黒色腫腫瘍の80%に認められる。機能分析によって,この変化はRAS活性化に非依存性で,B−Rafを優性のトランスフォーミング蛋白質に変換することにより,B−Rafキナーゼ活性の構成的活性化を引き起こす,検出される唯一の変異であることが明らかになった。先例によれば,ヒト腫瘍は触媒ドメイン中の“門番”としての特定のアミノ酸を変異されることにより,キナーゼ阻害剤に対して耐性を獲得する(Balak,et.al.,ClinCancerRes.2006,12:6494−501)。したがって,BRAF中のThr−529のIleへの変異は,BRAF阻害剤に対する耐性のメカニズムであると予測され,これはコドン529のACCからATCへの変化と想定することができる。
【0076】
Niihoriらは,心顔面皮膚(CFC)症候群をもつ43名のうち,3名で2つのヘテロ接合体KRAS変異を,16名で8つのBRAF変異を同定したことを報告しており,このことは,RAS−RAF−ERK経路の脱制御が3つの関連する疾患に共通する分子的基礎であることを示唆する(Niihori et al.,Nat Genet.2006,38(3):294−6)。
【0077】
c−Raf−1:標的キナーゼc−Raf−1(すなわち,v−rafネズミ肉腫ウイルスオンコジンホモログ1)は,染色体3p25によりコードされる73.0kDaのSTKである(記号:RAF1)。c−Raf−1は,アポトーシス細胞死のレギュレーターであるBCL2(すなわち,オンコジンB細胞白血病2)によりミトコンドリアにターゲティングされることができる。活性なc−Raf−1は,BCL2媒介性のアポトーシスに対する耐性を増強させ,c−Raf−1はBAD(すなわち,BCL2結合蛋白質)をリン酸化する。c−Raf−1は,癌腫,例えば,結腸直腸,卵巣,肺および腎臓細胞癌腫における関与が示唆されている。C−Raf−1はまた,腫瘍血管新生の重要なメディエータとして示唆されている(Hood et al.,2002,Science 296,2404)。C−Raf−1阻害剤はまた,急性骨髄性白血病および脊髄形成異常症候群の治療に有用であるかもしれない(Crump,Curr Pharm Des 2002,8(25):2243−8)。Raf−1のアクティベータは,神経内分泌腫瘍,例えば,髄質甲状腺癌,カルチノイド,小細胞肺癌および褐色細胞腫の治療に有用であるかもしれない(Kunnimalaiyaan et al.,Anti Cancer Drugs 2006,17(2):139−42)。
【0078】
B−Rafおよび/またはC−Raf−1阻害剤は,神経疾患,例えば,多発脳梗塞性痴呆,頭部損傷,脊髄損傷,アルツハイマー病(AD),パーキンソン病;新生物疾病,例えば,限定されないが,黒色腫,神経膠腫,肉腫,癌腫(例えば,結腸直腸,肺,乳,膵臓,甲状腺,腎臓,卵巣),リンパ腫(例えば,細網肉腫)神経線維腫症,急性骨髄性白血病,脊髄形成異常症候群,白血病,腫瘍血管新生,神経内分泌性腫瘍,例えば,髄質甲状腺癌,カルチノイド,小細胞肺癌および褐色細胞腫;神経障害性または炎症性由来の痛み,例えば,急性の痛み,慢性痛,癌性頭痛,および片頭痛;心臓血管疾病,例えば,心不全,虚血性脳卒中,心肥大,血栓症(例えば,血栓性細小血管症症候群),アテローム性動脈硬化症,再灌流障害;炎症,例えば,限定されないが,乾癬,関節炎および自己免疫疾患および状態,変形性関節症,子宮内膜症,瘢痕症,血管再狭窄,線維性疾患,慢性関節リウマチ,炎症性腸疾患(IBD);免疫不全疾患,臓器移植拒絶,移植片対宿主疾患;腎臓または前立腺の疾患,例えば,糖尿病性ネフロパシー,多発性嚢胞腎症,腎硬化症,糸球体腎炎,前立腺過形成;代謝性疾患,肥満;感染,例えば,限定されないが,ヘリコバクターピロリ,肝炎およびインフルエンザウイルス,発熱,敗血症;肺疾病,例えば,慢性閉塞性肺疾患(COPD)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS);遺伝的発達障害,例えば,ヌーナン症候群,コステロ症候群,(顔面皮膚骨格症候群),LEOPARD症候群,心顔面皮膚症候群(CFC),および神経堤症候群,心臓血管,骨格,腸,皮膚,毛髪および内分泌疾病を引き起こす異常の治療に有用でありうる。
【0079】
キナーゼ活性アッセイ
活性な調節剤をアッセイするために,および/または特定のキナーゼまたはキナーゼ群に対する調節剤の特異性を判定するために,多くの異なるキナーゼ活性のアッセイを用いることができる。以下の実施例に記載されるアッセイに加えて,当業者は,利用可能な他のアッセイを知っており,かつ,特定の用途に対してアッセイを改変することができる。例えば,キナーゼに関する非常に多くの論文が,使用可能なアッセイを記述している。
【0080】
さらに別のアッセイは結合の測定を利用することができる。例えば,この種のアッセイは,蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)フォーマットで,或いは,アルファスクリーン(AlphaScreen)(増幅型ルミネッセンス・プロキシミティ・ホモジニアス・アッセイ)フォーマットを用いて,ストレプトアビジンまたはリン特異抗体へ結合された,ドナーおよびアクセプター試薬を変えることにより,フォーマットすることが可能である。
【0081】
有機合成技術
当該技術分野には,潜在的な調節剤の構築を容易にする広範な範囲の有機合成法が存在する。これらの有機合成法の多くは,当業者が用いる標準的な参考書に詳細に記載されている。そのような参考書の一例は,March,1994,Advanced Organic Chemistry;Reactions,Mechanisms and Structure,New York,McGrawHillである。すなわち,キナーゼ機能の潜在的調節剤を合成するのに有用な手法は,有機化学合成の当業者には容易に利用可能である。
【0082】
さらに別の形の化合物または誘導体
本明細書において企図される化合物は,一般式および特定の化合物の両方を参照して記載される。さらに,本発明の化合物は,多くの異なる形または誘導体の形で存在することができ,これらはすべて本発明の範囲内に含まれる。別の形または誘導体,例えば,(a)異性体,プロドラッグ,および活性な代謝産物,(b)互変異性体,立体異性体,位置異性体,および溶媒和物形,(c)プロドラッグおよび代謝産物,(d)薬学的に許容しうる塩,および(e)多型は,例えば,米国特許出願11/473,347(PCT公開WO2007002433も参照)(その開示の全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0083】
投与
本発明の方法および化合物は,典型的には,ヒト被験者の治療に用いられる。しかしながら,これらは他の動物被験者において,類似のまたは同一の適応症を治療するためにも用いることができる。この文脈において,"被験者","動物被験者"および同様の用語は,ヒトおよび非ヒト脊椎動物,例えば,非ヒト霊長類,スポーツおよび商用動物,例えば,ウシ,ウマ,ブタ,ヒツジ,齧歯類,およびペット,例えばイヌおよびネコ等の哺乳動物を表す。可能な方法および投与の経路の説明は,例えば,米国特許出願11/473,347(PCT公開WO2007002433も参照)(その開示の全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【実施例】
【0084】
本発明を例示する多数の実施例を以下に記載する。ほとんどの場合,代替手法を用いることもできる。実施例は例示を意図したものであり,本発明の範囲を限定ないし制限するものではない。そうではないと特に示さないかぎり,実施例の項において化合物番号に"P−"が付いたもの(例えば"P−0001")ではない場合,化合物の命名および/または列挙は,本明細書の別の項において用いられる命名および/または列挙とは関連していない。同様に,実施例中の構造および置換基の命名および列挙は,特に明示しないかぎり,本明細書の上述の項における構造および置換基の命名および列挙とは独立したものである。
【0085】
下記の実施例においては,用いられるかまたは示唆される溶媒および試薬は限定的ではなく,当業者に知られる溶媒および試薬で適宜置き換えることができることが理解される。反応生成物は,当該技術分野において知られる手段,例えば,適当な溶媒による抽出,適当な溶媒からの沈殿,適当な溶媒系を用いるクロマトグラフィー,例えば,シリカゲルカラムクロマトグラフィー,HPLC,調製的TLC等により単離することができる。本発明の化合物を合成する例示的方法は,米国特許出願11/473,347(PCT公開WO2007002433も参照)(その開示は参照として本明細書に組み込まれる)に見いだすことができる。実施例に記載される1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンコア化合物は,実施例において7−アザインドールとも称される。
【0086】
実施例1.式Xの化合物の合成
【化7】

工程1−式XcおよびXdの化合物の製造
式Xaの化合物(Rは発明の概要の式Iで定義したとおりである)および式Xbの化合物(Yは式I,式IIまたは式IIIの化合物と同じであり,例えば,Yは:
【化8】

であり,ここで,RおよびRは,発明の概要の式Iで定義したとおりであり,Rは発明の概要の式IIIで定義したとおりであり,ここで,
【化9】

はカルボニル炭素への結合点を示す)
に,適当な溶媒(例えばメタノール)を加え,次に適当な塩基(例えば,水酸化カリウム,ナトリウムメトキシド)を加える。反応液を典型的には室温で一晩撹拌する。慣用の方法(例えば,抽出,洗浄および濾過)により単離して,式Xcの化合物を含む混合物を取得し,これは所望ならばシリカゲルクロマトグラフィーにより単離することができる。
【0087】
工程2−式Xの化合物の製造
適当な溶媒(例えば,テトラヒドロフラン)中の式Xcの化合物に,酸化剤(例えば,デスマーチンペルヨージナン,TEMPO,DDQ)を加える。典型的には,反応液を室温で20分間撹拌する。慣用の方法(例えば,抽出およびシリカゲルカラムクロマトグラフィー)により単離して,式Xの化合物を得る。
【0088】
実施例2.:式Xの化合物の合成
【化10】

工程−1−式Xの化合物の合成
式Xの化合物は,式Xaの化合物(実施例1を参照)を式Xdの化合物(Yは実施例1で定義したとおりである),例えば,塩化ベンゾイルと,ルイス酸(例えば,三塩化アルミニウム)の存在下で,不活性溶媒(例えば,ジクロロメタン)中で不活性雰囲気(例えば,アルゴン)下で,室温でまたは還流温度まで加熱して1−18時間反応させることにより合成する。所望の化合物Xは,抽出およびシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離する。
【0089】
実施例3.:式Xの化合物の合成
【化11】

工程−1−Xeの化合物の合成
式Xeの化合物は,式Xaの化合物(実施例1を参照)を,ヘキサメチルテトラミンおよび酢酸と,水中で2時間加熱還流して反応させることにより合成することができる。冷却した後,所望の化合物が沈殿し,これを濾過により回収することができる。
【0090】
工程−2−式Xfの化合物の合成
Pは窒素保護基である式Xfの化合物は,化合物Xeを,官能基を導入する適当な試薬(例えば,塩化トリイソプロピルシリル)および塩基(例えば,水素化ナトリウム)と,溶媒(例えば,テトラヒドロフラン)中で,典型的には室温で8−12時間反応させることにより合成する。所望の化合物は慣用の方法(例えば,抽出)により単離する。
【0091】
工程−3−式Xhの化合物の合成
式Xhの化合物は,溶媒(例えば,テトラヒドロフラン)中の式Xfの化合物を,有機リチウム試薬(例えば,フェニルリチウム)と,溶媒(例えば,テトラヒドロフラン)中で,不活性雰囲気下で,−78℃に冷却して反応させることにより合成する。適当な有機リチウム試薬は,式Xgの化合物(式中,Y
【化12】

または−R(ここで,
【化13】

はスルホンへの結合点を示す),R,RおよびRは実施例1において定義したとおりである)
を,有機リチウム試薬(例えば,ブチルリチウム)と,溶媒(例えば,テトラヒドロフラン)中で,不活性雰囲気下で−78℃に冷却して反応させることにより製造してもよい。典型的には,反応液を室温まで暖め,30分間撹拌する。所望の化合物は慣用の方法(例えば,抽出)により単離する。
【0092】
工程−4−式Xの化合物の中間体の合成
式Xの化合物の中間体は,式Xhの化合物を適当な溶媒(例えば,テトラヒドロフラン)中で適当な試薬と反応させて,保護基P(例えばフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム)を除去することにより合成する。最終生成物は標準的な方法(例えば抽出)により単離する。
【0093】
工程−5−式Xの化合物の合成
式Xの化合物は,工程4からの中間体を,酸化剤(例えば,デスマーチンペルヨージナン,TEMPO)と,非プロトン性溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中で,典型的には室温で20分間反応させることにより合成する。所望の化合物は慣用の方法(例えば,抽出およびシリカゲルクロマトグラフィー)により単離する。
【0094】
実施例4:5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン22の合成
5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン22は,スキーム7に記載されるようにして,5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン1から1工程で合成した。
スキーム7
【化14】

【0095】
工程1−5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(22)の製造:
水(13.0mL)およびアセトニトリル(36mL)中の5−ブロモ−7−アザインドール(1,1.00g,5.08mmol)に,ピリジン−3−ボロン酸(21,1.0g,8.1mmol),炭酸カリウム(1.79g,0.0130mol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(50.0mg,0.043mmol)を窒素雰囲気下で加えた。反応混合物を170℃で一晩加熱した。反応混合物を水に注加し,酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し,ヘキサン中25%酢酸エチルで溶出して,淡黄色固体(22,820mg,82%)を得た。MS(ESI)[M+H=196.1
【0096】
さらに別の化合物は,スキーム7のプロトコルにしたがって,ピリジン−3−ボロン酸の代わりに適当なボロン酸を用いるか,または5−ブロモ−7−アザインドールの代わりに5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを用い,適当なアリールまたはヘテロアリールハロゲン化物と反応させることにより(すなわち,アザインドール上のボロン酸エステルと,アザインドールの5位にカップリングさせるべき基のハロゲン化物とのカップリング)製造した。この方法により,以下の化合物を製造した:
5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(34),
5−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(35),および
5−(1,5−ジメチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(59)。
【0097】
下記の表は,出発物質(カラム1)の5−ブロモ−7−アザインドールまたは5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン,およびアザインドールの5位のカップリングさせるべき適当な試薬(カラム2),および得られる化合物(カラム3)を示し,質量の実測値をカラム4に示す。
【表1】

【0098】
実施例5:5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン46の合成
5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン46は,スキーム12に示されるようにして,5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン1から1工程で合成した。
スキーム12
【化15】

【0099】
工程1−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(46)の製造:
水(15.8mL)中1.00M炭酸カリウムおよびテトラヒドロフラン(50.0mL)中の5−ブロモ−7−アザインドール(1,1.04g,5.28mmol)に,1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(45,1.65g,7.92mmol),テトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)(0.305mg,0.26mmol)およびヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.20g,0.53mmol)を加えた。反応混合物を70℃で一晩撹拌した。反応混合物を水に注加し,有機層をブラインで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し,ヘキサン中25%酢酸エチルで溶出して,淡黄色固体(46,670mg,64.0%)を得た。MS(ESI)[M+H=199.4
【0100】
実施例6:プロパン−2−スルホン酸[2,4−ジフルオロ−3−(5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−フェニル]−アミド51の製造
プロパン−2−スルホン酸[2,4−ジフルオロ−3−(5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−フェニル]−アミド51は,スキーム13に示されるようにして,2,4−ジフルオロフェニルアミン47から4工程で合成した。
スキーム13
【化16】

【0101】
工程1−プロパン−2−スルホン酸(2,4−ジフルオロ−フェニル)−アミド(48)の製造:
ジクロロメタン(50mL)中の2,4−ジフルオロ−フェニルアミン(47,4.0mL,40.0mmol)に,ピリジン(3.37mL,42.3mmol),塩化プロパン−2−スルホニル(6.00g,42.3mmol)およびジメチルアミノピリジン(0.20g,1.64mmol)を窒素雰囲気下で加えた。反応液を45℃で一晩撹拌した。反応液を水に注加し,酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過した。濾液を濃縮し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより塩化メチレン中3%メタノールで精製して,白色固体(48,8.0g,85%)を得た。MS(ESI)[M−H=234.0
【0102】
工程2−プロパン−2−スルホン酸(2,4−ジフルオロ−3−ホルミル−フェニル)−アミド(49)の製造:
ドライアイス/アセトン浴で冷却したテトラヒドロフラン(70mL)中のプロパン−2−スルホン酸(2,4−ジフルオロ−フェニル)−アミド(48,2.35g,9.95mmol)に,窒素雰囲気下で1.60Mのn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.60M,6.53mL,10.45mmol)を加えた。反応液を40分間撹拌した後,さらにn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.60M,6.84mL,10.94mmol)を加えた。反応液を1時間撹拌し,N,N−ジメチルホルムアミド(0.92mL,11.9mmol)を加えた。反応液を一晩かけて室温まで暖めた。反応液を水に注加し,酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過した。濾液を濃縮し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して(ジクロロメタン/メタノール5%),化合物(49,1.4g,53.4%)を得た。MS(ESI)[M−H=263.4
【0103】
工程3−プロパン−2−スルホン酸{2,4−ジフルオロ−3−[ヒドロキシ−(5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−メチル]−フェニル}−アミド(50)の製造:
メタノール(15mL)中のプロパン−2−スルホン酸(2,4−ジフルオロ−3−ホルミル−フェニル)−アミド(49,220.0mg,0.83mmol)に,5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(22,150.0mg,0.77mmol,実施例4に記載されるようにして製造)および水酸化カリウム(537.0mg,9.6mmol)を窒素雰囲気下で加えた。反応液を室温で一晩撹拌した。反応液を水に注加し,酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過した。濾液を濃縮し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し,ジクロロメタン中5%メタノールで溶出して,化合物(50,160mg,45.3%)を得た。この工程において,少量の化合物プロパン−2−スルホン酸{2,4−ジフルオロ−3−[メトキシ−(5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−メチル]−フェニル}−アミドも形成され,単離した。MS(ESI)[M+H=460.1
【0104】
工程4−プロパン−2−スルホン酸[2,4−ジフルオロ−3−(5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−フェニル]−アミド(51)の製造:
テトラヒドロフラン(10mL)中のプロパン−2−スルホン酸{2,4−ジフルオロ−3−[ヒドロキシ−(5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−メチル]−フェニル}−アミド(50,40.0mg,0.087mmol)に,デスマーチンペルヨージナン(48.0mg,0.11mmol)を加えた。反応液を室温で5分間撹拌した。反応液をチオ硫酸ナトリウムおよび炭酸カリウム溶液に注加し,酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥し,濾過した。濾液を濃縮し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し,塩化メチレン中5%メタノールで溶出して,化合物(51,13.4mg,33.5%)を得た。MS(ESI)[M+H=458.1
【0105】
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(2−メトキシ−エトキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド P−0018
【化17】

は,スキーム13のプロトコルにしたがって,工程1において塩化プロパン−2−スルホニルの代わりに塩化4−イソプロピル−フェニルスルホニルを用い,工程3において5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン22の代わりに5−(2−メトキシ−エトキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン19を用いて製造した。MS(ESI)[M−H=530
【0106】
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(4−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド P−0019
【化18】

は,スキーム13のプロトコルにしたがって,工程1において塩化プロパン−2−スルホニルの代わりに塩化4−イソプロピル−フェニルスルホニルを用い,工程3において5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン22の代わりに5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン34を用いて製造した(実施例4を参照)。MS(ESI)[M−H=536
【0107】
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド P−0022
【化19】

は,スキーム13のプロトコルにしたがって,工程1において塩化プロパン−2−スルホニルの代わりに塩化4−イソプロピル−フェニルスルホニルを用い,工程3において5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン22の代わりに5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン46を用いて製造した(実施例5を参照)。MS(ESI)[M−H=536
【0108】
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド P−0025
【化20】

は,スキーム13のプロトコルにしたがって,工程1において塩化プロパン−2−スルホニルの代わりに塩化4−トリフルオロメチル−フェニルスルホニルを用い,5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン22の代わりに5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン34を用いて製造した(実施例4を参照)。MS(ESI)[M−H=562
【0109】
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド P−0026
【化21】

は,スキーム13のプロトコルにしたがって,工程1において,塩化プロパン−2−スルホニルの代わりに塩化プロパンスルホニルを用い,5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン22の代わりに5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン35を用いて製造した(実施例4を参照)。MS(ESI)[M−H=536.2
【0110】
N−{3−[5−(1,5−ジメチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド P−0027
【化22】

は,スキーム13のプロトコルにしたがって,工程1において,塩化プロパン−2−スルホニルの代わりに塩化プロパンスルホニルを用い,5−ピリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン22の代わりに5−(1,5−ジメチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(59)を用いて製造した(実施例4を参照)。MS(ESI)[M−H=550.1
【0111】
実施例7:N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−3,5−ジフルオロベンゼンスルホンアミド58の合成
化合物P−1841は,スキーム14に示されるようにして,2,4−ジフルオロアニリン47から6工程で合成した。
スキーム14
【化23】

【0112】
工程1−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−カルバミン酸ベンジルエステル(52)の製造:
100mLのジクロロメタン中の2,4−ジフルオロアニリン(47,7.0mL,0.070mol)に,ピリジン(11mL,0.14mol)およびベンジルクロロギ酸(11.9mL,0.0834mol)を加えた。反応混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し,残渣を酢酸エチルとKHSO溶液とに分配した。有機層を乾燥し(MgSO),濃縮し,ヘキサンから結晶化して,化合物52(15.6g,85%)を得た。
【0113】
工程2−(2,4−ジフルオロ−3−ホルミル−フェニル)−カルバミン酸ベンジルエステル(53)の製造:
丸底フラスコに,テトラヒドロフラン(148mL,1.82mol)中の(2,4−ジフルオロ−フェニル)−カルバミン酸ベンジルエステル(52,3.83g,14.5mmol)を入れた。溶液を−78℃に冷却し,n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.60M,19.1mL,30.0mmol)を30分間かけて加え,次にN,N−ジメチルホルムアミド(1.12mL,14.5mol)を加えた。反応混合物を周囲温度まで暖め,一晩撹拌した。反応混合物を水に注加し,酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濃縮し,エーテルから結晶化して,化合物53(3.0g,71%)を得た。
【0114】
工程3−{2,4−ジフルオロ−3−[ヒドロキシ−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−メチル]−フェニル}−カルバミン酸ベンジルエステル(54)の製造:
丸底フラスコに,メタノール(5.00mL,0.123mol)中の5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(6,0.524g,3.43mmol)を入れた。水酸化カリウム(0.800g,14.2mmol)および(2,4−ジフルオロ−3−ホルミル−フェニル)−カルバミン酸ベンジルエステル(53,1.02g,3.5mmol)を加え,反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を1NHClに注加し,酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濃縮し,酢酸エチルから結晶化して,化合物54(710mg,46%)を得た。MS(ESI)[M+H=444
【0115】
工程4−[2,4−ジフルオロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−フェニル]−カルバミン酸ベンジルエステル(55)の製造:
丸底フラスコに,テトラヒドロフラン(5.00mL,0.0616mol)中の{2,4−ジフルオロ−3−[ヒドロキシ−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−メチル]−フェニル}−カルバミン酸ベンジルエステル(54,1.01g,2.28mmol)を入れた。デスマーチンペルヨージナン(1.20g,2.89mmol)を少しずつ加えた。反応混合物を周囲温度で10分間撹拌した後,水に注加し,酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し,硫酸ナトリウムで乾燥し,濃縮し,シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して,化合物55(914mg,91%)を得た。MS(ESI)[M+H=442
【0116】
工程5−(3−アミノ−2,6−ジフルオロ−フェニル)−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−メタノン(56)の製造:
[2,4−ジフルオロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−フェニル]−カルバミン酸ベンジルエステル(55,800mg,1.81mmol)を10MNaOH(15.00mL)に加え,一晩加熱還流した。反応混合物を30mLの水で希釈し,酢酸エチルで抽出して,化合物56(450mg,81%)を得た。
【0117】
工程6−N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−3,5−ジフルオロベンゼンスルホンアミド(58)の製造:
電子レンジ反応容器中で,(3−アミノ−2,6−ジフルオロ−フェニル)−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−メタノン(56,50mg,0.16mmol),塩化3,5−ジフルオロベンゼンスルホニル(57,103mg,0.49mmol),ピリジン(0.5mL,6.1820mol)およびテトラヒドロフラン(3.0mL,)を混合した。反応液をCEM電子レンジで300Wで130℃で10分間加熱した。反応混合物を酢酸エチルとブラインとに分配した。有機層を回収し,NaSOで乾燥し,濾過し,濃縮した。化合物(58)は,カラムクロマトグラフィー(シリカ,ヘキサン:酢酸エチル70:30)を用いて単離して,36mg(46%)の化合物を得た。MS=482.0
【0118】
さらに別の化合物は,スキーム14のプロトコルにしたがって,任意に,工程3において5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン6の代わりに適当なアザインドールを用い,および/または工程6において塩化3,5−ジフルオロベンゼンスルホニル57の代わりに適当な塩化スルホニルを用いて製造した。この方法により以下の化合物を製造した:
ベンゾ[b]チオフェン−3−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0001),
5−メチル−2−トリフルオロメチル−フラン−3−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0002),
5−オキサゾール−5−イル−チオフェン−2−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0003),
3−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニルスルファモイル]−安息香酸(P−0004),
2−オキソ−2H−クロメン−6−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0005),
5−イソオキサゾール−5−イル−チオフェン−2−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0006),
4−ブトキシ−N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド(P−0007),
N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−4−ピラゾール−1−イル−ベンゼンスルホンアミド(P−0008),
ベンゾチアゾール−6−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0009),
1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0010),
N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド(P−0011),
ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール−5−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0013),
4−tert−ブチル−N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド(P−0014),
N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド(P−0015),
N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−3−ジフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミド(P−0016),
5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0017),
3−ジフルオロメトキシ−N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−ベンゼンスルホンアミド(P−0020),
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド(P−0021),
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド(P−0023),
3−ジフルオロメトキシ−N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−ベンゼンスルホンアミド(P−0024),
5−メチル−チオフェン−2−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0028),
1−メチル−1H−ピラゾール−3−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド(P−0029),
N−[2,4−ジフルオロ−3−(5−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−フェニル]−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド(P−0030),
N−[3−(5−シアノ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド(P−0031),
(E)−3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−アクリル酸メチルエステル(P−0032),および
ピリジン−2−スルホン酸[2,4−ジフルオロ−3−(5−メトキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−フェニル]−アミド(P−0036)。
【0119】
下記の表は,工程3で用いたアザインドール(カラム2)および工程6で用いた塩化スルホニル(カラム3),および得られた標的化合物(カラム4)を示す。化合物番号はカラム1に,質量の実測値はカラム5に示される。
【表2】

【0120】
【表3】

【0121】
【表4】

【0122】
【表5】

【0123】
実施例8:3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−N−エチル−プロピオンアミド P−0035の合成
3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−N−エチル−プロピオンアミド P−0035は,スキーム15.に示されるようにして,(E)−3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−アクリル酸メチルエステル P−0032から3工程で合成した。
スキーム15
【化24】

【0124】
工程1−3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−プロピオン酸メチルエステル(P−0033)の製造:
(E)−3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−アクリル酸メチルエステル(P−0032,229mg,0.41mmol,実施例7に記載されるようにして製造)に,メタノール(15mL)およびテトラヒドロフラン(5mL)を加えた。溶液を窒素で5分間脱気した後,Pd/C(10重量%,30mg)を加えた。反応混合物を水素雰囲気下で室温で18時間撹拌した。Pd/Cおよび揮発性物質を除去した後,残渣をクイックシリカプラグで精製し,酢酸エチルで溶出した。溶媒を除去して,灰白色固体(P−0033,222mg,96%)を得た。MS(ESI)[M+H=568.3
【0125】
工程2−3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−プロピオン酸(P−0034)の製造:
テトラヒドロフラン(30mL)に溶解した3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−プロピオン酸メチルエステル(P−0033,215mg,0.38mmol)に,1N水酸化リチウム溶液(15mL)を加えた。混合物を50℃で2時間加熱した後,6NHClで酸性にしてpH約1−2とし,酢酸エチルで抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,濃縮して,灰白色固体(P−0034,202mg,96%)を得た。MS(ESI)[M+H=554.0
【0126】
工程3−3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−N−エチル−プロピオンアミド(P−0035)の製造:
テトラヒドロフラン(3mL)に溶解した3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−プロピオン酸(P−0034,42mg,0.076mmol)に,テトラヒドロフラン中のエチルアミンの2.0M溶液(110μL,0.23mmol)およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(29mg,0.15mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した後,酢酸エチルおよび水で抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥し,濾過し,濃縮した。所望の化合物は,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン)により単離し,凍結乾燥により溶出溶媒を除去して,白色のふわふわした固体(P−0035,13mg,30%)を得た。MS(ESI)[M+H=581.0
【0127】
実施例9:キナーゼ活性アッセイ
B−Raf,B−RafV600E,B−RafV600E/T529Iまたはc−Raf−1の活性のアッセイは当該技術分野において知られており,例えば,米国特許出願11/473,347(PCT公開WO2007002433も参照,この開示はその全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0128】
米国特許出願11/473,347に記載される方法の少なくとも1つにより,または類似の方法によりスクリーニングされ,用いた試験条件下で10μM未満のIC50を有する代表的化合物を表1a(B−Raf),1b(B−RafV600E),1c(B−RafV600E/T529I),および1d(c−Raf−1)に示す。
【0129】
【表6】

【0130】
【表7】

【0131】
【表8】

【0132】
【表9】

【0133】
実施例10:4つのヒト癌細胞株における標準治療化学療法剤との組み合わせでの化合物の有効性
本発明の化合物,例えば,式I,式IIまたは式IIIの化合物を,標準的化学療法剤,例えば,5−フルオロウラシル,カルボプラチン,ダカルバジン,ゲフィチニブ,オキザリプラチン,パクリタキセル,SN−38,テモゾロミド,またはビンブラスチンと組み合わせて,ヒト腫瘍細胞を殺す有効性について調べることができる。ヒト腫瘍細胞株,例えば,A−375(悪性黒色腫),SK−MEL−2(悪性黒色腫,皮膚転移),COLO205(結腸直腸腺癌,腹水転移)またはSW−620(結腸直腸腺癌,リンパ節転移)を式I,式IIまたは式IIIの化合物単独で,または上述の化学療法剤の1つとの組み合わせで処理することができる。
【0134】
腫瘍細胞は,湿潤雰囲気(5%CO,95%空気)下で37℃で単層に成長させた。細胞は適切な培地,例えば,2mML−グルタミンを含み10%ウシ胎児血清(RefDE14−801E,Cambrex)を補充したRPMI1640(RefBE12−702F,Cambrex,Verviers,Belgium)で成長させた。実験に用いるために,カルシウムまたはマグネシウムを含まないハンクス培地(RefBE10−543F,Cambrex)に希釈したトリプシン−ベルセン(Ref02−007E,Cambrex)で5分間処理することにより腫瘍細胞を培養フラスコからはがした。培養液を加えることによりトリプシン処理を中和した。細胞は血球計算盤で計数し,生存率は0.25%トリパンブルー排除により評価した。
【0135】
細胞株は,Mycotectアッセイキット(Ref 15672−017,Invitrogen,Cergy−Pontoise,France)を用いて,製造元の指針にしたがってマイコプラズマ汚染について調べた。マイコプラズマ試験は,細胞株の培養上清からアッセイして,陰性対照および陽性対照と比較した。
【0136】
腫瘍細胞(10,000/ウエル)を96ウエル平底マイクロタイタープレート(Ref055260,Nunc,Dutscher,Brumath,France)に播種し,37℃で24時間インキュベーションした後,10%FBSを補充した100μlの薬剤非含有培地で処理した。各細胞株について用いるべき各化合物のIC50を評価するためには,腫瘍細胞を,10%FBSを補充し,式I,式IIまたは式IIIの化合物,または5−フルオロウラシル,カルボプラチン,ダカルバジン,ゲフィチニブ,オキザリプラチン,パクリタキセル,SN−38,テモゾロミドまたはビンブラスチンのいずれか1つを含む最終容量200μlのRPMI1640中でインキュベーションした。化合物は,適当な濃度範囲で,例えば,式I,式IIまたは式IIIの化合物,5−フルオロウラシル,ダカルバジンまたはゲフィチニブについては10−8〜10−3Mで,カルボプラチン,オキザリプラチン,またはテモゾロミドについては10−9〜10−4Mで,パクリタキセルまたはSN−38については10−11〜10−6Mで,ビンブラスチンについては10−15〜10−10Mで試験した。式I,式IIまたは式IIIの化合物をDMSOに溶解し,培養液で所望の濃度に希釈した。5−フルオロウラシル(50mg/ml,Dakota Pharm,Le Plessis Robinson,France),カルボプラチン(10mg/ml,Aguettant,Lyon,France)およびパクリタキセル(6mg/ml,Bristol−Myers Squibb SpA,Rueil Malmaison,France)は培養液で所望の濃度に希釈した。ダカルバジン(Sigma,Saint Quentin Fallavier,France)およびビンブラスチン(Lilly France S.A.,Saint Cloud,France)はNaCl0.9%に溶解し,培養液で所望の濃度に希釈した。ゲフィチニブはRPMI1640とDMSOの混合溶液に溶解し,培養液で所望の濃度に希釈した(最大最終DMSO濃度0.1%v/v)。SN−38(LKT Laboratories,Inc.,St.Paul,Minnesota)はDMSOに溶解し,培養液で所望の濃度に希釈した(最大最終DMSO濃度0.1%v/v)。テモゾロミド(LKT Laboratories,Inc.,St.Paul,Minnesota)は注射用水に溶解し,培養液で所望の濃度に希釈した。細胞を試験物質の存在下で,37℃で5%COで96時間インキュベーションした。処理の終わりに,MTTアッセイにより細胞障害活性を測定した。
【0137】
MTTアッセイのためには,細胞処理の最後に,0.22μm濾過済みテトラゾリウム試薬(MTT,RefM2128,Sigma)のリン酸緩衝化食塩水(PBS,RefBE17−517Q,Cambrex)中5mg/ml溶液を各ウエルに20μl加えた。培養プレートを37℃で2時間インキュベーションした。得られた上清を除去し,各ウエルに200μlのDMSOに溶解したホルマザン結晶を加えた。VICTOR(登録商標)1420マルチラベルカウンター(Wallac,Perkin Elmer,Courtaboeuf,France)を用いて各ウエルの吸光度(OD)を570nmで測定した。
【0138】
それぞれの細胞株に対する各化合物のIC50は,各サンプルのOD測定値から決定した。細胞増殖の用量応答阻害は下記のように表される。
IC=(薬剤に暴露した細胞のOD細胞/薬剤なしのウエルのOD)x100
各濃度について複数回の測定の平均を薬剤濃度に対してプロットした。用量応答曲線は,XLFit3(IDBS,United Kingdom)を用いてプロットした。IC50(細胞増殖の50%阻害を与える薬剤濃度)の測定値は,半対数曲線からXLFit3を用いて計算した。各細胞株において各化合物について決定されたIC50値を用いて,式I,式IIまたは式IIIの化合物の濃度および組み合わせで用いるべき標準的化学療法剤の濃度を求めた。
【0139】
IC50の結果に基づいて,細胞を5種の濃度の式I,式IIまたは式IIIの化合物と,5種の濃度の5−フルオロウラシル,カルボプラチン,ダカルバジン,ゲフィチニブ,オキザリプラチン,パクリタキセル,SN−38,テモゾロミド,またはビンブラスチンの1つとの組み合わせで処理した。化合物および細胞は上述したIC50の判定ごとに処理し,MTTアッセイによりアッセイした。
【0140】
結果を評価して,組み合わせが相乗的であるかまたは拮抗的であるかを判定した。化合物の相互作用は,複数薬剤有効分析により計算し,ChouおよびTalalay(Adv.Enzyme Regul.1984,22:27−55)に記載される方法論にしたがう半等式原理によって行った。
【0141】
組み合わせ指数(CI)は,効力(DまたはIC50)と用量効果曲線の形状(m値)との両方を考慮したChouらの式(Adv.Enzyme Regul.1984,22:27−55;Encyclopaedia of human biology,Academic Press,1991,2:371−9;Synergism and Antagonism in Chemotherapy,Academic Press,1991,61−102)により計算することができる。2つの化合物のCIの一般等式は次のとおりである:
【数1】

式中,分母の(Dおよび(Dは,x%の阻害を示す化合物1および化合物2単独の用量(または濃度)であり,分子の(D)および(D)はx%を阻害する(同じ効力の)両方の化合物(1および2)の組み合わせの用量である。CI<1,=1,および>1は,それぞれ相乗的効果,相加的効果および拮抗作用を示す。
【0142】
(Dおよび(Dは,Chouらの半有効等式(J.Natl.Cancer Inst.1994,86:1517−24)から計算することができる:
【数2】

式中,Dは半有効プロットのx切片の逆対数から得られる半有効用量であり(x=log(D)対y=log{f/(1−f)},またはD=10−(y−intercept)/m),mは半有効プロットの傾きであり,fは処理により影響を受けた細胞の割合である。各CIは,各薬剤比濃度における平均影響割合からCalcuSynソフトウエア(Biosoft,UK)により計算することができる。
【0143】
本発明により企図されるある種の方法の追加の例は,以下の出願に見いだすことができる:米国特許公開2006/058339,出願番号11/154,287;米国特許公開2006/058340,出願番号11/154,988;米国特許仮出願60/682,076,2005年5月17日出願;米国特許仮出願60/682,058,2005年5月17日出願;米国特許仮出願60/682,063,2005年5月17日出願;米国特許仮出願60/682,051,2005年5月17日出願;米国特許仮出願60/682,042,2005年5月17日出願;米国特許仮出願60/692,750,2005年6月22日出願;および米国特許仮出願60/692,960,2005年6月22日出願;米国特許仮出願60/731,528,2005年10月28日出願,米国特許出願11/435,381,2006年5月16日出願および米国特許出願11/473,347,2006年6月21日出願(これらのそれぞれは,すべての目的のために,すべての明細書,図面および表を含めその全体が本明細書に参照により組み込まれる)。
【0144】
本明細書において引用されるすべての特許および他の参考文献は,本発明の属する技術分野の技術者のレベルを示しており,表および図面を含めその全体を,それぞれの参考文献の全体が個々に本明細書の一部としてここに引用されることと同じ程度に,本明細書の一部として引用される。
【0145】
当業者は,本発明は,記載される結果および利点,ならびに本明細書に固有のものを得るのによく適合していることを容易に理解するであろう。本明細書に好ましい態様の代表的なものとして記載される方法,変種および組成物は,例示的なものであって,本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者は,その改変および他の用途をなすであろう。これらの改変は本発明の精神の中に包含され,特許請求の範囲により定義される。
【0146】
当業者は,本発明の範囲および精神から逸脱することなく,本明細書に開示される本発明に対して種々の置換および改変をなすことができることを容易に理解するであろう。例えば,RetおよびRet代替蛋白質の結晶化または共結晶化条件を変更することができ,および/または種々のキナーゼドメイン配列を用いることができる。すなわち,そのような追加の態様も本発明および特許請求の範囲の範囲内である。
【0147】
本明細書に例示的に記載されている発明は,本明細書に特定的に開示されていない任意の要素または限定なしでも適切に実施することができる。したがって,例えば,本明細書のそれぞれの場合について,"・・・を含む","本質的に・・・からなる"および"・・・からなる"との用語は,互いに他の2つの用語のいずれかと置き換えることができる。すなわち,これらの用語の1つを用いる本発明のある態様について,本発明にはまた,これらの用語の1つが別の用語で置き換えられている別の態様も含まれる。それぞれの態様において,用語はその確立された意味を有する。すなわち,例えば,1つの態様は一連の工程を含む方法を包含してもよく,別の態様は本質的に同じ工程からなる方法を包含し,第3の態様は同じ工程からなる方法を包含する。本明細書において用いた用語および表現は,説明の用語として用いるものであり,限定ではなく,そのような用語および表現の使用においては,示されかつ記載されている特徴またはその一部の同等物を排除することを意図するものではなく,特許請求の範囲に記載される本発明の範囲中で種々の変更が可能であることが理解される。すなわち,好ましい態様および任意の特徴により本発明を特定的に開示してきたが,当業者には本明細書に記載される概念の変更および変種が可能であり,そのような変更および変種も特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0148】
さらに,発明の特徴および局面がマーカッシュグループの用語または他の代替物のグループの用語で記載されている場合,当業者は,本発明が,マーカッシュグループまたは他のグループのすべての個々のメンバーまたはメンバーのサブグループに関してもまた記載されていることを認識するであろう。
【0149】
また,特に断らない限り,ある態様について種々の数値が与えられている場合,追加の態様は,任意の2つの異なる数値を範囲の終点としてとることにより記述される。そのような範囲もまた本明細書に記載される発明の範囲内である。
【0150】
すなわち,追加の態様は本発明の範囲内であり,特許請求の範囲内である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化25】

[式中,
は,水素,ハロゲン,低級アルキル,低級アルケニル,低級アルキニル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,ヘテロアリール,−OH,−NH,−CN,−NO,−C(O)OH,−S(O)NH,−C(O)NH,−C(S)NH,−NHC(O)NH,−NHC(S)NH,−NHS(O)NH,−OR,−SR,−NR,−C(O)R,−C(S)R,−C(O)OR,−C(O)NR,−C(S)NR,−S(O)NR,−NRC(O)R,−NRC(S)R,−NRS(O),−NRC(O)NH,−NRC(O)NR,−NRC(S)NH,−NRC(S)NR,−NRS(O)NH,−NRS(O)NR,−S(O)R,および−S(O)からなる群より選択され,ここで,低級アルキル,低級アルケニルまたは低級アルキニルは,フルオロ,−OH,−NH,C(O)OH,−C(O)NH,−OR,−NR,−C(O)OR,−C(O)NR,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールから選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしてのまたは低級アルキル,低級アルケニルまたは低級アルキニルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;
は,ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,ヘテロアリール,−OH,−NH,−CN,−NO,−C(O)OH,−S(O)NH,−C(O)NH,−C(S)NH,−NHC(O)NH,−NHC(S)NH,−NHS(O)NH,−OR,−SR,−NR,−C(O)R,−C(S)R,−C(O)OR,−C(O)NR,−C(S)NR,−S(O)NR,−NRC(O)R,−NRC(S)R,−NRS(O),−NRC(O)NH,−NRC(O)NR,−NRC(S)NH,−NRC(S)NR,−NRS(O)NH,−NRS(O)NR,−S(O)R,および−S(O)からなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,−OR,−NR,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールから選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしてのまたは低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;
は,水素,フルオロおよびクロロからなる群より選択され;
は,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしてのまたは低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;
は,それぞれの場合に独立して,水素または低級アルキルであり;および
は,それぞれの場合に独立して,低級アルキル,ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールは,ハロゲン,−CN,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシおよびフルオロ置換低級アルコキシからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,
ただし,化合物は以下:
【化26】

のものではない]
の化学構造を有する化合物,そのすべての塩,プロドラッグ,互変異性体および異性体。
【請求項2】
は,水素,−CN,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−C(O)NR,−C(O)R,−S(O)NR,−S(O)R,−S(O),ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしてのまたは低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;および
は,−CN,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−C(O)NR,−C(O)R,−S(O)NR,−S(O)R,−S(O),ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,および,Rとしてのまたは低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよい,
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
は,水素,−CN,−NR,−OR,−S(O),フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールまたはヘテロアリールであり,ここで,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールまたはヘテロアリールは,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,−NR,−ORおよび−S(O)からなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,および
は,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,−NR,−ORまたは−S(O)である,
請求項2記載の化合物。
【請求項4】
は,水素,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルコキシ置換C2−6アルコキシ,アリールまたはヘテロアリールであり,ここで,アリールまたはヘテロアリールは,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,および
は,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,またはシクロアルキルアミノである,
請求項3記載の化合物。
【請求項5】
化合物は,以下:
4−ブトキシ−N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド,
N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−4−ピラゾール−1−イル−ベンゼンスルホンアミド,
N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−4−イソプロポキシ−ベンゼンスルホンアミド,
4−tert−ブチル−N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド,
N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド,
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(2−メトキシ−エトキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド,
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(4−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド,
4−ジフルオロメトキシ−N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−ベンゼンスルホンアミド,
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド,
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド,
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド,
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド,
N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド,
N−{3−[5−(1,5−ジメチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−4−プロピル−ベンゼンスルホンアミド,
N−[2,4−ジフルオロ−3−(5−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−フェニル]−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド,
N−[3−(5−シアノ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド,
(E)−3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−アクリル酸メチルエステル,
3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−プロピオン酸メチルエステル,
3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−プロピオン酸,
3−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−ベンゾイル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル}−N−エチル−プロピオンアミド;および
それらのすべての塩,プロドラッグ,互変異性体,および異性体,
からなる群より選択される,請求項1記載の化合物。
【請求項6】
式II:
【化27】

は,水素,ハロゲン,低級アルキル,低級アルケニル,低級アルキニル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,ヘテロアリール,−OH,−NH,−CN,−NO,−C(O)OH,−S(O)NH,−C(O)NH,−C(S)NH,−NHC(O)NH,−NHC(S)NH,−NHS(O)NH,−OR,−SR,−NR,−C(O)R,−C(S)R,−C(O)OR,−C(O)NR,−C(S)NR,−S(O)NR,−NRC(O)R,−NRC(S)R,−NRS(O),−NRC(O)NH,−NRC(O)NR,−NRC(S)NH,−NRC(S)NR,−NRS(O)NH,−NRS(O)NR,−S(O)R,および−S(O)からなる群より選択され,ここで,低級アルキル,低級アルケニルまたは低級アルキニルは,フルオロ,−OH,−NH,C(O)OH,−C(O)NH,−OR,−NR,−C(O)OR,−C(O)NR,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールから選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしてのまたは低級アルキル,低級アルケニルまたは低級アルキニルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;
2aは,ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,ヘテロアリール,−OH,−NH,−CN,−NO,−C(O)OH,−S(O)NH,−C(O)NH,−C(S)NH,−NHC(O)NH,−NHC(S)NH,−NHS(O)NH,−OR,−SR,−NR,−C(O)R,−C(S)R,−C(O)OR,−C(O)NR,−C(S)NR,−S(O)NR,−NRC(O)R,−NRC(S)R,−NRS(O),−NRC(O)NH,−NRC(O)NR,−NRC(S)NH,−NRC(S)NR,−NRS(O)NH,−NRS(O)NR,−S(O)R,および−S(O)からなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,−OR,−NR,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールから選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,R2aとしての,または低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;
は,水素,フルオロおよびクロロからなる群より選択され;
は,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしてのまたは低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;
は,それぞれの場合に独立して,水素または低級アルキルであり;および
は,それぞれの場合に独立して,低級アルキル,ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,およびヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールは,ハロゲン,−CN,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシおよびフルオロ置換低級アルコキシからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,
ただし,化合物は以下:
【化28】

のものではない]
の化学構造を有する化合物,そのすべての塩,プロドラッグ,互変異性体および異性体。
【請求項7】
は,水素,−CN,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−C(O)NR,−C(O)R,−S(O)NR,−S(O)R,−S(O),ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしての,または低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;および
2aは,−CN,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−C(O)NR,−C(O)R,−S(O)NR,−S(O)R,−S(O),ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,および,R2aとしての,または低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよい,
請求項6記載の化合物。
【請求項8】
は,水素,−CN,−NR,−OR,−S(O),フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールまたはヘテロアリールであり,ここで,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールまたはヘテロアリールは,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,−NR,−ORおよび−S(O)からなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,および
2aは,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,−NR,−ORまたは−S(O)である,
請求項7記載の化合物。
【請求項9】
は,水素,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルコキシ置換C2−6アルコキシ,アリールまたはヘテロアリールであり,ここで,アリールまたはヘテロアリールは,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,および
2aは,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,またはシクロアルキルアミノである,
請求項8記載の化合物。
【請求項10】
化合物は,以下:
3−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニルスルファモイル]−安息香酸,
N−[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−3−ジフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミド,
3−ジフルオロメトキシ−N−{2,4−ジフルオロ−3−[5−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル}−ベンゼンスルホンアミド;および
それらのすべての塩,プロドラッグ,互変異性体,および異性体,
からなる群より選択される,請求項6記載の化合物。
【請求項11】
式III:
【化29】

[式中,
は,水素,ハロゲン,低級アルキル,低級アルケニル,低級アルキニル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,ヘテロアリール,−OH,−NH,−CN,−NO,−C(O)OH,−S(O)NH,−C(O)NH,−C(S)NH,−NHC(O)NH,−NHC(S)NH,−NHS(O)NH,−OR,−SR,−NR,−C(O)R,−C(S)R,−C(O)OR,−C(O)NR,−C(S)NR,−S(O)NR,−NRC(O)R,−NRC(S)R,−NRS(O),−NRC(O)NH,−NRC(O)NR,−NRC(S)NH,−NRC(S)NR,−NRS(O)NH,−NRS(O)NR,−S(O)R,および−S(O)からなる群より選択され,ここで,低級アルキル,低級アルケニルまたは低級アルキニルは,フルオロ,−OH,−NH,C(O)OH,−C(O)NH,−OR,−NR,−C(O)OR,−C(O)NR,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールから選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしての,または低級アルキル,低級アルケニルまたは低級アルキニルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;
は,水素,フルオロおよびクロロからなる群より選択され;
は,ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,ヘテロアリール,−OH,−NH,−CN,−NO,−C(O)OH,−S(O)NH,−C(O)NH,−C(S)NH,−NHC(O)NH,−NHC(S)NH,−NHS(O)NH,−OR,−SR,−NR,−C(O)R,−C(S)R,−C(O)OR,−C(O)NR,−C(S)NR,−S(O)NR,−NRC(O)R,−NRC(S)R,−NRS(O),−NRC(O)NH,−NRC(O)NR,−NRC(S)NH,−NRC(S)NR,−NRS(O)NH,−NRS(O)NR,−S(O)R,および−S(O)からなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり,ここで,低級アルキルは,フルオロ,−OR,−NR,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rの置換基としてのまたは低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;
は,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしての,または低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;
は,それぞれの場合に独立して,水素または低級アルキルであり;および
は,それぞれの場合に独立して,低級アルキル,ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,およびヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールは,ハロゲン,−CN,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシおよびフルオロ置換低級アルコキシからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,
ただし,化合物は以下:
【化30】

のものではない]
の化学構造を有する化合物,そのすべての塩,プロドラッグ,互変異性体および異性体。
【請求項12】
は,水素,−CN,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−C(O)NR,−C(O)R,−S(O)NR,−S(O)R,−S(O),ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,Rとしての,または低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく;および
は,−CN,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−C(O)NR,−C(O)R,−S(O)NR,−S(O)R,−S(O),ハロゲン,低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり,ここで,低級アルキルは,フルオロ,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルキルチオ,フルオロ置換低級アルキルチオ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,およびRの置換基としてのまたは低級アルキルの置換基としてのシクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリール,およびヘテロアリールは,−OH,−NH,−CN,−NO,−S(O)NH,−C(O)NH,−OR,−SR,−NR,−NRC(O)R,−NRS(O),−S(O),−S(O)NR,−C(O)R,−C(O)NR,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよい,
請求項11記載の化合物。
【請求項13】
は,水素,−CN,−NR,−OR,−S(O),フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールまたはヘテロアリールであり,ここで,シクロアルキル,ヘテロシクロアルキル,アリールまたはヘテロアリールは,ハロゲン,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,−NR,−ORおよび−S(O)からなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,および
は,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,−NR,−ORまたは−S(O)の1またはそれ以上で任意に置換されていてもよいヘテロアリールである,
請求項12記載の化合物。
【請求項14】
は,水素,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,低級アルコキシ置換C2−6アルコキシ,アリールまたはヘテロアリールであり,ここで,アリールまたはヘテロアリールは,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,およびシクロアルキルアミノからなる群より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよく,および
は,−CN,フルオロ,クロロ,低級アルキル,フルオロ置換低級アルキル,低級アルコキシ,フルオロ置換低級アルコキシ,モノ−アルキルアミノ,ジ−アルキルアミノ,またはシクロアルキルアミノの1またはそれ以上で任意に置換されていてもよいヘテロアリールである,
請求項13記載の化合物。
【請求項15】
化合物は,以下:
ベンゾ[b]チオフェン−3−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド,
5−メチル−2−トリフルオロメチル−フラン−3−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド,
5−オキサゾール−5−イル−チオフェン−2−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド,
2−オキソ−2H−クロメン−6−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド,
5−イソオキサゾール−5−イル−チオフェン−2−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド,
ベンゾチアゾール−6−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド,
1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド,
ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール−5−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド,
5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド,
5−メチル−チオフェン−2−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド,
1−メチル−1H−ピラゾール−3−スルホン酸[3−(5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−2,4−ジフルオロ−フェニル]−アミド,
ピリジン−2−スルホン酸[2,4−ジフルオロ−3−(5−メトキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル)−フェニル]−アミド;および
それらのすべての塩,プロドラッグ,互変異性体,および異性体,
からなる群より選択される,請求項11記載の化合物。
【請求項16】
薬学的に許容しうる担体;および請求項1−15のいずれかに記載の化合物を含む組成物。
【請求項17】
A−Raf−媒介性,B−Raf−媒介性および/またはc−Raf−1−媒介性疾患または状態に罹患しているかまたはそのリスクを有する被験者を治療する方法であって,被験者に有効量の請求項1−15のいずれかに記載の化合物または請求項16記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項18】
化合物または組成物はヒトへの投与について認可されている,請求項17記載の方法。
【請求項19】
疾病または状態は,多発脳梗塞性痴呆,頭部損傷,脊髄損傷,アルツハイマー病,パーキンソン病,黒色腫,神経膠腫,肉腫,結腸の癌,肺,乳,膵臓,甲状腺,卵巣,肝臓,または腎臓,髄質甲状腺癌,カルチノイド,小細胞肺癌,褐色細胞腫,リンパ腫,神経線維腫症,脊髄形成異常症候群,白血病,腫瘍血管新生,神経障害性の痛み,炎症性の痛み,急性の痛み,慢性痛,癌性頭痛,片頭痛,心不全,虚血性脳卒中,心肥大,血栓症,アテローム性動脈硬化症,再灌流障害,乾癬,関節炎,変形性関節症,子宮内膜症,瘢痕症,血管再狭窄,線維性疾患,慢性関節リウマチ,炎症性腸疾患,免疫不全疾患,臓器移植拒絶,移植片対宿主疾患,糖尿病性ネフロパシー,多発性嚢胞腎症,腎硬化症,糸球体腎炎,前立腺過形成,肥満,ヘリコバクターピロリ感染,肝炎ウイルス感染,インフルエンザウイルス感染,発熱,敗血症,慢性閉塞性肺疾患,急性呼吸窮迫症候群,ヌーナン症候群,コステロ症候群,LEOPARD症候群,心顔面皮膚症候群,神経堤症候群,心臓血管,骨格,腸,皮膚,毛髪および内分泌疾病を引き起こす異常,サルコペニア,筋ジストロフィー,運動ニューロン疾病,炎症性ミオパシー,神経筋接合部の疾病,分泌異常に起因するミオパシー,末梢神経の疾病,先天性ミオトニー,先天性パラミオトニア,中心コア病,ネマリンミオパシー,筋細管ミオパシー,周期性麻痺および筋肉の代謝性疾病からなる群より選択される,請求項18記載の方法。
【請求項20】
請求項1−15のいずれかに記載の化合物または請求項16記載の組成物を含むキット。
【請求項21】
化合物または組成物は,多発脳梗塞性痴呆,頭部損傷,脊髄損傷,アルツハイマー病,パーキンソン病,黒色腫,神経膠腫,肉腫,結腸の癌,肺,乳,膵臓,甲状腺,卵巣,肝臓,または腎臓,髄質甲状腺癌,カルチノイド,小細胞肺癌,褐色細胞腫,リンパ腫,神経線維腫症,脊髄形成異常症候群,白血病,腫瘍血管新生,神経障害性の痛み,炎症性の痛み,急性の痛み,慢性痛,癌性頭痛,片頭痛,心不全,虚血性脳卒中,心肥大,血栓症,アテローム性動脈硬化症,再灌流障害,乾癬,関節炎,変形性関節症,子宮内膜症,瘢痕症,血管再狭窄,線維性疾患,慢性関節リウマチ,炎症性腸疾患,免疫不全疾患,臓器移植拒絶,移植片対宿主疾患,糖尿病性ネフロパシー,多発性嚢胞腎症,腎硬化症,糸球体腎炎,前立腺過形成,肥満,ヘリコバクターピロリ感染,肝炎ウイルス感染,インフルエンザウイルス感染,発熱,敗血症,慢性閉塞性肺疾患,急性呼吸窮迫症候群,ヌーナン症候群,コステロ症候群,LEOPARD症候群,心顔面皮膚症候群,神経堤症候群,心臓血管,骨格,腸,皮膚,毛髪および内分泌疾病を引き起こす異常,サルコペニア,筋ジストロフィー,運動ニューロン疾病,炎症性ミオパシー,神経筋接合部の疾病,分泌異常に起因するミオパシー,末梢神経の疾病,先天性ミオトニー,先天性パラミオトニア,中心コア病,ネマリンミオパシー,筋細管ミオパシー,周期性麻痺および筋肉の代謝性疾病からなる群より選択される医学適応症について認可されている,請求項20記載のキット。



【公表番号】特表2010−514687(P2010−514687A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543200(P2009−543200)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/088237
【国際公開番号】WO2008/079906
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(505324881)プレキシコン,インコーポレーテッド (27)
【Fターム(参考)】