説明

キナーゼ阻害剤としてのピリジン−含有大複素環式化合物

本発明はキナーゼ阻害剤として有用なピリジン−含有大複素環式化合物、そのような化合物の製造方法およびキナーゼ介在疾患を処置または予防する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関するクロス−リファレンス
本出願は、引用することによりそして全ての目的のために本発明の内容となる2006年3月10日に出願された米国特許暫定出願第60/781120号の権利を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明はある種の新規なピリジン−含有大複素環式化合物、そのような化合物の製造方法、およびキナーゼ介在疾患を処置または予防する方法に関する。より特に、本発明は選択的キナーゼ阻害剤として有用な大環式1H−インドールおよび1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン化合物、そのような化合物の製造方法並びにキナーゼ介在疾患を処置または予防する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
Heath,Jr.他の特許文献1はビス−インドールマレイミド誘導体をPKC阻害剤として並びに選択的PKCβ−IおよびPKCβ−II阻害剤として記載しているが、本発明の化合物を開示または示唆していない。
【0004】
Kuo他の特許文献2はキナーゼ阻害剤として有用な大環式化合物を記載しているが、本発明の化合物を開示または示唆していない。
【0005】
Jirousek,M.他の欧州特許出願である特許文献3はビス(インドリル)マレイミド大環をβ−イソ酵素選択的プロテインキナーゼC阻害剤として記載しているが、本発明の化合物を開示または示唆していない。
【特許文献1】米国特許第5,624,949号明細書
【特許文献2】米国特許第6,828,327号明細書
【特許文献3】欧州特許第657458A1号明細書
【発明の開示】
【0006】
発明の要旨
本発明は、式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、
Aは、各々、1H−インドールまたは1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを形成するための、CHまたはNであり、
およびRは各々水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、ニトロ、アミノ、(C1−4)アルキルアミノ、およびジ(C1−4)アルキルアミノよりなる群から選択され、
およびRは各々場合によりオキソで置換されていてもよいC2−6アルキレンであり、ここでRに関する結合点は式(I)の化合物のR置換されたピリジン炭素環原子に関してメタまたはオルトであり、
はC6−10アリールまたはNRであり、ここでC6−10アリールは場合によりC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン、アミノ、(C1−4)アルキルアミノ、ジ(C1−4)アルキルアミノ、およびC1−4アルコキシカルボニルよりなる群から独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよく、
およびRは各々C1−6アルキルであり、或いはRおよびRはそれらが結合される原子と一緒になって5、6、7もしくは8員の単環式環を形成し、ここで該単環式環は場合により1個の追加の酸素、硫黄、NH、またはN(C1−4アルキル)を含有してもよい]
の大複素環式化合物、並びにそのエナンチオマー類、ジアステレオマー類、ラセミ体、および製薬学的に許容可能な塩類を提供する。
【0009】
本発明は選択的キナーゼ阻害剤として有用なピリジン−含有大複素環式化合物に関する。本発明はさらにグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の阻害剤として有用な化合物にも関する。本発明はさらにグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3βの阻害剤として有用な化合物にも関する。
【0010】
本発明はまたこのピリジン−含有大複素環式化合物の製造方法並びにそのような化合物を含有する製薬学的組成物および薬品にも関する。
【0011】
本発明はさらにキナーゼ介在疾患を処置または予防する方法にも関する。特に、本発明の方法は例えば糖尿病、炎症性疾病、皮膚科学的疾患、並びにCNS(中枢神経系)疾患、例えば統合失調症、双極性疾患、躁鬱病、およびアルツハイマー病、の如くであるがそれらに限定されないキナーゼ−介在疾患の処置または予防にも関する。
【0012】
本発明はコバルト−介在[2+2+2]共−シクロ三量化を用いる式(I)のピリジン−含有大環化合物を合成する方法にも関する。
【0013】
発明の詳細な記述
置換基に関してここで使用される際には、用語「独立して」は1つより多いそのような置換基が可能である時にそのような置換基が互いに同一もしくは相異なりうることを意味する。
【0014】
化学的定義
ここで使用される際には、以下の用語は以下の意味を有することが意図される(追加の定義は明細書を通して必要な場合に示される)。
【0015】
より簡潔な記述を行うために、ここに示された量的表示の一部には用語「約」が付与される。用語「約」が明白に使用されるかまたはそうでなくても、ここに示された全ての量は実際に示された値をさすことを意味することを理解すべきであり、そしてそのような示された値に関する実験および/または測定条件による概略値を包含する当該技術に基づき妥当であると推論されるそのような示された値に対する概略値をさすことも意味する。
【0016】
断らない限り、ここで使用される「アルキル」は単独でまたは置換基の一部として使用されるいずれの場合でも炭素数1〜8の範囲内の直鎖状および分枝鎖状の炭化水素アルキル基をさす。例はメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、ターシャリーブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシルなどを包含する。他の例はC1−4アルキル基を包含する。アルキルは場合により利用可能な原子価により許容可能である時には1個もしくはそれ以上の利用可能な炭素連鎖原子上で1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0017】
従って、表示された炭素数(例えばC1−8)はアルキルもしくはシクロアルキル部分中の炭素数を独立してさすかまたはアルキルがその接頭辞として出現するさらに大きい置換基のアルキル部分をさすであろう。
【0018】
断らない限り、ここで使用される用語「アルキレン」は、結合基として機能するここで定義された通りのアルキル基をさす。
【0019】
断らない限り、ここで使用される用語「アルコキシ」は、式−O−アルキルの直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素アルキル基をさし、ここでアルキルは以上で定義された通りである。例はメトキシ、エトキシ、プロポキシなどを包含する。他の例はC1−4アルコキシ基を包含する。アルコキシは場合により利用可能な原子価により許容可能である時には1個もしくはそれ以上の利用可能な炭素連鎖原子上で1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0020】
同様に、用語「アルケニル」および「アルキニル」は炭素数2〜8の範囲内の直鎖状および分枝鎖状の炭素連鎖をさし、ここでアルケニル連鎖は連鎖中に少なくとも1個の二重結合を有しそしてアルキニル連鎖は連鎖中に少なくとも1個の三重結合を有する。例はエテニル、エチニル、アリルなどを包含する。他の例はC2−4アルケニルまたはC2−4アルキニル基を包含する。アルケニルおよびアルキニルは場合により利用可能な原子価により許容可能である時には1個もしくはそれ以上の利用可能な炭素連鎖原子上で1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0021】
用語「シクロアルキル」は飽和もしくは部分的不飽和の炭素員数3〜14の単環式または多環式炭化水素環をさす。そのような環の例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、インダニル、インデニルおよびアダマンチルを包含するが、それらに限定されない。或いは、シクロアルキル環はベンゼン環(ベンゾ縮合されたシクロアルキル)、5もしくは6員のヘテロアリール環(O、SまたはNの1個および場合により1個の追加窒素を含有)に縮合されてヘテロアリール縮合されたシクロアルキルを形成することもできる。シクロアルキル環は場合により利用可能な原子価により許容可能である時には1個もしくはそれ以上の利用可能な環炭素原子上で1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0022】
用語「ヘテロシクリル」は、1〜2個の員が窒素である非芳香族性の(飽和もしくは部分的不飽和の)5〜7員の単環式または多環式炭化水素環、或いは0、1もしくは2個の員が窒素でありそして2個までの員が酸素または硫黄である非芳香族性の5〜7員の単環式または多環式炭化水素環をさし、ここで、場合により、環は0〜1個の不飽和結合を含有し、そして、場合により、環が6もしくは7員である時にはそれは2個までの不飽和結合を含有する。ヘテロシクリル環は場合により利用可能な原子価により許容可能である時には1個もしくはそれ以上の利用可能な環炭素上で1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0023】
用語「ヘテロシクリル」は、ベンゼン環(ベンゾ縮合されたシクロアルキル)、5もしくは6員のヘテロアリール環(O、SまたはNの1個および、場合により、1個の追加窒素を含有)、5〜7員のシクロアルキルもしくはシクロアルケニル環、5〜7員のヘテロシクリル環(以上と同じ定義であるがさらなる縮合環の選択肢はない)に縮合されてまたはシクロアルキル、シクロアルケニルもしくはヘテロシクリル環の結合の炭素に縮合されてスピロ部分を形成する5〜7員の飽和もしくは部分的不飽和の5〜7員の単環式または多環式炭化水素環を包含する。
【0024】
本発明のこの化合物に関すると、ヘテロシクリルを形成する炭素原子環員は完全に飽和されている。本発明の他の化合物は部分的飽和のヘテロシクリル環を有することができる。用語「ヘテロシクリル」は架橋結合されて二環式環を形成する5〜7員の単環式複素環も包含する。そのような化合物は完全に芳香族性であるとは考えられずそしてヘテロアリール化合物とは称さない。
【0025】
ヘテロシクリル基の例はピロリニル(2H−ピロール、2−ピロリニルもしくは3−ピロリニルを包含する)、ピロリジニル、2−イミダゾリニル(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾリルとも称する)、イミダゾリジニル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、テトラゾリル、テトラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、1,4−ジチアニル、アゼチジニル、アゼパニル、アゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−オキシアゼパニル、テトラヒドロ−フラニル、テトラヒドロ−チエニル、テトラヒドロ−ピラニル、テトラヒドロ−ピラダジニルなどを包含するが、それらに限定されない。
【0026】
ベンゾ縮合された−ヘテロシクリル環系基の例はインドリニル(2,3−ジヒドロ−インドリルとも称する)、ベンゾ[1,3]ジオキソリル(1,3−ベンゾジオキソリルとも称する)、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、1,2−ジヒドロ−フタラジニルなどを包含するが、それらに限定されない。
【0027】
用語「アリール」は炭素員数6の不飽和の芳香族性単環式環または炭素員数10〜14の不飽和の芳香族性多環式環をさす。そのようなアリール環の例はフェニル、ビフェニル、ナフタレニル、アズレニルまたはアントラセニルを包含するが、それらに限定されない。フェニル、ビフェニル、ナフタレン(ナフタレニルおよびナフチルとも称する)、アズレニル、アントラセニルなど。シクロアルキル環は場合により利用可能な原子価により許容可能である時には1個もしくはそれ以上の利用可能な環炭素原子上で1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0028】
用語「へテロアリール」は、環が炭素原子よりなりそして少なくとも1個のヘテロ原子員を有する5もしくは6員の不飽和の芳香族性単環式または多環式環をさす。適するヘテロ原子は窒素、酸素または硫黄を包含する。5員環の場合には、ヘテロアリール環は窒素、酸素または硫黄の1員を含有し、そして、さらに、3個までの追加窒素を含有しうる。6員環の場合には、ヘテロアリール環は1〜3個の窒素原子を含有しうる。6員環が3個の窒素を有する場合に関しては、多くとも2個の窒素原子が隣接する。場合により、ヘテロアリール環はベンゼン環(ベンゾ縮合されたヘテロアリール)、5もしくは6員のヘテロアリール環(O、SもしくはNの1個および、場合により、1個の追加窒素を含有)、5〜7員のシクロアルキル環または5〜7員のヘテロシクロ環(以上で定義された通りであるがさらなる縮合環の選択肢はない)に縮合されていてもよい。ヘテロアリール基は芯分子に結合されていてもよくそして利用可能な原子価により許容可能である時にはいずれかの原子上でさらに置換されていてもよい。
【0029】
用語「ベンゾ縮合された」は、環系に関する接頭辞として使用される時には、ベンゼン環に縮合されたいずれかの単環式基により形成される基をさし、ベンゾ縮合された基は二環式系のいずれかの環を介して芯分子に結合されうる。
【0030】
ヘテロアリール基の例はフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニルまたはピラジニルを包含するがそれらに限定されず、ベンゾ縮合されたヘテロアリール基の例はインドリル、インドリジニル、アザインドリル、イソインドリル、インドリニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチリアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、プテリジニルまたはキナゾリニルを包含する。ベンゾ縮合された−ヘテロアリール基は芯分子に結合されていてもよくそして利用可能な原子価により許容可能である時にはいずれかの原子上でさらに置換されていてもよい。
【0031】
用語「ハロゲン」および「ハロ」は弗素、塩素、臭素およびヨウ素をさす。複数のハロゲンで置換された置換基は安定な化合物を与える方法で置換される。
【0032】
式(I)の化合物は以下の番号付与取り決めに従い命名される:
【0033】
【化2】

【0034】
一般的に、この開示を通して使用される置換基に関する命名法則は側鎖の末端部分が最初に表示され、引き続き結合点に向かって隣接する官能基を記載する。それ故、例えば、「フェニルC−CアルキルアミドC−Cアルキル」置換基は式:
【0035】
【化3】

【0036】
の基をさす。
【0037】
分子内の特定位置におけるいずれかの置換基または変数はその分子内のどこでもその定義が独立していることが意図される。化学的に安定であり且つ当該技術で既知の技術並びにここに示された方法により容易に合成されうる化合物を与えるように本発明の化合物上の置換基および置換パターンを当業者により選択できることは理解される。
【0038】
ここで使用される用語「被験体」は、処置、観察または実験の対象であった動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくは人間、をさす。
【0039】
ここで使用される用語「治療的に有効な量」は、処置する疾病または疾患の徴候の緩和を包含する、研究者、獣医師、医師または他の臨床士により求められる組織系統、動物または人間における生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または薬剤の量を意味する。
【0040】
ここで使用される用語「組成物」は、特定成分を特定量で含んでなる生成物並びに特定成分の特定量の組み合わせから直接的にまたは間接的に生ずるいずれかの生成物を包括することが意図される。
【0041】
断らない限り、ここで使用される用語「非プロトン性有機溶媒」はプロトンを生じないいずれかの溶媒を意味するであろう。適する例はDMF、ジオキサン、THF、アセトニトリル、ピリジン、ジクロロエタン、ジクロロメタン、ジメトキシエタン、MTBE、トルエンなどを包含するが、それらに限定されない。
【0042】
本発明の態様は、
(a)式(I)のA−含有環系が1H−インドールであるようにAがCHであり、
(b)RおよびRが各々水素、メチル、メトキシ、ハロゲン、およびヒドロキシよりなる群から選択され、
(c)RおよびRが各々水素であり、
(d)RおよびRが各々C3−4アルキレンであり、ここでRに関する結合点は式(I)の化合物のR置換されたピリジン炭素環原子に関してメタまたはオルトであり、
(e)RおよびRが各々n−プロピレンまたはn−ブチレンであり、
(f)RがC6−10アリールまたはNRであり、ここでC6−10アリールが場合によりC1−4アルキルおよびハロゲンよりなる群から独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、
(g)Rが場合により1〜2個のメチル置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
(h)Rが場合により1個のメチル置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
(i)Rが4−メチル−フェニルであり、
(j)RおよびRが各々C1−4アルキルであり、或いはRおよびRがそれらが結合される原子と一緒になって5〜6員の単環式環を形成し、そして
(k)RおよびRが各々C1−2アルキルであり、或いはRおよびRがそれらが結合される原子と一緒になって5−員の単環式環を形成する、
式(I)の化合物を包含する。
【0043】
本発明の別の態様は式(Ia):
【0044】
【化4】

【0045】
[式中、
およびRは各々水素、メチル、メトキシ、ハロゲン、およびヒドロキシよりなる群から選択され、
およびRは各々C3−4アルキレンであり、ここでRに関する結合点は式(I)の化合物のR置換されたピリジン炭素環原子に関してメタまたはオルトであり、
はC6−10アリールまたはNRであり、ここでC6−10アリールは場合によりC1−4アルキルおよびハロゲンよりなる群から独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよく、
およびRは各々C1−4アルキルであり、或いはRおよびRはそれらが結合される原子と一緒になって5〜6員の単環式環を形成する]
の化合物、並びにそのエナンチオマー類、ジアステレオマー類、ラセミ体、および製薬学的に許容可能な塩類に関する。
【0046】
本発明の別の態様は、
およびRが各々水素であり、そして
がC6−10アリールまたはNRであり、ここでC6−10アリールが場合によりC1−4アルキルおよびハロゲンよりなる群から独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい、
式(Ia)の化合物に関する。
【0047】
本発明の別の態様は、
およびRが各々n−プロピレンまたはn−ブチレンであり、
がフェニルまたはNRであり、ここでフェニルが場合により1〜2個のメチル置換基で置換されていてもよく、そして
およびRが各々C1−2アルキルであり、或いはRおよびRがそれらが結合される原子と一緒になって5−員の単環式環を形成する、
式(Ia)の化合物に関する。
【0048】
本発明の別の態様は、Rが4−メチル−フェニルまたはNRである式(Ia)の化合物を含んでなる組成物に関する。
式(I)の代表的な化合物またはその形態は以下のものよりなる群から選択される化合物
を包含する:
【0049】
【表1】

【0050】
本発明の態様は以下のものよりなる群から選択される化合物を包含する:
【0051】
【化5】

【0052】
本発明の実例は製薬学的に許容可能な担体および式(I)の化合物を含んでなる製薬学的組成物である。本発明の実例は式(I)の化合物を製薬学的に許容可能な担体と混合することにより製造される製薬学的組成物である。
【0053】
化合物形態
用語「形態」は、本発明の化合物に関すると、限定するものではないが、塩、立体異性体、互変異性体、結晶、多形、非晶質、溶媒和物、水和物、エステル、プロドラッグまたは代謝産物形態として存在しうるものを意味する。本発明は全てのそのような化合物形態およびそれらの混合物を包括する。
【0054】
用語「単離された形態」は、本発明の化合物に関すると、限定するものではないが、エナンチオマー、ラセミ混合物、幾何学的異性体(例えばシスもしくはトランス立体異性体)、幾何学的異性体の混合物などの如き本質的に純粋な状態で存在しうるものを意味する。本発明は全てのそのような化合物形態およびそれらの混合物を包括する。
【0055】
本発明の化合物は製薬学的に許容可能な塩類の形態で存在しうる。薬品中での使用のためには、本発明の化合物の「製薬学的に許容可能な塩類」は無毒の酸性/アニオン性または塩基性/カチオン性塩形態をさす。しかしながら、他の塩類も本発明に従う化合物またはそれらの製薬学的に許容可能な塩類の製造において有用でありうる。
【0056】
化合物の適当な製薬学的に許容可能な塩類は、例えば、化合物の溶液を製薬学的に許容可能な酸、例えば塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、琥珀酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、アジピン酸、グリコール酸、マロン酸、サッカリン酸、トリフルオロ酢酸または燐酸、の溶液と混合することにより製造できる酸付加塩類を包含する。
【0057】
さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合には、それらの適当な製薬学的に許容可能な塩類はアルカリ金属塩類、例えば、ナトリウムもしくはカリウム塩類、アルカリ土類金属塩類、例えば、カルシウムもしくはマグネシウム塩類、並びに適当な有機配位子を用いて製造される塩類、例えば、第四級アンモニウム塩類、を包含しうる。
【0058】
それ故、代表的な製薬学的に許容可能な塩類は以下のものを包含する:酢酸塩、アジピン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウム、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩(またはカンファースルホン酸塩)、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシレート、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、グリコネート、ヘキシルレソルシネート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシレート、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、燐酸塩/二燐酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サッカリン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、スバセテート、琥珀酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシレート、トリクロロ酢酸塩、トリエチオダイドおよび吉草酸塩。
【0059】
本発明はその範囲内に本発明の化合物のプロドラッグ類を包含する。一般的に、そのようなプロドラッグ類は要求される化合物にインビボで容易に転化可能である化合物の官能性誘導体であろう。それ故、本発明の処置方法においては、用語「投与する」は具体的に開示された化合物または具体的に記載されていないが罹患体への投与後にインビボで特定された化合物に転化する化合物を用いる記載された種々の疾患の処置を包括するであろう。適当なプロドラッグ誘導体の選択および製造用の普遍的な工程は、例えば、”Design of Prodrugs”,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。
【0060】
さらに、化合物に関する結晶形態のあるものは多形または非晶質結晶形態として存在することができそしてそのままで本発明に包含されることが意図される。さらに、化合物のあるものは水との溶媒和物(すなわち、水和物)または普遍的な有機溶媒との溶媒和物(例えば、有機エステル類、例えばエタノレートなど)を形成することもでき、そしてそのような溶媒和物も本発明の範囲内に包括されることが意図される。
【0061】
本発明の化合物の製造方法のいずれかの間に、関与する分子上の敏感性または反応性基を保護することが必要でありおよび/または望ましいことがある。これは普遍的な保護基、例えばProtective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973およびT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991に記載されているもの、により達成しうる。保護基は簡便なその後の段階において当該技術で既知の方法を用いて除去することができる。本発明の範囲は全てのそのような保護された化合物およびそれらの混合物を包括する。
【0062】
本発明の化合物(それらの製薬学的に許容可能な塩類および製薬学的に許容可能な溶媒和物を包含する)は単独で投与することができるが、それらは一般的には意図する投与経路および標準的な製薬学的または獣医学的実施法に関して選択される製薬学的担体、賦形剤または希釈剤と混合して投与されるであろう。それ故、本発明は式(I)の化合物および1種もしくはそれ以上の製薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤を含んでなる製薬学的および獣医学的組成物に関する。
【0063】
例えば、本発明の製薬学的および獣医学的組成物では、本発明の化合物は1種もしくは複数の適当な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、および/または溶解剤と混合することができる。
【0064】
化合物の錠剤またはカプセル剤を、適宜、単独でまたは一時に2個以上で投与することができる。化合物を持続放出調剤で投与することも可能である。
【0065】
或いは、一般式(I)の化合物を吸入によりまたは坐剤もしくはペッサリー剤として投与することもでき、或いはそれらを局部的にローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤または散布粉剤として適用することもできる。経皮投与の別の手段は皮膚パッチ剤の使用による。例えば、それらをポリエチレングリコール類または液体パラフィンの水性乳化液よりなるクリーム剤に加えることができる。それらは、1〜10重量%の間の濃度で、白色蝋または白色軟質パラフィンベースよりなる軟膏剤の中に必要に応じてそのような安定剤および防腐剤と一緒に加えることができる。
【0066】
ある種の用途では、好ましくは組成物は経口的に、例えば澱粉もしくはラクトースの如き賦形剤を含有する錠剤の形態で、または単独でもしくは賦形剤と混合されたカプセル剤もしくはオーブル剤で、または香味もしくは着色剤を含有するエリキシル剤、液剤もしくは懸濁剤の形態で投与することができる。
【0067】
組成物(並びに化合物単独)を非経口的に、例えば海綿体内に、静脈内に、筋肉内にまたは皮下に、注射することもできる。この場合には、組成物は適当な担体または希釈剤を含んでなるであろう。
【0068】
非経口的投与のためには、組成物は最良には殺菌性水溶液の形態で使用され、それは他の物質、例えば溶液を血液と等張性にするのに充分な塩類または単糖類、を含有しうる。
【0069】
頬または舌下投与のためには、組成物は普遍的な方法で調合できる錠剤またはロゼンジ剤の形態で投与することができる。
【0070】
別の例として、1種もしくはそれ以上のここに記載された本発明の化合物を含有する製薬学的および獣医学的組成物は1種もしくは複数の化合物を製薬学的担体と普遍的な製薬学的混和技術に従い密に混合することにより製造することができる。担体は所望する投与経路(例えば、経口的、非経口的)によって広範囲の形態をとりうる。それ故、液体の経口調剤、例えば懸濁剤、エリキシル剤および液剤、のためには、適当な担体および添加剤は水、グリコール類、油類、アルコール類、香味剤、防腐剤、安定剤、着色剤などを包含し、固体の経口調剤、例えば散剤、カプセル剤および錠剤、のためには、適当な担体および添加剤は澱粉、糖類、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを包含する。固体の経口液剤を例えば糖類の如き物質でコーティングすることもでき、または主要な吸収部位を調整するために腸溶性コーティングすることもできる。非経口投与のためには、担体は一般的には殺菌水よりなりそして他の成分を加えて溶解性または防腐性を高めることができる。水性担体を適当な添加剤と共に使用して注射懸濁剤または液剤を製造することもできる。
【0071】
有利には、本発明の化合物は1日1回投与することができ、或いは合計1日薬用量を1日2回、3回もしくは4回の分割服用量で投与することもできる。さらに、本発明の化合物を鼻内形態で適当な鼻内賦形剤の局部的使用によりまたは当業者に既知の経皮パッチ剤により投与することもできる。経皮分配システムの形態で投与するためには、薬用量投与は、もちろん、薬用量処方を通して間欠的よりむしろ連続的であろう。
【0072】
本発明の活性化合物またはそれらの製薬学的組成物に関する治療的に有効な服用量は所望する効果に応じて変動することも当業者には明らかである。従って、投与される最適な薬用量は当業者により容易に決めることができ、そして使用される特定化合物、投与の方式、調剤の強度、および疾病症状の進行度に応じて変動するであろう。さらに、被験体の年令、体重、食事および投与時間を包含する処置する特定の被験体に関係する因子が特定の治療レベルに服用量を調整する必要性をもたらすであろう。もちろん、それより高いまたは低い薬用量範囲が有利である個別の場合もあり、そしてそのような場合も本発明の範囲内にある。
【0073】
本発明は1種もしくはそれ以上の本発明の製薬学的および獣医学的組成物の成分が充填された1個もしくはそれ以上の容器を含んでなる製薬学的もしくは獣医学的パックまたはキットも提供する。
【0074】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)は、別個の遺伝子によりコードされる2種のイソ形態(αおよびβ)より構成されるセリン/スレオニンプロテインキナーゼである。GSK−3はグリコーゲンシンターゼ(GS)をホスホリル化する数種のプロテインキナーゼ類の1種である(Embi,et al.,Eur.J.Biochem,1980,107,519−527)。αおよびβイソ形態はそれぞれ49および47kDの単量体構造を有しそして両方とも哺乳動物細胞内で見いだされる。両方のイソ形態は筋肉グリコーゲンシンターゼをホスホリル化し(Cross,et al.,Biochemical Journal,1994,303,21−26)そしてこれらの2種のイソ形態は種の間の良好な相同性を示す(ヒトおよびウサギのGSK−3αは96%同一である)。
【0075】
糖尿病
II型糖尿病(すなわち、非−インスリン依存性真性糖尿病、NIDDM)は多因子疾病である。高血糖症は、膵臓島からのインスリンの不適切なまたは欠損する分泌と組み合わされた肝臓、筋肉および他の組織内のインスリン耐性による。骨格筋はインスリン−刺激されるグルコース吸収のための主要部位である。この組織内で、循環から除去されるグルコースはグリコール分解およびTCA(トリカルボン酸)サイクルにより代謝されるかまたはグリコーゲンとして貯蔵される。筋肉グリコーゲン沈着はグルコース恒常性においてさらに重要な役割を演じそしてII型糖尿病被験体は欠損した筋肉グリコーゲン貯蔵を有する。骨格筋内のインスリンによるグリコーゲン合成の刺激はグリコーゲンシンターゼの脱ホスホリル化および活性化から生ずる(Villar−Palasi C.and Lamer J.,Biochim.Biophys.Acta,1960,39,171−173、Parker P.J.,et al.,Eur.J.Biochem.,1983,130,227−234、およびCohen P.,Biochem.Soc.Trans.,1993,21,555−567)。GSのホスホリル化および脱ホスホリル化は特異的キナーゼ類およびホスファターゼ類により介在される。GSK−3はGSのホスホリル化および脱活性化に寄与するが、グリコーゲン結合された蛋白質ホスファターゼ1(PP1G)はGSを脱ホスホリル化しそして活性化する。インスリンはGSK−3を不活性化し且つPP1Gを活性化する(Srivastava A.K.and Pandey S.K.,Mol.And Cellular Biochem.,1998,182,135−141)。
【0076】
研究は、GSK−3活性における増加はII型糖尿病筋肉内で重要でありうることを示唆している(Chen,et al.,Diabetes,1994,43,1234−1241)。HEK−293細胞内のGSK−30および構造的に活性なGSK−3β(S9A、S9e)突然変異体の過剰発現はグリコーゲンシンターゼ活性の抑制(Eldar−Finkelman,et al.,PNAS,1996,93,10228−10233)およびCHO細胞内のGSK−3βの過剰発現をもたらし、インスリン受容体およびインスリン受容体基質1(IRS−1)の両方の発現はインスリン活性の損傷をもたらす(Eldar−Finkelman and Krebs,PNAS,1997,94 9660−9664)。高められたGSK−3活性およびインスリン耐性の発生の関り合い並びに脂肪組織内のII型糖尿病に関する最近の証拠が糖尿病および肥満症傾向のあるC57BL/6Jマウスにおいて行われた研究から明らかになった(Eldar−Finkelman,et al.,Diabetes,1999,48,1662−1666)。
【0077】
炎症性疾病
GSK−3βノックアウトマウスからの線維芽細胞に関する研究は、GSK−3の阻害がNFkB活性の負の調整により炎症性疾患または疾病を処置する際に有用でありうることを示している(Hoeflich K.P.,et al.,Nature,2000,406,86−90)。
【0078】
皮膚科学的疾患
一時的なβ−カテニン安定化が育毛において重要な役割を演ずるという発見(Gat,et al.,Cell,1998,95,605−614)はGSK−3阻害剤を禿頭病の処置においても使用できることを示唆している。
【0079】
中枢神経系疾患
グリコーゲンシンターゼ活性の調整の他に、GSK−3はCNS疾患においても重要な役割を演ずる。GSK−3阻害剤は急性発作および他の神経外傷性損傷の処置において神経保護剤として価値がありうる(Pap and Cooper,J.Biol.Chem.,1998,273,19929−19932)。GSK−3の低mM阻害剤であるリチウムが小脳顆粒ニューロンを死滅から保護し(D’Mello,et al.,Exp.Cell Res.,1994,211,332−338)そして慢性リチウム処置は齧歯動物における発作の中央大脳動脈閉塞モデルにおいて効果を示し得た(Nonaka and Chuang,Neuroreport,1998,9(9),2081−2084)。
【0080】
GSK−3のインビボ基質内の既知の2種であるタウおよびβ−カテニンは慢性神経変性症状の処置に関連するGSK−3阻害剤の価値の別の面を考慮すると直接的関連性がある。タウ高ホスホリル化はアルツハイマー病の如き神経変性症状における初期事象でありそして微細管分解を促進することが仮定される。リチウムはタウのホスホリル化を減少させ、微細管に対するタウの結合を促進しそしてGSK−3の直接および可逆的阻害により微細管集合を促進させることが報告された(Hong M.et al J.Biol.Chem.,1997,272(40),25326−32)。β−カテニンはβ−カテニン分解を生ずるトリパルタイトアキシン蛋白質複合体の一部としてGSK−3によりホスホリル化される(Ikeda,et al.,EMBO J.,1998,17,1371−1384)。GSK−3活性の阻害はカテニンの安定化に関係しておりそしてβ−カテニン−LEF−1/TCF転写活性を促進する(Eastman, Grosschedl,Curr.Opin.Cell Biol.,1999,11,233)。研究は、GSK−3阻害剤は統合失調症(Cotter D.,et al.Neuroreport,1998,9,1379−1383;Lijam N.,et al.,Cell,1997,90,895−905)および双極性疾患としても知られる躁鬱病(Manji,et al.,J.Clin.Psychiatry,1999,60,(Suppl 2)27−39 for review)の処置においても価値がありうることも示唆している。
【0081】
従って、GSK−3阻害剤として有用であると見出された化合物は糖尿病、炎症性疾病、皮膚科学的疾患および中枢神経系疾患の処置においてさらなる治療有用性を有しうる。
【0082】
本発明の態様は、被験体に治療的に有効な量の本発明の化合物のいずれかまたは製薬学的組成物を投与することを含んでなる、それを必要とする被験体におけるキナーゼ−介在疾患を処置または予防する方法である。
【0083】
そのような方法で例示される式(I)の化合物の治療的に有効な量は約0.001mg/kg/日〜約300mg/kg/日である。特に、この範囲は1日当たり約0.5〜約5.0mg/kgの体重であり、そしてより特に、1日当たり約1.0〜約3.0mg/kgの体重である。化合物は平均的な(70kg)の人間に対して1日当たり1〜4回の処方で投与できるが、本発明の活性化合物の治療的に有効な量は処置する症状に応じて変動することは当業者に明らかである。
【0084】
本発明の態様は、それを必要とする被験体におけるキナーゼ介在疾患を処置または改善するための薬品の製造用の式(I)の化合物の使用を包含する。
【0085】
本発明の別の態様は、糖尿病、炎症性疾病、皮膚科学的疾患、並びにCNS(中枢神経系)疾患、例えば統合失調症、躁鬱病、およびアルツハイマー病、よりなる群から選択される疾患を処置または改善するための薬品の製造用の式(I)の化合物の使用を包含する。
【0086】
本発明はキナーゼ介在疾患を処置する方法を包含する。より特に、本発明はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3を阻害する、そしてより特に、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3βを阻害する、方法を包含する。
【0087】
本発明の態様は、そのような処置を必要とする被験体に治療的に有効な量の本発明の化合物のいずれかまたは製薬学的組成物を投与することを含んでなる、糖尿病、炎症性疾病、皮膚科学的疾患、並びに統合失調症、躁鬱病、およびアルツハイマー病よりなる群から選択されるCNS(中枢神経系)疾患よりなる群から選択される症状または疾患を処置する方法を包含する。
【0088】
本発明の態様は、キナーゼ介在疾患の影響を処置、軽減または改善するための他の剤と組み合わせて有利には共−投与される化合物またはその製薬学的組成物を包含する。例えば、糖尿病、特にII型糖尿病、の処置において、式(I)の化合物またはその製薬学的組成物を他の剤、特にインスリンまたはインスリン分泌促進物質(例えばスルホニルウレア類)を包含するがそれらに限定されない抗糖尿病剤、グリタゾンインスリンセンシタイザー(例えばチアゾリジンジオン類)を包含するがそれらに限定されないインスリンセンシタイザー、ビグアミド類またはグルコシダーゼ阻害剤、と組み合わせて使用することができる。
【0089】
さらに、本発明の化合物は引用することにより本発明の内容となるMaryanoff他の米国特許第4,513,006号明細書に開示されている式(I)のスルファメート化合物とさらに組み合わせて投与することもできる。Maryanoff他の米国特許第4,513,006号明細書に開示されている特に好ましいスルファメート化合物は、以下の構造:
【0090】
【化6】

【0091】
の化合物であるその化学名である2,3:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−(β)−D−フルクトピラノーススルファメートによっても知られるトピラメート(topiramate)である。
【0092】
Maryanoff他の米国特許第4,513,006号明細書に開示されている式(I)のスルファメート化合物は、当業者により認識されるように、(a)癲癇および関連疾患、(b)糖尿病、X症候群、損傷された口腔グルコース耐性および他の代謝疾患、(c)高血圧、(d)上昇した脂質レベル、(e)肥満症および過剰体重症状を包含するがそれらに限定されない種々の疾患および疾病の処置、予防および/または進行防止において有用である。
【0093】
好ましくは、1種もしくはそれ以上の本発明の化合物は糖尿病、炎症性疾病、皮膚科学的疾患、およびCNS疾患よりなる群から選択される疾患の処置のためにトピラメートと組み合わされて投与される。好ましくは、トピラメートは1日当たり約10〜約400mg、より好ましくは1日当たり約25〜約250mg、より好ましくは1日当たり約25〜約200mg、の範囲内の量で投与される。
【0094】
組み合わせ生成物は、キナーゼ介在疾患を処置もしくは改善するための、または糖尿病、炎症性疾病、皮膚科学的疾患、およびCNS疾患よりなる群から選択される疾患を処置するための、式(I)の化合物またはその製薬学的組成物および追加剤の共−投与を含んでなる生成物である。
【0095】
用語「組み合わせ生成物」は、生成物が式(I)の化合物もしくはその製薬学的組成物および追加剤を含んでなる順次投与される生成物である場合に順次投与される生成物、式(I)の化合物もしくはその製薬学的組成物および追加剤を含有する製薬学的組成物の投与、または式(I)の化合物もしくはその製薬学的組成物を含有する別個の製薬学的組成物および追加剤を含有する別個の製薬学的組成物の本質的に同時の投与も含んでなる。
【0096】
GSKイソ形態の偏在する性質および生理学におけるそれらの重要な役割が高度に選択的なGSK阻害剤の生成に刺激を与える。疾病症状に対するある種のイソ形態の関係を示す証拠を前提とすると、他のGSKイソ形態および他のプロテインキナーゼ類と比べてある種のGSKイソ形態に選択的である阻害性化合物が優れた治療剤であると仮定することは妥当である。そのような化合物はそれらの特異性のためにより大きい効果およびより低い毒性を示すはずである。従って、化合物に応答する選択的なキナーゼ阻害の発生による疾患の調整に基づく特定のキナーゼ介在疾患に関して治療的に有効であるように式(I)の化合物が選択されることは当業者により認識されるであろう。
【0097】
選択的なキナーゼ阻害を例示する実験は実施例で提供される。選択的なキナーゼ阻害剤としての式(I)の化合物の有用性はここに開示された方法に従いそして現在までに得られたデータに基づき判定することができ、特定化合物が1種もしくはそれ以上のキナーゼ介在疾患の抑制において有用でありそしてその結果として1種もしくはそれ以上のキナーゼ介在疾患において有用であることが予期される。
【0098】
用語「選択的なキナーゼ阻害剤」は、他のキナーゼ類と比べて、特定キナーゼ、例えばGSK−3キナーゼ、に関して高い選択性を示す本発明の化合物を包含する。好ましくは、本発明の化合物はここではGSK−3キナーゼに関する他のキナーゼ類と比べて約10倍の選択性、より好ましくは50倍の選択性、そして最も好ましくは100倍の選択性、として定義される高い選択性を有する。この選択性の1つの意味は、本発明の化合物がそのような化合物が投与された被験体における副作用の可能性の減少を示すことである。
【0099】
従って、ここで使用される用語「キナーゼ介在疾患」は糖尿病、炎症性疾病、皮膚科学的疾患、およびCNS疾患を包含するが、それらに限定されない。
【0100】
炎症性疾病は血管透過性、炎症、喘息、慢性関節リウマチまたは変形性関節症を包含するが、それらに限定されない。
【0101】
皮膚科学的疾患は乾癬、脱毛または禿頭病を包含するが、それらに限定されない。
【0102】
CNS疾患は慢性疼痛、神経障害疼痛、癲癇、慢性神経変性症状(例えば認知症もしくはアルツハイマー病)、気分疾患(例えば統合失調症)、躁鬱病(双極性疾患としても知られる)、または神経外傷性、認識退行および虚血−関連性疾病((急性虚血発作、損傷もしくは手術からの)頭部外傷の結果として)もしくは一時的虚血発作(冠状バイパス手術もしくは他の一時的虚血症状から)を包含するが、それらに限定されない。
【0103】
本発明の別の態様は、それを必要とする本発明の式(I)の化合物または製薬学的組成物を投与することを含んでなる糖尿病、炎症性疾病、皮膚科学的疾患、およびCNS疾患よりなる群から選択される疾患を処置する方法である。
【0104】
一般的な合成方法
本発明の代表的な化合物は、以下に記載されそして以下のスキームで説明される一般的な合成方法に従い合成することができる。スキームは例示であるため、本発明は表示された化学反応および条件により限定されると考えるべきでない。スキームで使用される種々の出発物質の製造は充分に当業者の専門内である。
【0105】
この明細書、特にスキームおよび実施例、で使用される略語は以下の通りである:
【0106】
【表2】

【0107】
スキームAは本発明のある種の中間体および化合物の製造を記述する。
【0108】
【化7】

【0109】
式A1および式A4の化合物は市販物質であり(例えば式A1および式A4の化合物に関してAがCHである時にはアルドリッヒ(Aldrich)からそして式A4の化合物に関してAがNである時にはヘムパシフィック・コーポレーション(ChemPacific Corp.)から)、或いは当業者により普遍的な方法および既知の物質を用いて製造することができる(式A1の化合物に関してAがNである時には、Design, Synthesis,and Biological Evaluation of Novel 7−Azaindolyl−Heteroaryl−Maleimides as Potent and Selective Glycogen Synthase Kinase−3β(GSK−3β)Inhibitors,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2004,12(12),3167−3185を参照のこと)。
【0110】
式A1の化合物を例えば水素化ナトリウムの如き塩基の存在下で式A2のアルキン−含有化合物を用いて求核置換によりアルキル化して式A3の化合物を与えることができる。同様に、式A4の化合物を例えば水素化ナトリウムの如き塩基の存在下で式A2の化合物を用いてアルキル化して式A5の化合物を与えることができる。
【0111】
塩基性条件下での式A3の化合物と式A5の化合物との縮合が式A6のアルキン−含有化合物を与える。例えばCpCo(CO)の如きコバルト触媒の存在下における希釈条件下での式A7のR−置換された化合物を用いる化合物A6のコバルト−介在[2+2+2]共−シクロ三量化が式A8のピリジン−含有大環を与える。
【0112】
従って、本発明は
段階A.式A1の化合物を塩基の存在下で式A2の化合物と反応させて式A3の化合物を与え:
【0113】
【化8】

【0114】
段階B.式A4の化合物を塩基の存在下で式A2の化合物と反応させて式A5の化合物を与え:
【0115】
【化9】

【0116】
段階C.式A3の化合物を塩基の存在下で式A5の化合物と反応させて式A6の化合物を与え:
【0117】
【化10】

【0118】
そして
段階D.式A6の化合物をコバルト触媒の存在下で式A7の化合物と反応させて式(I)の化合物に相当する式A8の化合物を与える:
【0119】
【化11】

【0120】
段階を含んでなる、式(I):
【0121】
【化12】

【0122】
[式中、
Aは、各々、1H−インドールまたは1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを形成するための、CHまたはNであり、
およびRは各々水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、ニトロ、アミノ、(C1−4)アルキルアミノ、およびジ(C1−4)アルキルアミノよりなる群から選択され、
およびRは各々場合によりオキソで置換されていてもよいC2−6アルキレンであり、ここでRに関する結合点は式(I)の化合物のR置換されたピリジン炭素環原子に関してメタまたはオルトであり、
はC6−10アリールまたはNRであり、ここでC6−10アリールは場合によりC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン、アミノ、(C1−4)アルキルアミノ、ジ(C1−4)アルキルアミノ、およびC1−4アルコキシカルボニルよりなる群から独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよく、
およびRは各々C1−6アルキルであり、或いはRおよびRはそれらが結合される原子と一緒になって5、6、7もしくは8員の単環式環を形成し、ここで該単環式環は場合により1個の追加の酸素、硫黄、NH、またはN(C1−4アルキル)を含有してもよい]
の化合物を合成する方法に関する。
【0123】
段階AおよびBにおいて、代表的な塩基は例えばDMFなどの如き溶媒中の水素化ナトリウムなどである。
【0124】
段階Dにおいて、式A6の化合物は約1モル当量〜約10モル当量の範囲内で、または約4モル当量〜約8モル当量の範囲内で、存在する。
【0125】
段階Dにおいて、代表的なコバルト触媒は(トルエン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタンなど、好ましくは1,4−ジオキサンまたはジメトキシエタン、から選択される)非プロトン性溶媒中のCpCo(CO)である。
【0126】
段階Dにおいて、コバルト触媒は約0.1モル当量〜約1モル当量の範囲内で、または約0.2モル当量〜約0.5モル当量の範囲内で、存在する。
【0127】
この方法の一例では、式A6の化合物と式A7の化合物との反応は場合によりトリフェニルホスフィンの存在下で、場合により高められた温度でそして場合により不活性雰囲気下で行われる。
【0128】
この方法の一例では、温度は約60℃〜約140℃の範囲内、または約80℃〜約110℃の範囲内、である。
【0129】
この方法の一例では、トリフェニルホスフィンは約0.1モル当量〜約1モル当量の範囲内で、または約0.2モル当量〜約0.5モル当量の範囲内で、存在する。
【0130】
この方法の一例では、不活性雰囲気はアルゴンである。
【0131】
この方法の一例では、式(I)の化合物は
式(I)のA−含有環系が1H−インドールであるようにAがCHであり、
およびRが各々水素、メチル、メトキシ、ハロゲン、およびヒドロキシよりなる群から選択され、
およびRが各々C3−4アルキレンであり、
がC6−10アリールまたはNRであり、ここでC6−10アリールが場合によりC1−4アルキルおよびハロゲンよりなる群から独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、そして
およびRが各々C1−4アルキルであり、或いはRおよびRがそれらが結合される原子と一緒になって5〜6員の単環式環を形成する
化合物から選択される。
【0132】
具体的な合成方法
本発明を代表する具体的な化合物は以下の実施例および反応順序の通りにして製造され、実施例および反応順序を記載する図表は本発明の理解を助ける説明のために提供されておりそして以下の請求項に示された発明を何らかの方法で限定するとみなすべきでない。記述された中間体は本発明の別の化合物を製造するためにその後の実施例で使用することができる。反応のいずれかで得られた収率を最適にするための試みはなされなかった。当業者は、反応時間、温度、溶媒および/または試薬における常習的な変動によりそのような収率を増加させる方法がわかるであろう。
【実施例】
【0133】
実施例1
20−(ジメチルアミノ)−4,14,19,26−テトラアザヘプタシクロ[24.6.1.17,14.118,22.02,6.08,13.027,32]ペンタトリアコンタ−1(33),2(6),7(35),8,10,12,18(34),19,21,27,29,31−ドデカエン−3,5−ジオン(化合物2)
31−(ジメチルアミノ)−5,15,25,30−テトラアザヘプタシクロ[27.2.2.15,12.118,25.06,11.013,17.019,24]ペンタトリアコンタ−1(31),6,8,10,12(35),13(17),18(34),19,21,23,29,32−ドデカエン−14,16−ジオン(化合物3)
【0134】
【化13】

【0135】
段階A.化合物1a(10.09g、0.058モル)のDMF中溶液を0℃に冷却しそして95%NaH(1.98g、0.078モル)を加えた。生じた反応混合物を0℃において10分間にわたり、次に室温において30分間にわたり、撹拌した。混合物を0℃に再び冷却し、そして化合物1b(7.85g、0.077モル)を加えた。混合物を室温において2時間にわたり、そして次に55℃において一晩にわたり、撹拌した。溶媒を蒸発させ、そして残渣をエーテルと共に粉砕して白色固体を与えた。母液を蒸発させそしてエーテルと共に粉砕して生成物である化合物1cの別のバッチを与えた。H NMR(CDOD):δ7.55(d,J=7.9Hz,1H),7.40(d,J=8.3Hz,1H),7.16(m,2H),7.04(m,1H),4.27(t,J=6.7Hz,2H),3.64(s,2H),2.34(t,J=2.6Hz,1H),2.15(m,2H),2.0(m,2H). ES−MS m/z 241(MH)。
【0136】
段階B.化合物1d(10.7g、0.052モル)、化合物1b(7.10g、0.069モル)および炭酸セシウム(33.7g、0.10モル)のDMF(40mL)中混合物を室温において一晩にわたり撹拌した。固体を濾過しそしてMeOHで洗浄した。濾液を蒸発させ、そして残渣をEtOAcの中に溶解させた。溶液をHO、食塩水で洗浄し、そして乾燥し(NaSO上)そして濃縮して粗製生成物を与えた。フラッシュクロマトグラフィー精製(EtOAc/ヘプタン、1:5)が化合物1eを与えた。H NMR(CDCl):δ8.46(m,2H),7.43(m,1H),7.35(m,2H),4.37(t,J=6.7Hz,2H),3.96(s,3H),2.22(m,2H),2.11(m,3H). ES−MS m/z 270(MH)。
【0137】
段階C.カリウムt−ブトキシドのTHF中1.0M溶液(23mL、23ミリモル)をエステル化合物1e(2.47g、9.17ミリモル)およびアミド化合物1c(1.84g、7.64ミリモル)の乾燥THF(18mL)中懸濁液に0℃に冷却されたアルゴン下で滴下した。生じた混合物を0℃において5分間にわたりそして室温において20分間にわたり撹拌し、それに次に氷水およびEtOAcを加えた。有機層を分離しそして水層をEtOAc(4×)で抽出した。一緒にした抽出物を水、飽和水性NaHCO、食塩水で連続的に洗浄しそして次に乾燥し(NaSO)そして真空中で蒸発させた。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:3)により精製して化合物1fを橙色固体として与えた。H NMR(CDCl):δ7.67(s,2H),7.32(m,3H),7.12(m,2H),7.05(m,2H),6.75(m,2H),4.30(t,J=6.7Hz,4H),2.17(m,4H),2.06(m,6H). ES−MS m/z 460(MH)。
【0138】
段階D.コバルト−介在[2+2+2]共−シクロ三量化:ピリジン−含有大環類の合成に関する典型的な工程。コンデンサーおよびアルゴンのバルーンに連結された三方向ストッパーを装備した100−mL丸底フラスコ中に、化合物1f(86mg、0.19ミリモル)およびジメチルシアナミド(66mg、0.94ミリモル、5モル当量)の混合物を短時間でポンプ注入しそしてアルゴンで2回パージした。15mLの1,4−ジオキサンを次に加え、引き続きCpCo(CO)(8.2μL、0.065ミリモル、34モル%)の10−mLのジオキサン溶液および残りの量の溶媒を加えて、最終的な0.005M濃度(化合物1fに関して)を与えた。生じた溶液を次に22時間にわたり加熱還流した。反応をTLCにより検査し、そして混合物に追加のCpCo(CO)(4.0μL、合計量;12.2μL、0.097ミリモル、51モル%)を加えた。反応混合物をさらに2時間にわたり加熱還流し、そして次に室温に冷却した。その後の溶媒の真空中での除去、引き続きフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン類、1:10、1:4、1:2および次に1:1)が化合物2および化合物3を与えた。(註:最良の結果のためには、無水1,4−ジオキサン(シグマ−アルドリッヒ(Sigma−Aldrich))およびCpCo(CO)(ストレム−ケミカルズ(Strem−Chemicals))の開けたての瓶をこれらの反応で使用すべきである。)
【0139】
化合物2(メタ異性体):H NMR(CDCl3,600MHz):δ7.75(d,J=8.0Hz,1H),7.47(s,2H),7.35(d,J=7.7Hz,1H),7.33(d,J=7.9Hz,1H),7.32(d,J=8.1Hz,1H),7.25(t,J=7.9Hz,1H),7.19(t,J=7.9Hz,1H),7.16(t,J=8.0Hz,1H),7.15(s,1H),7.02(d,J=7.7Hz,1H),6.04(s,1H)4.57(s,1H),4.17(t,J=5.6Hz,2H),3.95(t,J=5.4Hz,2H),3.03(s,6H),2.36(t,J=6.4Hz,2H),2.10−2.19(m,6H).13C NMR(CDCl3,150MHz):δ171.7,171.6,159.5,158.5,151.9,136.7,136.5,132.9,132.5,130.1,129.0,125.8,125.4,122.6,122.5,122.4,120.9,120.8,111.6,110.6,110.1,105.0,104.7,102.5,46.8,45.4,38.0,32.9,32.0,31.3,28.8,27.0, HRMS(FAB):C3331に関する計算値:529.2478;実測値:529.2475。
【0140】
化合物3(パラ異性体):H NMR(CDCl3,600MHz):δ7.46(d,J=8.2Hz,1H),7.36(d,J=8.7Hz,1H),7.33(s,1H),7.25(d,J=8.1Hz,1H),7.23(d,J=8.5Hz,1H),7.19(t,J=7.7Hz,1H),7.17(t,J=7.6Hz,1H),7.03(d,J=7.4Hz,1H),7.00(t,J=7.7Hz,1H),6.96(t,J=7.4Hz,1H),6.67(s,1H),6.31(d,J=7.6Hz,1H),4.18(t,J=5.5Hz,2H),3.91(broad s,2H),2.68(broad s,6H),2.68(s,6H),2.31(broad s,2H).13C NMR(CDCl3,150MHz):δ172.0,161.2,154.9,137.1,136.6,136.3,134.0,133.4,127.8,127.3,124.6,124.3,123.3,123.1,122.0,121.9,121.7,120.3,120.0,115.5,109.6,109.5,104.8,104.7,46.3,45.1,41.6,34.2,28.0,25.6,25.3 HRMS(FAB):C3331に関する計算値:529.2478;実測値:529.2457。
【0141】
実施例2
20−ピロリジン−1−イル−4,14,19,26−テトラアザヘプタシクロ[24.6.1.17,14.118,22.02,6.08,13.027,32]ペンタトリアコンタ−1(33),2(6),7(35),8,10,12,18(34),19,21,27,29,31−ドデカエン−3,5−ジオン(化合物6)
31−ピロリジン−1−イル−5,15,25,30−テトラアザヘプタシクロ[27.2.2.15,12.118,25.06,11.013,17.019,24]ペンタトリアコンタ−1(31),6,8,10,12(35),13(17),18(34),19,21,23,29,32−ドデカエン−14,16−ジオン(化合物7)
【0142】
【化14】

【0143】
化合物6および7は実施例1に従い、段階Dにおいてジメチルシアナミドを1H−ピロリジンシアナミドで置換して、製造された。コンデンサーおよびアルゴンのバルーンに連結された三方向ストッパーを装備した100−mL丸底フラスコ中に、化合物1f(75mg、0.16ミリモル)およびピロリジンシアナミド(78mg、0.81ミリモル)の混合物を短時間でポンプ注入しそしてアルゴンで2回パージした。15mLの1,4−ジオキサンを次に加え、引き続きCpCo(CO)(7.2μL、0.057ミリモル、36モル%)の10−mLのジオキサン溶液および残りの量の溶媒を加えて、最終的な0.005M濃度(化合物1fに関して)を与えた。生じた溶液を次に22時間にわたり加熱還流した。反応をTLCにより検査し、そして混合物に追加のCpCo(CO)(4.0μL、合計量;12.2μL、0.097ミリモル、51モル%)を加えた。反応混合物をさらに2時間にわたり加熱還流し、そして次に室温に冷却した。その後の溶媒の真空中での除去、引き続きフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン類、1:10、1:4、1:2および次に1:1)が化合物6および化合物7を与えた。
【0144】
化合物6:H NMR(CDCl,500MHz):δ7.63(m,1H),7.35(m,2H),7.21(m,3H),7.11(m,1H),7.08(m,1H),7.02(m,1H),6.92(m,1H),5.78(m,1H),4.47(m,1H),4.05(m,2H),3.87(m,2H),3.25(m,6H),2.22(m,2H),2.04(m,4H),1.93(m,4H). ES−MS m/z 556(MH)。
【0145】
化合物7:H NMR(CDCl,300MHz):δ7.82(s,1H),7.55(d,J=7.9Hz,1H),7.34(d,J=8.2Hz,1H),7.22(m,2H),7.03(m,5H),6.81(m,1H),6.03(d,J=7.4Hz,1H),4.14(t,J=5.6Hz,2H),3.92(m,2H),3.27(m,4H),2.72(m,2H),2.32(m,6H),1.83(m,4H). ES−MS m/z 556(MH)。
【0146】
実施例3
31−(ジメチルアミノ)−5,15,25,32−テトラアザヘプタシクロ[28.2.2.15,12.118,25.06,11.013,17.019,24]ヘキサトリアコンタ−1(32),6,8,10,12(36),13(17),18(35),19,21,23,30,33−ドデカエン−14,16−ジオン(化合物1)
【0147】
【化15】

【0148】
段階A.化合物1a(2.06g、0.0118モル)のDMF中溶液を0℃に冷却しそして95%NaH(0.617g、0.0154モル)を加えた。生じた反応混合物を0℃において10分間にわたり、次に室温において30分間にわたり、撹拌した。混合物を0℃に再び冷却し、そして化合物3a(2.01g、0.017モル)を加えた。混合物を室温において2時間にわたり、そして次に55℃において一晩にわたり、撹拌した。溶媒を蒸発させ、そして残渣をエーテルと共に粉砕して白色固体を与えた。母液を蒸発させそしてエーテルと共に粉砕して生成物の別のバッチを与え、化合物3bを与えた。H NMR(CDCl,300MHz):δ7.55(d,J=7.9Hz,1H),7.36(d,J=8.2Hz,1H),7.16(m,2H),7.04(t,J=7.5Hz,1H),4.16(m,2H),3.64(s,2H),2.19(m,3H),1.95(m,2H),1.49(m,2H). ES−MS m/z 255(MH)。
【0149】
段階B.カリウムt−ブトキシドのTHF中1.0M溶液(2.0mL、2ミリモル)をエステル化合物1e(0.388g、1.44ミリモル)およびアミド化合物3b(0.3g、1.18ミリモル)の乾燥THF(2mL)中懸濁液に0℃に冷却されたアルゴン下で滴下した。生じた混合物を0℃において15分間にわたりそして室温において2時間にわたり撹拌し、それを次にHO(10mL)でクエンチし、EtOAc(15mL)を加え、EtOAc(5×15mL)で抽出した。一緒にした抽出物を1N HCl(5mL)そして次にHO(3×20mL)、食塩水(2×20mL)で連続的に洗浄しそして次に乾燥し(MgSO)そして真空中で蒸発させた。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:2)により精製して化合物3cを橙色固体として与えた。H NMR(CDCl3,500MHz):δ8.08(bs,1H),7.68(d,J=3.9Hz,2H),7.30(dd,J=6.0,8.3Hz,2H),7.7(t,J=8.2Hz,2H),6.95(dd,J=7.9,8.0Hz,2H),6.74(m,2H),4.28(t,J=6.7Hz,1H),4.16(t,J=7.0Hz,2H),2.16(m,4H),2.01(m,6H),1.52(m,2H).13C NMR(CDCl3,500MHz):δ172.8,136.6,136.5,132.2,132.1,128.4,128.1,126.7,122.7,122.6,120.6,120.5,110.0,106.4,106.2,84.0,83.1,70.3,69.6,46.7,45.5,29.4,29.0,26.0,18.5,16.2. ES−MS m/z 474(MH)。
【0150】
段階C.化合物1は実施例1、段階Dに記載された方法に従い、化合物1fを化合物3cで置換して、製造された。化合物1:H NMR(CDCl3,500MHz):δ7.37(m,2H),7.28(d,J=8.3Hz,1H),7.21(dd,J=1.0,7.1Hz,1H),7.18(m,2H),7.03(m,2H),6.95(d,J=7.5Hz,2H),6.78(t,J=7.2Hz,1H),6.45(d,J=7.4Hz,1H),4.07(t,J=6.0Hz,4H),2.73(m,2H),2.66(s,6H),2.51(t,J=6.9Hz,2H),2.42(m,2H),1.51(t,J=6.1Hz,2H),1.25(m,2H). 13C NMR(CDCl3,500MHz):δ171.9,171.8,161.1,155.1,138.24,136.6,136.5,133.6,131.5,130.1,127.0,125.6,124.8,124.7,122.7,122.3,122.2,121.8,120.35,120.3,116.5,109.9,109.6,105.3,105.0,46.5,44.7,42.5,34.7,29.0,28.1,27.4,26.4. ES−MS m/z 544(MH)。
【0151】
実施例4
33−ピロリジン−1−イル−6,16,26,32−テトラアザヘプタシクロ[29.2.2.16,13.119,26.07,12.014,18.020,25]ヘプタトリアコンタ−1(33),7,9,11,13(37),14(18),19(36),20,22,24,31,34−ドデカエン−15,17−ジオン(化合物5)
【0152】
【化16】

【0153】
段階A.化合物4aは実施例1、段階Aに記載された方法に従い、化合物1bを化合物3aで置換して、製造された。ES−MS m/z284(MH)。
【0154】
段階B.カリウムt−ブトキシドのTHF中1.0M溶液(9.6mL、9.6ミリモル)をエステル化合物4a(1.22g、4.30ミリモル)およびアミド化合物3b(0.812g、3.19ミリモル)の乾燥THF(6.5mL)中懸濁液に0℃に冷却されたアルゴン下で滴下した。生じた混合物を0℃において5分間にわたりそして室温において20分間にわたり撹拌し、それに次に氷水およびEtOAcを加えた。有機層を分離しそして水層をEtOAc(4×)で抽出した。一緒にした抽出物を水、飽和水性NaHCO、食塩水で連続的に洗浄しそして次に乾燥し(NaSO)そして真空中で蒸発させた。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:3)により精製して化合物4cを橙色固体として与えた。H NMR(CDCl3,300MHz):δ7.60(m,2H),7.28(m,2H),7.08(t,J=8.0Hz,2H),6.95(d,J=8.0Hz,2H),6.74(m,2H),4.18(t,J=7.0Hz,4H),2.22(m,4H),1.97(m,6H),1.53(m,4H). ES−MS m/z 488(MH)。
【0155】
段階C.化合物5は実施例1、段階Dに記載された方法に従い、化合物1fを化合物4cで置換しそして化合物1gをピロリジンシアナミドで置換して、製造された。化合物5:H NMR(CDCl3,300MHz):δ7.35(m,2H),7.29(m,1H),7.19(m,5H),7.00(m,3H),6.28(d,J=7.2Hz,1H),3.90(m,4H),3.30(m,4H),2.61(m,4H),1.82(m,4H),1.48(m,8H). ES−MS m/z 584MH)。
【0156】
実施例5
20−(4−メチルフェニル)−4,14,19,26−テトラアザヘプタシクロ[24.6.1.17,14.118,22.02,6.08,13.027,32]ペンタトリアコンタ−1(33),2(6),7(35),8,10,12,18(34),19,21,27,29,31−ドデカエン−3,5−ジオン(化合物4)
【0157】
【化17】

【0158】
化合物4は実施例1に記載された工程に従い、段階Dにおいて化合物1gをp−トルニトリルで置換して、製造された。化合物4:H NMR(CDCl3,300MHz):δ7.80(d,J=8.0Hz,2H),7.62(d,J=7.5Hz,1H),7.41(d,J=8.0Hz,2H),7.38(s,1H),7.31(m,3H),7.20(m,5H),7.08(m,2H),4.13(m,2H),4.05(m,2H),2.42(m,2H),2.39(m,3H),2.35(m,4H),2.19(m,2H). ES−MS m/z 577(MH)。
【0159】
実施例6
コバルト−介在[2+2+2]共−シクロ三量化の別の工程
コンデンサーおよびアルゴンのバルーンに連結された三方向ストッパーを装備した100−mL丸底フラスコ中に、化合物1f(60mg、0.13ミリモル)、PPh(17mg、0.065ミリモル)およびジメチルシアナミド(45.8mg、0.65ミリモル、5モル当量)の混合物を短時間でポンプ注入しそしてアルゴンで2回パージした。10mLの1,4−ジオキサンを次に加え、引き続きCpCo(CO)(12μL、0.065ミリモル、34モル%)の10−mLのジオキサン溶液および残りの量の溶媒を加えて、最終的な0.005M濃度(化合物1fに関して)を与えた。生じた溶液を次に110℃に36時間にわたり加熱した。揮発分を真空下で除去しそして粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl/MeOH/NHOH、97:3:0.3)により分離して化合物2および化合物3を与えた。
【0160】
実施例6に記載された工程は実施例1の段階Dに記載された工程と比べてシクロ三量化の収率の有意な改良を示した(69%対21%)。
【0161】
実施例7
経口組成物の具体的な態様として、100mgの化合物1を充分に微細分割されたラクトースと共に調合して580〜590mgの合計量を与えてサイズ0硬質ゲルカプセルを充填した。
【0162】
生物学的実施例
実施例1
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3アッセイ
化合物をGSK−3β蛋白質を阻害する能力に関して試験した。簡単に述べると、25μLの最終的反応量のGSK−3β(h)(5−10mU)を8mMのpH7.0のMOPS、0.2mMのEDTA、20μMのYRRAAVPPSPSLSRHSSPHQS(p)EDEEE(ホスホGS2ペプチド)、10mMの酢酸Mgおよび[γ−33P−ATP](比活性 約500cpm/pモル、要求される濃度)と共にインキュベートした。MgATP混合物の添加により反応を開始させた。40分間にわたる室温におけるインキュベーション後に、5μLの3%燐酸溶液の添加により反応を停止した。10μLの反応物を次にP30フィルターマット上に滴下しそして乾燥およびシンチレーション計測前に5分間にわたり50mM燐酸中で3回そしてメタノール中で1回洗浄した。
【0163】
表1は本発明の代表的な化合物に関するGSK−3βアッセイにおける生物学的活性をIC50値(μM)として示す。GSK−3βアッセイは各化合物に関して3回行われた。
【0164】
【表3】

【0165】
実施例2
プロテインキナーゼ選択性パネルを用いるプロテインキナーゼ選択性アッセイ
プロテインキナーゼ選択性アッセイは科学文献(Davies, S.P., et al., Biochem. J. 2000, 351, 95−105)に記載されている通りにして行われた。簡単に述べると、プロテインキナーゼ類はそれらが1.0μMの化合物の存在下で適当なペプチド/蛋白質基質をホスホリル化する能力に関してアッセイされた。アッセイは10μMのATPを用いて行われそして時間に関して比例していた。プロテインキナーゼ選択性アッセイはアップステート(Upstate)のKinaseProfilerTM Selectivity Screening Serviceを用いるUpstate Cell Signaling Solutionsにより行われた。Upstate KinaseProfilerTM Selectivity Screening Service Assay Protocolsのコピーをここに参考書類Aとして添付する。
【0166】
表2はUpstateパネルにおける101種のプロテインキナーゼ類に対する化合物1、2、6および7のスクリーニング結果を示す。
【0167】
【表4】

【0168】
【表5】

【0169】
【表6】

【0170】
【表7】

【0171】
以上の明細書は本発明の原理を説明目的のために示された実施例と共に教示するが、本発明の実施は以下の請求項およびそれらの同等物の範囲内に入る普通の変法、応用および/または改変の全てを包括することは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Aは、各々、1H−インドールまたは1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを形成するための、CHまたはNであり、
およびRは各々水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、ニトロ、アミノ、(C1−4)アルキルアミノ、およびジ(C1−4)アルキルアミノよりなる群から選択され、
およびRは各々場合によりオキソで置換されていてもよいC2−6アルキレンであり、ここでRに関する結合点は式(I)の化合物のR置換されたピリジン炭素環原子に関してメタまたはオルトであり、
はC6−10アリールまたはNRであり、ここでC6−10アリールは場合によりC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン、アミノ、(C1−4)アルキルアミノ、ジ(C1−4)アルキルアミノ、およびC1−4アルコキシカルボニルよりなる群から独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよく、
およびRは各々C1−6アルキルであり、或いはRおよびRはそれらが結合される原子と一緒になって5、6、7もしくは8員の単環式環を形成し、ここで該単環式環は場合により1個の追加の酸素、硫黄、NH、またはN(C1−4アルキル)を含有してもよい]
の化合物、並びにそのエナンチオマー類、ジアステレオマー類、ラセミ体、および製薬学的に許容可能な塩類。
【請求項2】
式(I)のA−含有環系が1H−インドールであるようにAがCHである、請求項1の化合物。
【請求項3】
およびRが各々水素、メチル、メトキシ、ハロゲン、およびヒドロキシよりなる群から選択される、請求項1の化合物。
【請求項4】
およびRが各々水素である、請求項3の化合物。
【請求項5】
およびRが各々C3−4アルキレンである、請求項1の化合物。
【請求項6】
およびRが各々n−プロピレンまたはn−ブチレンである、請求項5の化合物。
【請求項7】
がC6−10アリールまたはNRであり、ここでC6−10アリールが場合によりC1−4アルキルおよびハロゲンよりなる群から独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよい、請求項1の化合物。
【請求項8】
が場合により1〜2個のメチル置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項7の化合物。
【請求項9】
が場合により1個のメチル置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項8の化合物。
【請求項10】
が4−メチル−フェニルである、請求項9の化合物。
【請求項11】
およびRが各々C1−4アルキルであり、或いはRおよびRがそれらが結合される原子と一緒になって5〜6員の単環式環を形成する、請求項1の化合物。
【請求項12】
およびRが各々C1−2アルキルであり、或いはRおよびRがそれらが結合される原子と一緒になって5−員の単環式環を形成する、請求項11の化合物。
【請求項13】
式(Ia)
【化2】

[式中、
およびRは各々水素、メチル、メトキシ、ハロゲン、およびヒドロキシよりなる群から選択され、
およびRは各々C3−4アルキレンであり、ここでRに関する結合点は式(I)の化合物のR置換されたピリジン炭素環原子に関してメタまたはオルトであり、
はC6−10アリールまたはNRであり、ここでC6−10アリールは場合によりC1−4アルキルおよびハロゲンよりなる群から独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよく、
およびRは各々C1−4アルキルであり、或いはRおよびRはそれらが結合される原子と一緒になって5〜6員の単環式環を形成する]
の化合物、並びにそのエナンチオマー類、ジアステレオマー類、ラセミ体、および製薬学的に許容可能な塩類。
【請求項14】
およびRが各々水素である、請求項13の化合物。
【請求項15】
およびRが各々n−プロピレンまたはn−ブチレンであり、
がフェニルまたはNRであり、ここでフェニルが場合により1〜2個のメチル置換基で置換されていてもよく、そして
およびRが各々C1−2アルキルであり、或いはRおよびRがそれらが結合される原子と一緒になって5−員の単環式環を形成する、
請求項13の化合物。
【請求項16】
が4−メチル−フェニルまたはNRである、請求項13の化合物。
【請求項17】
31−(ジメチルアミノ)−5,15,25,32−テトラアザヘプタシクロ[28.2.2.15,12.118,25.06,11.013,17.019,24]ヘキサトリアコンタ−1(32),6,8,10,12(36),13(17),18(35),19,21,23,30,33−ドデカエン−14,16−ジオン、
20−(ジメチルアミノ)−4,14,19,26−テトラアザヘプタシクロ[24.6.1.17,14.118,22.02,6.08,13.027,32]ペンタトリアコンタ−1(33),2(6),7(35),8,10,12,18(34),19,21,27,29,31−ドデカエン−3,5−ジオン、
31−(ジメチルアミノ)−5,15,25,30−テトラアザヘプタシクロ[27.2.2.15,12.118,25.06,11.013,17.019,24]ペンタトリアコンタ−1(31),6,8,10,12(35),13(17),18(34),19,21,23,29,32−ドデカエン−14,16−ジオン、
20−(4−メチルフェニル)−4,14,19,26−テトラアザヘプタシクロ[24.6.1.17,14.118,22.02,6.08,13.027,32]ペンタトリアコンタ−1(33),2(6),7(35),8,10,12,18(34),19,21,27,29,31−ドデカエン−3,5−ジオン、
33−ピロリジン−1−イル−6,16,26,32−テトラアザヘプタシクロ[29.2.2.16,13.119,26.07,12.014,18.020,25]ヘプタトリアコンタ−1(33),7,9,11,13(37),14(18),19(36),20,22,24,31,34−ドデカエン−15,17−ジオン、
20−ピロリジン−1−イル−4,14,19,26−テトラアザヘプタシクロ[24.6.1.17,14.118,22.02,6.08,13.027,32]ペンタトリアコンタ−1(33),2(6),7(35),8,10,12,18(34),19,21,27,29,31−ドデカエン−3,5−ジオン、および
31−ピロリジン−1−イル−5,15,25,30−テトラアザヘプタシクロ[27.2.2.15,12.118,25.06,11.013,17.019,24]ペンタトリアコンタ−1(31),6,8,10,12(35),13(17),18(34),19,21,23,29,32−ドデカエン−14,16−ジオン
よりなる群から選択される化合物。
【請求項18】
請求項1の化合物および製薬学的に許容可能な担体を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項19】
請求項13の化合物および製薬学的に許容可能な担体を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項20】
請求項1の化合物および製薬学的に許容可能な担体を混合することにより製造される製薬学的組成物。
【請求項21】
請求項13の化合物および製薬学的に許容可能な担体を混合することにより製造される製薬学的組成物。
【請求項22】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3β介在疾患を処置または改善するための薬品を製造するためのそれを必要とする被験体における請求項1の化合物の使用。
【請求項23】
疾患が糖尿病、炎症性疾病、皮膚科学的疾患、統合失調症、躁鬱病およびアルツハイマー病よりなる群から選択される、請求項22の使用。
【請求項24】
被験体に治療的に有効な量の請求項1の化合物を投与する段階を含んでなるそれを必要とする被験体におけるキナーゼ−介在疾患を処置または予防する方法。
【請求項25】
キナーゼがグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3である、請求項24の方法。
【請求項26】
キナーゼがグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3βである、請求項25の方法。
【請求項27】
該治療的に有効な量が約0.001mg/kg/日〜約300mg/kg/日の服用量範囲を含んでなる、請求項24の方法。
【請求項28】
疾患が糖尿病、炎症性疾病、皮膚科学的疾患およびCNS疾患よりなる群から選択される、請求項24の方法。
【請求項29】
CNS疾患が統合失調症、双極性疾患、およびアルツハイマー病よりなる群から選択される、請求項28の方法。
【請求項30】
被験体に治療的に有効な量の請求項13の化合物を投与する段階を含んでなる、それを必要とする被験体におけるキナーゼ−介在疾患を処置または予防する方法。
【請求項31】
キナーゼがグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3βである、請求項30の方法。
【請求項32】
該治療的に有効な量が約0.001mg/kg/日〜約300mg/kg/日の服用量範囲を含んでなる、請求項30の方法。
【請求項33】
キナーゼ−介在疾患が糖尿病、炎症性疾病、皮膚科学的疾患、統合失調症、双極性疾患、およびアルツハイマー病よりなる群から選択される、請求項30の方法。
【請求項34】
段階A.式A1の化合物を塩基の存在下で式A2の化合物と反応させて式A3の化合物を与え:
【化3】

段階B.式A4の化合物を塩基の存在下で式A2の化合物と反応させて式A5の化合物を与え:
【化4】

段階C.式A3の化合物を塩基の存在下で式A5の化合物と反応させて式A6の化合物を与え:
【化5】

そして
段階D.式A6の化合物をコバルト触媒の存在下で式A7の化合物と反応させて式(I)の化合物に相当する式A8の化合物を与える:
【化6】

段階を含んでなる、式(I):
【化7】

[式中、
Aは、各々、1H−インドールまたは1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを形成するための、CHまたはNであり、
およびRは各々水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、ニトロ、アミノ、(C1−4)アルキルアミノ、およびジ(C1−4)アルキルアミノよりなる群から選択され、
およびRは各々場合によりオキソで置換されていてもよいC2−6アルキレンであり、ここでRに関する結合点は式(I)の化合物のR置換されたピリジン炭素環原子に関してメタまたはオルトであり、
はC6−10アリールまたはNRであり、ここでC6−10アリールは場合によりC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン、アミノ、(C1−4)アルキルアミノ、ジ(C1−4)アルキルアミノ、およびC1−4アルコキシカルボニルよりなる群から独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよく、
およびRは各々C1−6アルキルであり、或いはRおよびRはそれらが結合される原子と一緒になって5、6、7もしくは8員の単環式環を形成し、ここで該単環式環は場合により1個の追加の酸素、硫黄、NH、またはN(C1−4アルキル)を含有してもよい]
の化合物を合成する方法。
【請求項35】
式A6の化合物が約1モル当量〜約10モル当量の範囲内で存在する、請求項34の方法。
【請求項36】
式A6の化合物が約4モル当量〜約8モル当量の範囲内で存在する、請求項35の方法。
【請求項37】
コバルト触媒がCpCo(CO)である、請求項34の方法。
【請求項38】
コバルト触媒が約0.1モル当量〜約1モル当量の範囲内で存在する、請求項34の方法。
【請求項39】
コバルト触媒が約0.2モル当量〜約0.5モル当量の範囲内で存在する、請求項38の方法。
【請求項40】
コバルト触媒が非プロトン性有機溶媒中に存在する、請求項34の方法。
【請求項41】
非プロトン性有機溶媒がトルエン、1,4−ジオキサン、またはジメトキシエタンから選択される、請求項40の方法。
【請求項42】
非プロトン性有機溶媒が1,4−ジオキサンまたはジメトキシエタンから選択される、請求項41の方法。
【請求項43】
式A6の化合物と式A7の化合物との反応が、場合によりトリフェニルホスフィンの存在下で、場合により高められた温度でそして場合により不活性雰囲気下で行われる、請求項34の方法。
【請求項44】
温度が約60℃〜約140℃である、請求項43の方法。
【請求項45】
温度が約80℃〜約110℃である、請求項44の方法。
【請求項46】
不活性雰囲気がアルゴンである、請求項43の方法。
【請求項47】
トリフェニルホスフィンが約0.1モル当量〜約1モル当量の範囲内で存在する、請求項43の方法。
【請求項48】
トリフェニルホスフィンが約0.2モル当量〜約0.5モル当量の範囲内で存在する、請求項47の方法。
【請求項49】
式(I)の化合物が、
式(I)のA−含有環系が1H−インドールであるようにAがCHであり、
およびRが各々水素、メチル、メトキシ、ハロゲン、およびヒドロキシよりなる群から選択され、
およびRが各々C3−4アルキレンであり、
がC6−10アリールまたはNRであり、ここでC6−10アリールが場合によりC1−4アルキルおよびハロゲンよりなる群から独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、そして
およびRが各々C1−4アルキルであり、或いはRおよびRがそれらが結合される原子と一緒になって5〜6員の単環式環を形成する
化合物から選択される、請求項34の方法。

【公表番号】特表2009−529575(P2009−529575A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500399(P2009−500399)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/006100
【国際公開番号】WO2007/106400
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】