説明

キナーゼ阻害剤としての置換6−フェニル−ピリド[2,3−D]ピリミジン−7−オン誘導体及びそれの使用方法

式(I)(式中、R、R、R及びRは、本明細書中と同義である)で示される化合物。また、その化合物の製造方法、医薬組成物、p38MAPキナーゼ介在性疾患の処置用化合物の使用方法、及びRafキナーゼ介在疾患の処置用化合物の使用方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合ピリミド−ピリドン誘導体及び関連化合物、それらの製造方法、それらを含む医薬製剤、並びにそれらを使用する方法及び医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【0002】
分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MAP)は、その基質を二重リン酸化により活性化する、プロリン指向性セリン/トレオニンキナーゼのファミリーである。このキナーゼは、栄養及び浸透圧ストレス、UV光、増殖因子、エンドトキシン並びに炎症性サイトカインを含む、種々のシグナルにより活性化される。MAPキナーゼの一つの群は、種々のアイソフォーム(例えば、p38α、p38β、p38γ及びp38δ)を含む、p38キナーゼ群である。p38キナーゼは、転写因子、更には他のキナーゼのリン酸化及び活性化を引き起こし、そして、物理的及び化学的ストレス、炎症性サイトカイン並びに細菌性リポ多糖類により活性化される。
【0003】
より重要なことに、p38リン酸化の産物は、TNF及びIL−1を含む炎症性サイトカイン、並びにシクロオキシゲナーゼ−2の産生を介在することが示されている。これらのサイトカインのそれぞれは、多くの病態及び病状に関係している。例えば、TNF−αは、活性化単球及びマクロファージにより主として産生されるサイトカインである。その過剰又は無秩序な産生は、慢性関節リウマチの病理発生において原因となる役割を果たすという形で関与している。さらに最近になって、TNF産生の阻害は、炎症、炎症性腸疾患、多発性硬化症及び喘息の処置において広い応用を有することが示されている。
【0004】
TNFはまた、とりわけ、HIV、インフルエンザウイルス、及びヘルペスウイルス(単純ヘルペスウィルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウィルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン−バーウイルス、ヒトヘルペスウイルス−6(HHV−6)、ヒトヘルペスウィルス−7(HHV−7)、ヒトヘルペスウィルス−8(HHV−8)、仮性狂犬病及び鼻気管炎を含む)などのウイルス感染症にも関与している。
【0005】
同様に、IL−1は、活性化単球及びマクロファージにより産生され、そして慢性関節リウマチ、発熱及び骨吸収の減少を含む、多くの病態生理学的応答においてある役割を演じる。
【0006】
さらに、p38の関与は、脳卒中、アルツハイマー病、変形性関節症、肺損傷、敗血症性ショック、血管新生、皮膚炎、乾癬、及びアトピー性皮膚炎において示されている。J. Exp. Opin. Ther. Patents, 2000, 10(1)。
【0007】
腫瘍学における治療ターゲットとしてのp38MAPキナーゼの役割は、概説されている:Podar, K. H.; Teru; Chauham, Dharminder; Anderson, Kenneth C., "Targeting signalling pathways for the treatment of multiple myelona", Expert Opinion on therapeutic Targets 2005, 9, 359-381;Schultz, R. M., "Potential of p38 MAP kinase inhibitors in the treatment of cancer", Progress in Drug Research 2003, 60, 59-92。
【0008】
p38キナーゼの阻害によるこれらのサイトカインの阻害は、これらの病態の多くを制御、縮小及び緩和することに有益である。
【0009】
多くの病態は、細胞の制御されていない増殖及び分化を特徴とする。これらの病態は、種々の細胞タイプ及び病気、例えば癌、アテローム性動脈硬化症、及び再狭窄を包含する。多くのそのような病態において、細胞分裂及び増殖を制御することにより必須な機能を行う重要な細胞酵素である、キナーゼが決定的な役割を果たすと思われる。
【0010】
細胞増殖及び生存を制御する分子機構及びシグナル伝達経路が、現在、抗癌戦略の可能性のある標的として注目を集めている。近年、受容体チロシンキナーゼ(RTK)及びGタンパク質共役受容体により開始される広範な増殖シグナルを統合する、MAPK経路を標的とすることに指向された努力が増えている。
【0011】
MAPKシグナルカスケードは、Gタンパク質Rasを含み、これは、3種のキナーゼ:Raf、MEK1/2及びERK1/2よりなるコアモジュールの上流末端で作用する。Rafは、MEK1/2をリン酸化及び活性化し、これは次いで、ERK1/2の活性化をもたらす。Rafキナーゼは、癌関連シグナル伝達に対する潜在的なチェックポイントとしてのその重要性から、長い間、創薬の魅力的な標的と考えられている(Strumberg and Steeber, Onkologie, 2005, 28:101-107; Beeram et al., J. Clin. Oncol. 2005, 23:6771-6790)。
【0012】
腫瘍細胞の増殖及び生存に対するMAPKシグナルカスケードの重要性は、ヒト腫瘍におけるB−Raf変異を活性化するという発見と共に、近年増大した。Raf変異の活性化は、黒色腫、甲状腺、結腸、及び他の癌において同定されている(Strumberg and Steeber, Onkologie, 2005, 28:101-107; Bollag et al., Current Opinion in Investigational Drugs, 2003, 4:1436-1441)。したがって、Ras変異及び活性化された増殖因子受容体を伴う腫瘍を制御することにおける役割に加えて、Rafキナーゼの阻害剤は、B−Raf腫瘍遺伝子を有する腫瘍における治療可能性を有すると思われる(Sharma et al., Cancer Res. 2005, 65:2412-2421)。
【0013】
哺乳類Rafセリン/スレオニンキナーゼファミリーは、A−Raf、B−Raf及びC−Raf(Raf−1)と命名された3種の68〜74kdのタンパク質よりなり、これらは、高度に保存されたアミノ末端制御領域及びカルボキシル末端の触媒的領域を共有する。Rafタンパク質は通常細胞質性であるが、小Gタンパク質Rasにより細胞膜に誘導され、これは、増殖因子、サイトカイン及びホルモンによるそれらの活性化に必須の工程である。膜では、Raf活性化は、コンフォメーション変化、他のタンパク質への結合、脂質への結合、並びにいくつかの残基のリン酸化及び脱リン酸化を含む高度に複雑な過程を通して生じる。
【0014】
アンチセンスオリゴヌクレオチド及び小分子を含む、Rafキナーゼを調節する様々な薬剤が発見されている。これらの阻害剤は、Rafタンパク質の発現を防ぎ、Ras/Raf相互作用を阻害し、あるいはそのキナーゼ活性を妨げる。siRNAによる又はキナーゼ阻害剤を通してのB−Raf活性のダウンレギュレーションは、メラノーマ細胞の増殖の阻害をもたらし、B−RafのsiRNA介在減少は、1205Lu細胞の腫瘍形成の可能性の減少をもたらした。現在臨床的評価が行われているRaf阻害剤は、非常に許容可能な安全性プロフィールと共に抗癌効能の有望な兆候を示している。
【0015】
これまでに進歩が見られたにもかかわらず、広範な腫瘍並びに再狭窄、血管新生、糖尿病性網膜症、乾癬、術後癒着、黄斑変性症及びアテローム性動脈硬化症を含む他の増殖性障害を処置するのに有用な低分子量化合物についての研究が続けられている。このように、抗増殖活性を有する組成物、薬剤及び/又は医薬を提供することへの強い必要が存在する。このような組成物、薬剤及び/又は医薬は、強い活性を有するのみならず、他の抗増殖性薬剤に比べて、減少した副作用を示しうる。さらに、そのような組成物、薬剤及び/又は医薬での処置に反応する腫瘍のスペクトルは、広いであろう。このタイプの活性成分は、単剤及び/又は、言及された適用において公知の、他の治療剤との、放射との、手術/外科手術法、温熱療法又は任意の他の処理との併用療法として、言及された適用において好適であろう。
【0016】
本発明は、式I:
【0017】
【化1】


[式中、
は:
1−6アルキル;
ハロ;
1−6アルコキシ
ハロ−C1−6アルキル;又は
ヘテロ−C1−6アルキルであり;
は:
シアノ;
場合により置換されている5員単環式ヘテロアリール;
−C(O)−OR
−C(O)−NR;又は
−C(O)−NR−NR−R
(ここで、
、R、R及びRは、各々独立に;
水素;又は
1−6アルキルであり;そして
及びRは、各々独立に;
水素;
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
3−6シクロアルキル;
3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;
アリール;
アリール−C1−6アルキル;
ヘテロアリール;又は
ヘテロアリール−C1−6アルキル;
1−6アルキル−カルボニル;
ハロ−C1−6アルキル−カルボニル;
アリール−カルボニル;
アリール−C1−6アルキル−カルボニル;
ヘテロアリール−カルボニル;又は
ヘテロアリール−C1−6アルキル−カルボニルである)であり;
は:
1−6アルキル;
3−6シクロアルキル;
3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;又は
ヘテロ−C1−6アルキルであり;そして
は:
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
ヘテロ−C1−6アルキル;
3−6シクロアルキル;
3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;
アリール;
アリール−C1−6アルキル;
ヘテロアリール;
ヘテロアリール−C1−6アルキル;
ヘテロシクリル;又は
ヘテロシクリル−C1−6アルキルである]
で示される化合物又はその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0018】
本発明の他の態様は、1つ以上の式Iの化合物及びその薬学的に許容しうる担体、希釈剤、及び/又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0019】
本発明の化合物は、プロテインキナーゼの阻害剤であり、そしてインビボでp38に対する有効な活性を示す。それらは、サイクリン依存性キナーゼ及びチロシンキナーゼに関連する、p38キナーゼ、Rafキナーゼ並びに、VEGFR2及びPDGFRのような受容体チロシンキナーゼに選択的である。したがって、本発明の化合物は、TNF及びIL−1のような前炎症性サイトカインが介在する疾患の処置のために使用することができる。そこで、本発明の他の態様は、治療有効量の1種以上の式Iの化合物を患者に投与する、p38介在性疾患又は病状の処置方法を提供する。
【0020】
この開示において引用された全ての刊行物は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0021】
特記のない限り、明細書及び特許請求の範囲を含む本出願において使用される以下の用語は、下記の定義を有している。明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈から明白に示される場合を除いて、複数の対象物が含まれることに留意されたい。
【0022】
「アルキル」は、1〜6個の炭素原子の直鎖状飽和一価炭化水素部分、又は3〜6個の炭素原子の分岐状飽和一価炭化水素部分、例えば、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル等を意味する。
【0023】
「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子の直鎖状飽和二価炭化水素部分又は3〜6個の炭素原子の分岐状飽和二価炭化水素部分、例えば、メチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレン等を意味する。
【0024】
「アルコキシ」は、式:−OR(ここで、Rは、本明細書に定義されているとおりのアルキル部分である)の部分を意味する。アルコキシ部分の例として、非限定的に、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等が挙げられる。
【0025】
「アルコキシアルキル」は、式:R−O−R−(ここで、Rは、アルキルであり、Rは、本明細書に定義されているとおりのアルキレンである)を意味する。例示のアルコキシアルキル基として、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、1−メチル−2−メトキシエチル、1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピル、及び1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピルが、例として挙げられる。
【0026】
「アルキルスルホニルアルキル」は、式:R−SO−R−(Rは、アルキルであり、Rは、本明細書に定義されているとおりのアルキレンである)の部分を意味する。例示のアルキルスルホニルアルキル基として、3−メタンスルホニルプロピル、2−メタンスルホニルエチル、2−メタンスルホニルプロピル等が、例として挙げられる。
【0027】
「アルキルアミノ」は、式:−NR−R’(ここで、Rは、水素又はアルキルであり、R’は本明細書に定義されているとおりのアルキルである)の部分を意味する。
【0028】
「アルコキシアミノ」は、式:−NR−OR’(ここで、Rは、水素又はアルキルであり、R’は、本明細書に定義されているとおりのアルキルである)の部分を意味する。
【0029】
「アルキルスルファニル」は、式:−SR(ここで、Rは、本明細書に定義されているとおりのアルキルである)の部分を意味する。
【0030】
「アルキルスルフィニル」は、式:−S(O)R(ここで、Rは、本明細書に定義されているとおりのアルキルである)の部分を意味する。
【0031】
「アルキルスルホニル」は、式:−SOR(ここで、Rは、本明細書に定義されているとおりのアルキルである)の部分を意味する。
【0032】
「アルキルカルボニル」は、基−C(O)−R(ここで、Rは、本明細書に定義されているとおりのアルキルである)を意味する。
【0033】
「アミノ」は、基−NR’R”(ここで、R’及びR”は、各々独立に、水素又はアルキルである)を意味する。そこで、本明細書で使用される「アミノ」は、「アルキルアミノ」及び「ジアルキルアミノ」を包含する。
【0034】
「アルキルアミノアルキル」は、基−R−NHR’(ここで、Rは、アルキレンであり、R’は、アルキルである)を意味する。アルキルアミノアルキルとして、メチルアミノメチル、メチルアミノエチル、メチルアミノプロピル、エチルアミノエチル等が挙げられる。
【0035】
「ジアルキルアミノアルキル」は、基−R−NR’R”(ここで、Rは、アルキレンであり、R’及びR”は、本明細書に定義されているとおりのアルキルである)を意味する。ジアルキルアミノアルキルとして、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、N−メチル−N−エチルアミノエチル等が挙げられる。
【0036】
「アミノアルコキシ」は、基−OR−R’(ここで、R’は、アミノであり、Rは、本明細書に定義されているとおりのアルキレンである)を意味する。
【0037】
「アルキルスルホニルアミド」は、式:−NR’SO−R(ここで、Rは、アルキルであり、R’は、水素又はアルキルである)を意味する。
【0038】
「アリール」は、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、アミノ、モノ−及びジ−アルキルアミノ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アシル、ヘテロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているアラルキル、並びに場合により置換されているヘテロアラルキルよりなる群から各々好ましくは選択される、1個以上の置換基、好ましくは1個、2個又は3個の置換基で場合により置換されている、一価の単環式又は二環式芳香族炭化水素部分を意味する。特に好ましいアリール置換基は、ハロゲン化物である。より具体的には、用語アリールとして、その各々が置換されているか非置換でありうる、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
「アリールカルボニル」は、基−C(O)−R(ここで、Rは、本明細書に定義されているとおりのアリールである)を意味する。
【0040】
交換可能に使用しうる「アラルキル」又は「アリールアルキル」とは、式:Ar−R−(ここで、Arは、場合により置換されているアリールであり、Rは、本明細書に定義されているとおりのアルキレンである)の部分をいう。
【0041】
「アラルキルカルボニル」及び「アリールアルキルカルボニル」は、基−C(O)−R(ここで、Rは、本明細書に定義されているとおりのアラルキル又はアリールアルキルである)を意味する。
【0042】
「アシル」は、式:R−C(O)−R、−C(O)−OR又は−C(O)−NRR’(ここで、Rは、水素、本明細書に定義されているとおりのアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル若しくはアミノであり、R’は、水素若しくは本明細書に定義されているとおりのアルキルである)を意味する。
【0043】
「置換アラルキル」又は「場合により置換されているアラルキル」とは、それぞれ、アリール部分が置換されているアラルキル又はアリール部分が場合によっては置換されているアラルキルをいう。
【0044】
「シクロアルキル」とは、3〜7個の環炭素の飽和一価環状炭化水素部分、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチル−シクロヘキシル等をいう。シクロアルキルは、1個以上の置換基、好ましくは1個、2個又は3個の置換基で場合により置換されていてもよい。好ましくは、シクロアルキルの置換基は、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロ、アミノ、モノ−及びジ−アルキルアミノ、ヘテロアルキル、アシル、アリール並びにヘテロアリールよりなる群から選択される。
【0045】
「シクロアルキルアルキル」とは、式:R−R−(ここで、Rは、シクロアルキルであり、Rは、本明細書に定義されているとおりのアルキレンである)の部分をいう。
【0046】
「ハロ」、「ハロゲン」及び「ハロゲン化物」は、本明細書中で交換可能に使用され、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードをさす。好ましいハロゲン化物は、フルオロ及びクロロであり、フルオロが特に好ましいハロゲン化物である。
【0047】
「ハロアルキル」は、一つ以上の同一の又は異なるハロ原子で置換されているアルキル、例えば、−CHCl、−CF、−CHCF、−CHCCl等を意味する。
【0048】
「ハロアルキルカルボニル」は、基−C(O)−R(ここで、Rは、本明細書に定義されているとおりのハロアルキルである)を意味する。
【0049】
「ヘテロアルキル」は、ヘテロアルキル部分の結合している点が炭素原子を介してであるという理解のもとで、1個以上の、好ましくは1個、2個又は3個の水素原子が、−OR、−NR及びS(O)(ここで、nは、0〜2の整数である)よりなる群から独立に選択される置換基で置き換えられた、本明細書に定義されているとおりのアルキル部分を意味する(ここで、Rは、水素、アシル、アルコキシカルボニル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アミノスルホニルアミノ、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり;R及びRは互いに独立に、水素、アシル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アミノカルボニル、アミノスルホニルアミノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、モノ−若しくはジ−アルキルアミノスルホニル、アミノアルキル、モノ−若しくはジ−アルキルアミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキルスルホニル又はアルコキシアルキルスルホニルであり;そして、nが、0である場合、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、又はアリールであり、そしてnが、1又は2である場合、Rは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミノ、アミノカルボニル、アミノスルホニルアミノ、アルキルスルホニル、アミノ、又は場合により置換されているフェニルである)。代表的な例として、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピル等が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、ヒドロキシアルキル及びアルコキシアルキルが、ヘテロアルキルの下位集合である。
【0050】
「ヘテロアリール」は、ヘテロアリール部分の結合点が、芳香環上にあるという理解のもとで、N、O、又はS(好ましくは、N又はO)から選択される、1個、2個、又は3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである、少なくとも1個の芳香環を有する、5〜12個の環原子の一価の単環式又は二環式部分を意味する。このヘテロアリール環は、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、ベンジル及びハロベンジルから各々独立に選択される、1個以上の置換基、好ましくは1個、2個又は3個の置換基で独立に、場合により置換されている。より具体的には、用語へテロアリールとして、ピリジル、フラニル、チエニル、チアゾリル、オキサジチアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジニル、ベンゾフラニル、テトラヒドロベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル又はベンゾチエニル、イミダゾ[1,2−a]−ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
「ヘテロアリールアルキル」及び「ヘテロアラルキル」とは、式:Ar−R−(ここで、Arは、ヘテロアリールであり、Rは、本明細書に定義されているとおりのアルキレンである)をいう。
【0052】
「ヘテロアリールカルボニル」は、基−C(O)−R(ここで、Rは、本明細書に定義されているとおりのヘテロアリールである)を意味する。
【0053】
「ヘテロアリールアルキルカルボニル」及び「ヘテロアラルキルカルボニル」は、基−C(O)−R(ここで、Rは、本明細書に定義されているとおりのヘテロアリールアルキル又はヘテロアラルキルである)を意味する。
【0054】
「ヘテロシクリル」は、1個又は2個の環原子が、N、O、又はS(O)(ここで、nは、0〜2の整数である)、好ましくはN又はOから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCである(ここで、1個又は2個のC原子は、場合によりカルボニル基で置き換えられていてもよい)、3〜8個の環原子の飽和又は不飽和の非芳香族の環状部分を意味する。このヘテロシクリル環は、場合により、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、シアノアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノ−及びジ−アルキルアミノ、アラルキル、−(X)−C(O)R(ここで、Xは、O又はNRであり、nは、0又は1であり、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ(nが、0である場合)、アルコキシ、アミノ、モノ−及びジ−アルキルアミノ、又は場合により置換されているフェニルであり、Rは、H又はアルキルである)、−アルキレン−C(O)R(ここで、Rは、アルキル、−OR又はNRijであり、Rは、水素、アルキル、又はハロアルキルであり、Ri及びRjは、独立に、水素又はアルキルである)、及びS(O)(ここで、nは、0〜2の整数であり、nが0である場合には、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり、nが、1又は2である場合には、Rは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、又はジアルキルアミノである)から各々独立に選択される、1個以上の、好ましくは1個、2個、又は3個の置換基で独立に、場合により置換されていてもよい。ヘテロシクリルの置換基の特に好ましい群として、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノ−及びジ−アルキルアミノ、アラルキル、及びS(O)が挙げられる。特に、用語ヘテロシクリルとして、それぞれが場合により置換されていてもよい、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジノ、N−メチルピペリジン−3−イル、ピペラジノ、N−メチルピロリジン−3−イル、3−ピロリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオモルホリノ−1−オキシド、チオモルホリノ−1,1−ジオキシド、4−(1,1−ジオキソ−テトラヒドロ−2H−チオピラニル)、ピロリニル、イミダゾリニル、N−メタンスルホニルピペリジン−4−イル、及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
「ヘテロシクリルアルキル」は、式:−R−R’(ここで、Rは、アルキレンであり、R’は、本明細書に定義されているとおりのヘテロシクリルである)の部分を意味する。
【0056】
「ヘテロシクリルオキシ」は、式:−OR(ここで、Rは、本明細書に定義されているとおりのヘテロシクリルである)の部分を意味する。
【0057】
「ヘテロシクリルアルコキシ」は、式:−OR−R’(ここで、Rは、アルキレンであり、R’は、本明細書に定義されているとおりのヘテロシクリルである)の部分を意味する。
【0058】
「ヒドロキシアルコキシ」は、式:−OR(ここで、Rは、本明細書に定義されているとおりのヒドロキシアルキルである)の部分を意味する。
【0059】
「ヒドロキシアルキルアミノ」は、式−NR−R’(ここで、Rは、水素又はアルキルであり、R’は、本明細書に定義されているとおりのヒドロキシアルキルである)の部分を意味する。
【0060】
「ヒドロキシアルキルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”(ここで、Rは、アルキレンであり、R’は、水素又はアルキルであり、R”は、本明細書に定義されているとおりのヒドロキシアルキルである)の部分を意味する。
【0061】
「ヒドロキシアルキル」とは、ヘテロアルキルの下位集合をいい、特に、1個以上の、好ましくは1個、2個又は3個のヒドロキシ基で置換された(ただし、同じ炭素原子は、1個を超えるヒドロキシ基を持たない)、本明細書に定義されているとおりのアルキル部分をいう。代表的な例として、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル及び2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
「ヒドロキシシクロアルキル」は、本明細書に定義されているとおりのシクロアルキル部分の下位集合であり、特に、シクロアルキル部分中の1個以上の、好ましくは1個、2個又は3個の水素原子がヒドロキシ置換基で置き換えられた、本明細書に定義されているとおりのシクロアルキル部分をいう。代表的な例として、2−、3−、又は4−ヒドロキシシクロヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
「脱離基」は、これに関する合成有機化学における従来からの意味、すなわち、求核試薬により置換することができる原子又は基であり、ハロ(クロロ、ブロモ、ヨードなど)、アルカンスルホニルオキシ、アレーンスルホニルオキシ、アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ)、アリールカルボニルオキシ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、アリールオキシ(例えば、2,4−ジニトロフェノキシ)、メトキシ、N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ等が挙げられる。
【0064】
「場合により置換されている」は、「アリール」、「アラルキル」、「フェニル」、「ヘテロアリール」、「ヘテロアラルキル」、「シクロアルキル」又は「ヘテロシクリル」と一緒になって使用された場合、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、モノ−アルキルアミノ、ジ−アルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、−COR(ここで、Rは、水素、アルキル、フェニル、又はフェニルアルキルである)、−(CR’R”)−COOR(ここで、nは、0〜5の整数であり、R’及びR”は、独立に、水素又はアルキルであり、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル、又はフェニルアルキルである)、又は−(CR’R”)−CONR(ここで、nは、0〜5の整数であり、R’及びR”は、独立に水素又はアルキルであり、R及びRは、互いに独立に水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル、又はフェニルアルキルである)から選択される1〜4個の置換基、好ましくは1個又は2個の置換基で独立に場合により置換されているアリール、アラルキル、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキリル又はヘテロシクリルを意味するか、あるいは本明細書のほかの場所で与えられているとおりである。「アリール」、「アラルキル」、「フェニル」、「ヘテロアリール」、「ヘテロアラルキル」、「シクロアルキル」又は「ヘテロシクリル」に対するいくつかの好ましい場合による置換基として、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルスルホニル、アミノ、ニトロ、シアノ、アセチル及びアセトアミジルが挙げられる。より好ましいものは、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びシアノである。
【0065】
「薬学的に許容しうる賦形剤」は、一般に安全であり、非毒性であり、生物学的にも他の面からも望ましくないものではない、医薬組成物の調製において有用な賦形剤を意味し、獣医学的使用及びヒトにおける医薬的使用に許容される賦形剤を含む。明細書及び特許請求の範囲で使用される「薬学的に許容しうる賦形剤」は、1個及びそれ以上のそのような賦形剤の双方が含まれる。
【0066】
化合物の「薬学的に許容しうる塩」は、薬学的に許容しうるものであり、かつ親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。このような塩は、以下を含む:(1)酸付加塩:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸により形成されるもの;又は酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などのような有機酸により形成されるもの;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、若しくはアルミニウムイオンにより置き換えられるか;又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどのような有機塩基と配位結合することにより生成される塩。
【0067】
「保護基」とは、分子中の反応性基に結合すると、その反応性をマスクするか、減少させるか、又は妨げる原子団のことをいう。保護基の例は、T. W. GreeneとP. G. Futs, Protective Groups in Organic Chemistry,(Wiley, 2nd ed. 1991)及びHarrisonとHarrisonら、Compendium of Synthetic Organic Method, Vols. 1-8(John Wiley and Sons. 1971-1996)に見い出すことができる。代表的なアミノ保護基として、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、トリメチルシリル(TMS)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(SES)、トリチル及び置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル(NVOC)等が挙げられる。代表的なヒドロキシ保護基として、ベンジル及びトリチルエーテル並びにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル及びアリルエーテルのような、ヒドロキシ基がアシル化又はアルキル化されているものが挙げられる。
【0068】
疾患を「処置すること」又はそれの「処置」は以下を含む:(1)疾患を予防すること、すなわち、疾患に曝露されているか、又は罹患しやすいが、未だ疾患の症状を経験又は表出していない哺乳動物において、疾患の臨床的症状を発生させなくすること、(2)疾患を阻害すること、すなわち、疾患又はその臨床的症状の進展を阻止又は減少すること、あるいは (3)疾患を軽減すること、すなわち、疾患又はその臨床的症状の緩解を引き起こすこと。
【0069】
「治療有効量」は、疾患を処置するために哺乳動物に投与するとき、疾患のこのような処置を行うのに十分である化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患及びその重篤度並びに処置される哺乳動物の年齢、体重等により変わる。
【0070】
本明細書で使用される、用語「上記で定義されているもの」及び「本明細書において定義されているもの」は本明細書中で交換可能に使用され、変数に対して引用される場合、変数の広い定義、並びに、存在するならば、好ましい、より好ましい、及び最も好ましい定義が参照により組み入れられる。
【0071】
「調節剤」は、標的と相互作用する分子を意味する。相互作用として、限定はされないが、本明細書に定義されているとおりのアゴニスト、アンタゴニスト等が挙げられる。
【0072】
「場合による」又は「場合により」は、その後に記述された事象又は状況が存在してもよいが、存在しなくてもよく、その記述は、事象又は状況が存在する場合と、存在しない場合とを含んでいることを意味する。
【0073】
「病態」は、任意の疾患、症状、又は徴候を意味する。
【0074】
「不活性有機溶媒」又は「不活性溶媒」は、溶媒が、それに関して記述された反応の条件の下で不活性であることを意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレン若しくはジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジン等が挙げられる。特記しない限り、本発明の反応において使用される溶媒は、不活性溶媒である。
【0075】
「溶媒和物」は、化学量論的又は非化学量論的な量の溶媒を含有している溶媒付加形態を意味する。いくつかの化合物は、結晶固体状態において一定のモル比の溶媒分子を捕捉し、それにより溶媒和物を形成する傾向を有している。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、水がその分子状態をHOとして維持する、1個以上の水分子と1個の物質との組み合わせにより形成され、そのような組み合わせは1種以上の水和物を形成することができる。
【0076】
「対象」は、哺乳動物及び非哺乳動物を意味する。哺乳動物とは、以下に限定はされないが、ヒト;チンパンジーとその他の類人猿及びサル類のような非ヒト霊長類;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、及びブタのような家畜;ウサギ、イヌ、及びネコのような家庭動物;ラット、マウス、及びモルモットのようなげっ歯類を含む実験動物等を含む、哺乳類のあらゆる構成員を意味する。非哺乳動物の例として、限定はされないが、トリ等が挙げられる。用語「対象」は、特定の齢又は性別を意味しない。
【0077】
用語「処理する」、「接触させる」及び「反応させる」という用語は、化学反応をさす場合、2種以上の試薬を、適切な条件下で加えるか又は混合して、表示の生成物及び/又は所望の生成物を製造することを意味する。表示の生成物及び/又は所望の生成物を製造する反応が、最初に加えられた2つの試薬を組み合わせたことの直接の結果である必要はないこと、すなわち混合物中に製造された一つ以上の中間体が存在してもよく、最終的にそれが表示の生成物及び/又は所望の生成物の形成につながることを理解されたい。
【0078】
一般に、本出願において使用される命名法は、IUPACの体系的命名法を生み出すBeilstein InstituteコンピュータシステムであるAUTONOM(商標)v.4.0に基づく。本明細書に示される化学構造は、ISIS(登録商標)バージョン2.2を使用して作製した。本明細書中の構造における炭素、酸素又は窒素原子上に見られるあらゆる空原子価は、水素原子の存在を示す。キラル中心が構造中に存在するが、特定の鏡像異性体が示されていない場合には、構造は、キラル中心に関する両方の鏡像異性体を含む。本明細書に示される構造は、種々の互変異性体形態で存在することができ、このような構造は、示されていない互変異性体を包含することが意図される。
【0079】
本発明は、式I:
【0080】
【化2】


[式中、
は:
1−6アルキル;
ハロ;
1−6アルコキシ
ハロ−C1−6アルキル;又は
ヘテロ−C1−6アルキルであり;
は:
シアノ;
場合により置換されている5員単環式ヘテロアリール;
−C(O)−OR
−C(O)−NR;又は
−C(O)−NR−NR−R
(ここで、
、R、R及びRは、各々独立に;
水素;又は
1−6アルキルであり;
及びRは、各々独立に;
水素;
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
3−6シクロアルキル;
3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;
アリール;
アリール−C1−6アルキル;
ヘテロアリール;又は
ヘテロアリール−C1−6アルキル;
1−6アルキル−カルボニル;
ハロ−C1−6アルキル−カルボニル;
アリール−カルボニル;
アリール−C1−6アルキル−カルボニル;
ヘテロアリール−カルボニル;又は
ヘテロアリール−C1−6アルキル−カルボニルである)であり;
は:
1−6アルキル;
3−6シクロアルキル;
3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;又は
ヘテロ−C1−6アルキルであり;そして
は:
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
ヘテロ−C1−6アルキル;
3−6シクロアルキル;
3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;
アリール;
アリール−C1−6アルキル;
ヘテロアリール;
ヘテロアリール−C1−6アルキル;
ヘテロシクリル;又は
ヘテロシクリル−C1−6アルキルである]
で示される化合物又はその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0081】
式Iの特定の実施態様において、Rは、ヘテロ−C1−6アルキル又はヘテロシクリルである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル又はヘテロ−C1−6アルキルである。
【0082】
式Iの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−NR、−C(O)−NR−NR−R又は場合により置換されている5員単環式ヘテロアリールである。
【0083】
式Iの特定の実施態様において、Rは、各々が場合により置換されている、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル又はテトラゾリルである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−NRである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−NHRであり、Rは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はC3−6シクロアルキルである。
【0084】
式Iの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−NR−NR−Rであり、Rは、水素、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、又はアリール−C1−6アルキルカルボニルである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−NH−NH−Rであり、Rは、水素、ハロ−C1−6アルキル又はアリール−C1−6アルキル−カルボニルである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−ORである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、各々が場合により置換されている、イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル又はトリアゾリルである。
【0085】
式Iの特定の実施態様において、Rは、メチルである。
【0086】
式Iの特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル又はヘテロ−C1−6アルキルである。
【0087】
式Iの特定の実施態様において、Rは:
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びイソペンチルから選択されるC1−6アルキル;
各々が場合により置換されている、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルから選択されるC3−6シクロアルキル;
各々のシクロアルキル部分が場合により置換されている、シクロプロピル−C1−6アルキル、シクロブチル−C1−6アルキル、シクロペンチル−C1−6アルキル及びシクロヘキシル−C1−6アルキルから選択されるC3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;又は
1−6アルキルオキシ−C1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、C1−6アルキルスルファニル−C1−6アルキル、C1−6アルキル−スルフィニル−C1−6アルキル、C1−6アルキル−スルホニル−C1−6アルキル、アミノ−C1−6アルキル、N−C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、及びN,N−ジ−C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキルから選択されるヘテロ−C1−6アルキルである。
【0088】
式Iの特定の実施態様において、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びイソペンチルから選択されるC1−6アルキルである。
【0089】
式Iの特定の実施態様において、Rは、メトキシメチル、エトキシメチル、2−(メトキシ)−エチル、2−(エトキシ)−エチル、3−(メトキシ)−プロピル、3−(エトキシ)−プロピル、3−メトキシ−3−メチル−ブチル、4−メトキシ−ブチル、及び4−メトキシ−4−メチル−ペンチルから選択されるC1−6アルキルオキシ−C1−6アルキルである。
【0090】
式Iの特定の実施態様において、Rは、メチルスルファニルメチル、エチルスルファニルメチル、2−(メチルスルファニル)−エチル、2−(エチルスルファニル)−エチル、3−(メチルスルファニル)−プロピル、3−(エチルスルファニル)−プロピル、3−メタンスルファニル−3−メチル−ブチル、4−メタンスルファニル−ブチル、及び4−メチルスルファニル−4−メチル−ペンチルから選択されるC1−6アルキルスルファニル−C1−6アルキルである。
【0091】
式Iの特定の実施態様において、Rは、メタンスルホニルメチル、エチルスルホニルメチル、2−(メタンスルホニル)−エチル、2−(エチルスルホニル)−エチル、3−(メタンスルホニル)−プロピル、3−(エチルスルホニル)−プロピル、3−メタンスルホニル−3−メチル−ブチル、4−メタンスルホニル−ブチル、4−メタンスルホニル−4−メチル−ペンチル及び2−メタンスルホニル−1−メチル−エチルから選択されるC1−6アルキルスルホニル−C1−6アルキルである。
【0092】
式Iの特定の実施態様において、Rは、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル、2−ヒドロキシプロピル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1−(ヒドロキシメチル)プロピル、2−ヒドロキシエチル、又は3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピルから選択されるヒドロキシ−C1−6アルキルである。
【0093】
式Iの特定の実施態様において、Rは、アミノ−メチル、2−アミノ−エチル、3−アミノ−プロピル、2−アミノ−プロピル、2−アミノ−2−メチル−プロピル、3−アミノ−3−メチルブチル、4−アミノ−4−メチルペンチル、2−アミノ−2−エチル−プロピル、3−アミノ−3−エチルブチル及び4−アミノ−4−エチルペンチルから選択されるアミノ−C1−6アルキルである。
【0094】
式Iの特定の実施態様において、Rは、N−メチルアミノメチル、2−(N−メチルアミノ)−エチル、3−(N−メチルアミノ)−プロピル、2−(N−メチルアミノ)−プロピル、2−(N−メチルアミノ)−2−メチル−プロピル、3−(N−メチルアミノ)−3−メチルブチル、4−(N−メチルアミノ)−4−メチルペンチル、2−(N−メチルアミノ)−2−エチル−プロピル、3−(N−メチルアミノ)−3−エチルブチル、4−(N−メチルアミノ)−4−エチルペンチル、N−エチルアミノメチル、2−(N−エチルアミノ)−エチル、3−(N−エチルアミノ)−プロピル、2−(N−エチルアミノ)−プロピル、2−(N−エチルアミノ)−2−メチル−プロピル、3−(N−エチルアミノ)−3−メチルブチル、4−(N−エチルアミノ)−4−メチルペンチル、2−(N−エチルアミノ)−2−エチル−プロピル、3−(N−エチルアミノ)−3−エチルブチル、及び4−(N−エチルアミノ)−4−エチルペンチルから選択されるN−C1−6アルキル−アミノ−C1−6アルキルである。
【0095】
式Iの特定の実施態様において、Rは、N,N−ジメチルアミノメチル、2−(N,N−ジメチルアミノ)−エチル、3−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピル、2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピル、2−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メチル−プロピル、3−(N,N−ジメチルアミノ)−3−メチルブチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)−4−メチルペンチル、2−(N,N−ジメチルアミノ)−2−エチル−プロピル、3−(N,N−ジメチルアミノ)−3−エチルブチル 4−(N,N−ジメチルアミノ)−4−エチルペンチル、N,N−ジエチルアミノメチル、2−(N,N−ジエチルアミノ)−エチル、3−(N,N−ジエチルアミノ)−プロピル、2−(N,N−ジエチルアミノ)−プロピル、2−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチル−プロピル、3−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メチルブチル、4−(N,N−ジエチルアミノ)−4−メチルペンチル、2−(N,N−ジエチルアミノ)−2−エチル−プロピル、3−(N,N−ジエチルアミノ)−3−エチルブチル、及び4−(N,N−ジエチルアミノ)−4−エチルペンチルから選択されるN,N−ジ−C1−6アルキル−アミノ−C1−6アルキルである。
【0096】
式Iの特定の実施態様において、Rは:
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びイソペンチルから選択されるC1−6アルキル;
各々が場合により置換されている、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルから選択されるC3−6シクロアルキル;
各々のシクロアルキル部分が場合により置換されている、シクロプロピル−C1−6アルキル、シクロブチル−C1−6アルキル、シクロペンチル−C1−6アルキル及びシクロヘキシル−C1−6アルキルから選択されるC3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;又は
1−6アルキルオキシ−C1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、C1−6アルキルスルファニル−C1−6アルキル、C1−6アルキル−スルフィニル−C1−6アルキル、C1−6アルキル−スルホニル−C1−6アルキル、アミノ−C1−6アルキル、N−C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、及びN,N−ジ−C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキルから選択されるヘテロ−C1−6アルキル、
各々が場合により置換されている、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチオピラニルから選択されるヘテロシクリルである。
【0097】
式Iの特定の実施態様において、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びイソペンチルから選択されるC1−6アルキルである。
【0098】
式Iの特定の実施態様において、Rは、メトキシメチル、エトキシメチル、2−(メトキシ)−エチル、2−(エトキシ)−エチル、3−(メトキシ)−プロピル、3−(エトキシ)−プロピル、3−メトキシ−3−メチル−ブチル、4−メトキシ−ブチル、及び4−メトキシ−4−メチル−ペンチルから選択されるC1−6アルキルオキシ−C1−6アルキルである。
【0099】
式Iの特定の実施態様において、Rは、メチルスルファニルメチル、エチルスルファニルメチル、2−(メチルスルファニル)−エチル、2−(エチルスルファニル)−エチル、3−(メチルスルファニル)−プロピル、3−(エチルスルファニル)−プロピル、3−メタンスルファニル−3−メチル−ブチル、4−メタンスルファニル−ブチル、及び4−メチルスルファニル−4−メチル−ペンチルから選択されるC1−6アルキルスルファニル−C1−6アルキルである。
【0100】
式Iの特定の実施態様において、Rは、メタンスルホニルメチル、エチルスルホニルメチル、2−(メタンスルホニル)−エチル、2−(エチルスルホニル)−エチル、3−(メタンスルホニル)−プロピル、3−(エチルスルホニル)−プロピル、3−メタンスルホニル−3−メチル−ブチル、4−メタンスルホニル−ブチル、4−メタンスルホニル−4−メチル−ペンチル及び2−メタンスルホニル−1−メチル−エチルから選択されるC1−6アルキルスルホニル−C1−6アルキルである。
【0101】
式Iの特定の実施態様において、Rは、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル、2−ヒドロキシプロピル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1−(ヒドロキシメチル)プロピル、2−ヒドロキシエチル、又は3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピルから選択されるヒドロキシ−C1−6アルキルである。
【0102】
式Iの特定の実施態様において、Rは、アミノ−メチル、2−アミノ−エチル、3−アミノ−プロピル、2−アミノ−プロピル、2−アミノ−2−メチル−プロピル、3−アミノ−3−メチルブチル、4−アミノ−4−メチルペンチル、2−アミノ−2−エチル−プロピル、3−アミノ−3−エチルブチル及び4−アミノ−4−エチルペンチルから選択されるアミノ−C1−6アルキルである。
【0103】
式Iの特定の実施態様において、Rは、N−メチルアミノメチル、2−(N−メチルアミノ)−エチル、3−(N−メチルアミノ)−プロピル、2−(N−メチルアミノ)−プロピル、2−(N−メチルアミノ)−2−メチル−プロピル、3−(N−メチルアミノ)−3−メチルブチル、4−(N−メチルアミノ)−4−メチルペンチル、2−(N−メチルアミノ)−2−エチル−プロピル、3−(N−メチルアミノ)−3−エチルブチル、4−(N−メチルアミノ)−4−エチルペンチル、N−エチルアミノメチル、2−(N−エチルアミノ)−エチル、3−(N−エチルアミノ)−プロピル、2−(N−エチルアミノ)−プロピル、2−(N−エチルアミノ)−2−メチル−プロピル、3−(N−エチルアミノ)−3−メチルブチル、4−(N−エチルアミノ)−4−メチルペンチル、2−(N−エチルアミノ)−2−エチル−プロピル、3−(N−エチルアミノ)−3−エチルブチル、及び4−(N−エチルアミノ)−4−エチルペンチルから選択されるN−C1−6アルキル−アミノ−C1−6アルキルである。
【0104】
式Iの特定の実施態様において、Rは、N,N−ジメチルアミノメチル、2−(N,N−ジメチルアミノ)−エチル、3−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピル、2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピル、2−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メチル−プロピル、3−(N,N−ジメチルアミノ)−3−メチルブチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)−4−メチルペンチル、2−(N,N−ジメチルアミノ)−2−エチル−プロピル、3−(N,N−ジメチルアミノ)−3−エチルブチル 4−(N,N−ジメチルアミノ)−4−エチルペンチル、N,N−ジエチルアミノメチル、2−(N,N−ジエチルアミノ)−エチル、3−(N,N−ジエチルアミノ)−プロピル、2−(N,N−ジエチルアミノ)−プロピル、2−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチル−プロピル、3−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メチルブチル、4−(N,N−ジエチルアミノ)−4−メチルペンチル、2−(N,N−ジエチルアミノ)−2−エチル−プロピル、3−(N,N−ジエチルアミノ)−3−エチルブチル、及び4−(N,N−ジエチルアミノ)−4−エチルペンチルから選択されるN,N−ジ−C1−6アルキル−アミノ−C1−6アルキルである。
【0105】
式Iの特定の実施態様において、Rは、各々が場合により置換されている、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチオピラニルから選択されるヘテロシクリルである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル−、C1−6アルキル−スルホニル若しくはアセチルで4位が場合により置換されているピペリジニル、又はテトラヒドロピラニルである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、テトラヒドロピラニルである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、ヒドロキシ−C1−6アルキルである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキルスルホニル−C1−6アルキルである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、場合により置換されているオキサジアゾイリルである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、テトラヒドロピラニルであり、Rは、場合により置換されているオキサジアゾイリルである。
【0106】
式Iの特定の実施態様において、Rは、テトラヒドロピラニルであり、Rは、場合により置換されているオキサジアゾイリルであり、Rは、メチルである。
【0107】
式Iの特定の実施態様において、Rは、テトラヒドロピラニルであり、Rは、場合により置換されているオキサジアゾイリルであり、Rは、メチルであり、Rは、メチルである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、テトラヒドロピラニルであり、Rは、−C(CO)−NRである。
式Iの特定の実施態様において、Rは、テトラヒドロピラニルであり、Rは、−C(O)−NR−NR−Rである。
【0108】
式Iの特定の実施態様において:
は、メチルであり;
は:
各々場合により置換されている、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、及びトリアゾリルから選択される、場合により置換されている5員単環式ヘテロアリール;
−C(O)−NHR
−C(O)−OR
−C(O)−NH−NH−Rであり;
は:
メチル;
シクロプロピル;又は
シクロペンチルであり;そして
は:
ヒドロキシ−C1−6アルキル;
1−6アルキル−スルホニル−C1−6アルキル;又は
テトラヒドロピラン−4−イルである。
【0109】
式Iの特定の実施態様において:
は、メチルであり;
は:
イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル及びトリアゾリルから選択される、場合により置換されている5員単環式ヘテロアリール;又は
が、水素、C1−6アルキル、シクロプロピル若しくはC1−6アルコキシである、−C(O)−NHR
が、水素、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、若しくはアリール−C1−6アルキルカルボニルである、−C(O)−NR−NR−Rであり;
はメチルであり;そして
は:
ヒドロキシ−C1−6アルキル;
1−6アルキル−スルホニル−C1−6アルキル;又は
テトラヒドロピラン−4−イルである。
【0110】
式Iの特定の実施態様において、
は、メチルであり;
は、イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル及びトリアゾリルから選択される、場合により置換されている5員単環式ヘテロアリールであり;
は、メチルであり;そして
は、テトラヒドロピラン−4−イルである。
【0111】
式Iの特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル;ハロ−C1−6アルキル;C1−6アルコキシ;ハロ−C1−6アルコキシ;ヘテロ−C1−6アルキル;シアノ;ニトロ;アミノ;N−C1−6アルキルアミノ;N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;C1−6アルキルスルホニル−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;アリール;アリール−C1−6アルキル;ヘテロアリール;若しくはヘテロアリール−C1−6アルキル;又は−(CH−X−(CH−C(O)−(CH−Y−(CH−R[ここで、m、n、p、qは、各々独立に、0又は1であり、X及びYは、各々独立に、−O−、−NR−又は結合であり、Rは、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アミノ、N−C1−6アルキルアミノ又はN,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノであり、Rは、水素又はC1−6アルキルである]で各々が場合により置換されている、イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル及びトリアゾリルである。
【0112】
式Iの特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル;又はアリール−C1−6アルキルで場合により置換されている、オキサジアゾリルである。
【0113】
本発明の特定の実施態様において、対象化合物は、式II:
【0114】
【化3】


(式中、R及びRは、本明細書と同義である)
で表されうる。
【0115】
式IIの実施態様において、Rは、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル又はヘテロ−C1−6アルキルである。
式IIの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−NR、−C(O)−NR−NR−R又は場合により置換されている5員単環式ヘテロアリールである。
式IIの特定の実施態様において、Rは、各々が場合により置換されている、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル又はトリアゾリルである。
式IIの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−NRである。
式IIの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−NHRであり、Rは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はC3−6シクロアルキルである。
式IIの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−NR−NR−Rであり、Rは、水素、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、又はアリール−C1−6アルキルカルボニルである。
式IIの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−NH−NH−Rであり、Rは、水素、ハロ−C1−6アルキル又はアリール−C1−6アルキル−カルボニルである。
式IIの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−ORである。
式IIの特定の実施態様において、Rは、各々が場合により置換されている、イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル又はトリアゾリルである。
【0116】
式IIの特定の実施態様において、Rは、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びイソペンチルから選択されるC1−6アルキル;
各々が場合により置換されている、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルから選択されるC3−6シクロアルキル;
各々のシクロアルキル部分が場合により置換されている、シクロプロピル−C1−6アルキル、シクロブチル−C1−6アルキル、シクロペンチル−C1−6アルキル及びシクロヘキシル−C1−6アルキルから選択されるC3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;
1−6アルキルオキシ−C1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、C1−6アルキルスルファニル−C1−6アルキル、C1−6アルキル−スルフィニル−C1−6アルキル、C1−6アルキル−スルホニル−C1−6アルキル、アミノ−C1−6アルキル、N−C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、及びN,N−ジ−C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキルから選択されるヘテロ−C1−6アルキル
である。
【0117】
式IIの特定の実施態様において、Rは、場合により置換されているオキサジアゾイリルである。
【0118】
式IIの実施態様において:
は:
シアノ;
各々が場合により置換されている、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、及びトリアゾリルから選択される、場合により置換されている5員単環式ヘテロアリール;
−C(O)−NHR
−C(O)−OR
−C(O)−NH−NH−Rであり;そして
は:
メチル;
シクロプロピル;又は
シクロペンチルである。
【0119】
式IIの実施態様において、
は:
イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル及びトリアゾリルから選択される、場合により置換されている5員単環式ヘテロアリール;又は
が、水素、C1−6アルキル、シクロプロピル若しくはC1−6アルコキシである、−C(O)−NHR
が、水素、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、若しくはアリール−C1−6アルキルカルボニルである、−C(O)−NR−NR−Rであり;そして
は、メチルである。
【0120】
式IIの実施態様において、Rは、イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル及びトリアゾリルから選択される、場合により置換されている5員単環式ヘテロアリールであり、そしてRは、メチルである。
【0121】
式IIの特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル;ハロ−C1−6アルキル;C1−6アルコキシ;ハロ−C1−6アルコキシ;ヘテロ−C1−6アルキル;シアノ;ニトロ;アミノ;N−C1−6アルキルアミノ;N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;C1−6アルキルスルホニル−C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;アリール;アリール−C1−6アルキル;ヘテロアリール;若しくはヘテロアリール−C1−6アルキル;又は−(CH−X−(CH−C(O)−(CH−Y−(CH−R[ここで、m、n、p、qは、各々独立に、0又は1であり、X及びYは、各々独立に、−O−、−NR−又は結合であり、Rは、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アミノ、N−C1−6アルキルアミノ又はN,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノであり、Rは、水素又はC1−6アルキルである]で各々が場合により置換されている、イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル及びトリアゾリルである。
【0122】
式Iの特定の実施態様において、Rは、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル;又はアリール−C1−6アルキルで場合により置換されている、オキサジアゾリルである。
【0123】
本発明の特定の実施態様において、対象化合物は、式III:
【0124】
【化4】


[式中、
は:
水素;
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
1−6アルコキシ;
ハロ−C1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
シアノ;
ニトロ;
アミノ;
N−C1−6アルキルアミノ;
N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;
1−6アルキルスルホニル−C1−6アルキル;
3−6シクロアルキル;
3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;
アリール;
アリール−C1−6アルキル;
ヘテロアリール;
ヘテロアリール−C1−6アルキル;又は
−(CH−X−(CH−C(O)−(CH−Y−(CH−R
(ここで、
m、n、p、qは、各々独立に、0又は1であり;
X及びYは、各々独立に、結合、−O−、又は−NR−(ここで、Rは、水素又はC1−6アルキルである)であり;そして
は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アミノ、N−C1−6アルキルアミノ又はN,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノである)であり;そして
及びRは、本明細書と同義である]
で表されうる。
【0125】
式IIIの実施態様において、Rは、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル又はヘテロ−C1−6アルキルである。
【0126】
式IIIの特定の実施態様において、Rは、メチル、シクロプロピル又はシクロペンチルである。
【0127】
式IIIの特定の実施態様において、Rは、水素、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ、ヘテロ−C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、N−C1−6アルキルアミノ、N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ、アリール−C1−6アルキル、又はヘテロアリール−C1−6アルキルである。
【0128】
式IIIの特定の実施態様において、Rは、水素、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ又は、そのフェニル部分が場合により置換されていてもよいベンジルである。
【0129】
式IIIの特定の実施態様において、Rは、水素、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ベンジル、3−クロロベンジル又は4−クロロベンジルである。
【0130】
式IIIの実施態様において、Rは、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル又はヘテロ−C1−6アルキルであり、Rは、水素、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ベンジル、3−クロロベンジル又は4−クロロベンジルである。
【0131】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びRのいずれかがアルキルであるか又はアルキル部分を有している、本発明の実施態様において、このようなアルキルは、好ましくは低級アルキル、すなわち、C1−6アルキル、より好ましくはC1−4アルキルである。
【0132】
式Iの化合物の薬学的に許容しうる酸付加塩として、無機酸、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等に由来する塩、並びに有機酸、例えば脂肪族モノ−及びジ−カルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸等に由来する塩が挙げられる。このような塩として、したがって、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩等が挙げられる。また、例えばアルギン酸塩等のアミノ酸の塩、及びグルコン酸塩、ガラクツロン酸塩が考慮される(例えば、Berge S. M. et al.,"Pharmaceutical Salts," J. of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19参照)。
【0133】
塩基性化合物の酸付加塩は、慣用の方法で、その遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させて塩を製造することにより、調製することができる。遊離塩基形態は、その塩形態を塩基と接触させ、その後慣用の方法で遊離塩基を単離することにより再生することができる。遊離塩基形態は、極性溶媒中での溶解性のようなある種の物性がそれらの対応する塩形態といくらか異なるが、その他の点では、塩は、本発明の目的には、それらの対応する遊離塩基と等価である。
【0134】
本発明の一つの態様による代表的な化合物は、下の表1に示されている。
【0135】
【表1】







【0136】
本発明の化合物は、以下に示し、記載した例示的な合成反応スキームに示される多様な方法により調製することができる。
【0137】
これらの化合物の調製において使用される出発物質及び試薬は、一般に、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.)のような商業的な供給元から入手可能であるか、又はFieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15; Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5 and Supplementals; 及びOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40のような参照文献に示された手順に従い、当業者に既知の方法により調製される。以下の合成反応スキームは、本発明の化合物を合成することができるいくつかの方法を例示するものに過ぎず、これらの合成反応スキームに対して様々な変更を行うことができ、本出願に含まれる開示を参照すれば、当業者に示唆されるであろう。
【0138】
合成反応スキームの出発物質及び中間体は、所望により、例えば、以下に限定はされないが、ろ過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含む従来技術を使用して、単離及び精製することができる。そのような材料は、物理定数及びスペクトルデータを含む従来の手段を使用して特徴付けることができる。
【0139】
特記のない限り、本明細書に記載された反応は、好ましくは、約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0℃〜約125℃の反応温度範囲で、最も好ましくかつ好都合には室温(又は周囲温度)、例えば約20℃で、大気圧で、不活性雰囲気下に実施される。
【0140】
本発明のピリミド−ピリドン化合物を製造する一つの特定の方法は、下のスキームAに示されており、ここで、「Het」はヘテロアリールであり、Rは低級アルキルであり、R、R及びRは本明細書と同義である。
【0141】
【化5】

【0142】
スキームAの工程1において、極性非プロトン性溶媒条件下に一級アミンR−NHでピリミジンを処理すると、化合物bが得られる。工程2において、化合物b上のエステル基を還元すると、アルコールcを与える。工程3において、アルコール化合物cを酸化すると、カルボキシアルデヒド化合物dが得られる。工程4において、塩基の存在下にカルボキシアルデヒドdをジエステル化合物eと反応させると、ピリミド−ピリドン化合物fを与える。
【0143】
工程5において、化合物fのエステル基は、適切な反応を経て、ヘテロアリール置換化合物hを形成しうる。例えば、化合物fを、塩基性条件下にプロパン−2−オンオキシムで、次いで酸で処理すると、イソオキサゾールを与えるであろう。あるいは、化合物fのエステル基を、アルコールに還元し、次いで選択的にアルデヒド基に酸化し、アルデヒド化合物を、グリオキサール及び水酸化アンモニウムで処理すると、イミダゾリル基が得られる。
【0144】
化合物fをアミンHNRと反応させることにより、工程5の代わりに工程6を行って、アミド化合物gを得うる。次いで、アミド化合物gは、適切な反応を経て、ヘテロアリール置換化合物hを形成しうる。例えば、R及びRが水素である場合、化合物gをジメチルホルムアミドジメチルアセタールで、その後、ヒドラジンで処理すると、トリアジニル基を与える。
【0145】
化合物hのスルファニル基は、次いで、工程8において、過酸での処理により酸化されて、スルホン化合物iを与える。工程9において、化合物iのスルホン基は、アミンR−NHとの反応により置換されて、本発明に係る式Iの化合物である、化合物jを与える。
【0146】
スキームAの手順の多くの変形が可能であり、当業者には、自明であろう。例えば、工程6において、化合物fは、アミンの代わりにヒドラジンで処理するすると、ヒドラジド化合物(図示せず)を与え、これは、次いで、引き続く反応において、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、又は他のヘテロアリール基に変換することができる。化合物f及びgのスルファニル基は、工程8で記述したようにして酸化し、工程9で記述したようにしてアミンとの反応に付すと、引き続く工程5、7、8及び9を省略して、本発明の別の化合物を与える。
【0147】
ここにスキームBを参照すると、Rが低級アルキルであり、R、R、R及びRが本明細書と同義である、本発明の化合物を作製する他の手順が示されている。
【0148】
【化6】

【0149】
スキームBの工程1において、ブロモ安息香酸エステルkを、アリルトリアルキルスズのようなアルキル化剤で処理することによりアルキル化すると、アリル安息香酸エステル化合物mが得られる。次いで、化合物mは、工程2においてヒドラジンと反応させると、ヒドラジド化合物oを与える。その後、ヒドラジド化合物oを工程3において無水物pとの反応に付すと、フェニルオキサジアゾール化合物qが得られる。工程4において、化合物qのアリル基は、過ヨウ素酸塩又は他の酸化剤で酸化すると、フェニル酢酸化合物rを与える。工程5において、フェニル酢酸メチルエステル化合物は、化合物rをヨウ化メチルで処理することにより形成される。次いで、工程6において、化合物sをスルファニルピリミジンカルボキシアルデヒドdと反応させると、スルファニルピリミド−ピリドン化合物tが得られる。工程7において、化合物tのスルファニル基を、過酸又は同様の酸化試薬で処理することにより酸化に付すと、スルフィニルピリミド−ピリドン化合物uが得られる。その後、化合物uは、工程8において、アミンwと反応させると、本発明に係る式Iの化合物である、化合物vを与える。
【0150】
スキームAの場合と同様に、スキームBの手順の多くの変形が可能である。一つのそのような変形において、置換ヒドラジンは、工程2において、化合物mと反応され、次いで、工程3〜5は省略することができ、式Iのヒドラジン化合物を与える。工程7の酸化は、いくつかの実施態様において、スキームBで示されているスルフィニル化合物に代わる、スルホニル化合物をもたらす。スキームBの他の変形は、当業者に容易に明らかであろう。
【0151】
スキームA及びBの具体的な詳細を、以下の実施例中に提供する。
【0152】
医薬組成物及び投与
本発明は、少なくとも一つの本発明の化合物、又は個々の異性体、異性体のラセミ混合物若しくは非ラセミ混合物、又は薬学的に許容しうるそれらの塩若しくは溶媒和物を、少なくとも一つの薬学的に許容しうる担体と一緒に、そして場合によりその他の治療用及び/又は予防用成分と一緒に含む、医薬組成物を包含する。
【0153】
一般に、本発明の化合物は、類似した効用をもたらす薬剤の、許容されている任意の投与方法によって、治療有効量で投与されるであろう。適切な投薬量範囲は、処置すべき疾患の重篤度、対象の年齢及び相対的な健康状態、使用される化合物の効能、投与の経路及び形態、投与が指示される適応、並びに関与する医師の好み及び経験のような多数の要因に依って、典型的には1日あたり1〜500mg、好ましくは1日あたり1〜100mg、最も好ましくは1日あたり1〜30mgである。そのような疾患を処置する当業者は、過度の試験を行うことなく、かつ個人的な知識及び本特許出願の開示に依拠して、所与の疾患に対する本発明の化合物の治療有効量を確定することが可能となる。
【0154】
一般に、本発明の化合物は、経口(口内及び舌下を含む)、直腸、鼻、局所、肺、膣、若しくは非経口(筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、皮下及び静脈内を含む)投与に適したものを含む医薬製剤として、又は吸入若しくは通気による投与に適した形態で、投与される。好ましい投与の方法は、一般に、苦痛の程度に従って調整されうる、好都合な毎日投薬計画を使用した経口である。
【0155】
本発明の化合物は、一つ以上の慣用の補助剤、担体、又は希釈剤と一緒になって、医薬組成物及び単位投薬量の形態にされうる。医薬組成物及び単位投薬形態は、追加の活性化合物又は有効成分と一緒になって、又はそれらなしで、慣用の割合の慣用の成分から構成されることができ、単位投薬形態は、使用される目的の1日投薬量の範囲に相応した任意の適切な有効量の活性成分を含有しうる。医薬組成物は、経口的に使用するための錠剤若しくは充填カプセルのような固体、半固体、粉末、徐放性製剤、又は溶液、懸濁剤、乳濁剤、エリキシル剤、若しくは充填カプセルのような液体として;又は直腸若しくは膣への投与のための坐剤の形態で;又は非経口的に使用するための無菌の注射用液の形態で使用されうる。そこで、1錠あたり約1ミリグラム、又はより広く約0.01〜約100ミリグラムの活性成分を含有している製剤が、それ相応に適切な代表的な単位投薬形態である。
【0156】
本発明の化合物は、多様な経口投与投薬形態へと製剤化されうる。医薬組成物及び投薬形態は、本発明の化合物又はそれらの薬学的に許容しうる塩を活性成分として含みうる。薬学的に許容しうる担体は、固体又は液体でありうる。固形調製物として、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル、カシェ、坐剤、及び分散性顆粒が挙げられる。固体担体は、希釈剤、風味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル材料としても機能しうる一つ以上の物質でありうる。粉末剤において、担体は、一般に、微粉化した活性成分との混合物である、微粉化した固体である。錠剤において、活性成分は、一般に、必要な結合能力を有している担体と適切な割合で混合され、所望の形状及びサイズに圧縮される。粉末剤及び錠剤は、好ましくは、約1〜約70パーセントの活性化合物を含有している。適切な担体として、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、カカオ脂等が挙げられるが、これらに限定されない。「調製物」という用語には、担体を含む又は含まない活性成分が、それと関連する担体により包囲されているカプセルを提供する、担体としてのカプセル材料を含む活性化合物の製剤が包含されるものとする。同様に、カシェ及びトローチが包含される。錠剤、粉末剤、カプセル、丸剤、カシェ、及びトローチは、経口投与に適した固体の形態であろう。
【0157】
経口投与に適したその他の形態として、乳濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性溶液剤、水性懸濁剤を含む液状調製物、又は使用直前に液状調製物に変換することを意図した固形調製物が挙げられる。乳濁剤は、溶液中、例えばプロピレングリコール水溶液中で調製することができ、又は例えばレシチン、ソルビタンモノオレアート、若しくはアラビアゴムのような乳化剤を含有していてもよい。水性溶液剤は、活性成分を水に溶解させ、適切な着色剤、風味剤、安定剤、及び増粘剤を添加することにより調製することができる。水性懸濁剤は、天然又は合成のゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びその他の周知の懸濁化剤のような粘性材料と共に、微粉化した活性成分を水に分散させることにより調製することができる。固形調製物として、溶液剤、懸濁剤、及び乳濁剤が挙げられ、活性成分に加えて、着色剤、風味剤、安定剤、緩衝剤、人工及び天然の甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有していてもよい。
【0158】
本発明の化合物は、(例えば、注射、例としては、急速静注又は連続注入による)非経口投与用に製剤化してもよく、防腐剤を添加した、アンプル、充填済注射器、小量注入容器又は複数回投与容器に単位用量形態で存在できる。組成物は、油性又は水性の賦形剤中の懸濁剤、溶液剤、又は乳濁剤、例えば、水性ポリエチレングリコール溶液剤のような形態をとりうる。油性又は非水性の担体、希釈剤、溶媒又は賦形剤の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、及び注射用有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられ、保存剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤のような製剤化剤を含有していてもよい。別法として、活性成分は、滅菌固体の無菌分離によるか、又は適切な賦形剤、例えば滅菌した、発熱物質を含まない水を用いて、使用前の構成用溶液から凍結乾燥することにより得られる粉末形態であってもよい。
【0159】
本発明の化合物は、軟膏、クリーム若しくはローションとして、又は経皮パッチとして、表皮への局所投与用に製剤化されうる。軟膏及びクリームは、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤が添加された水性又は油性の基剤と共に製剤化されうる。ローションは、水性又は油性の基剤と共に製剤化することができ、一般に、一つ以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、又は着色剤をも含有しているであろう。口内への局所投与に適している製剤として、風味付けされた基剤、一般的にはショ糖及びアラビアゴム又はトラガカントゴムの中に活性薬剤を含むトローチ;ゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアラビアゴムのような不活性基剤の中に活性成分を含むトローチ;並びに適切な液体担体の中に活性成分を含むうがい薬が挙げられる。
【0160】
本発明の化合物は、坐剤としての投与用に製剤化されうる。脂肪酸グリセリドの混合物又はカカオ脂のような、低融点ロウがまず溶融され、例えば攪拌によって、活性成分が均質に分散される。次いで、溶融した均質な混合物が好適なサイズの鋳型に注入され、冷却され、凝固される。
【0161】
本発明の化合物は、膣投与用に製剤化されうる。活性成分に加えて、そのような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡又はスプレーが適切であることは、当該技術で公知である。
【0162】
本発明の化合物は、鼻投与用に製剤化されうる。溶液剤又は懸濁剤が、慣用の手段によって、例えば、点滴器、ピペット、又はスプレーにより、鼻腔に直接適用される。その製剤は、単一用量形態又は複数回用量形態で提供されうる。後者の点滴器又はピペットの場合、これは、患者が、適切な所定の容量の溶液剤又は懸濁剤を投与することによって達成されうる。スプレーの場合、これは、例えば、計量噴霧スプレーポンプによって達成されうる。
【0163】
本発明の化合物は、鼻腔内投与を含む、特に気道へのエアロゾル投与用に製剤化されうる。化合物は、一般に、例えば、ほぼ5ミクロン以下程度の小さな粒径を有しているであろう。そのような粒子サイズは、当技術分野において既知の手段によって、例えば微粒子化によって得られる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、若しくはジクロロテトラフルオロエタン、又は二酸化炭素若しくはその他の適切なガスのような適切な噴射剤を含む加圧パック中で供される。エアロゾルが、レシチンのような界面活性剤を含有することも好都合でありうる。薬物の用量は、計量弁によって制御されうる。別法として、活性成分は、乾燥粉末の形態で、例えば、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなデンプン誘導体、及びポリビニルピロリジン(PVP)のような適切な粉末基剤中の化合物の粉末混合物の形態で提供されうる。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成するであろう。粉末組成物は、例えばゼラチンのカプセル又はカートリッジ、又はブリスターパックのような単位用量形態で存在してよく、これらから粉末剤が吸入器により投与される。
【0164】
所望の場合、製剤は、活性成分の徐放投与又は放出制御投与に適応した腸溶コーティングを用いて調製されうる。例えば、本発明の化合物は、経皮又は皮下薬物送達装置に製剤化されうる。化合物の徐放が必要である場合、及び治療計画に対する患者のコンプライアンスが重要である場合、これらの送達システムは有利である。経皮送達システムにおける化合物は、多くの場合に、皮膚粘着性の固体支持体に結合されている。目的の化合物を、浸透促進剤、例えば、Azone(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることもできる。徐放性送達システムは、手術又は注射によって皮下層へと皮下挿入される。皮下インプラントは、脂溶性の膜、例えばシリコンゴム又は生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸中に化合物を封入している。
【0165】
医薬調製物は、単位投薬形態にあることが好ましい。そのような形態において、調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量へと分割されている。単位投薬形態は、一包化調製物であることができ、その一包は、パケット錠剤、カプセル剤及び、バイアル又はアンプル中の粉末剤のような調製物の個々の分量を含有する。また、単位投薬形態は、カプセル、錠剤、カシェ、若しくはトローチ自体であってもよく、又はこれらのいずれかが適切な数で一包化された形態であることも可能である。
【0166】
その他の適切な医薬的担体及びそれらの製剤化は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。本発明の化合物を含有している代表的な医薬製剤を、以下の実施例に記載する。
【0167】
本発明の化合物は、特に限定されないが、ヒト、又は他の哺乳動物における任意の障害又は病態(これは、このような哺乳動物による、過剰又は無秩序なTNF及び/又はp38キナーゼ産生によって増悪されるか、又は引き起こされる)の処置に有用である。したがって、本発明は、有効量の本発明の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグを、それを必要とする対象又は患者に投与することを含む、p38介在性疾患の処置方法を提供する。
【0168】
本発明の化合物は、特に限定されないが、対象における炎症の処置、及び発熱の処置用の解熱剤としての使用のために有用である。本発明の化合物は、慢性関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス及び若年性関節炎、変形性関節症、痛風性関節炎及び他の関節炎症状を含むが、これらに限定されない関節炎を処置するために有用であろう。このような化合物は、成人呼吸窮迫症候群、肺サルコイドーシス、喘息、珪肺、及び慢性肺炎症疾患を含む、肺障害又は肺炎症の処置のために有用であろう。本化合物はまた、敗血症、敗血症性ショック、グラム陰性菌敗血症、マラリア、髄膜炎、感染症又は悪性腫瘍に続発する悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)に続発する悪液質、AIDS、ARC(AIDS関連症候群)、肺炎、及びヘルペスウイルスを含む、ウイルス性及び細菌性感染症の処置のためにも有用である。本化合物はまた、骨粗鬆症のような骨吸収性疾患、内毒素ショック、毒素性ショック症候群、再灌流傷害、自己免疫疾患(移植片対宿主反応及び同種移植片拒絶反応を含む)、心血管疾患(アテローム動脈硬化、血栓症、うっ血性心不全、及び心再灌流傷害を含む)、腎再灌流傷害、肝臓疾患及び腎炎、並びに感染症による筋肉痛の処置のためにも有用である。
【0169】
本発明の化合物はまた、Rafにより増悪若しくは引き起こされる又はそうでなければRafの調節に関連する、ヒト又は他の哺乳動物における障害又は病態の処置に有用である。したがって、本発明は、Raf介在増殖性障害、例えば黒色腫、多発性骨髄腫、甲状腺癌、結腸癌、再狭窄、血管形成、糖尿病性網膜症、乾癬、術後癒着、黄斑変性症、及びアテローム性動脈硬化症を処置する方法を提供する。
【0170】
本化合物はまた、アルツハイマー病、インフルエンザ、多発性硬化症、癌、糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚関連症状(乾癬、湿疹、火傷、皮膚炎、ケロイド形成、及び瘢痕組織形成など)の処置のためにも有用である。さらに、本発明の化合物は、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群及び潰瘍性大腸炎のような胃腸症状の処置においても有用である。本化合物はまた、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、眼羞明、及び眼組織に対する急性損傷のような、眼疾患の処置においても有用である。本化合物はまた、新生組織形成を含む血管形成;転移;眼症状[角膜移植片拒絶、眼の血管新生、網膜の血管新生(傷害又は感染後の血管新生を含む)、糖尿病性網膜症、水晶体後線維増殖症及び血管新生緑内障など];胃潰瘍のような潰瘍性疾患;乳児性血管腫を含む血管腫、鼻咽頭の血管線維腫及び骨の虚血壊死のような病的ではあるが悪性ではない症状;糖尿病性腎症及び心筋症;並びに子宮内膜症のような女性生殖器系の障害の処置のためにも有用でありうる。本化合物はさらに、シクロオキシゲナーゼ−2の産生を妨げるために有用であり、そして鎮痛性を有する。したがって、式Iの化合物は、疼痛の処置に有用である。
【0171】
式Iの化合物の他の用途として、HCVの処置、重い喘息、乾癬、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、癌、多発性骨髄腫、及び抗TNF化合物で処置することができる他の疾患が挙げられる。
【0172】
ヒトの処置のために有用であることの他に、これらの化合物はまた、哺乳動物、齧歯類などを含む、ペット(companion animals)、外来動物及び家畜の獣医学的処置のためにも有用である。より好ましい動物は、ウマ、イヌ、及びネコを含む。
【0173】
本化合物はまた、ステロイド、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、NSAID、DMARDS、免疫抑制剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、LTBアンタゴニスト及びLTAヒドロラーゼ阻害剤と一緒のような、共同療法において、部分的又は完全に、他の従来の抗炎症薬の代わりに、使用することができる。
【0174】
本明細書において使用される「TNF介在性障害」という用語は、TNF自体の制御により、又はTNFがIL−1、IL−6又はIL−8(これらに限定されない)のような別のモノカインを放出させることにより、TNFがある役割を演じる、任意の及び全ての障害及び病態のことをいう。例えば、IL−1が、主要な成分であって、その産生又は作用が、TNFに応答して悪化又は分泌される病態は、したがって、TNFが介在する障害と考えられよう。
【0175】
本明細書において使用される、「p38介在性障害」という用語は、p38自体の制御により、又はp38がIL−1、IL−6又はIL−8(これらに限定されない)のような別の因子を放出させることにより、p38がある役割を演じる、任意及び全ての障害及び病態のことをいう。例えば、IL−1が、主要な成分であって、その産生又は作用が、p38に応答して悪化又は分泌される病態は、したがって、p38が介在する障害と考えられよう。
【0176】
TNF−βは、TNF−α(カケクチンとしても知られている)と近い構造的相同性を有するため、そしてそれぞれが、同様な生物学的応答を誘導し、かつ同じ細胞内受容体に結合するため、TNF−α及びTNF−β双方の合成は、本発明の化合物により阻害されるので、本明細書では、他に特に記載がなければ、集合的に「TNF」と呼ばれる。
【0177】
以下の調製及び実施例は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施することを可能にするために提供するものである。これらの例は、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではなく、単に本発明を例示し、代表するものとみなされるべきである。
【0178】
特記しない限り、すべての温度は、融点(すなわちMP)を含め、摂氏度(℃)で表記する。指示生成物及び/又は目的生成物を生成する反応は、必ずしもはじめに加えられた二つの試薬の組み合わせから直接生じなくてもよい、すなわち、最終的に指示生成物及び/又は目的生成物の形成につながる混合物中で生成される一つ以上の中間体があってもよいということが理解されよう。実施例では以下の略号を使用することもある。
【0179】
略語
DCM ジクロロメタン/塩化メチレン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMFDMA ジメチルホルムアミドジメチルアセタール
ECDI 1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
gc ガスクロマトグラフィー
HMPA ヘキサメチルホスホラミド
HOAc 酢酸
HOBt N−ヒドロキシベンゾトリアゾール
hplc 高速液体クロマトグラフィー
LDA リチウムジイソプロピルアミン
LAH 水素化アルミニウムリチウム
mCPBA m−クロロ過安息香酸
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
NMP N−メチルピロリジノン
TEA トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
OXONE(登録商標) ペルオキシ一硫酸カリウム
【0180】
調製1: 3−エトキシカルボニルメチル−4−メチル−安息香酸メチルエステル
調製1の合成手順をスキームCに示す。
【0181】
【化7】

【0182】
3−ブロモ−4−メチル−安息香酸メチルエステル(20.0g、87.31mmol)を、トルエン220mLに溶解し、3−オキソ−酪酸エチルエステル(25.0g、192.08mmol)、KPO(102g、480mmol)、ビフェン−2−イル−P(t−Bu)(2.60g、8.73mmol)及び二酢酸パラジウム(980mg、4.36mmol)を加えた。反応混合物を脱気し、アルゴンでパージし、次に90℃で15時間加熱した。反応混合物を冷却し、水と酢酸エチルに分配した。有機層を水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(10%〜15% EtOAc/ヘキサン類)により精製して、3−エトキシカルボニルメチル−4−メチル−安息香酸メチルエステル2.20gを得た。MS(M+H)=237。
【0183】
調製2: 4−メチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボキシアルデヒド
この調製の合成手順をスキームDに示す。
【0184】
【化8】

【0185】
工程1: 4−メチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステル
VanderWel, S. N. et al. J. Med. Chem. 2005, 48, 2371-2387)の手順に一般的に従って、ジクロロメタン250mL中の4−クロロ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボン酸エチル(Aldrich、20g、86mmol)の溶液に、メチルアミンのエタノール溶液(33%、35mL 281mmol)を0oCでゆっくりと加えた。30分間撹拌した後、水(150mL)を加え、相を分離した。有機相を乾燥(MgSO)させ、濾過した。濾液を減圧下で蒸発させて、4−メチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステル19gを白色の固体として得た。MS(M+H)=228。
【0186】
工程2: (4−メチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノール
水素化アルミニウムリチウム(8.2g、215mmol)を、乾燥テトラヒドロフラン(300mL)中で5℃にて撹拌し、乾燥テトラヒドロフラン(450mL)中の4−メチルアミノ−2−メチルチオ−ピリミジン−5−カルボン酸エチル(46g、215mmol)の溶液を滴下して処理した。反応混合物を15分間撹拌し、次に水(18mL)を注意しながら滴下した。反応物を30分間撹拌し、次に水酸化ナトリウムの水溶液(15%、8.5mL)を、続いて水(25.5mL)を滴下した。得られた懸濁液を室温で17時間撹拌し、次に濾過した。濾過した残留物を、テトラヒドロフランで洗浄し、合わせた濾液及び洗液を減圧下で蒸発させた。残留物を酢酸エチル/ヘキサン−1/2(200mL)に懸濁し、固体を濾過し、乾燥させて、(4−メチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノール32.7gを、黄色の固体として得た。MS(M+H)=186。
【0187】
工程3: 4−メチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボキシアルデヒド
(4−メチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノール(20g、108mmol)とジクロロメタン1Lを、撹拌しながら合わせ、二酸化マンガン(87g、1mol)で処理して。得られた懸濁液を24時間撹拌し、次にセライトを通して濾過した。濾過した残留物をジクロロメタン(100mL)で洗浄し、合わせた濾液及び洗液を減圧下で蒸発させて、4−メチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボキシアルデヒド15.8gを、白色の固体として得た。MS(M+H)=184。
【0188】
下記を同様にして調製した:
4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルバルデヒド、MS(M+H)=238;及び
4−シクロプロピルアミノ−2−メチル−スルファニル−ピリミジン−5−カルバルデヒド、MS(M+H)=210。
【0189】
調製3: 4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−安息香酸メチルエステル
この調製の合成手順をスキームEに示す。
【0190】
【化9】

【0191】
3−エトキシカルボニルメチル−4−メチル−安息香酸メチルエステル(2.18g、9.22mmol)、4−メチルアミノ−2−メチルチオピリミジン−5−カルボキシアルデヒド(1.69g、9.22mmol)及びKCO(2.55g、18.44mmol)を、NMP 23mLに加え、反応混合物を撹拌しながら90℃にして9時間加熱し、次に冷却し、室温で10時間撹拌した。反応混合物を水100mLで希釈し、得られた沈殿物を濾過により回収し、水で洗浄し、乾燥させて、4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−安息香酸メチルエステル3.09gを得た。MS(M+H)=356。
【0192】
実施例1:N−シクロプロピル−4−メチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−ベンズアミド
この実施例の合成手順をスキームFに示す。
【0193】
【化10】

【0194】
工程1: 4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−安息香酸
4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−安息香酸メチルエステル(1.0g、2.81mmol)を、THF 4mLに溶解し、1.0M LiOH水溶液(2.8mL、2.81mmol)を加えた。反応混合物を室温で100時間撹拌し、次にジエチルエーテルと水に分配した。5%HCl水溶液を加えることにより水層を酸性化し、得られた沈殿物を濾過により回収し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−安息香酸820mgを得た:MS(M+H)=342。
【0195】
工程2: N−シクロプロピル−4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンズアミド
4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−安息香酸(150mg、0.44mmol)を、DMF 2mLに取り、シクロプロピルアミン(50mg、0.88mmol)を、続いてEDCI(1.2g、0.527mmol、1.2当量)を加えた。反応混合物を室温で90分間撹拌し、次に水とEtOAcに分配した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、分取薄層クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン類 1:1)により精製して、N−シクロプロピル−4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンズアミド25mgを得た:MS(M+H)=381。
【0196】
工程3: N−シクロプロピル−3−(2−メタンスルホニル−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−4−メチル−ベンズアミド
N−シクロプロピル−4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンズアミド(21mg)を、MeOH 2mL、THF 1mL及び水1mLの混合物に溶解した。OXONE(登録商標)(1.63mg、0.09mmol)を加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。次に反応混合物を、水とEtOAcに分配し、有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、N−シクロプロピル−3−(2−メタンスルホニル−8−メチル−7−オキソ−7,8、ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−4−メチル−ベンズアミド25mgを得た。
【0197】
工程4: N−シクロプロピル−4−メチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−ベンズアミド
4−アミノ−テトラヒドロピラン(11mg、0.106mmol)を、THF 2mLに溶解し、N−シクロプロピル−3−(2−メタンスルホニル−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−4−メチル−ベンズアミド(21mg、0.051mmol)を加えた。反応混合物を、室温で6.5時間撹拌し、次にMeOH 1mLを加えた。得られた混合物を分取TLCプレートに直接添加し、塩化メチレン中の5% MeOHで溶離させて、N−シクロプロピル−4−メチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−ベンズアミドを得た:MS(M+H)=434;融点=239.3〜241.0℃。
【0198】
シクロプロピルアミンをメチルアミンに代えて、4,N−ジメチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−ベンズアミドを同様にして調製した:MS(M+H)=408;融点=268.2〜270.0℃。
【0199】
実施例2: 4−メチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−ベンゾニトリル
この実施例の合成手順をスキームGに示す。
【0200】
【化11】

【0201】
工程1: 4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンズアミド
4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−安息香酸(384mg)を、SOCl10g中で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物に、EtOAc 10mL及びNHOH飽和水溶液5mLを加えた。反応混合物を20分間撹拌し、次にTHF 10mLを加えた。反応混合物を水と塩化メチレンに分配し、有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンズアミド372mgを得た:MS(M+H)=341。
【0202】
工程2: 4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンゾニトリル
4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンズアミド(24mg)を、SOCl 3g中で室温にて100時間撹拌した。次に更なるSOCl(4.5g)を加え、反応混合物を75℃に30分間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物を、分取TLCプレートを介し塩化メチレン中の5% MeOHで溶離させて、4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンゾニトリルを得た。:MS(M+H)=323。
【0203】
工程3:
4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンゾニトリル(49mg、0.15mmol)を、実施例1の工程3の手順に従って、OXONE(登録商標)で処理して、4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルホニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンゾニトリルを得、それを今度は実施例1の工程4の手順を使用して4−アミノ−テトラヒドロピランと反応させて、4−メチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−ベンゾニトリルを得た:MS(M+H)=376;融点=253.5〜254.1℃。
【0204】
実施例3: 4−メチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−安息香酸メチルエステル
【0205】
【化12】


4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−安息香酸メチルエステルを、実施例1の工程3の手順に従って、OXONE(登録商標)で処理し、得られたスルホニル化合物を、実施例1の工程4の手順を使用して4−アミノ−テトラヒドロピランで処理して、4−メチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−安息香酸メチルエステルを得た:MS(M+H)=409;融点=122.5〜126.5℃。
【0206】
実施例4: 8−メチル−6−[2−メチル−5−(3−メチル−イソオキサゾール−5−イル)−フェニル]−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
この実施例の合成手順をスキームHに示す。
【0207】
【化13】

【0208】
工程1: 8−メチル−6−[2−メチル−5−(3−メチル−イソオキサゾール−5−イル)−フェニル]−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
プロパン−2−オンオキシム(62mg、0.844mmol)を、THF 2mLに溶解し、窒素下で0℃に冷却した。反応温度が5℃未満を保持するように、n−ブチルリチウム(ヘキサン類中の2.5M溶液0.68mL、1.688mmol)をゆっくりと加えた。30分間撹拌した後、4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−安息香酸メチルエステル(200mg、0.56mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。濃硫酸(0.43mL)を滴下し、温度を1時間かけて室温まで上昇させた。1M NaOH水溶液を加えることにより反応混合物を中性pHにし、次に水と塩化メチレンで分配した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、ヘキサン類中の25%EtOAcで、次に再びCHCl中の0.25%MeOHで溶離する分取スケールTLCプレートにより精製して、8−メチル−6−[2−メチル−5−(3−メチル−イソオキサゾール−5−イル)−フェニル]−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン8mgを得た;MS(M+H)=379。
【0209】
工程2: 8−メチル−6−[2−メチル−5−(3−メチル−イソオキサゾール−5−イル)−フェニル]−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
8−メチル−6−[2−メチル−5−(3−メチル−イソオキサゾール−5−イル)−フェニル]−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを、実施例1の工程3の手順に従って、OXONE(登録商標)で処理し、得られたスルホニル化合物を実施例1の工程4の手順を使用して4−アミノ−テトラヒドロピランで処理して、8−メチル−6−[2−メチル−5−(3−メチル−イソオキサゾール−5−イル)−フェニル]−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを得た:MS(M+H)=432。
【0210】
実施例5: 8−メチル−6−[2−メチル−5−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−フェニル]−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
この実施例の合成手順をスキームIに示す。
【0211】
【化14】

【0212】
工程1: 8−メチル−2−メチルスルファニル−6−[2−メチル−5−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−フェニル]−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンズアミド(100mg、0.294mmol)を、DMFDMA 6mLに取り、反応混合物を10分間加熱還流し、次に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をHOAc 10mLに取り、ヒドラジン(0.24g、7.638mmol)を加えた。反応混合物を室温で20分間撹拌し、得られた沈殿物を濾過により回収し、水で洗浄して、8−メチル−2−メチルスルファニル−6−[2−メチル−5−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−フェニル]−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン60mgを得た:MS(M+H)=365。
【0213】
工程2: 8−メチル−6−[2−メチル−5−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−フェニル]−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
8−メチル−2−メチルスルファニル−6−[2−メチル−5−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−フェニル]−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを、実施例1の工程3の手順に従って、OXONE(登録商標)で処理し、得られたスルホニル化合物を実施例1の工程4の手順を使用して4−アミノ−テトラヒドロピランで処理して、8−メチル−6−[2−メチル−5−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−フェニル]−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを得た:MS(M+H)=418、融点=214.9〜216.0℃。
【0214】
実施例6: 6−[5−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−8−メチル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
この実施例の合成手順をスキームJに示す。
【0215】
【化15】

【0216】
工程1: 6−(5−ヒドロキシメチル−2−メチル−フェニル)−8−メチル−2−メチルスルファニル−5,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オール
4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−安息香酸メチルエステル(150mg、0.422mmol)を、乾燥THF 6mLに溶解した。反応混合物を0℃に冷却し、LAH(THF中の1.0M 溶液0.63mL、0.633mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で15分間撹拌し、次に氷浴を取り外した。THF2mL中の水(0.3mL)を滴下した。10分間撹拌した後、20% NaOH水溶液0.3mLを加えた。更に10分間撹拌した後、水0.8mLを加えた。反応混合物を90分間撹拌し、次にセライトパッドを通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、6−(5−ヒドロキシメチル−2−メチル−フェニル)−8−メチル−2−メチルスルファニル−5,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オール132mgを得た;MS(M+H)=330。
【0217】
工程2: 4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンズアルデヒド
6−(5−ヒドロキシメチル−2−メチル−フェニル)−8−メチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(129mg、0.394mmol)を、塩化メチレン7mLに室温で溶解し、MnO(343mg、3.94mmol)を加えた。反応混合物を室温で48時間撹拌し、次にセライトを通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物を、5% MeOH/DCMで溶離する分取TLCプレートにより精製して、4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンズアルデヒド73mgを得た;MS(M+H)=326。
【0218】
工程3: 6−[5−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−8−メチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルスルファニル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−ベンズアルデヒド(69mg、0.212mmol)を、EtOH 3mLに懸濁し、反応混合物を0℃に冷却した。グリオキサール(10% 水溶液の0.049mL)及びNHOH飽和水溶液0.07mLを加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次に60分間かけて撹拌しながら室温まで上昇させた。THF(4mL)を加え、反応混合物を60分間撹拌した。グリオキサール(10%水溶液の1.3mL)を、続いてNHOH飽和水溶液1.9mLを加えた。反応混合物を2時間撹拌し、次に水とEtOAcに分配した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、5% MeOH/DCMで溶離する分取TLCプレートにより精製して、6−[5−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−8−メチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを得た;MS(M+H)=464。
【0219】
工程4: 6−[5−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−8−メチル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
6−[5−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−8−メチル−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを、実施例1の工程3の手順に従って、OXONE(登録商標)で処理し、得られたスルホニル化合物を実施例1の工程4の手順を使用して4−アミノ−テトラヒドロピランで処理して、6−[5−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−8−メチル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン2.5mgを得た:MS(M+H)=417。
【0220】
実施例7: 8−シクロペンチル−6−[5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
この実施例の合成手順をキームKに示す。
【0221】
【化16】

【0222】
工程1: 3−アリル−4−メチル−安息香酸メチルエステル
アルゴンを、DMF(100mL)中のメチル 3−ブロモ−4−メチルベンゾエート(11.45g、50mmol)、アリルトリブチル−スタンナン(16.72g、50.5mmol)及び塩化リチウム (5.30g、125mmol) の溶液に、20分間電磁撹拌しながら泡立て入れた。次にジクロロビス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(0.81g、1.16mmol)を加え、混合物を95℃に1.5時間加熱した。室温に冷ました後、混合物を、エーテル−ヘキサン類(1:1 v/v)と水に分配した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(Isco RediSep シリカゲル330g、ヘキサン類中の5%のジクロロメタン、次に35%のジクロロメタン)により精製して、3−アリル−4−メチル−安息香酸メチルエステル(9.68g、100%)を無色の油状物として得た。
【0223】
工程2: 3−アリル−4−メチル−安息香酸ヒドラジド
エタノール(5mL)中のメチル 3−アリル−4−メチルベンゾエート(2.84g、15mmol)及びヒドラジン水和物(2.1mL、37.5mmol)の溶液を、100℃に6時間加熱した。冷却後、混合物を酢酸エチルと水に分配し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮して、3−アリル−4−メチル−安息香酸ヒドラジドを白色の固体(収率2.80g、98.1%)として得た。
【0224】
工程3: 2−(3−アリル−4−メチル−フェニル)−5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール
アセトニトリル(30mL)中の3−アリル−4−メチル−安息香酸ヒドラジド(1.0g、5.26mmol)及びジイソプロピルエチル−アミン(6.31mL、36.2mmol)の溶液に、イソ吉草酸無水物(1.31mL、6.58mmol)を加え、混合物を室温で18時間撹拌した。この混合物に、トリフェニルホスフィン(5.66g、21.6mmol)を、続いてヘキサクロロエタン(2.86g、12.11mmol)を加えた。混合物を室温で5時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を、ヘキサン類中の0〜30%酢酸エチルで溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2−(3−アリル−4−メチル−フェニル)−5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール(収量:1.32g、98%)を得た。
【0225】
工程4: [5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−酢酸
四塩化炭素35mL及びアセトニトリル35mL中の2−(3−アリル−4−メチル−フェニル)−5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール(1.32g、5.15mmol)の溶液に、水(80mL)中の過ヨウ素酸ナトリウム(3.26g、15.2mmol)及び三塩化ルテニウム水和物(0.085g、0.41mmol)の溶液を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、次にジクロロメタン(200mL)で希釈した。有機層を分離し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、暗色の油状物を得た。油状物をtert−ブチルアルコール(50mL)及び2−メチル−2−ブテン(17mL)に溶解した。水(30mL)中の亜塩素酸ナトリウム(6.52g、57.68mmol)及びリン酸二水素ナトリウム(5.12g、37.08mmol)の溶液を0℃で加え、得られた混合物を、0℃で2時間、次に室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機相を分離し、水、10%チオ硫酸ナトリウム及びブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をヘキサン類中の40〜100% 酢酸エチルで溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、[5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−酢酸を得た(収量:1.01g、72%)。
【0226】
工程5: [5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−酢酸メチルエステル
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中の炭酸カリウム(0.56g、4.05mmol)、[5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−酢酸(1.01g、3.68mmol)及びヨードメタン(0.33mL、5.26mmol)の懸濁液を、室温で2日間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルと水に分配した。合わせた有機相を水及びブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、ヘキサン類中の0〜40%酢酸エチルで溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、[5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−酢酸メチルエステルを得た(収量:0.54g、51%)。
【0227】
工程6: 8−シクロペンチル−6−{5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル}−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
N,N−ジメチルアセトアミド(4mL)中の4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルバルデヒド(0.05g、0.22mmol、調製4から得た)、[5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−酢酸メチルエステル(0.06g、0.21mmol)及び炭酸セシウム(0.14g、0.43mmol)の混合物を、マイクロ波反応装置中で100℃にて3.5時間加熱した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルと水に分配した。合わせた有機相を水及びブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、ヘキサン類中の30% 酢酸エチルで溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、8−シクロペンチル−6−{5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル}−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを得た(収量:0.04g、40%)。
【0228】
工程7: 8−シクロペンチル−6−{5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル}−2−メタンスルフィニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
ジクロロメタン(3mL)中の8−シクロペンチル−6−{5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル}−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(40.0mg、0.08mmol)の溶液に、3−クロロ過安息香酸(0.04g、0.19mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、次に酢酸エチルで希釈した。有機層を重炭酸ナトリウム飽和溶液及びブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、濾過し、減圧下で濃縮して、8−シクロペンチル−6−{5−(5−イソブチル−[1,3,4]−オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル}−2−メタンスルフィニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(0.06g)を得た。粗生成物を更に精製しないで次の工程で使用した。
【0229】
工程8: 8−シクロペンチル−6−{5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル}−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
2−プロパノール(2mL)中の8−シクロペンチル−6−{5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル}−2−メタン−スルフィニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(0.04g、0.08mmol)と4−アミノテトラヒドロピラン(0.041g、0.40mmol)の混合物を、マイクロ波反応装置中で120℃にて1時間加熱した。反応混合物を冷却し、減圧下で濃縮した。残留物を、ヘキサン類中の50〜70%酢酸エチルで溶離するフラッシュクロマトグラフィーで精製して、8−シクロペンチル−6−{5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル}−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(収量:16.0mg、38%)を得た。HRMS(ES)m/z 計算値:C3036+H[(M+H)]:529.2922 実測値:529.2917
【0230】
同様にするが、但し工程6で4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルバルデヒドを4−シクロプロピルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルバルデヒドに代えて、8−シクロプロピル−6−{5−(5−イソブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル}−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを調製した。HRMS(ES)m/z 計算値:C2832+H[(M+H)]:501.2609 実測値:501.2603
【0231】
同様にするが、但し工程3でイソ吉草酸無水物を無水酢酸に代えて、8−シクロペンチル−6−[2−メチル−5−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−フェニル]−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを調製した。HRMS(ES)m/z 計算値:C2730+H[(M+H)]:487.2452 実測値:487.2448
【0232】
同様にするが、但し工程3でイソ吉草酸無水物を無水酢酸に代え、且つ工程6で4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルバルデヒドを4−シクロプロピルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルバルデヒドに代えて、8−シクロプロピル−6−[2−メチル−5−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−フェニル]−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを調製した。HRMS(ES)m/z 計算値:C2526+H[(M+H)]:459.2139 実測値:459.2133
【0233】
同様にするが、但し工程3でイソ吉草酸無水物をトリフルオロ無水酢酸に代え、且つ工程6で4−シクロペンチルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルバルデヒドを4−シクロプロピルアミノ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルバルデヒドに代えて、8−シクロプロピル−6−[2−メチル−5−(5−トリフルオロメチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−フェニル]−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンを調製した。HRMS(ES)m/z 計算値:C2523+H[(M+H)]:513.1857 実測値:513.1852
【0234】
実施例7の手順により調製した更なる化合物を、表1に示す。
【0235】
実施例8: この実施例は、本発明の化合物を評価するのに有用なp38(MAP)キナーゼインビトロアッセイを例証する。
Ahn, et al, J. Biol. Chem. 266:4220-4227 (1991)に記載されている方法をわずかに改変したものを使用して、p−38キナーゼによる、γ−ホスフェートの、γ−33P−ATPからミエリン塩基性タンパク質(MBP)への転移を計測することにより、本発明の化合物のインビトロでのp38MAPキナーゼ阻害活性を測定した。
【0236】
大腸菌中、組換えp38MAPキナーゼのリン酸化状態を、SEK−1及びMEKKと共に同時発現させ(Khokhlatchev et al., J. Biol. Chem. 272:11057-11062 (1997)参照)、その後、ニッケルカラムを使用するアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。
【0237】
リン酸化p38MAPキナーゼを、キナーゼ緩衝剤(20mM 3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、pH7.2、25mM β−グリセロールホスフェート、5mMエチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸、1mMオルトバナジン酸ナトリウム、1mM ジチオトレイトール、40mM 塩化マグネシウム)中に希釈した。DMSOに溶解した試験化合物又はDMSOのみ(対照)を加え、サンプルを30℃で10分間インキュベートした。MBP及びγ−33P−ATPを含有する基質カクテルを加えることによって、キナーゼ反応を開始させた。30℃でさらに20分間インキュベートしたのち、0.75%リン酸を加えることによって反応を停止させた。次いで、ホスホセルロース膜(Millipore、Bedfrod、MA)を使用してリン酸化MBPを残留γ−33P−ATPから分離し、シンチレーションカウンター(Packard、Meriden、CT)を使用して定量した。
【0238】
上記手順を使用して、本発明の化合物がp38MAPキナーゼの阻害剤であることがわかった。例えば、6−[5−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−メチル−フェニル]−8−メチル−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンは、約0.00066のp38 IC50(μM)を示した。さらに、代表的なp38 IC50を、表2に示す。
【0239】
【表2】

【0240】
実施例9: 基質として6H−MEKを用いるc−RafHTRFアッセイ(用量反応)
このアッセイは、基質として6H−MEKを利用する。c−Rafリン酸化時に、リン酸化された6H−MEKは、ウサギ抗リン酸−MEK1/2抗体、Eu標識した抗ウサギ抗体、及びAPC標識した抗−6H抗体で検出される。
【0241】
試薬及び抗体
酵素: EE−タグを付けたクローン化されたヒトc−Raf;リン酸化され(バキュロウイルスHi5細胞内でv−src−FLAGと共発現された)、0.2mg/mL(2.74μM、推定分子量73kD)、−15℃で貯蔵。
基質: WT完全長6H−MEK、4.94mg/mL(154.4μM、推定MW 32kD)、−15℃で貯蔵。
抗体: ウサギ(α−P−(Ser 217/221)−MEK−1/2Ab(Cell Signalingより、カタログ番号9121B、ロット番号14);Eu−(α−ウサギIgG(Wallacより、カタログ番号 AD0083、ロット318663、710ug/mL、4.4μM);(α−6H−SureLight−APC(Martekより、カタログ番号AD0059H、ロットE012AB01、3.03μM)。
【0242】
機器
読取器: PerkinElmerからのEnvision、412ミラーのHTRFリーディングモード
アッセイプレート: Matrixオールブラックポリプロピレンプレート(カタログ番号4344)
化合物プレート: Weidman 384ポリプロピレンプレート(REMP)
【0243】
手順:
(1)キナーゼアッセイ緩衝液(KAB):50mM HEPES(Hyclone)pH7、10mM MgCl、1mM DTT、0.1mM Na、及び0.3mg/mL BSAを調製する。
(2)KAB中6H−MEK(150nM)を調製する。12μL/ウェルをアッセイプレートへ添加する。
(3)KAB中ATP(66μM)を調製する。
(4)化合物を、DMSO中2.4mMに、任意の陽性対照をDMSO中480μMに希釈する。DMSO中、10倍希釈を3回行う。DMSO溶液を2.5μL/ウェルで採取し、(3)のATP溶液を27.5μL/ウェルとなるよう添加する。
(5)混合し、アッセイプレートへ(4)の溶液6μL/ウェル添加し、MEKリン酸化時にDMSO濃度2.1%にした。
(6)KAB中c−Raf(12nM)を調製する。
(7)カラム1〜2にKAB 6μL/ウェル及びカラム3〜24にc−Raf 6μL/ウェルを添加する。
(8)37℃で30分間インキュベートする。
(9)AB1:50mM HEPES pH7、0.2mg/mL BSA、及び43mM EDTA中、ウサギ(α−P−(Ser 217/221)−MEK−1/2Ab(ストック液から1:240)を調製する。
(10)反応を停止するために、(9)からの溶液6μL/ウェルをアッセイプレートへ添加し、37℃で30分間インキュベートする。
(11)AB2:50mM HEPES pH7及び0.2mg/ml BSA中のEu−(α−ウサギIgG(9nM)及び(α−6H−SureLight−APC(120nM)を調製する。
(12)(11)からの溶液を6μL/ウェルでアッセイプレートへ添加する。
(13)スペクトルのクロストーク因子を決定するために、工程(1)から(10)に従い2試料を調製する。ブランク試料について、AB2を6μL/ウェルで添加する。クロストーク因子試料について、Eu−抗ウサギIgG(9nM)を6μL/ウェル添加する。
(14)室温で1.5時間インキュベートする。
(15)HTRFシグナルをEnvision上で615nm及び665nmで読みとる。スペクトルのクロストーク補正後、HTRFシグナルを正規化する。
【0244】
c−Rafの発現及び精製:
N末端EE−タグ化c−Rafを、High−5細胞中で発現させた。5リットルの培養液を、EE−c−Raf及びFLAG−vSrcのためのウイルスで、1:2の比でコトランスフェクトし、48時間後に採取した。細胞ペレットを、5mM EDTA、50mM KF、20mM ピロリン酸Na、20mM β−グルセロホスフェート、0.5mM NaVO、1% NP−40(w/v)及び完全プロテアーゼタブレットを含有するTBSに溶解した。溶解物を、20,000xgで1時間遠心分離した。上清を、抗EEタグ−タンパク質Gセファロース8mlと共に、4℃で2時間インキュベートした。次いで、樹脂を上記緩衝液30容量で洗浄した。c−Rafタンパク質を、100mg/mlのEEペプチドを含有する上記緩衝液と共に、4℃で1時間インキュベートした。タンパク質を、YM10膜を有するAmicon Stir Cellを用いて濃縮した。濃縮したタンパク質を、1mM DTT及び30%グリセリンを含有するTBS中で透析した。タンパク質濃度は、BioRad DC法により決定した。
【0245】
6H−MEKI(62−393)の精製:
6H−MEKI(62−393)の発現用プラスミドを含有する大腸菌を、Rich培地中で生育し、1mM IPTGで22℃にて24時間誘導した。細胞ペレットを、50mMリン酸カリウム緩衝液、pH8.0、300mM NaCl、5mM MgCl、10mM CHAPS、2mM TCEP及び完全プロテアーゼ阻害剤タブレット中に再懸濁した。細胞を、超音波処理により破裂させた。溶解物を、13,000xgで45分間遠心分離して清澄にした。上清を、50mMリン酸カリウム緩衝液、pH8.0、10mMイミダゾール、4mM TCEP、300mM NaCl、10mM CHAPS、2mM ピロール−2−カルボキシレート及び100mM ZnClで1:1に希釈し、次いで、TALON金属親和性樹脂と共に、4℃で1時間インキュベートした。
【0246】
樹脂を、50mM リン酸カリウム緩衝液、pH8.0、5mM イミダゾール、2mM TCEP、300mM NaCl、10mM CHAPS、1mM ピロール−2−カルボキシレート及び50mM ZnClの10容量で洗浄した。タンパク質を、20mM HEPES、pH8.0、100mM EDTA、2mM TCEP、10% v/vグリセリンの5容量と共に、4℃で1時間インキュベートした。溶出した物質を、10Kd MWカットオフ膜を有するAmicon Ultra 15デバイスを用いて濃縮した。次いで、試料を、Superdex 200 26/60 カラム上で、サイズ排除クロマトグラフィーに付した。6H−MEK1ピークを集めて、上記と同様にして濃縮した。タンパク質をBioRad法により決定した。
【0247】
上記の手順を用いて、本発明の化合物が、c−Rafを阻害することを示した。例えば、化合物、8−メチル−6−[2−メチル−5−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−フェニル]−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンは、上記のアッセイを用いて、約0.19のIC50(μM)を示した。
【0248】
実施例10: 基質として6H−MEKを用いるb−Raf野生型HTRFアッセイ(用量反応)
このアッセイは、基質として6H−MEKを利用する。b−Raf WTリン酸化時に、リン酸化された6H−MEKは、ウサギ抗ホスホ−MEK1/2抗体、Eu標識した抗ウサギ抗体、及びAPC標識した抗−6H抗体で検出される。
【0249】
試薬及び機器
酵素: UpstateからのN末端GSTタグを有する組換えヒトb−Raf残基416末端;(Sf21昆虫細胞中でバキュロウイルスで発現された)、0.26mg/mL(3.87μM、推定分子量67.2kD)、カタログ番号14-530M、ロット番号25502AU、−80℃で貯蔵。
基質: C. BelunisからのWT完全長6H−MEK(5/26/04)、4.94mg/mL(154.4μM、推定MW32kD)、−15℃で貯蔵。
抗体: ウサギ(α−P−(Ser 217/221)−MEK−1/2Ab(Cell Signalingより、カタログ番号 9121B、ロット14);Eu−(α−ウサギIgG(Wallacより、カタログ番号 AD0083、ロット318663、710ug/mL、4.4μM);(α−6H−SureLight−APC(Martekより、カタログ番号AD0059H、ロットE012AB01、3.03μM)。
読取器: PerkinElmerからのEnvision、412ミラーのHTRFリーディングモード
アッセイプレート: Matrixオールブラックポリプロピレンプレート(カタログ番号4344)
その他: 化合物プレート用のWeidman 384ポリプロピレンプレート(REMP)
【0250】
アッセイ手順:
(1)キナーゼアッセイ緩衝液(KAB):50mM HEPES(Hyclone)pH7、10mM MgCl、1mM DTT、0.1mM Na、及び0.3mg/mL BSAを調製する。
(2)KAB中6H−MEK(150nM)を調製する。12μL/ウェルをアッセイプレートへ添加する。
(3)KAB中ATP(66μM)を調製する。
(4)化合物をDMSO中2.4mMに、任意の陽性対照をDMSO中480μMに希釈する。DMSO中、10倍希釈を3回行う。DMSO溶液を2.5μL/ウェルで採取し、(3)のATP溶液を27.5μL/ウェルとなるよう添加する。
(5)混合し、MEKリン酸化時にDMSO濃度2.1%とするために、アッセイプレートへ(4)の溶液6μL/ウェル添加する。
(6)KAB中b−RafWT(100pM)を調製する。
(7)カラム1〜2中KAB 6μL/ウェル及びカラム3〜24中b−Raf 6ml/ウェルを添加する。
(8)37℃で30分間インキュベートする。
(9)AB1:50mM HEPES pH7、0.2mg/ml BSA、及び43mM EDTA中、ウサギ(α−P−(Ser 217/221)−MEK−1/2Ab(ストック液から1:200)を調製する。
(10)反応を停止するために、(9)からの溶液6μL/ウェルをアッセイプレートへ添加し、37℃で30分間インキュベートする。
(11)AB2:50mM HEPES pH7及び0.2mg/ml BSA中、Eu−(α−ウサギIgG(9nM)及び(α−6H−SureLight−APC(180nM)を調製する。
(12)(11)からの溶液6μL/ウェルをアッセイプレートへ添加する。
(13)スペクトルのクロストーク因子を決定するために、工程(1)から(10)に従い2試料を調製する。ブランク試料について、AB2を6μL/ウェルで添加する。クロストーク因子試料について、Eu−抗ウサギIgG(9nM)を6μL/ウェル添加する。
(14)室温で1.5時間インキュベートする。
(15)HTRFシグナルをEnvision上で615nm及び665nmで読み取る。スペクトルのクロストーク補正後、HTRFシグナルを正規化する。
【0251】
上の手順を用いて、本発明の化合物が、野生型b−Rafを阻害することを示した。例えば、化合物、4,N−ジメチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−ベンズアミドは、上記のアッセイを用いて、約0.02のIC50(μM)を示した。
【0252】
実施例11: 基質として6H−MEKを用いるb−RafV600E変異型HTRFアッセイ(用量反応)
このアッセイは、基質として6H−MEKを利用する。b−RafV600Eリン酸化時に、リン酸化された6H−MEKは、ウサギ抗ホスホ−MEK1/2抗体、Eu標識した抗ウサギ抗体、及びAPC標識した抗−6H抗体で検出される。
【0253】
試薬及び抗体:
酵素: UpstateからのN末端GSTタグを有するV600E変異を含有する組換えヒトb−Raf残基416末端;(Sf21昆虫細胞中、バキュロウイルスで発現された)、0.26mg/mL(7.49μM、推定分子量67.3kD)、カタログ番号14-5M、ロット番号25633AU、−80℃で貯蔵。
基質: C. BelunisからのWT完全長6H−MEK(5/26/04)、4.94mg/mL(154.4μM、推定MW 32kD)、−15℃で貯蔵。
抗体: ウサギ(α−P−(Ser 217/221)−MEK−1/2Ab(Cell Signalingより、カタログ番号 9121B、ロット14);Eu−(α−ウサギIgG(Wallacより、カタログ番号 AD0083、ロット318663、710ug/mL、4.4μM);(α−6H−SureLight−APC(Martekより、カタログ番号AD0059H、ロットE012AB01、3.03μM)。
読取器: PerkinElmerよりのEnvision、412ミラーのHTRFリーディングモード
アッセイプレート: Matrixオールブラックポリプロピレンプレート(カタログ番号4344)
その他: 化合物プレート用のWeidman 384ポリプロピレンプレート(REMP)
【0254】
アッセイ手順:
(1)キナーゼアッセイ緩衝液(KAB):50mM HEPES(Hyclone)pH7、10mM MgCl、1mM DTT、0.1mM Na、及び0.3mg/mL BSAを調製する。
(2)KAB中6H−MEK(150nM)を調製する。12μL/ウェルをアッセイプレートへ添加する。
(3)KAB中ATP(66μM)を調製する。
(4)化合物をDMSO中2.4mMに、陽性対照をDMSO中480μMに希釈する。DMSO中、10倍希釈を3回行う。DMSO溶液を2.5μL/ウェルで採取し、(3)のATP溶液を27.5μL/ウェルとなるよう添加する。
(5)混合し、MEKリン酸化時にDMSO濃度2.1%とするために、アッセイプレートへ(4)の溶液6μL/ウェル添加する。
(6)KAB中b−RafV600E(100pM)を調製する。
(7)カラム1〜2中KAB6μL/ウェル及びカラム3〜24中b−RafV600E6μL/ウェルを添加する。
(8)37℃で30分間インキュベートする。
(9)AB1:50mM HEPES pH7、0.2mg/ml BSA、及び43mM EDTA中、ウサギ(α−P−(Ser 217/221)−MEK−1/2Ab(ストック液から1:200)を調製する。
(10)反応を停止するために、(9)からの溶液6μL/ウェルをアッセイプレートへ添加し、37℃で30分間インキュベートする。
(11)AB2:50mM HEPES pH7及び0.2mg/ml BSA中のEu−(α−ウサギIgG(9nM)及びα−6H−SureLight−APC(180nM)を調製する。
(12)(11)からの溶液6μL/ウェルをアッセイプレートへ添加する。
(13)スペクトルのクロストーク因子を決定するために、工程(1)から(10)に従い2試料を調製する。ブランク試料について、AB2を6μL/ウェルで添加する。クロストーク因子試料について、Eu−抗ウサギIgG(9nM)を6μL/ウェル添加する。
(14)室温で1.5時間インキュベートする。
(15)HTRFシグナルをEnvision上で615nm及び665nmで読み取る。スペクトルのクロストーク補正後、HTRFシグナルを正規化する。
【0255】
上の手順を用いて、本発明の化合物が、b−RafV600E変異体を阻害することを示した。例えば、化合物、4,N−ジメチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミノ)−7,8−ジヒドロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−ベンズアミドは、上記のアッセイを用いて、約0.01のIC50(uM)を示した。
【0256】
実施例12: THP1細胞でのLPS誘発TNF−α生産の阻害を評価するインビトロアッセイ
この実施例は、THP1細胞でのLPS誘発TNF−α生産の阻害を評価するインビトロアッセイを例証する。
【0257】
本発明の化合物のTNF−α放出を阻害する能力は、Blifeldら、Transplantation、51:498〜503(1991)に記載の方法を少し改良した方法を使用して決定した。
【0258】
(a)TNF生合成の誘導:
THP−1細胞を、培養培地〔15%ウシ胎児血清、0.02mM 2−メルカプトエタノールを含むRPMI(Gibco-BRL, Gailthersburg, MD)〕に、2.5×10細胞/mLの濃度で懸濁し、次いで96ウェルプレート(各ウェルに0.2mL分量)に入れた。試験化合物をDMSOに溶解し、次いで、最終DMSO濃度が5%となるように培養培地で希釈した。25μL分量の試験溶液又はDMSOの培地のみ(対照)を各ウェルに加えた。細胞を30分間37℃でインキュベートした。LPS(Sigma, St. Louis, MO)を、最終濃度0.5μg/mLでウェルに加え、細胞をさらに2時間インキュベートした。インキュベート期間の最後に、培養上清を集め、存在するTNF−αの量を、下記のELISAアッセイを使用して決定した。
【0259】
(b)ELISAアッセイ:
存在するヒトTNF−αの量は、Reimund. J. M.ら、GUT. Vol. 39(5), 684〜689 (1996)に記載の2つの抗TNF−α抗体(2TNF−H12及び2TNF−H34)を使用して、特異的捕捉ELISAアッセイにより決定した。
【0260】
ポリスチレン96ウェルプレートを、1ウェルあたり、50μL/ウェルのPBS中の抗体2TNF−H12(10μg/mL)でコーティングし、加湿チャンバー中、4℃で一晩インキュベートした。プレートをPBSで洗浄し、次いでPBS中の5%無脂肪乾燥ミルクで1時間室温でブロッキングし、PBS中の0.1% BSA(ウシ血清アルブミン)で洗浄した。
【0261】
TNF標品を、ヒト組換えTNF−αのストック溶液(R&D Systems, Minneapolis, MN)から調製した。アッセイでの標準の濃度は、10ng/mLで始まる6段階の半対数連続希釈を用いた。
【0262】
上記の培養上清又はTNF標品又は培地のみ(対照)の25μL分量を、ビオチン化モノクローナル抗体2TNF−H34(0.1% BSAを含むPBS中2μg/ml)の25μL分量と混合し、次いで各ウェルに加えた。試料を2時間室温で穏やかに振盪しながらインキュベートし、次いでPBS中0.1% BSAで3回洗浄した。PBS中0.416μg/mLのペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン及び0.1% BSAを含む50μLのペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン(Zymed, S. San Francisco, CA)溶液を各ウェルに加えた。試料をさらに1時間室温でインキュベートし、次いでPBS中0.1% BSAで4回洗浄した。50μLのO−フェニレンジアミン溶液(0.2Mクエン酸緩衝液(pH4.5)中、1μg/mLのO−フェニレン−ジアミン及び0.03%の過酸化水素)を各ウェルに加え、試料を暗所で30分間室温でインキュベートした。試料及び対照の吸光度を450nm及び650nmでそれぞれ読み取った。TNF−αレベルを、使用した濃度と450nmでの吸光度を相関するグラフから決定した。
【0263】
実施例13: THP1細胞でのLPS誘発TNF−α生産の阻害を評価するインビトロアッセイ
この実施例は、マウス(又はラット)でのLPS誘発TNF−α生産の阻害を評価するインビボアッセイを例証する。
【0264】
本発明の化合物のインビボでのTNF−α放出を阻害する能力は、Zanettiら、J. Immunol. 148:1890 (1992)及びSekutら、J. Lab. Clin. Med. 124:813 (1994)に記載の方法を少し改良した方法を使用して決定した。
【0265】
体重18〜21gの雌BALB/cマウス(Charles River, Hollister, CA)を、1週間順化した。各8匹のマウスを含む群に、0.9%塩化ナトリウム、0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.4%ポリソルベート80、0.9%ベンジルアルコール(CMC賦形剤)を含む水性賦形剤に懸濁又は溶解した試験化合物又は賦形剤のみ(対照群)のいずれかを経口投与した。30分後、マウスに、20μgのLPS(Sigma, St. Louis, MO)を腹腔内注射した。1.5時間後、マウスをCO吸入により屠殺し、血液を心臓穿刺により収集した。血液を、15,600xgで5分間遠心分離することにより清澄にし、血清を清潔なチューブに移し、製造業者の方法に従って、ELISAアッセイ(Biosource International, Camarillo, CA)によりTNF−αについて解析するまで、−20℃で凍結した。
【0266】
実施例14: ラットでのアジュバント誘発関節炎
AIA−誘発関節炎は、Badgerら、Arthritis & Rheumatism, 43(1) pp 175-183 (2000)の手順を用いて評価した。AIAは、0.75mgのパラフィン懸濁マイコバクテリウム・ブチクリカム(Mycobacterium butycricum)を雄ルイスラットに単回注射することにより誘発した。後肢容積を、15日、20日、及び30日目に水置換法により測定した。対照動物群には、トラガカントを投与した。0.5%トラガカント中の試験化合物を、3、10、30、及び60mg/kg/日の用量で経口的に投与した。インドメタシンを、陽性対照として使用した。後肢浮腫の阻害率は、
1−[AIA(処置)/AIA(対照)]×100
(式中、AIA(処置)及びAIA(対照)は、平均肢容積を表す)
により計算した。
実施例15: 製剤例
種々の経路で送達される医薬製剤が下記の表で示されるように配合される。表中で使用される「活性成分」又は「活性化合物」は、一つ以上の式Iの化合物を意味する。
【0267】
【表3】

【0268】
成分を混合し、それぞれ約100mgを含有するカプセルに調剤する。1カプセルがおよそ1日総用量となる。
【0269】
【表4】

【0270】
成分を合わせ、メタノールのような溶媒を使用して粒状にする。次に配合物を乾燥させ、適切な錠剤成形機を用いて錠剤(活性化合物約20mg含有)を形成する。
【0271】
【表5】

【0272】
成分を混合して、経口投与用の懸濁剤を形成する。
【0273】
【表6】

【0274】
活性成分を注射用の水の一部に溶解する。次に塩化ナトリウムの十分な量を撹拌しながら加えて、溶液を等張にする。注射用の水の残りの重量で溶液を作り、0.2μ膜フィルタを通して濾過し、滅菌条件下で包装する。
【0275】
【表7】

【0276】
成分を一緒に溶融し、蒸気浴で混合し、全重量2.5gを含有する型に注ぐ。
【0277】
【表8】

【0278】
水以外の全ての成分を合わせ、撹拌しながら約60℃に加熱する。次に、十分な量の約60℃の水を激しく撹拌しながら加え、成分を乳化し、次に、約100gにするのに十分な量の水を加える。
【0279】
鼻腔スプレー用処方
活性化合物を約0.025〜0.5%含有するいくつかの水性懸濁液を、鼻腔スプレー用処方として調製する。配合物は、場合により、例えば、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース等のような不活性成分を含む。塩酸を加えてpHを調整してよい。鼻腔スプレー配合物は、鼻腔スプレー計量ポンプを介して、典型的には1回の作動で配合物を約50〜100μL送達する。一般的な投与スケジュールは、4〜12時間毎に2〜4回のスプレーである。
【0280】
本発明を特定の実施態様を参照して記載してきたが、種々の変更を行ってよく、本発明の忠実な精神及び範囲から逸脱しない限り同等物を置換してよいことが、当業者により理解されるべきである。加えて、多くの変更を、特定の状況、材料、物質の組成、方法、加工工程、一つ又は複数の工程が、本発明の目的、精神及び範囲に適合するように行ってよい。そのような変更の全ては、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化17】


[式中、
は:
1−6アルキル;
ハロ;
1−6アルコキシ
ハロ−C1−6アルキル;又は
ヘテロ−C1−6アルキルであり;
は:
シアノ;
場合により置換されている5員単環式ヘテロアリール;
−C(O)−OR
−C(O)−NR;又は
−C(O)−NR−NR−R
(ここで、
、R、R及びRは、各々独立に;
水素;又は
1−6アルキルであり;
及びRは、各々独立に;
水素;
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
3−6シクロアルキル;
3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;
アリール;
アリール−C1−6アルキル;
ヘテロアリール;又は
ヘテロアリール−C1−6アルキル;
1−6アルキル−カルボニル;
ハロ−C1−6アルキル−カルボニル;
アリール−カルボニル;
アリール−C1−6アルキル−カルボニル;
ヘテロアリール−カルボニル;又は
ヘテロアリール−C1−6アルキル−カルボニルである)であり;
は:
1−6アルキル;
3−6シクロアルキル;
3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;又は
ヘテロ−C1−6アルキルであり;そして
は:
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
ヘテロ−C1−6アルキル;
3−6シクロアルキル;
3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;
アリール;
アリール−C1−6アルキル;
ヘテロアリール;
ヘテロアリール−C1−6アルキル;
ヘテロシクリル;又は
ヘテロシクリル−C1−6アルキルである]
で示される化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
が、ヘテロ−C1−6アルキル又はヘテロシクリルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル又はヘテロ−C1−6アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
が、−C(O)−NR、−C(O)−NR−NR−R;又は場合により置換されている5員単環式ヘテロアリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
が、各々が場合により置換されている、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル又はトリアゾリルである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
が、各々が場合により置換されている、イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル又はトリアゾリルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
が:
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びイソペンチルから選択されるC1−6アルキル;
各々が場合により置換されている、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルから選択されるC3−6シクロアルキル;
各々のシクロアルキル部分が場合により置換されている、シクロプロピル−C1−6アルキル、シクロブチル−C1−6アルキル、シクロペンチル−C1−6アルキル及びシクロヘキシル−C1−6アルキルから選択されるC3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;又は
1−6アルキルオキシ−C1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、C1−6アルキルスルファニル−C1−6アルキル、C1−6アルキル−スルフィニル−C1−6アルキル、C1−6アルキル−スルホニル−C1−6アルキル、アミノ−C1−6アルキル、N−C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、及びN,N−ジ−C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキルから選択されるヘテロ−C1−6アルキルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項8】
が:
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びイソペンチルから選択されるC1−6アルキル;
各々が場合により置換されている、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルから選択されるC3−6シクロアルキル;
各々のシクロアルキル部分が場合により置換されている、シクロプロピル−C1−6アルキル、シクロブチル−C1−6アルキル、シクロペンチル−C1−6アルキル及びシクロヘキシル−C1−6アルキルから選択されるC3−6シクロアルキル−C1−6アルキル;又は
1−6アルキルオキシ−C1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、C1−6アルキルスルファニル−C1−6アルキル、C1−6アルキル−スルフィニル−C1−6アルキル、C1−6アルキル−スルホニル−C1−6アルキル、アミノ−C1−6アルキル、N−C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、及びN,N−ジ−C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキルから選択されるヘテロ−C1−6アルキル、
各々が場合により置換されている、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチオピラニルから選択されるヘテロシクリルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項9】
が、各々が場合により置換されている、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチオピラニルから選択されるヘテロシクリルである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
が、メチルであり;
が:
オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル及びトリアゾリルから選択される、場合により置換されている5員単環式ヘテロアリール;
−C(O)−NR、−C(O)−NR−NR−R;又は−C(O)−OR(ここで、R、R及びRは、水素又はC1−6アルキルであり、そしてR及びRは、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−6アルキル、アリール、アリール−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル又はアリール−C1−6アルキル−カルボニル又はC1−6アルコキシである)であり;
が、メチル、シクロプロピル又はシクロペンチルであり;そして
が:
ヒドロキシ−C1−6アルキル;
1−6アルキル−スルホニル−C1−6アルキル;又は
テトラヒドロピラン−4−イルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項11】
が、メチルであり;
が:
イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル及びトリアゾリルから選択される、場合により置換されている5員単環式ヘテロアリール;又は
−C(O)−NR(ここで、Rは、水素又はC1−6アルキルであり、そしてRは、水素、C1−6アルキル、シクロプロピル又はC1−6アルコキシである);
−C(O)−NR−NR−R(ここで、R及びRは、水素であり、そしてRは、水素、ハロ−C1−6アルキル又はアリール−C1−6アルキル−カルボニルである);
が、メチルであり;そして
が:
ヒドロキシ−C1−6アルキル;
1−6アルキル−スルホニル−C1−6アルキル;又は
テトラヒドロピラン−4−イルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項12】
が、メチルであり;
が、イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル及びトリアゾリルから選択される、場合により置換されている5員単環式ヘテロアリールであり;
が、メチルであり;そして
が、テトラヒドロピラン−1−イルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項13】
式II:
【化18】


[式中、
は:
シアノ;
場合により置換されている5員単環式ヘテロアリール;−C(O)−NR、−C(O)−NR−NR−R;又は−C(O)−OR(ここで、R、R及びRは、水素又はC1−6アルキルであり、そしてR及びRは、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−6アルキル、アリール、アリール−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル又はアリール−C1−6アルキル−カルボニル又はC1−6アルコキシである)である]
で示される化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項14】
が、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル及びトリアゾリルから選択される、場合により置換されている5員単環式ヘテロアリールである、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
が、イソオキサゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル及びトリアゾリルから選択される、場合により置換されている5員単環式ヘテロアリールである、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
(a)薬学的に許容され得る賦形剤;及び
(b)請求項1記載の化合物を含む、
組成物。
【請求項17】
関節炎、クローン病、過敏性腸症候群、成人呼吸窮迫症候群又は慢性閉塞性肺疾患より選択される疾患の処置のための医薬の製造のための、請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項18】
増殖性障害の処置のための医薬の製造のための、請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項19】
増殖性障害が、黒色腫、多発性骨髄腫、甲状腺癌、結腸癌、再狭窄、血管形成、糖尿病性網膜症、乾癬、術後癒着、黄斑変性症、及びアテローム性動脈硬化症より選択される、請求項18記載の使用。
【請求項20】
本明細書に記載される発明。

【公表番号】特表2010−509265(P2010−509265A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535682(P2009−535682)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061782
【国際公開番号】WO2008/055842
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】