説明

キナーゼ阻害剤

本発明は、例えば、癌、自己免疫疾患、感染症、心臓血管疾患ならびに神経変性疾患および状態などの細胞増殖性疾患および状態の処置に有用な、プロテインキナーゼ阻害剤である、ピロピリミジンおよびピラゾロピリミジン誘導体およびその薬学的に許容可能な塩およびプロドラッグの新規なグループを提供する。本発明は、プロテインキナーゼ阻害剤化合物の合成および投与方法を提供する。本発明はまた、そのための薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と共に少なくとも1種のプロテインキナーゼ阻害剤化合物を含む医薬製剤を提供する。本発明はまた、ピロピリミジンおよびピラゾロピリミジン誘導体の合成中に生じる有用な中間体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年11月13日に出願された米国仮出願第61/261,100号の利益を主張する。その全教示は、参照によって本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プロテインキナーゼは、ATPからタンパク質のチロシン、セリンおよび/またはトレオニン残基のヒドロキシル基への末端リン酸塩の移動を触媒する、構造的に関連するホスホリルの巨大な集合を含む。プロテインキナーゼは、例えばタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)およびタンパク質セリン/トレオニンキナーゼなどをリン酸化する基質によりファミリーに分類される。
【0003】
プロテインキナーゼを介するリン酸化は、酵素活性、細胞部位または他のタンパク質との会合の変化により標的タンパク質(基質)の機能変化をもたらす。プロテインキナーゼは、細胞成長および分化の制御におけるのみならず、プロテインキナーゼが、成長因子および例えば腫瘍壊死因子(TNF)−αなどのサイトカインの産生を効果的に調節する、幅広い細胞シグナル変換経路の調節においても極めて重要な役割を担う。タンパク質チロシンキナーゼの例には、SYK、YK2、FAK、ALK、AXL、CSF1R、FLT3、JAK2(JH1ドメイン触媒)、JAK3(JH1ドメイン触媒)、KIT、KIT(D816V)、KIT(V559D、T670I)、PDGFRB、RET、TYK2およびZAP70が含まれる。タンパク質セリン/トレオニンキナーゼの例には、PIM1、AURKA、AURKB、BMPR2、JNK1、JNK2、JNK3、LKB1、LRRK2、LRRK2(G2019S)、MLK1、PAK4、PLK4、RSK2(キナーゼドメイン(Kin.Dom.)1−N末端)、SNARK、SRPK3およびTAK1が含まれる。
【0004】
これらのプロテインキナーゼの誤調節は、例えば中枢神経系障害(例えば、アルツハイマー病など)、炎症性および自己免疫疾患(例えば、喘息、関節リウマチ、クローン病、炎症性腸症候群、乾癬など)、骨疾患(例えば、骨粗しょう症など)、代謝性障害(例えば、糖尿病など)、血管増殖性障害、眼疾患、心臓血管疾患、癌、再狭窄、痛覚、移植片拒絶反応および感染症などの、非常に多くの疾患および障害に関与してきた。プロテインキナーゼの生物学的および臨床学的重要性は、当該分野において認識されていたが、プロテインキナーゼに関連するか、またはプロテインキナーゼにより媒介される疾患のための効果的で安全な臨床治療を提供するための、プロテインキナーゼを阻害する化合物への継続的な要求が存在する。かかる化合物、医薬製剤および薬剤を、患者またはそれを必要とする対象に投与する方法についての要求もまた存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、式Iで表される化合物、または個々の立体異性体、異性体の混合物もしくはそれらの薬学的に許容可能な塩を提供し、
【0006】
【化1】

【0007】
式中:
XはCHまたはNであり;
は、H、ハロ、CN、C−C10アルキルまたはハロ(C−C)アルキルから選択され、ここでC−C10アルキルまたはハロ(C−C)アルキルは任意に置換され;
は、アリール、シクロアルキル、アリールアルキルまたはヘテロシクリルであり、ここでアリール、シクロアルキル、アリールアルキルまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、1または2個以上の炭素原子において、1〜4個のRもしくはR5a基で置換され;およびここで1または2個以上の窒素原子を有するアリールおよびヘテロシクリルは、任意におよび独立して、1または2個以上の窒素原子において、1〜4個のRまたはR6a基で置換され;
【0008】
は、独立してハロ、CNまたはRであり;および
は、(CHOH、(CHNR1112、C(O)NHR、C(O)NR1112、C(O)OR、C(O)R、C(O)NR、C(O)NR、(CHNR、(CHNR、(CHCN、(CHSR、(CHS(O)または(CHS(O)NRから選択され、ここで各nは独立して1または2であり;
【0009】
式中:
各Rは、独立してハロ、CF、SR、OR、OC(O)R、O(CHNR、O(CHNR1112、O(CH、O(CHC(O)NR1112、O(CHC(O)NR、NR、NR、NHC(O)NH、C(O)OR、NO、CN、C(O)R、OSOCH、S(O)、S(O)NR、NRC(O)NR、NRC(O)R、NRC(O)OR、NRS(O)またはNR1112から選択され、ここで各nは独立して1または2であり;
【0010】
各R5aは、独立して、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、アルコキシ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルから選択され、ここで、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、アルコキシ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、RまたはR10から選択される1〜3個の基で置換され;
【0011】
各Rは、独立してR、C(O)CHCN、C(O)R、C(O)OR、CO(C−Cアルキル)、C(O)NR、SONRまたはSOであり;
各R6aは、独立して、ヒドロキシ、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、ハロアルキルであり、ここで各R6a基は、任意におよび独立して、ヒドロキシ、アリール、アルキル、ハロ、RまたはR10から選択される1〜3個の基で置換され;
【0012】
各Rは、独立してH、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、ここでC−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキル、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、RまたはR10から選択される1〜4個の基で置換され;
【0013】
各Rは、独立して、C(O)R、C(O)OR、C(O)NR、またはS(O)であり、ここでnは1または2であり;
各Rは、独立して、CF、SR、OR、NR、NR1112、C(O)NR、C(O)NR1112、S(O)NR、またはS(O)であり、ここで各nは独立して1または2であり;
各R10はC(O)O(C−C)アルキルまたはハロ(C−C)アルキルであり;および
【0014】
11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって
i)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで、該3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な(substitutable)炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される;
ii)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される;
【0015】
iii)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意に、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから独立して選択される1〜4個の基で置換される;
【0016】
iv)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される;あるいは
v)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される;を形成する、
またはその薬学的に許容可能な塩。
【0017】
ある側面において、Rは、H、F、Cl、Br、CFまたはCHから選択される。Rは任意に置換される。
ある側面において、Rは、アリール、シクロアルキル、アリールアルキルまたはヘテロシクリルである。アリール、シクロアルキル、アリールアルキルまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、1または2個以上の炭素原子において1〜4個のRまたはR5a基で置換される。一態様において、Rはアリールおよび1または2個以上の炭素原子において1〜4個のRまたはR5a基で置換されたアリールであり得る。Rのアリールは、窒素、酸素、硫黄、スルホキシドまたはスルホンから独立して選択される1または2個以上のヘテロ原子を含有するヘテロアリールであり得る。Rのヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、任意におよび独立して、1〜4個のRまたはR6a基で置換された1または2個以上の窒素原子を有し得る。Rのアリール基は、例えば、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式アリール基;窒素、酸素、硫黄、スルホキシドまたはスルホンから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式アリール基;窒素、酸素、硫黄、スルホキシドまたはスルホンから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の一部不飽和の二環式アリール基;またはカルボキサミドまたはスルホキサミドを有する、8〜10員の一部不飽和の二環式アリール基であり得る。
【0018】
一態様において、Rのアリールは、例えばフェニル、ピリミジニルまたはピリジルなどの5〜6員の単環式アリール基であり、任意におよび独立して、メチル、エチル、フェニル、2−ヒドロキシエトキシ、イソプロピル、メトキシOC、OCH、OCHCHNR1112、OCHCHNR、OCHC(O)NR1112、OCHC(O)NR、CF、OSOCH、SOCH、SONHCHまたはNR1112から選択される1、2または3個の基で置換される。
別の態様において、Rは、窒素、酸素、硫黄またはスルホキシドから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式アリールである。Rの二環式アリールは、置換可能な炭素原子または窒素原子において、アルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、CF、OCF、C(O)アルキル、C(O)アリール、S(O)アルキルから選択される1、2または3個の基で、任意におよび独立して置換される、インドリル、インダゾリル、ナフチルまたはキノリニルであり、ここでアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、ヒドロキシ、アミノまたはスルホンで任意に置換される。
【0019】
別の態様において、Rは、窒素、酸素、硫黄、スルホキシドまたはスルホンから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の一部飽和の二環式アリール基である。例えば、8〜10員の一部飽和の二環式基は、置換可能な炭素原子において、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロ、CF、OCFまたはSOCHから選択される1、2または3個の基で任意におよび独立して置換される、ジヒドロベンゾジオキシニル、テトラヒドロナフチルまたはジヒドロインデニルである。
ある側面において、RはH、メチル、シクロプロピル、イソプロピル、フラニル、CFまたはフェニルである。
【0020】
一態様において、Rは、C(O)ORであり、およびRは、独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである。C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、RまたはR10で置換される。例えば、Rは、独立して、HまたはC−C10アルキルである。さらに、RのC−C10アルキルは、任意におよび独立して、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CアルキルアミノまたはジC−Cアルキルアミノから選択される1〜4個の基で置換され得る。
【0021】
一態様において、Rは、C(O)Rであり、およびC(O)RのRは、独立して、ハロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、RまたはR10から選択される1〜4個の基で任意におよび独立して置換される、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキルまたはヘテロシクリルである。例えば、Rは、独立してHまたはC−C10アルキルから選択され得る。RのC−C10アルキルは、任意におよび独立して、ハロ、ヒドロキシル、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CアルキルアミノまたはジC−Cアルキルアミノからの1〜4個の基で置換され得る。
【0022】
一態様において、Rは、C(O)NHRであり、Rは独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキルまたはヘテロシクリルである。C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキルまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、ハロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、RまたはR10から選択される1〜4個の基で置換される。
【0023】
一態様において、RはC−C10アルキルまたはアリールから選択され得る。アリールは、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、OC(O)R、CHOH、CHCHOH、NH、NR、NHC(O)NHR、NHSO、C(O)OR、C(O)NHR、CFまたはSOCHから選択される1、2または3個の基で任意におよび独立して置換される、フェニルであり得る。好ましい置換基は、メチル、メトキシ、CFおよびSOCHである。RのC−C10アルキルは、任意におよび独立して、アミノ、ハロ、ヒドロキシル、フェニル、フェニルアルキル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CアルキルアミノまたはジC−Cアルキルアミノから選択される1〜4個の基で置換される。
【0024】
一態様において、Rは、C(O)NR1112であり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって:
(i)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで、該3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される;
(ii)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される;
【0025】
(iii)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここでR11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意に、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される;または
(iv)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される、を形成する。例えば、結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1〜4個のヒドロキシまたはアミノ基で置換され得る。
【0026】
一態様において、Rは、(CHNRである。(CHNRのRは、独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキルまたはヘテロシクリルである。(CHNRのRは、任意におよび独立して、ハロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、RまたはR10から選択される1〜4個の基で置換される。例えば、Rは、独立して、H、C−C10アルキル、C−C12シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり、Rは、任意におよび独立して、ヒドロキシル、アミノ、アリール、アルキルまたはハロから選択される1〜4個の基で置換される。一態様において、Rは独立して、HまたはC−C10アルキルである。C−C10アルキルは、任意に、フェニルで置換される。フェニルは、任意におよび独立して、1または2個以上のアルキル、ハロ、アミノまたはヒドロキシルで置換されていてもよい。
【0027】
いくつかの側面において、Rは(CHNR1112であり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって:
(i)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで、該3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される;
(ii)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される;
【0028】
(iii)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意に、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから独立して選択される1〜4個の基で置換される;
(iv)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される;または
(v)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される、を形成する。
【0029】
一態様において、Rは(CHNR1112であり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない3〜8員の飽和または一部飽和の環を形成する。結合している窒素以外のヘテロ原子を有しない3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される。結合している窒素以外のヘテロ原子を有しない3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、ヒドロキシ、OC(O)R、CHOH、CHCHOH、NH、NR、NHC(O)NHR、NHSO、C(O)ORまたはC(O)NHRで置換される、4、5または6員の飽和環であり得る。好ましくは、3〜8員環は、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、ヒドロキシ、ハロ、OC(O)R、CHOH、CHCHOH、NH、NR、NHC(O)NHR、NHSO、C(O)ORまたはC(O)NHRで任意におよび独立して置換される、アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニルから選択される。
【0030】
一態様において、Rは(CHNR1112であり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環を形成する。1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、および1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される。例えば、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、1個のへテロ原子を有する6または7員の飽和の環である。ヘテロ原子は、任意にC−C10アルキル、ヒドロキシルC−C10アルキルまたはC(O)NHRで置換される、窒素原子であり得る。あるいは、ヘテロ原子は酸素原子であり得る。
【0031】
一態様において、酸素原子は、R11、R12およびそれらが結合している窒素原子と一緒になって、モルホリノを形成することができる。1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニルまたはホモピペラジニルであり得る。ピペラジニルまたはホモピペラジニルは、任意におよび独立して、窒素原子において、ヒドロキシ、C−C10アルキル、CHCHOH、C(O)R、C(O)NHR、SO、SONHRまたはC(O)ORで置換される。
【0032】
一態様において、Rは(CHNR1112であり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環を形成することができる。結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意に1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから独立して選択される1〜4個の基で置換される。例えば、二環式環はテトラヒドロイソキノリンを形成することができる。二環式環はまた、環中にアリール基を含有することができる。
【0033】
一態様において、Rは(CHNR1112であり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環を形成することができる。1〜5個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される。1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6a基で置換される。二環式環はまた、環中にアリール基を含有することができる。
【0034】
一態様において、Rは(CHNR1112あり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環を形成することができ、ここで該1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される。
【0035】
本発明はまた、これらの化合物を含む組成物、これらの化合物の製造方法、これらの化合物の使用を介した酵素活性、特にSYK、PYK2、FAK、ZAP70、PIM1、RET、FLT3、JAK2およびLRRK2キナーゼ活性を阻害する方法、哺乳動物における疾患または病徴を処置する方法に関し、特にここではキナーゼ活性の阻害が疾患の転帰に影響し得る。
【0036】
式(I)で表される化合物は、1種または2種以上のプロテインキナーゼの阻害および例えば、癌、自己免疫疾患、感染症、心臓血管疾患および神経変性疾患などのプロテインキナーゼにより媒介される疾患および障害の処置に有用である。
【0037】
1つの側面において、本発明は、式(I)で表される化合物および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。特定の態様において、かかる医薬組成物は、静脈投与、皮下投与、吸入、経口投与、直腸投与、経口、硝子体内投与、筋肉投与、経鼻投与、経皮投与、局所投与、耳投与、点眼投与、口腔投与、気管投与、気管支投与、または舌下投与用に製剤化される。他の態様において、かかる医薬組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、液体、吸入抗原、鼻空用スプレー溶液、坐薬、溶液、ゲル、乳剤、軟膏、点眼薬および点耳薬として製剤化される。
【0038】
1つの側面において、本発明は、該対象に請求項1の式(I)で表される化合物の有効量を投与することを含む、インビトロまたはインビボにおいてシグナル伝達する(signaling)SYK、PYK2、FAK、ZAP70、PIM1、FLT3、RET、JAK2、JAK3、LRRK2、LRRK2(G2019S)、ABL1(T315I)、AURKB、AXL、FLT3、KIT、KIT(D816V)、KIT(V559D,T670I)、MKNK2、MLK1、PDGFRB、PLK3、RET、SNARK、SRPK3、TAK1またはTYK2を阻害する方法を提供する。
【0039】
1つの側面において、本発明は、かかる処置を必要とする対象に式(I)で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、医薬組成物または薬剤の治療的有効量を投与することを含み、例えば癌などの細胞増殖性疾患または状態を処置する方法を提供し、ここで、細胞増殖性疾患または状態には、例えばリンパ腫、骨肉腫、メラノーマ、乳癌、腎癌、前立腺癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、卵巣癌、膵臓癌、神経癌、肺癌、子宮癌または胃腸癌が含まれる。1つの側面において、本発明は、請求項1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩で癌細胞の成長を阻害する方法を提供する。
【0040】
他の側面において、本発明は、式(I)で表される化合物の治療的有効量を含む、患者におけるSYK、PYK2、FAK、ZAP70、PIM1、FLT3、RET、JAK2、JAK3、LRRK2、LRRK2(G2019S)、ABL1(T315I)、AURKB、AXL、FLT3、KIT、KIT(D816V)、KIT(V559D,T670I)、MKNK2、MLK1、PDGFRB、PLK3、RET、SNARK、SRPK3、TAK1またはTYK2−媒介疾患、障害または状態を処置するための薬剤を提供する。
【0041】
他の側面において、本発明は、SYK、PYK2、FAK、ZAP70、PIM1、FLT3、RET、JAK2、JAK3、LRRK2、LRRK2(G2019S)、ABL1(T315I)、AURKB、AXL、FLT3、KIT、KIT(D816V)、KIT(V559D,T670I)、MKNK2、MLK1、PDGFRB、PLK3、RET、SNARK、SRPK3、TAK1またはTYK2−媒介疾患、障害または状態を処置するための薬剤の製造における式(I)で表される化合物の使用を提供する。
【0042】
別の側面において、本発明は、それを必要とする対象に式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩または医薬組成物の治療的有効量を投与することを含む、プロテインキナーゼを阻害する方法を提供する。プロテインキナーゼには、これに限定されないが、SYK、PYK2、FAK、ZAP70、PIM1、FLT3、RET、JAK2、JAK3、LRRK2、LRRK2(G2019S)、ABL1(T315I)、AURKB、AXL、FLT3、KIT、KIT(D816V)、KIT(V559D,T670I)、MKNK2、MLK1、PDGFRB、PLK3、RET、SNARK、SRPK3、TAK1またはTYK2キナーゼが含まれる。
【0043】
別の側面において、本発明は、式(I)で表される化合物を細胞に接触させることを含む、プロテインキナーゼを阻害する方法を提供する。特定の態様において、式(I)で表される化合物は、SYK、PYK2、FAK、ZAP70、PIM1、FLT3、RET、JAK2、JAK3、LRRK2、LRRK2(G2019S)、ABL1(T315I)、AURKB、AXL、FLT3、KIT、KIT(D816V)、KIT(V559D,T670I)、MKNK2、MLK1、PDGFRB、PLK3、RET、SNARK、SRPK3、TAK1またはTYK2から選択される1種または2種以上のキナーゼを効率的に阻害する。
【0044】
他の側面において、本発明は、かかる処置を必要とする対象に式(I)で表される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩、医薬組成物または薬剤の治療的有効量を投与することを含む、プロテインキナーゼ媒介疾患または状態を処置する方法を提供する。プロテインキナーゼには、これに限定されないが、SYK、PYK2、FAK、ZAP70、PIM1、FLT3、RET、JAK2、JAK3、LRRK2、LRRK2(G2019S ABL1(T315I)、AURKB、AXL、FLT3、KIT、KIT(D816V)、KIT(V559D,T670I)、MKNK2、MLK1、PDGFRB、PLK3、RET、SNARK、SRPK3、TAK1またはTYK2が含まれる。
【0045】
ある態様において、プロテインキナーゼ媒介疾患または状態は、例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、潰瘍性大腸炎、クローン病、気管支炎、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、乾癬、強皮症、蕁麻疹、関節リウマチ、多発性硬化症、癌、乳癌、HIV関連疾患またはループスなどの炎症性疾患または状態、呼吸器疾患あるいは自己免疫疾患または状態である。
【0046】
別の側面において、本発明は、対象に式(I)で表される化合物または薬学的に許容可能な塩の治療的有効量を投与することにより、神経系/神経変性疾患または状態を処置する方法を提供する。特定の態様において、かかる神経系/神経変性疾患または状態には、例えばアルツハイマー病、脳浮腫、脳虚血、多発性硬化症、神経障害、パーキンソン病、鈍的または外科手術による外傷(手術後の認知機能障害と脊髄または脳幹損傷を含む)ならびに変性椎間板疾患と坐骨神経痛などの障害の神経系側面が含まれる。
【0047】
別の側面において、本発明は、対象に式(I)で表される化合物または薬学的に許容可能な塩の治療的有効量を投与することにより、心臓血管疾患を処置する方法を提供する。かかる心臓血管疾患は、心臓または血管に影響を及ぼし、例えばアテローム性動脈硬化症、不整脈、狭心症、心筋虚血、心筋梗塞、心臓または血管の動脈瘤、血管炎、脳卒中、
四肢、器官または組織の末梢閉塞性動脈症、器官または組織の虚血後の再灌流障害、内毒素、外科または外傷性ショック、高血圧症、心臓弁膜疾患、心不全、異常血圧、血管収縮、血管異常あるいは炎症が含まれる。
【0048】
別の側面において、本発明は、対象に式(I)で表される化合物または薬学的に許容可能な塩の治療的有効量を、第二の治療剤と組み合わせて投与することにより、キナーゼ媒介疾患または状態を処置する方法を提供する。
【0049】
本発明の化合物を使用する方法において、式(I)で表される化合物または薬学的に許容可能な塩を、細胞または組織を含むシステムに投与する。特定の態様において、式(I)で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、医薬組成物または薬剤を、ヒトまたは動物の対象に投与する。
【0050】
発明の詳細な説明
本発明は、1種または2種以上のプロテインキナーゼの阻害に有用であり、プロテインキナーゼにより媒介される、例えば、癌などの細胞増殖性疾患および障害、自己免疫疾患、感染症、心臓血管疾患およびアルツハイマー病などの神経変性疾患および障害、などの疾患および障害の処置に有用である、ピロロピリミジン誘導体およびその薬学的に許容可能な塩の群を提供する。本発明はまた、ピロロピリミジン誘導体の合成および投与方法を提供する。本発明はまた、少なくとも1種の本発明の化合物を、その薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と共に含む医薬製剤を提供する。本発明はまた、ピロロピリミジン誘導体化合物の合成中に生じる有用な中間体を提供する。
【0051】
本発明は、式Iで表される化合物、または個々の異性体、異性体の混合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【化2】

【0052】
Xは、CHまたはNである。
は、H、ハロ、CN、C−C10アルキルまたはハロ(C−C)アルキルから選択される。例えば、Rは、H、F、Cl、Br、CFまたはCHであり得る。RのC−C10アルキルまたはハロ(C−C)アルキルは、任意に1または2個の好適な置換基、例えばハロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシまたはハロアルキルで置換され得る。
【0053】
は、アリール、シクロアルキル、アリールアルキルまたはヘテロシクリルである。Rのアリール、シクロアルキル、アリールアルキルまたはヘテロシクリル基は、任意におよび独立して、1または2個以上の炭素原子において、1〜4個のRまたはR5a基で;および1または2個以上の窒素原子において1〜4個のRまたはR6a基で置換される。Rは、窒素、酸素、硫黄、スルホキサイド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される1または2個以上のヘテロ原子を有する、アリール、アリールアルキルまたはヘテロシクリル基であり得る。かかるRのヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたはヘテロシクリルは、1〜4個のRまたはR6a基で任意におよび独立して置換される窒素ヘテロ原子を有する。
【0054】
のアリール基には、一般的に、これに限定するものではないが:(1)窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式アリール基;(2)窒素、酸素、硫黄、スルホキサイドまたはスルホンから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式アリール基;(3)窒素、酸素、硫黄、スルホキサイドまたはスルホンから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の一部飽和の二環式アリール基;または(4)カルボキサミドまたはスルホキサミドを有する8〜10員の一部飽和の二環式アリール基が含まれる。Rのアリール基の非限定的な例には、フェニル、3−クロロフェニル、2,6−ジブロモフェニル、ピリミジニル、ピリジル、3−メチルピリジル、ベンゾチエニル、2,4,6−トリブロモフェニル、4−エチルベンゾチエニル、フラニル、ベンゾフラニル、インドリル、インダゾリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロインデニル、3,4−ジエチルフラニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、キノリニル、4,7−ジクロロナフチル、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾールなどが含まれる。Rのアリール基は任意に置換され得る。
【0055】
具体的に、Rは、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式アリール基であり得る。例えば、Rの5〜6員の単環式アリールは、任意におよび独立して、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、CF、OC、OCH、OCHCHNR1112、OCHCHNR、OCHC(O)NR1112、OCHC(O)NR、OSOCH、SOCH、SONHCHまたはNR1112から選択される1、2または3個の基で置換される、フェニルである。ヒドロキシエトキシは、OCHCHOHである。簡潔にいえば、OCHCHNR1112、OCHC(O)NR1112またはNR1112のR1112は、それらが結合している窒素原子と一緒になって:(i)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない3〜8員の飽和または一部飽和の環、例えば、ピロリジニルまたはピペリジニル;または(ii)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環、例えば、モルホリノ、ピペラジニルまたはホモピペラジニルを形成することができる。R1112の説明を以下に詳細に議論する。
【0056】
は、窒素、酸素、硫黄、スルホキシドまたはスルホンから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式アリール基であり得る。例えば8〜10員の二環式アリール基は、置換可能な炭素原子または窒素原子において、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、シクロアルキルまたはスルホン、例えば、CF、OCF、C(O)CまたはS(O)CHなど、から選択される1、2または3個の基で、任意におよび独立して置換される、インドリル、インダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ナフチルまたはキノリニルであり得る。
【0057】
は、非芳香族炭素環式環(carbocyclic ring)または窒素、酸素、硫黄、スルホキシドもしくはスルホンから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する複素環式環(heterocyclic ring)に縮合したフェニル環を有する8〜10員の一部飽和の二環式基であり得る。例えば、8〜10員の一部飽和の二環式基は、置換可能な炭素原子において、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロ、CF、OCFまたはSOCHから選択される1、2または3個の基で任意におよび独立して置換される、ジヒドロインデニル、テトラヒドロナフチルまたはジヒドロベンゾジオキシニルである。
【0058】
は、H、ハロ、CNまたはRである。例えば、Rは、H、C−Cアルキル、シクロアルキルまたはアリールから選択される。好ましくは、Rは、H、シクロプロピル、イソプロピル、フラニル、メチル、エチル、CFまたはフェニルから選択される。メチル、エチルまたはフェニルは、任意におよび独立して、ハロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、RまたはR10から選択される1または2個以上の基で、置換され得る。
【0059】
各Rは、独立してハロ、CF、SR、OR、OC(O)R、O(CHNR、O(CHNR1112、O(CH、O(CHC(O)NR1112、O(CHC(O)NR、NR、NR、NHC(O)NH、C(O)OR、NO、CN、C(O)R、OSOCH、S(O)、S(O)NR、NRC(O)NR、NRC(O)R、NRC(O)OR、NRS(O)またはNR1112から選択される。各nは独立して1または2である。
各R5aは、独立して、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、アルコキシ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルから選択される。R5aのC−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、アルコキシ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、RまたはR10から選択される1〜3個の基で置換される。
【0060】
各Rは、独立してR、C(O)CHCN、C(O)R、C(O)OR、CO(C−Cアルキル)、C(O)NR、SONRまたはSOである。
各R6aは、独立して、ヒドロキシ、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、ハロアルキルである。各R6a基は、任意におよび独立して、ヒドロキシ、アリール、アルキル、ハロ、RまたはR10から選択される1〜3個の基で置換される。
【0061】
各Rは、独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである。C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキル、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、RまたはR10から選択される1〜4個の基で置換される。
【0062】
各Rは、独立して、C(O)R、C(O)OR、C(O)NR、またはS(O)である。nは1または2である。
各Rは、独立して、CF、SR、OR、NR、NR1112、C(O)NR、C(O)NR1112、S(O)NR、またはS(O)であり、ここで各nは独立して1または2である。各nは独立して1または2である。
各R10は、C(O)O(C−C)アルキルまたはハロ(C−C)アルキルである。
【0063】
11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって
(i)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで、該3〜8員の飽和または一部飽和の環には、これに限定するものではないが、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で任意におよび独立して置換される、アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニルが含まれる;
(ii)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから独立して選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環には、これに限定するものではないが、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで任意におよび独立して置換される、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニルまたはホモピペラジニルが含まれる;
【0064】
(iii)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから独立して選択される1〜4個の基で、任意に置換される;
(iv)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される;または
(v)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから独立して選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される;を形成する。
【0065】
は、(CHOH、(CHNR1112、C(O)NHR、C(O)NR1112、C(O)OR、C(O)R、C(O)NR、C(O)NR、(CHNR、(CHNR、(CHCN、(CHSR、(CHS(O)または(CHS(O)NRから選択される。各nは独立して1または2である。
がC(O)ORである場合、C(O)ORのRは、H、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキルまたはヘテロシクリルである。C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキルまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、ハロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、RまたはR10から選択される1〜4個の基で置換される。RがC(O)ORである場合、Rは、好ましくは、任意におよび独立して、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CアルキルアミノまたはジC−Cアルキルアミノから選択される1または2個以上の基で置換される、メチル、エチルまたはプロピルである。
【0066】
が、C(O)Rである場合、C(O)RのRは、独立してH、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキルまたはヘテロシクリルである。Rで示される基は、任意におよび独立して、ハロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、RまたはR10から選択される1〜3個の基で置換される。例えば、Rは、HまたはC−C10アルキルから選択されることができ、R基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CアルキルアミノまたはジC−Cアルキルアミノから選択される1〜4個の基で、任意におよび独立して置換され得る。
【0067】
がC(O)NHRである場合、C(O)NHRのRは、H、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルから選択される。C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、ハロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、RまたはR10から選択される1〜4個の基で置換される。
【0068】
一態様において、各Rはフェニルであり、フェニルは、任意におよび独立して、メチル、エチル、メトキシ、CF、OC(O)R、CHOH、CHCHOH、NH、NR、NHC(O)NHR、NHSO、C(O)OR、C(O)NHRまたはSOCHから選択される1、2または3個の基で置換され得る。Rは、C−C10アルキルであることができ、C−C10アルキル基は、任意におよび独立して、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、フェニル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CアルキルアミノまたはジC−Cアルキルアミノから選択される1〜3個の基で置換される。
【0069】
がC(O)NR1112である場合、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって:
(i)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで、該3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される;
(ii)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される;
【0070】
(iii)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここでヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意に、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから独立して選択される1〜4個の基で置換される;または
(iv)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される、を形成する。
【0071】
がC(O)NR1112である場合、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環を形成する。結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される。例えば、結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない3〜8員の飽和または一部飽和の環は、置換可能な炭素原子において、ヒドロキシ、CHOH、CHCHOH、NH、NHR、NHCOR、NHC(O)NHRまたはNRから選択される1〜4個の基で任意におよび独立して置換される、アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニルであり得る。
【0072】
がC(O)NR1112である場合、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環を形成する。5〜8員の飽和または一部飽和の環の1〜3個のヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択される。1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される。ヘテロ原子は1または2個以上の窒素原子であることができ、1または2個以上の窒素原子は、任意におよび独立して、RまたはR6aの1〜4個の基で置換され得る。
【0073】
がC(O)NR1112である場合、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環を形成することができる。結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意に、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから独立して選択される1〜4個の基で置換される。結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、二環式環中にアリール基を有し得る。
【0074】
がC(O)NR1112である場合、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環を形成する。1〜5個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される。1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される。1〜5個のヘテロ原子は、任意におよび独立して、1または2個以上の窒素原子であることができ、1または2個以上の窒素原子は、任意におよび独立して、RまたはR6aの1〜4個の基で置換され得る。1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、二環式環中にアリール基を含有し得る。
【0075】
が(CHNRである場合、(CHNRのRは、独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルから選択される。C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテローアリールまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、ハロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、RまたはR10から選択される1〜4個の基で置換される。例えば、Rは独立してHまたはC−C10アルキルであることができ、およびRは、任意におよび独立して、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキルまたはハロから選択される1〜4個の基で置換される。一態様において、C−C10アルキルは、任意に、フェニルで置換される。フェニルは、任意におよび独立して、1または2個以上のアルキル、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはCFで置換され得る。
【0076】
が(CHNR1112である場合、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって:
(i)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで、該3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される;
(ii)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される;
【0077】
(iii)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここでヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意に、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから独立して選択される1〜4個の基で置換される;
(iv)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される;または
【0078】
(v)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環、ここで該1〜3のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される;を形成する。
【0079】
一態様において、Rは(CHNR1112であり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環を形成する。結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される。結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環は、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、任意に置換された4、5または6員の飽和環であり得る。好ましくは、3〜8員環は、置換可能な炭素原子において、ヒドロキシ、ハロ、OC(O)R、CHOH、CHCHOH、NH、NR、NHC(O)NHR、NHSO、C(O)ORまたはC(O)NHRから選択される1〜2個の基で任意におよび独立して置換された、アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニルである。
【0080】
一態様において、Rは(CHNR1112であり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環を形成する。1〜3個のヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、および1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される。
【0081】
例えば、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、1個のヘテロ原子を有する6または7員の飽和環である。ヘテロ原子は、C−C10アルキル、ヒドロキシルC−C10アルキルまたはC(O)NHRで任意に置換される窒素であり得る。あるいは、ヘテロ原子は酸素であり得る。一態様において、酸素は、R11、R12およびそれらが結合している窒素原子と一緒になって、モルホリノを形成することができる。したがって、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニルまたはホモピペラジニルであり得る。ピペラジニルまたはホモピペラジニルは、任意におよび独立して、窒素原子において、ヒドロキシ、C−C10アルキル、CHCHOH、C(O)R、C(O)NHR、SO、SONHRまたはC(O)ORで置換される。
【0082】
一態様において、Rは(CHNR1112であり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環を形成することができる。結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから独立して選択される1〜4個の基で任意に置換されるテトラヒドロイソキノリンである。二環式環はまた、環中にアリール基を含有することができる。
【0083】
一態様において、Rは(CHNR1112であり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環を形成することができる。1〜5個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される。1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換され得る。
【0084】
一態様において、Rは(CHNR1112であり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環を形成することができ、ここで該1〜3個のヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される。
【0085】
単独で、または例えば「アリールアルキル」または「シクロアルキル」などのより大きな部分の一部として用いられる用語「アルキル」は、(他に記載しない限り)1〜15個の炭素原子を有する直鎖状のまたは分枝状の炭化水素基を指し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、n−ヘキシルなどが含まれる。アルキルは、非置換であるか、または1個もしくは2個以上の好適な置換基で置換され得る。
【0086】
用語「シクロアルキル」は、単環式または多環式炭化水素環基を指し、例えば、シクロプロピル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロブチル、アダマンチル、ノルピナニル、デカリニル、ノルボルニル、シクロヘキシル、シクロペンチルなどが含まれる。シクロアルキル基は、非置換であるか、または1個もしくは2個以上の好適な置換基で置換され得る。
用語「ヘテロ」は、例えば、N、SおよびOなどの少なくとも1個のヘテロ原子での、環系における少なくとも1個の炭素原子の置き換えをいう。
【0087】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、炭素および水素原子ならびに少なくとも1個のヘテロ原子であって、好ましくは、N、O、S、スルホンまたはスルホキシドから選択された、1〜4個の前記ヘテロ原子を含む、非芳香族単環式または多環式環を意味する。ヘテロシクロアルキル基は、その存在により環式基が芳香性とならなければ、環式基に1個または2個以上の炭素−炭素二重結合または炭素−ヘテロ原子二重結合を有し得る。ヘテロシクロアルキル基の例には、アゼチジニル、アジリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、テトラヒドロピラニル、ピラニルなどが含まれる。ヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、または1個もしくは2個以上の好適な置換基で置換され得る。
【0088】
本明細書において、用語「ハロ」には、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが含まれる。
本明細書において、用語「アルケニル」は、2〜6個の炭素原子および1個の二重結合を有する直鎖状のまたは分枝状の炭化水素基を指し、エテニル、3−ブテン−1−イル、2−エテニルブチル、3−ヘキセン−1−イルなどが含まれる。アルケニルは、非置換であるか、または1個もしくは2個以上の好適な置換基で置換され得る。
【0089】
本明細書において、用語「アルキニル」は、2〜6個の炭素原子および1個の三重結合を有する直鎖状のまたは分枝状の炭化水素基を指し、エチニル、3−ブチン−1−イル、プロピニル、2−ブチン−1−イル、3−ペンチン−1−イルなどが含まれる。アルキニルは、非置換であるか、または1個もしくは2個以上の好適な置換基で置換され得る。
【0090】
本明細書において、用語「アルコキシ」は、酸素を介して結合した上記のアルキル基を指し、その例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、tert−ブトキシなどが含まれる。さらに、アルコキシはまた、例えば、−O−(CH−O−CHなどのポリエーテルをいう。アルコキシは、非置換であるか、または1個もしくは2個以上の好適な置換基で置換され得る。
【0091】
本明細書において、用語「アリール」は、非置換であるか、または置換された芳香族単環式または多環式基を指し、例えば、フェニルおよびナフチルが含まれる。用語「アリール」にはまた、非芳香族炭素環式環または複素環式環に縮合したフェニル環が含まれる。用語「アリール」は、「アリール環」、「芳香族基」および「芳香族環」と区別せずに使用してもよい。ヘテロアリール基は、4〜14個の原子を有し、そのうちの1〜9個は、独立して、O、SおよびNからなる群から選択される。
【0092】
ヘテロアリール基は、5〜8員の芳香族基中に1〜3個のヘテロ原子を有する。アリールまたはヘテロアリールは、単環式または二環式芳香族基であり得る。典型的なアリールおよびヘテロアリール基には、例えば、フェニル、キノリニル、インダゾイル、インドリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、3−クロロフェニル、2,6−ジブロモフェニル、ピリジル、ピリミジニル、3−メチルピリジル、ベンゾチエニル、2,4,6−トリブロモフェニル、4−エチルベンゾチエニル、フラニル、3,4−ジエチルフラニル、ナフチル、4,7−ジクロロナフチル、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾールなどが含まれる。アリールまたはヘテロアリール基は、非置換であるか、または1個もしくは2個以上の好適な置換基で置換され得る。
【0093】
本明細書において、用語「ハロアルキル」は、ハロゲン原子により置き換えられた、1個または2個以上の水素原子を有する、あらゆるアルキル基をいう。ハロアルキルの例には、−CF、−CFH、−CFHなどが含まれる。
【0094】
本明細書において、用語「アリールアルキル」は、アリール基により置き換えられた、1個または2個以上の水素原子を有する、あらゆるアルキル基をいう。アリールアルキルの例には、ベンジル(CCH−)などが含まれる。
本明細書において、用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」は−OHをいう。
本明細書において、用語「アミノ」は−NHをいう。
本明細書において、「ヒドロキシアルキル」は、アルキル基のあらゆるヒドロキシル誘導体をいう。用語「ヒドロキシアルキル」には、−OH基により置き換えられた、1個または2個以上の水素原子を有する、あらゆるアルキル基が含まれる。
【0095】
本明細書において、用語「キナーゼパネル」は、キナーゼの一覧(a list of kinases)をいい、これに限定されないが、ABL1(E255K)−リン酸化、ABL1(T315I)−リン酸化、ABL1−リン酸化、ACVR1B、ADCK3、AKT1、AKT2、ALK、AURKA、AURKB、AXL、BMPR2、BRAF、BRAF(V600E)、BTK、CDK11、CDK2、CDK3、CDK7、CDK9、CHEK1、CSF1R、CSNK1D、CSNK1G2、DCAMKL1、DYRK1B、EGFR、EGFR(L858R)、EPHA2、ERBB2、ERBB4、ERK1、FAK、FGFR2、FGFR3、FLT1、FLT3、FLT4、GSK3B、IGF1R、IKK−α、IKK−β、INSR、JAK2(JH1ドメイン触媒)、JAK3(JH1ドメイン触媒)、JNK1、JNK2、JNK3、KIT、KIT(D816V)、KIT(V559D,T670I)、LKB1、LRRK2、LRRK2(G2019S)、MAP3K4、MAPKAPK2、MARK3、MEK1、MEK2、MET、MKNK1、MKNK2、MLK1、MTOR、p38−アルファ、p38−β、PAK1、PAK2、PAK4、PCTK1、PDGFRA、PDGFRB、PDPK1、PIK3C2B、PIK3CA、PIK3CG、PIM1、PIM2、PIM3、PKAC−アルファ、PLK1、PLK3、PLK4、PRKCE、PYK2、RAF1、RET、RIOK2、ROCK2、RSK2、SNARK、SRC、SRPK3、SYK、TAK1、TGFBR1、TIE2、TRKA、TSSK1B、TYK2(JH1ドメイン触媒)、ULK2、VEGFR2、YANK3およびZAP70が含まれる。本明細書において記載されるキナーゼを含むキナーゼアッセイパネルは、キナーゼ阻害剤をそれらの選択性について生化学的にプロファイリングすべく、商業的に入手可能である。
【0096】
本明細書において、用語「皮膚障害」は、皮膚の障害をいう。かかる皮膚障害には、これに限定されないが、例えば、アトピー性皮膚炎、水疱性疾患、膠原線維症、接触性皮膚炎の湿疹、川崎病、酒さ、シェーグレン−ラルソン症候群および蕁麻疹などの皮膚の増殖性または炎症性障害が含まれる。
【0097】
本明細書において、用語「神経変性疾患」または「神経系障害」は、脳、脊髄または末梢神経系の構造または機能を変化させる状態を指し、これに限定されないが、例えば、アルツハイマー病、脳浮腫、脳虚血、多発性硬化症、神経障害、パーキンソン病、(手術後の認知機能障害と脊髄または脳幹損傷を含む)鈍的または外科的外傷後に発見されるもの、ならびに、例えば変性椎間板疾患および坐骨神経痛などの疾患の神経学的側面が含まれる。頭字語「CNS」は、中枢神経系(脳および脊髄)をいう。
【0098】
本明細書において、用語「呼吸器疾患」は、呼吸に関連する、例えば、鼻、喉、喉頭、気管、気管支、肺などの器官に影響を及ぼす疾患をいう。呼吸器疾患には、これに限定されないが、喘息、成人呼吸窮迫症候群およびアレルギー性(外因性)喘息、非アレルギー性(内因性)喘息、急性重症喘息、慢性喘息、臨床喘息、夜間の喘息、アレルゲン誘発性喘息、アスピリン感受性喘息、運動誘発性喘息、等炭酸ガス性過換気、小児発症喘息、成人発症喘息、咳変異型喘息、職業性喘息、ステロイド抵抗性喘息、季節性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患が含まれ、慢性気管支炎または肺気腫、肺高血圧症、間質性肺線維症および/または気道の炎症や嚢胞性線維症および低酸素症を含む。
【0099】
本明細書において、用語「癌」は、制御されない経路(way)で増殖し、場合によっては転移する傾向のある、細胞の異常な成長をいう。癌のタイプには、これに限定されないが、例えば、膀胱、腸、脳、乳房、子宮内膜、心臓、腎臓、肺、リンパ組織(リンパ)、卵巣、膵臓または他の内分泌器官(甲状腺)、前立腺、皮膚(メラノーマ)などの固形腫瘍あるいは血液腫瘍(例えば、白血病など)が含まれる。
【0100】
本明細書において、用語「炎症性障害」は、部分的にまたは完全に、一時的または永久的であり得る、1種または2種以上の痛覚(痛み、有害物質の発生と神経の刺激からのもの)、ほてり(熱、血管拡張からのもの)、赤み(発赤、血管拡張および増加血流からのもの)、腫れ(腫瘍、体液の過剰な流入または限定的な流出)および機能の喪失の兆候により特徴づけられる、疾患または状態をいう。炎症は、多くの形態をとり、これに限定されないが、以下の、急性、粘着性、萎縮性、カタル性、慢性、肝硬変性、びまん性、播種性、滲出性、線維素性、線維化性、限局性、肉芽腫性、過形成性、肥大性、間質性、転移性、壊死性、閉塞性、実質性、プラスチック性、湿性、繁殖性、偽膜性、化膿性、硬化性、血清塑性(seroplastic)、漿液性、単純性(simple)、特異性(specific)、亜急性、毒性、外傷性および/または潰瘍性である1種または2種以上である炎症が含まれる。
【0101】
炎症性障害には、これに限定されないが、さらに、血管(多発動脈炎、一過性動脈炎);関節(関節炎:結晶性、骨、乾癬性、反応性、関節リウマチ、ライター症候群);消化管;皮膚(皮膚炎);または、複数の器官および組織(全身性エリテマトーデス)が含まれる。
【0102】
本明細書において、用語「心臓血管疾患」は、心臓または血管または両方を指し、これに限定されないが、アテローム性動脈硬化症、不整脈、狭心症、心筋虚血、心筋梗塞、心臓および血管の動脈瘤、血管炎、脳卒中、四肢、器官または組織の末梢閉塞性動脈疾患、器官および組織の虚血後の再灌流障害、内毒素、外科または外傷性ショック、高血圧症、心臓弁膜症、心不全、異常血圧、血管収縮、血管の異常あるいは炎症が含まれる。
【0103】
本明細書において、用語「骨疾患」は、骨の疾患または状態を指し、これに限定されないが、不適切な骨の再形成、損失または増加、骨減少症、骨軟化症、骨線維症、骨粗しょう症およびパジェット病が含まれる。
本明細書において、用語「阻害剤」は、本明細書中に記載する1種または2種以上のキナーゼを阻害する化合物をいう。例えば、用語「SYK阻害剤」は、SYK受容体を阻害するか、またはシグナル効果を減少させる化合物をいう。
【0104】
本明細書において、用語「薬学的に許容可能」は、本明細書中に記載した化合物の生物学的活性または特性を無効にしない、例えば、担体または希釈剤などの材料をいう。かかる材料は、所望されない生物学的効果を引き起こさずに、または含有される組成物のいかなる構成成分とも有害な方法(deleterious manner)で相互作用せずに、固体に投与される。
【0105】
本明細書において、用語「薬学的に許容可能な塩」は、重大な刺激をそれが投与される生物に引き起こさず、本明細書中に記載した化合物の生物学的活性または特性を無効にしない化合物の製剤をいう。
【0106】
本明細書において、用語「医薬組成物」は、本明細書中に記載した化合物と、例えば、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤および/または賦形剤などの他の化学的構成成分との混合物をいう。
本明細書において、用語「プロドラッグ」は、インビボにおいて親薬物に変換される剤をいう。
【0107】
本明細書において、用語「プロテインキナーゼ媒介疾患」または「不適切なプロテインキナーゼ活性により媒介される、障害または疾患または状態」は、本明細書中に記載したプロテインキナーゼにより媒介されるか、または調節される、あらゆる病態をいう。かかる病態には、これに限定されないが、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、潰瘍性大腸炎、クローン病、気管支炎、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、乾癬、強皮症、蕁麻疹、水疱性疾患、膠原線維症、接触性皮膚炎の湿疹、川崎病、酒さ、シェーグレン−ラルソン症候群、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸症候群、HIV、狼瘡、リンパ腫、骨肉腫、メラノーマ、乳癌、腎癌、前立腺癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、卵巣癌、
【0108】
膵臓癌、神経癌、肺癌、子宮癌、消化器癌、アルツハイマー病、パーキンソン病、骨粗しょう症、骨減少症、骨軟化症、骨線維症、パジェット病、糖尿病、血管増殖性疾患、眼疾患、心臓血管疾患、再狭窄、線維症、アテローム性動脈硬化症、不整脈、狭心症、心筋虚血、心筋梗塞、心臓および血管の動脈瘤、血管炎、脳卒中、末梢閉塞性動脈疾患、器官および組織の虚血後の再灌流障害、内毒素、手術または外傷性ショック、高血圧症、心臓弁膜症、心不全、異常血圧、血管収縮、血管の異常、移植片拒絶反応ならびにウイルスおよび真菌感染症を含む感染症が含まれる。
【0109】
本明細書において、用語「キナーゼ媒介疾患」または「キナーゼ媒介疾患」または「不適切なキナーゼ活性が媒介した障害または疾患または状態」は、キナーゼメカニズムによって媒介または変調された任意の病態をいう。例えば、「SYK−媒介疾患」は、SYKメカニズムによって媒介または変調された任意の病態をいう。かかるSYK媒介病態には、これに限定するものではないが、炎症、呼吸器疾患および自己免疫疾患が含まれ、例えば、例示のみを目的として、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸窮迫症候群(ARDs)、潰瘍性大腸炎、クローン病、気管支炎、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、乾癬、強皮症、蕁麻疹、関節リウマチ、多発性硬化症、癌、HIV関連疾患およびループスなどが含まれる。
【0110】
本明細書において、用語「PYK2−媒介疾患」または「不適切なPYK2活性が媒介した障害または疾患または状態」は、PYK2キナーゼメカニズムによって媒介または変調された任意の病態をいう。かかる病態には、これに限定するものではないが、骨粗鬆症、関節炎、骨髄性白血病、低刺激浸透圧、肉腫、急性転化、神経膠腫、白血病および癌が含まれる。
本明細書において、用語「ZAP70−媒介疾患」または「不適切なZAP70活性が媒介した障害または疾患または状態」は、ZAP70キナーゼメカニズムによって媒介または変調された任意の病態をいう。かかる病態には、これに限定するものではないが、CD8−陽性T細胞の選択的な欠如により特徴付けられる免疫不全疾患が含まれる。
【0111】
本明細書において、用語「FAK−媒介疾患」または「不適切なFAK活性が媒介した障害または疾患または状態」は、FAKキナーゼメカニズムによって媒介または変調された任意の病態をいう。かかる病態には、これに限定するものではないが、癌、黄斑変性症または血管新生の異常に増加したレベルに関連付けられる状態が含まれる。
本明細書において、用語「PIM1−媒介疾患」または「不適切なPIM1活性が媒介した障害または疾患または状態」は、PIM1キナーゼメカニズムによって媒介または変調された任意の病態をいう。かかる病態には、これに限定するものではないが、癌、骨髄増殖性疾患、自己免疫疾患、アレルギー反応および臓器移植の拒絶反応症候群が含まれる。
【0112】
本明細書において、用語「FLT3−媒介疾患」または「不適切なFLT3活性が媒介した障害または疾患または状態」は、FLT3キナーゼメカニズムによって媒介または変調された任意の病態をいう。かかる病態には、これに限定するものではないが、急性骨髄性白血病を含む白血病またはFLT3キナーゼの異常に増加したレベルに関連付けられる状態が含まれる。
本明細書において、用語「RET−媒介疾患」または「不適切なRET活性が媒介した障害または疾患または状態」は、RETキナーゼメカニズムによって媒介または変調された任意の病態をいう。かかる病態には、これに限定するものではないが、甲状腺癌、RETキナーゼの異常に増加したレベルに関連付けられる状態が含まれる。
【0113】
本明細書において、用語「JAK2−媒介疾患」または「不適切なJAK2活性が媒介した障害または疾患または状態」は、JAK2キナーゼメカニズムによって媒介または変調された任意の病態をいう。かかる病態には、これに限定されるものではないが、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、他の骨髄増殖性疾患癌、またはJAK2キナーゼの異常に増加したレベルに関連付けられる状態が含まれる。
本明細書において、用語「LRRK2−媒介疾患」または「不適切なLRRK2活性が媒介した障害または疾患または状態」は、LRRK2キナーゼメカニズムによって媒介または変調された任意の病態をいう。かかる病態には、これに限定されるものではないが、パーキンソン病、他の神経変性疾患または血管新生の異常に増加したレベルに関連付けられる状態が含まれる。
【0114】
本明細書において、用語「治療的有効量」は、化合物の任意の量であって、かかる量を受けていない対応する対象と比較して、改善された治療、治癒、予防、または疾患、障害もしくは副作用の回復、または疾患もしくは障害の進行速度の減少をもたらす量をいう。同用語はまた、通常の生理的機能を高めるために有効な量をその範囲内に含む。
【0115】
本明細書において、「処置する」、「処置すること」または「処置」は、疾患または病状を軽減すること、やわらげることまたは回復させること、あるいはさらなる症状を防止すること、症状の根本的な代謝の原因を改善または防止すること、疾患または状態を阻害すること、疾患または状態の進行を阻止すること、疾患または状態を緩和すること、疾患または状態の退行をもたらすこと、疾患または状態によってもたらされる状態を緩和すること、あるいは病状または状態を予防的におよび/または治療的に停止させることをいう。
【0116】
本明細書において、用語「溶媒和物」は、溶質(本発明において、式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩)および溶媒によって形成される可変化学量論の複合体をいう。本発明の目的のためのかかる溶媒和物は、溶質の生物学的活性を妨げてはならない。適した溶媒の非限定的な例には、水、アセトン、メタノール、エタノールおよび酢酸が含まれる。好ましくは、用いられる溶媒は、薬学的に許容可能な溶媒である。適した薬学的に許容可能な溶媒の非限定的な例には、水、エタノールおよび酢酸が含まれる。
【0117】
本明細書において、用語「対象」または「患者」は哺乳動物と非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例には、これに限定するものではないが、ヒト、チンパンジー、類人猿、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモットなどが含まれる。非哺乳動物の例には、これに限定するものではないが、鳥、魚などが含まれる。
【0118】
本明細書において、用語、対象化合物の「投与」または対象化合物を「投与すること」は、処置を必要とする対象に本発明の化合物を提供することをいう。
本明細書において、用語「担体」は、細胞または組織への本明細書に記載の化合物の取り込みを促進する化合物または剤をいう。
本明細書において、製剤、組成物または成分に関する用語「許容可能な」は、本明細書において、処置される対象の一般的な健康に持続的な悪影響を有しないことを意味する。
【0119】
本明細書において、用語「希釈剤」は、輸送の前に、本明細書に記載の化合物を希釈するために使用される化合物をいう。希釈剤はまた、本明細書に記載の化合物を安定化させるために使用することができる。
本明細書において、用語「有効量」または「治療的有効量」は、1または2つ以上の処置される疾患または状態の症状をある程度緩和するであろう、投与される本明細書に記載の化合物の十分な量をいう。
【0120】
I.ヒトプロテインキナーゼ
プロテインキナーゼは、多種多様の細胞プロセスの調節および細胞機能の制御の維持において中心的役割を果たす。プロテインキナーゼは、リン酸化のプロセスを触媒および調節し、これにより、キナーゼは、様々な細胞外シグナルに応答してタンパク質または脂質ターゲットにリン酸基を共有結合させる。かかる刺激の例には、ホルモン、神経伝達物質、成長および分化因子、細胞周期イベント、環境ストレスおよび栄養ストレスが含まれる。細胞外刺激は、細胞の増殖、移動、分化、ホルモンの分泌、転写因子の活性化、筋肉収縮、グルコース代謝、タンパク質合成の制御、細胞周期の調節に関する1または2個以上の細胞応答に影響を与え得る。
【0121】
本発明の化合物は、キナーゼパネルに対してスクリーニングし、パネル上の少なくとも1つのキナーゼ活性を阻害した。キナーゼの例には、これに限定するものではないが、SYK、PYK2、FAK、ZAP70、PIM1、FLT3、RET、JAK2、JAK3、LRRK2、LRRK2(G2019S)、ABL1(T315I)、AURKB、AXL、FLT3、KIT、KIT(D816V)、KIT(V559D、T670I)、MKNK2、MLK1、PDGFRB、PLK3、RET、SNARK、SRPK3、TAK1またはTYK2キナーゼおよびその変異体が含まれる。
【0122】
このように、本発明の化合物および組成物は、かかるキナーゼが、かかるキナーゼに関連付けられる疾患または障害の病理学および/または症候学に寄与する疾患または障害を処置するのに有用である。かかる疾患または障害には、これに限定するものではないが、膵臓癌、甲状腺乳頭癌、卵巣癌、ヒトの腺様嚢胞癌、非小細胞肺癌、分泌乳癌、先天性線維肉腫、先天性中胚葉性腎腫、急性骨髄性白血病、乾癬、転移、癌に関連した疼痛および神経芽細胞腫、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝性疾患、神経および神経変性疾患、癌、心血管疾患、呼吸器疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病、ホルモン関連疾患、良性および悪性増殖性障害、免疫系の不適切な活性化に起因する疾患および神経系の不適切な活性化に起因する疾患、
【0123】
同種移植片拒絶反応、移植片対宿主病、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症、乾癬、関節炎、変形性関節症、関節リウマチ、関節炎における滑膜パンヌスの浸潤、多発性硬化症、重症筋無力症、糖尿病、糖尿病性血管障害、未熟児網膜症、小児血管腫による脈絡膜血管新生、非小細胞肺癌、膀胱、頭頸部癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、胃癌、膵臓癌、乾癬、線維症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、自己免疫疾患、アレルギー、呼吸器疾患、喘息、移植片拒絶反応、炎症、血栓症、網膜血管の増殖、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、骨疾患、移植または骨髄移植拒絶反応、狼瘡、慢性膵炎、悪液質、敗血症性ショック、線維増殖および分化の皮膚疾患または障害、中枢神経系疾患、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、神経の損傷および脳または脊髄損傷に関する疾患または状態、急性または慢性の癌、眼疾患、ウイルス感染症、心臓病、肺疾患(lung or pulmonary diseases)、あるいは腎臓疾患(kidney or renal diseases)および気管支炎が含まれる。
【0124】
本明細書に記載の化合物は、キナーゼ活性の阻害剤であり、不適切なキナーゼ活性に関連付けられる障害の処置において、特にキナーゼにより媒介される病態の処置および予防において、治療効果を有する。したがって、本発明は、キナーゼが役割を果たしているシグナル伝達カスケードを調節、および特に阻害する方法を提供する。方法は、一般的に対象に投与することまたはキナーゼを発現する細胞と有効量の本明細書に記載の化合物、プロドラッグ、または許容可能な塩、水和物、溶媒和物、N−酸化物および/またはそれらの組成物とを接触させることを伴い、シグナル伝達カスケードを調節または阻害する。
【0125】
許容可能な方法はまた、下流のプロセスをまたは特定のキナーゼシグナル伝達カスケードの活性化によって誘発される細胞応答を、調節、特に制御するために使用される。方法はまた、キナーゼ依存シグナル伝達カスケードの活性化によって特徴付けられる、引き起こされるまたは関連付けられる疾患の処置または予防に対する治療的なアプローチとして、in vitro環境またはin vivo環境で行われる。
【0126】
2.医薬組成物
式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、N−酸化物、プロドラッグおよび異性体を含む、本明細書において提供される化合物の治療的使用に関して、かかる化合物は単独でまたは医薬組成物の一部として治療的有効量で投与される。
したがって、本明細書において提供されるものは、少なくとも1種の式(I)で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩および/または溶媒和物を含む、少なくとも1種の本発明において提供される化合物、および1または2個以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、アジュバントまたは賦形剤を含む医薬組成物である。さらに、かかる化合物および組成物は、単独であるいは1または2個以上のさらなる治療剤と組み合わせて投与される。
【0127】
かかる化合物および組成物の投与方法には、これに限定するものではないが、静脈内投与、吸入、経口投与、直腸投与、非経口、硝子体内投与、皮下投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、経皮投与、局所投与、点眼投与、口腔内投与、気管内投与、気管支投与、舌下投与または経耳投与が含まれる。本明細書において提供される化合物は、既知の医薬製剤によって投与され、経口投与用の錠剤、カプセル剤またはエリキシル剤、直腸投与用坐剤、非経口または筋肉内投与用の滅菌溶液または懸濁液、局所投与用のローション、ゲル、軟膏またはクリームなどが含まれる。
【0128】
治療的有効量は、とりわけ、示された疾患、疾患の重症度、対象の年齢および相対的な健康、投与される化合物の効力、投与様式および所望の処置に応じて異なるであろう。必要な用量もまた、投与様式、特に処置すべき状態および所望の効果に応じて異なるであろう。
【0129】
薬学的に許容可能な塩の形態には、薬学的に許容可能な酸性/アニオン性塩または塩基性/カチオン性塩が含まれる。薬学的に許容可能な酸性/アニオン性塩には、アセタート、ベンゼンスルホナート、ベンゾアート、ビカルボナート、ビタルトラート、ブロミド、カルシウムエデタート、カンシラート、カルボナート、クロリド、シトラート、ジヒドロクロリド、エデタート、エジシラート、エストラート、エシラート、フマラート、グリセプタート、グルコナート、グルタマート、グリコリルアルサニラート、ヘキシルレソルシナート、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、ヒドロキシナフトアート、ヨージド、イセチオナート、ラクタート、ラクトビオナート、マラート、マレアート、マロナート、マンデラート、メシラート、メチルスルファート、ムカート、ナプシラート、ニトラート、パモアート、パントテナート、ホスファート/ジホスパート、ポリガラクツロナート、サリチラート、ステアラート、スブアセタート、スクシナート、スルファート、ヒドロゲンスルファート、タンナート、タルトラート、テオクラート、トシラート、およびトリトヨージド塩が含まれる。薬学的に許容可能な塩基性/カチオン性塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ジエタノールアミン、N−メチル−D−グルカミン、L−リジン、L−アルギニン、アンモニウム、エタノールアミン、ピペラジンおよびトリエタノールアミン塩が含まれる。
【0130】
薬学的に許容可能な酸付加塩は、遊離塩基形態である式(I)の化合物と好適な無機または有機酸(これに限定するものではないが、臭化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、コハク酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、安息香酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸などのナフタレンスルホン酸、またはヘキサン酸が含まれる)との反応により形成される。
【0131】
式(I)で表される化合物の薬学的に許容可能な酸付加塩は、例えば、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、スルファート、ニトラート、ホスファート、スクシナート、マレアート、ホルマラート、アセタート、プロピオナート、フマラート、シトラート、タルトラート、ラクタート、ベンゾアート、サリチラート、グルタマート、アスパルタート、p-トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、メタンスルホナート、エタンスルホナート、ナフタレンスルホナート(例えば2−ナフタレンスルホナート)またはヘキサノアート塩を含むことができ、またはそれらであることができる。
【0132】
本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形態は、それぞれの対応する塩基付加塩または酸付加塩の形態から調製することができる。例えば、酸付加塩の形態の本発明の化合物は、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することによって対応する遊離塩基に変換され得る。塩基付加塩の形態の本発明の化合物は、適当な酸(例えば、塩酸など)で処理することによって対応する遊離酸に変換され得る。
【0133】
本発明の化合物のプロドラッグは、当業者に既知の方法によって調製することができる(例えば、Saulnier et al.、(1994)、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters、Vol. 4、p. 1985参照、この全教示が参照により本明細書に組み込まれる)。
本発明の保護誘導体は、当業者に既知の方法によって作ることができる(例えば、T. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry,” 3rd edition、John Wiley and Sons、Inc.、1999参照、この全教示が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0134】
本発明の化合物は、化合物のラセミ混合物と光学活性な分割剤と反応させて、ジアステレオマー化合物対を形成させ、ジアステレオマーを分離し、そして光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、それらの個々の立体異性体として調製することができる。(Jean Jacques、Andre Collet、Samuel H. Wilen、“Enantiomers、Racemates and Resolutions,” John Wiley And Sons、Inc.、1981参照、この全教示が参照により本明細書に組み込まれる)
【0135】
式(I)で表される化合物は、本明細書および例に記載されたプロセスで作られる。ある態様において、式(I)で表される化合物は、:(a)任意に本発明の化合物を薬学的に許容可能な塩に変換すること;(c)任意に本発明の化合物の塩形態を塩ではない形態に変換すること;(d)任意に本発明の化合物の酸化されていない形態を薬学的に許容可能なN−酸化物に変換すること;(e)任意に異性体混合物から本発明の化合物の個々の異性体を分離すること;(f)任意に誘導体化されていない本発明の化合物を薬学的に許容可能なプロドラッグ誘導体に変換すること;および(g)任意に本発明の化合物のプロドラッグ誘導体をその誘導体化されていない形態に変換すること、によって作られる。全ての特許、公開された出願および本明細書中に引用した刊行物の教示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0136】

本発明はさらに、本発明による式(I)で表される化合物の調製を説明する以下の例によって例示される。例は例示のみを目的としており、これらは任意の方法で本発明を限定するものとして解釈することを意図するものでも、解釈されるべきものでもない。当業者は、本発明の範囲を変更することなく、変形および改変を行うことができることを理解するであろう。
【0137】
【化3】

【0138】
【化4】

【0139】
これらの例は例示を目的とするものにすぎず、本発明をいかなる方法によっても限定するものとして解釈されるべきではない。
以下の実施例および本明細書に記載の化合物に対して得られた核磁気共鳴(NMR)および質量分析(MS)スペクトルは、本明細書における式で表される化合物のものと一致していた。
【0140】
液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)法:
1.サンプルを、室温で1.5mL/分の流速で動作するZORBAX Eclipse XDB-C18(3.5μ)逆相カラム(4.6×50mm)を備えたAgilent Technologies 6120 MSDシステム上で、実行する。
2.移動相は、溶媒A(水/0.1%ギ酸)および溶媒B(アセトニトリル/0.1%ギ酸)を使用する。
3.質量スペクトル(m/z)は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)を使用して記録した。
【0141】
プロトンNMRスペクトル:
特記しない限り、全ての1H NMRスペクトルは、Varian series Mercury 300MHzで測定する。全ての観測されたプロトンは、主要ピーク、例えばs(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)およびbr(ブロード)の指定のための慣用の略語を使用して、パーツ・パー・ミリオン(ppm)テトラメチルシランから低磁場側、として報告する。
【0142】
エチル1−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキシラートの調製:中間体1
【化5】

【0143】
無水アセトニトリル中のエチル3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキシラート 2(3.15g、20.5mmol)の溶液に、炭酸カリウム(5.7g、41mmol)および2,4−ジクロロ−5−フルオロピリミジン 1を室温で添加した。得られた懸濁液を、LC−MSまたは薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応をモニターしながら、80℃で3時間加熱した。それを酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で洗浄した。回収した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後減圧下で部分濃縮した。これにn−ヘキサンを添加して、淡黄色の沈殿物が形成された。得られた固体を濾過によって回収し、n−ヘキサンですすぎ、その後高真空で乾燥し、4.9g(85%)の目的中間体 1を得た;MS (ESI) m/z 285 [M+H]+
【0144】
(1−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メタノールの調製:中間体No.2
【化6】

【0145】
無水テトラヒドロフラン(THF)60mL中のエチル1−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキシラート 1(4.9g、17.2mmol)溶液に、氷浴で冷却しながら、トルエン中38mL(38mmol)のジ−イソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL)1M溶液をゆっくりと添加した。同じ温度で、2時間攪拌後、1NのNaOH溶液をゆっくり添加することにより、反応をクエンチした。それを酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で洗浄した。回収した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてその後減圧下で部分濃縮した。これにn−ヘキサンを添加して、淡黄色の沈殿物が形成された。得られた固体を濾過によって回収し、n−ヘキサンですすぎ、その後高真空で乾燥し、3.7g(90%)の中間体 No.2を得た;
【数1】

【0146】
1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボキシラートの調製:化合物1
【化7】

【0147】
2ドラムバイアルに、メチル1−(2−クロロ−5−メチルピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボキシラート(中間体No.1)(300mg、1.20mmol)、3,4,5−トリメトキシルアニリン(240mg、1.32mmol)、540mg(3.9mmol)の炭酸カリウム、Pd(dppf)Cl(50mg)、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BYNAP)(70mg)および4mLの無水ジオキサンを入れた。窒素バブリングにより脱気した後、反応混合物を4時間100℃で加熱した。得られた不溶物を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮し、その後シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、白色固体として化合物1を得た(291mg、61%);MS (ESI) m/z 399 [M+H]+
【0148】
エチル1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキシラートの調製:化合物2
【化8】

【0149】
無水アセトニトリル(60mL)中のエチル3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキシラート 2(5.0g、32.4mmol)溶液に、炭酸カリウム(8.96g、64.9mmol)および4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン 11(5.47g、34.1mmol)を室温(rt)で添加した。得られた懸濁液を、LC−MSまたは薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応をモニターしながら、80℃で8時間加熱した。それを酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で洗浄した。
回収した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてその後減圧下で濃縮した。得られた残渣をメタノールで再結晶して、7.88g(83%)のエチル3−メチル−1−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボキシラート 12を得た;MS (ESI) m/z 279 [M+H]+
【0150】
得られたピラゾール−4−カルボキシラート 12(7.44g、26.7mmol)を30mLのDCMに溶解し、その後0℃に冷却した。これに、3−クロロ過安息香酸(mCPBA、13.2g、58.8mmol)を同じ温度で添加した。反応を室温に加温し、2時間攪拌し、その後飽和NaHCO溶液の添加によってクエンチした。回収した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣をイソプロピルエーテルで再結晶し、7.88g(83%)のエチル3−メチル−1−(2−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボキシラート 13を無色固体として得た(6.92g、83%);m/z 311 [M+H]+
【0151】
得られたスルホキシド 13(3.0g、9.7mmol)を、10mLのn−ブタノール中の酢酸(0.42mL、9.7mmol)および3,5−ジメチルアニリン(1.4mL、9.7mmol)と混合した。2時間加熱還流した後、混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣をDCMで抽出し、飽和NaHCO溶液で洗浄した。回収した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、その後酢酸エチルで再結晶し、0.86g(26%)の化合物No.2を淡黄色固体として得た;m/z 352 [M+H]+。
【0152】
1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸:化合物3
【化9】

【0153】
エタノール(10mL)中の化合物No.2(0.77g、2.2mmol)溶液に、4mLの2N−NaOH溶液を室温で添加した。反応混合物を2時間加熱還流した。出発材料が見られなくなったところで、エタノールを減圧下で除去した。残渣をDCMで洗浄し、その後水層を1N−HCl水溶液で酸性化して、淡黄色沈殿物が形成された。得られた固体を濾過により回収し、その後減圧乾燥して化合物No.3を淡黄色固体として得た(0.41g、58%);MS (ESI) m/z 324 [M+H]+
【0154】
1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒドの調製;中間体No.3
【化10】

【0155】
30mLのジクロロエタン(DCE)中の化合物No.4(0.56g、1.7mmol)の溶液に、MnO(1.5g、10.2mmol)を添加した。60〜70℃で4時間攪拌した後、反応混合物をセライトパッドに通過させ、ジクロロメタンですすいだ。濾液を減圧下で濃縮して所望の中間体No.3を淡黄色固体として得た(0.44g、80%);MS (ESI) m/z 326 [M+H]+
【0156】
アミンの調製
【化11】

【0157】
2−(4−アミノ−2,6−ジメトキシフェノキシ)エタノールの調製
15mLの無水DMF中の2,6−ジメトキシフェノール(1.54g、10mmol)およびエチルブロモアセタート(2.00g、12mmol)の溶液に、2.76g(20mmol)のKCOを添加した。反応混合物を30℃で20時間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮し、揮発性物質を除去した。得られた残渣をEtOAcで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後減圧下で濃縮して、2.2g(91.6%)のエチル2−(2,6−ジメトキシフェノキシ)アセタートを得た。
【0158】
得られたエステル(1.2g、5mmol)を20mLのDCM中のシリカゲル(2.0g)の懸濁液に溶解した。これに20mLのDCM中の濃HNO(20mL)溶液を室温で滴加した。1時間室温で攪拌した後、それを分液漏斗に移し、その後茶色の下層を100gの氷中に捨てた。残りの上層の有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後減圧下で濃縮して、1.4g(98%)のエチル2−(2,6−ジメトキシ−4−ニトロフェノキシ)アセタートを茶色固体として得た。得られたニトロフェノキシエステル(1.34g、4.7mmol)を無水THF(20mL)に溶解した。これに、氷浴で冷却しながら、トルエン中の1M DIBAL溶液(10.3mL、10.3mmol)をゆっくり添加した。室温で1時間後、1N−NaOH溶液の添加によって反応をクエンチし、その後EtOAcで抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルパッドを通過させた。得られた濾液を減圧下で濃縮し、2−(2,6−ジメトキシ−4−ニトロフェノキシ)エタノール(1.01g、88%)を淡黄色固体として得た;MS (ESI) m/z 326 [M+H]+
【0159】
(1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メタノールの調製:化合物No.4
【化12】

【0160】
(1−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メタノール(中間体No.2)(0.50g、2.1mmol)、3,5−ジメチルアニリン(300mg、2.4mmol)、850mg(6.2mmol)の炭酸カリウム、Pd(dba)(86mg)、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BYNAP)(125mg)および25 mLの無水ジオキサンを40mLバイアルに入れた。窒素バブリングにより脱気した後、反応混合物を6時間100℃で加熱した。得られた不溶物を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮し、その後シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、白色固体として化合物No.4を得た(0.56g、84%);MS (ESI) m/z 328 [M+H]+
【0161】
化合物No.5〜28の調製
表1に示す一般構造で表される以下の化合物は、適切な2−クロロピリミジンおよび適切なアミンを使用して、化合物No.4の調製で記載したものと同様の方法で調製した。本反応に用いられてもよいパラジウム触媒の例には、Pd(OAc)、Pd(dba)、Pd(dppf)ClまたはPd(PPhおよびPdCl(PPhが含まれる。これらの触媒は、典型的には好適なリガンド、例えばBINAP、Xantphos、S−Phosまたは関連するホスフィンベースのパラジウムリガンドと一緒に用いられる。反応はTLCおよびLC−MS分析でモニターし、80℃〜110℃で3〜16時間行った。
【0162】
【表1−1】

【0163】
【表1−2】

【0164】
【表1−3】

【0165】
【表1−4】

【0166】
【表1−5】

【0167】
1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド:化合物No.29
【化13】

【0168】
2mLの無水DMFおよびDIPEA(100μL、0.6mmol)中の酸性化合物No.3(65mg、0.2mmol)の溶液に、HBTU(83mg、0.22mmol)を添加した。混合物を室温で15分間攪拌した。これに、2−(メチルアミノ)エタノール(24mL、0.3mmol)を室温で添加した。反応をTLCでモニターしながら、反応混合物を室温で3時間攪拌した。出発材料が見られなくなったところで、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1N−NaOH、続いて飽和食塩水で洗浄した。回収した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後減圧下で濃縮し、その後シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、53mg(70%)の目的化合物No.29を白色固体として得た;
【0169】
【数2】

【0170】
化合物No.30〜38の調製
表2に示される一般構造で表される以下の化合物は、化合物No.29の調製で記載したものと同様の方法で、カップリング剤、例えばEDCI、HBTU、HATU、PyBopまたはPyBropを用いて調製した。反応は、TLCおよびLC−MS分析でモニターし、室温で3〜16時間実施した。
【0171】
【表2−1】

【0172】
【表2−2】

【0173】
【表2−3】

【0174】
2−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチルアミノ)エタノール:化合物No.39
方法I
【化14】

【0175】
2mLのジクロロメタン中の中間体No.3(65mg、0.2mmol)およびエタノールアミン(18μL、0.3mmol)の溶液を室温で20分間攪拌した。これに、NaBH(OAc)(64mg、0.3mmol)を室温で添加した。反応を室温で15時間攪拌し、その後1N−NaOHでクエンチした。それを、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で2回洗浄した。回収した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後減圧下で部分濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、所望の化合物No.39を白色固体として得た(59mg、74%);
【0176】
【数3】

【0177】
方法II
2−(4−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)エタノール:化合物40
【化15】

【0178】
30mLのジクロロエタン(DCE)中の中間体No.2(0.70g、2.92mmol)の溶液に、MnO(2.67g、17.5mmol)を添加した。70℃で4時間攪拌した後、反応混合物をセライトのパッドを通過させ、ジクロロメタンですすいだ。濾液を減圧下で濃縮して所望の中間体No.4を淡黄色固体として得た(0.6g、87%)。10mLのジクロロメタン(DCM)中の中間体No.4(311mg、1.32mmol)および2−(ピペラジン−1−イル)エタノール(0.23g、1.77mmol)の溶液を室温で20分間攪拌した。これに、NaBH(OAc)(0.58g、2.6mmol)を室温で添加した。反応を室温で3時間攪拌し、その後1N−NaOHでクエンチした。それを、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で2回洗浄した。回収した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、所望の中間体No.5を白色固体として得た(0.42mg、91%)。
【0179】
2−(4−((1−(2−クロロ−5−メチルピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)エタノール(中間体No.5)(70mg、0.2mmol)、3,4.5−トリメトキシアニリン(48mg、0.26mmol)、83mg(0.6mmol)の炭酸カリウム、Pd(dppf)Cl(8mg)、BYNAP(12mg)および3mLの無水ジオキサンを2ドラムバイアルに入れた。窒素バブリングにより脱気した後、反応混合物を16時間100℃で加熱し、室温に冷却した。得られた不溶物を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた暗褐色の残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(5〜15%MeOH/DCM)で精製し、所望の化合物40を淡黄色固体として得た(74mg、75%);
【0180】
【数4】

【0181】
化合物41〜139の調製
表3に示す一般構造で表される以下の化合物は、適切なアルデヒド中間体No.3および適切なアミンHNRを使用した化合物No.39の調製において記載されたものと同様の方法Iまたは適切な2−クロロピリミジン中間体No.5および適切なアミンHNRを使用した化合物No.40の調製において記載されたものと同様の方法IIによって調製した。
【0182】
1−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−イルピバラート:化合物No.93
【化16】

【0183】
2mLの無水DMF中の1−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール(化合物No.91、150mg、0.34mmol)の溶液に、5mgのN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびトリメチル酢酸無水物(128mg、0.68mmol)を室温で添加した。室温で16時間攪拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣をEtOAcで抽出し、2N−NaOHで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮し、その後クロマトグラフィー(5〜15%MeOH/DCM)で精製し、所望の化合物No.93を無色の固体として得た(98mg、55%);
【0184】
【数5】

【0185】
4−(3−((1,4−ジアゼパン−1−イル)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−メチル−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピリミジン−2−アミン:化合物No.96
【化17】

【0186】
4mLのジクロロメタン中の中間体No.3(200mg、0.52mmol)およびtert−ブチル1,4−ジアゼパン−1−カルボキシラート(181μL、78mmol)の溶液を室温で20分間攪拌した。これにNaBH(OAc)(230mg、1.0mmol)を室温で添加した。反応を室温で4時間攪拌し、その後1N−NaOHでクエンチした。それを、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で2回洗浄した。回収した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、Boc保護化合物No.96を淡黄色固体として得た(241mg、82%)。
【0187】
得られた化合物を3mLのメタノールに溶解させた。これに、2.5mLの4M−HClを添加した。室温で6時間攪拌した後、反応混合物を減圧下で部分濃縮し、その後EtOAcを添加して、沈殿が形成された。得られた黄色の固体を濾過によって回収し、EtOACですすいで、化合物No.96(230mg、94%)をトリスヒドロクロリド塩として得た;
【0188】
【数6】

【0189】
4−(3−((1,4−ジアゼパン−1−イル)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−メチル−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピリミジン−2−アミン:化合物No.97
【化18】

【0190】
1mLのアセトニトリルおよびジイソプロピルエチルアミン(83μL)中の化合物No.96(42mg、0.07mmol)の溶液に、触媒量のN,N−ジメチルアミノピリジンおよびトリメチル酢酸無水物(28μL、0.14mmol)を室温で添加した。室温で16時間攪拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣をEtOAcで抽出し、2N−NaOHで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、その後クロマトグラフィー(5〜15%MeOH/DCM)で精製し、所望の化合物No.97を無色の固体として得た(29mg、72%);
【0191】
【数7】

【0192】
【表3−1】

【0193】
【表3−2】

【0194】
【表3−3】

【0195】
【表3−4】

【0196】
【表3−5】

【0197】
【表3−6】

【0198】
【表3−7】

【0199】
【表3−8】

【0200】
【表3−9】

【0201】
【表3−10】

【0202】
【表3−11】

【0203】
【表3−12】

【0204】
【表3−13】

【0205】
【表3−14】

【0206】
【表3−15】

【0207】
【表3−16】

【0208】
【表3−17】

【0209】
【表3−18】

【0210】
【表3−19】

【0211】
【表3−20】

【0212】
【表3−21】

【0213】
【表3−22】

【0214】
【表3−23】

【0215】
生物学的アッセイ
1.キナーゼ阻害アッセイ
キナーゼパネルであって、これに限定されないが、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)、ゼータ鎖会合プロテインキナーゼ70(ZAP70)、PTK2Bプロテインチロシンキナーゼ2(PYK2)、接着斑キナーゼ(FAK)、マロニーキナーゼ1のプロウイルスの組み込み(provirus integration of maloney kinase 1)(PIM1)、トランスフェクション中に再構成された(RET)キナーゼ、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)、ヤヌスキナーゼ2(JAK2)およびロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)を含む前記キナーゼパネルを阻害する能力について、本発明の化合物を試験した。
【0216】
FLT3は、タイプIII受容体型チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのメンバーである。FLT3のリガンドは、骨髄間質細胞および他の細胞より発現し、他の成長因子と相互作用を与えて、幹細胞、前駆細胞、樹状細胞およびナチュラルキラー細胞の増殖を刺激する。FLT3は、例えば、血小板血症、本態性血小板血症(ET)、血管新生骨髄化生(angiogenic myeloid metaplasia)、骨髄線維症(MF)、骨髄様化生(MMM)を伴う骨髄線維症、特発性骨髄線維症(IMF)、ならびに真性赤血球増加症(PV)、血球減少症および前悪性骨髄異形成症候群などの骨髄増殖性障害を含む前悪性障害である、造血障害に関与してきた。
【0217】
血液悪性腫瘍には、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、急性未分化白血病(AUL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、前リンパ球性白血病(PML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、成人T細胞ALL、3血球系の骨髄異形成を有するAML(AML/TMDS)、混合系統白血病(MLL)、骨髄異形成症候群(MDSs)、骨髄増殖性疾患(MPD)、多発性骨髄腫(MM)および骨髄性肉腫などの白血病、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、ホジキン病(または、ホジキンリンパ腫と称される)および骨髄腫が含まれる。
【0218】
RETは、細胞外シグナル伝達分子(GFL’s)のグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーのメンバー受容体である。RETシグナル変換は、正常な腎臓および腸神経系の発達の中心となる。機能突然変異のRET喪失は、ヒルシュスプルング病と関連し、一方で機能突然変異の獲得は、髄質甲状腺癌および多発性内分泌腫瘍形成タイプIIおよびIIIを含む、種々の癌の発達と関連する。
【0219】
脾臓チロシンキナーゼ(SYK)は、リンカードメインにより分離される特徴的デュアルSH2ドメインを共有する、非受容体型細胞質チロシンキナーゼである、チロシンキナーゼのSYKファミリーのメンバーである。SYKは、CD74、Fc受容体およびインテグリンを含む、種々の細胞表面受容体からシグナルを伝達する役割を果たす。SYKの異常機能は、造血器悪性腫瘍の事例において関与してきた。例えば、エプスタイン・バーウイルス、ウシ白血病ウイルス、マウス乳腺癌ウイルスなどの形質転換ウイルスには、SYKの活性化をもたらす免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAMs)を含有することが知られているものもある。
【0220】
ZAP70は、プロテインチロシンキナーゼファミリーに属する酵素であり、胸腺細胞の発達、T細胞の発達およびリンパ球活性化における役割を果たす。ZAP70は、Srcファミリーキナーゼ、LckおよびFynと組み合わせた、TCR媒介シグナル変換の初期ステップにおいて、T細胞抗原受容体刺激および機能に応じ、チロシン残基上でリン酸化される。この遺伝子における突然変異は、CD−8陽性T細胞の選択的欠損により特徴づけられる、T細胞欠陥、重度の複合免疫不全症を引き起こされる。
【0221】
PYK2は、イオンチャンネルのカルシウム誘発性調節およびマップキナーゼシグナル伝達経路の活性化に関与する、細胞質プロテインチロシンキナーゼである。コードされたタンパク質は、カルシウム流出を増加させる神経活性化受容体または神経伝達物質および神経活動を調節する下流シグナルとの間の、重要なシグナル伝達中間体を表してもよい。コードされたタンパク質は、細胞内カルシウム濃度、ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化、膜の脱分極またはプロテインキナーゼC活性化の増加に応答して、迅速なチロシンリン酸化および活性化を経る。その活性化は、c−Jun N末端キナーゼ活性の刺激との高い相間性がある。PYK2は、例えば、骨粗しょう症、関節炎、骨髄性白血病、低浸透圧、肉腫、急性転化、神経膠腫、白血病および癌などの疾患に関与する。
【0222】
FAK(遺伝子PTK2によりコードされるもの)は、インテグリンおよび成長因子受容体からのシグナルを組み込む、非受容体チロシンキナーゼである。FAKは、細胞生存、成長、拡散、移動および侵入の調節における役割を果たし、多種のチロシン残基上でのリン酸化により調節され、活性化される。FAK mRNAおよび/またはタンパク質の過剰発現が、乳癌、結腸癌、甲状腺癌および前立腺癌に関与してきた。FAKのリン酸化は、悪性組織において増加する。
【0223】
JAK1は、プロテインチロシンキナーゼ(PTK)ファミリーのメンバーであり、PTKドメインに対し、第二のホスホトランスフェラーゼ関連ドメインの直接のN末端の存在により特徴づけられる。JAK1は、インターフェロン−アルファ/ベータおよびガンマシグナル伝達経路に関与する。インターフェロン−アルファ経路におけるJAK1およびTYK2活性間の、およびインターフェロン−ガンマ経路におけるJAK1およびJAK2間の相互依存が、インターフェロン受容体複合体の矯正された集合(correct assembly)におけるこれらのキナーゼへの要求を反映してもよい。
【0224】
JAK2は、タイプIIサイトカイン受容体ファミリー(例えば、インターフェロンなど)、GM−CSF受容体ファミリー(IL−3R、IL−5RおよびGM−CSF−R)、gp130受容体ファミリー(例えば、IL−6Rなど)および単鎖受容体(single chain receptor)(例えば、Epo−R、Tpo−R、GH−R、PRL−Rなど)のメンバーによるシグナル伝達に関与してきた。TEL(ETV6)(TEL−JAK2)およびPCM1とのJAK2遺伝子融合は、白血病と関連している。さらに、JAK2における突然変異は、真性赤血球増加症、本態性血小板血症および他の骨髄増殖性障害に関与してきた。この突然変異である、617位におけるバリンのフェニルアラニンへの変化は、例えばエリスロポエチンおよびトロンボポエチンなどの成長因子への造血細胞の感受性をより高くした。
【0225】
JAK3は、ヤヌスファミリーのチロシンキナーゼである。JAK3は、主に免疫細胞において発現し、インターロイキン受容体によるチロシンのリン酸化を経由して、その活性化に応答してシグナルを形質導入する。JAK3機能を排除する突然変異は、常染色体重症複合型免疫不全疾患(SCID)を引き起こす。JAK3を発現しないマウスは、種々のサイトカインに応答しないT細胞およびB細胞を有する。JAK3発現が、多くの場合造血細胞に限定されているため、サイトカインシグナル伝達におけるその役割は、他のJAKより限定されていると考えられている。JAK3は、タイプIサイトカイン受容体ファミリー(例えば、IL−2R、IL−4R、IL−7R、IL−9R、IL−15RおよびIL−21Rなど)の共通のガンマ鎖(γC)を用いる受容体によるシグナル変換に関与する。
【0226】
マロニーキナーゼ(PIM−キナーゼ)のプロウイルス組み込みを、マウスにおけるマロニーレトロウイルス組み込み事象(integration event)により転写活性化されることを可能にする頻繁なプロトオンコジーンの1つとして同定し、罹患したマウスにリンパ腫を引き起こした。PIM1、2および3は、セリン/トレオニンキナーゼであり、成長因子およびサイトカインへの応答として造血細胞の生存および増殖において通常機能する。PIM1およびPMI2を過剰発現した遺伝子組み換えマウスは、T細胞リンパ腫の増加した発生率を示し、一方c−mycと結合した過剰発現はB細胞の発生率と関連する。異常なPIM発現が、前立腺癌、肝細胞癌および膵臓癌を含む、ヒト悪性腫瘍において報告されている。PIMキナーゼは、自己免疫疾患、アレルギー反応および組織の移植拒絶反応における免疫応答を調整する、ヘルパーT細胞の早期分化過程に関与する。癌の処置および骨髄増殖性疾患における潜在的な役割の他に、PIMの阻害剤は、
例えば、自己免疫疾患、アレルギー反応および臓器移植拒絶症候群などの他の病状における免疫細胞の増加の制御に有用である。
【0227】
方法
SYK、ZAP70、PYK2、FAK、PIM1、RET、FLT3、JAK2およびLRRK2キナーゼ活性の阻害
本発明の化合物を、保管用に、初めに100%のDMSO(CALBIOCHEM(登録商標))中で10mMに希釈し、キナーゼ緩衝液を1uM〜10uMの範囲の化合物濃度を作った。本発明の化合物の一連の希釈物を、各6μLで96ウェルプレート(GREINER BIOSCIENCES(登録商標))中に分注した。精製した完全長ヒトSYK、ZAP70、PIM1、PYK2および切断ヒトFAK、RET、FLT3、JAK2およびLRRK2(CARNA BIOSCIENCES(登録商標))を、キナーゼ緩衝液中で希釈し、化合物溶液に加え、室温で30分間プレインキュベートした(PYK2については1時間)。
【0228】
次に、ATP(TEKNOVA(登録商標))および基質溶液(PerkinElmer(登録商標)の推奨の製品基質、例えば、SYKについてUlight(登録商標)-TKペプチド、ZAP70、FAKおよびPYK2についてUlight(登録商標)-PolyGTならびにPIM1についてUlight(登録商標)-CREBtide(PERKINELMER(登録商標))など)を、化合物溶液および酵素を含有するウェルに加えた(各12uL)。反応混合物を、1時間インキュベートした(PYK2については2時間)。インキュベーションに続いて、EDTA、水およびランス検出緩衝液(PERKINELMER(登録商標))で作った停止溶液を、リン酸化を停止させるために加えた(各12μL)。
【0229】
停止溶液の添加および5分間の振とうに続き、ユーロピウム標識抗体(PerkinElmer(登録商標)の推奨の製品基質、例えば、SYK、ZAP70、PYK2およびFAKについてPT66ならびにPIM1についてAnti-Crebなど)水およびランス検出緩衝液(PERKINELMER(登録商標))を含有する検出溶液を、反応混合物に加え(各12μL)、再び50分間インキュベートした。基質リン酸化は、検出溶液の添加および50分間のインキュベートに続いて、665nmの発光関数を測定した(a function of the 665nm emission measured)。試験化合物のIC50値は特に示さない限り、Gradpad Prism 5で計算した。
【0230】
結果
式(I)で表される化合物は、有用な薬学的特性を示した。本明細書で使用されるように、ゼロ%阻害は、キナーゼ活性に対し阻害のないこと(例えば、阻害剤なしで処理した対照において見られる)を示し、一方で100%阻害は、キナーゼ活性の完全な阻害を示す。式(I)で表される化合物は、パネル上でプロテインキナーゼの阻害の種々のレベルを示した。特定の化合物は、表2に示すように、1種または2種以上のキナーゼに対し、1μM濃度で80%より多い阻害パーセントを示した。
【0231】
例えば、式(I)で表される化合物21、すなわち(4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メタノールは、1μMの濃度で、SYK(96.4%)、Zap70(54.6%)、PYK2(78.2%)、FAK(70.7%)およびPIM1(71.2%)、LRRK2(93%)のキナーゼ活性、ならびにFLT3(IC50、1.9nM)、RET(IC50、50nM)、KIT(137nM)およびJAK2(IC50 7.7nM;表2参照)のキナーゼ活性を阻害することが示された。表2は、SYK、ZAP70、PYK2、FAK、PIM1、RET、FLT3、JAK2およびLRRK2のパーセント/モル阻害(molar inhibition)を、式(I)で表される代表的な化合物により例証する。2種の既知のキナーゼ阻害剤、R406およびスタウロスポリンをポジティブコントロールとして使用した。
【0232】
【表4】

【0233】
2.腫瘍壊死因子(TNF)−α放出アッセイ
本発明の化合物を、ヒト急性単球性白血病細胞株(THP−1)におけるTNF−α放出に対する効果を試験し、細胞レベルでの潜在的有効性(potential efficacy)を例証する。TNF−αは、全身性炎症に関与するサイトカインであり、急性期反応を刺激するサイトカインのグループのメンバーである。TNF−αの本来の役割は、免疫細胞における調節におけるものである。TNF−αは、アポトーシス細胞死および炎症を誘発し、初期の腫瘍形成およびウイルス複製を阻害することで知られる。異常調節および特にTNF−αの過剰産生は、種々のヒト疾患、自己免疫疾患、炎症、関節炎および癌に関与してきた。
【0234】
TNF−αの産生または放出は、細胞が応答する刺激のタイプにより制御される。SYK活性は、TNF−α産生の媒介に関与する。IgGにより刺激されると、細胞は、SYK依存的に(SYK dependent manner)(すなわち、SYK依存経路)TNF−α産生を増加させる。しかしながら、リポ多糖類(LPS)により刺激されると、それらは、SYK非依存的にTNF−αを産生する。
【0235】
方法
本発明の化合物を、THP−1細胞に対するTNF−α放出効果について試験した。SYK依存TNF−α放出アッセイ(SYK dependent TNF-α release assay)(すなわち、IgG刺激を介する)について、ヒト単球細胞由来THP−1細胞は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC、Manassas、VA)から入手した。この細胞株を、10ウシ胎児血清(FBS;GIBCO(登録商標))および0.05mM 2−メルカプトエタノールを含むロズウェルパーク記念研究所(RPMI)培地(GIBCO(登録商標))で維持した。THP−1細胞を1×10細胞/100μL/ウェルで、ヒトIgG(10μg/ウェル、INVITROGEN(登録商標))をコートした96ウェル培養プレートに播種し、その後連続的に希釈した化合物を添加した。37℃での18時間のインキュベーション期間の後、酵素免疫測定法(ELISA)によるTNF−αレベルの決定のために上澄を収集し、そして残りの細胞はMTT(黄色のテトラゾリウム塩)アッセイを行い、化合物の細胞毒性作用を決定した。
【0236】
SYK非依存TNF−α放出アッセイ(SYK independent TNF-α release assay)(すなわち、リポポリサッカライド(LPS)−刺激を介する)について、ヒト単球細胞由来THP−1細胞は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC、Manassas、VA)から入手した。この細胞株を、10ウシ胎児血清(FBS;GIBCO(登録商標))および0.05mM 2−メルカプトエタノールを含むRPMI培地(GIBCO(登録商標))で維持した。THP−1細胞を1×10細胞/100μL/ウェルで、96−ウェル培養プレートに播種し、リポポリサッカライド(1μg/ml)で処理し、その後連続的に希釈した化合物を添加した。37℃での18時間のインキュベーション期間の後、ELISAによるTNF−αレベルの決定のために上澄を収集し、そして残りの細胞はMTTアッセイを行い、細胞毒性作用を決定した。
【0237】
結果
式(I)で表される化合物は、有用な薬理学的特性を示した。本明細書において、阻害剤の存在なしに使用されるコントロールは、ゼロ%のTNF−α放出阻害を示す。
式(I)で表される特定の化合物は、SYK依存方法(例えば、IgG刺激)において、0.3μM濃度で50%より大きい阻害率を示した。特に、0.3μM濃度で、本発明の化合物No.82、132および133は、SYK依存TNF−α放出アッセイ(例えば、IgG刺激放出)において、周知のキナーゼ阻害剤であるR406で示されるよりも大きい阻害率を示した。
例えば、式(I)で表される化合物No.133、(R)−1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オールは、R406により示されるものと比較して、0.3μM濃度で、より大きいTNF−α放出の阻害率を示した。本発明の式(I)で表される代表的化合物の阻害率データを表3に示す。
【0238】
【表5】

【0239】
3.細胞生存性アッセイ:RET阻害
本発明の化合物に、MTC−TTなどの様々なヒト癌細胞株における細胞生存性に対するそれらの効果の試験を行い、本発明の効率を例証した。
RETプロトオンコジーンは、細胞外シグナル伝達分子のグリア細胞株由来神経栄養因子ファミリーのメンバーのための受容体チロシンキナーゼをコードしている。機能変異のRET損失は、ヒルシュスプルング病に関連付けられ、一方機能変異の増加は、甲状腺髄様癌、多発性内分泌腫瘍形成タイプ2A(MEN2A)および2B(MEN2B)、褐色細胞腫、ならびに副甲状腺過形成を含む様々なタイプのヒト癌の進行に関係している。
【0240】
方法
RET依存細胞生存性をアドレスするために、甲状腺髄様癌細胞株、MEN2Aを代表するMTC−TTを本発明の化合物を試験するために利用した。MTC−TTを、15仔ウシ血清(Thermo(登録商標)のHyclon(登録商標))を含むRPMIで培養し、2mM L−グルタミンを補足した。96−ウェルプレートにおいて、細胞を5×10細胞/100μL/ウェルの密度で、2重に、1日間成長させ、異なる濃度の試験化合物で処理した。薬剤処理2日後のMTC−TTに対する細胞生存性を、Cell Titer 96 Aqueous One Solution Reagent (Promega(登録商標))により、製品指示書にしたがって測定した。
【0241】
結果
本明細書において、阻害剤の存在なしで使用されているコントロールは、細胞生存性の50阻害濃度(IC50)を示す。
式(I)で表される化合物はIC50濃度で100nMより大きい阻害範囲を示した。特に、化合物40および121は、RET誘発癌細胞株において、周知のキナーゼ阻害剤であるバンデタニブおよびスニチニブによって示されるものよりも大きい阻害レベルを示した。
【0242】
例えば、式(I)で表される化合物121、2−(4−(4−(3−((ジメチルアミノ)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−メチルピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジメチルフェノキシ)エタノール、(表4参照)は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)および上皮成長因子受容体(EGFR)の拮抗薬であるバンデタニブ(AstraZeneca(登録商標))およびスニチニブ(Pfizer(登録商標))によって現われるものよりも、IC50測定において、>2倍高い阻害を示した。本発明の式(I)で表される代表的化合物のIC50阻害データを表4に示す。
【表6】

【0243】
4.細胞生存性アッセイ:FLT3−ITD−ポジティブ細胞の阻害
本発明の化合物を、ヒト急性白血病株(MV4−11)におけるFLT3−ITDの阻害に対するそれらの効果について試験をした。FLT3は、主として、未熟な造血前駆細胞においても成熟した骨髄細胞においても発現される。それは、KIT、FMSおよびPDGFRを含むタイプIII受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーに属する。それはFLと結合することによって活性化され、これはキナーゼ活性の増加およびSTAT5、RasおよびPI3キナーゼを含む下流のシグナル伝達経路の活性化の増加をもたらす。
【0244】
膜近傍ドメインにおけるFLT3−ITD(遺伝子内縦列重複(Internal Tandem Duplication))変異は、急性骨髄性白血病(AML)において最も頻繁に観察される分子欠陥である。FLT3−ITDは、リガンド非依存性二量体化、自己リン酸化および恒常的活性化を誘発し、また造血性細胞を転換することができる。臨床的に、FLT3−ITDは白血球増加を増大させるもの、芽球数を増加させるもの、再発率を増加させるもの、無病生存率を減少させるもの、および低い全生存として知られている。したがって、FLT3−ITDはAML治療のための魅力的な分子標的である。
【0245】
方法
本発明の化合物に、MV4−11細胞に対する細胞生存性効果の試験をした。細胞生存性アッセイについて、ヒトFLT3−ITDを発現するMV4−11細胞は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC、Manassas、VA)から入手した。この細胞株を、鉄が補足された、10仔ウシ血清(BCS;Hyclone(登録商標))を含むロズウェルパーク記念研究所(RPMI)培地(HyClone(登録商標))で維持した。MV4−11細胞を2×10細胞で96−ウェル培養プレートに播種し、その後連続的に希釈した化合物を添加した。37℃での72時間のインキュベーション期間の後、細胞生存性を、生細胞からのATPの定量に基づいたATPLite 1ステップアッセイ(Perkin-Elmer(登録商標))を用いて測定した。CellTiter Aqueous assay(Promega(登録商標))もまた直交アッセイとして並列して実施した。IC50値は、非線形回帰を用いて計算し、処理されたコントロール細胞対未処理のコントロール細胞の発光度または吸光度の50減少に必要な濃度として定義した(Prism(登録商標)ソフトウェア)。
【0246】
結果
式(I)で表される化合物はIC50濃度で10nMより大きい阻害を示した。特に、化合物91および93は、癌細胞株を誘発するFLT3 ITDにおいて、バンデタニブおよびスニチニブによって示されるものよりも大きい阻害レベルを示した。
例えば、化合物93、1−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−イルピバラートは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)および上皮成長因子受容体(EGFR)の周知の受容体である、スニチニブ(Pfizer)とPKC-412(Novartis)のものよりも、IC50において6倍より高い阻害を示した。式(I)で表される代表的化合物(例えば化合物91,93,96および97)のIC50阻害データを表5に示す。
【0247】
【表7】

【0248】
5.細胞生存性アッセイ:JAK2阻害
本発明の化合物に、ヒト赤白血病細胞株(HEL)におけるJAK2阻害に対するそれらの効果を試験し、細胞レベルでの潜在的有効性を例証した。4つの異なるタンパク質チロシンキナーゼJAK1、JAK2、JAK3およびTYK2から構成されるヤヌス関連キナーゼ(JAK)ファミリーは、細胞の生存、増殖、分化に重要な役割を果たしている。JAK2遺伝子における独特な変異(バリンからフェニルアラニンへの置換)であるV617Fは、恒常的なキナーゼ活性をもたらし、調節が解除された造血を促進する。JAK2 V617Fは、頻繁に骨髄増殖性疾患(MPDs)、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)および特発性骨髄線維症(IMF)を含むクローン造血幹細胞疾患のグループにおいて検出され、これらの全てが急性骨髄性白血病に変換する可能性を有する。JAK2 V617Fは、恒常的にリン酸化され、サイトカイン刺激の非存在下で下流のシグナル伝達を活性化することができる。
【0249】
JAK2はまた、シグナル伝達、下流のサイトカインの多様性および成長因子受容体の重要なメディエーターである。特に、JAK2はタンパク質のシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)ファミリーをリン酸化する。一度リン酸化されると、STATsは二量体化して、核に転位置し、ここでそれらはDNAに結合して、標的遺伝子の発現を調節する。JAK2/STATシグナル伝達は、細胞周期の調節および抗アポトーシス経路の両方の駆動に関与している。
【0250】
方法
本発明の化合物に、HEL細胞の生存性に対するそれらの効果の試験をした。細胞生存性アッセイについて、ヒトJAK2 V617Fを発現するHEL細胞は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC、Manassas、VA)から入手した。この細胞株を、鉄を補足した10仔ウシ血清(BCS;Hyclone(登録商標))を含む、ロズウェルパーク記念研究所(RPMI)培地(HyClone(登録商標))で維持した。HEL細胞を2×10細胞で96ウェル培養プレートに播種し、その後連続的に希釈した化合物を添加した。37℃での72時間のインキュベーション期間の後、細胞生存性を、生細胞からのATPの定量に基づいたATPLite 1ステップアッセイ(Perkin-Elmer(登録商標))を用いて測定した。CellTiter Aqueous assay(Promega(登録商標))もまた直交アッセイとして並列して実施した。IC50値は、非線形回帰を用いて計算し、処理されたコントロール細胞対未処理のコントロール細胞の発光度または吸光度の50減少に必要な濃度として定義した(Prism(登録商標)ソフトウェア)。
【0251】
結果
式(I)で表される化合物はIC50濃度で10nMより大きい阻害を示した。特に、化合物21および24は、癌細胞株において、周知のキナーゼ阻害剤のRaf、VEGFRおよびPDGFR阻害剤であるソラフェニブ(Bayer)によって示されるものよりも大きい阻害レベルを示した。
例えば、化合物21、(4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メタノール(表6、化合物139参照)は、ソラフェニブ(Bayer)によるものよりもIC50測定において約10倍より高い阻害を示した。式(I)で表される代表的化合物のIC50阻害データを表6に示す。
【0252】
【表8】

【0253】
6.In Vitroキナーゼ阻害
ヒトにおいて、518までの異なるキナーゼが同定されている。式(I)で表される代表的化合物の既知のキナーゼに対する阻害効果の範囲を決定するために、化合物82を104の市販のキナ−ゼ(Ambit Biosciences(登録商標))に対して試験した。104のキナーゼには、ABL1(E255K)−リン酸化、ABL1(T315I)−リン酸化、ABL1−リン酸化、ACVR1B、ADCK3、AKT1、AKT2、ALK、AURKA、AURKB、AXL、BMPR2、BRAF、BRAF(V600E)、BTK、CDK11、CDK2、CDK3、CDK7、CDK9、CHEK1、CSF1R、CSNK1D、CSNK1G2、DCAMKL1、DYRK1B、EGFR、EGFR(L858R)、EPHA2、ERBB2、ERBB4、ERK1、FAK、FGFR2、FGFR3、FLT1、FLT3、FLT4、GSK3B、IGF1R、IKK−α、IKK−β、INSR、JAK2(JH1ドメイン−触媒)、JAK3(JH1ドメイン−触媒)、JNK1、JNK2、JNK3、KIT、KIT(D816V)、KIT(V559D,T670I)、LKB1、LRRK2、LRRK2(G2019S)、MAP3K4、MAPKAPK2、MARK3、MEK1、MEK2、MET、MKNK1、MKNK2、MLK1、MTOR、p38−alpha、p38−beta、PAK1、PAK2、PAK4、PCTK1、PDGFRA、PDGFRB、PDPK1、PIK3C2B、PIK3CA、PIK3CG、PIM1、PIM2、PIM3、PKAC−alpha、PLK1、PLK3、PLK4、PRKCE、PYK2、RAF1、RET、RIOK2、ROCK2、RSK2、SNARK、SRC、SRPK3、SYK、TAK1、TGFBR1、TIE2、TRKA、TSSK1B、TYK2(JH1ドメイン−触媒)、ULK2、VEGFR2、YANK3およびZAP70が含まれる。
【0254】
結果
化合物82の阻害活性を制御率で報告し、ここでより低い数がより強い活性を示す。表7は化合物82、(R)−1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール、の存在によって著しくその活性が阻害された20の異なるキナーゼをまとめたものである。従来、数値35が閾値として頻繁に使用されているとおり、35%より小さい制御率は著しいキナーゼ活性の阻害とみなされている。
【0255】
【表9】

【0256】
本発明は、その態様例により特に示し、記載した一方で、当業者により、添付の特許請求の範囲により包含される本発明の範囲から逸脱せずに、その中で形式および詳細における種々の変更がなされ得ることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

式中:
XはCHまたはNであり;
は、H、ハロ、CN、C−C10アルキルまたはハロ(C−C)アルキルから選択され、ここでC−C10アルキルまたはハロ(C−C)アルキルは任意に置換され;
は、アリール、シクロアルキル、アリールアルキルまたはヘテロシクリルであり、ここでアリール、シクロアルキル、アリールアルキルまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、1個または2個以上の炭素原子において、1〜4個のRもしくはR5a基で置換され;およびここで1個または2個以上の窒素原子を有するアリールおよびヘテロシクリルは、任意におよび独立して、1個または2個以上の窒素原子において、1〜4個のRまたはR6a基で置換され;
は、独立してハロ、CNまたはRであり; および
は、(CHOH、(CHNR1112、C(O)NHR、C(O)NR1112、C(O)OR、C(O)R、C(O)NR、C(O)NR、(CHNR、(CHNR、(CHCN、(CHSR、(CHS(O)または(CHS(O)NRから選択され、ここで各nは独立して1または2であり;
ここで:各Rは、独立して、ハロ、CF、SR、OR、OC(O)R、O(CHNR、O(CHNR1112、O(CH、O(CHC(O)NR1112、O(CHC(O)NR、NR、NR、NHC(O)NH、C(O)OR、NO、CN、C(O)R、OSOCH、S(O)、S(O)NR、NRC(O)NR、NRC(O)R、NRC(O)OR、NRS(O)またはNR1112から選択され、ここで各nは独立して1または2であり;
各R5aは、独立して、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、アルコキシ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルから選択され、ここで、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、アルコキシ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、RまたはR10から選択される1〜3個の基で置換され;
各Rは、独立して、R、C(O)CHCN、C(O)R、C(O)OR、CO(C−Cアルキル)、C(O)NR、SONRまたはSOであり;
各R6aは、独立して、ヒドロキシ、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、ハロアルキルであり、ここで各R6a基は、任意におよび独立して、ヒドロキシ、アリール、アルキル、ハロ、RまたはR10から選択される1〜3個の基で置換され;
各Rは、独立してH、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、ここでC−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキル、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、RまたはR10から選択される1〜4個の基で置換され;
各Rは、独立して、C(O)R、C(O)OR、C(O)NR、またはS(O)であり、ここでnは1または2であり;
各Rは、独立して、CF、SR、OR、NR、NR1112、C(O)NR、C(O)NR1112、S(O)NR、またはS(O)であり、ここで各nは独立して1または2であり;
各R10はC(O)O(C−C)アルキルまたはハロ(C−C)アルキルであり;および
11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって:
i)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで、該3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1個または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される;
ii)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1個または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される;
iii)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意に、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから独立して選択される1〜4個の基で置換される;
iv)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される;または
v)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環は、任意におよび独立して、1個または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1個または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される;を形成する、
で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
が:窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式アリール基;窒素、酸素、硫黄、スルホキシドまたはスルホンから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する、8〜10員の二環式アリール基;窒素、酸素、硫黄、スルホキシドまたはスルホンから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する、8〜10員の一部飽和の二環式アリール基;またはカルボキサミドもしくはスルホキサミドを有する、8〜10員の一部飽和の二環式アリール基から選択されるアリール基、である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、任意におよび独立して、1〜4個のRまたはR5a基で置換され、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式アリールである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
5〜6員の単環式アリールが、任意におよび独立して、メチル、エチル、フェニル、イソプロピル、メトキシ、ヒドロキシエトキシ、CF、OC、OCHCHNR1112、OCHCHNR、OCH、OCHC(O)NR1112、OCHC(O)NR、OSOCH、SOCH、SONHCHまたはNR1112から選択される1、2または3個の基で置換される、フェニルまたはピリミジニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、窒素、酸素、硫黄、スルホキシドまたはスルホンから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式アリール基であり、
ここで8〜10員の二環式アリール基が、置換可能な炭素原子または窒素原子において、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロ、CF、OCFまたはSOCHから選択される1、2または3個の基によって(ここでアルキル、アリールまたはヘテロアリールは任意にヒドロキシ、アミノまたはスルホンで置換される)、任意におよび独立して置換される、インドリル、インダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ナフチルまたはキノリニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が、窒素、酸素、硫黄、スルホキシドまたはスルホンから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の一部飽和の二環式アリール基であり、ここで該8〜10員の一部飽和の二環式アリール基は、任意におよび独立して、置換可能な炭素原子において、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロ、CF、OCFまたはSOCHから選択される1、2または3個の基で置換される、非芳香族炭素環式環またはヘテロ環式環に縮合したフェニル環を有し、ここで非芳香族炭素環式環またはヘテロ環式環に縮合したフェニル環を有する8〜10員の一部飽和の二環式アリール基がジヒドロインデニル、テトラヒドロナフチルまたはジヒドロベンゾジオキシニルから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
が、C(O)ORであり、Rは、独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルケニルまたはC−C10アルキニルであり、ここで、Rで示される基は、任意におよび独立して、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、RまたはR10から選択される1〜4個の基で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、C−C10アルキルであり、任意にハロ、ヒドロキシ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CアルキルアミノまたはジC−Cアルキルアミノで置換される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、H、F、Cl、Br、CFまたはCHである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
がH、シクロプロピル、イソプロピル、フラニル、メチル、CFまたはフェニルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
が、C(O)NHRであり、Rは、H、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、ここでC−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、ハロ、アミノ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、RまたはR10から選択される1〜4個の基で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
がアリールであり、ここでアリールは、メチル、メトキシ、CFまたはSOCHから選択される1、2または3個の基で任意におよび独立して置換されるフェニルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が、C−C10アルキルであり、ここでC−C10アルキルは、任意にアミノ、ハロ、ヒドロキシ、フェニル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CアルキルアミノまたはジC−Cアルキルアミノから選択される1〜3個の基で置換される、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
が、H、F、Cl、Br、CFまたはCHである、請求項11に記載の化合物。
【請求項15】
が、H、メチル、シクロプロピル、イソプロピル、フラニル、CFまたはフェニルから選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項16】
が、C(O)NR1112であり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって:
i)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで、該3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1個または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される;
ii)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1個または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される;
iii)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここでヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意に、1個または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される;または
iv)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される、
を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
11およびR12が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環を形成し、ここで、該3〜8員の環は、任意におよび独立して、1個または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環が4〜6員環であり、ここで4〜6員環は、1個または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で任意におよび独立して置換される、アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
またはR5aが、ヒドロキシ、CHOH、CHCHOH、NH、NHR、NHCOR、NHC(O)NHRまたはNRである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
が、H、F、Cl、Br、CFまたはCHである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
が、H、メチル、シクロプロピル、イソプロピル、フラニル、CFまたはフェニルから選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
が、(CHNRであり、Rは、独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、ここでC−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、任意におよび独立して、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはアルキルから選択される1〜4個の基で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
が、独立して、HまたはC−C10アルキルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
が、任意にフェニルで置換されるC−C10アルキルである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
が、H、F、Cl、Br、CFまたはCHである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
が、H、メチル、シクロプロピル、イソプロピル、フラニル、CFまたはフェニルから選択される、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
が、(CHNR1112あり、R11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって:
i)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで、該3〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される;
ii)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1個または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される;
iii)R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意に、1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから独立して選択される1〜4個の基で置換される;
iv)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜5個のヘテロ原子を有する9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環、ここで該ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホン、カルボキサミドまたはスルホキサミドから選択される;または
v)R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環、ここで該1〜3個のヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される、
を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
11およびR12が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない、3〜8員の飽和または一部飽和の環を形成し、該3〜8員環は、任意におよび独立して、1個または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
3〜8員の飽和または一部飽和の環が、1個または2個以上の置換可能な炭素原子において、ヒドロキシ、ハロ、OC(O)R、CHOH、CHCHOH、NH、NR、NHC(O)NHR、NHSO、C(O)ORまたはC(O)NHRから選択される1〜2個の基で任意におよび独立して置換される、アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニルから選択される4〜6員環である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
11およびR12が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環を形成し、ここで該1〜3個のヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員の飽和または一部飽和の環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される、請求項27に記載の化合物。
【請求項31】
5〜8員環が、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニルまたはホモピペラジニルであり、ここでピペラジニルまたはホモピペラジニルは、任意におよび独立して、窒素原子において、ヒドロキシ、C−C10アルキル、CHCHOH、C(O)R、C(O)NHR、SO、SONHRまたはC(O)ORで置換される、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
11およびR12が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子以外のヘテロ原子を有しない9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環を形成し、ここで9〜10員の飽和または一部飽和の二環式環は、任意に1または2個以上の置換可能な炭素原子において、RまたはR5aから独立して選択される1〜4個の基で置換される、請求項27に記載の化合物。
【請求項33】
11およびR12が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、テトラヒドロイソキノリンを形成する、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
が、H、F、Cl、Br、CFまたはCHである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
が、H、メチル、シクロプロピル、イソプロピル、フラニル、CFまたはフェニルから選択される、請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
11およびR12が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、R11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環を形成し、ここで該1〜3個のヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、硫黄、スルホンまたはスルホキシドから選択され、およびここで前記1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環は、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で、および1または2個以上の置換可能な窒素原子においてRまたはR6aで置換される、請求項27に記載の化合物。
【請求項37】
11およびR12が結合している窒素原子に加えて、1〜3個のヘテロ原子を有する6〜14員の飽和または一部飽和の架橋環が、任意におよび独立して、1または2個以上の置換可能な炭素原子においてRまたはR5aから選択される1〜4個の基で置換される、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
が、H、F、Cl、Br、CFまたはCHである、請求項36に記載の化合物。
【請求項39】
が、H、メチル、シクロプロピル、イソプロピル、フラニル、CFまたはフェニルから選択される、請求項37に記載の化合物。
【請求項40】
メチル1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボキシラート;
エチル1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキシラート;
1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸;
(1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メタノール;
(1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メタノール;
(1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)メタノール;
(1−(2−(3,5−ジメトキシフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)メタノール;
(1−(2−(3,5−ジメトキシフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メタノール;
(1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(1−(2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(1−(2−(3,5−ジメチル−4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(1−(2−(3,5−ジメチル−4−フェノキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
2−(4−(5−フルオロ−4−(3−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジメチルフェノキシ)エタノール;
(1−(2−(3,5−ジメトキシフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(1−(2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(1−(5−フルオロ−2−(ナフタレン−2−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(1−(5−クロロ−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(4−シクロプロピル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
2−(4−(4−(3−(ヒドロキシルメチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−メチルピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジメトキシフェノキシ)エタノール;
2−(4−(4−(4−(3−(ヒドロキシルメチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−メチルピリミジン−2−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノール;
(S)−1−(4−(4−(3−(ヒドロキシルメチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−メチルピリミジン−2−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピロリジン−3−オール;
(1−(5−フルオロ−2−(4−(メチルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−フェニル−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
(1−(5−フルオロ−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−(フラン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル)メタノール;
1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
(S)−(1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)メタノン;
(R)−(1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)メタノン;
N−(2−アミノエチル)−1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
1−(2−(3,5−ジメトキシフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
(1−(2−(3,5−ジメトキシフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)(ピペリジン−1−イル)メタノン;
(S)−1−(2−(3,5−ジメトキシフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−N−(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
N−ベンジル−1−(2−(3,5−ジメトキシフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
(R)−(1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)メタノン;
2−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチルアミノ)エタノール;
2−(4−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)エタノール;
(R)−1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
1−((4−シクロプロピル−1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
4−(4−((ベンジルアミノ)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(4−(3−((3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジメチルフェニルメタンスルホナート;
(R)−4−(4−(3−((3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)−N,2−ジメチルベンゼンスルホンアミド;
(R)−1−((1−(2−(3,5−ジメチル−4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
(S)−1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−カルボン酸;
(R)−1−((1−(2−(3,5−ジメチル−4−フェノキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
(R)−1−(1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−イル)ウレア;
1−((4−メチル−1−(2−(2−メチルビフェニル−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
1−((1−(2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
1−((4−メチル−1−(2−(1−メチル−1H−インドール−5−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
(R)−1−((4−メチル−1−(2−(1−メチル−1H−インドール−5−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
4−(3−((4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−2−(4−(4−(4−((3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジメチルフェノキシ)−1−モルホリノエタノン;
2−(4−(4−(4−((3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジメチルフェノキシ)−1−モルホリノエタノン;
N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロ−4−(3−メチル−4−(ピロリジン−1−イルメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−2−アミン;
N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロ−4−(3−メチル−4−(ピロリジン−1−イルメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−2−アミン;
(S)−2−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチルアミノ)プロパン−1−オール;
4−(4−((シクロプロピルアミノ)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
4−(4−((シクロヘキシルアミノ)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロ−4−(3−メチル−4−(ピペリジン−1−イルメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−2−アミン;
N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロ−4−(3−メチル−4−(モルホリノメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−2−アミン;
N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロ−4−(3−メチル−4−((フェニルアミノ)メチル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(4−((3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
4−(4−((ベンジル(メチル)アミノ)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
N1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)エタン−1,2−ジアミン;
N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロ−4−(4−((4−フルオロフェネチルアミノ)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−2−アミン;
N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロ−4−(3−メチル−4−((ピリジン−4−イルメチルアミノ)メチル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−2−アミン;
(S)−1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
(R)−1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)ピペリジン−4−オール;
N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロ−4−(3−メチル−4−(ピペリジン−1−イルメチル)−1H−ピロール−1−イル)ピリミジン−2−アミン;
1−((3−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
2−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチルアミノ)エタノール;
4−(4−((ベンジルアミノ)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロ−4−(3−メチル−4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(4−((ジメチルアミノ)メチル)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロ−4−(3−メチル−4−((ピペリジン−4−イルアミノ)メチル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン−2−アミントリヒドロクロリド;
N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロ−4−(3−(3−スルホニルピロリジン−1−イルメチル)−1H−ピロール−1−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(3−((ジメチルアミノ)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロ−4−(3−メチル−4−(モルホリノメチル)−1H−ピロール−1−イル)ピリミジン−2−アミン;
(R)−1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
1−((1−(2−(3,4−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
(R)−2−(4−(5−フルオロ−4−(3−((3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジメチルフェノキシ)−1−モルホリノエタノン;
3−(4−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリル;
(R)−4−(3−((3−アミノピロリジン−1−イル)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
1−((1−(5−フルオロ−2−(ナフタレン−2−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
1−((1−(2−(4−(ベンジルオキシ)−3,5−ジメトキシフェニルアミノ)−5−メチルピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
(R)−4−(5−フルオロ−4−(3−((3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジメチルフェニルメタンスルホナート;
(R)−1−((1−(5−フルオロ−2−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
1−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
1−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−イルアセタート;
1−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−イルピバラート;
1−((4−シクロプロピル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
1−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)ウレア;
4−(3−((1,4−ジアゼパン−1−イル)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−メチル−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピリミジン−2−アミントリヒドロクロリド;
(S)−1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
2,2−ジメチル−1−(4−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)−1,4−ジアゼパン−1−イル)プロパン−1−オン;
(S)−1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペリジン−4−オール;
(S)−2−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチルアミノ)プロパン−1−オール;
4−(3−((ベンジルアミノ)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−N−(3,5−ジメトキシフェニル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
(R)−1−((1−(2−(3,5−ジメトキシフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
4−(3−((ジメチルアミノ)メチル)−4−(フラン−3−イル)−1H−ピロール−1−イル)−5−フルオロ−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピリミジン−2−アミン;
1−((1−(2−(3,5−ジメトキシフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペリジン−4−オール;
N−(3,5−ジメトキシフェニル)−4−(3−((ジメチルアミノ)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
(R)−1−((1−(5−フルオロ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
1−((1−(5−フルオロ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペリジン−4−オール;
2−(4−((1−(5−クロロ−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)エタノール;
1−((1−(5−クロロ−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
1−((1−(5−クロロ−2−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
4−(3−((ジメチルアミノ)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−メチルピリミジン−2−アミン;
4−(3−((ジメチルアミノ)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−メチルピリミジン−2−アミン;
1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−メチルピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペリジン−4−オール;
2−(4−((1−(2−(4−(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル)−3−メチルフェニルアミノ)−5−メチルピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)エタノール;
4−((1−(2−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−メチルピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)−N−メチル−1,4−ジアゼパン−1−カルボキサミド;
4−((1−(2−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−メチルピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)−1,4−ジアゼパン−1−カルボキサミド;
1−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペリジン−4−オール;
(1−((4−メチル−1−(5−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペリジン−4−イル)メタノール;
1−((1−(2−(3,5−ジメチル−4−(2(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)−5−メチルピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
2−(4−(4−(3−((ジメチルアミノ)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−メチルピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジメチルフェノキシ)エタノール;
(R)−1−((1−(5−フルオロ−2−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
4−(3−((ジメチルアミノ)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−フルオロ−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリミジン−2−アミン;
2−(4−(5−フルオロ−4−(3−((3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジメチルフェノキシ)−1−(ピロリジン−1−イル)エタノン;
(R)−1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
1−((1−(5−フルオロ−2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−(フラン−3−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;
4−(3−((ジメチルアミノ)メチル)−4−フェニル−1H−ピロール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
(R)−1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−フェニル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
N−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−4−(3−((ジメチルアミノ)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
(R)−1−((1−(2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
1−((1−(2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピペリジン−4−オール;
4−(3−((ジメチルアミノ)メチル)−1H−ピロール−1−イル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フルオロピリミジン−2−アミン;
(R)−1−((1−(2−(3,5−ジメチルフェニルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール;
4−(3−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イルメチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−ブロモ−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピリミジン−2−アミントリヒドロクロリド;
(R)−2−(4−(5−フルオロ−4−(3−((3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジメチルフェノキシ)−1−モルホリノエタノン;
2−(4−(4−(3−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イルメチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−メチルピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジメチルフェノキシ)エタノールトリヒドロクロリド;
4−(3−((1,4−ジアゼパン−1−イル)メチル)−4−メチル−1H−ピロール−1−イル)−5−クロロ−N−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−6−イル)ピリミジン−2−アミン;
1−((1−(5−クロロ−2−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−6−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)アゼチジン−3−オール;または
(R)−1−((1−(2−(4,6−ジメチルピリミジン−2−イルアミノ)−5−フルオロピリミジン−4−イル)−4−メチル−1H−ピロール−3−イル)メチル)ピロリジン−3−オール、
から選択される化合物。
【請求項41】
請求項1の異性体化合物。
【請求項42】
薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせた、請求項1に記載の化合物を含む医薬製剤。
【請求項43】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の治療的有効量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるキナーゼ媒介疾患の処置方法であって、ここで、該キナーゼ媒介疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、潰瘍性大腸炎、クローン病、気管支炎、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、乾癬、強皮症、蕁麻疹、水疱性疾患、膠原線維症、接触性皮膚炎の湿疹、川崎病、酒さ、シェーグレン−ラルソン症候群、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸症候群、HIV関連疾患、狼瘡、リンパ腫、骨肉腫、メラノーマ、乳癌、腎癌、前立腺癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、卵巣癌、膵臓癌、神経癌、肺癌、子宮癌、胃腸癌、アルツハイマー病、パーキンソン病、骨粗しょう症、骨減少症、骨軟化症、骨線維症、パジェット病、糖尿病、血管増殖性疾患、眼疾患、心臓血管疾患、再狭窄、線維症、アテローム性動脈硬化症、不整脈、狭心症、心筋虚血、心筋梗塞、心臓および血管の動脈瘤、血管炎、脳卒中、末梢閉塞性動脈疾患、臓器および組織の虚血後の再灌流障害、内毒素、外科手術または外傷性ショック、高血圧、心臓弁膜症、心不全、異常な血圧、血管収縮、血管の異常、移植片拒絶反応ならびにウイルスおよび真菌感染症を含む感染症からなる群から選択される、前記方法。
【請求項44】
請求項1に記載の化合物を、単独でまたは1種もしくは2種以上の治療剤と組み合わせて投与する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
請求項1に記載の化合物を、静脈投与、皮下投与、吸入、経口投与、直腸投与、経口、硝子体内投与、筋肉投与、経鼻投与、経皮投与、局所投与、耳投与、点眼投与、口腔投与、気管投与、気管支投与または舌下投与により投与する、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
請求項1に化合物の有効量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象においてシグナル伝達する、SYK、PYK2、FAK、ZAP70、PIM1、FLT3、RET、JAK2、JAK3、LRRK2、LRRK2(G2019S)、ABL1(T315I)、AURKB、AXL、FLT3、KIT、KIT(D816V)、KIT(V559D,T670I)、MKNK2、MLK1、PDGFRB、PLK3、RET、SNARK、SRPK3、TAK1またはTYK2を阻害する方法。
【請求項47】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を癌細胞に接触させることを含む、癌細胞の成長を阻害する方法。
【請求項48】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象において癌を処置する方法。

【公表番号】特表2013−510876(P2013−510876A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539028(P2012−539028)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/056583
【国際公開番号】WO2011/060295
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512111913)
【出願人】(512113814)オスコテック インク. (2)
【Fターム(参考)】