説明

キノキサリノン誘導体

【課題】本発明は、一般式(I)のキノキサリノン誘導体および医薬組成物の製造における活性成分としてのそれらの使用、およびこのような化合物を製造するための方法を提供する。
【解決手段】本発明はキノキサリノン誘導体および医薬組成物の製造における活性成分としてのそれらの使用に関する。本発明はまた上記化合物を製造するための方法、上記化合物の一種または一種以上を含有する医薬組成物、特にオレキシン受容体としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)の新規なキノキサリノン誘導体および医薬品としてのこれらの使用に関するものである。本発明はまた上記化合物の製造方法、一般式(I)の化合物を1種または1種以上含有する医薬組成物、および特にオレキシン受容体拮抗薬としてのそれらの使用を含めた関連様相に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オレキシン類(ハイポクレチン類)は、視床下部で産生される次の2種の神経ペプチド類からなる:オレキシンA(OX−A)(33個のアミノ酸ペプチド)およびオレキシンB(OX−B)(28個のアミノ酸ペプチド)(非特許文献1参照)。オレキシン類は、ラットにおいて食物消費を刺激し、食行動を調節する中枢フィードバック機構におけるこれらペプチド類のメディエーターとしての生理学的役割を示唆している(非特許文献2参照)。他方、オレキシン類は睡眠状態および覚醒状態を調節しており、ナルコレプシー(睡眠発作)患者に対する潜在的な新規治療への道を開くものであるとも、提唱されている(非特許文献3)。2種のオレキシン受容体が哺乳動物でクローン化され、特性付けされている。それらは、G蛋白質共役型受容体というスーパーファミリーに属している(非特許文献4)。オレキシン−1受容体(OX)はOX−Aに対して選択的であり、オレキシン−2受容体(OX)はOX−Bと同様にOX−Aにも結合することができる。
【非特許文献1】T. Sakuraiら、Cell, 1998年, 92巻, 573-585頁
【非特許文献2】T. Sakuraiら、Cell, 1998年, 92巻, 573-585頁
【非特許文献3】Chemelli R.M.ら、Cell, 1999年, 98巻, 437-451頁
【非特許文献4】T. Sakurai ら、Cell, 1998年, 92巻, 573-585頁
【0003】
オレキシン受容体は哺乳動物の脳に見出され、病的状態などの多くの生物学的機能に関与している可能性がある。該病的状態は次のものを含む:抑鬱;不安;嗜癖;強迫性障害;情動神経症;抑鬱神経症;不安神経症;気分変調障害;行動障害、気分障害;性機能障害;心理性的障害;性障害;精神分裂病;躁鬱病;譫妄;痴呆;ハンチントン病、トウレット症候群などの重篤な精神発達障害およびジスキネジア(運動機能異常);食欲不振、過食症、悪液質および肥満症などの摂食障害;心臓血管障害;糖尿病;食欲/味覚障害;悪心/嘔吐;喘息;癌;パーキンソン病;クッシング症候群/クッシング病;好塩基性細胞腺腫;プロラクチノーマ;高プロラクチン血症;下垂体腫瘍/腺腫;視床下部疾患;炎症性腸疾患;胃運動機能異常(ジスキネジア);胃潰瘍;フレーリヒ症候群;下垂体腺部疾患;下垂体疾患;視床下部性腺機能低下;視床下部性腺機能過多;視床下部性生殖機能低下;カルマン症候群(嗅覚脱失、嗅覚減退);機能性または心因性無月経;下垂体機能低下;視床下部性甲状機能低下;視床下部・副腎機能不全;特発性高プロラクチン血症;成長ホルモン欠乏という形の視床下部障害;特発性発育不全;小人症;巨人症;先端巨大症;生物リズムおよび概日リズム障害;神経障害、神経障害性疼痛、下肢静止不能症候群などの疾患に関連した睡眠障害;心・肺疾患、急性・鬱血性心不全;低血圧;高血圧;尿閉;骨粗鬆症;狭心症;心筋梗塞;虚血性または出血性発作;クモ膜下出血;潰瘍;アレルギー;良性前立腺肥大;慢性腎不全;腎疾患;耐糖能障害;偏頭痛;痛覚過敏;疼痛;痛覚過敏、灼熱痛、異痛症などの疼痛感受性増強または過大;急性疼痛;熱傷痛;非定型顔面痛;神経障害性疼痛;背部痛;複合局所性疼痛症候群IおよびII;関節炎性疼痛;スポーツ外傷痛;感染、たとえばHIVに関連した疼痛、化学療法後の疼痛;発作後疼痛;術後痛;神経痛;過敏腸管症候群、偏頭痛、狭心症などの内臓痛に関連した状態;膀胱尿失禁、たとえば切迫尿失禁;麻薬耐性または麻薬離脱症状(禁断症状);睡眠時無呼吸;ナルコレプシー;不眠;錯眠;および脱抑制・痴呆・パーキンソン病・筋萎縮複合症などの疾病分類学的単位を包含する神経変性障害;淡蒼球・橋・黒質変性癲癇;発作障害ならびに一般のオレキシンに関連する疾患。
【0004】
今まで、いくらかの低分子量化合物は知られている。これらは、特に、OXかまたはOXのどちらか、あるいは同時に両方の受容体に拮抗する能力を有している。国際公開第99/09024、国際公開第99/58533、国際公開第00/47576、国際公開第00/47577および国際公開第00/47580では、以前にスミスクラインビーチャムがOXの選択的拮抗薬としてフェニル尿素、フェニルチオ尿素およびシアナミド誘導体を報告している(特許文献1、2、3、4、5参照)。さらに最近では、万有製薬から国際公開第01/85693が公開され、そのなかでN−アシルテトラヒドロイソキノリン誘導体が開示されている(特許文献6参照)。2−アミノ−メチルピペリジン誘導体(国際公開第01/96302)、3−アミノメチル−モルホリン誘導体(国際公開第02/44172)およびN−アロイル環状アミン類(国際公開第02/090355、国際公開第02/089800および国際公開第03/051368)が以前にスミスクラインビーチャムによりオレキシン受容体拮抗薬として提案された(特許文献7、8、9、10、11参照)。関連化合物が国際公開第03/002559、国際公開第03/002561、国際公開第03/051873、国際公開第03/032991および国際公開第03/041711に開示されている(特許文献12、13、14、15、16参照)。さらにベンズアミド誘導体(国際公開第03/037847)およびエチレンジアミン誘導体(国際公開第03/051872)が以前にスミスクラインビーチャムによって公表された(特許文献17、18参照)。国際公開第01/68609および国際公開第02/051838は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンおよび新規ベンズアゼピン誘導体をオレキシン受容体拮抗薬として開示している(特許文献19、20参照)。
【特許文献1】国際公開第99/09024
【特許文献2】国際公開第99/58533
【特許文献3】国際公開第00/47576
【特許文献4】国際公開第00/47577
【特許文献5】国際公開第00/47580
【特許文献6】国際公開第01/85693
【特許文献7】国際公開第01/96302
【特許文献8】国際公開第02/44172
【特許文献9】国際公開第02/090355
【特許文献10】国際公開第02/089800
【特許文献11】国際公開第03/051368
【特許文献12】国際公開第03/002559
【特許文献13】国際公開第03/002561
【特許文献14】国際公開第03/051873
【特許文献15】国際公開第03/032991
【特許文献16】国際公開第03/041711
【特許文献17】国際公開第03/037847
【特許文献18】国際公開第03/051872
【特許文献19】国際公開第01/68609
【特許文献20】国際公開第02/051838
【発明の開示】
【0005】
本発明は、ヒトオレキシン受容体の非ペプチド性拮抗薬であるキノキサリノン誘導体から成る。従って、これらの化合物は、睡眠障害/覚醒スケジュール、睡眠障害(例えば、不眠症、無呼吸、ジストニア)またはストレス関連障害(不安障害、気分障害、血圧の障害)またはオレキシンの障害に関連するその他の障害と同様に、恒常性障害や摂食障害(例えば、過食症、肥満症、食品乱用、強迫的摂食)または過敏症性腸症候群の治療に潜在的に用いることが可能である。
【0006】
本発明は一般式(I)の新規キノキサリノン誘導体に関する。
【化2】

式中:

Xは、O、NH、N-CNであり;

nは、整数0、1、2、3であり;

m は、整数0、1、2、3であり;

、R、R、Rは、独立して、シアノ、ハロゲン、水素、ヒドロキシル、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、 C-C アルコキシ、 C-C アルケニルオキシ、 トリフルオロメトキシ、 シクロアルキルオキシを表し、またはRおよびRは共にもしくはRおよびRは共にと同様、R およびR は共に、これらの基が結合しているフェニル環とで、酸素原子1個、または酸素原子2個が少なくとも1個の炭素原子で分離されているもの、を含む5、6または7員環を形成してもよく ;

は、水素、C-C アルキル、C-C アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキル-C-C アルキル、 -(CH)-O-C-C アルキル、-(CH)-COOH、 -(CH)-CO-C-C アルキル、-(CH)-CONH、-(CH)-CONH-C-C アルキル、-CON-(C-C アルキル)、-(CH)-N-C-Cアルキルを表し;

は、水素、C-Cアルキル、シクロアルキル、シクロアルキル-C-C アルキルを表し;

は、水素; C-C アルキル; C-C アルケニル;または置換基が独立して、C-C アルキル、C-Cアルコキシ、C-C アルケニルもしくはハロゲンであるモノ-、 ジ-もしくはトリ-置換フェニルもしくはフェニル-C-C アルキル; -(CH)-OH; -(CH)-O-C-Cアルキル; -(CH)-COH; -(CH)-CO-C-Cアルキル; -(CH)-CONH; -(CH)-CONH-C-Cアルキル; -CON-(C-Cアルキル)を表し;

は、未置換フェニル;未置換ピリジル;未置換フェニル-C-Cアルキル;未置換ピリジル-C-Cアルキル;または置換基が、独立して、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシもしくはハロゲンであるモノ-、ジ-もしくはトリ-置換フェニル、ピリジル、フェニル-C-C アルキルもしくはピリジル-C-C アルキルを表し;

は、C-Cアルキル、C-C アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキル-C-C アルキル、未置換フェニル-C-Cアルキル;または置換基が独立してC-Cアルキル、 C-Cアルコキシ、 トリフルオロメチル、 トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシもしくはハロゲンであるモノ-、ジ-もしくはトリ-置換フェニルもしくはフェニル-C-C アルキルを表す;
【0007】
式(I)の化合物は、一つまたは一つ以上の不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、 エナンチオマーの混合物、 例えば、ラセミ体、 光学的に純粋なジアステレオアイソマー、ジアステレオアイソマーの混合物、ジアステレオアイソマーのラセミ体、ジアステレオアイソマーのラセミ体混合物、またはメソ形および医薬品として許容可能なそれらの塩の形で存在できる。
【0008】
本明細書において、用語「 C-C アルキル」は、単独でまたは組み合わせて、炭素原子が1乃至5個の直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。直鎖および分岐鎖 C-C アルキル基の例は、メチル、 エチル、n-プロピル、イソプロピル、
n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、異性体ペンチルであり、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルおよびn-ペンチルである。
【0009】
用語「C-C アルケニル」は、 単独でまたは組み合わせて、 炭素原子が2乃至5の直鎖または分岐鎖のアルケニル基を意味し、好ましくはアリルおよびビニルである。
【0010】
用語「C-C アルコキシ」は、単独でまたは組み合わせて、一般式C-C-アルキル-O-を意味し、ここで「C-C-アルキル」は先に定義した意味を有し、例えばメトキシ、 エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシおよびtert-ブトキシ、好ましくはメトキシおよびエトキシである。
【0011】
用語「C-C アルケニルオキシ」は、単独でまたは組み合わせて、一般式C-C-アルケニル-O-の基を意味し、ここで「C-C-アルケニル」は先に定義した意味を有する。好ましい C-C アルケニルオキシ基は、ビニルオキシおよびアリルオキシである。
【0012】
用語「シクロアルキル」は、単独でまたは組み合わせて、3乃至8個の炭素原子を有するシクロアルキル環、好ましくは3乃至6個の炭素原子を有するシクロアルキル環を意味する。
-C シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルであり、好ましくはシクロプロピル、シクロヘキシルまたはメチル-シクロプロピル、ジメチル-シクロプロピル、メチル-シクロブチル、 メチル-シクロペンチル、メチル-シクロヘキシル、またはジメチル-シクロヘキシルなどのC-C アルキル置換シクロアルキルである。
【0013】
用語「アリール」は、単独でまたは組み合わせて、1個または1個以上の置換基、好ましくは1個または2個の置換基を任意に有するフェニル基またはナフチル基を意味し、該置換基は、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、C-C アルキル、C-C アルケニル、 C-C アルコキシ、C-C アルケニルオキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、またはアルコキシカルボニルから独立に選ばれる。例えば、フェニル、p-トリル、4-メトキシフェニル、4-tert-ブトキシフェニル、 4-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、4-ヒドロキシフェニル、1-ナフチルおよび2-ナフチルである。好ましくはカルボキシフェニル、C-C アルコキシ-フェニル、ヒドロキシフェニルであり、特にフェニルである。
【0014】
用語「アルアルキル」は、単独でまたは組み合わせて、1個の水素原子が先に定義したと同じアリール基により置換されているC-C -アルキルまたはシクロアルキル基を意味する。好ましくは、ベンジルおよびフェニル環がヒドロキシ、C-C アルキル、 トリフルオロメチル、C-C アルコキシまたはハロゲン、好ましくはフッ素で置換されているベンジルである。特に好ましいものはベンジルである。
【0015】
用語「ヘテロシクリル」および「ヘテロシクリル-C-C アルキル」について、ヘテロシクリル基は、好ましくは、5-乃至10-員の単環または二環であり、これらは同一または異なる酸素、窒素および硫黄から選択される例えば1、2または3個のヘテロ原子を含む飽和、部分的に不飽和、または芳香族のものでもよい。このようなヘテロシクリル基の例はピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、キノオキサリニル、フタラジニル、シンノリニル、ジヒドロピロリル、ピロリジニル、イソベンゾフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピラニルである。ヘテロシクリル基は5まででもよく、好ましくは1、2または3個の任意の置換基を有するものである。適当な置換基の例にはハロゲン、C-C アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C-C アルコキシ、カルボキシおよびC-C アルキルオキシ-カルボニルが含まれる
【0016】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素または沃素を意味し、好ましくは塩素およびフッ素であり、特にフッ素である。
【0017】
用語「カルボキシ」は、単独でまたは組み合わせて、-COOH 基を意味する。
【0018】
好ましい化合物は、一般式(I)において、nが整数0、1または2であり、mが整数0、1または2であり、R、R、R、R、R、R、R、R およびRが上記一般式(I)で定義した意味を有し、Xが酸素およびN-CNを表す化合物である。
【0019】
一般式(I)のその他の好ましい化合物は、nが整数0であり、mが整数0であり、R、R、R、R、R、R、R、R およびRが上記式(I)で定義したものと同じ意味を有し、およびXは酸素を表す化合物である。
【0020】
一般式(I)のさらに好ましい化合物は、nが整数0であり、mが整数0であり、R がメチルを表し、R がフェニルを表し、R、R、R、R、R、R およびRが上記式(I)で定義したものと同じ意味を有し、Xが酸素を表す化合物である。
【0021】
好ましい化合物の例は下記のものである:
1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-1-(1-フェニル-エチル)-3-(2-プロピル-フェニル)-尿素;

3-ビフェニル-2-イル-1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル]-1-[1-フェニル-エチル)尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-1-(1-フェニル-エチル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-1-((S)-1-フェニル-エチル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-1-((R)-1-フェニル-エチル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル-1-(2-メトキシ-(S)-1-フェニル-エチル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル-1-(2-メトキシ-(R)-1-フェニル-エチル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素;

(R)-2-{3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-ウレイド}-2-フェニル-アセトアミド;

(3-{1-[3-(エトキシ-フェニル)-1-(1-フェニル-エチル)-ウレイド]-エチル}-2-オキソ-2H-キノキサリン-1-イル)-酢酸エチル エステル;

2-{3-[3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(1-フェニル-エチル)-ウレイドメチル]-2-オキソ-2H-キノキサリン-1イル}-アセトアミド;

1-ベンジル-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル-メチル)-尿素;

1-ベンジル-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル-メチル)-1-(1-フェニル-エチル)-尿素;

(S)-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-1-(1-フェニル-エチル)-尿素;

1-(6-クロロ-ピリジン-3イルメチル)-3(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2イルメチル)-尿素;

(S)-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素;

(R)-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(2-ヒドロキシ-(S)-1-フェニル-エチル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(2-メトキシ-(S)-1-フェニル-エチル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(3-ヒドロキシ-(S)-1-フェニル-プロピル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-1-((S)-2-フェニル-プロピル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-1-[-1-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-1-[-1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-尿素;

N-(2-エトキシ-フェニル)-N-[1-(-4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル)-N’-1-フェニル-エチル-シアノグアニジン.
【0022】
本発明は、式(I)の化合物の生理学的に使用可能な塩、または医薬品として許容可能な塩を包含する。これは、塩酸、硫酸またはリン酸などの生理学的に両立可能な鉱酸;あるいはギ酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸またはサリチル酸などの有機酸との塩類を包含する。酸性である式(I)の化合物も生理学的に両立可能な塩基とで塩類を形成できる。このような塩類の例は、Na、K、Caまたはテトラアルキルアンモニウム塩のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびアルキルアンモニウム塩である。包括的リストは、文献(「Handbook of Pharmaceutical Salts」, P.H. Stahl, C.G. Wermuth Eds., Wiley-VCH、Weinheim/Zurich 2002年,329-350頁)を参照のこと。式(I)の化合物はまた両性イオンの形態で存在することもできる。
【0023】
本発明は、一般式(I)の化合物の様々な溶媒和コンプレックスをも包含する。この溶媒和は製造工程の過程で生じることができ、あるいは、例えば一般式(I)の最初は無水化合物の吸湿性の結果として別に生じることができる。
【0024】
本発明は、さらに、様々な形態学上の形状、例えば、一般式(I)の化合物およびそれらの塩ならびに溶媒和コンプレックスの結晶形を包含する。特定の異形体は、それぞれ異なった溶解性、安定度プロフィール等を示し、これらはすべて本発明の範囲内に含まれる。
【0025】
式(I)の化合物は、1個または数個の不斉中心をもつことができ、そして、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマー混合物、例えば、ラセミ体、光学的に純粋なジアステレオアイソマー、ジアステレオアイソマー混合物、ジアステレオアイソマーラセミ体またはジアステレオアイソマーラセミ体混合物およびそれらのメソ形の形で存在できる。
【0026】
一般式(I)の化合物およびそれらの医薬品として使用可能な塩は、オレキシンの役割に関連する病気または疾患の治療のための薬剤として使用できる。このような病気または疾患には、摂食障害、糖尿病、プロラクチノーマ、心臓血管障害、癌、疼痛、ナルコレプシー、不眠症のような睡眠障害、睡眠無呼吸、錯眠、鬱病、不安、嗜癖、精神分裂病、神経変性疾患および痴呆が含まれる。
【0027】
一般式(I)の化合物は、また、摂食障害、睡眠障害、心臓血管障害、癌、疼痛、鬱病、精神分裂病または神経変性疾患を含むオレキシンの役割に関連する疾患の治療のための薬剤の製造にも用いることができる。
【0028】
一般式(I)の化合物およびそれらの医薬品として使用可能な塩は、特に摂食障害および睡眠障害の治療に有用である。
【0029】
式(I)の好ましい化合物は100nM以下のIC50値を有しており、特に好ましい化合物は10nM以下のIC50値を有している。これらの値は、実験の項の始めに記載されているFLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)法で測定されたものである。
【0030】
一般式(I)の化合物は、また、他のオレキシン受容体拮抗薬を含むその他の薬理学上活性な化合物と共に、脂質降下剤と共に、食欲抑制剤と共に、睡眠誘発剤と共に、抗うつ剤と共に、または上記疾患の予防または治療のために有益な他の薬剤と共に、組み合わせて用いてもよい。
【0031】
式(I)の化合物およびそれらの医薬品として使用可能な塩は、医薬(例えば医薬品の形で)として用いることができる。ゆえに、式(I)の化合物および通常の担体物質およびそれの補助剤を含む医薬組成物もまた本発明の範囲内にある。式(I)の化合物を一種または一種以上含むこれらの医薬組成物は、摂食障害および睡眠障害、心臓血管障害、癌、疼痛、鬱病、精神分裂病または神経変性疾患を含むオレキシンの役割に関連する疾患の治療のために用いられる。
【0032】
医薬品製造物は内服的に、例えば経口内に(例えば錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、および硬・軟ゼラチンカプセル、溶液、乳剤または縣濁液の形で)、鼻腔内に(例えば、鼻腔内スプレーの形で)または直腸内(例えば坐剤の形で)に投与できる。しかし、その投与は、また非経口的、例えば筋肉内または静脈内(例えば注射液の形で)あるいは局所的に、例えば、軟膏、クリーム、オイルの形でも有効である。
【0033】
式(I)の化合物およびこれらの医薬品として使用可能な塩は医薬品として不活性な無機または有機の補助剤と共に、錠剤、被覆錠剤、糖衣剤、および硬ゼラチンカプセルの製造に使用できる。ラクト−ス、コーンスターチまたはそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などが例えば錠剤、糖衣錠および硬ゼラチンカプセルの補助剤に使用できる。軟ゼラチンカプセルに適する補助剤は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体物質および液体ポリオール類などである。溶液やシロップの製造に適する補助剤は、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコースなどである。注射液に適する補助剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。坐剤用に適する補助剤は、例えば、天然または硬化油、ワックス、脂肪、半固体または液体ポリオールなどである。
【0034】
さらに、医薬品製造物は保存剤、溶解剤、粘度増強剤、安定剤、保湿剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、矯味剤、浸透圧を変えるための塩類、緩衝剤、遮光剤または抗酸化剤を含有できる。式(I)の化合物は、一種または一種以上の他の治療上有用な物質を併用してもよい。たとえば、フェンフルラミンおよび関連物質などの食欲抑制薬;オーリスタットおよび関連物質などのリパーゼ阻害薬;フルオキセチン及び関連物質などの抗うつ剤、アルプラゾラムおよび関連物質などの抗不安薬;ゾピクロンおよび関連物質などの睡眠薬;その他治療に役立つ物質と併用してもよい。
【0035】
本発明の別の目的は、ヒトオレキシン受容体の拮抗薬を必要とする病気または疾患の治療方法または予防方法にあり、この方法は、式(I)の化合物または医薬品として許容可能な塩を治療上有効な用量をそれを必要とする患者に投与することを含む。
【0036】
式(I)の化合物の治療上有効な用量は、抑制すべき疾患、患者の年齢や個々の状態、投与方法により広い範囲内で変更でき、それぞれの特定の状況に適合したものであるべきである。成人患者1人当りの1日の用量は約1mg〜1000mg、特に約50mg〜約500mgが考慮される。医薬品製造物は、通常、式(I)の化合物を約1−500mg、好ましくは5−200mg含む。
【0037】
さらに、本発明は、また、摂食障害、睡眠障害、心臓血管障害、癌、疼痛、鬱病、精神分裂病または神経変性疾患を含むオレキシンの役割に関連する疾患の治療ための医薬組成物の製造方法に関し、当該医薬組成物は、式(1)の一種または一種以上の化合物または医薬品として許容可能なそれらの塩を活性成分として含み、当該方法は、一つまたは一つ以上の活性成分を、医薬品として許容可能な賦形剤および補助剤とそれ自体既知の方法で混合することからなる。
【0038】
本発明の一般式(I)の化合物は、下記スキームに概略を示した一般的反応順序に従って製造され、ここで、R、R、R、R、R、R、R、R 、R、Xおよびnは上記式(I)で定義したものと同義である。得られる化合物が1個または1個以上の光学的に活性な炭素原子をもつ場合、それらはそれ自体既知の方法で純粋なエナンチオマーまたはジアステレオマー、エナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体およびそのメソ形に分割してもよい。
【0039】
得られる化合物は、それ自体既知の方法で医薬品として許容可能なそれらの塩に転化可能である。
【0040】
スキーム1に示したように、一般式(I)の化合物は、対応する1,2-フェニレンジアミン誘導体からこれをエタノール中で所望の2-オキソカルボン酸と還流させて製造できる (Lawrence D. S. ら, J.Med.Chem. 2001年, 44巻, 4号, 594-601頁; Bekerman D. G. ら, Journal of Heterocyclic Chem. 1992年, 29巻, 1号, 129-133頁参照)。引続きR-I/ NaOH/ TBAB (Abdel-Ghany H.ら, Synth. Commun., 1990年, 20巻, 6号, 893-900頁)か、R-Cl/ NaOEt/ EtOH (Hermecz I. ら, Heterocycles 1998年, 48巻, 9号, 1851-1866頁) でアルキル化を行ない、その後、ブロム化して対応するブロム中間体にする。対応する第一アミンを用いた第二のアルキル化は第二アミンを生成し、これを市販から入手した、または合成したイソシアネートと反応させて所望の尿素化合物に転換させる(スキーム 1) (March J. Advanced Organic Chemistry-Reactions, Mechanisms and Structure 1992年, 418頁, 第4版, John Wiley & Sons)。
【化3】

【0041】
一般式(I)の化合物は、また、入手可能な1-クロロ-2-ニトロベンゼン誘導体から生成してもよい (下記のスキーム 2 参照)。次の文献で報告されている方法により塩基条件下でアミノ化し、ついで生成したニトロベンゼン誘導体を水素化して所定のアニリン中間体を得る ( Obase H. ら, J. Heterocyclic Chem. 1983年, 20巻, 565-573頁)。この中間体をスキーム1に記載したと同じ条件を用いて対応するキノキサリノン誘導体に転換する。
【化4】

【0042】
一般式(I)で、Rが水素である化合物は、3-ホルミル-キノキサリン-2-オン誘導体 ( Ismail M.F. ら, Ind. J. Chem. 1981年, 20B巻, 5号, 394-397頁および Farghaly A.M. ら, Farmaco, 1990年, 45巻, 4号, 431-438頁に従って、対応する3-メチル-キノキサリン-2-オン誘導体を二酸化セレンで酸化して合成) を、合成するか或いは市場で入手した第一アミンを用いて還元アミノ化することにより製造してもよい(スキーム 3)。生成した第二アミン中間体は、ついでスキーム1に記載した同じ条件を用いて所望のキノキサリノン誘導体に転換される。
【化5】

【0043】
一般式(I)で、R がアリールで、XがN-CN (シアノ-グアニジン類似体) である化合物は、既知の方法 (Poindexter G.S.ら, WO98/ 54136; Atwal K.S. ら, Tetrahedron Letters, 1989年, 30巻, 52号, 7313-7316頁; Atwal K.S. ら, J. Med. Chem. 1995年, 38巻, 1966-1973頁) を用い、合成するか市場で入手できるイソチオシアネートから合成可能である(スキーム 4)。
【化6】

【0044】
実験の部

I. 生物学

OX および OX 受容体拮抗活性の測定

一般式(I)の化合物の OXおよびOX 受容体拮抗活性は、次の実験法に従って測定された。

実験方法
1.細胞内カルシウム濃度の測定
ヒトオレキシン-1受容体およびヒトオレキシン-2受容体を発現しているチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をそれぞれ300μg/mlのG418、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび10%不活性化牛胎児血清(FCS)を含む培地(L-グルタミン含有ハムF-12)で培養した。予め、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)に溶解した1%ゼラチンで被覆した96穴の黒色の透明底の滅菌プレート(コースター)に1穴当り80、000個の細胞を播種した。全ての試薬はギブコ(Gibco)BRLからのものであった。播種したプレートを37℃で一晩5%のCO下でインキュベートした。作働薬のヒトオレキシン-Aを、メタノールと水の混合溶液(1:1)に1mMの保存溶液として調製し、試験での使用に際しては0.1%牛血清アルブミン(BSA)および2mMのHEPESを含むHBSSに10nMの最終濃度に希釈した。拮抗薬はDMSOに10mMの保存溶液として調製したのち、96穴のプレートに、最初はDMSOで、それから0.1%牛血清アルブミン(BSA)および2mMのHEPESを含むHBSSで希釈した。試験日に、負荷培地100μl(1%のFCS、2mMのHEPES、5mMのプロベネシド(シグマ)および3μMの蛍光カルシウム指示薬のフルオ-3AM(1mMの保存溶液は10%のプルロン酸を含むDMSOに溶解)(モルキュラープローブス社製)を含むHBSSを各穴に添加した。その96穴プレートを37℃で60分間、5%CO下でインキュベートした。それから、負荷溶液を吸引し、細胞を2.5mMのプロベネシド、0.1%のBSA、2mMのHEPESを含有する200μlのHBSSでもって3回洗浄した。同一の緩衝液100μlを各穴に残した。
蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR、モルキュラーデバイセス社製)内で、50μlの容量の拮抗薬をプレートに添加し、20分間インキュベートし、最後に100μlの作働薬を加えた。各穴の蛍光を1秒間隔で測定し、各蛍光ピークの高さを、拮抗薬を緩衝液に代えた10nMのオレキシン-Aによって誘発される蛍光ピークの高さと比較した。各拮抗薬に対して、IC50値(作動薬による反応を50%抑制するために必要とされる化合物の濃度)を測定した。化合物を1nM〜100nMの範囲のOXおよびOX受容体の拮抗活性の平均値として示す。
【0045】
2.インビボ(生体内)検定

実験用ラットにおける無線遠隔測定により求めたホームケージ内自発活動性および体温

本検定の目的は、本発明の一般式(I)に従った化合物を経口投与したのちのラットの日周期行動の活動度を記録することである。

雄性ウィスターラットにおいて遠隔測定により求めたホームケージ内活動性の低下を、限られた数のキノキサリノン誘導体の睡眠導入能の指標であると考えた。
抗うつ薬、抗精神病薬、睡眠導入薬、精神刺激薬などの精神作用薬は、実験動物への経口投与後にホームケージ内活動性および体温を減少・低下または増強・上昇させることがよく知られている。体温調節は、代謝、エネルギーバランスおよび行動を調和させることによってホメオスタシス(恒常性)に寄与する複雑なプロセスである。体温は、日周期行動の活動度とともに変化し、移動運動が増すと、上昇する。意識があり、自由に移動できるウィスターラットで、これら2つのパラメータを遠隔測定によって測定した。麻酔した動物の腹膜腔内に、無菌条件下に、体温/活動度遠隔測定装置を植え込んだ。遠隔測定系の植え込みから2週間以上経過してから、5分間隔で96時間にわたりデータを収集した。各ラットについて、1時間当りの平均を算出した。最初の48時間分は内部対照追跡データとして用い、薬物の効果を賦形剤からなるプラセボと比較した。この方法は、ゾルピデムなどのGABA−A受容体調節物質によって惹起される活動低下および体温低下の振幅および時間的経過の測定によって薬理学的に妥当性が証明されている。
【0046】
II.化学

以下の実験は本発明の薬理学的に活性を有する化合物の製造方法を説明しているがそれらの範囲はまったく限定されるものではない。温度はすべて℃で示した。塩酸塩はすべてジクロロメタン中にその遊離塩基を溶かし、ついで過剰のエーテル性HCl(2M)で処理して製造した。
【0047】
A. 略号リスト:

AcOEt 酢酸エチル
AcOH 酢酸
BSA ウシ血清アルブミン
br ブロード(NMR)
CHO チャイニーズハムスター卵巣
d 二重線(NMR)
DMAP 4-(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF ジメチルホルミアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC-HCl 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩
eq 当量
ES 電子スプレー
EtOH エタノール
FC フラッシュクロマトグラフィー
FCS ウシ胎児血清
FLIPR 蛍光イメージングプレートリーダー
H 時間
HBSS ハンクス平衡塩溶液
HEPES 4-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-1-エタンスルホン酸
m 多重線(NMR)
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
Min. 分
MS 質量分析
NaOAc 酢酸ナトリウム
NMR 核磁気共鳴
LC 液体クロマトグラフィー
q 四重線(NMR)
RaNi ラネーニッケル
保持時間
rt 室温
s 一重線(NMR)
t 三重線(NMR)
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
【0048】
B. 1H-キノキサリン-2-オン 誘導体

1) 一般的手順:

1,2-フェニレン-ジアミン誘導体(1 g)および2-オキソ-カルボン酸誘導体(1 eq)をドライのEtOH (35 mL)中に含む混合液を窒素下で2時間還流温度で撹拌した。冷却後に、エタノールを蒸発させて未精製の褐色固形物を得た。エタノールから再結晶して所望のキノキサリン-2-オン誘導体を得た。
【0049】
a) 3-エチル-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化7】

N-メチル-1,2-フェニレン-ジアミンおよび2-オキソ-酪酸とを反応させて、エタノールによる再結晶後に表題化合物を得た。
LC-MS: Rt = 3.81min. m/z= 189 (M+1).
H-NMR (300MHz; CDCl) δ = 1.35 (3H, t), 3.0 (2H, q), 3.7 (3H, s), 7.3 (2H, m), 7.5 (1H, t), 7.85 (1H, d).
【0050】
b) 1,3-ジメチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化8】

N-メチル-1,2-フェニレン-ジアミンおよびピルビン酸とを反応させて、エタノールによる再結晶後に表題化合物を得た。
LC-MS: Rt =3.26 min. m/z= 175 (M+1).
H-NMR (300MHz; CDCl) δ= 2.6 (3H, s), 3.7 (3H, s), 7.3 (2H, m), 7.55(1H, t), 7.8(1H, d).
【0051】
c) 3-エチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化9】

1,2-フェニレン-ジアミンおよび2-オキソ-酪酸との反応により、再結晶(EtOH)後に褐色固体の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt =3.36 min. m/z=175(M+1).
H-NMR (300MHz; CDCl) δ=2.4 (3H, t), 3.1 (2H, q), 7.3 (2H, m), 7.5 (1H, t), 7.85 (1H, d).
【0052】
d) 3-メチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化10】

1,2-フェニレン-ジアミンおよびピルビン酸との反応により、再結晶(EtOH)後に、ベージュ色の固体の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt =2.91 min. m/z= 161 (M+1).
H-NMR (300MHz; DMSO-d) δ=2.4 (3H, s), 7.25 (2H, m), 7.45 (1H, m), 7.85 (1H, d),12.25 (1H, br.s).
【0053】
e) (3-エチル-2-オキソ-2H-キノキサリン-1-イル)-酢酸エチルエステル
【化11】

3-エチル-1H-キノキサリン-2-オン(1.6 g)、クロロ酢酸エチル(1.1 eq)、NaOEt (1.1eq)をドライのEtOH(15 mL)中に含む混合液を窒素下還流温度で16時間撹拌した。冷却後、反応混合液を真空下で蒸発し乾燥させ、残留物をエーテル中に溶かした。得られた溶液を飽和NaHCO 溶液、 水で洗浄し、乾燥(無水MgSO)、ろ過、および真空中で濃縮して、粗褐色-オレンジ色の固体を得た。
FC (AcOEt/ヘプタン: 7/3) により表題化合物の褐色固体を得た。
LC-MS: Rt = 2.91 min. m/z= 261 (M+1).
H-NMR (300MHz; CDCl) δ=1.35 (6H, m), 3.00 (2H, q), 4.25 (2H, q), 5.00 (2H, s), 7.05 (1H, d), 7.35 (1H, t), 7.55(1H, t), 7.85 (1H, d).
【0054】
2) 3-ブロモメチル-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化12】

1,3-ジメチル-1H-キノキサリン-2-オン(1g)、無水酢酸ナトリウム(0.565 g)を氷酢酸(10 mL)中に含む混合液に、氷酢酸(6 mL)中に臭素 (0.295 mL)を溶解した溶液を10分間にわたって滴状にして添加した。得られた混合物を窒素下室温で2時間撹拌し、さらに水 とCHClを続けて加えた。水性層をCHClでもう一度抽出し、一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、 ろ過、濃縮して、未精製の褐色・オレンジ色の残留物を得た。FC(AcOEt/ヘプタン:1/1)により、ピンク色-オレンジ色の固体の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt=3.91 min. m/z=254 (M+1).
H-NMR(300MHz; CDCl) δ=3.75 (3H, s), 4.7 (2H, s), 7.35 (2H, m), 7.6(1H, m), 7.85(1H, dd).
【0055】
3) 3-(1-ブロモ-エチル)-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化13】

3-エチル-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(1g)と無水酢酸ナトリウム(0.523 g)を氷酢酸(10 mL)中に含む混合物に、氷酢酸(6 mL)中に臭素(0.273 mL)を溶解した溶液を10分にわたって滴状にして添加した。 得られた淡黄色の縣濁液を窒素下室温で2時間撹拌、0℃に冷却、ろ過、冷水で洗浄し、淡黄色の固体の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt =3.91 min. m/z=268 (M+1).
H-NMR(300MHz; CDCl) δ=2.1 (3H, t), 3.75 (3H, s), 5.7 (1H, m), 7.35 (2H, m), 7.6 (1H, m), 7.85 (1H, dd).
【0056】
4) [3-(1-ブロモ-エチル)-2-オキソ-2H-キノキサリン-1-イル] 酢酸エチルエステル
【化14】

(3-エチル-2-オキソ-2H-キノキサリン-1-イル)-酢酸エチルエステル(1g)と無水酢酸ナトリウム(0.38 g)を氷酢酸(10 mL)中に含む混合物に、氷酢酸(6 mL)中に臭素 (0.2 mL)を溶解した溶液を10分間にわたって滴状にして添加した。得られた淡黄色の縣濁液を窒素下室温で2時間撹拌し、水/CHClを一緒にし、水層をCHClでもう一回抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して、未精製の褐色・オレンジ色の残留物を得た。
FC (AcOEt/n-ヘプタン: 1/1)により、ベージュ色の固体の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt =2.91 min. m/z=340 (M+1).
H-NMR (300MHz; CDCl) δ=1.25 (3H, m), 2.1 (3H, d), 4.25 (2H, q), 5.9 (1H, d), 6.2 (1H, d), 6.7 (1H, q), 7.1 (1H, d), 7.35 (1H, t), 7.55 (1H, t), 7.9 (1H, d).
【0057】
5) 1- メチル-3-[(R,S)-1-((S)-1-フェニル-エチルアミノ)-エチル]-1H-キノキサリン-2-オン
【化15】

ドライのTHF(1 mL)中にrac-3-(1-ブロモ-エチル)-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(0.1 g)、 (S)-(-)-α-メチルベンジルアミン(0.049 mL)およびTEA (0.052 mL)を含む混合物を不活性雰囲気下で還流温度で20時間撹拌した。室温にまで冷却後、反応混合物を水/CHClと一緒にし、水層をCHClでさらに一回抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して、未精製の褐色-オレンジ色の残留物を得た。
FC (CHCl/MeOH: 9/1)により、褐色-オレンジ色の粘凋油の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt = 0.71 min. m/z= 308 (M+1).
【0058】
6) 1-メチル-3-[(R,S)-1-((R)-1-フェニル-エチルアミノ)-エチル]-1H-キノキサリン-2-オン
【化16】


ドライのTHF(1 mL)中にrac-3-(1-ブロモ-エチル)-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(0.1 g)、(R)-(+)-α-メチルベンジルアミン(0.049 mL)、およびTEA(0.052 mL)を含む混合物を不活性雰囲気下、還流温度で20時間撹拌した。室温にまで冷却した後、反応混合物を水/CHClと一緒にし、水層をCHCl でもう一回抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して未精製の褐色-オレンジ色の残留物を得た。
FC(CHCl/ MeOH:9/1)により、オレンジ色の粘性油として表題化合物を得た。
LC-MS: Rt = 0.71 min. m/z= 308 (M+1).
【0059】
7) 1- メチル-3-[1-(1-フェニル-エチルアミノ)-エチル]-1H-キノキサリン-2-オン (ジアステレオアイソマーの混合物).
【化17】

ドライのTHF(1 mL)中にrac-3-(1-ブロモ-エチル)-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(0.1 g)、DL(+/-)-α-メチルベンジルアミン(0.049 mL)、およびTEA(0.052 mL)を含む混合物を、不活性雰囲気下還流温度で20時間撹拌した。室温にまで冷却後、反応混合物を水/CHCl、と一緒にし、水層をCHClでもう一度抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して未精製の褐色-オレンジ色の残留物を得た。
FC(CHCl/ MeOH: 9/1)により、0.09gのオレンジ色の粘性油として表題化合物を得た。
LC-MS: Rt = 0.65および0.71 min. m/z= 308 (M+1).
【0060】
8) 3-(1-ベンジルアミノ-エチル)-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化18】

3-(1-ブロモ-エチル)-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(0.1 g)、ベンジルアミン(0.041 mL)、およびTEA(0.052 mL)を含有するドライのTHF(1 mL)混合液を不活性雰囲気下還流温度で20時間撹拌した。室温にまで冷却後、反応混合物を水/CHClと一緒にし、水層をCHClでもう一度抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して未精製の褐色-オレンジ色の残留物を得た。
FC(CHCl/ MeOH: 9/1)により、表題化合物をオレンジ色の粘性油として得た。
LC-MS: Rt = 0.69 min. m/z= 294 (M+1).
【0061】
9) 3-(ベンジルアミノ-メチル)-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化19】

ドライのTHF(1 mL)中に、3-ブロモメチル-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(0.1 g)、ベンジルアミン(0.043 mL)、およびTEA(0.055 mL)を含む混合物を不活性雰囲気下還流温度で20時間撹拌した。室温にまで冷却後、 反応混合物を水/CHClと一緒にし、水層をCHClでもう一回抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して未精製の褐色・オレンジ色の残留物を得た。
FC(CHCl/ MeOH: 9/1)により、表題化合物をオレンジ色の粘性油として得た。
LC-MS: Rt = 0.71 min. m/z= 280 (M+1).
【0062】
10) (R)-1-メチル-3-[(1-フェニル-エチルアミノ)-メチル]-1H-キノキサリン-2-オン
【化20】

ドライのTHF(1 mL)中に3-ブロモメチル-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン (0.1 g)、(R)-(+)-α-メチルベンジルアミン(0.05 mL)、およびTEA (0.055 mL)を含む混合液を不活性雰囲気下還流温度で20時間撹拌した。室温にまで冷却後、反応混合物を水/CHClと一緒にし、水層をCHClでもう一回抽出した。 一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して未精製の褐色-オレンジ色の残留物を得た。
FC(CHCl/ MeOH: 9/1) により表題化合物をオレンジ色の粘性油として得た。
LC-MS: Rt = 0.69 min. m/z= 294 (M+1).
【0063】
11) (S)-1-メチル-3-[(1-フェニル-エチルアミノ)-メチル]-1H-キノキサリン-2-オン
【化21】

3-ブロモメチル-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(0.1 g)、(S)-(-)-α-メチルベンジルアミン(0.05 mL)、およびTEA (0.055 mL)を含むドライのTHF(1 mL)の混合液を還流温度で20時間不活性雰囲気下で撹拌した。室温にまで冷却後、反応混合物を水/CHClと一緒にし、水層をCHClでもう一回抽出した。 一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して未精製の褐色-オレンジ色の残留物を得た。
FC(CHCl/ MeOH: 9/1)により、表題化合物をオレンジ色の粘性油として得た。
LC-MS: Rt = 0.69 min. m/z= 294 (M+1).
【0064】
12) 3-[(R,S)-1-(2-メトキシ-(S)-1-フェニル-エチルアミノ)-エチル]-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化22】

rac-3-(1-ブロモ-エチル)-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(0.1 g)、(S)-(+)-1-アミノ-1-フェニル-2-メトキシエタン(57 mg, 1eq)、およびTEA(0.055 mL)を含有しているドライのTHF(2.5 mL)の混合液を不活性雰囲気下還流温度で20時間撹拌した。室温にまで冷却後、反応混合物を水/CHClと一緒にし、水層をCHClでもう一回抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して未精製の褐色-オレンジ色の残留物を得た。
FC (CHCl/ MeOH: 9/1)により表題化合物を褐色-オレンジ色の粘性油として得た。
LC-MS: Rt 2.98 min. m/z= 338 (M+1).
【0065】
13) 3-[(R,S)-1-(2-メトキシ-(R)-1-フェニル-エチルアミノ)-エチル]-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化23】

rac-3-(1-ブロモ-エチル)-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン (0.1 g)、 (R)-(-)-1-アミノ-1-フェニル-2-メトキシエタン(57 mg, 1eq)、およびTEA (0.055 mL)を含有するドライのTHF(2.5 mL)の混合液を不活性雰囲気下還流温度で20時間撹拌した。室温にまで冷却後、反応混合物を水/CHClと一緒にし、水層をCHClでもう一回抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して未精製の褐色-オレンジ色の残留物を得た。
FC(CHCl/ MeOH:9/1)により表題化合物を褐色-オレンジ色の粘性油として得た。
LC-MS: Rt 2.98 min. m/z= 338 (M+1).
【0066】
14) {2-オキソ-3-[1-(1-フェニル-エチルアミノ)-エチル]-2H-キノキサリン-1-イル}-酢酸エチルエステル (ジアステレオアイソマーの混合物)
【化24】

[3-(1-ブロモ-エチル)-2-オキソ-2H-キノキサリン-1-イル] 酢酸エチルエステル (0.1 g)、 (D,L)-(+/-)-α-メチルベンジルアミン(35.8 mg, 1eq)、およびTEA(0.041 mL)を含有するドライのTHF(2.5 mL)の混合液を不活性雰囲気下還流温度で20時間撹拌した。室温にまで冷却後、 反応混合物を水/CHClと一緒にし、水層をCHClでもう一回抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して未精製の褐色-オレンジ色の残留物を得た。
FC(CHCl/ MeOH: 9/1)により褐色-オレンジ色の粘性油の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt 0.76 min. m/z= 380 (M+1).
【0067】
15) (R)-2-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチルアミノ]-2-フェニル-アセトアミド
【化25】

3-(1-ブロモ-エチル)-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(0.1 g)、(R)-(-)-2-フェニルグリシンアミド(57 mg, 1eq)、およびTEA(0.055 mL)がドライのTHF(2.5 mL)中に含有している混合液を還流温度で20時間不活性雰囲気下で撹拌した。室温にまで冷却後、反応混合物水/CHClと一緒にし、水層をCHClでもう一回抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して未精製の褐色-オレンジ色の残留物を得た。
FC(CHCl/ MeOH: 9/1)により表題化合物を淡褐色の粘性油として得た。
LC-MS: Rt 2.70 min. m/z= 337 (M+1).
【0068】
16) 3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-カルバルデヒド
【化26】

3-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(0.5 g)および二酸化セレン(0.728 g, 2.1 eq)をドライのジオキサン(33 mL)中に含有する混合液を窒素下還流温度で30分間撹拌した。冷却後に、暗褐色の混合液を減圧下で濃縮し、残留物をFC(AcOEt)で精製して表題化合物のオレンジ色の固体を得た。
H-NMR (300MHz; DMSO-d) δ=7.35 (2H, m),7.7 (1H, t), 7.9 (1H, d), 10.2 (1H, s), 12.8 (1H, br.s).
【0069】
17) 4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-カルバルデヒド
【化27】


1,3-ジメチル-1H-キノキサリン-2-オン(1 g)および二酸化セレン(1.33 g, 2.1 eq)をドライのジオキサン(60 mL)中に含有する混合液を窒素下還流温度で30 分間撹拌した。冷却後に、暗褐色の混合物を減圧下で濃縮し、残留物をFC (AcOEt)で精製して黄色固体の表題化合物を得た。
H-NMR (300MHz; DMSO-d) δ=3.8 (3H, s), 7.35-7.45 (2H, m), 7.7 (1H, t), 8.1(1H, d), 10.5 (1H, s).
【0070】
18) (S)-3-[(1-フェニル-エチルアミノ)-メチル]-1H-キノキサリン-2-オン
【化28】

3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-カルバルデヒド(0.1 g)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.182 g, 1.5 eq)、および(S)-(-)-α-メチルベンジルアミン(70 mg)をドライのCHCl(1.2 mL)中に含有する混合液 を窒素下室温で20時間撹拌した。ついで反応混合物を水に注ぎ、CHClで抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)、ろ過、真空中で濃縮して未精製油を得た。
FC(CHCl/ MeOH: 9/ 1)で精製して褐色油の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt= 0.66 min. m/z= 280 (M+1).
【0071】
19) 3-{[(6-クロロ-ピリジン-3-イルメチル)-アミノ-メチル]}-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化29】

4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-カルバルデヒド(0.1 g)、 トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.170 g, 1.5 eq)、および2-クロロ-5-アミノメチルピリジン(0.076 g, 1eq)をドライのCHCl (1.5 mL)中に含む混合液を室温で窒素下1日撹拌した。オレンジ色の反応混合液をNaHCO飽和溶液で塩基性にし、CHClで抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)、ろ過、真空中で濃縮して未精製油を得た。
FC (CHCl/ MeOH: 9/ 1) により表題化合物のオレンジ色油を得た。
LC-MS: Rt = 2.93 min. m/z= 315 (M+1).
【0072】
20) (S)-3-[(2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチルアミノ)-メチル]-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化30】

ドライのCHCl (1.5 mL)中に4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-カルバルデヒド (0.1 g)、水素化シアノほう素ナトリウム(0.05 g, 1.5 eq)、およびL-(+)-α-フェニルグリシノール(73 mg)を含む混合液を窒素下室温で15時間撹拌した。反応混合液を NaHCO飽和溶液で塩基性にしてからCHClで抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)、ろ過、真空中で濃縮して、粗油状物を得た。
FC (CHCl/ MeOH: 9/1)により精製して褐色固体の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt = 0.66 min. m/z= 310 (M+1).
【0073】
21) (S)-3-[(-2-メトキシ-1-フェニル-エチルアミノ)-メチル]-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化31】

ドライのCHCl (1.5 mL) 中に4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-カルバルデヒド(0.1 g)、水素化シアノほう素ナトリウム(0.05 g, 1.5 eq)、および(R)-(-)-1-アミノ-1-フェニル-2-メトキシエタン(72 mg)を含む混合液を、窒素下室温で16時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO 溶液で塩基性にし、CHClで抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)、ろ過、真空中で濃縮して未精製油を得た。
FC (CHCl/ MeOH: 9/1)で精製して表題化合物の褐色油を得た。
LC-MS: Rt = 0.72 min. m/z= 324 (M+1).
【0074】
22) (S)-1-メチル-3-[(2-フェニル-プロピルアミノ)-メチル]-1H-キノキサリン-2-オン
【化32】

4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-カルバルデヒド (0.1 g)、 水素化シアノほう素ナトリウム(0.05 g, 1.5 eq)、および(S)-2-フェニル-1-プロピルアミン(80 mg)をドライのCHCl (1.5 mL)中に含有する混合液を室温で窒素下16時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO溶液で塩基性にし、CHClで抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)、ろ過、真空濃縮して粗製油を得た。
FC (CHCl/ MeOH: 9/1)で精製して表題化合物の褐色油を得た。
LC-MS: Rt = 0.75 min. m/z= 308 (M+1).
【0075】
23) (S)-3-[(-3-ヒドロキシ-1-フェニル-プロピルアミノ)-メチル]-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン
【化33】

ドライのCHCl (2 mL)中に4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-カルバルデヒド(0.08 g)、水素化シアノほう素ナトリウム(0.04 g, 1.5 eq)、および(S)-3-アミノ-3-フェニル-プロパン-1-オール(65 mg)を含有する混合液を室温で窒素下16時間撹拌した。反応混合液を飽和NaHCO 溶液で塩基性にし、CHClで抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)、ろ過、真空濃縮して粗製油を得た。
FC (CHCl/ MeOH: 9/1) で精製して表題化合物の黄色油を得た。
LC-MS: Rt = 0.64 min. m/z= 324 (M+1).
【0076】
24) 1-メチル-3-{[1-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-エチルアミノ]-メチル}-1H-キノキサリン-2-オン (ラセミ体).
【化34】

ドライのCHCl (1.5 mL)中に4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-カルバルデヒド(63.6 mg)、水素化シアノほう素ナトリウム(0.032 g, 1.5 eq)、および1-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-エチルアミン(64 mg) (HoB. et al. Eur. J. Med. Chem. 2001年, 36巻, 3号, 265-286頁)を含有する混合液を窒素下室温で16時間撹拌した。反応混合液を 飽和NaHCO溶液で塩基性にし、CHClで抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)、ろ過、真空濃縮して粗製油を得た。
FC(CHCl/ MeOH: 95/5)により表題化合物の褐色油を得た。
LC-MS: Rt= 0.78 min. m/z= 362 (M+1).
【0077】
25) 1-メチル-3-{[1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチルアミノ]-メチル}-1H-キノキサリン-2-オン(ラセミ体).
【化35】

4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-カルバルデヒド(100 mg)、水素化シアノほう素ナトリウム(0.050 g, 1.5 eq)、および1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチルアミン(100 mg)を含むドライのCHCl (1.5 mL)の混合液を室温で窒素下16時間撹拌した。反応混合液を飽和NaHCO溶液で塩基性し、CHClで抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)、ろ過、真空濃縮して粗製油を得た。
FC (CHCl/ MeOH: 95/5) により表題化合物の褐色油を得た。
LC-MS: Rt = 0.77 min. m/z= 362 (M+1).
【実施例】
【0078】
実施例 1

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-1-((S)-1- フェニル-エチル)-尿素
【化36】

ドライのCHCl (1 mL)中に1-メチル-3-[(R,S)-1-((S)-1-フェニル-エチルアミノ)-エチル]-1H-キノキサリン-2-オン(50 mg, 0.163 mmol)を含有する溶液に、2-エトキシフェニルイソシアネート(26.3 mg, 0.163 mmol)を添加した。得られた反応混合物を窒素下50℃で20時間撹拌した。次に反応混合液を減圧下で濃縮し残留物をFC (CHCl/ MeOH:19/ 1)で精製して表題化合物の黄色泡状物質を得た。
LC-MS: Rt = 1.03 min. m/z= 471 (M+1).
【0079】
実施例 2

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-1-((R)-1-フェニル-エチル)-尿素
【化37】

実施例1に類似の方法で1- メチル-3-[(R,S)-1-((R)-1-フェニル-エチルアミノ)-エチル]-1H-キノキサリン-2-オン(1 eq)を用いた。
FC (CHCl/ MeOH: 19/ 1)により表題化合物の黄色油を得た。
LC-MS: Rt = 1.03 min. m/z= 471 (M+1).
【0080】
実施例 3

(R,S)-1-ベンジル-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素
【化38】


実施例1に類似する方法で3-(1-ベンジルアミノ-エチル)-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン (1 eq)を用いた。
FC (CHCl/ MeOH:19/1)により表題化合物の褐色-オレンジ色の油状物質を得た。
LC-MS: Rt = 1.01 min. m/z= 457 (M+1).
【0081】
実施例 4

1-ベンジル-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-尿素
【化39】

実施例1に類似する方法で3-(ベンジルアミノ-メチル)-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(1 eq)を用いた。
FC (CHCl/ MeOH: 19/ 1)により表題化合物のオレンジ色の油状物質を得た。
LC-MS: Rt =0.98 min. m/z= 443 (M+1).
【0082】
実施例 5

(R)-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2イルメチル)-1-(1-フェニル-エチル)-尿素
【化40】

実施例1に類似の方法で(R)-1-メチル-3-[(1-フェニル-エチルアミノ)-メチル]-1H-キノキサリン-2-オン(1 eq)を用いた。
FC (CHCl/ MeOH: 19/1)により表題化合物のオレンジ色の油状物質を得た。
LC-MS: Rt = 1.00 min. m/z= 457 (M+1).
【0083】
実施例 6

(S)-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2イルメチル)-1-(1-フェニル-エチル)-尿素
【化41】

実施例1に類似の方法で(S)-1-メチル-3-[(1-フェニル-エチルアミノ)-メチル]-1H-キノキサリン-2-オン(1 eq)を用いた。
FC (CHCl/ MeOH: 19/ 1)により表題化合物のオレンジ色の油状物質を得た。
LC-MS: Rt =1.00 min. m/z= 457 (M+1).
【0084】
実施例 7

(S)-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-1-(1-フェニル-エチル)-尿素
【化42】

実施例1に類似の方法で(S)-3-[(1-フェニル-エチルアミノ)-メチル]-1H-キノキサリン-2-オン(1 eq)を用いた。
FC (CHCl/ MeOH: 9/1)により表題化合物の淡黄色の固体を得た。
LC-MS: Rt = 0.94 min. m/z= 443 (M+1).
【0085】
実施例 8

1-(6-クロロ-ピリジン-3イルメチル)-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル-メチル)-尿素
【化43】

実施例1に類似の方法で3-{[(6-クロロ-ピリジン-3-イルメチル)-アミノ-メチル]}-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(1eq)を用いた。
FC(CHCl/ MeOH: 9/ 1)に黄色泡状物の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt = 4.86および5.41 min. m/z= 478 (M+1).
【0086】
実施例 9

(R)-2-{3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-ウレイド}-2-フェニル-アセトアミド.
【化44】

実施例1に類似の方法で(R)-2-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチルアミノ]-2-フェニル-アセトアミド(1eq)を用いた。
FC(AcOEt/ ヘプタン: 7/3)により白色泡状物の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt = 4.63 min. m/z= 500 (M+1).
【0087】
実施例 10

(3-{1-[3-(エトキシ-フェニル)-1-(1-フェニル-エチル)-ウレイド]-エチル}-2-オキソ-2H-キノキサリン-1-イル)-酢酸エチル エステル (ジアステレオアイソマーの混合物)
【化45】

実施例1に類似の方法で{2-オキソ-3-[1-(1-フェニル-エチルアミノ)-エチル]-2H-キノキサリン-1-イル}-酢酸エチルエステル(1eq)を用いた。
FC (AcOEt/ ヘプタン: 3/ 7) によりオレンジ色油状物の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt = 0.95 min. m/z= 543 (M+1).
【0088】
実施例 11

2-(3-{1-[3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(1-フェニル-エチル)-ウレイド]-エチル}-2-オキソ-2H-キノキサリン-1イル)-アセトアミド (ジアステレオアイソマーの混合物)
【化46】

混合MeOH/ジオキサン(4/3)(1.7 mL)中に(3-{1-[3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(1-フェニル-エチル)-ウレイド]-エチル}-2-オキソ-2H-キノキサリン-1-イル)-酢酸エチルエステル(0.11 g)、および2NのNaOH(0.5 mL, 5 eq)水溶液を含有する混合液を室温で20時間撹拌した。 次いで反応混合物を水/AcOEtと一緒にし、水層を2NのHCl水溶液を加えてpH 1-2までの酸性にし、CHCl (3回)で抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(無水MgSO)、ろ過、真空濃縮して粗酸の白色泡状物(0.09 g, 85%)を得た。この粗酸(0.05 g)を含有するドライのCHCl (1.4 mL)に、EDC-HCl(0.026 g, 1eq)、DMAP (0.035 g, 3eq)、およびアンモニア溶液(ジオキサン中に0.5 N)(0.20 mL, 1eq)を連続的に添加した。得られた混合液を室温で窒素下20時間撹拌した。 この混合液をCHCl/2NのHCl水溶液と一緒にした。有機層を水で2回洗浄し、 乾燥(無水MgSO)、ろ過、真空濃縮して粗製油を得た。
FC(CHCl/ MeOH: 9/ 1)によりベージュ色泡状物の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt = 0.91 min. m/z= 514 (M +1).
【0089】
実施例 12

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-((R)-2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素
【化47】

実施例1に類似の方法で3-[(R,S)-1-(2-メトキシ-(R)-1-フェニル-エチルアミノ)-エチル]-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(1eq)を用いた。
FC(AcOEt/ ヘプタン:1/1)により淡褐色油の表題化合物を得た。
LC-MS: Rt = 5.27 min. m/z= 501 (M+1).
【0090】
実施例 13

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-((S)-2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素
【化48】

実施例1に類似する方法で3-[(R,S)-1-(2-メトキシ-(S)-1-フェニル-エチルアミノ)-エチル]-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(1eq)を用いた。
FC (AcOEt/ ヘプタン: 1/1) により表題化合物の淡褐色油を得た。
LC-MS: Rt = 5.28 min. m/z= 501 (M+1).
【0091】
実施例 14

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-((S)-2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル-メチル)-尿素
【化49】

実施例1に類似する方法で(S)-3-[(-2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチルアミノ)-メチル]-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(1eq)を用いた。
FC (CHCl/MeOH: 9/1)により表題化合物の黄色泡状物質を得た。
LC-MS: Rt = 0.93 min. m/z= 473 (M+1).
【0092】
実施例 15

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-((S)-2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル-メチル)-尿素
【化50】

実施例1に類似する方法で(S)-3-[(-2-メトキシ-1-フェニル-エチルアミノ)-メチル]-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン (1eq)を用いた。
FC (ヘプタン/ AcOEt: 3/7)により表題化合物の黄色泡状物質を得た。
LC-MS: Rt = 1.00 min. m/z= 487 (M+1).
【0093】
実施例 16

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(3-ヒドロキシ-(S)-1-フェニル-プロピル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル-メチル)-尿素
【化51】

実施例1に類似する方法で(S)-3-[(-3-ヒドロキシ-1-フェニル-プロピルアミノ)-メチル]-1-メチル-1H-キノキサリン-2-オン(1eq)を用いた。
FC(CHCl/MeOH: 9/1)により表題化合物の黄色泡状物質を得た。
LC-MS: Rt=0.95 min. m/z=487 (M+1).
【0094】
実施例 17

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-1-((S)-2-フェニル-プロピル)-尿素
【化52】

実施例1に類似する方法で(S)-1-メチル-3-[(2-フェニル-プロピルアミノ)-メチル]-1H-キノキサリン-2-オン(1eq)を用いた。
FC(ヘプタン/AcOEt:3/7)により表題化合物の黄色泡状物質を得た。
LC-MS: Rt = 1.03 min. m/z= 471 (M+1).
【0095】
実施例 18

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-1-[-1-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-尿素 (ラセミ体)
【化53】

実施例1に類似する方法で1-メチル-3-{[1-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-エチルアミノ]-メチル}-1H-キノキサリン-2-オン(1eq)を用いた。
FC (ヘプタン/AcOEt: 3/7) により表題化合物の褐色油を得た。
LC-MS: Rt = 1.07 min. m/z= 525 (M+1).
【0096】
実施例 19

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-1-[-1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-尿素 (ラセミ体)
【化54】

実施例1の類似方法で1-メチル-3-{[1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチルアミノ]-メチル}-1H-キノキサリン-2-オン(1eq)を用いた。
FC (ヘプタン/AcOEt: 3/7) により表題化合物の褐色油を得た。
LC-MS: Rt = 1.07 min. m/z= 525 (M+1). (1eq).
【0097】
実施例 20

N-(2-エトキシ-フェニル)-N-[1-(-4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル-エチル)-]-N’-(1-フェニル-エチル)-シアノグアニジン(ジアステレオアイソマーの混合物)
【化55】

2-エトキシフェニル イソチオシアネート(0.1 g)およびナトリウムシアナミド(35.7 mg, 1eq)をドライのEtOH (2 mL)中に含む混合物を窒素下還流温度で3時間撹拌した。室温にまで冷却後、EDC-HCl (0. 107 g, 1eq)および1-メチル-3-[1-(1-フェニル-エチルアミノ)-エチル]-1H-キノキサリン-2-オン (0.172 g, 1eq)をドライのDMF(1 mL) 中に溶解した溶液を添加し得られた反応混合物を窒素下室温で20時間撹拌した。この混合物を次いでAcOEtおよび飽和NaHCOと一緒にし、水層をAcOEtでもう一度抽出した。一緒にした有機抽出物を塩水で洗浄し、乾燥(無水MgSO)、ろ過、濃縮して粗淡褐色油を得た。
FC(AcOEt/ ヘプタン: 7/3) により表題化合物の白色固体を得た。
LC-MS: Rt = 5.26 min. m/z= 495 (M+1).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物
【化1】

式中:

Xは、O、NH、N-CNであり;

nは、整数0、1、2、3であり;

m は、整数0、1、2、3であり;

、R、R、R は、シアノ、ハロゲン、水素、ヒドロキシル、C-Cアルキル、 C-Cアルケニル、C-Cアルコキシ、C-Cアルケニルオキシ、トリフルオロメトキシ、シクロアルキルオキシを独立して表し、またはRおよびRは共にもしくはRおよびRは共にと同様、RおよびRは共に、これらの基が結合しているフェニル環とで酸素原子1個または少なくとも1個の炭素原子で分離されている酸素原子2個を含む5、6または7員環を形成してもよく;

は、水素、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキル-C-Cアルキル、-(CH)-O-C-Cアルキル、-(CH)-COOH、-(CH)-CO-C-Cアルキル、-(CH)-CONH、-(CH)-CONH-C-C アルキル、-CON-(C-C アルキル)、-(CH)-N-C-Cアルキルを表し;

は、水素、C-C アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル-C-C アルキルを表し;

は、水素;C-Cアルキル;C-Cアルケニル;または置換基が独立して、C-C アルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルケニルもしくはハロゲンであるモノ-、 ジ-もしくはトリ-置換フェニルもしくはフェニル-C-C アルキル; -(CH)-OH; -(CH)-O-C-Cアルキル;-(CH)-COH;-(CH)-CO-C-Cアルキル;-(CH)-CONH;-(CH)-CONH-C-Cアルキル;-CON-(C-Cアルキル)を表し;

は、未置換フェニル;未置換ピリジル;未置換フェニル-C-Cアルキル;未置換ピリジル-C-Cアルキル; または置換基が独立して、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシもしくはハロゲンであるモノ-、ジ-もしくはトリ-置換フェニル、ピリジル、フェニル-C-Cアルキルもしくはピリジル-C-Cアルキルを表し;

は、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキル-C-Cアルキル、未置換フェニル-C-Cアルキル;または置換基が独立してC-Cアルキル、C-Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシもしくはハロゲンであるモノ-、ジ-もしくはトリ-置換フェニルもしくはフェニル-C-C アルキルを表し;

および光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体、光学的に純粋なジアステレオアイソマー、ジアステレオアイソマーの混合物、ジアステレオアイソマーのラセミ体、ジアステレオアイソマーの混合物、またはメソ形および医薬品として許容可能なそれらの塩。
【請求項2】
一般式(I)の化合物、但し、式中、nは整数0であり、mは整数0であり、 R、R、R、R、R、R、R、R およびRは上記式(I) で定義したものと同義であり、およびXは酸素を表す。
【請求項3】
一般式(I)の化合物、但し、式中、nは整数0であり、mは整数0であり、 Rはメチルを表し、Rはフェニルを表し、R、R、R、R、R、RおよびRは上記式(I)で定義したものと同義であり、およびXは酸素を表す。
【請求項4】
下記の化合物からなる群から選ばれる請求項1乃至3のいずれか1つに記載の化合物:

1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-1-(1-フェニル-エチル)-3-(2-プロピル-フェニル)-尿素;

3-ビフェニル-2-イル-1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル]-1-[1-フェニル-エチル)尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-1-(1-フェニル-エチル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-1-((S)-1-フェニル-エチル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-1-((R)-1-フェニル-エチル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル-1-(2-メトキシ-(S)-1-フェニル-エチル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル-1-(2-メトキシ-(R)-1-フェニル-エチル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素;

(R)-2-{3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[(R,S)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-ウレイド}-2-フェニル-アセトアミド;

(3-{1-[3-(エトキシ-フェニル)-1-(1-フェニル-エチル)-ウレイド]-エチル}-2-オキソ-2H-キノキサリン-1-イル)-酢酸エチルエステル;

2-{3-[3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(1-フェニル-エチル)-ウレイドメチル]-2-オキソ-2H-キノキサリン-1イル}-アセトアミド;

1-ベンジル-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル-メチル)-尿素;

1-ベンジル-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル-メチル)-1-(1-フェニル-エチル)-尿素;

(S)-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-1-(1-フェニル-エチル)-尿素;

1-(6-クロロ-ピリジン-3イルメチル)-3(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2イルメチル)-尿素;

(S)-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素;

(R)-3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-1-[1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル]-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(2-ヒドロキシ-(S)-1-フェニル-エチル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(2-メトキシ-(S)-1-フェニル-エチル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(3-ヒドロキシ-(S)-1-フェニル-プロピル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-1-((S)-2-フェニル-プロピル)-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-1-[-1-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-尿素;

3-(2-エトキシ-フェニル)-1-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イルメチル)-1-[-1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-尿素;

N-(2-エトキシ-フェニル)-N-[1-(-4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エチル)-N’-1-フェニル-エチル-シアノグアニジン。
【請求項5】
オレキシンの役割に関連し、摂食障害および睡眠障害、心臓血管障害、癌、疼痛、鬱病、精神分裂症または神経変性疾患を含む疾患の治療のための、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の一種または一種以上の化合物、または医薬品として許容可能なそれらの塩、および通常の担体物質および補助剤を含有する医薬組成物。

【請求項6】
オレキシンの役割に関連し、摂食障害、睡眠障害、心臓血管障害、癌、疼痛、鬱病、精神分裂症または神経変性疾患を含む疾患の治療のための薬剤として使用するための請求項1乃至4のいずれか一つに記載の化合物、または医薬品として許容可能なそれらの塩。
【請求項7】
オレキシンの役割に関連し、摂食障害、睡眠障害、心臓血管障害、癌、疼痛、鬱病、精神分裂症または神経変性疾患を含む疾患の治療のための薬剤の調製において、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の化合物の使用。
【請求項8】
ヒトオレキシン受容体拮抗物質が必要とされる疾病または疾患を治療または予防するための方法であり、当該方法は、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の化合物、または医薬品として許容可能なそれらの塩の治療に効果的な用量を必要とする患者への投与を含むことからなる。
【請求項9】
オレキシンの役割に関連する疾患、摂食障害、睡眠障害、心臓血管障害、癌、疼痛、鬱病、精神分裂症または神経変性疾患の治療のための医薬組成物を製造するための方法であり、当該医薬組成物は請求項1乃至4のいずれか一つに記載の一種または一種以上の化合物または医薬品として許容可能なそれらの塩を活性成分として含み、当該方法は、一つまたは一つ以上の活性成分と医薬品として許容可能な賦形剤および補助剤とをそれ自体既知の方法で混合することからなる。
【請求項10】
請求項5乃至8のいずれか一つに記載する疾患の予防または治療のために有益なその他のオレキシン受容体拮抗物質、脂質降下剤、食欲抑制剤、睡眠誘発剤、抗うつ剤または他の薬剤を含むその他の薬理学上活性な化合物と組み合わせた請求項1乃至4のいずれか一つに記載の一種または一種以上の化合物の使用。
【請求項11】
実施例1乃至20のいずれか一つに最終生成物として記載された化合物。

【公表番号】特表2007−523846(P2007−523846A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505263(P2006−505263)
【出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004374
【国際公開番号】WO2004/096780
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】