説明

キノリジジノン系M1受容体陽性アロステリック調節剤

本発明は、M1受容体陽性アロステリック調節剤であり、アルツハイマー病、統合失調症、疼痛または睡眠障害などのM1受容体が関与する疾患の治療において有用である式(I)の化合物の関するものである。本発明はさらに、その化合物を含む医薬組成物、ならびにM1受容体が介在する疾患の治療における前記化合物および組成物の使用に関するものでもある。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノリジジノン化合物、それの塩、それを含む医薬組成物およびヒト身体の治療におけるそれの使用に関する。特に、本発明は、ムスカリン性M1受容体陽性アロステリック調節剤であることから、アルツハイマー病およびムスカリン性M1受容体が介在する他の疾患の治療において有用なキノリジジノン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、段階的記憶障害、言語および視空間スキルの喪失および行動欠陥を生じさせる高齢者を襲う一般的な神経変性疾患である。この疾患の特徴には、大脳皮質、海馬、基底前脳および脳の他の領域におけるコリン作動性ニューロンの変性、神経原線維変化およびアミロイドβペプチド(Aβ)の蓄積などがある。Aβは、β−アミロイド前駆体タンパク質(APP)をβ−アミロイドタンパク質開裂酵素(「β−セクレターゼ」または「BACE」)およびγ−セクレターゼによってプロセシングすることで脳において産生される39から43のアミノ酸である。そのプロセシングにより、脳中にAβが蓄積する。
【0003】
コリン作動性神経伝達には、アセチルコリンのニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)またはムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)のいずれかへの結合が関与している。コリン作動性機能低下がアルツハイマー病を患っている患者の認知欠陥に寄与していると仮定されている。その結果、アセチルコリン加水分解を阻害するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が、米国においてアルツハイマー病患者の認知障害の治療用に承認されている。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤はアルツハイマー病患者において若干の認知強化をもたらしているが、この療法が根底にある疾患病理を変化させることは示されていない。
【0004】
コリン作動性機能低下に対抗する第2の可能な薬物療法標的は、ムスカリン性受容体の活性化である。ムスカリン性受容体は身体全体に広く存在している。5種類の異なるムスカリン性受容体(M1からM5)が哺乳動物において同定されている。中枢神経系において、ムスカリン受容体は、認知機能、行動機能、感覚機能、運動機能および自律神経機能に関与している。大脳皮質、海馬および線条体中に広く存在しているムスカリン性M1受容体が認知処理において主要な役割を有していることが認められており、アルツハイマー病の病態生理において役割を有していると考えられている。イーグレンらの報告(Eglen et al,TRENDS in Pharmacological Sciences,2001,22:8,409−414)を参照する。
【0005】
加えて、対症治療のみを与えることが知られているアセチルコリンエステラーゼ阻害剤とは異なり、M1作働薬はアルツハイマー病の基礎疾患機序を治療する可能性をも有している。アルツハイマー病のコリン作働性仮説はβ−アミロイドおよび過リン酸化タウタンパク質の両方に関連している。β−アミロイドが形成されると、ムスカリン性受容体とG−タンパク質の結合が障害される可能性がある。M1ムスカリン性受容体を刺激すると、神経保護性αAPP断片の形成が増加し、これによりAβペプチドの形成が防止されることが明らかになっている。そうして、M1作働薬は、APP処理に変更を加え、αAPP分泌を高めることができる。フィッシャーの報告(Fisher,Jpn.J.Pharmacol.,2000,84:101−112)を参照する。
【0006】
しかしながら、アルツハイマー病の関して開発および研究されているM1リガンドは、発汗、吐き気および下痢などの他のムスカリン性受容体リガンドに共通の副作用を生じる。スポルディングらの報告(Spalding et al,Mol.Pharmacol.,2002,61:6,1297−1302)を参照する。
【0007】
ムスカリン性受容体が1以上のアロステリック部位を含むことが知られており、そのアロステリック部位は一次結合部位またはオルソステリック部位に結合するムスカリン性リガンドとの親和性を変化させ得る。例えば、ラザレノらの報告(S.Lazareno et al,Mol.Pharmacol.,2002,62:6,1491−1505;S.Lazareno et al,Mol.Pharmacol.,2000,58,194−207)を参照する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Eglen et al,TRENDS in Pharmacological Sciences,2001,22:8,409−414.
【非特許文献2】Fisher,Jpn.J.Pharmacol.,2000,84:101−112.
【非特許文献3】Spalding et al,Mol.Pharmacol.,2002,61:6,1297−1302.
【非特許文献4】S.Lazareno et al,Mol.Pharmacol.,2002,62:6,1491−1505.
【非特許文献5】S.Lazareno et al,Mol.Pharmacol.,2000,58,194−207.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、ムスカリン性M1受容体陽性アロステリック調節剤である本発明の化合物は、アルツハイマー病およびムスカリン性M1受容体が介在する他の疾患の治療において有用であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、M1受容体陽性アロステリック調節剤として有用な下記一般式(I)の新規なキノリジジノン化合物またはそれの製薬上許容される塩に関するものである。
【0011】
【化1】

本発明はさらに、治療上有効量の一般式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩を患者に投与することで、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害および睡眠障害などのM1受容体が関与する疾患または障害に関して患者(好ましくはヒト)を治療する方法に関するものである。本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩および製薬上許容される担体を含む医薬組成物、ならびに上記のような疾患の治療における本発明の化合物および医薬組成物の使用に関するものでもある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1実施形態において、本発明は、下記一般式(I)の化合物およびそれの製薬上許容される塩に関するものである。
【0013】
【化2】

式中、
は、
(1)N、
(2)S、
(3)SOまたは
(4)O
からなる群から選択され;
は、CHRまたはCHCHRであり;
およびRはそれぞれ、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、
(3)−C6−10アリール、
(4)−C(=O)−OR6Aまたは
(5)OH
からなる群から選択され、
前記RおよびRのアルキルまたはアリール部分は、1以上の
(a)ハロゲン、
(b)−C1−6アルキル(該アルキルは、1以上のハロゲンで置換されていても良い)
によって置換されていても良く、または
とRが一体となって、基=Oを形成しており;
は水素であるか、RとRが連結されて−CH−もしくは−CHCH−を形成しており;
は、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、
(3)−(CH−アリール、
(4)5から12個の環原子を有するヘテロアリール基、
(5)−C4−12非芳香族複素環基、
(6)−C3−12シクロアルキル、
(7)−S(O)−R6A
(8)シアノ、
(9)−C(O)−OC1−6アルキル
からなる群から選択され;
前記Rのアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環またはシクロアルキル部分は、1以上の
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)−(CH−アリール、
(e)−C(−O)−OR6A
(f)−O−C1−6アルキル、
(g)−C1−6アルキル、
(g)−C2−6アルケニル、
(i)−C2−6アルキニル、
(j)−NO
(k)−N(R6A6B
で置換されていても良く、
前記アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリール部分は、1以上の
(i)ハロゲン、
(ii)ヒドロキシ、
(iii)シアノ、
(iv)−S(O)−R6A
で置換されていても良く;
は、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキルおよび
(3)−CH−アリール
からなる群から選択され、
前記Rのアルキルまたはアリール部分は、1以上の
(a)ハロゲン、
(b)シアノおよび
(c)−O−C1−6アルキル(該前記アルキルは、1以上のハロで置換されていても良い)
で置換されていても良く;
は、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、
(3)−(CH−アリールまたは
(4)5から12個の環原子を有するヘテロアリール基
からなる群から選択され、
前記Rのアルキル、アリールまたはヘテロアリール部分は、1以上の
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)−(CH−アリール、
(e)−O−C1−6アルキル、
(f)−C1−6アルキル、
(g)−N(R6A6B
で置換されていても良く、
前記アルキルまたはアリール部分は、1以上の
(i)ハロゲン、
(ii)ヒドロキシ、
(iii)シアノ、
(iv)−S(O)−R6A
で置換されていても良く;
6AおよびR6Bは独立に、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキルおよび
(3)−(CH−アリール
からなる群から選択され、
前記R6AまたはR6Bのアルキルまたはアリール部分は、1以上の
(a)ハロゲン、
(b)シアノおよび
(c)−O−C1−6アルキル(該アルキルは、1以上のハロで置換されていても良い)
で置換されていても良く;
m、nおよびqはそれぞれ0、1または2から選択され;
ただし、XがO、SまたはSOである場合、Xは−CH−であり、Rは非存在である。
【0014】
式(I)の化合物の特定の実施形態において、Rは水素または−C1−3アルキルであり、好ましくはメチルである。
【0015】
式(I)の化合物の特定の実施形態において、Rは水素またはメチルである。
【0016】
式(I)の化合物の特定の実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも一方が水素である。
【0017】
式(I)の化合物の特定の実施形態において、RとRが一体となってオキソを形成している。
【0018】
式(I)の化合物の特定の実施形態において、Rは、
(1)フェニル、
(2)CH−フェニル、
(3)5から12個の環原子(好ましくは、5から10個の環原子)を有するヘテロアリール基、
(4)−C4−12非芳香族複素環基および
(5)−C3−10シクロアルキル
からなる群から選択され、
前記フェニル、ヘテロアリール、複素環またはシクロアルキル部分は、1以上の
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)−C(O)−OR5A
(e)−O−C1−6アルキル、
(f)−C1−6アルキル、
(g)−NO
で置換されていても良く、
前記アルキル部分は、1以上の
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)−S(O)−R5A
で置換されていても良い。
【0019】
好ましいRヘテロアリール基には、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチオフェン、キノリニル、インドリル、キナゾリニル、キノキザリニル、ピラジニル、ベンゾフラン、ベンゾチアゾールおよびベンゾジオキサニルなどがあり、これらはいずれも上記のように置換されていても良い。
【0020】
好ましいRアリール基には、フェニル、インダニルおよびナフチルなどがあり、これらはいずれも上記のように置換されていても良い。
【0021】
好ましいRアルキル基には、メチルなどがある。
【0022】
好ましいRシクロアルキル基には、アダマンチルなどがある。
【0023】
基の例には、下記のものなどがある。
【0024】
【化3】




式(I)の化合物の特定の実施形態において、Rは水素である。
【0025】
式(I)の化合物の特定の実施形態において、Rは水素である。
【0026】
式(I)の化合物の特定の実施形態において、Rは、置換されていても良い
(1)−C1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル)、
(2)−(CH−アリール(nは0または1である)、または
(3)5から12個の環原子を有するヘテロアリール基(例えば、フラニル、チエニル、ピリジルおよびベンゾジオキソリル)
からなる群から選択される。
【0027】
のアルキル、アリールまたはヘテロアリール基についての置換基の例には、
(a)ハロゲン、
(b)−OC1−4アルキル、
(c)−C1−4アルキル、または
(d)−N(R6A6B
がある。
【0028】
のアリール基の例には、フェニルおよびナフチルなどがある。
【0029】
1実施形態において、本発明は、治療上有効量の一般式(I)の化合物を患者に投与することで、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害および睡眠障害などのM1受容体が関与する疾患に関して患者(好ましくはヒト)を治療する方法に関するものである。
【0030】
本発明はまた、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害および睡眠障害などのM1受容体が関与する疾患または障害の治療における式(I)の化合物の使用に関するものでもある。
【0031】
本発明はまた、式(I)の化合物もしくはそれの製薬上許容される塩および製薬上許容される担体を含む、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害および睡眠障害などのM1受容体が関与する疾患または障害の治療のための医薬品または医薬組成物に関するものでもある。
【0032】
本発明はさらに、式(I)の化合物を1以上の製薬上許容される担体と組み合わせる段階を有する、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害および睡眠障害などのM1受容体が関与する疾患または障害の治療のための医薬品または医薬組成物の製造方法に関するものでもある。
【0033】
式(I)の化合物の属の範囲内には、下記式(II)の化合物:
【0034】
【化4】

およびそれの製薬上許容される塩の下位属があり、式中においてR、R、RおよびRは上記で定義の通りである。特定の実施形態において、Rは、1以上の
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−OC1−6アルキル、
(5)−S(O)−C1−6アルキル
で置換されていても良いピリジルであり、前記アルキルは上記のように置換されていても良い。
【0035】
式(I)の化合物の属の範囲内には、下記式(III)の化合物:
【0036】
【化5】

およびそれの製薬上許容される塩の下位属があり、式中においてR、R、RおよびRは上記で定義の通りであり、Rは環原子のうちの1以上で存在し、
(1)ヒドロキシル、
(2)シアノ、
(3)−C(=O)−OR5A
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−C1−6アルキルおよび
(6)−NO
からなる群から選択される。
【0037】
式(I)の化合物の属の範囲内には、下記式(IV)の化合物:
【0038】
【化6】

およびそれの製薬上許容される塩の下位属があり、式中においてRとR1Aが連結されて−CH−または−CHCH−を形成しており、Rは水素であり、Rは上記で定義の通りである。RとR1Aを連結させることで形成される基の例には、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンおよび3,8−ジアザビシクロ[3.2.1.]オクタンがある。
【0039】
式(I)の化合物の属の範囲内の別の下位属には、下記式(V)の化合物:
【0040】
【化7】

およびそれの製薬上許容される塩があり、式中においてR、RおよびRは上記で定義の通りであり、X′はO、SまたはSOから選択される。
【0041】
式(I)の化合物の属の範囲内の別の下位属には、下記式(VI)の化合物:
【0042】
【化8】

およびそれの製薬上許容される塩があり、式中においてR、R、RおよびRは上記の通りである。
【0043】
式(I)の具体的実施形態は、実施例1から179として本明細書に記載されており、例えば
4−オキソ−1−({4−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン−1−イル}メチル)−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−{[4−(2−シアノ−1−ベンゾフラン−5−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−{[4−(4−シアノフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−{[4−(6−シアノピリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
4−オキソ−1−{[4−(2−ビニルピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−{[4−(2−エチルピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]メチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−({4−[2−(メチルチオ)ピリジン−4−イル]ピペラジン−1−イル}メチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−({4−[2−(メチルスルホノチオニル)ピリジン−4−イル]ピペラジン−1−イル}メチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−{[2−(3−フルオロフェニル)−4−メチル−3−オキソピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−{[2−(3−フルオロフェニル)−3−オキソ−4−フェニルピペラジン−1−イル]メチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−(1,4−ジアゼパン−1−イルメチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−(モルホリン−4−イルメチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
またはこれらの製薬上許容される塩がある。
【0044】
本発明はさらに、治療上有効量の一般式(II)から(VI)の化合物またはそれの製薬上許容される塩を患者に投与することで、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害および睡眠障害などのM1受容体が関与する疾患または障害に関して患者(好ましくはヒト)を治療する方法に関するものでもある。
【0045】
本発明はまた、式(II)から(VI)の化合物またはそれの製薬上許容される塩を患者に投与することで、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害および睡眠障害などのM1受容体が関与する疾患または障害を治療する上での式(II)から(VI)の化合物の使用に関するものでもある。
【0046】
本発明はまた、式(II)から(VI)の化合物もしくはそれの製薬上許容される塩および製薬上許容される担体を含む、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害および睡眠障害などのM1受容体が関与する患者(好ましくはヒト)での疾患または障害の治療のための医薬品または医薬組成物に関するものでもある。
【0047】
本発明はさらに、式(II)から(VI)の化合物またはそれの製薬上許容される塩を製薬上許容される担体と組み合わせる段階を有する、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害および睡眠障害などのM1受容体が関与する疾患または障害の治療のための医薬品または医薬組成物の製造方法に関するものでもある。
【0048】
ある可変要素が式(I)から(VI)のいずれかまたはそれの置換基中に複数存在する場合、別段の断りがない限り、その可変要素の個々の場合は互いに独立である。
【0049】
本明細書で、特にはR、R、R、R、R、R6AおよびR6Bの定義で使用される場合、それ自体または別の置換基の一部としての「アルキル」という用語は、指定の炭素原子数を有する飽和の直鎖もしくは分岐炭化水素基を意味する(例えば、C1−10アルキルは1から10個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。)。本発明で使用する上で好ましいアルキル基は、1から6個の原子を有するC1−6アルキル基である。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどがある。Cアルキルは結合を意味する。
【0050】
本明細書で、特にはRの定義で使用される場合、それ自体または別の置換基の一部としての「アルケニル」という用語は、1個の炭素−炭素二重結合および指定の炭素原子数を有する直鎖もしくは分岐炭化水素基を意味する(例えば、C2−10アルケニルは2から10個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。)。本発明で使用する上で好ましいアルケニル基は、2から6個の炭素原子を有するC2−6アルケニル基である。アルケニル基の例には、エテニルおよびプロペニルなどがある。
【0051】
本明細書で、特にはRの定義で使用される場合、それ自体または別の置換基の一部としての「アルキニル」という用語は、1個の炭素−炭素三重結合および指定の炭素原子数を有する直鎖もしくは分岐炭化水素基を意味する(例えば、C2−10アルキニルは2から10個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。)。本発明で使用する上で好ましいアルキニル基は、2から6個の炭素原子を有するC2−6アルキニル基である。アルキニル基の例には、エチニルおよびプロピニルなどがある。
【0052】
本明細書で、特にはRの定義で使用される場合、それ自体または別の置換基の一部としての「シクロアルキル」という用語は、指定数の炭素原子を有する飽和環状炭化水素基を意味する(例えば、C3−12シクロアルキルは3から12個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。)。本明細書で使用されるシクロアルキルという用語には、単環式、二環式および三環式の飽和炭素環、ならびに架橋および縮合炭素環(例えば、スピロ縮合環系)が含まれる。
【0053】
本発明での使用に好ましいシクロアルキル基は、3から8個の炭素原子を有する単環式C3−8シクロアルキル基である。単環式シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどがある。架橋シクロアルキル基の例には、アダマンチルおよびノルボルニルなどがある。縮合シクロアルキル基の例には、デカヒドロナフタレンなどがある。
【0054】
本明細書で、特にはR、R、R、R、R、R6AおよびR6Bの定義で使用される場合、それ自体または別の置換基の一部としての「アリール」という用語は、芳香族環状炭化水素基を意味する。好ましいアリール基は、6から10個の炭素原子を有する。「アリール」という用語には、多環系および単環系が含まれる。本発明での使用に好ましいアリール基には、フェニルおよびナフチルなどがある。
【0055】
「アリール」という用語には、部分的に芳香族である(すなわち、縮合環の一つが芳香族であり、他が非芳香族である。)縮合環状炭化水素環も含まれる。部分的に芳香族であるアリール基の例はインダニルである。
【0056】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語にはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。
【0057】
本明細書で、特にはRおよびRの定義で使用される場合、それ自体または別の置換基の一部としての「ヘテロアリール」という用語は、環炭素原子および少なくとも1個の環ヘテロ原子(O、NまたはS)を有し、構成環の少なくとも一つが芳香族である環式基または多環式基を意味する。本発明で使用されるヘテロアリール基の例には、カルバゾイル、カルボリニル、クロメニル、シンノリニル、フラニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、イソベンゾフラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズイミダゾロニル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インドラジニル、インジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ベンゾピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、ベンゾチオエニル(benzothioenyl)、ベンゾチアゾリル、キノキザリニル、トリアジニルおよびトリアゾリル、ならびにそれらのN−オキサイドなどがある。
【0058】
好ましいRおよびRのヘテロアリール基は、5から12個の環原子を有する。そのようなある実施形態では、ヘテロアリール基は、5または6個の環原子を有する。
【0059】
例えば、RおよびRのヘテロアリール基のある下位群は、5個もしくは6個の環原子および窒素である単一のヘテロ原子を有する。この実施形態におけるヘテロアリール基の例には、ピリジルおよびピロリルがある。
【0060】
およびRのヘテロアリール基の別の下位群は、5個もしくは6個の環原子ならびに硫黄および窒素から選択される2個のヘテロ原子を有する。この実施形態におけるヘテロアリール基の例には、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニルおよびイソチアゾリルなどがある。
【0061】
およびRのヘテロアリール基の別の下位群は、7または8個の環原子ならびに酸素、硫黄および窒素から選択される2個のヘテロ原子を有する。この実施形態におけるヘテロアリール基の例には、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリルおよびキノキザリニルなどがある。
【0062】
「ヘテロアリール」という用語は、部分的に芳香族(すなわち、縮合環の一つが芳香族であり、他が非芳香族である。)である縮合環式ヘテロ環式環をも含む。部分的に芳香族であるヘテロアリール基の例には、ベンゾジオキソールがある。
【0063】
本明細書で定義のヘテロアリール基が置換されている場合、置換基は、ヘテロアリール基の環炭素原子にまたは置換を可能とする原子価を有する環ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素または硫黄)に結合されていても良い。好ましくは、置換基は環炭素原子に結合している。同様に、ヘテロアリール基が明細書中で置換基として定義されている場合、結合点はヘテロアリール基の環炭素原子または結合を可能とする原子価を有する環ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素または硫黄)上にあり得る。好ましくは、結合は環炭素原子にある。
【0064】
本明細書で、特にはRの定義で使用される場合、それ自体または別の置換基の一部としての「複素環」という用語は、1以上の環炭素原子がヘテロ原子(NまたはOなど)で置き換わっている上記で定義のシクロアルキル基を意味する。本発明での使用に好適な非芳香族複素環基には、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピラゾリジニルおよびイミダゾリジニルなどがある。ある種の実施形態において、本発明で使用される複素環基は、4から8個の環原子および単一の窒素もしくは酸素ヘテロ原子を有する。
【0065】
本明細書で定義の複素環基が置換されている場合、置換基は、複素環基の環炭素原子にまたは置換を可能とする原子価を有する環ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素または硫黄)に結合されていても良い。同様に、複素環基が明細書中で置換基として定義されている場合、結合点は複素環基の環炭素原子または結合を可能とする原子価を有する環ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素または硫黄)上にあり得る。
【0066】
本発明の化合物は、1以上の不斉中心を有することができる。不斉中心を有する化合物により、エナンチオマー(光学異性体)、ジアステレオマー(立体配置異性体)またはその両方が生じ、混合物の形態および純粋なまたは部分精製された化合物としての可能なエナンチオマーおよびジアステレオマーはいずれも、本発明の範囲に含まれるものである。本発明は、式(I)から(VI)の化合物のそのような異性体型全てを包含するものである。
【0067】
式(I)から(VI)は上記において、ある位置で明確な立体化学なしに示されている。本発明は、式(I)から(VI)およびそれらの製薬上許容される塩の全ての立体異性体を含むものである。
【0068】
エナンチオマー豊富ジアステレオマー豊富の化合物の独立の合成またはそれらのクロマトグラフィー分離は、本明細書に開示の方法に適切な変更を加えることで当業界で公知の方法に従って行うことができる。それらの絶対立体化学は、結晶性生成物または必要に応じて絶対配置既知の不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化された結晶性中間体についてのX線結晶分析を行うことで決定することができる。
【0069】
所望に応じて、化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーを単離することができる。この分離は、当業界で公知の方法により、例えば化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成した後、分別結晶もしくはクロマトグラフィーなどの標準的な方法によって個々のジアステレオマーを分離する。そのカップリング反応は、エナンチオマー的に純粋な酸または塩基を用いる塩の形成である場合が多い。次いで、ジアステレオマー誘導体を、付加したキラル残基の開裂によって純粋なエナンチオマーに変換することができる。これら化合物のラセミ混合物は、当業界で公知の方法であるキラル固定相を用いるクロマトグラフィー法によって直接分離することもできる。
【0070】
別法として、立体配置既知の光学的に純粋な出発物質または試薬を用い、当業界で公知の方法によって立体選択的に合成することで、化合物のエナンチオマーまたはジアステレオマーを得ることができる。
【0071】
本発明の化合物は、下記の反応図式(図式中の可変要素は前記で定義の通りである。)に従って製造することができ、試薬および従来の合成手順から、容易に入手可能な原料を用いて誘導体化される。有機合成業界の当業者には公知である変種を用いることも可能であるが、それについてはあまり詳細な言及は行わない。
【0072】
【化9】

化合物1は文献に記載されており(J.Am.Chem.Soc;126;50;2004;16353−16360)、水酸化ナトリウムのような塩基を用いて加水分解してカルボン酸とすることができ、それに対して適切な溶媒中にて水素化ホウ素シアノナトリウムのような還元剤を用いて2aなどのアミンでの還元的アミノ化を行うことで、実施例1を得ることができる。別法として、その還元をエチルエステル1について直接行い、次にピペラジン2bによる還元的アミノ化を行うことができる。次に、THF、エタノールまたはDMSOなどの溶媒中にて水酸化ナトリウムのような塩基を用いてエステル基の加水分解を行って、実施例125を得ることができる。
【0073】
【化10】

図式1での還元的アミノ化で用いられるアミン類の多くが市販されているか、文献に記載されている。さらに、図式2に示した方法に従って、多くのアミン類を製造することができる。DMSOなどの溶媒中にて炭酸カリウムのような塩基を用い、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)などの保護基を含むピペラジン誘導体4を、5などのアリールハライドでアリール化することができる。銅もしくはパラジウムなどの金属触媒を加えて、反応を促進しても良い。酢酸エチルのような溶媒中にてHClなどの酸を用いて、Boc保護の脱離を行ってピペラジン6を得ることができ、それについて図式1に示した還元的アミノ化を行って、実施例2を得ることができる。
【0074】
【化11】

別法として、図式3に示したように、化合物1を水素化ホウ素ナトリウムのような試薬で還元して、ジクロロメタンのような溶媒中にてメタンスルホニルクロライド(MsCl)のような試薬を用いてクロライドに変換することができる。炭酸カリウムなどの適切な塩基とともにモルホリン8のようなアミンを用いて、クロライド7の求核置換を行うことができる。図式1に示した最後の加水分解により、実施例3を得ることができる。
【0075】
【化12】

さらに、図式4に示したように、THFのような溶媒中にて炭酸セシウムのような塩基とともに、パラジウムのような遷移金属およびホスフィン配位子を用いて、化合物9について、アルキル、アリールまたはビニル金属種(亜鉛もしくはホウ素など)との交差カップリング反応を行うことができる。エステルの加水分解によって、実施例148が得られる。水素雰囲気下にMeOHのような溶媒中にてパラジウム/炭素のような触媒を用いて、実施例148のビニル基をさらに還元して、エチル実施例152を得ることができる。さらに、DMSOのような溶媒中にて、化合物9における塩素を、ナトリウムメタンチオレートなどの各種求核剤で置き換え、次に加水分解することで、実施例153を得ることができる。得られたスルフィドについて、四酸化オスミウムのような酸化剤を用いて酸化を行って、スルホン実施例154を得ることもできる。
【0076】
【化13】

ヨウ化メチルなどの求電子剤とともにDMSOのような溶媒中にて水酸化ナトリウムのような塩基を用いて、ケトピペラジン11のアルキル化を行って、実施例155を得ることができる。炭酸セシウムのような塩基およびヨードベンゼンのようなアリールハライドとともにヨウ化銅などの触媒を用いて、9のアリール化を実施して、実施例160を得ることもできる。
【0077】
本発明は、本発明の化合物の製造において中間体として有用な化合物の合成方法をも提供する。
【0078】
上記合成手順のいずれかに際して、関係するいずれかの分子上の感受性基または反応性基を保護することが必要であったり望ましい場合がある。これは、文献(Protective Groups in Organic Chemistry,J.F.W.McOmie ed.,Plenum Press,1973およびT.W.Greene & P/G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991)に記載のものなどの従来の保護基によって行うことができる。保護基は当業界で公知の方法を用いて都合のよい後段階で脱離させることができる。
【0079】
本発明の化合物およびその製造方法の具体的な実施形態は、本明細書の実施例に記載されている。
【0080】
「実質的に純粋」という用語は、単離物が当業界で公知の分析技術による定量試験で、少なくとも純度90%、好ましくは純度95%、さらに好ましくは純度99%であることを意味する。
【0081】
本明細書で使用される「ムスカリン性M1受容体」という用語は、Gタンパク質共役受容体のスーパーファミリーに由来するムスカリン性アセチルコリン受容体の5種類のサブタイプの一つを指す。ムスカリン性受容体のファミリーは、文献に記載されている(例えば、Pharmacol.Ther.,1993,58:319−379;Eur.J.Pharmacol.,1996,295:93−102;およびMol.Pharmacol.,2002,61:1297−1302)。ムスカリン性受容体が1以上のアロステリック部位を含み、一次結合またはオルソステリック部位に結合するムスカリン性リガンドとのアフィニテイーを変え得ることが知られている。例えば、ラザレノらの報告(S.Lazareno et al.,Mol.Pharmacol.,2002,62:6,1491−1505)を参照する。
【0082】
本明細書で使用される「陽性アロステリック調節剤」および「アロステリック増強剤」という用語は互換的に使用され、受容体のアロステリック部位と相互作用して一次結合部位を活性化するリガンドを指す。本発明の化合物はムスカリン性M1受容体の陽性アロステリック調節剤である。例えば、調節剤または増強剤は動物、特にヒトにおけるムスカリン性M1受容体のオルソステリック部位で内因性リガンド(アセチルコリンまたはキサノメリンなど)により生ずる応答を直接または間接的に増大させることができる。
【0083】
アロステリック受容体部位でのリガンドの作用は、当業者には公知のように「アロステリック三元複合体モデル」に従っても理解され得る。アロステリック三元複合体モデルは、ムスカリン性受容体のファミリーに関連してバーズオールらの報告(Birdsall et al.,Life Sciences,2001,68:2517−2524)に記載されている。アロステリック結合部位の役割に関する一般的記載については、クリストポロスの報告(Christopoulos,Nature Reviews:DrugDiscovery,2002,1:198−210)を参照する。
【0084】
本発明の化合物はムスカリン性M1受容体のオルソステリックアセチルコリン部位とは異なるアロステリック結合部位に結合することで、M1受容体のオルソステリック部位での内因性リガンドアセチルコリンにより生ずる応答を増大させると考えられている。また、本発明の化合物はムスカリン性M1受容体のキサノメリン部位とは異なるアロステリック部位に結合して、M1受容体のオルソステリック部位での外因性リガンドキサノメリンにより生ずる応答を増大させるとも考えられている。
【0085】
「製薬上許容される塩」という用語は、無機または有機の塩基および無機または有機の酸を含めた製薬上許容される無毒性の塩基または酸から製造される塩を指す。本発明の化合物は、遊離塩基形態の化合物に存在する酸官能基の数に応じて一塩、二塩または三塩であることができる。遊離塩基および無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第一鉄、第二鉄、リチウム、マグネシウム、第一マンガン塩、第二マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などがある。
【0086】
固体形態の塩は複数の結晶構造で存在する場合があり、水和物の形態でも存在し得る。製薬上許容される有機無非毒性塩基から誘導される塩には、1級、2級および3級アミン、天然置換アミンなどの置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂などがあり、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N′−ジベンジルエチレン−ジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等の塩などがある。
【0087】
本発明の化合物が塩基性の場合、塩は無機酸および有機酸を含めた製薬上許容される無毒性酸から製造することができる。そのような酸には、酢酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などがある。
【0088】
本発明は、有効量の本明細書に開示の式(I)から(VI)を有する化合物を投与する段階を有する、前記活性を必要とする患者または対象者(例えば、哺乳動物)におけるM1アロステリック調節剤としての前記化合物の使用に関するものである。ヒト以外にも、各種の他の哺乳動物を本発明の方法に従って治療することができる。
【0089】
本発明の化合物はアルツハイマー病の治療または寛解において有用である。その化合物はムスカリン性M1受容体が介在する他の疾患、例えば統合失調症、睡眠障害、疼痛障害(急性疼痛、炎症性疼痛および神経因性疼痛など)および認知障害(軽度認知障害など)の治療または寛解においても有用であり得る。本発明の化合物により治療することができる他の状態には、パーキンソン病、肺性高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、尿失禁、緑内障、統合失調症、21トリソミー(ダウン症候群)、脳アミロイド血管症、変性認知症、オランダ型のアミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA−D)、クロイツフェルト・ヤコブ疾患、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、卒中、膵炎、封入体筋炎、他の末梢アミロイドーシス、糖尿病、自閉症およびアテローム性動脈硬化症などがある。
【0090】
好ましい実施態様において、本発明の化合物はアルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害および睡眠障害の治療において有用である。例えば、その化合物は、アルツハイマー型認知症を予防、ならびにアルツハイマー型の早期、中期または後期認知症の治療において有用となり得る。
【0091】
本発明の化合物が有用となり得る可能性がある統合失調症状態または障害には、統合失調症(妄想型、解体型、緊張型または未分化型)、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神異常、共有精神異常、全身状態ならびに物質誘発性および薬剤誘発性(フェンシクリジン、ケタニミン(ketanimine)および他の解離性麻酔薬、アンフェタミンおよび他の覚醒剤ならびにコカイン)精神異常による精神異常、情動障害関連の精神病、短期反応精神病、統合失調性精神病、分裂性または統合失調症性人格障害などの「統合失調症圏障害」、または統合失調症および他の精神病の陽性および陰性の両方の症状を含む精神病関連の病気(大鬱病、躁鬱病(双極性障害)、アルツハイマー病および心的外傷後ストレス症候群など)などの統合失調症および精神病;認知症(アルツハイマー病、虚血、多発脳梗塞性認知症、外傷、血管の問題もしくは卒中、HIV疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、周生期低酸素症、他の全身状態または薬物乱用に関連)などの認知障害;譫妄、健忘障害または加齢関連の認識衰退という状態または疾患のうちの1以上などがある。
【0092】
別の具体的な実施形態において本発明は、処置を必要とする患者に対して、有効量の本発明の化合物を投与する段階を有する統合失調症または精神病の治療方法を提供する。特定の統合失調症または精神病には、妄想性、解体型、緊張型または未分化型の統合失調症および物質誘発精神異常がある。現在、精神障害診断統計マニュアル再版(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSM−IV−TR)の第4版の(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)には、妄想性、解体型、緊張型または未分化型の統合失調症および物質誘発精神異常を含む診断手段が提供されている。本明細書で使用される場合、「統合失調症および精神病」という用語は、DSM−IV−TRに記載の精神障害の治療を含むものである。精神障害についての別の命名法、疾病分類および分類システムがあること、そしてそれらのシステムが医学および科学の発達に伴って進化することは、当業者には明らかであろう。従って、「統合失調症または精神病」という用語は、他の診断情報源に記載されている同様の障害を包含するものである。
【0093】
化合物併用の例には、例えば鎮静薬、睡眠薬、抗不安薬、抗精神病薬、抗不安剤、シクロピロロン類、イミダゾピリジン類、ピラゾロピリミジン類、穏和精神安定薬、メラトニン作働薬および拮抗薬、メラトニン作働性薬、ベンゾジアゼピン類、バルビツール酸類、5HT−2拮抗薬など、例えばアジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミスルプリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アリピプラゾール、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスピロン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、抱水クロラール、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼペート、クロルジアゼポキシド、クロレタート、クロルプロマジン、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デクスクラモール、ジアゼパム、ジクロラールフェナゾン、ジバルプロエクス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、エスタゾラム、エトクロルビノール、エトミダート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパムフルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロカロン、メラトニン、メホバルビタール、メプロバメート、メタクアロン、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバマート、ニトラゼバム、ノルトリプチリン、オランザピン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、クエチアピン、レクラゼパム、リスペリドン、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロエロン(suproelone)、テマゼパム、チオリダジン、チオチキセン、トラカゾレート、トラニルシプロミン(tranylcypromaine)、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミブラミン、ウルダゼパム、ベンラファクシン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾラゼパム、ゾルピデムおよびこれらの塩ならびにそれらの組み合わせと組み合わせた統合失調症治療剤との併用などがあるか、本化合物を光線療法および電気刺激などの物理的方法の使用と組み合わせて投与しても良い。
【0094】
別の実施形態において、本化合物を、レボドパ(場合により、カルビドパまたはベンセラジドなどの選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤と組み合わせて)、ビペリドンなどの抗コリン作働薬(適宜に、塩酸塩または乳酸塩として)および塩酸トリヘキシフェニジル(ベンズヘキソール)、エンタカポンなどのCOMT阻害剤、MOA−B阻害剤、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体拮抗薬、コリン作働薬、NMDA受容体拮抗薬、セロトニン受容体拮抗薬ならびにアレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリドおよびプラミペキサールなどのドーパミン受容体作働薬との併用で用いることができる。ドーパミン作動薬が、例えばアレンテモール臭化水素酸塩、ブロモクリプチン・メシル酸塩、フェノルドパム・メシル酸塩、ナキサゴリド塩酸塩およびペルゴリド・メシル酸塩などの製薬上許容される塩の形態であることが可能であることは明らかであろう。
【0095】
別の実施形態において、本化合物は、フェノチアジン、チオキサンテン、複素環ジベンゾアゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジンおよびインドロン類の神経遮断薬からの化合物との併用で用いることができる。フェノチアジン類の好適な例には、クロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジンおよびトリフルオペラジンなどがある。チオキサンテン類の好適な例には、クロルプロチキセンおよびチオチキセンなどがある。ジベンゾアゼピンの例には、クロザピンがある。ブチロフェノンの1例は、ハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの1例は、ピモジドである。インドロンの1例は、モリンドロン(molindolone)である。他の神経遮断薬には、ロキサピン、スルピリドおよびリスペリドンなどがある。本化合物と併用する場合、神経遮断薬は、例えばクロルプロマジン塩酸塩、メソリダジン・ベシル酸塩、チオリダジン塩酸塩、アセトフェナジン・マレイン酸塩、フルフェナジン塩酸塩、フルフェナジン・エナント酸塩、フルフェナジン・デカン酸塩、トリフルオペラジン塩酸塩、チオチキセン塩酸塩、ハロペリドール・デカン酸塩、ロキサピン・コハク酸塩およびモリンドン塩酸塩のような製薬上許容される塩の形態であることができることは明らかであろう。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジドおよびリスペリドンは、通常は塩の形態を取らずに使用される。従って本化合物は、アセトフェナジン、アレンテモール、アリピプラゾール、アミスルプリド、ベンズヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドパ、ベンセラジドと併用したレボドパ、カルビドパと併用したレボドパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドロン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキサール、クエチアピン、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシフェニジル、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジンまたはジプラシドンとの併用で用いることができる。
【0096】
本発明の化合物が有用となり可能性がある睡眠状態または睡眠障害には、睡眠の質の強化;睡眠の質の向上;睡眠維持の延長;対象者が眠っている時間を対象者が眠ろうと試みた時間で割って計算される値の上昇;睡眠の待ち時間または開始(寝入るのにかかる時間)の短縮;寝入り困難の減少;睡眠連続性の増加;睡眠中に覚醒する回数の減少;夜間覚醒の減少;就寝開始から覚醒状態で過ごす時間の短縮;全睡眠量の増加;睡眠の断片化の減少;REM睡眠期間のタイミング、回数または長さの変更;徐波(すなわち、段階3または4)睡眠期間のタイミング、頻度または長さの変更;ステージ2睡眠の量およびパーセントの増加;徐波睡眠の促進;睡眠中のEEG−デルタ活性の強化;昼間敏活性の向上;昼間傾眠の低下;過度の昼間眠気の治療または抑制;不眠;過眠症;ナルコレプシー;睡眠の中断;睡眠時無呼吸;覚醒;夜間ミオクロヌス;REM睡眠中断;時差ぼけ;交替勤務者の睡眠障害;睡眠異常;夜鷹症;抑鬱、情緒障害/気分障害ならびに夢遊病および夜尿症に関連する不眠、そして老化に伴う睡眠障害;アルツハイマーの日暮れ時兆候;日周期リズムに関連する状態、ならびに時間帯を通過する旅行および交替勤務スケジュールに関連する精神的および肉体的障害;副作用としてREM睡眠を減少させる薬物に帰因する状態;体力回復のない睡眠および筋肉痛により発現される症候群、または睡眠中の呼吸異常に関連する睡眠時無呼吸;および睡眠の質の低下により生ずる状態などがある。
【0097】
本発明の化合物が有用となり得る疼痛障害には、神経因性疼痛(帯状疱疹後神経痛、神経損傷、「ジニア」(例:外陰部痛)、幻肢痛、神経根引き抜き損傷、有痛性糖尿病性神経障害、有痛性外傷単神経障害、有痛性多発性神経障害など);中枢痛症候群(実質的に神経系のあらゆるレベルでのあらゆる病変によって生じる可能性がある);術後痛症候群(例:乳房切除術後症候群、開胸術後症候群、断端痛);骨および関節痛(骨関節炎)、反復運動痛、歯痛、癌痛、筋筋膜痛(筋肉損傷、線維筋痛);術中痛(一般手術、婦人科手術)、慢性痛、月経困難症、ならびに狭心症関連の疼痛および異なる起源の炎症性疼痛(例:骨関節炎、関節リウマチ、リウマチ性疾患、腱鞘炎および痛風)、頭痛、片頭痛および群発頭痛、頭痛、一次痛覚過敏、二次痛覚過敏、一次アロディニア、二次アロディニア、あるいは中枢感作によって生じる他の疼痛などがある。
【0098】
本発明の化合物は運動障害の治療または予防にも使用可能である。更に本発明の化合物は、疼痛のオピオイド治療に対する耐性および/または依存性を低下させたり、アルコール、オピオイドおよびコカインなどの禁断症状を治療する上でも使用可能である。
【0099】
本発明の化合物の投与を受ける対象者または患者は通常、M1アロステリック調節が望まれるヒトの男性または女性であるが、上記障害の治療が望まれる他の哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、サル、チンパンジーまたは他の類人猿もしくは霊長類も含まれ得る。
【0100】
本発明の化合物は、本発明の化合物が有用である疾患または状態の治療において1以上の他薬剤と併用することが可能であり、こうした薬剤併用はいずれかの薬剤単独の場合より安全であるかより有効である。さらに、本発明の化合物は、本発明の化合物の副作用または毒性を治療、予防、抑制、寛解またはリスク低下させる1以上の他薬剤と併用することができる。そのような他薬剤は、その薬剤について一般に使用され経路および量で、本発明の化合物と同時または順次にて投与することができる。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物に加えて、1以上の他の有効成分を含有するものが含まれる。その組み合わせ剤は、単位製剤組み合わせ品の一部として、または1以上の別薬剤を治療法の一環として別個の製剤で投与するキットまたは治療プロトコールとして投与することができる。
【0101】
本発明の化合物の組み合わせの例には、抗アルツハイマー病薬、例えばβ−セクレターゼ阻害剤;ABT089、SSR180711およびMEM63908などのアルファ7ニコチン作働薬;ADAM10リガンドまたは活性化剤;LY450139およびTAK070などのγ−セクレターゼ阻害剤;γ−セクレターゼ調節剤;タウリン酸化阻害剤;グリシン輸送阻害薬;LXRβ作働薬;ApoE4コンホメーション調節剤;NR2B拮抗薬;アンドロゲン受容体調節剤;Aβオリゴマー形成の遮断薬;PRX−03140などの5−HT4作働薬;GSK742467、SGS−518、FK−962、SL−65.0155、SRA−333およびキサリプロデンなどの5−HT6拮抗薬;レコゾタンなどの5−HT1a拮抗薬;p25/CDK5阻害剤;NK1/NK3受容体拮抗薬;COX−2阻害剤;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤;イブプロフェンなどのNSAID;ビタミンE;バピネズマブ、ACC001、CAD106、AZD3102、H12A11V1などの抗アミロイド抗体(抗アミロイドヒト化モノクローナル抗体を含む);(R)−フルルビプロフェン、ニトロフルルビプロフェン、ND−1251、VP−025、HT−0712およびEHT−202などの抗炎症性化合物;ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンなどのPPARγ作動薬;AVE1625などのCB−1受容体拮抗薬またはCB−1受容体逆作働薬;ドキシサイクリンおよびリファンピンなどの抗生物質;メマンティン、ネラメキサンおよびEVT101などのN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬;ガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル、タクリン、フェンセリン、ラドスチギルおよびABT−089などのコリンエステラーゼ阻害剤;イブタモレン、メシル酸イブタモレンおよびカプロモレリンなどの成長ホルモン分泌促進物質;ABT−834、ABT829、GSK189254およびCEP16795などのヒスタミンH受容体拮抗薬;CX−717、LY451395、LY404187およびS−18986などのAMPA作働薬またはAMPA調節剤;MEM1414、HT0712およびAVE8112を含めたPDE IV阻害剤;GABA逆作働薬;AZD1080、SAR502250およびCEP16805を含めたGSK3β阻害剤;ニューロンニコチン作働薬;選択的M1作働薬;HDAC阻害薬;ならびに微小管アフィニティー調節キナーゼ(MARK)リガンド;あるいは、本発明の化合物の効力、安全性、便宜性を高めるか、その化合物の望ましくない副作用や毒性を低下させる受容体または酵素に作用する他薬剤との組み合わせなどがある。
【0102】
本発明の化合物の組み合わせの例には、疼痛治療用薬剤、例えばアスピリン、ジンロフェナク、ジフルニサル、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダクおよびトルメチンなどの非ステロイド系抗炎症性物質;セレコキシブ、ロフェコキシ、バルデコキシブ、406381および644784などのCOX−2阻害剤;842166およびSAB378などのCB−2作働薬;AMG517、705498、782443、PAC20030、V114380およびA425619などのVR−1拮抗薬;SSR240612およびNVPSAA164などのブラジキニンB1受容体拮抗薬;VX409およびSPI860などのナトリウムチャンネル遮断薬および拮抗薬;SD6010および274150などの一酸化窒素シンターゼ(NOS)阻害剤(iNOSおよびnNOS阻害剤を含む);ラコサミドを含めたグリシン部位拮抗薬;ABT894などのニューロンニコチン作働薬;AZD4282などのNMDA拮抗薬;カリウム・チャンネル開口薬;AMPA/カイニン酸受容体拮抗薬;ジコノチドおよびNMED160などのカリウム・チャンネル遮断薬;GABA−A受容体IO調節剤(例:GABA−A受容体作働薬);マトリクス・メタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤;血栓溶解剤;コデイン、フェンタニル、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェンなどのオピオイド系鎮痛剤;好中球阻害因子(NIF);プラミペキソール、ロピニロール;抗コリン作動薬;アマンタジン;モノアミンオキシダーゼB15(「MAO−B」)阻害剤;5HT受容体作働薬または拮抗薬;AZD9272などのmGlu5拮抗薬;AGNXX/YYなどのアルファ作働薬;ABT894などのニューロンニコチン作働薬;AZD4282などのNMDA受容体作働薬または拮抗薬;NKI拮抗薬;デュロキセチンなどの選択的セロトニン再取込み阻害剤(「SSRI」)および/または選択的セロトニンおよびノルエピネフリン再取込み阻害剤(「SSNRI」);三環式抗鬱薬、ノルエピネフリン調節剤;リチウム;バルプロエート;ガバペンチン;プレガバリン;リザトリプタン;ゾルミトリプタン;ナラトリプタンおよびスマトリプタンとの組み合わせなどがある。
【0103】
本発明の化合物は、睡眠の質を高め、睡眠疾患や睡眠障害を予防および治療する上で有用な化合物、例えば鎮静薬、催眠薬、不安除去薬、抗精神病薬、抗不安薬、抗ヒスタミン薬、ベンゾジアゼピン類、バルビツレート類、シクロピロロン類、オレキシン拮抗薬、アルファ−1拮抗薬、GABA作働薬、5HT−2A拮抗薬および5HT−2A/2C拮抗薬などの5HT−2拮抗薬、ヒスタミンH3拮抗薬などのヒスタミン拮抗薬、ヒスタミンH3逆作働薬、イミダゾピリジン類、マイナー・トランキライザー、メラトニン作働薬および拮抗薬、メラトニン性薬、他のオレキシン拮抗薬、オレキシン作働薬、プロキネチシン作働薬および拮抗薬、ピラゾロピリミジン類、T型カルシウムチャンネル拮抗薬、トリアゾロピリジン類などとの併用で投与することができ、前記薬剤にはアジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アルモダフィニル、APD−125、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスピロン、ブタバルビタール、ブタルバルビタール、カプロモレリン、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、水和クロラール、クロルジアゼポキシド、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼペート、クロレテート、クロザピン、クロナゼパム、シプラゼパム、デシプラミン、デキスクラモール、ジアゼパム、ジクロラールフェナゾン、ダイバルプロエックス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、EMD−281014、エプリバンセリン、エスタゾラム、エスゾピクロン、エスクロルビノール、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、ガボクサドール、グルテチミド、ハラゼパム、ヒドロキシジン、イブタモレン、イミプラミン、インディプロン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、LY−156735、マプロチリン、MDL−100907、メクロクアロン、メラトニン、メホバルビタール、メプロバメート、メタカロン、メチプリロン、ミダフルル、ミダゾラム、モダフィニル、ネファゾドン、NGD−2−73、ニソバメート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、ラメルテオン、レクラゼパム、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン、TAK−375、テマゼパム、チオリダジン、チアガビン、トラカゾレート、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフロペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ゾラゼパム、ゾピクロン、ゾルピデムおよびそれらの塩、ならびにそれらの組合せなどがあり、あるいは、本発明の化合物は、光線治療または電気刺激などの物理的方法の使用と組み合わせて投与することができる。
【0104】
別の実施態様では、本発明の化合物は、レボドーパ(カルビドパまたはベンセラジドのような選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤を含む場合と含まない場合がある。)、ビペリドン(適宜に塩酸塩または乳酸塩として)および塩酸トリヘキシフェニジル(ベンズヘキソール)などの抗コリン作動薬、エンタカポンなどのCOMT阻害剤、MOA−B阻害剤、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体拮抗薬、コリン作働薬およびアレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリドおよびプラミペキサールなどのドーパミン受容体作働薬との併用で用いることができる。
【0105】
本明細書中で使用される「組成物」という用語は、所定の量または割合で指定の成分を含む製造物ならびに指定量の指定成分の組合せから直接または間接的に生ずる製造物を包含するものである。医薬組成物に関連するこの用語は、1以上の有効成分および不活性成分を含む適宜の担体を含む製造物;ならびに2以上の成分の組合せ、複合体化または凝集から、1以上の成分の解離から、または1以上の成分の他の種類の反応または相互作用から直接または間接に生ずる製造物を包含するものである。
【0106】
通常、医薬組成物は有効成分を液体担体もしくは微細固体担体またはその両方と均一かつ十分に混合した後、必要に応じて生成物を所望の剤形に成形することにより製造される。その医薬組成物において、式(I)から(VI)の化合物である有効成分は、疾患のプロセスまたは状態に対して所望の効果を生じさせるだけの量で含まれている。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を製薬上許容される担体と混合することにより製造される組成物を包含する。
【0107】
担体は、例えば経口または非経口(静脈投与など)などでの投与に望まれる製剤の形態に応じて、非常に多様な形態を取り得る。従って、本発明の医薬組成物は、それぞれ所定量の有効成分を含むカプセル、カシェ剤または錠剤などの経口投与に適した別個の単位として提供することができる。さらに組成物は、粉剤、粒剤、液剤、は水系液体中の懸濁液、非水系液剤、水中油型乳濁液、または油中水型乳濁液として提供することができる。上記の一般的な製剤以外に、本発明の化合物またはそれの製薬上許容される塩は、徐放手段および/または送達機器によっても投与可能である。
【0108】
経口投与用医薬組成物は、医薬組成物製造について当業界で公知の方法に従って製造することができ、そのような組成物は、医薬的に見た目が良く、口当たりの良い製剤を提供することを目的として甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1以上の薬剤を含むことができる。錠剤は、錠剤製造に適した無毒性の製薬上許容される賦形剤との混合で有効成分を含むことができる。その賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;トウモロコシデンプンまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;デンプン、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤;およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの潤滑剤であることができる。錠剤はコーティングを施していなくとも良く、あるいは公知の技術によってコーティングを施すことで消化管での崩壊および吸収を遅らせることで長期間にわたる持続作用を得るようにしてもよい。
【0109】
本発明の化合物を含有する錠剤は、適宜に1以上の補助成分または佐剤とともに圧縮または成形することで製造することができる。圧縮錠は、好適な機械で、適宜に結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合した粉剤もしくは粒剤などの自由流動形態で有効成分を圧縮することで製造することができる。成形錠は、好適な機械で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって製造することができる。各錠剤は好ましくは、有効成分約0.1から約500mgを含有しており、各カシェ剤またはカプセル剤は好ましくは有効成分約0.1から約500mgを含有している。
【0110】
経口用組成物は、有効成分が炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンなどの不活性固体希釈剤と混合されている硬ゼラチンカプセル剤として、または有効成分が水または落花生油、流動パラフィンもしくはオリーブ油などの油系媒体と混合されている軟ゼラチンカプセル剤としても提供することができる。
【0111】
他の医薬組成物には、水系懸濁液の製造に適した賦形剤と混合して活性物質を含有している水系懸濁液などがある。さらに、油系懸濁液は、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油などの植物油または流動パラフィンなどの鉱油に有効成分を懸濁させることによって製剤することができる。油系懸濁液は、各種賦形剤を含んでいても良い。本発明の医薬組成物は、甘味剤および香味剤などの賦形剤も含んでいても良い水中油型乳濁液の形態を取ることもできる。
【0112】
医薬組成物は、無菌で注射用の水系もしくは油系懸濁液の形態、またはそのような無菌注射用液剤もしくは分散液を即時調製するための無菌粉剤の形態であることができる。いずれの場合も、最終的な注射製剤は無菌でなければならず、容易に注射できるように十分に流動性でなければならない。医薬組成物は製造および貯蔵の条件下で安定でなければならない。従って好ましくは、医薬組成物は細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されていなければならない。
【0113】
本発明の医薬組成物は、例えばエアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、粉末剤などの局所使用に適した形態であることができる。さらに、組成物は経皮機器で使用するのに適した形態であることができる。これらの製剤は、従来の加工方法によって製造することができる。例えば、約5から約10重量%の当該化合物とともに親水性材料および水を混合してクリームまたは軟膏を調製することで、所望の稠度を有するクリームまたは軟膏が製造される。
【0114】
本発明の医薬組成物は、担体が固体である直腸投与に適した形態であることもできる。混合物が単位用量坐剤を形成することが好ましい。好適な担体には、カカオ脂および当業界で一般的に使用される他の材料などがある。
【0115】
「製薬上許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と適合性であり、その被投与者にとって有害であってはならないことを意味する。
【0116】
「化合物の投与」または「化合物を投与する」という用語は、、治療を必要とする個体に対して、その個体の身体に治療上有用な形態および治療上有用な量で導入することが可能な形態で本発明の化合物を提供することを意味するものと理解すべきであり、その形態には錠剤、カプセル、シロップ、懸濁液などの経口製剤;IV、IM、IP等の注射製剤;クリーム、ゼリー、粉剤もしくは貼付剤などの経皮製剤;口腔製剤;吸入粉剤、噴霧剤、懸濁液など;ならびに直腸坐剤などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
「有効量」または「治療上有効量」という用語は、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が追求している組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する当該化合物の量を意味する。
【0118】
本明細書中で使用される「治療」または「治療する」という用語は、本発明の化合物のいずれかの投与を意味し、(1)疾患を患っているかその疾患の症状もしくは徴候を示している動物における疾患の抑制(すなわち、症状および/または徴候の更なる進行の停止)、または(2)疾患を患っているかまたはその疾患の症状を示している動物における疾患の改善(すなわち、症状および/または徴候の逆転)を含むものである。
【0119】
本発明の化合物を含有する組成物は、簡便には単位製剤で提供することができ、製薬業界で公知の方法によって製造することができる。「単位製剤」という用語は、全ての有効成分および非有効成分が好適な系で組み合わされている単一用量であって、患者または患者に薬剤を投与する者が前記用量全体が収容されている一つの容器または包装を開けることができ、2以上の容器もしくは包装から成分を混合する必要がないようになっているものを意味するものである。単位製剤の代表例には、経口投与用の錠剤またはカプセル、注射用の単回投与バイアル、または直腸投与用坐剤がある。この単位製剤リストは、いかなる形でも本発明を限定するものではなく、単位製剤の代表例を示しているにすぎない。
【0120】
本発明の化合物を含有する組成物は簡便には、有効成分もしくは非有効成分、担体、希釈剤などであることができる2以上の成分に、患者または患者に薬剤を投与する者が実際の製剤を調製するための説明書が添付されているキットとして提供されても良い。そのようなキットには、含まれる全ての必要な物質および成分が収容されているか、患者または患者に薬剤を投与する者が独立に入手しなければならない材料もしくは構成要素を使用または作製するための説明書が入っていても良い。
【0121】
本発明の化合物が適応である障害または疾患を治療または改善する場合、本発明の化合物を動物体重1kg当たり約0.1から約100mgの1日用量で、好ましくは1日1回単一用量として、または1日2から6回の分割用量でまたは徐放形態で投与すると満足な結果が得られる。総1日用量は、約1.0から約2000mg/kg、好ましくは約0.1から約20mg/kgである。70kgの成人の場合、総1日用量は、約7から約1400mgである。この投与法を調節して、至適な治療応答が得られるようにすることができる。当該化合物は、1から4回/日、好ましくは1から2回/日の投与法で投与することができる。
【0122】
担体材料と組み合わせて単一製剤を与えることができる有効成分の量は、治療対象の宿主および特定の投与形態に応じて異なる。例えば、ヒトに対して経口投与するための製剤は簡便には、適切で有用な量の担体材料と配合して、約0.005mgから約2.5gの活性薬剤を含有することができる。単位製剤は、活性成分を通常約0.005から約1000mg、代表的には0.005mg、0.01mg、0.05mg、0.25mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mgまたは1000mg含有し、1日1回、2回または3回投与される。
【0123】
しかしながら、特定の患者における具体的な用量レベルおよび投与回数は変わり得るものであり、使用される具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用時間、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与の形態および時刻、排泄速度、併用薬剤、特定の状態の重度および治療を受ける宿主などの各種要因によって決まるものであることは明らかである。
【0124】
本発明の化合物のいくつかの製造方法を、本明細書中の図式および実施例に示す。原料は、当業界で公知の手順に従って、または本明細書に示した方法に従って作られる。下記の実施例は、本発明についての理解がさらに深まるよう提供されるものである。
【0125】
下記の実施例は、本発明を説明することを目的として提供されるものであって、いかなる形でも本発明の範囲に限定を加えるものと解釈すべきではない。
【0126】
(実施例1)
4−オキソ−1−({4−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン−1−イル}メチル)−4H−キノリジン−3−カルボン酸
【0127】
【化14】

2から5mLのEmrys(商標名)プロセスバイアル中、1−ホルミル−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸(77mg、0.36mmol)、1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン(114mg、0.50mmol)、氷酢酸(0.12mL、2.1mmol)およびジクロロエタン1.8mLの混合物を高撹拌した。その攪拌混合物に、樹脂結合MP−水素化シアノホウ素(44.6mg、0.71mmol)を加えた。混合物を、Emrysオプティマイザー(Emrys Optimizer;商標名)によって加熱して120℃として30分間経過させた。混合物を濾過し、濃縮し、粗取得物を逆相HPLCによって精製して、標題化合物をトリフルオロ酢酸塩として得たが、それは理論に一致するプロトンNMRスペクトラムを与え、M+H[C2220:432.1530]について計算される高分解能質量分析スペクトラム(ES+)m/z値432.1527を与えた。H NMR(500MHz、CDOD)δ9.57(d、J=6.6Hz、1H)、8.71(s、1H)、8.44(d、J=8.6Hz、1H)、8.18(t、J=7.4Hz、1H)、7.72(t、J=6.8Hz、1H)、7.54(d、J=8.6Hz、1H)、7.11(d、J=8.8Hz、1H)、4.69(bs、2H)、3.29−3.44(m、6H)。
【0128】
表1中の下記の化合物を、実施例1で提供した一般的手順に従って製造した。原料は、市販されているか、文献で公知であるか、当業界で公知の従来の反応を用いて市販の試薬から製造することができる。
【0129】
【化15】

【0130】
【表1】












(実施例145)
1−{[4−(2−シアノ−1−ベンゾフラン−5−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸
【0131】
【化16】

4−[2−(アミノカルボニル)−1−ベンゾフラン−5−イル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(85mg、0.246mmol)をDCM 5mLに溶かし、窒素下に冷却して0℃とした。トリエチルアミン(0.075mL、0.541mmol)を加え、次に無水トリフルオロ酢酸(0.038mL、0.271mmol)を加えた。反応液を1時間攪拌し、次に追加のDCM 20mLで希釈し、水で洗浄した(40mLで2回)。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、4−(2−シアノ−1−ベンゾフラン−5−イル)ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルを得た。
【0132】
上記ピペラジン(85.3mg、0.261mmol)をDCM 5mLおよびEtOAc 5mLに溶かし、冷却して0℃とした。塩化水素ガスを混合物に30秒間吹き込んだ。反応液を30分間攪拌し、昇温させて室温とした。得られたスラリーを濃縮して、4−(2−シアノ−1−ベンゾフラン−5−イル)ピペラジン−1−イウム・クロライドを得た。
【0133】
標題化合物を、実施例1に記載の手順によって製造して、M+H[C2420:428.44]について計算される質量イオン(ES+)m/z値429.25を得た。H NMR(400MHz、CDOD)δ9.58(d、J=7.1Hz、1H)、8.75(s、1H)、8.45(d、J=8.9Hz、1H)、8.20(t、J=6.2Hz、1H)、7.73(t、J=7.6Hz、1H)、7.64(s、1H)、7.54(d、J=9.2Hz、1H)、7.35(dd、J=9.2Hz、2.5Hz、1H)、7.29(d、2.4Hz、1H)、4.83(s、2H)、3.59(s、4H)。
【0134】
(実施例146)
1−{[4−(4−シアノフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸
【0135】
【化17】

1−ホルミル−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチル(0.891g、3.63mmol)、4−ピペラジン−1−イルベンゾニトリル(0.952g、5.09mmol)、氷酢酸(1.25mL、21.8mmol)およびジクロロエタン18.2mLの混合物を高撹拌した。撹拌混合物に、水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム(1.08g、5.09mmol)を加え、それを18時間撹拌した。混合物を10%炭酸ナトリウム溶液で反応停止し、ジクロロメタンで抽出し(40mLで1回)、水とジクロロメタンの間で分配した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮し、溶離液をEtOAcとするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、1−{[4−(4−シアノフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチルを得た。
【0136】
上記のカルボン酸エステル(178mg、0.43mmol)を2:1 THF:EtOH溶液(4.3mL)に溶かし、冷却して0℃とし、2.5N NaOH(0.19mL、0.47mmol)で処理し、昇温させて室温として16時間経過させた。混合物を濾過し、濃縮し、粗取得物を逆相HPLCによって精製して、標題化合物をトリフルオロ酢酸塩として得て、それwは理論と一致するプロトンNMRスペクトラムを与え、M+H[C2220:389.1608]について計算される高分解能質量分析スペクトラム(ES+)m/z値389.1628を与えた。H NMR(500MHz、CDOD)δ9.57(d、J=6.8Hz、1H)、8.69(s、1H)、8.43(d、J=9.0Hz、1H)、8.17(t、J=7.8Hz、1H)、7.72(t、J=7.0Hz、1H)、7.58(d、J=8.8Hz、1H)、7.08(d、J=8.8Hz、1H)、4.65(bs、2H)、3.34−3.44(m、6H)。
【0137】
(実施例147)
1−{[4−(6−シアノピリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸
【0138】
【化18】

5−ブロモピリジン−2−カルボニトリル(0.957g、5.23mmol)、ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1.36g、7.32mmol)、炭酸セシウム(3.41g、10.5mmol)、ラセミ体のN,N′−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.074g、0.52mmol)およびヨウ化銅(I)(0.010mg、0.052mmol)の混合物を、1−メチルピロリジン−2−オン13.1mLとともに撹拌し、窒素気流でパージした。反応液を加熱して120℃として8時間経過させた。混合物をジクロロメタン(20mL)で希釈し、水で洗浄した(20mLで3回)。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮し、0%から50%EtOAc/ヘキサンを溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行った。生成物を含む分画の回収および溶媒除去によって、4−(6−シアノピリジン−3−イル)ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルを得た。
【0139】
上記のピペラジン(967mg、3.35mmol)を脱水EtOAc8.4mLに溶かし、冷却して0℃とした。無水HClガスをその溶液に5分間吹き込んだ。反応液を昇温させて室温とし、2時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、4−(6−シアノピリジン−3−イル)ピペラジン−1−イウム・クロライドを得た。
【0140】
2から5mLのEmrys(商標名)プロセスバイアル中、1−ホルミル−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸(206mg、0.95mmol)、4−(6−シアノピリジン−3−イル)ピペラジン−1−イウム・クロライド(256mg、1.14mmol)、トリエチルアミン(0.16mL、1.14mmol)およびジクロロエタン1.9mLの混合物を高撹拌した。混合物を氷酢酸(0.33mL、5.69mmol)で酸性とし、樹脂結合MP−水素化シアノホウ素(929mg、1.90mmol)を入れた。混合物を、Emrysオプティマイザー(商標名)マイクロ波装置によって加熱して120℃として30分経過させた。濾過および溶媒除去によって得られたものについて、分取逆相HPLCを行って、標題化合物をトリフルオロ酢酸塩として得た。そのトリフルオロ酢酸塩、炭酸カリウム(92mg、0.66mmol)および1:1 THF:MeOH溶液(3.0mL)の混合物を冷却して0℃とし、トリメチルシリルジアゾメタン(0.83mL、1.66mmol)で処理し、4時間撹拌した。濾過および溶媒除去によって取得物を得て、それを0%から2%MeOH/ジクロロメタンを溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、1−{[4−(6−シアノピリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸メチルを得た。
【0141】
上記のカルボン酸エステル(92mg、0.23mmol)を2:1 THF:MeOH溶液(1.1mL)に溶かし、1.0N NaOH(0.24mL、0.24mmol)で処理し、2時間撹拌した。反応液を減圧下に減量して取得物を得て、それをRPHPLCによって精製して、標題化合物をトリフルオロ酢酸塩として得たが、それは理論と一致するプロトンNMRスペクトラムを与え、M+H[C2119:390.1561]について計算される高分解能質量分析スペクトラム(ES+)m/z値390.1561を与えた。H NMR(500MHz、CDOD)δ9.56(d、J=7.6Hz、1H)、8.66(s、1H)、8.44(d、J=9.0Hz、1H)、8.40(s、1H)、8.16(t、J=7.8Hz、1H)、7.68−7.73(m、2H)、7.43(d、J=8.8Hz、1H)、4.81(bs、2H)、3.63(m、2H)、3.26−3.35(m、6H)。
【0142】
(実施例148)
4−オキソ−1−{[4−(2−ビニルピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4H−キノリジン−3−カルボン酸
【0143】
【化19】

1−{[4−(2−クロロピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチルを、実施例146に記載の手順によって製造した。
【0144】
1−{[4−(2−クロロピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチル(0.500g、1.17mmol)、カリウムビニルトリフルオロボレート(0.471g、3.51mmol)および1N炭酸セシウム(2.34mL、2.34mmol)のTHF(5mL)中溶液に窒素下で、ビス(トリ−tert−ブチル−ホスフィン)パラジウム(0)(10mol%)を加えた。反応混合物を130℃で5時間撹拌し、冷却して室温とした。混合物をEtOAcで希釈し、重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物について、0%から5%MeOH/DCMを溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行って、4−オキソ−1−{[4−(2−ビニルピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチルを得たが、それはM+Hについて質量イオン(ES+)値419.0を与えた。
【0145】
上記化合物(0.030g、0.072mmol)のDMSO(1mL)中溶液に、水酸化リチウム水溶液(0.3mL)を加えた。2時間後、反応混合物を6N HClでpH約2の酸性とし、濾過し、逆相HPLCによる精製を行って標題化合物を得たが、それは理論と一致するプロトンNMRを与え、M+H[C2222:390.44]についての質量イオン(ES+)値391.0を与えた。H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ9.43(d、J=7.0Hz、1H)、8.50(d、J=8.8Hz、2H)、8.26−8.16(m、2H)、7.74(t、J=6.9Hz、1H)、7.42(s、1H)、7.17(d、J=5.3Hz、1H)、6.77−6.70(m、1H)、6.49(d、J=17.7Hz、1H)、5.91(d、J=11.2Hz、1H)、4.25−3.30(m、10H)。
【0146】
表2中の下記の化合物を、実施例148に提供されている一般的手順に従って製造した。原料は、市販されているか、文献で公知であるか、当業界で公知の従来の反応を用いて市販の試薬から製造することができる。
【0147】
【化20】

【0148】
【表2】

(実施例152)
1−{[4−(2−エチルピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]メチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸
【0149】
【化21】

4−オキソ−1−{[4−(2−ビニルピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチル(0.050g、0.12mmol)のMeOH(3mL)中溶液に窒素下にて、Pd/C(10mol%)を加えた。反応液を水素雰囲気(風船)下に置いた。2時間後、混合物を濾過し、減圧下に濃縮した。得られた残留物のDMSO(1mL)中溶液に、水酸化リチウム水溶液(0.3mL)を加えた。2時間後、反応混合物を6N HClでpH約2の酸性とし、濾過し、逆相HPLCによる精製を行って標題化合物を得たが、それは理論と一致するプロトンNMRを与え、M+H[C2224:392.45]についての質量イオン(ES+)値393.1を与えた。H NMR(400MHz、DMSO−d)δ9.43(d、J=7.0Hz、1H)、8.56(s、1H)、8.51(d、J=9.0Hz、1H)、8.26(d、J=6.6Hz、1H)、8.18(t、J=7.4Hz、1H)、7.16−7.14(m、2H)、4.67−3,17(m、10H)、2.76(q、J=7.5Hz、2H)、1.26(q、J=7.5Hz、1H)。
【0150】
(実施例153)
1−({4−[2−(メチルチオ)ピリジン−4−イル]ピペラジン−1−イル}メチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸
【0151】
【化22】

1−{[4−(2−クロロピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチル(0.300g、0.703mmol)およびナトリウムチオメトキシド(0.0739g、1.05mmol)のDMSO(1mL)中溶液を、シンチレーションバイアル中にて加熱して130℃として15時間経過させた。反応混合物を冷却して室温とし、6N HClで酸性とし、逆相HPLCによる精製を行って、標題化合物をトリフルオロ酢酸塩として得たが、それは理論と一致するプロトンNMRスペクトラムを与え、M+H[C2122S:410.49]についての質量イオン(ES+)値411.0を与えた。H NMR(400MHz、DMSO−d)δ9.43(d、J=7.2Hz、1H)、8.56(s、1H)、8.50(d、J=9.0Hz、1H)、8.20−8.15(m、2H)、7.76−7.72(m、1H)、6.95(d、J=6.4Hz、1H)、6.94(s、1H)、4.55−3.13(m、10H)、2.66(s、3H)。
【0152】
(実施例154)
1−({4−[2−(メチルスルホノチオニル)ピリジン−4−イル]ピペラジン−1−イル}メチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸
【0153】
【化23】

1−{[4−(2−クロロピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチル(0.100g、0.234mmol)およびナトリウムチオメトキシド(0.025g、0.35mmol)のDMSO(1mL)中溶液を、シンチレーションバイアル中にて加熱して130℃として15時間経過させた。反応混合物を冷却して室温とし、減圧下に濃縮し、トルエンと共沸させた。残留物をジクロロメタン3mLに懸濁させ、4−メチルモルホリンN−オキサイド(0.055g、0.467mmol)および四酸化オスミウム(5滴)を加えた。反応混合物を加熱して50℃として6時間経過させ、減圧下に濃縮し、逆相HPLCによる精製を行って、標題化合物をトリフルオロ酢酸塩として得たが、それは理論と一致するプロトンNMRスペクトラムを与え、M+H[C2122S:442.49]についての質量イオン(ES+)値442.9を与えた。H NMR(400MHz、DMSO−d)δ9.44(d、J=6.9Hz、1H)、8.64(s、1H)、8.53(d、J=9.0Hz、1H)、8.37(d、J=5.9Hz、1H)、8.22−8.18(m、1H)、7.74(d、J=7.0Hz、1H)、7.45(s、1H)、7.16(d、J=6.0Hz、1H)、4.77−3.51(m、10H)、3.22(s、3H)。
【0154】
(実施例155)
1−{[2−(3−フルオロフェニル)−4−メチル−3−オキソピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸
【0155】
【化24】

1−{[2−(3−フルオロフェニル)−3−オキソピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチルを、実施例146に記載の手順によって製造した。
【0156】
1−{[2−(3−フルオロフェニル)−3−オキソピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチル(0.050g、0.12mmol)のDMSO(0.5mL)中溶液に、水素化ナトリウム(6.1mg、0.15mmol)を加えた。15分後、ヨウ化メチル(0,010mL、0.15mmol)を加え、反応液を室温で15時間撹拌した。混合物を飽和LiOH水溶液(0.3mL)で処理した。5時間後、6N HClを加えてpH約3とし、溶液を分取逆相HPLCによって精製して標題化合物を得たが、それは理論と一致するプロトンNMRスペクトラムを与え、M+H[C2220FN:409.41]についての質量イオン(ES+)値409.9を与えた。H NMR(500MHz、CDOD)δ9.37(d、J=7.0Hz、1H)、8.37(s、1H)、7.93−7.89(m、2H)、7.60−7.56(m、1H)、7.28−7.25(m、1H)、7.15(d、J=7.7Hz、1H)、7.08(d、J=9.9Hz、1H)、7.00−6.95(m、1H)、4.16(s、1H)、3.88(d、J=13.6Hz、1H)、3.77(d、J=13.6Hz、1H)、3.67−3.60(m、1H)、3.34−3.31(m、1H)、3.10−3.06(m、1H)、2.97(s、3H)、2.78−2.71(m、1H)。
【0157】
表3中の下記の化合物を、実施例155に提供されている一般的手順に従って製造した。原料は、市販されているか、文献で公知であるか、当業界で公知の従来の反応を用いて市販の試薬から製造することができる。
【0158】
【化25】

【0159】
【表3】


(実施例160)
1−{[2−(3−フルオロフェニル)−3−オキソ−4−フェニルピペラジン−1−イル]メチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸
【0160】
【化26】

1−{[2−(3−フルオロフェニル)−3−オキソピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチル(0.100g、0.236mmol)、ヨウ化フェニル(48.2mg、0.236mmol)、N,N′−ジメチルエチレンジアミン(4.5mg、0.051mmol)、ヨウ化銅(I)(4.5mg、0.024mmol)および1N炭酸セシウム(0.59mL、0.59mmol)の混合物を、窒素下に加熱して100℃として18時間経過させた。反応液を冷却して室温とし、減圧下に濃縮した。得られた残留物をDMSO 1mLに再溶解させ、飽和LiOH水溶液(0.3ml)を加えた。2時間後、混合物を6N HClでpH約3の酸性とし、濾過し、逆相HPLCによって精製して標題化合物を得たが、それは理論に一致するプロトンNMRを与え、M+H[C2722FN:471.48]についての質量イオン(ES+)値471.9を与えた。H NMR(400MHz、DMSO−d)δ9.38(d、J=7.2Hz、1H)、8.42(s、1H)、7.98−7.92(m、2H)、7.61−7.58(m、1H)、7.58−7.39(m、2H)、7.39−7.29(m、5H)、7.19(d、J=9.8Hz、1H)、7.01−6.97(m、1H)、3.99(s、1H)、3.98−3.96(m、2H)、3.86(d、J=13.5Hz、1H)、3.68−3.64(m、1H)、3.24−3.20(m、1H)、3.00−2.93(m、1H)。
【0161】
(実施例161)
1−(1,4−ジアゼパン−1−イルメチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸
【0162】
【化27】

2から5mLEmrys(商標名)プロセスバイアル中、1−ホルミル−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸(53mg、0.24mmol)、1,4−ジアゼパン(29mg、0.29mmol)、氷酢酸(0.084mL、1.5mmol)およびジクロロエタン1.2mLの混合物を高撹拌した。その撹拌混合物に、樹脂結合MP−水素化シアノホウ素(239mg、0.49mmol)を加えた。混合物をEmrysオプティマイザー(商標名)マイクロ波装置によって加熱して120℃として20分間経過させた。濾過および溶媒除去によって取得物を得て、それを逆相HPLCによって精製して、標題化合物をトリフルオロ酢酸塩として得たが、それは理論と一致するプロトンNMRスペクラムを与え、M+H[C1619:302.1499]について計算される高分解能質量スペクトラム(ES+)m/z値302.1500を与えた。H NMR(500MHz、CDOD)δ9.52(d、J=7.1Hz、1H)、8.56(s、1H)、8.41(d、J=9.0Hz、1H)、8.10(t、J=7.9Hz、1H)、7.68(t、J=7.0Hz、1H)、4.37(s、2H)、3.35−3.41(m、6H)、3.20(m、2H)、2.13(m、2H)。
【0163】
表4中の下記の化合物を、実施例161に提供されている一般的手順に従って製造した。原料は、市販されているか、文献で公知であるか、当業界で公知の従来の反応を用いて市販の試薬から製造することができる。
【0164】
【化28】

【0165】
【表4】

表5中の下記の化合物を、実施例1に提供されている一般的手順に従って製造した。原料は、
市販されているか、文献で公知であるか、当業界で公知の従来の反応を用いて市販の試薬から
製造することができる。
【0166】
【化29】

【0167】
【表5】

(実施例179)
1−(モルホリン−4−イルメチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸
【0168】
【化30】

1−ホルミル−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチル(5g、20.4mmol)を、2:1ジクロロメタン:MeOH溶液(102mL)中で撹拌し、冷却して0℃とした。反応液を水素化ホウ素ナトリウム(0.309g、8.16mmol)で処理し、昇温させて室温とし、20時間撹拌した。混合物を10%炭酸ナトリウム溶液で反応停止し、ジクロロメタンで抽出し(100mLで3回)、水とジクロロメタンとの間で分配した。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、1−(ヒドロキシメチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチルを得た。
【0169】
上記カルボン酸エステルをジクロロメタン2.4mLに溶かし、トリエチルアミン(0.074mL、0.53mmol)を加えた。反応液を窒素気流でパージし、冷却して0℃とした。この反応液に、メタンスルホニルクロライド(0.042mL、0.53mmol)を滴下し、それを15分間撹拌した。反応液を水(5mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出し(5mLで3回)、水とジクロロメタンとの間で分配を行った。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮して、1−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチルを得た。25mL丸底フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド0.75mLを入れ、それを5分間排気し、窒素でパージした。このフラスコに、1−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸エチル、炭酸カリウム(25mg、0.18mmol)、そして次にモルホリン(0.016mL、0.18mmol)を加え、それを45分間撹拌した。反応混合物に2.5N NaOH(0.15mL、0.36mmol)を加え、それを16時間撹拌した。混合物を3N HCl(1mL)で酸性とし、減圧下に減量して取得物を得て、それを逆相HPLCによって精製することで、標題化合物を得たが、それは理論と一致するプロトンNMRスペクトラムを与え、M+H[C1516:289.1183]について計算される高分解能質量分析スペクトラム(ES+)のm/z値289.1205を与えた。H NMR(500MHz、DMSO−d)δ13.76(bs、COH)、9.81(bs、1H)、9.44(s、1H)、8.66(m、1H)、8.54(m、1H)、8.21(m、1H)、7.74(t、J=6.8Hz、1H)、4.77(s、2H)、3.96(m、2H)、3.09−3.64(m、6H)。
【0170】
化合物のM1受容体陽性アロステリック調節剤としての有用性は下記のアッセイなど、当業界で公知の方法により示すことができる。このアッセイは、細胞内カルシウムをFLIPR384蛍光イメージングプレートリーダーを用いて測定することによりアセチルコリンムスカリン性M1受容体またはCHOnfat細胞で発現される他のムスカリン性受容体で調節剤活性を有する化合物を選択するように設計されている。このアッセイは、FLIPRを用いて基底線Ca2+レベルまたはアセチルコリン刺激Ca2+レベルに対する1種類または数種類の濃度の試験化合物の効果を調べるものである。
【0171】
化合物を製造し、4分間の前インキュベーションを行う。その後、単一EC20濃度のアセチルコリンを各ウェルに添加する(最終3nM)。各サンプルの細胞内Ca2+レベルを測定し、アセチルコリン対照と比較して、調節剤活性を求める。
【0172】
細胞:384ウェルプレートで、CHOnfat/hM1、hM2、hM3またはhM4細胞を、細胞18000個/ウェル(100μL)の密度で平板培養してから、24時間後にアッセイを行う。CHOnfat/hM1およびCHOnfat/hM3増殖培地:90%DMEM(Hi Glucose);10%HI FBS;2mM L−グルタミン;0.1mM NEAA;Pen−Strep;および1mg/mLジェネテシンを加える。M2Gqi5CHOnfatおよびM4Gqi5CHOnfat細胞の場合、追加の600μg/mLのハイグロマイシンを加える。
【0173】
装置:384ウェルプレート、120μL添加プレート;96ウェルのワットマン(Whatman)2mLユニプレート(Uniplate)インキュベーター、37℃、5%CO;スカトロン(Skatron)EMBLA−384プレート洗浄機;マルチメク(Multimek)ピペッティングシステム;ジェネシス・フリーダム(Genesis Freedom)200システム;モスキート(Mosquito)システム;テモ・ナノリットル(Temo Nanolitre)ピペッティングシステム;およびFLTPR384蛍光イメージングプレートリーダーを使用する。
【0174】
緩衝液:アッセイ緩衝液:20mM Hepes、最初に1N NaOH水溶液に溶かした2.5mMプロベネシド(シグマ(Sigma)P−8761)、1%ウシ血清アルブミン(シグマA−9647)を含むハンクス液。色素添加緩衝液:アッセイ緩衝液+1%ウシ胎仔血清およびFluo−4AM/プルロン酸(Pluronic acid)混合物。アッセイで1μMの最終濃度とするための、DMSO(Molecular Probes F−14202)濃度2μM/緩衝液中の2mM Fluo−4AMエステル原液。緩衝液中0.04%の濃度を有する20%プルロン酸原液、アッセイでは0.02%。
【0175】
2mM Fluo−4AM(65μL)を20%プルロン酸(130μL)と混合する。得られた溶液とFBS 650μLをアッセイ緩衝液に加えて、全容量を65mLとする。陽性対照:4−Br−A23187:DMSO中10mM;最終濃度10μM。アセチルコリン:10mMの水溶液、アッセイ緩衝液中20μMおよび30μMの両方での作業原液、最終濃度10μM。これを使用して、CHOK1/hM1細胞の最大刺激を調べる。アッセイの前インキュベーション部分で20μM(2倍)アセチルコリンを加え、第2の部分で30μM(3倍)の原液を加える。(EC20)アセチルコリン:10mM水溶液、9nM(3倍)の作業原液、アッセイでの最終濃度は3nMである。試験化合物での前インキュベーション後に、これを使用する。試験化合物を含む各ウェルにEC20アセチルコリンを加えて、調節剤活性を確認する。24個のウェルに、対照として3nMアセチルコリン単独を含有させる。
【0176】
推定化合物の活性測定
スクリーニングプレート:ジェネシス・フリーダム200システムを用い、化合物を96ウェルプレート(列2から11)で滴定し、100%DMSO、15mMの濃度(150倍原液濃度)で開始し、3倍連続希釈。各ウェルに連続希釈化合物1μLに移し入れることで、4つの96ウェルプレートを組み合わせてモスキート・ナノリットル・ピペッティングシステムを用いる384ウェルプレートとし、1mMアセチルコリン(100倍原液濃度)を対照として加えた。アッセイ直前に、Temoを用いて、アッセイ緩衝液49μLを384ウェルプレートの各ウェルに加える。
【0177】
96ウェルのワットマン(Whatman)2mLユニプレート(Uniplate)で、9nMアセチルコリン(3倍)をスクリーニング化合物に相当するウェルおよび対照ウェルにピペットで入れる。30μMアセチルコリン対照(3倍)を対照ウェルに加え、3倍作働薬プレートを384ウェルプレートに移し入れる。
【0178】
細胞を緩衝液100μLで3回洗浄し、各ウェルに緩衝液30μLを残す。マルチメクを用いて、各ウェルに色素添加緩衝液30μLを加え、37℃、5%COで最長1時間インキュベートする。
【0179】
60分後、細胞を緩衝液100μLで3回洗浄し、各ウェルに緩衝液30μLを残す。細胞プレート、スクリーニングプレートおよび作働薬添加プレートを、FLIPRのプラットフォーム上に載せ、ドアを閉じる。バッグランウンド蛍光および基底線蛍光シグナルを調べるためのシグナル試験を実施する。必要に応じて、レーザー強度を調節する。
【0180】
試験化合物との4分間の前インキュベーションにより、1mMアセチルコリン対照との比較によってM1受容体に対する作働薬活性を求める。前インキュベーション後、アセチルコリン(最終濃度3nM)のEC20値を加えて、調節剤活性を測定する。
【0181】
ムスカリン性FLIPRアッセイについてのさらなる説明が、国際特許出願WO2004/073639にある。
【0182】
特に、下記実施例の化合物は、上記のアッセイで活性を有しており、IP(変曲点)が30μM(30000nM)以下であった。その変曲点は、FLIPR値から計算され、活性の尺度である。そのような結果は、M1アロステリック調節剤として使用する場合の当該化合物の固有活性を示すものである。
【0183】
(本明細書に記載の)本発明の代表的な例示滴化合物についての上記アッセイからのIP値を、下記の表1に示してある。
【0184】
【表6】


本文を通じて、下記の略称を用いている。
【0185】
Me;メチル
Et:エチル
IPr:イソプロピル
t−Bu:tert−ブチル
Ar:アリール
Ph:フェニル
Bn:ベンジル
DCE:ジクロロエチレン
BOC:t−ブチルオキシカルボニル
HMDS:ヘキサメチルジシラザン
THF:テトラヒドロフラン
Ac:アセチル
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMEM:ダルベッコ改変イーグル培地(高グルコース)
FBS:ウシ胎仔血清
rt:室温
aq:水系
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
MS:質量分析。
【0186】
以上、ある種の特定の実施形態を参照して本発明についての記載および説明を行ったが、本発明の清心および範囲から逸脱しない限りにおいて、手順およびプロトコールについての各種の調整、変更、修正、置き換え、削除または加入を行うことが可能であることは、当業者には明らかであろう。従って、本発明は添付の特許請求の範囲によって定義されるものであり、そのような特許請求の範囲は妥当な限り広く解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化1】

[式中、
は、
(1)N、
(2)S、
(3)SOまたは
(4)O
からなる群から選択され;
は、CHRまたはCHCHRであり;
およびRはそれぞれ、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、
(3)−C6−10アリール、
(4)−C(=O)−OR6Aまたは
(5)OH
からなる群から選択され、
前記RおよびRのアルキルまたはアリール部分は、1以上の
(b)ハロゲン、
(b)−C1−6アルキル(該アルキルは、1以上のハロゲンで置換されていても良い)
によって置換されていても良く、または
とRが一体となって、基=Oを形成しており;
は水素であるか、RとRが連結されて−CH−もしくは−CHCH−を形成しており;
は、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、
(3)−(CH−アリール、
(4)5から12個の環原子を有するヘテロアリール基、
(5)−C4−12非芳香族複素環基、
(6)−C3−12シクロアルキル、
(7)−S(O)−R6A
(8)シアノ、
(9)−C(O)−OC1−6アルキル
からなる群から選択され;
前記Rのアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環またはシクロアルキル部分は、1以上の
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)−(CH−アリール、
(e)−C(−O)−OR6A
(f)−O−C1−6アルキル、
(g)−C1−6アルキル、
(g)−C2−6アルケニル、
(i)−C2−6アルキニル、
(j)−NO
(k)−N(R6A6B
で置換されていても良く、
前記アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリール部分は、1以上の
(i)ハロゲン、
(ii)ヒドロキシ、
(iii)シアノ、
(iv)−S(O)−R6A
で置換されていても良く;
は、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキルおよび
(3)−CH−アリール
からなる群から選択され、
前記Rのアルキルまたはアリール部分は、1以上の
(a)ハロゲン、
(b)シアノおよび
(c)−O−C1−6アルキル(該前記アルキルは、1以上のハロで置換されていても良い)
で置換されていても良く;
は、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、
(3)−(CH−アリールまたは
(4)5から12個の環原子を有するヘテロアリール基
からなる群から選択され、
前記Rのアルキル、アリールまたはヘテロアリール部分は、1以上の
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)−(CH−アリール、
(e)−O−C1−6アルキル、
(f)−C1−6アルキル、
(g)−N(R6A6B
で置換されていても良く、
前記アルキルまたはアリール部分は、1以上の
(i)ハロゲン、
(ii)ヒドロキシ、
(iii)シアノ、
(iv)−S(O)−R6A
で置換されていても良く;
6AおよびR6Bは独立に、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキルおよび
(3)−(CH−アリール
からなる群から選択され、
前記R6AまたはR6Bのアルキルまたはアリール部分は、1以上の
(a)ハロゲン、
(b)シアノおよび
(c)−O−C1−6アルキル(該アルキルは、1以上のハロで置換されていても良い)
で置換されていても良く;
m、nおよびqはそれぞれ0、1または2から選択され;
ただし、XがO、SまたはSOである場合、Xは−CH−であり、Rは非存在である。]
【請求項2】
が水素または−C1−3アルキルである請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項3】
が水素またはメチルである請求項1もしくは2に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項4】
およびRが水素である請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項5】
とRが一体となってオキソを形成している請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項6】
が、
(1)フェニル、
(2)CH−フェニル、
(3)5から12個の環原子を有するヘテロアリール基、
(4)−C4−12非芳香族複素環基および
(5)−C3−10シクロアルキル
からなる群から選択され、
前記フェニル、ヘテロアリール、複素環またはシクロアルキル部分が、1以上の
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)−C(O)−OR5A
(e)−O−C1−6アルキル、
(f)−C1−6アルキル、
(g)−NO
で置換されていても良く、
前記アルキル部分が、1以上の
(i)ハロゲン、
(ii)ヒドロキシ、
(iii)シアノ、
(iv)−S(O)−R5A
で置換されていても良い請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項7】
が、下記のものからなる群から選択される請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化2】




【請求項8】
が水素である請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項9】
が水素である請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項10】
が、置換されていても良い
(1)−C1−6アルキル、
(2)−(CH−アリール(nは0または1である)、または
(3)5から12個の環原子を有するヘテロアリール基
からなる群から選択される請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項11】
前記式(I)の化合物が、下記式(II)の化合物である請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化3】

[式中、R、R、RおよびRは請求項1で特許請求の通りである。]
【請求項12】
が、1以上の
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−OC1−6アルキル、
(5)−S(O)−C1−6アルキル
で置換されていても良いピリジルであり、前記アルキルが請求項1に特許請求のように置換されていても良い請求項11に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項13】
前記式(I)の化合物が下記式(III)の化合物である請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化4】

[式中、R、R、RおよびRは請求項1で特許請求の通りであり、Rは環原子のうちの1以上で存在し、
(1)ヒドロキシル、
(2)シアノ、
(3)−C(=O)−OR5A
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−C1−6アルキルおよび
(6)−NO
からなる群から選択される。]
【請求項14】
前記式(I)の化合物が下記式(IV)の化合物である請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化5】

[式中、RとR1Aが連結されて−CH−または−CHCH−を形成しており、Rは水素であり、Rは請求項1で特許請求の通りである。]
【請求項15】
前記式(I)の化合物が下記式(V)の化合物である請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化6】

[式中、R、RおよびRは請求項1で特許請求の通りであり、X′はO、SまたはSOから選択される。]
【請求項16】
前記式(I)の化合物が下記式(VI)の化合物である請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化7】

[式中、R、R、RおよびRは請求項1で特許請求の通りである。]
【請求項17】
4−オキソ−1−({4−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン−1−イル}メチル)−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−{[4−(2−シアノ−1−ベンゾフラン−5−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−{[4−(4−シアノフェニル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−{[4−(6−シアノピリジン−3−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
4−オキソ−1−{[4−(2−ビニルピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]メチル}−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−{[4−(2−エチルピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]メチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−({4−[2−(メチルチオ)ピリジン−4−イル]ピペラジン−1−イル}メチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−({4−[2−(メチルスルホノチオニル)ピリジン−4−イル]ピペラジン−1−イル}メチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−{[2−(3−フルオロフェニル)−4−メチル−3−オキソピペラジン−1−イル]メチル}−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−{[2−(3−フルオロフェニル)−3−オキソ−4−フェニルピペラジン−1−イル]メチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−(1,4−ジアゼパン−1−イルメチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸;
1−(モルホリン−4−イルメチル)−4−オキソ−4H−キノリジン−3−カルボン酸
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項18】
治療上有効量の請求項1から17のうちのいずれか一項に記載の化合物もしくは該化合物の製薬上許容される塩および製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項19】
治療上有効量の請求項1から17のうちのいずれか一項に記載の化合物もしくは該化合物の製薬上許容される塩および製薬上許容される担体を含む、アルツハイマー病、統合失調症、疼痛または睡眠障害からなる群から選択されるムスカリン性M1受容体が介在する疾患または障害の治療のための医薬組成物。
【請求項20】
アルツハイマー病、統合失調症、疼痛または睡眠障害からなる群から選択されるムスカリン性M1受容体が介在する疾患または障害の治療のための請求項1から17のうちのいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項21】
アルツハイマー病、統合失調症、疼痛または睡眠障害からなる群から選択されるムスカリン性M1受容体が介在する疾患または障害の治療のための医薬を製造する上での、請求項1から17のうちのいずれか一項に記載の化合物もしくは該化合物の製薬上許容される塩および製薬上許容される担体の使用。
【請求項22】
治療上有効量の請求項1から17のうちのいずれか一項に記載の化合物もしくは該化合物の製薬上許容される塩および製薬上許容される担体を患者に投与する段階を有する、処置を必要とする患者でのアルツハイマー病、統合失調症、疼痛または睡眠障害からなる群から選択されるムスカリン性M1受容体が介在する疾患または障害の治療方法。

【公表番号】特表2011−510084(P2011−510084A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544371(P2010−544371)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/031032
【国際公開番号】WO2009/094279
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】