説明

キノリン誘導体およびそれを含んでなる農園芸用殺虫剤

【課題】農園芸用殺虫剤として使用可能である、低感受性虫種や難防除虫種に対する優れた殺虫活性を有する化合物の提供。
【解決手段】下記式(I)[式中、Rはアルキル基、環状アルキル基、アルコシル基等を示し、R、RおよびRは、それぞれアルキル基を示す。]で表される化合物は、低感受性虫種や難防除虫種に対して優れた殺虫活性を有する。よって、この化合物またはその農園芸上許容可能な酸付加塩は農園芸用殺虫剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノリン誘導体およびそれを有効成分として含んでなる農園芸用殺虫剤に関する。
【背景技術】
【0002】
防除作用を有する様々な化合物が従前より開発されてきた。例えば、WO98/055460号公報(特許文献1)には、殺菌活性を有するキノリン誘導体が開示されているが、それら誘導体の殺虫活性については何ら記載されていない。また、特開平3−128355号公報(特許文献2)および米国特許第4168311号公報(特許文献3)には、殺虫活性を有するキノリン誘導体が開示されている。しかし、これらの公報に記載の化合物は、後述する式(I)で表されるキノリン誘導体とは、キノリンの6位の置換基の構造が異なるものである。
【0003】
本発明者らは、先に、6位に置換フェノキシ基と、5位、7位、または8位に置換基とを有する4‐キノリノール誘導体が、優れた殺虫剤活性を有することを見出した(WO2006/013896号公報(特許文献4))。
【0004】
しかし、優れた農園芸用殺虫剤、特にアザミウマ目害虫等の低感受性虫種や難防除虫種に対する優れた殺虫活性を有する農園芸用殺虫剤への希求は依然として存在しているといえる。
【特許文献1】WO98/055460号公報
【特許文献2】特開平3−128355号公報
【特許文献3】米国特許第4168311号公報
【特許文献4】WO2006/013896号公報
【発明の開示】
【0005】
本発明者らは、今般、新規なキノリン誘導体が顕著な殺虫活性、とりわけアザミウマ目害虫等の低感受性虫種や難防除虫種に対して優れた殺虫活性を有することを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
【0006】
本発明は、一つの態様によれば優れた殺虫活性を有する新規キノリン誘導体の提供をその目的としている。
【0007】
更に、本発明の別の態様によれば、本発明による新規キノリン誘導体を含んでなる農園芸用殺虫剤の提供をその目的としている。
【0008】
そして、本発明による新規キノリン誘導体は、下記式(I)で表される化合物、およびその農園芸上許容可能な酸付加塩である:
【化1】

(式中、
1は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3または4の環状アルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、または基−OR若しくは基−SR(ここで、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、
、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)。
【0009】
また、本発明による農園芸用殺虫剤は、前記式(I)で表されるキノリン誘導体またはその農園芸上許容可能な酸付加塩を有効成分として含んでなるものである。
【発明の具体的説明】
【0010】
式(I)で表される化合物
式(I)においてRが表す炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状、または分岐状のいずれであってもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基、i−プロピル基である。また、Rが表す炭素数3または4の環状アルキル基は、シクロプロピル基またはシクロプロピルメチル基が挙げられ、好ましくは、シクロプロピル基である。
【0011】
式(I)においてRが表す炭素数2〜4のアルケニル基は、ビニル基、(1−または2−)プロペニル基、(1−、2−または3−)ブテニル基が挙げられ、好ましくはビニル基である。
【0012】
式(I)において、Rは基−ORまたは基−SRを表し、ここでRが表す炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0013】
式(I)におけるR、R、およびRが表す炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基またはt−ブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基またはエチル基である。
【0014】
本発明の好ましい態様としては、R1が、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3または4の環状アルキル基、または基−OR(ここで、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、R、RおよびRが、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基である、式(I)の化合物が挙げられる。
【0015】
本発明による式(I)で表される化合物は、農園芸上可能な酸付加塩の形態とされてよく、その例としては塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、または酢酸塩が挙げられる。
【0016】
本発明による式(I)で示される化合物の好ましい具体例を挙げれば以下の通りである(なお、以下の化合物番号は実施例における化合物番号と一致する)。
2−エチル−7−メトキシ−4−メトキシカルボニルオキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物番号1)、
7−エトキシ−2−エチル−4−メトキシカルボニルオキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物番号2)、
4−アセチルオキシ−2−エチル−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物番号3)、
4−シクロプロピルカルボニルオキシ−2−エチル−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物番号4)、
2−エチル−7−メトキシ−3−メチル−4−メチルチオカルボニルオキシ−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物番号5)、
4−アリルカルボニルオキシ−2−エチル−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物番号6)、
2−エチル−4−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物番号7)、
4−アセチルオキシ−2,3−ジメチル−7−メトキシ−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物番号8)、または
3−エチル−7−メトキシ−4−メトキシカルボニルオキシ−2−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物番号9)。
【0017】
式(I)の化合物の製造
式(I)の化合物は、好ましくは特開平3−128355記載の方法に準じて、以下のスキームIの方法により製造することができる。
【0018】
すなわち、下記式(II)で示される化合物を、式(III)または式(IV)で示される試薬と、塩基存在下または塩基非存在下で反応させ、必要に応じて置換基を変換することにより合成することができる。スキームI中、R〜Rは、上で定義したものと同一の意味を表す。ここで塩基としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン等の有機アミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム等の無機アルカリが挙げられる。
【0019】
スキームI
【化2】

上記反応において出発物質である式(II)の化合物は、公知の方法であるJ.Am.Chem.Soc.70,2402(1948)またはTetrahedron Lett.27,5323(1986)に準じて、以下のスキームIIの方法により製造することが出来る。スキームII中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、R〜Rは、上で定義したものと同一の意味を表す。
【0020】
スキームII
【化3】

さらに式(V)の化合物は、以下のスキームIIIに沿って式(VII)の化合物におけるニトロ基を還元することにより製造することが出来る。
【0021】
スキームIII
【化4】

式(VII)の化合物は、式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物とから、以下のスキームIVの方法により製造することが出来る。すなわち、一般に入手可能な式(VIII)のフェノール誘導体および式(IX)のニトロ化合物を、塩基存在下または塩基非存在下で反応させ、式(VII)のジフェニルエーテル誘導体を合成する。ここで、Xは塩素、臭素、ヨウ素、フッ素のようなハロゲン原子を表す。
【0022】
スキームIV
【化5】

【0023】
化合物の用途/農園芸用殺虫剤
本発明による式(I)の化合物は、各種害虫に対して優れた防除効果を示すものである。本発明による式(I)で表される化合物群は、1ppm以下の濃度でミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)に対して死虫率90%以上を示す。式(I)の化合物群がこのような低濃度にもかかわらず90%以上という死虫率を示すことは、WO2006/013896号公報(特許文献4)の記載からすれば、当業者をして顕著な効果の改善と理解される。
【0024】
従って、本発明によれば式(I)の化合物、またはその農園芸上許容可能な酸付加塩を有効成分として含んでなる、農園芸用殺虫剤が提供される。
【0025】
また、本発明の別の態様によれば、前記式(I)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な酸付加塩の有効量を、植物または土壌に適用することを含んでなる、農園芸上の害虫の防除方法が提供される。
【0026】
また、本発明の別の態様によれば、農園芸用殺虫剤としての、前記式(I)で表される化合物またはその農園芸上許容可能な酸付加塩の使用が提供される。
【0027】
式(I)で表される化合物が防除効果を示す虫種は、鱗翅目害虫(例えば、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ、タマナヤガ、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属等のヤガ類、ニカメイガ、コブノメイガ、ヨーロピアンコーンボーラー、ハイマダラノメイガ、シバツトガ、ワタノメイガ、ノシメマダラノメイガ等のメイガ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、アドキソフィエス属、ナシヒメシンクイ、コドリンガ等のハマキガ類、モモシンクイガ等のシンクイガ類、リオネティア属等のハモグリガ類、リマントリア属、ユープロクティス属等のドクガ類、コナガ等のスガ類、ワタアカミムシ等のキバガ類、アメリカシロヒトリ等のヒトリガ類、イガ、コイガ等のヒロズコガ類等)、半翅目害虫(例えば、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ等のアブラムシ類、ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アカヒゲホソミドリカスミカメ、チャバネアオカメムシ、ミナミアオカメムシ、ホソヘリカメムシ等のカメムシ類、オンシツコナジラミ、シルバーリーフコナジラミ等のコナジラミ類、クワコナカイガラムシ等のカイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等)、鞘翅目害虫(例えば、メイズウィービル、イネミズゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ等のゴミムシダマシ類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、キスジノミハムシ、ウリハムシ、コロラドポテトハムシ、ウェスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のハムシ類、イネドロオイムシ、アオバアリガタハネカクシ、シンクイムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ類、カミキリムシ類等)、ダニ目(例えばナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、オリゴニカス属等のハダニ類、トマトサビダニ、ミカンサビダニ、チャノサビダニ等のフシダニ類、チャノホコリダニ等のホコリダニ類、コナダニ類等)、膜翅目害虫(例えば、カブラハバチ等のハバチ類等)、直翅目害虫(例えば、バッタ類等)、双翅目害虫(例えばイエバエ類、イエカ類、ハマダラカ類、ユスリカ類、クロバエ類、ニクバエ類、ヒメイエバエ類、ハナバエ類、マメハモグリバエ、トマトハモグリバエ、ナスハモグリバエ等のハモグリバエ類、ミバエ類、ノミバエ類、ショウジョウバ
エ類、チョウバエ類、ブユ類、アブ類、サシバエ類等)、アザミウマ目害虫(例えば、ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ネギアザミウマ、ハナアザミウマ、チャノキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマ、カキクダアザミウマ等)、植物寄生性線虫(例えば、ネコブセンチュウ類、ネグサレセンチュウ類、シストセンチュウ類、イネシンガレセンチュウ等のアフェレンコイデス類、マツノザイセンチュウ等)であり、
とりわけアザミウマ目害虫、好ましくはミカンキイロアザミウマに対して優れた防除効果を示す。
【0028】
式(I)の化合物を農園芸用殺虫剤として用いる場合、式(I)の化合物をそのまま用いても良いが、式(I)で表される化合物は、適当な固体担体、液体担体、ガス状担体等、界面活性剤、分散剤、その他の製剤用補助剤とともに混合して、乳剤、EW剤、液剤、懸濁剤、水和剤、顆粒水和剤、粉剤、DL粉剤、粉粒剤、粒剤、錠剤、油剤、エアゾル、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、マイクロカプセル剤等の任意の剤型として用いることができる。
【0029】
固体担体としては、例えばタルク、ベンナイト、クレー、カオリン、ケイソウ土、バー
ミキュライト、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、酸性白土、珪砂、珪石、ゼオライト、パーライト、アタパルジャイト、軽石、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、尿素等が挙げられる。
【0030】
液体担体としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、n−ヘキサン、ケロシン、灯油等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、アセトニトリル、イソブチロニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の酸アミド類、ダイズ油、綿実油等の植物油類、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
【0031】
また、ガス状担体としてはLPG、空気、窒素、炭酸ガス、ジメチルエーテル等が挙げられる。
【0032】
界面活性剤および分散剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル類、アルキル(アリール)スルホン酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル類、多価アルコールエステル類、リグニンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリカルボン酸塩、POEポリスチリルフェニルエーテル硫酸塩およびリン酸塩、POE・POPブロックポリマー等が挙げられる。
【0033】
さらに、製剤用補助剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、α化デンプン、アラビアガム、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ステアリン酸カルシウム、及び消泡剤、防腐剤等が挙げられる。
【0034】
前記の担体、界面活性剤、分散剤、および補助剤は、必要に応じて各々単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。
【0035】
製剤中の有効成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、乳剤で1−75重量%、粉剤では0.3−25重量%、水和剤では1−90重量%、粒剤では0.5−10重量%である。
【0036】
本発明による農園芸用殺虫剤は、他の殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、除草剤、植物成長調節剤、肥料等と混合または併用することができる。混合または併用することができる薬剤としては、例えば、ペスティサイド マニュアル(第13版 The British Crop Protection Council 発行)およびシブヤインデックス(SHIBUYA INDEX 第10版、2005年、SHIBUYA INDEX RESEARCH GROUP 発行)に記載のものが挙げられる。
【0037】
より具体的には、用いられる殺虫剤としては、アセフェート(acephate)、ジクロルボス(dichlorvos)、EPN、フェニトロチオン(fenitrothion)、フェナミホス(fenamifos)、プロチオホス(prothiofos)、プロフェノホス(profenofos)、ピラクロホス(pyraclofos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、ダイアジノン(diazinon)のような有機リン酸エステル系化合物、メソミル(methomyl)、チオジカルブ(thiodicarb)、アルジカルブ(aldicarb)、オキサミル(oxamyl)、プロポキスル(propoxur)、カルバリル(carbaryl)、フェノブカルブ(fenobucarb)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)、ピリミカーブ(pirimicarb)、カルボフラン(carbofuran)、ベンフラカルブ(benfuracarb)のようなカーバメート系化合物、カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)のようなネライストキシン誘導体、ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)のような有機塩素系化合物、ペルメトリン(permethrin)、テフルトリン(tefluthrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルバリネート(fluvalinate)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、シラフルオフェン(silafluofen)のようなピレスロイド系化合物、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、のようなベンゾイルウレア系化合物、メトプレン(methoprene)のような幼若ホルモン様化合物、その他の化合物として、ブブロフェジン(buprofezin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、アミトラズ(amitraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、ピリダベン(pyridaben)、フェンピロキシメート(fenpyroxymate)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、フルアクリピリム(fluacrypyrim)、アセキノシル(acequinocyl)、フィプロニル(fipronyl)、エトキサゾール(ethoxazole)、イミダクロプリド(imidacloprid)、クロチアニジン(chlothianidin)、ピメトロジン(pymetrozine)、ビフェナゼート(bifenazate)、スピロジクロフェン(spirodiclofen)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfene)、インドキサカルブ(indoxacarb)、ピリダリル(pyridalyl)、またはスピノサド(spinosad)、アベルメクチン(avermectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、有機金属系化合物、ジニトロ系化合物、有機硫黄化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、ヒドラジン系化合物のような化合物であり得る。更に、本発明化合物は、BT剤、昆虫病原ウイルス剤などのような微生物農薬と、混用または併用することもできる。
【0038】
用いられる殺菌剤としては、例えば、アゾキシストルビン(azoxystrobin)、クレソキシムメチル(kresoxym-methyl)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)などのストロビルリン系化合物、メパニピリム(mepanipyrim)、ピリメサニル(pyrimethanil)、シプロジニル(cyprodinil)のようなアニリノピリミジン系化合物、トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、トリフルミゾール(triflumizole)、エタコナゾール(etaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ペンコナゾール(penconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、ミクロブタニル(myclobutanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、プロクロラズ(prochloraz)、シメコナゾール(simeconazole)のようなアゾール系化合物、キノメチオネート(quinomethionate)のようなキノキサリン系化合物、マンネブ(maneb)、ジネブ(zineb)、マンコゼブ(mancozeb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、プロビネブ(propineb)のようなジチオカーバメート系化合物、ジエトフェンカルブ(diethofencarb)のようなフェニルカーバメート系化合物、クロロタロニル(chlorothalonil)、キントゼン(quintozene)のような有機塩素系化合物、ベノミル(benomyl)、チオファネートメチル(thiophanate-methyl)、カーベンダジム(carbendazole)のようなベンズイミダゾール系化合物、メタラキシル(metalaxyl)、オキサジキシル(oxadixyl)、オフラセ(ofurace)、ベナラキシル(benalaxyl)、フララキシル(furalaxyl)、シプロフラン(cyprofuram)のようなフェニルアミド系化合物、ジクロフルアニド(dichlofluanid)のようなスルフェン酸系化合物、水酸化第二銅(copper hydroxide)、オキシキノリン銅(oxine-copper)のような銅系化合物、ヒドロキシイソキサゾール(hydroxyisoxazole)のようなイソキサゾール系化合物、ホセチルアルミニウム(fosetyl-aluminium)、トルクロホス−メチル(tolclofos-methyl)のような有機リン系化合物、キャプタン(captan)、カプタホール(captafol)、フォルペット(folpet)のようなN−ハロゲノチオアルキル系化合物、プロシミドン(procymidone)、イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinchlozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物、フルトラニル(flutolanil)、メプロニル(mepronil)のようなベンズアニリド系化合物、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、ジメトモルフ(dimethomorph)のようなモルフォリン系化合物、水酸化トリフェニルスズ(fenthin hydroxide)、酢酸トリフェニルスズ(fenthin acetate)のような有機スズ系化合物、フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)のようなシアノピロール系化合物、その他フサライド(fthalide)、フルアジナム(fluazinam)、シモキサニル(cymoxanil)、トリホリン(triforine) ピリフェノックス(pyrifenox)、フェナリモル(fenarimol)、フェンプロピディン(fenpropidin)、ペンシクロン(pencycuron)、シアゾファミド(cyazofamid)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、ベンチアバリカルブイソプロピル(benthiavalicarb-isopropyl)が挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
参考例1
2,2,3,3−テトラフルオロ−6−(2−メトキシ−4−ニトロフェノキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシンの合成
1−クロロ−2−メトキシ−4−ニトロベンゼン0.6g、N,N−ジメチルアセトアミド3.2ml、2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−オール0.72gおよび炭酸カリウム0.34gを130〜140℃で17時間加熱攪拌した。反応液を酢酸エチルと水の混合物中へ注ぎ、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル層を食塩水で洗浄の後、減圧下で濃縮して標題化合物1.2gを得た。
【0041】
参考例2
3−メトキシ−4−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)フェニルアミンの合成
鉄粉1.28g、エタノール4.5ml、蒸留水1.8mlおよび35%塩酸0.0096mlを還流するまで加熱した。続いてエタノール1.4mlに溶解した2,2,3,3−テトラフルオロ−6−(2−メトキシ−4−ニトロフェノキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン(参考例1)1.2gを滴下し、2.5時間加熱還流した。室温まで冷却の後、重曹水を加え濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、酢酸エチルと食塩水を加え分液した。酢酸エチル層を食塩水で洗浄の後、減圧下で濃縮して1.1gの標題化合物が得られた。
【0042】
参考例3
6−(2−エトキシ−4−ニトロフェノキシ)−2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシンの合成
1−クロロ−2−エトキシ−4−ニトロベンゼン0.58g、N,N−ジメチルアセトアミド3ml、2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−オール0.65gおよび炭酸カリウム0.3gを130〜140℃で14.5時間加熱攪拌した。冷却後反応液を酢酸エチルと水の混合物中へ注ぎ、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル層を食塩水で洗浄の後、減圧下で濃縮して1.12gの標題化合物を得た。
【0043】
参考例4
3−エトキシ−4−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)フェニルアミンの合成
鉄粉1.15g、エタノール4ml、蒸留水1.6mlおよび35%塩酸0.009mlを還流するまで加熱した。続いてエタノール1.2mlに溶解した6−(2−エトキシ−4−ニトロフェノキシ)−2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン(参考例3)1.12gを滴下し、2時間加熱還流した。室温まで冷却の後、重曹水を加え濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、酢酸エチルと食塩水を加え分液した。酢酸エチル層を食塩水で洗浄の後、減圧下で濃縮して1.03gの標題化合物が得られた。
【0044】
合成例1
2−エチル−7−メトキシ−4−メトキシカルボニルオキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物1)の合成
キシレン30ml中の3−メトキシ−4−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)フェニルアミン(参考例2)1.04g、2−メチル−3−オキソペンタン酸メチル1.09gおよびp−トルエンスルホン酸0.57gを14時間加熱還流脱水した。冷却の後酢酸エチルで抽出の後、酢酸エチル層を減圧下で濃縮し析出した結晶を濾取し1.19gの2−エチル−4−ヒドロキシ−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリンを得た。つぎに得られた1.19gの結晶にジメチルアセトアミド12mlを加え、0℃にて60%の水素化ナトリウム0.24gとクロロギ酸メチル0.51gを加えた。室温にて1時間攪拌の後、反応液を水と酢酸エチルの混合物中に注ぎ、酢酸エチルを用いて抽出した。酢酸エチル層を食塩水で洗浄の後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(富士シリシア化学製BW300、溶媒n−ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標題化合物0.67gを得た。
【0045】
合成例2
7−エトキシ−2−エチル−4−メトキシカルボニルオキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物2)の合成
キシレン30ml中の3−エトキシ−4−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)フェニルアミン(参考例4)1.05g、2−メチル−3−オキソペンタン酸メチル1.0gおよびp−トルエンスルホン酸0.56gを8時間加熱還流脱水した。冷却の後析出した結晶を濾取しn−ヘキサンおよび重曹水で洗浄し1.3gの7−エトキシ−2−エチル−4−ヒドロキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリンを得た。つぎに得られた1.3gの結晶にジメチルアセトアミド12mlを加え、0℃にて60%の水素化ナトリウム0.25gとクロロギ酸メチル0.54gを加えた。室温にて1.5時間攪拌の後、反応液を重曹水と酢酸エチルの混合物中に注ぎ、酢酸エチルを用いて抽出した。酢酸エチル層を食塩水で洗浄の後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(富士シリシア化学製BW300、溶媒n−ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標題化合物0.73gを得た。
【0046】
合成例3
4−アセチルオキシ−2−エチル−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物3)の合成
合成例1で合成した2−エチル−4−ヒドロキシ−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン100mgをN,N−ジメチルホルムアミド1mlに溶解し、氷冷下60%水素化ナトリウム11mgを加えて、1時間撹拌した。これにアセチルクロリド20μlを加えて1時間撹拌し、さらに室温で3時間撹拌した。氷水に反応液を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を食塩水で洗浄の後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(Mega Bond Elut SI(Varian)10mL、溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標題化合物51mgを得た。
【0047】
合成例4
4−シクロプロピルカルボニルオキシ−2−エチル−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物4)の合成
合成例1で合成した2−エチル−4−ヒドロキシ−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン100mgをN,N−ジメチルホルムアミド1mlに溶解し、氷冷下60%水素化ナトリウム11mgを加えて、1時間撹拌した。これにシクロプロパンカルボニルクロリド28μlを加えて1時間撹拌し、さらに室温で3時間撹拌した。氷水に反応液を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を食塩水で洗浄の後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(Mega Bond Elut SI(Varian)10mL、溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標題化合物20mgを得た。
【0048】
合成例5
2−エチル−7−メトキシ−3−メチル−4−メチルチオカルボニルオキシ−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物5)の合成
合成例1で合成した2−エチル−4−ヒドロキシ−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン100mgをN,N−ジメチルホルムアミド1mlに溶解し、氷冷下60%水素化ナトリウム11mgを加えて、1時間撹拌した。これにメチルクロロチオホルメート30μlを加えて1時間撹拌し、さらに室温で3時間撹拌した。氷水に反応液を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を食塩水で洗浄の後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(Mega Bond Elut SI(Varian)10mL、溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標題化合物30.5mgを得た。
【0049】
合成例6
4−アリルカルボニルオキシ−2−エチル−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物6)の合成
合成例1で合成した2−エチル−4−ヒドロキシ−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン100mgをN,N−ジメチルホルムアミド1mlに溶解し、氷冷下60%水素化ナトリウム11mgを加えて、1時間撹拌した。これにアリルカルボニルクロリド30μlを加えて1時間撹拌し、さらに室温で3時間撹拌した。氷水に反応液を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を食塩水で洗浄の後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(Mega Bond Elut SI(Varian)10mL、溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標題化合物59.7mgを得た。
【0050】
合成例7
2−エチル−4−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物7)の合成
合成例1で合成した2−エチル−4−ヒドロキシ−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン100mgをN,N−ジメチルホルムアミド1mlに溶解し、氷冷下60%水素化ナトリウム11mgを加えて、1時間撹拌した。これにイソプロピルクロロフォルメートの1.0Mトルエン溶液300μlを加えて1時間撹拌し、さらに室温で3時間撹拌した。氷水に反応液を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を食塩水で洗浄の後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(Mega Bond Elut SI(Varian)10mL、溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標題化合物80mgを得た。
【0051】
合成例8
4−アセチルオキシ−2,3−ジメチル−7−メトキシ−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物8)の合成
キシレン33ml中の3−メトキシ−4−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)フェニルアミン(参考例2)1.1g、2−メチルアセト酢酸エチル1.02gおよびp−トルエンスルホン酸0.61gを7時間加熱還流脱水した。冷却し減圧下濃縮した後、n−ヘキサンを加え、析出した結晶を濾取し1.36gの2,3−ジメチル−4−ヒドロキシ−7−メトキシ−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリンを得た。つぎに得られた1.36gの結晶に無水酢酸30mlを加え、130〜135℃にて3時間加熱した後、1時間加熱還流した。この反応液を減圧濃縮した後、酢酸エチルを加え、食塩水にて洗浄した。その後、溶媒を減圧化にて濃縮し、得られた組成生物をシリカゲルクロマトグラフィー(富士シリシア化学製BW300、溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標題化合物0.31gを得た。
【0052】
合成例9
3−エチル−7−メトキシ−4−メトキシカルボニルオキシ−2−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン(化合物9)の合成
キシレン33ml中の3−メトキシ−4−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)フェニルアミン(参考例2)1.1g、2−エチル−3−オキソブタン酸エチル1.0gおよびp−トルエンスルホン酸0.61gを7時間加熱還流脱水した。冷却し減圧下濃縮した後、n−ヘキサンを加え、析出した結晶を濾取し1.17gの3−エチル−4−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリンを得た。つぎに得られた1.17gの結晶にジメチルホルムアミド40mlを加え、0℃にて55%の水素化ナトリウム0.24gとクロロギ酸メチル0.51gを加えた。室温にて2時間攪拌の後、反応液を食塩水と酢酸エチルの混合物中に注ぎ、酢酸エチルを用いて抽出した。酢酸エチル層を食塩水で洗浄の後、減圧濃縮した。得られた組成物をシリカゲルクロマトグラフィー(富士シリシア化学製BW300、溶媒n−ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標題化合物0.61gを得た。
【0053】
上で合成した本発明による化合物の構造およびH−NMRデータは、表1および表2に示される通りであった。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
製剤例1〔水和剤〕
化合物1 30重量%
クレー 30重量%
ケイソウ土 35重量%
リグニンスルホン酸カルシウム 4重量%
ラウリル硫酸ナトリウム 1重量%
前記成分を均一に混合し、粉砕して水和剤を得た。
【0057】
製剤例2〔粉剤〕
化合物1 2重量%
クレー 60重量%
タルク 37重量%
ステアリン酸カルシウム 1重量%
前記成分を均一に混合して粉剤を得た。
【0058】
製剤例3〔乳剤〕
化合物1 20重量%
N,N−ジメチルホルムアミド 20重量%
ソルベッソ150(エクソンモービル有限会社) 50重量%
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 10重量%
前記成分を均一に混合し、溶解して乳剤を得た。
【0059】
製剤例4〔粒剤〕
化合物3 5重量%
ベントナイト 40重量%
タルク 10重量%
クレー 43重量%
リグニンスルホン酸カルシウム 2重量%
前記成分を均一に粉砕・混合し、水を加えてよく練合した後、造粒乾燥して粒剤を得た。
【0060】
製剤例5〔フロアブル剤〕
化合物3 25重量%
POEポリスチリルフェニルエーテル硫酸塩 5重量%
プロピレングリコール 6重量%
ベントナイト 1重量%
キサンタンガム1%水溶液 3重量%
PRONAL EX−300(東邦化学工業株式会社) 0.05重量%
ADDAC 827(ケイ・アイ化成株式会社) 0.02重量%
水 59.93重量%
【0061】
キサンタンガム1%水溶液および適当量の水を除いた前記処方の全量を予備混合した後、湿式粉砕機にて粉砕した。その後、得られた粉砕物にキサンタンガム1%水溶液および残りの水を加え、100重量%のフロアブル剤を得た。
【0062】
試験例1:コナガ(Plutella xylostella)防除試験
プラスチックカップに入れた直径5.0cmのキャベツリーフディスクに、50%アセトン水(Tween20 0.05%加用)にて所定濃度に希釈した供試化合物をスプレーガンにて散布し、風乾した。カップ内に5頭のコナガ2令幼虫を放虫し、蓋をして25℃の定温室にて飼育した。処理3日後に幼虫の生死を観察し死虫率を算出した。その結果、表2の化合物は5ppm以下の濃度にて死虫率90%以上を示した。
【0063】
試験例2:シルバーリーフコナジラミ(Bemisia tabaci Genn.)防除試験
キュウリ葉を直径6.0cmに切り、水で湿らせた脱脂綿に置いた。これに薬剤の希釈液2mLを散布塔を用いて散布した。風乾後、プラスチックカップに入れ、シルバーリーフコナジラミ雌成虫を20頭放虫し、逆さまにして25℃の恒温室内に静置した。処理してから5日後に生死虫数を調査し、死虫率を算出した。その結果、表2の化合物は100ppm以下の濃度にて死虫率90%以上を示した。
【0064】
試験例3:ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi KARNY)防除試験
キュウリ葉を2.5cm角に切り、水で湿らせた脱脂綿に置いた。これに薬剤の希釈液2mLを散布塔を用いて散布した。風乾後、プラスチックカップに入れ、ミナミキイロアザミウマ1齢幼虫を10頭放虫し、25℃の恒温室内に静置した。処理してから2日後に生死虫数を調査し、死虫率を算出した。その結果、表2の化合物は20ppm以下の濃度にて死虫率90%以上を示した。
【0065】
試験例4:ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)防除試験
インゲン葉を直径2.8cmに切り、プラスチックシャーレ上の水で湿らせた脱脂綿に置いた。これに薬剤の希釈液0.5mLをスプレーガンにて散布した。風乾後、ミカンキイロアザミウマ1齢幼虫を10頭放虫し、逆さまにして25℃の恒温室内に静置した。処理してから3日後に生死虫数を調査し、死虫率を算出した。その結果、表2の化合物は1ppm以下の濃度にて死虫率90%以上を示した。
【0066】
比較例
WO2006/013896公報に開示の類似の化合物について試験例4に記した試験を行ったところ、以下の表3に示されるような結果であった。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式 (I)で表される化合物、またはその農園芸上許容可能な酸付加塩:
【化1】

(式中、
1は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3または4の環状アルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、または基−OR若しくは基−SR(ここで、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、
、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)。
【請求項2】
1が、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3または4の環状アルキル基、または基−OR(ここで、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、
、RおよびRが、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基を表す、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(I)で表される化合物が、下記化合物またはその農園芸上許容可能な酸付加塩から選択されるものである、請求項1に記載の化合物:
2−エチル−7−メトキシ−4−メトキシカルボニルオキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン、
7−エトキシ−2−エチル−4−メトキシカルボニルオキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン、
4−アセチルオキシ−2−エチル−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン、
4−シクロプロピルカルボニルオキシ−2−エチル−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン、
2−エチル−7−メトキシ−3−メチル−4−メチルチオカルボニルオキシ−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン、
4−アリルカルボニルオキシ−2−エチル−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン、
2−エチル−4−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−7−メトキシ−3−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン、
4−アセチルオキシ−2,3−ジメチル−7−メトキシ−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン、または
3−エチル−7−メトキシ−4−メトキシカルボニルオキシ−2−メチル−6−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシン−6−イルオキシ)−キノリン。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその農園芸上許容可能な酸付加塩を有効成分として含んでなる、農園芸用殺虫剤。
【請求項5】
鱗翅目害虫、半翅目害虫、鞘翅目害虫、ダニ目害虫、膜翅目害虫、直翅目害虫、双翅目害虫、アザミウマ目害虫、または植物寄生性線虫の防除のための、請求項4に記載の農園芸用殺虫剤。
【請求項6】
ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)の防除のための、請求項4に記載の農園芸用殺虫剤。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその農園芸上許容可能な酸付加塩の有効量を、植物または土壌に適用することを含んでなる、農園芸上の害虫の防除方法。
【請求項8】
前記害虫が、鱗翅目、半翅目、鞘翅目、ダニ目、膜翅目、直翅目、双翅目、アザミウマ目、および植物寄生性線虫からなる群から選択されるものである、請求項7に記載の防除方法。
【請求項9】
前記害虫が、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)である、請求項7に記載の防除方法。

【公開番号】特開2008−110953(P2008−110953A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296248(P2006−296248)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000006091)明治製菓株式会社 (180)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】